JP2023158578A - 研削加工システム - Google Patents

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徹 河原
Toru Kawahara
慎二 村上
Shinji Murakami
祐生 増田
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Abstract

【課題】研削焼けの残留を防止する研削条件の調整を高精度に設定することができる研削加工システムを提供する。【解決手段】研削加工システム1は、工作物Wの表面を複数回研削して最終目標形状に加工する研削加工システムである。そして、研削加工システム1は、工作物Wを研削したときに工作物Wの被加工部に生じる研削焼け状態と、工作物Wを研削したときに工作物に生じた撓み量に基づいて評価された研削状態とに基づいて、工作物Wの研削条件を調整する研削条件調整部323を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、研削加工システムに関する。
従来、工作物を研削加工する際、工作物における加工部位の温度が高温になりやすいため、研削条件によっては工作物の表面に研削焼けが生じることがある。研削焼けは工作物の機械的強度を低下させる要因となるおそれがあるため好ましくない。このような研削焼けを検出する方法として、例えば、特許文献1には、励磁電流により工作物に発生させた渦電流による磁界の変化が、研削焼けの有無により異なることを利用して、周波数の異なる複数の励磁電流により工作物に渦電流を発生させ、工作物深層部と工作物表層部とにおける渦電流による磁界の変化の違いを検出することにより、工作物表層部の研削焼けを検出する構成が開示されている。
特開2018-189603号公報
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、研削焼けが生じたときの研削状態については何ら考慮されていない。そのため、研削焼けの有無が分かったとしても、最終工作物に研削焼けを残留させないための研削条件を高精度に設定するには改善の余地がある。
本発明は、工作物における研削焼けの残留を防止するために研削条件を高精度に調整することができる研削加工システムを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、工作物の表面を複数回研削して最終目標形状に加工する研削加工システムであって、
上記工作物を研削したときに上記工作物の被加工部に生じる研削焼け状態と、上記工作物を研削したときに上記工作物に生じた撓み量に基づいて評価された上記研削状態とに基づいて、上記工作物の研削条件を調整する研削条件調整部を有する、研削加工システムにある。
上記態様によれば、工作物を研削したとき生じる研削焼け状態と工作物に生じた撓み量に基づいて評価された上記研削状態とに基づいて工作物の研削条件を調整するため、最終工作物に研削焼けを残留させないための研削条件を高精度に調整することが容易となる。
以上のごとく、上記態様によれば、研削焼けの残留を防止する研削条件の調整を高精度に設定することができる研削加工システムを提供することができる。
実施形態1における、研削加工システムの構成を示す概念図。 実施形態1における、処理装置の概要構成を示す機能ブロック図。 実施形態1における、定寸装置の構成を示す図。 変形形態における、定寸装置の構成を示す図。 実施形態1における、撓み量を表す概念図 実施形態1における、研削加工システムによる制御のフロー図。 実施形態1における、研削加工システムによる研削加工のフロー図。 実施形態1における、一例における(a)工作物実半径、(b)実切込み量、(c)研削焼け情報量、(d)研削焼け状態変化量を示す図。 実施形態1における、他の例における(a)工作物実半径、(b)実切込み量、(c)研削焼け情報量、(d)研削焼け状態変化量を示す図。 実施形態1における、研削条件調整処理のフロー図。 実施形態1における、研削状態の関係を示す概念図。 実施形態2における、処理装置の概要構成を示す機能ブロック図。 実施形態2における、研削条件調整処理のフロー図。 実施形態3における、処理装置の概要構成を示す機能ブロック図。 実施形態3における、研削条件調整処理のフロー図。
(実施形態1)
1.研削加工システム1の構成
本実施形態1における研削加工システム1について図1を参照して説明する。研削加工システム1は、工作物の研削加工を行う加工装置を対象とする。研削加工システム1は、加工装置としての研削盤2と、処理部3とを備える。
研削盤2は、工作物Wを中心線Cを中心に回転させ、回転体である工具としての砥石車16を回転させ、かつ、砥石車16を工作物Wに対して工作物Wの軸線に交差する方向に相対的に接近させることにより、工作物Wの外周面または内周面を研削する。研削盤2は、テーブルトラバース型の研削盤、砥石台トラバース型の研削盤などを適用可能である。また、研削盤2は、円筒研削盤、カム研削盤等を適用可能である。
本実施形態においては、図1に示すように、工作物Wは、例えば、軸状に形成された部材とし、工作物Wの外周面が被加工部である場合を例にあげる。ただし、工作物Wの形状は、軸状に限られず、内周面を有する筒状など、任意の形状とすることができる。工作物Wが筒状である場合は工作物Wの内周面を被加工部とすることができる。
本実施形態においては、工作物Wは、略棒状であって両端において工作物支持部材により支持される。ただし、図1に示す工作物Wは、一例であって、研削盤2は、種々の形状を有する工作物を研削加工の対象とすることができる。
処理部3は、後述する処理を行う処理装置31と、研削盤2を制御する制御装置32とを備える。処理装置31は後述するように、研削焼け状態と研削状態とに基づいて、工作物の研削条件を調整する。制御装置32は、研削盤2を制御することにより、研削加工を制御する。
処理装置31は、研削盤2および制御装置32とは独立したシミュレーション装置として機能させることもできるし、研削盤2および制御装置32と連動して動作するシミュレーション装置として機能させることもできる。前者の場合には、処理装置31は、例えば、実際の工作物Wの研削加工を行うことなく、最適な研削条件を決定することができる。後者の場合には、処理装置31は、研削盤2による工作物Wの研削加工と並行して処理することにより、例えば、研削条件を調整したり、各種制御に影響を及ぼすように動作したりすることができる。また、処理装置31は、研削盤2および制御装置32の組込みシステムとすることもできる。
2.研削盤2および制御装置32の構成
研削盤2の構成について、図1を参照して説明する。本実施形態1においては、研削盤2は、砥石台トラバース型の円筒研削盤を例にあげる。ただし、研削盤2は、テーブルトラバース型を適用することもできる。研削盤2は、主として、ベッド11、主軸台12、心押台13、トラバースベース14、砥石台15、砥石車16、定寸装置17、砥石車修正装置18、クーラント装置19、焼け検出センサ20及び変位センサ25を備える。
ベッド11は、設置面上に固定されている。主軸台12は、ベッド11の上面において、X軸方向の手前側(図1の下側)且つZ軸方向の一端側(図1の左側)に設けられている。主軸台12は、工作物Wを中心線Cを中心としてZ軸回りに回転可能に支持する。工作物Wは、主軸台12に設けられたモータ12aの駆動により回転される。心押台13は、ベッド11の上面において、主軸台12に対してZ軸方向に対向する位置、すなわち、X軸方向の手前側(図1の下側)且つZ軸方向の他端側(図1の右側)に設けられている。つまり、主軸台12および心押台13が、工作物Wを回転可能に両端支持する。
トラバースベース14は、ベッド11の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。トラバースベース14は、ベッド11に設けられたモータ14aの駆動により移動する。砥石台15は、トラバースベース14の上面において、X軸方向に移動可能に設けられている。砥石台15は、トラバースベース14に設けられたモータ15aの駆動により移動する。砥石車16は、砥石台15に回転可能に支持されている。砥石車16は、砥石台15に設けられたモータ16aの駆動により回転する。砥石車16は、複数の砥粒をボンド材により固定されて構成されている。
定寸装置17は、工作物Wの寸法(径)を測定する検出器21として機能する。ただし、検出器21は、定寸装置17に限定されず、単一のプローブを有する接触式センサやレーザ変位計などの非接触式センサであってもよい。
図3に示すように、定寸装置17は、装置本体171と、一対の定寸接触子172a,172bと、一対のフィンガ173a,173bと、差動トランス174とを主に備える。定寸接触子172a,172bは、工作物Wの外周面に対して接触可能に設けられる。具体的に、一対の定寸接触子172a,172bのうち、一方の定寸接触子172aは、工作物Wの外周面に対して上方から接触し、他方の定寸接触子172bは、工作物Wの外周面に対して下方から接触する。フィンガ173a,173bは、定寸接触子172a,172bを保持すると共に、装置本体171に対し、定寸接触子172a,172bを相対変位可能に支持する。具体的に、一対のフィンガ173a,173bのうち、一方のフィンガ173aは、一方の定寸接触子172aを支持し、他方のフィンガ173bは、他方の定寸接触子172bを支持する。
差動トランス174は、装置本体171に収容される。差動トランス174は、一対の定寸接触子172a,172bの変位に伴って変位する一対のフィンガ173a,173bの変位を検出し、フィンガ173a,173bの変位に応じた電気信号を制御装置32に出力する。制御装置32は、差動トランス174から出力された電気信号に基づいて、一対の定寸接触子172a,172bが工作物Wの外周面に接触したときのフィンガ173a,173bの位置を検知し、フィンガ173a,173bの位置に基づいて、定寸装置17による工作物Wの外径の測定結果を取得することができる。なお、定寸装置17には、他の検出器21として、加速度センサ、マイクロフォン、温度センサなどが取り付けられていてもよい。
焼け検出センサ20は、工作物Wにおける研削焼け情報量を導出するための信号を検出し、工作物Wに接触して工作物Wの撓み量に応じて変位可能に構成されている。本実施形態1では、図3に示すように、焼け検出センサ20は、センサヘッドの先端が工作物Wの被加工部に当接した状態が維持されるように、後述するばね26により、工作物Wに向けて付勢されている。そして、本実施形態1では、焼け検出センサ20は、定寸装置17の装置本体171に取り付けられた支持台27上に移動可能なように載置されている。これにより、焼け検出センサ20は、工作物Wに対して砥石車16と反対側に位置している。なお、図1及び図3において、符号20はセンサヘッドの位置を図示し、センサ本体は図示を省略する。
本実施形態1では、焼け検出センサ20として渦電流センサを備える。焼け検出センサ20としての渦電流センサは、励磁電流により工作物Wの内部に渦電流を誘導し、渦電流により生じる磁界に応じた信号を出力するものである。焼け検出センサ20(渦電流センサ)は、図示しないコイルを有しており、当該コイルに励磁電流を供給することにより、コイルは工作物Wに磁場を印加して、工作物Wの内部に渦電流を誘導する。そして、焼け検出センサ20(渦電流センサ)は、渦電流が作る磁界によってコイルのインピーダンスの変化を信号として出力する。渦電流の大きさ、ひいては出力信号の大きさは工作物Wの被加工部の状態などに応じて変化する。
焼け検出センサ20(渦電流センサ)において、上記コイルには周波数の異なる複数の励磁電流を供給できるように構成されている。本実施形態1では、当該励磁電流として、第1周波数を有する第1励磁電流と、第1周波数よりも高い第2周波数を有する第2励磁電流とを含む。すなわち、第1励磁電流を低周波電流とし、第2励磁電流を高周波電流とすることができる。渦電流の浸透深さはその励磁電流の周波数により異なる。そして、低周波の第1励磁電流による第1渦電流は工作物Wの深層部まで浸透しやすく、高周波の第2励磁電流による第2渦電流は工作物Wの表面に近い表層部に浸透することとなる。なお、第3励磁電流又は第4励磁電流を設定してもよい。
本実施形態1において、第1励磁電流の周波数は限定されないが、例えば、0.1kHz~1.0kHzの周波数帯に設定することができる。これにより、第1励磁電流による渦電流の浸透深さを、工作物Wにおいて研削焼けが到達せずに母材で構成される深層部に一致させることができる。一方、第2励磁電流の周波数も限定されないが、例えば、50MHz~1.0MHzの周波数帯に設定することができる。これにより、第2励磁電流による渦電流の浸透深さを、工作物Wにおいて深層部より表層側に位置して研削焼けが発生しうる表層部に一致させることができる。なお、それぞれの周波数帯は、本実施形態における工作物Wの材質、焼き入れ状態などを鑑みて適宜調整して設定することができる。
なお、本実施形態1では、焼け検出センサ20(渦電流センサ)は第1励磁電流と第2励磁電流をコイルに供給することとしたが、研削対象の工作物Wにおける母材の構成が実質的に同じ工作物Wを用いる場合や単一の工作物Wについての研削焼け状態を評価するような場合は、渦電流の浸透深さを研削焼けが発生しうる表層部に一致させた励磁電流のみをコイルに供給して研削焼けが発生しうる表層部の状態に基づく信号のみを出力するようにしてもよい。なお、焼け検出センサ20は渦電流センサに限定されず、研削焼けを検出可能なものであればよい。
変位センサ25は、上述のようにばね26により工作物Wの被加工部に接触するように付勢された焼け検出センサ20の変位量を検出する検出器21として機能する。本実施形態1では、図3に示すように、変位センサ25及びばね26は、定寸装置17の装置本体171に取り付けられて、工作物Wに対して砥石車16と反対側に位置している。後述するように、変位センサ25の焼け検出センサ20の変位量と、定寸装置17で取得された実半径とに基づいて、工作物Wの撓み量を算出することができる。なお、変位センサ25の構成は、接触式センサやレーザ変位計などの非接触式センサであってもよい。
なお、図4に示す変形形態のように、焼け検出センサ20とは別に、ばね26により工作物Wの被加工部に接触するように付勢されたセンサ接触子28を設けて、変位センサ25は、当該センサ接触子28の変位を検出するものとしてもよい。この場合、焼け検出センサ20は、工作物Wと非接触とすることができる。また、変位センサ25は、センサ接触子28、ばね26を介さずに直接非接触で変位を検出してもよい。この場合、焼け検出センサ20と変位センサ25は非接触とすることができる。
砥石車修正装置18は、砥石車16の形状を修正する。砥石車修正装置18は、砥石車16のツルーイングを行う装置である。砥石車修正装置18は、ツルーイングに加えて、または、ツルーイングに代えて、砥石車16のドレッシングを行う装置としてもよい。さらに、砥石車修正装置18は、砥石車16の寸法(径)を測定する機能も有する。
ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削によって砥石車16が摩耗した場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車16を成形する作業、片摩耗によって砥石車16の振れを取り除く作業等である。ドレッシングは、目直し(目立て)作業であり、砥粒の突き出し量を調整したり、砥粒の切れ刃を創成したりする作業である。ドレッシングは、目つぶれ、目詰まり、目こぼれ等を修正する作業であって、通常ツルーイング後に行われる。
クーラント装置19は、クーラントノズルから砥石車16による工作物Wの研削点にクーラントを供給する。クーラント装置19は、回収したクーラントを、所定温度に冷却して、再度研削点に供給する。クーラント装置19は、クーラントの流量や供給タイミングの調整が可能となっている。なお、図1において、符号19はクーラントノズルの位置を図示する。また、図示しないが、検出器21として、回収したクーラントの温度を取得する温度センサが備えられていてもよい。
制御装置32は、工作物Wの形状、研削条件、砥石車16の形状、クーラントの流量又は供給タイミング情報等の動作指令データに基づいて生成されたNCプログラムに基づいて、研削盤2における砥石車16やクーラント装置19等の駆動を制御することにより工作物Wの研削を行う。特に、制御装置32は、後述する研削条件調整部323により作成された研削条件と、定寸装置17により測定される工作物Wの径に基づいて、工作物Wが仕上げ形状(目標形状)となるまで研削を行う。また、制御装置32は、砥石車16を修正するタイミングにおいて、砥石車修正装置18等を制御することにより、砥石車16の修正(ツルーイングおよびドレッシング)を行う。
3.処理装置31の構成
図2に示すように、処理装置31は、第1研削焼け情報量算出部311、第2研削焼け情報量算出部312、研削焼け情報量取得部313、研削焼け情報量格納部314、研削焼け状態変化量算出部315、研削焼け状態評価部316、評価結果表示部317を備える。
第1研削焼け情報量算出部311には、焼け検出センサ20(渦電流センサ)から出力された第1信号が入力される。第1研削焼け情報量算出部311は、当該第1信号に基づいて第1研削焼け情報量を算出する。第1研削焼け情報量の形態は限定されず、第1信号を構成するインピーダンスの変化量、第1信号に基づいて算出した第1渦電流の第1透磁率、これらをさらに所定の情報量に変換した値などとすることができる。
第2研削焼け情報量算出部312には、焼け検出センサ20(渦電流センサ)から出力された第2信号が入力される。第2研削焼け情報量算出部312は、当該第2信号に基づいて第2研削焼け情報量を算出する。第2研削焼け情報量の形態は上述の第1研削焼け情報量の形態と同じとすることができる。
研削焼け情報量取得部313は、第1研削焼け情報量算出部311により算出された第1研削焼け情報量と第2研削焼け情報量とから、上記工作部Wの被加工部における研削焼け情報量を取得する。本実施形態1では、当該研削焼け情報量として、第1研削焼け情報量と第2研削焼け情報量との差分を取得する。当該研削焼け情報量は、研削焼け情報量格納部314に格納される。第1研削焼け情報量と第2研削焼け情報量との当該差分は、工作物Wの被加工部における研削焼けの残留の有無により変化することとなる。しかしながら、例えば、図8(c)及び図9(c)に示す例では、工作物Wに材料ばらつきが存在するため、研削中の工作物Wの一回転Aごとに、材料ばらつきに相当すると推察される変動Rが存在している。
なお、本実施形態1では、研削焼け情報量取得部313は、検出センサ20としての渦電流センサにより第1研削焼け情報量と第2研削焼け情報量とを取得したが、これに限らず、他の手段で研削焼け情報量を取得することとしてもよい。
研削焼け状態変化量算出部315は、対象研削時刻において研削焼け情報量取得部313が取得した工作物Wの被加工部における研削焼け情報量(今回の研削焼け情報量)と、研削焼け情報量格納部に格納された工作物Wの同一被加工部における前回の研削焼け情報量とに基づいて、対象研削時刻における研削焼け状態変化量を算出する。研削焼け状態変化量は、今回の研削焼け情報量と前回の研削焼け情報量との差分として算出される。本実施形態1では、前回の研削焼け情報量とは工作物Wの一回転前の対象研削時刻において取得された研削焼け情報量である。なお、図8(d)及び図9(d)に示すように、当該研削焼け状態変化量は研削中の工作物Wの一回転A中に材料ばらつきに相当すると推察される変動Rは存在しておらず、研削焼け状態変化量には材料ばらつきは何ら影響していない。
研削焼け状態評価部316は、研削焼け状態変化量算出部315により算出された研削焼け状態変化量に基づいて、工作物Wの被加工部において研削焼けが残留しているか否かを評価する。工作物Wの被加工部の表層部に研削焼けが残留している場合、被加工部の研削により研削焼けの少なくとも一部が除去されると、当該被加工部における深層部から表層部までの間の材料構成(研削焼けが残留する部分と残留しない部分の割合)が変化することなる。そのため、研削焼け状態変化量算出部315の算出結果である研削焼け状態変化量、すわなち、今回の研削焼け情報量と前回の研削焼け情報量との差分が変化することとなる。一方、表層部に研削焼けが残留していない場合は、工作物Wの被加工部を研削しても当該被加工部における深層部から表層部までの間の材料構成は変化しない。そのため、研削焼け状態変化量算出部315の算出結果である研削焼け状態変化量も変化しない。
以上のように、研削焼け状態評価部316は、研削焼け状態変化量算出部315の算出結果である研削焼け状態変化量としての上記差分が変化している場合は、工作物Wの被加工部に研削焼けが残留していると評価し、そうでない場合は工作物Wの被加工部に研削焼けが残留していないと評価する。そして、研削焼け状態評価部316において、研削焼けが残留しているとの評価から研削焼けが残留していないとの評価に替わったタイミングが、工作物Wの被加工部から研削焼けが消失したタイミングとなる。
なお、例えば、工作物Wの一回転A中の材料ばらつきが小さい場合や材料ばらつきを考慮しない場合などでは、研削焼け状態評価部316は、図8(d)及び図9(d)に示す研削焼け状態変化量Pに替えて、図8(c)及び図9(c)に示す第1研削焼け情報量と第2研削焼け情報量との当該差分を用いて研削焼け状態を評価してもよい。
図2に示すように、処理装置31は、さらに、寸法情報取得部318、撓み量演算部330、研削状態評価部331、研削条件調整部323を備える。
寸法情報取得部318は、検出器21としての定寸装置17により工作物Wの実半径を取得する。図3に示すように、T1とT2と間の距離の2分の1を工作物Wの実半径として取得する。
撓み量演算部330は、寸法情報取得部318により取得された工作物Wの寸法情報に基づいて、工作物Wの撓み量を演算する。本実施形態1では、撓み量として、まず、全撓み量Taを演算する。全撓み量Taは、研削撓み量Tkと動圧撓み量Tdとの合計として表すことができる。
研削撓み量Tkには、弾性撓み量Teが含まれている。また、動圧撓み量Tdは、供給されるクーラントにより工作物Wに生じる撓み量であって、クーラントの流量に比例する。研削撓み量Tkは、砥石車16により工作物Wが実際に切り込まれることで生じる撓み量である。弾性撓み量Teは、砥石車16による研削が行われず、工作物Wが弾性変形する弾性抵抗領域での工作物Wの撓み量である。
本実施形態1では、図3に示すように、工作物Wにおいて定寸接触子172a(172b)が接触する位置と、焼け検出センサ20のセンサヘッドが接触する位置とは、工作物Wの回転中心を回転中心として、90°ずれていることを考慮して、全撓み量Taは、B-(90°前の実半径)として表すことができる。
各撓み量は、後述する研削工程S11~S14において、例えば、図5に示すように推移する。図5に示す実切込み量は前回のT1・T2間の距離と今回のT1・T2間の距離の差分として算出できる。図5に示すように、各研削工程S11~S14における指令値に基づいて、実切込み量が変化し、これに基づいて、全撓み量Taが変化している。そして、撓み量演算部330は、工作物Wの撓み量として全撓み量Taと動圧撓み量Tdとから研削撓み量Tkを算出する。
研削状態評価部331は、撓み量演算部330により算出された工作物Wの撓み量に基づいて、研削特徴量を算出する。研削特徴量は、加工位置における砥石車16の研削法線抵抗、砥石車16の切れ味である砥石切れ味、クーラント流量や砥石切れ味で変化する比例するクーラント動圧、工作物Wの弾性領域抵抗を例示でき、これらのうち少なくとも一つを含むものとすることができる。そして、研削状態評価部331は、評価結果として上記撓み量に応じた研削特徴量を示す。
研削条件調整部323は、研削焼け状態評価部316の評価結果と、研削状態評価部331の評価結果とに基づいて、工作物Wの研削加工の研削条件を調整する。本実施形態1では、後述する粗研削工程S11の終了時における研削焼け状態評価部316の評価結果において研削焼けが残留していることを示す場合は、以後の工程において研削状態評価部331の評価結果における研削特徴量を参照して、精研削工程S13及び微研削工程S14における研削量を大きくするように研削条件を調整したり、次の工作物Wにおける粗研削工程S11での研削能率を低下させるように研削条件を調整したりすることができる。なお、精研削工程S13及び微研削工程S14における研削量を大きくする場合は、予め設定された目標形状における公差の範囲内で行うことができる。
研削条件調整部323による研削条件の調整において、研削能率の変更(上昇、低下)は、砥石車16の切込み量及び切込速度、クーラント流量や砥石車16におけるドレスリードの変更などによって行うことができる。
研削条件調整部323により調整された研削条件は制御装置32に出力され、制御装置32は当該研削条件に従って、研削盤2により工作物Wの研削を行う。
4.研削加工システム1による処理
図6に示すように、研削加工システム1による処理は、研削加工処理S1と研削条件調整処理S2とを並列して行う。
4-1.研削加工処理の説明
まず、研削加工処理S1について説明する。図7に示すように、研削加工処理S1は、粗研削工程S11、精研削工程S12、微研削工程S13、スパークアウト工程S14を含む。
粗研削工程S11では、制御装置32により、工作物Wの形状、研削条件、砥石車16の形状、クーラントの流量又は供給タイミング情報等の動作指令データに基づいて、砥石車16を所定の速度で回転させて、第1切込み量で工作物Wを研削する。精研削工程S12では、制御装置32により工作物Wを第1切り込み量よりも低い第2切り込み量で研削する。微研削工程S13では、制御装置32により工作物Wを第2切り込み量よりも低い第3切り込み量で研削する。スパークアウト工程S14では、予め設定された回転数で工作物Wを回転させて微研削工程S13における研削残しの分を研削して断面形状を真円形状とする。スパークアウト工程S14における切り込み量は0であるが、工作物Wには弾性領域抵抗による撓み量である弾性撓み量Tdが残る。なお、切り込み量は制御装置32により砥石車16の切込み位置を制御することにより調整できる。
本実施形態1では、各工程S11~S13における第1~第3切込み量は、例えば、図8(b)又は図9(b)に示すようにそれぞれ設定される。そして、スパークアウト工程S14では、実切込み量は実質的にゼロとなっている。なお、各工程S11~S14において、クーラント装置19により切り込み量に対応してクーラント流量なども適宜制御する。
4-2.研削条件調整処理S2の説明
図10に示す研削条件調整処理S2について以下に説明する。図10に示すように、研削焼け判定処理は、まず、第1の並列処理として、ステップS211において、第1研削焼け情報量算出部311により、焼け検出センサ20(渦電流センサ)から対象研削時刻における第1信号を受信して第1研削焼け情報量としての第1透磁率を算出する。また、第2研削焼け情報量算出部312により、焼け検出センサ20(渦電流センサ)から対象研削時刻における第2信号を受信して第1研削焼け情報量としての第2透磁率を算出する。
次いで、ステップS212において、研削焼け情報量取得部313により、対象研削時刻における研削焼け情報量(今回の研削焼け情報量)として第1透磁率と第2透磁率との差分を取得する。
その後、ステップS213において、研削焼け状態変化量算出部315により研削焼け状態変化量として、今回の研削焼け情報量と、研削焼け情報量格納部314に格納された工作物Wにおける同一被加工部の前回(一回転前)の研削焼け情報量との差分を取得する。
また、第2の並列処理として、ステップS221において、定寸装置17により工作物Wの実半径を検出し、変位センサ25により工作物WにおけるB位置の変位を検出する。そして、ステップS222において、撓み量演算部330により、対象研削時刻における工作物Wの撓み量を算出する。その後、ステップS223において、研削状態評価部331により、評価結果として研削特徴量を算出する。
そして、第1及び第2の並列処理後、ステップS25において、研削焼け状態評価部316により、スパークアウト工程S14までに研削焼け状態変化量が所定値以下か否かを判定する。本実施形態1では、研削焼け状態変化量の絶対値が略ゼロとなったか否かを判定する。例えば、図8(d)に示す例では、スパークアウト工程S14までに、研削焼け状態変化量Pの絶対値が略ゼロとなっている。
そして、研削焼け状態変化量が所定値以下であると判定された場合は、ステップS25のYesに進み、ステップS26において、研削焼け状態評価部316により、工作物Wにおいて研削焼けの残留なしと評価する。そして、ステップS27において、研削焼け状態評価部316の当該評価結果と、研削状態評価部331の上記評価結果とを評価結果表示部317により表示する。
その後、ステップS28に進み、研削条件調整部323により、当該判定移行の精研削工程S12及び/又は微研削工程S13の切り込み量は当初のまま変更せず、次の工作物Wにおける粗研削工程S11の研削能率を上昇させるように、研削条件を調整する。当該研削条件の調整は、研削状態評価部331の上記評価結果に基づいて研削特徴量の少なくとも一つを変更することにより行う。
例えば、研削特徴量としての実切込み量と砥石切れ味とが、図11(a)に示す関係を示し、砥石切れ味とクーラント動圧とが、図11(b)に示す関係を示す場合には、研削能率を上昇させるための研削条件の調整は、評価結果である実切込み量と砥石切れ味とを図11(a)に示す基準Q1よりも紙面下方の正常範囲内であることを維持しつ、かつ、評価結果である砥石切れ味とクーラント動圧とが、図11(b)に示す基準Q2よりも紙面上方の正常範囲内であることを維持しつつ、実切込み量を大きくするようにすることができる。
次いで、研削焼け状態変化量が所定値以下ではないと判定された場合、例えば、図9(d)に示す例のように、粗研削工程S11後からスパークアウト工程S14までに、研削焼け状態変化量Pの絶対値が略ゼロとなっていない場合は、ステップS25のNoに進む。そして、ステップS29において、研削焼け状態評価部316により、工作物Wにおいて研削焼けの残留ありと評価する。そして、ステップS30において、研削焼け状態評価部316の当該評価結果と、研削状態評価部331の上記評価結果とを評価結果表示部317により表示する。
その後、ステップS31に進み、研削条件調整部323により、当該工作物Wにおける精研削工程S12及び微研削工程S13の切り込み量を目標形状の公差の範囲内で上昇させるとともに、次の工作物Wにおける粗研削工程S11の研削能率を低下させるように、研削条件を調整する。当該研削条件の調整は、研削状態評価部331の上記評価結果に基づいて、研削特徴量の少なくとも一つを変更することにより行う。そして、当該研削条件調整処理を終了する。
例えば、研削特徴量としての実切込み量と砥石切れ味とが、図11(a)に示す関係を示し、砥石切れ味とクーラント動圧とが、図11(b)に示す関係を示す場合には、研削能率を低下させるための研削条件の調整は、評価結果である実切込み量と砥石切れ味とを図11(a)に示す基準Q1よりも紙面下方の正常範囲内であることを維持しつ、かつ、評価結果である砥石切れ味とクーラント動圧とが、図11(b)に示す基準Q2よりも紙面上方の正常範囲内であることを維持しつつ、実切込み量を小さくするようにすることができる。
なお、図9(d)に示す例では、研削焼け状態変化量Pの絶対値が略ゼロとなっていない状態で、スパークアウト工程S14を行っているが、これに替えて、目標形状に対して工作物Wに研削の余裕度がある場合には、研削焼け状態変化量Pの絶対値が略ゼロとなるまで精研削工程S12又は微研削工程S13を行ってから、スパークアウト工程S14を行ってもよい。
5.作用効果
本実施形態1の研削加工システム1では、工作物Wを研削したとき生じる研削焼け状態と工作物に生じた撓み量に基づいて評価された研削状態とに基づいて工作物の研削条件を調整するため、最終工作物に研削焼けを残留させないための研削条件を高精度に調整することが容易となる。
また、実施形態1では、撓み量を検出する変位センサ25、ばね26、焼け検出センサ20は定寸装置17に設けられている。そのため、本実施形態1の研削加工システム1の構成を既存の研削加工システムに適用することが容易となっている。
また、本実施形態1の研削加工システム1は、工作物Wの被加工部における研削焼け情報量を取得する研削焼け情報量取得部313と、研削焼け情報量取得部313により取得された工作物Wの被加工部における研削焼け情報量を格納する研削焼け情報量格納部314と、対象研削時刻において取得された工作物Wの被加工部における研削焼け情報量と、研削焼け情報量格納部314に格納された工作物Wの同一被加工部における前回の研削焼け情報量とに基づいて、研削焼け状態変化量を算出する研削焼け状態変化量算出部315と、研削焼け状態変化量算出部315が取得した研削焼け状態変化量に基づいて、工作物Wの被加工部における研削焼け状態を評価する研削焼け状態評価部316と、工作物Wの撓み量を取得する撓み量演算部330と、対象研削時刻において取得された撓み量に基づいて研削特徴量を算出して研削状態を評価する研削状態評価部331と、を備える。そして、研削条件調整部323は、研削焼け状態評価部316の評価結果と研削状態評価部331の評価結果とに基づいて、研削条件を調整する。これにより、最終工作物に研削焼けを残留させないための研削条件を高精度に調整することが容易となる。
また、本実施形態1では、工作物Wの研削は、少なくとも、粗研削工程S11、精研削工程S12、微研削工程S13及びスパークアウト工程S14の順に行われる複数の工程を含む。そして、研削条件調整部323は、粗研削工程S11の終了後からスパークアウト工程S14までに取得された研削焼け状態と研削状態とに基づいて、当該研削焼け状態及び研削状態を取得した時刻以降の精研削工程S12、微研削工程S13及び次の工作物Wの粗研削工程S11の少なくとも一つにおける研削条件を調整する。これにより、研削焼け状態と研削状態を取得した当該研削加工においてインプロセスで研削条件を調整することができ、また、次の工作物における研削加工における研削条件を調整することもできる。そのため、研削条件を早期に調整することができ、研削焼けの残留を防止して生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態1では、上記研削状態は、研削特徴量として取得される研削法線抵抗、砥石切れ味、クーラント動圧及び弾性領域抵抗の少なくとも一つである。これにより、研削条件の調整する際にこれらの研削特徴量を用いることで、研削条件の調整を容易に行うことができる。
また、本実施形態1では、研削焼け状態及び研削状態を表示する評価結果表示部317を有する。これにより、評価結果を容易に認識することができる。
以上のごとく、本実施形態1によれば、研削焼けの残留を防止する研削条件の調整を高精度に設定することができる研削加工システム1を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態2では、図12に示すように、実施形態1の構成に加えて、研削焼け消失時寸法情報取得部319、寸法情報格納部320、寸法情報比較部321、余裕度算出部322を備える。その他の構成は実施形態1の場合と同等であり、実施形態1と同一の符号を付してその説明を省略する。
研削焼け消失時寸法情報取得部319は、研削焼け状態評価部316により研削焼けが消失したタイミングにおける工作物Wの実半径を研削焼け消失時寸法情報として取得する。そして、当該研削焼け消失時寸法情報は、寸法情報格納部320に格納される。
寸法情報比較部321は、工作物Wの研削が終了したときに寸法情報取得部318により取得された寸法情報である研削終了時寸法情報と、寸法情報格納部に格納された研削焼け消失時寸法情報とを比較する。本実施形態2では、寸法情報比較部321は、当該比較結果として、研削終了時寸法情報である研削終了時の工作物Wの実半径と、研削焼け消失時の工作物Wの実半径との差分を算出する。
そして、余裕度算出部322は、寸法情報比較部321の比較結果に基づいて、工作物Wにおける研削の余裕度を算出する。本実施形態2では、寸法情報比較部321の比較結果である研削終了時の工作物Wの実半径と研削焼け消失時の工作物Wの実半径との差分を余裕度算出部322における余裕度の算出結果とする。
工作物Wの被加工部において研削焼けが消失したタイミングから研削終了時までの期間に、工作物Wの被加工部において研削されるのは研削焼けを有しない母材である。そのため、当該期間で研削される領域に当該期間の前に研削焼けが残留していたとしても、研削終了時にはこの領域の残留研削焼けは当該期間で研削されて消失することとなる。したがって、当該期間に研削される領域、すなわち、研削終了時寸法情報である研削終了時の工作物Wの実半径と、研削焼け消失時の工作物Wの実半径との差分に相当する領域は、研削途中に研削焼けが残留していてもよいことから、余裕度算出部322の算出結果である研削終了時の工作物Wの実半径と研削焼け消失時の工作物Wの実半径との差分を、研削焼けに対する余裕度ととらえることができる。
研削条件調整部323は、余裕度算出部322の算出結果と、研削状態評価部の評価結果とに基づいて、上記工作物における研削条件を調整する。上述の通り、余裕度算出部322の算出結果、即ち、研削終了時の工作物Wの実半径と研削焼け消失時の工作物Wの実半径との差分に相当する領域に研削焼けが発生してもよいため、研削条件調整部323は、研削途中に研削焼けが発生しうるように研削条件に調整することができる。すなわち、次回の研削において粗研削工程における研削能率を上昇させるように研削条件を調整することができる。
一方、研削焼け状態評価部316の評価結果が、研削焼けが残留していることを示す場合には、研削条件調整部323は、次回の研削において粗研削工程S11における研削能率を低下させるように研削条件を調整することができる。研削能率の変更(上昇、低下)は、砥石車16の切込み量及び切込速度や砥石車16におけるドレスリードの変更によって行うことができる。
研削条件調整部323により調整された研削条件は制御装置32に出力され、制御装置32は当該研削条件に従って、研削盤2により工作物Wの研削を行う。
6.研削条件調整処理S2の説明
本実施形態2における研削条件調整処理S2では、まず、図10に示す実施形態1の場合とステップS211~S27までの処理と同様の処理を行う。そして、図13に示すように、ステップS27の後、ステップS281に進み、ステップS281において、寸法情報取得部318により、検出器21としての定寸装置17によりスパークアウト工程S14後の工作物Wの寸法情報として工作物Wの実半径を取得する。
その後、ステップS282において、寸法情報比較部321により、スパークアウト工程S14後の工作物Wの実半径と、寸法情報格納部320に格納された研削焼け消失時T1の工作物Wの実半径とを比較し両者の差分を算出する。当該差分は、実施形態1における図8(a)に示すように、研削焼け消失時T1の工作物Wの実半径D1と、スパークアウト工程S14後の工作物Wの実半径D2との差分Mとして表される。余裕度算出部322は当該差分Mを研削の余裕度として算出する。
そして、ステップS283において、研削条件調整部323は、上記余裕度Mがゼロに近づくように、次の工作物Wの研削における研削条件について研削能率を上昇させるように研削条件を調整する。当該研削条件の調整は、研削状態評価部331の上記評価結果に基づいて、研削特徴量の少なくとも一つを変更することにより行う。
7.作用効果
本実施形態2の研削加工システム1は、工作物Wの寸法情報を取得する寸法情報取得部318と、研削焼け状態が工作物の被加工部に研削焼けが残留していないことを示すものであるときに寸法情報取得部318により取得された寸法情報を研削焼け消失時寸法情報として取得する研削焼け消失時寸法情報取得部319と、研削焼け消失時寸法情報取得部319により取得された研削焼け消失時寸法情報を格納する寸法情報格納部320と、工作物Wの研削が終了したときに寸法情報取得部318により取得された寸法情報である研削終了時寸法情報と、寸法情報格納部320に格納された研削焼け消失時寸法情報とを比較する寸法情報比較部321と、寸法情報比較部321の比較結果に基づいて工作物Wにおける研削の余裕度Mを算出する余裕度算出部322と、を備える。そして、研削条件調整部323は、余裕度算出部322の算出結果と、研削状態とに基づいて、工作物Wにおける研削条件を調整する。
これにより、余裕度Mを考慮して研削条件を調整することができるため、一層高精度に研削条件を調整することができる。そして、研削焼けが残留しない範囲で研削能率を上昇させることができるため、研削サイクルの短縮を図ることができる。なお、本実施形態2においても、実施形態1の場合と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
本実施形態3は、図2に示す実施形態1の構成に加え、図14に示すように、説明変数取得部41、目的変数取得部42、モデル作成部43、学習済みモデル記憶部44を備える。説明変数取得部41は、学習済みモデル作成のための説明変数を取得する。目的変数取得部42は、学習済みモデル作成のための目的変数を取得する。モデル作成部43は、取得された説明変数と目的変数とから学習済みモデルを作成する。学習済みモデル記憶部44は、作成された学習済みモデルを記憶する。なお、本実施形態3において実施形態1の場合と同等の構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
8.学習済みモデルの作成
本実施形態3では、研削条件調整処理を行う前に、学習済みモデルを作成する。学習済みモデルの作成にあたっては、まず、訓練データとして学習モデル作成用の工作物Wにおいて研削を行い、当該研削時の研削状態(研削特徴量)を説明変数として、説明変数取得部41により取得する。そして、当該学習モデル作成用の工作物Wの研削において、実施形態1の場合と同様に研削焼け状態の評価を行って得られる焼け深さを目的変数として、目的変数取得部42により取得する。
そして、説明変数取得部41により取得した研削状態(研削特徴量)と、目的変数取得部42により取得した研削焼け状態の評価結果(焼け深さ)とを訓練データとして、モデル作成部43により、学習済みモデルを作成する。なお、モデル作成部43により作成された学習済みモデルの態様は限定されず、訓練データに基づいて機械学習により作成するものであってよい。また、学習済みモデルはニューラルネットワークを構成するものであってよい。
また、本実施形態3では、研削焼け深さ推定部324をさらに備える。研削焼け深さ推定部324は、学習済みモデル記憶部44に記憶された学習済みモデルを用いて得られる研削焼け深さと、寸法情報取得部318により取得された実切り込み量から、対象研削時刻において工作物Wに研削焼け深さが残留しているか否かを評価する。
9.研削条件調整処理S2
本実施形態3における研削条件調整処理S2について、図15を用いて説明する。まず、図15に示すように、実施形態1の場合と同様のステップS221~S223を行う。なお、実施形態3では、実施形態1における第1の並列処理であるステップS211~S213は行わない。
ステップS223の後、ステップS250に進み、研削焼け深さ推定部324により研削焼け深さを推定し、研削焼けの残留がないか否かを判定する。具体的には、ステップS250では、研削焼け深さ推定部324により学習済みモデル記憶部44に記憶された学習済みモデルに基づいて研削焼け深さを推定し、寸法情報取得部318により取得された実切り込み量と比較して、研削焼けの残留がないか判定する。そして、ステップS250において、対象研削時刻において工作物Wに研削焼けが残留していないと判定された場合は、ステップS250のYesに進み、その後は実施形態1の場合と同様のステップS26~S28を行う。これにより、本実施形態3では、ステップS28において、研削条件調整部323は、研削焼け深さ推定部324による推定結果と研削状態評価部331の評価結果とに基づいて、研削条件の調整を行うこととなる。
一方、ステップS250において、対象研削時刻において工作物Wに研削焼けが残留していると判定された場合は、ステップS250のNoに進み、その後は実施形態1の場合と同様のステップS29~S31を行う。これにより、本実施形態3では、ステップS31において、研削条件調整部323は、研削焼け深さ推定部324による推定結果と研削状態評価部331の評価結果とに基づいて、研削条件の調整を行うこととなる。なお、実施形態3では、ステップS30において、研削焼け深さ推定部324による推定結果に基づき、工作物Wに残留する研削焼け深さを表示する。
10.作用効果
本実施形態3によれば、上述の学習済みモデルを予め作成して当該学習済みモデルを用いることで、説明変数としての研削状態から目的変数としての研削焼け状態評価結果(焼け深さ)を取得することができる。そのため、研削条件の調整の際に、焼け検出センサ20(渦電流センサ)などの検出器を用いて研削焼け情報を取得する必要がないため、研削条件調整の演算処理の負荷を低減することができる。
なお、本実施形態3においても、実施形態1の場合と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態3においても実施形態1の場合と同様に研削焼け状態の評価結果を取得して、これを用いて当該学習済みモデルの評価や学習済みモデルの更新を行ってもよい。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 研削加工システム
2 研削盤
31 処理装置
32 制御装置
313 研削焼け情報量取得部
314 研削焼け情報量格納部
315 研削焼け状態変化量算出部
316 研削焼け状態評価部
317 研削焼け評価結果表示部
318 寸法情報取得部
319 研削焼け消失時寸法情報取得部
320 寸法情報格納部
321 寸法情報比較部
322 余裕度算出部
323 研削条件調整部
324 研削焼け深さ推定部
330 撓み量演算部
331 研削状態評価部

Claims (8)

  1. 工作物の表面を複数回研削して最終目標形状に加工する研削加工システムであって、
    上記工作物を研削したときに上記工作物の被加工部に生じる研削焼け状態と、上記工作物を研削したときに上記工作物に生じた撓み量に基づいて評価された研削状態とに基づいて、上記工作物の研削条件を調整する研削条件調整部を有する、研削加工システム。
  2. 上記工作物の被加工部における研削焼け情報量を取得する研削焼け情報量取得部と、
    上記研削焼け情報量取得部により取得された上記工作物の上記被加工部における上記研削焼け情報量を格納する研削焼け情報量格納部と、
    対象研削時刻において取得された上記工作物の上記被加工部における研削焼け情報量と、上記研削焼け情報量格納部に格納された上記工作物の同一被加工部における前回の研削焼け情報量とに基づいて、研削焼け状態変化量を算出する研削焼け状態変化量算出部と、
    上記研削焼け状態変化量算出部が取得した研削焼け状態変化量に基づいて、上記工作物の上記被加工部における研削焼け状態を評価する研削焼け状態評価部と、
    上記工作物の撓み量を取得する撓み量取得部と、
    上記対象研削時刻において取得された上記撓み量に基づいて研削特徴量を算出して上記研削状態を評価する研削状態評価部と、
    を備え、
    上記研削条件調整部は、上記研削焼け状態評価部の評価結果と上記研削状態評価部の評価結果とに基づいて、上記研削条件を調整する、請求項1に記載の研削加工システム。
  3. 上記研削焼け情報量を導出するための信号を検出し、上記工作物に接触して上記工作物の撓みに応じて変位可能に構成された焼け検出センサと、
    上記焼け検出センサの変位量を検出する変位センサと、
    を備え、
    上記研削焼け情報量取得部は、上記焼け検出センサにより検出された信号に基づいて上記研削焼け情報量を取得し、
    上記撓み量取得部は、上記変位センサにより検出された上記変位量に基づいて上記工作物の撓み量を取得する、請求項2に記載の研削加工システム。
  4. 上記研削状態を説明変数とし、上記研削焼け状態を目的変数とする学習済みモデルが記憶されたモデル記憶部と、
    対象加工時刻において上記学習済みモデルを用いて取得した上記研削焼け状態に基づいて上記工作物の被加工部における研削焼け深さを推定する研削焼け深さ推定部と、
    上記工作物の撓み量を取得する撓み量取得部と、
    対象研削時刻において取得された上記撓み量に基づいて研削特徴量を算出して上記研削状態を評価する研削状態評価部と、
    を備え、
    上記研削条件調整部は、上記研削焼け深さ推定部の推定結果と、上記研削状態評価部の評価結果とに基づいて、上記研削条件を調整する、請求項1に記載の研削加工システム。
  5. 上記工作物の寸法情報を取得する寸法情報取得部と、
    上記研削焼け状態が上記工作物の上記被加工部に研削焼けが残留していないことを示すものであるときに上記寸法情報取得部により取得された上記寸法情報を研削焼け消失時寸法情報として取得する研削焼け消失時寸法情報取得部と、
    上記消失時寸法情報取得部により取得された研削焼け消失時寸法情報を格納する寸法情報格納部と、
    上記工作物の研削が終了したときに上記寸法情報取得部により取得された上記寸法情報である研削終了時寸法情報と、上記寸法情報格納部に格納された上記研削焼け消失時寸法情報とを比較する寸法情報比較部と、
    上記寸法情報比較部の比較結果に基づいて上記工作物における研削の余裕度を算出する余裕度算出部と、
    を備え、
    上記研削条件調整部は、上記余裕度算出部の算出結果と、上記研削状態とに基づいて、上記工作物における研削条件を調整する、請求項1~4のいずれか一項に記載の研削加工システム。
  6. 上記工作物の研削は、少なくとも、粗研削工程、精研削工程、微研削工程及びスパークアウト工程の順に行われる複数の工程を含み、
    上記研削条件調整部は、上記粗研削工程の終了後から上記スパークアウト工程までに取得された上記研削焼け状態と上記研削状態とに基づいて、当該研削焼け状態及び研削状態を取得した時刻以降の上記精研削工程、上記微研削工程及び次の工作物の粗研削工程の少なくとも一つにおける研削条件を調整する、請求項1~4のいずれか一項に記載の研削加工システム。
  7. 上記研削状態は、研削特徴量として取得される研削法線抵抗、砥石切れ味、クーラント動圧及び弾性領域抵抗の少なくとも一つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の研削加工システム。
  8. 上記研削焼け状態、上記研削焼け深さ及び上記研削状態の少なくとも一つを表示する表示部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の研削加工システム。
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