JP2023156789A - エジェクタ冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、装置起動時におけるポンプのキャビテーションを防止することができるエジェクタ冷凍装置を提供すること。【解決手段】冷媒を昇圧するポンプ3と、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器4と、冷媒を減圧する膨張弁5と、膨張弁5によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器6と、蒸気生成器4からの冷媒の駆動流によって蒸発器6により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタ1と、エジェクタ1内への吸引後に駆動流と混合した冷媒を冷却する凝縮器2とを有するエジェクタ冷凍装置であって、ポンプ3を介して蒸発器6と凝縮器2との間を連通する連通機構を設け、装置起動時前に、連通機構を連通させ、蒸発器6に滞留した冷媒を凝縮器2に移送させ、その後、連通機構を閉じて装置起動を行う。【選択図】図2
Description
本発明は、簡易な構成で、装置起動時におけるポンプのキャビテーションを防止することができるエジェクタ冷凍装置に関する。
エジェクタ冷凍装置は、工場の排温水などの熱源水を加熱源とし冷媒ポンプによって昇圧された高圧冷媒を蒸発させ、エジェクタの駆動流を生成する。駆動流はエジェクタに送られ、エジェクタの作用により蒸発器からの吸引流を昇圧する。昇圧された冷媒は凝縮器へと送られ、冷却水により冷却・液化する。液化された冷媒は膨張弁を通ることにより低温二相冷媒へと減圧され、蒸発器へと送られる。蒸発器においては、蒸発に伴い外部から熱を吸収し、冷水等の冷熱を生成することが可能である。
なお、特許文献1には、凝縮器側から送液ポンプを用いて蒸発器に液体の熱媒体を補充しながら圧縮機等の余熱を行うことで短時間に起動を完了するヒートポンプにおいて、ヒートポンプの起動時に、先に蒸発器に熱媒体を蒸発させ、後に送液ポンプを駆動することにより、送液ポンプにおけるキャビテーションの発生を防止するものが開示されている。
ところで、エジェクタ冷凍装置の停止時には、最も低温な箇所にて凝縮が起こるため、蒸発器に多くの冷媒が滞留する。一方で、起動時にはポンプ入口には十分な液ヘッドを確保することが必要となるが、蒸発器に多くの冷媒が滞留することにより、凝縮器内に保持すべき十分な冷媒を確保することができず、起動時にポンプ吸い込み口の必要吸込みヘッドが不足し、ポンプの故障にもつながるキャビテーションが発生し、安定した起動を達成することができないという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、装置起動時におけるポンプのキャビテーションを防止することができるエジェクタ冷凍装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置であって、前記ポンプを介して前記蒸発器と前記凝縮器との間を連通する連通機構を設け、装置起動時前に、連通機構を連通させ、前記蒸発器に滞留した冷媒を前記凝縮器に移送させ、その後、前記連通機構を閉じて装置起動を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記連通機構は、前記ポンプを介して前記蒸発器及び前記蒸気生成器と、前記凝縮器との間を連通することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記連通機構は、前記装置起動時前から前記装置起動時までの間、前記蒸発器の下側と前記蒸気生成器の下側と前記ポンプの第1入口とを接続する、前記ポンプの上流側の第1接続流路と、前記ポンプの出口と、前記ポンプの第1入口より上流側の前記ポンプの第2入口または前記凝縮器の出口または前記凝縮器の入口とを接続する、前記ポンプの下流側の第2接続流路と、を形成することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で、装置起動時におけるポンプのキャビテーションを防止することができる。
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。ここで例示するエジェクタ冷凍装置は、工場排水や使用済み冷却水等の排温水から排熱を熱源として回収し、被冷却媒体を冷却するものであり、循環経路L1上に順次接続されたエジェクタ1、凝縮器2、ポンプ3、蒸気生成器4を有する。また、エジェクタ冷凍装置には、分岐経路L2が設けてある。分岐経路L2は、循環経路L1の凝縮器2と蒸気生成器4との間の分岐点LSにおいてポンプ3よりも上流となる部分から分岐し、循環経路L1を流通する冷媒の一部を吸引流体としてエジェクタ1に供給するものである。なお、被冷却媒体としては、水や油、あるいはその他の冷媒を対象とすることができる。本実施の形態1では、特に、排温水から回収した排熱により、被冷却水から冷水を生成するエジェクタ冷凍装置を例示している。
図1は、本発明の実施の形態であるエジェクタ冷凍装置の構成を示す回路図である。ここで例示するエジェクタ冷凍装置は、工場排水や使用済み冷却水等の排温水から排熱を熱源として回収し、被冷却媒体を冷却するものであり、循環経路L1上に順次接続されたエジェクタ1、凝縮器2、ポンプ3、蒸気生成器4を有する。また、エジェクタ冷凍装置には、分岐経路L2が設けてある。分岐経路L2は、循環経路L1の凝縮器2と蒸気生成器4との間の分岐点LSにおいてポンプ3よりも上流となる部分から分岐し、循環経路L1を流通する冷媒の一部を吸引流体としてエジェクタ1に供給するものである。なお、被冷却媒体としては、水や油、あるいはその他の冷媒を対象とすることができる。本実施の形態1では、特に、排温水から回収した排熱により、被冷却水から冷水を生成するエジェクタ冷凍装置を例示している。
ポンプ3は、循環経路L1において冷媒の循環供給を行う。より詳細に説明すると、ポンプ3は、例えば液相の可変容量ポンプであり、冷媒を昇圧してエジェクタ1に供給する。本実施の形態1のポンプ3は、後述する制御部Cから与えられる駆動信号に従った回転数で駆動される。蒸気生成器4は、蒸気生成器4に供給される排温水などの熱源との間で熱交換を行うことにより、ポンプ3から供給された冷媒を蒸発させる。
分岐経路L2には、膨張弁5及び蒸発器6が設けてある。膨張弁5は、凝縮器2を通過して分岐点LSを介して分岐供給された冷媒を膨張させて減圧する。蒸発器6は、膨張弁5を通過した後の液相の冷媒と、蒸発器6に供給される被冷却水との間で熱交換を行うことにより、冷媒を蒸発させる。なお、膨張弁5としては電子膨張弁が好適であるが、用途や構成に応じて手動膨張弁、定圧膨張弁、温度膨張弁等やその他の形式の絞り機構を適宜選択しても良い。
ここで、本実施の形態1では、ポンプ3を介して少なくとも蒸発器6と凝縮器2との間を連通する連通機構を設け、装置起動時前に、この連通機構を連通させ、蒸発器6に滞留した冷媒を凝縮器2に移送させ、その後、この連通機構を閉じて装置起動を行う。なお、本実施の形態の連通機構は、ポンプ3を介して蒸発器6および蒸気生成器4と、凝縮器2との間を連通するようにしている。装置停止時の温度は蒸発器6が一番低く、最も冷媒が滞留しやすいため、連通機構は、少なくとも蒸発器6を連通させた方がよい。
この連通機構は、装置起動時前から装置起動時までの間、蒸発器6の下側と蒸気生成器4の下側とポンプの第1入口とを接続する、ポンプ3の上流側の第1接続流路と、ポンプ3の出口と、ポンプ3の第1入口より上流側のポンプ3の第2入口または凝縮器2の出口または凝縮器2の入口とを接続する、ポンプ3の下流側の第2接続流路と、を形成する。
第1接続流路は、蒸気生成器4の下側の接続点LS1と蒸発器6の下側の接続点LS3とを接続する接続配管L11と、接続配管L11の途中に形成された接続点LS2とポンプ3の入口側の接続点LS4とを接続する接続配管L12とによって形成される。そして、接続点LS2と接続点LS3との間に開閉弁V3が設けられ、接続点LS2と接続点LS4との間に開閉弁V2が設けられる。
また、第2接続流路は、ポンプ3の出口の接続点LS5と、凝縮器2の入口と凝縮器2の下流側との接続点LS6とを接続する接続配管L13により形成される。接続配管L13には、開閉弁V4が設けられる。
なお、第1接続流路と第2接続流路とを形成するために、接続点LS1と接続点LS5との間には、開閉弁V1が設けられ、接続点LS6と分岐点LSとの間には、開閉弁V5が設けられる。
図1および図2に示すように、装置起動後の装置運転中は、開閉弁V1,V5が開、開閉弁V2,V3,V4が閉となり、膨張弁5は可変絞り状態となっている。一方、装置起動時前から装置起動時までは、開閉弁V1,V5が閉、開閉弁V2,V3,V4が開となり、膨張弁5が全閉となって、第1接続流路及び第2接続流路を形成する。この状態で、ポンプ3を始動することにより、蒸発器6及び蒸気生成器4に滞留した冷媒は凝縮器2に移送される。
制御部Cは、駆動流の圧力や温度、熱源温度などを検出して、ポンプ3及び膨張弁5などを制御する。制御部Cは、特に、装置起動時前に、膨張弁5を全閉、開閉弁V1,V5を閉、開閉弁V2,V3,V4を開にし、ポンプ3を始動して、蒸発器6及び蒸気生成器4に滞留した冷媒を凝縮器2に移送させ、その後、開閉弁V1,V5を開、開閉弁V2,V3,V4を閉にして装置起動を行う
これにより、図2に示すように、装置起動時前に、蒸発器6及び蒸気生成器4に滞留していた冷媒は、ポンプ3の始動により、凝縮器2に移送される。この結果、凝縮器2の液ヘッドhが上昇し、装置起動時に、ポンプ3におけるキャビテーションの発生を防止することができる。
なお、図3に示すように、従来は装置停止時に主として蒸発器6に冷媒が滞留する。具体的には、装置停止時の各熱交換器の温度は、蒸気生成器4が60℃~80℃、蒸発器6が5℃~20℃、凝縮器2が15℃~35℃であり、蒸発器6の温度が最も低く、冷媒が凝縮、滞留しやすい。なお、蒸気生成器4にも冷媒は滞留する。これにより、凝縮器2に保持しておくべき冷媒量が減少すると、ポンプ3の装置起動時に必要吸込みヘッドNPSHRが不足し、ポンプ3の故障につながるキャビテーションが発生する。詳細には、液ヘッドh(有効吸込みヘッドNPSHA)に相当する圧力がポンプ3の吸込み口に加わる。そして、一般にポンプ3は、必要吸込みヘッドNPSHRよりも有効吸込みヘッドNPSHAが大きくなる条件で動かすことにより、キャビテーションを防止することができるが、液ヘッドhが液ヘッドh´に下がって、液ヘッドh´<必要吸込みヘッドNPSHRになると、装置起動時にキャビテーションが発生してしまう。
<起動時処理手順>
図4は、制御部Cによる装置起動時前の起動時処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、まず装置起動時前に、制御部Cは、膨張弁5を全閉にする(ステップS101)。さらに、開閉弁V1、V5を閉、開閉弁V2,V3,V4を開にする切替を行う(ステップS102)。これにより、ポンプ3を介した蒸発器6及び蒸気生成器4から凝縮器2までの流路が形成される。
図4は、制御部Cによる装置起動時前の起動時処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、まず装置起動時前に、制御部Cは、膨張弁5を全閉にする(ステップS101)。さらに、開閉弁V1、V5を閉、開閉弁V2,V3,V4を開にする切替を行う(ステップS102)。これにより、ポンプ3を介した蒸発器6及び蒸気生成器4から凝縮器2までの流路が形成される。
その後、制御部Cは、ポンプ3を始動して(ステップS103)、蒸発器6及び蒸気生成器4の冷媒を凝縮器2に移送する。その後、制御部Cは、一定時間経過したか否かを判定する(ステップS104)。一定時間経過しない場合(ステップS104:No)、本判定処理を繰り返す。一方、一定時間経過した場合(ステップS104:Yes)、ポンプ3を停止し(ステップS105)、冷媒の移送を終了する。
その後、装置起動の準備として、開閉弁V1、V5を開、開閉弁V2,V3,V4を閉にし(ステップS106)、装置を起動し(ステップS107)、本処理を終了する。
なお、一定時間は、液ヘッドhが必要吸込みヘッドNPSHRを超える十分な時間であり、事前に取得した液ヘッドhのデータに基づいた時間である。また、一定時間に替えて、液位計による液位検知やポンプ3のトルク検知であってもよい。
上記の実施の形態によれば、装置起動時前に、ポンプ3を用いて蒸発器6及び蒸気生成器4に滞留した冷媒を凝縮器2に移送させることができるため、装置起動時におけるポンプ3のキャビテーションを防止することができる。
また、上記の実施の形態では、重い凝縮器2を高く配置する必要がないので、簡易な構成で、装置がコンパクトになるともに、重心位置が安定した装置とすることができる。さらに、装置起動時に十分な液ヘッドhを確保するために設けられる、凝縮器2の下流に配置されるバッファ用の液タンクを小さくすることができるので、この点からも装置を簡易かつコンパクトな構成とすることができる。
さらに、上記の開閉弁V1~V5は、三方弁や多ポート方向制御弁を適宜採用して置き換えて弁数を減らすことができる。
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
1 エジェクタ
2 凝縮器
3 ポンプ
4 蒸気生成器
5 膨張弁
6 蒸発器
C 制御部
h,h´ 液ヘッド
L1 循環経路
L2 分岐経路
L11,L12,L13 接続配管
LS 分岐点
LS1~LS6 接続点
V1~V5 開閉弁
2 凝縮器
3 ポンプ
4 蒸気生成器
5 膨張弁
6 蒸発器
C 制御部
h,h´ 液ヘッド
L1 循環経路
L2 分岐経路
L11,L12,L13 接続配管
LS 分岐点
LS1~LS6 接続点
V1~V5 開閉弁
Claims (3)
- 冷媒を昇圧するポンプと、熱源により冷媒を加熱し駆動流を発生させる蒸気生成器と、冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁によって減圧された冷媒により被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記蒸気生成器からの冷媒の駆動流によって前記蒸発器により蒸発した冷媒を吸引するエジェクタと、前記エジェクタ内への吸引後に前記駆動流と混合した冷媒を冷却する凝縮器とを有するエジェクタ冷凍装置であって、
前記ポンプを介して前記蒸発器と前記凝縮器との間を連通する連通機構を設け、
装置起動時前に、連通機構を連通させ、前記蒸発器に滞留した冷媒を前記凝縮器に移送させ、その後、前記連通機構を閉じて装置起動を行うことを特徴とするエジェクタ冷凍装置。 - 前記連通機構は、前記ポンプを介して前記蒸発器及び前記蒸気生成器と、前記凝縮器との間を連通することを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ冷凍装置。
- 前記連通機構は、
前記装置起動時前から前記装置起動時までの間、
前記蒸発器の下側と前記蒸気生成器の下側と前記ポンプの第1入口とを接続する、前記ポンプの上流側の第1接続流路と、
前記ポンプの出口と、前記ポンプの第1入口より上流側の前記ポンプの第2入口または前記凝縮器の出口または前記凝縮器の入口とを接続する、前記ポンプの下流側の第2接続流路と、
を形成することを特徴とする請求項2に記載のエジェクタ冷凍装置。
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