JP2023157433A - 層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法 - Google Patents

層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法 Download PDF

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亮太 原
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亮介 森安
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Abstract

【課題】シートやシール材等を製造するに際し、製造方法の自由度が向上する層状粘土鉱物の製造方法を提供する。【解決手段】層状粘土鉱物の製造方法であって、該層状粘土鉱物の製造方法は、膨潤性層状粘土鉱物を溶媒に分散してスラリーを形成するスラリー形成工程と、前記膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオンの少なくとも一部を第2陽イオンであるK+イオンで交換する第1イオン交換工程と、を含み、前記第1イオン交換工程が、陽イオン交換樹脂を用いて行われる層状粘土鉱物の製造方法。【選択図】図6

Description

本出願における開示は、層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法に関する。
各種産業の配管フランジ等には、ガスケットやパッキン等のシール材が使用されている。ガスケットとしては、シートガスケット、渦巻形ガスケットやのこ歯形ガスケット等が知られている。
渦巻形ガスケットは、フープ材とフィラー材とを重ねた状態で巻回してなるものである。のこ歯形ガスケットは、一般に金属製本体の両面に、直径が異なる同心円状の溝が径方向にほぼ等ピッチで多数掘られ断面がのこ(鋸)歯形状となっているものである。
例えば、特許文献1には、シール性の高い剥離層状粘土鉱物を用いたガスケットが記載されている。また、特許文献2には、層状粘土鉱物の層間のNaイオンをKイオン等で交換した層状粘土鉱物を用いると、耐水性に優れるシール材が得られることが記載されている。更に、特許文献3には、合成膨潤性フッ素雲母の層間のNaやLiを、K、Ba2+、Pb2+等にイオン交換することで、接着剤やバインダー等の有機物を使用しないで、耐熱性で機械的強度が大きいシートが得られることが記載されている。
特許5997415号公報 特許6754746号公報 特公平7-8724号公報
上記のとおり、特許文献2および3には、層状粘土鉱物の層間のイオン交換を行うことで、得られるシートの特性を改良できることが記載されている。ところで、特許文献2には、(1)陽イオンを含む水溶液に膨潤性層状粘土鉱物を入れて攪拌することで層間の陽イオンを水溶液の陽イオンと置換したスラリーを形成し、(2)形成したスラリーを凍結乾燥することでマイカの剥離体を形成し、(3)形成したマイカの剥離体を金型に投入して圧縮することでシートを製造する方法が記載されている。また、特許文献3には、イオン交換した合成膨潤性フッ素雲母のスラリーをろ過法により洗浄後、合成膨潤性フッ素雲母を水に分散したゾルをステンレス板上に展延し、乾燥・脱水することでシートを製造する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2および3には、陽イオン交換したスラリーから直接シートを製造することは記載されていない。特許文献2および3に記載の製造方法に加え、例えば、陽イオン交換したスラリーから直接シートを製造する等、シートの製造方法の自由度は高い方が好ましく、そのためのスラリーの提供が望まれる。
本出願における開示は、上記問題を解決する為になされたものである。本発明者らは鋭意研究を行ったところ、(1)陽イオンを含む水溶液としてKイオンを用いてスラリーを製造し、ドクターブレード法等の連続製造方法に単純に置き換えた場合、Kイオンがシール材中に残存し、残存したKイオンが耐熱性に悪影響を与えること、(2)陽イオン交換樹脂を用いて、膨潤性層状粘土鉱物の層間にある陽イオンの少なくとも一部をKイオンに交換すると、スラリー中に残存するKイオンの量が少なくなること、(3)その結果、スラリーをそのまま乾燥させてシール材を製造しても、シール材中に残存するKイオンの量が少なくなることから、従来の製造方法に加え、連続製造方法によりスラリーから連続的にシール材を製造できること、を新たに見出した。
すなわち、本出願における開示の目的は、層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法を提供することである。
本出願における開示は、以下に示す、層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法に関する。
(1)層状粘土鉱物の製造方法であって、該層状粘土鉱物の製造方法は、
膨潤性層状粘土鉱物を溶媒に分散してスラリーを形成するスラリー形成工程と、
前記膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオンの少なくとも一部を第2陽イオンであるKイオンで交換する第1イオン交換工程と、
を含み、
前記第1イオン交換工程が、陽イオン交換樹脂を用いて行われる
層状粘土鉱物の製造方法。
(2)前記膨潤性層状粘土鉱物が、合成粘土鉱物である
上記(1)に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(3)前記合成粘土鉱物が、スメクタイト、バーミキュライト、変性バーミキュライト、および、合成フッ素マイカからなる群から選択される
上記(2)に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(4)前記合成粘土鉱物が、合成フッ素マイカである
上記(3)に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(5)前記陽イオン交換樹脂が、強酸性陽イオン交換樹脂である
上記(1)~(4)の何れか一つに記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(6)前記第1イオン交換工程の後に、更に、第2イオン交換工程を含み、
前記第2イオン交換工程では、陰イオン交換樹脂を用いて、前記第1イオン交換工程後のスラリーに含まれるFイオンを陰イオン交換樹脂に吸着する
上記(4)に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(7)前記第1イオン交換工程の後に、前記陽イオン交換樹脂をスラリーから除去する陽イオン交換樹脂除去工程を更に含む
上記(1)~(6)の何れか一つに記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(8)前記第2イオン交換工程の後に、前記陰イオン交換樹脂をスラリーから除去する陰イオン交換樹脂除去工程を更に含む
上記(6)に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
(9)層状粘土鉱物を含むシートの製造方法であって、該シートの製造方法は、
上記(1)~(8)の何れか一つに記載の製造方法により製造した層状粘土鉱物を含むスラリーを乾燥する乾燥工程を含む
シートの製造方法。
(10)前記乾燥工程が、前記スラリーを連続的に伸ばしながら乾燥することで行われる
上記(9)に記載のシートの製造方法。
(11)シール材の製造方法であって、該シール材の製造方法は、
上記(9)または(10)に記載のシートの製造方法で製造したシートをガスケットの一部として組み込む工程を含む
シール材の製造方法。
本出願で開示する製造方法は、膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオンの少なくとも一部を第2陽イオンであるKイオンで交換した後のスラリー中に含まれるKイオンの量を少なくできる。したがって、Kイオンで交換した層状粘土鉱物を含むスラリーを用いてシートやシール材等を製造するに際し、製造方法の自由度が向上する。
図1は、渦巻形ガスケットの概略断面図である。 図2は、フランジに設置された、のこ歯形ガスケットの概略断面図である。 図3は、渦巻形ガスケットの概略断面図である。 図4は図面代用写真で、実施例1、実施例2、比較例1、および、比較例3で作製したシートの耐水性評価の結果を示す写真である。 図5は図面代用写真で、実施例1、実施例2、および、比較例1で作製したシートを550℃まで加熱した時の走査型電子顕微鏡写真である。 図6は図面代用写真で、実施例1、実施例2、比較例1、および、比較例2で作製したシートを750℃まで加熱した時の走査型電子顕微鏡写真である。
以下に、層状粘土鉱物の製造方法、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法、および、シール材の製造方法について詳しく説明する。
(層状粘土鉱物の製造方法の第1の実施形態)
層状粘土鉱物の製造方法の第1の実施形態は、
膨潤性層状粘土鉱物を溶媒に分散してスラリーを形成するスラリー形成工程と、
前記膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオンの少なくとも一部を第2陽イオンであるKイオンで交換する第1イオン交換工程と、
を含み、
前記第1イオン交換工程が、陽イオン交換樹脂を用いて行われる。
本出願で開示する層状粘土鉱物は、膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオン(粘土鉱物に膨潤性を付与するイオン)の少なくとも一部を、第2陽イオンであるKイオン(粘土鉱物に非膨潤性を付与する鉱物)で交換したものである。層状粘土鉱物に膨潤性を付与する第1陽イオンとしては、限定されるものではないが、例えば、Naイオン、Ca2+イオン、Mg2+イオン、Liイオン、等が挙げられる。
膨潤性層状粘土鉱物は、膨潤性を付与する上記第1陽イオンを層間に含むものであれば特に制限はない。膨潤性層状粘土鉱物は、天然粘土鉱物または合成粘土鉱物の何れでもよく、例えば、マイカ、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。なお、本出願で開示する技術的観点ではなく、純粋性および品質安定性の観点からは、合成粘土鉱物が好ましい。合成粘土鉱物としては、限定されるものではないが、例えば、スメクタイト(第1陽イオンがNaイオン、Ca2+イオン、Mg2+イオン)、バーミキュライト(第1陽イオンがMg2+イオン)、変性バーミキュライト(第1陽イオンがLiイオン)、および、合成フッ素マイカ(第1陽イオンがNaイオン)等が挙げられる。中でも、高耐熱性および成形性の観点では、合成フッ素マイカが好ましい。
膨潤性層状粘土鉱物の一例である合成フッ素マイカは、下記式(1)で表すことができる。
αMF・βLF・γ(aMgF・bMgO)・δSiO 式(1)
(式中、Mは層間イオンで、K、Ba2+及びPb2+から選択される1以上を表し、Lは層間イオンで、Na又はLiを表し、α及びβは0<α≦2、0≦β<2であり、かつα+βは、0.1~2であり、γは、2~3.5を表し、δは、3~4を表し、a及びbは、それぞれ0~1を表しかつa+b=1である。)
層状粘土鉱物の製造方法の実施形態では、上記式(1)で表される合成フッ素マイカの層間イオンL(第1陽イオンに相当)が、第2陽イオンであるKイオンで交換される。
膨潤性層状粘土鉱物を分散してスラリーを形成するための溶媒は、乾燥することができ、乾燥後のシートの耐熱性等へ悪影響を与えないものであれば特に制限はない。例えば、水、アルコール等のプロトン性溶媒が挙げられる。
陽イオン交換樹脂は、膨潤性層状粘土鉱物の層間に含まれる第1陽イオンを、第2陽イオンであるKイオンに交換できるものであれば特に制限はない。例えば、スルホ基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、カルボキシル基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられる。スルホ基またはカルボキシル基にKイオンを吸着することで、第1の実施形態で使用する陽イオン交換樹脂(「K型イオン交換樹脂」と記載することがある。)を提供できる。強酸性のK型イオン交換樹脂はスラリーのpHに依存することなくイオン交換が可能である。一方、弱酸性のK型イオン交換樹脂は使用できるpHの範囲が、強酸性のK型イオン交換樹脂と比較して狭い。スラリーのpHを考慮しながら、強酸性または弱酸性の何れのK型イオン交換樹脂を用いるのか適宜決めればよい。なお、製造コスト等の観点から見た場合、体積の膨張収縮が小さく、且つ、耐久性が高く繰り返し使用できることから、強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
層状粘土鉱物は、粘土鉱物を剥離した剥離体を用いることができる。この剥離体は1層の場合もあるが、通常複数層が積層された剥離体である。このような層状粘土鉱物(剥離体)は、通常、薄片状であり、厚さは0.5nm~1000nmである。例えば、厚さは1nm~800nm、3nm~500nm、5nm~100nm、又は10nm~50nmである。厚さが薄くなるとシール性が向上し好ましい。この剥離体の剥離度合いは積層体の厚さ、又は積層体の嵩密度と相関が強く、嵩密度が小さい程、薄い剥離の積層体であることを意味する。
第1イオン交換工程は、例えば、容器に膨潤性層状粘土鉱物およびK型イオン交換樹脂を投入・攪拌することで、スラリー形成工程と同時に実施してもよい。その場合、第1イオン交換工程を実施した後に、スラリー中のK型イオン交換樹脂を除去する陽イオン交換樹脂除去工程を実施すればよい。代替的に、先ず、膨潤性層状粘土鉱物を溶媒に分散してスラリーを形成するスラリー形成工程を実施し、次いで、K型イオン交換樹脂を充填したカラムに形成したスラリーを投入・通過させることで、第1イオン交換工程を実施してもよい。その場合、スラリーがカラムを通過する際に第1陽イオンが第2陽イオンに交換されるので、陽イオン交換樹脂除去工程は不要である。上記のとおり、「スラリー形成工程」および「第1イオン交換工程」は、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。本明細書において「スラリー形成工程と、第1イオン交換工程と、を含む」と記載した場合、「スラリー形成工程」および「第1イオン交換工程」を、同時に行うこと、および、別々に行うことの何れも包含される。
第1陽イオンを第2陽イオンに交換することで、得られた層状粘土鉱物は膨潤性が低下することから耐水性が向上する。第1陽イオンを第2陽イオンに交換する割合は、求められる非膨潤性の程度にしたがって適宜設定すればよい。限定されるものではないが、例えば、第1陽イオンの20%以上が第2陽イオンに交換されればよい。第1陽イオンが第2陽イオンに交換される割合は、容器に膨潤性層状粘土鉱物およびK型イオン交換樹脂を投入・攪拌する場合、投入するK型イオン交換樹脂の量および攪拌する時間を調整すればよい。また、K型イオン交換樹脂を充填したカラムに、スラリーを投入・通過させる場合は、カラムのサイズを調整することで、スラリーがカラムを通過する時間を調整すればよい。
層状粘土鉱物の製造方法の第1の実施形態は以下の効果を奏する。
(1)後述する実施例および比較例に示すとおり、スラリー中に残存するKイオンの量が少ないほど、当該スラリーから製造したシール材を高温で使用した時の結晶析出による構造変化が抑制される。その結果、シール材のシール性が低下し難くなることから、耐熱性の高いシール材が得られる。特許文献2に記載の凍結乾燥による脱水では、脱水の過程でスラリー中に残存するKイオンは排出されない。したがって、シート(シール材)中に残存するKイオンは低減されない。また、特許文献2に記載の製造方法は凍結乾燥による脱水、特許文献3に記載の製造方法はスラリーのろ過法による洗浄に時間を要することから、製造効率が悪いという問題がある。一方、第1の実施形態に係る製造方法では、陽イオン交換樹脂(K型イオン交換樹脂)を用いることから、イオン交換後のスラリー中に残存するKイオンは非常に少ない。したがって、第1イオン交換工程実施後のスラリーは、従来の製造方法に加え、キャスト法やドクターブレード法等、スラリーの水分を乾燥する連続製造方法にも用いることができる。したがって、第1イオン交換工程実施後のスラリーを用いたシート(シール材)の製造方法の自由度が高くなる。
(2)上記(1)に記載のとおり、第1の実施形態では、残存するKイオンの量が少ない層状粘土鉱物のスラリーが得られる。シート(シール材)作製の用途に加え、例えば、スラリー自体を耐熱用塗膜材料として用いることもできる。
(層状粘土鉱物の製造方法の第2の実施形態)
次に、層状粘土鉱物の製造方法の第2の実施形態について説明する。層状粘土鉱物の製造方法の第2の実施形態は、膨潤性層状粘土鉱物として合成フッ素マイカを用い、第1イオン交換工程の後に、更に、陰イオン交換樹脂を用いて第1イオン交換工程後のスラリーに含まれるFイオンを陰イオン交換樹脂に吸着する第2イオン交換工程を実施する以外は、層状粘土鉱物の製造方法の第1の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
膨潤性層状粘土鉱物として合成フッ素マイカを用いた場合、合成フッ素マイカの一部のフッ素はスラリー中に溶出する。スラリー中に溶出したフッ素は、スラリーから製造したシール材の耐熱性への影響はない。しかしながら、近年、環境へ与える影響から、製品中に残存するフッ素等のハロゲンは可能な限り少なくする動きがある。また、Fイオンは、ステンレスを腐食する恐れがあることも知られている(柴田俊夫ら、「SSRTによるNaF溶液中の鋭敏化304ステンレス鋼の応力腐食割れ評価」、Zairyo-to-Kankyo,42,15-19(1993))。
層状粘土鉱物の製造方法の第2の実施形態では、膨潤性層状粘土鉱物として合成フッ素マイカを用いた時に、第1イオン交換工程の後に、スラリー中に溶出したFイオンを陰イオン交換樹脂に吸着する第2イオン交換工程を実施することで、スラリー中に残存するFイオンを低減する。
陰イオン交換樹脂は、スラリー中に含まれるFイオンを吸着できるものであれば特に制限はない。例えば、第4級アンモニウム基を有する強塩基性陰イオン交換樹脂、第1~第3級アミノ基を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられる。Fイオンを吸着することで交換される陰イオンは、シール材のシール特性に影響がなければ特に制限はない。例えば、OH等が挙げられる。スラリーのpHを考慮しながら、強塩基性または弱塩基性の何れの陰イオン交換樹脂を用いるのか適宜決めればよい。
なお、使用する材料(膨潤性層状粘土鉱物や溶媒等)の種類によっては、Fイオン以外に、Cl、SO 2-等の陰イオンが、スラリー中に残存する場合がある。第2イオン交換工程を実施すると、スラリーに含まれている、Cl、SO 2-等の陰イオンも低減できる。したがって、第2イオン交換工程は、膨潤性層状粘土鉱物として合成フッ素マイカを用いた時に特に有用であるが、合成フッ素マイカ以外を用いた時に実施してもよい。以下において、F、Cl、SO 2-等のスラリー中に残存する陰イオンを纏めて、単に「陰イオン」と記載することがある。
スラリー中に含まれる陰イオンは、少ない方が好ましい。どの程度陰イオンを除去するのかは、製造コスト等を考慮し、スラリーが陰イオン交換樹脂と接触する時間を適宜調整すればよい。スラリーを満たした容器に陰イオン交換樹脂を投入・攪拌する場合は、第2イオン交換工程を実施した後に、陰イオン交換樹脂をスラリーから除去する陰イオン交換樹脂除去工程を実施すればよい。勿論、陰イオン交換樹脂を充填したカラムにスラリーを投入し、第2イオン交換を実施する場合は、陰イオン交換樹脂除去工程は不要である。
層状粘土鉱物の製造方法の第2の実施形態は、第1の実施形態が奏する効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)スラリー中に残存する腐食性のFイオンやSO 2-、ハロゲンであるFおよびCl、等の陰イオンを少なくできる。したがって、環境負荷を軽減できるとともに、当該スラリーから製造したシール材を使用した際に、フランジや金属製配管が腐食することを軽減できる。
(層状粘土鉱物を含むシートの製造方法の実施形態)
次に、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法の実施形態について説明する。シートの製造方法は、層状粘土鉱物の製造方法で製造した層状粘土鉱物を含むスラリーを乾燥する乾燥工程を含む(以下、層状粘土鉱物を含むシートの製造方法により製造したシートを、単に「シート」と記載することがある)。乾燥工程は、スラリー中に含まれる水分を乾燥できれば特に制限はない。例えば、特許文献2に記載のとおりスラリーを凍結乾燥してからシートを成形してもよいし、スラリーを金型に直接投入し、脱水することでシートをバッチ単位で製造してもよい。また、キャスト法、ドクターブレード法等、スラリーを平板等に連続的に伸ばしながら乾燥することで行われてもよい(連続製造方法)。
シートの密度は、好ましくは0.5~2.5g/cm、より好ましくは1.0~2.2g/cm、さらに好ましくは1.2~2.0g/cmである。本出願では、密度が1.4g/cmを超えるシートを用いることができる。
シートは、面圧34MPaで圧縮したときの空隙率が好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。下限は限定されないが通常1%以上である。空隙率が小さいと、シール性が向上する。空隙率は層状粘土鉱物の1片の厚さ等で調整できる。空隙率は以下の方法で測定できる。
<空隙率>
シートから直径30mmの試料を打ち抜き、重量を測定する。次に、うち抜いた試料を面圧34MPaで圧縮し、そのときの厚さを測定し、試料サイズより、圧縮時の体積を求める。試料重量と圧縮時の体積より、圧縮時の密度を算出する。
シートの真密度をJISR1620に準じて測定する。
圧縮時の密度と真密度より、以下の式で空隙率を算出する。
空隙率(%)=100-圧縮時の密度/真密度×100
シートは、本出願で開示するシートの効果を損なわない範囲で、層状粘土鉱物の他、バインダー等を含んでもよい。シートは、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、又は100重量%を層状粘土鉱物から構成することができる。また、シートは、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、又は100重量%を層状粘土鉱物とバインダーから構成することができる。
バインダーとして、例えば、ゴム・粘着剤等が挙げられる。より具体的には、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。中でも、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴムが好ましい。バインダーを含むことにより、シートに可撓性を付与できる。
バインダーを含む場合、バインダーの量は、シートの0.3~20重量%が好ましい。0.3重量%未満であると可撓性を付与するという目的が不十分になる恐れがあり、20重量%を超えるとシール性等の特性が損なわれる恐れがある。より好ましくは0.5~15重量%であり、さらに好ましくは1~10重量%である。
シートの厚みは、目的に応じて適宜調整すればよい。限定されるものではないが、例えば、0.1~10mm程度が挙げられる。
シートは、各種産業、自動車の排気管等、各種配管のシール材、例えば、ガスケット、パッキン等に使用できる。シートをシール材そのものとして使用してもよいし、シール材の一部としてシートを使用してもよい。シール材の一部としてシートを使用する例としては、渦巻形やのこ歯形等のガスケット、他部材に接着剤を用いてシートを貼着した積層体等が挙げられる。シートを貼着する他部材としては、例えば、鋼板、SUS板、アルミ板、ガラスクロス、アルカリアースシリケートクロス、膨張黒鉛シート、フッ素樹脂シート等が挙げられる。
(シール材の製造方法の実施形態)
次に、図1乃至図3を参照して、シール材の製造方法の実施形態について説明する。図1乃至図3は、シール材がガスケットで、シートをシール材の一部として使用した例を示している。図1は、渦巻形ガスケットの概略断面図である。図2は、フランジに設置された、のこ歯形ガスケットの概略断面図である。図3は、渦巻形ガスケットの概略断面図である。シール材の製造方法の実施形態は、シートをガスケットの一部として組み込む工程(以下、「組み込み工程」と記載することがある。)を含んでいる。シートがガスケットの一部として組み込まれれば、ガスケットを製造するどの段階でシートを組み込んでもよい。
ガスケットは、ガスケット本体部の一方の面又は両方の面が、層状粘土鉱物を含むシートで被覆される。ガスケットとして、フープ材とフィラー材とを重ね合わせて渦巻形に巻回した渦巻形ガスケット本体部を備える渦巻形ガスケット、又は本体部の一面又は両面に、断面が鋸の歯状の溝が形成されている、のこ歯形ガスケット本体部を備えるのこ歯形ガスケット等が挙げられる。
他の態様のガスケットとしては、フープ材とフィラー材とを重ね合わせて渦巻形に巻回した渦巻形ガスケット本体部において、フィラー材の少なくとも一部にシートを用いる例が挙げられる。
図1に示すように、渦巻形ガスケット1は、フープ材20とフィラー材10とを重ね合わせて渦巻形に巻回した渦巻形ガスケット本体部30が、外輪50及び内輪40で挟持された構造を有している。渦巻形ガスケット本体部30はその環状表面(露出面)の両方の面にそれぞれシート70が積層している。好ましくは、ガスケット本体部30の内周に、フープ材20が巻回された内周空巻き部22を形成する。また、好ましくは、ガスケット本体部30の外周に、フープ材20が巻回された外周空巻き部24を形成する。
渦巻形ガスケットは、図1のように内輪40及び外輪50を備えてもよいし、外輪50だけを備えてもよく、内輪40だけを備えてもよい。また、シート70はガスケット本体部30の環状表面の両方を被覆しているが、一方の面のみを被覆してもよい。さらに、図1において、シート70はガスケット本体部30の環状表面の全体を覆うようにして被覆しているが、ガスケット本体部30の一部を被覆してもよい。
渦巻形ガスケット1は、ガスケット本体部30の面がシート70で被覆されることによって、各種配管の継手部(フランジ)等との馴染みが良好となり接面からの漏れを少なくできる他、フィラー材の焼失を防ぐことができるのでガスケットそのもののシール性を向上させることができる。
ガスケット本体部の面をシートで被覆する(組み込み工程)ときの、被覆方法は特に限定されないが、例えば糊等の接着剤を用いることで実施できる。また、接着する代わりに、露出面にシートを乗せるだけでもよい。
図2に示すように、のこ歯形ガスケット2は、のこ歯形ガスケット本体部60のその環状表面の両方の面にそれぞれシート70が積層している。のこ歯形ガスケット本体部60には、直径の異なる同心円の溝61が複数形成されている。即ち、図2に示すように、隣接する歯(のこ歯)62間に溝61が形成されている。
のこ歯形ガスケット2は、締め付けにより、シート70がのこ歯間に形成される溝部分に流れ込み、低面圧でも優れたシール性を発揮する。また、表面にシートが貼り合わされている(組み込み工程)ために、フランジ表面との馴染みがよく、またのこ歯の先端が直接フランジと接触しないため、フランジ表面を傷つけることもない。
のこ歯形ガスケット2には、渦巻形ガスケットと同様に、外輪及び/又は内輪(図示せず)を取り付けてもよい。
図3に示す渦巻形ガスケットは、図1の渦巻形ガスケット1のフィラー材10の少なくとも一部がシートを含む点と、シート70で被覆される必要が無い点が異なる。図1に示す渦巻形ガスケット1と同じ部材については同じ符号を付して説明を省略する。
図3に示す渦巻形ガスケット3で用いるフィラー材12は、テープ状又は複数の短冊状のシートである。このシートは、図1に示すシート70と同じであるが、フィラー材12として用いるため、厚さは通常0.05~1.0mm程度である。図3に示す例では、フィラー材12の全てが本出願で開示するシートで形成されているが、フィラー材12の一部にシートを用いてもよい。組み込み工程は、フープ材20とフィラー材12とを重ね合わせて渦巻形に巻回することで実施すればよい。
以下に実施例を掲げ、本出願で開示する実施形態の具体例を説明するが、本出願で開示する実施形態の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
1.層状粘土鉱物の製造およびシートの製造
<実施例1(第2イオン交換工程なし)>
[K型イオン交換樹脂の調製]
H型強酸性陽イオン交換樹脂である、HPR1200 H(オルガノ株式会社製)5000mLに対し、3mol/Lの水酸化カリウム水溶液2.0kgを加え、1時間撹拌した。蒸留水を用いて上記イオン交換樹脂を洗浄した。
[スラリーの調整]
(1)膨潤性層状粘土鉱物として、1.3kgの合成フッ素マイカであるナトリウム四珪素マイカ「MEB-1」(片倉コープアグリ株式会社製、8wt%)を用い、上記K型イオン交換樹脂4375mLを加え、1時間撹拌した。
(2)目開き250μmのふるいを用いて、K型イオン交換樹脂を分離した。
(3)上記(1)および(2)を再度繰り返した。
(4)蒸留水を加え攪拌し、5wt%濃度に調整した均一な層状粘土鉱物のスラリーを得た。
(5)攪拌しながら液温80℃で加熱濃縮し、18wt%濃度に調整した。
(6)層状粘土鉱物固形分:NBR固形分=96:4となるように、45wt%のNBRラテックスを加え、攪拌し均一なスラリーを得た。
[シートの調整]
上記[スラリーの調整]で得られたスラリーをドクターブレード装置で成形し、100℃で15時間乾燥しシートを作製した。
<実施例2(第2イオン交換工程あり)>
上記<実施例1>の[スラリーの調整]の(3)と(4)との間に、以下の(3-1)および(3-2)を実施した以外は、上記<実施例1>と同様の手順で[K型イオン交換樹脂の調製]、[スラリーの調整]、[シートの調整]を行った。
(3-1)上記(3)で形成したスラリーに、陰イオン交換樹脂であるIRA402BL OH(オルガノ株式会社製)を加え、1時間撹拌した。
(3-2)目開き250μmのふるいを用いて、陰イオン交換樹脂を分離した。
<比較例1>
[スラリーの調整]
(1)膨潤性層状粘土鉱物として、1.3kgの合成フッ素マイカであるナトリウム四珪素マイカ「MEB-1」(片倉コープアグリ株式会社製、8wt%)を用い、11.8wt%の水酸化カリウム水溶液0.88kgを加え、攪拌した。
(2)45wt%のNBRラテックスを24g加え、スラリーが均一となるように更に攪拌した。
[シートの調整]
(1)脱水成形装置にセットしたろ紙上にスラリーを流し込み、ろ過成形でケークを作製した。
(2)得られたケークを100℃で2時間乾燥しシートを作製した。
<比較例2>
<比較例1>の[スラリーの調整]の(2)の手順において、11.8wt%の水酸化カリウム水溶液0.88kgに換え、21.8wt%の水酸化カリウム水溶液1.0kgを用いた以外は、<比較例1>と同様の手順で、[スラリーの調整]、[シートの調整]を行った。
<比較例3>
比較例1の[スラリーの調整]で得たスラリーを用い、実施例1の[シートの調整]に換え、実施例1の[シートの調整]でシートを作製した。
得られたシートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1の斜線カラムは、データが未取得であることを意味する。
[耐水性]
直径20mmに打ち抜いたシートを25℃の純水の中に24時間浸漬した。浸漬後にシート形状を維持しているかどうかを目視で判断した。形状を維持しているときは○、維持していないときは×とした。図4に24時間後の写真を示す。
[残存アルカリ金属イオン量]
シートを粉砕し、アルミセルに入れ加圧成形して蛍光X線分析を行った(ZSXPrimusII/リガク)。酸化物換算された分析値を分子量で割り、下式から元素比を算出した。
[結晶形態変化]
直径20mmに打ち抜いたシートを、200℃/hrで昇温し、550℃に達した後15時間加熱した。また、直径20mmに打ち抜いたシートを、200℃/hrで昇温し、750℃に達した後105時間加熱した。降温は、自然冷却した。その後白金スパッタを行い、走査型電子顕微鏡により観察した。実施例1、実施例2、および、比較例1で作製したシートを550℃まで加熱した時の走査型電子顕微鏡写真を、図5に示す。実施例1、実施例2、比較例1、および、比較例2で作製したシートを750℃まで加熱した時の走査型電子顕微鏡写真を、図6に示す。
[溶出フッ素イオン量]
ランタンアリザリンコンプレキソン法による吸光分析で測定した。
2.シール材(渦巻形ガスケット)の製造およびシール性の評価
[シール材(渦巻形ガスケット)の製造]
上記実施例1および2、並びに、比較例1~3で作製したシートを用い、以下の手順でシール材を作製した。
(1)厚さ0.2mm、幅5.3mmのSUS316製テープ状薄板のフープ材を略V字状に絞り加工した後、SUS316製内輪の外周部にスポット溶接した。
(2)フープ材のみを3周巻いた後、フィラー材として実施例1および2、並びに、比較例1~3で作製したシートをはさみ、互いに重ね合わせて、4周巻回し、最後にフープ材のみを3周巻いた後、巻き始めと同様に点溶接した。
(3)最後に、SUS316製外輪を装着して、渦巻形ガスケットを作製した。
[渦巻形ガスケットのシール性評価方法]
渦巻形ガスケットのシール性は圧力降下法で測定し、漏洩量により評価した。具体的には、以下の手順で行った。結果を表1に示す。
(1)作製した渦巻形ガスケットを試験体とし、これを所定のフランジ(RF形フランジ、材質:SUSF304、呼び圧力:150LB、呼び径2・1/2、表面粗さRa=2.1μm)に挟み、締付面圧78MPaで締め付けた。
(2)フランジ内部の容積を測定するため、試験体内径側に内圧が1MPaとなるように窒素ガスを供給し、バルブを閉じて密閉した。これに予め配管容器内体積を測定してある配管(206.18cm)に接続し、内圧を開放した。この際の残圧を測定し、以下の式より配管容器内体積を算出した。
(3)上記(2)を実施後のフランジを高温恒湿器(スーパーハイテンプオーブンSSPH-101)「エスペック株式会社製」に設置し、大気雰囲気下で昇温速度5℃/分で40℃から、
(a)550℃まで昇温し、105時間加熱保持、
(b)750℃まで昇温し、105時間加熱保持、
した後、自然冷却により室温付近まで降温した。なお、上記(a)、(b)は、同じ実施例(比較例)のシートを用いているが、異なる渦巻形ガスケット別々に加熱したものである。
(4)次に、試験体内径側に内圧が1MPaとなるように窒素ガスを供給し、内圧が0.9MPaまで低下する時間を測定し、以下の式より面方向の漏れ量を算出した。なお、試験はすべて23±0.5℃の室内で行った。
表1および図4~図6に示す結果から、以下の結果を確認した。
(1)膨潤性層状粘土鉱物のNaイオン(第1陽イオン)を、Kイオン(第2陽イオン)に交換したことで、実施例1および2並びに比較例1および3のシートは、十分な耐水性を有していた。
(2)比較例3の水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いて第1イオン交換を行ったスラリーから、ドクターブレード法でシートを製造した場合、実施例1および2と比較して、シートに残存したKイオンの量は顕著に多かった。これは、比較例1のように脱水によりKイオンを除去せずにドクターブレード法によりシートを作製したため、スラリーに残存したKイオンがそのままシートに残存したためと考えられる。一方、実施例1および2は、K型イオン交換樹脂を用いて第1イオン交換工程を実施したことから、シート中に残存したKイオンの量は極めて少なかった。
(3)比較例1および2では、シートに残存したKイオンの量が多かったことから、実施例1および2と比較して、結晶形態変化が多く、その結果シール性が悪くなった。当該結果から、第1イオン交換工程の際にK型イオン交換樹脂を用いると、シート製造の利便性が向上するという効果のみでなく、作製したシートのシール性(耐熱性)も向上するという効果も併せて奏する。
(4)比較例1に示す残存アルカリ金属イオン量は、ろ過過程において、スラリー中に残存したKイオンおよびNaイオンを除去した後にもかかわらず、シートに残存したイオン量である。一方、実施例1および2の残存アルカリ金属イオン量は、第1イオン交換工程後のスラリー中に含まれるイオン量をそのまま反映していると考えられるが、その量は、比較例1より更に少ない。したがって、本出願で開示する層状粘土鉱物の製造方法を用いることで、第1イオン交換工程後に残存するアルカリ金属イオン量が極めて少ないスラリーを提供できることを確認した。例えば、実施例1および2で作製したスラリーを更に脱水することで、シートに含まれる残存アルカリ金属イオンを更に少なくできる。したがって、本出願で開示する層状粘土鉱物の製造方法により作製したスラリーを使用することで、シート(シール材)に求められる性能に応じて、シートの製造方法を選択できる。
(5)実施例1および2の対比から、シートに含まれるFイオンは、シール性(耐熱性)に影響を与えないことを確認した。更に、陰イオン交換樹脂を用いて、第1イオン交換工程後のスラリーに含まれるFイオンを陰イオン交換樹脂に吸着することで、シートに残存するFイオンを少なくできることを確認した。
本出願で開示する層状粘土鉱物の製造方法により作製したスラリーは、石油精製、石油化学プラント、LNGプラント、発電所、製鉄所等における、高温高圧状態にある機器や各種配管の継手部等において、水、油、蒸気、ガス等の流体をシールするシール材に用いることができる。
1,3 渦巻形ガスケット
2 のこ歯形ガスケット
10,12 フィラー材
20 フープ材
30 渦巻形ガスケット本体部
40 内輪部材
50 外輪部材
60 のこ歯形ガスケット本体部
61 溝
62 歯
70 シート
100 フランジ

Claims (12)

  1. 層状粘土鉱物の製造方法であって、該層状粘土鉱物の製造方法は、
    膨潤性層状粘土鉱物を溶媒に分散してスラリーを形成するスラリー形成工程と、
    前記膨潤性層状粘土鉱物の層間にある第1陽イオンの少なくとも一部を第2陽イオンであるKイオンで交換する第1イオン交換工程と、
    を含み、
    前記第1イオン交換工程が、陽イオン交換樹脂を用いて行われる
    層状粘土鉱物の製造方法。
  2. 前記膨潤性層状粘土鉱物が、合成粘土鉱物である
    請求項1に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  3. 前記合成粘土鉱物が、スメクタイト、バーミキュライト、変性バーミキュライト、および、合成フッ素マイカからなる群から選択される
    請求項2に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  4. 前記合成粘土鉱物が、合成フッ素マイカである
    請求項3に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  5. 前記陽イオン交換樹脂が、強酸性陽イオン交換樹脂である
    請求項1に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  6. 前記第1イオン交換工程の後に、更に、第2イオン交換工程を含み、
    前記第2イオン交換工程では、陰イオン交換樹脂を用いて、前記第1イオン交換工程後のスラリーに含まれるFイオンを陰イオン交換樹脂に吸着する
    請求項4に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  7. 前記第1イオン交換工程の後に、前記陽イオン交換樹脂をスラリーから除去する陽イオン交換樹脂除去工程を更に含む
    請求項1に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  8. 前記第2イオン交換工程の後に、前記陰イオン交換樹脂をスラリーから除去する陰イオン交換樹脂除去工程を更に含む
    請求項6に記載の層状粘土鉱物の製造方法。
  9. 層状粘土鉱物を含むシートの製造方法であって、該シートの製造方法は、
    請求項1~8の何れか一項に記載の製造方法により製造した層状粘土鉱物を含むスラリーを乾燥する乾燥工程を含む
    シートの製造方法。
  10. 前記乾燥工程が、前記スラリーを連続的に伸ばしながら乾燥することで行われる
    請求項9に記載のシートの製造方法。
  11. シール材の製造方法であって、該シール材の製造方法は、
    請求項9に記載のシートの製造方法で製造したシートをガスケットの一部として組み込む工程を含む
    シール材の製造方法。
  12. シール材の製造方法であって、該シール材の製造方法は、
    請求項10に記載のシートの製造方法で製造したシートをガスケットの一部として組み込む工程を含む
    シール材の製造方法。
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