JP2023153700A - 音響システム、及びイヤホン - Google Patents

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Abstract

【課題】適切に伝達特性を測定することができる音響システム、及びイヤホンを提供する。【解決手段】本実施の形態にかかる音響システムは、イヤホン43と、処理装置301と、を備え、イヤホン43は、ハウジング210から前方側に延びており、外耳道内の音をマイク230に伝達する音導管231と、を備えている。処理装置301は、収音信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部321と、音導管231のチューブ特性を打ち消す処理を行う第1補正処理部331と、耳道共振特性を補正する第2補正処理部333と、補正後の周波数特性に基づいて、逆フィルタを生成する逆フィルタ生成部340と、を備えている。【選択図】図3

Description

本開示は、音響システム、及びイヤホンに関する。
音像定位技術として、ヘッドホンを用いて受聴者の頭部の外側に音像を定位させる頭外定位技術がある。頭外定位技術では、ヘッドホンから耳までの特性(ヘッドホン特性)をキャンセルし、1つのスピーカ(モノラルスピーカ)から耳までの2本の特性(空間音響伝達特性)を与えることにより、音像を頭外に定位させている。
ステレオスピーカの頭外定位再生においては、2チャンネル(以下、chと記載)のスピーカから発した測定信号(インパルス音等)を聴取者(リスナー)本人の耳に設置したマイクロフォン(以下、マイクとする)で録音する。そして、測定信号を収音して得られた収音信号に基づいて、処理装置がフィルタを生成する。生成したフィルタを2chのオーディオ信号に畳み込むことにより、頭外定位再生を実現することができる。
さらに、ヘッドホンから耳までの特性をキャンセルするフィルタ(逆フィルタともいう)を生成するために、ヘッドホンから耳元乃至鼓膜までの特性(外耳道伝達関数ECTF、外耳道伝達特性とも称する)を聴取者本人の耳に設置したマイクで測定する。
特許文献1には、マイクを実装したイヤホンが開示されている。特許文献1のイヤホンでは、ハウジング内にスピーカが収容されている。また、ハウジングには外耳道に伸びる音筒部が設けられている。マイクが音筒部に配置されている。マイクは、音筒部を閉塞しないように設けられている。
特開2015-126267号公報
特許文献1のイヤホンをユーザが装着することで、ユーザ個人の外耳道伝達特性(個人特性とも言う)を測定することができる。しかしながら、イヤホンの音筒部にマイクが設けられているため、外耳道伝達特性に影響を与えてしまうおそれがある。よって、精度良く外耳道伝達特性を測定することができない場合がある。外耳道伝達特性をキャンセルする逆フィルタを適切に生成することができないおそれがある。
本開示は上記の点に鑑みなされたものであり、適切に特性を測定することができる音響システム、及びイヤホンを提供することを目的とする。
本実施の形態にかかる音響システムは、音声信号を出力するドライバユニットと前記ドライバユニットの前方側に配置されたマイクとを備え、ユーザの耳に装着されるイヤホンと、前記マイクで収音された収音信号に対して処理を行う処理装置と、を備えた音響システムであって、前記イヤホンは、前記マイク及びドライバユニットを収容するハウジングと、前記ハウジングから前方側に延びており、前記ドライバユニットから出力される出力信号を伝達する音筒と、前記ハウジングから前記前方側に延びており、外耳道内の音を前記マイクに伝達する音導管と、を備え、前記処理装置は、前記ドライバユニットから出力される測定信号を生成する測定信号生成部と、前記マイクで収音された収音信号を取得する収音信号取得部と、前記収音信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部と、前記音導管のチューブ特性を打ち消す処理を行う第1補正処理部と、耳道共振特性を補正する第2補正処理部と、補正後の周波数特性に基づいて、逆フィルタを生成する逆フィルタ生成部と、を備えている。
本実施の形態にかかるイヤホンは、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、信号を出力するドライバユニットと、前記ハウジングに収容され、前記ドライバユニットよりも前側に配置されたマイクと、前記ハウジングから前方側に延びており、前記ドライバユニットから出力される信号を伝達する音筒と、前記ハウジングから前方側に延びており、外耳道内の音を前記マイクに伝達する音導管と、前記音筒に取り付けられるイヤーピースであって、前記音筒が設けられる第1貫通穴と、前記音導管が設けられる第2貫通穴とを、備えたイヤーピースと、を備えている。
本開示によれば、適切に伝達特性を測定することができる音響システム、及びイヤホンを提供することを目的とすることができる。
本実施の形態に係る頭外定位処理装置を示すブロック図である。 外耳道伝達特性を測定する測定装置の構成を模式的に示す図である。 イヤホンの内部構造を模式的に示す断面図である。 イヤホンの構成を示す模式図である。 処理装置の構成を示す制御ブロック図である。 両端閉管と片側開管の場合の波長と共振周波数を説明するための図である。 耳道共振特性を補正する処理を説明するための図である。 測定装置における測定方法を示すフローチャートである。 処理装置における逆フィルタ算出方法を示すフローチャートである。 逆フィルタに基づいて、空間音響フィルタを決定する処理について説明する。 実施野形態2にかかるイヤホンの内部構造を模式的に示す断面図である。 実施の形態2にイヤホンの構成を模式的に示す図である。
本実施の形態にかかる音像定位処理の概要について説明する。本実施の形態にかかる頭外定位処理は、空間音響伝達特性と外耳道伝達特性を用いて頭外定位処理を行うものである。空間音響伝達特性は、スピーカなどの音源から外耳道までの伝達特性である。外耳道伝達特性は、ヘッドホン又はイヤホンのスピーカユニットから鼓膜までの伝達特性である。本実施の形態では、ヘッドホン又はイヤホンを装着していない状態での空間音響伝達特性を測定し、かつ、ヘッドホン又はイヤホンを装着した状態での外耳道伝達特性(ヘッドホン特性又はイヤホン特性ともいう)を測定し、それらの測定データを用いて頭外定位処理を実現している。本実施の形態の技術的特徴の一つは、外耳道伝達特性を測定して、逆フィルタを生成するための音響システムに関している。
本実施の形態にかかる頭外定位処理は、パーソナルコンピュータ、スマートホン、タブレットPCなどのユーザ端末で実行される。ユーザ端末は、プロセッサ等の処理手段、メモリやハードディスクなどの記憶手段、液晶モニタ等の表示手段、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウスなどの入力手段を有する情報処理装置である。ユーザ端末は、データを送受信する通信機能を有していてもよい。さらに、ユーザ端末には、ヘッドホン又はイヤホンを有する出力手段(出力ユニット)が接続される。ユーザ端末と出力手段との接続は、有線接続でも無線接続でもよい。
実施の形態1.
(頭外定位処理装置)
本実施の形態にかかる音場再生装置の一例である、頭外定位処理装置100のブロック図を図1に示す。頭外定位処理装置100は、イヤホン43を装着するユーザUに対して音場を再生する。そのため、頭外定位処理装置100は、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRについて、音像定位処理を行う。LchとRchのステレオ入力信号XL、XRは、CD(Compact Disc)プレイヤーなどから出力されるアナログのオーディオ再生信号、又は、mp3(MPEG Audio Layer-3)等のデジタルオーディオデータである。なお、オーディオ再生信号、又はデジタルオーディオデータをまとめて再生信号と称する。すなわち、LchとRchのステレオ入力信号XL、XRが再生信号となっている。
なお、頭外定位処理装置100は、物理的に単一な装置に限られるものではなく、一部の処理が異なる装置で行われてもよい。例えば、一部の処理がスマートホンなどにより行われ、残りの処理がイヤホン43に内蔵されたDSP(Digital Signal Processor)などにより行われてもよい。
頭外定位処理装置100は、頭外定位処理部10、逆フィルタLinvを格納するフィルタ部41、逆フィルタRinvを格納するフィルタ部42、及びイヤホン43を備えている。頭外定位処理部10、フィルタ部41、及びフィルタ部42は、具体的にはプロセッサ等により実現可能である。
頭外定位処理部10は、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを格納する畳み込み演算部11~12、21~22、及び加算器24、25を備えている。畳み込み演算部11~12、21~22は、空間音響伝達特性を用いた畳み込み処理を行う。頭外定位処理部10には、CDプレイヤーなどからのステレオ入力信号XL、XRが入力される。頭外定位処理部10には、空間音響伝達特性が設定されている。頭外定位処理部10は、各chのステレオ入力信号XL、XRに対し、空間音響伝達特性のフィルタ(以下、空間音響フィルタとも称する)を畳み込む。空間音響伝達特性は被測定者の頭部や耳介で測定した頭部伝達関数HRTFでもよいし、ダミーヘッドまたは第三者の頭部伝達関数であってもよい。
4つの空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを1セットとしたものを空間音響伝達関数とする。畳み込み演算部11、12、21、22で畳み込みに用いられるデータが空間音響フィルタとなる。空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsを所定のフィルタ長で切り出すことで、空間音響フィルタが生成される。
空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsのそれぞれは、インパルス応答測定などにより、事前に取得されていてもよい。例えば、ユーザUが左右の耳にマイクをそれぞれ装着する。ユーザUの前方に配置された左右のスピーカが、インパルス応答測定を行うための、インパルス音をそれぞれ出力する。そして、スピーカから出力されたインパルス音等の測定信号をマイクで収音する。マイクでの収音信号に基づいて、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsが取得される。左スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hls、左スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hlo、右スピーカと左マイクとの間の空間音響伝達特性Hro、右スピーカと右マイクとの間の空間音響伝達特性Hrsが測定される。
そして、畳み込み演算部11は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hlsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部11は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。畳み込み演算部21は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hroに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部21は、畳み込み演算データを加算器24に出力する。加算器24は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部41に出力する。
畳み込み演算部12は、Lchのステレオ入力信号XLに対して空間音響伝達特性Hloに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部12は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。畳み込み演算部22は、Rchのステレオ入力信号XRに対して空間音響伝達特性Hrsに応じた空間音響フィルタを畳み込む。畳み込み演算部22は、畳み込み演算データを、加算器25に出力する。加算器25は2つの畳み込み演算データを加算して、フィルタ部42に出力する。
フィルタ部41、42にはイヤホン特性(イヤホン43のドライバユニットとマイク間の特性)をキャンセルする逆フィルタLinv、Rinvが設定されている。そして、頭外定位処理部10での処理が施された再生信号(畳み込み演算信号)に逆フィルタLinv、Rinvを畳み込む。フィルタ部41で加算器24からのLch信号に対して、Lch側のイヤホン特性(外耳道伝達特性)の逆フィルタLinvを畳み込む。同様に、フィルタ部42は加算器25からのRch信号に対して、Rch側のイヤホン特性(外耳道伝達特性)の逆フィルタRinvを畳み込む。逆フィルタLinv、Rinvは、イヤホン43を装着した場合に、ドライバユニットからマイクまでの特性をキャンセルする。後述するように、マイクは、イヤホン43に実装されている。例えば、ノイズキャンセル用のフィードバックマイクを用いて、外耳道伝達特性を測定することができる。
フィルタ部41は、処理されたLch信号YLをイヤホン43の左ユニット43Lに出力する。フィルタ部42は、処理されたRch信号YRをイヤホン43の右ユニット43Rに出力する。ユーザUは、イヤホン43を装着している。イヤホン43は、Lch信号YLとRch信号YR(以下、Lch信号YLとRch信号YRをまとめてステレオ信号とも称する)をユーザUに向けて出力する。これにより、ユーザUの頭外に定位された音像を再生することができる。
このように、頭外定位処理装置100は、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、イヤホン特性(外耳道伝達特性)の逆フィルタLinv,Rinvを用いて、頭外定位処理を行っている。以下の説明において、空間音響伝達特性Hls、Hlo、Hro、Hrsに応じた空間音響フィルタと、イヤホン特性の逆フィルタLinv,Rinvとをまとめて頭外定位処理フィルタとする。2chのステレオ再生信号の場合、頭外定位フィルタは、4つの空間音響フィルタと、2つの逆フィルタとから構成されている。そして、頭外定位処理装置100は、ステレオ再生信号に対して合計6個の頭外定位フィルタを用いて畳み込み演算処理を行うことで、頭外定位処理を実行する。頭外定位フィルタは、ユーザU個人の測定に基づくものであることが好ましい。例えば,ユーザUの耳に装着されたマイクが収音した収音信号に基づいて、頭外定位フィルタが設定されている。
このように空間音響フィルタと、外耳道伝達特性の逆フィルタLinv,Rinvはオーディオ信号用のフィルタである。これらのフィルタが再生信号(ステレオ入力信号XL、XR)に畳み込まれることで、頭外定位処理装置100が、頭外定位処理を実行する。本実施の形態では、外耳道伝達特性の逆フィルタを生成する処理が技術的特徴の一つとなっている。
なお,空間音響フィルタについては、ユーザUの個人測定に基づいて生成されたものを用いることができる。例えば、ユーザの前方に配置された左右のスピーカと、耳に装着されたマイクとを用いたインパルス応答測定により、ユーザUの空間音響伝達特性の個人特性を測定することができる。これにより、ユーザUに適した空間音響フィルタが頭外定位処理部10に設定される。空間音響伝達特性の個人特性を測定する方法については、公知の手法を用いることができるため、説明を省略する。
あるいは、ユーザU以外の被測定者で測定された空間音響伝達特性に基づく空間音響フィルタが、頭外定位処理部10に設定されていてもよい。例えば、サーバが、複数の被測定者の空間音響フィルタを予めデータベースとして記憶しておく。サーバが、外耳道伝達特性の個人測定の測定結果に基づいて、データベースの中からユーザUに最適な空間音響フィルタを選択する。具体的には、サーバは、ユーザの外耳道伝達特性と類似する外耳道伝達特性を持つ被測定者を特定して、その被測定者の空間音響フィルタを選択する。外耳道伝達特性が類似するユーザUと被測定者は、耳の形状の類似している。このため、空間音響特性についても類似していると類推される。なお、空間音響フィルタをデータベースから抽出する手法については,公知の手法を用いることができるため,説明を省略する。
(外耳道伝達特性の測定装置)
外耳道伝達特性の測定装置300について、図2を用いて説明する。図2は、ユーザUに対して伝達特性を測定するための構成を示している。測定装置300は、逆フィルタを生成するための音響システムとして機能する。測定装置300は、逆フィルタを生成するために、外耳道伝達特性を測定する。測定装置300は、イヤホン43と、処理装置301と、を備えている。なお、ここでは、被測定者1は、図1のユーザUと同一人物となっているが、異なる人物であってもよい。
本実施の形態では、測定装置300の処理装置301が、測定結果に応じて、フィルタを適切に生成するための演算処理を行っている。処理装置301は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートホン等であり、メモリ、及びプロセッサを備えている。メモリは、処理プログラムや各種パラメータや測定データなどを記憶している。プロセッサは、メモリに格納された処理プログラムを実行する。プロセッサが処理プログラムを実行することで、各処理が実行される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、GPU(Graphics Processing Unit)等であってもよい。処理装置301は、頭外定位処理装置100と同じ処理装置であってもよく、異なる処理装置であってよい。
処理装置301には、イヤホン43が接続されている。被測定者1は、イヤホン43を装着している。イヤホン43は、左ユニット43Lと右ユニット43Rとを備えている。左ユニット43Lは、被測定者1の左耳9Lに装着され、右ユニット43Rは被測定者の右耳9Rに装着される。イヤホン43は、マイク付きイヤホンである。イヤホン43は、例えば、ノイズキャンセル用のフィードバックマイクを有している。つまり、左ユニット43Lはドライバユニットとマイクを備えている。右ユニット43Rも同様に、ドライバユニットとマイクを備えている。
処理装置301はイヤホン43のドライバユニットの測定信号を出力する。これにより、左右のドライバユニットがインパルス音をそれぞれ出力する。そして、左右のマイクがインパルス音をそれぞれ収音する。処理装置301は、それぞれのマイクが収音した収音信号を取得する。測定信号の出力時に、マイクが収音信号を取得することで、インパルス応答測定が実施される。処理装置301は、収音信号に処理を行うことで、逆フィルタLinv、Rinvを生成する。イヤホン43は、図1のイヤホン43と物理的に同一なイヤホンであってもよく、同一でなくてもよい。
次に、図3、及び図4を用いて、イヤホン43の構成について説明する。図3は、イヤホン43の右ユニット43Rの構成を模式的に示す断面図である。図4は、右ユニット43Rの構成を模式的に示す断面図である。具体的には、図3はイヤホン43の軸AXを含む平面に沿った断面図であり、図4は軸AXと直交する平面に沿った断面図である。なお、軸AXは右ユニット43Rから出力される音の伝搬方向となっている。よって軸AXは、外耳道ECに沿った方向と平行になる。右ユニット43Rは後述するマイク230及び音導管231を除いて,軸AXに対して回転対称となっている。
なお、左ユニット43Lと右ユニット43Rは、左右対称で同様の構成となっている。このため、右ユニット43Rの構成及び処理を中心に説明し、左ユニット43Lの説明については適宜省略する。図3において左側が、耳奥側(鼓膜側)であり、右側が外耳道の外側となっている。以下、耳奥側を前側とし、外耳道の外側を後ろ側として、イヤホン43の構成について説明する。外耳道ECの耳奥側には鼓膜EDが設けられている。つまり、前後方向は軸方向と平行な方向として規定する。
外耳道ECを規定する内壁ECWと鼓膜EDと右ユニット43Rによって、外耳道ECは閉空間となる。被測定者1が右ユニット43Rを装着した状態で、外耳道ECが右ユニット43Rで塞がれるため、外耳道ECは、両端閉管となる。また、被測定者1が右ユニット43Rを右耳から外すと、外耳道ECは片側開管となる。
右ユニット43Rは、ハウジング210とドライバユニット220とマイク230とイヤーピース250とを備えている。ハウジング210は、外耳道ECの外側に配置される。つまり、ハウジング210は、耳介(不図示)の周辺に装着される。ハウジング210には、ドライバユニット220とマイク230が収容される。ハウジング210は、ドライバユニット220とマイク230とを収容する収容空間212を備えた筐体である。ドライバユニット220は、音声信号を出力する。
ハウジング210には、前側に突出した音筒221が設けられている。音筒221はハウジング210から前方に延びる円筒状になっている。音筒221の中心は軸中心と一致している。音筒221によって規定される空間を伝達空間222とする。ドライバユニット220から出力される音は、伝達空間222を通って、前側に伝達する。しドライバユニット220から出力される音は、伝達空間222を伝達して、外耳道ECに伝播する。
音筒221の中心を通り、軸AXに沿った直線上にドライバユニット220が配置されている。ドライバユニット220は、音筒221に面するように配置されている。ドライバユニット220は、イヤホンスピーカ(イヤホンドライバともいう)である。ドライバユニット220は、ボイスコイルモータやMEMS(Micro Electrical Mechanical System)スピーカなどのアクチュエータを備えている。ドライバユニット220は、振動板などを備えていてもよい。ドライバユニット220は、音筒221に向けて測定信号や再生信号を出力する。したがって、ドライバユニット220から出力される音は、外耳道ECを通って、鼓膜EDに到達する。
音筒221の前側部分は外耳道EC内に挿入される。つまり、前後方向において、音筒221の前側部分は、外耳道ECの内壁ECWがある位置になるように、右ユニット43Rが外耳道ECに差し込まれる。音筒221の前端には、ダストネット224が設けられている。ダストネット224は、不織布やメッシュなどで形成されており、収容空間212へのダストの侵入を防ぐ。
音筒221の外周側には、イヤーピース250が取り付けられている。イヤーピース250は音筒221に脱着可能に設けられている。イヤーピース250は、外耳道ECの内壁ECWと当接する部分であり、弾性材料により形成されている。イヤーピース250は、ハウジング210,音筒221及び音導管231よりも柔らかい材料で形成される。例えば、イヤーピース250は、シリコーン樹脂材料等により形成されている。イヤーピース250は外耳道ECに圧入される。例えば、イヤーピース250は、中空砲弾状に形成されている。
イヤーピース250の中心には、図4に示すように、第1貫通穴251が設けられている。イヤーピース250の第1貫通穴251に音筒221が挿入される。図4に示すように、第1貫通穴251は断面円形であり、その中心は軸AXと一致している。音筒221が、イヤーピース250に嵌め込まれる。
さらに、ハウジング210には、前側に突出した音導管231が設けられている。音導管231は、軸AXと平行な円筒状に形成されている。音導管231で規定される空間を収音空間232とする。つまり、音導管231の中空部分が収音空間232となる。音導管231は、軸AXと直交する平面において、音筒221からずれて配置されている。つまり、音導管231の中心は軸AXからずれている。音導管231は、音筒221と平行になっており、前後方向に延びている。このように、ハウジング210からは音導管231と音筒221の2つの円筒が延びている。
音導管231は、イヤーピース250を貫通している。つまり、イヤーピース250には、図4に示すように、音導管231を設けるための第2貫通穴252が設けられている。第2貫通穴252は軸AXからずれて配置されている。前側において、音導管231の先端位置は、イヤーピース250の先端位置と一致している。なお、音導管231は、イヤーピース250よりも前側に突出していてもよい。
マイク230が音導管231の後ろ側の端部に面するように配置されている。マイク230はMEMSマイク等のマイク素子を有している。マイク230は、ドライバユニット220よりも前側に配置されている。つまり、マイク230は、ドライバユニット220よりも鼓膜EDに近い位置に配置されている。マイク230はノイズキャンセル用のフィードバックマイクとして用いられても良い。ハウジング210には、マイク230とドライバユニット220とを隔てる隔壁が設けられていてもよい。隔壁を設けることで、ハウジング210内において、ドライバユニット220から出力される音をマイク230が直接収音することを防ぐことができる。
外耳道EC内の音は、収音空間232を通ってマイク230で収音される。ドライバユニット220から出力された音が、収容空間212、伝達空間222、外耳道EC、及び収音空間232をこの順で通ってマイク230に到達する。これにより、マイク230がドライバユニット220から出力された音を収音することができる。
音導管231は、ハウジング210と一体的に形成されていてもよく、ハウジング210と別体として取り付けられていてもよい。音導管231とハウジング210とを一体に形成する場合、一体成形した樹脂成形品とすればよい。音導管231をハウジング210と別体とする場合、樹脂材料で音導管231を形成すればよい。音導管231はイヤーピース250よりも固い材料とする。音導管231をイヤーピース250の第2貫通穴252に差し込めばよい。そして、ハウジング210の内面には、マイク230の前面に収音口を設けておけばよい。そして、収音口と音導管231を繋げればよい。
図5を用いて、処理装置301と、その処理について詳細に説明する。図5は、測定装置300を示す制御ブロック図である。処理装置301は、測定信号生成部310と、収音信号取得部320と、周波数特性取得部321と、補正部330と、反転特性算出部334と、逆フィルタ生成部340と、記憶部341と、を備えている。測定装置300は、逆フィルタを生成する音響システムとして機能することが可能である。
測定信号生成部310は、D/A(Digital to Analog)変換器やアンプなどを備えており、外耳道伝達特性を測定するための測定信号を生成する。測定信号は、例えば、インパルス信号やTSP(Time Stretched Pulse)信号、周波数スイープ信号、M系列(Maximum Length Sequence)信号等である。ここでは、測定信号としてインパルス音を用いて、測定装置300がインパルス応答測定を実施している。測定信号生成部310は測定信号をドライバユニット220に出力する。よって、測定信号に応じたインパルス音がドライバユニット220から出力される。
マイク230が測定信号を収音し、収音信号を処理装置301に出力する。収音信号取得部320は、マイク230で収音された収音信号を取得する。なお、収音信号取得部320は、マイク230からの収音信号をA/D(Analog to Digital)変換するA/D変換器を備えていてもよい。収音信号取得部320は、複数回の測定により得られた信号を同期加算してもよい。
周波数特性取得部321は、収音信号の周波数特性を取得する。周波数特性取得部321は、離散フーリエ変換や離散コサイン変換により、収音信号の周波数特性をそれぞれ算出する。周波数特性取得部321は、例えば、時間領域の収音信号をFFT(高速フーリエ変換)することで、周波数特性を算出する。周波数特性は、振幅スペクトルと、位相スペクトルとを含んでいる。なお、周波数特性取得部321は振幅スペクトルの代わりにパワースペクトルを生成してもよい。また、TSP信号などを測定信号として用いる場合、周波数特性取得部321が、収音信号からインパルス応答を算出するための処理を行ってもよい。
補正部330は、収音信号の周波数特性を補正する。具体的には、補正部330は、収音信号の周波数振幅特性の振幅値(ゲイン)を増減させる。補正部330は、第1補正処理を行う第1補正処理部331と、逆特性算出部332と、第2補正処理を行う第2補正処理部333とを備えている。
第1補正処理部331は、周波数特性に対して、音導管231のチューブ特性を補正する第1の補正処理を行う。チューブ特性は、音導管231の伝達特性を示すものである。つまり、チューブ特性は、音導管231単体の伝達特性となる。例えば、事前に音導管231の単体でインパルス応答測定などを行うことでチューブ特性を求めることができる。具体的には、音導管231の一端にスピーカを配置し、他端にマイク230を配置する。事前にインパルス応答測定等を行うことでチューブ特性を求めることができる。
処理装置301は、事前測定結果に基づいて、音導管231のチューブ特性の周波数振幅特性を求めておく。つまり、処理装置301は、事前測定での収音結果から得られたチューブ特性信号の振幅スペクトルを求めておく。例えば、処理装置301はフーリエ変換などにより、音導管231単体のチューブ特性の振幅スペクトルを求めることができる。第1補正処理部331は、外耳道伝達特性の周波数振幅特性に対してチューブ特性の振幅スペクトルを打ち消すような処理を行う。第1補正処理部331は、チューブ特性の振幅スペクトルをキャンセルするような第1補正係数を求めて、その第1補正係数を周波数特性の振幅スペクトルに加算又は減算してもよい。第1補正処理が行われた周波数振幅特性を補正済み振幅特性とも称する。
逆特性算出部332は、補正済み振幅特性の逆特性を算出する。逆特性算出部332は、補正済み振幅特性を打ち消す特性を逆特性として算出する。補正済み振幅特性を基準ゲイン(0dB)に対して正負反転した振幅特性が逆特性となる。
第2補正処理部333は、逆特性に対して、第2の補正処理を行う。第2の補正処理が行われた逆特性を補正済み逆特性とする。具体的には,第2補正処理部333は、逆特性が示す振幅スペクトルに対して耳道共振特性を補正するための処理を行う。例えば、図2、図3に示したように、被測定者1がイヤホン43を到着した状態では、外耳道ECが両端閉管となる。つまり、外耳道ECの一端は鼓膜EDで閉塞され、他端はイヤホン43で閉塞される。一方、イヤホン43を装着していない場合、外耳道ECが片側開管(片側閉管)となる。つまり、外耳道ECの一端は鼓膜EDで閉塞され、他端は開放している。
第2補正処理部333は、両端閉管の共振周波数を片側開管の共振周波数にシフトするように逆特性を補正することで、補正済み逆特性を求める。例えば、外耳道ECの平均長は、25mm~30mmとなっている。図6に示すように、外耳道長を1/2波長として、両端閉管の両端を節となる定在波が形成される場合を考える。この場合、外耳道における共振周波数は5.6kHz~6.8kHzとなる。外耳道長を1波長として、両端閉管の両端及び中心の3点を節となる定在波が形成される場合を考える。この場合、外耳道における共振周波数は11.2kHz~13.6kHzとなる。
外耳道長を1/4波長として、片側開管の閉塞端が節、開放端が腹となる定在波が形成される場合を考える。この場合、外耳道における共振周波数は2.8kHz~3.4kHzとなる。外耳道長を3/4波長として、片側開管の閉塞端及び外耳道の途中が節、開放端及び外耳道の途中が腹となる定在波が形成される場合を考える。この場合、外耳道における共振周波数は8kHz~11kHzとなる。
両端閉管の場合の共振周波数は、図7の共振周波数t2、t4となる。片側開放管の場合の共振周波数は、図7の共振周波数t1、t3となる。第2補正処理部333は、共振周波数t2,t4にピークを持つ振幅スペクトルを、共振周波数t1、t3にピークを持つ振幅スペクトルに補正するような第2補正係数を逆特性に加算又は減算する。共振周波数の振幅値とその前後の振幅値のエンベロープ(包絡線)から第2補正係数を求めることができる。第2補正処理部333は、逆特性を増減するイコライザとして機能する。このようにすることで、第2補正処理部333は、耳道共振特性を補正することができる。
反転特性算出部334は、補正済み逆特性を反転させた反転特性を算出する。反転特性は補正済み逆特性を反転させた周波数振幅特性となる。反転特性は、逆特性と同様に正負反転した特性となる。
逆フィルタ生成部340は、反転特性から逆フィルタを算出する。逆フィルタ生成部340は、反転特性と位相特性を反転させる逆フィルタを生成する。つまり、逆フィルタ生成部340は、公知の手法により、外耳道伝達特性の振幅特性と位相特性をキャンセルする逆フィルタを生成する。
逆フィルタ生成部340は、生成した時間信号を所定のフィルタ長で切り出すことで、逆フィルタを算出する。処理装置301は、左右の収音信号に対して、同様の処理を行うことで、逆フィルタLinv、Rinvを生成する。測定装置300は、左ユニット43Lでのインパルス応答測定で得られた収音信号に対して上記の処理を行うことで、逆フィルタLinvを生成する。測定装置300は、右ユニット43Rでのインパルス応答測定で得られた収音信号に対して上記の処理を行うことで、逆フィルタRinvを生成する。なお、逆フィルタを求めるための処理は、公知の手法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
記憶部341はメモリなどを備えており、逆フィルタに関するデータを記憶する。これにより、図1のフィルタ部41、42に逆フィルタLinv、Rinvを設定することができる。また、記憶部341は時間領域の逆フィルタに限らず、周波数領域の信号を記憶してもよい。記憶部341は、逆フィルタをフーリエ変換することで得られた周波数特性を記憶してもよい。
このように補正部330が、外耳道伝達特性の周波数特性の振幅値を補正している。これにより、被測定者1に対する頭外定位処理に適した逆フィルタLinv、Rinvを生成することができる。つまり、測定装置300は、ユーザ毎に最適な逆フィルタLinv、Rinvを生成することができる。よって、自然な立体音場を再生することができる。
具体的には、第1補正処理部331が、収音信号の周波数特性に対して、音導管231のチューブ特性を打ち消す処理を行っている。さらに、第2補正処理部333が、逆特性に対して、耳道共振特性を補正している。このようにすることで、高精度の逆フィルタを生成することができる。よって、頭外定位処理装置100が、自然な音場を再生することができる。
また、マイク230に繋がる音導管231がハウジング210に接続されている。これにより、外耳道ECを伝達する測定信号の音をマイク230が効果的に収音することができる。音導管231は、ハウジング210に脱着可能に設けられていてもよく、ハウジング210と一体的に形成されていてもよい。
また、測定信号を収音するマイク230として、ノイズキャンセル用のフィードバックマイクを用いることができる。よって、イヤホン43のコスト増加を抑制することができる。測定時にマイクの付け替えなどの作業が不要となるため、簡便に測定を行うことができる。
次に、図8及び図9を用いて、本実施の形態にかかる方法について説明する。図8は、測定装置300における測定処理を示すフローチャートである。図9は、処理装置301における信号処理を示すフローチャートである。
まず、イヤホン43に音導管231を接続する(S11)。音導管231がイヤーピース250の第2貫通穴252を通るようにして、音導管231をハウジング210に固定する。なお、音導管231とハウジング210と一体的に形成されていてもよい。音導管231が第2貫通穴252に挿入されるように、イヤーピース250が音筒221に装着される。そして、被測定者1がイヤホン43を装着する。
測定信号生成部310がイヤホン43のドライバユニット220に測定信号を出力する(S12)。これにより、ドライバユニット220から測定信号に応じたインパルス音などが外耳道ECに向けて出力される。
収音信号取得部320が、マイク230で収音された収音信号を取得する(S13)。つまり、マイク230が音導管231を伝わってきたインパルス音等を収音する。これにより、測定が終了する。
次に、逆フィルタの算出処理について図9を参照して説明する。周波数特性取得部321が収音信号の周波数特性を取得する(S21)。例えば,周波数特性取得部321は、離散フーリエ変換などによる収音信号から振幅特性と位相特性を算出する。振幅特性と位相特性は、ユーザの外耳道伝達特性を示すスペクトルとなる。
第1補正処理部331が、収音信号の周波数特性に対して第1補正処理を施す(S22)。これにより、補正済み振幅特性が求められる。例えば、第1補正処理部331は、チューブ逆特性を打ち消す第1補正係数を、収音信号の周波数振幅特性の振幅値に加算又は減算する。
逆特性算出部332が補正済み振幅特性の逆特性を算出する(S23)。第2補正処理部333が、逆特性に対して第2補正処理を施す(S24)。これにより、補正済み逆特性が求められる。第2補正処理部333は、逆特性の耳道共振特性を補正する。第2補正処理部333は、耳道共振特性のピーク周波数をずらすような第2補正係数を逆特性に対して加算又は減算する。
反転特性算出部334は、補正済み逆特性の反転特性を算出する(S25)。逆フィルタ生成部340は、反転特性から逆フィルタを生成する(S26)。例えば,逆フィルタ生成部340は、反転特性の振幅特性と位相特性をキャンセルするような周波数特性を求め、これを逆フーリエ変換などにより,時間領域の信号に逆変換する。そして、逆フィルタ生成部340は、所定のフィルタ長で時間信号を切り出すことで、逆フィルタLinv、Rinvを生成する。これにより、外耳道伝達特性を打ち消す特性を有する逆フィルタを算出することができる。
そして、記憶部341は,メモリなどに逆フィルタに関するデータを記憶する(S27)。記憶部341は、逆フィルタのデータを記憶する。また、記憶部341は、時間領域の信号のデータを記憶してもよく、周波数領域の信号のデータを記憶してもよい。例えば、記憶部341は、逆フィルタの周波数特性を示すデータを記憶しても良い。
測定装置300は、簡便に外耳道伝達特性の個人測定を行うことができる。さらに、処理装置301は、個人測定で得られた外耳道伝達特性から、逆フィルタを生成することができる。処理装置301が外耳道伝達特性を打ち消す逆フィルタを適切に求めることができる。よって、ユーザUに適した逆フィルタを用いて頭外定位処理を行うことができる。このため、イヤホン43を用いた場合でも、自然な立体音場を再生することができる。
なお、第2補正処理部333は周波数領域の逆特性に対して処理を行ったが、時間領域の逆特性に基づいて、第2補正処理を行ってもよい。例えば、処理装置301が逆フィルタ生成処理の後に第2補正処理を行えばよい。第2補正処理では、時間領域の逆フィルタに対して所定の補正フィルタを畳み込む。つまり、外耳道伝達特性の逆特性を示す時間信号に補正フィルタが畳み込まれた信号が、補正済みの逆フィルタとなる。ここで、補正フィルタは、両側閉管と片側開管との間の耳道共振特性の違いに基づいて、生成することができる。
本実施の形態にかかる音響システムは、図1の頭外定位処理装置100と図3の測定装置300を有していてもよい。つまり、音響システムは、ユーザ測定を行うためのイヤホン43と、測定結果から逆フィルタを生成する処理を行う処理装置301を有している。もちろん、処理装置301は、物理的に単一な装置に限らず、複数の装置に分散配置されていてもよい。また、頭外定位処理装置100と処理装置301は物理的に同一の装置であってもよく、異なる装置であってもよい。この場合、処理装置301は頭外定位処理装置100に逆フィルタに関するデータを送信すればよい。
また、図1の頭外定位処理装置100で用いられる頭外定位処理用のイヤホン43と図3の測定装置300で用いられる測定用のイヤホン43は同一のものでもよく、異なるものでもよい。例えば、頭外定位処理用のイヤホン43は音導管231のないものを用いることができる。そして、頭外定位処理用のイヤホン43としてノイズキャンセル用のマイク230を搭載するイヤホンを用いることが可能である。この場合、ノイズキャンセル用のマイク230に音導管231を接続することで、図3の測定用のイヤホン43を構成することができる。
上記のように、ユーザ個人の外耳道伝達特性の測定は、イヤホン43を装着した状態で行われる。すなわち、ユーザが上記のイヤホン43を装着することで、外耳道伝達特性を測定することができる。ユーザがリスニングルームに行く必要や、ユーザの家に大がかりなリスニングルームを準備する必要がない。また、外耳道伝達特性を測定するための測定信号の発生や、収音信号の記録などはスマートホンやPCなどのユーザ端末を用いて、行うことができる。これにより、簡便な測定が可能となり、ユーザビリティを向上することができる。
一方、ユーザ個人の空間音響伝達特性は、スピーカ等の音響機材や室内の音響特性が整えられたリスニングルームで行われることが一般的である。すなわち、ユーザがリスニングルームに行くか、ユーザの自宅などにリスニングルームを準備する必要がある。このため、ユーザ個人の空間音響伝達特性を適切に測定することができない場合がある。
また、ユーザの自宅などにスピーカを設置してリスニングルームを準備した場合でも、左右非対称にスピーカが設置されている場合や、部屋の音響環境が音楽聴取に最適でない場合がある。このような場合、自宅で適切な空間音響伝達特性を測定することは大変困難である。
このように、ユーザ個人に対して、空間音響伝達特性の測定を実施することが困難である場合がある。そこで、本実施の形態にかかる頭外定位処理システムは、外耳道伝達特性の測定結果に基づいて、空間音響伝達特性に応じたフィルタを決定している。すなわち、外耳道伝達特性の個人測定の結果に基づいて、ユーザに適した空間音響フィルタを決定している。
次に、図10を用いて、ユーザUの個人測定結果に基づいて、空間音響フィルタを決定するためのマッチング処理について説明する。図9は、空間音響フィルタの個人測定を行っていないユーザUに対して、空間音響フィルタをマッチングするためのシステムを示す。図10は、空間音響フィルタを決定する処理装置301の構成を示す機能ブロック図である。処理装置301は、記憶部341と、比較部342と、データ格納部343と、抽出部344と、決定部345とを備えている。
なお、以下の説明では、処理装置301に図9に示す機能ブロックが設けられているものとして説明するが、図9の少なくとも一部の構成は、処理装置301と物理的に異なる装置に実装されていてもよい。また、記憶部341と、比較部342と、データ格納部343と、抽出部344と、決定部345は複数の処理装置に分散して配置されていてもよい。つまり、複数の処理装置301から測定データを収集するサーバ装置などが、以下に示す処理の少なくとも一部又は全てを行ってもよい。
マッチング処理では、データベースに格納されている多数の空間音響フィルタからユーザUに最適な1又は複数の空間音響フィルタが抽出される。処理装置301は、補正後の逆特性から得られる逆フィルタを用いて、空間音響フィルタのマッチング処理を行っている。より詳細には、処理装置301が逆フィルタの周波数特性を用いて、マッチング処理を行っている。記憶部341に記憶された時間領域の逆フィルタを処理装置301がフーリエ変換することで、周波数特性を求めても良い。
データ格納部343は、ユーザU以外の被測定者1で測定された測定データを格納している。データ格納部343は、複数の被測定者1の測定データをデータベースとして格納している。データ格納部343は、被測定者毎に、空間音響フィルタと逆フィルタとをセットとして記憶している。より詳細には、データ格納部343は、1人の被測定者の左耳に関する空間音響フィルタHlsと空間音響フィルタHroと逆フィルタLinvを1つのデータセットとして格納している。同様に、データ格納部343は、1人の被測定者の右耳に関する空間音響フィルタHrsと空間音響フィルタHloと逆フィルタRinvを1つのデータセットとして格納している。なお、逆フィルタLinv,Rinvは時間領域の信号でもよく、周波数領域の信号でもよい。
比較部342は、ユーザUの逆フィルタと、データ格納部343に格納されている逆フィルタを比較する。そして、比較部342は、データ格納部343に格納されている逆フィルタのそれぞれについて、ユーザUの逆フィルタとの類似度を求める。類似度としては、例えば、周波数振幅特性の特徴量ベクトルのベクトル間距離を用いることができる。あるいは、周波数振幅特性の相関係数を用いることができる。もちろん、比較部342は、ベクトル間距離と相関係数とを組み合わせて類似度を求めてもよい。
例えば、比較部342は、逆フィルタの周波数振幅特性から特徴量を抽出して、多次元の特徴量ベクトルを求める。比較部342は2つの逆フィルタの特徴量ベクトルのベクトル間距離を算出する。つまり、比較部342は、ユーザUの逆特性と、ユーザU以外の被測定者の逆フィルタについて、特徴量ベクトルのベクトル間距離を求める。比較部342は、データ格納部343に格納されている逆フィルタ毎に、ベクトル間距離を算出する。そして、比較部342は、ベクトル間距離が近いほど、類似度を高くする。
抽出部344は、類似度の高い逆フィルタを含むデータセットを抽出する。つまり、抽出部344は、ユーザUの逆フィルタと類似する逆フィルタを含むデータセットを抽出する。類似度が高い逆フィルタを持つ被測定者はユーザの外耳道の形状と類似する外耳道を持つ被測定者1となる
そして、決定部345は、抽出部344で抽出されたデータセットに含まれる空間音響フィルタをユーザUの空間音響フィルタとして決定する。決定部345はその空間音響フィルタを畳み込み演算部11、12,21、22にそれぞれ設定する。
なお、逆フィルタに関するデータに基づいて、データベースから空間音響フィルタを抽出する処理については、公知の手法を用いることができるため説明を省略する。例えば、特徴量の算出、類似度の算出方法については詳細な説明を省略する。あるいは、データベースにおいて、データセットや被測定者をクラスタリングしてもよい。このようにすることで、スピーカを用いた空間音響伝達特性の個人測定を省略することができる。よって、ユーザUの測定負担を軽減することができる。さらに、ユーザに対して適切な頭外定位処理を行うことができる。ここでは、逆フィルタをマッチング用データとして用いているが、補正された外耳道伝達特性をマッチング用データとしても用いてもよい。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる音響システムについて、図11,図12を用いて説明する、図11は、イヤホン43の右ユニット43Rの構成を模式的に示す断面図である。図11は、右ユニット43Rの構成を模式的に示す断面図である。本実施の形態では、音導管231の形状が実施の形態1と異なっている。なお、イヤホン43の右ユニット43Rの基本的な構成については、図3,図4と同様となっているため、適宜説明を省略する。
本実施の形態では、音導管231がホーン形状になっている。具体的には、前側から後方側に向かうにつれて、徐々に音導管231が拡がっている。つまり、収音空間232がマイク230に向かって拡径するテーパ形状になっている。収音空間232の径は、前端232aで最も小さくなり、後端232bで最も径が大きくなっている。
音導管231をホーン形状とすることで、測定音の音圧を増幅することができる。音導管231をホーン形状にすることで、音導管231の入力信号に対して、出力信号のゲインが上がる。音導管231の後端側(マイク側)から先端側(鼓膜ED側)への信号が減衰する。このため、音導管231を経由して、マイク230に入力されるノイズが小さくなる。また、ノイズキャンセル用のマイク230から音導管231を離すことができるため、マイク230への影響を小さくすることができる。
これにより、外耳道伝達特性を適切に測定することが可能になる。また、ハウジング210や音筒221の形状を利用して音導管231をホーン形状にすることも可能である。例えば、音筒221を先端から後端に向かって径が小さくなるテーパ形状とする。そして、音導管231と音筒221が接するように設けることで、音導管231をホーン形状にすることができる。
(イヤホン)
本実施の形態1,2にかかるイヤホン43は、ハウジング210と、ハウジング210に収容され、信号を出力するドライバユニット220と、ハウジング210に収容され、ドライバユニット220よりも前側に配置されたマイク230と、を備えている。またイヤホン43は、ハウジング210から前方側に延びており、ドライバユニット220から出力される信号を伝達する音筒221を備えている。イヤホン43は、ハウジング210から前方側に延びており、外耳道内の音をマイク230に伝達する音導管を備えている。イヤホン43は、音筒221に取り付けられるイヤーピース250を備えている。
また、実施の形態1,2において、イヤーピース250には、音筒221が設けられる第1貫通穴251と、音導管231が設けられる第2貫通穴252とを備えている。第1貫通穴251と第2貫通穴252は、前後方向にイヤーピースを貫通している。第1貫通穴251と第2貫通穴252、音筒221と音導管231と適切な位置に配置することができる。例えば、ハウジング210の収容空間212において、マイク230とドライバユニット220とを離間して配置することができる。また、ドライバユニット220の放音方向の中心が軸AXと一致するように配置される。マイク230の収音方向の中心が軸方向と平行になるように配置される。これにより、マイク230が適切に外耳道伝達特性を測定することができる。例えば、軸AXと直交する平面視において、音導管231はハウジング210と重複する位置であって、外耳道ECに含まれる位置に配置される。これにより、信号の減衰を抑制することができる。
上記処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
U ユーザ
1 被測定者
10 頭外定位処理部
11 畳み込み演算部
12 畳み込み演算部
21 畳み込み演算部
22 畳み込み演算部
24 加算器
25 加算器
41 フィルタ部
42 フィルタ部
43 イヤホン
210 ハウジング
212 収容空間
220 ドライバユニット
221 音筒
222 伝達空間
224 ダストネット
230 マイク
231 音導管
232 収音空間
301 処理装置
310 測定信号生成部
320 収音信号取得部
321 周波数特性取得部
330 補正部
331 第1補正処理部
332 逆特性算出部
333 第2補正処理部
334 反転特性算出部
340 逆フィルタ生成部
341 記憶部

Claims (5)

  1. 音声信号を出力するドライバユニットと前記ドライバユニットの前方側に配置されたマイクとを備え、ユーザの耳に装着されるイヤホンと、
    前記マイクで収音された収音信号に対して処理を行う処理装置と、を備えた音響システムであって、
    前記イヤホンは、
    前記マイク及びドライバユニットを収容するハウジングと、
    前記ハウジングから前方側に延びており、前記ドライバユニットから出力される出力信号を伝達する音筒と、
    前記ハウジングから前記前方側に延びており、外耳道内の音を前記マイクに伝達する音導管と、を備え、
    前記処理装置は、
    前記ドライバユニットから出力される測定信号を生成する測定信号生成部と、
    前記マイクで収音された収音信号を取得する収音信号取得部と、
    前記収音信号の周波数特性を取得する周波数特性取得部と、
    前記音導管のチューブ特性を打ち消す処理を行う第1補正処理部と、
    耳道共振特性を補正する第2補正処理部と、
    補正後の周波数特性に基づいて、逆フィルタを生成する逆フィルタ生成部と、を備えた音響システム。
  2. 前記イヤホンは、
    前記音筒が嵌め込まれるイヤーピースを備え、
    前記イヤーピースは、前記音筒が設けられる第1貫通穴と、前記音導管が設けられる第2貫通穴と、を備えている請求項1に記載の音響システム。
  3. 前記音導管が後方側に向かうにつれて徐々に拡がるホーン形状となっている請求項1、又は2に記載の音響システム。
  4. 前記マイクがノイズキャンセル用のフィードバックマイクである請求項1に記載の音響システム。
  5. ハウジングと、
    前記ハウジングに収容され、信号を出力するドライバユニットと、
    前記ハウジングに収容され、前記ドライバユニットよりも前側に配置されたマイクと、
    前記ハウジングから前方側に延びており、前記ドライバユニットから出力される信号を伝達する音筒と、
    前記ハウジングから前方側に延びており、外耳道内の音を前記マイクに伝達する音導管と、
    前記音筒に取り付けられるイヤーピースであって、前記音筒が設けられる第1貫通穴と、前記音導管が設けられる第2貫通穴とを、備えたイヤーピースと、を備えたイヤホン。
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