JP2023159179A - 抗pd-1抗体を用いる腫瘍の治療方法 - Google Patents

抗pd-1抗体を用いる腫瘍の治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】腫瘍に罹患している対象の治療方法を提供する。【解決手段】プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分を、腫瘍に罹患している対象に投与することを特徴とする方法を提供する。ある実施態様において、前記腫瘍は、非小細胞性肺癌(NSCLC)に由来する。ある実施態様において、前記腫瘍は、プログラム死リガンド-1を発現する。ある実施態様において、前記対象は、野生型STK11遺伝子を有する。【選択図】なし

Description

本開示は、抗プログラム死-1(PD-1)抗体を対象に投与することを特徴とする腫瘍の治療方法であって、前記対象が、野生型STK11を有するものである方法に関する。
ヒトの癌は、多くの遺伝学的およびエピジェネティックな変化を有しており、免疫系によって認識できる可能性のあるネオ抗原を生じる(Sjoblom et al. (2006) Science 314:268-74)。TおよびBリンパ球で構成される適応免疫系は、種々の腫瘍抗原に応答するための広範な能力および精巧な特異性による強力な抗癌能力を有する。さらに、前記免疫系は、高い柔軟性および記憶構成を示す。適応免疫系のこれらの特質全てを利用することに成功すれば、免疫療法は、あらゆる癌治療モダリティのなかでユニークなものとなるだろう。
PD-1は、TおよびB細胞によって発現される重要な免疫チェックポイント受容体であり、免疫抑制を介在する。PD-1は、CD28、CTLA-4、ICOS、PD-1、およびBTLAを含む受容体のCD28ファミリーのメンバーである。PD-1に対する2つの細胞表面糖タンパク質リガンド(抗原提示細胞ならびに多くのヒト癌で発現されるプログラム死-リガンド1(PD-L1)およびプログラム死-リガンド2(PD-L2))が同定されており、PD-1への結合によりT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方調節することが示されている。
ニボルマブ(以前は、5C4、BMS-936558、MDX-1106、またはONO-4538と称されていた)は、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻止し、それにより抗腫瘍T細胞機能の下方調節を妨げる完全ヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイントインヒビター抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., 2014 Cancer Immunol Res. 2(9):846-56)。
NSCLCは、米国および世界中において癌による死亡の主な原因である(NCCN GUIDELINES(登録商標),バージョン3.2014-非小細胞癌,2014年5月14日に最近アクセスした:www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/nscl.pdfにて利用可能)。NSCLCは、化学療法に対して感受性が比較的低いが、良好な活動指標(PS)を示すステージIV疾患に罹っている患者は、白金薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、タキサン類(例えば、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル)、ビノレルビン、ビンブラスチン、エトポシド、ペメトレキセドおよびゲムシタビン、ならびにこれらの薬物の様々な組み合わせを含む化学療法薬による治療から利益を受ける。
本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とする方法を提供する。他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が野生型STK11遺伝子を有すると同定される方法に関する。他の態様において、本開示は、抗PD-1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする方法に関する。ある実施態様において、前記方法には、KRAS、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるマーカー遺伝子の変異状態を検出することがさらに含まれる。
他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法に関する。他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、変異を有するマーカー遺伝子を有すると同定され、前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法に関する。他の態様において、本開示は、抗PD-1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法に関する。ある実施態様において、TP53が変異を有する。ある実施態様において、CDKN2Aに変異を有する。ある実施態様において、PTPND、CUBN、およびHERC1に変異を有する。
ある実施態様において、前記マーカー遺伝子は、非同義変異を含む。特定の態様において、前記マーカー遺伝子は、ナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異を含む。
ある実施態様において、前記腫瘍は、肺癌に由来するものである。特定の実施態様において、前記腫瘍は、小細胞肺癌(SCLC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)に由来するものである。ある実施態様において、前記腫瘍は、NSCLCに由来するものである。ある実施態様において、前記腫瘍は、非扁平上皮NSCLCに由来するものである。他の実施態様において、前記腫瘍は、扁平上皮NSCLCに由来するものである。
ある実施態様において、前記方法は、投与前に腫瘍におけるPD-L1発現を検出することをさらに含む。ある実施態様において、前記腫瘍は、PD-L1を散在パターンで発現する。ある実施態様において、前記腫瘍は、PD-L1を不均一パターンで発現する。
ある実施態様において、STK11遺伝子の変異状態は、STK11遺伝子の配列決定によって調べられる。
ある実施態様において、前記腫瘍は、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)であるTMB状態を示す。ある実施態様において、前記腫瘍のTMB状態は、腫瘍における核酸を配列決定し、配列決定された核酸におけるゲノム変化を同定することによって決定される。
ある実施態様において、前記腫瘍は、高い炎症を示す。ある実施態様において、前記炎症は、STK11の発現により測定される。
ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブと同一のエピトープに結合する。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、キメラ、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体またはこれらの部分である。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ヒトIgG1またはIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブである。
ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、少なくとも約0.1mg/kg~少なくとも約10.0mg/kg体重の範囲の用量で約1、2または3週間ごとに1回投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、フラット用量で投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、フラット用量または約240mgで投与される。
ある実施態様において、前記投与は、腫瘍を治療する。ある実施態様において、前記投与は、腫瘍サイズを減少させる。ある実施態様において、前記対象は、最初の投与後少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無進行生存を示す。ある実施態様において、前記対象は、投与後に部分寛解を示す。ある実施態様において、前記対象は、投与後に完全寛解を示す。
他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象を治療するためのキットであって、(a)約4mg~約500mgの範囲の用量の抗PD-1抗体;および(b)本明細書に記載の方法において前記抗PD-1抗体を使用するための説明書を含むキットを提供する。ある実施態様において、前記キットは、抗PD-L1抗体をさらに含む。
実施態様
E1.腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とする方法。
E2.腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が野生型STK11遺伝子と同定されている方法。
E3.抗PD-1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする方法。
E4.KRAS、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるマーカー遺伝子の変異状態を検出することをさらに含む、E1~E3のいずれか1つに記載の方法。
E5.腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法。
E6.腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、変異を有するマーカー遺伝子を有するとして同定され、前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法。
E7.抗PD-1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法。
E8.TP53が変異を有する、E4~E7のいずれか1つに記載の方法。
E9.CDKN2Aが変異を有する、E4~E8のいずれか1つに記載の方法。
E10.PTPND、CUBN、およびHERC1が変異を有する、E4~E9のいずれか1つに記載の方法。
E11.前記マーカー遺伝子が、非同義変異を含む、E4~E10のいずれか1つに記載の方法。
E12.前記マーカー遺伝子が、ナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異を含む、E4~E11のいずれか1つに記載の方法。
E13.前記腫瘍が、肺癌に由来する、E1~E12のいずれか1つに記載の方法。
E14.前記腫瘍が、小細胞肺癌(SCLC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)に由来する、E13に記載の方法。
E15.前記腫瘍が、NSCLCに由来する、E14に記載の方法。
E16.前記腫瘍が、非扁平上皮NSCLCに由来する、E15に記載の方法。
E17.前記腫瘍が、扁平上皮NSCLCに由来する、E15に記載の方法。
E18.投与前に腫瘍におけるPD-L1発現を検出することをさらに含む、E1~E17のいずれか1つに記載の方法。
E19.前記腫瘍が、PD-L1を散在パターンで発現する、E18に記載の方法。
E20.PD-L1発現の散在パターンが、約60~約500、約80~約480、約100~約460、約120~約440、約140~約420、約160~約400、約180~約380、約200~約360、約200~約340、約200~約320、または約200~約300のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられる、E19に記載の方法。
E21.PD-L1発現の散在パターンが、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約225、少なくとも約250、少なくとも約275、または少なくとも約300のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられる、E19に記載の方法。
E22.PD-L1発現の散在パターンが、少なくとも約200のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられる、E21に記載の方法。
E23.前記腫瘍が、PD-L1を不均一パターンで発現する、E18に記載の方法。
E24.PD-L1発現の不均一パターンが、約1~約50、約5~約45、約10~約40、または約15~約35のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられ、前記PD-L1発現が、前記腫瘍の1つまたはそれ以上の異なる部分に限定される、E23に記載の方法。
E25.PD-L1発現の不均一パターンが、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、または少なくとも約40のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられる、E23に記載の方法。
E26.PD-L1発現の不均一パターンが、少なくとも約15のPD-L1 H-スコアにより特徴付けられる、E25に記載の方法。
E27.STK11遺伝子の変異状態が、STK11遺伝子を配列決定することによって決定される、E1、3、4、および13~26のいずれか1つに記載の方法。
E28.PD-L1発現が、免疫組織化学(IHC)アッセイを用いて検出される、E18~E27のいずれか1つに記載の方法。
E29.前記IHCアッセイが、自動IHCアッセイである、E28に記載の方法。
E30.前記IHCアッセイが、PD-L1に特異的に結合する抗PD-L1モノクローナル抗体を用いて行われ、前記抗PD-L1モノクローナル抗体が、28-8、28-1、28-12、29-8、5H1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、E28またはE29に記載の方法。
E31.腫瘍細胞の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%が、PD-L1を発現する、E18~E30のいずれか1つに記載の方法。
E32.前記腫瘍が、高いTMBである腫瘍変異量(TMB)状態を示す、E1~E31のいずれか1つに記載の方法。
E33.前記腫瘍TMB状態が、腫瘍における核酸を配列決定し、前記配列決定された核酸におけるゲノム変化を同定することによって決定される、E32に記載の方法。
E34.前記ゲノム変化が、1つまたはそれ以上の体細胞変異を含む、E33に記載の方法。
E35.前記ゲノム変化が、1つまたはそれ以上の非同義変異を含む、E33またはE34に記載の方法。
E36.前記ゲノム変化が、1つまたはそれ以上のミスセンス変異を含む、E33~E35のいずれか1つに記載の方法。
E37.前記ゲノム変化が、塩基対置換、塩基対挿入、塩基対欠失、コピー数変化(CNA)、遺伝子再配列、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたはそれ以上の変化を含む、E33~E36のいずれか1つに記載の方法。
E38.前記高いTMBが、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、少なくとも400、少なくとも405、少なくとも410、少なくとも415、少なくとも420、少なくとも425、少なくとも430、少なくとも435、少なくとも440、少なくとも445、少なくとも450、少なくとも455、少なくとも460、少なくとも465、少なくとも470、少なくとも475、少なくとも480、少なくとも485、少なくとも490、少なくとも495、または少なくとも500のスコアである、E32~E37のいずれか1つに記載の方法。
E39.前記高いTMBが、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249、または少なくとも250のスコアである、E32~E38のいずれか1つに記載の方法。
E40.前記高いTMBが、少なくとも243のスコアである、E32~E39のいずれか1つに記載の方法。
E41.前記対象のTMB状態を参照TMB値と比較することをさらに含む、E32~E40のいずれか1つに記載の方法。
E42.前記対象のTMB状態が、参照TMB値の最も高い分位値内である、E41に記載の方法。
E43.前記対象のTMB状態が、参照TMB値の最も高い三分位値内である、E41に記載の方法。
E44.前記TMB状態が、ゲノム配列決定によって決定される、E32~E43のいずれか1つに記載の方法。
E45.前記TMB状態が、エクソーム解析によって決定される、E32~E43のいずれか1つに記載の方法。
E46.前記TMB状態が、ゲノムプロファイリングによって決定される、E32~E45のいずれか1つに記載の方法。
E47.前記腫瘍が、高い炎症を示す、E1~E46のいずれか1つに記載の方法。
E48.前記炎症が、STK11の発現により測定される、E47に記載の方法。
E49.前記抗PD-1抗体が、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する、E1~E48のいずれか1つに記載の方法。
E50.前記抗PD-1抗体が、ニボルマブと同一のエピトープに結合する、E1~E49のいずれか1つに記載の方法。
E51.前記抗PD-1抗体が、キメラ、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体、あるいはその一部である、E1~E50のいずれか1つに記載の方法。
E52.前記抗PD-1抗体が、ヒトIgG1またはIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む、E1~E51のいずれか1つに記載の方法。
E53.前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、E1~E52のいずれか1つに記載の方法。
E54.前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブである、E1~E53のいずれか1つに記載の方法。
E55.前記抗PD-1抗体が、少なくとも約0.1mg/kg~少なくとも約10.0mg/kg体重の範囲の用量で約1、2または3週間ごとに1回投与される、E1~E54のいずれか1つに記載の方法。
E56.前記抗PD-1抗体が、少なくとも約3mg/kg体重の用量で約2週間ごとに1回投与される、E55に記載の方法。
E57.前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分が、フラット用量で投与される、E1~E56のいずれか1つに記載の方法。
E58.前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分が、少なくとも約200、少なくとも約220、少なくとも約240、少なくとも約260、少なくとも約280、少なくとも約300、少なくとも約320、少なくとも約340、少なくとも約360、少なくとも約380、少なくとも約400、少なくとも約420、少なくとも約440、少なくとも約460、少なくとも約480、少なくとも約500、または少なくとも約550mgのフラット用量で投与される、E1~E54および57のいずれか1つに記載の方法。
E59.前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分が、約240mgのフラット用量で投与される、E1~E54、57、および58のいずれか1つに記載の方法。
E60.前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分が、フラット用量で約1、2、3、または4週間ごとに1回投与される、E1~E54、および57~E59のいずれか1つに記載の方法。
E61.前記抗PD-1抗体が、臨床的利益が観察される限り、または管理し難い毒性または疾患進行が生じるまで投与される、E1~E60のいずれか1つに記載の方法。
E62.前記抗PD-1抗体が、静脈内投与のために製剤化されている。E1~E61のいずれか1つに記載の方法。
E63.前記抗PD-1抗体が、治療量以下の用量で投与される、E1~E62のいずれか1つに記載の方法。
E64.前記投与が、前記腫瘍を治療する、E1~E63のいずれか1つに記載の方法。
E65.前記投与が、腫瘍サイズを減少させる、E1~E64のいずれか1つに記載の方法。
E66.前記腫瘍サイズが、投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%まで減少される、E65に記載の方法。
E67.前記対象が、最初の投与後少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無進行生存を示す、E1~E66のいずれか1つに記載の方法。
E68.前記対象が、前記投与後に安定な病状を示す、E1~E67のいずれか1つに記載の方法。
E69.前記対象が、前記投与後に部分奏功を示す、E1~E67のいずれか1つに記載の方法。
E70.前記対象が、前記投与後に完全奏功を示す、E1~E67のいずれか1つに記載の方法。
E71.腫瘍に罹患している対象を治療するためのキットであって、
(a)約4mg~約500mgの範囲の用量の抗PD-1抗体;および
(b)前記抗PD-1抗体をE1~E70のいずれか1つに記載の方法において使用するための説明書
を含む、キット。
E72.抗PD-L1抗体をさらに含む、E71に記載のキット。
図1A-1Dは、市販のNSCLC腫瘍におけるPD-L1発現の異なるパターンを表す免疫組織化学(IHC)図を示す。PD-L1発現のパターンは、散在(図1A)、不均一(図1B)、腫瘍間質接合面(図1C)、および陰性(図1D)に分けられる。
図2A-2Bは、図1A-1Dに示されるような、各PD-L1パターン(すなわち、散在(D)、不均一(H)、陰性(N)、および腫瘍間質接合面(T))におけるPD-L1 H-スコアの分布(図2A)、ならびに2つのNSCLCサブタイプ(すなわち、腺癌および扁平上皮癌)におけるPD-L1 H-スコアの分布(図2D)を示す。
図3A-3Cは、ニボルマブ単剤療法で治療した患者に由来する生検に相当する散在(図3A)、腫瘍間質接合面(図3B)および陰性(図3C)PD-L1発現パターンに対応するIHC図を示す。
図4は、ニボルマブ単剤療法を受けた患者のPD-L1 H-スコアを示す。大半の完全な応答者(CR)および部分応答者(PR)における優勢なPD-L1パターンは、散在パターンである。
図5A-5Bは、PD-L1腫瘍の優勢なパターンによる全体CIスコア(図5A)およびPD-L1 CIスコア(図5B)を示す。
図6は、PD-L1、CD68、およびCD3について染色した多重IHC図を示す。
図7A-7Bは、RNAシークエンス法を用いて測定されるPD-L1発現パターンによるNSCLC腫瘍におけるPD-L1発現(図7A)、およびエクソーム解析を用いて測定されるPD-L1発現パターンによるNSCLC腫瘍における変異量(図7B)を示す。
図8A-8Bは、CIスコアによって測定されるNSCLC腫瘍におけるミスセンス変異数と全体炎症との相関関係(図8A)、およびPDLP1pos CIスコアによって測定されるNSCLC腫瘍におけるミスセンス変異数とPD-L1+炎症との相関関係(図8B)を示す。
図9A-9Bは、図9Aでは、異なるバイオマーカー(TP53、STK11、KEAP1、KRAS、EGFR、およびMET)に対して観察されたPD-L1発現パターンにおける変異頻度を示す。D=散在、H=不均一、I=腫瘍間質接合面、N=陰性。図9Bは、RNAシークエンス法(RNAseq)によって測定されたPD-L1発現に対するSTK11変異の存在(「y」)または非存在(「n」)を示す。
図10A-10Cは、STK11変異の存在(「y」)または非存在(「n」)とPD-L1+CIスコアとの相関関係を示す(図10A)。図10Aに示す情報に対応する数値データを図10Bに示す。図10Cは、STK11変異の存在(「STK11-MUT」)または非存在(「STK11-WT」)に応じたNSCLC腫瘍における全体炎症スコアに相当する数値データを示す。
図11は、FOLR2、VSIG4、CD163、CLEC4D、CSF1R、CD86、MS4A1、CD79B、CD19、KIR2DS4、CD3E、CCR4、CCR8、およびCD8Aのレベルを分析して、炎症パターン(sigClass)に従って試料を分類する24個のNSCLC腫瘍試料のイムノプリント分析を示す。試料は、低(「sigClass low」)、中間(「sigClass med」)および高(「sigClass hi」)炎症に分類した。試料はまた、STK11変異の存在(「STK11 mut」)または非存在(「STK11 wt」)によっても分類した。加えて、試料は、PD-L1発現パターンに従って、陰性(「PDL1_パターン2陰性」)、散在、(「PDL1_パターン2散在」)、不均一(「PDL1_パターン2不均一」)、および腫瘍間質接合面(「PDL1_パターン2TS」)に分類した。
図12A~12Bは、医師が選択する化学療法(データラベル1および2)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した野生型STK11(データラベル2および4)または変異型STK11(データラベル1および3)を有する進行性NSCLC対象についての生存確率のグラフ表示である。図12Aには、STK11に対して全ての非同義変異を有する変異型STK11対象が含まれる一方、図12Bには、STK11に対してナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異を有する変異型STK11対象のみが含まれる。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す。 同上
図13は、KRAS変異および野生型STK11(データラベル2および4)または変異型STK11(データラベル1および3)を有する進行性NSCLC対象(前記対象は、医師が選択する化学療法(データラベル1および2)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した)についての生存確率のグラフ表示である。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す。
図14A-14Bは、医師が選択する化学療法(データラベル1および2)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した野生型STK11(データラベル2および4)またはSTK11(データラベル1および3)における非同義変異を有する非扁平上皮NSCLC対象についての生存確率のグラフ表示である。図14Aには、この基準を満たす全ての対象が含まれる一方、図14Bには、KRAS変異をさらに有する対象のみが含まれる。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す。 同上
図15A-15Eは、PDL1発現レベルとSTK11変異状態との間の相関関係を示すグラフ表示である。図15Aおよび15Bは、医師が選択する化学療法(図15A)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;図15B)による治療後に完全奏功(CR)、部分奏功(PR)、安定な病状(SD)、または進行性疾患(PD)を示すWTまたは変異型STK11対象の分布を示す。図15Cは、PD-L1発現レベルに関連して、医師が選択する化学療法または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ)による治療後に完全奏功(CR)、部分奏功(PR)、安定な病状(SD)、または進行性疾患(PD)を示すWTまたは変異型STK11対象の分布のグラフ表示である。図15Dおよび15Eは、医師が選択する化学療法(図15D)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;図15E)で治療したWTまたは変異型STK11対象におけるPDL1発現の分布を示す。Y軸は、PD-L1を発現する腫瘍細胞の割合を示す(図15A-15E)。図15Fは、STK11変異を有する対象のサブセットについての特定の変異を含む状態を供する表である。 同上 同上 同上
図16Aは、KRAS変異および野生型TP53(データラベル2および4)または変異型TP53(データラベル1および3)を有する進行性NSCLC対象(前記対象は、医師が選択する化学療法(データラベル1および2)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した)についての生存確率のグラフ表示である。図16B-16Cは、医師が選択する化学療法(データラベル1および2)または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した野生型(データラベル2および4)もしくは変異型(データラベル1および3)CDKN2A(図16B)またはPTPND/CUBN/HERC1(図16C)を有する進行性NSCLC対象についての生存確率のグラフ表示である。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す(図16A-16C)。図16Dは、分析した1144人の対象におけるHERC1、CUBNM、およびPTPRD変異の分布を示すスクリーンショットである。 同上 同上 同上
図17A-17Bは、分析した全ての進行性NSCLC対象(図17A)またはKRAS変異をさらに有する部分集団(図17B)における腫瘍変異量とSTK11変異状態との間の関連を示す分布図である。図17Cは、腫瘍変異量(TMB;図17C)に関連して、医師が選択する化学療法または第一選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ)による治療後の完全奏功(CR)、部分奏功(PR)、安定な病状(SD)、または進行性疾患(PD)を示すWTまたは変異型STK11対象の分布を示すグラフ表示である。 同上
図18A-18Dは、ドセタキセル(データラベル1および2)または第二選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した野生型STK11(データラベル2および4)またはSTK11における変異(データラベル1および3)を有する非扁平上皮NSCLC対象についての生存確率のグラフ表示である。図18Aには、非同義STK11変異のいずれかを有する全ての対象が含まれ;図18Bには、非同義STK11変異およびKRAS変異のいずれかを有する対象が含まれ;図18Cには、STK11のナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異のいずれかを有する全ての対象が含まれ;ならびに図18Dには、STK11およびKRAS変異のいずれかのナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異のいずれかを有する対象が含まれる。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す(図18A-18D)。 同上 同上 同上
図19は、ドセタキセル(データラベル1および2)または第二選択の3mg/kgの抗PD-1抗体治療(ニボルマブ;データラベル3および4)で治療した野生型STK11(データラベル2および4)またはSTK11における変異(データラベル1および3)を有する扁平上皮NSCLC対象についての生存確率のグラフ表示である。各群についての各時点におけるリスクを有する対象の数をX軸の下に示す(図19)。
本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)またはプログラム死-リガンド1(PD-L1)に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-L1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とする方法に関する。ある実施態様において、前記腫瘍は、NSCLCに由来する。
用語
本開示がより容易に理解されうるために、まず、一定の用語が定義される。本出願で用いられるように、本明細書で特に明確に供される場合を除き、下記用語の各々は、下記に記載される意味を有する。さらなる定義は本願を通して説明される。
「投与する」は、当業者に公知な様々な方法および送達系のいずれかを用いる治療剤を含む組成物の対象への物理的な導入を意味する。抗PD-1抗体のための投与経路には、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、または他の非経口の投与経路が含まれる。本明細書で用いられる用語「非経口投与」は、通常、注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、下記に限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボエレクトロポレーションが挙げられる。ある実施態様において、前記組み合わせは、非経口ではない経路により、ある実施態様において、経口で投与される。他の非経口ではない経路には、例えば、鼻腔内、膣内、経直腸、舌下、または局所で、局所、上皮、または粘膜の投与経路が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回もしくはそれ以上で長期間にわたり行うことができる。
本明細書で用いられる「有害事象」(AE)は、医学的処置の適用に関連する好ましくなく、一般に意図されてないか、または望ましくない徴候(検査所見異常を含む)、症状、または疾患である。例えば、有害事象は、処置に対する免疫系の活性化または免疫系細胞(例えば、T細胞)の増殖と関連しうる。医学的処置は、1つまたはそれ以上の関連AEを示し、各AEは、同一であるか、または異なる重症度レベルを示しうる。「有害事象を変化させる」ことができる方法は、異なる治療計画の適用に関連する1つまたはそれ以上のAEの出現および/または重症度を減少させる治療計画を意味する。
「抗体」(Ab)は、下記に限定されないが、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合により相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖またはこれらの抗原結合部分を含む糖タンパク質免疫グロブリンが含まれる。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、Vと略称される)および重鎖定常領域を含む。前記重鎖定常領域は、少なくとも3つの定常ドメインであるCH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、Vと略称される)および軽鎖定常領域を含む。前記軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、Cを含む。VおよびV領域は、さらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる高度に保存されている領域が組み入れられた相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域に細分類される。各VおよびVは、アミノ末端からカルボキシ末端へと下記の順で配列された3つのCDRおよび4つのFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。前記重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの宿主組織または因子(免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(C1q)を含む)への結合を介在することができる。
免疫グロブリンは、下記に限定はされないが、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含む、一般に公知のアイソタイプのいずれかに由来しうる。IgGサブクラスはまた、当業者に周知であり、下記に限定はされないが、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を意味する。用語「抗体」には、一例として、天然および非天然Ab;モノクローナルおよびポリクローナルAb;キメラおよびヒト化Ab;ヒトまたは非ヒトAb;全合成Ab;および一本鎖抗体が含まれる。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を減少させるために、組み換え方法によってヒト化することができる。特に示されておらず、文脈が他に示していない限り、用語「抗体」にはまた、前記免疫グロブリンのいずれの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分が含まれ、一価および二価フラグメントまたは一部、および一本鎖抗体が含まれる。
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない(例えば、PD-1に特異的に結合する単離された抗体は、PD-1以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)抗体を意味する。しかしながら、PD-1に特異的に結合する単離された抗体は、異なる種に由来するPD-1分子などの他の抗原に対して交差反応性を有しうる。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含み得ない。
用語「モノクローナル抗体」(「mAb」)は、単一の分子組成物の抗体分子、すなわち、主要な配列が本質的に同一であり、特定のエピトープに対する結合特異性および親和性を示す抗体分子の非天然で生じる調製物を意味する。モノクローナル抗体は、単離された抗体の一例である。MAbは、ハイブリドーマ、組み換え、トランスジェニックまたは当業者に公知の他の技術によって調製することができる。
「ヒト」抗体(HuMAb)は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を意味する。さらに、前記抗体が定常領域を含む場合、前記定常領域はまた、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムまたは部位特異的突然変異誘発またはインビボで体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含みうる。しかしながら、本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種(例えば、マウスなど)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むものではない。「ヒト」抗体および「完全ヒト」抗体なる用語は、同義的に用いられる。
「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体のCDRドメイン以外のいずれか、ほとんど、または全てがヒト免疫グロブリンに由来する対応アミノ酸に置換されている抗体を意味する。抗体のヒト化型の1の実施態様において、前記CDRドメイン以外のいずれか、ほとんど、または全ては、ヒト免疫グロブリンに由来するアミノ酸に置換されている一方、1つまたはそれ以上のCDR領域内のいずれか、ほとんど、または全ては変化してない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換、または修飾は、それらが特定の抗原に結合する抗体の能力を喪失しない限り許容される。「ヒト化」抗体は、元の抗体の抗原特異性と同様の抗原特性を保持する。
「キメラ抗体」は、可変領域がある種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域がマウス抗体に由来し、定常領域がヒト抗体に由来する抗体を意味する。
「抗抗原」抗体は、抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗PD-1抗体は、PD-1に特異的に結合する。
抗体の「抗原結合部分」(「抗原結合フラグメント」とも称される)は、全抗体によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたはそれ以上のフラグメントを意味する。
「癌」は、体内の異常な細胞の制御されない増殖により特徴付けられる様々な疾患の広い一群を意味する。無秩序な細胞分裂および増殖は、隣接組織に浸潤する悪性腫瘍を形成し、さらにリンパ系または血流を通って体の遠隔部分に転移しうる。
「セリン/スレオニンキナーゼ11」または「STK11」(「極性関連タンパク質LKB1としても公知」、「腎臓癌抗原NY-REN-19」、「肝臓キナーゼB1」、「EC2.7.11.1」、および「HLKB1」)は、細胞極性を調節し、腫瘍抑制因子として機能するセリン/スレオニンキナーゼファミリーのメンバーを意味する。STK11は、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)ファミリーメンバーの活性を制御し、それにより細胞代謝、細胞極性、アポトーシスおよびDNA損傷応答などの様々なプロセスにおいて役割を果たす。STK11は、遍在的に発現され、精巣および胎児の肝臓で最も高度に発現される。STK11は、一般に、NSCLC、とりわけ、KRAS変異を保有する腫瘍で不活性化されている。本明細書で記載されるように、変異型STK11、例えば、STK11の野生型発現の喪失は、NSCLCに由来する腫瘍におけるPD-L1発現の減少または異常と相関する。ある実施態様において、変異型STK11、例えば、野生型STK11発現の喪失は、NSCLCに由来する腫瘍で生じ、前記腫瘍は、野生型KRASを発現するか、または発現しない(例えば、前記腫瘍は、KRAS突然変異を有するか、または有さない)。ある実施態様において、前記STK11変異体は、例えば、Koyama et al., Cancer Res. 76(5):999-1008 (2016)、Skoulidis et al., Cancer Discov. 5(8):860-77 (2015)、および/またはSkoulidis et al., Cancer Disclov., May 17, 2018, DOI: 10.1158/2159-8290.CD-18-0099(各々は出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)に過去に記載されているSTK11変異体である。
「KRAS」は、低分子GTPアーゼのrasサブファミリーのメンバーであるGTPアーゼKRASタンパク質をコードする遺伝子を意味する。肺腺癌に罹っている患者の約15~25%は、腫瘍に関連するKRAS変異を有しており、その変異の大半は、KRASシグナル伝達の構成的な活性をもたらす。本明細書で用いられる「TP53」は、腫瘍抑制因子タンパク質p53をコードする遺伝子を意味する。p53は、細胞分裂を制御するように作用し、機能喪失の変異は、異常な細胞分裂と増殖を引き起こす。全ての癌の約半数には、TP53の体細胞突然変異が含まれる。本明細書で用いられる「サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A」または「CDKN2A」は、G1およびG2期中の細胞周期の停止を誘導することによって腫瘍抑制因子として作用するサイクリン依存性キナーゼ阻害因子2Aをコードする遺伝子を意味する。CDKN2Aの機能喪失変異は、肺癌において共通している。本明細書で用いられる「CUBN」は、内因子-ビタミンB12複合体に対する受容体であるキュビリンをコードする遺伝子を意味する。本明細書で用いられる「HERC1」は、HERCファミリーのメンバーであるHECTおよびRLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼファミリーメンバー1(HERC1)をコードする遺伝子を意味する。HERC1は、ARF1およびRabタンパク質におけるグアニンヌクレオチド交換を活性化し、膜輸送プロセスに関与しうる。
用語「免疫療法」は、免疫応答を誘発し、亢進し、抑制し、または調節することを含む方法によって、疾患に罹患しているか、または疾患に罹患するか、もしくは疾患を再発するリスクを有する対象の治療を意味する。対象の「治療」または「療法」は、疾患に関連する症状、合併症もしくは状態、または生化学的徴候の発症、悪化、進行、重症度または再発を緩和し、改善し、抑制し、遅延し、または予防するための対象において行われる介入または方法、または前記対象に対する活性な薬剤の投与を意味する。
本明細書で用いられる「PD-L1陽性」は、「少なくとも約1%のPD-L1発現」と交換可能に用いることができる。1の実施態様において、前記PD-L1発現は、当該技術分野で公知のいずれかの方法によって用いることができる。他の実施態様において、前記PD-L1発現は、自動IHCにより測定される。よって、PD-L1陽性腫瘍は、自動IHCにより測定されるPD-L1を発現する腫瘍細胞の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%を示しうる。1の実施態様において、「PD-L1陽性」は、細胞表面上でPD-L1を発現する少なくとも100個の細胞が存在することを意味する。
「プログラム死-1(PD-1)」は、CD28ファミリーに属するに属する免疫抑制受容体を意味する。PD-1は、主に、インビボで活性化されたことがあるT細胞上で発現され、2つのリガンド、PD-L1およびPD-L2に結合する。本明細書で用いられる用語「PD-1」には、ヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1の変異体、アイソフォーム、および種ホモログ、およびhPD-1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログが含まれる。完全なhPD-1配列は、GenBank受入番号U64863で見出すことができる。
「プログラム死リガンド1(PD-L1)」は、PD-1に結合することによりT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方調節するPD-1に対する2つの細胞表面糖タンパク質リガンドのうちの1つである(もう1つは、PD-L2である)。本明細書で用いられる用語「PD-L1」には、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソフォーム、および種ホモログ、およびhPD-L1と少なくとも1つの共通のエピトープを有するアナログが含まれる。完全なhPD-L1配列は、GenBank受入番号Q9NZQ7で見出すことができる。
「対象」には、ヒトまたは非ヒト動物のいずれもが含まれる。用語「非ヒト動物」としては、下記に限定されないが、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびに齧歯動物、例えば、マウス、ラットおよびモルモットが挙げられる。ある実施態様において、前記対象は、ヒトである。用語「対象」および「患者」は、本明細書において交換可能に用いられる。
薬物または治療剤の「治療有効量」または「治療有効用量」は、単独で、または別の治療剤と組み合わせて用いられる場合、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度の上昇および期間の増加、または疾患の苦痛による障害または能力障害の防止によって示されるような疾患の退縮を促進する薬物の量である。疾患の退縮を促進する治療剤の効力は、当業者に公知の様々な方法を用いて、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性が予測される動物モデル系において、またはインビトロアッセイで薬剤の活性を測定することによって評価することができる。
本明細書で用いられる「治療量以下の用量」は、過増殖性疾患(例えば、癌)の治療のために単独で投与される場合、治療化合物(例えば、抗体)の通常のまたは典型的な用量より低い用量を意味する。
一例として、「抗癌剤」は、対象における癌の退縮を促進するか、またはさらなる腫瘍増殖を抑制する。ある実施態様において、治療有効量の前記薬物は、癌を排除するまで癌の退縮を促進する。「癌の退縮を促進する」とは、有効量の前記薬物を単独の、または抗腫瘍剤と組み合わせた投与が、腫瘍の増殖もしくはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状における重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度の上昇および期間の増加、または疾患の苦痛による障害または能力障害の防止を生じることを意味する。加えて、治療に関する用語「有効な」および「有効性」には、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方が含まれる。薬理学的有効性は、患者における癌の退縮を促進する薬物の能力を意味する。生理学的安全性は、薬物の投与から生じる細胞、器官および/または生物レベルにおける毒性レベルまたはその他の有害な生理学的効果(副作用)を意味する。
腫瘍の治療のための一例として、治療有効量の抗癌剤は、細胞増殖または腫瘍増殖を、未治療の対象と比較して、少なくとも約20%まで、少なくとも約40%まで、少なくとも約60%まで、または少なくとも約80%まで阻害することができる。本開示の他の実施態様において、腫瘍の退縮は、少なくとも約20日間、少なくとも約40日間、または少なくとも約60日間観察され、継続することができる。治療効果のこれらの最終的な測定にもかかわらず、免疫治療薬物の評価はまた、「免疫関連」反応パターンを考慮しなければならない。
「免疫関連」反応パターンは、癌特異的な免疫応答を誘発するか、または内在的な免疫プロセスを調節することによって抗腫瘍効果を生じる免疫療法剤で治療した癌患者でよく見られる臨床反応パターンを意味する。この反応パターンは、従来の化学療法剤の評価において、疾患進行と分類され、薬物不全と同義とされるであろう腫瘍組織量の最初の増加または新たな病変の出現に続く有益な治療効果により特徴付けられる。よって、免疫療法剤の適正な評価は、標的の疾患に対するこれらの薬剤の効果の長期間のモニタリングが必要とされうる。
治療有効量の薬物には、単独で、または抗腫瘍剤と組み合わせて、癌を発症する危険性がある対象(例えば、前悪性状態を示す対象)または癌を再発する危険性がある対象に投与する場合、前記癌の発症または再発を抑制する薬物の量である「予防有効量」が含まれる。ある実施態様において、予防有効量は、癌の発症または再発を全体的に阻害する。癌の発症または再発を「抑制する」は、癌の進行または再発の可能性を低くし、あるいは癌の発症または再発を全体的に阻害することを意味する。
本明細書で用いられる用語「野生型」は、一般的な配列として当該技術分野で公知のアミノ酸配列を示すタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する遺伝子を意味する。例えば、ある実施態様において、「野生型」STK11は、UniProt識別番号(identifier)Q15831-1であるタンパク質のアミノ酸播悦と同一のアミノ酸配列を有するSTK11タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。ある態様において、「野生型」遺伝子は、変異が同義である限り(例えば、生成するタンパク質のアミノ酸配列に変化を生じないヌクレオチド変異)、遺伝子の従来のヌクレオチド配列に対して変異を有しうる。逆に、本明細書で用いられる「変異」または「変異型」遺伝子は、生成するアミノ酸配列を変化させる1つまたはそれ以上のヌクレオチド置換、挿入、または欠失を有する(例えば、非同義変異)遺伝子を意味する。変異型遺伝子は、発現することができ、または発現することができない。ある実施態様において、非同義変異は、ヌクレオチドの置換または欠失が未成熟終止コドンを生じる「ナンセンス変異」である。ある実施態様において、非同義変異は、ヌクレオチドの置換または欠失が、配列の翻訳におけるシフトを引き起こす3つで割り切れない多くのヌクレオチドの挿入または欠失を含む、「フレームシフト変異」である。ある実施態様において、非同義変異は、ヌクレオチドの置換または欠失が、スプライス部位を妨げるか、または作り出す「スプライシング変異」である。
本明細書で用いられる用語「腫瘍変異量」(TMB)は、腫瘍のゲノムにおける体細胞変異数および/または腫瘍のゲノムの1領域あたりの体細胞変異数を意味する。生殖細胞系列(遺伝)変異体は、その免疫系がこれらを自身のものとして認識する可能性が高いため、TMBを測定する際に除かれる。TMBは、腫瘍のゲノムの遺伝学的分析であり、当業者に周知のシークエンス方法を用いることによって測定することができる。1の実施態様において、TMBは、遺伝する生殖細胞系列の遺伝子変化を排除するために、比較する腫瘍を生殖細胞系列試料で標準化することによって同定した、腫瘍におけるミスセンス変異の総数を用いて測定される。TMBを測定するために、十分な量の試料が必要とされる。1の実施態様において、組織試料(例えば、最小10個の切片)が評価のために用いられる。
TMB状態は、参照セットの最も高い分位値内、または三分位値内の数値または相対値(例えば、高い、中間、または低い)でありうる。
本明細書で用いられる用語「高TMB」は、正常または平均である多くの体細胞変異を超える腫瘍のゲノムにおける体細胞変異数を意味する。ある実施態様において、TMBは、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、少なくとも400、少なくとも405、少なくとも410、少なくとも415、少なくとも420、少なくとも425、少なくとも430、少なくとも435、少なくとも440、少なくとも445、少なくとも450、少なくとも455、少なくとも460、少なくとも465、少なくとも470、少なくとも475、少なくとも480、少なくとも485、少なくとも490、少なくとも495、または少なくとも500のスコアを示し;他の実施態様において、高TMBは、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249、または少なくとも250のスコアを示し;ある実施態様において、高TMBは、少なくとも243のスコアを示す。他の実施態様において、「高TMB」は、参照TMB値の最も高い分位値内のTMBを意味する。例えば、「参照TMB値」は、全ての対象の値を、TMBの分位分布に従って評価可能なTMBデータでグループ化すること、すなわち、対象は、遺伝子変化の最も高いものから最も低い順にランク付けされ、特定数のグループに分類されることによって決定することができる。1の実施態様において、評価可能なTMBデータを有する全ての対象は、ランク付けされ、3つに分類され、「高TMB」は、参照TMB値の最も高い分位値内である。ある実施態様において、三分位値の境界は、0<100個の遺伝子変化;100~243個の遺伝子変化;および>243個の遺伝子変化である。ランク付けされると、評価可能なTMBデータを有する対象は、いずれかのグループ数(例えば、四分位、五分位など)に分類することができるものと理解されるべきである。
本明細書で用いられるように、用語「中間TMB」は、正常または平均である多くの体細胞変異またはその位の腫瘍のゲノムにおける体細胞変異数を意味し、用語「低TMB」は、正常または平均である体細胞変異より少ない腫瘍のゲノムにおける体細胞変異数を意味する。ある実施態様において、「高TMB」は、少なくとも243のスコアを示し、「中間TMB」は、100~242のスコアを示し、そして「低TMB」は、100以下(または0~100)のスコアを示す。
ある実施態様において、TMB状態は、喫煙状態と相関しうる。特に、現在喫煙しているか、または以前喫煙していた対象(d)は、喫煙していない対象(d)より多くの遺伝子変化、例えば、ミスセンス変異を示すことが多い。
高TMBを示す腫瘍はまた、高いネオ抗原量を示しうる。本明細書で用いられるように、用語「ネオ抗原」は、以前は免疫系によって認識されなかった新たに形成された抗原を意味する。ネオ抗原は、免疫系によって異物(または非自己)として認識されるタンパク質またはペプチドでありうる。体細胞変異を保有する腫瘍のゲノムにおける遺伝子の転写は、変異型mRNAを生じ、翻訳されると、変異型タンパク質を生成し、続いてプロセッシングを受け、ER内腔に輸送され、次いでMHCクラスI複合体に結合し、ネオ抗原のT細胞の認識が促進される。ネオ抗原の認識は、T細胞の活性化、クローン増殖、ならびにエフェクターおよび記憶T細胞への分化を促進することができる。
腫瘍のTMB状態は、特定の抗癌剤または治療もしくは療法のタイプ、例えば、癌免疫療法剤、例えば、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合部分または抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合部分から利益を享受する可能性があるかどうかを決定する際に、1つの因子として単独で、または他の因子と組み合わせて用いることができる。1の実施態様において、高TMB状態(または高TMB)は、癌免疫療法から利益を享受する可能性が高いことを示し、これにより抗PD-1抗体またはその抗原結合部分の治療から利益を享受する可能性のより高い患者を同定するために用いることができる。本明細書で用いられるように、用語「治療から利益を享受する」は、全生存、無進行生存、部分奏功、完全奏功、および全奏効率のうちの1つまたはそれ以上の改善を意味し、腫瘍増殖もしくはサイズの減少、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度の上昇および期間の増加、または疾患の苦痛による障害または能力障害の防止を含みうる。
用語「測定する」、「測定された」または「測定」は、遺伝子のTMB状態または変異状態を示す場合、対象の生物学的試料における体細胞変異の測定可能な量を調べることを意味する。測定は、試料中の核酸、例えば、cDNA、mRNA、exoRNA、ctDNA、およびcfDNAを配列決定することによって行うことができるものと評価される。測定は、対象の試料および/または参照の試料について行われ、例えば、新たに検出することもでき、または以前の測定に対応していてもよい。測定は、例えば、当業者に公知であるような、PCR法、qPCR法、サンガーシークエンシング法、ゲノムプロファイリング法(網羅的遺伝子パネルを含む)、エクソーム解析法、ゲノムシークエンシング法、および/または本明細書に記載される他の方法を用いて行うことができる。ある実施態様において、測定により、配列決定された核酸におけるゲノム変化が同定される。ゲノム(または遺伝子)プロファイリング法は、所定の遺伝子セットのパネル、例えば、150~500個の遺伝子に関連しうるものであり、ある例において、遺伝子パネルで評価されるゲノム変化は、評価される総体細胞変異と相関する。
本明細書で用いられる用語「ゲノム変化」は、腫瘍のゲノムのヌクレオチド配列における変化(または変異)(当該変化は、生殖細胞系列ヌクレオチド配列に存在しない)を意味し、ある実施態様において、下記に限定されないが、塩基対置換、塩基対挿入、塩基対欠失、コピー数変化(CNA)、遺伝子再配列、およびこれらのいずれかの組み合わせを含む非同義変異である。ある実施態様において、生物学的試料において測定されるゲノム変化は、ミスセンス変異である。
本明細書で用いられる用語「生物学的試料」は、対象から単離された生物学的物質を意味する。生物学的試料には、例えば、腫瘍(または循環腫瘍細胞)における核酸を配列決定し、配列決定された核酸のゲノム変化を同定することによってTMBを調べるために適当な生物学的物質が含まれうる。前記生物学的試料は、適当な生物学的組織または液体、例えば、腫瘍組織、血液、血漿、および血清でありうる。1の実施態様において、前記試料は、腫瘍組織生検、例えば、ホルマリン固定され、パラフィン包埋された腫瘍組織または新鮮凍結された腫瘍組織などである。別の実施態様において、生物学的試料は、ある実施態様において、1つまたはそれ以上の血液、血清、血漿、循環腫瘍細胞、exoRNA、ctDNA、およびcfDNAを含む液体生検である。
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢のうちの1つ、両方、またはこれらのいずれかの組み合わせを意味するものと理解されるべきである。本明細書で用いられるように、不定冠詞「a」または「an」は、記載されるか、または列挙される構成成分の「1つまたはそれ以上」を意味するものと理解されるべきである。
用語「約」または「を本質的に含む」は、当業者によって決定される特定の数値または組成物の許容される誤差範囲内である数値または組成物を意味し、一部、数値または組成物が測定され、または決定される方法による(すなわち、測定系の限界)。例えば、「約」または「を本質的に含む」は、当該技術分野における1回の実施あたり1またはそれ以上の標準偏差内を意味しうる。あるいは、「約」または「を本質的に含む」は、10%または20%までの範囲(すなわち、±10%または±20%)を意味しうる。例えば、約3mgは、(10%について)2.7mg~3.3mgまたは(20%について)2.4mg~3.6mgの間のいずれかの数値を含みうる。さらに、特に、生物学的システムまたはプロセスに関して、用語は、数値の一桁まで、または5倍までを意味しうる。特定の数値または組成物が本願および特許請求の範囲で供される場合、特に明記されていない限り、「約」または「を本質的に含む」の意味は、特定の数値または組成物の許容される誤差範囲内とされるべきである。
本明細書で用いられる用語「約1週間ごとに1回」、「約2週間ごとに1回」、または他の類似する投与間隔の用語は、おおよその数を意味する。「約1週間ごとに1回」は、7日間±1日ごと、すなわち、6日間ごとから8日間ごとを含みうる。「約2週間ごとに1回」は、14日間±3日、すなわち、11日間ごとから17日間ごとを含みうる。同様の概算は、例えば、約3週間ごとに1回、約4週間ごとに1回、約5週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、および約12週間ごとに1回に適用する。ある実施態様において、約6週間ごとに1回または約12週間ごとに1回の投与間隔は、最初の投薬が第1週におけるいずれかの日で投与し、続いて次の投与が、それぞれ第6週または第12週におけるいずれかの日で投与することができることを意味する。他の実施態様において、約6週間ごとに1回または約12週間ごとに1回の投与間隔は、最初の投薬が第1週の特定の日(例えば、月曜日)に投与され、続いて次の投薬が、それぞれ第6週または第12週の同一の曜日(すなわち、月曜日)に投与されることを意味する。
本明細書で称される用語「重量に基づく用量」は、患者に投与される用量が患者の重量に基づいて算出されることを意味する。例えば、60kgの体重の患者が3mg/kgの抗PD-1抗体を必要とする場合、投与のために適当な量の抗PD-1抗体(すなわち、180mg)を算出し、使用することができる。
本開示の方法に関する用語「固定用量」の使用は、単一の組成物中の2つまたはそれ以上の異なる抗体(例えば、抗PD-1抗体および第2の抗体)が、特に相互に(固定された)比率で組成物中に存在することを意味する。ある実施態様において、固定用量は、抗体の重量(例えば、mg)に基づくものである。ある実施態様において、固定用量は、抗体の濃度(例えば、mg/ml)に基づくものである。ある実施態様において、比率は、1mgの第2の抗体に対して少なくとも約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、または約2:1mgの第1の抗体(例えば、抗PD-1抗体)である。例えば、抗PD-1抗体および第2の抗体の3:1の比率は、バイアルには、約240mgの抗PD-1抗体および80mgの第2の抗体または約3mg/mlの抗PD-1抗体および1mg/mlの第2の抗体が含まれうることを意味しうる。
本開示の方法および用量に関する用語「フラット用量」の使用は、患者の重量または体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を意味する。それゆえ、フラット用量は、薬剤(例えば、抗PD-1抗体)のmg/kgの用量として提供されるものではなく、絶対量として供される。例えば、60kgのヒトと100kgのヒトは、同一用量の抗体(例えば、240mgの抗PD-1抗体)を受容する。
本明細書で記載されるように、濃度の範囲、割合の範囲、比率の範囲、または整数の範囲は、他に記載のない限り、記載される範囲内の整数、適宜、その分数(例えば、整数の10分の1および100分の1)の数値を含むものと理解されるべきである。
本開示の様々な態様は、下記の項目でさらに詳細に記載されている。
本開示の方法
本開示は、腫瘍に罹患している対象を治療するためのものであって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とするものを提供する。ある態様において、前記腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象は、STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-1抗体が投与される。ある態様において、本開示は、腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、野生型STK11遺伝子を有するとしてとして同定されているものである方法に関する。ある態様において、本開示は、抗PD-1抗体治療に適する腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを含む方法に関する。
さらに、本開示は、腫瘍に罹患している対象を治療するためのものであって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)プログラム死-リガンド1(PD-L1)に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-L1抗体」)を前記対象に投与することを特徴とするものを提供する。ある態様において、前記腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象は、STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-L1抗体が投与される。ある態様において、本開示は、腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-L1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、野生型STK11遺伝子を有するとして同定されているものである方法に関する。ある態様において、本開示は、抗PD-L1抗体治療に適する腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が野生型である場合、抗PD-L1抗体を前記対象に投与することを特徴とする方法に関する。
他の態様において、本開示は、腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が非同義変異を含む場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを含む方法に関する。本開示の他の態様は、抗PD-1抗体治療に適しない腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が非同義変異を含む場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、または抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定すことを含む方法に関する。
他の態様において、本開示は、腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が非同義変異を含む場合、抗PD-L1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-L1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-L1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-L1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする方法に関する。本開示の他の態様は、抗PD-L1抗体治療に適していない腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が非同義変異を含む場合、抗PD-L1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-L1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-L1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを含む方法に関する。
他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。本開示の他の態様は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、変異型マーカー遺伝子を有するとして同定され、前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。本開示のさらなる他の態様は、抗PD-1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを含み;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。
他の態様において、本開示は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-L1抗体を前記対象に投与することを特徴とし;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。本開示の他の態様は、腫瘍に罹患している対象の治療方法であって、抗PD-L1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、変異型マーカー遺伝子を有するとして同定され、前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。本開示のさらなる他の態様は、抗PD-L1抗体治療に適する腫瘍に罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるマーカー遺伝子の変異を決定し;次いで(ii)前記マーカー遺伝子が変異を有する場合、抗PD-L1抗体を前記対象に投与することを含み;前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである方法に関する。
ある実施態様において、前記対象は、TP53の変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、CDKN2Aの変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、PTPNDの変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、CUBNの変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、HERC1の変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、PTPNDおよびCUBNの変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、PTPNDおよびHERC1の変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、CUBNおよびHERC1の変異型を保有する。ある実施態様において、前記対象は、PTPND、CUBN、およびHERC1の変異型を保有する。
ある実施態様において、前記野生型STK11は、1つまたはそれ以上の同義変異を含み、ゲノム配列中の前記変異は、発現されるタンパク質の配列に影響を与えないものである。ある実施態様において、変異型STK11は、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型STK11は、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型STK11は、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型STK11は、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型STK11は、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型STK11タンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型STK11タンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型STK11タンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、変異型TP53は、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型TP53は、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型TP53は、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型TP53は、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型TP53は、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型TP53タンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型TP53タンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型TP53タンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、変異型CDKN2Aは、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型CDKN2Aは、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型 CDKN2Aは、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型CDKN2Aは、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型CDKN2Aは、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型CDKN2Aタンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型CDKN2Aタンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型CDKN2Aタンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、変異型PTPNDは、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型PTPNDは、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型PTPNDは、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型PTPNDは、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型PTPNDは、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型PTPNDタンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型PTPNDタンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型PTPNDタンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、変異型CUBNは、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型CUBNは、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型CUBNは、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型CUBNは、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型CUBNは、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型CUBNタンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型CUBNタンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型CUBNタンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、変異型HERC1は、非同義変異を含む。ある実施態様において、変異型HERC1は、ナンセンス変異を含む。ある実施態様において、変異型HERC1は、フレームシフト変異を含む。ある実施態様において、変異型HERC1は、スプライシング変異を含む。ある実施態様において、変異型HERC1は、mRNA、そしてタンパク質として発現される。ある実施態様において、変異型HERC1タンパク質は、機能的である。他の実施態様において、変異型HERC1タンパク質は、減少した活性を有する。他の実施態様において、変異型HERC1タンパク質は、非機能的である。
ある実施態様において、前記腫瘍は、肺癌に由来する。ある実施態様において、前記腫瘍は、NSCLCに由来する。ある実施態様において、前記対象は、ヒト患者である。ある実施態様において、前記対象は、化学療法未治療の患者(例えば、化学療法を一切受けていない患者)である。他の実施態様において、本発明の併用療法についての対象は、別の癌治療(例えば、化学療法)を受けていたが、このような別の癌治療に対して耐性であるか、難治性である。
ある実施態様において、本開示は、扁平上皮NSCLCに罹患している対象を治療するためのものであって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体(または抗PD-L1抗体)を前記対象に投与することを特徴とするものを提供する。ある実施態様において、本開示は、扁平上皮NSCLCに罹患している対象の治療方法であって、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とし、前記対象が、変異型STK11遺伝子を有するとして同定されているものである方法に関する。ある実施態様において、本開示は、抗PD-1抗体治療に適する扁平上皮NSCLCに罹患している対象を同定するための方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が変異を有する場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを含む方法に関する。
他の態様において、本開示は、扁平上皮NSCLCに罹患している対象の治療方法であって、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;次いで(ii)STK11遺伝子が非同義変異を含む場合、抗PD-1抗体(または抗PD-L1抗体)を前記対象に投与するか、あるいは抗PD-1抗体(または抗PD-L1抗体)治療を終了させ、または増強させることを特徴とする方法に関する。
ある実施態様において、本開示の治療(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の投与)は、対象の生存期間を有効に増加させる。ある実施態様において、本開示の抗PD-1抗体治療は、対象の無進行生存期間を増加させる。ある実施態様において、本開示の抗PD-1抗体治療は、標準治療と比較して、対象の無進行生存期間を増加させる。抗PD-1抗体治療の投与後、腫瘍に罹患している対象は、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約13ヶ月間、少なくとも約14ヶ月間、少なくとも約15ヶ月間、少なくとも約16ヶ月間、少なくとも約17ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約19ヶ月間、少なくとも約20ヶ月間、少なくとも約21ヶ月間、少なくとも約22ヶ月間、少なくとも約23ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の全生存期間を示しうる。
他の実施態様において、対象の生存または全生存期間は、標準治療(例えば、ドセタキセル)のみまたは前記治療の異なる投与スケジュールで治療した別の対象と比較して、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約1年間増加する。例えば、本明細書に記載される抗PD-1抗体で治療した対象の生存または全生存期間は、標準治療(例えば、ドセタキセル)のみまたは併用療法の異なる投与スケジュールで治療した別の対象と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約75%まで増加する。
ある実施態様において、本開示の治療は、対象の無進行生存期間を有効に増加させる。ある実施態様において、前記対象は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無進行生存期間を示す。
ある実施態様において、抗PD-1抗体の投与は、腫瘍を治療する。1の実施態様において、前記投与は、腫瘍サイズを減少させる。ある実施態様において、腫瘍サイズは、投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%まで減少する。他の実施態様において、前記対象は、最初の投与後少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無進行生存期間を示す。ある実施態様において、前記対象は、投与後に安定な病状を示す。ある実施態様において、前記対象は、投与後に部分奏功を示す。ある実施態様において、前記対象は、投与後に完全奏功を示す。ある実施態様において、前記対象は、標準治療で治療した対象と比較して、投与後に改善された客観的奏功率(ORR)を示す。
PD-L1発現
ある実施態様において、前記対象は、PD-L1+である腫瘍細胞を有する。ある実施態様において、前記対象は、PD-L1-である癌細胞を有する。ある実施態様において、対象は、一切喫煙していないものである。1の実施態様において、前記対象は、以前喫煙していたものである。ある実施態様において、前記対象は、現在喫煙しているものである。ある実施態様において、前記対象は、扁平の癌細胞を有する。ある実施態様において、前記対象は、非扁平の癌細胞を有する。
ある実施態様において、前記腫瘍は、PD-L1発現の散在パターンを示す。ある実施態様において、PD-L1発現の散在パターンは、約60~約500、約70~約490、約80~約480、約90~約470、約100~約460、約110~約450、約120~約440、約130~約430、約140~約420、約150~約410、約160~約400、約170~約390、約180~約380、約190~約370、約200~約360、約20~約350、約200~約340、約200~約330、約200~約320、約200~約310、または約200~約300のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。ある実施態様において、PD-L1発現の散在パターンは、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約210、少なくとも約220、少なくとも約225、少なくとも約230、少なくとも約240、少なくとも約250、少なくとも約260、少なくとも約270、少なくとも約275、少なくとも約280、少なくとも約290、または少なくとも約300のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。ある実施態様において、PD-L1発現の散在パターンは、少なくとも約200のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。他の実施態様において、PD-L1発現の散在パターンは、少なくとも約240のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。ある実施態様において、PD-L1発現の散在パターンは、少なくとも約260のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。
ある実施態様において、前記腫瘍は、PD-L1発現の不均一パターンを示す。ある実施態様において、PD-L1発現の不均一パターンは、約1~約50、約5~約45、約10~約40、または約15~約35のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられ、前記PD-L1発現は、腫瘍の1つまたはそれ以上の異なる部分に限定される。ある実施態様において、PD-L1発現の不均一パターンは、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、または少なくとも約40のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。ある実施態様において、PD-L1発現の不均一パターンは、少なくとも約15のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。他の実施態様において、PD-L1発現の不均一パターンは、少なくとも約20のPD-L1のH-スコアにより特徴付けられる。ある実施態様において、PD-L1発現の不均一パターンは、PD-L1を発現する少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、または少なくとも150のPD-L1を含む一部の腫瘍により特徴付けられる。ある実施態様において、一部の腫瘍細胞内の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%がPD-L1を発現する。
ある実施態様において、前記腫瘍は、腫瘍間質接合面でPD-L1発現を示す。ある実施態様において、腫瘍間質接合面のPD-L1発現は、腫瘍細胞の前記接合面への隣接(例えば、約1細胞径、約2細胞径、約3細胞径、約4細胞径、約5細胞径、約6細胞径、約7細胞径、約8細胞径、約9細胞径、または約10細胞径)によるPD-L1発現により特徴付けられる。ある実施態様において、腫瘍間質接合面のPD-L1発現は、腫瘍表面上のPD-L1発現により特徴付けられる。
対象における腫瘍のPD-L1発現状態は、本明細書に記載される組成物を投与するか、または本明細書に記載される方法を用いる前に測定することができる。ある実施態様において、腫瘍のPD-L1発現レベルは、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。他の実施態様において、腫瘍のPD-L1発現状態は、少なくとも約1%である。他の実施態様において、腫瘍のPD-L1発現状態は、少なくとも約5%である。ある実施態様において、腫瘍のPD-L1発現状態は、少なくとも約10%である。ある実施態様において、腫瘍のPD-L1発現状態は、少なくとも約25%である。特定の実施態様において、腫瘍のPD-L1発現状態は、少なくとも約50%である。
ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が野生型であり、PD-L1発現が、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が野生型であり、前記PD-L1発現が少なくとも約15%である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が野生型であり、前記PD-L1発現が少なくとも約25%である場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)STK11遺伝子が野生型であり、前記PD-L1発現が少なくとも約50%である場合、前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)抗PD-1抗体を前記対象に投与することを特徴とする。
ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約50%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約40%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)腫瘍(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC)に罹患している対象におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約30%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約25%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約20%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約15%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約10%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約5%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約3%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約2%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。ある実施態様において、本開示の方法は、(i)前記対象におけるSTK11遺伝子の変異状態を決定し;(ii)前記腫瘍におけるPD-L1発現を検出し;次いで(iii)STK11遺伝子が非同義変異を含み、腫瘍のPD-L1発現が約1%以下である場合、抗PD-1抗体の投与に適していないとして、例えば、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないとして、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させるとして、例えば、PD-1アンタゴニストではない抗癌剤を投与するとして、前記対象を同定することを特徴とする。
ある実施態様において、前記腫瘍は、高レベルの炎症を示しうる。増加した炎症は、散在PD-L1発現パターンの指標となりうる。よって、高い腫瘍炎症は、抗PD-1抗体治療に対する応答の指標となりうる。
検出方法
本開示のある実施態様は、対象における1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子(例えば、STK11)の変異状態を決定することに関する。当該技術分野で公知の方法は、対象がマーカー遺伝子の野生型または変異型を保有するかどうかを決定することに用いることができる。ある実施態様において、標的マーカー遺伝子は、当該技術分野で利用可能な手法を用いて配列決定され、前記マーカー遺伝子の配列は、当該技術分野における同一のマーカー遺伝子の既知の配列と比較される。ある実施態様において、前記マーカー遺伝子は、非同義変異を有する。ある実施態様において、前記マーカー遺伝子は、ナンセンス変異を有する。ある実施態様において、前記マーカー遺伝子は、フレームシフト変異を有する。ある実施態様において、前記マーカー遺伝子は、スプライシング変異を有する。ある実施態様において、変異型マーカー遺伝子が発現される。他の実施態様において、前記変異型マーカー遺伝子が発現されていない。
ある実施態様において、マーカー遺伝子の変異状態は、前記マーカー遺伝子の発現を検出することによって決定される。ある実施態様において、標的遺伝子の変異型が発現されておらず、生じたmRNAおよび/またはタンパク質の欠失が変異型の存在を示す。ある実施態様において、マーカー遺伝子の変異状態は、生じたmRNAおよび/または生じたタンパク質を配列決定することによって決定される。ある実施態様において、マーカー遺伝子の変異状態は、生じたタンパク質に対する免疫組織化学によって決定される。
ある実施態様において、前記対象は、マーカー遺伝子の1つの野生型コピーおよび1つの変異型コピーを有する。ある実施態様において、前記対象は、マーカー遺伝子の2つの野生型コピーを有し、マーカー遺伝子の変異型コピーを有しない。ある実施態様において、前記対象は、マーカー遺伝子の2つの変異型コピーを有し、野生型マーカー遺伝子を有しない。ある実施態様において、マーカー遺伝子の2つの変異型コピーは同一である。ある実施態様において、前記対象は、マーカー遺伝子の2つの異なる変異型コピーを有する。
本開示のある実施態様は、対象の腫瘍における1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子の発現レベルを決定し、および/または測定することに関する。PD-L1発現を評価するために、1の実施態様において、試験組織試料は、治療を必要とする患者から取得することができる。別の実施態様において、PD-L1発現の評価は、試験組織試料を取得することなく行うことができる。ある実施態様において、適当な患者の選択には、(i)適宜、前記組織の癌に罹患している患者から取得される試験組織試料を供することであって、前記試験組織試料には、腫瘍細胞および/または腫瘍浸潤性炎症細胞が含まれ;次いで(ii)細胞表面上でPD-L1を発現する試験組織試料における細胞の割合が所定の閾値より高いとの評価に基づいて、細胞表面上でPD-L1を発現する前記試験組織試料における細胞の割合を評価することが含まれる。
しかしながら、試験組織試料におけるPD-L1発現の測定を含む方法において、患者から取得される試験組織試料の提供を含む工程は、任意の工程であることが理解されるべきである。また、ある実施態様において、PD-L1を発現する(例えば、細胞表面上のPD-L1発現)試験組織試料における細胞の数または割合を同定し、または決定するための「測定」または「評価」工程は、PD-L1発現を測定する改変方法によって、例えば、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイまたはIHCアッセイを実施することによって行われる。ある他の実施態様において、改変方法を含まず、PD-L1発現は、例えば、研究室からの試験結果の報告を検討することによって測定される。ある実施態様において、PD-L1発現を評価するまで、およびこれらを含む前記方法の工程は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体治療の適当な候補を選択する際に使用するために医師または他のヘルスケア提供者に供されうる中間結果を提供する。ある実施態様において、前記中間結果を提供する工程は、医師または医師の指導の下で実施する他の者によって行われる。他の実施態様において、これらの工程は、独立した研究室または独立した人、例えば、研究室の技術者によって行われる。
本方法のいずれかのある実施態様において、PD-L1を発現する細胞の割合は、PD-L1のRNAの存在を決定するためのアッセイを行うことによって評価される。さらなる実施態様において、PD-L1のRNAの存在は、RT-PCR、インサイチュハイブリダイゼーションまたはRNアーゼプロテクションによって決定される。他の実施態様において、PD-L1を発現する細胞の割合は、PD-L1ポリペプチドの存在を決定するためのアッセイを行うことによって評価される。さらなる実施態様において、PD-L1ポリペプチドの存在は、免疫組織化学(IHC)、酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)、インビボイメージング、またはフローサイトメトリーによって決定される。ある実施態様において、PD-L1発現は、IHCによってアッセイされる。これらの方法の全ての他の実施態様において、PD-L1の細胞表面発現は、例えば、IHCまたはインビボイメージングを用いてアッセイされる。
イメージング技術は、癌研究および治療における重要なツールを提供する。ポジトロン放出断層撮影(PET)、単光子放射コンピュータートモグラフィー(SPECT)、蛍光リフレクタンスイメージング(FRI)、蛍光分子トモグラフィー(FMT)、生物発光イメージング(BLI)、レーザー走査共焦点顕微鏡(LSCM)、および多光子顕微鏡(MPM)を含む分子イメージングシステムの最近の開発は、癌研究におけるこれらの技術のさらなる用途を予見させうるものである。これらの分子イメージングシステムのいくつは、臨床医が、腫瘍が体内に局在する位置を見ることだけではなく、腫瘍の挙動および/または治療薬に対する応答性に影響を及ぼす特定の分子の発現および活性、細胞、および生物学的プロセスを視覚化することを可能にする(Condeelis and Weissleder, "In vivo imaging in cancer," Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 2(12):a003848 (2010))。抗体特異性について、PETの感度と解像度を組み合わせて、免疫PETイメージングが、特に組織試料における抗原の発現をモニターし、アッセイすることを可能にする(McCabe and Wu, "Positive progress in immunoPET-not just a coincidence," Cancer Biother. Radiopharm. 25(3):253-61 (2010); Olafsen et al., "ImmunoPET imaging of B-cell lymphoma using 124I-anti-CD20 scFv dimers (diabodies)," Protein Eng. Des. Sel. 23(4):243-9 (2010))。本方法のいずれかのある実施態様において、PD-L1発現は、免疫PETイメージングによってアッセイされる。本方法のいずれかのある実施態様において、PD-L1を発現する試験組織試料における細胞の割合は、試験組織試料における細胞表面上のPD-L1ポリペプチドの存在を決定するためのアッセイを行うことによって評価される。ある実施態様において、前記試験組織試料は、FFPE組織試料である。他の実施態様において、PD-L1ポリペプチドの存在は、IHCアッセイによって決定される。さらなる実施態様において、前記IHCアッセイは、自動化された方法を用いて行われる。ある実施態様において、前記IHCアッセイは、PD-L1ポリペプチドに結合する抗PD-L1モノクローナル抗体を用いて行われる。
本方法の1の実施態様において、自動化されたIHC方法は、FFPE組織試料における細胞表面上のPD-L1の発現をアッセイするために用いられる。本開示は、試験組織試料におけるヒトPD-L1抗原の存在を検出するか、あるいは前記抗原を発現する試料におけるヒトPD-L1抗原のレベルまたは細胞の割合を定量するための方法を提供するものであって、前記方法には、前記試験試料および陰性コントロール試料を、抗体またはその一部とヒトPD-L1との間での複合体の形成を可能とする条件下において、ヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体と接触させることが含まれる。ある実施態様において、試験およびコントロール組織試料は、FFPE試料である。次に、複合体の形成が検出されるものであって、試験試料と陰性コントロール試料との複合体の形成における相違は、試料中にヒトPD-L1抗原の存在を示すものである。様々な方法がPD-L1発現を定量するために用いられる。
特定の実施態様において、自動化されたIHC方法には、(a)包埋された組織切片を自動染色装置において脱パラフィンし、再水和し;(b)抗原を、抗原賦活化装置(Decloaking chamber)およびpH6緩衝液を110℃に10分間加熱して用いて賦活化し;(c)試薬を自動染色装置に配置し;次いで(d)組織試料における内因性ペルオキシダーゼを中和し;スライド上の非特異的タンパク質結合部位をブロッキングし;スライドを一次Abとインキュベートし;一次抗体後の(postprimary)ブロッキング剤とインキュベート;NovoLinkポリマーとインキュベートし;クロモゲン基質を加え、発色し;次いで、ヘマトキシリンで対比染色する工程を含む自動染色装置を起動することが含まれる。
腫瘍組織試料におけるPD-L1発現を評価するために、病理学者は、顕微鏡で各視野における膜PD-L1+腫瘍細胞の数を数え、陽性である細胞の割合を心の中で推定し、続いてそれらを最終の割合となるように平均化する。異なる染色強度は、0/陰性、l+/弱、2+/中間、および3+/強として定義される。典型的に、パーセント値は、最初に0および3+バケットに割り当て、次いで中間の1+および2+強度を検討する。For 極めて不均一な組織については、試料を区域に分類し、各区域を別々にスコア化し、次いで単一セットのパーセント値に合わせる。異なる染色強度についての陰性および陽性細胞の割合を各領域から決定し、中央値を各区域に付与する。最終的なパーセンテージ値を各染色強度カテゴリー(陰性、1+、2+、および3+)について組織に付与する。全ての染色強度の合計は、100%であることが必要となる。1の実施態様において、PD-L1陽性として必要とされる細胞の閾値数は、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約175、または少なくとも約200細胞である。ある実施態様において、PD-L1陽性として必要とされる細胞の閾値数は、少なくとも約100細胞である。
染色はまた、腫瘍浸潤性炎症細胞(例えば、マクロファージおよびリンパ球)において評価される。多くの場合、染色が大部分のマクロファージで見られることから、マクロファージは、内部陽性コントロールとして役割を果たす。3+強度で染色されることを要するわけではないが、マクロファージの染色がないことは技術的な失敗の除外を考慮すべきではない。マクロファージおよびリンパ球は、細胞膜の染色について評価され、全ての試料について各細胞カテゴリーの陽性または陰性としてのみ記録される。染色はまた、腫瘍内側/外側の免疫細胞の命名に従って特徴付けられる。「内側」は、免疫細胞が、腫瘍組織内および/または腫瘍細胞間に物理的に挿入されることなく腫瘍領域の境界上に存在することを意味する。「外側」は、腫瘍との物理的な関連が存在しないことを意味し、免疫細胞は結合組織と関連する末梢またはこれに関連する隣接組織で見出される。
これらのスコアを付ける方法のある実施態様において、前記試料は、別々に実施する2人の病理学者によってスコア付けられ、これらのスコアは後に統合される。ある他の実施態様において、陽性および陰性細胞の同定は、適当なソフトウェアを用いてスコア付けされる。
組織スコア(histoscore)または「H-スコア」は、IHCデータのより定量的な尺度として用いられる。組織スコアは、下記のように算出される:
組織スコア=[(%腫瘍x1(低強度))+(%腫瘍x2(中間強度))+(%腫瘍x3(高強度)]。
組織スコアを決定するために、病理学者は、試料内の各強度カテゴリーで染色細胞の割合を推定する。大半のバイオマーカーの発現が不均一であるため、組織スコアは、全体の発現のより正確な代表例である。最終的な組織スコアの範囲は、0(発現なし)~300(最大発現)である。
試験組織試料IHCにおけるPD-L1発現を定量するための他の方法は、腫瘍浸潤性炎症細胞によるPD-L1発現パーセントを乗じることによる炎症強度として定義される修正炎症スコア(AIS)を決定することである(Taube et al., "Colocalization of inflammatory response with B7-h1 expression in human melanocytic lesions supports an adaptive resistance mechanism of immune escape," Sci. Transl. Med. 4(127):127ra37 (2012))。
腫瘍変異量(TMB)
本開示の他の態様は、対象から取得された腫瘍組織のTMBを測定することに関する。腫瘍が増殖するにつれ、生殖細胞系列DNAに存在しない体細胞変異が蓄積する。腫瘍変異量(TMB)は、(生殖細胞系列の変異DNAを考慮に入れた後の)腫瘍ゲノムにおける体細胞変異数および/または腫瘍ゲノムの1領域あたりの体細胞変異数を意味する。体細胞変異の獲得、すなわち、より高いTMBは、異なるメカニズム、例えば、外因性変異誘導源への暴露(例えば、喫煙またはUV光暴露)およびDNAミスマッチ修復突然変異(例えば、結腸直腸および食道癌におけるMSI)によって影響されうる。固形腫瘍において、突然変異の約95%は、一塩基置換である(Vogelstein et al., Science (2013) 339:1546-1558.)。本明細書における「非同義変異」は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させるヌクレオチド変異を意味する。ミスセンス変異およびナンセンス変異は、両方とも非同義変異でありうる。本明細書における「ミスセンス変異」は、単一のヌクレオチド変化が、異なるアミノ酸をコードするコドンを生じる非同義の点変異を意味する。本明細書における「ナンセンス変異」は、コドンが、生成されたタンパク質の切断を生じる未成熟終止コドンに変化されている非同義の点変異を意味する。
1の実施態様において、体細胞変異は、RNAおよび/またはタンパク質レベルで発現され、ネオ抗原(ネオエピトープとも称される)を生じうる。ネオ抗原は、免疫介在の抗腫瘍応答に影響を及ぼしうる。例えば、ネオ抗原の認識は、T細胞活性化、クローン性増殖、およびエフェクターおよび記憶T細胞への分化を促進しうる。
腫瘍が増殖するにつれ、初期のクローン変異(または「トランク変異(trunk mutation)」)は、ほとんどまたは全ての腫瘍細胞に運ばれうるが、後期の変異(または「ブランチ変異(branch mutation)」)は、腫瘍細胞または領域の一部のみに生じうる(Yap et al., Sci Tranl Med (2012) 4:1-5; Jamai-Hanjani et al., (2015) Clin Cancer Res 21:1258-1266.)。結果として、クローンの「トランク」変異に由来するネオ抗原は、「ブランチ」変異のものより腫瘍ゲノムにおいてより広範囲に広がり、それゆえ、クローンのネオ抗原に対して反応性を有する多くのT細胞を生じうる(McGranahan et al., (2016) 351:1463-1469.)。一般に、高TMBを有する腫瘍はまた、高いネオ抗原量を有し、高い腫瘍免疫原性および高いT細胞反応性と抗腫瘍応答を生じうる。よって、高TMBを有する癌は、免疫療法、例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による治療に十分に応答しうる。
配列決定技術の進歩は、腫瘍のゲノム変異状況の評価を可能にする。当業者に公知の配列決定法は、(例えば、腫瘍に罹患している対象に由来する生物学的試料から取得された)腫瘍ゲノムに由来する核酸を配列決定するために用いることができる。1の実施態様において、PCRまたはqPCR法、サンガーシークエンシング法、または次世代シークエンシング法(例えば、ゲノムプロファイリング、エクソーム解析、またはゲノムシークエンシング)は、TMBを測定するために用いることができる。ある実施態様において、TMB状態は、ゲノムプロファイリングを用いて測定される。ゲノムプロファイリングは、腫瘍試料に由来する核酸(コード領域および非コード領域を含む)を解析することに関連し、組み込まれる最適化核酸の選択、リードアラインメント(read alignment)、および変異コール(mutation calling)を含む方法を用いて行うことができる。ある実施態様において、遺伝子プロファイリングは、1つの癌ごと、1つの遺伝子ごと、および/または1つの部位ごとに基づいて最適化することができる腫瘍の次世代シークエンシング(NGS)に基づく分析を提供する。ゲノムプロファイリングは、配列決定法、特に、多くの様々な遺伝子における多くの様々な遺伝学的事象の超並列シークエンシングによる方法において、性能を最適化するための複数の個別に変更したアラインメント法またはアルゴリズムの使用を組み込むことができる。ゲノムプロファイリングは、臨床レベルの質で対象の癌ゲノムの網羅的解析を提供し、遺伝学的分析の成果は、癌治療の質と効率を高めるための関連科学および医学的知識において適切でありうる。
ゲノムプロファイリングは、5個のみの遺伝子または1000個の遺伝子、約25個~約750個の遺伝子、約100個~約800個の遺伝子、約150個~約500個の遺伝子、約200個~約400個の遺伝子、約250個~約350個の遺伝子を含む所定セットの遺伝子パネルに関する。1の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、少なくとも300個の遺伝子、少なくとも305個の遺伝子、少なくとも310個の遺伝子、少なくとも315個の遺伝子、少なくとも320個の遺伝子、少なくとも325個の遺伝子、少なくとも330個の遺伝子、少なくとも335個の遺伝子、少なくとも340個の遺伝子、少なくとも345個の遺伝子、少なくとも350個の遺伝子、少なくとも355個の遺伝子、少なくとも360個の遺伝子、少なくとも365個の遺伝子、少なくとも370個の遺伝子、少なくとも375個の遺伝子、少なくとも380個の遺伝子、少なくとも385個の遺伝子、少なくとも390個の遺伝子、少なくとも395個の遺伝子、または少なくとも400個の遺伝子を含む。別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、少なくとも325個の遺伝子を含む。特定の態様において、前記ゲノムプロフィールは、少なくとも315個の癌関連遺伝子および28個の遺伝子のイントロン(FOUNDATIONONE(登録商標))、または406個の遺伝子の全DNAコード配列、再配列された31個の遺伝子のイントロンおよび265個の遺伝子のRNA配列(cDNA)(FOUNDATIONONE(登録商標)Heme)を含む。別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、26個の遺伝子および1000個の関連する変異(EXODX(登録商標)固形腫瘍)を含む。さらに他の態様において、前記ゲノムプロフィールは、76個の遺伝子(Guardant360)を含む。さらに別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、73個の遺伝子(Guardant360)を含む。他の態様において、前記ゲノムプロフィールは、354個の遺伝子および再配列のための28個の遺伝子のイントロン(FOUNDATIONONE(登録商標)CDXTM)を含む。ある実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、FOUNDATIONONE(登録商標)F1CDxである。別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、468個の遺伝子(MSK-IMPACTTM)を含む。1つまたはそれ以上の遺伝子が、腫瘍学に関連するものとして同定されるさらなる遺伝子として、前記ゲノムプロフィールに加えられうる。
さらに別の特定の態様において、前記ゲノムプロファイリングは、全ての変異型、すなわち、一ヌクレオチド変異体、挿入/欠失(インデル)、コピー数変異、および再配列、例えば、転座、発現、およびエピジェネティックなマーカーを検出する。
網羅的遺伝子パネルは、解析される腫瘍のタイプに基づいて選択される所定の遺伝子を含みうる。よって、TMB状態を測定するために用いられるゲノムプロフィールは、対象が罹患している腫瘍のタイプに基づいて選択することができる。1の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、特に、固形腫瘍に対する一組の遺伝子を含みうる。別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、特に、血液学的悪性腫瘍および肉腫に対する一組の遺伝子を含みうる。
1の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、ABL1、BRAF、CHEK1、FANCC、GATA3、JAK2、MITF、PDCD1LG2、RBM10、STAT4、ABL2、BRCA1、CHEK2、FANCD2、GATA4、JAK3、MLH1、PDGFRA、RET、STK11、ACVR1B、BRCA2、CIC、FANCE、GATA6、JUN、MPL、PDGFRB、RICTOR、SUFU、AKT1、BRD4、CREBBP、FANCF、GID4(C17orf39)、KAT6A(MYST3)、MRE11A、PDK1、RNF43、SYK、AKT2、BRIP1、CRKL、FANCG、GLI1、KDM5A、MSH2、PIK3C2B、ROS1、TAF1、AKT3、BTG1、CRLF2、FANCL、GNA11、KDM5C、MSH6、PIK3CA、RPTOR、TBX3、ALK、BTK、CSF1R、FAS、GNA13、KDM6A、MTOR、PIK3CB、RUNX1、TERC、AMER1(FAM123B)、C11orf30(EMSY)、CTCF、FAT1、GNAQ、KDR、MUTYH、PIK3CG、RUNX1T1、TERT(プロモーターのみ)、APC、CARD11、CTNNA1、FBXW7、GNAS、KEAP1、MYC、PIK3R1、SDHA、TET2、AR、CBFB、CTNNB1、FGF10、GPR124、KEL、MYCL(MYCL1)、PIK3R2、SDHB、TGFBR2、ARAF、CBL、CUL3、FGF14、GRIN2A、KIT、MYCN、PLCG2、SDHC、TNFAIP3、ARFRP1、CCND1、CYLD、FGF19、GRM3、KLHL6、MYD88、PMS2、SDHD、TNFRSF14、ARID1A、CCND2、DAXX、FGF23、GSK3B、KMT2A(MLL)、NF1、POLD1、SETD2、TOP1、ARID1B、CCND3、DDR2、FGF3、H3F3A、KMT2C(MLL3)、NF2、POLE、SF3B1、TOP2A、ARID2、CCNE1、DICER1、FGF4、HGF、KMT2D(MLL2)、NFE2L2、PPP2R1A、SLIT2、TP53、ASXL1、CD274、DNMT3A、FGF6、HNF1A、KRAS、NFKBIA、PRDM1、SMAD2、TSC1、ATM、CD79A、DOT1L、FGFR1、HRAS、LMO1、NKX2-1、PREX2、SMAD3、TSC2、ATR、CD79B、EGFR、FGFR2、HSD3B1、LRP1B、NOTCH1、PRKAR1A、SMAD4、TSHR、ATRX、CDC73、EP300、FGFR3、HSP90AA1、LYN、NOTCH2、PRKCI、SMARCA4、U2AF1、AURKA、CDH1、EPHA3、FGFR4、IDH1、LZTR1、NOTCH3、PRKDC、SMARCB1、VEGFA、AURKB、CDK12、EPHA5、FH、IDH2、MAGI2、NPM1、PRSS8、SMO、VHL、AXIN1、CDK4、EPHA7、FLCN、IGF1R、MAP2K1、NRAS、PTCH1、SNCAIP、WISP3、AXL、CDK6、EPHB1、FLT1、IGF2、MAP2K2、NSD1、PTEN、SOCS1、WT1、BAP1、CDK8、ERBB2、FLT3、IKBKE、MAP2K4、NTRK1、PTPN11、SOX10、XPO1、BARD1、CDKN1A、ERBB3、FLT4、IKZF1、MAP3K1、NTRK2、QKI、SOX2、ZBTB2、BCL2、CDKN1B、ERBB4、FOXL2、IL7R、MCL1、NTRK3、RAC1、SOX9、ZNF217、BCL2L1、CDKN2A、ERG、FOXP1、INHBA、MDM2、NUP93、RAD50、SPEN、ZNF703、BCL2L2、CDKN2B、ERRFI1、FRS2、INPP4B、MDM4、PAK3、RAD51、SPOP、BCL6、CDKN2C、ESR1、FUBP1、IRF2、MED12、PALB2、RAF1、SPTA1、BCOR、CEBPA、EZH2、GABRA6、IRF4、MEF2B、PARK2、RANBP2、SRC、BCORL1、CHD2、FAM46C、GATA1、IRS2、MEN1、PAX5、RARA、STAG2、BLM、CHD4、FANCA、GATA2、JAK1、MET、PBRM1、RB1、STAT3、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。他の実施態様において、前記TMB分析は、ETV4、TMPRSS2、ETV5、BCR、ETV1、ETV6、およびMYBのうちの1つまたはそれ以上におけるゲノム変化を同定することをさらに含む。他の実施態様において、SKT11遺伝子の変異状態は、TMB分析の一部として、または上記に記載されるように評価することができる。
1の実施態様において、ゲノムプロファイリングに基づくTMB状態は、全エキソームシークエンシングまたは全ゲノムシークエンシングに基づくTMB状態と極めて相関する。
TMBは、組織生検試料もしくはctDNAおよび/または液体生検試料を用いて測定することができる。ctDNAは、利用可能な方法(例えば、GRAIL社)を用いて、全エキソームシークエンシングもしくは全ゲノムシークエンシングまたはゲノムプロファイリングに従ってTMB状態を測定するために用いることができる。
TMB状態は、治療、特に、癌免疫療法剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)による治療に対する腫瘍の応答性を予測するための手段として、単独で、または他の因子と組み合わせて用いることができる。ある実施態様において、腫瘍のTMB状態のみが、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による治療に応答する可能性のより高い腫瘍に罹患している患者を同定するために用いられる。他の実施態様において、PD-L1状態およびTMB状態は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による治療に応答する可能性のより高い腫瘍に罹患している患者を同定するために用いられる。
ある実施態様において、本開示の方法は、抗PD-1抗体を投与する前に対象のTMB状態を測定することをさらに含む。ある実施態様において、前記方法は、抗PD-1抗体を、野生型STK11を保有し、高TMB状態を示す対象に投与することを含む。他の実施態様において、前記方法は、前記対象がSTK11の変異型を保有し、前記対象が高TMB状態を示す場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないこと、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させることを含む。ある実施態様において、本開示の方法は、抗PD-1抗体を投与する前に対象のTMB状態を測定することをさらに含む。ある実施態様において、前記方法は、抗PD-1抗体を、野生型STK11を保有し、中間TMB状態を示す対象に投与することを含む。他の実施態様において、前記方法は、対象がSTK11の変異型を保有し、前記対象が中間TMB状態を示す場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないこと、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させることを含む。他の実施態様において、前記方法は、対象がSTK11の変異型を保有し、前記対象が低TMB状態を示す場合、抗PD-1抗体を前記対象に投与しないこと、あるいは抗PD-1抗体治療を終了させ、または増強させることを含む。
FOUNDATIONONE(登録商標)アッセイ
FOUNDATIONONE(登録商標)アッセイは、下記に限定されないが、肺、結腸、および乳房の固形腫瘍、黒色腫、および卵巣癌を含む固形腫瘍のための網羅的ゲノムプロファイリングアッセイである。FOUNDATIONONE(登録商標)アッセイは、ゲノム変化(塩基置換、挿入および欠失、コピー数変化、および再配列)を同定し、ゲノム特性(例えば、TMBおよびマイクロサテライト不安定性)を選択するためのハイブリッドキャプチャー次世代シークエンシング法を使用する。前記アッセイは、322個の独特の遺伝子(315個の癌関連遺伝子の全コード領域、および28個の遺伝子に由来する選択されたイントロンを含む)を網羅する。FOUNDATIONONE(登録商標)アッセイ遺伝子の全リストは、表1および2で供される。2018年3月16日に最終訪問したFoundationMedicine.comで利用可能なFOUNDATIONONE:技術仕様書(Foundation Medicine,Inc.)(出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)を参照のこと。
表1:全コード配列がFOUNDATIONONE(登録商標)アッセイでアッセイされる遺伝子リスト。
Figure 2023159179000001

Figure 2023159179000002
表2:選択されるイントロンがFOUNDATIONONE(登録商標)アッセイでアッセイされる遺伝子リスト。
Figure 2023159179000003
FOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイ
FOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイは、血液学的悪性腫瘍および肉腫のための網羅的ゲノムプロファイリングアッセイである。前記FOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイは、ゲノム変化(塩基置換、挿入および欠失、コピー数変化、および再配列)を同定し、ゲノム特性(例えば、TMBおよびマイクロサテライト不安定性)を選択するためのハイブリッドキャプチャー次世代シークエンシング法を使用する。前記アッセイは、406個の遺伝子のコード領域、31個の遺伝子の選択されたイントロン、および癌で一般に再編成される265個の遺伝子のRNA配列を解析する。FOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイ遺伝子の全リストは、表3、4、および5で供される。2018年3月16日に最終訪問したFoundationMedicine.comで利用可能なFOUNDATIONONE(登録商標)HEME:技術仕様書(Foundation Medicine,Inc.)(出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)を参照のこと。
表3:全コード配列がFOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイでアッセイされる遺伝子リスト。
Figure 2023159179000004

Figure 2023159179000005

Figure 2023159179000006
表4:選択されたイントロンがFOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイでアッセイされる遺伝子リスト。
Figure 2023159179000007

表5:RNA配列がFOUNDATIONONE(登録商標)Hemeアッセイでアッセイされる遺伝子リスト。
Figure 2023159179000008

Figure 2023159179000009
EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイ
1の実施態様において、TMBは、EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイを用いて測定される。EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイは、癌経路における実用的な変異を検出するexoRNAおよびcfDNAに基づくアッセイである。前記EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイは、組織試料を必要としない血漿に基づくアッセイである。EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイは、26個の遺伝子および1000個の変異を網羅する。EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイで網羅される特定の遺伝子が表6に示される。2018年3月16日に最終訪問したexosomedx.comで利用可能な血漿に基づく固形腫瘍変異パネル液体生検(Exosome Diagnostics,Inc.)を参照のこと。
表6:EXODX(登録商標)固形腫瘍アッセイで網羅される遺伝子。
Figure 2023159179000010
Guardant360アッセイ
ある実施態様において、TMB状態は、Guardant360アッセイを用いて決定される。Guardant360アッセイは、少なくとも73個の遺伝子(表7)、23個のインデル(表8)、18個のCNV(表9)、および6個の融合遺伝子(表10)の変異を測定する。2018年3月16日に最終訪問したGuardantHealth.comを参照のこと。
表7:Guardant360アッセイ遺伝子。
Figure 2023159179000011
表8:Guardant360アッセイのインデル。
Figure 2023159179000012
表9:Guardant360アッセイ増幅(CNV)。
Figure 2023159179000013
表10:Guardant360アッセイ融合。
Figure 2023159179000014
ILLUMINA(登録商標)TruSightアッセイ
ある実施態様において、TMBは、TruSight腫瘍170アッセイ(ILLUMINA(登録商標))を用いて決定される。前記TruSight腫瘍170アッセイは、DNAおよびRNAを同時に解析する一般的な固形腫瘍に関連する170個の遺伝子を網羅する次世代シークエンシングアッセイである。前記TruSight腫瘍170アッセイは、融合、スプライス変異体、挿入/欠失、一ヌクレオチド変異型(SNV)、および増幅を評価する。前記TruSight腫瘍170アッセイ遺伝子リストは、表11~13に示される。
表11:TruSight腫瘍170アッセイ遺伝子(増幅)。
Figure 2023159179000015
表12:TruSight腫瘍170アッセイ遺伝子(融合)。
Figure 2023159179000016
表13:TruSight腫瘍170アッセイ遺伝子(小変異型)。
Figure 2023159179000017
FOUNDATIONONE(登録商標)F1CDxアッセイ
FOUNDATIONONE(登録商標)CDXTM(「F1CDx」)は、ホルマリンで固定されたパラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織試料から単離されたDNAを用いて、324個の遺伝子および選択された遺伝子再配列、ならびにゲノム特性(マイクロサテライト不安定性(MSI)および腫瘍変異量(TMB)を含む)における置換、挿入および欠失の変化(インデル)、およびコピー数変化(CNA)の検出のための次世代シークエンシングに基づくインビトロ診断装置である。F1CDxは、NSCLC、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、および卵巣癌を含むいくつかの腫瘍への適用について米国食品医薬品局(FDA)に認可されている。
前記F1CDxアッセイは、日常的なFFPE生検または外科的切除試料から単回DNA抽出法を用い、これらのうちの50~1000ngは、309個の癌関連遺伝子に由来する全てのコーディングエキソン、1つのプロモーター領域、1つの非コーディング(ncRNA)、および34個の一般的に再配列された遺伝子(そのうちの21個がコーディングエクソンを含む)に由来する選択されたイントロン領域の全ゲノムショットガンライブラリーの構築およびハイブリダイゼーションに基づくキャプチャーを受ける。表14および15は、F1CDxに含まれる遺伝子の全リストを供する。総計で、前記アッセイは、合計324個の遺伝子の変化を検出する。ILLUMINA(登録商標)HiSeq4000プラットフォームを用いて、ハイブリッドキャプチャーで選択されたライブラリーは、高い統一の深度(uniform depth)で配列決定される(カバー率>100Xでエクソンの>99%による>500Xの中央カバー率を標的とする)。次いで、配列データは、塩基置換、インデル、コピー数変化(増幅およびホモ接合体遺伝子欠失)、および選択されたゲノム再配列(例えば、遺伝子融合)を含むゲノム変化の全てのクラスを検出するように設計されたカスタマイズされた解析パイプラインを用いて処理される。さらに、ゲノム特性(マイクロサテライト不安定性(MSI)および腫瘍変異量(TMB)を含む)が報告されている。
表14:置換、挿入および欠失(インデル)、ならびにコピー数変化(CNA)の検出のためのFOUNDATIONONE(登録商標)CDX(登録商標)に含まれる全コーディングエクソン領域を有する遺伝子。
Figure 2023159179000018
表15:遺伝子再配列の検出のための選択されたイントロン領域を有する遺伝子、3’UTRを有する1つの遺伝子、プロモーター領域を有する1つの遺伝子、および1つのncRNA遺伝子。
Figure 2023159179000019
F1CDxアッセイは、遺伝子および/またはイントロン配列における様々な変化(置換、挿入/欠失、およびCNAを含む)を同定する。前記F1CDxアッセイは、以前、外部で確認されたNGSアッセイおよびFOUNDATIONONE(登録商標)(F1 LDT)アッセイと一致するとして同定された。2018年3月16日に最終訪問したFoundationMedicine.comで利用可能なFOUNDATIONONE(登録商標)CDX(登録商標):技術情報(Foundation Medicine,Inc.)(出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)を参照のこと。
MSK-IMPACTTM
ある実施態様において、TMB状態は、MSK-IMPACT(登録商標)アッセイを用いてアッセイされる。前記MSK-IMPACT(登録商標)アッセイは、468個の遺伝子の変異状態を解析するために次世代シークエンシングを用いる。標的遺伝子は、ILLUMINA(登録商標)HISEQ(登録商標)装置で捕捉され、配列決定される。前記MSK-IMPACT(登録商標)アッセイは、固形悪性腫瘍の体細胞変異およびマイクロサテライト不安定性の検出について米国FDAに認可されている。MSK-IMPACT(登録商標)アッセイによって分析される468個の遺伝子の全リストは、表16に示される。accessdata.fda.govで2017年11月15日に利用可能なEvaluation of Automatic Class III Designation for MSK-IMPACT (Integrated Mutation Profiling of Actionable Cancer Targets): Decision Summary(米国食品医薬品局)を参照のこと。
表16:MSK-IMPACT(登録商標)アッセイによって分析される遺伝子。
Figure 2023159179000020
NEOGENICS(登録商標)NEOTYPE(登録商標)アッセイ
ある実施態様において、TMBは、NEOGENICS(登録商標)NEOTYOPE(登録商標)アッセイを用いて決定される。ある実施態様において、前記TMBは、NEOTYPE(登録商標)ディスカバリープロフィールを用いて決定される。ある実施態様において、前記TMBは、NEOTYPE(登録商標)固形腫瘍プロフィールを用いて決定される。NEOGENICS(登録商標)アッセイは、配列決定されたDNAの1メガベースあたりの非同義DNAコード配列の変化の数を測定する。
ONCOMINE(登録商標)腫瘍変異量アッセイ
ある実施態様において、TMBは、THERMOFISHER SCIENTIFIC(登録商標)ONCOMINE(登録商標)腫瘍変異アッセイを用いて決定される。ある実施態様において、TMBは、THERMOFISHER SCIENTIFIC(登録商標)ION TORRENT(登録商標)ONCOMINE(登録商標)腫瘍変異アッセイを用いて決定される。ION TORRENT(登録商標)ONCOMINE(登録商標)腫瘍変異アッセイは、腫瘍変異量を決定するために体細胞変異を定量化する標的化NGSアッセイである。前記アッセイは、1.7MbのDNAを網羅する。
NOVOGENE(登録商標)NOVOPM(登録商標)アッセイ
ある実施態様において、TMBは、NOVOGENE(登録商標)NOVOPM(登録商標)アッセイを用いて決定される。ある実施態様において、TMBは、NOVOGENE(登録商標)NOVOPM(登録商標)癌パネルアッセイを用いて決定される。NOVOGENE(登録商標)NOVOPM(登録商標)癌パネルアッセイは、548個の遺伝子の全コード領域および21個の遺伝子のイントロン(約1.5MbのDNAを表す)を解析し、全米総合癌情報ネットワーク(NCCN)ガイドラインおよび医学文献による固形腫瘍の診断および/または治療に適する網羅的NGS癌パネルである。前記アッセイは、SNV、インデル、融合、およびコピー数変異(CNV)のゲノム異常を検出する。
他のTMBアッセイ
ある実施態様において、TMBは、CARIS(登録商標)ライフサイエンスから供されるTMBアッセイを用いて決定される。ある実施態様において、TMBは、PESONALIS(登録商標)ACEIMMUNOIDアッセイを用いて決定される。ある実施態様において、TMBは、PGDX(登録商標)CANCERXOME(登録商標)-Rアッセイを用いて決定される。
さらなる別の特定の実施態様において、前記ゲノムプロファイリングは、全ての変異型、すなわち、一ヌクレオチド変異型、挿入/欠失(インデル)、コピー数変異、および再配列、例えば、転座、発現、およびエピジェネティックなマーカーを検出する。
網羅的遺伝子パネルは、多くの場合、解析される腫瘍タイプに基づいて選択された所定の遺伝子を含む。よって、TMB状態を測定するために用いられるゲノムプロフィールは、対象が罹患している腫瘍タイプに基づいて選択することができる。1の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、特に、固形腫瘍に対する一組の遺伝子を含みうる。他の態様において、前記ゲノムプロフィールは、特に、血液学的悪性腫瘍および肉腫に対する一組の遺伝子を含みうる。
1の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、ABL1、BRAF、CHEK1、FANCC、GATA3、JAK2、MITF、PDCD1LG2、RBM10、STAT4、ABL2、BRCA1、CHEK2、FANCD2、GATA4、JAK3、MLH1、PDGFRA、RET、STK11、ACVR1B、BRCA2、CIC、FANCE、GATA6、JUN、MPL、PDGFRB、RICTOR、SUFU、AKT1、BRD4、CREBBP、FANCF、GID4(C17orf39)、KAT6A(MYST3)、MRE11A、PDK1、RNF43、SYK、AKT2、BRIP1、CRKL、FANCG、GLI1、KDM5A、MSH2、PIK3C2B、ROS1、TAF1、AKT3、BTG1、CRLF2、FANCL、GNA11、KDM5C、MSH6、PIK3CA、RPTOR、TBX3、ALK、BTK、CSF1R、FAS、GNA13、KDM6A、MTOR、PIK3CB、RUNX1、TERC、AMER1(FAM123B)、C11orf30(EMSY)、CTCF、FAT1、GNAQ、KDR、MUTYH、PIK3CG、RUNX1T1、TERT(プロモーターのみ)、APC、CARD11、CTNNA1、FBXW7、GNAS、KEAP1、MYC、PIK3R1、SDHA、TET2、AR、CBFB、CTNNB1、FGF10、GPR124、KEL、MYCL(MYCL1)、PIK3R2、SDHB、TGFBR2、ARAF、CBL、CUL3、FGF14、GRIN2A、KIT、MYCN、PLCG2、SDHC、TNFAIP3、ARFRP1、CCND1、CYLD、FGF19、GRM3、KLHL6、MYD88、PMS2、SDHD、TNFRSF14、ARID1A、CCND2、DAXX、FGF23、GSK3B、KMT2A(MLL)、NF1、POLD1、SETD2、TOP1、ARID1B、CCND3、DDR2、FGF3、H3F3A、KMT2C(MLL3)、NF2、POLE、SF3B1、TOP2A、ARID2、CCNE1、DICER1、FGF4、HGF、KMT2D(MLL2)、NFE2L2、PPP2R1A、SLIT2、TP53、ASXL1、CD274、DNMT3A、FGF6、HNF1A、KRAS、NFKBIA、PRDM1、SMAD2、TSC1、ATM、CD79A、DOT1L、FGFR1、HRAS、LMO1、NKX2-1、PREX2、SMAD3、TSC2、ATR、CD79B、EGFR、FGFR2、HSD3B1、LRP1B、NOTCH1、PRKAR1A、SMAD4、TSHR、ATRX、CDC73、EP300、FGFR3、HSP90AA1、LYN、NOTCH2、PRKCI、SMARCA4、U2AF1、AURKA、CDH1、EPHA3、FGFR4、IDH1、LZTR1、NOTCH3、PRKDC、SMARCB1、VEGFA、AURKB、CDK12、EPHA5、FH、IDH2、MAGI2、NPM1、PRSS8、SMO、VHL、AXIN1、CDK4、EPHA7、FLCN、IGF1R、MAP2K1、NRAS、PTCH1、SNCAIP、WISP3、AXL、CDK6、EPHB1、FLT1、IGF2、MAP2K2、NSD1、PTEN、SOCS1、WT1、BAP1、CDK8、ERBB2、FLT3、IKBKE、MAP2K4、NTRK1、PTPN11、SOX10、XPO1、BARD1、CDKN1A、ERBB3、FLT4、IKZF1、MAP3K1、NTRK2、QKI、SOX2、ZBTB2、BCL2、CDKN1B、ERBB4、FOXL2、IL7R、MCL1、NTRK3、RAC1、SOX9、ZNF217、BCL2L1、CDKN2A、ERG、FOXP1、INHBA、MDM2、NUP93、RAD50、SPEN、ZNF703、BCL2L2、CDKN2B、ERRFI1、FRS2、INPP4B、MDM4、PAK3、RAD51、SPOP、BCL6、CDKN2C、ESR1、FUBP1、IRF2、MED12、PALB2、RAF1、SPTA1、BCOR、CEBPA、EZH2、GABRA6、IRF4、MEF2B、PARK2、RANBP2、SRC、BCORL1、CHD2、FAM46C、GATA1、IRS2、MEN1、PAX5、RARA、STAG2、BLM、CHD4、FANCA、GATA2、JAK1、MET、PBRM1、RB1、STAT3、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。他の実施態様において、TMB分析は、ETV4、TMPRSS2、ETV5、BCR、ETV1、ETV6、およびMYBのうちの1つまたはそれ以上におけるゲノム変化を同定することをさらに含む。
別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、ABL1、12B、ABL2、ACTB、ACVR1、ACVR1B、AGO2、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、ALOX、ALOX12B、AMER1、AMER1(FAM123BまたはWTX)、AMER1(FAM123B)、ANKRD11、APC、APH1A、AR、ARAF、ARFRP1、ARHGAP26(GRAF)、ARID1A、ARID1B、ARID2、ARID5B、ARv7、ASMTL、ASXL1、ASXL2、ATM、ATR、ATRX、AURKA、AURKB、AXIN1、AXIN2、AXL、B2M、BABAM1、BAP1、BARD1、BBC3、BCL10、BCL11B、BCL2、BCL2L1、BCL2L11、BCL2L2、BCL6、BCL7A、BCOR、BCORL1、BIRC3、BLM、BMPR1A、BRAF、BRCA1、BRCA2、BRD4、BRIP1、BRIP1(BACH1)、BRSK1、BTG1、BTG2、BTK、BTLA、C11orf30(EMSY)、C11orf30、C11orf30(EMSY)、CAD、CALR、CARD11、CARM1、CASP8、CBFB、CBL、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCT6B、CD22、CD274、CD274(PD-L1)、CD276、CD36、CD58、CD70、CD79A、CD79B、CDC42、CDC73、CDH1、CDK12、CDK4、CDK6、CDK8、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2Ap14ARF、CDKN2Ap16INK4A、CDKN2B、CDKN2C、CEBPA、CENPA、CHD2、CHD4、CHEK1、CHEK2、CIC、CIITA、CKS1B、CPS1、CREBBP、CRKL、CRLF2、CSDE1、CSF1R、CSF3R、CTCF、CTLA-4、CTNNB1、CTNNA1、CTNNB1、CUL3、CUL4A、CUX1、CXCR4、CYLD、CYP17A1、CYSLTR2、DAXX、DCUN1D1、DDR1、DDR2、DDX3X、DH2、DICER1、DIS3、DNAJB1、DNM2、DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、DOT1L、DROSHA、DTX1、DUSP2、DUSP4、DUSP9、E2F3、EBF1、ECT2L、EED、EGFL7、EGFR、EIF1AX、EIF4A2、EIF4E、ELF3、ELP2、EML4、EML4-ALK、EP300、EPAS1、EPCAM、EPHA3、EPHA5、EPHA7、EPHB1、EPHB4、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、ERF、ERG、ERRFI1、ERRFl1、ESR1、ETS1、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EXOSC6、EZH1、EZH2、FAF1、FAM175A、FAM46C、FAM58A、FANCA、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCI、FANCL、FAS、FAS(TNFRSF6)、FAT1、FBXO11、FBXO31、FBXW7、FGF1、FGF10、FGF12、FGF14、FGF19、FGF2、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FH、FHIT、FLCN、FLI1、FLT1、FLT3、FLT4、FLYWCH1、FOXA1、FOXL2、FOXO1、FOXO3、FOXP1、FRS2、FUBP1、FYN、GABRA6、GADD45B、GATA1、GATA2、GATA3、GATA4、GATA6、GEN1、GID4(C17orf39)、GID4(C17orf39)、GLI1、GLl1、GNA11、GNA12、GNA13、GNAQ、GNAS、GPR124、GPS2、GREM1、GRIN2A、GRM3、GSK3B、GTSE1、H3F3A、H3F3B、H3F3C、HDAC1、HDAC4、HDAC7、Hedgehog、HER-2/NEU;ERBB2、HGF、HIST1H1C、HIST1H1D、HIST1H1E、HIST1H2AC、HIST1H2AG、HIST1H2AL、HIST1H2AM、HIST1H2BC、HIST1H2BD、HIST1H2BJ、HIST1H2BK、HIST1H2BO、HIST1H3A、HIST1H3B、HIST1H3C、HIST1H3D、HIST1H3E、HIST1H3F、HIST1H3G、HIST1H3H、HIST1H3I、HIST1H3J、HIST2H3C、HIST2H3D、HIST3H3、HLA-A、HLA-B、HNF1A、HOXB13、HRAS、HSD3B1、HSP90AA1、ICK、ICOSLG、ID3、IDH1、IDH2、IFNGR1、IGF1、IGF1R、IGF2、IKBKE、IKZF1、IKZF2、IKZF3、IL10、IL7R、INHA、INHBA、INPP4A、INPP4B、INPP5D(SHIP)、INPPL1、INSR、IRF1、IRF2、IRF4、IRF8、IRS1、IRS2、JAK1、JAK2、JAK3、JARID2、JUN、K14、KAT6A(MYST3)、KAT6A(MYST3)、KDM2B、KDM4C、KDM5A、KDM5C、KDM6A、KDR、KEAP1、KEL、KIF5B、KIT、KLF4、KLHL6、KMT2A、KMT2A(MLL)、KMT2B、KMT2C、KMT2C(MLL3)、KMT2D、KMT2D(MLL2)、KNSTRN、KRAS、LAMP1、LATS1、LATS2、LEF1、LMO1、LRP1B、LRRK2、LTK、LYN、LZTR1、MAF、MAFB、MAGED1、MAGI2、MALT1、MAP2K1、MAP2K1(MEK1)、MAP2K2、MAP2K2(MEK2)、MAP2K4、MAP3、MAP3K1、MAP3K13、MAP3K14、MAP3K6、MAP3K7、MAPK1、MAPK3、MAPKAP1、MAX、MCL1、MDC1、MDM2、MDM4、MED12、MEF2B、MEF2C、MEK1、MEN1、MERTK、MET、MGA、MIB1、MITF、MKI67、MKNK1、MLH1、MLLT3、MPL、MRE11A、MRE11A、MSH2、MSH3、MSH6、MSI1、MSI2、MST1、MST1R、MTAP、MTOR、MUTYH、MYC、MYCL、MYCL(MYCL1)、MYCL(MYCL1)、MYCL1、MYCN、MYD88、MYO18A、MYOD1、NBN、NCOA3、NCOR1、NCOR2、NCSTN、NEGR1、NF1、NF2、NFE2L2、NFKBIA、NKX2-1、NKX3-1、NOD1、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、NPM1、NRAS、NRG1、NSD1、NT5C2、NTHL1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、NUF2、NUP93、NUP98、P2RY8、PAG1、PAK1、PAK3、PAK7、PALB2、PARK2、PARP1、PARP2、PARP3、PASK、PAX3、PAX5、PAX7、PBRM1、PC、PCBP1、PCLO、PDCD1、PDCD1(PD-1)、PDCD11、PDCD1LG2、PDCD1LG2(PD-L2)、PDGFRA、PDGFRB、PDK1、PDPK1、PGR、PHF6、PHOX2B、PIK3C2B、PIK3C2G、PIK3C3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIM1、PLCG2、PLK2、PMAIP1、PMS1、PMS2、PNRC1、POLD1、POLE、POT1、PPARG、PPM1D、PPP2、PPP2R1A、PPP2R2A、PPP4R2、PPP6C、PRDM1、PRDM14、PREX2、PRKAR1A、PRKCI、PRKD1、PRKDC、PRSS8、PTCH1、PTEN、PTP4A1、PTPN11、PTPN2、PTPN6(SHP-1)、PTPRD、PTPRO、PTPRS、PTPRT、QKI、R1A、RAB35、RAC1、RAC2、RAD21、RAD50、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54L、RAF1、RANBP2、RARA、RASA1、RASGEF1A、RB1、RBM10、RECQL、RECQL4、REL、RELN、RET、RFWD2、RHEB、RHOA、RICTOR、RIT1、RNF43、ROS1、RPS6KA4、RPS6KB1、RPS6KB2、RPTOR、RRAGC、RRAS、RRAS2、RTEL1、RUNX1、RUNX1T1、RXRA、RYBP、S1PR2、SDHA、SDHAF2、SDHB、SDHC、SDHD、SERP2、SESN1、SESN2、SESN3、SETBP1、SETD2、SETD8、SF3B1、SGK1、SH2B3、SH2D1A、SHOC2、SHQ1、SLIT2、SLX4、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA1、SMARCA4、SMARCB1、SMARCD1、SMC1A、SMC3、SMO、SMYD3、SNCAIP、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOS1、SOX10、SOX17、SOX2、SOX9、SPEN、SPOP、SPRED1、SPTA1、SRC、SRSF2、STAG2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、STK11、STK19、STK40、SUFU、SUZ12、SYK、TAF1、TAP1、TAP2、TBL1XR1、TBX3、TCEB1、TCF3、TCF3(E2A)、TCF7L2、TCL1A(TCL1)、TEK、TERC、TERT、TERTプロモーター、TET1、TET2、TFRC、TGFBR1、TGFBR2、TIPARP、TLL2、TMEM127、TMEM30A、TMPRSS2、TMSB4XP8(TMSL3)、TNFAIP3、TNFRSF11A、TNFRSF14、TNFRSF17、TOP1、TOP2A、TP53、TP53BP1、TP63、TRAF2、TRAF3、TRAF5、TRAF7、TSC1、TSC2、TSHR、TUSC3、TYK2、TYRO3、U2AF1、U2AF2、UPF1、VEGFA、VHL、VTCN1、WDR90、WHSC1、WHSC1(MMSETorNSD2)、WHSC1L1、WISP3、WT1、WWTR1、XBP1、XIAP、XPO1、XRCC2、YAP1、YES1、YY1AP1、ZBTB2、ZFHX3、ZMYM3、ZNF217、ZNF24(ZSCAN3)、ZNF703、ZRSR2、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。
別の実施態様において、前記ゲノムプロファイリングアッセイは、ABL1、12B、ABL2、ACTB、ACVR1、ACVR1B、AGO2、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、ALOX、ALOX12B、AMER1、AMER1(FAM123BorWTX)、AMER1(FAM123B)、ANKRD11、APC、APH1A、AR、ARAF、ARFRP1、ARHGAP26(GRAF)、ARID1A、ARID1B、ARID2、ARID5B、ARv7、ASMTL、ASXL1、ASXL2、ATM、ATR、ATRX、AURKA、AURKB、AXIN1、AXIN2、AXL、B2M、BABAM1、BAP1、BARD1、BBC3、BCL10、BCL11B、BCL2、BCL2L1、BCL2L11、BCL2L2、BCL6、BCL7A、BCOR、BCORL1、BIRC3、BLM、BMPR1A、BRAF、BRCA1、BRCA2、BRD4、BRIP1、BRIP1(BACH1)、BRSK1、BTG1、BTG2、BTK、BTLA、C11orf30(EMSY)、C11orf30、C11orf30(EMSY)、CAD、CALR、CARD11、CARM1、CASP8、CBFB、CBL、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCT6B、CD22、CD274、CD274(PD-L1)、CD276、CD36、CD58、CD70、CD79A、CD79B、CDC42、CDC73、CDH1、CDK12、CDK4、CDK6、CDK8、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2Ap14ARF、CDKN2Ap16INK4A、CDKN2B、CDKN2C、CEBPA、CENPA、CHD2、CHD4、CHEK1、CHEK2、CIC、CIITA、CKS1B、CPS1、CREBBP、CRKL、CRLF2、CSDE1、CSF1R、CSF3R、CTCF、CTLA-4、CTNNB1、CTNNA1、CTNNB1、CUL3、CUL4A、CUX1、CXCR4、CYLD、CYP17A1、CYSLTR2、DAXX、DCUN1D1、DDR1、DDR2、DDX3X、DH2、DICER1、DIS3、DNAJB1、DNM2、DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、DOT1L、DROSHA、DTX1、DUSP2、DUSP4、DUSP9、E2F3、EBF1、ECT2L、EED、EGFL7、EGFR、EIF1AX、EIF4A2、EIF4E、ELF3、ELP2、EML4、EML4-ALK、EP300、EPAS1、EPCAM、EPHA3、EPHA5、EPHA7、EPHB1、EPHB4、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、ERF、ERG、ERRFI1、ERRFl1、ESR1、ETS1、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EXOSC6、EZH1、EZH2、FAF1、FAM175A、FAM46C、FAM58A、FANCA、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FANCI、FANCL、FAS、FAS(TNFRSF6)、FAT1、FBXO11、FBXO31、FBXW7、FGF1、FGF10、FGF12、FGF14、FGF19、FGF2、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FH、FHIT、FLCN、FLI1、FLT1、FLT3、FLT4、FLYWCH1、FOXA1、FOXL2、FOXO1、FOXO3、FOXP1、FRS2、FUBP1、FYN、GABRA6、GADD45B、GATA1、GATA2、GATA3、GATA4、GATA6、GEN1、GID4(C17orf39)、GID4(C17orf39)、GLI1、GLl1、GNA11、GNA12、GNA13、GNAQ、GNAS、GPR124、GPS2、GREM1、GRIN2A、GRM3、GSK3B、GTSE1、H3F3A、H3F3B、H3F3C、HDAC1、HDAC4、HDAC7、Hedgehog、HER-2/NEU;ERBB2、HGF、HIST1H1C、HIST1H1D、HIST1H1E、HIST1H2AC、HIST1H2AG、HIST1H2AL、HIST1H2AM、HIST1H2BC、HIST1H2BD、HIST1H2BJ、HIST1H2BK、HIST1H2BO、HIST1H3A、HIST1H3B、HIST1H3C、HIST1H3D、HIST1H3E、HIST1H3F、HIST1H3G、HIST1H3H、HIST1H3I、HIST1H3J、HIST2H3C、HIST2H3D、HIST3H3、HLA-A、HLA-B、HNF1A、HOXB13、HRAS、HSD3B1、HSP90AA1、ICK、ICOSLG、ID3、IDH1、IDH2、IFNGR1、IGF1、IGF1R、IGF2、IKBKE、IKZF1、IKZF2、IKZF3、IL10、IL7R、INHA、INHBA、INPP4A、INPP4B、INPP5D(SHIP)、INPPL1、INSR、IRF1、IRF2、IRF4、IRF8、IRS1、IRS2、JAK1、JAK2、JAK3、JARID2、JUN、K14、KAT6A(MYST3)、KAT6A(MYST3)、KDM2B、KDM4C、KDM5A、KDM5C、KDM6A、KDR、KEAP1、KEL、KIF5B、KIT、KLF4、KLHL6、KMT2A、KMT2A(MLL)、KMT2B、KMT2C、KMT2C(MLL3)、KMT2D、KMT2D(MLL2)、KNSTRN、KRAS、LAMP1、LATS1、LATS2、LEF1、LMO1、LRP1B、LRRK2、LTK、LYN、LZTR1、MAF、MAFB、MAGED1、MAGI2、MALT1、MAP2K1、MAP2K1(MEK1)、MAP2K2、MAP2K2(MEK2)、MAP2K4、MAP3、MAP3K1、MAP3K13、MAP3K14、MAP3K6、MAP3K7、MAPK1、MAPK3、MAPKAP1、MAX、MCL1、MDC1、MDM2、MDM4、MED12、MEF2B、MEF2C、MEK1、MEN1、MERTK、MET、MGA、MIB1、MITF、MKI67、MKNK1、MLH1、MLLT3、MPL、MRE11A、MRE11A、MSH2、MSH3、MSH6、MSI1、MSI2、MST1、MST1R、MTAP、MTOR、MUTYH、MYC、MYCL、MYCL(MYCL1)、MYCL(MYCL1)、MYCL1、MYCN、MYD88、MYO18A、MYOD1、NBN、NCOA3、NCOR1、NCOR2、NCSTN、NEGR1、NF1、NF2、NFE2L2、NFKBIA、NKX2-1、NKX3-1、NOD1、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、NPM1、NRAS、NRG1、NSD1、NT5C2、NTHL1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、NUF2、NUP93、NUP98、P2RY8、PAG1、PAK1、PAK3、PAK7、PALB2、PARK2、PARP1、PARP2、PARP3、PASK、PAX3、PAX5、PAX7、PBRM1、PC、PCBP1、PCLO、PDCD1、PDCD1(PD-1)、PDCD11、PDCD1LG2、PDCD1LG2(PD-L2)、PDGFRA、PDGFRB、PDK1、PDPK1、PGR、PHF6、PHOX2B、PIK3C2B、PIK3C2G、PIK3C3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIM1、PLCG2、PLK2、PMAIP1、PMS1、PMS2、PNRC1、POLD1、POLE、POT1、PPARG、PPM1D、PPP2、PPP2R1A、PPP2R2A、PPP4R2、PPP6C、PRDM1、PRDM14、PREX2、PRKAR1A、PRKCI、PRKD1、PRKDC、PRSS8、PTCH1、PTEN、PTP4A1、PTPN11、PTPN2、PTPN6(SHP-1)、PTPRD、PTPRO、PTPRS、PTPRT、QKI、R1A、RAB35、RAC1、RAC2、RAD21、RAD50、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54L、RAF1、RANBP2、RARA、RASA1、RASGEF1A、RB1、RBM10、RECQL、RECQL4、REL、RELN、RET、RFWD2、RHEB、RHOA、RICTOR、RIT1、RNF43、ROS1、RPS6KA4、RPS6KB1、RPS6KB2、RPTOR、RRAGC、RRAS、RRAS2、RTEL1、RUNX1、RUNX1T1、RXRA、RYBP、S1PR2、SDHA、SDHAF2、SDHB、SDHC、SDHD、SERP2、SESN1、SESN2、SESN3、SETBP1、SETD2、SETD8、SF3B1、SGK1、SH2B3、SH2D1A、SHOC2、SHQ1、SLIT2、SLX4、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA1、SMARCA4、SMARCB1、SMARCD1、SMC1A、SMC3、SMO、SMYD3、SNCAIP、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOS1、SOX10、SOX17、SOX2、SOX9、SPEN、SPOP、SPRED1、SPTA1、SRC、SRSF2、STAG2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、STK11、STK19、STK40、SUFU、SUZ12、SYK、TAF1、TAP1、TAP2、TBL1XR1、TBX3、TCEB1、TCF3、TCF3(E2A)、TCF7L2、TCL1A(TCL1)、TEK、TERC、TERT、TERTプロモーター、TET1、TET2、TFRC、TGFBR1、TGFBR2、TIPARP、TLL2、TMEM127、TMEM30A、TMPRSS2、TMSB4XP8(TMSL3)、TNFAIP3、TNFRSF11A、TNFRSF14、TNFRSF17、TOP1、TOP2A、TP53、TP53BP1、TP63、TRAF2、TRAF3、TRAF5、TRAF7、TSC1、TSC2、TSHR、TUSC3、TYK2、TYRO3、U2AF1、U2AF2、UPF1、VEGFA、VHL、VTCN1、WDR90、WHSC1、WHSC1(MMSETまたはNSD2)、WHSC1L1、WISP3、WT1、WWTR1、XBP1、XIAP、XPO1、XRCC2、YAP1、YES1、YY1AP1、ZBTB2、ZFHX3、ZMYM3、ZNF217、ZNF24(ZSCAN3)、ZNF703、ZRSR2、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、少なくとも約100個、少なくとも約110個、少なくとも約120個、少なくとも約130個、少なくとも約140個、少なくとも約150個、少なくとも約160個、少なくとも約170個、少なくとも約180個、少なくとも約190個、少なくとも約200個、少なくとも約210個、少なくとも約220個、少なくとも約230個、少なくとも約240個、少なくとも約250個、少なくとも約260個、少なくとも約270個、少なくとも約280個、少なくとも約290個、または少なくとも約300個の遺伝子を含む。
別の実施態様において、前記ゲノムプロフィールは、表1~16に記載の遺伝子から選択される1つまたはそれ以上の遺伝子を含む。
1の実施態様において、ゲノムプロファイリングに基づくTMB状態は、全エクソームもしくは全ゲノムシークエンシングに基づくTMB状態と極めて相関する。本明細書で供される証拠により、F1CDxアッセイなどのゲノムプロファイリングアッセイの使用が、全エクソームおよび/または全ゲノムシークエンシングアッセイと一致することが示されている。これらのデータは、TMB状態の予測の質を落とすことなくTMB状態を測定するより有効な手法として、ゲノムプロファイリングアッセイの使用を支持する。
TMBは、組織生検試料、あるいは循環腫瘍DNA(ctDNA)、cfDNA(無細胞DNA)、および/または液体生検試料を用いて測定することができる。ctDNAは、利用可能な方法(例えば、GRAIL社)を用いて、全エキソームシークエンシングもしくは全ゲノムシークエンシングまたはゲノムプロファイリングに従ってTMB状態を測定するために用いることができる。
対象は、TMB状態の測定および高TMBの同定に基づいて、(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分あるいは抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分を用いる)免疫療法に適するとして同定される。ある実施態様において、TMBスコアは、全エクソーム解析または全ゲノムシークエンシングによって測定されるように、腫瘍における非同義ミスセンス変異の総数として算出される。1の実施態様において、高TMBは、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、少なくとも400、少なくとも405、少なくとも410、少なくとも415、少なくとも420、少なくとも425、少なくとも430、少なくとも435、少なくとも440、少なくとも445、少なくとも450、少なくとも455、少なくとも460、少なくとも465、少なくとも470、少なくとも475、少なくとも480、少なくとも485、少なくとも490、少なくとも495、または少なくとも500のスコアを有する。別の実施態様において、高TMBは、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249、または少なくとも250のスコアを有する。特定の実施態様において、高TMBは、少なくとも243のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも244のスコアを有する。ある実施態様において、高TMBは、少なくとも245のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも246のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも247のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも248のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも249のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、少なくとも250のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、200~300またはそれ以上の整数のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、210~290またはそれ以上の整数のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、220~280またはそれ以上の整数のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、230~270またはそれ以上の整数のスコアを有する。他の実施態様において、高TMBは、235~265またはそれ以上の整数のスコアを有する。
あるいは、高TMBは、絶対値ではなく相対値でありうる。ある実施態様において、対象のTMB状態は、参照TMB値と比較される。1の実施態様において、対象のTMB状態は、参照TMB値の最も高い分位値内である。他の実施態様において、対象のTMB状態は、参照TMB値の最も高い三分位値内である。
ある実施態様において、TMB状態は、1試料あたり、1細胞あたり、1エクソームあたり、またはDNAの長さ(例えば、Mb)あたりの変異数として表現される。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約50個の変異/腫瘍、少なくとも約55個の変異/腫瘍、少なくとも約60個の変異/腫瘍、少なくとも約65個の変異/腫瘍、少なくとも約70個の変異/腫瘍、少なくとも約75個の変異/腫瘍、少なくとも約80個の変異/腫瘍、少なくとも約85個の変異/腫瘍、少なくとも約90個の変異/腫瘍、少なくとも約95個の変異/腫瘍、少なくとも約100個の変異/腫瘍、少なくとも約105個の変異/腫瘍、少なくとも約110個の変異/腫瘍、少なくとも約115個の変異/腫瘍、または少なくとも約120個の変異/腫瘍を有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約125個の変異/腫瘍、少なくとも約150個の変異/腫瘍、少なくとも約175個の変異/腫瘍、少なくとも約200個の変異/腫瘍、少なくとも約225個の変異/腫瘍、少なくとも約250個の変異/腫瘍、少なくとも約275個の変異/腫瘍、少なくとも約300個の変異/腫瘍、少なくとも約350個の変異/腫瘍、少なくとも約400個の変異/腫瘍、または少なくとも約500個の変異/腫瘍を有する場合、高TMB状態を示す。1の特定の実施態様において、腫瘍は、少なくとも約100個の変異/腫瘍を有する場合、高TMB状態を示す。
ある実施態様において、腫瘍は、例えば、FOUNDATIONONE(登録商標)CDX(登録商標)アッセイに従ってゲノム配列決定される、例えば、TMBアッセイによりゲノム配列決定される遺伝子の1メガベースあたり、少なくとも約5個の変異(変異/Mb)、少なくとも約6個の変異/Mb、少なくとも約7個の変異/Mb、少なくとも約8個の変異/Mb、少なくとも約9個の変異/Mb、少なくとも約10個の変異/Mb、少なくとも約11個の変異/Mb、少なくとも約12個の変異/Mb、少なくとも約13個の変異/Mb、少なくとも約14個の変異/Mb、少なくとも約15個の変異/Mb、少なくとも約20個の変異/Mb、少なくとも約25個の変異/Mb、少なくとも約30個の変異/Mb、少なくとも約35個の変異/Mb、少なくとも約40個の変異/Mb、少なくとも約45個の変異/Mb、少なくとも約50個の変異/Mb、少なくとも約75個の変異/Mb、または少なくとも約100個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約5個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。1の実施態様において、腫瘍は、少なくとも約10個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約11個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約12個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約13個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。ある実施態様において、腫瘍は、少なくとも約14個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。1の実施態様において、腫瘍は、少なくとも約15個の変異/Mbを有する場合、高TMB状態を示す。
変異数は、腫瘍タイプおよび他の方法によって変動するため(Q4およびQ5を参照)、「TMB高」および「TMB低」に関連する数値は、腫瘍タイプによって異なりうる。
非小細胞性肺癌
本方法は、いずれのステージの腫瘍も治療することができる。ある実施態様において、前記腫瘍は、いずれものステージにおけるNSCLCに由来する。NSCLCに用いられる少なくとも7つのステージ(潜在(隠れた)ステージ、ステージ0(生体で癌腫)、ステージI、ステージII、ステージIIIA、ステージIIIB、およびステージIV)が存在する。潜在ステージにおいて、前記癌は、画像化または気管支鏡検査によって観察することはできない。ステージ0において、癌細胞は、気道の被覆(lining)で見出される。
1の実施態様において、本方法は、ステージIの非扁平上皮NSCLCを治療する。ステージIのNSCLCは、ステージIAおよびIBに分けられる。ステージIAにおいて、前記腫瘍が肺のみに存在し、3センチメートルまたはそれ以下である。ステージIBにおいて、前記癌がリンパ節に広がっておらず、下記のうちの1つまたはそれ以上が真性である:1)前記腫瘍が3センチメートル以上であるが、5センチメートルより大きくない;2)前記癌が主気管支に広がっており、気管が気管支に連結している下に少なくとも2センチメートルである;3)癌が肺を覆う膜の最内層に広がっている;または4)肺の一部が、気管が気管支に連結している領域で虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている。
別の実施態様において、本開示の方法は、ステージIIの非扁平上皮NSCLCを治療する。ステージIIのNSCLCは、ステージIIAおよびIIBに分類される。ステージIIAにおいて、前記癌は、リンパ節に広がっているか、または広がっていない。前記癌がリンパ節に広がっている場合、前記癌は、腫瘍と同側の胸のリンパ節(肺もしくは肺内または気管近くのリンパ節)にのみ広がっており、下記のうちの1つまたはそれ以上が真性である:1)前記腫瘍が5センチメートルより大きくない;2)前記癌が主気管支に広がっており、気管が気管支に連結している下に少なくとも2センチメートルである;3)癌が肺を覆う膜の最内層に広がっている;または4)肺の一部が、気管が気管支に連結している領域で虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている。前記腫瘍はまた、癌がリンパ節に広がっていない場合、ステージIIAと考えられ、下記のうちの1つまたはそれ以上が真性である:1)前記腫瘍が5センチメートルより大きいが、7センチメートルより大きくない;2)前記癌が主気管支に広がっており、気管が気管支に連結している下に少なくとも2センチメートルである;3)癌が肺を覆う膜の最内層に広がっている;または4)肺の一部が、気管が気管支に連結している領域で虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている。ステージIIBにおいて、前記癌がリンパ節に広がっているか、または広がっていない。前記癌がリンパ節に広がっている場合、前記癌が腫瘍と同側の胸のリンパ節(肺もしくは肺内または気管近くのリンパ節)にのみ広がっており、下記のうちの1つまたはそれ以上が真性である:1)前記腫瘍が5センチメートルより大きいが、7センチメートルより大きくない;2)前記癌が主気管支に広がっており、気管が気管支に連結している下に少なくとも2センチメートルである;3)癌が肺を覆う膜の最内層に広がっている;または4)肺の一部が、気管が気管支に連結している領域で虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている。前記腫瘍はまた、癌がリンパ節に広がっていない場合、ステージIIBと考えられ、下記のうちの1つまたはそれ以上が真性である:1)前記腫瘍が7センチメートルより大きい;2)前記癌が主気管支、胸壁、横隔膜、または横隔膜を制御する神経に広がっている(さらに気管が気管支に連結している下に少なくとも2センチメートルである);3)癌が心臓の周囲の膜または胸壁を覆う膜に広がっている;4)肺全体が虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている;または5)同一の肺葉において1つまたはそれ以上の別の腫瘍が存在する。
他の実施態様において、本開示のいずれの方法も、ステージIIIの非扁平上皮NSCLCを治療する。ステージIIIAは、3つの区分に分類される。これらの3つの区分は、1)腫瘍サイズ;2)腫瘍が見られる場所、および3)(もしあれば)リンパ節が癌に罹患しているかどうかに基づく。ステージIIIAのNSCLCの1番目のタイプにおいて、前記癌は、腫瘍と同側の胸のリンパ節にのみ広がっており、癌に罹患しているリンパ節が、胸骨の近くであるか、または気管支が肺に入る場所である。さらに:1)前記腫瘍はいずれのサイズであってもよい;2)肺の一部(気管が気管支に連結している場所)または肺全体が虚脱するか、または肺炎(肺の炎症)を生じうる;3)同一の肺葉において1つまたはそれ以上の別の腫瘍が存在しうる;および4)癌は下記のいずれかに広がりうる:a)主気管支(気管が気管支に連結している領域ではない)、b)胸壁、c)横隔膜およびこれを制御する神経、d)肺の周囲の膜または胸壁を覆う膜、e)心臓の周囲の膜。ステージIIIAのNSCLCの2番目のタイプにおいて、前記癌は、腫瘍と同側の肺のリンパ節に広がっており、癌に罹患しているリンパ節が肺内であるか、または気管支の近くである。さらに:1)前記腫瘍はいずれのサイズであってもよい;2)肺全体が虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じている;3)癌に罹患している肺葉のいずれかにおいて1つまたはそれ以上の別の腫瘍が存在しうる;ならびに4)癌が下記のいずれかに広がりうる:a)主気管支(気管が気管支に連結している領域ではない)、b)胸壁、c)横隔膜およびこれを制御する神経、d)肺の周囲の膜または胸壁を覆う膜、e)心臓またはその周辺の膜、f)心臓へ続くか、または心臓から続く主要血管、g)気管、h)食道、i)喉頭(発声器)を制御する神経、j)胸骨または骨格、あるいはk)気管分岐部(気管が気管支に連結している場所)。ステージIIIAのNSCLCの3番目のタイプにおいて、前記癌はリンパ節に広がっておらず、前記腫瘍がいずれのサイズであってもよく、癌が下記のうちのいずれか1つに広がっている:a)心臓、b)心臓へ続くか、または心臓から続く主要血管、c)気管、d)食道、e)喉頭(発声器)を制御する神経、f)胸骨または骨格、またはg)気管分岐部(気管が気管支に連結している場所)。ステージIIIBは、1)腫瘍サイズ、2)腫瘍が見られる場所、および3)リンパ節が癌に罹患しているかどうかにより2つの区分に分類される。ステージIIIBのNSCLCの1番目のタイプにおいて、前記癌は、腫瘍と反対側の胸のリンパ節に広がっている。さらに、1)前記腫瘍はいずれのサイズであってもよい;2)肺の一部(気管が気管支に連結している場所)または肺全体が、虚脱しているか、または肺炎(肺の炎症)を生じていてもよい;3)癌に罹患している肺の葉のいずれかに1つまたはそれ以上の別の腫瘍が存在しうる;および4)癌が下記のいずれかに広がっていてもよい:a)主気管支、b)胸壁、c)横隔膜およびこれを制御する神経、d)肺の周囲の膜または胸壁を覆う膜、e)心臓またはその周囲の膜、f)心臓へ続くか、または心臓から続く主要血管、g)気管、h)食道、i)喉頭(発声器)を制御する神経、j)胸骨または骨格、またはk)気管分岐部(気管が気管支に連結している場所)。ステージIIIBのNSCLCの2番目のタイプにおいて、前記癌は、腫瘍と同側の胸のリンパ節に広がっている。癌に罹患しているリンパ節は、胸骨に近いか、または気管支が肺に入る場所である。さらに、1)前記腫瘍はいずれのサイズであってもよい;2)同一の肺の異なる葉において別の腫瘍が存在しうる;および3)癌が下記のいずれかに広がっている:a)心臓、b)心臓へ続くか、または心臓から続く主要血管、c)気管、d)食道、e)喉頭(発声器)を制御する神経、f)胸骨または骨格、あるいはg)気管分岐部(気管が気管支に連結している場所)。
ある実施態様において、本開示の方法は、ステージIVの非扁平上皮NSCLCを治療する。ステージIVのNSCLCにおいて、前記腫瘍は、いずれのサイズであってもよく、前記癌は、リンパ節に広がっていてもよい。下記のうちの1つまたはそれ以上が、ステージIVのNSCLCにおける真性である:1)両方の肺に1つまたはそれ以上の腫瘍が存在する;2)癌が肺または心臓の周囲の液体で観察される;および3)癌は、体の他の部分(例えば、脳、肝臓、副腎、腎臓または骨)に広がっている。
他の態様において、本方法によって治療可能なNSCLCは、扁平上皮(類表皮)癌腫(扁平上皮NSCLC)である。全ての肺癌の約25%~30%が扁平上皮癌であることが知られている。これらの癌は、扁平上皮(肺において気道の内側に並んている平たい細胞)で初期段階が開始する。それらは、喫煙歴に関係していることが多く、主要な気道近くの肺の中央部(気管支)で見出される傾向がある。
本方法の1の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。他の態様において、それはペムブロリズマブである。一般に、前記抗PD-1抗体は、静脈内投与のために製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、60分間かけて静脈内注入によって投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、医薬的に許容される製剤として投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、治療量以下の用量で投与される。
本開示に有用な抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体
当該技術分野で公知の抗PD-1抗体は、本明細書に記載の組成物および方法において用いることができる。高い親和性でPD-1に特異的に結合する様々なヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8,008,449号に記載されている。抗PD-1ヒト抗体は、1つまたは以上の下記の特徴を示すことが示されている米国特許第8,008,449号に記載されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いる表面プラズモン共鳴によって調べられるように、1x10-7Mまたはそれ以下のKDでヒトPD-1に結合する;(b)ヒトCD28、CTLA-4またはICOSに実質的に結合しない;(c)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞の増殖を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γの産生を増加させる;(e)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(f)ヒトPD-1およびカニクイザルPD-1に結合する;(g)PD-1に対するPD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害する;(h)抗原特異的記憶応答を活性化する;(i)抗体応答を活性化する;および(j)インビボでの腫瘍細胞の増殖を阻害する。本開示で用いることができる抗PD-1抗体には、ヒトPD-1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、ある実施態様において、少なくとも5つを示すモノクローナル抗体が含まれる。
他の抗PD-1モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第6,808,710号、7,488,802号、8,168,757号および8,354,509号、米国公開第2016/0272708号、ならびにPCT公開第WO2012/145493号、WO2008/156712号、WO2015/112900号、WO2012/145493号、WO2015/112800号、WO2014/206107号、WO2015/35606号、WO2015/085847号、WO2014/179664号、WO2017/020291号、WO2017/020858号、WO2016/197367号、WO2017/024515号、WO2017/025051号、WO2017/123557、WO2016/106159、WO2014/194302号、WO2017/040790号、WO2017/133540号、WO2017/132827号、WO2017/024465号、WO2017/025016号、WO2017/106061号、WO2017/19846号、WO2017/024465号、WO2017/025016号、WO2017/132825号、およびWO2017/133540号(これらの各々は、出典明示によりその全体が取り込まれる)に記載されている。
ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、5C4、BMS-936558、MDX-1106、およびONO-4538としても公知)、ペムブロリズマブ(Merck;KEYTRUDA(登録商標)、ランブロリズマブ、およびMK-3475としても公知;WO2008/156712を参照)、PDR001(Novartis;WO2015/112900を参照)、MEDI-0680(AstraZeneca;AMP-514としても公知;WO2012/145493を参照)、セミプリマブ(Regeneron;REGN-2810としても公知;WO2015/112800を参照)、JS001(TAIZHOU JUNSHI PHARMA;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、BGB-A317(Beigene;WO2015/35606およびUS2015/0079109を参照)、INCSHR1210(Jiangsu Hengrui Medicine;SHR-1210としても公知;WO2015/085847;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、TSR-042(Tesaro Biopharmaceutical;ANB011としても公知;WO2014/179664を参照)、GLS-010(Wuxi/Harbin Gloria Pharmaceuticals;WBP3055としても公知;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、AM-0001(Armo)、STI-1110(Sorrento Therapeutics;WO2014/194302を参照)、AGEN2034(Agenus;WO2017/040790を参照)、MGA012(Macrogenics,WO2017/19846を参照)、およびIBI308(Innovent;WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825、およびWO2017/133540を参照)からなる群から選択される。
1の実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブは、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻害し、それにより抗腫瘍T細胞機能の下方調節を妨げる完全なヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイントインヒビター抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., 2014 Cancer Immunol Res. 2(9):846-56を参照)。
別の実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。ペムブロリズマブは、ヒト細胞表面受容体PD-1(プログラム死-1またはプログラム細胞死-1)に対するヒト化モノクローナルIgG4(S228P)抗体である。ペムブロリズマブは、例えば、米国特許第8,354,509号および8,900,587号に記載されている。
本開示の組成物および方法で用いることができる抗PD-1抗体はまた、ヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD-1と本明細書に記載の抗PD-1抗体との結合に対して交差競合する単離された抗体、例えば、ニボルマブ(例えば、米国特許第8,008,449号および8,779,105号;WO2013/173223を参照)を含む。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、本明細書に記載される抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のいずれかと同一のエピトープに結合する。抗原への結合に対して交差競合する抗体の能力は、これらのモノクローナル抗体が抗原の同一のエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合する抗体は、それらのPD-1の同一エピトープ領域への結合のため、参照抗体(例えば、ニボルマブ)と非常に類似する機能特性を有することが予想される。交差競合する抗体は、標準的なPD-1結合アッセイ(例えば、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリー)においてニボルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定することができる(例えば、WO2013/173223を参照)。
ある実施態様において、ヒトPD-1とヒトPD-1抗体との結合に交差競合し、またはヒトPD-1抗体の同一エピトープ領域に結合する抗体(ニボルマブ)は、モノクローナル抗体である。ヒト対象への投与のために、これらの交差競合する抗体は、キメラ抗体、改変された抗体、またはヒト化もしくはヒト抗体である。このようなキメラの改変されたヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、当該技術分野で周知の方法によって調製され、単離されうる。
本開示の組成物および方法で用いることができる抗PD-1抗体はまた、前記抗体の抗原結合部分を含む。抗体の抗原結合機能が全長抗体のフラグメントによって行われうることは示されている。
本開示の組成物および方法で用いることに適当な抗PD-1抗体は、高い特異性および親和性でPD-1に結合し、PD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害し、ならびにPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-1「抗体」には、PD-1受容体に結合し、リガンド結合を阻害し、免疫系を上流調節する際に全体抗体と類似する機能特性を示す抗原結合部分またはフラグメントが含まれる。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。
本開示に有用な抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体
ある実施態様において、本方法に用いられる抗PD-1抗体は、別のPD-1または抗PD-L1アンタゴニストと置き換えることができる。例えば、抗PD-L1抗体は、PD-1およびPD-L1の相互作用を阻害し、それによりPD-1シグナル伝達経路に対して同様の効果を示すことから、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載の方法における抗PD-1抗体の使用に置き換えることができる。当該技術分野で公知の抗PD-L1抗体は、本開示の組成物および方法で使用することができる。本開示の組成物および方法において有用な抗PD-L1抗体の例として、米国特許第9,580,507号に記載の抗体が含まれる。抗PD-L1ヒトモノクローナル抗体は、下記の特性のうちの1つまたはそれ以上を示すことが示されている米国特許第9,580,507号に記載されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いて表面プラズモン共鳴によって調べられるように、1x10-7Mまたはそれ以下のKDでヒトPD-L1に結合する;(b)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞の増殖を増加させる;(c)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γ産生を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(e)抗体応答を活性化する;および(f)T細胞エフェクター細胞および/または樹状細胞におけるT調節性細胞の効果を逆転させる。本開示で用いることができる抗PD-L1抗体には、ヒトPD-L1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、ある実施態様において、少なくとも5つを示すモノクローナル抗体が含まれる。
ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、BMS-936559(12A4、MDX-1105としても公知;例えば、米国特許第7,943,743号およびWO2013/173223を参照)、アテゾリズマブ(Roche;TECENTRIQ(登録商標);MPDL3280A、RG7446としても公知;US8,217,149を参照;Herbst et al. (2013) J Clin Oncol 31(suppl):3000もまた参照)、デュルバルマブ(AstraZeneca;IMFINZI(登録商標)、MEDI-4736としても公知;WO2011/066389を参照)、アベルマブ(Pfizer;BAVENCIO(登録商標)、MSB-0010718Cとしても公知;WO2013/079174を参照)、STI-1014(Sorrento;WO2013/181634を参照)、CX-072(Cytomx;WO2016/149201を参照)、KN035(3D Med/Alphamab;Zhang et al., Cell Discov. 7:3 (March 2017)を参照)、LY3300054(Eli Lilly Co.;例えば、WO2017/034916を参照)、およびCK-301(Checkpoint Therapeutics;Gorelik et al., AACR:Abstract 4606 (Apr 2016)を参照)からなる群から選択される。
ある実施態様において、前記PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))である。アテゾリズマブは、完全ヒト化IgG1モノクローナル抗PD-L1抗体である。
ある実施態様において、前記PD-L1抗体は、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))である。デュルバルマブは、ヒトIgG1カッパモノクローナル抗PD-L1抗体である。
ある実施態様において、前記PD-L1抗体は、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))である。アベルマブは、ヒトIgG1ラムダモノクローナル抗PD-L1抗体である。
他の実施態様において、前記抗PD-L1モノクローナル抗体は、28-8、28-1、28-12、29-8、5H1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される。
本開示の組成物および方法で用いることができる抗PD-L1抗体はまた、ヒトPD-L1に特異的に結合し、ヒトPD-L1と本明細書に記載の抗PD-L1抗体との結合に対して交差競合する単離された抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、および/またはアベルマブを含む。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、本明細書に記載される抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、および/またはアベルマブ)のいずれかと同一のエピトープに結合する。抗原への結合に対して交差競合する抗体の能力は、これらのモノクローナル抗体が抗原の同一のエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合する抗体は、それらのPD-L1の同一エピトープ領域への結合のため、参照抗体(例えば、アテゾリズマブおよび/またはアベルマブ)と非常に類似する機能特性を有することが予想される。交差競合する抗体は、標準的なPD-L1結合アッセイ(例えば、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリー)においてアテゾリズマブおよび/またはアベルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定することができる(例えば、WO2013/173223を参照)。
ある実施態様において、ヒトPD-L1とヒトPD-L1抗体との結合に交差競合し、またはヒトPD-L1抗体の同一エピトープ領域に結合する抗体(アテゾリズマブ、デュルバルマブ、および/またはアベルマブ)は、モノクローナル抗体である。ヒト対象への投与のために、これらの交差競合する抗体は、キメラ抗体、改変された抗体、またはヒト化もしくはヒト抗体である。このようなキメラの改変されたヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、当該技術分野で周知の方法によって調製され、単離されうる。
本開示の組成物および方法で用いることができる抗PD-L1抗体はまた、前記抗体の抗原結合部分を含む。抗体の抗原結合機能が全長抗体のフラグメントによって行われうることは示されている。
本開示の組成物および方法で用いることに適当な抗PD-L1抗体は、高い特異性および親和性でPD-1に結合し、PD-1の結合を阻害し、ならびにPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-L1「抗体」には、PD-L1受容体に結合し、リガンド結合を阻害し、免疫系を上流調節する際に全体抗体と類似する機能特性を示す抗原結合部分またはフラグメントが含まれる。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブ、デュルバルマブ、および/またはアベルマブと交差競合する。
肺癌の標準治療
異なるタイプの癌の標準治療は、当業者に周知である。例えば、全米総合癌情報ネットワーク(NCCN)(米国における21個の主要な癌センターの連合)は、多種多様の癌の標準治療における詳細な最新情報を提供する腫瘍学におけるNCCN標準治療ガイドライン(NCCN GUIDELINES(登録商標))を公表している(NCCN GUIDELINES(登録商標)(2014)(2014年5月14日に最近アクセスした:www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/nscl.pdfにて利用可能)を参照のこと)。
NSCLCは、米国および世界中で、乳房、結腸および前立腺癌を合わせても超える癌による死亡の主な原因である。米国において、推定228,190人の肺および気管支の新たな症例が米国で診断され、159,480人がこの疾患で死亡している((Siegel et al. (2014) CA Cancer J Clin 64(1):9-29)。患者の大半(約78%)は、進行性/再発性もしくは転移性疾患と診断される。肺癌から副腎への転移は、このような転移を有する患者の約33%の一般的な発症率である。NSCLC治療は、徐々に改善されたOSを示しているが、利益は定常状態である(後期患者の中央OSはたった1年である)。1L治療後の進行がこれらの対象のほぼ全てで起こり、5年生存率は、難治性の状態でわずか3.6%である。2005年から2009年までで、米国における肺癌の全5年相対生存率は、15.9%であった(NCCN GUIDELINES(登録商標),バージョン3.2014-非小細胞癌,2014年5月14日に最近アクセスした:www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/nscl.pdfにて利用可能)。
外科手術、放射線療法(RT)および化学療法は、NSCLC患者を治療するために一般的に用いられる3種類のモダリティである。一クラスとして、NSCLCは、小細胞癌腫と比較して化学療法およびRTに対して比較的感受性を有しない。一般に、ステージIまたはIIの疾患に罹患している患者に対して、外科的切除は、化学療法を手術前と手術後の両方で使用しながら、最も良好な治療機会を提供する。RTはまた、切除可能なNSCLCに罹っている患者に対する補助的な療法(最初の局所治療)として、または治癒不可能なNSCLCに罹っている患者に対する緩和療法として用いることができる。
良好な活動指標(PS)を示すステージIVの疾患に罹患している患者は、化学療法から利益を享受する。白金薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、タキサン系薬剤(例えば、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル)、ビノレルビン、ビンブラスチン、エトポシド、ペメトレキセドおよびゲムシタビンを含む多くの薬物が、ステージIVのNSCLCに有用である。これらの薬物の多くを用いる組み合わせは、30%~40%の1年生存率を生じ、単一薬剤より優れている。特定の標的療法が進行性肺癌の治療のために開発されている。例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))は、血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)を阻害するモノクローナル抗体である。エルロチニブ(タルセバ(登録商標))は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)の小分子TKIである。クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))は、ALKおよびMETを標的とする小分子TKIであり、変異型ALK融合遺伝子を保有する患者におけるNSCLCを治療するために用いられる。セツキシマブ(アービタックス(登録商標))は、EGFRを標的とするモノクローナル抗体である。
第一選択(1L)治療後に治療選択肢が全く存在しないために、一定の扁平上皮NSCLCに罹患している患者(全NSCLCの25%までで示される)間で必要性が存在している。単一薬剤の化学療法は、白金を用いた二剤化学療法(Pt-ダブレット)による進行後の標準治療であり、約7か月の中央OSを生じる。エルロチニブは、低い頻度で用いられることもできるが、ドセタキセルがこの選択治療における基準治療のままである。ペメトレキセドはまた、臨床的に同等の有効性を生じるが、進行性NSCLC患者の第二選択(2L)治療においてドセタキセルと比較して副作用が有意に少ないことが示されている(Hanna et al. (2004) J Clin Oncol 22:1589-97)。第三選択(3L)治療を超えた肺癌において使用するための治療は現在認可されていない。ペメトレキセドおよびベバシズマブは、扁平上皮NSCLCで認可されておらず、分子標的療法は適用が限定されている。進行性性肺癌におけるこれらの満たされない必要性は、OncothyreonとMerck KgaAの第3相試験においてOSを改善させることのSTIMUVAX(登録商標)の最近の失敗、ArQuleおよびDaiichi Sankyoの生存率エンドポイントを満たすことのc-Metキナーゼインヒビター(チバンチニブ)の不能、Eli LillyのALIMTA(登録商標)をRocheのAVASTIN(登録商標)と組み合わせた後期試験においてOSを改善させることの失敗、ならびにAmgenおよびTakeda Pharmaceuticalの後期試験において小分子VEGF-Rアンタゴニストであるモテサニブによる臨床エンドポイントを満たすことの失敗によって悪化している。
肺癌の免疫療法
複数の標的療法に対して進行してしまった患者、ならびに現在の標準治療を超えたより長期間の生存率を延長させる治療のために有効な薬剤の必要性が明確に存在している。免疫療法、とりわけ、免疫チェックポイントの遮断(CTLA-4、PD-1、およびPD-L1阻害経路を含む)に関する最近のアプローチは有望性が示されている(Creelan et al. (2014) Cancer Control 21(1):80-89)。しかしながら、免疫療法に対してより応答性を示しうる患者を同定すること、特に、抗PD-1または抗PD-L1抗体治療に対してより応答性を示す可能性のある患者を同定する必要性が残っている。
医薬組成物および用量
本開示の治療剤は、組成物、例えば、1つまたはそれ以上の抗体および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物中で構成されうる。本明細書で用いられる「医薬的に許容される担体」には、生理学的に適合性を有するいずれか全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。1の実施態様において、抗体を含有する組成物のための担体は、(例えば、注射または注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、または上皮投与に適する。本開示の医薬組成物は、1つまたはそれ以上の医薬的に許容される塩、酸化防止剤、水性および非水性担体、および/またはアジュバント(例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤)を含みうる。
本開示は、望ましい応答、例えば、最大の治療応答および/または最小の副作用を供することができる投薬計画を提供する。抗PD-1抗体の投与について、用量は、対象の体重の約0.01~約10mg/kg、約1~約9mg/kg、約2~約8mg/kg、約3~約7mg/kg、約3~約6mg/kg、約0.01~約5mg/kg、または約1~約3mg/kgの範囲でありうる。例えば、用量は、約0.1、約0.3、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10mg/kg体重でありうる。投与スケジュールは、一般に、抗体の典型的な薬物動態学的特性に基づいて、持続的な受容体占有率(RO)をもたらす曝露を達成するように設計される。例示的な治療計画には、約1週間ごとに1回、約2週間ごとに1回、約3週間ごとに1回、約4週間ごとに1回、約1ヶ月間ごとに1回、約3~6ヶ月間またはそれ以上ごとに1回の投与が含まれる。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)は、約2週間ごとに1回対象に投与される。抗PD-1抗体は、少なくとも2回の用量であって、前記用量の各々は、約0.01mg/kg~約5mg/kgの量、例えば、3mg/kgであり、2回の投薬間における2週間ごとの投薬間隔で投与することができる。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、少なくとも3回、4回、5回、6回、または7回の用量(すなわち、複数回投与)であって、前記用量の各々は、約0.01mg/kg~約10mg/kg、例えば、1mg/kg、3mg/kg、または6mg/kgの量であり、2回の隣接する投薬間における2週間ごとの投薬間隔で投与することができる。前記用量とスケジュールは、治療過程中に変更することができる。1の実施態様において、本開示の抗PD-1抗体のための投薬計画には、静脈内投与による約0.1~約5mg/kg体重、約1~約5mg/kg体重、または約1~約3mg/kg体重(抗体は、完全奏功まで、または進行性疾患が確認されるまで、約14~21日間ごとに約6週間または約12週間サイクルまでで投与される)が含まれる。ある実施態様において、抗体治療、または本明細書に記載の併用療法は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約24か月間、少なくとも約3年間、少なくとも約5年間、または少なくとも約10年間継続される。
抗PD-L1抗体の投与について、用量は、対象の体重の約1~約20mg/kg、約1~約19mg/kg、約2~約18mg/kg、約3~約17mg/kg、約3~約16mg/kg、約4~約15mg/kg、約5~約14mg/kg、約6~約13mg/kg、約7~約12mg/kg、または約8~約12mg/kgの範囲でありうる。例えば、用量は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、または約18mg/kg体重でありうる。投与スケジュールは、一般に、抗体の典型的な薬物動態学的特性に基づいて、持続的な受容体占有率(RO)をもたらす曝露を達成するように設計される。例示的な治療計画には、約1週間ごとに1回、約2週間ごとに1回、約3週間ごとに1回、約4週間ごとに1回、約1ヶ月間ごとに1回、約3~6ヶ月間またはそれ以上ごとに1回の投与が含まれる。ある実施態様において、抗PD-L1抗体は、約2週間ごとに1回対象に投与される。前記抗PD-L1抗体は、少なくとも2回の用量であって、前記用量の各々は、約6mg/kg~約18mg/kg、例えば、10mg/kgであり、2回の投薬間における2週間ごとの投薬間隔で投与することができる。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、少なくとも3回、4回、5回、6回、または7回の用量(すなわち、複数回投与)であって、前記用量の各々は、約6mg/kg~約18mg/kg、例えば、10mg/kgまたは15mg/kgの量であり、2回の隣接する投薬間における2週間ごとの投薬間隔で投与することができる。前記用量とスケジュールは、治療過程中に変更することができる。1の実施態様において、本開示の抗PD-L1抗体のための投薬計画には、静脈内投与による約1~約18mg/kg体重、約6~約15mg/kg体重、または約10~約15mg/kg体重(抗体は、完全奏功まで、または進行性疾患が確認されるまで、約14~21日間ごとに約6週間または約12週間サイクルまでで投与される)が含まれる。ある実施態様において、抗体治療、または本明細書に記載の併用療法は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約24か月間、少なくとも約3年間、少なくとも約5年間、または少なくとも約10年間継続される。
他の治療(例えば、他の免疫療法)と組み合わせて用いられる場合、抗PD-1抗体の用量は、単剤療法の用量と比較して減少させることができる。典型的な3mg/kg以下であるが、0.001mg/kg以上のニボルマブの用量は、治療量以下の用量である。本明細書に記載の方法で用いられる抗PD-1抗体の治療量以下の用量は、0.001mg/kg以上であり、3mg/kg以下である。ある実施態様において、治療量以下の用量は、約0.001mg/kg~約1mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、または約0.001mg/kg~約0.1mg/kg体重である。ある実施態様において、前記治療量以下の用量は、少なくとも約0.001mg/kg、少なくとも約0.005mg/kg、少なくとも約0.01mg/kg、少なくとも約0.05mg/kg、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、または少なくとも約1.0mg/kg体重である。ニボルマブの0.3mg/kg~10mg/kgの投薬を受けた15人の対象からの受容体占有率データは、PD-1占有が、この用量範囲において用量依存的である可能性を示す。全ての用量を考慮すると、平均占有率は、85%(70%~97%の範囲)であり、72%(59%~81%の範囲)の平均定常占有率であった(Brahmer et al. (2010) J Clin Oncol 28:3167-75)。よって、0.3mg/kgの用量は、最大の生物学的活性を生じるために十分な暴露を可能にしうる。
本開示のある実施態様において、前記抗PD-1抗体は、3mg/kgの用量で投与される。本開示の他の実施態様において、前記抗PD-1抗体は、1mg/kgの用量で投与される。
ある実施態様において、抗PD-1抗体(または抗PD-L1抗体)の用量は、医薬組成物中のフラット用量である。他の実施態様において、本開示の方法は、フラット用量(患者の体重にかかわらず患者に付与される用量)で用いることができる。ある実施態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分のフラット用量は、少なくとも約100mg、120mg、140mg、160mg、180mg、200mg、220mg、240mg、260mg、280mg、300mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、600mg、640mg、680mg、720mg、760mg、800mg、840mg、880mg、920mg、960mg、1000mg、1040mg、1080mg、1120mg、1160mg、または1200mgである。例えば、ニボルマブのフラット用量は、約240mgでありうる。例えば、ペムブロリズマブのフラット用量は、約200mgでありうる。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、約240mgの用量で投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、約360mgの用量で投与される。ある実施態様において、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、約480mgの用量で投与される。ある実施態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分のフラット用量は、約1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、または6週間ごとに1回投与される。ある実施態様において、抗PD-1抗体または抗原結合フラグメントの240mgは、2週間ごとに1回投与される。他の実施態様において、抗PD-1抗体または抗原結合フラグメントの360mgは、3週間ごとに1回投与される。他の実施態様において、抗PD-1抗体または抗原結合フラグメントの480mgは、4週間ごとに1回投与される。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分のフラット用量は、少なくとも約600mg、620mg、640mg、660mg、680mg、700mg、720mg、740mg、760mg、780mg、800mg、820mg、840mg、860mg、880mg、900mg、920mg、940mg、960mg、1000mg、1040mg、1080mg、1120mg、1160mg、1200mg、1240mg、1280mg、1320mg、1360mg、1400mg、1440mg、1480mg、1520mg、1560mg、1600mg、1640mg、1680mg、1720mg、1760mg、または1800mgである。例えば、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))のフラット用量は、約1200mgでありうる。例えば、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標))のフラット用量は、約800mgでありうる。例えば、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))のフラット用量は、約800mgでありうる。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、約800mgの用量で投与される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、約1200mgの用量で投与される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、約1600mgの用量で投与される。ある実施態様において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分のフラット用量は、約1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、または6週間ごとに1回投与される。1の実施態様において、抗PD-L1抗体または抗原結合フラグメントの約800mgは、2週間ごとに1回投与される。他の実施態様において、抗PD-L1抗体または抗原結合フラグメントの約1200mgは、4週間ごとに1回投与される。
用量および頻度は、対象における抗体の半減期に依存して変動する。一般的に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体、次いで非ヒト抗体と続く。投与の用量および頻度は、処置が予防または治療であるかどうかに依存して変動しうる。予防適用において、典型的に、比較的低い用量が、長期間にわたり比較的長い間隔で投与される。ある患者は、一生の間治療を受け続ける。治療適用において、比較的短い間隔で比較的高い用量が、疾患の進行が低下し、もしくは停止するまで、または患者が疾患の症状の部分的もしくは完全な改善を示すまで必要とされることもある。その後、患者は、予防計画で投与されうる。
本開示の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者にあまり毒性とならず、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成するために有効である有効成分の量を得られるように変動させることができる。選択される用量レベルは、用いられる本開示の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排出速度、治療期間、他の薬物、用いられる特定の組成物と併用される化合物および/または物質、治療される患者の年齢、生物、体重、状態、総体的な健康、および過去の病歴、ならびにその他の当該医薬分野で周知の因子を含む様々な薬物動態学的因子に依存する。本開示の組成物は、当該技術分野で周知の様々な方法のうちの1つまたはそれ以上を用いて、1つまたはそれ以上の投与経路により投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路および/または投与様式は、所望される結果により変動する。
キット
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体を含むキットもまた本発明の範囲内である。キットには、一般に、キットの内容物の目的とする使用を示す表示および使用説明書が含まれる。用語「表示」には、キット中またはキットとともに供され、またはキットに付属する物質の記載または記録が含まれる。よって、本開示は、腫瘍に罹患している対象を治療するためのキットであって、(a)約4mg~約500mgの範囲の用量の抗PD-1抗体;および(b)本明細書に記載の方法における抗PD-1抗体の使用説明書を含むキットを提供する。ヒト患者を治療するためのある実施態様において、前記キットには、本明細書に記載の抗ヒトPD-1抗体、例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブが含まれる。ある実施態様において、前記キットには、抗PD-L1抗体がさらに含まれる。ある実施態様において、前記キットには、腫瘍試料におけるSTK11の変異状態を検出するための説明書がさらに含まれる。他の実施態様において、前記キットには、腫瘍試料におけるPD-L1の発現を検出するための説明書がさらに含まれる。
本開示は、さらに限定されるものと解釈されるべきではない下記の実施例によってさらに例示される。本願を通して引用される全ての引用文献の内容は出典明示により本明細書に包含させる。
ニボルマブ応答のバイオマーカーとしてのSTK11変異
PD-L1は、異なる発現パターンによりNSCLC腫瘍(例えば、市販のNSCLC腫瘍)で発現される(図1)。これらのパターンを、散在、不均一、腫瘍間質接合面、および陰性と表した。PD-L1発現パターンは、メカニズム仮説に関連しうる。例えば、散在パターンの腫瘍では、前記PD-L1の発現は、突然変異によって駆動されるのではなく、発癌シグナル伝達経路における9p24増幅により駆動される。腫瘍間質接合面パターンの腫瘍では、上皮間葉転換(EMT)ではなく適応耐性が存在する。
市販のNSCLC腫瘍におけるPD-L1発現パターンは、図2に示されるように、PD-L1 H-スコアと相関する。各パターンによりPD-L1発現レベルに実質的な差異が存在する。例えば、極めて高いH-スコアが散在パターン試料において観察され、これにより、これらの腫瘍のPD-L1阻害に対する依存の可能性が示された。
市販のNSCLC腫瘍で見られるPD-L1発現パターンもまた、生検で見られた。図3は、ニボルマブ単剤療法で治療した患者に対応する試験生検におけるPD-L1発現パターンを示し、前記パターンは、市販のNSCLC腫瘍で見られた同一パターンに相当する。
偽陰性PD-L1の可能性は、パターンのカテゴリー、解析前の変動、および生検サイズにより影響される。例えば、腫瘍間質接合面パターンは不均一性であり、特に、擬陰性の結果となりやすい。よって、NSCLC腫瘍の分類を容易にし、特定の治療剤に対する腫瘍応答性を予測するために用いられうるバイオマーカーが必要とされている。
PD-L1発現パターンとニボルマブ有効性との間に相関関係が見られた(図4)。グレード3腫瘍の大半の完全な応答者は、PD-L1発現の散在パターンおよび高いPD-L1 H-スコアを示した。よって、散在PD-L1発現パターンに特異的なバイオマーカーの同定は、このバイオマーカーの存在/非存在に基づいて、ニボルマブの治療に適当な患者を同定するために用いられうる。
免疫浸潤物は、図5に示されるデータを生じた市販のNSCLC腫瘍において、散在または不均一PD-L1パターンの腫瘍がより豊富な免疫浸潤物(高いPD-L1 H-スコア)を伴ったことから、散在発現パターンを示すNSCLC腫瘍に特異的なバイオマーカーとして用いることができる可能性がある(図5)。
多重IHC実験は、腫瘍細胞と免疫細胞サブセットとの間の一定の特別な関連性を示した。PD-L1標識化は、腫瘍における散在PD-L1発現を示した。CD68検出は、腫瘍間質接合面におけるマクロファージ層が「境界」活性化T細胞の形成に貢献することを示した一方、CD3検出は、T細胞が中程度に豊富であるが、間質に大きく限定されることを示した(図6)。
PD-L1発現パターンは、ゲノムデータと相関する(図7)。図7のパネルAは、PD-L1発現のレベルがRNA配列データと相関するが、RNA配列決定データのみでは、IHCにより観察されたPD-L1発現パターンの地理的背景を供しないことを示す。エクソーム解析データを示す図7のパネルBは、PD-L1の散在発現パターンがより高い変異量と相関することを示す。
より高い変異量はまた、炎症性腫瘍に関連していた(図8)。パネルAは、慢性炎症浸潤物の強度スコアである「CIスコア」を用いて測定した全体の炎症を示す。パネルBは、PD-L1+免疫浸潤物の相対的割合の強度スコアである「PD-L1+CIスコア」を用いて測定したPD-L1+炎症を示す。NSCLC腫瘍におけるミスセンス変異数と全体の炎症との間に関連性が存在する。
観察されたPD-L1発現パターンに対する異なるバイオマーカー(TP53、STK11、KEAP1、KRAS、EGFR、およびMET)の変異頻度を評価し(図9)、その結果、陰性PD-L1腫瘍細胞の発現および低いPD-L1のmRNA発現は、SKT11変異の存在と関連すること示す。変異型STK11の存在は、「N」(PD-L1陰性)発現パターンの存在と相関している。変異型STK11の存在は、「D」(散在)パターン(ニボルマブ療法に対する大半の応答者で見られるパターン)の存在と相関しなかったこと。よって、STK11変異型の存在は、ニボルマブによるNSCLC腫瘍の治療のための陰性バイオマーカーとして用いられうる(すなわち、その存在は、ニボルマブに対して応答性がないか、または応答性が低いことを予測するであろう)。逆に、STK11野生型の存在(または変異型の非存在)は、ニボルマブによる治療のための陽性選択バイオマーカーとして用いられうる。
突然変異によるSTK11の喪失は、mTORシグナル伝達を高めることが予測される。KRASおよびSTK11変異を有する肺腺癌(マウスモデルおよびヒト腫瘍の両方)は、PD-L1発現の低下とT細胞浸潤物の減少を示す。SKT11における変異によって介在される免疫抑制の提唱されるメカニズムには、乳酸産生を増加させる糖分解代謝へのスイッチ、および抗炎症性転写プログラムを引き起こすKEP1の高頻度の同時変異が含まれるであろう。
FOLR2、VSIG4、CD163、CLEC4D、CSF1R、CD86、MS4A1、CD79B、CD19、KIR2DS4、CD3E、CCR4、CCR8、およびCD8Aのレベルを分析した24個のNSCLC腫瘍試料の免疫プリント分析を用いて、炎症パターン(sigClass)により試料を分類した。試料を、低(「sigClass low」)、中間(「sigClass med」)および高(「sigClass hi」)炎症に分類した。試料を、STK11変異の存在(「STK11 mut」)または非存在(「STK11 wt」)によっても分類した(図10)。さらに、試料を、PD-L1発現パターンにより陰性(「PDL1_パターン2陰性」)、散在(「PDL1_パターン2散在」)、不均一(「PDL1_パターン2不均一」)、および腫瘍間質接合面(「PDL1_パターン2TS」)として分類した。散在PD-L1発現パターンの腫瘍は、高い炎症を示し、STK11野生型であった。PD-L1陰性腫瘍は、2つの群:中間の炎症および低い炎症で形成される。STK11変異状態によるPD-L1陰性腫瘍の炎症レベルに明らかな区別は存在していなかった。変異型STK11を有する全ての腫瘍はまた、PD-L1陰性であった。
このデータは、PD-L1発現パターンがユニークな表現型および遺伝的背景背景を伴うことを示す。散在PD-L1発現は、炎症性TMEおよび高い変異量と相関する。さらに、STK11変異の存在は、PD-L1陰性腫瘍のサブセットを同定する。これらの知見は、PD-L1陽性腫瘍のサブセットを同定するためのバイオマーカーとしてのSTK11の適合性、ならびに組織病理学的データとゲノムデータとを組み合わせて、NSCLCサブセットを免疫療法に対する応答性の様々な見込みとともに定義する特徴を同定する可能性を確認する。
実施例2
非盲検無作為化第3相臨床試験は、PD-L1陽性NSCLCを有する患者における第一選択の抗PD-1モノクローナル抗体(ニボルマブ)治療の効果を試験するために行った。未治療のステージIVまたは再発性NSCLCに罹患し、1%またはそれ以上のPD-L1腫瘍発現レベルの患者は、ニボルマブ(体重の3mg/kgの用量で2週間ごとに1回静脈内投与)または白金を用いた化学療法(3週間ごとに1回投与)を6サイクルまで受ける。
事後分析において、患者の腫瘍細胞を、PD-L1発現、ならびに野生型もしくは変異型STK11、KRAS、CDKN2A、PTPND、CUBN、および/またはHERC1について分析した。患者の生存を25ヶ月間追跡した。
治療後、STK11変異型を保有する患者は、野生型STK11を有する患者より無増悪生存期間(PFS)の低下を示すことが見出された。これは、非同義STK11変異のいずれかを有する患者(図12A)およびナンセンス、フレームシフト、またはスプライシングSTK11変異を有する患者(図12B)で見られた。KRAS変異をさらに有するSTK11変異保有患者はまた、抗PD-1抗体治療に対する応答性の低下を示した(図13)。患者をNSCLCタイプに基づいて階級化したところ、非扁平上皮NSCLCおよびいずれかのSTK11変異を有する患者は、KRAS状態に関わらず、野生型STK11を有する患者より低いPFSを示した(図14A~14B)。
STK11変異状態および応答性を、腫瘍PD-L1発現レベルと比較した(図15A-15F)。抗PD-1抗体治療後に部分奏功を示した2人の患者は、STK11変異および高いPD-L1レベルを示すことを見出した(図15B)。しかしながら、抗PD-1抗体治療群において、PD-L1発現レベルは、野生型およびSTK11変異体のサブグループで同様であった(図15E)。
STK11に加えて、患者の腫瘍を、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、およびHERC1状態についてモニターした(図16A~16D)。TP53およびKRASの両方の変異を有する患者は、第一選択の抗PD-1モノクローナル抗体治療による治療後に野生型TP53を有する患者より高いPFSを示した(図16A)。CDKN2Aに変異を有する患者もまた、野生型CDKN2Aを有する患者より高いPFSを示し(図16B)、そして、PTPND、CUBN、およびHERC1の変異型を有する患者についても同様であった(図16C~16D)。
概して、全ての患者のSTK11状態に基づくか、またはKRAS変異をも有する患者にのみ着目した場合、TMBに明らかな差異は存在しなかった(図17A~17B)。しかしながら、野生型STK11患者において、より低いTMBを有する患者と比較して高いTMBを有する患者の全体の応答性がわずかに増加しうる(図17C)。
実施例3
非盲検無作為化第3相臨床試験は、白金を用いた二剤化学療法中またはその後に進行した非扁平上皮NSCLCを有する患者における第二選択の抗PD-1モノクローナル抗体(ニボルマブ)治療の効果を試験するために行った。患者にニボルマブ(体重の3mg/kgの用量で2週間ごとに1回静脈内投与)またはドセタキセル(75mg/mの用量で3週間ごとに1回投与)を投与した。
事後分析において、患者の腫瘍細胞を、STK11およびKRAS変異状態について分析した。上記実施例2で見られるように、STK11変異型を有する患者は、一般に、野生型STK11を有する患者より低い全体PFSを示した(図18A~18D)。対象が、いずれかの非同義STK11変異(図18A~18B)またはナンセンス、フレームシフトもしくはスプライシングSTK11変異(図18D~18E)を有するかどうかの場合、ならびに対象が、KRASの野生型(図18Aおよび18C)であるか、またはKRAS変異型(図18Bまたは18D)を有するかどうかの場合であった。
実施例4
非盲検無作為化第3相臨床試験は、白金を用いた二剤化学療法中またはその後に進行した扁平上皮NSCLCを有する患者における第二選択の抗PD-1モノクローナル抗体(ニボルマブ)治療の効果を試験するために行った。患者にニボルマブ(体重の3mg/kgの用量で2週間ごとに1回静脈内投与)またはドセタキセル(75mg/mの用量で3週間ごとに1回投与)を投与した。
事後分析において、患者の腫瘍細胞をSTK11変異状態について分析した。患者集団におけるSTK11変異の発生率は低く(n=5)、STK11変異型を有する患者は、抗PD-1抗体治療後に野生型STK11を有する患者より高い全体PFSを示した(図19)。さらに多くの患者を分析してこれらの最初の観察の有用性を確認する。
本出願は、2017年6月1日出願の米国仮出願第62/513,831号(出典明示によりその全体が本明細書に取り込まれる)の利益を請求する。

Claims (15)

  1. 腫瘍に罹患している対象を治療するための、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)であって、前記対象が、野生型STK11遺伝子を有すると同定されているものである、前記抗体。
  2. 前記対象が、KRAS、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される変異型マーカー遺伝子を有すると同定されているものである、請求項1に記載の抗PD-1抗体。
  3. 腫瘍に罹患している対象を治療するための、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合し、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分(「抗PD-1抗体」)であって、前記対象が、変異型マーカー遺伝子を有すると同定され、前記マーカー遺伝子が、TP53、CDKN2A、PTPND、CUBN、HERC1、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである、前記抗体。
  4. 前記マーカー遺伝子が、非同義変異、ナンセンス、フレームシフト、またはスプライシング変異を含むものである、請求項2または3に記載の抗PD-1抗体。
  5. 前記腫瘍が、肺癌に由来する、請求項1~4のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  6. 前記腫瘍が、小細胞肺癌(SCLC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)に由来する、請求項5に記載の抗PD-1抗体。
  7. PD-L1発現が、前記抗PD-1抗体の投与前に腫瘍で検出される、請求項1~6のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  8. 前記腫瘍が、PD-L1を散在パターンまたは不均一パターンで発現する、請求項7に記載の抗PD-1抗体。
  9. 前記腫瘍が、高TMBである腫瘍変異量(TMB)状態を有する、請求項1~8のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  10. 前記腫瘍TMB状態が、前記腫瘍における核酸を配列決定し、次いで配列決定された核酸におけるゲノム変化を同定することによって決定されるものであって、前記ゲノム変化が、体細胞変異、非同義変異、ミスセンス変異、塩基対置換、塩基対挿入、塩基対欠失、コピー数変化(CNA)、遺伝子再配列、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたはそれ以上の変化を含むものである。請求項9に記載の抗PD-1抗体。
  11. 前記腫瘍が、高い炎症を示す。請求項1~10のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  12. 前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項1~11のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  13. 前記抗PD-1抗体が、少なくとも約0.1mg/kg~少なくとも約10.0mg/kg体重の範囲の用量で約1、2、または3週間ごとに1回投与される、請求項1~12のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  14. 前記抗PD-1抗体またはその抗原結合部分が、約240mgまたは約480mgのフラット用量で約1、2、3、または4週間ごとに1回投与される。請求項1~13のいずれかに記載の抗PD-1抗体。
  15. 腫瘍に罹患している対象を治療するためのキットであって、
    (a)約4mg~約500mgの範囲の用量の抗PD-1抗体;および
    (b)前記抗PD-1抗体を、野生型STK11遺伝子を有すると同定されている対象に投与するための説明書を含む、キット。
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