JP2023160730A - 導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサ - Google Patents

導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Kyoko Miyauchi
貴弘 西川
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Abstract

【課題】乾燥後の導電膜としての平滑性が高い、導電性ペースト、電子部品及び積層セラミックコンデンサを提供する。【解決手段】積層セラミックコンデンサの内部電極層11用導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、前記バインダー樹脂が、質量平均分子量が30000~150000であり、エトキシ基含有量が45~50質量%のエチルセルロースを含む。前記分散剤が、アミン系分散剤を含み、前記有機溶剤が、ジヒドロターピネオールと、特定の溶剤とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサに関する。
携帯電話やデジタル機器等の電子機器の小型化及び高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサ等を含む電子部品についても小型化及び高容量化が望まれている。積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層と複数の内部電極層とが交互に積層した構造を有し、これらの誘電体層及び内部電極層を薄膜化することにより、小型化及び高容量化を図ることができる。
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のように製造される。まず、チタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体粉末及びバインダー樹脂を含有する誘電体グリーンシートの表面上に、内部電極用の導電性ペーストを所定の電極パターンで印刷し、乾燥して、乾燥膜を形成する。次に、乾燥膜とグリーンシートとが交互に重なるように積層して積層体を得る。次に、この積層体を加熱圧着して一体化し、圧着体を形成する。この圧着体を切断し、酸化性雰囲気又は不活性雰囲気中にて脱バインダー処理を行った後、焼成を行い、焼成チップを得る。次いで、焼成チップの両端部に外部電極用ペーストを塗布し、焼成後、外部電極表面にニッケルメッキ等を施して、積層セラミックコンデンサが得られる。
一般的に、内部電極層の形成に用いられる導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む。また、導電性ペーストは、導電性粉末等の分散性を向上させるために分散剤を含むことがある。近年の内部電極層の薄膜化に伴い、導電性粉末も小粒径化する傾向がある。導電性粉末の粒径が小さい場合、その粒子表面の比表面積が大きくなるため、導電性粉末(金属粉末)の表面活性が高くなり、導電性粉末の分散性の低下や、導電性ペーストの粘度特性の低下が生じる場合がある。
そこで、導電性ペーストの経時的な粘度特性の改善の試みがなされている。例えば、特許文献1には、少なくとも金属成分と、酸化物と、分散剤と、バインダー樹脂とを含有する導電性ペーストであって、金属成分は、その表面組成が、特定の組成比を有するNi粉末であり、分散剤の酸点量は、500~2000μmol/gであり、バインダー樹脂の酸点量は、15~100μmol/gである導電性ペーストが記載されている。そして、特許文献1によれば、この導電性ペーストは、良好な分散性と粘度安定性を有するとされている。
また、特許文献2には、導電性粉末、樹脂、有機溶剤、TiBaOを主とするセラミックス粉末の共材、及び凝集抑制剤からなる内部電極用導電ペーストであって、前記凝集抑制剤の含有量が0.1重量%以上5重量%以下であり、前記凝集抑制剤が、特定の構造式で示される3級アミン又は2級アミンである内部電極用導電ペーストが記載されている。特許文献2によれば、この内部電極用導電ペーストは、共材成分の凝集を抑制し、長期保管性に優れ、積層セラミックコンデンサの薄膜化を可能とするとされている。
一方、内部電極層を薄膜化する際、誘導体グリーンシート表面上に内部電極用の導電性ペーストを印刷して、乾燥させて得られる乾燥膜の密度が高いことが要求される。例えば、特許文献3には、有機溶媒と、界面活性剤と、金属超微粒子とを含有する金属超微粉スラリーであって、前記界面活性剤がオレオイルサルコシンであり、前記金属超微粉スラリー中に、前記金属超微粉を70質量%以上95質量%以下含有し、前記界面活性剤を前記金属超微粉100質量部に対して0.05質量部超2.0質量部未満含有する金属超微粉スラリーが提案されている。特許文献3によれば、超微粒子の凝集を防止することで凝集粒子が存在しない、分散性及び乾燥膜密度に優れる金属超微粉スラリーが得られるとされている。
特開2015-216244号公報 特開2013-149457号公報 特開2006-063441号公報
しかしながら、近年の電極パターンの薄膜化に伴い、特に平均粒子径が100nm以下の導電性粉末を使用する導電性ペーストが求められ、さらにこの導電性ペーストには印刷後乾燥して電極パターンを形成した際の平滑性が高いことが求められている。
本発明は、このような状況に鑑み、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い、導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するべく、本発明の導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、前記バインダー樹脂が、質量平均分子量が30000~150000であり、エトキシ基含有量が45~50質量%のエチルセルロースを含み、前記分散剤が、下記一般式(1)で示されるアミン系分散剤を含み、前記有機溶剤が、ジヒドロターピネオールと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で示される溶剤を含む、導電性ペーストである。
前記ジヒドロターピネオールと前記一般式(2)または前記一般式(3)で示される溶剤との質量比が、3~5:5~7であってもよい。
前記バインダー樹脂が、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース及びポリビニルブチラールから選ばれる樹脂のうち、少なくとも1種以上をさらに含んでもよい。
前記アミン系分散剤の合計量と前記導電性粉末との質量比は、0.01~4:100であってもよく、前記導電性粉末の前記導電性ペーストの全体量に対する含有量は40質量%~65質量%であってもよい。
前記導電性粉末の数平均粒子径が、30nm~100nmであってもよい。
前記導電性ペーストの全体量に対する前記有機溶剤の含有量が、20質量%~60質量%であってもよい。
本発明の第2の態様では、上記本発明の導電性ペーストを用いて形成された、電子部品が提供される。
本発明の第3の態様では、誘電体層と内部電極層とを積層した積層体を少なくとも有し、内部電極は、上記本発明の導電性ペーストを用いて形成された、積層セラミックコンデンサが提供される。
以上説明したように、本発明によれば、乾燥後の導電膜としての平滑性が高く、経時的な粘度変化が少ない、導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサを提供することができる。
積層セラミックコンデンサを示す斜視図及び側面断面図である。
以下、本発明の導電性ペースト、電子部品、及び、積層セラミックコンデンサの一実施形態について説明する。
[導電性ペースト]
本実施形態の導電性ペーストは、導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、前記バインダー樹脂が、質量平均分子量が30000~150000であり、エトキシ基含有量が45~50質量%のエチルセルロースを含み、前記分散剤が、下記一般式(1)で示されるアミン系分散剤を含み、前記有機溶剤が、ジヒドロターピネオールと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で示される溶剤を含む。以下、本実施形態の導電性ペーストが含む導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤について、詳細に説明する。
(導電性粉末)
導電性粉末は、特に限定されず、金属粉末を用いることができ、例えば、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属粉末を用いることができる。これらの中でも、導電性、耐食性及びコストの観点から、Ni、又はNi合金の粉末が好ましい。Ni合金としては、例えば、Mn、Cr、Co、Al、Fe、Cu、Zn、Ag、Au、Pt及びPdからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素とNiとの合金(Ni合金)を用いることができる。Ni合金におけるNiの含有量は、例えば、50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、Ni粉末は、脱バインダー処理の際、バインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度のSを含んでもよい。
導電性粉末の数平均粒子径は、好ましくは30nm以上100nm以下であり、より好ましくは40nm以上90nm以下である。導電性粉末の平均粒径が上記範囲である場合、薄膜化した積層セラミックコンデンサの内部電極用の導電性ペーストとして好適に用いることができ、乾燥膜の平滑性が向上する。ここで、数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、SEMで倍率10,000倍にて観察した画像から、複数の粒子一つ一つの粒径を測定して、得られる平均値である。
前記導電性粉末の前記導電性ペーストの全体量に対する含有量は、好ましくは40質量%~65質量%であり、より好ましくは45質量%~60質量%である。導電性粉末の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(セラミック粉末)
セラミック粉末としては、特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用の導電性ペーストである場合、適用する積層セラミックコンデンサの種類により適宜、公知のセラミック粉末が選択される。セラミック粉末としては、例えば、Ba及びTiを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO)である。
セラミック粉末としては、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物を副成分として含むセラミック粉末を用いてもよい。酸化物としては、Mn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nb及び1種類以上の希土類元素の酸化物が挙げられる。また、セラミック粉末としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他の原子、例えば、Sn、Pb、Zr等で置換したペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末を用いてもよい。
内部電極用の導電性ペーストにおいては、積層セラミックコンデンサのグリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末を、セラミック粉末として用いてもよい。これにより、焼結工程における誘電体層と内部電極層との界面での収縮のミスマッチによるクラック発生が抑制される。このようなセラミック粉末としては、上記以外に、例えば、ZnO、フェライト、PZT、BaO、Al、Bi、R(希土類元素)、TiO等の酸化物が挙げられる。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セラミック粉末の数平均粒子径は、例えば、10nm~100nmであり、好ましくは10nm~70nmの範囲である。セラミック粉末の数平均粒子径が上記範囲であることにより、内部電極用の導電性ペーストとして用いた場合、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することができる。数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、SEMで倍率50,000倍にて観察した映像から、複数の粒子一つ一つの粒径を測定して、得られる平均値である。
セラミック粉末の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部~30質量部であり、より好ましくは3質量部~30質量部である。導電性粉末の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
セラミック粉末の含有量は、導電性ペースト全体に対して、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは3質量%~20質量%以下である。導電性粉末の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、質量平均分子量が30000~150000であり、エトキシ基含有量が45~50質量%のエチルセルロースを必須として含む。このようなエチルセルロースを含むことにより、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストを得ることができる。また、導電性ペーストを内部電極へ加工する過程において焼成する工程があるが、この焼成後の残留炭素分が過度に増加することなく、印刷性を充分に確保することができる。
なお、エチルセルロースの質量平均分子量が30000未満の場合には、印刷を行うために充分な粘度を得ることが困難になるおそれがある。また、同分子量が150000よりも大きいと、得られる導電性ペーストが増粘して、印刷性が悪くなるおそれがある。
また、エチルセルロースのエトキシ基含有量が45~50質量%であれば、有機溶剤に対する相溶性に優れ、溶解性が良好であることから、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストを得ることができる。エチルセルロースのエトキシ基含有量は、より好ましくは、47~50質量%である。
バインダー樹脂としては、上記のエチルセルロースのみを単独で使用しても良く、エチルセルロース以外の樹脂をさらに含んでも良い。例えば、前記バインダー樹脂が、エチルセルロースに加えて、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース及びポリビニルブチラールから選ばれる樹脂のうち、少なくとも1種以上をさらに含んでもよい。
例えば、内部電極用の導電性ペーストとして用いる場合、グリーンシートとの接着強度を向上させる観点からポリビニルブチラールを使用してもよい。
メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース及びポリビニルブチラールから選ばれるバインダー樹脂において、質量平均分子量は、例えば、20000~300000程度であることが好ましい。質量平均分子量が20000未満であると、印刷を行うために充分な粘度を得ることが困難になる。質量平均分子量のより好ましい下限は30000である。かかる下限が30000以上であれば残留炭素分の増加を生じることなく、印刷性を充分に確保することができる。一方で、質量平均分子量が300000を超えると、得られる導電性ペーストが増粘して印刷性が悪くなるおそれがある。質量平均分子量が300000以下であれば、エチルセルロースとの相溶性を確保しつつ、印刷性に優れる導電性ペーストを得ることができる。質量平均分子量の好ましい上限については、エチルセルロースとの配合比等にもよるが、300000以下とすることで、焼成後の残留炭素を低減させることが可能となる。
バインダー樹脂としてエチルセルロース以外の樹脂を含む場合には、質量比でエチルセルロース:エチルセルロース以外の樹脂=30~70:70~30とすることが好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部~10質量部以下であり、より好ましくは1質量部~8質量部である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
バインダー樹脂の含有量は、導電性ペースト全体に対して、好ましくは0.5質量%~10質量%であり、より好ましくは1質量%~6質量%である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で示される溶剤を含む。ジヒドロターピネオールを必須とし、さらに一般式(2)または一般式(3)で示される溶剤を含むことにより、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストが得られる。
導電性ペーストに含まれる有機溶剤の組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
ジヒドロターピネオールと一般式(2)で示される溶剤、ジヒドロターピネオールと一般式(3)で示される溶剤、ジヒドロターピネオールと一般式(2)で示される溶剤と一般式(3)で示される溶剤。
また、一般式(2)で示される溶剤としては、以下の組み合わせが挙げられる。
が式(2a)のみ、Rが式(2b)のみ、Rが式(2a)と式(2a)。
また、一般式(3)で示される溶剤としては、以下の組み合わせが挙げられる。
が式(3a)のみ、Rが式(3b)のみ、Rが式(3a)と式(3a)。
ジヒドロターピネオールと一般式(2)または一般式(3)で示される溶剤との質量比が、3~5:5~7であることが好ましい。この質量比とすることにより、導電性ペーストのスクリーン印刷への使用時に適した粘度とすることができ、また、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストを得ることができる。この質量比に該当しない場合、導電性ペーストのスクリーン印刷への使用に適さない高い粘度となったり、乾燥後の導電膜としての平滑性が不十分となる場合がある。
なお、上記の溶剤の質量比としては、以下の組み合わせが挙げられる。
ジヒドロターピネオール:一般式(2)、ジヒドロターピネオール:一般式(3)、ジヒドロターピネオール:一般式(2)と一般式(3)の合計。
有機溶剤の含有量の合計は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは40質量部~100質量部であり、より好ましくは65質量部~95質量部である。有機溶剤の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
有機溶剤の含有量の合計は、導電性ペースト全体に対して、20質量%~60質量%が好ましく、35質量%~55質量%がより好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
(分散剤)
本発明の導電性ペーストが含む分散剤は下記一般式(1)で示されるアミン系分散剤である。このようなアミン系分散剤を含むことにより、導電性ペーストのスクリーン印刷への使用時に適した粘度とすることができ、また、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストを得ることができる。
一般式(1)において、nは7~17の整数である。nがこの範囲内である場合、導電性ペースト中の粉末が十分な分散性を有し、また、溶剤への溶解性に優れる。nが6以下の場合には、導電性ペースト中の粉末が十分に分散せず、凝集してしまうおそれがある。また、nが18以上の場合には、分散剤の熱分解温度が高くなることで、焼成処理後の残留炭素分が多くなるおそれがある。
導電性ペーストは、上記アミン系分散剤を、導電性粉末100質量部に対し、0.01質量部~4質量部、好ましくは0.02質量部~3質量部以下含んでもよい。上記アミン系分散剤を上記範囲で含む場合、経時的な粘度変化が抑制され、粘度安定性を向上させることが出来、得られる電極層についてはその平滑性が高い。また、シートアタックやグリーンシートの剥離不良を抑制することができる。なお、アミン系分散剤の含有量が4質量部を超える場合、導電性ペーストをグリーンシートに印刷した際、印刷面にメッシュ跡が発生したり、ペーストの粘度が大きく低下したりすることがある。
アミン系分散剤は、例えば、市販の製品から、上記特性を満たすものを選択して用いることができる。また、上記アミン系分散剤は、従来公知の製造方法を用いて、上記特性を満たすように製造してもよい。
また、アミン系分散剤の含有量は、導電性ペースト全体に対して3質量%以下であることが好ましい。アミン系分散剤の含有量の上限は、好ましくは2.5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。アミン系分散剤の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上である。アミン系分散剤の含有量が上記範囲である場合、導電性ペーストの粘度を適切な範囲に調整することができ、また、シートアタックやグリーンシートの剥離不良を抑制することができる。
なお、導電性ペーストは、上記のアミン系分散剤以外の分散剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。上記以外の分散剤としては、例えば、高級脂肪酸、高分子界面活性剤等を含む酸系分散剤及びアミノ酸系分散剤、酸系分散剤以外のカチオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤及び高分子系分散剤等を含んでもよい。また、これらの分散剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(導電性ペーストの製造方法)
本実施形態の導電性ペーストの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。導電性ペーストは、例えば、上記の各成分を用意し、3本ロールミル、ボールミル、ミキサー等で攪拌・混練することにより製造することができる。その際、導電性粉末表面に予め分散剤を塗布すると、導電性粉末が凝集することなく十分にほぐれて、その表面に分散剤が行きわたるようになり、均一な導電性ペーストを得やすい。また、バインダー樹脂をビヒクル用の有機溶剤に溶解させてビヒクルを作製し、その後、有機溶剤へ導電性粉末、セラミック粉末、ビヒクル及び分散剤を添加し、ミキサーで攪拌・混練し、導電性ペーストを作製してもよい。
導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサやバリスタ等の電子部品に好適に用いることができる。積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層及び導電性ペーストを用いて形成される内部電極層を有する。
積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートに含まれる誘電体セラミック粉末と導電性ペーストに含まれるセラミック粉末とが同一組成の粉末であることが好ましい。本実施形態の導電性ペーストを用いて製造される積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートの厚さが、例えば2μm以下である場合でも、シートアタックやグリーンシートの剥離不良が抑制される。
導電性ペーストは、導電性ペーストの製造24時間経過後の粘度を基準とした場合、その製造後から13日間静置後(製造後14日後)の粘度変化量は、好ましくは-5~+15Pa・s以内であることが好ましい。なお、上記導電性ペーストの粘度は、例えば、実施例に記載した方法((アントンパール社製 レオメータMCR501)にてフローカーブ測定において回転数4sec-1)の条件で測定する方法)等により測定することができる。
また電極層としての導電性ペーストの平滑性は、ガラス板に塗布した導電性ペーストの乾燥膜をレーザー顕微鏡(キーエンス社製)で測定する方法等により測定することができる。
[電子部品]
以下、本発明の導電性ペーストを用いて製造することのできる電子部品等の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面においては、適宜、模式的に表現することや、縮尺を変更して表現することがある。また、部材の位置や方向等を、適宜、図1等に示すXYZ直交座標系を参照して説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向(上下方向)である。
図1A及び図1Bは、実施形態に係る電子部品の一例である、積層セラミックコンデンサ1を示す斜視図及び側面断面図である。積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層12及び内部電極層11を交互に積層したセラミック積層体10と外部電極20とを備える。
以下、上記導電性ペーストを使用した積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、セラミックグリーンシートからなる誘電体層上に、導電性ペーストを印刷して、乾燥し、乾燥膜を形成する。この乾燥膜を上面に有する複数の誘電体層を、圧着により積層させて積層体を得た後、積層体を焼成して一体化することにより、内部電極層11と誘電体層12とが交互に積層したセラミック積層体10を作製する。その後、セラミック積層体10の両端部に一対の外部電極20を形成することにより積層セラミックコンデンサ1が製造される。以下に、より詳細に説明する。
まず、未焼成のセラミックシートであるセラミックグリーンシートを用意する。このセラミックグリーンシートとしては、例えば、チタン酸バリウム等の所定のセラミックの原料粉末に、ポリビニルブチラール等の有機バインダーとターピネオール等の溶剤とを加えて得た誘電体層用ペーストを、PETフィルム等の支持フィルム上にシート状に塗布し、乾燥させて溶剤を除去したもの等が挙げられる。なお、セラミックグリーンシートからなる誘電体層の厚みは、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサの小型化の要請の観点から、0.05μm以上3μm以下が好ましい。
次いで、このセラミックグリーンシートの片面に、スクリーン印刷法等の公知の方法によって、上述の導電性ペーストを印刷(塗布)して乾燥し、乾燥膜を形成したものを複数枚、用意する。なお、印刷後の導電性ペースト(乾燥膜)の厚みは、内部電極層11の薄層化の要請の観点から、乾燥後1μm以下とすることが好ましい。
次いで、支持フィルムから、セラミックグリーンシートを剥離するとともに、セラミックグリーンシートからなる誘電体層とその片面に形成された乾燥膜とが交互に配置されるように積層した後、加熱・加圧処理により積層体を得る。なお、積層体の両面に、導電性ペーストを塗布していない保護用のセラミックグリーンシートを更に配置する構成としても良い。
次いで、積層体を所定サイズに切断してグリーンチップを形成した後、当該グリーンチップに対して脱バインダー処理を施し、還元雰囲気下において焼成することにより、セラミック積層体10を製造する。なお、脱バインダー処理における雰囲気は、大気又はNガス雰囲気にすることが好ましい。脱バインダー処理を行う際の温度は、例えば200℃以上400℃以下である。また、脱バインダー処理を行う際の、上記温度の保持時間を0.5時間以上24時間以下とすることが好ましい。また、焼成は、内部電極層に用いる金属の酸化を抑制するために還元雰囲気で行われ、また、積層体の焼成を行う際の温度は、例えば、1000℃以上1350℃以下であり、焼成を行う際の、温度の保持時間は、例えば、0.5時間以上8時間以下である。
グリーンチップの焼成を行うことにより、グリーンシート中の有機バインダーが完全に除去されるとともに、セラミックの原料粉末が焼成されて、セラミック製の誘電体層12が形成される。また乾燥膜中のビヒクルが除去されるとともに、ニッケル粉末又はニッケルを主成分とする合金粉末が焼結もしくは溶融、一体化されて、内部電極が形成され、誘電体層12と内部電極層11とが複数枚、交互に積層された積層セラミック焼成体が形成される。なお、酸素を誘電体層の内部に取り込んで信頼性を高めるとともに、内部電極の再酸化を抑制するとの観点から、焼成後の積層セラミック焼成体に対して、アニール処理を施してもよい。
そして、作製した積層セラミック焼成体に対して、一対の外部電極20を設けることにより、積層セラミックコンデンサ1が製造される。例えば、外部電極20は、外部電極層21及びメッキ層22を備える。外部電極層21は、内部電極層11と電気的に接続される。なお、外部電極20の材料としては、例えば、銅やニッケル、又はこれらの合金が好適に使用できる。なお、電子部品は、積層セラミックコンデンサに限定されず、バリスタ等の積層セラミックコンデンサ以外の電子部品であってもよい。
以下、本発明を実施例と比較例に基づき詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(導電性ペーストの粘度評価)
導電性ペーストの製造から室温(25℃)で1日静置後の導電性ペーストの粘度をレオメータ(アントンパール社製 レオメータMCR501)でのフローカーブ測定において回転数4sec-1で測定した。
(導電性ペースト乾燥膜の平滑性評価)
アプリケータを用いて、導電性ペーストをwet膜厚10μmとなるようにガラス板へ塗布した後、ガラス板を120℃に設定したオーブンへ入れて、20分乾燥させ、導電性ペーストの乾燥膜を得た。乾燥膜に対して、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK―X3000)で測定範囲200x250μmの範囲の乾燥膜の平均粗さを測定し、ランダムに5箇所の測定を繰り返した。得られた値の平均値を導電性ペースト乾燥膜の平均粗さとして、平滑性の目安とした。
[使用材料]
(導電性粉末)
導電性粉末としては、Ni粉末(数平均粒径60nm)を下記の手法で作製し、使用した。
<湿式ニッケル粉末の製造>
[ニッケル塩及びニッケルよりも貴な金属の金属塩の溶液の調製]
塩化ニッケル六水和物(NiCl・6HO、分子量:237.69)を、100gのNi金属が1Lの純水中に存在するように溶解した水溶液(「100g-Ni/L水溶液」とする)と、ニッケルよりも貴な金属の金属塩として塩化パラジウム(II)アンモニウム(別名:テトラクロロパラジウム(II)酸アンモニウム)((NHPdCl、分子量:284.31)を、1.2gのPd金属が1Lの純水中に存在するように溶解した水溶液(「2g-Pd/L水溶液」とする)を調製した。そして、100g-Ni/L水溶液1000mLと1.2g-Pd/L水溶液8.5mL、自己分解抑制補助剤としての硫黄含有化合物として分子内にスルフィド基(-S-)を1個含有するL-メチオニン(CHSCCH(NH)COOH、分子量:149.21)1.27gを、純水881mLに溶解して、主成分としてニッケル塩と、硫黄含有化合物と、ニッケルより貴な金属の金属塩である核剤とを含有する水溶液であるニッケル塩核剤含有溶液を調製した。ここで、ニッケル塩核剤含有溶液において、スルフィド化合物であるL-メチオニンはニッケルに対してモル比で0.005(0.5モル%)と微量で、パラジウム(Pd)はニッケル(Ni)に対し100質量ppm(55.16モルppm)である。
[還元剤溶液の調製]
還元剤として抱水ヒドラジン(N・HO、分子量:50.06)を純水で1.67倍に希釈した市販の工業グレードの60%抱水ヒドラジン(エムジーシー大塚ケミカル株式会社製)を207g秤量し、水酸化アルカリを含まず、主成分としてのヒドラジンを含有する水溶液である還元剤溶液を調製した。
[水酸化アルカリ溶液]
水酸化アルカリとして、水酸化ナトリウム(NaOH、分子量:40.0)を純水に溶解し、水酸化ナトリウムを382g/Lの濃度で含有する水溶液である水酸化アルカリ溶液を757mL用意した。
[アミン化合物溶液]
アミン化合物として、分子内に第1級アミノ基(-NH)を2個含有するアルキレンアミンであるエチレンジアミン(略称:EDA)(HNCNH、分子量:60.1)1.02gを、純水18mLに溶解して、エチレンジアミンを含有する水溶液であるアミン化合物溶液を用意した。なお、上記ニッケル塩核剤含有溶液、還元剤溶液、水酸化アルカリ溶液、及びアミン化合物溶液における使用材料には、60%抱水ヒドラジンを除き、いずれも和光純薬工業株式会社製の試薬を用いた。
[晶析工程]
ニッケル塩核剤含有溶液を撹拌羽根付テフロン(登録商標)被覆ステンレス容器内に入れ、液温が85℃になるように撹拌しながら加熱した後、液温27℃の還元剤溶液を、Ni金属と抱水ヒドラジンとのモル比が1:1.46となるように、混合時間10秒で添加混合してニッケル塩・還元剤含有液とした。このニッケル塩・還元剤含有液に液温27℃の水酸化アルカリ溶液を、Ni金属と水酸化ナトリウムとのモル比が1:3.54となるように、混合時間120秒で添加混合し、液温70℃の反応液(塩化ニッケル+パラジウム塩+ヒドラジン+水酸化ナトリウム)を調合し、還元反応(晶析反応)を開始した(反応開始温度70℃)。反応開始後8分後から28分後までの20分間にかけて上記アミン化合物溶液を、Ni金属とエチレンジアミンとのモル比が1:0.01(1.0モル%)となるように、上記反応液に滴下混合し、ヒドラジンの自己分解を抑制しながら還元反応を進めてニッケル晶析粉を反応液中に析出させた。反応開始から60分以内に還元反応は完了し、反応液の上澄み液は透明であることから、反応液中のニッケル成分はすべて金属ニッケルに還元されて、ニッケル晶析粉となったことを確認した。ニッケル晶析粉を含む反応液はスラリー状であり、このニッケル晶析粉含有スラリーにメルカプト酢酸(チオグリコール酸)(HSCHCOOH、分子量:92.12)の水溶液を加えて、ニッケル晶析粉の表面処理(硫黄コート処理)を施した。
[湿式解砕工程]
表面処理後、ニッケル晶析粉含有スラリーに対してデカンテーションと純水(導電率1μS/cm)の投入を繰り返してスラリー中の導電率が15μS/cm以下になるまで洗浄し、ニッケル濃度が25質量%のニッケル晶析粉含有スラリーとし湿式解砕を施した。
[酸洗浄工程]
湿式解砕工程後のニッケル晶析粉含有スラリーに、1質量%硫酸水溶液(HSO、分子量:98.08)を滴下して中和し、20分間ニッケル晶析粉含有スラリーのpHを4~5に維持した。このときのニッケル晶析粉含有スラリーのニッケル濃度は、5質量%であった。なお、中和の反応式は、Ni(OH)+HSO→NiSO+2HOとなる。
[溶媒置換工程、固液分離工程]
酸洗浄工程後、ヌッチェにろ紙をのせ、そこにニッケル晶析粉含有スラリーを投入してろ過し、その後、導電率が1μS/cmの純水をろ紙上のニッケル晶析粉に投入して、ろ過後のろ液の導電率が30μS/cm以下になるまでろ過洗浄した。その後、純度99.9%以上のエタノール(沸点:78.3℃)をヌッチェに投入して通液し、ニッケルスラリー中の溶媒を水からエタノールへ置換した。なお、溶媒置換後のニッケルスラリーの溶媒に含まれるエタノール濃度は、92.4質量%、残りの7.6質量%は水であった。ここで、エタノール濃度は、固液分離工程の最終ろ液(最後の50mL)を回収し、カールフィッシャー水分率(150℃)を測定し、「100-水分率(%)=ろ液中の溶剤濃度(%)」の計算で得られるろ液中の溶剤濃度を、エタノール濃度とした。他の実施例等でも同様に算出した。溶媒置換後、固形分濃度を40質量%以上となるまでろ過を継続して固液分離し、ニッケル粉ケーキを得た。
[乾燥工程]
前記ニッケル粉ケーキを、120℃の温度に設定した真空乾燥機中で6時間乾燥して湿式ニッケル粉末を得た。
<評価及びその結果>
(数平均粒径)
得られた湿式ニッケル粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM、JEOL Ltd.製、JSM-7100F)で観察し、SEM画像を画像処理することにより全体の形状が確認できる100~200個の粒子の面積を測定し、測定した面積から真円換算によりそれぞれの粒子の直径を算出して、さらに算出した直径の平均値を算出し、これを数平均粒径とした。得られたニッケル粉末の数平均粒径は60nmであった。
(セラミック粉末)
セラミック粉末としては、チタン酸バリウム(戸田工業株式会社BaTiO、商品名T-BTO-030RF;上記SEM観察による方法で算出される数平均粒径は30nm)を使用した。
(ビヒクル)
ビヒクル中の樹脂含有量が20質量%となるように、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解させてビヒクルを製造した。バインダー樹脂としては、エチルセルロース樹脂(重量平均分子量44x10、エトキシ基含有率が48.0~49.5質量%)を使用し、有機溶剤としてはジヒドロターピネオールを使用した。
(分散剤)
アミン系分散剤としてオクチルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=7)、ウンデシルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=10)、ドデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=11)またはオクダデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=17)を用いた。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤を混合して用いた。式(3)において、Rは式(3b)で示すものである。
[実施例1]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてウンデシルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=10)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例1の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で3:7とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は23Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.022μmであった。
[実施例2]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてウンデシルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=10)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例2の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で5:5とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は51Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.029μmであった。
[実施例3]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてウンデシルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=10)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例3の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(2)(ここで、Rは式(2a))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(2)で示す溶剤の混合比は質量比で3:7とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は30Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.024μmであった。
[実施例4]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてウンデシルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=10)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例4の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(2)(ここで、Rは式(2a))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(2)で示す溶剤の混合比は質量比で5:5とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は48Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.027μmであった。
[実施例5]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてドデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=11)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例5の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で3:7とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は25Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.021μmであった。
[実施例6]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてドデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=11)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例6の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で5:5とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は50Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.024μmであった。
[実施例7]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてオクタデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=17)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例7の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で3:7とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は30Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.022μmであった。
[実施例8]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてオクタデシルアミン(シグマ-アルドリッチ製、式(1)のn=17)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例8の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で5:5とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は55Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.023μmであった。
[実施例9]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてオクチルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=7)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例9の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で3:7とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は21Pa・s、ガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.022μmであった。
[実施例10]
原料としてNi粉末50質量%、セラミック粉末3.8質量%、ビヒクル15質量%、アミン系分散剤としてオクチルアミン(東京化成工業製、式(1)のn=7)を0.5質量%、残部として有機溶剤を使用し、原料全体の合計が100質量%となるようにこれらを混合して混合物を得た。そして、この混合物を3本ロールミルで分散処理して、実施例10の導電性ペーストを作製した。有機溶剤としては、ジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の2種類を使用し、導電ペーストにおいて、ジヒドロターピネオールと式(3)で示す溶剤の混合比は質量比で5:5とした。得られた導電性ペーストの1日後の粘度は47Pa・s、ガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.025μmであった。
[比較例1]
分散剤を用いず、また、導電ペーストにおけるジヒドロターピネオールと式(3)(ここで、Rは式(3b))で示す溶剤の混合比を質量比で9:1とした以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを作製した。得られた比較例1の導電性ペーストの1日後の粘度は159Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.035μmであった。
[比較例2]
分散剤を用いず、また、有機溶剤としてジヒドロターピネオールのみを用いた以外は、実施例1と同様に導電性ペーストを作製した。得られた比較例2の導電性ペーストの1日後の粘度は264Pa・sであり、平滑性評価におけるガラス板上に作製した導電性ペーストの乾燥膜の平均粗さは0.051μmであった。
実施例1~10、および比較例1、2で使用したアミン系分散剤、溶剤、および粘度と平均粗さの結果を、表1に示す。
表1より、アミン系分散剤としてオクチルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミンまたはオクダデシルアミンを使用し、有機溶剤としてジヒドロターピネオールと式(2)または(3)で示す溶剤を質量比3~5:5~7の溶剤比で使用することにより、導電性ペーストの粘度が20Pa・s以上55Pa・s以下と、ペーストの塗布が容易な粘度の範囲内で粘度を安定化することができ、また、導電性ペーストより得られる乾燥膜表面の平均粗さを0.03μm以下とすることができ、乾燥膜表面の平滑性をより高めることができる結果となった。
以上より、本発明であれば、乾燥後の導電膜としての平滑性が高い導電性ペーストを提供することができるため、産業上有用である。
1…積層セラミックコンデンサ
10…セラミック積層体
11…内部電極層
12…誘電体層
20…外部電極
21…外部電極層
22…メッキ層

Claims (8)

  1. 導電性粉末、セラミック粉末、分散剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含む導電性ペーストであって、
    前記バインダー樹脂が、質量平均分子量が30000~150000であり、エトキシ基含有量が45~50質量%のエチルセルロースを含み、
    前記分散剤が、下記一般式(1)で示されるアミン系分散剤を含み、
    前記有機溶剤が、ジヒドロターピネオールと、下記一般式(2)または下記一般式(3)で示される溶剤を含む、
    導電性ペースト。
  2. 前記ジヒドロターピネオールと前記一般式(2)または前記一般式(3)で示される溶剤との質量比が、3~5:5~7である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記バインダー樹脂が、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース及びポリビニルブチラールから選ばれる樹脂のうち、少なくとも1種以上をさらに含む、請求項1に記載の導電性ペースト。
  4. 前記アミン系分散剤の合計量と前記導電性粉末との質量比は、0.01~4:100であり、
    前記導電性粉末の前記導電性ペーストの全体量に対する含有量は40質量%~65質量%である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  5. 前記導電性粉末の数平均粒子径が、30nm~100nmである、請求項1に記載の導電性ペースト。
  6. 前記導電性ペーストの全体量に対する前記有機溶剤の含有量が、20質量%~60質量%である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  7. 請求項1に記載の導電性ペーストを用いて形成された、電子部品。
  8. 誘電体層と内部電極層とを積層した積層体を少なくとも有し、
    前記内部電極層は、請求項1に記載の導電性ペーストを用いて形成された、積層セラミックコンデンサ。
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