JP2023156007A - フェノール樹脂成形材料および成形品 - Google Patents

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正義 橋詰
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英明 井口
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Abstract

【課題】軽量化と耐熱寸法安定性を従来よりも高水準で両立するフェノール樹脂成形材料を提供する。【解決手段】本発明のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂(A)、および強化繊維(B)を含み、前記フェノール樹脂(A)は、剛直成分により変性されたノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料および成形品に関する。
近年、エネルギー効率の観点から、輸送機械の部品の金属代替による軽量化が盛んに行われており、フェノール樹脂成形材料をはじめとする熱硬化性樹脂は、その耐熱性から熱時環境で用いられる金属代替部品用途として着目されている。
一方、フェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂の熱間(100~200℃)収縮により、クリープ現象や寸法変化といった問題が生じやすい。そのため、成形材料に占めるフェノール樹脂比率を下げてフィラー比率を高めることで、かかる問題を改善している。
例えば、特許文献1には、成形時の成形収縮率を低くし、高い寸法安定性と高い靭性を得るために、レゾール型フェノール樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂とからなる特定量のフェノール樹脂成分と、長さ0.3mm以上の必須繊維材と、無機フィラーを含む特定量の充填材成分を含んでなる成形材料について、上記レゾール型フェノール樹脂、及び上記ノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されることが開示されている。
特開2017-226807号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来の技術においては、フィラーの割合が高いため成形材料の軽量化の点で改善の余地があった。一方で、成形材料の樹脂の割合を高くすると耐熱寸法性が低くなるため、成形材料の軽量化と耐熱寸法安定性とはトレードオフの関係にあった。
本発明者は、成形材料の軽量化と耐熱寸法安定性を従来よりも高水準で両立する点から検討を行ったところ、剛直成分により変性されたノボラック型フェノール樹脂を用いることが有効であることを知見した。すなわち、本発明者は、熱時の寸法変化は樹脂間の架橋反応の際に生じやすいことに着目し、新たに樹脂間に剛直構造を適用することによって、樹脂間の架橋密度を低下して寸法変化を抑制しつつ耐熱性も向上できることを見出した。その結果、成形材料におけるフィラーの割合を下げることができ、一方で、樹脂の割合を高めることで軽量化を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下のフェノール樹脂成形材料および成形品が提供される。
[1] フェノール樹脂(A)、および強化繊維(B)を含むフェノール樹脂成形材料であって、
前記フェノール樹脂(A)は、剛直成分により変性されたノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を含む、フェノール樹脂成形材料。
[2] [1]に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の前記剛直成分は、芳香族性を有する環構造を備える化合物、またはヘテロ環式構造を備える化合物である、フェノール樹脂成形材料。
[3] [1]または[2]に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
強化繊維(B)の含有量が、前記フェノール樹脂成形材料全量に対して、10~70質量%である、フェノール樹脂成形材料。
[4] [1]乃至[3]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の平均質量分子量が500~30,000である、フェノール樹脂成形材料。
[5] [1]乃至[4]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の軟化温度が50~180℃である、フェノール樹脂成形材料。
[6] [1]乃至[5]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
前記フェノール樹脂成形材料の比重が1.4~2.1である、フェノール樹脂成形材料。
[7] [1]乃至[6]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
以下の手順で測定される線膨張係数が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、フェノール樹脂成形材料。
(手順)当該フェノール樹脂成形材料を175℃、3分で成形した後、220℃4時間で硬化して得られる硬化物について、熱機械分析にて5℃/分の昇温速度で測定される、80℃から120℃の範囲における線膨張係数。
[8] [1]乃至[7]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
前記フェノール樹脂(A)は、前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を除くノボラック型フェノール樹脂(A2)、およびレゾール型フェノール樹脂(A3)の中から選ばれる1種または2種をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
[9] [8]に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
レゾール型フェノール樹脂(A3)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)との比(A1:A3)が、15:85~100:0である、フェノール樹脂成形材料。
[10] [8]または[9]に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
前記ノボラック型フェノール樹脂(A2)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)との比(A1:A2)が、20:80~100:0である、フェノール樹脂成形材料。
[11] [1]乃至[10]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
強化繊維(B)が、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上からなる、フェノール樹脂成形材料。
[12] [1]乃至[11]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
硬化助剤をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
[13] [1]乃至[12]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料であって、
無機充填材をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
[14] [1]乃至[13]いずれか一つに記載のフェノール樹脂成形材料の硬化物を備える成形品。
本発明によれば、成形材料の軽量化と耐熱寸法安定性を従来よりも高水準で両立する成形材料を実現できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
<フェノール樹脂成形材料>
本実施形態のフェノール樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」とも称して説明する)は、フェノール樹脂(A)、および強化繊維(B)を含むフェノール樹脂成形材料であって、フェノール樹脂(A)は剛直成分により変性されたノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を含む。
すなわち、本実施形態の成形材料は、ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の剛直構造によって架橋密度を低下して寸法変化を抑制しつつ、耐熱性も向上できる。その結果、成形材料における樹脂率を高め、強化繊維(B)の割合を低減できるため、成形材料の軽量化を実現できる。
[比重]
本実施形態の成形材料の比重は、好ましくは1.4~2.1である。
成形材料の比重を、上記下限値以上とすることにより、成形材料の良好な強度が得られ、耐熱性、寸法安定性を保持できる。一方、成形材料の比重を、上記上限値以下とすることにより、軽量化を実現できる。
[線膨張係数]
本実施形態の成形材料は以下の手順で測定される線膨張係数が5ppm/℃以上30ppm/℃以下であることが好ましく、10ppm/℃以上20ppm/℃以下であることがより好ましい。
(手順)当該フェノール樹脂成形材料を175℃、3分で成形した後、220℃4時間で硬化して得られる硬化物について、熱機械分析にて5℃/分の昇温速度で測定される、80℃から120℃の範囲における線膨張係数。
本実施形態の成形材料が上記の線膨張係数を備えることで、成形材料の軽量化と耐熱寸法安定性をより安定的に両立できる。
なお、上記の線膨張係数は、成形材料の原料の選択やその配合量、成形材料の製造方法を適宜設定することで調整される。
以下、本実施形態の成形材料に含まれる各成分の詳細について説明する。
[フェノール樹脂(A)]
本実施形態のフェノール樹脂(A)は、剛直成分により変性されたノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を含む。
本実施形態のフェノール樹脂(A)の含有量は、成形材料全量に対して、好ましくは20~70質量%であり、より好ましくは25~65質量%であり、さらに好ましくは30~60質量%である。フェノール樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、軽量化を実現しやすくなり、成型加工性を向上できる。一方、フェノール樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、強化繊維(B)の割合を高め、機械的強度を向上できる。
また、本実施形態のフェノール樹脂(A)は、さらに、当該ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を除くノボラック型フェノール樹脂(A2)、およびレゾール型フェノール樹脂(A3)の中から選ばれる1種または2種を含んでもよい。
以下、各フェノール樹脂の詳細について説明する。
[ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)]
本実施形態のノボラック型変性フェノール樹脂(A1)は剛直成分により変性されている。これにより、樹脂間の架橋密度を低下して寸法変化を抑制しつつ耐熱性も向上できる。その結果、成形材料におけるフィラーの割合を下げることができ、一方で、樹脂の割合を高めることで軽量化も実現できる。
剛直成分としては、芳香族性を有する環構造、またはヘテロ環式構造を備える化合物が挙げられる。上記芳香族性を有する環構造としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの縮合芳香環構造;ビフェノール環、カルド構造、フルオレン環などの芳香環構造を多数含む構造が挙げられる。具体的には、以下の式(1)~(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023156007000001
Figure 2023156007000002
Figure 2023156007000003
また、上記のヘテロ環式構造としては、例えば、ピロール環、およびチオフェン環などが挙げられる。
なかでも、芳香族性を有する環構造であることが好ましく、ナフタレン環、およびビフェノール環であることがより好ましい。
ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)は、原料のフェノール類とアルデヒド類と、剛直性成分とを用い、無触媒、酸性触媒または遷移金属触媒の存在下で付加縮合反応させて得られる樹脂である。付加縮合反応する際の触媒としては、しゅう酸、塩酸、蟻酸、酢酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸などの酸類または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミンなどのアルカリ類を単独または2種類以上併用して使用できる。フェノール類、アルデヒド類を反応させる際に使用する溶媒もしくは懸濁媒体としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサノン、水などが使用できる。上記フェノール類を上記触媒で加熱反応させ、縮合させる。脱水、脱溶媒を行うことでビフェノール樹脂を得ることができる。
また、ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の剛直成分による変性率は、フェノールに対して、5~80%であることが好ましく、10~50%であることがより好ましい。これにより、成形材料の耐熱性をさらに高めることができ、かつ機械的強度とのバランスを高度に保つことができる。
当該変性率を上記上限値以下とすることにより、フェノール樹脂の良好な硬化性が得られ、機械的強度が得られる。一方、変性率を上記下限値以上とすることにより、耐熱性を向上し、寸法安定性を高めることができる。
なお、上記の変性率は、核磁気共鳴(NMR)スペクトル解析により算出することができる。
本実施形態のノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の質量平均分子量は、好ましくは500~30000であり、より好ましくは700~10000である。
ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の質量平均分子量を上記下限値以上とすることで、耐熱性を向上できる。一方、ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の質量平均分子量を上記上限値以下とすることで、寸法抑制が期待される。
また、ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.0~2.0である。
本実施形態において、質量平均分子量、数平均分子量の値は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
本実施形態のノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の軟化温度は、好ましくは50~180℃であり、より好ましくは70~150℃である。
[ノボラック型フェノール樹脂(A2)]
本実施形態のノボラック型フェノール樹脂(A2)は、上記のノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を除く、ノボラック型のフェノール樹脂である。ノボラック型フェノール樹脂(A2)としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック、フェノール-ビフェニルノボラック樹脂等の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。また、ノボラック型フェノール樹脂(A2)は分子量が異なるものを併用してもよい。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)は、原料のフェノール類とアルデヒド類とを用い、無触媒、酸性触媒または遷移金属触媒の存在下で付加縮合反応させて得られる樹脂である。
ここでフェノール類として、たとえば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、キシレノール、p-ターシャリーブチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノールおよび他のアルキルフェノール類からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)との比(A1:A2)が、20:80~100:0であることが好ましい。
[レゾール型フェノール樹脂(A3)]
フェノール樹脂(A)はレゾール型フェノール樹脂(A3)を含んでもよい。これにより、アウトガスの発生を抑制できるようになる。
レゾール型フェノール樹脂(A3)としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで溶融した油溶融レゾールフェノール樹脂等の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。また、レゾール型フェノール樹脂(A3)は分子量が異なるものを併用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂(A3)は公知の方法で得られるものであり、例えば、上述のフェノール類およびアルデヒド類を、アルカリ性触媒(アルカリ条件下)または亜鉛系触媒(弱酸性条件下)で反応することにより得られたものであることができる。
レゾール型フェノール樹脂(A3)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)との比(A1:A3)が、15:85~100:0であることが好ましい。
ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)およびノボラック型フェノール樹脂(A2)と、レゾール型フェノール樹脂(A3)とを併用することで、流動性を良好としつつ、成形品の曲げ強度を高めることができる。
[強化繊維(B)]
本実施形態において、強化繊維(B)は成形品の機械的強度や耐熱性を高めるために用いられる。強化繊維(B)としては、例えば、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。なかでも、成形品の強度向上等に効果的である点から、炭素繊維、ガラス繊維が好ましい。
なお、軽量化と機械的強度の良好なバランスを得る点から、強化繊維(B)は、ロックウール(岩綿)を含まないことが好ましい。
また、強化繊維(B)は、表面処理が施されていてもよい。
また、強化繊維(B)の含有量は、成形材料全量に対して、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは20~60質量%であり、さらに好ましくは30~65質量%である。強化繊維(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、機械的強度、耐熱性を向上できる。一方、強化繊維(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、軽量化を実現でき、また、成型加工性を良好に保持できる。
[硬化助剤]
硬化助剤としては、成形材料の分野で公知の硬化助剤を挙げることができる。例えば、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物;サリチル酸、安息香酸などの芳香属カルボン酸などを挙げることができる。
硬化助剤を用いる場合、その含有量は、フェノール樹脂(A)100質量部に対して、例えば1~20質量部である。
[無機充填材]
本実施形態の成形材料は、無機充填材を用いることができる。無機充填材により、成形材料に機械的特性、寸法安定性などを付与することができる。
無機充填材としては、特に限定されないが、クレー、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、シリカ、タルク、および水酸化アルミニウム等の中から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。なかでも、成形材料に要求される性能(機械的特性、電気的特性、難燃性、寸法安定性、耐水性等)を考慮すると、クレーを使用することがより好ましい。
なお、水酸化アルミニウムなど一部の無機充填材は難燃助剤としての効果も有する。
上記無機充填材の含有量は、成形材料全体に対して0~70質量%であることが好ましい。無機充填材の含有量を前記下限値以上とすることで良好な機械的特性、耐熱性を保持でき、また前記上限値以下とすることで成形材料の加工性を良好にできる。
[その他成分]
本実施形態の成形材料は、発明の効果を損なわない限り、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、上記を除く熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂、硬化剤、離型剤、顔料、難燃剤、密着向上剤、カップリング剤、エラストマー等の添加剤が挙げられる。
本実施形態の成形材料がこれら他の成分を含む場合、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
上記の硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジアミンジアミドなどのアミン系硬化剤、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物硬化剤、イミダゾール化合物などが挙げられる。
上記アミン系硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂の硬化剤として知られているアミン系硬化剤を用いることができる。具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミンなどを用いることができる。アミン系硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。
本実施形態の成形材料が硬化剤を含む場合、硬化剤の含有量は、成形材料全量に対して、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~10質量%である。硬化剤の量を調整することで、樹脂成分の硬化性を制御し、成形品の強度向上を図りやすくなる。
上記の熱可塑性樹脂としては、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、ビスマレイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂などが挙げられる。
上記の離型剤としては、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの脂肪酸塩、脂肪酸アミド、ポリエチレンなどが挙げられる。
離型剤を用いる場合、その含有量は、フェノール樹脂(A)100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.1~5質量部である。
上記の顔料として、例えば、カーボンブラックが挙げられる。その他、所望の色の成形品を得るため、各種の着色顔料なども使用可能である。
顔料を用いる場合、その含有量は、フェノール樹脂(A)100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.1~5質量部である。
上記のカップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。本実施形態においては、シランカップリング剤が好ましく用いられる。カップリング剤の使用により無機充填材と他成分の相溶性が向上し、成形材料の機械的特性、耐熱性を向上できると考えられる。
上記のエラストマーとしては、アクリルニトリルブタジエンゴム、イソプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
上記エラストマーを用いる場合、その含有量は、成形材料全体に対して1~10質量%であることが好ましく、2~5質量%であることがより好ましい。エラストマーの含有量を前記下限値以上とすることで良好な機械的特性を保持でき、また前記上限値以下とすることで成形材料の加工性を良好にできる。
本実施形態の成形材料は、溶剤(有機溶剤等)を含んでいてもよい。ただし、成形材料としての流通や取扱いの容易性、作業環境におけるVOC発生抑制などの観点から、本実施形態の成形材料は、溶剤(有機溶剤等)を実質的に含まないことが好ましい。
<成形材料の製造方法>
本実施形態の成形材料の製法方法は、特に限定されないが、上記成分を公知の方法により混合することで得られる。例えば、上記成分を配合して均一に混合後、ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練装置単独またはロールと他の混合装置との組合せで加熱溶融混練した後、造粒または粉砕する方法が用いられる。また、例えば、ロール状に巻き取られた長尺な強化繊維(B)の束にフェノール樹脂(A)を含浸させ、所望の長さにカットする方法が挙げられる。
<成形品/成形品の製造方法>
また、本実施形態の成形材料を成形する場合、射出成形を用いることが適しているが、特に限定されず、その他の方法、例えば移送成形、圧縮成形、射出圧縮成形などいずれの方法でも成形できる。この時の成形条件としては成形品の厚みにもよるが、例えば、射出成形で5mm程度の肉厚成形品を成形する場合、金型温度170~190℃、成形圧力100~150MPa、硬化時間30~90秒間で成形することができる。
[用途]
成形品の用途は特に限定されない。用途としては、例えば、自動車、航空機、鉄道車両、船舶、事務機器、汎用機械、家庭用電化製品、電機機器、各種筺体、構造・機構部品などを挙げることができる。もちろん、これら以外の用途も排除されない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<原料>
表1に記載の各原料(成分)の詳細は以下の通りである。
[フェノール樹脂(A)]
・ノボラック型変性フェノール樹脂(A1-1):合成例1により得られたフェノール樹脂
・ノボラック型変性フェノール樹脂(A1-2):合成例2により得られたフェノール樹脂
・ノボラック型フェノール樹脂(A2):ノボラック型フェノール樹脂「PR-53194」住友ベークライト社製
・レゾール型フェノール樹脂(A3):レゾール型フェノール樹脂 「PR-53529」住友ベークライト社製
[強化繊維(B)]
・ガラス繊維:日東紡績社製、CS3E479S
[その他]
・無機充填材:未焼成クレー、イメリススペシャリティーズジャパン社製
・硬化助剤:水酸化カルシウム(消石灰):河合石灰工業社製
・離型剤:ステアリン酸カルシウム、大日化学社製
・顔料:カーボンブラック「カーボンブラック #5」三菱ケミカル社製
(合成例1)
冷却器、攪拌装置を備えた反応容器に、フェノール306部、ビフェノール588部、47%ホルムアルデヒド液335部、1-メチル-2-ピロリドン880部、p-トルエンスルホン酸一水和物25部を仕込み、攪拌しながら昇温し、100℃で5時間反応を行った。反応後、反応溶液を60℃まで冷却し、アセトン350部、水900部、30wt%水酸化ナトリウム水溶液17部をさらに添加し、静置後、水層を除去した。その後、昇温5℃/minで180℃まで昇温し、水および残留溶媒を除去した。更に減圧下、昇温速度5℃/minで200℃まで昇温し濃縮を行い、変性率が37%、以下の式(A1-1)で表されるようなビフェノール構造を備えるノボラック型変性フェノール樹脂(A1-1)を1100部得た。
質量平均分子量は3000、軟化温度は91℃であった。
Figure 2023156007000004
(合成例2)
合成例1記載のビフェノールを2-ナフトール455部に変更した以外は、合成例1と同様の操作により合成を行い、変性率が40%、以下の式(A1-2)で表されるようなナフトール構造を備えるノボラック型変性フェノール樹脂(A1-2)を950部得た。
質量平均分子量は2400、軟化温度は102℃であった。
Figure 2023156007000005
<実施例および比較例>
(1)成形材料の製造
表1に示される割合で各成分を加熱ロールを用いて70~100℃で混練し、シート状に成形し冷却したものを粉砕することにより顆粒状の混錬物を得、これを成形材料とした。
(2)成形材料の物性の測定
・線膨張係数
得られた各成形材料を175℃、3分で成形した後、220℃4時間で硬化して硬化物を得た。当該硬化物について、熱機械分析にて5℃/分の昇温速度で80℃から120℃の範囲における線膨張係数(ppm/℃)を求めた。
・比重(軽量化)
水中置換法より各成形材料の比重を求めた。
・耐熱寸法安定性-1
得られた各成形材料を175℃、10MPa、3分でコンプレッション成形し、縦50mm、横80mm、厚み5mmの試験片を作製した。その後、試験片をオーブンに入れ、120℃で250時間加熱した。加熱前後おいて、試験片の4隅の厚みを測定し、加熱前の4隅の厚みの平均(mm)に対する加熱前の4隅の厚みの平均(mm)を寸法変化率-1(%)とした。
・耐熱寸法安定性-2
加熱温度120℃を200℃に変えた以外は、耐熱寸法安定性-1と同様に試験を行い、寸法変化率-2(%)を求めた。
Figure 2023156007000006

Claims (14)

  1. フェノール樹脂(A)、および強化繊維(B)を含むフェノール樹脂成形材料であって、
    前記フェノール樹脂(A)は、剛直成分により変性されたノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を含む、フェノール樹脂成形材料。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の前記剛直成分は、芳香族性を有する環構造を備える化合物、またはヘテロ環式構造を備える化合物である、フェノール樹脂成形材料。
  3. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    強化繊維(B)の含有量が、前記フェノール樹脂成形材料全量に対して、10~70質量%である、フェノール樹脂成形材料。
  4. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の平均質量分子量が500~30,000である、フェノール樹脂成形材料。
  5. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の軟化温度が50~180℃である、フェノール樹脂成形材料。
  6. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記フェノール樹脂成形材料の比重が1.4~2.1である、フェノール樹脂成形材料。
  7. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    以下の手順で測定される線膨張係数が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、フェノール樹脂成形材料。
    (手順)当該フェノール樹脂成形材料を175℃、3分で成形した後、220℃4時間で硬化して得られる硬化物について、熱機械分析にて5℃/分の昇温速度で測定される、80℃から120℃の範囲における線膨張係数。
  8. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記フェノール樹脂(A)は、前記ノボラック型変性フェノール樹脂(A1)を除くノボラック型フェノール樹脂(A2)、およびレゾール型フェノール樹脂(A3)の中から選ばれる1種または2種をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
  9. 請求項8に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    レゾール型フェノール樹脂(A3)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)の比(A1:A3)が、15:85~100:0である、フェノール樹脂成形材料。
  10. 請求項8に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記ノボラック型フェノール樹脂(A2)の含有量(質量%)とノボラック型変性フェノール樹脂(A1)の含有量(質量%)の比(A1:A2)が、20:80~100:0である、フェノール樹脂成形材料。
  11. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    強化繊維(B)が、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上からなる、フェノール樹脂成形材料。
  12. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    硬化助剤をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
  13. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    無機充填材をさらに含む、フェノール樹脂成形材料。
  14. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料の硬化物を備える成形品。
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