JP2023154532A - スイッチング回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 並列接続された複数のスイッチング素子の1つでアバランシェ降伏が生じる場合に、アバランシェ降伏が生じているスイッチング素子に加わる負荷を軽減する。
【解決手段】 第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間(Ton)から前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間(Toff)へ移行するターンオフ期間(Ttoff)において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する。
【選択図】図6
【解決手段】 第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間(Ton)から前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間(Toff)へ移行するターンオフ期間(Ttoff)において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する。
【選択図】図6
Description
本明細書に開示の技術は、スイッチング回路に関する。
特許文献1には、並列接続された複数のスイッチング素子を有するスイッチング回路が開示されている。各スイッチング素子のゲート電位は、ゲート制御回路によって制御される。このスイッチング回路では、各スイッチング素子のゲート電流が等しくなるように、ゲート制御回路から各スイッチング素子のゲートに至る配線のインピーダンスが調整されている。
並列接続された複数のスイッチング素子を共にターンオフするときに、各スイッチング素子にサージ電圧が印加される場合がある。各スイッチング素子のアバランシェ電圧にはばらつきが存在するので、ターンオフ時に生じるサージ電圧の印加によって並列接続された複数のスイッチング素子の1つでアバランシェ降伏が生じる場合がある。このように1つのスイッチング素子でアバランシェ降伏が生じると、そのスイッチング素子に高い負荷が加わる。本明細書では、並列接続された複数のスイッチング素子の1つでアバランシェ降伏が生じる場合に、アバランシェ降伏が生じているスイッチング素子に加わる負荷を軽減する技術を提案する。
本明細書が開示するスイッチング回路は、第1配線と、第2配線と、前記第1配線と前記第2配線の間に接続された第1スイッチング素子と、前記第1配線と前記第2配線の間に前記第1スイッチング素子に対して並列に接続された第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子のゲートと前記第2スイッチング素子のゲートに接続されているゲート制御回路、を有する。前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間と前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間とが交互に繰り返されるように前記第1スイッチング素子のゲート電位と前記第2スイッチング素子のゲート電位を制御する。前記ゲート制御回路が、前記オン期間から前記オフ期間へ移行するターンオフ期間において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する。
なお、本明細書において、アバランシェ降伏は、スイッチング素子のゲート電位がゲート閾値以下であり、そのスイッチング素子の主端子間の電圧(例えば、ドレイン-ソース間電圧)がクランプ状態であり、そのスイッチング素子の主端子間に電流が流れている状態を意味する。
このスイッチング回路では、片側降伏が生じている場合(すなわち、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏している場合)に、アバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する。したがって、非降伏素子に主電流が流れる。このように、アバランシェ降伏しているスイッチング素子に並列に接続された非降伏素子に主電流を流すことで、アバランシェ降伏しているスイッチング素子に流れる電流(すなわち、アバランシェ電流)を低減することができる。これによって、アバランシェ降伏しているスイッチング素子に加わる負荷を軽減することができる。
(構成1)本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記特定電位が、前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位よりも低くてもよい。
この構成によれば、特定電位印加動作において非降伏素子に流れる電流を制限することができる。
上記構成1のスイッチング回路は、前記非降伏素子のゲートを充電する電源を有していてもよい。前記特定電位印加動作では、前記オン期間よりも前記電源の出力電圧を低下させてもよい。
前記ゲート制御回路が前記電源を有する場合には、前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において前記非降伏素子に流れる主電流に基づいて前記電源の前記出力電圧をフィードバック制御してもよい。
この構成によれば、降伏素子と非降伏素子に流れる電流を正確に制御できる。
上記構成1のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において、前記非降伏素子のゲートの充電と放電を交互に繰り返すことによって前記特定電位を前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位よりも低い値に制御してもよい。
上記構成1のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏している降伏素子に流れる主電流(I1)がゼロまで低下したときに前記特定電位の印加を停止してもよい。
この構成によれば、降伏素子のアバランシェ降伏が終了した以降に非降伏素子に主電流が流れることを抑制できる。
本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記ターンオフ期間に、前記第1配線と前記第2配線の間の電圧と、前記第1スイッチング素子の主電流と、前記第2スイッチング素子の主電流に基づいて、前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定してもよい。
この構成によれば、片側降伏が生じているか否かを適切に判定して特定電位印加動作を実行できる。
(構成2)本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記オン期間において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子に流れる総電流(I3)に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定してもよい。
この構成によれば、ターンオフ期間の前の時点で片側降伏が生じるか否かを判定し、ターンオフ期間に適切に特定電位印加動作を実行できる。
上記構成2のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位を高くしてもよい。上記構成2のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間を長くしてもよい。上記構成2のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記ターンオフ期間において前記非降伏素子のゲート電位を低下させるタイミングから前記特定電位印加動作を開始するタイミングまでの間隔を短くしてもよい。
この構成によれば、降伏素子の負荷をより効果的に軽減できる。
上記構成2のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の電圧に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定してもよい。この場合、前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の前記電圧が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間を長くしてもよい。
この構成によれば、降伏素子の負荷をより効果的に軽減できる。
本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記特定電位の印加開始時における前記非降伏素子のゲート充電電流が、前記オフ期間から前記オン期間への移行時における前記非降伏素子のゲート充電電流よりも大きくてもよい。また、本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記特定電位の印加停止時における前記非降伏素子のゲート放電電流が、前記片側降伏が生じていないときの前記ターンオフ期間における前記非降伏素子のゲート放電電流よりも大きくてもよい。これらの構成によれば、特定電位印加動作においてより高速でゲート電位を制御できる。
本明細書が開示する一例のスイッチング回路では、前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子のアバランシェ電圧と前記第2スイッチング素子のアバランシェ電圧のいずれが高いかを記憶する記憶部を有していてもよい。前記ゲート制御回路が、前記片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ電圧が高い方のスイッチング素子を前記非降伏素子として制御してもよい。
この構成によれば、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子のいずれでアバランシェ降伏が生じるかが予め分かるので、制御が容易となる。
図1は、車両に搭載されたインバータ回路10を有している。また、車両には、バッテリ12とモータ14が搭載されている。インバータ回路10は、バッテリ12から供給される直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ14に供給する。モータ14が駆動すると、車両の駆動輪が回転し、車両が走行する。インバータ回路10は、高電位配線20と、低電位配線22と、3つの出力配線24a~24cを有している。バッテリ12の正極は、高電位配線20に接続されている。バッテリ12の負極は、低電位配線22に接続されている。3つの出力配線24a~24cは、モータ14に接続されている。インバータ回路10は、6個のスイッチング回路30を有している。2つのスイッチング回路30が直列に接続された直列回路が3つ構成されている。各直列回路は、高電位配線20と低電位配線22の間に接続されている。各直列回路において、直列に接続された2つのスイッチング回路30の接続点に、対応する1つの出力配線24が接続されている。各スイッチング回路30がスイッチングすることによって、電流経路が導通している状態と遮断されている状態とに切り換えられる。すなわち、高電位配線20に接続されているスイッチング回路30は、高電位配線20と出力配線24の間を導通状態と遮断状態に切り換える。また、低電位配線22に接続されているスイッチング回路30は、出力配線24と低電位配線22の間を導通状態と遮断状態に切り換える。各スイッチング回路30がスイッチングすることで、出力配線24a~24cに三相交流電力が出力される。
図2は、各スイッチング回路30の回路図を示している。スイッチング回路30は、スイッチング素子31、32を有している。本実施形態では、スイッチング素子31、32は、nチャネル型のFET(field effect transistor)である。例えば、スイッチング素子31、32は、nチャネル型のMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)であってもよい。但し、他の実施形態では、スイッチング素子31、32が、pチャネル型のFETであってもよいし、ゲート型の他のトランジスタであってもよい。スイッチング素子31とスイッチング素子32は、配線36と配線38の間に並列に接続されている。すなわち、スイッチング素子31のドレインとスイッチング素子32のドレインが配線36に接続されており、スイッチング素子31のソースとスイッチング素子32のソースが配線38に接続されている。配線36はスイッチング回路30を高電位側の配線と接続する配線であり、配線38はスイッチング回路30を低電位側の配線と接続する配線である。例えば、スイッチング回路30が高電位配線20に接続されているスイッチング回路である場合には、配線36は図1に示す配線25(すなわち、高電位配線20とスイッチング回路30を接続する配線)であり、配線38は図1に示す配線26(すなわち、スイッチング回路30と出力配線24を接続する配線)である。また、スイッチング回路30が低電位配線22に接続されているスイッチング回路である場合には、配線36は図1に示す配線26(すなわち、出力配線24とスイッチング回路30を接続する配線)であり、配線38は図1に示す配線27(すなわち、スイッチング回路30と低電位配線22を接続する配線)である。スイッチング素子31がオンすると、スイッチング素子31を介して配線36から配線38へ電流が流れる。スイッチング素子32がオンすると、スイッチング素子32を介して配線36から配線38へ電流が流れる。
スイッチング素子31には、ダイオード33が接続されている。ダイオード33のアノードがスイッチング素子31のソースに接続されており、ダイオード33のカソードがスイッチング素子31のドレインに接続されている。スイッチング素子32には、ダイオード34が接続されている。ダイオード34のアノードがスイッチング素子32のソースに接続されており、ダイオード34のカソードがスイッチング素子32のドレインに接続されている。
スイッチング回路30は、ゲート制御回路40を有している。ゲート制御回路40は、スイッチング素子31のゲートG1の電位(以下、ゲート電位Vg1という)とスイッチング素子32のゲートG2の電位(以下、ゲート電位Vg2という)を制御する。ゲート制御回路40は、第1制御回路50、第2制御回路60、及び、制御IC70を有している。なお、以下の説明では、配線38の電位を0V(すなわち、グランド)として各部の電位を説明する。
第1制御回路50は、電源配線51、ゲート電源52、ゲートオンスイッチ53、ゲートオン抵抗54、ゲートオフ抵抗55、及び、ゲートオフスイッチ56を有している。ゲート電源52は、電源配線51に電位VCC1を印加する。ゲートオンスイッチ53とゲートオン抵抗54は、電源配線51とゲートG1の間に直列に接続されている。ゲートオンスイッチ53は、制御IC70から入力される信号Sig1に応じてスイッチングする。図3に示すように、信号Sig1は、電位HIGHと電位LOWの間で変化する信号である。ゲートオンスイッチ53は、信号Sig1がHIGHのときにオンし、信号Sig1がLOWのときにオフする。ゲートオンスイッチ53がオンすると、電源配線51からゲートオンスイッチ53とゲートオン抵抗54を介してゲートG1に電流が流れ、ゲートG1が充電される。ゲートオフ抵抗55とゲートオフスイッチ56は、ゲートG1とグランドの間に直列に接続されている。ゲートオフスイッチ56は、制御IC70から入力される信号Sig1に応じてスイッチングする。ゲートオフスイッチ56は、信号Sig1がHIGHのときにオフし、信号Sig1がLOWのときにオンする。ゲートオフスイッチ56がオンすると、ゲートG1からゲートオフ抵抗55とゲートオフスイッチ56を介してグランドに電流が流れ、ゲートG1が放電される。したがって、信号Sig1がHIGHの場合には、ゲートオンスイッチ53がオンするとともにゲートオフスイッチ56がオフするので、ゲートG1に電位VCC1が印加される。信号Sig1がLOWの場合には、ゲートオンスイッチ53がオフするとともにゲートオフスイッチ56がオンするので、ゲートG1に0Vが印加される。
第2制御回路60は、電源配線61、ゲート電源62、ゲートオンスイッチ63、ゲートオン抵抗64、ゲートオフ抵抗65、及び、ゲートオフスイッチ66を有している。ゲート電源62は、電源配線61に電位VCC2を印加する。ゲートオンスイッチ63とゲートオン抵抗64は、電源配線61とゲートG2の間に直列に接続されている。ゲートオンスイッチ63は、制御IC70から入力される信号Sig2に応じてスイッチングする。図3に示すように、信号Sig2は、電位HIGHと電位LOWの間で変化する信号である。ゲートオンスイッチ63は、信号Sig2がHIGHのときにオンし、信号Sig2がLOWのときにオフする。ゲートオンスイッチ63がオンすると、電源配線61からゲートオンスイッチ63とゲートオン抵抗64を介してゲートG2に電流が流れ、ゲートG2が充電される。ゲートオフ抵抗65とゲートオフスイッチ66は、ゲートG2とグランドの間に直列に接続されている。ゲートオフスイッチ66は、制御IC70から入力される信号Sig2に応じてスイッチングする。ゲートオフスイッチ66は、信号Sig2がHIGHのときにオフし、信号Sig2がLOWのときにオンする。ゲートオフスイッチ66がオンすると、ゲートG2からゲートオフ抵抗65とゲートオフスイッチ66を介してグランドに電流が流れ、ゲートG2が放電される。したがって、信号Sig2がHIGHの場合には、ゲートオンスイッチ63がオンするとともにゲートオフスイッチ66がオフするので、ゲートG2に電位VCC2が印加される。信号Sig2がLOWの場合には、ゲートオンスイッチ63がオフするとともにゲートオフスイッチ66がオンするので、ゲートG2に0Vが印加される。
制御IC70は、上述したように、第1制御回路50に信号Sig1を入力するとともに、第2制御回路60に信号Sig2を入力する。また、制御IC70には、外部から信号Sig0が入力される。制御IC70は、信号Sig0に基づいて信号Sig1、Sig2を生成する。また、スイッチング回路30は、電流検出回路41、42、43及び電圧検出回路44を有している。電流検出回路41は、スイッチング素子31に流れる電流I1を検出する。電流検出回路42は、スイッチング素子32に流れる電流I2を検出する。電流検出回路43は、配線38に流れる電流I3を検出する。電流I3は、電流I1と電流I2を合計した電流と等しい。なお、電流I3は、図1に示す出力配線24a~24cに流れる電流(いわゆる、相電流)と等しい。したがって、電流I3は、出力配線24a~24cで検出されてもよい。電圧検出回路44は、配線36と配線38の間の電圧Vds(すなわち、スイッチング素子31、32のドレイン-ソース間電圧)を検出する。制御IC70には、電流検出回路43が検出した電流I3の値と電圧検出回路44が検出した電圧Vdsの値が入力される。また、制御IC90には、電流検出回路41が検出した電流I1を閾値Ith1と比較した判定値と、電流検出回路42が検出した電流I2を閾値Ith2と比較した判定値が入力される。閾値Ith1は低い値に設定されているので、電流I1の判定値は電流I1が流れているか否かを示す。閾値Ith2は低い値に設定されているので、電流I2の判定値は電流I2が流れているか否かを示す。制御IC70は、入力される電流I1の判定値、電流I2の判定値、電流I3、及び、電圧Vdsに基づいて、信号Sig1、Sig2を制御する。また、制御IC70は、ゲート電源52、62を制御して、電位VCC1、VCC2を変更する。
図3は、スイッチング回路30の動作中における各値の変化を示している。図3は、アバランシェ降伏が生じていない状態を示している。図3に示すように、制御IC70に入力される信号Sig0は、電位HIGHと電位LOWの間で変化する。アバランシェ降伏が生じていない状態では、制御IC70は、信号Sig1、Sig2が信号Sig0と同じ波形となるように信号Sig1、Sig2を生成する。また、アバランシェ降伏が生じていない状態では、制御IC70は、電位VCC1、VCC2を、常に電位Vonに制御する。また、図3中に示す電位Vth1はスイッチング素子31のゲート閾値(すなわち、スイッチング素子31をオンするのに必要な最小のゲート電位Vg1)である。また、図3中に示す電位Vth2はスイッチング素子32のゲート閾値(すなわち、スイッチング素子32をオンするのに必要な最小のゲート電位Vg2)である。ゲート閾値Vth1はゲート閾値Vth2とほぼ等しい。図3に示すように、ゲート閾値Vth1、Vth2は、電位Vonよりも低く、0Vよりも高い。
信号Sig0がHIGHの状態では、信号Sig1と信号Sig2が共にHIGHである。この状態では、ゲート制御回路40が、ゲート電位Vg1を電位VCC1(すなわち、電位Von)に制御し、ゲート電位Vg2を電位VCC2(すなわち、電位Von)に制御する。このため、スイッチング素子31、32が共にオンし、スイッチング素子31、32のそれぞれにほぼ均等に電流I1、I2が流れる。以下では、スイッチング素子31、32が共にオンしている期間を、オン期間Tonという。その後、信号Sig0がHIGHからLOWに低下すると、信号Sig1と信号Sig2が共にHIGHからLOWに低下する。すると、ゲート制御回路40が、ゲート電位Vg1を0Vまで低下させ、ゲート電位Vg2を0Vまで低下させる。したがって、スイッチング素子31、32がオフする。このため、電圧Vdsが上昇し、電流I1、I2がゼロまで低下する。以下では、スイッチング素子31、32が共にオフしている期間を、オフ期間Toffという。また、オン期間Tonからオフ期間Toffに移行する期間を、ターンオフ期間Ttoffという。その後、信号Sig0がLOWからHIGHに上昇すると、信号Sig1と信号Sig2が共にLOWからHIGHに上昇する。すると、ゲート制御回路40が、ゲート電位Vg1を電位Vonまで上昇させ、ゲート電位Vg2を電位Vonまで上昇させる。したがって、スイッチング素子31、32がオンする。このため、電圧Vdsが低下し、電流I1、I2が上昇する。すなわち、再度、オン期間Tonとなる。以下では、オフ期間Toffからオン期間Tonに移行する期間を、ターンオン期間Ttonという。図3に示すように、ゲート制御回路40は、オン期間Tonとオフ期間Toffが交互に繰り返すようにスイッチング素子31、32を制御する。
図3に示すように、ターンオフ期間Ttoffでは、電圧Vdsが急上昇してサージ電圧Vsが発生する場合がある。また、図3に示す電圧Va1はスイッチング素子31のアバランシェ電圧であり、図3に示す電圧Va2はスイッチング素子32のアバランシェ電圧である。なお、図3では、アバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも低いが、アバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも高い場合もある。スイッチング素子のドレイン-ソース間に印加される電圧がアバランシェ電圧を超えると、スイッチング素子の内部でアバランシェ降伏が発生する。アバランシェ降伏が発生すると、スイッチング素子のゲート電位がオフ電位(すなわち、ゲート閾値未満の電位)であってもスイッチング素子に電流が流れる。図3では、サージ電圧Vsがアバランシェ電圧Va1、Va2よりも低いので、アバランシェ降伏は発生していない。
サージ電圧Vsがアバランシェ電圧Va1またはVa2に達することで、スイッチング素子31、32の一方でアバランシェ降伏が発生する場合がある。以下では、スイッチング素子31、32の一方でアバランシェ降伏が発生することを、片側降伏という。以下に、片側降伏時の動作について説明する。なお、以下では、スイッチング素子31がアバランシェ降伏する場合(すなわち、アバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも低い場合)を例として説明する。実施例1のスイッチング回路30は、片側降伏の発生時に、アバランシェ降伏が生じたスイッチング素子の負荷を軽減する特定電位印加動作を実行する。まず、比較例として、特定電位印加動作を実行しない場合の片側降伏時の各値の変化について、図4を用いて説明する。
図4では、ターンオフ期間Ttoffの開始タイミングt1でゲート電位Vg1、Vg2が低下し、電圧Vdsが急上昇する。ターンオフ期間Ttoff中のタイミングt2において、サージ電圧によって電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1まで達する。このため、タイミングt2において、スイッチング素子31でアバランシェ降伏が発生する。アバランシェ降伏が発生すると、ゲート電位Vg1が0Vに制御されているにも関わらず、スイッチング素子31に電流I1が流れる。また、スイッチング素子31でアバランシェ降伏が生じている間は、電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1にクランプされる。また、スイッチング素子31でアバランシェ降伏が生じている間は、スイッチング素子32にはほとんど電流I2が流れない。このため、アバランシェ降伏が生じている間は、スイッチング素子31に電流が集中し、スイッチング素子31に高い負荷が加わる。その後、電流I1がほぼ0まで低下するとともに電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1より低い値に低下することで、スイッチング素子31のアバランシェ降伏が終了し、スイッチング素子31がオフ状態となる。図4では、アバランシェ降伏が発生したタイミングt2においてスイッチング素子31の電流I1が非常に高くなる。タイミングt2では電圧Vdsが高いので、スイッチング素子31で発熱が大きくなり、スイッチング素子31に高い負荷が加わる。なお、以下では、アバランシェ降伏が生じているスイッチング素子を降伏素子といい、アバランシェ降伏が生じていないスイッチング素子を非降伏素子という。
次に、実施例1のスイッチング回路30が実行する特定電位印加動作について説明する。図5は、ターンオフ期間Ttoff中に制御IC70が実行する処理を示している。制御IC70は、図5の処理をターンオフ期間Ttoff中に繰り返し実行する。ステップS2では、制御IC70は、電流I3が流れているか否かを判定する。ステップS4では、制御IC70は、電圧Vdsがクランプされているか否か(すなわち、電圧Vdsの時間変化率dVds/dtが基準値以下であるか否か)を判定する。ステップS6では、制御IC70は、電流I1と電流I2のいずれか一方だけが流れているか否かを判定する。ステップS2、S4、S6のいずれかでNOと判定した場合には、制御IC70は、片側降伏が生じていないので、ステップS8で通常動作を継続する。制御IC70は、ステップS2、S4、S6の全てでYESと判定した場合には、片側降伏が生じているので、ステップS10で特定電位印加動作を実行する。ステップS10では、制御IC70は、非降伏素子に対して特定電位印加動作を実行する。すなわち、制御IC70は、電流I1が流れているとともに電流I2が流れていない場合にはスイッチング素子32に対して特定電位印加動作を実行し、電流I2が流れているとともに電流I1が流れていない場合にはスイッチング素子31に対して特定電位印加動作を実行する。制御IC70は、ステップS12の条件が満たされるまでは、ステップS10、S12を繰り返し、特定電位印加動作を継続する。ステップS12の条件が満たされると、制御IC70は、ステップS14で通常動作に戻る。
ターンオフ期間Ttoffでスイッチング素子31、32のいずれでもアバランシェ降伏が生じていない場合(すなわち、片側降伏が生じていない場合)には、制御IC70は、ステップS2~S6のいずれかでNOと判定し、通常動作を継続する。このため、片側降伏が生じていない場合には、制御IC70は、上述した図3のように動作する。図6は、片側降伏が生じているときのスイッチング回路30の動作を示している。
図6では、図4と同様に、ターンオフ期間Ttoffの開始タイミングt1で電圧Vdsが急上昇し、ターンオフ期間Ttoff中のタイミングt2において電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1に達する。タイミングt1とタイミングt2の間の期間では、アバランシェ降伏がまだ生じていないので、制御IC70は図5のステップS2~S6のいずれかでNOと判定し、通常動作を継続する。タイミングt2においてスイッチング素子31でアバランシェ降伏が発生すると、電圧Vdsがクランプされる。また、タイミングt2でアバランシェ降伏が発生すると、スイッチング素子31に偏って電流が流れるようになり、電流I2がゼロまで低下する。なお、電流I2がゼロまで低下する期間が極めて短いので、図6ではタイミングt2で電流I2がゼロまで低下することが示されていない。タイミングt2の直後に、制御IC70は、ステップS2~S6でYESと判定し、ステップS10(すなわち、特定電位印加動作)を実行する。
タイミングt2において特定電位印加動作を開始すると、制御IC70は、スイッチング素子32(すなわち、非降伏素子)用のゲート電源62を制御して、電位VCC2を電位Vonから電位Vmに低下させる。電位Vmは、電位Vonよりも低く、ゲート閾値Vth2よりもわずかに高い電位である。同時に、制御IC70は、信号Sig2をLOWからHIGHに上昇させる。したがって、スイッチング素子32のゲート電位Vg2が0Vから電位Vmまで上昇する。電位Vmがゲート閾値Vth2よりも高いので、スイッチング素子32がオンし、電流I2が流れる。但し、電位Vmが電位Vonよりも低いので、スイッチング素子32がオンするときのオン抵抗は比較的高い。このため、タイミングt2の直後に、スイッチング素子31に電流I1が流れるとともにスイッチング素子32に電流I2が流れる。すなわち、スイッチング素子31とスイッチング素子32に電流が分岐して流れ、スイッチング素子31に偏って電流が流れることが防止される。このため、図6のタイミングt2の直後における電流I1が、図4のタイミングt2の直後における電流I1よりも小さい。これによって、スイッチング素子31(すなわち、降伏素子)に加わる負荷が軽減される。
制御IC70は、特定電位印加動作の実行中に、図5のステップS10、S12を繰り返す。図6に示すように、降伏素子であるスイッチング素子31の電流I1は、タイミングt2の後に低下し、タイミングt3においてゼロまで低下する。制御IC70は、タイミングt2とタイミングt3の間の期間では、ステップS10、S12を繰り返すことで特定電位印加動作を継続する。タイミングt3において電流I1がゼロまで低下すると、制御IC70は、ステップS12でYESと判定し、ステップS14で通常動作に戻る。したがって、タイミングt3において、制御IC70は、電位VCC2を電位Vmから電位Vonに上昇させ、信号Sig2をHIGHからLOWに低下させる。このため、タイミングt3において、ゲート電位Vg2が電位Vmから0Vまで低下し、スイッチング素子32がオフする。したがって、タイミングt3以降は、スイッチング素子31に偏って電流が流れる。しかしながら、タイミングt3以降に流れる電流I3は低いので、スイッチング素子31に偏って電流が流れてもスイッチング素子31に加わる負荷は小さい。その後、電流I1がゼロまで低下し、電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1よりも低くなると、スイッチング素子31、32のターンオフが完了する。
以上に説明したように、実施例1のスイッチング回路30では、片側降伏が生じたときに、非降伏素子のゲートに電位Vonよりも低くゲート閾値Vthよりも高い電位Vmが印加され、非降伏素子がオンする。これによって、降伏素子に加わる負荷が軽減される。また、実施例1のスイッチング回路30では、降伏素子の電流がゼロまで低下した段階で特定電位印加動作を終了する。これによって、必要以上に長く非降伏素子がオンに維持されることが防止され、スイッチング回路30のターンオフを適切に完了させることができる。
なお、実施例1の特定電位印加動作中に、非降伏素子に流れる電流に基づいて電位Vm(すなわち、特定電位印加動作中のゲート電位)をフィードバック制御してもよい。例えば、降伏素子がスイッチング素子31である場合には、図7に示すように、特定電位印加動作の開始タイミングt2における電流I3の半分を目標電流Itとして設定し、電流I2が目標電流Itと一致するように電位Vmを制御してもよい。
なお、上記の実施例1では、スイッチング素子31がアバランシェ降伏する場合(すなわち、アバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも低い場合)を例として説明を行った。しかしながら、スイッチング素子32がアバランシェ降伏する場合(すなわち、アバランシェ電圧Va2がアバランシェ電圧Va1よりも低い場合)にも特定電位印加動作を実施することができる。この場合、非降伏素子がスイッチング素子31であるので、スイッチング素子31に対して特定電位印加動作を実施することができる。また、後述する他の実施例でも、スイッチング素子31がアバランシェ降伏する場合の特定電位印加動作を例として説明するが、スイッチング素子32がアバランシェ降伏する場合に特定電位印加動作を実施してもよい。
図8に示す実施例2のスイッチング回路30aは、高周波駆動回路57、67を有している。
高周波駆動回路57は、制御IC70から第1制御回路50に信号Sig1を入力する配線に設けられている。高周波駆動回路57が作動していない状態では、制御IC70から出力された信号がそのまま信号Sig1として第1制御回路50に入力される。高周波駆動回路57が作動すると、高周波駆動回路57はHIGHとLOWの間で高周波(例えば、10MHz程度)で振動する信号を信号Sig1として第1制御回路50に入力する。高周波駆動回路67は、制御IC70から第2制御回路60に信号Sig2を入力する配線に設けられている。高周波駆動回路67が作動していない状態では、制御IC70から出力された信号がそのまま信号Sig2として第2制御回路60に入力される。高周波駆動回路67が作動すると、高周波駆動回路67はHIGHとLOWの間で高周波(例えば、10MHz程度)で振動する信号を信号Sig2として第2制御回路60に入力する。また、実施例2のスイッチング回路30aでは、電位VCC1が電位Vonに固定されており、電位VCC2が電位Vonに固定されている。実施例2のスイッチング回路30aのその他の構成は、実施例1のスイッチング回路30と等しい。
実施例2のスイッチング回路30aでも、制御IC70は、実施例1のスイッチング回路30と同様にして、片側降伏が発生すると特定電位印加動作を実行する。
図9は、実施例2のスイッチング回路30aの動作中における各値の変化を示している。通常動作時は、制御IC70は、高周波駆動回路57、67を停止させている。したがって、通常動作時は、信号Sig1、Sig2は信号Sig0と一致している。図9では、図6と同様に、タイミングt2においてスイッチング素子31でアバランシェ降伏が発生する。制御IC70は、タイミングt2において片側降伏を検知し、特定電位印加動作を実行する。特定電位印加動作では制御IC70は、非降伏素子側の高周波駆動回路67を作動させる。高周波駆動回路67が作動するので、タイミングt2の直後に、信号Sig2がHIGHとLOWの間で高周波で振動する。その結果、第2制御回路60が高周波でゲートG2の充電と放電を繰り返す。このため、ゲート電位Vg2が電位Vonよりも低くゲート閾値Vth2よりも高い電位に制御される。このため、実施例1(すなわち、図6)と同様に、スイッチング素子32が比較的オン抵抗が高い状態でオンし、電流I2が流れる。このため、タイミングt2の直後に、スイッチング素子31とスイッチング素子32に電流が分岐して流れ、スイッチング素子31(すなわち、降伏素子)に加わる負荷が軽減される。制御IC70は、特定電位印加動作の実行中に電流I1がゼロまで低下すると、特定電位印加動作を終了して通常動作に戻る。すなわち、制御IC70は、図9のタイミングt3で高周波駆動回路67を停止させる。このため、タイミングt3の後にゲート電位Vg2が0Vに低下し、スイッチング素子32がオフする。したがって、タイミングt3以降は、スイッチング素子31に電流I1が流れる。その後、電流I1がゼロまで低下し、電圧Vdsがアバランシェ電圧Va1よりも低くなると、スイッチング素子31、32のターンオフが完了する。
以上に説明したように、実施例2のスイッチング回路30aでも、片側降伏が生じたときに、非降伏素子のゲートに電位Vonよりも低くゲート閾値Vthよりも高い電位が印加され、非降伏素子がオンする。これによって、降伏素子に加わる負荷が軽減される。また、実施例2のスイッチング回路30aでは、降伏素子の電流がゼロまで低下した段階で特定電位印加動作を終了する。これによって、必要以上に長く非降伏素子がオンに維持されることが防止され、スイッチング回路30のターンオフを適切に完了させることができる。
図10に示す実施例3のスイッチング回路30bは、実施例1のスイッチング回路30に対して、ゲートオンスイッチ53f、ゲートオン抵抗54f、ゲートオフ抵抗55f、ゲートオフスイッチ56f、ゲートオンスイッチ63f、ゲートオン抵抗64f、ゲートオフ抵抗65f、及び、ゲートオフスイッチ66fを追加した構成を有している。ゲートオンスイッチ53fとゲートオン抵抗54fは、電源配線51とゲートG1の間に直列に接続されている。ゲートオン抵抗54fの抵抗値は、ゲートオン抵抗54の抵抗値よりも低い。ゲートオフ抵抗55fとゲートオフスイッチ56fは、ゲートG1とグランドの間に直列に接続されている。ゲートオフ抵抗55fの抵抗値は、ゲートオフ抵抗55の抵抗値よりも低い。ゲートオンスイッチ63fとゲートオン抵抗64fは、電源配線61とゲートG2の間に直列に接続されている。ゲートオン抵抗64fの抵抗値は、ゲートオン抵抗64の抵抗値よりも低い。ゲートオフ抵抗65fとゲートオフスイッチ66fは、ゲートG2とグランドの間に直列に接続されている。ゲートオフ抵抗65fの抵抗値は、ゲートオフ抵抗65の抵抗値よりも低い。ゲートオンスイッチ53f、ゲートオフスイッチ56f、ゲートオンスイッチ63f、及び、ゲートオフスイッチ66fは、制御IC70によって制御される。
実施例3のスイッチング回路30bでは、制御IC70は、ゲートオンスイッチ53のオンによってゲートG1を充電することができるとともに、ゲートオンスイッチ53fのオンによってゲートG1を充電することもできる。ゲートオン抵抗54fの抵抗値がゲートオン抵抗54の抵抗値よりも低いので、ゲートオンスイッチ53fをオンする場合には、ゲートオンスイッチ53をオンする場合よりも、ゲートG1を充電する充電電流が高くなり、ゲート電位Vg1を速く上昇させることができる。
実施例3のスイッチング回路30bでは、制御IC70は、ゲートオフスイッチ56のオンによってゲートG1を放電することができるとともに、ゲートオフスイッチ56fのオンによってゲートG1を放電することもできる。ゲートオフ抵抗55fの抵抗値がゲートオフ抵抗55の抵抗値よりも低いので、ゲートオフスイッチ56fをオンする場合には、ゲートオフスイッチ56をオンする場合よりも、ゲートG1を放電する放電電流が高くなり、ゲート電位Vg1を速く低下させることができる。
実施例3のスイッチング回路30bでは、制御IC70は、ゲートオンスイッチ63のオンによってゲートG2を充電することができるとともに、ゲートオンスイッチ63fのオンによってゲートG2を充電することもできる。ゲートオン抵抗64fの抵抗値がゲートオン抵抗64の抵抗値よりも低いので、ゲートオンスイッチ63fをオンする場合には、ゲートオンスイッチ63をオンする場合よりも、ゲートG2を充電する充電電流が高くなり、ゲート電位Vg2を速く上昇させることができる。
実施例3のスイッチング回路30bでは、制御IC70は、ゲートオフスイッチ66のオンによってゲートG2を放電することができるとともに、ゲートオフスイッチ66fのオンによってゲートG2を放電することもできる。ゲートオフ抵抗65fの抵抗値がゲートオフ抵抗65の抵抗値よりも低いので、ゲートオフスイッチ66fをオンする場合には、ゲートオフスイッチ66をオンする場合よりも、ゲートG2を放電する放電電流が高くなり、ゲート電位Vg2を速く低下させることができる。
実施例3では、制御IC70は、スイッチング素子32に対して特定電位印加動作を実行する場合には、ゲートオンスイッチ63fとゲートオフスイッチ66fを使用してゲート電位Vg2を制御し、通常動作時はゲートオンスイッチ63とゲートオフスイッチ66を使用してゲート電位Vg2を制御する。このため、特定電位印加動作時には通常動作時よりもゲートG2の充放電電流が大きくなる。すなわち、特定電位印加動作の開始タイミングt2におけるゲートG2のゲート充電電流が、ターンオン期間TtonにおけるゲートG2のゲート充電電流よりも大きくなる。また、特定電位印加動作の終了タイミングt3におけるゲートG2のゲート放電電流が、片側降伏が生じていないときのターンオフ期間TtoffにおけるゲートG2のゲート放電電流よりも大きくなる。このため、特定電位印加動作時には通常動作時よりも高速でゲート電位Vg2が変化する。この構成によれば、スイッチング素子31でアバランシェ降伏が生じたときの特定電位印加動作において素早くスイッチング素子32をスイッチングさせることができ、適切にスイッチング素子31を保護することができる。また、通常動作では比較的低速でスイッチング素子32をスイッチングさせることができ、スイッチング素子32及び第2制御回路60で生じる損失を低減できる。
また、実施例3では、制御IC70は、スイッチング素子31に対して特定電位印加動作を実行する場合には、ゲートオンスイッチ53fとゲートオフスイッチ56fを使用してゲート電位Vg1を制御し、通常動作時はゲートオンスイッチ53とゲートオフスイッチ56を使用してゲート電位Vg1を制御する。このため、特定電位印加動作時には通常動作時よりもゲートG1の充放電電流が大きくなる。このため、特定電位印加動作時には通常動作時よりも高速でゲート電位Vg1が変化する。この構成によれば、スイッチング素子32でアバランシェ降伏が生じたときの特定電位印加動作において素早くスイッチング素子31をスイッチングさせることができ、適切にスイッチング素子32を保護することができる。また、通常動作では比較的低速でスイッチング素子31をスイッチングさせることができ、スイッチング素子31及び第1制御回路50で生じる損失を低減できる。
なお、実施例3では、特定電位印加動作時に使用するゲート充放電回路の抵抗値を通常動作時に使用するゲート充放電回路の抵抗値よりも低くすることで、特定電位印加動作時の充放電電流を通常動作時のゲート充放電電流よりも高くした。しかしながら、ゲート充放電電流を定電流回路で制御する場合は、定電流回路におけるゲート充放電電流の設定値を変更することによって特定電位印加動作時の充放電電流を通常動作時のゲート充放電電流よりも高くしてもよい。また、その他の構成によって特定電位印加動作時の充放電電流を通常動作時のゲート充放電電流よりも高くしてもよい。また、特定電位印加動作時の充放電電流を通常動作時のゲート充放電電流よりも高くする構成を、上述した実施例2に適用してもよく、後述する実施例4に適用してもよい。
上述した実施例1~3のスイッチング回路30、30a、30bでは、ターンオフ期間Ttoff中に片側降伏を検出して特定電位印加動作を実行する。このため、制御IC70が、片側降伏の検出と特定電位印加動作を高速で行う必要がある。これに対し、図11に示す実施例3のスイッチング回路30cは、ターンオフ期間Ttoffよりも前のスイッチング素子31、32の状態に基づいて片側降伏が発生するか否かを判定する。スイッチング回路30cは、片側降伏が発生すると判定した場合には、その後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行する。
図11に示すように、実施例3のスイッチング回路30cは、記憶装置72を有している。記憶装置72は、アバランシェ電圧データ72aと特定電位印加動作用マップデータ72bを記憶している。アバランシェ電圧データ72aは、スイッチング素子31のアバランシェ電圧Va1とスイッチング素子32のアバランシェ電圧Va2のいずれが低いかを示すデータである。スイッチング回路30cの製造時に、アバランシェ電圧Va1、Va2の測定が実施され、その測定結果に基づいてアバランシェ電圧データ72aが記憶装置72に書き込まれる。特定電位印加動作用マップデータ72bは、特定電位印加動作時における非降伏素子のゲート電位の制御方法を規定したデータである。
図12は、実施例4において制御IC70が通常動作中に実行する処理を示している。制御IC70は、通常動作中に、図12の処理を繰り返し実行する。ステップS42は、オフ期間Toff中(例えば、図13のタイミングta)に実施される。ステップS42では、制御CI70は、電圧Vdsが基準値Vdsthよりも高いか否かを判定する。また、ステップS44は、オン期間Ton中(例えば、図13のタイミングtb)に実施される。ステップS44では、制御IC70は、電流I3(すなわち、スイッチング素子31、32に流れる総電流)が基準値I3thよりも高いか否かを判定する。ステップS42、S44のいずれかでNOと判定した場合には、制御IC70は、ステップS46で通常動作を継続する。この場合、制御IC70は、その後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行しない。ステップS42、S44の両方でYESと判定した場合には、制御IC70は、その後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行する(すなわち、ステップS48)。
オフ期間Toffにおいて電圧Vdsが高く、オン期間Tonにおいて電流I3が高いと、その後のターンオフ期間Ttoffにおいて高いサージ電圧が発生して片側降伏が発生し易い。このため、オフ期間Toffにおける電圧Vdsとオン期間Tonにおける電流I3に基づいて、その後のターンオフ期間Ttoffで片側降伏が生じるか否かを予測できる。このため、図12のように、ステップS42、S44の両方でYESと判定した場合にその後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行することで、ターンオフ期間Ttoff中に降伏素子を保護することができる。
制御IC70は、ステップS48で特定電位印加動作を実行することを決定した場合に、図14に示す処理を実行する。ステップS50、S52は、ターンオフ期間Ttoffの開始前に実行される。
ステップS50では、制御IC70は、アバランシェ電圧データ72aに基づいて、降伏素子(すなわち、その後のターンオフ期間Ttoffでアバランシェ降伏が発生するスイッチング素子)と非降伏素子を特定する。例えば、図13の場合には、アバランシェ電圧データ72aはアバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも低いことを示している。したがって、制御IC70は、スイッチング素子31を降伏素子として特定し、スイッチング素子32を非降伏素子として特定する。
ステップS52では、制御IC70は、特定電位印加動作用マップデータ72bに基づいて、ターンオフ期間Ttoff中における非降伏素子のゲート電位(すなわち、図13の場合にはゲート電位Vg2)として印加する波形を決定する。ここでは、制御IC70は、図13に示す電位Vp、印加時間Tp、及び、遅延時間Tdを決定する。特定電位印加動作用マップデータ72bは、ステップS42で検出される電圧VdsとステップS44で検出される電流I3から適切な電位Vp、印加時間Tp、及び、遅延時間Tdを特定するように構成されたマップデータである。
電位Vpは、特定電位印加動作中に非降伏素子のゲートに印加される電位(すなわち、特定電位の高さ)である。特定電位印加動作用マップデータ72bは、電流I3が大きいほど高い電位Vpが算出されるように構成されている。電流I3が大きいほど高いサージ電圧が発生して降伏素子に大きいアバランシェ電流が流れやすいので、電流I3が大きいほど電位Vpを高くすることで、降伏素子に加わる負荷を好適に軽減できる。
印加時間Tpは、特定電位印加動作の実行時間の長さである。言い換えると、印加時間Tpは、電位Vpの波形のパルス幅である。特定電位印加動作用マップデータ72bは、電流I3が大きいほど長い印加時間Tpが算出され、電圧Vdsが高いほど長い印加時間Tpが算出されるように構成されている。電流I3が大きく電圧Vdsが高いほど降伏素子に長時間アバランシェ電流が流れるので、電流I3が大きく電圧Vdsが高いほど印加時間Tpを長くすることで、降伏素子に加わる負荷を好適に軽減できる。
遅延時間Tdは、ターンオフ期間Ttoffの開始タイミングt1(すなわち、ゲート電位Vg1、Vg2をHIGHから低下させるタイミング)から特定電位印加動作の開始タイミングt2までの時間間隔である。特定電位印加動作用マップデータ72bは、電流I3が大きいほど短い遅延時間Tdが算出されるように構成されている。電流I3が大きいほど早いタイミングでアバランシェ電流が流れるので、電流I3が大きいほど遅延時間Tdを短くすることで、降伏素子に加わる負荷を好適に軽減できる。
ステップS52で非降伏素子のゲートに印加する電位の波形を決定すると、制御IC70は、ターンオフ期間Ttoffの開始タイミングt1と同時にステップS54を実行する。すなわち、制御IC70は、ターンオフ期間Ttoffの開始タイミングt1において、非降伏素子のゲート電位(すなわち、図13ではゲート電位Vg2)がステップS52で決定した波形となるようにそのゲート電位を制御する。したがって、ターンオフ期間Ttoff中に片側降伏が生じたときに、電流がスイッチング素子31、32に分散して流れ、降伏素子(すなわち、図13ではスイッチング素子31)に加わる負荷が軽減される。
以上に説明したように、実施例4のスイッチング回路30cは、ターンオフ期間Ttoffよりも前にスイッチング素子31、32の状態に基づいて片側降伏が発生するか否かを判定し、片側降伏が発生すると判定した場合にはその後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行する。したがって、この構成によれば、ターンオフ期間中にアバランシェ降伏を検出する場合よりも、スイッチング回路30cに要求される応答速度が低い。言い換えると、この構成によれば、応答速度が低いスイッチング回路でも、特定電位印加動作を実行することができる。
なお、図13では、実施例1と同様に、特定電位印加動作中にゲート電源62が出力する電位VCC2を低下させることによって電位Vpを出力している。しかしながら、実施例2のように信号Sig2を高周波で振動させることによって電位Vpを出力してもよい。
また、実施例4では、制御IC70が、電圧Vdsと電流I3に基づいて電位Vp、印加時間Tp、及び、遅延時間Tdを調整した。しかしながら、電位Vp、印加時間Tp、及び、遅延時間Tdの調整を行わず、電位Vp、印加時間Tp、及び、遅延時間Tdが固定値であってもよい。このような構成でも、降伏素子の負荷を軽減することは可能である。
また、実施例4では、制御IC70が、電圧Vdsと電流I3に基づいて特定電位印加動作を実行するか否かを決定した。しかしながら、オン期間Ton中における電流I3のみに基づいてその後のターンオフ期間Ttoffで特定電位印加動作を実行するか否かを決定してもよい。
また、実施例4では、記憶装置72が、アバランシェ電圧データ72a(すなわち、スイッチング素子31のアバランシェ電圧Va1とスイッチング素子32のアバランシェ電圧Va2のいずれが低いかを示すデータ)を記憶していた。しかしながら、スイッチング回路30cの製造工程において、アバランシェ電圧Va1がアバランシェ電圧Va2よりも低くなるように(または、その逆となるように)スイッチング素子31、32を選定して実装してもよい。この場合には、記憶装置72がアバランシェ電圧データ72aを記憶していなくてもよい。
以下に、本願明細書に記載のスイッチング回路の特徴を列記する。
(項目1)
スイッチング回路であって、
第1配線(36)と、
第2配線(38)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に接続された第1スイッチング素子(31)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に前記第1スイッチング素子に対して並列に接続された第2スイッチング素子(32)と、
前記第1スイッチング素子のゲートと前記第2スイッチング素子のゲートに接続されているゲート制御回路(40)、
を有し、
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間(Ton)と前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間(Toff)とが交互に繰り返されるように前記第1スイッチング素子のゲート電位と前記第2スイッチング素子のゲート電位を制御し、
前記ゲート制御回路が、前記オン期間から前記オフ期間へ移行するターンオフ期間(Ttoff)において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する、
スイッチング回路。
(項目2)
前記特定電位が、前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位(Von)よりも低い、項目1に記載のスイッチング回路。
(項目3)
前記非降伏素子のゲートを充電する電源(62)を有し、
前記特定電位印加動作では、前記オン期間よりも前記電源の出力電圧(VCC2)を低下させる、
項目2に記載のスイッチング回路。
(項目4)
前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において前記非降伏素子に流れる主電流(I2)に基づいて前記電源の前記出力電圧をフィードバック制御する、項目3に記載のスイッチング回路。
(項目5)
前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において、前記非降伏素子のゲートの充電と放電を交互に繰り返すことによって前記特定電位を前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位よりも低い値に制御する、項目2に記載のスイッチング回路。
(項目6)
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏している降伏素子に流れる主電流(I1)がゼロまで低下したときに前記特定電位の印加を停止する、項目1~5のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目7)
前記ゲート制御回路が、前記ターンオフ期間に、前記第1配線と前記第2配線の間の電圧(Vds)と、前記第1スイッチング素子の主電流(I1)と、前記第2スイッチング素子の主電流(I2)に基づいて、前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目8)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子に流れる総電流(I3)に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目9)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位(Vp)を高くする、項目8に記載のスイッチング回路。
(項目10)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間(Tp)を長くする、項目8または9に記載のスイッチング回路。
(項目11)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記ターンオフ期間において前記非降伏素子のゲート電位を低下させるタイミングから前記特定電位印加動作を開始するタイミングまでの間隔(Td)を短くする、項目8~10のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目12)
前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の電圧に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目8~11のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目13)
前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の前記電圧が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間を長くする、項目12に記載のスイッチング回路。
(項目14)
前記特定電位の印加開始時における前記非降伏素子のゲート充電電流が、前記オフ期間から前記オン期間への移行時における前記非降伏素子のゲート充電電流よりも大きい、項目1~13のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目15)
前記特定電位の印加停止時における前記非降伏素子のゲート放電電流が、前記片側降伏が生じていないときの前記ターンオフ期間における前記非降伏素子のゲート放電電流よりも大きい、項目1~14のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目16)
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子のアバランシェ電圧と前記第2スイッチング素子のアバランシェ電圧のいずれが高いかを記憶する記憶部(72)を有しており、
前記ゲート制御回路が、前記片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ電圧が高い方のスイッチング素子を前記非降伏素子として制御する、
項目1~15のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目1)
スイッチング回路であって、
第1配線(36)と、
第2配線(38)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に接続された第1スイッチング素子(31)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に前記第1スイッチング素子に対して並列に接続された第2スイッチング素子(32)と、
前記第1スイッチング素子のゲートと前記第2スイッチング素子のゲートに接続されているゲート制御回路(40)、
を有し、
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間(Ton)と前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間(Toff)とが交互に繰り返されるように前記第1スイッチング素子のゲート電位と前記第2スイッチング素子のゲート電位を制御し、
前記ゲート制御回路が、前記オン期間から前記オフ期間へ移行するターンオフ期間(Ttoff)において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する、
スイッチング回路。
(項目2)
前記特定電位が、前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位(Von)よりも低い、項目1に記載のスイッチング回路。
(項目3)
前記非降伏素子のゲートを充電する電源(62)を有し、
前記特定電位印加動作では、前記オン期間よりも前記電源の出力電圧(VCC2)を低下させる、
項目2に記載のスイッチング回路。
(項目4)
前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において前記非降伏素子に流れる主電流(I2)に基づいて前記電源の前記出力電圧をフィードバック制御する、項目3に記載のスイッチング回路。
(項目5)
前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において、前記非降伏素子のゲートの充電と放電を交互に繰り返すことによって前記特定電位を前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位よりも低い値に制御する、項目2に記載のスイッチング回路。
(項目6)
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏している降伏素子に流れる主電流(I1)がゼロまで低下したときに前記特定電位の印加を停止する、項目1~5のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目7)
前記ゲート制御回路が、前記ターンオフ期間に、前記第1配線と前記第2配線の間の電圧(Vds)と、前記第1スイッチング素子の主電流(I1)と、前記第2スイッチング素子の主電流(I2)に基づいて、前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目8)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子に流れる総電流(I3)に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目9)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位(Vp)を高くする、項目8に記載のスイッチング回路。
(項目10)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間(Tp)を長くする、項目8または9に記載のスイッチング回路。
(項目11)
前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記ターンオフ期間において前記非降伏素子のゲート電位を低下させるタイミングから前記特定電位印加動作を開始するタイミングまでの間隔(Td)を短くする、項目8~10のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目12)
前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の電圧に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、項目8~11のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目13)
前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の前記電圧が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間を長くする、項目12に記載のスイッチング回路。
(項目14)
前記特定電位の印加開始時における前記非降伏素子のゲート充電電流が、前記オフ期間から前記オン期間への移行時における前記非降伏素子のゲート充電電流よりも大きい、項目1~13のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目15)
前記特定電位の印加停止時における前記非降伏素子のゲート放電電流が、前記片側降伏が生じていないときの前記ターンオフ期間における前記非降伏素子のゲート放電電流よりも大きい、項目1~14のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
(項目16)
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子のアバランシェ電圧と前記第2スイッチング素子のアバランシェ電圧のいずれが高いかを記憶する記憶部(72)を有しており、
前記ゲート制御回路が、前記片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ電圧が高い方のスイッチング素子を前記非降伏素子として制御する、
項目1~15のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
30:スイッチング回路、31:スイッチング素子、32:スイッチング素子、50:第1制御回路、60:第2制御回路、70:制御IC
Claims (16)
- スイッチング回路であって、
第1配線(36)と、
第2配線(38)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に接続された第1スイッチング素子(31)と、
前記第1配線と前記第2配線の間に前記第1スイッチング素子に対して並列に接続された第2スイッチング素子(32)と、
前記第1スイッチング素子のゲートと前記第2スイッチング素子のゲートに接続されているゲート制御回路(40)、
を有し、
前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオンしているオン期間(Ton)と前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の両方がオフしているオフ期間(Toff)とが交互に繰り返されるように前記第1スイッチング素子のゲート電位と前記第2スイッチング素子のゲート電位を制御し、
前記ゲート制御回路が、前記オン期間から前記オフ期間へ移行するターンオフ期間(Ttoff)において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のいずれか一方がアバランシェ降伏する片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏していない非降伏素子のゲートにゲート閾値よりも高い特定電位を印加する特定電位印加動作を実行する、
スイッチング回路。 - 前記特定電位が、前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位(Von)よりも低い、請求項1に記載のスイッチング回路。
- 前記非降伏素子のゲートを充電する電源(62)を有し、
前記特定電位印加動作では、前記オン期間よりも前記電源の出力電圧(VCC2)を低下させる、
請求項2に記載のスイッチング回路。 - 前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において前記非降伏素子に流れる主電流(I2)に基づいて前記電源の前記出力電圧をフィードバック制御する、請求項3に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記特定電位印加動作において、前記非降伏素子のゲートの充電と放電を交互に繰り返すことによって前記特定電位を前記オン期間における前記非降伏素子のゲート電位よりも低い値に制御する、請求項2に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ降伏している降伏素子に流れる主電流(I1)がゼロまで低下したときに前記特定電位の印加を停止する、請求項1に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記ターンオフ期間に、前記第1配線と前記第2配線の間の電圧(Vds)と、前記第1スイッチング素子の主電流(I1)と、前記第2スイッチング素子の主電流(I2)に基づいて、前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オン期間において前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子に流れる総電流(I3)に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位(Vp)を高くする、請求項8に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間(Tp)を長くする、請求項8に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オン期間における前記総電流が大きいほど、その後の前記ターンオフ期間において前記非降伏素子のゲート電位を低下させるタイミングから前記特定電位印加動作を開始するタイミングまでの間隔(Td)を短くする、請求項8に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の電圧に基づいて、その後の前記ターンオフ期間に前記特定電位印加動作を実行するか否かを判定する、請求項8に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記オフ期間における前記第1配線と前記第2配線の間の前記電圧が大きいほど、その後の前記特定電位印加動作における前記特定電位の印加時間を長くする、請求項12に記載のスイッチング回路。
- 前記特定電位の印加開始時における前記非降伏素子のゲート充電電流が、前記オフ期間から前記オン期間への移行時における前記非降伏素子のゲート充電電流よりも大きい、請求項1に記載のスイッチング回路。
- 前記特定電位の印加停止時における前記非降伏素子のゲート放電電流が、前記片側降伏が生じていないときの前記ターンオフ期間における前記非降伏素子のゲート放電電流よりも大きい、請求項1に記載のスイッチング回路。
- 前記ゲート制御回路が、前記第1スイッチング素子のアバランシェ電圧と前記第2スイッチング素子のアバランシェ電圧のいずれが高いかを記憶する記憶部(72)を有しており、
前記ゲート制御回路が、前記片側降伏が生じているときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子のうちのアバランシェ電圧が高い方のスイッチング素子を前記非降伏素子として制御する、
請求項1に記載のスイッチング回路。
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JP2022063897A Pending JP2023154532A (ja) | 2022-04-07 | 2022-04-07 | スイッチング回路 |
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