JP2023158296A - 毛髪処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】そこで、本発明は、例えば、ヘアカラーリング剤、ヘアコンディショニング剤、または毛髪洗浄剤等に好適に使用可能な毛髪処理剤を提供することを目的とする。例えば、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)の向上、染色性の持続性(褪色防止性)の向上などが可能な毛髪処理剤を提供する。【解決手段】イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含むキレート剤を配合した毛髪処理剤である。【選択図】なし

Description

本発明はイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤に関するものである。
ケラチン繊維に代表される毛髪の染色であるが、近年白髪染めや、ファッションのための毛髪の染色が広く行われている。一方で、日々の毛髪の処理で日常使用する水道水などから毛髪に金属成分やカルシウムなどの無機成分が蓄積することによる、毛髪へのダメージや、金属成分やカルシウムなどの無機成分が存在する事で発生する染色工程における、毛髪への不利な作用に関して種々検討が行われてきている。
例えば、特許文献1では、エチレンジアミンコハク酸を含むキレート剤を高濃度に配合した毛髪処理剤で毛髪を処理する事で、組成物のイオン強度を増加させ、コンディショナーの毛髪への付着性向上をもたらし、毛髪の損傷を低下させている。また、特許文献2では、酸化剤とキレート剤を含む組成物が、ブリーチ、染色、又はパーマ組成物として明るい色調、色均一性、退色、及び毛髪の手触りの点で優れることが記載されている。
例えば、特許文献3では、エチレンジアミンコハク酸を含むキレート剤を含むヘアケア組成物が、毛髪への無機物の付着を阻害する又は毛髪に付着した無機物を除去するのに有用であることが記載されている。
また、特許文献4では、脂肪族カルボン酸カルシウム塩の除去に優れたキレート剤が配合されたヘアケア組成物の使用が提案されている。
特表2004-524333号公報 特表2004-524332号公報 特表2015-503614号公報 特表2019-518064号公報
上記のとおり、種々の毛髪処理剤が提案されているが、毛髪処理剤の範囲では、例えば、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)、染色性の持続(褪色防止性)の点において改良の余地があり、本発明の目的は、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)の向上、染色性の持続性(褪色防止性)の向上が可能な毛髪処理剤を提供することである。
本発明者らは、よりきれいに、安定な発色や濃色を得る化合物を種々検討し、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合する事で、上記課題を達成した毛髪処理剤を提供する事ができる事を見出し本発明を完成した。
本発明によれば、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤を用いることにより、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)の向上、染色性の持続性(褪色防止性)向上が可能な毛髪処理剤が提供される。なお均染性とは、例えば、色ムラなく均一に奇麗に染まる事の一つの形態を表現している。
本発明は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤であり、好ましくは、上記、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が、下記一般式(1)で表される化合物である事を特徴とする毛髪処理剤である。
Figure 2023158296000001
(式中、Rは、水素原子又は水酸基を表す。X~Xは、同一若しくは異なって、水素
原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はアンモニウム基を表す。)
また、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤であるが、イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤をさらに配合してもよい。イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤としては、例えば、ヒスチジン、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミン-N,N’-ジグルタル酸(EDDG)、エチレンジアミン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、6座配位子アミノカルボキシレート(HBED)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N-N’-ジコハク酸(HPDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、D-グルコン酸、L―グルタミン酸二酢酸、並びに、これらの塩及び誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物をさらに配合する事ができる。イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤の配合量は、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体に対して、0質量%から300質量%、より好ましくは0質量%から200質量%であってもよい。イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤をさらに配合する事で、イオン捕捉能やキレート力、ラジカル捕捉能などの向上が期待できる。また酸化染毛工程に使用される毛髪処理剤の場合は、さらに、染色性向上、濃染色、染色堅牢性向上なども期待できる。
本開示の毛髪処理剤100質量%における、必要に応じて配合される上記の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外の、キレート剤としては、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体の配合量と合わせて合計量として、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、その上限は5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体および、必要に応じて配合される、イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤が配合された毛髪処理剤は、染毛処理の各種工程で使用することができるが、具体的には、染毛剤、毛髪洗浄剤、毛髪コンディショニング剤、整髪剤、毛髪変形処理剤、脱色剤、染毛用前処理剤、染毛用後処理剤、脱色用前処理剤、脱色用後処理剤として使用することができる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体の配合量としては、毛髪処理剤を100質量%とした場合、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~5.0質量%がより好ましく、0.01質量%~3.0質量%がさらに好ましく、0.01質量%~2.0質量%が特に好ましい。
上記記載の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤が、染毛処理工程で使用される前処理剤または後処理剤である事は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が保有する各種金属イオンへの良好な補足性を発揮し、その結果、毛髪が特に傷みやすい染毛工程であっても、各種イオンが要因となる毛髪へのダメージの低減が期待できるので、好ましい実施形態の一つである。
よって、上記記載における、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の使用方法は、より具体的には、染毛工程で使用される前処理剤または後処理剤として使用する使用方法は好ましい実施形態の一つである。前処理剤または後処理剤で使用することで、酸化染毛工程の前段階で、処理される毛髪に対して、水源や水道水を介して毛髪に付着または、毛髪構造に含まれ浸透し、毛髪に蓄積する、銅イオンまたはカルシウムイオンまたはマグネシウムイオン、鉄イオンを捕捉し削減する効果が期待できる。また毛髪処理時に使用される、水源や水道水に対しても同様に、含まれる銅イオンまたはカルシウムイオン、またはマグネシウムイオン、鉄イオンを捕捉し削減する効果が期待できる。この効果により、毛髪処理工程時や、酸化染毛工程中に、毛髪が受けるこれらイオンからの悪影響を低減させる事が期待できる。
また、本開示にかかる、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の使用方法にあっては、酸化染料を使用した毛髪の染色処理が行われる前、途中または終了時に使用され、当該酸化染料の発色阻害を抑制し、染毛処理後の色の安定化を行うための毛髪処理剤の使用方法もまた好ましい実施形態の一つである。具体的には、上記毛髪処理剤の使用方法において、対象がヘアカラーである事は、好ましい実施形態でもある。また、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体として、ヒドロキシイミノジコハク酸またはその塩を配合した際には、キレート剤特有の臭気が低減され、合わせてイミノ構造を有するコハク酸誘導体が有する金属イオンへのキレート力、pHの安定化効果などが期待できる。よって、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、毛髪処理剤全般への配合に適した化合物であるといえる。
本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、銅イオンや鉄イオンを捕捉し、それらの量を減らす事に加え、銅イオンや鉄イオンが介在する毛髪表面で起こりうる、副生したヒドロキシラジカルを捕捉し、または、効果的に減少させる事ができるものと推定される。その結果、一般的なイミノジ構造を持つキレート剤に比べ、毛髪へのダメージ低減効果が期待できるものである。
本開示の毛髪処理剤の使用方法において、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤が、銅イオンまたはカルシウムイオンまたはマグネシウムイオン、鉄イオンを捕捉することで、毛髪へのダメージが少ない状態で、染毛処理を行う事ができ、当該染毛処理後の色の安定化に合わせて、処理後の毛髪の滑り性、平滑性、ぬめり感、さらさら感などの効果を毛髪に付与する事も期待できる。
また、本開示にかかる、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤にあっては、ヘアマニキュアやヘアカラートリートメントなどに配合された毛髪保護成分の効能も併せて向上させる事が期待できるので、本開示にかかるイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤がヘアマニキュアやヘアカラートリートメントやコンディショナーである場合も好ましい実施形態の一つである。
<イミノ構造を有するコハク酸誘導体>
本開示の、毛髪処理剤としては、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含むことが好ましい。本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体としては、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2023158296000002
(式中、Rは、水素原子又は水酸基を表す。X~Xは、同一若しくは異なって、水素
原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はアンモニウム基を表す。)
上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は水酸基を表す。Rは、水素原子又は水酸基のいずれであっても好適に用いることができるが、水への溶解性の観点からRが水酸基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、X~Xとしては、同一若しくは異なって、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はアンモニウム基を表す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が好適である。アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が好適である。アンモニウム基としては、アンモニウム基又は有機アンモニウム基が好適であり、有機アンモニウム基(有機アミン基)としては、例えば、モノエチルアミン基、ジエチルアミン基、トリエチルアミン基等のアルキルアミン基;モノエタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基;エチレンジアミン基、トリエチレンジアミン基等のポリアミン基等が好適である。これらの中でも、上記X~Xとしては、ナトリウム又はカリウムであることがより好ましい。
上記イミノジコハク酸は、部分中和されたものであってもよく、完全に中和されたものであってもよい。したがって、単に「イミノジコハク酸」とは、上記X1~X4が全て水素原子である酸の形態、上記X~Xの一部又は全部が、水素原子以外の原子又は基である塩の形態のいずれであってもよい。すなわち、「イミノジコハク酸」は、一分子中に存在する4つのカルボキシル基の全てが酸の形態であるもの、一分子中に存在する4つのカルボキシル基のうち1つ以上が塩の形態であるもののいずれかを指す。なお、Rが水酸基であるイミノカルボン酸(3-ヒドロキシ-2,2′-イミノジコハク酸)においても同様であり、イミノカルボン酸(3-ヒドロキシ-2,2′-イミノジコハク酸)は、一分子中に存在する4つのカルボキシル基の全てが酸の形態であるもの、一分子中に存在する4つのカルボキシル基のうち1つ以上が塩の形態であるもののいずれかを指す。
上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体の製造方法において、例えば、ヒドロキシイミノジコハク酸およびその塩の製造方法としては、アスパラギン酸及び/又はその塩と、エポキシコハク酸とを含む原料を水性媒体中で反応させる方法を挙げることができる。
上記製造方法において、原料におけるアスパラギン酸及び/又はその塩と、エポキシコハク酸との比率や、反応温度等の反応条件は、特に限定されるものではない。また、エポキシコハク酸としては、シス体、トランス体の両立体異性体を用いることができ、両者の中でもシス体を用いることが好ましい。水性媒体とは、水又は水と水に溶解する溶媒との混合物であり、水;水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル等との混合溶媒が好適である。これらの中でも、水を用いることが好ましい
上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、上記一般式(1)で表される構造を有するため、アスパラギン酸骨格部分がL体、D体である光学異性体が存在することになる。
イミノ構造を有するコハク酸誘導体のアスパラギン酸骨格部分とは、上記一般式(1)中の下記一般式(2);
Figure 2023158296000003
(式中、X及びXは、同一若しくは異なって、上記一般式(1)中のX及びXと同じである。)で表される構造を意味する。
またアスパラギン酸骨格部分におけるL体、D体とは、上記一般式(2)で表される構造中の不斉炭素原子における立体配置がS配置、R配置である化合物であり、S配置の場合はL体、R配置の場合はD体となる。
上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体の製造方法において、原料としてL体又はD体の立体配置を有するアスパラギン酸及び/又はその塩を用いることにより、対応するイミノ構造を有するコハク酸誘導体のアスパラギン酸骨格部分がL体又はD体の立体配置とすることができる。例えば、原料としてD体のアスパラギン酸及び/又はその塩を用いると、エポキシコハク酸と反応して生成するイミノ構造を有するコハク酸誘導体のアスパラギン酸骨格部分が、原料の立体配置に由来してD体に保持され、イミノ構造を有するコハク酸誘導体のアスパラギン酸骨格部分の不斉炭素原子がR配置であるイミノ構造を有するコハク酸誘導体が生成することになる。また、イミノ構造を有するコハク酸誘導体のラセミ体を分割することにより、L体又はD体を得ることもできる。
上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、アスパラギン酸骨格部分の異性体の割合すなわちD体/L体のモル比(D体/L体=)が、0/1~0.3/0.7、又は、1/0~0.7/0.3であることが好ましい。D体/L体のモル比を上記範囲とすることで、水への溶解性が優れた毛髪処理剤への配合用化合物とすることができる。異性体の割合(D体/L体のモル比)としてより好ましくは、0/1~0.2/0.8、又は、1/0~0.8/0.2であり、更に好ましくは、0/1~0.1/0.9、又は、1/0~0.9/0.1である。このように、イミノ構造を有するコハク酸誘導体のアスパラギン酸骨格部分における異性体割合を特定の範囲に調整する方法としては、上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体の製造方法において、D体とL体の比率が特定範囲にあるアスパラギン酸及び/又はその塩を含む原料を用いて反応を行う方法、D体のイミノ構造を有するコハク酸誘導体とL体のイミノ構造を有するコハク酸誘導体とを別々に合成し、これらを特定比率で混合する方法等が好適である。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、通常のキレート力、金属イオン捕捉能以外に、ラジカル捕捉能も有する。例えば、ハイドロキノンおよびその誘導体(例えばアルブチン)の光による変色抑制が期待できる。よって、本開示の毛髪処理剤は、ハイドロキノンおよびその誘導体など光により劣化や変色が起こる添加剤が配合されていても、それらに対する光劣化抑制能を発揮する場合があり、光劣化抑制用毛髪処理剤として使用する方法も好ましい態様である。
具体的な好ましい態様の一つとしては、光劣化抑制剤がイミノ構造を有するコハク酸誘導体である、ハイドロキノンおよびその誘導体に対する光劣化抑制剤である。また、別の好ましい態様としては、イミノ構造を有するコハク酸誘導体をハイドロキノンおよびその誘導体に対する光劣化抑制剤として使用する方法が挙げられる。
なお、上記イミノ構造を有するコハク酸誘導体の生分解性は異性体間で異なり、D体、ラセミ体、L体の順に高くなることから、生分解性の観点からは、使用するイミノ構造を有するコハク酸誘導体としては、ラセミ体を用いることが好ましく、L体の割合が高いイミノ構造を有するコハク酸誘導体を用いることがより好ましい。具体的には、ヒドロキシイミノジコハク酸およびその塩であり、例えば、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩などである。この化合物は、生分解性を有し、かつ、たびたび問題視されるキレート剤特有の臭気がない。例えば上記の、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)などは特有の臭気がある。よって、キレート剤特有の臭気がないヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩などは、毛髪処理剤に配合する事に適している化合物である。市販品としては、ビューティノール(登録商標) CU-350((株)日本触媒製)が挙
げられる。
<イミノ構造を有するコハク酸誘導体含有毛髪処理剤>
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合される各種毛髪処理剤を以下に例示するが、この例示により、本願発明範囲が特段限定されるものではない。
上記記載の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤が、染毛処理工程で使用される前処理剤または後処理剤である事は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が保有する各種金属イオンへの良好な補足性を発揮し、その結果、毛髪が特に傷みやすい染毛工程であっても、各種イオンが要因となる毛髪へのダメージの低減が期待できるので、好ましい実施形態の一つである。
本開示の上記記載における、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の使用方法は、より具体的には、染毛工程で使用される前処理剤または後処理剤として使用する使用方法は好ましい実施形態の一つである。前処理剤または後処理剤で使用することで、酸化染毛工程の前段階で、処理される毛髪に対して、水源や水道水を介して毛髪に付着または、毛髪構造に含まれ浸透し、毛髪に蓄積する、銅イオンまたはカルシウムイオンまたはマグネシウムイオン、鉄イオンを捕捉し削減する機能が期待できる。また毛髪処理時に使用される、水源や水道水に対しても同様に、含まれる銅イオンまたはカルシウムイオン、またはマグネシウムイオン、鉄イオンを捕捉し削減する効果が期待できる。この効果により、毛髪処理工程時や、酸化染毛工程中に、毛髪が受けるこれらイオンからの悪影響を低減させる事が期待できる。
本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤の一つの実施形態を提示する。イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤の実施形態は、染毛剤、毛髪洗浄剤、毛髪用コンディショニング剤、整髪剤、毛髪変形処理剤、染毛用前処理剤、染毛用後処理剤や、脱色用前処理剤、脱色用後処理剤などが挙げられる。
上記の染毛剤には、酸化染料が配合された酸化染毛剤、塩基性染料やHC染料が配合されたヘアカラートリートメント、酸性染料が配合されたヘアマニュキュア、脱色剤などが挙げられる。
上記の毛髪洗浄剤には、シャンプーやカラーシャンプーなどが挙げられる。
上記の毛髪用コンディショニング剤には、リンス、コンディショナー、トリートメント、パック、ヘアミルクなどが挙げられる。
上記の整髪剤には、ヘアワックス、ヘアスプレー、ポマードなどが挙げられる。
上記の毛髪変形処理剤には、パーマ剤、縮毛矯正剤、カーリング剤などが挙げられる。
上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された水溶液が適応でき、処方に応じ乳化状態のエマルジョンやクリームであってもよい。また、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含み毛髪の処理に使用される組成物であれば、これ以外の名称での組成物や剤、あるいは剤形も該当する。
上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む水溶液であるが、酸化染毛工程で使用される染毛用前処理剤や染毛用後処理剤である事は好ましい形態の一つである。また、上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤は水溶液の剤形以外にも、エマルジョンあるいはクリームであってもよい。
上記の脱色用前処理剤や脱色用後処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む水溶液であるが、毛髪の脱色工程で使用される脱色用前処理剤や脱色用後処理剤である事は好ましい形態の一つである。また、上記の脱色用前処理剤や脱色用後処理剤は水溶液の剤形以外にも、エマルジョンあるいはクリームであってもよい。
上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤と上記の脱色用前処理剤や脱色用後処理剤は、染毛工程と脱色工程およびその前段階あるいは後段階など使用される工程が異なる場合もあるが、基本的に同じ組成であってもよい。
上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む水溶液であるが、この水溶液は、染毛用前処理剤として、染毛前の毛髪を膨潤させ、染毛工程での染料の毛髪への浸透、被覆、吸着を促進する。また染毛用後処理剤として、染毛工程後の余分な染料や薬剤を洗い流す。よって、染毛用前処理剤や染毛用後処理剤として、適宜、毛髪洗浄剤や毛髪用コンディショニング剤を使用する事もできる。好ましくは、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪洗浄剤や毛髪用コンディショニング剤を使用する事で、後述するように、イミノ構造を有するコハク酸誘導体の機能により、毛髪へのダメージを減らし、あるいは、染毛効果の維持が期待できる。
また本開示の染毛用後処理剤または染毛用前処理剤では、染料の固着を助けるために、必要に応じ、アルミニウム塩を配合する事ができる。他の金属塩に比べ、アルミニウム塩は、染料を酸化させる作用も少なく、色味が変化しにくい。アルミニウム塩を配合することで、色落ちがしにくく、染毛後の色の維持が期待できる。アルミニウム塩の配合量は0.1質量%~5質量%、より好ましくは、0.2質量%~3質量%が推奨される。アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウムなどで特に限定はない。また、染毛用後処理剤では、アミノ基や4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを配合する事で、染毛効果の維持が期待できる。カチオン化ポリマーとしてはポリエチレンイミン、ポリオクタニウムに代表される4級アンモニウム塩を持つポリマーなどがある。なおポリオクタニウムは、化粧品成分の国際名称のINCI名である。
上記の染毛用前処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む水溶液であるが、必要に応じ、シリコーン油をさらに配合してもよく、シリコーン油の含有量は0.01質量%~10質量%が好ましく、0.05質量%~3質量%がより好ましい。また、タンパク質加水分解物及び/またはその誘導体を1質量%~10質量%含有する事もできる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した、染毛用前処理剤に、タンパク加水分解物及び/またはその誘導体を含有する事により、本開示の染毛用前処理剤組成物で損傷した毛髪を処理すれば、その後に適応する酸化染毛工程で、毛髪をより均一に染め、かつ染色堅牢性を高めるなどの効果が期待できる。上記のシリコーン油やタンパク質加水分解物などは必要に応じ、染毛用後処理剤にも配合する事ができる。
本開示の染毛用後処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を0.001質量%~5.0質量%の範囲で配合された水を主体とする組成物である。さらに好ましくは、イミノ構造を有するコハク酸誘導体の配合量は0.01質量%~5.0質量%、さらに好ましくは、0.01質量%~3.0質量%である。さらに乳酸やクエン酸などの有機酸、またはリン酸二ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの有機酸塩、pH緩衝剤、が配合されていてもよい。またアルミニウム塩やシリコーン油やコンディショニング成分や、INCI名のクオタニウムなどの4級アンモニウム塩を持つカチオン系ポリマー、例えば、ポリクオタニウム-10(原料名として例えば、カチナールLC100、カチナールHC100、カチナールLC200、カチナールHC200(いずれも東邦化学工業社製)等)、及びポリクオタニウム-47(原料名として例えば、マーコート2001(ルーブリゾール社製))やポリエチレンイミンなども染色性改良のために、適宜配合する事ができ、染毛による毛髪の損傷を修復し、染毛工程で使用された、余分なアルカリや酸化剤や染料を洗い流し、染料の堅牢性を向上させる目的で使用される。カチオン性ポリマーの配合量は0.1質量%~5.0質量%である。
上記、pH緩衝液は、有機酸と有機アルカリを含む液体組成物などから構成されるが、有機酸としては、グリコール酸、乳酸、レブリン酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、コハク酸、グルタミン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。有機アルカリとしては、モルホリン等の揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等のアミノアルコール、アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。
また、pH調整剤あるいはpH緩衝液としては、酒石酸とアルギニンとを併用することが好ましい。また、pHの調整方法としては、先に染毛用後処理剤組成物を酸成分で酸性に調整してから、所望のpHとなるようにアルカリ成分を使用して塩基性に調整することが、アルミニウム塩の製剤安定性の観点から好ましい。これ以外の配合成分は、エタノールやプロピルアルコールなどの溶剤、オリーブ油やアーモンド油などの油性成分、グリコール、グリセリンやイソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール、界面活性剤、カチオン化ポリマーを除く水溶性ポリマー、糖、防腐剤、キレート化剤、安定剤、酸化防止剤、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、や末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが配合されていてもよい。
また、酸化染毛剤で染毛処理した後、水で洗い流す前に、上記の染毛用後処理剤組成物を毛髪に塗布し、しばらく置いた後、シャンプーとコンディショナーで処理する。酸化染毛剤で染毛処理した後、水で洗い流した後に、上記の染毛用後処理剤組成物を毛髪に塗布し、しばらく置いた後、シャンプーとコンディショナーで処理する。また、酸化染毛剤で染毛処理した後、水で洗い流し、シャンプーあるいはコンディショナーで処理した後、上記の染毛用後処理剤組成物を毛髪に塗布し、しばらく置くなど、適宜行うことができる。
上記の染毛用前処理剤や染毛用後処理剤が、染毛用処理工程で使用される染毛用前処理剤または染毛用後処理剤であり、当該染毛用処理工程が、酸化染料での染毛処理工程であり、当該染毛用前処理剤または染毛用後処理剤が、染毛用処理工程の前工程、または染毛処理工程後の後工程で使用される染毛用前処理剤または染毛用後処理剤である事は好ましい実施形態の一つである。
上記の毛髪処理剤の使用方法であって、酸化染料の染毛処理工程のいずれかに、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤を使用する方法は、好ましい実施形態の一つである。
また、上記の毛髪処理剤が、脱色工程を含む染毛用処理工程で使用される脱色用処理剤または脱色用後処理剤である事は好ましい実施形態の一つである。
上記の毛髪処理剤の使用方法であって、脱色工程を含む染毛処理工程のいずれかに、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤を使用する方法は、好ましい実施形態の一つである。上記、染毛処理工程が酸化染料を含む酸化染色剤で染毛が行われる事は好ましい実施形態の一つである。
より具体的には、前記毛髪処理剤が、染毛用前処理剤または染毛用後処理剤である毛髪処理剤の使用方法であって、酸化染料を使用した毛髪の染毛工程で使用される事を特徴とする毛髪処理剤の使用方法は好ましい実施形態の一つである。
より具体的には、前記毛髪処理剤が、脱色用前処理剤または脱色用後処理剤である毛髪処理剤の使用方法であって、酸化染料を使用した脱色工程を含む毛髪の脱色工程で使用される事を特徴とする毛髪処理剤の使用方法は好ましい実施形態の一つである。
本開示の、毛髪処理剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を、毛髪処理剤に対して0.001質量%~5.0質量%含む、0.01質量%~5.0質量%含む、好ましくは、0.01質量%~3.0質量%、好ましくは、0.01質量%~2.0質量%である。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤の一つの実施形態であるヘアトリートメント組成物の処方例を以下に挙げる。
本開示のヘアトリートメント組成物は、ヘアトリートメント組成物に対して0.02質量%~2.0質量%、好ましくは、0.02質量%~1.0質量%、好ましくは0.04質量%~0.5質量%のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含んでいてもよい。またはヘアトリートメント組成物としてはゲル状化合物であっても良く、ヘアトリートメント組成物に対して0.1質量%~20質量%の高融点脂肪族化合物と、0.8質量%~5質量%のカチオン性界面活性剤(好ましくは、4級アンモニウム塩もしくは3級アミン化合物を構造に有するカチオン性界面活性剤)と、少なくとも20質量%の水性キャリアから構成されたゲル状化合物を含んでいてもよい。なおゲル状化合物は、増粘剤や所望の配合剤により、当該液体の粘度や粘性が配合前に比べ上昇した状態を示す場合も含まれる。
本開示のヘアトリートメント組成物としては、シリコーン油、油剤、非イオン性ポリマー、懸濁化剤、それ以外の化合物が配合されていてもよい。
本開示のヘアトリートメント組成物としては、0.01質量%~0.5質量%のクエン酸などの有機酸も配合する場合があり、所望で、それらの組み合わせからなる群から選択される物質が配合される。上記それ以外の配合物とは、抗ふけ剤、ビタミン、香料、抗菌剤、染料、顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物であってもよい。
よって、本開示では、前記毛髪処理剤が、ヘアトリートメント組成物であって、0.02質量%~2.0質量%のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含み、さらに、0.1質量%~20質量%の高融点脂肪族化合物と、0.8質量%~5質量%の、0.8質量%~5質量%のカチオン性界面活性剤(好ましくは、4級アンモニウム塩もしくは3級アミン化合物を構造に有するカチオン性界面活性剤)を含み、さらに、少なくとも20質量%の水性キャリアを含む組成物である事も好ましい実施形態となる。
本開示の染毛用前処理剤または染毛用後処理剤の必須成分は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体および水である。必要に応じさらに、シリコーン油や油剤、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の保湿剤、アルギニン、グルタミン酸等のアミノ酸類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の粘度調整剤、低級アルコール、pH調整剤、香料、防腐剤等を適宜配合することができる。また、本開示の染毛用前処理剤または染毛用後処理剤の形態は、水溶液、エマルジョン、クリーム、ローションなどであってもよく特に限定されない。
本開示の毛髪処理剤としては、イミノ構造を有するコハク酸誘導体含有毛髪処理剤を染毛時の前処理剤として使用してもよいし(前処理工程)、イミノ構造を有するコハク酸誘導体と染料を含んだ毛髪処理剤として使用してもよいし(染色工程)、イミノ構造を有するコハク酸誘導体含有毛髪処理剤を染色後の後処理剤として使用しても良い(後処理工程)。
本開示の、染毛用前処理剤とは、染料を用いた染色工程の前に行われる毛髪の処理工程で使用される毛髪処理剤であり、前処理工程とは、毛髪の染色工程の前に行われる工程全般を含んでいる。
本開示の後処理剤とは、染料を用いた染色工程の後に行われる毛髪の処理工程で使用される毛髪処理剤であり、後処理工程とは、毛髪の染色工程の後に行われる工程全般を含んでいる。
本開示の染毛用前処理剤および染毛用後処理剤としては、ローションなどの毛髪用処理剤としての態様であっても良いし、シャンプーなどの毛髪用洗浄剤としての態様であっても良いし、ヘアコンディショナーのようなコンディショニングを目的とする態様であっても良いし、ヘアトリートメント剤としての態様であってもよい。
本開示の染料を含んだ毛髪処理剤としては、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などの形態で用いられるものとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
本開示の毛髪処理剤を、染毛用前処理剤として用いる際には、染毛用前処理剤100質量%あたりのイミノ構造を有するコハク酸誘導体の含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下がとくに好ましい。
本開示の毛髪処理剤が染料を含んだ毛髪処理剤である際には、毛髪処理剤100質量%あたりのイミノ構造を有するコハク酸誘導体の含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。
本開示の毛髪処理剤が染料を含んだ毛髪処理剤である際には、毛髪処理剤100質量%における染料の含有量としては、染毛性の観点から0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。
本開示の毛髪処理剤が染料を含んだ毛髪処理剤である際には、染料100質量%に対するイミノ構造を有するコハク酸誘導体の含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、5,000質量%以下が好ましく、1,000質量%以下がより好ましく、500質量%以下がさらに好ましい。
本開示の毛髪処理剤を後処理剤として用いる際には、後処理剤100質量%あたりのイミノ構造を有するコハク酸誘導体の含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。
本開示の染料としては、酸化染料、塩基性染料、酸性染料、HC染料などが挙げられる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの金属イオンを捕捉する目的で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合するが、この機能を発揮するのであれば、各種染料が配合された毛髪処理剤にも配合可能である。例えば、酸化染料が配合されたヘアカラー、塩基性染料やHC染料が配合されたカラートリートメントやカラーシャンプー、酸性染料が配合されたヘアマニキュアなどへの配合が可能である。勿論、染料や顔料が配合されていない、シャンプー、コンディショナー、ヘアミスト、ヘアミルク、ヘアワックス、ヘアジェルなどにも広く配合する事ができる。なおこれらに配合することで、金属イオン捕捉能(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどへの補足能)により、当該組成物中の劣化しやすい成分の劣化抑制や保存効力の増強、保存安定性向上などが期待される。
本開示の酸化染料としては、繊維上で芳香族アミン、ジアミン、あるいはアミノフェノール類を酸化することによって不溶性染料を生成させる染色法をとる染料が挙げられ、例えばp-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、N-メチル-p-フェニレンジアミン、メトキシメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-2-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、クロル-p-フェニレンジアミン、2-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-5-アミノトルエン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、メトキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジクロル-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-ブロム-p-フェニレンジアミン、2-クロル-6-メチル-p-フェニレンジアミン、6-メトキシ-3-メチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノアニソール、N-(2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-2-メトキシエチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、p-フェニルジアミン、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2,5-トルエンジアミンサルフェート等のNH-基、NHR-基又はNR-基(Rは炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す)を有するp-フェニレンジアミン類;2,5-ジアミノピリジン誘導体;p-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-クロロ-4-アミノフェノール、3-クロロ-4-アミノフェノール、2,6-ジメチル-4-アミノフェノール、3,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,3-ジメチル-4-アミノフェノール、2,5-ジメチル-4-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、5-アミノサリチル酸、2,6-ジクロロ-4-アミノフェノール、5-アミノ-2-エチル-フェノール、5-メチル-o-アミノフェノール、5-エチル-o-アミノフェノール、3-メチル-p-アミノフェノール)、2,2’-メチレンビス-4-アミノフェノール等のp-アミノフェノール類、o-アミノフェノール類、ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピルビス(N-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミンなどのo-フェニレンジアミン類、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾールなどが挙げられる。
本開示の酸化染料としては、カップリング物質が配合された態様であっても良い。
本開示のカップリング物質としては、例えばα-ナフトール、o-クレゾール、m-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、ベンズカテキン、ピロガロール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-4-メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,4-ジアミノアニソール、m-トルイレンジアミン、4-アミノフェノール、レゾルシン、レゾルシンモノメチルエーテル、m-フェニレンジアミン、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロン、1-フェニル-3-アミノ-5-ピラゾロン、1-フェニル-3,5-ジケトピラゾリジン、1-メチル-7-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシ-2-キノロン、m-アミノフェノール、4-クロロレゾルシン、2-メチルレゾルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、3,5-ジアミノトリフロロメチルベンゼン、2,4-ジアミノフロロベンゼン、3,5-ジアミノフロロベンゼン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,6-トリアミノピリミジン、2-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシピリミジン、4,6-ジアミノ-2-ヒドロキシピリミジン等が挙げられる。
本開示の塩基性染料としては、アミノ基、置換アミノ基、あるいは複素環窒素など塩基性基を含むカチオンと無色のアニオンで塩を形成している染料であり、特に限定されないが、代表的なものとして、例えば赤色213号、赤色214号、ベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、ベーシックイエロー57(C.I.12719);特公昭58-2204号、特開平9-118832号等に記載されている、芳香環の側鎖に4級化窒素原子を含有する塩基性染料;特表平10-502946号、特開平10-182379号等に記載されている、次式で表される、非局在化していてもよい4級化窒素原子及び-Z=N-結合(Zは窒素原子又は-CH=基を示す)を含有する塩基性染料などが挙げられる。これらは1種以上を選択して含有されてもよい。
Figure 2023158296000004
本開示の酸性染料としては、スルホン酸基、カルボキシル基等の酸性の親水性基をもつ水溶性染料であり、特に限定されないが、例えば赤色2号(C.I.16185)、赤色3号(C.I.45430)、赤色102号(C.I.16255)、赤色104号の(1)(C.I.45410)、赤色105号の(1)(C.I.45440)、赤色106号(C.I.45100)、黄色4号(C.I.19140)、黄色5号(C.I.15985)、緑色3号(C.I.42053)、青色1号(C.I.42090)、青色2号(C.I.73015)、赤色201号(C.I.15850)、赤色227号(C.I.17200)、赤色230号の(1)(C.I.45380)、赤色231号(C.I.45410)、赤色232号(C.I.45440)、だいだい色205号(C.I.15510)、だいだい色207号(C.I.45425)、黄色202号の(1)(C.I.45350)、黄色203号(C.I.47005)、緑色201号(C.I.61570)、緑色205号(C.I.42095)、青色202号(C.I.42052)、青色205号(C.I.42090)、かっ色201号(C.I.20170)、赤色401号(C.I.45190)、赤色502号(C.I.16155)、赤色503号(C.I.16150)、赤色504号(C.I.14700)、赤色506号(C.I.15620)、だいだい色402号(C.I.14600)、黄色402号(C.I.18950)、黄色403号の(1)(C.I.10316)、黄色406号(C.I.13065)、黄色407号(C.I.18820)、緑色401号(C.I.10020)、緑色402号(C.I.42085)、紫色401号(C.I.60730)、黒色401号(C.I.20470)、アシッドブラック52(C.I.15711)、アシッドブルー1(C.I.42045)、アシッドブルー3(C.I.42051)、アシッドブルー62(C.I.62045)、アシッドブラウン13(C.I.10410)、アシッドグリーン50(C.I.44090)、アシッドオレンジ3(C.I.10385)、アシッドオレンジ6(C.I.14270)、アシッドレッド14(C.I.14720)、アシッドレッド35(C.I.18065)、アシッドレッド73(C.I.27290)、アシッドレッド184(C.I.15685)、ブリリアントブラック1(C.I.28440)等が挙げられる。これらは1種以上を選択して含有されてもよい。
本開示のHC染料としては、特に限定されないが、ニトロ染料などが挙げられる。HC染料としては、特に限定されないが、例えば、HC Blue No.2、HC Blue No.4、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノ-ル、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノ-ルが挙げられる。これらは1種以上を選択して含有されてもよい。
本開示の毛髪処理剤としては、その他添加剤を含んでいても良い。
本開示のその他添加剤としては、例えば、有機酸、有機酸塩、アルカリ剤、酸化剤、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性等の各種界面活性剤、多価アルコール、糖類、金属イオン封鎖剤、増粘剤、油剤、pH調整剤、各種ポリマー、保湿剤、高級アルコール、紫外線吸収剤、尿素、防腐剤、天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、動植物の抽出エキス、香料、色素、水等が挙げられる。
本開示の毛髪処理剤が酸化染料を使用した毛髪の染色処理に用いられる酸化染毛剤は、
カラーリング剤、酸化ヘアカラーリング剤や酸化性ヘアカラーリング剤と呼称する場合もある。
酸化染毛剤は、酸化染毛剤用第1剤と酸化染毛剤用第2剤からなり、例えば、第1剤はアルカリ剤と酸化染料を含み、第2剤は酸化剤を含み、第1剤と第2剤を混合した薬液を毛髪に塗布することで、毛髪の脱色と酸化染料の酸化による発色によって染毛する。
例えば、本開示の酸化染毛剤第1剤は、0.02質量%~2.0質量%のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含み、さらに0.1質量%~10.0質量%のアルカリ剤と、0.1質量%~20.0質量%の高級アルコールと、0.1質量%~5.0質量%のカチオン性ポリマーと、0.1質量%~10.0質量%の油剤と、0.1質量%~10.0質量%の乳化剤と、さらに、少なくとも40.0質量%の水を含むことを特徴とする酸化染毛剤の第1剤は、染色性を向上させ、均一できれいな発色に加えて毛髪の指通りやツヤを向上させる効果が期待される。
例えば、本開示の酸化染毛剤第2剤は、0.02質量%~2.0質量%のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含み、さらに0.1質量%~10.0質量%の酸化剤と、0.1質量%~10.0質量%のカチオン性界面活性剤と、0.1質量%~20.0質量%の高級アルコールと、0.1質量%~5.0質量%のノニオン性界面活性剤と、さらに、少なくとも50.0質量%の水を含むことを特徴とする酸化染毛剤の第2剤は、染色性を向上させ、均一できれいな発色に加えて毛髪の指通りやツヤを向上させる効果が期待される。
酸化染毛工程、つまり、酸化ヘアカラーリング剤に用いられる酸化染料としては、芳香族ジアミン、アミノフェノール、種々の複素環式物質、フェノール、ナフトールおよびそれらの種々の誘導体などがある。これらの酸化染料は、酸化染料および二次中間体として広範に分類され得る。酸化染料前駆体としても知られている酸化染料は、酸化時に活性化され、その後互いにおよび/またはカップリング剤と反応して着色染料複合体を生成し得る化学化合物である。
また、色改質剤またはカップリング剤としても公知の二次中間体は、一般に、酸化染料の存在下で色を生成することができる無色分子であり、そしてその他の中間体と一緒に用いられて特定の色効果を生じるかまたは色を安定化する。酸化染料としては、例えば、芳香族ジアミン、多価フェノール、アミノフェノールおよびこれらの芳香族化合物の誘導体(例えば、アミンのN-置換誘導体、およびフェノールのエーテル)などを挙げることができる。
このような酸化染料は、一般に、酸化前は無色分子である。色がこれらの酸化染料およびカップリング物質から生成される方法は、一般に、酸化染料が活性化され(酸化により)、次にカップリング物質と行動をともにして二量体共役着色種を生じ、これは次に別の「活性化」酸化染料と行動をともにして三量体共役着色分子を生成する連続段階を含んでもよい。
また、最近では、染毛処理を行うにあたり、水や毛髪に蓄積された、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを減らして、これら金属イオンの作用による毛髪へのダメージの抑制や、よりきれいに染まる事、例えばダメージを受けた毛髪でも濃い染色や見本色に近い色合いとなる色の再現性、色ムラなく均一に染まるなどの染色性の向上や、染色が持続すること(色落ちがしにくい事)が求められており、これらは本題の課題、目的の一部である。
より好ましい実施形態にあっては、本開示の毛髪処理剤は、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性および濃染性あるいは均染性)の向上、染色性の持続性(褪色防止性)の向上が可能な毛髪処理剤を提供する事を目的とし、一方で、本開示は、日々の毛髪の処理で使用する水道水からの毛髪へのダメージを低減する事のできる毛髪処理剤を提供する事などを目的としている。好ましい形態は、上記毛髪処理剤が染毛剤であり、さらに好ましくは、酸化染料が配合された酸化染毛剤となる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、各種イオンに対する捕捉力とラジカル捕捉能を有するが、例えば、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合され、酸化染色時に使用される塩基性化合物(アルカリ性物質)あるいは酸化剤が配合された酸化染毛剤は、好ましい実施形態となる。
上記、酸化染毛剤に配合されるアルカリ剤(塩基性化合物)は、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、有機アミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、硫酸アンモニウム塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、アルカノールアミン及びその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、1、3―ジアミノプロパン、1,3―ジアミノ―2―プロパノール、スペルミン及びスペルミジンなどであり、好ましくは、アルカノールアミン及び特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンである。また有機アミンの例としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、モルホリン、グアニジンなどがある。また、塩基性アミノ酸でもよく例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどである。
上記、酸化染毛剤のアルカリ剤(塩基性化合物)の配合量は、毛髪処理剤の質量に対して、0.1質量%~40質量%、好ましくは、0.5質量%~20質量%、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%である。また、当該酸化染毛剤のpHは、好ましくは、8に等しいかあるいはそれ以上のpHのより好ましくは、8.0~11.5なる範囲内のpH値を持つ。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤においては、アルカリ側で処理する事が好ましい。例えば好ましいpH領域は、pH8-11などである。また、本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体の構造所以で、アルカリ側でなくても、例えば中性に近いpH領域であっても、各種金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)への捕捉能を発揮することができ、幅広いpH領域で、使用範囲を制限しないでイオン捕捉能を発揮する。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤をpH8-11の範囲で処理する事で、毛髪がより膨潤しやすくなり、その結果、各種イオンの捕捉能発現と共に、酸化染料などの毛髪への浸透作用も改善される。一方で、毛髪を、アルカリ性領域で膨潤させ(キューティクルを開かせ)るのは、毛髪にはダメージになりえる工程であるので、pHをより弱アルカリ側、例えばpHを9程度、にシフトさせても十分な膨潤と染料の浸透が期待でき、毛髪へのダメージ低減も期待できる。
酸化染毛剤ではアルカリ剤(主にアンモニア)を配合してアルカリ性の製剤とし、この膨潤工程が行われているが、使用されるアルカリ剤はアンモニア水、モノエタノールアミンなどがある。
酸化染毛剤に配合される酸化剤は、過酸化水素、過酸化ウレア、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアン化物、及び過酸化された塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過硫酸塩、過硼酸塩及び過炭酸塩などを挙げることができる。具体的には、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウムなどである。
また、場合により1種又はそれ以上の酸化還元酵素のドナー又は補因子の存在下における、前記酸化還元酵素、例えばラッカーゼ、パーオキシダーゼ及び2―電子オキシドレダクターゼ(例えば、ウリカーゼ)を、該酸化剤として使用してもよい。上記酸化剤の量は、染色用染料組成物の全質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~7質量%、最も好ましくは2質量%~5質量%である。本開示の組成物内で使用するのに好ましいのは、過酸化水素、過炭酸塩(酸化剤及びカーボネートイオンの両方の供給源を提供するために使用される)、過硫酸塩及びこれらの組み合わせである。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、上述した各種金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)への優れた捕捉能と共に、pHを安定化させる効果が期待できる。そのために、メラニンの脱色を担う重要な種、即ちペルオキシモノカーボネートイオン(-OC(O)OOHの安定化にも効果がありえる。ペルオキシモノカーボネートイオン(-OC(O)OOHは、9.5より大きなpHにて分解されやすいが、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された毛髪処理剤は、pHが安定化するので、この分解効果を抑える事もでき、pH値9.0近傍にて安定した染色組成物が形成され、メラニンの脱色及び最終色が、最適濃度にて観察される。
また、繰り返して使用される大部分のブリーチ工程と染色工程、又はパーマ組成物に含まれる刺激の強い化学薬品によって毛髪に生じる損傷が、高いpHにおいてみられているので、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤がもたらす、酸化染毛工程でのpH安定化効果により、毛髪へのダメージを低減する事が期待できる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、上述した各種金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)への優れた捕捉能と共に、酸化染毛料組成物に含まれる酸化剤を安定化させる事もでき、酸化染毛工程で起こりえる毛髪へのダメージを低減する効果も期待でき、酸化染毛用の毛髪処理剤として使用する事は好ましい実施形態の一つである。また、本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤の好ましい実施形態として、過酸化水素の安定化剤がありえる。例えば、化学研磨で使用される酸化剤としての過酸化水素の安定化効果も期待できる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、より好ましい形態にあっては、染毛工程で使用される、ヘアカラーリング剤、ヘアトリートメント剤、染毛用前処理剤、または毛髪洗浄用組成物等に適応する事である。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、毛髪へのコンディショニング剤や毛髪洗浄剤として、日常的に使用することにより、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が有するキレート能あるいはイオン補足能によって、水道水に含まれる、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを削減する事が期待でき、これらイオンが毛髪に蓄積する事を抑制する事が期待できる。
その結果、これらイオンが蓄積する事によって生じる毛髪のダメージを抑制する事もできる。毛髪へのダメージを抑制する事で、毛髪の平滑性、輝き、キューティクルの安定性、良好な櫛通り性や、毛髪の疎水性などを効果として得ることが期待できる。またカルシウムイオンを削減する事で、カルシウム塩不溶解物の毛髪への蓄積や付着も抑制できるので、毛髪にツヤが出るほかに、きしみ感を抑制でき、櫛通りが良くなる事が期待できる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤を染毛処理する時の、染毛用前処理剤(染毛用プレ処理剤)や染毛剤、後処理剤として使用する事により、染毛処理時に使用される、水道水に含まれる、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを染毛処理時にも削減する事が期待でき、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンと酸化剤などとの相互作用により発生する場合があるラジカルを低下させ制御する事が期待でき、ラジカルが関与する染色への影響を少なくする事が期待でき、安定した染色処理を行う事ができる。また、染色後の経時変化に伴う、色落ちや色の変化も低減する事が期待できる。
言い換えると、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤を、染毛処理する時の、染毛用前処理剤(染毛用プレ処理剤)や染毛剤、後処理剤として使用する事により、染色工程を受ける前の毛髪に付着または吸着した、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを毛髪から低減する事が期待できる。その結果、染料の発色の阻害が受けにくくなり、毛髪へのより濃い染色、発色の良さ、目指す色がきれいに出せる、ムラなく均一に染めることができる事などの効果も得る。また銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを低下させた毛髪にする事で、染料や酸化剤が、これらイオンが介在して起こりうる副反応を低減する事もでき、結果として毛髪へのダメージや損傷が減る事になる。染毛用前処理剤とは、毛髪の染色工程の前に行われる毛髪の処理工程で使用される毛髪処理剤であり、毛髪の洗浄剤や予備コンディショニング処理などのコンディショニング剤などを含み、染毛用前処理工程とは、毛髪の染色工程の前に行われる工程全般を含んでいる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含むコンディショニング剤であれば、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が通常の配合量、例えば、コンディショニング剤を100質量%として、0.01質量%~2.0質量%である。好ましくは0.01質量%~1.0質量%である。より好ましくは0.01質量%~0.5質量%である。これらの配合量であれば、コンディショニング剤の毛髪への十分な量の蓄積や吸収が期待でき、毛髪のダメージ低減、ダメージからの予防が期待できる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、その構造からラジカルの補足能もありえる事が予想でき、上記、ラジカル発生の要因である銅イオンや鉄イオンの削減効果とあいまって、毛髪へのUV照射でラジカルが発生した場合でも、発生したラジカルを捕捉する効果もあると考える事ができる。その結果、染色後の毛髪の褪色抑制効果が発揮していると予想できる。その結果、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤では、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)などが配合された毛髪処理剤よりも、酸化染毛工程の前処理工程(プレ処理工程と呼称する場合がある)や後処理工程でコンディショナーやヘアトリートメント、あるいはシャンプーとして使われる事で、濃色染色効果や染料固着効果がより優れたものとなる事が期待できる。本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、より具体的には、酸化染毛工程の前処理工程や後処理工程で使用される前処理液や後処理液に、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された組成物を使う事である。また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤は、脱色工程(ブリーチ工程)を行う前の脱色用前処理剤としても使用する事ができる。
また、所望により後処理工程で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された毛髪処理剤である、コンディショナー、トリートメント、シャンプーなどで、毛髪から余分な染料や薬剤を洗い落としながら、毛髪の損傷を抑制するなどの目的で、染毛用後処理剤としても使用する事ができる。
また、染毛用後処理剤として使用する場合に、必要に応じ、硫酸アルミニウム塩などのアルミニウム塩を所定量配合する事で、染料の固着を助け、染毛の堅牢性を向上させる事も期待でき、また、濃染色効果も期待する事ができる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤のより好ましい使用形態は、酸化染毛工程の前処理工程や後処理工程で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含むコンディショナーやヘアトリートメントやシャンプーとして使われる事である。よって、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤のより好ましい使用形態は、酸化染毛工程の前処理工程や後処理工程で、コンディショナーやヘアトリートメントやシャンプーとして使う使用方法である。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤における、イミノ構造を有するコハク酸誘導体の配合量は、毛髪処理剤を100質量%とした場合、0.001質量%~5.0質量%である、0.01質量%~5.0質量%が好ましく、0.01質量%~3.0質量%がより好ましい。0.01質量%~2.0質量%がより好ましい。0.01質量%~1.0質量%がさらに好ましい。0.01質量%~0.8質量%がさらに好ましい。配合する量が多くなりすぎると、配合した毛髪処理剤の組成物の粘度が低下する場合がある。また、使用した際の感触も低下する場合がある。配合量に見合う、染色安定性を発現させるには上述の配合量の範囲が好ましい。より好ましくは、0.01質量%~0.5質量%である。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、比較的少ない配合量であっても、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンの捕捉能が優れているので、コンディショニングを目的として配合した組成であれば、比較的少ない配合量であっても、毛髪へのコンディショナーの蓄積効果を達成する事が期待できる。よって、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においてはカルシウムイオンを低減させる目的のコンディショナーあるいは銅や鉄イオンを低減させる目的のコンディショナーへの配合もまた好ましい形態となる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、アルカリ領域でも効率よく銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンを捕捉するので、これらの金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)が、膨潤した毛髪内部への蓄積を効果的に予防する事が期待できる。また、不溶性であるカルシウムの脂肪酸誘導体などの蓄積も低減する事が期待できる。
その結果、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤を染毛用前処理工程あるいは染毛用後処理工程などで使用する事で、酸化染毛工程において得ることが期待される濃染色や染色の安定化効果と共に、毛髪への損傷を効果的に防止する事も期待できる。
後処理を含む後処理工程とは、毛髪の染色工程の後、あるいは毛髪の脱色工程の後で行われる毛髪の処理工程であり、例えば、余分な染料や不要な酸化剤またはアルカリを洗浄する後処理後の洗浄工程、後処理後のコンディショニング工程や染料の固着工程などを指す。この毛髪染色後の後処理工程で使用される毛髪処理剤を本開示では、染毛用後処理剤あるいは脱色用後処理剤と呼称する場合がある。余分な酸化剤やアルカリを洗い流す工程では、金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)による毛髪のダメージも受けやすい工程でもあり、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤を、毛髪染色後の後処理工程で使用すること、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤を毛髪染色後に使用する後処理剤とする事は好ましい実施形態である。なお染毛用後処理剤で染料の固着を目的にする場合、アルミニウム塩を配合する事もできる。また必要に応じ、アミン基や4級アンモニウム塩基を官能基として持つカチオン性ポリマーを配合してもよい。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤における、染毛用前処理剤、染毛用後処理剤、脱色用前処理剤、脱色用後処理剤とては、コンディショニング効果や染色性(染料の固着促進を含む)をさらに向上させる目的で、イミノ構造を有するコハク酸誘導体に併用してさらにアミン系の重合体を配合する事は好ましい形態である。アミン系重合体としては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンのエチレンオキサイド付加体、ポリエチレンイミンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加体(ブロック状付加でもランダム状付加でもよい)などが好ましく配合でき、特にポリエチレンイミン系ポリマーを併用することで、染色安定性や濃染色効果を高める事が期待できる。また、アミン系重合体として、4級アンモニウム塩基が導入されたポリオクタニウム類であってもよい。化粧品成分のINCI名称に、ポリオクタニウムが含まれる化合物であってもよい。染料の固着効果を期待する場合は、所望によりアルミニウム塩を配合する事もできる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の対象としては、酸化染色に使用される毛髪処理剤を技術範囲に含めている。よって、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の応用組成としては、上記のコンディショニング効果や染色性をさらに向上させる目的で、酸化染毛剤に、上記のアミン系の重合体を配合する事もできる。本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した酸化染毛剤に、必要に応じ、アミン系の重合体を配合する事で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体のイオン捕捉力とアミン系重合体の染色性向上効果や濃染効果の相乗が期待できる。例えば、アミン系重合体としては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンのエチレンオキサイド付加体、ポリエチレンイミンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加体(ブロック状付加でもランダム状付加でもよい)などが好ましく配合できる。特にポリエチレンイミン系ポリマーを、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した酸化染毛剤に配合し、染色安定性や濃染色効果を高める事は本開示の好ましい形態となる。また、酸化染毛剤に配合するアミン系重合体として、4級アンモニウム塩基が導入されたポリオクタニウム類であってもよい。
酸化染毛剤で染色する前に、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体と上記のアミン系重合体が配合された、上記染毛用前処理剤を用いて毛髪を処理し、毛髪へのイミノ構造を有するコハク酸誘導体の被覆または、毛髪中への導入と、アミン系重合体やカチオン系重合体が持つカチオンサイトの毛髪への被覆または毛髪中への導入を促す事で、イミノ構造を有するコハク酸誘導体による水道水から介在する各種イオンの捕捉能との効果が相乗し、酸化染毛剤による染色性および堅牢性が向上するのみならず、毛髪のすすぎ時のきしみ感が減少するという効果を発現させる事も期待できる。
また、ポリエチレンイミンを、酸化染毛剤の前処理に使用した場合、染料の種類あるいは前処理剤の組成によっては、酸化染毛剤の染色性が低下する場合もあるが、この場合は、酸化染色前に行う、前処理工程で使用する染毛前処理剤へのポリエチレンイミンの配合を避け、染毛剤の後処理工程であるシャンプーやコンディショナーに、ポリエチレンイミンを配合する事もでき、適宜設定可能である。また、ポリエチレンイミンを酸化染毛剤に配合するようにしてもよい。
例えば、酸化染毛工程で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された前処理剤で毛髪を処理した後に、ポリエチレンイミンが配合された酸化染毛剤で染毛処理する。また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された前処理剤で毛髪を処理した後に、酸化染毛剤で染毛処理し、後処理工程で使用する後処理剤に、ポリエチレンイミンが配合されたシャンプーやコンディショナーを使用する事もできる。勿論、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された前処理剤で毛髪を処理した後に、ポリエチレンイミンが配合された酸化染毛剤で染毛処理し、後処理工程で使用する後処理剤に、ポリエチレンイミンが配合されたシャンプーやコンディショナーを使用する事もできる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、銅イオンや鉄イオンあるいはカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの金属イオンを捕捉する目的で、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合するが、この機能を発揮するのであれば、各種染料が配合された毛髪処理剤にも配合可能である。例えば、酸化染料が配合されたヘアカラー、塩基性染料やHC染料が配合されたカラートリートメントやカラーシャンプー、酸性染料が配合されたヘアマニキュアなどへの配合が可能である。勿論、染料や顔料が配合されていない、シャンプー、コンディショナー、ヘアミスト、ヘアミルク、ヘアワックス、ヘアジェルなどにも広く配合する事ができる。なおこれらに配合することで、金属イオン捕捉能(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどへの補足能)により、当該組成物中の劣化しやすい成分の劣化抑制や保存効力の増強、保存安定性向上などが期待される。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、イオン性がなく染料自体の大きさが比較的小さく、毛髪の中に入りやすい染料として使用されているHC染料を含む毛髪処理剤あってもよく、当該毛髪処理剤はカラートリートメントやカラーシャンプーであっても良い。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、酸性~アルカリ性領域において通常のキレート力、金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)への捕捉能に優れているので、油脂の酸化抑制能を発揮する事が期待できる。例えば、この効果により、飽和脂肪酸の酸化促進による黄変や変臭を抑制することができる毛髪処理剤を提供する事が期待できる。
また、例えば石鹸が配合された毛髪処理剤では、スカム形成抑制能を発揮する場合がある。例えば、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、金属石鹸の生成を抑制し、金属石鹸が集合したスカムの形成を抑制することが期待でき、毛髪へのぎしぎし感が少なくなり、すべり感やさらさら感といった効果を得る事が期待できる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が、抗菌作用を発揮または増強する場合がある。例えば、金属イオン(例えば、鉄イオンや銅イオンやカルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)をキレートすることによって、他の抗菌成分あるいは殺菌剤の作用を強めることが期待できる。よって、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された毛髪処理剤では所望により、公知の抗菌剤を配合する事は、抗菌作用がある毛髪処理剤を提供する上で好ましい配合形態になる。
また、一方で、ポリエチレンイミンであるが、ノネナールやアミン成分などの体臭成分などの悪臭成分の消臭効果もあるが、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤においては、当該イミノ構造を有するコハク酸誘導体が持つキレート力が効果として相乗し、この悪臭への消臭効果が向上する事が期待される場合がある。
本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の保存安定性の向上のために、有機酸および/またはその塩を、緩衝液として配合してもよい。これら緩衝液を配合することにより得られるその他の利点としては、有機酸及び/又は有機酸塩には、可溶性カルシウム錯体を形成する能力が存在し、この能力により、毛髪に対するカルシウム塩(例えば、炭酸カルシウム)の付着が阻害される場合がある。したがって、本開示の実施形態に従うと、イミノ構造を持つコハク酸誘導体および有機酸及び/又はこれらの塩を含む緩衝系でより安定化された毛髪処理剤が提供される事は好ましい形態の一つである。
上記、有機酸および/またはその塩は、クエン酸、りんご酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、フマル酸ナトリウム、マレイン酸などであり、一つ以上を組み合わせて配合してもよい。また緩衝液としての機能を保有しているのであれば、酸構造を多数保有するポリカルボン酸であってもよく、有機酸および/またはその塩が、90g/mol~200g/molの分子量を有する化合物が好ましい。
本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体は、例えば、pH約2~約6では、Ca2+などのアルカリ土類金属イオンに対する捕捉能に合わせて、酸化還元金属(例えば、Cu2+及び/又はFe3+などの遷移金属イオン)に対しも補足能を保有し、毛髪やケラチン繊維に対する、アルカリ土類金属イオンや酸化還元金属の付着を効果的に阻害し、かつ毛髪組織やケラチン繊維の組織上に既に存在する、アルカリ土類金属イオンや酸化還元金属塩量も併せて減少させ得ることができる。よって、アルカリ土類金属イオンに対する捕捉能を持つキレート剤と酸化還元金属(例えば、Cu2+及び/又はFe3+などの遷移金属イオン)に対する補足能を持つキレート剤を併用するまでもなく、両者の金属イオンを削減する事ができる。勿論所望により、各種キレート剤を併用する事は妨げるものではない。
なお必要に応じ、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が持つイオン捕捉能やキレート力、ラジカル捕捉能を、さらに向上あるいは安定化させるために、本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体以外のキレート剤を配合する事ができる。例えば、ヒスチジン、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミン-N,N’-ジグルタル酸(EDDG)、エチレンジアミン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、6座配位子アミノカルボキシレート(HBED)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N-N’-ジコハク酸(HPDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)D-グルコン酸、L-グルタミン酸二酢酸、並びに、これらの塩及び誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物を配合する事ができる。その配合量は、本開示の、イミノ構造を有するコハク酸誘導体に対して、0質量%から300質量%、より好ましくは0質量%から200質量%であってもよい。イミノ構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤をさらに配合する事で、イオン捕捉能やキレート力、ラジカル捕捉能などの向上が期待できる。
本開示の毛髪処理剤100質量%における、必要に応じて配合される上記のキレート剤としては、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体の配合量と合わせて合計量として0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、その上限は5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。
以下に、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤の応用可能な処方例を示す。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤にあっては、各種イオンの捕捉力をもっているので、銅イオンや鉄イオン以外にもカルシウムイオンの捕捉能に優れるため、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸や、キシレンスルホン酸ナトリウムなどのヒドロトロープや、ベタイン型両性界面活性剤や、サルフェート、スルホネート、イセチオネートなどのアニオン系界面活性剤などを配合し、毛髪及び頭皮から脂肪族カルボン酸カルシウム塩を除去するヘアケア組成物とする事が期待できる。なお、ヒドロトロープは、水溶液中の脂肪又は疎水性化合物を可溶化する作用を持つ。
また、本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤にあっては、グルコサミン及び/またはアセチルグルコサミン、酸性アミノ酸類及び/または塩基性アミノ酸が含有されていてもよい。グルコサミンは、毛髪中の酸性アミノ酸とイオン的に結合する性質があるため、毛髪に定着することで洗髪後の毛髪の水分保持性が持続する効果が期待できる。また酸性アミノ酸および/または塩基性アミノ酸と併用することで、この毛髪の水分保持性が毛髪のダメージ度合いによらずより持続させる事が期待できる。そのため、この様な配合形態を採用すれば、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤のイオン捕捉力に合わせ、水分保持性を提供できる毛髪処理剤になる事が期待できる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤にあっては、シリコーンポリマー、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、水性キャリヤを含むコンディショニング剤として調整する事もできる。本開示のイミノ構造を持つコハク酸誘導体が持つ、各種イオンの捕捉力と共に、毛髪への好ましいコンディショニング効果を奏する毛髪処理剤である事が期待できる。
当該シリコーンポリマーは、4級アンモニウム塩などの4級塩を持つシリコーンポリマーで繰り返し単位が150以上、さらに好ましくは200以上であるシリコーンブロックポリマーである事は好ましく、分子量が大きいシリコーンブロックポリマーを配合する事で、ダメージを受けた毛髪やダメージを受けていない毛髪の双方に、滑らかな手触り感や摩擦の低減などの改良されたコンディショニング効果をもたらす。また、洗髪時にも、滑らかな滑り感を与える。酸化染色工程の、前処理用コンディショニング剤や後処理用のコンディショニング剤として使用すれば、各種イオンの捕捉力と共に、毛髪に、良好な滑らかさを与え、染色後の毛髪のつややか感や色の鮮明性を発現するコンディショニング剤とする事が期待できる。
また、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪脱色剤あるいは酸化染毛剤にあっては、キレート剤としてイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合され、さらに、アルカリ剤、油性成分、界面活性剤、酸化剤、当該イミノ構造以外のキレート剤を含んでもよく、当該キレート剤がグルコン酸又はその塩の少なくとも1種と、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸又はその塩の少なくとも1種とを含有することを特徴とする毛髪脱色剤及び酸化染毛剤であってもよい。
アミドエーテルスルホサクシネート型アニオン性界面活性剤並びに、エーテルカルボン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン性界面活性剤およびスルホコハク酸塩型アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤を含有し、さらに、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合したシャンプー組成物であってもよく、その場合は、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が持つ、各種イオンに対する捕捉力が、効果としてさらに発揮し、酸化染色処理された毛髪に対して高い色保持特性を有するシャンプー組成物を提供することが期待できる。皮膚及び毛髪に対する作用は温和でも、皮脂汚れ等毛髪に付着する汚れを除去するには十分な洗浄力を有し、且つ高い起泡力を維持するシャンプー組成物となる事が期待できる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、各種イオンに対する捕捉力とラジカル捕捉能を有するが、その配合応用例を以下に提示する。本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体と、多様な酸化剤系並びに所望によりラジカル捕捉剤及び/又は、本開示の構造を有するコハク酸誘導体以外のキレート剤と共に配合して染色用組成物として使用した場合にも望ましい色調やくっきりとした色調をもたらす事が期待できる。またはっきりとした色調だけでなく高い保存安定性を有する染毛剤組成物となることが期待できる。適応可能な組成物は、3-アミノ-2,6-ジメチルフェノールからなる第1の染料カップリング剤と、2,6-ジヒドロキシエチルアミノトルエン並びに2,6-ジアミノピリジン、これらの、及びこれらのうちの少なくとも2種の混合物から選択される第2の染料カップリング剤と、4-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール並びに4-(メチルアミノ)フェノール、これらの塩、及びこれらのうちの2種以上を含む混合物から選択されるプレカーサ―;並びに酸化剤、を含む染毛剤組成物であり、良好な赤色を得る事が期待できる。
例えば、酸化染色時に使用される塩基性化合物(アルカリ性物質)あるいは酸化剤が配合された酸化染色用毛髪処理剤は、一般的に、該染色用毛髪処理剤中にかなりの量の、1種又はそれ以上のカルボン酸官能基を含まない脂肪物質を使用する場合がある。カルボン酸官能基を含まない脂肪物質とは、炭素数が6~18の低級または高級アルカン、無機物、植物、動物又は合成起源の非-シリコーン系オイル、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、非-シリコーン系ワックス及びシリコーン油から選択される脂肪物質である。また、当該脂肪物質は、流動ワセリン、ポリデセン、脂肪酸、脂肪アルコールの液状エステル、及びこれらの混合物であってもよい。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した酸化染色用染料組成物の場合は、当該組成物中に比較的大量に配合される脂肪物質と、酸化染色時に使用する酸化剤や、塩基性化合物との混合において発生しうる該混合物の膨潤や粘度の上昇を抑える効果も期待できる。この、脂肪物質の膨潤や粘度上昇の現象は、これら成分の混合を、毛髪に適用する直前に行う場合、さらに一層不都合なものとなり、時間の経過に伴う該混合物の漸増的な膨潤や粘度上昇は、該混合物の毛髪への適用や塗布を妨害する。その結果毛髪の染色工程及び/又は脱色工程作業が行いにくくなり、均一性が乏しくなる可能性がある。しかし、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体は、この膨潤現象を減じ、処理液の粘度上昇を抑え、また毛髪への適用中を含めて、時間が経過しても殆ど粘度変化が少ない混合物を生成することも期待できる。
上記の塩基性化合物は、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン及びその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、1,3-ジアミノプロパン、1,3―ジアミノ―2―プロパノール、スペルミン及びスペルミジンなどであり、好ましくは、アルカノールアミン及び特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンである。上記塩基性化合物の配合量は、組成物の質量に対して、0.1質量~40質量%、好ましくは、0.5質量~20質量%、さらに好ましくは0.5質量~10質量%である。また、該組成物pHであるが、好ましくは、pHが8程度かあるいはそれ以上のpHで、より好ましくは、8.5~11.5なる範囲内のpH値を持つ事が期待できる。
上記酸化剤は、過酸化水素、過酸化ウレア、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアン化物、及び過酸化された塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過硫酸塩、過硼酸塩及び過炭酸塩などを挙げることができる。また、場合により1種又はそれ以上の酸化還元酵素のドナー又は補因子の存在下における、前記酸化還元酵素、例えばラッカーゼ、パーオキシダーゼ及び2―電子オキシドレダクターゼ(例えば、ウリカーゼ)を、該酸化剤として使用することも可能である。上記酸化剤の量は、染色用染料組成物の全質量に対して、0.1質量%~50質量%、より一層好ましくは、0.5質量%~20質量%、さらに好ましくは、1.0質量%~15質量%の範囲で変えることができる。
当該、酸化染毛剤に配合される増粘剤の含有量は、各組成物の全質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは、0.1質量%~5質量%である。上記酸化染毛剤組成物は、ゲル又はクリームの形状であってもよく、溶液、エマルションの形状であってもよい。該組成物は、さらに1種又はそれ以上の直接染料をも含むことができる。また、別の形態にあっては、該該組成物は、毛髪の淡色化染色のために、酸化染料を含まずに直接染料が配合されている場合であってもよい。また、当該配合する酸化染料は、カップリング剤と組合せて使用する。例えばカップリング剤としての酸化塩基は、特にp-フェニレンジアミン、ビス-フェニルアルキレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、ヘテロ環式塩基及びその付加塩から選択することができる。
また、一般的には、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合されている酸化染毛剤は、必要に応じ増粘剤を配合してもよい。その中で例えば、増粘剤は、セルロース系増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロース、グアーガム及びその誘導体)、微生物起源のガム(ザンタンガム、スクレログルカンガム)、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋された重合体のホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
また、一般的には、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合されている酸化染色用毛髪処理剤は、酸化染料と、カップリング物質との組み合わせにより、これらの染料により発色する色調を改善することできる。例えば、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン(AHT)、2-アミノ-5-ヒドロキシエチルアミノ-フェノール(PAOX)、2,4-ジアミノフェノキシエタノール(DAPE)、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、1-ナフトール及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の酸化染料及び少なくとも1種のカップリング物質を含む。本開示によれば、酸化染毛剤は、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%、より好ましくは0.01質量%~2質量%のカップリング物質を含む事ができる。
毛髪処理用の水、例えば水道水中に、銅及び鉄などのレドックス金属が存在(例えば5~100ppmの低濃度)し、カルシウムが典型的には4000~10000ppmといった濃度で存在すると、酸化染料の着色化学に影響する。これらの金属は、ヒドロキシラジカルからの過酸化水素との酸化還元反応によって、染料の形成速度を増大させてしまい、結果として不都合な染色となりえる場合もある。よって、これらの金属イオンを低減させる事は好ましい形態であると期待できる。
本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合させた毛髪処理剤では、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が低濃度の銅イオン及び鉄イオン、並びにカルシウムイオンを錯化させるのに効果的であることが期待できる。併せて、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合させた毛髪処理剤では、イミノ構造を有するコハク酸誘導体の使用が、酸化染料の着色化学プロセスにおける色形成速度をより好ましくコントロールすると考えられ、毛髪の濃色染色、染色速度を均一にし、安定した発色を発現したと考慮できた。
毛髪を酸化染料で染色する、酸化染毛工程での前処理工程とは、染毛用前処理剤で毛髪を処理し、染料の毛髪への浸透や拡散を促す工程を指す。また必要に応じ、毛髪洗浄工程、や毛髪コンディショニング工程を含む事ができる。当該前処理工程で使用する染毛用前処理剤としてイミノ構造を有するコハク酸誘導体、アミノ酸、アルカリ、精製水を配合した前処理液1剤と、イミノ構造を有するコハク酸誘導体、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、レブリン酸、乳酸、グリコール酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、フマル酸ナトリウム酸などの有機酸および精製水が配合された前処理液2剤などがあり、通常はこれを順次使用して毛髪を処理し、毛髪膨潤させ染料の浸透や拡散や固着を助ける。所望により、それぞれ単独で使用する事もできる。なお有機酸は前処理液のpHを8~11の弱アルカリ、望ましくはpHが9付近の弱アルカリにするために配合され、その範囲のpHでは毛髪が膨潤しやすくなり、酸化染料が浸透しやすくなる事が期待できる。
本開示の実施形態で示すように、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された染毛用前処理組成物で毛髪を処理する事で、染色性が向上し、合わせて毛髪も滑らかになり、毛髪への感触が向上する事が期待できる。この染毛用前処理剤としては所望により、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合されたシャンプー、コンディショナー、リンス、トリートメントなども使用する事ができる。
よって、本開示にかかる、イミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤が、染毛用前処理組成物、シャンプー、コンディショナー、リンス、トリートメントなどのいずれかであり、その毛髪処理剤が、染毛処理工程で使用される前処理工程、または、後処理工程(余分な染料や配合物を毛髪から洗浄する工程や染料の固着を促す工程を含む)で使用する方法は、好ましい実施形態となる。なお、本開示のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した毛髪処理剤は、脱色剤を塗布する前の毛髪に塗布する、脱色用前処理剤であってかまわない。
酸化染毛工程における、前処理工程あるいは、後処理工程(余分な染料や配合物を毛髪から洗浄する工程や染料を固着を促す工程を含む)に使用する染毛用前処理剤または染毛用後処理剤であるが、前処理剤として、例えば、ミスト製剤の形態とする場合、当該ミスト製剤は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体、精製水、保湿剤、防腐剤、毛髪補修成分などを配合する。
酸化染毛工程における、前処理工程(プレ処理工程)あるいは、後処理工程(余分な染料や配合物を毛髪から洗浄する工程や染料の固着を促す工程を含む)に使用する染毛用前処理剤または染毛用後処理剤であるが、前処理剤として、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された前処理液に、アミノ酸、アルカリ、精製水を配合した前処理液1剤と、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合され、さらに、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、レブリン酸、乳酸、グリコール酸及び酢酸などの有機酸および精製水が配合された前処理液2剤を順次使用して毛髪を処理して、酸化染毛工程における毛髪への前処理工程とすることもできる。この様な、染毛用前処理剤の形態は好ましい実施形態となる。必要に応じ、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合され、さらに、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、レブリン酸、乳酸、グリコール酸及び酢酸などの有機酸および精製水が配合された前処理液での前処理工程でもよい場合もある。
また、酸化染毛工程における毛髪への前処理工程で使用する前処理剤としてシャンプーの形態とする場合は、当該シャンプーは、精製水に、イミノ構造を有するコハク酸誘導体、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれかまたは組み合わせた界面活性剤を配合し、さらにカチオン性ポリマー、防腐剤、毛髪補修成分などを配合する。
また、前処理剤としてコンディショナーやトリートメントの形態とする場合は、当該コンディショナーやトリートメントは、精製水に、イミノ構造を有するコハク酸誘導体、高級アルコール、カチオン性界面活性剤、保湿剤、防腐剤、毛髪補修成分などを配合する。配合量およびそれ以外の配合できる成分は、公知の組成を参考にして適宜調整する事ができる。
本発明によれば、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が毛髪に付着した金属成分(特に銅イオンおよび鉄イオンあるいはカルシウムイオンなど)を除去することにより、毛髪へのダメージの抑制も期待できる。
また、本発明の毛髪処理剤を使用する事で、日々の水道水からの毛髪へのダメージを抑制する事も期待できる。
上記のとおり、本発明の目的は、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された毛髪処理剤を提供することである。具体的には、ヘアカラーリング剤、ヘアコンディショニング剤、または毛髪洗浄剤等に好適に使用可能な毛髪処理剤を提供することを目的とする。
例えば、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)、染色性の持続(褪色防止性)の点において改良の余地があり、本発明の目的は、染色処理した毛髪の染色性(特に発色性や濃染性あるいは均染性)向上、染色性の持続性(褪色防止性)向上が可能な毛髪処理剤が提供することでもある。本発明の毛髪処理剤では、処理後の毛髪のツヤや指通りが良好になる。
<酸化染毛剤AおよびBを使用した、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩での前処理有り、無しでの毛髪染色性の色差評価>
酸化染毛剤Aは、オルディーブ、アッシュ、9-10、(ミルボン社製、アッシュ系の明度9)とオルディーブ、オキシダン、6.0(ミルボン社製)を質量比1:1で混合したものを用いた。酸化染毛剤Bは、コレストン、パーフェクト、+7/47(ウエラ社製、ピンク系の明度7)とウエロキソン、パーフェクト、+6%(ウエラ社製)を質量比1:1で混合したものを用いた。
毛束は、人毛黒髪100%の毛束(ビューラックス社製、品番:BM-B15)を用いた。
上記毛束をラウレス硫酸ナトリウム、0.5質量%水溶液(pH=5.5)に室温で3分間浸漬した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライした後、100℃で20分間乾燥させたものを健常毛とした。
さらに、上記毛束を4質量%過酸化水素水溶液と2.5質量%アンモニア水溶液を質量比1:1で混合した液に室温で30分間浸漬した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライ後、100℃で20分間乾燥させる操作を10回繰り返してダメージ毛とした。また、ヤク毛の毛束は、ヤク毛(ビューラックス社製、品番:BM-YK-A)を用いた。
(染色性)
比較例1は、25℃の環境下で、乾燥した健常毛の毛束2gに酸化染毛剤A 3gを均一に塗布し、45℃で15分間放置した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライの後ドライヤーで乾燥し、コニカミノルタ社製の分光測色計CM-5を用いて直接的にL*a*b*を測定した。
また、以下の実施例または比較例で使用した、精製水は、ミリポア社の超純水製造装置(Integral 3)を使用したもので、TOC;5ppb以下、比抵抗(導電率);18MΩ・cm以上、25℃、という品質である。基本的に、水と記載がある配合処方ではこの精製水を使用した。
以下に、実施例として、人毛黒髪をヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理する工程を説明する。
実施例1は、25℃の環境下で、乾燥した健常毛の毛束2gをヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の0.25%水溶液(pH=11)に室温で5分間浸漬させ、取り出してタオルドライした後に、酸化染毛剤A 3gを均一に塗布し、45℃で15分間放置した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライの後ドライヤーで乾燥し、コニカミノルタ社製の分光測色計CM-5を用いて直接的にL*a*b*を測定した。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例1の毛束との色差(ΔE)を算出した。以下、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を含む前処理液で処理した毛束と、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合されていない前処理液で処理した毛束の染色性を比較し、ΔEとして表にまとめた。
なお色差ΔEは、L*a*b*色空間における、測定した2種の色の空間的位置の2点間の直線距離として算定した数値であり、ΔEは、ΔL*+Δa*+Δb*の平方根である。なお一般的に、色差(ΔE)は、0~0.1は目視では色違いを識別できない範囲、0.2~0.4は色検査に慣れた人が色違いを識別できる範囲となる。例えば、0.4~0.8の色差は色違いが明瞭に認識され、隣り合った同じ色の部品同志色の差を比較し管理する、突合せ部材の色管理に使用される範囲である。
比較例2は、健常毛をダメージ処理毛に変更した以外は、比較例1と同様に処理、測定を行った。実施例2は、健常毛をダメージ処理毛に変更した以外は、実施例1と同様に処理、測定を行い、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例2の毛束との色差(ΔE)を算出した。
比較例3は、健常毛をヤク毛に変更した以外は、比較例1と同様に処理、測定を行った。実施例3は、健常毛をヤク毛に変更した以外は、実施例1と同様に処理、測定を行い、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例3の毛束との色差(ΔE)を算出した。
比較例4は、比較例1の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行った。実施例4は、実施例1の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行い、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例4の毛束との色差(ΔE)を算出した。
比較例5は、比較例2の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行った。実施例5は、実施例2の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行い、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例5の毛束との色差(ΔE)を算出した。
比較例6は、比較例3の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行った。実施例6は、実施例3の酸化染毛剤Aを酸化染毛剤Bに変更した以外は、同様に処理、測定を行い、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で前処理していない比較例6の毛束との色差(ΔE)を算出した。
上記の(ΔE)の値が大きいほど、色の変化が大きいことを表し、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で毛髪を前処理した後に染毛すると、染毛の効果(染料の染色性、染料の発色性)が大きいことを示す。この数値が大きいほど染料が濃く染まっていることを示している。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩で毛髪を前処理した後に染色すると、染毛性が改良されていると表わす事ができる。
表1に、実施例1~6、比較例1~6として、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液を用いて前処理した際の染毛性と、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合していない処理液で前処理の場合の染毛性の差異を、毛髪の種類、染毛剤の種類で、整理してまとめた。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液を用いて毛髪を前処理した後に、毛髪を染色する場合の有効性が確認できる。
Figure 2023158296000005
なお前処理剤として、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液は、配合していない処理液で毛髪を前処理した場合に比べ、ΔEが大きくなっており、染料が濃く染まっている事を示している。また、比較例2と実施例2で観測すると、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液での毛髪の前処理にあっては、ダメージを受けた毛髪へ前処理した方が、ΔEがより大きく観測されている。
比較例2と実施例2での染料の濃く染まりやすさで示しているが、日々ダメージを受けた毛髪に、本発明のヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を含む毛髪処理剤で処理する事の好ましい形態を示している。
いずれも、ダメージを受けた毛髪やヤク毛に、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液を前処理すると、健常毛に処理する場合に比べ染料が濃く染まっている事がわかる。
なお、比較例1と実施例1のΔEの0.31は目視でその色差が認識できる値である。比較例2と実施例2での染料の濃く染まりやすさで示しているが、本発明のヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を配合した処理液は、ダメージを受けた毛髪に作用し、より濃く染まる理由は、健常毛に比べてダメージを受けた毛髪の方が毛髪表面のキューティクルが損傷しており、毛髪内部への酸化染料の浸透性が高いため、染色性は高いと考えらえる。さらに、本発明では、鉄イオンや銅イオンなどの遷移金属元素を、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が効率よくキレート化することにより鉄イオンや銅イオンの量が削減され、過酸化水素による酸化染料の重合が正しく促進されて発色性が向上し、色の差が大きく出たと考慮できる。
また、上記、実施例の変更形態を以下に説明する。酸化染色工程で使用される酸化染毛剤であるが、アルカリ剤や酸化染料が配合された酸化染毛剤1剤と、過酸化水素などの酸化剤が配合された酸化染毛剤2剤として使用する事ができる。例えば、酸化染毛剤での毛髪の染色工程では、アルカリ剤や酸化染料が配合されている酸化染毛剤1剤は、pHが、8あるいは9あるいは10あるいは11程度の場合もある。また、酸化染毛剤2剤は酸化剤である例えば過酸化水素が配合されていて、pHが2あるいは3あるいは4程度の場合もある。酸化染毛剤での染色工程として、毛髪への染毛直前に1剤と2剤を混合して毛髪に塗布するが、その際のpHは、pHが8あるいは11程度の弱アルカリ領域となる。どの程度のpHに調整するかは、配合剤、染料の特性により制御する事が期待できる。
上記実施例では、前処理として、pH調整せずに、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の水溶液としてpH=11程度のままで毛髪を浸漬させる処理を行っているが、pH=9程度に調整し前処理を行う事もでき、本発明のイミノ構造を有するコハク酸誘導体を配合した前処理液の適応可能なpH領域となる。この弱アルカリ性領域では毛髪がより膨潤するために、前処理後の酸化染毛剤の毛髪への入り方も改良される場合もある。例えば、ジカルボン酸などの有機酸をさらに配合する事で適宜、pHを調整する事ができ、pHが9程度の弱アルカリ性領域にも本発明の前処理剤は所定の効果を発現する。よって、本発明のイミノ構造を有するコハク酸誘導体が配合された染毛処理液は、弱アルカリの領域でも好ましい使用形態となる。よって、本発明の実施例で提示した処方においても、所望により、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、レブリン酸、乳酸、グリコール酸及び酢酸、コハク酸、フマル酸、フマル酸ナトリウムなどの有機酸を配合し、pHを調整する事ができる。なお後述する官能評価の実施例においても同様に、必要に応じ、このpHの調整をする事ができる。弱アルカリ性領域となるので、同等以上の効果が期待できる。
<酸化染毛剤Cを使用した、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩での前処理有り、無しでの染色性の官能評価>
酸化染毛剤Cは、イルミナカラー、スターダスト、12(ウエラ社製、シルバーグレー系の明度12)とウエロキソン、パーフェクト、+6%(ウエラ社製)を質量比1:1で混合したものを用いた。毛束は、人毛白髪100%の毛束(ビューラックス社製、品番:BM-W-A)を用いた。上記毛束をラウレス硫酸ナトリウム、0.5質量%水溶液(pH=5.5)に室温で3分間浸漬した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライした後、100℃で20分間乾燥させたものを用いて以下、官能評価を行った。
官能評価の比較例1は、25℃の環境下で、乾燥した毛束1gに酸化染毛剤C、3gを均一に塗布し、30℃で30分間放置した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライの後ドライヤーで乾燥した。
官能評価の実施例1は、25℃の環境下で、乾燥した毛束1gを塩化銅(II)4水和物、10ppm水溶液に15分間浸漬し、取り出してタオルドライした後に、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=11)に室温で5分間浸漬させ、取り出してタオルドライした後に、酸化染毛剤C、3gを均一に塗布し、30℃で30分間放置した後、水道水で1分間十分にすすぎ、タオルドライの後ドライヤーで乾燥した。
官能評価の比較例2は、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=11)をエチレンジアミン-N-N’-ジコハク酸3ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=10)に変更した以外は、官能評価の実施例1と同様に処理した。
官能評価の比較例3は、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=11)をエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=5)に変更した以外は、官能評価の実施例1と同様に処理した。
官能評価の比較例4は、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=11)をエチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩の0.25質量%水溶液(pH=11)に変更した以外は、官能評価の実施例1と同様に処理した。次に、染色性(発色のよさ)、ツヤ、指通りの官能評価の基準を示した。結果を表2に示す。
(染色性)
専門パネラー7名によって下記の基準で判定した。
◎:発色がとてもよい(染色効果が高いと回答したパネラーが7名中6~7名)
〇:発色がよい(染色効果が高いと回答したパネラーが7名中4~5名)
△:発色がややよい(染色効果が高いと回答したパネラーが7名中2~3名)
×:発色がわるい(染色効果が高いと回答したパネラーが7名中0~1名)
(ツヤ)
専門パネラー7名によって下記の基準で判定した。
◎:とてもツヤがある(ツヤが高いと回答したパネラーが7名中6~7名)
〇:ツヤがある(ツヤが高いと回答したパネラーが7名中4~5名)
△:ややツヤがある(ツヤが高いと回答したパネラーが7名中2~3名)
×:ツヤがない(ツヤが高いと回答したパネラーが7名中0~1名)
(指通り)
専門パネラー7名によって下記の基準で判定した。
◎:指通りがとてもよい(指通りがとても良いと回答したパネラーが7名中6~7名)
〇:指通りがよい(指通りがとても良いと回答したパネラーが7名中4~5名)
△:指通りがややよい(指通りがとても良いと回答したパネラーが7名中2~3名)
×:指通りがわるい(指通りがとても良いと回答したパネラーが7名中0~1名)
Figure 2023158296000006
<官能評価結果:表2の説明>
酸化染毛剤Cを使用した、本発明のイミノ構造を有するコハク酸誘導体である、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合された前処理液で毛髪を処理する工程の有りまたは無しでの染色性の官能評価において、官能評価の実施例1では、いずれのキレート剤が配合された前処理液あるいはキレート剤未添加の前処理液で、処理した後酸化染毛した場合に比べ、染色性、ツヤ、指通りなどの官能評価で、<発色がとてもよい><とてもツヤがある><指通りがとてもよい>の評価を得ることができた。なお上記実施例で示した配合組成において、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合された各種毛髪処理剤では、キレート剤特有の臭気もなく、取り扱い性に優れていた。
本発明のイミノ構造を有するコハク酸誘導体である、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩とそれ以外のキレート剤が配合された種々の毛髪処理剤の処方例を以下に示す。
<酸化染毛剤処方例>
表3に従い、精製水に塩化アルキルトリメチルアンモニウムを添加し、撹拌しながら加温溶解し、その後、染料前駆体、アルコルビン酸ナトリウム、各種キレート剤を添加して80℃に保持し、水相とした。POE(25)セチルエーテル、セトステアリルアルコールを混合し、さらにヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩およびそれ以外のキレート剤成分を所定量、撹拌しながら加温溶解し、80℃に保持し油相とした。水相を撹拌しながら油相を添加し、撹拌しながら35℃まで冷却し、アンモニア水(25%)および香料を添加した。得られた組成物を酸化染毛用2剤と1:1で混合して得られた酸化染毛剤で毛髪を染毛すると、発色性、ツヤ、毛髪の指通りに優れていた。なお、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の効果をより向上させる目的で、それ以外のキレート剤を合わせて配合する処方にしている。なお、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩を単独で配合した酸化染毛剤処方でも所定の効果を発現する。表3に酸化染毛剤処方例を示す。
Figure 2023158296000007
<毛髪洗浄用組成物としてのシャンプー処方例>
精製水にポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(別名:ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、アルキル(8~16)グルコシド(別名:デシルグルコシド)、グリセリン、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(別名:ヒドロキシエチルセルロース・ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、安息香酸ナトリウム、各種キレート剤を添加し、撹拌しながら加温溶解し、80℃に保持した。撹拌しながら自然冷却し、40℃まで冷却された時点で、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液、香料、フェノキシエタノール、クエン酸を添加し、室温まで撹拌しながら冷却した。
得られた組成物は非常に泡立ちが良く、シャンプー後の毛髪のツヤや指通りに優れていた他、その後に酸化染毛剤で毛髪を染色すると酸化染毛剤の発色性が良くなるほか、ツヤ、指通りに優れていた。なお、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の効果をより向上させる目的で、それ以外のキレート剤を合わせて配合する処方にしている。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩単独配合でも所定の効果を発現する。表4にシャンプー処方例を示す。
Figure 2023158296000008
<コンディショナー処方例>
硬化ナタネ油アルコール、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルとトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの混合物、植物性スクワランを加温して混合し、80℃で保持し油相とした。精製水、1,3-ブチレングリコール、各種キレート剤、乳酸、ピバリン酸イソデシルを加温して混合し80℃で保持し、水相とした。
水相を撹拌しながら油相を添加し、撹拌しながら40℃まで冷却し、ピバリン酸イソデシル、フェノキシエタノール、香料を添加した。得られた組成物でシャンプー後の毛髪を処理すると、毛髪のツヤ、指通り性に優れていた。なお、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩の効果をより向上させる目的で、それ以外のキレート剤を合わせて配合する処方にしている。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩単独配合でも所定の効果を発現する事が期待できる。表5にコンディショナーの処方例を示す。
Figure 2023158296000009
また本発明のイミノ構造を有するコハク酸誘導体である、ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合された種々の毛髪処理剤の処方例を以下に示す。
<ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合された酸化染毛剤処方例>
精製水に塩化アルキルトリメチルアンモニウムを添加し、撹拌しながら加温溶解し、その後、染料前駆体、アルコルビン酸ナトリウム、ヒドロキシイミノジコハク酸を添加して、さらに攪拌し80℃に保持し水相とする。POE(25)セチルエーテル、セトステアリルアルコールを混合し、撹拌しながら加温溶解し、80℃に保持し、油相とする。
水相を撹拌しながら油相を添加し、撹拌しながら35℃まで冷却し、アンモニア水(25%)および香料を添加する。得られた組成物を酸化染毛用2剤と質量比1:1で混合して得られた酸化染毛剤で毛髪を染毛すると、毛髪は発色性、ツヤ、毛髪の指通りに優れたものとなる。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩配合の酸化染毛剤は所定の効果を発現する。表6にその処方例を示す。
Figure 2023158296000010
<ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合されたシャンプー処方例>
精製水にポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(別名:ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、アルキル(8~16)グルコシド(別名:デシルグルコシド)、グリセリン、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(別名:ヒドロキシエチルセルロース・ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、安息香酸ナトリウム、ヒドロキシイミノジコハク酸を添加し、撹拌しながら加温溶解し、80℃に保持する。撹拌しながら自然冷却し、40℃まで冷却された時点で、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液、香料、フェノキシエタノール、クエン酸を添加し、室温まで撹拌しながら冷却する。
得られた組成物は非常に泡立ちが良く、シャンプー後の毛髪のツヤや指通りに優れる、シャンプーした後に酸化染毛剤で毛髪を染色すると酸化染毛剤の発色性が良くなるほか、ツヤ、指通りに優れるものとなる。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩配合のシャンプーは所定の効果を発現する。表7にその処方例を示す。
Figure 2023158296000011
<ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合されたコンディショナー処方例>
硬化ナタネ油アルコール、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルとトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの混合物、植物性スクワランを加温しながら混合して80℃で保持し油相とする。精製水、1,3-ブチレングリコール、ヒドロキシイミノジコハク酸、乳酸、ピバリン酸イソデシルを加温しながら混合して80℃で保持し、油相とする。
水相を撹拌しながら油相を添加し、撹拌しながら40℃まで冷却し、ピバリン酸イソデシル、フェノキシエタノール、香料を添加する。得られた組成物でシャンプー後の毛髪を処理すると、毛髪のツヤ、指通り性に優れるものとなる。ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩配合のコンディショナーは所定の効果を発現する。表8にその処方例を示す。
Figure 2023158296000012
<ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩が配合された前処理剤の、その他の処方例>
精製水、1,3-ブチレングリコール、グリセリンを混合し水相とした。1,3-ブチレングリコールとPEG-60水添ヒマシ油を80℃で均一溶解させた後、40℃まで冷却する。さらに、エタノールとフェノキシエタノールと香料を室温で均一溶解させる。
水相を撹拌しながら1,3-ブチレングリコールとPEG-60水添ヒマシ油の混合物、キレート剤としてヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム塩、さらにヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ポリクオタニウム-51、クオタニウム-33、エタノールとフェノキシエタノールと香料の混合物を順次添加し、コハク酸を添加してpH=9に調整し、前処理剤組成物とした。得られた組成物で毛髪を処理した後に、酸化染毛剤で染毛すると、染料の発色が良く、毛髪のツヤ、指通り性に優れていた。
Figure 2023158296000013

Claims (6)

  1. イミノ構造を有するコハク酸誘導体を含む毛髪処理剤。
  2. 前記、イミノ構造を有するコハク酸誘導体が、下記一般式(1)で表される化合物である事を特徴とする請求項1記載の毛髪処理剤。
    Figure 2023158296000014
    (式中、Rは、水素原子又は水酸基を表す。X~Xは、同一若しくは異なって、水素
    原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はアンモニウム基を表す。)
  3. 請求項1記載の毛髪処理剤において、イミノ構造を有するコハク酸誘導体に合わせて、ヒスチジン、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン-N,N’-ジグルタル酸、エチレンジアミン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシフェニル酢酸)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、グルタミン酸二酢酸、6座配位子アミノカルボキシレート、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N-N’-ジコハク酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、D-グルコン酸、L―グルタミン酸二酢酸、並びに、これらの塩及び誘導体からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物がさらに配合される事を特徴とする請求項1記載の毛髪処理剤。
  4. 前記毛髪処理剤が、染毛剤、毛髪洗浄剤、毛髪用コンディショニング剤、整髪剤、毛髪変形処理剤、脱色剤、染毛用前処理剤、染毛用後処理剤、脱色用前処理剤、脱色用後処理剤のいずれかである、請求項1記載の毛髪処理剤。
  5. 前記毛髪処理剤が、染毛用前処理剤または染毛用後処理剤である請求項1記載の毛髪処理剤の使用方法であって、酸化染料を使用した毛髪の染毛工程で使用される事を特徴とする、請求項1記載の毛髪処理剤の使用方法。
  6. 前記毛髪処理剤が、脱色用前処理剤または脱色用後処理剤である請求項1記載の毛髪処理剤の使用方法であって、酸化染料を使用し、脱色工程を含む毛髪の脱色工程で使用される事を特徴とする、請求項1記載の毛髪処理剤の使用方法。
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