JP2023155899A - メンテナンス回路を含む印刷ヘッド及びコーティング装置 - Google Patents

Abstract

【課題】コーティングされる物体にコーティング材料を適用するための印刷ヘッド（１）の提供。【解決手段】本発明は、コーティングされる物体にコーティング材料を適用するための印刷ヘッド（１）に関し、前記印刷ヘッドは、本体（１０）を含み、そこには、吐出孔（１１２）と、コーティング製品を吐出するための吐出ゾーン（２）に吐出孔（１１２）を介して開口している出口チャネル（１１１）とを各々含む複数のノズル（１１）、及びノズル（１１）に接続されたコーティング製品供給回路（１２）が配置される。印刷ヘッドは、メンテナンス流体を運ぶためのメンテナンス回路（１３）をさらに含み、メンテナンス回路（１３）は、本体（１０）の内部で、ノズル（１１）の吐出ゾーン（２）まで延在する。メンテナンス回路は、複数の内部チャネル（１３１）を含み、その各々は、第一の内部チャネルに関連付けられた単一のノズルの吐出ゾーンに開口している。第一のチャネル（１３１）の数は、ノズル（１１）の数と等しい。【選択図】図１Ａ

Description

技術分野
本発明の技術分野は、印刷によって、コーティング製品をコーティングされる物体に適用することである。

本発明は、より詳しくは、コーティング製品をコーティングされる物体に適用するための印刷ヘッド、及び印刷ヘッドを含むコーティング装置に関する。

発明の背景技術
物体に付けられる装飾及びコーティングのカスタマイズは、ますます頻繁になっている。これは、例えば自動車産業における、乗り物ボディのコーティングの場合である。単色、二色、又は多色の塗料のコーティングがあり得る。さらに、具体的な幾何学的形状を有するパターンの製造は、他の市場にとって興味深く、特に、その目的又はその製造に応じて視覚的に２つの製品を区別するために興味深い。そのような文脈において、コーティング産業は近年、噴霧器で塗料をスプレーするのではなく、印刷ヘッドを用いて塗料を「印刷する」という解決策を探索している。

印刷によってコーティングを製造するために用いられる塗料は５０～２００ミリパスカル秒（ＭＰＡｓ）程度の粘度を有し、１マイクロメートル程度の寸法の顔料粒子を含有する。そのような塗料を適用するために、通常、複数のノズルを備える印刷ヘッドが用いられる。印刷ヘッドは、例えば、多軸ロボットのアームに取り付けられる。各ノズルは、小さい直径、典型的には１００μｍ～２００μｍ程度の吐出孔を介して外側に開口している出口チャネルを含み、それは、噴霧器の出口孔の寸法（通常８００μｍ超）よりはるかに小さい。

ノズル吐出孔の直径が小さいと、塗料残留物でノズルが詰まるリスクがある。したがって、ノズル洗浄動作を印刷のフェーズ間で実施して、ノズルの詰まりを防止し、かつ良好な印刷品質を維持するようにする。

さらに、経済的理由及び実用的理由から、通常、同じ印刷ヘッドが、様々な色の塗料を適用するために用いられる。したがって、各ノズルを、塗料の変更中にきれいにする必要がある。

特許出願ＥＰ３７２５４２１Ａ１は、一連のノズルを備える印刷ヘッドと、ノズル洗浄ステーションとを含む、コーティング製品を適用するための装置を記載している。洗浄ステーションは、複数のノズルを同時に洗浄するように設計された複数のインジェクタを含み、複数のノズルは、洗浄流体をノズルの出口チャネルに注入し、その吐出孔に通すことによって洗浄される。

ノズルを洗浄することが必要な場合、例えば、塗料の色の変更を見越して、印刷ヘッドは、多軸ロボットによって移動されて、洗浄ステーションの上方に配置される。

印刷時間、ひいては生産率を最大限にするために、洗浄ステーションに多軸ロボットのアーム上の印刷ヘッドを取り付けることが有利である。しかし、文献ＥＰ３７２５４２１Ａ１の洗浄ステーションは大きすぎるため、印刷ヘッドと一緒に取り付けることができず、短い印刷距離、すなわち、ノズルとコーティングされる物体との間の距離に適合することができない。

また、ＵＳ５８７７７８８Ａから、共通のチャネルによってすべてのノズル吐出孔に運ばれる流体で、印刷ヘッドのノズルを洗浄する方法が知られている。チャネルの出口の近くに位置している吐出孔は、前記出口から遠くに位置しているチャネルより前に、より清浄な流体で洗浄される。したがって、ノズル吐出ゾーンの洗浄は、均質ではない。

発明の概要
したがって、印刷ヘッドが印刷位置、すなわち、コーティングされる物体の近くにある際に、印刷ヘッドの種々のノズルを均質に洗浄できることが必要である。

本発明の第一の側面によれば、そのような必要は、コーティングされる物体にコーティング製品を適用するための印刷ヘッドを提供することによって満たされる傾向があり、この印刷ヘッドは、
－ 吐出孔と、吐出孔を通じてコーティング製品の吐出ゾーンに開口している出口チャネルとを各々含む複数のノズル；
－ ノズルに接続された、コーティング製品のための供給回路
が取り付けられた本体を含み、
印刷ヘッドは、メンテナンス流体を運ぶためのメンテナンス回路をさらに含み、メンテナンス回路は本体の内部でノズル吐出ゾーンまで延在し、少なくとも１つのノズルの吐出ゾーンに開口している第一の内部チャネルを含む。本発明によれば、メンテナンス回路は、複数の第一の内部チャネルを含み、各第一の内部チャネルは、その第一の内部チャネルに関連付けられたただ１つのノズルの吐出ゾーンに開口しており、第一の内部チャネルの数は、ノズルの数と等しい。

メンテナンス回路は、メンテナンス流体を各ノズルの吐出ゾーンに運ぶか、これとは反対に、メンテナンス流体を吐出ゾーンから放出し、このようにして、ノズルの吐出孔を個別的かつ均質的に洗浄する。メンテナンス回路は、このようにして洗浄液を提供し、これは、印刷ヘッドに統合され、先行技術の解決策のようにかさ高くなく、より効率的である。したがって、印刷ヘッドが印刷位置にある際に、洗浄を実施することができる。

印刷ヘッドの１つの実施態様において、メンテナンス回路は、複数の第二の内部チャネルをさらに含み、各第二の内部チャネルは第一の内部チャネルに関連付けられ、その第一の内部チャネルに関連付けられたただ１つのノズルの吐出ゾーンに開口している。そのような実施態様は、実用性（多くの可能なメンテナンス動作）と洗浄性能とを兼ね備えている。

前記実施態様の発展によれば、各第二の内部チャネルは、この第二のチャネルが開口している吐出ゾーンにおけるノズルの吐出孔に対して、関連する第一の内部チャネルの反対側に位置している。第一及び第二の内部チャネルのそのような配置は、吐出孔の洗浄を改善し、メンテナンス流体の流れを容易にする。

前の発展と適合する別の発展によれば、各第一の内部チャネル及び関連する第二の内部チャネルは、同じ方向に沿って配向される。そのような配置は、メンテナンス流体の流れをさらに容易にする。

別の実施態様において、メンテナンス回路は、第一のメンテナンス流体貯蔵チャンバを含み、第一の貯蔵チャンバは、第一の開口部を通じてノズル吐出ゾーンと連通している。

第三の実施態様の発展によれば、印刷ヘッドは、供給回路に接続された複数のノズルを含み、各ノズルは、吐出孔と、吐出ゾーンに開口している出口チャネルとを含み、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバは、複数の第一の開口部を通じて複数のノズルの（好ましくはすべてのノズルの）吐出ゾーンと連通している。

前の発展と適合する別の発展によれば、メンテナンス回路は、メンテナンス流体を貯蔵するための第二のチャンバをさらに含み、第二の貯蔵チャンバは、１つ又は複数の第二の開口部を通じて、１つのノズル又は複数のノズルの（好ましくはすべてのノズルの）吐出ゾーンと連通している。

前の段落でちょうど言及した特徴に加えて、本発明の第一の側面に係る印刷ヘッドは、以下のうちの１つ又は複数の相補的な特徴を有することができ、これらは、個々に又はすべての技術的に可能な組み合わせにおいて考慮される：
－ 第一の内部チャネルは、ノズル吐出孔に向かって配向される；
－ 印刷ヘッドは、吐出面を含み、そこにはノズル吐出孔が取り付けられる；
－ 第一の内部チャネルは、メンテナンス流体が吐出面に接触して流れるように配置される；
－ 第一の内部チャネルは、吐出面と平行に配向される；
－ 第一の内部チャネルは、ノズル吐出孔に向かって、吐出面に対して傾いている；
－ 第一の内部チャネルは、印刷ヘッドの吐出面に配置された平板に取り付けられる；
－ 第一の内部チャネルは、吐出ゾーンに開口している末端部を有し、この末端部は、ノズルの吐出孔から１ｍｍ以下の距離に位置している；
－ メンテナンス回路は、メンテナンス流体を貯蔵するための第一のチャンバを含み、第一の貯蔵チャンバは、第一の内部チャネルのうちの１つを通じて、各ノズルの吐出ゾーンと連通しており、その長さは、０．５ｍｍ～１０ｍｍである；
－ メンテナンス回路は、第一のメンテナンス流体貯蔵チャンバをさらに含み、第一の内部チャネルは、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバをノズル吐出ゾーンに接続する；
－ 第一の内部チャネル又は開口部は、第一の貯蔵チャンバとノズル吐出ゾーンとを分離する本体の内部壁を通って延在する；
－ 第一の内部チャネルは、ノズルの吐出孔が設けられている本体の吐出面に配置された外部メンテナンス平板において設けられる；
－ 第一の内部チャネルは、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバとノズル吐出ゾーンとを分離する内部壁を通って延在する；
－ 第一の内部チャネルは、０．５ｍｍ以下、好ましくは０．２５ｍｍ以下の特徴寸法を有する断面を有する
－ 第二の内部チャネルは、ノズル吐出孔に向かって配向される；
－ 第二の内部チャネルは、メンテナンス流体が吐出面に接触して流れるように配置される；
－ 第二の内部チャネルは、吐出面と平行に配向される；
－ 第二の内部チャネルは、ノズル吐出孔に向かって、吐出面に対して傾いている；
－ 第二の内部チャネルは、印刷ヘッドの吐出面に配置された平板に取り付けられる；
－ 第二の内部チャネルは、吐出ゾーンに開口している１つの末端部を有し、この末端部は、ノズルの吐出孔から１ｍｍ以下の距離に位置している；
－ メンテナンス回路は、メンテナンス流体を貯蔵するための第二の貯蔵チャンバをさらに含み、第二の内部チャネルは、第二の貯蔵チャンバをノズルの吐出ゾーンに接続する；及び
－ 第二の内部チャネルは、メンテナンス流体のための第二の貯蔵チャンバとノズル吐出ゾーンとを分離する内部壁を通って延在する；
－ 第二の内部チャネルは、メンテナンス流体のための第二の貯蔵チャンバ内に部分的にさらに延在する；
－ コーティング製品供給回路は、コーティング製品のための貯蔵チャンバと、コーティング製品のための貯蔵チャンバをノズルに接続する、複数の分配チャネルとを含む。

本発明の第二の側面は、以下を含むコーティング装置に関する：
－ 本発明の第一の側面に係る印刷ヘッド；
－ 印刷ヘッドの少なくとも１つの入口に接続された、メンテナンス流体のための注入回路；
－ 印刷ヘッドの少なくとも１つの出口に接続された、メンテナンス流体のための吸引回路。

有利には、吸引回路は、次のものを含む：
－ 減圧発生器；
－ 減圧発生器と印刷ヘッドの第一の出口とに接続された第一の吸引バルブ；及び
－ 減圧発生器と印刷ヘッドの第二の出口とに接続された第二の吸引バルブ。

１つの実施態様において、印刷ヘッドの第一の出口は、メンテナンス回路の第一の入口－出口と統合され、印刷ヘッドの第二の出口は、供給回路の供給入口と統合される。

異なる実施態様において、印刷ヘッドの第一の出口は、メンテナンス回路の第一の入口－出口と統合され、印刷ヘッドの第二の出口は、メンテナンス回路の第二の入口－出口と統合される。

有利には、注入回路は、次のものを含む：
－ 洗浄流体を含有する第一の加圧式タンク；
－ 湿潤液体を含有する第二の加圧式タンク；
－ 第一及び第二の加圧式タンクと印刷ヘッドの第一の入口とに接続された第一の注入バルブ；
－ 第一及び第二の加圧式タンクと印刷ヘッドの第二の入口とに接続された第二の注入バルブ。

１つの実施態様において、印刷ヘッドの第一の入口は、メンテナンス回路の第一の入口－出口と統合され、印刷ヘッドの第二の入口は、供給回路の供給入口と統合される。

異なる実施態様において、印刷ヘッドの第一の入口は、メンテナンス回路の第一の入口－出口と統合され、印刷ヘッドの第二の入口は、メンテナンス回路の第二の入口－出口と統合される。

図面の簡単な説明
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として以下に与えられるその説明から明らかになる。
図１Ａ及び１Ｂは、本発明の第一の側面に係る印刷ヘッドの第一の実施態様を示す。 図１Ａ及び１Ｂは、本発明の第一の側面に係る印刷ヘッドの第一の実施態様を示す。 図２は、図１Ａ～１Ｂに示される印刷ヘッドのノズル、及びノズルに関連付けられたメンテナンスチャネルの拡大図を示す。 図３は、本発明の第一の側面に係る印刷ヘッドの第二の実施態様を示す。 図４は、図３に示される印刷ヘッドのノズル、及びノズルに関連付けられた２つのメンテナンスチャネルの拡大図を示す。 図５は、本発明の第一の側面に係る印刷ヘッドの第三の実施態様を示す。 図６は、本発明の第二の側面に係るコーティング装置の第一の実施態様を模式的に表す。 図７は、本発明の第二の側面に係るコーティング装置の第二の実施態様を模式的に示す。

より明確にするために、同一又は類似の要素は、すべての図において同一の参照符号によって識別される。

詳細な説明
図１Ａ及び１Ｂは、第一の実施態様に係る印刷ヘッド１の部分三次元図である。図１Ａに示される図は、横断面及び第一の長手方向面に沿った印刷ヘッド１の断面に由来する。図１Ｂに示される部分図は、第一の長手方向面に平行な第二の長手方向面に沿った印刷ヘッド１の断面に由来する。前記の図は、このようにして印刷ヘッド１の内部要素を示す。

印刷ヘッド１は、本体１０と、本体１０の内部に位置している複数のノズル１１とを含む。好ましくは、ノズル１１は、１列又は複数列で配置される。簡単にするために、ノズル１１の１つの列だけが、図１Ａに示される（第一の長手方向断面は、ノズルの前記列を通る）。各列におけるノズル１１の数は、２～５００であってよい。

印刷ヘッド１は、コーティングされる物体、例えば自動車のボディに、コーティング製品を適用するためのものであることを意図している。これは、好ましくは、ドロップ・オン・デマンド（ＤＯＤ）技術に従って動作する。したがって、各ノズル１１は、コーティング製品を一滴ずつ堆積させるように構成される。この目的のために、各ノズル１１は、開き又は閉じるように、それぞれ、コーティング製品がノズル１１を通って流れることを許可又は防止するように制御されるバルブを備えることができる。ノズル１１のバルブは、例えば、制御することができる膜を各々が含む空気圧バルブである。そのようなバルブは、（例えば、圧縮空気を用いて）空気的に制御される。ノズル１１のバルブは、ソレノイドバルブであってもよい。

代わりに、印刷ヘッドは、連続的なジェット印刷ヘッドであり、すなわち、これは、永続的な開回路を有する。そのような場合において、ノズル１１は、バルブを有さない。

例として以下に取り上げられるコーティング製品は塗料であるが、これは、プライマー、ワニス、又は接着剤若しくはパテなどのより粘性の製品であってもよい。

図２は、印刷ヘッド１の部分Ａの拡大断面図であり、部分Ａは、ノズル１１の周辺に位置している（図１Ａ参照）。これは、図１Ａ及び１Ｂと併せて説明される。

各ノズル１１は、出口チャネル１１１及び吐出孔１１２を含む。出口チャネル１１１は、塗料吐出ゾーン２において、吐出孔１１２を介して本体１０の外側に開口している。このようにして、各ノズル１１は、吐出ゾーン２と関連付けられ、吐出ゾーン２は、ノズル１１の出口チャネル１１１の延長に延在する。

ノズル１１の出口チャネル１１１及び吐出孔１１２は、印刷ヘッド１の本体１０に取り付けられる。より詳しくは、吐出孔１１２は、本体１０の吐出面１００に取り付けられる。吐出孔１１２の直径は、１００μｍ～５００μｍであってよく、例えば、１５０μｍであってよい。吐出面１００は、吐出ゾーン２を部分的に画定する。吐出孔１１２の軸として規定される各ノズル１１の吐出軸ｚは、好ましくは、吐出面１００に対して垂直に配向される。

印刷ヘッド１は、２つの内部流体回路、すなわち、本体１０の内部に取り付けられた２つの内部流体回路をさらに含む：
－ ノズル１１に接続され、塗料を運ぶことを意図している供給回路１２；
－ メンテナンス流体を運ぶことを意図しているメンテナンス回路１３。

供給回路１２の機能は、ノズル１１に塗料を供給することである。これは、いわゆる供給入口１２１を含み、本体１０の内部で供給入口１２１からノズル１１まで延在する。供給入口１２１は、塗料が印刷ヘッド１に入る入口である。供給回路１２は、いわゆるパージ又は再循環出口１２２（図１Ｂ参照）をさらに含むことができる。パージ出口１２２は出口であり、この出口を通して、塗料は印刷ヘッド１から放出される（そして回収及び処理マニホールド、又は供給タンクに運ばれる）ことができる。パージ出口１２２は、例えば、塗料の色を変更する際に、供給回路１２のパージのために用いられる。供給回路１２は、供給入口１２１からパージ出口１２２に塗料を循環させること（ただしノズル１１は通さない）によってプライミングされてよく、すなわち、印刷フェーズの前に塗料で充填されてもよい。供給入口１２１及びパージ出口１２２は、本体１０の外壁に取り付けられる。

図１Ａ～１Ｂに示されるように、供給回路１２は、供給入口１２１に接続された（塗料のための）貯蔵チャンバ１２３と、貯蔵チャンバ１２３をノズル１１に接続する（塗料のための）複数の分配チャネル１２４とをさらに含むことができる。有利には、貯蔵チャンバ１２３は、パージ出口１２２にさらに接続される。同じ流体回路の２つの要素（又は２つの異なる流体回路に属する２つの要素）は、それらが流体連通である場合、接続されているとみなされる。

各分配チャネル１２４は、貯蔵チャンバ１２３を１つ又は複数のノズル１１に、例えば列内の２つの連続したノズルに接続することができる。好ましくは、分配チャネル１２４の数は、ノズル１１の数と等しく、各分配チャネル１２４は、１つのノズル１１だけに役立つ。

貯蔵チャンバ１２３及び分配チャネル１２４は、本体１０に取り付けられる。供給入口１２１及びパージ出口１２２は、貯蔵チャンバ１２３に直接開口していてもよく、それぞれ、いわゆる入口管路及び出口管路によって、貯蔵チャンバ１２３に接続されてもよい。

メンテナンス回路１３は、本体１０の内部で、ノズル１１のうちの少なくともいくつかのノズルの吐出ゾーン２、好ましくはすべてのノズル１１の吐出ゾーン２まで延在する。これは、ノズル１１のうちの少なくともいくつかのノズルの吐出ゾーン２にメンテナンス流体を運ぶように、かつ／またはノズル１１のうちの少なくともいくつかのノズル（好ましくはノズル１１のすべて）から、吐出ゾーン２を介してメンテナンス流体を放出するように、構成される。

そのような第一の実施態様において、メンテナンス回路１３は、メンテナンスチャネルと呼ばれる複数の第一の内部チャネル１３１を含む。１つ又は複数のノズル１１は、各第一の内部チャネル１３１と関連付けられる。各第一の内部チャネル１３１は、第一の内部チャネル１３１と関連付けられたノズル（１つ又は複数）の吐出ゾーン２に開口している。

メンテナンス回路１３は、有利には、少なくとも１つの第一の内部チャネル１３１を介して、メンテナンス流体が各吐出ゾーン２にもたらされることができるか、各吐出ゾーン２から放出されることができるように、構成される。印刷ヘッド１のノズル１１はすべて、このように整備されてよい。

有利には、第一の内部チャネル１３１の数は、ノズル１１の数と等しく、各第一の内部チャネル１３１は、１つのノズル１１の吐出ゾーン２だけに開口している（言いかえれば、各第一の内部チャネル１３１は、１つのノズル１１とだけ関連付けられる）。このようにして、メンテナンスは、同じように、すべてのノズルについて最高の性能レベルで実施される。

第一の内部チャネル１３１に加えて、メンテナンス回路１３は、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバ１３２と、第一の入口－出口１３３とを含む。ここで、入口－出口は、印刷ヘッド１におけるメンテナンス流体のための入口孔及び／又は出口孔を指す。第一の入口－出口１３３は、第一の貯蔵チャンバ１３２に直接開口していてもよく、管路によって第一の貯蔵チャンバ１３２に接続されてもよい。これは、本体１０の外部壁に取り付けられる。（メンテナンス流体のための第一の分配チャンバとも呼ばれる）第一の貯蔵チャンバ１３２は、第一の内部チャネル１３１によって、吐出ゾーン２に接続される。

したがって、メンテナンス回路１３は、ここでは、第一の入口－出口１３３からノズル１１の吐出ゾーン２まで延在する。

各第一の内部チャネル１３１は、第一の貯蔵チャンバ１３２とノズル１１からの吐出ゾーン２とを分離する内部壁を通って延在する。図１Ａに示されるように、各第一の内部チャネル１３１は、第一の貯蔵チャンバ１３２内に部分的にさらに延在することができる。

メンテナンス回路１３は、印刷ヘッド１にメンテナンス動作を実施することを可能にする。第一の実施態様において、可能なメンテナンス動作は以下のとおりである：
－ 洗浄流体を用いる、ノズル（１１）の少なくとも一部、及び供給回路（１２）の少なくとも部分の洗浄（又はリンス）動作；及び
－ 不揮発性の液体を用いる、ノズル（１１）の少なくとも一部の湿潤動作。
したがって、メンテナンス流体の性質は、所望のメンテナンス動作に応じて様々である。

そのような動作は、印刷ヘッド１のすべてのノズル１１の好ましい同時メンテナンスの場合において、より詳細に説明される。

ノズル１１と、供給回路１２の少なくとも一部とを洗浄する動作は、ノズル１１内（典型的には出口チャネル１１１及び吐出孔１１２において）及び供給回路１２内にある塗料残留物を除去することにある。

洗浄流体は、メンテナンス回路１３の第一の内部チャネル１３１によってノズル１１の吐出ゾーン２にもたらされ、次いで、ノズル１１及び供給回路１２を通過することによって放出されることができる（図２参照）。したがって、洗浄流体は、流れの通常方向とも呼ばれる塗料の流れ方向とは反対の方向において、ノズル（１１）を通って流れる。反対に、洗浄流体は、供給回路１２によりノズル１１を通過することによって吐出ゾーン２へもたらされ、次いで、メンテナンス回路１３の第一の内部チャネル１３１によって吐出ゾーン２から排出されることができる。したがって、洗浄流体は、流れの通常方向において、ノズル１１を通って流れる。洗浄流体は、（揮発性か否かにかかわらず）液体、ガス（例えば空気）、又は液体とガスとの混合物であってよい。洗浄液は、有利には、（乾燥した塗料残留物を「溶解する」ための）溶媒、好ましくは、塗料の組成物において用いられる溶媒と同じ溶媒を含む。

そのような動作は、閉塞したノズル１１の閉塞を解消し、最適な動作を再確立するために（特に、反復可能な液滴軌道を保証するために）実施することができる。これは、オブジェクトを印刷する２つのフェーズの間、塗料の色の変更中、又は印刷ヘッドの長時間の停止の後にも実施することができる。供給回路１２は、有利には、そのような動作の前に空にされる。

ノズル１１の湿潤動作とは、ノズル１１の吐出孔１１２の高さで不揮発性の液体の膜を形成することであり、印刷の長時間の停止中に塗料が乾燥し、ノズル１１を閉塞させることを防止する。湿潤液体又は停止液体とも呼ばれる不揮発性の液体は、印刷フェーズの終わりに第一の内部チャネル１３１を介してノズル１１の吐出孔１１２にもたらされることができ、次いで、次の印刷フェーズが始まる前に、供給回路１２又は第一の内部チャネル１３１を通して放出されることができる。代わりに、湿潤液体は、供給回路１２を通してノズル１１の吐出孔１１２にもたらされることができ、次いで、供給回路１２又は第一の内部チャネル１３１を通して放出されることができる。

このように、メンテナンス回路１３は、塗料及びメンテナンスの流体を受け入れることができる供給回路１２とは異なり、１種又は複数種のメンテナンス流体（洗浄流体及び／又は湿潤液体）だけを運ぶ。

メンテナンス流体は、ノズル１１の吐出ゾーン２から放出されるように吸引される。したがって、第一の内部チャネル１３１（又はノズル１１及び供給回路１２）は、負圧にさらされる。負圧は、好ましくは、０．１バール～０．８バールであり、例えば、０．５バールに等しい。メンテナンス流体は、０．１バール～１バールであってよい圧力で、印刷ヘッド１に注入される。

圧力及び負圧の値は、所望の動作のタイプ及びメンテナンス流体の特性に依存する。例えば、洗浄動作については、流体を吐出ゾーンにおいて急速に循環させること、したがって高い圧力／負圧の値を有することが有利である。ノズル湿潤動作については、ノズルを閉じる湿潤膜を形成するように、湿潤液体は、吐出ゾーンへゆっくりともたらされる。

第一の貯蔵チャンバ１３２は、好ましくは、印刷ヘッド１に沿って同一圧力／負圧を与え、したがって、すべてのノズル１１に同一の動作を保証するように構成される。

ノズル１１の吐出ゾーン２に開口している第一の内部チャネル１３１によって、メンテナンス動作は、印刷ヘッド１１が印刷位置、すなわち、コーティングされる物体のすぐ近くにある際に、外部の流れなしで実施することができる。これにより、回収トレーを省くことが可能となる。

図２を参照して、第一の内部チャネル１３１を、メンテナンス流体が吐出面１００に接触して流れるように配置することができる。このようにして、後者は、第一の内部チャネル１３１の末端部と、関連するノズル１１（１つ又は複数）の吐出孔１１２との間の塗料残留物の洗浄及び除去を受けることができる。図示されるように、第一の内部チャネル１３１は、好ましくは、吐出面１００と共に平坦な表面を形成する壁を含む。これは、例えば、吐出面１００に平行に配向される。

図示されない別の構成において、第一の内部チャネル１３１は、第一の内部チャネル１３１に関連付けられたノズル（１つ又は複数）の吐出孔１１２に向かって、吐出面１００に対して傾いている。

第一の内部チャネル１３１は、吐出孔１１２の軸ｚから距離ｄにて吐出ゾーン２へ開口しており、この距離は、有利には１ｍｍ以下であり、例えば、０．２５ｍｍに等しい。第一の内部チャネル１３１の末端部と吐出孔１１２との間の小さい距離ｄは、（流体のジェットの分散を制限することによって）吐出孔の洗浄又は湿潤を改善し、メンテナンス流体の吸引を容易にする。

第一の内部チャネル１３１は、好ましくは、０．５ｍｍ以下、好ましくは０．２５ｍｍ以下の特徴寸法を有する断面を有する。そのような断面は、例えば、円形（０．５ｍｍ以下の直径）又は矩形（０．５ｍｍ以下の高さ及び幅）である。

第一の内部チャネル１３１の長さは、０．５ｍｍ～１０ｍｍであってよい。そのような長さは、メンテナンス流体を吐出ゾーン２に適切に「導く」ことを可能にする。

好ましくは、メンテナンス回路１３の第一の内部チャネル１３１は、すべて同じ構成及び同じ寸法を有する。言いかえれば、これらは同一である。

第一の内部チャネル１３１は、有利には、外部メンテナンス平板と呼ばれかつ吐出面１００に配置される平板（又は層）１０１において配置される。外部メンテナンス平板１０１は、非常に小さい厚さ（例えば、０．１ｍｍ～１ｍｍ）を有しており、したがって、印刷ヘッド１のかさを著しく増加させることはない。

図３は、第二の実施態様に係る印刷ヘッド１の部分三次元図である。これは、横断面に沿った印刷ヘッド１の断面に由来する。

第二の実施態様に係る印刷ヘッド１（図３）は、第一の実施態様に係る印刷ヘッド１（図１Ａ～１Ｂ）とは、本質的に、メンテナンス回路１３の構成が異なる。

第二の実施態様において、メンテナンス回路１３は、第一の内部チャネル１３１に加えて、第二の内部チャネル１３５を含む。各第二の内部チャネル１３５は第一の内部チャネル１３１に関連付けられ、この第一の内部チャネル１３１に関連付けられたノズル１１（１つ又は複数）の吐出ゾーン２に開口している。

第一の内部チャネル１３１のように、第二の内部チャネル１３５は、吐出ゾーン２にメンテナンス流体を運ぶように、または吐出ゾーン２からメンテナンス流体を放出するように機能する。

有利には、第二の内部チャネル１３５の数は、ノズル１１の数と等しく、各第二の内部チャネル１３５は、１つのノズル１１の吐出ゾーン２だけに開口している（言いかえれば、各第二の内部チャネル１３５は、１つのノズル１１とだけ関連付けられる）。

メンテナンス回路１３は、メンテナンス流体のための第二の貯蔵（又は分配）チャンバ１３６と、第二の貯蔵チャンバ１３６に接続された第二の入口－出口１３７とをさらに含む。第二の入口－出口１３７は、本体１０の外部壁に取り付けられることができ、第二の貯蔵チャンバ１３６に直接開口していてもよく、管路によって第二の貯蔵チャンバ１３６に接続されてもよい。第二の貯蔵チャンバ１３６は、好ましくは、印刷ヘッド１に沿って同一圧力／負圧を与え、したがってすべてのノズル１１に同一の動作を保証するように構成される。

メンテナンス回路１３は、ここでは、第一の入口－出口１３３からノズル１１の吐出ゾーン２まで、及び吐出ゾーン２から第二の入口－出口１３７まで延在する。

第二の内部チャネル１３５は、第二の貯蔵チャンバ１３６をノズル１１の吐出ゾーン２に接続する。各第二の内部チャネル１３５は、第二の貯蔵チャンバ１３６とノズル１１からの吐出ゾーン２とを分離する内壁を通って延在する。図３に示されるように、各第二の内部チャネル１３５は、第二の貯蔵チャンバ１３６内に部分的にさらに延在することができる。

図４は、印刷ヘッド１の部分Ｂの拡大断面図であり、部分Ｂは、ノズル１１の周辺に位置している（図３参照）。前記図は、第一の内部チャネル１３１、及び関連する第二の内部チャネル１３５の好ましい構成を示す。

第二の内部チャネル１３５は、ノズル１１の吐出孔１１２に対して、関連する第一の内部チャネル１３１の反対側に位置している。これは、第一の内部チャネル１３１に関して上で説明されたように（図２）、メンテナンス流体が吐出面１００と接触して流れるように配置されてよい。そのような構成において、第一の内部チャネル１３１及び第二の内部チャネル１３５は、有利には、同じ方向に沿って配向される。

代わりに、第二の内部チャネル１３５は、吐出孔１１２に向かって、吐出面１００に対して傾いていてよい。

第二の内部チャネル１３５は、吐出孔１１２の軸ｚから距離ｄ’にて吐出ゾーン２に開口しており、この距離は、有利には、１ｍｍ以下であり、例えば、０．２５ｍｍに等しい。第二の内部チャネル１３５の末端部と吐出孔１１２の軸ｚとの間の距離ｄ’は、好ましくは、第一の内部チャネル１３１の末端部と吐出孔１１２の軸ｚとの間の距離ｄに等しい。

第二の内部チャネル１３５は、好ましくは、０．５ｍｍ以下、好ましくは０．２５ｍｍ以下の特徴寸法を有する断面を有する。そのような断面は、例えば、円形（０．５ｍｍ以下の直径）、又は矩形（０．５ｍｍ以下の高さ及び幅）である。第二の内部チャネル１３５の長さは、０．５ｍｍ～１０ｍｍであってよい。

第一の内部チャネル１３１及び第二の内部チャネル１３５は、ノズル１１の吐出孔１１２に対して対称的に配置することができる。

好ましくは、メンテナンス回路１３の第二の内部チャネル１３５は、すべて同じ構成及び同じ寸法を有する。したがって、これらは同一である。

第二の内部チャネル１３５は、有利には、第一の内部チャネル１３１と同じ外部メンテナンス平板１０１に取り付けられる。

以下のメンテナンス動作が、第二の実施態様に係る印刷ヘッド１で可能である：
－ 洗浄流体を用いる、ノズル１１の少なくとも一部と、供給回路１２の少なくとも一部とを洗浄する動作；及び
－ 不揮発性の液体を用いる、ノズル１１の少なくとも一部の湿潤動作；及び
－ 洗浄流体を用いる、吐出面１００と、ノズル１１の少なくとも一部の吐出孔とを洗浄する動作。

ノズル１１の少なくとも一部と、供給回路１２の少なくとも一部とを洗浄する動作、及び湿潤動作は、上に記載されている。第二の内部チャネル１３５は、第一の内部チャネル１３１と同じ機能（すなわち、メンテナンス流体の吸引又は注入）を果たすことができる。これは、例えば、供給回路１２及びノズル１１を通して循環させた後に、メンテナンス流体を吐出ゾーン２から放出するために用いることができる。代わりに、第二の内部チャネル１３５は、第一の内部チャネル１３１の機能とは異なる機能を果たすことができる。例として、これは、湿潤液体を吸い上げる機能を果たすことができ、一方で第一の内部チャネル１３１は、これを吐出ゾーン２にもたらす機能を果たす。

吐出面１００とノズル１１の吐出孔とを洗浄する動作は、第一の内部チャネル１３１を介して吐出ゾーン２に洗浄流体を運ぶこと、及び第二の内部チャネル１３５を介して洗浄流体を放出すること、又はその逆を含む。したがって、そのような動作中に、洗浄流体は、メンテナンス回路１３（第一及び第二の入口－出口１３３、１３７の間）のみを通って、吐出ゾーン２で、吐出面１００と接触して循環する。

第一の内部チャネル１３１及び第二の内部チャネル１３５が、吐出ゾーン２の各側に位置している（好ましくは互いに反対側に位置している）ため、吐出面１００のより徹底的な洗浄を得ることができる。

第二の実施態様に係る印刷ヘッド１は、このようにして、追加のメンテナンス動作を実施することを可能にする。圧力及び負圧の値は、上に示した値と同様である。メンテナンスが供給から完全に切り離されている（回路からバルブが取り除かれている）ため、その実装は比較的容易である。

図示されない印刷ヘッド１の別の実施態様において、メンテナンス回路１３は、複数のノズル１１、好ましくはすべてのノズル１１の吐出ゾーン２に開口している単一の第一の内部チャネル１２１を含む。

しかし、複数の第一の内部チャネル１３１を含むメンテナンス回路１３は、複数のノズルに共通のただ１つの第一の内部チャネルを含むメンテナンス回路１より、（例えば、ノズルの洗浄の観点で）良好な性能を有する。実際、メンテナンス流体を、このようにして、より正確な方法で、ノズル吐出ゾーン２に運ぶことができ、ノズル吐出ゾーン２から除去することができる。第一の内部チャネル１３１の数を増加させることにより、そのサイズはさらに低減し、ひいては内部で循環するメンテナンス流体の速度が増加する。

同様に、メンテナンス回路１３は、複数のノズル１１、好ましくはすべてのノズル１１の吐出ゾーン２に開口しているただ１つの第二の内部チャネル１３５を（１つ又は複数の第一の内部チャネル１３１に加えて）含むことができる。

図５は第三の実施態様を示し、印刷ヘッドのメンテナンス回路１３は、第一の内部チャネル１３１を有さず、第二のチャネル１３５を有さない。第一の貯蔵チャンバ１３２は、第一の開口部１３８のうちの１つ又は複数を介して、ノズル１１の少なくとも一部の吐出ゾーン２と連通する。

好ましくは、第一の貯蔵チャンバ１３２は、単一の第一の開口部１３８を介して、各々のノズル１１の吐出ゾーン２と連通する。第一の開口部１３８の数は、したがって、ノズル１１の数に等しい。

第一の開口部１３８は、第一の貯蔵チャンバ１３２と吐出ゾーン２とを分離する本体１０の壁に取り付けられる。これは、第一の貯蔵チャンバ１３２と吐出ゾーン２との重なりに由来する（ここでは、ノズル１１の出口チャネル１１１の延長で、まっすぐな円筒の形態）。

さらに、第二の貯蔵チャンバ１３６は、第二の開口部１３９のうちの１つ又は複数を介して、ノズル１１の少なくとも一部の吐出ゾーン２と連通する。好ましくは、第二の貯蔵チャンバ１３６は、単一の第二の開口部１３９を介して、各々のノズル１１の吐出ゾーン２と連通する。第二の開口部１３９の数は、したがって、ノズル１１の数に等しい。

第二の開口部１３９は、第二の貯蔵チャンバ１３６と吐出ゾーン２とを分離する本体１０の壁に取り付けられる。これは、第二の貯蔵チャンバ１３６と吐出ゾーン２との重なりに由来する。

したがって、ノズル１１及び第一の開口部１３８は、各第二の開口部１３９と関連付けることができる。各第二の開口部１３９は、有利には、関連するノズル１１の吐出孔１１２に対して、関連する第一の開口部１３８の反対側に位置している。言いかえれば、第一の開口部１３８、第二の開口部１３９、及び吐出孔１１２の末端部は、一列に並ぶ。そのような配置は、ノズル１１の吐出孔１１１の洗浄及び湿潤を改善する。さらに、第一及び第二の開口部１３８～１３９は、有利には、メンテナンス流体が吐出面１００と接触して流れるように配置される。

第一及び第二の実施態様（図１Ａ～１Ｂ、２、及び図３～４）と比較して、第一及び第二の開口部１３８～１３９は、長さゼロの（第一及び第二の）内部チャネルであると見なすことができる。

図５に示される印刷ヘッド１は、図３に示される印刷ヘッドと同じように動作し、言及されていない他の要素は同一である。

そのような第三の実施態様の変形によれば、メンテナンス回路は、第二の貯蔵チャンバ１３６を有さない。したがって、印刷ヘッドは、図１Ａ～１Ｂに示される印刷ヘッド１と同じように動作する。

最後に、別の実施態様において、印刷ヘッドは、ただ１つのノズル１１と、（図２に関して記載されるような）ノズル１１の吐出ゾーン２に開口している第一の内部チャネル１３１、又は第一の開口部１３８と、有利には、（図４に関して記載されるような）ノズル１１の吐出ゾーン２に開口している第二の内部チャネル１３２、又は第二の開口部１３９とを含む。したがって、供給回路１２は、ノズル１１に貯蔵チャンバ１２３を接続するただ１つの分配チャネル１２４を含む。

コーティングされる物体にコーティング製品を適用（又は印刷）するための装置が、ここで、図６及び７を参照して説明される。図６は、図１Ａ～１Ｂに示される（又は第三の実施態様の変形の）印刷ヘッド１を含む、第一の実施態様に係るコーティング装置３の流体ダイアグラムを示す。図７は、図３に（又は図５に）示される印刷ヘッド１を含む、第二の実施態様に係るコーティング装置３の流体ダイアグラムを示す。

両方の実施態様において、コーティング装置３は、（印刷ヘッド１に加えて）次のものを含む：
－ 印刷ヘッド１の（少なくとも）１つの入口に接続され、印刷ヘッド１にメンテナンス流体を注入するように構成された注入回路３１；
－ 印刷ヘッド１の（少なくとも）１つの出口に接続され、印刷ヘッド１からメンテナンス流体を吸引するように構成された吸引回路３２；及び
－ 印刷ヘッド１の供給回路１２の供給入口１２１に接続された、コーティング製品（例えば塗料）のための供給回路３３。

コーティング製品のための供給回路３３は、コーティング製品のための少なくとも１つのタンク３３１と、コーティング製品のためのタンク３３１及び供給回路１２の供給入口１２１に接続された少なくとも１つのいわゆるフィリングバルブ３３２とを含むことができる。

（メンテナンス流体のための供給回路とも呼ばれる）注入回路３１は、メンテナンス流体を含有する少なくとも１つの加圧式タンク３１１と、加圧式タンク３１１及び印刷ヘッド１の入口に接続された少なくとも１つのいわゆる注入バルブ３１２とを含む。「加圧式」とは、タンク内部の圧力が大気圧より高いことを意味する。注入回路３１は、メンテナンス流体の圧力を調節するための手段をさらに含むことができる。調節のそのような手段は、加圧式タンク３１１と注入バルブ３１２との間に配置することができる。これは、例えば、可変流バルブ３１３を含む。代わりに、圧力は、加圧式タンク３１１又はさらに上流（圧縮空気源、ポンプ等）で調節することができる。したがって、注入回路３１は、有利には、加圧式タンク３１１と注入バルブ３１２との間に配置された二方バルブ３１３を含む。

有利には、注入回路３１は、次のものを含む：
－ 洗浄流体を含有する第一の加圧式タンク３１１ａ；
－ 湿潤液体を含有する第二の加圧式タンク３１１ｂ；
－ 第一及び第二の加圧式タンク３１１ａ～３１１ｂと印刷ヘッド１の第一の入口とに接続された第一の注入バルブ３１２ａ；
－ 第一及び第二の加圧式タンク３１１ａ～３１１ｂと印刷ヘッド１の（第一の入口とは異なる）第二の入口とに接続された第二の注入バルブ３１２ｂ。

したがって、メンテナンス流体圧力を調節するための手段は、第一及び第二の加圧式タンク３１１ａ～３１１ｂの各々に連結された可変流量制御バルブ３１３を含むことができる。第一及び第二の注入バルブ３１２ａ～３１２ｂは、好ましくは、二方バルブ（たとえば空気圧バルブ、ソレノイドバルブ等）である。

吸引回路３２は、減圧発生器３２１（ベンチュリ効果システム又は吸引ポンプ）と、減圧発生器３２１及び印刷ヘッド１の出口に接続された少なくとも１つのいわゆる吸引バルブ３２２とを含む。さらに、吸引回路３２は、有利には、減圧発生器３２１に接続されかつ吸引されたメンテナンス流体を収集することを意図している収集容積３２３を含む。

有利には、吸引回路３２は、次のものを含む：
－ 減圧発生器３２１と印刷ヘッド１の第一の出口とに接続された第一の吸引バルブ３２２ａ；及び
－ 減圧発生器３２１と印刷ヘッド１の（第一の出口とは異なる）第二の出口とに接続された第二の吸引バルブ３２２ｂ。

第一及び第二の吸引バルブ３２２ａ～３２２ｂは、好ましくは、二方弁（たとえば空気圧バルブ、ソレノイドバルブ等）である。従来、減圧発生器３２１は、エジェクタと、圧縮空気バッファー容積と、圧力計と、減圧発生器３２１によって生み出された負圧を調節するための手段とを含むベンチュリ効果システムであってよい。代わりに、減圧発生器３２１は、収集容積３２３の上方に配置された吸引ポンプを含むことができる。

第一の実施態様（図６）において、第一の注入バルブ３１２ａは、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３に接続され、第二の注入バルブ３１２ｂは、供給回路１２の供給入口１２１に（又は図６に示されない供給回路１２のパージ出口１２２に）接続される。

さらに、第一の吸引バルブ３２２ａは、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３に接続され、第二の吸引バルブ３２２ｂは、供給回路１２の供給入口１２１に（又は図６に示されない供給回路１２のパージ出口１２２に）接続される。

言いかえれば、印刷ヘッド１の第一の出口及び印刷ヘッド１の第二の入口は、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３と統合される。印刷ヘッド１の第二の出口及び印刷ヘッド１の第一の入口は、供給回路１２の供給入口１２１と統合される。

第二の実施態様（図７）において、第一の注入バルブ３１２ａは、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３に接続され、第二の注入バルブ３１２ｂは、メンテナンス回路１３の第二の入口－出口１３７に接続される。

さらに、第一の吸引バルブ３２２ａは、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３に接続され、第二の吸引バルブ３２２ｂは、メンテナンス回路１３の第二の入口－出口１３７に接続される。

言いかえれば、印刷ヘッド１の第一の出口及び印刷ヘッド１の第二の入口は、メンテナンス回路１３の第一の入口－出口１３３と統合される。印刷ヘッド１の第二の出口及び印刷ヘッド１の第一の入口は、メンテナンス回路１３の第二の入口－出口１３７と統合される。

２つの注入バルブ３１２ａ～３１２ｂ及び２つの吸引バルブ３２２ａ～３２２ｂは、上記の多くのメンテナンス動作の実施のための用いることができる。

第一の注入バルブ３１２ａ及び第一の吸引バルブ３２２ａは、有利には、逆位相で制御される。言いかえれば、一方が開いている際はもう一方は閉じており、その逆も同様である。第二の注入バルブ３１２ｂ及び第二の吸引バルブ３２２ｂも、有利には、逆位相で制御される。

有利には、第二の吸引バルブ３２２ｂが開いているときにだけ、第一の注入バルブ３１２ａは開いており、第一の吸引バルブ３２２ａが開いているときにだけ、第二の注入バルブ３１２ｂは開いている。このようにして、メンテナンス流体の注入は、常に吸引と同時に起こる。

特定の洗浄モードによれば、第一の吸引バルブ３２２ａ（それぞれ第二の吸引バルブ３２２ｂ）は永続的に開いており（連続吸引）、第二の注入バルブ３１２ｂ（それぞれ第一の注入バルブ３１２ａ）は洗浄流体のパルスを生成するように断続的に開かれる。

２つの注入バルブ３１２ａ～３１２ｂ及び２つの吸引バルブ３２２ａ～３２２ｂは、洗浄流体が、印刷ヘッド１の内部で両方の方向に流れることを可能にし、このようにして、洗浄動作を改善する。例えば、図６に示される実施態様において、洗浄流体は、まず、第一の入口－出口１３３を介して注入され、供給入口１２１を介して吸引され、次いで、供給入口１２１を介して注入され、第一の入口－出口１３３を介して吸引されることができる（又は逆の順序で）。

実施態様の変形によれば、図７に示されるコーティング装置３は、減圧発生器３２１及び供給入口１２１に接続された第三の吸引バルブと、第一及び第二の加圧式タンク３１１ａ～３１１ｂ及び供給入口１２１に接続された第三の注入バルブとをさらに含む。実施態様のそのような変形は、ノズル１１と供給回路１２の少なくとも一部とを（両方の方向で）洗浄することを可能にする。洗浄流体は、例えば、供給入口１２１を介して注入されることができ、第一の入口－出口１３３及び第二の入口－出口１３７を介して吸引されることができる（又はその逆）。

（ノズル１１、供給回路１２及びメンテナンス回路１３を含有する）印刷ヘッド１の本体１０は、様々な方法で製造することができる。例としては、金属箔の拡散溶接又はろう付け、金属粉末の選択的レーザー焼結、ミクロ成形、及びケイ素微小電気機械システム（ＭＥＭＳ）生産技術が挙げられる。

本体は、機械加工された要素で構成されてもよく、これらは、接着又はねじ切りによって組み立てられ、この場合、シールを様々な構成要素間に取り付けて、密閉を提供することができる。

印刷ヘッド１の本体１０を製造するための方法は、以下の工程を含むことができる：
－ ノズル１１の構成要素（チャネル、チャンバ、管路、入口孔及び／又は出口孔等）のすべて又は一部、供給回路１２のすべて又は一部、及びメンテナンス回路１３のすべて又は一部が取り付けられた複数の平板を供給すること；及び
－ 例えば、溶接、ろう付け又は接着技術によって、平板を一緒に組み立てること。

平板は、好ましくは、金属、例えば、ステンレス鋼で製造される。例えば、化学的切断、レーザー切断、又は放電加工（ＥＤＭ）によって、平板を機械加工して、ノズル１１、供給回路１２、及びメンテナンス回路１３の、種々の部分が形成される。（「層」とも呼ばれる）平板は、好ましくは、１０μｍ～１０００μｍの厚さを有する。

製造プロセスの好ましい実施態様において、金属平板は、拡散溶接によって組み立てられる。次いで、組み立て工程は、以下の動作を含む：
－ 平板を接触させて、スタックを形成すること
－ スタックの圧力を、例えば３００バール～５００バールに、抑制すること；及び
－ 圧力が抑制されたスタックをアニール（又は熱処理）して、平板間の界面で金属の原子を拡散させる（又はマイグレートさせる）こと。

アニールは、好ましくは、０．６．Ｔ_ｆ～０．８．Ｔ_ｆの温度で実施され、ここでＴ_ｆは_、金属の融解温度である。アニール時間は１時間～３時間であってよい。

好ましくは、接触する平板の表面は、典型的には０．５μｍ未満の低い表面粗さを有する。粗さの値は、二乗平均平方根値として表される。

そのような製造プロセスは、正確で、簡単で、実施が迅速（したがって安価）である。さらに、拡散溶接技術が用いられる場合、製造される本体１０は頑丈である、なぜならば、これは、最終的には１つのピースのみで形成されるからである（本体は、単一体的な外観を有する）。さらに、拡散溶接技術は、金属平板間の界面に追加の材料（接着剤、溶加材等）を要求しないという点でも有利である。

有利には、（ＤＯＤヘッドの場合において）ノズル１１に属する空気圧バルブのメンブレンが、本体１０の製造の後に、形成される。

Claims (17)

1. コーティングされる物体にコーティング製品を適用するための印刷ヘッド（１）であって、この印刷ヘッドは、：
   － 吐出孔（１１２）と、前記吐出孔（１１２）を通じてコーティング製品の吐出ゾーン（２）に開口している出口チャネル（１１１）とを各々含む複数のノズル（１１）；
   － 前記ノズル（１１）に接続された、コーティング製品のための供給回路（１２）
   が取り付けられた本体（１０）を含み、
   前記印刷ヘッドは、メンテナンス流体を運ぶためのメンテナンス回路（１３）をさらに含み、前記メンテナンス回路（１３）は前記本体（１０）の内部で前記ノズル（１１）の前記吐出ゾーン（２）まで延在し、少なくとも１つのノズル（１１）の前記吐出ゾーン（２）に開口している第一の内部チャネル（１３１）；（１３８）を含み、
   前記メンテナンス回路（１３）は、複数の第一の内部チャネル（１３１；１３８）を含み、各第一の内部チャネル（１３１；１３８）は、この第一の内部チャネル（１３１；１３８）に関連付けられたただ１つのノズル（１１）の前記吐出ゾーン（２）に開口しており、前記第一の内部チャネル（１３１；１３８）の数は、前記ノズル（１１）の数と等しい、印刷ヘッド（１）。
2. 前記メンテナンス回路（１３）が、複数の第二の内部チャネル（１３５）を含み、各第二の内部チャネル（１３５）は第一の内部チャネル（１３１）に関連付けられ、この第一の内部チャネル（１３１）に関連付けられたただ１つのノズル（１１）の前記吐出ゾーン（２）に開口している、請求項１に記載の印刷ヘッド（１）。
3. 各第二の内部チャネル（１３５）は、この第二のチャネル（１３５）が開口している前記吐出ゾーンにおける前記ノズル（１１）の前記吐出孔（１１２）に対して、関連する前記第一の内部チャネル（１３１）の反対側に位置している、請求項２に記載の印刷ヘッド（１）。
4. 各関連する第一の内部チャネル（１３１）及び第二の内部のチャネル（１３５）が、同じ方向に沿って配向されている、請求項２に記載の印刷ヘッド（１）。
5. 前記ノズル（１１）の前記吐出孔（１１２）が取り付けられた吐出面（１００）を含む印刷ヘッド（１）であって、前記第一の内部チャネル（１３１）が、メンテナンス流体が前記吐出面（１００）に接触して流れるように配置されている、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
6. 前記ノズル（１１）の前記吐出孔（１１２）が取り付けられた吐出面（１００）を含む印刷ヘッド（１）であって、前記第一の内部チャネル（１３１）は、前記印刷ヘッド（１）の前記吐出面（１００）の上に配置された平板（１０１）において配置されている、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
7. 前記第一の内部チャネル（１３１）は、前記吐出ゾーン（２）に開口している末端部を含み、この末端部は、前記ノズル（１１）の前記吐出孔（１１２）から１ｍｍ以下の距離（ｄ）に位置している、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
8. 前記メンテナンス回路（１３）は、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバ（１３２）を含み、前記第一の貯蔵チャンバ（１３２）は、前記第一の内部チャネル（１３１）のうちの１つを通じて、各ノズル（１１）の前記吐出ゾーン（２）と連通しており、その長さは、０．５ｍｍ～１０ｍｍである、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
9. 前記第一の内部チャネルは（１３１）は、前記第一の貯蔵チャンバ（１３２）と前記ノズル（１１）からの前記吐出ゾーン（２）とを分離する前記本体（１０）の内部壁を通って延在する、請求項８に記載の印刷ヘッド（１）。
10. 前記メンテナンス回路（１３）は、メンテナンス流体のための第一の貯蔵チャンバ（１３２）を含み、前記第一の貯蔵チャンバ（１３２）は、第一の開口部（１３８）を通じて各ノズルの前記吐出ゾーン（２）と連通している、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
11. 前記第一の開口部（１３８）は、前記第一の貯蔵チャンバ（１３２）と前記ノズル（１１）からの前記吐出ゾーン（２）とを分離前記本体（１０）の内部壁を通って延在する、請求項１０に記載の印刷ヘッド（１）。
12. 前記第一の内部チャネル（１３１）は、前記ノズル（１１）の前記吐出孔（１１２）が設けられている前記本体（１０）の吐出面（１００）の上に配置された外部メンテナンス平板（１０１）において設けられている、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
13. 前記第一の内部チャネル（１３１）が、０．５ｍｍ以下の特徴寸法を有する断面を有する、請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）。
14. 前記第一の内部チャネル（１３１）が、０．２５ｍｍ以下の特徴寸法を有する断面を有する、請求項１３に記載の印刷ヘッド（１）。
15. － 請求項１～４のいずれか一項に記載の印刷ヘッド（１）；
    － 前記印刷ヘッド（１）の少なくとも１つの入口に接続された、メンテナンス流体のための注入回路（３１）；
    － 前記印刷ヘッド（１）の少なくとも１つの出口に接続された、メンテナンス流体のための吸引回路（３２）
    を含む、コーティング装置（３）。
16. 前記吸引回路（３２）が、
    － 減圧発生器（３２１）；
    － 前記減圧発生器（３２１）と前記印刷ヘッド（１）の第一の出口とに接続された第一の吸引バルブ（３２２ａ）；及び
    － 前記減圧発生器（３２１）と前記印刷ヘッド（１）の第二の出口とに接続された、第二の吸引バルブ（３２２ｂ）
    を含む、請求項１５に記載のコーティング装置（３）。
17. 前記注入回路（３３）が、
    － 洗浄流体を含有する第一の加圧式タンク（３１１ａ）；
    － 湿潤液体を含有する第二の加圧式タンク（３１１ｂ）；
    － 前記第一及び第二の加圧式タンク（３１１ａ～３１１ｂ）と前記印刷ヘッド（１）の第一の入口とに接続された第一の注入バルブ（３１２ａ）；
    － 前記第一及び第二の加圧式タンク（３１１ａ～３１１ｂ）と前記印刷ヘッド（１）の第二の入口とに接続された第二の注入バルブ（３１２ｂ）
    を含む、請求項１５に記載のコーティング装置（３）。