JP2023160150A - チタン系圧粉体の製造方法及び、チタン系焼結体の製造方法 - Google Patents

チタン系圧粉体の製造方法及び、チタン系焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の複雑な形状を有するチタン系圧粉体を、比較的簡易に製造することができるチタン系圧粉体の製造方法及び、チタン系焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】この発明のチタン系圧粉体1の製造方法は、当該チタン系圧粉体1が、外部への開口部2aを含む内部空間2bを形成した中空本体部2と、前記中空本体部2の前記内部空間2bに臨む内面2cに立てて設けられ、該内面2c上で延びるプレート部3とを有し、前記製造方法が、樹脂製のモールド51の芯材配置スペースに、前記内部空間2bを形成する芯材61を配置する工程と、前記モールド51の成形空間52に原料粉末71を充填する工程と、前記芯材配置スペースに前記芯材61が配置された状態で、前記成形空間52に前記原料粉末71を充填した前記モールド51に対して300MPa以上の加圧力にて冷間等方圧加圧を行う工程とを含み、前記芯材61として、ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用するというものである。【選択図】図1

Description

この発明は、チタン系圧粉体の製造方法及び、チタン系焼結体の製造方法に関するものである。
たとえばチタンやチタン合金は、耐疲労性、耐食性、軽量かつ高い比強度といった所定の優れた特性の故に、種々の部品に用いることが検討されている。
しかるに、チタン又はチタン合金製の部品を製造するには一般に、電子ビーム溶解や真空アーク溶解等による溶解、鋳造、場合によってはさらに熱間圧延、熱処理及び機械加工、溶接等の多数の工程を行う必要があり、それに伴って製造コストが嵩む。このような高コストに起因して、チタンやチタン合金の適用範囲が十分に広がっているとは言い難い。
かかる状況の下、近年は、いわゆるニアネットシェイプとして、チタンを含む原料粉末を樹脂製のモールド内に充填して、当該原料粉末に対して冷間等方圧加圧を施し、所定の形状のチタン系圧粉体を得る粉末冶金法が注目されている。粉末冶金法では、冷間等方圧加圧の後、必要に応じて加熱して焼結させ、密度を高めることが行われる場合がある。
ところで、チタン又はチタン合金製の部品のなかには、外部への開口部を含む内部空間ないし凹部が形成されたものがある。かかる内部空間を有するチタン系圧粉体を、粉末冶金法により製造するには、モールドのその内部空間に対応する箇所に芯材を配置し、成形空間に原料粉末を充填したモールドに対して冷間等方圧加圧を行う。
これに関し、特許文献1には、「母材と鉄系材料からなる中子とを有する焼結体を酸溶液に浸漬して前記中子を溶解し、除去して得られる中空構造体の製造方法であって、前記母材は前記中子を構成する鉄系材料よりも貴の材料からなり、前記母材の表面の少なくとも一部に非電導被膜を形成することで、前記母材における前記酸溶液と接触する表面を少なくする被膜形成工程を備える、中空構造体の製造方法」が提案されている。「中空構造体」としては、「インペラ(ポンプ羽根車)」が挙げられている。
また、特許文献2には、「凹部を有する金属製の圧粉体を製造する方法であって、樹脂製のモールドの、前記凹部に対応する箇所に、該凹部に対応する形状を有する樹脂製の芯材を位置させた状態で、前記モールド内に充填した原料粉末に対して冷間等方圧加圧を行う工程を含む、圧粉体の製造方法」が記載されている。特許文献2に記載された方法によれば、「芯材の近傍の圧粉体表面への隆起の発生を抑制することができる。」としている。
なお、材料がチタン又はチタン合金ではないが、圧粉体に関する技術としては、たとえば特許文献3及び4に記載されたものがある。特許文献3には、「粉体をモールド内に封入し、圧力容器内に収納して水などの液体を圧媒として等方圧を加え、冷間等方圧加圧成形を行うに際し、前記モールドとして粘塑性体にて構成したモールドを用いることを特徴とする粉体の冷間等方圧加圧成形方法」が記載されている。特許文献4には、「原料粉体を成形して圧粉体を製造する方法において、ちょう度15~300の半固形材料により形成されたモールド内に所望形状のキャビティを設け、該キャビティ内に粉体原料を充填した後、該モールドを圧力媒体として粉体原料を加圧することを特徴とする圧粉体の製造方法」が記載されている。
特開2016-17218号公報 国際公開第2021/060363号 特開昭63-219503号公報 特開2003-154494号公報
特許文献1に記載された「鉄系材料からなる中子」のような高剛性の芯材を用いた場合、冷間等方圧加圧時に芯材がほぼ弾性変形しないので、芯材を介した原料粉末中での加圧力の伝達に差異が生じ、締固めが不十分になる箇所が生じ得る。それにより、高剛性の芯材では、当該芯材近傍の表面が隆起すること等により、所定の形状のチタン系圧粉体を良好に製造することができない場合があった。加えて、特許文献1に記載された方法は、「母材と鉄系材料からなる中子とを有する焼結体を酸溶液に浸漬して前記中子を溶解し、除去」することを要し、チタン系圧粉体を簡易に製造できるとは言い難い。
一方、特許文献2に記載された製造方法では、樹脂製の芯材を用いることから、冷間等方圧加圧後に成形されるチタン系圧粉体における当該芯材近傍の表面の隆起を抑制することができる。また、樹脂製の芯材は、冷間等方圧加圧後のチタン系圧粉体から比較的容易に取り出すことが可能である。
ところで、チタン又はチタン合金製の部品には、より複雑な形状として、たとえばクローズドインペラーのような、外部への開口部を含む内部空間に臨む内面に、羽根部等のプレート部を立てて設けたものがある。そのような内部空間にプレート部が設けられたチタン系圧粉体は、冷間等方圧加圧用のモールドに樹脂製の芯材を配置しても製造できない場合があった。
特許文献3及び4では、上記のような内部空間にプレート部を設けたチタン系圧粉体を製造することについては何ら検討されていない。
この発明の目的は、所定の複雑な形状を有するチタン系圧粉体を、比較的簡易に製造することができるチタン系圧粉体の製造方法及び、チタン系焼結体の製造方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、樹脂製のモールドに配置する芯材として、ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用すれば、内部空間にプレート部を立てて設けたチタン系圧粉体を良好に製造できることを見出した。ちょう度が50よりも小さく流動性に乏しい材料では、冷間等方圧加圧による荷重の除荷時における芯材のスプリングバックで、チタン系圧粉体の特に、厚みがある程度薄いプレート部が破損しやすくなると推測される。ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用することにより、プレート部の破損が抑制され、該プレート部を有するチタン系圧粉体を製造することが可能になる。また、ちょう度が50以上である芯材構成材料は、冷間等方圧加圧後にチタン系圧粉体から容易に取り出すことができる。
(1)この発明のチタン系圧粉体の製造方法は、当該チタン系圧粉体が、外部への開口部を含む内部空間を形成した中空本体部と、前記中空本体部の前記内部空間に臨む内面に立てて設けられ、該内面上で延びるプレート部とを有し、前記製造方法が、樹脂製のモールドの芯材配置スペースに、前記内部空間を形成する芯材を配置する工程と、前記モールドの成形空間に原料粉末を充填する工程と、前記芯材配置スペースに前記芯材が配置された状態で、前記成形空間に前記原料粉末を充填した前記モールドに対して300MPa以上の加圧力にて冷間等方圧加圧を行う工程とを含み、前記芯材として、ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用するというものである。
(2)上記(1)の項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、前記芯材構成材料のちょう度は、60以上かつ240以下であることが好ましい。
(3)上記(1)又は(2)の項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、前記芯材構成材料は、ポリブテン樹脂または粘土を含むことが好ましい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、インペラー用のチタン系圧粉体では、前記中空本体部は、互いに間隔をおいて配置されて相互間に前記内部空間を設けた一対の円盤状部分を含むケーシング部であり、前記プレート部は、前記円盤状部分の相互間で、該円盤状部分の中心から半径方向外側に向けて、真っ直ぐに、あるいは湾曲箇所及び/又は屈曲箇所を含んで延びる羽根部である場合がある。
(5)上記(4)の項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、チタン系圧粉体は、該チタン系圧粉体の前記プレート部を含んで中心軸線に直交する断面で、前記プレート部の延びる方向に垂直な垂線上にて、周方向で前記プレート部の両側に位置する各空間部分における長さの合計に対する、プレート部の厚みに相当する長さの比が0.05以上かつ0.25以下になる箇所が、当該チタン系圧粉体に存在する場合がある。
(6)上記(1)~(5)のいずれか一項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、前記モールドとしては、ショアD硬さが30~120の範囲内である熱可塑性樹脂からなるモールドを用いることが好ましい。
(7)上記(1)~(6)のいずれか一項に記載のチタン系圧粉体の製造方法において、前記モールドとしては、三次元造形装置を用いて作製されたモールドを用いることができる。
(8)この発明のチタン系焼結体の製造方法は、上記(1)~(7)のいずれか一項に記載のチタン系圧粉体の製造方法により製造されたチタン系圧粉体を加熱して焼結させる焼結工程を含むものである。
この発明のチタン系圧粉体の製造方法によれば、所定の複雑な形状を有するチタン系圧粉体を、比較的簡易に製造することができる。
この発明の一の実施形態に係る製造方法により製造することができるチタン系圧粉体の一例を示す斜視図である。 図2(a)は、図1のチタン系圧粉体の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のb-b線に沿う断面図である。 図3(a)は、図1のチタン系圧粉体の側面図であり、図3(b)は、図3(a)のb-b線に沿う断面図である。 図4(a)は、図1のチタン系圧粉体の製造に用いられ得るモールド及び芯材を示す、中心軸線に沿う断面図であり、図4(b)は、図4(a)のb-b線に沿う断面図である。 図4のモールド及び芯材を用いて冷間等方圧加圧を行う状態を模式的に示す、中心軸線に沿う断面図である。 この発明の一の実施形態に係る製造方法により製造することができるチタン系圧粉体の他の例を示す斜視図である。 図7(a)は、図6のチタン系圧粉体の平面図であり、図7(b)は、図7(a)のb-b線に沿う断面図である。 図8(a)は、図6のチタン系圧粉体の側面図であり、図8(b)は、図8(a)のb-b線に沿う断面図である。 この発明の一の実施形態に係る製造方法により製造することができるチタン系圧粉体のさらに他の例を示す斜視図である。 図10(a)は、図9のチタン系圧粉体の平面図であり、図10(b)は、図10(a)のb-b線に沿う断面図である。 図11(a)は、図9のチタン系圧粉体の側面図であり、図11(b)は、図11(a)のb-b線に沿う断面図である。 この発明の一の実施形態に係る製造方法により製造することができるチタン系圧粉体のさらに他の例を示す斜視図である。 図13(a)は、図12のチタン系圧粉体の平面図であり、図13(b)は、図13(a)のb-b線に沿う断面図である。 図14(a)は、図12のチタン系圧粉体の側面図であり、図14(b)は、図14(a)のb-b線に沿う断面図である。 この発明の一の実施形態に係る製造方法により製造することができるチタン系圧粉体のさらに他の例を示す斜視図である。 図16(a)は、図15のチタン系圧粉体の平面図であり、図16(b)は、図16(a)のb-b線に沿う断面図である。 図15のチタン系圧粉体の側面図である。
以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係るチタン系圧粉体の製造方法では、図1~3に例示するような、開口部2aを含む内部空間2bにプレート部3を設けたチタン系圧粉体1等を製造する。なお、ここでいう「チタン系」には、純チタンのチタン製だけでなく、チタン合金製も含まれるものとする。
このような内部空間2bにプレート部3を設けたチタン系圧粉体1を製造するため、この実施形態では、冷間等方圧加圧に先立って、樹脂製のモールドの芯材配置スペースに、内部空間を形成する芯材を配置するに当り、その芯材として、ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用する。
ちょう度が50以上である芯材構成材料で構成される芯材は、比較的低粘度で流動性が高いので、冷間等方圧加圧の後にその荷重が取り除かれたとき、それほどスプリングバックが起こらず、それによるチタン系圧粉体のプレート部の破損が抑えられると推測される。また、ちょう度が50以上である芯材構成材料の芯材は、流動性を有することから、冷間等方圧加圧後にチタン系圧粉体から容易に取り出すことができる。その結果として、所定の複雑な形状を有するチタン系圧粉体を、比較的簡易に製造することができる。
(製造方法)
ここでは、一例として、図1~3に示すチタン系圧粉体1を製造する方法について詳説する。このチタン系圧粉体1は、外部への開口部2aを含む内部空間2bを形成した中空本体部2と、中空本体部2の内部空間2bに臨む内面2cに立てて設けられ、該内面2c上で延びるプレート部3とを有するものである。
ここで、中空本体部2には、互いに間隔をおいて平行に配置された一対の円盤状部分4a、4b、並びに、円盤状部分4a、4b間で中心軸線と平行に延びて円盤状部分4a、4bの相互を連結する円柱状の連結部分5が含まれる(図2及び3参照)。内部空間2bは、円盤状部分4a、4bの相互間で連結部分5の外周側に区画されており、中空本体部2の外面から窪んで該外面よりも奥まった位置に存在する。この内部空間2bは、中空本体部2の外面のうちの円盤状部分4a、4bの外周面の相互間に、外部への開口部2aがある。なお、各円盤状部分4a、4bの外側を向く外端面と外周面との間の境界は、必要に応じて、たとえば曲面状の、全周にわたる面取り部4cを形成することができる。
そして、プレート部3は、円盤状部分4a、4bの内部空間2bに臨んで内部空間2b側を向く内面2c(より詳細には、円盤状部分4a、4bの内部空間2b側を向く内端面)に設けられている。プレート部3は一枚又は複数枚とすることができ、図示の例では六枚存在する。各プレート部3は、内面2c(各円盤状部分4a、4bのそれぞれの内端面)と一体に形成され、該内面2cから立ち上がった姿勢で内面2c上にて延びるものとしている。
この例では、複数枚のプレート部3は、円盤状部分4a、4bの中心の連結部分5に接続されており、その連結部分5から半径方向外側に向かって放射状に真っ直ぐ延びる形状を有する。内部空間2bは、図3に示すように、複数枚のプレート部3で、それに対応する数の複数箇所の空間部分に区分けされており、各空間部分の半径方向の最も外側に複数の開口部2aが存在する。
上記のチタン系圧粉体1を成形するモールド51は、図4(a)及び(b)に示すように、当該チタン系圧粉体1の形状に対応する形状の成形空間52が設けられる。より詳細には、このモールド51は、互いに間隔をおいて配置された一対の中空の円盤状壁部53a、53bと、円盤状壁部53a、53b間の中心で中心軸線と平行に延びて各円盤状壁部53a、53bに連結された中空の円柱状壁部54と、円盤状壁部53a、53b間で、それらの円盤状壁部53a、53b及び円柱状壁部54のそれぞれに連結されて放射状に延びる複数個の中空の板状壁部55とを有するものである。
図示のモールド51では、いずれも中空の円盤状壁部53a、53b、円柱状壁部54及び板状壁部55の内部に、成形空間52が区画されている。円盤状壁部53a、53bの内部の成形面で、チタン系圧粉体1の円盤状部分4a、4bが、また円柱状壁部54の内部の成形面で、チタン系圧粉体1の連結部分5が、また板状壁部55の内部の成形面で、チタン系圧粉体1のプレート部3がそれぞれ形成される。なお、このモールド51では、一方の円盤状壁部53aの外側の中央部分に、成形空間52への原料粉末71の供給に用いる貫通孔53cが設けられているが、貫通孔はモールドの他の部分に設けてもよい。また、貫通孔53cの個数は一個に限らず、複数個でもよい。
モールド51は樹脂製であり、好ましくは熱可塑性樹脂製とし、特にアクリル樹脂、エラストマーを含有するアクリル樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂等で形成されたものとすることが好適である。樹脂製のモールド51は、所要の強度を確保して原料粉末71の充填時にもその形状を維持するため、ショアD硬さが30~120の範囲内である熱可塑性樹脂からなることが好ましく、30~85の範囲内である熱可塑性樹脂としてもよい。ショアD硬さは、JIS K7215(1986)に準拠する試験方法によって測定することができる。また同様の観点から、樹脂製のモールド51の厚みは、0.5mm~2.0mmであるものとすることが好ましい。
樹脂製のモールド51は、種々の方法により作製することが可能であるが、三次元造形装置(いわゆる3Dプリンタ)を用いて作製されたものであることが好ましい。これにより、様々な形状のモールド51を容易に作製することができる。三次元造形装置の造形方式は特に問わず、たとえば光造形方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式、粉末焼結積層造形方式、熱溶解積層方式又は粉末固着方式等のいずれであってもよい。
モールド51の成形空間52に充填する原料粉末71としては、チタン粉末、合金元素粉末、母合金粉末等の様々な粉末を、必要に応じて組み合わせて用いることができる。このチタン粉末には、実質的にチタンのみからなる純チタン粉末や、主としてチタンを含有し、水素を5質量%以下で含む水素化チタン粉末等がある。純チタン粉末は、たとえば、水素化チタン粉末に脱水素処理を行って得られる水素化脱水素粉末とすることがある。なお、原料粉末71が水素化チタン粉末を含む場合は、後述するようにチタン系圧粉体1を加熱して焼結させる工程を行うことが望ましい。また、上記の合金元素粉末はチタン合金の合金元素を単独で含む粉末、母合金粉末は複数の元素を含む粉末をそれぞれ意味する。原料粉末71は、たとえば、チタン粉末のみとすることができる他、チタン粉末に、鉄、アルミニウム、バナジウム、ジルコニウム、錫、モリブデン、銅及びニッケルからなる群から選択される一種の合金元素粉末及び/又は、それらの二種以上の母合金粉末を混合させたものとしてもよい。あるいは、チタン及び合金元素を含む粉末だけを、原料粉末71とすることも可能である。なお、純チタンとは、チタン含有量が99質量%以上であるチタンを意味する。原料粉末71中のチタンに対する合金元素の質量比は、チタンを1とした場合、0~0.33の範囲内とすることがあり、たとえば0~0.11である。
原料粉末71の平均粒径は、10μm~150μmとすることが好ましい。このように比較的微細な粒子を使用することにより、冷間等方圧加圧後のチタン系圧粉体、さらには加熱後のチタン系焼結体の圧縮密度を向上させることができる。平均粒径は、レーザー回折散乱法によって得られた粒度分布(体積基準)の粒子径D50(メジアン径)を意味する。原料粉末71には、破砕粉末やアトマイズ粉末等の公知の粉末を使用可能である。
上記のモールド51及び原料粉末71を用いてチタン系圧粉体1を製造するには、モールド51の芯材配置スペースに、チタン系圧粉体1の内部空間2bを形成するための芯材61を配置する。図4に示すところでは、モールド51における一対の円盤状壁部53a、53bの相互間にて、円柱状壁部54の外周側で周方向に隣り合う板状壁部55間のスペースに芯材61が配置されており、このスペースが芯材配置スペースに相当する。流動性を有する芯材構成材料は、芯材配置スペースの周囲の、外部への開口部から芯材配置スペースに流し込んで充填することができ、それにより、芯材配置スペースに芯材61が配置される。芯材61を配置した後、芯材配置スペースの当該開口部は、たとえば板状等の密閉部材56で閉じることで、芯材配置スペースを密閉することができる(図5参照)。
また、モールド51の芯材配置スペースに芯材61を配置する工程の前又は後に、モールド51の成形空間52に、貫通孔53cを通じて原料粉末71を充填する。成形空間52に原料粉末71を充填した後、貫通孔53cには、たとえばモールド51と実質的に同種の材料等からなる板状等の蓋部材57が設けられ、これにより成形空間52は密閉される(図5参照)。
なお、芯材配置スペースに芯材61を配置する工程と、モールド51の成形空間52に原料粉末71を充填する工程を行う順序の先後は問わず、いずれの工程を先に行ってもよい。また、貫通孔53cに設ける蓋部材57及び/又は、芯材配置スペースの開口部を閉じる密閉部材56に代えて、図示は省略するが、モールド全体を袋状等の被覆部材で覆ってもよい。この場合、必要に応じて、次に述べる冷間等方圧加圧の前に、モールドを包み込んだ被覆部材の内部の減圧処理等が行われ得る。
その後、芯材配置スペースに芯材61が配置された状態で、成形空間52に原料粉末71を充填したモールド51に対し、冷間等方圧加圧装置内で冷間等方圧加圧(CIP)を行う。ここでは、図5に示すように、モールド51がその外側から加圧される。なお、密閉部材56及び蓋部材57はモールド51の一部を構成するものとし、密閉部材56及び蓋部材57にもその外側から加圧力が作用する。モールド51の加圧に伴い、モールド51の成形空間52の原料粉末71は圧縮されて締め固められ、チタン系圧粉体1になる。
冷間等方圧加圧では、モールド51はその形状のいかんを問わず、周囲の流体により等方圧(静水圧等)で加圧される。それ故に、冷間等方圧加圧によると、種々の形状のモールド51を用いてチタン系圧粉体1を製造することができる。
冷間等方圧加圧でモールド51に作用させる加圧力は、300MPa以上とし、好ましくは400MPa以上である。加圧力を300MPa未満にすると、原料粉末71が十分に圧縮されず、チタン系圧粉体1の形状精度が不十分となる。加圧力は、たとえば750MPa以下、また600MPa以下、典型的には500MPa以下とすることがある。また、そのような加圧力での保持時間は、たとえば0.5分~30分とする場合がある。
冷間等方圧加圧の工程後は、冷間等方圧加圧装置からチタン系圧粉体1を、モールド51及び芯材61とともに取り出す。その後、チタン系圧粉体1からモールド51及び芯材61を除去する。このとき、芯材61は、流動性を有するので容易に取り除くことが可能である。芯材61を構成する芯材構成材料の種類等によっては、芯材61はモールド51の一部とともに取り出すことがある。なお、モールド51は、必要に応じて除去前に、大気中で100℃程度に加熱して軟化させてもよい。これにより、チタン系圧粉体1を製造することができる。
チタン系焼結体を製造する場合、冷間等方圧加圧の工程の後、チタン系圧粉体1を加熱する工程を行う。チタン系圧粉体1は加熱すると、それを構成する粒子が焼結してチタン系焼結体になる。なお、製造されたチタン系圧粉体やチタン系焼結体は切削や研磨などの更なる処理に供することができる。
この工程では、チタン系圧粉体1を無加圧で、たとえば1200℃~1300℃の温度にて1時間~3時間にわたって加熱することができる。また、それに代えて又は加えて、チタン系圧粉体1に熱間等方圧加圧(HIP)を施し、たとえば800℃~1000℃の温度にて、チタン系圧粉体1に対し、アルゴンガス等の圧力媒体により100MPa~200MPa程度の等方圧を30分~180分にわたって作用させてもよい。
無加圧の加熱及び/又は熱間等方圧加圧により、チタン系焼結体を製造することができる。無加圧の加熱及び熱間等方圧加圧の両方を行う場合は、その順序は特に問わないが、たとえば無加圧の加熱後に熱間等方圧加圧を行うことができる。
上述したような製造方法において、モールド51の芯材配置スペースに配置する芯材61は、ちょう度が50以上である芯材構成材料で構成されるものとする。
芯材構成材料のちょう度が50以上であれば、芯材61はある程度低粘度で高い流動性を示すので、冷間等方圧加圧時の等方圧の作用に際し、原料粉末71及びモールド51に追従して変形することができる。そのような芯材61を用いると、冷間等方圧加圧後のチタン系圧粉体1の破損が生じにくくなる傾向がある。これは、芯材構成材料のちょう度が50以上であることで、冷間等方圧加圧の荷重が除荷されたときに、適度な粘性及び流動性を有する芯材61がそれほど復元しないことによるものと推察される。ちょう度が50未満の芯材構成材料で構成された芯材61を使用した場合は、冷間等方圧加圧の荷重が取り除かれた際に、芯材61の大きなスプリングバックが起こり得る。これにより、チタン系圧粉体1の特に、芯材61と板状壁部55を介して隣り合う比較的薄肉のプレート部3が破損しやすくなる。
これまでは、内部空間2bにプレート部3が存在するチタン系圧粉体1を製造する場合、内部空間2bの切削加工が困難であることから、プレート部3を溶接して設ける必要があった。但し、チタンやチタン合金は酸素と結合しやすいので、溶接でプレート部3を接合すると、その溶接部は酸素を含みやすく、他の部分と機械的特性が異なるものになるという問題がある。これに対し、上述した実施形態では溶接が不要になり、そのような問題が生じないという利点もある。
また、芯材構成材料のちょう度が50以上である芯材61は、その流動性の故に、様々な形状の芯材配置スペースに充填して配置することができる。このため、かかる芯材61を使用すれば、多様な形状の内部空間2bのチタン系圧粉体1を製造することができる。
なお一般には、ちょう度が変化しない芯材構成材料を使用するが、たとえば熱による硬化等によって、ちょう度が変化し得る芯材構成材料である場合、モールド51の芯材配置スペースへの充填直前、及び、チタン系圧粉体1から取り出した直後の芯材構成材料のちょう度が、いずれも50以上であればよい。芯材配置スペースへの充填前の芯材構成材料のちょう度が50以上であっても、その充填後に硬化したことによって、そのちょう度が50未満となった場合、冷間等方圧加圧の除荷時に芯材のスプリングバックが起こるおそれがある。
芯材構成材料のちょう度は、60以上かつ240以下であることが好ましい。ちょう度を60以上とすると、上述したようなチタン系圧粉体1の破損をより一層有効に抑制することができる。一方、ちょう度を240以下としたときは、芯材61をチタン系圧粉体1から除去する際等の芯材61の付着や内部への浸透によるチタン系圧粉体1の汚染が抑えられる。チタン系圧粉体1に芯材構成材料が付着ないし浸透した場合、その後の焼結時に酸素や炭素、窒素等の濃度が局所的に上昇し、チタン系焼結体の機械的特性が低下すること等が懸念される。また、ちょう度が適切な大きさであれば、芯材の、芯材配置スペースへの充填やそこからの取出しが容易になる。
芯材構成材料のちょう度は、JIS K2220:2013に準拠し、標準円すいを用いて測定する。
芯材構成材料として具体的には、ポリブテン樹脂、粘土等を挙げることができる。粘土は、土、砂、油脂、パルプ等を含み所定の粘着性を有する人工もしくは自然の土又は粒子の集合体であり、たとえば油粘土等がある。
(チタン系圧粉体)
上述した実施形態の製造方法によると、図1~3に示すチタン系圧粉体1を製造することができる。このチタン系圧粉体1の具体的な構成は先に述べたとおりであり、その再度の説明は省略する。
チタン系圧粉体1は、純チタンからなるチタン製、又は、Ti-5Al-1Fe、Ti-5Al-2Fe、Ti-6Al-4V、Ti-6Al-6V-2Sn、Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo、Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Moもしくは、Ti-10V-2Fe-3Al等からなるチタン合金製とすることがある。なお、ここで列挙したチタン合金の成分において各合金元素記号の前に付した数字は、含有量(質量%)を意味する。例えば、「Ti-6Al-4V」とは、6質量%のAlと4質量%のVとを含有するチタン合金を表している。
製造の対象とすることができるのは、図1~3に示すチタン系圧粉体1に限らない。その他、たとえば、図6~8に示すチタン系圧粉体11、図9~11に示すチタン系圧粉体21又は、図12~14に示すチタン系圧粉体31を製造することも可能である。
図6~8に示すチタン系圧粉体11は、図1~3のチタン系圧粉体1の連結部分5に相当する部分が存在せず、一方の円盤状部分14aを、その中心に他方の円盤状部分14bとの間の隙間につながる貫通穴部15のあるリング状のものとしたことを除いて、チタン系圧粉体1とほぼ同様の構成を有するものである。貫通穴部15は、内部空間12bの一部を構成し、その円盤状部分14aの外端面側にも、外部への開口部15aが存在する(図6及び7参照)。なお、一対の円盤状部分14a、14bは、それらの間のプレート部13で互いに連結されている。
図9~11に示すチタン系圧粉体21は、図1~3のチタン系圧粉体1の連結部分5に比して直径が大きい連結部分25を有すること、並びに、各プレート部23が、円盤状部分24a、24bの中心から半径方向外側に向かうに伴って周方向の一方側(図11(b)では反時計回りの向き)に突出するように湾曲する箇所を含んで延びることを除いて、チタン系圧粉体1とほぼ同様の構成を有するものである。このチタン系圧粉体21では、プレート部23の全体が湾曲箇所である。但し、図示しないが、プレート部は、全体ではなく、少なくとも一箇所の湾曲箇所を部分的に含むものであってもよい。
図12~14に示すチタン系圧粉体31は、図1~3のチタン系圧粉体1の連結部分5に比して直径が大きい連結部分35を有すること、並びに、各プレート部33が、円盤状部分34a、34bの中心から半径方向外側に向かう途中に、少なくとも一箇所の屈曲箇所を含んで延びることを除いて、チタン系圧粉体1とほぼ同様の構成を有するものである。図示のチタン系圧粉体31では、各プレート部33は複数箇所の屈曲箇所を有し、図14(b)に示すように、半径方向外側に向かう途中で、周方向の一方側に突き出る屈曲箇所と、他方側に突き出る屈曲箇所とが交互に設けられたジグザグ状をなす。なお、円柱状の連結部分35の外面には、ジグザグ状のプレート部33の端部との接続による角部33aが形成されている。
図示は省略するが、図9~11に示すチタン系圧粉体21のプレート部23に含まれるような湾曲箇所と、図12~14に示すチタン系圧粉体31のプレート部33に含まれるような屈曲箇所との両方が存在するプレート部とすることも可能である。
図1~図14に示すチタン系圧粉体1、11、21、31は、クローズドインペラー等のインペラーとして用いられ得るものである。それらのチタン系圧粉体1、11、21、31では、一対の円盤状部分4a、4b、14a、14b、24a、24b、34a、34b及び連結部分5、25、35が、インペラーのケーシング部に相当する。いずれのチタン系圧粉体1、11、21及び31も、ケーシング部は、一対の円盤状部分4a、4b、14a、14b、24a、24b、34a、34bを含むものである。また、チタン系圧粉体1、11、21、31のプレート部3、13、23、33は、インペラーの羽根部に相当する。
このようなインペラー用のチタン系圧粉体1、11、21、31は、内部空間2b、12b、22b、32bに存在する羽根部であるプレート部3、13、23、33の厚みが比較的薄いことがある。
この点について、図1~3に示すチタン系圧粉体1を例として説明すると、このチタン系圧粉体1は、図3(b)に示すような、当該チタン系圧粉体1のプレート部3を含んで中心軸線に直交する断面で視たときに、プレート部3の厚みの、内部空間2bに占める割合ないし領域が小さいものである。より詳細には、チタン系圧粉体1には、上記断面で、プレート部3の延びる方向に垂直な垂線PL(図3(b)に破線で示す。)上にて、周方向でプレート部3の両側に位置する各空間部分における長さ(Ls/2)の合計(Ls)に対する、プレート部3の厚みに相当する長さLtの比(Lt/Ls)が、例えば0.05以上かつ0.25以下になる箇所が存在することがある。チタン系圧粉体のプレート部の全体が、上記の比(Lt/Ls)になる箇所であることまでは要しない。プレート部の少なくとも一部に、上記の比(Lt/Ls)が0.05以上かつ0.25以下になる箇所があれば、当該比(Lt/Ls)になる箇所が存在するチタン系圧粉体に該当する。
プレート部3の周方向両側の各空間部分における長さは、図3(b)のように、当該プレート部3の空間部分を隔てた側方に、それと隣接する他のプレート部3があるときは、当該プレート部3の側面から他のプレート部の側面までの、上記垂線PLに沿う方向の長さを意味する。あるいは、図示は省略するが、プレート部の空間部分を隔てた側方に、内部空間に臨む内面があるときは、当該プレート部の側面から該内面までの垂線方向の長さが、当該プレート部の両側の各空間部分の長さに相当する。
上記のような、プレート部3の厚みに相当する長さLtと、その周方向両側の空間部分における長さの合計(Ls)との比(Lt/Ls)が0.05以上かつ0.25以下になる箇所が存在するチタン系圧粉体1は、その製造時に先述した芯材61のスプリングバックに起因する破損が生じやすくなる傾向がある。これに対し、この実施形態によれば、所定の芯材構成材料を使用することにより、そのようなチタン系圧粉体1であっても、プレート部3の破損を抑制しつつ良好に製造することができる。
ところで、この発明の実施形態によると、インペラー用のチタン系圧粉体1、11、21、31だけでなく、図15~17に示す他の用途のチタン系圧粉体41を製造することもできる。
図15~17のチタン系圧粉体41は、外部への開口部42aを含む内部空間42bを形成した中空本体部42と、中空本体部42の内部空間42bに臨む内面42cに立てて設けられ、内面42c上で延びる三枚のプレート部43とを有するものである。
ここで、中空本体部42は、互いに間隔をおいて配置された一対の円盤状部分44a、44bが、それらの相互間で中心軸線に沿って延びる円柱状の連結部分45により互いに連結されている。内部空間42bは、中空本体部42の外面から窪んで外面よりも奥まった位置にて、一対の円盤状部分44a、44b及び連結部分45の内部空間42b側の内面によって区画されている。
またここで、円柱状の連結部分45の周囲に設けた各プレート部43は、図示の例では、その連結部分45の内部空間42b側を向く内面42c上で周方向に延びるものであり、半径方向外側に向かうに従い厚みが漸減する円環の板状をなす。なお、プレート部43の枚数は適宜変更可能であり、一枚、二枚又は、四枚以上としてもよい。
図15~17に示すチタン系圧粉体41は、インペラー用ではないが、内部空間42bに設けたプレート部43の破損を生じさせずに成形するため、この実施形態を用いて製造することができる。
次に、この発明のチタン系圧粉体の製造方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
原料粉末の冷間等方圧加圧により、図1~3に示すようなチタン系圧粉体A及び、図9~11に示すようなチタン系圧粉体Bのそれぞれの製造を試みた。チタン系圧粉体Aは、プレート部を含んで中心軸線に直交する断面で、プレート部の延びる方向に垂直な垂線上にて、周方向で前記プレート部の両側に位置する各空間部分における長さの合計Lsに対する、プレート部の厚みに相当する長さLtの比(Lt/Ls)の最小値が0.05である。また、チタン系圧粉体Bにおける同様の比(Lt/Ls)の最小値は、0.09である。
実施例1~8及び比較例1~3では、チタン製の圧粉体を製造した。原料粉末として、実施例1~7及び比較例1~3では水素化脱水素粉末(HDH粉末)を使用した。実施例8では、HDH粉末と水素化チタン粉末とを質量比で1:1に混合させたものを使用した。上記のHDH粉末は、チタン含有量が99質量%以上であり、平均粒径が66μmであった。また、上記の水素化チタン粉末は、チタン含有量が95質量%以上、水素含有量が5質量%以下であり、平均粒径が66μmであった。
実施例9ではチタン合金製の圧粉体を製造し、原料粉末として、上記のHDH粉末と60Al40V粉末とを質量比で9:1に混合させたものを使用した。上記の60Al40V粉末は、鋳塊を粉砕して作製され、アルミニウムを60質量%、バナジウムを40質量%で含むものであり、平均粒径が35μmであった。
製造に用いたモールドは、3Dプリンタにより造形した。モールドを構成する樹脂材料は、ポリ乳酸(PLA)とし、ショアD硬さが83であった。モールドの厚みは1.0mmとした。モールドの芯材配置スペースに配置する芯材には、表1に示す各芯材構成材料を使用した。なお、表1中、「エアコン配管用パテ」はポリブテン樹脂製である。芯材構成材料のちょう度は、先に述べたように、JIS K2220:2013に準拠して測定した。但し、比較例1のシリコーンシーラントは時間の経過に伴って硬化すること、比較例2の炭素鋼及び比較例3の熱硬化性樹脂は室温で流動性を有しないことから、それぞれ、ちょう度を測定することができなかった。これにより、比較例1~3は硬い材料であり、ちょう度が明らかに50未満であると考えられる。
上記のモールドに芯材を配置するとともに原料粉末を充填した後、モールドの全体をビニール袋で包み込んで、その内部を減圧してから、冷間等方圧加圧装置内にて静水圧加圧で冷間等方圧加圧(CIP)を行った。冷間等方圧加圧では、原料粉末を充填したモールドに対し、490MPaの加圧力を1分にわたって作用させた。冷間等方圧加圧の後、モールドをビニール袋から取り出し、手作業にて芯材の大部分を取り除いた。次いで、モールドを、大気中で約100℃に加熱して軟化させた。そしてその後、モールドを内部のチタン系圧粉体から、ペンチ等の工具を使用して除去した。
このようにして製造したチタン系圧粉体を目視により観察し、破損の有無や、芯材の付着及び内部への浸透の有無を確認した。その結果を表1に示す。
実施例1~9では、いずれのチタン系圧粉体A及びBでも破断が生じていなかった。一方、比較例1及び3では、チタン系圧粉体A及びBの両方において、モールドから取り出した後にプレート部(羽根部)が破断していた。比較例2では、炭素鋼からなる芯材を使用したことから、チタン系圧粉体Bを製造することができなかった。なお、実施例4~6のチタン系圧粉体A及びBでは、モールドからの取出し作業中に芯材構成材料が付着し、内部への浸透が起こっていた。一方、実施例1~3、7~9のチタン系圧粉体A及びBでは、そのような芯材構成材料の付着や浸透が無かった。加えて、特に実施例1~3、7~9では、芯材配置スペースに対する芯材の充填及び取出しが容易であった。
以上より、この発明の製造方法によれば、複雑な形状を有するチタン系圧粉体を、比較的簡易に製造できることがわかった。
1、11、21、31、41 チタン系圧粉体
2、12、22、32、42 中空本体部
2a、12a、15a、22a、32a、42a 開口部
2b、12b、22b、32b、42b 内部空間
2c、12c、22c、32c、42c 内面
3、13、23、33、43 プレート部
33a 角部
4a、4b、14a、14b、24a、24b、34a、34b、44a、44b 円盤状部分
4c、14c、24c、34c、44c 面取り部
5、25、35、45 連結部分
15 貫通穴部
51 モールド
52 成形空間
53a 円盤状壁部
53b 円盤状壁部
53c 貫通孔
54 円柱状壁部
55 板状壁部
56 密閉部材
57 蓋部材
61 芯材
71 原料粉末
PL プレート部の延びる方向に垂直な垂線
Ls プレート部の周方向両側の空間部分における長さの合計
Lt プレート部の厚みに相当する長さ

Claims (8)

  1. チタン系圧粉体の製造方法であって、
    当該チタン系圧粉体が、外部への開口部を含む内部空間を形成した中空本体部と、前記中空本体部の前記内部空間に臨む内面に立てて設けられ、該内面上で延びるプレート部とを有し、
    前記製造方法が、樹脂製のモールドの芯材配置スペースに、前記内部空間を形成する芯材を配置する工程と、前記モールドの成形空間に原料粉末を充填する工程と、前記芯材配置スペースに前記芯材が配置された状態で、前記成形空間に前記原料粉末を充填した前記モールドに対して300MPa以上の加圧力にて冷間等方圧加圧を行う工程とを含み、
    前記芯材として、ちょう度が50以上である芯材構成材料を使用する、チタン系圧粉体の製造方法。
  2. 前記芯材構成材料のちょう度が、60以上かつ240以下である、請求項1に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  3. 前記芯材構成材料が、ポリブテン樹脂または粘土を含む、請求項1に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  4. 当該チタン系圧粉体がインペラー用であり、
    前記中空本体部が、互いに間隔をおいて配置されて相互間に前記内部空間を設けた一対の円盤状部分を含むケーシング部であり、
    前記プレート部が、前記円盤状部分の相互間で、該円盤状部分の中心から半径方向外側に向けて、真っ直ぐに、あるいは湾曲箇所及び/又は屈曲箇所を含んで延びる羽根部である、請求項1に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  5. 当該チタン系圧粉体の前記プレート部を含んで中心軸線に直交する断面で、前記プレート部の延びる方向に垂直な垂線上にて、周方向で前記プレート部の両側に位置する各空間部分における長さの合計に対する、プレート部の厚みに相当する長さの比が0.05以上かつ0.25以下になる箇所が、当該チタン系圧粉体に存在する、請求項4に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  6. 前記モールドとして、ショアD硬さが30~120の範囲内である熱可塑性樹脂からなるモールドを用いる、請求項1に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  7. 前記モールドとして、三次元造形装置を用いて作製されたモールドを用いる、請求項1に記載のチタン系圧粉体の製造方法。
  8. チタン系焼結体を製造する方法であって、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のチタン系圧粉体の製造方法により製造されたチタン系圧粉体を加熱して焼結させる焼結工程を含む、チタン系焼結体の製造方法。
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