JP2023160658A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細配線を形成しても微細配線におけるライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、アンダーカット耐性に優れ、伝送損失の小さい光導波路を製造できる感光性樹脂組成物等の提供。【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂、及び(C)分子量が420以上の光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、樹脂シート、感光性樹脂組成物セット、光導波路及びその製造方法、及び光電気混載基板に関する。
5G通信、自動運転、IoT、人工知能、ビッグデータ等の技術進歩により通信の超高速化及び大容量化の要求が高まっている。その根幹を支える半導体パッケージは、従来、高周波電流を流すことにより高速通信に対応をしてきた。しかし、近年では、高速通信によるノイズの発生、通信の損失、及び発熱の課題が顕在化している。これらの課題を解決するために、電気配線基板に光回路を実装し、省エネルギーと低遅延かつ高速通信を実現する取り組みが近年盛んに行われている(特許文献1及び2)。
特開2019-211540号公報 特許第5771978号
特に高速伝送が求められるデータセンターでは、シリコンフォトニクスの導入に関する研究が活発になされている。シリコンフォトニクスは、従来のLSI製造プロセスと整合性が高い。よって、シリコンフォトニクスを活用することにより、電子回路集積技術で培われた技術をもとに、ナノメートルサイズの細線導波路の形成が低コストで可能になると期待されている。
例えば、シリコンフォトニクスによれば、細線導波路によってチップに光集積回路を形成することが期待される。このチップを搭載した光電気混載基板を製造する場合、チップ内の細線導波路から信号光をチップ外に取り出してチップ間の配線へと接続するために、光電気混載基板に光導波路を設けることが求められる。微細な光導波路を効率よく形成する観点から、光導波路を感光性樹脂組成物の硬化物によって形成することが望まれる。ところが、微細な光導波路を形成する際にアルカリ現像処理を行うとコア層にアンダーカットが生じ、コア層が剥離したり、光伝送損失が大きくなることがある。また、微細な光導波路を形成するとコア層の表面に凹凸が形成されてしまい、光伝送損失が大きくなることがある。ここで、アンダーカットとは、コア層の厚み方向の断面形状が、露光面から奥の方ほど広くなる形状(逆テーパ状)をいい、逆テーパ状になりにくい性質をアンダーカット耐性という。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、微細配線を形成可能であり、微細配線におけるライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、アンダーカット耐性に優れ、光伝送損失の小さい光導波路を製造できる感光性樹脂組成物;該感光性樹脂組成物を含む樹脂シート;感光性樹脂組成物セット;光導波路;及び光電気混載基板を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、(A)エポキシ樹脂、(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂、及び(C)分子量が420以上の光重合開始剤を組み合わせて含有させた感光性樹脂組成物を用いることで、微細配線を形成可能であり、微細配線におけるライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、アンダーカット耐性に優れ、光伝送損失の小さい光導波路を製造できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂、及び
(C)分子量が420以上の光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物。
[2] さらに、(D)分子量が420未満の光重合開始剤を含有する、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] (D)成分が、オキシムエステル系光重合開始剤、及びα-アミノケトン系光重合開始剤のいずれかを含有する、[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] さらに、(E)光増感剤を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5] (E)成分が、ベンゾフェノン類及びチオキサントン類から選ばれる、[4]に記載の感光性樹脂組成物。
[6] さらに、(F)平均粒径が100nm以下の無機充填材を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7] (A)成分が、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、及びビフェニル骨格含有エポキシ樹脂のいずれかを含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8] (C)成分は、下記式(C-1)で表される構造単位を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023160658000001
(式(C-1)中、Rは活性光線吸収基を表し、Rはそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。nは1~10の整数を表す。*は結合手を表す。)
[9] 炭酸ナトリウム現像用である、[1]~[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[10] 光導波路のコア層製造用である、[1]~[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[11] 支持体と、該支持体上に、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層が形成されている、樹脂シート。
[12] 感光性樹脂組成物層の厚みが、1μm以上15μm以下である、[11]に記載の樹脂シート。
[13] コア用感光性樹脂組成物とクラッド用樹脂組成物とを含む感光性樹脂組成物セットであって、
コア用感光性樹脂組成物が、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む、感光性樹脂組成物セット。
[14] コア層及びクラッド層を備え、
コア層が、[1]~[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む、光導波路。
[15] 波長1300nm~1320nmの光を伝送可能である、[14]に記載の光導波路。
[16] シングルモードの光導波路である、[14]又は[15]に記載の光導波路。
[17] [14]~[16]のいずれかに記載の光導波路を備えた光電気混載基板。
本発明によれば、微細配線を形成可能であり、微細配線におけるライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、アンダーカット耐性に優れ、伝送損失の小さい光導波路を製造できる感光性樹脂組成物;該感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物セット;光導波路;及び光電気混載基板;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光導波路を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(I)を説明するための模式的な断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(II)を説明するための模式的な断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(III)を説明するための模式的な断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(IV)を説明するための模式的な断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(V)を説明するための模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VI)を説明するための模式的な断面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VII)を説明するための模式的な断面図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VIII)を説明するための模式的な断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂、及び(C)分子量が420以上の光重合開始剤を含有する。本発明の感光性樹脂組成物によれば、微細配線を形成可能であり、微細配線におけるライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、アンダーカット耐性に優れ、光伝送損失の小さい光導波路を製造できるようになる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(D)分子量が420未満の光重合開始剤、(E)光増感剤、(F)平均粒径が100nm以下の無機充填材、(G)反応希釈剤、(H)溶剤、及び(I)その他の添加剤が挙げられる。以下、感光性樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
以下の説明において、別に断らない限り、用語「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸、メタクリル酸及びその組み合わせを包含し、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート、メタクリレート及びその組み合わせを包含する。
また、本発明において、感光性樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
<(A)エポキシ樹脂>
感光性樹脂組成物は、(A)成分として、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。
(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサン型エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;イソシアヌラート型エポキシ樹脂;フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、(A)エポキシ樹脂は、本発明の効果を顕著に得る観点から、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、及びビフェニル骨格含有エポキシ樹脂のいずれかを含有することが好ましい。(A)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
(A)エポキシ樹脂には、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいてもよいが、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいることが特に好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、及びビフェニル骨格含有エポキシ樹脂のいずれかがより好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂のいずれかがさらに好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格及びブタジエン骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製「EX-201」(環状脂肪族グリシジルエーテル)等が挙げられる。
(A)エポキシ樹脂として、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、好ましくは10:1~1:50、より好ましくは5:1~1:20、特に好ましくは2:1~1:10である。
(A)エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格及びビフェニル骨格から選ばれる骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが特に好ましい。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~2,000g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~1,000g/eq.、さらにより好ましくは80g/eq.~500g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(A)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(A)エポキシ樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、機械強度及び絶縁信頼性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
<(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)成分として、(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂を含有する。この(B)成分としての(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂には、上述した(A)成分に該当するものは含めない。(B)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂は、酸性基であるカルボキシ基を含有するため、本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性現像液に対して溶解性を示し得る。(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂において、1分子中のカルボキシ基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂は、脂肪族性の炭素-炭素不飽和結合としてのエチレン性二重結合を含有する。よって、(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂は、(C)光重合開始剤が光を受けてラジカルが発生した場合に、重合を生じることができる。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂は、通常、前記のエチレン性二重結合を含有する基を有する。この基は、一般にラジカル重合性を有するので、以下「ラジカル重合性基」ということがある。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基又はメタクリロイル基)、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基等が挙げられ、ラジカル重合の反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂の1分子当たりのラジカル重合性基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂は、一実施形態において、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂であることが好ましい。
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有するため、一実施形態において、光ラジカル重合が可能であり得る。酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリロイル基、及びカルボキシル基の両方を有し、光ラジカル重合を可能とするとともにアルカリ現像を可能とする樹脂であることが好ましい。
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を公知の手法により酸変性することにより製造することができる。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、エポキシ樹脂とアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させることにより製造することができる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の製造のためのエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂にエピクロロヒドリンを反応させて3官能以上に変性した変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型等のビフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びパーフルオロアルキル型エポキシ樹脂等のフッ素含有エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシビナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビナフトール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合反応によって得られるナフタレン型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂);ビキシレノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂;tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂等の縮合環骨格を含有するエポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとの共重合体等のグリシジル基含有アクリル樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の製造のためのエポキシ樹脂は、本発明の効果を顕著に得る観点から、芳香族骨格を含有するエポキシ樹脂が好ましい。ここで、芳香族骨格とは、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む概念である。なかでも、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂のいずれかが好ましく、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂がより好ましい。
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、一実施形態において、ナフトールアラルキル骨格、ナフタレン骨格及びビフェニル骨格から選ばれる骨格を有する酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことが好ましく、ナフトールアラルキル骨格を有する酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことが特に好ましい。
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、一実施形態において、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の水酸基がエステル化された酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下「エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」という)、及び、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の水酸基がウレタン化された酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下「ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」という)から選ばれる樹脂を含むことが好ましく、エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことが特に好ましい。
エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を、多価カルボン酸無水物と反応させることにより、製造することができる。エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらはいずれか1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。なかでも、無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸が好ましく、無水テトラヒドロフタル酸がより好ましい。
エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、クレゾールノボラック骨格含有エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビスフェノールA骨格含有エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビスフェノールF骨格含有エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビフェニル骨格含有酸エステル型変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、及びナフトールアラルキル骨格含有エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる樹脂を含むことが好ましい。
エステル型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、公知の方法で合成することができるが、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、日本化薬社製の「CCR-1373H」(クレゾールノボラック骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、「ZCR-8001H」(ビフェニル骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、「ZCR-1569H」(ビフェニル骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、「CCR-1171H」(クレゾールノボラック骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、「ZCR-1797H」(ビフェニル骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、日本化薬社製の「ZAR-2000」(ビスフェノールA骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、「ZFR-1491H」、「ZFR-1533H」(ビスフェノールF骨格含有酸変性エポキシアクリレート樹脂)、昭和電工社製の「PR-300CP」(クレゾールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂)、日本化薬社製の「CCR-1179」(クレゾールノボラック骨格含有エポキシアクリレート樹脂)等が挙げられる。
ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂を、ジイソシアネート化合物、及びカルボキシ基含有ジオール化合物と反応させることにより、製造することができる。ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N-アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
カルボキシ基含有ジオール化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールノナン酸等が挙げられる。
ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、クレゾールノボラック骨格含有ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビスフェノールA骨格含有ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビスフェノールF骨格含有ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビフェニル骨格含有酸ウレタン型変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、及びナフトールアラルキル骨格含有ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる樹脂を含むことが好ましい。
ウレタン型酸変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、公知の合成法で合成することができるが、市販品を用いてもよい。公知の合成法としては、例えば、特開2016-199719号公報の記載の方法が挙げられる。市販品の具体例としては、日本化薬株式会社製の「UXE-3024」、「UXE-3011」、「UXE-3012」、「UXE-3024」等が挙げられる。
(B)成分の酸価は、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を向上させるという観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは、0.5mgKOH/g以上、さらに好ましくは、1mgKOH/g以上、10mgKOH/g以上、さらにより好ましくは、20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上、特に好ましくは、40mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上である。(B)成分の酸価の上限は、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、さらに好ましくは120mgKOH/g以下、特に好ましくは100mgKOH/g以下である。
(B)成分の重量平均分子量は、好ましくは20000以下、より好ましくは17000以下、さらに好ましくは15000以下であり、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、アルカリ現像性の向上という観点から、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上であり、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以下であり、特に好ましくは40質量%以下である。
(A)エポキシ樹脂に対する(B)成分の質量比((B)成分/(A)成分)は、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1以上であることがさらに好ましい。その上限は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
<(C)分子量が420以上の光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)成分として、(C)分子量が420以上の光重合開始剤を含有する。この(C)成分としての(C)分子量が420以上の光重合開始剤には、上述した(A)成分及び(B)成分に該当するものは含めない。(C)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は分子量が420以上と大きいので、分子量が420未満と小さい光重合開始剤よりも露光時における光を受けやすく、光重合の進行速度が分子量が小さい光重合開始剤よりも速くなる。これにより、光重合が酸素により阻害される前に光重合が進行するので、感光性樹脂組成物の光硬化を速やかに進行させたり、アルカリ現像液に対する溶解性を速やかに低下させたりすることができ、よって、アンダーカット耐性を改善できる。また、アンダーカット耐性を改善できるので、コア層の線幅(ライン)及び間隔(スペース)を小さくでき、よって、微細配線の形成が可能となる。さらに、酸素阻害の影響によってコア層の表面部分で不溶化の程度にばらつきが生じることを抑制できるので、コア層の表面粗さを低くでき、そのため、コア層のラインの表面凹凸が小さく、光伝送損失の小さい光導波路を製造できるようになると考えられる。
(C)成分の分子量としては、微細配線を形成可能であり、アンダーカット耐性に優れるとともに、コアの表面凹凸を少なく光伝送損失の小さい光導波路を製造する観点から、420以上であり、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、700以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下である。
(C)成分としては、分子量が420以上であり、紫外線等の活性光線を吸収する基を有し、効率的に光重合を進行させることができる化合物を用いることができる。このような(C)成分としては、例えば、式(C-1)で表される構造単位を含む化合物であることが好ましい。
Figure 2023160658000002
(式(C-1)中、Rは活性光線吸収基を表し、Rはそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。nは1~10の整数を表す。*は結合手を表す。)
は活性光線吸収基を表す。活性光線吸収基とは、紫外線等の活性光線を吸収できる基である。活性光線吸収基としては、活性光線を吸収することができる官能基であればよく、例えば、アミノケトン骨格を有する基、アントラキノン骨格を有する基、チオキサントン骨格を有する基、ケタール骨格を有する基、ベンゾフェノン骨格を有する基、キサントン骨格を有する基、アセトフェノン骨格を有する基、ベンゾイン骨格を有する基、チオキサントン骨格を有する基、ベンゾエート骨格を有する基等が挙げられる。
活性光線吸収基の具体例としては、下記の基(i)~(vii)が挙げられる。中でも、活性光線吸収基としては、(i)及び(ii)のいずれかが好ましい。式中*は結合手を表す。
Figure 2023160658000003
はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、本発明の効果を顕著に得る観点から、2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。
2価の脂肪族炭化水素基としては、2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキレン基、アルケニレン基等が挙げられ、アルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。アルキレン基としては、炭素原子数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~5のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキレン基がさらに好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられ、メチレン基が好ましい。アルケニレン基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、直鎖状が好ましい。アルケニレン基としては、炭素原子数2~10のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数2~6のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数2~5のアルケニレン基がさらに好ましい。
2価の芳香族炭化水素基としては、アリーレン基、ヘテロアリーレン基等が挙げられる。アリーレン基、ヘテロアリーレン基としては、炭素原子数6~20のアリーレン基又はヘテロアリーレン基が好ましく、炭素原子数6~10のアリーレン基又はヘテロアリーレン基がより好ましい。
2価の炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。
nは1~10の整数を表し、1~8の整数を表すことが好ましく、1~5の整数を表すことがより好ましく、1~3の整数を表すことがさらに好ましい。
(C)成分は、下記一般式(C-2)で表される化合物、及び下記一般式(C-3)で表される化合物のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2023160658000004
(一般式(C-2)中、R11はそれぞれ独立に活性光線吸収基を表し、R12はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、R13はm価の炭化水素基を表す。n1は1~10の整数を表し、mは1~4の整数を表す。
一般式(C-3)中、R21、R23はそれぞれ独立に活性光線吸収基を表し、R22はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。n2は1~10の整数を表す。)
11はそれぞれ独立に活性光線吸収基を表し、式(C-1)中のRが表す活性光線吸収基と同じである。
12はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、式(C-1)中のRが表す2価の炭化水素基と同じである。
13はm価の炭化水素基を表す。m価の炭化水素基としては、m価の脂肪族炭化水素基、m価の芳香族炭化水素基が挙げられ、m価の脂肪族炭化水素基が好ましく、例えばmが3の場合、アルカンから3個の水素原子を除いた3価の基が好ましい。R13が表す基の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2023160658000005
n1は1~10の整数を表し、式(C-1)中のnと同じである。
mは1~4の整数を表し、1~3の整数が好ましく、3がより好ましい。
21及びR23はそれぞれ独立に活性光線吸収基を表し、式(C-1)中のRが表す活性光線吸収基と同じである。
22はそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、式(C-1)中のRが表す2価の炭化水素基と同じである。
(C)成分の具体例としては、以下の化合物をあげることができる。但し、(C)成分はこれら具体例に限定されるものではない。a、b、c、dはそれぞれ1~10の整数を表す。
Figure 2023160658000006
(C)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、IGM社製の「Omnipol910」、「OmnipolTP」、「Omnipol9210」等が挙げられる。
(C)成分の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
(A)エポキシ樹脂に対する(C)成分の質量比((C)成分/(A)成分)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。その上限は、5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
(B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂に対する(C)成分の質量比((C)成分/(B)成分)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。その上限は、5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
感光性樹脂組成物は、(C)成分と組み合わせて、光重合開始助剤として、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類を含んでいてもよい。光重合開始助剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<(D)分子量が420未満の光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、任意成分として、(D)分子量が420未満の光重合開始剤を含有していてもよい。この(D)成分としての(D)分子量が420未満の光重合開始剤には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の分子量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、420未満であり、好ましくは418以下、より好ましくは415以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上である。
(D)成分は、分子量が420未満の光重合開始剤を用いることができる。このような分子量が420未満の光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノケトン系光重合開始剤、ホスフィンオキシド系光重合開始剤、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤等が挙げらる。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1-オン(OXE01)、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート(OXE02)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-ヘキシルフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-エチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルフェニルメチル)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-(9,9-ジブチルフルオレン-2-イル)-2-モルホリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
ホスフィンオキシド系光重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ポリオキシエチレングリセリンエーテルトリス[フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート](Polymeric TPO-L)等が挙げられる。
α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンジルケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
(D)成分は、一実施形態において、本発明の効果を顕著に得る観点から、オキシムエステル系光重合開始剤、及びα-アミノケトン系光重合開始剤のいずれかを含有することが好ましい。
(D)成分は市販品を用いることができる。(D)成分の市販品の具体例としては、IGM社製の「Omnirad907」、「Omnirad369」、「Omnirad379」、「Omnirad379EG」、「Omnirad819」、「OmniradTPO」、BASF社製の「IrgacureTPO」、「IrgacureOXE-01」、「IrgacureOXE-02」、ADEKA社製の「N-1919」等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
(C)成分に対する(D)成分の質量比((D)成分/(C)成分)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上であり、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下、10以下、5以下である。
<(E)光増感剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、任意成分として、(E)光増感剤を含有してもよい。この(E)成分としての(E)光増感剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)光増感剤を含有させることにより、光硬化性を向上させることができる。(E)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)光増感剤の吸収波長の極大値は、300nm~450nmにあることが好ましく、330nm~420nmにあることがより好ましく、350nm~400nmにあることが特に好ましい。
(E)光増感剤の最低励起三重項エネルギー準位は、好ましくは60kcal/mol~70kcal/molであり、より好ましくは60kcal/mol~65kcal/molであり、特に好ましくは60kcal/mol~63kcal/molである。
(E)光増感剤の具体例としては、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チオキサンテン類、アントラキノン類等が挙げられる。(E)光増感剤は、ベンゾフェノン類及びチオキサントン類から選ばれる光増感剤を含むことが好ましい。
ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-メチルベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン類としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、2-イソプロピルチオキサンテン-9-オン、1-イソプロピルチオキサンテン-9-オン、2,4-ジイソプロピルチオキサンテン-9-オン等が挙げられる。
チオキサンテン類としては、例えば、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン等が挙げられる。
アントラキノン類としては、例えば、2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等が挙げられる。
(E)成分は市販品を用いることができる。(E)成分の市販品の具体例としては、日本化薬社製の「DETX-S」、東京化成工業社製の「EAB」等が挙げられる。
(E)光増感剤の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、光硬化性をより向上させる観点から、好ましくは0.0001質量%以上であり、より好ましくは0.0005質量%以上であり、さらに好ましくは0.001質量%以上である。その上限は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1.5質量%以下である。
<(F)平均粒径が100nm以下の無機充填材>
本発明の感光性樹脂組成物は、任意成分として、(F)平均粒径が100nm以下の無機充填材を含有していてもよい。(F)無機充填材は、粒子の状態で感光性樹脂組成物に含まれる。
(F)成分の平均粒径は、露光時の光反射を抑制して優れたコア形成性(解像性)、現像性を得る観点から、100nm以下であり、好ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下である。該平均粒径の上限は、アンダーカット耐性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD-2200」等を使用することができる。
(F)成分の比表面積は、アンダーカット耐性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは3m/g以上、特に好ましくは5m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(F)成分の材料としては、無機化合物を用いる。(F)成分の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(F)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(F)成分は市販品を用いることができる。このような市販品としては、例えば、Y50SZ-AM1等のアドマテックス社製「アドマナノシリーズ」、電気化学工業社製「UFPシリーズ」、堺化学工業社製「Sciqasシリーズ」、日本触媒社製「シーホスターシリーズ」、堺化学工業社製の「BFシリーズ」等が挙げられる。
(F)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、感光性樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(F)成分の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(F)成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
<(G)反応性希釈剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、任意成分として、(G)反応性希釈剤を含有していてもよい。この(G)成分としての(G)反応性希釈剤には、上述した(A)~(F)成分に該当するものは含めない。(G)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)反応性希釈剤を感光性樹脂組成物に含有させることにより、光反応性を向上させることができる。(G)反応性希釈剤としては、例えば、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が使用できる。
代表的な感光性(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのモノまたはジアクリレート類、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミド類、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド若しくはε-カプロラクトンの付加物の多価アクリレート類、フェノキシアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等フェノール類、あるいはそのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテルから誘導されるエポキシアクリレート類、変性エポキシアクリレート類、メラミンアクリレート類、及び/又は上記のアクリレートに対応するメタクリレート類などが挙げられる。これらのなかでも、多価アクリレート類または多価メタクリレート類が好ましく、例えば、3価のアクリレート類またはメタクリレート類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、エチルカルビトールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N,N',N'-テトラキス(β-ヒドロキシエチル)エチルジアミンの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、3価以上のアクリレート類またはメタクリレート類としては、トリ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリ(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、トリ(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、トリ(3-(メタ)アクリロイル-2-ヒドロキシルオキシプロピル)ホスフェート、ジ(3-(メタ)アクリロイル-2-ヒドロキシルオキシプロピル)(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(3-(メタ)アクリロイル-2-ヒドロキシルオキシプロピル)ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等のリン酸トリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これら感光性(メタ)アクリレート化合物はいずれか1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。「EO」とはエチレンオキシドを指す。
(G)反応性希釈剤は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば日本化薬社製の「DPHA」、ダイセルオルネクス社製の「EBECRYL3708」等が挙げられる。
(G)反応性希釈剤は、通常、低い粘度を有する。(G)反応性希釈剤の具体的な粘度は、通常0.5Pa・s未満である。(G)反応性希釈剤の粘度の下限は、特段の制限はなく、例えば、0.001Pa・s以上、0.005Pa・s以上、0.01Pa・s以上などでありうる。(G)反応性希釈剤の粘度は、25±2℃においてE型粘度計を用いて測定しうる。
(G)反応性希釈剤の含有量としては、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、光硬化を促進させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
<(H)溶剤>
感光性樹脂組成物は、上述した(A)~(G)成分といった不揮発成分に組み合わせて、揮発成分としての(H)溶剤を含んでいてもよい。(H)成分としての(H)溶剤によれば、感光性樹脂組成物の粘度を調整できる。(H)溶剤としては、例えば、有機溶剤が挙げられる。
(H)溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶剤;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル溶剤;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶剤;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。(H)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(H)溶剤の量は、感光性樹脂組成物の塗布性の観点から、適切に調整することが好ましい。
<(I)任意の添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した(A)~(H)成分に組み合わせて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、更に任意の成分として(I)任意の添加剤を含んでいてもよい。この(I)任意の添加剤には、上述した(A)~(H)成分に該当するものは含めない。(I)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(I)任意の添加剤の例としては、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、離型剤、表面処理剤、分散剤、表面改質剤、安定剤、などが挙げられる。
感光性樹脂組成物は、必須成分として上記(A)~(C)成分を混合し、任意成分として上記(D)~(I)成分を適宜混合し、また、必要に応じて三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー、高速回転ミキサー等の撹拌手段により混練または撹拌することにより、樹脂ワニスとして製造することができる。
<感光性樹脂組成物の物性、用途>
感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分を組み合わせて含有するのでコア形成性に優れるという特性を示す。具体的には感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってライン層を形成した場合、最小微細形成幅の小さいライン層を形成することができる。例えば、感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってL/S(ライン/スペース)が10μm/10μm、5μm/5μm、及び3μm/3μmのライン層を形成する。この場合、いずれのライン層においても、ライン層のアスペクト比を、好ましくは0.6以上、より好ましくは1以上にできる。ここで、L/SにおいてL(ライン)はライン層の幅を表し、S(スペース)はライン間の間隔を表す。また、ライン層のアスペクト比は、ライン層の「層厚み/ライン幅」で表される比を表す。このように優れたコア形成性を有する感光性樹脂組成物によれば、幅及び間隔の小さいコア層を形成することができ、光導波路の微細化を達成できる。最小微細形成幅の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分を組み合わせて含有するのでコア形成性に優れるという特性を示す。具体的には感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってライン層を形成した場合、アンダーカットの発生が抑制されたライン層を形成することができる。詳細は、ライン層断面の最上部の幅とライン層断面の底部の幅との差が小さい、もしくは差がない形状のライン層を形成できる。具体的には、感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってL/S(ライン/スペース)が10μm/10μm、5μm/5μm、及び3μm/3μmのライン層を形成し、ライン層をSEMにより測定する。最上部の幅と底部の幅との差(最上部の幅-底部の幅)を求める。その結果、好ましくは2μm未満、より好ましくはアンダーカットがない(0μm)。アンダーカットの評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分を組み合わせて含有するのでライン層表面の凹凸形成が抑制されるという特性を示す。具体的には感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってライン層を形成した場合、ライン層表面の凹凸形成が抑制される。例えば、感光性樹脂組成物に露光及び現像を行ってL/S(ライン/スペース)が10μm/10μm、5μm/5μm、及び3μm/3μmのライン層を形成する。この場合、いずれのライン層においても、ライン層表面に凹凸がない。このように表面凹凸の発生が抑制された感光性樹脂組成物によれば、表面に凹凸のないコア層を形成することができ、光伝送損失を低減できる。表面凹凸の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分を組み合わせて含有するので光伝送損失を低減できるという特性を示す。具体的には、クラッド層及び感光性樹脂組成物を用いて形成したコア層を有する試験用基板を作製する。この試験用基板を用いて光伝送損失を測定する。このとき、光伝送損失は好ましくは2dB/cm未満、より好ましくは1dB/cm未満である。下限は特に制限されないが、0dB/cm以上、0.1dB/cm以上などとし得る。光伝送損失は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、光を照射されていない非露光部を現像液によって除去されることができる。特に、本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像液としての炭酸ナトリウムによって良好に除去されることができる。よって、本発明の感光性樹脂組成物は、炭酸ナトリウム現像用として好適に用いることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物はコア形成性に優れ、表面凹凸の発生を抑制することができ、光伝送損失を低減できるので、光導波路のコア層の形成用の感光性樹脂組成物として好適に用いることができる。よって、本発明の感光性樹脂組成物は光導波路のコア層製造用(光導波路のコア層形成用の感光性樹脂組成物)、波長1300nm~1320nmの光を伝送可能な光導波路の形成用(波長1300nm~1320nmの光を伝送可能な光導波路の形成用途の感光性樹脂組成物)として好適に使用することができる。本発明の感光樹脂組成物は、シングルモードの光導波路の形成のために用いることが好ましく、例えば、波長1310nmの光に対してシングルモードの光導波路の形成のために用いることが好ましい。
[樹脂シート]
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物層が支持体上に層形成された樹脂シートの形態で好適に使用することができる。つまり、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の感光性樹脂組成物で形成された感光性樹脂組成物層を含む。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルアセテートフィルム等が挙げられ、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
市販の支持体としては、例えば、王子製紙社製の製品名「アルファンMA-410」、「E-200C」、信越フィルム社製等のポリプロピレンフィルム、帝人社製の製品名「PS-25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるが、これらに限られたものではない。これらの支持体は、感光性樹脂組成物層の除去を容易にするため、シリコーンコート剤のような剥離剤を表面に塗布してあるのがよい。支持体の厚さは、5μm~50μmの範囲であることが好ましく、10μm~25μmの範囲であることがより好ましい。厚さを5μm以上とすることで、現像前に行う支持体剥離の際に支持体が破れることを抑制することができ、厚さを50μm以下とすることで、支持体上から露光する際の解像度を向上させることができる。また、低フィッシュアイの支持体が好ましい。ここでフィッシュアイとは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
また、紫外線等の活性光線による露光時の光の散乱を低減するため、支持体は透明性に優れるものが好ましい。支持体は、具体的には、透明性の指標となる濁度(JIS-K6714で規格化されているヘーズ)が0.1~5であるものが好ましい。さらに感光性樹脂組成物層は保護フィルムで保護されていてもよい。
樹脂シートの感光性樹脂組成物層側を保護フィルムで保護することにより、感光性樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては上記の支持体と同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1μm~40μmの範囲であることが好ましく、5μm~30μmの範囲であることがより好ましく、10μm~30μmの範囲であることが更に好ましい。厚さを1μm以上とすることで、保護フィルムの取り扱い性を向上させることができ、40μm以下とすることで廉価性がよくなる傾向にある。なお、保護フィルムは、感光性樹脂組成物層と支持体との接着力に対して、感光性樹脂組成物層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
樹脂シートは、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体上にこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成することにより製造することができる。具体的には、まず、真空脱泡法等で感光性樹脂組成物中の泡を完全に除去した後、感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、熱風炉あるいは遠赤外線炉により溶剤を除去し、乾燥せしめ、ついで必要に応じて得られた感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを積層することにより樹脂シートを製造することができる。具体的な乾燥条件は、感光性樹脂組成物の硬化性や樹脂ワニス中の有機溶剤量によっても異なるが、30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスにおいては、80℃~120℃で3分間~13分間で乾燥させることができる。感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、感光性樹脂組成物層の総量に対して5質量%以下とすることが好ましく、2質量%以下とすることがより好ましい。当業者は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
感光性樹脂組成物層の厚さは、取り扱い性を向上させ、かつ感光性樹脂組成物層内部の感度及び解像度が低下するのを抑制するという観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
感光性樹脂組成物の塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式、ディップコート方式等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよく、また異なる方式を複数組み合わせて塗布してもよい。中でも、均一塗工性に優れる、ダイコート方式が好ましい。また、異物混入等をさけるために、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で塗布工程を実施することが好ましい。
[感光性樹脂組成物セット]
本発明の感光性樹脂組成物は、光導波路のコア層の形成用の感光性樹脂組成物として好適に用いることができる。よって、感光性樹脂組成物セットは、本発明の感光性樹脂組成物と、クラッド用感光性樹脂組成物とを含む。感光性樹脂組成物セットは、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物を含むコア層と、クラッド用感光性樹脂組成物の硬化物を含むクラッド層とを備える光導波路の製造用に用いることができる。クラッド用感光性樹脂組成物は、公知の感光性樹脂組成物を用いることができる。本発明の感光性樹脂組成物及びクラッド用感光性樹脂組成物はともに感光性の樹脂組成物であるので、通常は、露光及び現像を含む方法により、微細な光導波路を効率よく製造することが可能である。
[光導波路]
上述した感光性樹脂組成物、樹脂シート、及び感光性樹脂組成物セットは、光導波路の製造に用いることができる。以下、その光導波路の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光導波路10を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、光導波路10は、コア層100及びクラッド層200を備える。コア層100は、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは本発明の感光性樹脂組成物の硬化物のみを含む。また、クラッド層200は、クラッド用樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくはクラッド用樹脂組成物の硬化物のみを含む。クラッド用樹脂組成物としては、本発明の感光性樹脂組成物の硬化物よりも低い屈折率を有する硬化物を得られる樹脂組成物を用いることができる。クラッド用樹脂組成物としては、光硬化性樹脂組成物を用いてもよく、熱硬化性樹脂組成物を用いてもよい。
コア層100は、クラッド層200中に設けられる。よって、コア層100は、クラッド層200に覆われる。通常は、コア層100の全周面が、クラッド層200に覆われる。コア層100とクラッド層200とは、間に他の層を介することなく直接に接しており、よって、コア層100とクラッド層200との間には界面100Iが形成されうる。通常、コア層100はクラッド層200よりも高い屈折率を有し、そのため、光(図示せず。)は、コア層100の一端(入射側の端)100Aから他端(出射側の端)100Bまでコア層100内を伝送されることができる。
光導波路10が伝送可能な光の波長は、さまざまに選択しうる。例を挙げると、伝送される光の好ましい波長の範囲は、840nm~860nm(例えば、850nm)、1300nm~1320nm(例えば、1310nm)、1540nm~1560nm(例えば、1550nm)などでありうる。中でも、光伝送路10を伝送される光の波長の範囲は、1300nm~1320nmが好ましい。
光導波路10は、シングルモードの光導波路であってもよく、マルチモードの光導波路であってもよいが、シングルモードの光導波路であることが好ましい。中でも、光導波路10は、前記の好ましい波長の範囲の光に対するシングルモードの光導波路であることが好ましい。例えば、光導波路10は、1310nmの光に対するシングルモードの光導波路であることが好ましい。
コア層100の幅Lは、光の伝送が可能な範囲で適切に設定することが望ましい。具体的なコア層100の線幅Lの範囲は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下であり、10μm以下又は5μm以下であってもよい。コア層100の幅Lは、厚み方向から見た場合のコア層100の線幅(ライン)に相当する。
コア層100の間隔Sは、光の伝送が可能な範囲で適切に設定することが望ましい。具体的なコア層100の間隔Sの範囲は、好ましくは50μm以上、より好ましくは70μm以上、特に好ましくは100μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。コア層100の間隔Sは、厚み方向から見たコア層の間隔(スペース)に相当する。
コア層100の厚みTは、光の伝送が可能な範囲で適切に設定することが望ましい。具体的なコア層100の厚みTの範囲は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下であり、10μm以下であってもよい。
クラッド層200の厚みは、通常、コア層100の厚みよりも大きい。クラッド層200の具体的な厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
光導波路10は、必要に応じて、コア層100及びクラッド層200以外の任意の要素を備えていてもよい。例えば、光導波路10は、基材300を備えていてもよい。基材300を備える光導波路10では、通常、基材300上にクラッド層200が設けられ、そのクラッド層200内にコア層100が設けられている。
基材300としては、ガラス基板、金属基板、セラミックス基板、ウエハ、回路基板等の硬質の基板を用いてもよい。ウエハとしては、例えば、シリコンウエハ、ガリウムヒ素(GaAs)ウエハ、インジウムリン(InP)ウエハ、ガリウムリン(GaP)ウエハ、ガリウムナイトライド(GaN)ウエハ、ガリウムテルル(GaTe)ウエハ、亜鉛セレン(ZnSe)ウエハ、シリコンカーバイド(SiC)ウエハ等の半導体ウエハを用いてもよく、疑似ウエハを用いてもよい。疑似ウエハとしては、例えば、モールド樹脂と、そのモールド樹脂に埋め込まれた電子部品とを備える板状部材を用いうる。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。さらに、基板300としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエステル等のプラスチック材料で形成されたフィルムを用いてもよい。さらに、フレキシブル回路基板を基板300として採用してもよい。
また、光導波路10は、任意の要素として、コア層100及びクラッド層200を保護する保護層(図示せず。)を備えていてもよい。保護層は、例えば、クラッド層200の基材300とは反対側の面を覆うように設けてもよい。
光導波路10は、上述したように、小さい伝送損失を有することができる。また、光導波路10は、優れたコア形成性を有し、表面凹凸の発生が抑制可能なコア用樹脂組成物及びクラッド用樹脂組成物を用いて形成できるので、コア層の微細配線化が可能であり、前記のように小さい線幅Lで形成することが可能である。
光導波路10は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて製造できる。例えば、光導波路10は、
クラッド用樹脂組成物を含む第一組成物層を形成する工程(I)と、
第一組成物層を硬化させる工程(II)と、
第一組成物層上に、本発明の感光性樹脂組成物を含む第二組成物層を形成する工程(III)と、
第二組成物層に露光処理を施す工程(IV)と、
第二組成物層に現像処理を施す工程(V)と、
第二組成物層を硬化させる工程(VI)と、
第二組成物層上に、クラッド用樹脂組成物を含む第三組成物層を形成する工程(VII)と、
第三組成物層を硬化させる工程(VIII)と、
をこの順に含む方法によって、製造できる。
図2は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(I)を説明するための模式的な断面図である。図2に示すように、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、クラッド用感光性樹脂組成物を含む第一組成物層210を形成する工程(I)を含む。本実施形態では、基材300上に第一組成物層210を形成する例を示して説明する。
第一組成物層210の形成方法に特に制限は無い。例えば、クラッド用樹脂組成物を基材300上に塗布することにより、第一組成物層210を形成してもよい。塗布を円滑に行う観点から、溶剤を含むワニス状のクラッド用樹脂組成物を用意し、そのワニス状のクラッド用樹脂組成物を塗布してもよい。
塗布方式としては、例えば、グラビアコート方式、マイクログラビアコート方式、リバースコート方式、キスリバースコート方式、ダイコート方式、スロットダイ方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、チャンバーグラビアコート方式、スロットオリフィス方式、スピンコート方式、スリットコート方式、スプレーコート方式、ディップコート方式、ホットメルトコート方式、バーコート方式、アプリケーター方式、エアナイフコート方式、カーテンフローコート方式、オフセット印刷方式、刷毛塗り方式、スクリーン印刷方式などが挙げられる。
クラッド用樹脂組成物は、1回で塗布してもよく、複数回に分けて塗布してもよい。また、異なる塗布方式を組み合わせて実施してもよい。異物混入を避けるために、塗布は、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で実施することが好ましい。
クラッド用樹脂組成物の塗布の後、必要に応じて、第一組成物層210の乾燥を行ってもよい。乾燥は、熱風炉、遠赤外線炉等の乾燥装置によって行いうる。乾燥条件は、クラッド用樹脂組成物の組成に応じて適切に設定することが好ましい。具体例を挙げると、乾燥温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、特に好ましくは120℃以下である。また、乾燥時間は、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、特に好ましくは120秒以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは20分以下、特に好ましくは5分以下である。
第一組成物層210の形成は、例えば、支持体及びクラッド用感光性樹脂組成物からなるクラッド用感光性樹脂組成物層を含むクラッド用樹脂シートを用いて行ってもよい。具体例を挙げると、クラッド用樹脂シートのクラッド用感光性樹脂組成物層を基材300にラミネートすることにより、基材300上に第一組成物層210を形成できる。ラミネートは、通常、樹脂シートのクラッド用感光性樹脂組成物層を加熱しながら基材300に圧着することによって行われる。このラミネートは、真空ラミネート法により、減圧下で行うことが好ましい。また、ラミネートの前に、必要に応じて、樹脂シート及び基材を加熱するプレヒート処理を行ってもよい。
ラミネートの条件は、例えば、圧着温度(ラミネート温度)70℃~140℃、圧着圧力1kgf/cm~11kgf/cm(9.8×10N/m~107.9×10N/m)、圧着時間5秒間~300秒間の条件で行うことができる。また、ラミネートは、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下とした減圧下で行うことが好ましい。ラミネートは、バッチ式で行ってもよく、ロールを用いて連続式で行ってもよい。
真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ社製バキュームアップリケーター、名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、日立インダストリイズ社製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー社製真空ラミネーター等を挙げることができる。
支持体を備えるクラッド用樹脂シートを用いて第一組成物層210を形成した場合、通常は、工程(III)より前の適切な時期に支持体を剥離する。
工程(I)において基材300上に形成される第一組成物層210は、通常はクラッド用樹脂組成物を含み、好ましくはクラッド用樹脂組成物のみを含む。
本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(I)の後で、第一組成物層210を硬化させる工程(II)を含む。この工程(II)は、例えば、第一組成物層210を熱処理してもよい。熱処理の条件は、クラッド用脂組成物中の樹脂成分の種類及び量に応じて選択してもよく、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲でありうる。熱処理は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行うことが好ましい。
また、第一組成物層210の硬化は、露光処理によって行ってもよい。一例において、具体的な露光量の範囲は、好ましくは10mJ/cm以上、より好ましくは50mJ/cm以上、特に好ましくは200mJ/cm以上であり、好ましくは10,000mJ/cm以下、より好ましくは8,000mJ/cm以下、更に好ましくは4,000mJ/cm以下、特に好ましくは1,000mJ/cm以下である。また、露光処理と熱処理とを組み合わせて、第一組成物層210を硬化させてもよい。
図3は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(II)を説明するための模式的な断面図である。工程(II)で第一組成物層210を硬化させることにより、図3に示すように、基材300上に硬化した第一組成物層220が得られる。この硬化した第一組成物層220は、クラッド層200の一部を形成するものであり、以下、「下層クラッド層」220ということがある。
図4は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(III)を説明するための模式的な断面図である。本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(II)の後で、図4に示すように、硬化した第一組成物層としての下層クラッド層220上に、本発明の感光性樹脂組成物を含む第二組成物層110を形成する工程(III)を含む。
第二組成物層110の形成方法に特に制限は無い。例えば、本発明の感光性樹脂組成物を下層クラッド層220上に塗布することにより、第二組成物層110を形成してもよい。塗布を円滑に行う観点から、溶剤を含むワニス状の感光性樹脂組成物を用意し、そのワニス状の感光性樹脂組成物を塗布してもよい。本発明の感光性樹脂組成物の塗布は、クラッド用樹脂組成物の塗布と同様に行いうる。また、本発明の感光性樹脂組成物の塗布の後、必要に応じて、第二組成物層110の乾燥を行ってもよい。第二組成物層110の乾燥は、第一組成物層210の乾燥と同じ方法及び条件を採用しうる。
第二組成物層110の形成は、例えば、樹脂シートを用いて行ってもよい。具体例を挙げると、樹脂シートの感光性樹脂組成物層を下層クラッド層220にラミネートすることにより、下層クラッド層220上に第二組成物層110を形成できる。樹脂シートのラミネートは、クラッド用樹脂シートのラミネートと同様に行いうる。また、樹脂シートの支持体は、工程(V)より前の適切な時期に剥離する。
工程(III)において下層クラッド層220上に形成される第二組成物層110は、通常は本発明の感光性樹脂組成物を含み、好ましくは本発明の感光性樹脂組成物のみを含む。
図5は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(IV)を説明するための模式的な断面図である。本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、図5に示すように、工程(III)の後で、第二組成物層110に露光処理を施す工程(IV)を含む。
工程(V)では、露光処理により、第二組成物層110に潜像を形成する。具体的には、露光処理では、第二組成物層110の特定の部分に選択的に光Pを照射する。よって、露光処理を施されると、第二組成物層110には、光を照射された露光部111と、光を照射されていない非露光部112とが設けられる。通常、コア用樹脂組成物はネガ型の感光性樹脂組成物として機能するので、露光部111によって、コア層に対応する潜像が形成される。
選択的な露光を行う観点から、工程(V)での露光処理は、通常、マスク400を用いて行われる。具体的には、この露光処理では、透光部410及び遮光部420を備えるマスク400を介して、光Pを第二組成物層110に照射する。光Pは、透光部410を透過して露光部111へ入射するが、遮光部420を透過できないので非露光部112へは入射できない。よって、透光部410及び遮光部420に対応した露光部111及び非露光部112を第二組成物層110に設けることができる。マスク400は、図5に示すように第二組成物層110に密着させてもよく(接触露光法)、密着させずに平行光線を使用して露光を行ってもよい(非接触露光法)。
一般に、マスク400の透光部410は、光導波路のコア層に対応した平面形状を有するように形成される。よって、マスク400の遮光部420は、光導波路のコア層が無い部分に対応した平面形状を有するように形成される。「平面形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。コア層に対応した平面形状に形成された透光部410を、以下「マスクパターン」ということがある。
工程(V)での露光処理において用いる光Pとしては、本発明の感光性樹脂組成物の組成に応じた適切な活性光線を用いることが好ましい。活性光線の波長は、通常190nm~1000nm、好ましくは240nm~550nmであるが、これ以外の波長の光線を用いてもよい。活性光源の具体例としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。光Pの露光量は、工程(VII)での硬化後に所望のコア層を形成できるように設定することが好ましい。一例において、工程(V)での具体的な露光量の範囲は、好ましくは10mJ/cm以上、より好ましくは50mJ/cm以上、特に好ましくは200mJ/cm以上であり、好ましくは10,000mJ/cm以下、より好ましくは8,000mJ/cm以下、更に好ましくは4,000mJ/cm以下、特に好ましくは1,000mJ/cm以下である。
本発明の樹脂シートを用いて第二組成物層110を形成した場合、工程(IV)において、第二組成物層110上に支持体(図示せず。)が存在していることがありうる。第二組成物層110上に支持体が存在している場合、その支持体を通して露光を行ってもよく、支持体を剥離した後で露光を行ってもよい。
本発明の感光性樹脂組成物はネガ型の感光性樹脂組成物として機能するので、露光部111では現像液に対する溶解性が低下する。他方、非露光部112では現像液に対する溶解性は高い。この露光部111と非露光部112との溶解性の差を利用して、この後の工程(VI)による現像処理が行われる。
本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(IV)の後、工程(V)の前に、第二組成物層110を硬化させる観点から、第二組成物層110を加熱する工程(IX)を含んでいてもよい。工程(IX)により、現像液に対する露光部111の溶解性を速やかに低下させることができる。工程(IX)での加熱は、ホットプレートで行ってもよいし、オーブンで行ってもよい。加熱温度は、例えば、40℃以上110℃以下でありうる。また、加熱時間は、例えば、30秒以上60分以下でありうる。
図6は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(V)を説明するための模式的な断面図である。本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(IV)の後に、第二組成物層110に現像処理を施す工程(V)を含む。現像処理によれば、工程(IV)で形成された潜像を現像することができる。本発明の感光性樹脂組成物がネガ型の感光性樹脂組成物として機能するので、図6に示すように、現像処理によって露光部111は除去されない一方で、非露光部112(図5参照)が除去される。現像後に残る第二組成物層110の露光部111は、工程(IV)で用いたマスク400の透光部410(図5参照)のマスクパターンと同じ平面形状を有しうる。
現像方法は、通常、第二組成物層110と現像液とを接触させるウエット現像法を行う。現像液としては、通常、アルカリ性水溶液を用いる。
現像液としてのアルカリ性水溶液としては、例えば、アルカリ金属化合物の水溶液が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の、アルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の、アルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等の、アルカリ金属ピロリン酸塩、などが挙げられる。また、アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の、金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩が好ましく、炭酸ナトリウムがよりこのましい。
現像液は、必要に応じて、現像作用の向上のために、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
現像時間は、10秒~5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、好ましくは20℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
現像方式としては、例えば、パドル法、スプレー法、浸漬法、ブラッシング法、スラッピング法、超音波法等が挙げられる。中でも、スプレー法が解像度向上のためには好適である。スプレー法を採用する場合のスプレー圧としては、0.05MPa~0.3MPaが好ましい。
現像液を用いた現像後、更に、第二組成物層110のリンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、コア用樹脂組成物に含まれるのと同じ種類の溶剤又は水を用いて、リンスしてもよい。リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
また、現像液を用いた現像後、現像により除去しきれない非露光部を除去するためにデスミア処理を行ってもよい。デスミア処理はプリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(V)の後に、第二組成物層110を硬化させる工程(VI)を含む。この工程(VI)は、通常、第二組成物層110を熱処理することを含む。熱処理の条件は、本発明の感光性樹脂組成物中の樹脂成分の種類及び量に応じて選択してもよい。例えば、工程(VI)での熱処理の条件は、工程(II)での第一組成物層210への熱処理と同じ条件でありうる。
図7は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VI)を説明するための模式的な断面図である。工程(VI)で第二組成物層110を硬化させることにより、図7に示すように、下層クラッド層220上に、硬化した第二組成物層としてのコア層100が得られる。
図8は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VII)を説明するための模式的な断面図である。図8に示すように、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(VI)の後に、コア層100上にクラッド用樹脂組成物を含む第三組成物層230を形成する工程(VII)を含む。第三組成物層230は、通常、コア層100の周面のうち、下層クラッド層220に接していない面の全体を覆うように形成される。よって、第三組成物層230は、コア層100を覆うように形成されるとともに、下層クラッド層220上にも形成される。
第三組成物層230の形成方法に特に制限は無い。例えば、クラッド用樹脂組成物をコア層100上(及び、必要に応じて下層クラッド層220上)に塗布することにより、第三組成物層230を形成してもよい。第三組成物層230を形成するためのクラッド用樹脂組成物の塗布は、第一組成物層210を形成するためのクラッド用樹脂組成物の塗布と同様に行いうる。また、クラッド用樹脂組成物の塗布の後、必要に応じて、第三組成物層230の乾燥を行ってもよい。第三組成物層230の乾燥は、第一組成物層210の乾燥と同じ方法及び条件を採用しうる。
第三組成物層230の形成は、例えば、クラッド用樹脂シートを用いて行ってもよい。具体例を挙げると、クラッド用樹脂シートの感光性樹脂組成物層をコア層100(及び、必要に応じて下層クラッド層220)にラミネートすることにより、コア層100上に第三組成物層230を形成できる。第三組成物層230を形成するためのクラッド用樹脂シートのラミネートは、第一組成物層210を形成するためのクラッド用樹脂シートのラミネートと同様に行いうる。支持体を備えるクラッド用樹脂シートを用いて第三組成物層230を形成した場合、支持体は、任意の工程で剥離してもよい。
工程(VII)においてコア層100上に形成される第三組成物層230は、通常はクラッド用樹脂組成物を含み、好ましくはクラッド用樹脂組成物のみを含む。
本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法は、工程(VII)の後で、第三組成物層230を硬化させる工程(VIII)を含む。この工程(VIII)における第三樹脂組成物層230の効果は、通常、第一組成物層210の硬化と同様に行いうる。
図9は、本発明の一実施形態に係る光導波路の製造方法の工程(VIII)を説明するための模式的な断面図である。工程(VIII)で第三組成物層230を硬化させることにより、図9に示すように、コア層100上に硬化した第三組成物層240が得られる。この硬化した第三組成物層240は、クラッド層200の一部を形成するものであり、以下、「上層クラッド層」240ということがある。そして、この上層クラッド層240と下層クラッド層220とから、クラッド層200が形成される。したがって、下層クラッド層220及び上層クラッド層240を含むクラッド層200と、このクラッド層200内に設けられたコア層100とを備える光導波路10を得ることができる。
光導波路10の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
光導波路10の製造方法は、例えば、保護層(図示せず。)を形成する工程を含んでいてもよい。また、光導波路10の製造方法は、例えば、製造した光導波路10をダイシングする工程を含んでいてもよい。
光導波路10の製造方法は、上述した工程を繰り返し行ってもよい。例えば、工程(I)~(XI)を繰り返し行って、基材300上に、厚み方向においてコア層とクラッド層とを交互に備える多層構造の光導波路を製造してもよい。
[光電気混載基板]
本発明の一実施形態に係る光電気混載基板は、上述した光導波路を備える。通常、光電気混載基板は、光導波路と、電気回路基板とを備える。電気回路基板は、電子部品と、当該電子部品に接続された配線とを備えうる。電子部品としては、例えば、コンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動部品;半導体チップ等の能動部品;等が挙げられる。そして、光導波路と電気回路基板の配線とは、光電変換素子を介して接続されうる。光電変換素子は、電気を光に変換可能な発光素子(例えば、面発光型発光ダイオード)、及び、光を電気に変換可能な受光素子(例えば、フォトダイオード)を組み合わせて含みうる。さらに、光電気混載基板は、光路調整のためにミラー等の光学素子を備えていてもよい。
好ましい光電気混載基板の例としては、シリコンウエハに光集積回路を形成したチップを備えるものが挙げられる。このチップは、シリコンフォトニクスを用いた早期の実用化が期待されており、例えば半導体パッケージへの実装が予想される。このチップを備える光電気混載基板は、例えば、電気回路基板と、当該電気回路基板に実装されたチップと、光導波路とを備える。光導波路は、電気回路基板の配線とチップとを接続したり、複数のチップ間を接続したりするために用いうる。
シリコンフォトニクスで製造されるチップでは、一般に、1310nm及び1550nmの波長の光が使用されることが多く、特に1310nmが主流である(吉田翔、菅沼大輔、石榑崇明、「Mosquito法によるシングルモードポリマー導波路の作製と低損失化」、第28回エレクトロニクス実装学会春季講演大会、2014年)。よって、光導波路は、1310nm及び1550nm又はそれに近い波長の光の伝送が可能であることが好ましく、例えば波長1300nm~1320nmの光を伝送可能であることが好ましい。上述した実施形態に係る光導波路によれば、これらの波長の光の伝送が可能である。
一般に、シングルモードとマルチモードとでは、シングルモードの方が速い伝送を達成できる。よって、高速伝送の観点からは、光電気混載回路に適用する光導波路として、シングルモードの光導波路が好ましい。シングルモードの光導波路では、コア層の幅は小さいことが好ましい。例えば、10μm以下、又は5μm以下の幅のコア層を形成することが好ましい。また、このように幅が小さいコア層を備える光導波路は、光導波路を半導体パッケージに適用する場合に、パッケージのデザインの自由度を高める観点からも、好ましい。上述した実施形態に係る光導波路によれば、コア層の幅を前記のように小さくすることが可能である。
他方、複数の光電気混載基板を接続する場合、それらの基板は、光ファイバーを介して接続されることがありうる。例えば、ラックに複数の光電気混載基板を設置し、それら光電気混載基板同士を光ファイバーで接続することがありうる。このように基板間を接続する光ファイバーは、マルチモードが主流である。そこで、その光ファイバーとの接続を可能にする観点では、光電気混載基板に設ける光導波路として、マルチモードの光導波路を採用してもよい。
汎用性を高める観点では、光導波路は、シングルモード及びマルチモードのいずれにも適用可能であることが望ましい。更には、それら光導波路のコア層の最小幅を小さくして、コア層の線幅の自由度を高めることが望ましい。上述した実施形態に係る光導波路によれば、コアに本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、微細配線を形成できるとともにコアの表面凹凸の発生を抑制することができるので、コア層の最小幅を小さくできる。また、上述した実施形態に係る光導波路によれば、シングルモード及びマルチモードのいずれの光導波路も得ることができる。よって、上述した実施形態に係る光導波路は、広範な範囲に適用が可能である。そして、そのように広範な範囲に適用可能でありながら、光の伝送損失を抑制できるので、上述した実施形態に係る光導波路は、光電気混載基板に適用するのに好適である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧(23℃1気圧)大気中で行った。
<合成例1:カルボキシル基を含有する樹脂の合成>
エポキシ当量が330g/eq.のナフトールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂(「ESN-475V」、日鉄ケミカル&マテリアル社製)325部を、ガス導入管、撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート340部を加え、加熱溶解し、ハイドロキノン0.46部と、トリフェニルホスフィン1部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物80部を加え、8時間反応させ、冷却させた。溶剤量を調整し、固形物の酸価が60mgKOH/gの樹脂溶液(不揮発分70%)を得た。重量平均分子量は1000であった。
<製造例1:クラッド用樹脂組成物の製造>
合成例1で得られたナフトールアラルキル骨格含有エステル型酸変性エポキシアクリレート樹脂(不揮発分率70%)25部、ナフトールアラルキル骨格エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」、エポキシ当量約330g/eq.)10部、光重合開始剤(IGM社製「Omnipol910」)1.3部、反応性希釈剤(日本化薬社製「DPHA」、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)10部、及びアミノ系シランカップリング剤で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「Y50SZ-AM1」、比表面積60m/g、平均粒径0.05μm、固形分率50%)30部を、メチルエチルケトン10部を混合し、高速回転ミキサーを用いてワニス状の樹脂組成物を調製した。
<実施例1:感光性樹脂組成物の製造>
合成例1で得られたナフトールアラルキル骨格含有エステル型酸変性エポキシアクリレート樹脂(不揮発分率70%)25部、ナフトールアラルキル骨格エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」、エポキシ当量約330g/eq.)10部、光重合開始剤(IGM社製「Omnipol910」)1.3部、反応性希釈剤(日本化薬社製「DPHA」、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)10部、メチルエチルケトン10部を混合し、高速回転ミキサーを用いてワニス状の樹脂組成物を調製した。
<実施例2~9、比較例1~2:感光性樹脂組成物の製造>
下記表に示す配合組成で各成分を混合した以外は実施例1と同様にしてワニス状の樹脂組成物を調製した。なお、表中、各成分の配合量は質量部を意味し、実際に使用量表示である。
Figure 2023160658000007
表中の略語等は以下のとおりである。
(A)成分
・ESN-475V:ナフトールアラルキル骨格エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」、エポキシ当量約330g/eq.)
・HP-4710:ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4710」、エポキシ当量170g/eq.)
・NC3000H:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、エポキシ当量290g/eq.)
(B)成分
・合成例1:合成例1で合成したカルボキシル基を含有する樹脂、不揮発分70%
(C)成分
・Omnipol910:下記構造で表される化合物(IGM社製、分子量は850以上)式中、dは1~10の整数を表す。
Figure 2023160658000008
・OmnipolTP:下記構造で表される化合物(IGM社製、分子量は900以上)式中、a、b、cはそれぞれ1~10の整数を表す。
Figure 2023160658000009
(D)成分
・Omnirad379EG:下記構造で表される化合物(IGM社製、分子量は380.5、2-dimethylamino-2-(4-methyl-benzyl)-1-(4-morpholin-4-yl-phenyl)-butan-1-one、CAS 119344-86-4)
Figure 2023160658000010
・Irgacure OXE-02:下記構造で表される化合物(BASF社製、分子量は412.5、ethanone, 1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazol-3-yl]-, 1-(o-acetyloxime))
Figure 2023160658000011
・Omnirad 819:下記構造で表される化合物(IGM社製、分子量は418.5、Bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phenylphosphine oxide)
Figure 2023160658000012
(E)成分
・DETX-S:日本化薬社製、2,4-Diethylthioxanthen-9-one
・EAB:東京化成工業社製、4,4’-Bis(diethylamino)benzophenone
(F)成分
・Y50SZ-AM1:アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「Y50SZ-AM1」、比表面積60m/g、平均粒径0.05μm、固形分率50%)
(G)成分
・DPHA:日本化薬社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(H)成分
・MEK:メチルエチルケトン
<樹脂シートの製造>
上述した製造例1、実施例1~9、及び比較例1~2で製造した感光性樹脂組成物を用いて、異なる厚みを有する感光性樹脂組成物層を備えた複数の樹脂シートを、下記の方法で製造した。
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーT6AM」、厚み38μm、軟化点130℃、)を用意した。感光性樹脂組成物を、かかる支持体に、乾燥後の感光性樹脂組成物層の厚みが5μm、10μm、又は20μmになるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、80℃から110℃(最高温度110℃)で6分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した。次に、カバーフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス社製「MA-411」)を感光性樹脂組成物層の表面に配置し、80℃でラミネートすることにより、支持体/感光性樹脂組成物層/カバーフィルムの三層構成の樹脂シートを製造した。
[コア形成性の評価]
厚さ18μmの銅層を備えるガラスエポキシ基板(銅張積層板)の銅層に対して、有機酸を含む表面処理剤(CZ8100、メック社製)による粗化処理を行って、基板を用意した。製造例1にて調製した樹脂組成物を用いて製造した、感光性樹脂組成物層の厚みが5μmの樹脂シートを先の基板に80℃でラミネートし、支持体を剥離して、感光性樹脂組成物層を形成した。その後、投影露光装置(ウシオ電機社製「UFX-2240」)を用いて、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が8段となる露光エネルギーで紫外線露光を行った。石英ガラスマスクは露光パターンの無いものを使用した。室温にて30分間静置した後、支持体を剥がし取った。感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて1分間スプレー現像を行った。スプレー現像後、2J/cmの紫外線照射を行い、さらに170℃、1時間の加熱処理を窒素雰囲気で行うことにより、銅張積層板に下層クラッド層を形成した。
上述した各実施例及び比較例で製造した感光性樹脂組成物を用いて製造した、厚み10μmの感光性樹脂組成物層を備える樹脂シートから、カバーフィルムを剥離した。樹脂シートの感光性樹脂組成物層と下層クラッド層とが接するように、下層クラッド層上に樹脂シートを配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製「VP160」)を用いて積層して、下層クラッド層上に感光性樹脂組成物層を形成した。積層条件は、真空引きの時間30秒間、圧着温度100℃、圧着圧力0.7MPa、加圧時間30秒間とした。これにより、銅張積層板と下層クラッド層と樹脂シートをこの順に備える積層体を得た。その後、支持体を剥離して、感光性樹脂組成物層を露出させた。
感光性樹脂組成物層に、投影露光装置(ウシオ電機社製「UFX-2240」)を用いて、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が8段となる露光エネルギーで紫外線露光を行った。露光は、L/S(ライン/スペース)10μm/10μmで直線を描画させる第一のマスクパターン、L/S(ライン/スペース)5μm/5μmで直線を描画させる第二のマスクパターン、及び、L/S(ライン/スペース)3μm/3μmで直線を描画させる第三のマスクパターンを有する石英ガラスマスクを使用して行った。露光後、室温にて30分間静置した後、支持体を剥がし取った。感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて1分間スプレー現像を行った。スプレー現像後、2J/cmの紫外線照射を行い、さらに170℃、1時間の加熱処理を窒素雰囲気で行うことにより、銅張積層板と下層クラッド層とライン層(樹脂組成物の硬化物で形成された層)とをこの順に備えるサンプルを得た。
得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し(倍率2000倍)、最小細線形成幅(形成できたライン層のうち、幅が最も小さいライン層の幅)を測定した。ライン層の厚みを最小細線形成幅で割り算して、アスペクト比を計算した。コア形成性は以下の基準で評価した。ライン幅とはライン層の幅を表す。
〇:10μm以下のライン幅を有する全てのライン層でアスペクト比が1以上。
△:10μm以下のライン幅を有する全てのライン層でアスペクト比が0.6以上1未満。
×:10μm以下のライン幅を有するライン層の少なくとも1つのアスペクト比が0.6未満。
[アンダーカットの評価]
アンダーカットの観察に関してもSEMで幅が10μmのライン層を観察(倍率2000倍)した。ライン層の断面の最上部の幅(μm)と底部の幅(μm)とをSEMにより測定し、最上部の幅と底部の幅との差(最上部の幅-底部の幅)を求め、求めた値をアンダーカットとし、以下の評価基準で評価した。
〇:アンダーカットが無い
△:アンダーカットが2μm未満
×:アンダーカットが2μmより大きい
[表面凹凸の評価]
最小細線形成幅を測定したライン層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し(倍率2000倍)、以下の基準で表面状態を評価した。
〇:ライン層の表面に凹凸が無い。
×:ライン層の表面に凹凸が有る。
[光伝送損失の測定]
(1-1.下層クラッド層の形成)
製造例1で製造した樹脂組成物を用いて製造した、厚み10μmの感光性樹脂組成物層を備える樹脂シートから、カバーフィルムを剥離した。感光性樹脂組成物層とシリコンウエハとが接するように、4インチのシリコンウェハ上に樹脂シートを配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製「VP160」)を用いて積層した。積層条件は、真空引きの時間30秒間、圧着温度100℃、圧着圧力0.7MPa、加圧時間30秒間とした。その後、支持体を剥離して、シリコンウエハ及び感光性樹脂組成物層を備える中間積層体Iを得た。
中間積層体Iの感光性樹脂組成物層に、投影露光装置(ウシオ電機社製「UFX-2240」)を用いて、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が8段となる露光エネルギーで紫外線露光を行った。露光後、2J/cmの紫外線照射を行った。中間積層体Iをクリーンオーブンに投入し、室温から170℃に昇温させ、170℃に到達した後に60分間の加熱処理を窒素雰囲気下で行って、感光性樹脂組成物層を硬化させた。感光性樹脂組成物層の硬化により下層クラッド層が形成されて、シリコンウエハ及び下層クラッド層を備える中間積層体IIを得た。
(1-2.コア層の形成)
実施例及び比較例で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造した、厚み5μmの感光性樹脂組成物層を備える樹脂シートから、カバーフィルムを剥離した。感光性樹脂組成物層と下層クラッド層とが接するように、中間積層体IIの下層クラッド層の表面に樹脂シートを配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製「VP160」)を用いて積層した。積層条件は、真空引きの時間30秒間、圧着温度100℃、圧着圧力0.7MPa、加圧時間30秒間とした。その後、支持体を剥離して、シリコンウエハ、下地クラッド層及び感光性樹脂組成物層をこの順で備える中間積層体IIIを得た。
中間積層体IIIの感光性樹脂組成物層に、投影露光装置(ウシオ電機社製「UFX-2240」)を用いて、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が8段となる露光エネルギーで紫外線露光を行った。露光は、L/S(ライン/スペース)5μm/100μmで長さが1cmの複数の直線を描画できるマスクパターン、L/S(ライン/スペース)5μm/100μmで長さが2cmの複数の直線を描画できるマスクパターン、及びL/S(ライン/スペース)5μm/100μmで長さが3cmの複数の直線を描画できるマスクパターン、を有する石英ガラスマスクを使用して行った。この石英ガラスマスクのL/Sにおいて、ラインがコア層の幅に相当し、スペースがコア層間の間隔に相当する。露光後、室温にて30分間静置した後、支持体を剥がし取った。感光性樹脂組成物層の全面に、現像液として30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaにて1分間スプレー現像を行った。スプレー現像後、2J/cmの紫外線照射を行った。その後中間積層体IIIをクリーンオーブンに投入し、室温から170℃に昇温させ、170℃に到達した後に60分間の加熱処理を窒素雰囲気下で行って、感光性樹脂組成物層を硬化させた。
感光性樹脂組成物層の硬化によりコア層が形成されて、シリコンウエハ、下層クラッド層及びコア層をこの順で備える中間積層体IVを得た。
(1-3.上層クラッド層の形成)
製造例1で製造された樹脂組成物を用いて製造した、厚み20μmの感光性樹脂組成物層を備える樹脂シートから、カバーフィルムを剥離した。感光性樹脂組成物層とコア層とが接するように、中間積層体IVのコア層上に樹脂シートを配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製「VP160」)を用いて積層した。積層条件は、真空引きの時間30秒間、圧着温度100℃、圧着圧力0.7MPa、加圧時間30秒間とした。その後、支持体を剥離して、シリコンウエハ、下層クラッド層、コア層及び感光性樹脂組成物層をこの順に備える中間積層体Vを得た。
中間積層体Vの感光性樹脂組成物層に、投影露光装置(ウシオ電機社製「UFX-2240」)を用いて、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が8段となる露光エネルギーで紫外線露光を行った。露光後、2J/cmの紫外線照射を行った。中間積層体Vをクリーンオーブンに投入し、室温から170℃に昇温させ、170℃に到達した後に60分間の加熱処理を窒素雰囲気下で行って、感光性樹脂組成物層を硬化させた。感光性樹脂組成物層の硬化により上層クラッド層が形成されて、シリコンウエハ、下層クラッド層、コア層及び上層クラッド層をこの順に備える試料積層体を得た。
この試料積層体において、下層クラッド層と上層クラッド層との組み合わせがクラッド層を構成していた。よって、そのクラッド層と、当該クラッド層中にあるコア層とを含む光導波路が得られた。また、この試料積層体において、コア層は、石英ガラスマスクが有していたマスクパターンに対応して長さ1cm、2cm及び3cmの直線状のパターンを有しており、それらのパターンに含まれるコア層の幅(ライン幅)及び間隔(スペース)はマスクパターンの幅(ライン幅)及び間隔(スペース)に一致していた。
[光導波路の評価]
(校正用の光学系の光伝送損失の測定)
後述する試験用基板の伝送損失測定用の光学系から試験用基板及び集光モジュールを除いた構成の光学系の伝送損失を測定した。すなわち、暗幕で覆われた除振台で、光ファイバ(入射ファイバ)を介して光源(1310nm光源、THORLABS社製「LPSC-1310-FC」)と受光器(キーサイト社製の光パワーメータ「N7742」)とを接続して、校正用の光学系を得た。光源を発光させて、受光器に進入した光の強度を当該受光器で測定して、この校正用の光学系の損失を測定した。
(試験用基板の準備)
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を用いて製造した試料積層体から、コア層が形成された部分でコア層及びその周囲のクラッド層を切り取って、光伝送路を備える試験用基板を得た。
(光伝送損失の測定)
暗幕で覆われた除振台上に、試験用基板を設置した。試験用基板の光導波路の一端(入射端)に、集光モジュール(開口数0.18)を接続し、更にその集光モジュールに光ファイバ(入射ファイバ)を介して光源(1310nm光源、THORLABS社製「LPSC-1310-FC」)を接続した。また、試験用基板の光導波路の他端(出射端)に、別の集光モジュール(開口数0.18)を接続し、更にその集光モジュールに光ファイバ(出射ファイバ)を介して受光器(キーサイト社製の光パワーメータ「N7742」)を接続した。以上の操作により、光源から発せられた光が光ファイバ(入射ファイバ)、集光モジュール、光導波路、集光モジュール、及び光ファイバ(出射ファイバ)をこの順に透過した後、受光器に進入する光学系を得た。以下、この光学系を試料光学系と呼ぶことがある。光源を発光させて、受光器に進入した光の強度を当該受光器で測定して、試料光学系の損失を測定した。
試料光学系の損失から、校正用の光学系の損失を引き算して、試験用基板に含まれる光導波路の損失を求めた。
(光導波路の伝送損失(dB/cm)の測定)
前記の光導波路の損失の測定を、長さ1cmの光導波路、長さ2cmの光導波路、及び、長さ3cmの光導波路のそれぞれについて行った。そして、測定結果を、光導波路の長さを横軸、光導波路の損失を縦軸とした座標系にプロットして、測定結果を表す3点の座量を得た。これら3点の近似直線を最小二乗法で計算し、その近似直線の傾きを、光導波路の単位距離当たりの損失(伝送損失)として求め、以下の基準で評価した。
〇:光伝送損失が1dB/cm未満
△:光伝送損失が1dB/cmより大きく2dB/cm未満
×:光伝送損失が2dB/cmより大きい
(モードの確認)
受光器を取り外し、代わりに赤外カメラ(InGaAsカメラ、100倍の対物レンズ付き)をセットした。光源を発光させて、光ファイバ(出射ファイバ)の端部から発せられる光を赤外カメラで撮影した。真円状の光の縁が一つのみ観察された場合、シングルモードと判定した。また、複数の縁が観察された場合、マルチモードと判定した。
Figure 2023160658000013
表中、「S」はシングルモードを意味し、「M」はマルチモードを意味する。
(A)~(C)成分を組み合わせて含有する感光性樹脂組成物を用いた実施例1~9は、コア形成性に優れ、ライン層の表面凹凸の発生を抑制でき、光伝送損失が低減されていることがわかる。これに対し、(C)成分を含有しない比較例1は、コア形成性、表面凹凸の発生、及び光伝送損失が実施例1~9と比べて劣ることがわかる。(B)成分を含有しない比較例2は、コアを形成することができなかった。
10 光導波路
100 コア層
110 第二組成物層
111 露光部
112 非露光部
200 クラッド層
210 第一組成物層
220 硬化した第一組成物層(下層クラッド層)
230 第三組成物層
240 硬化した第三組成物層(上層クラッド層)
300 基材
400 マスク
410 透光部
420 遮光部

Claims (17)

  1. (A)エポキシ樹脂、
    (B)カルボキシ基及びエチレン性二重結合を含有する樹脂、及び
    (C)分子量が420以上の光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物。
  2. さらに、(D)分子量が420未満の光重合開始剤を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. (D)成分が、オキシムエステル系光重合開始剤、及びα-アミノケトン系光重合開始剤のいずれかを含有する、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. さらに、(E)光増感剤を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  5. (E)成分が、ベンゾフェノン類及びチオキサントン類から選ばれる、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに、(F)平均粒径が100nm以下の無機充填材を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  7. (A)成分が、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、及びビフェニル骨格含有エポキシ樹脂のいずれかを含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  8. (C)成分は、下記式(C-1)で表される構造単位を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023160658000014
    (式(C-1)中、Rは活性光線吸収基を表し、Rはそれぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。nは1~10の整数を表す。*は結合手を表す。)
  9. 炭酸ナトリウム現像用である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 光導波路のコア層製造用である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 支持体と、該支持体上に、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層が形成されている、樹脂シート。
  12. 感光性樹脂組成物層の厚みが、1μm以上15μm以下である、請求項11に記載の樹脂シート。
  13. コア用感光性樹脂組成物とクラッド用樹脂組成物とを含む感光性樹脂組成物セットであって、
    コア用感光性樹脂組成物が、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む、感光性樹脂組成物セット。
  14. コア層及びクラッド層を備え、
    コア層が、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含む、光導波路。
  15. 波長1300nm~1320nmの光を伝送可能である、請求項14に記載の光導波路。
  16. シングルモードの光導波路である、請求項14又は15に記載の光導波路。
  17. 請求項14に記載の光導波路を備えた光電気混載基板。
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