JP2023153212A - 表面保護層形成用塗料組成物、表面保護形成方法および塗装体 - Google Patents

表面保護層形成用塗料組成物、表面保護形成方法および塗装体 Download PDF

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JP2023153212A
JP2023153212A JP2023129336A JP2023129336A JP2023153212A JP 2023153212 A JP2023153212 A JP 2023153212A JP 2023129336 A JP2023129336 A JP 2023129336A JP 2023129336 A JP2023129336 A JP 2023129336A JP 2023153212 A JP2023153212 A JP 2023153212A
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晃 末次
Akira Suetsugu
潤一郎 平瀬
Junichiro Hirase
幸治 中村
Koji Nakamura
祐 安藤
Hiroshi Ando
忠 畠山
Tadashi Hatakeyama
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Abstract

【課題】高いレベルの耐候性を実現し得る表面保護層であって、意匠層が活性エネルギー線硬化型インクである場合や最表層に光触媒層が存在する場合にも長期に亘ってその意匠を保護できる表面保護層を形成することが可能な塗料組成物を提供する。【解決手段】水分散性樹脂と、塗料組成物中に分散または溶解している(A)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤とを含有する、意匠層を保護するための表面保護層形成用塗料組成物であって、前記水分散性樹脂が、(B)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素として含む樹脂を含み、成分(A)および成分(B)の一方は少なくとも紫外線吸収剤であり、成分(A)および成分(B)の他方は少なくともラジカル捕捉剤であり、前記水分散性樹脂が、架橋形成成分を構成要素として含む樹脂を含むか、および/または前記塗料組成物が、さらに架橋形成成分を含むことを特徴とする、塗料組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面保護層形成用塗料組成物、表面保護形成方法および塗装体に関し、特に
は、優れた耐候性を実現し得る表面保護層を形成可能な塗料組成物に関するものである。
住宅等の外装用建材として、表面に意匠層を備えた窯業系サイディングボードや金属サ
イディングボード、ALCパネル等の建築板が使用されている。これら建築板は、建設後
、太陽光や紫外線、雨雪や風等の環境因子に耐え、表面の意匠が長く保持されることが求
められることから、意匠層を保護する表面保護層が形成されることが多い。特に近年、イ
ンクジェットインク等の印刷技術の発展や、サンゴ、貝殻、ビーズやメタリック顔料等の
意匠形成材料の多様化によって、意匠層が多岐に亘るとともに、表面に凹凸を有すること
も多くなり、表面保護層に求められる機能は益々高くなってきている。
特開2011-93306号公報(特許文献1)は、基材の表面に受理層と、印刷層と
、トップクリヤー層とを有する建築用化粧板に関する発明を記載する。特許文献1は、ト
ップクリヤー層を形成するための水系クリヤー塗料にシランカップリング剤、オキサゾリ
ン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等の硬化剤を添加することによって、印刷
層におけるインク滲みや層間剥離が可及的に改善され、化粧用塗膜全体の耐久性(耐水性
、耐光性、及び耐候性)が顕著に改善された建築用化粧板を提供できることを記載する。
また、特許文献1には、背景として、従来の水系クリヤー塗料でトップクリヤー層を形
成した場合には、印刷層において模様を形成するインクがその上に塗装された水系クリヤ
ー塗料の水性溶剤中に再溶解(インク再溶解)して、印刷層にインクの滲みが発生し、場
合によってはインクの受理層とトップクリヤー層との間に剥離(層間剥離)が発生し、印
刷層における耐水性やインクの滲みにおいて必ずしも十分な保護性能が得られず、製品の
品質安定の観点から、トップクリヤー層を形成するクリヤー塗料については溶剤系クリヤ
ー塗料を用いざるを得ないのが実情であったことが記載されている。このインク再溶解の
問題は、インクが水系インクである場合に、より顕著に見られるものと認められる。特許
文献1では、水系インクを用いた場合についての検証が行われていることから、特許文献
1に記載された発明において、トップクリヤー層は、水系インクから形成された印刷層に
対しても問題なく適用可能な表面保護層であると認められる。
国際公開第2012/133667号(特許文献2)は、基材上に、下塗り塗膜層を形
成し、次いでインクジェット方式により活性エネルギー線硬化型インクを塗装し、硬化さ
せ、その後に上塗り塗料を塗装して上塗り塗膜層を形成させる工程を含む複層塗膜の製造
方法に関する発明を記載する。特許文献2では、インクが活性エネルギー線硬化型インク
であることから、インク再溶解の問題はないものの、層間での密着性が低いことから、下
塗り塗膜層の表面自由エネルギー、活性エネルギー線硬化型インクの表面張力および上塗
り塗料の表面張力を調整することによって、密着性に関する課題を解決したことが記載さ
れている。
特開2016-55249号公報(特許文献3)は、下塗塗装を施した基材上に、活性
エネルギー線硬化型インクから硬化塗膜を形成し、次いで、上塗り塗料を塗装する建築板
の製造方法に関する発明を記載する。ここでも、活性エネルギー線硬化型インクを用いた
ことによる層間の付着性の低下を課題として挙げており、特許文献3に記載の発明によれ
ば、活性エネルギー線硬化型インクから形成される硬化塗膜についての硬化反応時の反応
率および上塗り塗料の塗装時の表面温度を制御することで、付着性に関する課題を解決し
たことが記載されている。
特開2019-217680号公報(特許文献4)は、基材上に活性エネルギー線硬化
型インクによるインク層および表面保護層を有する印刷物に関する発明を記載する。特許
文献4では、活性エネルギー線硬化型インクによるインク層の臭気の問題について、イン
ク層中に残存する未反応モノマーの放散がその原因であることに着目し、未反応モノマー
の放散量を抑えるため、インク層の上に表面保護層を積層させることが記載されている。
特開2011-93306号公報 国際公開第2012/133667号 特開2016-55249号公報 特開2019-217680号公報
特許文献1~4に記載の発明によれば、いずれも意匠性に優れる意匠層の形成を可能に
するとともに、意匠層を保護可能な表面保護層を形成することで、屋外での使用にも耐え
られる印刷物を提供することができる。他方で、建築物の塗り替えは、足場の組立、塗装
、養生、足場の解体等の多大な労力を要することから、塗り替え時期を遅らせるために、
長期に亘って耐候性を確保することが求められている。特に、活性エネルギー線硬化型イ
ンクによって形成された意匠層は、従来のエナメル塗料に比べて分子量が低いとともに膜
厚が薄く、紫外線の影響を受けやすくなることから、表面保護層でいかに紫外線を遮蔽し
、風雨等の環境因子から意匠層を保護するかが重要となる。また、最表層に光触媒層が存
在する場合、紫外線により生じたラジカルにより塗膜が劣化しやすくなるため、ラジカル
に対して劣化しにくい保護機能が表面保護層に対して要求される。
そこで、本発明の目的は、高いレベルの耐候性を実現し得る表面保護層であって、意匠
層が活性エネルギー線硬化型インクである場合や最表層に光触媒層が存在する場合にも長
期に亘ってその意匠を保護できる表面保護層を形成することが可能な塗料組成物を提供す
ることにある。また、本発明の他の目的は、かかる塗料組成物を用いた表面保護形成方法
および塗装体を提供することにある。
本発明者らは、高いレベルの耐候性を実現するために、まず、紫外線吸収剤とラジカル
捕捉剤の配合量を増やす検討を行った。しかしながら、紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤を
水系塗料に適用させるためには界面活性剤の添加が必要となる。このため、耐候性を得る
目的で塗膜中の紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤の量を増やすと、界面活性剤もある程度配
合されることになり、耐水性、特に耐温水性が悪化し、塗膜が白化したり、剥がれたりす
る不具合を生じた。
次に、本発明者らは、耐水性の劣化を防止して耐候性を向上させるために、水分散性樹
脂の原料単量体と一緒に紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤も重合させることを着想した。こ
れは、耐候性の向上に一定の効果を有してはいたものの、樹脂の構成単位として安定して
共重合できる紫外線吸収剤やラジカル捕捉剤の量には限りがあり、より高いレベルの耐候
性を実現するには至らなかった。
本発明者らは、さらに検討を進めたところ、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部
を樹脂の構成単位として用いるとともに、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部
分を水中に分散または溶解させる手法であれば、耐水性を低下させずに耐候性を向上でき
ることが分かった。また、架橋形成成分を用いて塗膜中に架橋を形成することで、紫外線
吸収剤およびラジカル捕捉剤の塗膜からの流出を防ぎ、この耐候性を長期に亘って維持す
ることも可能である。本発明者らは、これらの手法を組み合わせることによって、意匠層
が活性エネルギー線硬化型インクによって形成された意匠層である場合であっても、長期
に亘って保護できる表面保護層を提供できることを確認し、本発明を完成させるに至った
従って、本発明の塗料組成物は、意匠層を保護するための表面保護層形成用塗料組成物
であって、
前記表面保護層形成用塗料組成物が、水分散性樹脂と、塗料組成物中に分散または溶解
している(A)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤とを含有し、
前記水分散性樹脂が、(B)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素と
して含む樹脂を含み、成分(A)および成分(B)の一方は少なくとも紫外線吸収剤であ
り、成分(A)および成分(B)の他方は少なくともラジカル捕捉剤であり、
前記水分散性樹脂が、架橋形成成分を構成要素として含む樹脂を含むか、および/また
は前記表面保護層形成用塗料組成物が、さらに架橋形成成分を含み、ここで、前記架橋形
成成分を構成要素として含む樹脂は、前記紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を
構成要素として含む樹脂であってもよいことを特徴とする、表面保護層形成用塗料組成物
である。
本発明の塗料組成物の好適例においては、前記水分散性樹脂が、SP値9.4以下の単
量体を構成要素として含む。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記水分散性樹脂が、マルテンス硬度が
5~90N/mmの樹脂を含むか、および/または、前記表面保護層形成用塗料組成物
が、マルテンス硬度が5~90N/mmの別の樹脂をさらに含み、ここで、前記マルテ
ンス硬度が5~90N/mmの樹脂は、前記紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉
剤を構成要素として含む樹脂であってもよいし、前記架橋形成成分を構成要素として含む
樹脂であってもよい。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記表面保護層形成用塗料組成物中に含
まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を樹脂成分中に10質
量%以上含む。
本発明の塗料組成物の他の好適例においては、前記表面保護層形成用塗料組成物中に含
まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を樹脂成分中に40重
量%以上含む。
また、本発明の表面保護層形成方法は、上述した本発明の表面保護層形成用塗料組成物
を意匠層に塗装して表面保護層を形成することを特徴とする、表面保護層形成方法である
本発明の表面保護層形成方法の好適例においては、前記表面保護層形成用塗料組成物中
に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を樹脂成分中に4
0重量%以上含むとともに、前記表面保護層形成用塗料組成物を塗装した後、80~15
0℃で加熱乾燥する。
また、本発明の塗装体の一の態様は、活性エネルギー線硬化層を含む意匠層と、該活性
エネルギー線硬化層に接する層とを含む塗装体であって、前記活性エネルギー線硬化層に
接する層が上述した本発明の表面保護層形成用塗料組成物によって形成される表面保護層
であることを特徴とする、塗装体である。
本発明の塗装体の別の態様は、意匠層と、該意匠層上に形成された表面保護層と、該表
面保護層上に形成された光触媒層とを含む塗装体であって、前記表面保護層が上述した本
発明の表面保護層形成用塗料組成物によって形成される表面保護層であることを特徴とす
る、塗装体である。
本発明の塗装体の好適例においては、前記塗装体のマルテンス硬度が10~200N/
mmである。
本発明の塗装体の他の好適例においては、前記表面保護層が、付着向上剤を含む第1の
保護層と、付着向上剤を含まない第2の保護層の少なくとも2層よりなる。
本発明の塗料組成物によれば、高いレベルの耐候性を実現し得る表面保護層であって、
意匠層が活性エネルギー線硬化型インクである場合や最表層に光触媒層が存在する場合に
も長期に亘ってその意匠を保護できる表面保護層を形成することが可能な塗料組成物を提
供することができる。また、本発明の表面保護層形成方法および塗装体によれば、かかる
塗料組成物を用いた表面保護形成方法および塗装体を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、塗料組成物、表面保護層形成方法および
塗装体に関する。
本発明の1つの態様は、水分散性樹脂と、紫外線吸収剤(場合によりその一部または全
部が水分散性樹脂中に構成要素として含まれる)と、ラジカル捕捉剤(場合によりその一
部または全部が水分散性樹脂中に構成要素として含まれる)と、架橋形成成分(場合によ
りその一部または全部が水分散性樹脂中に構成要素として含まれる)を含有する塗料組成
物である。本明細書では、この塗料組成物を「本発明の塗料組成物」とも称する。
本発明の塗料組成物において、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部は、水分散性
樹脂に共重合されている。
ここで、「紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部」とは、本発明の塗料組成物に使
用された紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の全体の一部を意味する。「紫外線吸収剤お
よびラジカル捕捉剤の一部」は、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の全体の一部である
ことから、紫外線吸収剤のみの場合、ラジカル捕捉剤のみの場合、そして、紫外線吸収剤
およびラジカル捕捉剤の両方の場合があり得る。また、「紫外線吸収剤およびラジカル捕
捉剤の一部」は、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の全体の一部であることから、本発
明の塗料組成物に使用された紫外線吸収剤の全部である場合、そして、本発明の塗料組成
物に使用されたラジカル捕捉剤の全部である場合もあり得る。
また、「水分散性樹脂に共重合されている」とは、水分散性樹脂の構成単位として「紫
外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部」と他の単量体とが共重合されていることを意味
する。言い換えれば、水分散性樹脂は、「紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部」を
構成要素(繰り返し単位等)として含むことを意味する。
本発明の塗料組成物において、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部分は水分
散性樹脂に共重合されていない。
ここで、「紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部分」とは、本発明の塗料組成
物に使用された紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の全体から、水分散性樹脂に共重合さ
れている「紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部」を除いた部分を意味する。「紫外
線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部分」は、紫外線吸収剤のみの場合、ラジカル捕
捉剤のみの場合、そして、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の両方の場合があり得る。
また、「紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部分」は、本発明の塗料組成物に使
用された紫外線吸収剤の全部である場合、そして、本発明の塗料組成物に使用されたラジ
カル捕捉剤の全部である場合もあり得る。
また、「水分散性樹脂に共重合されていない」とは、水分散性樹脂の構成単位として存
在していないことを意味する。このため、本発明の塗料組成物において、「紫外線吸収剤
およびラジカル捕捉剤の残りの部分」は、塗料組成物中に分散または溶解して存在してい
る。
本発明の塗料組成物において、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の一部は水分散性樹
脂に共重合されているとともに、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の残りの部分は水分
散性樹脂に共重合されていない。これによって、耐水性を低下させずに耐候性を向上させ
ることができ、表面保護層の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の塗料組成物は、水分散性樹脂と、塗料組成物中に分散または溶解してい
る(A)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を含有し、ここで、水分散性樹脂が
、(B)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素として含む樹脂を含み、
成分(A)および成分(B)の一方は少なくとも紫外線吸収剤であり、成分(A)および
成分(B)の他方は少なくともラジカル捕捉剤であると表現することもできる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中の紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の
量は、2.0~15.0質量%であることが好ましく、4.0~13.0質量%であるこ
とがより好ましく、6.0~11.0質量%であることがさらに好ましい。ここでの「紫
外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の量」は、本発明の塗料組成物に使用された紫外線吸収
剤およびラジカル捕捉剤の全量であり、水分散性樹脂に共重合されている「紫外線吸収剤
およびラジカル捕捉剤の一部」と水分散性樹脂に共重合されていない「紫外線吸収剤およ
びラジカル捕捉剤の残りの部分」の合計である。
本明細書において、塗膜形成成分とは、水、有機溶剤、成膜助剤等の揮発する成分を除
いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分である。本明細書においては、
塗料組成物を130℃で60分間乾燥させた際に残存する成分を塗膜形成成分として取り
扱う。本発明の塗料組成物中の塗膜形成成分の量は、例えば20~80質量%であり、好
ましくは30~70質量%であり、特に好ましくは35~60質量%である。
本発明の塗料組成物において、水分散性樹脂に共重合されている「紫外線吸収剤および
ラジカル捕捉剤の一部」の量(A)と水分散性樹脂に共重合されていない「紫外線吸収剤
およびラジカル捕捉剤の残りの部分」の量(B)の質量比(A:B)は、5:95~95
:5であることが好ましく、15:85~85:15であることがより好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、紫外線による劣化を防止する作用を有する。紫外線
吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤(特にヒドロキシフェニルトリ
アジン系紫外線吸収剤)、ベンジリデンカンファー系紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外
線吸収剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、紫外線
吸収剤は、吸収ピークの異なる2種以上の紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸
収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましく、トリアジン系紫外線吸収剤お
よびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことが特に好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキ
シ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-
スルフォニックアシッド、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロ
キシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン-2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェ
ノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2
’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-
ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2
-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキ
シ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’
-ビス(α,α-(ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒ
ドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒ
ドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール
、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾ
トリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2,2’-メチレン-ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-
(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、メチル-3-[3-t-ブチル
-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネ
ートとポリエチレングリコールとの縮合物、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,
6-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエ
ート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-[4
-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニ
ル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4
-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェ
ニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[
4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフ
ェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,
4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチル
オキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、ヒドロキシフェニルトリアジン、2-(2
-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビ
ス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒド
ロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げ
られる。
紫外線吸収剤のうち、重合性の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体等の紫外線吸収性単量体が挙
げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2-[2’-ヒドロキシ
-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2
-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベ
ンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチル
フェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキ
シ-5’-(メタ)アクリロイルアミノメチル-5’-tert-オクチルフェニル]-
2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(
メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’
-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェ
ニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル
-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリ
アゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル-3’-(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5
’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾ
ール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-
5-シアノ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アク
リロイルオキシエチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、
2-[2’-ヒドロキシ-5’-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3’-
tert-ブチルフェニル]-4-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-
[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-メトキ
シ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-5'-(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフェニル]-5-ニトロ-2H-ベンゾトリアゾール、3-(メタ)アクリロ
イル-2-ヒドロキシプロピル-3-[3-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-ヒドロキ
シ-5-tert-ブチル]フェニルプロピオネート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-(メタ
)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-ヒドロキシ-3-(
メタ)アクリロイルオキシ]プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-(
メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[3-(メ
タ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ
-3-tert-ブチル-4-[2-(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェ
ノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-[3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキ
シプロポキシ]ベンゾフェノン等が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリロイルの語は、メタクリロイルまたはアクリロイル
を意味する。例えば、2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン
は、2-ヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノンまたは2-ヒドロキシ-
4-アクリロイルオキシベンゾフェノンである。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中の紫外線吸収剤の量は、1.5~9.0
質量%であることが好ましく、2.5~7.5質量%であることがより好ましく、3.0
~6.0質量%であることがさらに好ましい。ここで、「紫外線吸収剤の量」は、紫外線
吸収剤が、水分散性樹脂に共重合されている紫外線吸収剤と水分散性樹脂に共重合されて
いない紫外線吸収剤からなる場合は、その合計量を意味する。
ラジカル捕捉剤は、フリーラジカル等を捕捉し、光安定性を向上させることができる。
また、本発明においては、フリーラジカルと反応し、重合反応が起こることを防止する機
能を有する物質(いわゆる重合禁止剤)も、ラジカル捕捉剤に含まれる。ラジカル捕捉剤
は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、フェ
ノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソ系化合物、N-オキシル系化合物等
が挙げられ、特にヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)が好ましい。
ラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピ
ペリジル)セバケート、1-{2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシ)エチル}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8
-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピ
ロ{4.5}デカン-2,4-ジオン等のヒンダードアミン系化合物、フェノール、o-
、m-又はp-クレゾール、2-t-ブチル-4-メチルフェノール、6-t-ブチル-
2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-t
-ブチルフェノール、4-t-ブチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、
2-メチル-4-t-ブチルフェノール、4-t-ブチル-2,6-ジメチルフェノール
等のフェノール系化合物、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチル
ハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2-メチル-p-ハイドロキ
ノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン4-メチルベンズカ
テキン、t-ブチルハイドロキノン、3-メチルベンズカテキン、2-メチル-p-ハイ
ドロキノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチル
ハイドロキノン、ベンゾキノン、t-ブチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-
p-ベンゾキノン等のハイドロキノン系化合物、フェノチアジン等のフェノチアジン系化
合物、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N-ニトロソ-N
-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等のニトロソ系化合物、4-ヒドロキシ-
2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テ
トラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-
ピペリジン-N-オキシル等のN-オキシル系化合物等が挙げられる。
ラジカル捕捉剤のうち、重合性のラジカル捕捉剤としては、例えば、重合性光安定性単
量体等が挙げられる。重合性光安定性単量体は、重合性基と、光安定化作用を有する官能
基とを有する化合物である。重合性基としては、例えば、アルケニル基(ビニル基、アリ
ル基等)、アルケニルカルボニル基(例えば、(メタ)アクリロイル基、クロトノイル基
等)等の重合性不飽和基等が挙げられる。
重合性光安定性単量体としては、例えば、後述するヒンダードアミン系重合性光安定性
単量体の他、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)
-4-ピペリジニル)エステルと1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタン
との反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,
5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネ
ート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル
1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートとの混合物等が挙げられ
る。
ヒンダードアミン系重合性光安定性単量体としては、例えば、ピペラジン骨格(特に、
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格)を有する重合性化合物(ピペラジン骨格
及び重合性基を有する化合物)等が挙げられる。
代表的なヒンダードアミン系重合性光安定性単量体としては、下記構造式(1)で表さ
れる化合物等が挙げられる。
Figure 2023153212000001
構造式(1)において、RおよびRは、水素原子またはアルキル基であり、R
、RおよびRは、アルキル基であり、Xは、酸素原子(-O-)またはイミノ基
(-NH-)であり、YおよびZは、水素原子または置換基である。
構造式(1)のR~Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等の
1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4
ルキル基、特に好ましくはメチル基等が挙げられる。代表的なRおよびRは、水素原
子またはメチル基であり、特にRが水素原子、Rが水素原子またはメチル基であるこ
とが好ましい。代表的なR~Rは、メチル基である。
構造式(1)のYおよびZにおける置換基としては、炭化水素基[例えば、アルキル基
{例えば、メチル基等の前述のアルキル基(例えば、C1-20アルキル基、好ましくは
1-4アルキル基)}]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のC1-
20アルコキシ基、好ましくはC1-10アルコキシ基、さらに好ましくはC1-4アル
コキシ基、特に好ましくはメトキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基等のC1-10
アシル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、
シアノ基、ヒドロキシル基、重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、クロトノイル
基)等が挙げられる。
構造式(1)において、代表的なYとしては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル
基等のC1-4アルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基等のC1-4アルコキ
シ基)、アシル基(例えば、アセチル基等のC1-4アシル基)、(メタ)アクリルロイ
ル基、クロトノイル基等が挙げられ、特に、水素原子またはメチル基が好ましい。代表的
なZとしては、水素原子またはシアノ基が挙げられ、特に水素原子が好ましい。
ヒンダードアミン系重合性光安定性単量体としては、例えば、4-(メタ)アクリルロ
イルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、置換基を有する4-(メタ)ア
クリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン{例えば、4-(メタ)ア
クリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-アルキルピペリジン[例えば、
4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン等の4
-(メタ)アクリロイルオキシ-1-C1-4アルキル-2,2,6,6-テトラメチル
ピペリジン]、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-
アルコキシピペリジン[例えば、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6
,6-テトラメチルピペリジン等の4-(メタ)アクリロイルオキシ-1-C1-4アル
コキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン]等のN-置換(メタ)アクリロイル
オキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロ
イルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の4-置換-4-(メタ)アク
リロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等}等の4-(メタ)アクリ
ロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン類;4-クロトノイルオキシ-
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6
-テトラメチルピペリジン類;4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テト
ラメチルピペリジン、置換基を有する4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6
-テトラメチルピペリジン{例えば、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6
-テトラメチル-1-アルキルピペリジン[例えば、4-(メタ)アクリロイルアミノ-
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン等の4-(メタ)アクリロイルアミノ-2
,2,6,6-テトラメチル-1-C1-4アルキルピペリジン]等のN-置換(メタ)
アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メ
タ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の4-置換-4-
(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等}等の4-(
メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン類;4-クロトノ
イルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の4-クロトノイルアミノ-2
,2,6,6-テトラメチルピペリジン類;1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)ア
クリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイ
ル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペ
リジン等の1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,
6-テトラメチルピペリジン類;1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,
6,6-テトラメチルピペリジン等の1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,
2,6,6-テトラメチルピペリジン類等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中のラジカル捕捉剤の量は、0.5~6.
0質量%であることが好ましく、1.5~5.5質量%であることがより好ましく、2.
5~5.0質量%であることがさらに好ましい。ここで、「ラジカル捕捉剤の量」は、ラ
ジカル捕捉剤が、水分散性樹脂に共重合されているラジカル捕捉剤と水分散性樹脂に共重
合されていないラジカル捕捉剤からなる場合は、その合計量を意味する。
本発明の塗料組成物は、水分散性樹脂を含む。本明細書において「水分散性樹脂」とは
、水中に分布して不均質な系(例えば乳濁液又は懸濁液)を形成することが可能な樹脂で
ある。水分散性樹脂は、エマルション樹脂を含むことが好ましい。エマルション樹脂は、
分子量を大きくすることが可能であり、また、分散安定性にも優れる水分散性樹脂である
。本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中の水分散性樹脂の量は、30~95質量
%であることが好ましく、35~90質量%であることがより好ましく、40~80質量
%であることがさらに好ましい。水分散性樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。
水分散性樹脂は、アクリル成分を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂
を含むことが好ましい。本明細書において「アクリル成分」とは、アクリル酸、メタクリ
ル酸およびその誘導体(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル、アミド等の
(メタ)アクリロイル基を有する化合物やアクリル酸ニトリル、メタクリル酸ニトリル等
)を指す。上述した重合性紫外線吸収剤および重合性ラジカル捕捉剤も(メタ)アクリロ
イル基を有するものは「アクリル成分」に含まれる。アクリル成分は、一種単独で用いて
もよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂には、アクリル樹脂の他、アクリルス
チレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ふっ素変性アクリル樹脂、脂肪酸変性アクリル樹
脂、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等の各種変性樹脂も含まれる
水分散性樹脂中のアクリル成分の量は、30質量%以上であることが好ましく、40質
量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、「水分散性樹脂中の成分Xの量」と表現する場合は、塗料組成物中
に含まれる水分散性樹脂の全質量に対する成分Xの量を意味する。例えば、塗料組成物中
の水分散性樹脂が、アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂(A)と、アクリル
成分を含まない水分散性樹脂(B)からなる場合、「水分散性樹脂中のアクリル成分の量
」は、水分散性樹脂(A)と水分散性樹脂(B)の合計質量に対するアクリル成分の量を
意味する。
水分散性樹脂は、非アクリル成分を構成要素(繰り返し単位等)として含むことができ
る。非アクリル成分とは、アクリル成分以外の成分であり、例えば、スチレンの他、フマ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ビニル
バーサチック酸等のカルボキシル基含有単量体;メチルスチレン、クロロスチレン、メト
キシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフ
ィン系モノマー;酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系モノマー;マレイン酸アミド等の
アミド系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチ
ルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体
;ジアルキルフマレート、アリルアルコール、ビニルピリジン、ブタジエン等が挙げられ
る。
水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤よりなる群から選択される少なく
とも1種を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素として含む水分散性樹脂は、アク
リル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよい。ここで、紫外線吸収剤およ
びラジカル捕捉剤は、アクリル成分および非アクリル成分のいずれでもよいが、アクリル
成分であることが好ましい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種をアクリル成分および/または非ア
クリル成分由来の構成要素として含む水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中の紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤の量は、0.5~15.
0質量%であることが好ましく、1.0~13.0質量%であることがより好ましく、1
.5~11.0質量%であることがさらに好ましい。ここで、「紫外線吸収剤および/ま
たはラジカル捕捉剤の量」とは、水分散性樹脂が紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤のい
ずれか一方のみを含む場合は紫外線吸収剤またはラジカル捕捉剤の量を意味し、水分散性
樹脂が紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の両方を含む場合は紫外線吸収剤およびラジカ
ル捕捉剤の合計量を意味する。
紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤の量は、0.5質量%より少ない場合、長
期間屋外で雨、太陽光などに曝されることで塗膜が劣化しやすく、15.0質量%よりも
多い場合、塗膜が黄変などの不具合を生じやすくなる。
水分散性樹脂は、SP値9.4以下の単量体を構成要素(繰り返し単位等)として含む
水分散性樹脂を含むことが好ましい。SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水
分散性樹脂は、アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外
線吸収剤およびラジカル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素とし
て含む水分散性樹脂であってもよい。
SP値9.4以下の単量体を用いることで、樹脂の耐水性を向上させることができ、紫
外線吸収剤およびラジカル捕捉剤のブリードを抑制することができる。単量体のSP値は
8.50~9.40であることが好ましい。SP値9.4以下の単量体は、アクリル成分
および非アクリル成分のいずれでもよいが、アクリル成分であることが好ましい。SP値
9.4以下の単量体としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(
メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボ
ルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。SP値9.4以下の単量体は、一種単独で
用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートの語は、メタクリレートまたはアクリレート
を意味する。例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、2-エチルヘキシル
アクリレートまたは2-エチルヘキシルメタクリレートである。また、ジ(メタ)アクリ
レート、トリ(メタ)アクリレート等のように、複数であることを示す接頭語が(メタ)
アクリレートに付されている場合もあるが、この場合の各(メタ)アクリレートは、同一
でも異なっていてもよい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体をアクリル成分および/または非アクリル成分由来の構成要素として含む水分散
性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中のSP値9.4以下の単量体の量は、1.0~60.0質量%であるこ
とが好ましく、3.0~45.0質量%であることがより好ましく、5.0~30.0質
量%であることがさらに好ましい。
SP値(溶解パラメーター)とは、相溶性を判断する際の目安となるもので、種々の計
算方法や実測方法があるが、本明細書において、単量体のSP値は、構造に基づいてHo
y法によって算出された溶解度パラメーター(Solubility Paramete
r)を意味する。
水分散性樹脂は、環状脂肪族系単量体を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散
性樹脂を含むことが好ましい。環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂は
、アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤およ
びラジカル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水分散
性樹脂であってもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性樹脂
であってもよい。
環状脂肪族系単量体は、脂環構造(芳香族性を有しない飽和または不飽和の炭素環、例
えばシクロアルキル基、好ましくはC4-20シクロアルキル基、より好ましくはC4-
10シクロアルキル基)を有する単量体であり、環状脂肪族系単量体を用いることで、樹
脂の耐水性を向上させることができる。環状脂肪族系単量体は、アクリル成分および非ア
クリル成分のいずれでもよいが、アクリル成分であることが好ましい。環状脂肪族系単量
体としては、例えば、脂環式(メタ)アクリレート[例えば、シクロアルキル(メタ)ア
クリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のC4-20シクロアルキ
ル(メタ)アクリレート、好ましくはC4-10シクロアルキル(メタ)アクリレート)
、アルキルシクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、4-メチルシクロヘキシル(
メタ)アクリレート等のC1-4アルキルC4-10シクロアルキル(メタ)アクリレー
ト)、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシルメチル(
メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロ
ピル(メタ)アクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の
4-10シクロアルキルC1-4アルキル(メタ)アクリレート)、架橋環式(メタ)
アクリレート(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アク
リレート等)]等が挙げられる。環状脂肪族系単量体は、一種単独で用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体をアクリル成分および/または非アクリル
成分由来の構成要素として含む水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中の環状脂肪族系単量体の量は、1.0~90.0質量%であることが好
ましく、10.0~80.0質量%であることがより好ましく、30.0~70.0質量
%であることがさらに好ましい。
水分散性樹脂は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃未満となる単量体を
構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂を含むことが好ましい。ホモポリマ
ーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂は、アクリル成分
を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉
剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水分散性樹脂であって
もよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよい
し、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよい。
ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を用いることで、樹脂の柔軟性を向上さ
せることができる。ここでのホモポリマーのTgは、-90℃以上15℃未満であること
が好ましい。ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体は、アクリル成分および非ア
クリル成分のいずれでもよいが、アクリル成分であることが好ましい。ホモポリマーのT
gが50℃未満となる単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n-ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、
n-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2-ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート等が挙げられる。ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体は、一種単独で用
いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体をアクリル成分および/または非アクリル成分由来の構成要素とし
て含む水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中のホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体の量は、10.0~7
0.0質量%であることが好ましく、10.0~50.0質量%であることがより好まし
く、10.0~30.0質量%であることがさらに好ましい。
水分散性樹脂は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が50℃以上となる単量体を
構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂を含むことが好ましい。ホモポリマ
ーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹
脂は、アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤
およびラジカル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水
分散性樹脂であってもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性
樹脂であってもよいし、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であって
もよいし、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む水分散性
樹脂であってもよい。
ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を用いることで、樹脂の剛性を向上させ
ることができる。ここでのホモポリマーのTgは、50~130℃であることが好ましい
。ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体は、アクリル成分および非アクリル成分
のいずれでもよいが、アクリル成分であることが好ましい。ホモポリマーのTgが50℃
以上となる単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イ
ソプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリ
レート、アクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、
スチレン、アクリロニトリル、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。ホモポリ
マーのTgが50℃以上となる単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体、および/またはホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を
アクリル成分および/または非アクリル成分由来の構成要素として含む水分散性樹脂を含
むことができる。
水分散性樹脂中のホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体の量は、40.0~9
5.0質量%であることが好ましく、50.0~90.0質量%であることがより好まし
く、60.0~90.0質量%であることがさらに好ましい。
水分散性樹脂は、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む
水分散性樹脂およびホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む
水分散性樹脂を含むか、または、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体およびホ
モポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂を含むこ
とが好ましい。これによって、柔軟性と剛性をバランスよく備える樹脂を得ることができ
、塗膜の耐久性を向上させることができる。
ホモポリマーのガラス転移温度は技術常識であるが、ガラス転移温度が不明の単量体を
用いる場合、その単量体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分
析(DTA)、熱機械分析(TMA)等によって求めることができる。
水分散性樹脂は、架橋形成成分を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂
を含むことが好ましい。架橋形成成分を構成要素として含む水分散性樹脂は、アクリル成
分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤およびラジカル捕
捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水分散性樹脂であっ
てもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよ
いし、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、ホモポ
リマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよ
いし、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂
であってもよい。
架橋形成成分を用いることで、樹脂に架橋構造を形成させることができる。これによっ
て、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の塗膜からの流出を抑えることができる。架橋は
、例えば、重合による架橋であってもよいし、化学反応(例えば、イソシアネートとの反
応、エポキシとの反応、加水分解シリル化反応、ヒドラジンとの反応、アジリジンとの反
応等)による架橋であってもよい。架橋の態様としては、特に限定されず、架橋形成成分
の種類等に応じて適宜選択でき、分子内架橋、分子間架橋のいずれであってもよく、これ
らの両方の態様で架橋していてもよい。
架橋形成成分は、アクリル成分および非アクリル成分のいずれでもよいが、アクリル成
分であることが好ましい。架橋形成成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合
わせて用いてもよい。
重合による架橋形成成分としては、例えば、2個以上の重合性基を有する化合物が挙げ
られる。重合性基としては、例えば、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アルケニ
ルカルボニル基(例えば、(メタ)アクリロイル基、クロトノイル基等)等の重合性不飽
和基等が挙げられる。
2個以上の重合性基を有する化合物としては、例えば、ジオールのジ(メタ)アクリレ
ート{例えば、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブ
タンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のC2-10アルカンジオールジ
(メタ)アクリレート]、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート]、アルキレンオキシド変
性アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレンオキシド変性1,6
-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート]、芳香族ジオール又はそのアルキレンオキシド付加物の
ジ(メタ)アクリレート[例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ
化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート]}、3以上のヒドロキシ基を有するポリオ
ールのポリ(メタ)アクリレート{例えば、ペンタエリスリトールジ乃至テトラ(メタ)
アクリレート[例えば、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート
、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート]、ジペンタエリスリトールジ乃至
ヘキサ(メタ)アクリレート[例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(
モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレート]、トリメチロールプロパンジ乃至トリ(
メタ)アクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート]、ジトリメチロールプロパンジ乃至テト
ラ(メタ)アクリレート[例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレー
ト]、グリセリンジ乃至トリ(メタ)アクリレート[例えば、エトキシ化グリセリントリ
(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート
]等のC3-10ポリオールのポリ(メタ)アクリレート}等のポリメタクリレート;不
飽和炭化水素[例えば、アルカジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
等のC4-10アルカジエン)];芳香族炭化水素(例えば、ジビニルベンゼン);ジカ
ルボン酸ジアリル(例えば、フタル酸ジアリル)、トリアリルイソシアヌレート等の複数
のアリル基を有する化合物等が挙げられる。
化学反応による架橋形成成分は、重合性基と、化学反応による架橋性を有する基とを有
する化合物であり、例えば、エポキシ基含有単量体、カルボニル基含有単量体、アジリジ
ニル基含有単量体、イソシアナト基含有単量体、シラン基含有単量体等が挙げられる。重
合性基としては、例えば、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アルケニルカルボニ
ル基(例えば、(メタ)アクリロイル基、クロトノイル基等)等の重合性不飽和基等が挙
げられる。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレート[例え
ば、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グ
リシジルオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-グリシジルオキシエチル(
メタ)アクリレート等のグリシジルオキシC2-4アルキル(メタ)アクリレート)]、
アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
カルボニル基含有単量体としては、例えば、重合性二重結合を有するアルデヒド(例え
ば、アクロレイン、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルオキシアルキルプロペナール
)、重合性二重結合を有するケトン(例えば、ビニルエチルケトン)、カルボニル基含(
メタ)アクリレート[例えば、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)ア
クリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタン
ジオール-1,4-アクリレートアセチルアセテート、2-(アセトアセトキシ)エチル
(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
アジリジニル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルアジリジン、アジ
リジニル基含有(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸2-アジリジニルエ
チル)等が挙げられる。
イソシアナト基含有単量体としては、例えば、イソシアナト基含有(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ア
クリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネー
ト、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、5-メタクロイ
ルオキシ-3-オキシペンチルイソシアネート等が挙げられる。
シラン基含有単量体としては、例えば、加水分解(縮合)性基(例えば、アルコキシ基
、ハロゲン原子)が結合したシリル基を有する単量体であり、下記構造式(2)で表され
る化合物等が挙げられる。
(R1)-Si-(R2)4-n (2)
構造式(2)において、R1は、重合性不飽和結合基を有する基を示す。R2は、水素
原子、加水分解縮合性基、炭化水素基、エポキシ基(エポキシ基含有基)を示し、少なく
とも1つのR2は加水分解縮合性基を示す。nは、1~3の整数を示す。
構造式(2)において、R1において、重合性不飽和結合基としては、例えば、ビニル
基、アリル基、(メタ)アクロイル基等が挙げられる。R2において、炭化水素基として
は、例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等)等が挙げられる。アルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等が挙げられる。R2におい
て、加水分解縮合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子等)
、アルコキシ基、アシロキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、メルカプト基等
が挙げられる。R2において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基
等のC1-4アルコキシ基等が挙げられる。R2において、アシロキシ基としては、例え
ば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のC2-4アシルオキシ基などが挙げら
れる。
シラン基含有単量体としては、例えば、ビニル基含有シラン{例えば、ビニル基を有す
るハロシラン(例えば、ビニルトリクロロシラン等のビニルモノ乃至トリハロシラン)、
ビニル基を有するアルコキシシラン[例えば、ビニルアルコキシシラン(例えば、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルモノ乃至トリアルコキシシラ
ン、好ましくはビニルモノ乃至トリC1-4アルコキシシラン)、ビニルアルコキシアル
コキシシラン(例えば、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(β-メ
トキシエトキシ)シラン等のビニルモノ乃至トリ(C1-4アルコキシC1-4アルコキ
シ)シラン)、スチリル基含有シラン(例えば、p-スチリルトリメトキシシラン等のス
チリルモノ乃至トリアルコキシシラン、好ましくはスチリルモノ乃至トリC1-4アルコ
キシシラン)]}、(メタ)アクリロイル基含有シラン{例えば、(メタ)アクリロイル
基を有するアルコキシシラン[例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン、好ましく
は(メタ)アクリロキシC2-4アルキルモノ乃至トリC1-4アルコキシシラン]、(
メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシシラン[例えば、3-(メタ)アクリロキシプ
ロピルヒドロキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルヒドロキシシラン等
の(メタ)アクリロキシアルキルヒドロキシシラン、好ましくは(メタ)アクリロキシC
2-4アルキルヒドロキシシラン]}等が挙げられる。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体、および/またはホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体、
および/または架橋形成成分をアクリル成分および/または非アクリル成分由来の構成要
素として含む水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中の架橋性単量体の量は、1.0~30.0質量%であることが好ましく
、1.5~25.0質量%であることがより好ましく、2.0~20.0質量%であるこ
とがさらに好ましい。
水分散性樹脂は、反応性乳化剤を構成要素(繰り返し単位等)として含む水分散性樹脂
を含むことが好ましい。反応性乳化剤を構成要素として含む水分散性樹脂は、アクリル成
分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤およびラジカル捕
捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水分散性樹脂であっ
てもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよ
いし、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、ホモポ
リマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよ
いし、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂
であってもよいし、架橋形成成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよい。
反応性乳化剤は、重合性基を有する乳化剤である。重合性基としては、例えば、アルケ
ニル基(ビニル基、アリル基等)、アルケニルカルボニル基(例えば、(メタ)アクリロ
イル基、クロトノイル基等)等の重合性不飽和基等が挙げられる。反応性乳化剤は、アク
リル成分および非アクリル成分のいずれでもよいが、アクリル成分であることが好ましい
。反応性乳化剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(
メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキルプロ
ペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキ
シエチレンのスルホネート塩、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポ
リオキシエチレンのスルホネート塩、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポ
リオキシエチレン硫酸エステル塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メ
タクリレート化スルホネート塩、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオ
キシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、アリルオキシ
メチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン等が挙げられる。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体、および/またはホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体、
および/または架橋形成成分、および/または反応性乳化剤をアクリル成分および/また
は非アクリル成分由来の構成要素として含む水分散性樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中の反応性乳化剤の量は、0.1~15.0質量%であることが好ましく
、0.3~12.0質量%であることがより好ましく、0.5~10.0質量%であるこ
とがさらに好ましい。
水分散性樹脂は、マルテンス硬度が5~90N/mmの水分散性樹脂を含むことが好
ましい。マルテンス硬度が5~90N/mmの水分散性樹脂を用いることで、塗膜に微
細なクラックが生じることを防ぐことができる。マルテンス硬度が5~90N/mm
水分散性樹脂は、アクリル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫
外線吸収剤およびラジカル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素と
して含む水分散性樹脂であってもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含
む水分散性樹脂であってもよいし、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹
脂であってもよいし、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含
む水分散性樹脂であってもよいし、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成
要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、架橋形成成分を構成要素として含む水分
散性樹脂であってもよいし、反応性乳化剤を構成要素として含む水分散性樹脂であっても
よい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体、および/またはホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体、
および/または架橋形成成分、および/または反応性乳化剤をアクリル成分および/また
は非アクリル成分由来の構成要素として含むとともに、マルテンス硬度が5~90N/m
である樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂は、構成要素となる単量体成分の重合により得ることができ、構成要素と
なる単量体成分の乳化重合により得ることが好ましい。単量体成分は、一種単独で用いて
もよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体成分としては、上述した重合性の紫外線吸収剤、重合性のラジカル捕捉剤、SP
値9.4以下の単量体、環状脂肪族系単量体、ホモポリマーのTgが50℃未満となる単
量体、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体、重合性の架橋形成成分(これを架
橋性単量体ともいう)および反応性乳化剤の他、アルキル(メタ)アクリレート、アルコ
キシアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有単量体、芳香族系単量体、酸基含有単量
体、窒素原子含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体等が挙げられる。
単量体成分は、アクリル成分および非アクリル成分のいずれであってもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)ア
クリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、te
rt-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート
、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のC1-20
ルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-メトキシエチル(メ
タ)アクリレート等のC1-12アルコキシC1-12アルキル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
水酸基含有単量体としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート等のヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくは
ヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはヒドロキシC2-
アルキル(メタ)アクリレート]、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの(メタ
)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のトリ乃至ヘキサヒド
ロキシC3-10ポリオールの(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、α-アル
キルスチレン(例えば、α-メチルスチレン等のα-C1-4アルキルスチレン)、アル
キルスチレン(例えば、ビニルトルエン等のC1-4アルキルスチレン)、ハロスチレン
(例えば、クロロスチレン)等]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、アリール(メ
タ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレート等のC6-10アリール(メ
タ)アクリレート)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アク
リレート、フェネチル(メタ)アクリレート等のC6-10アリールC1-4アルキル(
メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキルメタクリレート(例えば、フェノキシエ
チルメタクリレート等のC6-10アリールオキシC1-4アルキルメタクリレート)]
等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、カルボン酸基含有単量体、スルホン酸基含有単量体
等が挙げられる。カルボン酸基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸(例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸)、不飽
和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸)等が
挙げられる。スルホン酸基含有単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸等が挙げら
れる。酸基含有単量体は、アニオン化されていてもよい(または塩を形成していてもよい
)。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド系化合物、窒素原子含
有(メタ)アクリレート化合物、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等が
挙げられる。(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N
-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-
n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチ
レンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミ
ド等のN-置換(メタ)アクリルアミド[例えば、N-アルキル(メタ)アクリルアミド
(例えば、N,N-ジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド)]等が挙げられる。窒
素原子含有(メタ)アクリレート化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN-置換アミノアルキル(メタ
)アクリレート(例えば、N,N-ジC1-4アルキルアミノC2-4アルキル(メタ)
アクリレート)等が挙げられる。
オキソ基含有単量体としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エ
チレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート等の(ジ)エチレングリコ
ール(メトキシ)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、フッ素原子含有アクリル系単量体[例えば、
フルオロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)
アクリレート等のフルオロC1-10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはフルオ
ロC2-6アルキル(メタ)アクリレート)]等が挙げられる。
水分散性樹脂は、単相構造を有する樹脂であってもよいし、異相構造を有する樹脂であ
ってもよい。本明細書において、異相構造を有する樹脂とは、異なる単量体組成が、複数
の部位を構成し、ドメイン状あるいは層状に存在する樹脂を指し、このうち、1種もしく
は2種以上の単量体組成から構成される、複数の部位が層状に存在する樹脂を「複層構造
を有する樹脂」とも称される。また、この複層構造を有する水分散性樹脂粒子の内側の層
を「コア」、外側の層を「シェル」とし、これを、コアシェル構造を有する樹脂と称する
場合もある。一方、単相構造を有する樹脂は、単量体組成がドメイン状あるいは層状に分
かれていない樹脂、好ましくは単量体組成が一様に分布している樹脂である。単層構造は
、1段の乳化重合によって調製することができ、異相構造は、多段の乳化重合によって調
製することができる。異相構造は、例えば2~5の層またはドメイン、好ましくは2~3
の層またはドメインを有する。
異相構造は、例えば、2つ以上のガラス転移温度を有する水分散性樹脂を調製するため
に利用することができる。これによって、異相構造を硬質層またはドメイン(ハード層ま
たはドメイン)と軟質層またはドメイン(ソフト層またはドメイン)とで構成することが
できる。例えば、複層構造を有する水分散性樹脂粒子の場合、外層(3層以上の場合は最
外層)をハード層とし、内層(3層以上の場合は最外層以外の層)をソフト層としてもよ
いし、外層(3層以上の場合は最外層)をソフト層とし、内層(3層以上の場合は最外層
以外の層)をハード層としてもよい。また、複数の内層を有する場合は、内層間でハード
層およびソフト層を有してもよい。
単量体成分を乳化重合させる方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合すればよく、例
えば、乳化剤を含む溶媒(溶液)に、単量体成分を混合(滴下等)して重合する方法、予
め乳化させておいた単量体成分を溶媒に混合(滴下等)して重合する方法等が挙げられる
。溶媒としては、通常、水、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒等の水性溶媒が使用できる。
水溶性有機溶媒としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール等のC1-4アル
コール等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合
わせて用いてもよい。異相構造を作る方法としては、例えば、上述の乳化重合を繰り返し
行う多段乳化重合法が挙げられる。
乳化剤としては、上述した反応性乳化剤の他、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、
カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等が挙げられる。乳化剤は、一種単独で用
いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウム
ドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート
、ナトリウムドデシルスルホネート等のアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシル
ベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネート等のアルキルアリー
ルスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンア
ルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸-ホ
ルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩等
が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコ
ールとの縮合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合体等が挙げ
られる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルア
ンモニウム塩等が挙げられる。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤等が挙げられる。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル
酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレー
ト等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体
のうちの1種類以上の単量体を共重合成分とする重合体等が挙げられる。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤として
は、従来からラジカル重合に一般的に使用されているものが使用可能であり、中でも水溶
性のものが好適である。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;
アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,
2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミノ
ジプロパン)ハイドロクロライド、4,4’-アゾビス-シアノバレリックアシッド、2
,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)、2,2’-アゾビス(2-メチル
ブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライドテトラハイドレート等のアゾ系化合物;過
酸化水素水、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロ
ロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウム等の過酸
化物等が挙げられる。重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて
用いてもよい。単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、例えば0.01~3
質量部である。
重合開始剤の分解を促進するために、例えば、L-アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤、硫酸第一鉄等の遷移金属塩等の重合開始剤の分解
剤を反応系内に適量で添加してもよい。また、反応系内には、必要により、例えば、連鎖
移動剤、pH緩衝剤、キレート剤等の添加剤を適量で添加してもよい。連鎖移動剤として
は、例えば、アルキルメルカプタン類、芳香族メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類等
が挙げられ、これらの中でも、ラウリルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、t-ブ
チルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、チオグリコール
酸-2-エチルヘキシル、2-メチル-t-ブチルチオフェノール、四臭化炭素、α-メ
チルスチレンダイマー等が好適である。
単量体成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、窒素ガス等の不活性
ガスであることが好ましい。単量体成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がな
いが、通常、好ましくは50~100℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合
反応の途中で変化させてもよい。単量体成分を乳化重合させる重合時間は、特に限定がな
く、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
水分散性樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以
上、さらに好ましくは55万以上、特に好ましくは60万以上である。水分散性樹脂の重
量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが
困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観
点から、500万以下であることが好ましい。
本明細書において、水分散性樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(
GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラ
ヒドロフランが使用される。
水分散性樹脂は、少なくとも2つ以上のガラス転移温度を有することが好ましい。この
水分散性樹脂は、少なくとも2つ以上のガラス転移温度を有する樹脂(特に異相構造を有
する樹脂)であってもよいし、異なるガラス転移温度を有する2種類以上の樹脂であって
もよい。好ましくは、水分散性樹脂は、15℃~35℃のガラス転移温度(Tg1)およ
び55~150℃のガラス転移温度(Tg2)を少なくとも有する。これによって、硬さ
と弾性力を備えた、割れにくく傷つきにくい、耐ブロッキング性と耐久性に優れる塗膜を
形成することができる。
本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JISK7121:2012に
準じDSCによって測定したものをいう。具体的には、樹脂片約10mgを測定用アルミ
パンに採取し、下記の測定条件でDSC測定を行い、ガラス転移温度を求めることができ
る。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
本発明の塗料組成物は、さらに架橋形成成分を含むことが好ましい。架橋形成成分を用
いることで、塗膜形成時に樹脂に架橋構造を付与することができる。架橋形成成分による
架橋は、分子内架橋(特に粒子内架橋)であっても分子間架橋(特に粒子間架橋)であっ
てもよいが、分子間架橋の方が、紫外線吸収剤およびラジカル捕捉剤の塗膜からの流出を
抑える効果が大きいため、好ましい。また、架橋形成成分を用いることで、本発明の塗料
組成物が塗装される層(特に意匠層)との付着性も向上させることができる。
本発明の塗料組成物の好ましい実施形態においては、水分散性樹脂が、架橋形成成分を
構成要素として含む樹脂を含むか、および/または塗料組成物が、(水分散性樹脂とは別
に)さらに架橋形成成分を含む。
架橋形成成分としては、上述した水分散性樹脂の構成要素となる架橋形成成分に加えて
、例えば、シランカップリング剤や架橋剤等が挙げられる。架橋剤としては、例えば、メ
ラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤
、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、チタネート系架橋
剤、尿素系架橋剤、アルキルアルコール化尿素系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤、カルボジ
イミド系架橋剤、ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、チタニウム化合物、アルミニウム化
合物等の多価金属化合物等が挙げられる。これらの中でも、シランカップリング剤、オキ
サゾリン系架橋剤およびカルボジイミド系架橋剤が好ましい。架橋形成成分は、一種単独
で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、上述のシラン基含有単量体を用いることがで
き、エポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,
2-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)エタン、1,4-ビス(2-オキサゾリン-2
-イル)ブタン、1,8-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ブタン、1,4-ビス(
2-オキサゾリン-2-イル)シクロヘキサン、1,2-ビス(2-オキサゾリン-2-
イル)ベンゼン、1,3-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、2-ビニル-
2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチ
ル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-
4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等
が挙げられる
カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカ
ルボジイミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド
メチオジド、N-tert-ブチル-N’-エチルカルボジイミド、N-シクロヘキシル
-N’-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメソ-p-トルエンスルホネート、N
,N’-ジ-tert-ブチルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トリルカルボジイミ
ド等のカルボジイミド化合物;カルボジイミド化触媒の存在下でポリイソシアネートの公
知の縮合反応により得られるカルボジイミド化合物;ポリイソシアネート及びポリアルキ
レンオキサイドを原料とするカルボジイミド化合物等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中の架橋形成成分の量は、0.5~20.
0質量%であることが好ましく、2.0~17.0質量%であることがより好ましく、3
.0~15.0質量%であることがさらに好ましい。ここで、「架橋形成成分の量」は、
架橋形成成分が、樹脂中に構成要素として含まれる架橋形成成分と、それとは別に塗料組
成物中に含まれる架橋形成成分からなる場合はその合計量を意味する。
本発明の塗料組成物は、マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂を含むことが好ま
しい。長期間屋外で風雨や太陽に曝される塗膜は、微細なクラックを生じ、耐候性を低下
させる問題があるが、マルテンス硬度が5~90N/mmの柔軟性のある樹脂を用いる
ことで、長期にわたり塗膜のクラックの発生を防止することができる。ここで、マルテン
ス硬度は、5~70N/mmであることが好ましい。
マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂は、上述したように、水分散性樹脂であっ
てもよいし、水分散性樹脂以外の樹脂であってもよい。本発明の塗料組成物の一実施形態
においては、水分散性樹脂が、マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂を含むか、お
よび/または、本発明の塗料組成物が、マルテンス硬度が5~90N/mmの別の樹脂
をさらに含む。マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂は、一種単独で用いてもよく
、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、マルテンス硬度とは、微小硬度計(例えばSHIMADZU製微小
硬度計DUH-211)により115°三角錐圧子を使用して、温度20℃、50%相対
湿度、試験力5mN、および負荷速度1mN/sec、負荷および除荷保持時間5sec
の条件により測定される値である。
マルテンス硬度(HMs)は試験力・押し込み深さ曲線の傾きより求めることができる
マルテンス硬度測定用サンプルは、樹脂に最低成膜温度が40℃になるように成膜助剤
を配合して、適宜消泡剤と増粘剤を添加することで固形分が38質量%の樹脂溶液を調製
する。その樹脂溶液について、10ミルアプリケータを用いてブリキ板に塗布し、乾燥炉
で100℃×5分間乾燥後、常温で1週間養生することで測定用のサンプルを作製する。
測定用のサンプルは40μmの膜厚となるようにアプリケータのすき間は変更可能である
樹脂のマルテンス硬度は、樹脂を構成する単量体の構成と、水分散性樹脂の粒子構造の
両方の影響を受けることから、マルテンス硬度を5~90N/mmの範囲内とするため
には、単量体組成の検討と、重合方法の検討を要する。発明者らが検討を行った結果、マ
ルテンス硬度は単量体のTgの影響を一定程度受け、Tgが55℃よりも高い均層構造の
樹脂はマルテンス硬度が90N/mmよりも大きくなりやすい傾向にあるものの、一概
にTgのみでは判断できず、例えば、スチレン等の芳香環骨格を有する単量体の配合量が
多くなるとマルテンス硬度が90N/mmよりも大きくなりやすく、反対に、シクロヘ
キシルメタクリレート等の脂環骨格を有する単量体では、Tgに比してマルテンス硬度が
低くなりやすいことが分かった。また、異相構造を有し、軟質部分を含む樹脂はマルテン
ス硬度が低くなりやすく、架橋密度を高くすると、マルテンス硬度が高くなりやすい傾向
も確認できた。これらのことから、樹脂のマルテンス硬度が5N/mm未満である場合
には、単独で成膜させた際のTgが高い単量体の配合割合を高くしたり、脂環骨格や芳香
環骨格を有する単量体の配合割合を多くしたり、塗膜の架橋密度を高くすることでマルテ
ンス硬度を高くすることができる。また、樹脂のマルテンス硬度が90N/mmを超え
る場合には、単独で成膜させた際のTgが低い単量体の配合割合を高くしたり、アルキル
鎖が4以上の単量体を配合したり、塗膜の架橋密度を低くすることでマルテンス硬度を低
くすることができる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中のマルテンス硬度が5~90N/mm
の樹脂の量は、5.0~99.0質量%であることが好ましく、10.0~75.0質量
%であることがより好ましく、20.0~60.0質量%であることがさらに好ましい。
ここで、「マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂の量」は、マルテンス硬度が5~
90N/mmの樹脂が水分散性樹脂と他の樹脂からなる場合はその合計量を意味する。
本発明の塗料組成物は、付着向上剤を含むことが好ましい。上述したように、架橋形成
成分は、本発明の塗料組成物が塗装される層(特に意匠層)との付着性を向上できること
から、付着向上剤と表現することもできる。また、付着向上剤には、架橋形成成分の他、
上述した水分散性樹脂に使用される単量体成分のうち、シラン基含有単量体、水酸基含有
単量体、窒素原子含有単量体(好ましくはアミノ基含有単量体およびアミド基含有単量体
)等が好適に挙げられ、これらの中でも架橋形成成分が特に好ましい。また、シランカッ
プリング剤も付着向上剤として好適である。付着向上剤は、一種単独で用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有
シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプロポ
キシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジ
エトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、
N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(ア
ミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ
-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロ
ピルトリイソプロポキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン
、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン
、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-
(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-
N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、グリシドキシメチルトリメト
キシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメト
キシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル(エチル)
ジメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、β
-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチ
ルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、8-グリシ
ドキシオクチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート基含有シランカップリング剤の具体例としては、3-イソシアネートプ
ロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、塗膜形成成分中の付着向上剤の量は、1.0~40.0
質量%であることが好ましく、3.0~34.0質量%であることがより好ましく、4.
5~30.0質量%であることがさらに好ましい。ここで、「付着向上剤の量」は、付着
向上剤が、塗料組成物中に分散または溶解している付着向上剤と樹脂中に構成要素として
含まれる付着向上剤からなる場合は、その合計量を意味する。
本発明の塗料組成物において、水分散性樹脂は、付着向上剤を構成要素として含む水分
散性樹脂を含むことが好ましい。付着向上剤を構成要素として含む水分散性樹脂は、アク
リル成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種を構成要素として含む水分散性樹脂
であってもよいし、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であっ
てもよいし、環状脂肪族系単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、
ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を構成要素として含む水分散性樹脂であっ
てもよいし、ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む水分散
性樹脂であってもよいし、架橋形成成分を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよ
いし、反応性乳化剤を構成要素として含む水分散性樹脂であってもよいし、マルテンス硬
度が5~90N/mmの水分散性樹脂であってもよい。
本発明の塗料組成物の一実施形態において、水分散性樹脂は、紫外線吸収剤およびラジ
カル捕捉剤よりなる群から選択される少なくとも1種、および/またはSP値9.4以下
の単量体、および/または環状脂肪族系単量体、および/またはホモポリマーのTgが5
0℃未満となる単量体、および/またはホモポリマーのTgが50℃以上となる単量体、
および/または架橋形成成分、および/または反応性乳化剤、および/または架橋形成成
分以外の付着向上剤をアクリル成分および/または非アクリル成分由来の構成要素として
含むとともに、マルテンス硬度が5~90N/mmである樹脂を含むことができる。
水分散性樹脂中の付着向上剤の量は、1.5~60.0質量%であることが好ましく、
4.5~50.0質量%であることがより好ましく、7.0~40.0質量%であること
がさらに好ましい。
本発明の塗料組成物は、該塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが
50℃未満となる単量体を樹脂成分中に10重量%以上含むことが好ましく、10.0~
70.0質量%含むことが、特には、10.0~35.0質量%含むことがさらに好まし
い。ホモポリマーのTgが50℃未満となる単量体を用いることで、樹脂の柔軟性を向上
させることができる。ここでのホモポリマーのTgは、-90℃以上15℃未満であるこ
とが好ましい。
ここで、「塗料組成物中に含まれる樹脂成分」とは、樹脂の他、塗膜形成後に樹脂の一
部となる成分であり、樹脂および架橋形成成分等が含まれる。また、樹脂中に構成要素と
して含まれる成分(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等)も樹脂の一部であることから、樹
脂成分に含まれる。
本発明の塗料組成物は、該塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが
50℃以上となる単量体を樹脂成分中に40重量%以上含むことが好ましく、40.0~
95.0質量%含むことがさらに好ましい。ホモポリマーのTgが50℃以上となる単量
体を用いることで、樹脂の剛性を向上させることができる。ここでのホモポリマーのTg
は、50~130℃であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤には、アニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等に分類
される。本発明の塗料組成物中の界面活性剤の量は、15.0質量%以下であることが好
ましく、1.0~12.0質量%であることがさらに好ましい。
本発明の塗料組成物は、水系の塗料組成物であることが好ましい。本明細書において「
水系の塗料組成物」とは、主溶媒として水を含有する塗料組成物である。水は、特に制限
されるものではないが、イオン交換水や蒸留水等の純水等が好適に挙げられる。また、塗
料組成物を長期保存する場合には、カビやバクテリアの発生を防止するため、紫外線照射
等により滅菌処理した水を用いてもよい。本発明の塗料組成物中において、水の量は、2
0~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。
本発明の塗料組成物は、意匠層を保護するための表面保護層の形成に適している。本発
明の塗料組成物は、高いレベルの耐候性を実現できることから、意匠層が活性エネルギー
線硬化型インクである場合や最表層に光触媒層が存在する場合にも長期に亘ってその意匠
を保護できるため、表面保護層用の塗料組成物として好適である。特に、本発明の塗料組
成物がマルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂を含む場合は、表面保護層の下側の層
および基材の膨潤収縮や屋外の環境温度の変化に対する耐性を向上し、表面保護層でのク
ラックの発生を防止することができるため、高いレベルでの耐候性を長期に亘って確保す
ることができる。
本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料であることが好ましい。本明細書において、クリ
ヤー塗料は、厚さ10μmの膜を形成した際の可視光透過率が60%以上となるクリヤー
塗料を指し、該光線透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であること
が特に好ましい。本発明の塗料組成物がクリヤー塗料として意匠層上に塗装される場合、
意匠層の意匠を損なわずに意匠層を保護することができる。
可視光透過率は、可視領域(360nm~750nm)における全光線透過率を意味し
、JIS K 7375:2008に準拠して測定することができる。
本発明の塗料組成物は、厚さ10μmの膜を形成した際の紫外線透過率が30%未満で
あることが好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさ
らに好ましい。
本明細書において、紫外線透過率は、280nmから400nmまでの波長範囲の光の
透過率を意味し、分光光度計を用いて測定することができる。
具体的に、石英ガラスに本発明の塗料組成物を乾燥膜厚が10μmになるように塗装し
て、乾燥炉で80℃×10分乾燥させることで測定用のサンプルを作製して、そのサンプ
ルについて紫外可視分光光度計(例えば、島津社製UV-2450)を用いて紫外線透過
率を測定することができる。
本発明の塗料組成物には、その他の成分として、他の樹脂、溶媒、顔料、艶消しビーズ
、カラービーズ、マイカ、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防
止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分かれ防止剤、粘度調整剤、レオロジーコントロール剤、
レベリング剤、消泡剤、乾燥剤、可塑剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、殺虫剤、抗ウイル
ス剤、帯電防止剤、および導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって
調製できる。本発明の塗料組成物は、1液型でも2液型でもよいが、2液型の塗料組成物
である場合、主剤と硬化剤とを予め用意しておき、これらを塗装時に混合することで調製
できる。通常、主剤は樹脂を含み、硬化剤は架橋剤を含む。主剤と硬化剤との混合の際に
、粘度の調整等の目的で水や希釈剤等の添加剤をさらに加えてもよい。
本発明の塗料組成物は、せん断速度0.1(1/s)における粘度が1~1000(P
a・s、23℃)であり、せん断速度1000(1/s)における粘度が0.05~10
(Pa・s、23℃)であることが好ましい。本明細書において、粘度は、レオメーター
(例えば、TAインスツルメンツ社製レオメーターARES)を用い、液温を23℃に調
整した後に測定される。
本発明の塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗
装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエ
アースプレー塗装、エアレススプレー塗装)等が利用できる。
本発明の塗料組成物の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等
を用いた強制乾燥のいずれであってもよいが、本発明の塗料組成物がガラス転移温度の高
い樹脂を含む場合は強制乾燥を行うことが好ましい。本発明の塗料組成物がホモポリマー
のTgが50℃以上となる単量体を構成要素として含む樹脂を含む場合は、塗料組成物を
塗装した後、80~150℃で加熱乾燥することが好ましい。
本発明の別の態様は、塗料組成物を意匠層に塗装して表面保護層を形成することを含む
表面保護層形成方法である。本明細書において、この表面保護層形成方法を「本発明の表
面保護層形成方法」とも称する。本発明の表面保護層形成方法において、塗料組成物は、
上述した本発明の塗料組成物である。意匠層とは、意匠が施された層である。ここで、意
匠とは、形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合である。意匠層は、単色の着色層も
含むことができ、単色の着色層のみからなる場合もある。意匠層の詳細については、後述
の本発明の塗装体の説明において記載する。
本発明の表面保護層形成方法においては、塗料組成物を塗装することで、表面保護層を
形成することができる。ここで、塗料組成物の塗装手段および乾燥手段は、本発明の塗料
組成物において説明したとおりである。
本発明の表面保護層形成方法においては、塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポ
リマーのTgが50℃以上となる単量体を樹脂成分中に40重量%以上含む場合、塗料組
成物を塗装した後、80~150℃で加熱乾燥することが好ましい。このような加熱処理
を行うことで、ホモポリマーのTgが高い単量体を多く含む場合であっても、むらのない
均質な表面保護層を形成することができる。
本発明の表面保護層形成方法において、表面保護層は、可視光透過率が60%以上であ
ることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさら
に好ましい。可視光透過率の高い表面保護層であれば、意匠層の意匠を損なわずに意匠層
を保護することができる。
本発明の表面保護層形成方法において、表面保護層は、紫外線透過率が30%未満であ
ることが好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさら
に好ましい。
本発明の表面保護層形成方法においては、表面保護層の膜厚が、例えば3.0~100
.0μmであり、5.0~70.0μmであることが好ましい。
本発明の表面保護層形成方法の一実施形態において、意匠層は、活性エネルギー線硬化
層である。活性エネルギー線硬化層とは、活性エネルギー線硬化型インクを活性エネルギ
ー線により硬化させることで得られる層である。
本発明の表面保護層形成方法の一実施形態において、意匠層は、活性エネルギー線硬化
層を含む。複数の材料を用いて意匠を表現する場合もあることから、意匠層は、活性エネ
ルギー線硬化層のみから形成されていない場合もあり、他の材料を含んでいてもよい。こ
の場合、表面保護層は、活性エネルギー線硬化層に接する層であることが好ましい。
本発明の表面保護層形成方法の一実施形態において、意匠層は、単色の着色層であって
も良い。この場合においても、表面保護層は着色層に接する層であることが好ましい。
本発明の表面保護層形成方法は、表面保護層上に光触媒層を形成させることを含んでも
よい。本発明において、表面保護層は、意匠層を保護するため層であって、塗装体の表面
に位置する層であるが、塗装体の最表面に配置される態様に制限されるものではなく、表
面保護層上にさらなる層を形成することもできる。
光触媒層は、太陽光などの光が照射されることにより、光触媒作用が働く材料を組成物
中に含有した層である。他方で、最表層に光触媒層が存在する場合、紫外線によりラジカ
ルを生じ、意匠層や表面保護層等の塗膜を劣化させる恐れがあるが、本発明において、表
面保護層は、ラジカルに対して劣化しにくい層であることから、このようなラジカルに対
する保護機能を表面保護層自体および意匠層のために発揮することができる。
本発明の別の態様は、意匠層および表面保護層、または意匠層、表面保護層および光触
媒層を含む塗装体である。本明細書においては、この塗装体を「本発明の塗装体」とも称
する。本発明の塗装体において、表面保護層は、上述した本発明の塗料組成物によって形
成される表面保護層である。
本発明の塗装体においては、塗装体または表面保護層のマルテンス硬度が10~200
N/mmであることが好ましい。塗装体または表面保護層のマルテンス硬度が10N/
mm未満である場合、塗膜が軟らかくなりすぎるため塗面に傷がつきやすく外観を損ね
ることがあり、200N/mmより大きい場合は塗膜が硬くなるために、長期にわたり
、雨、風、太陽光に曝されることで塗膜にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
ここで、塗装体または表面保護層のマルテンス硬度は、本明細書中に記載した樹脂のマル
テンス硬度と同様の手法により測定できる。なお、塗装体のマルテンス硬度とは、塗装体
の表面に形成される層全体に対して測定されるマルテンス硬度である。
本発明の塗装体において、表面保護層のガラス転移温度は、15℃~35℃のガラス転
移温度(Tg1)および55~150℃のガラス転移温度(Tg2)を少なくとも有する
ことが好ましい。
本明細書において、表面保護層のガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)を用
いて、JIS K 7121:2012(プラッスチックの転移温度測定方法)に準拠し
、測定することができる。具体的には、表面保護層の膜片約10mgを測定用アルミパン
に採取し、下記の測定条件でDSC測定を行い、ガラス転移温度を求めることができる。
(測定温度条件)
1st昇温:-80℃~220℃(20℃/min)
降温条件:220℃~-80℃(50℃/min)
2nd昇温:-80℃~220℃(10℃/min)
本発明の塗装体において、表面保護層は、可視光透過率が60%以上であることが好ま
しく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の塗装体において、表面保護層は、紫外線透過率が30%未満であることが
好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさらに好まし
い。
本発明の塗装体においては、表面保護層の膜厚が、例えば3.0~100.0μmであ
り、5.0~70.0μmであることが好ましい。
本発明の塗装体において、表面保護層は、1層でも2層以上の層であってもよい。本発
明の塗装体の一実施形態において、表面保護層は、付着向上剤を含む第1の保護層と、付
着向上剤を含まない第2の保護層の少なくとも2層よりなる。本発明の塗料組成物に含ま
れる架橋形成成分が付着向上剤に該当することから、第1の保護層が、本発明の塗料組成
物によって形成される表面保護層であり、第1の保護層が意匠層に接していることが好ま
しい。
本発明の塗装体において表面保護層が2層以上の層からなる場合、上述した表面保護層
のマルテンス硬度、ガラス転移温度、可視光透過率、紫外線透過率および膜厚の値は、表
面保護層全体としての値である。
本発明の塗装体において、意匠層は、活性エネルギー線硬化層を含むことが好ましい。
複数の材料を用いて意匠を表現する場合もあることから、意匠層は、活性エネルギー線硬
化層のみから形成されていない場合もあり、他の材料を含んでいてもよい。この場合、表
面保護層、特に本発明の塗料組成物によって形成される表面保護層は、活性エネルギー線
硬化層に接する層であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化層は、活性エネルギー線硬化型インクを活性エネルギー線により
硬化させることで得られる層である。例えば、活性エネルギー線硬化型インクを、インク
ジェットプリンタによる印刷(即ち、インクジェット方式)等の印刷手段によって、基材
上に印刷した後、硬化させることで形成することができる。活性エネルギー線硬化層の厚
みは、例えば0.1~30.0μmである。
活性エネルギー線硬化型インクは、光重合性化合物および光重合開始剤を含む。
光重合性化合物は、ラジカル重合性を示す官能基(例えば、アクリロイル基、メタクリ
ロイル基、ビニル基またはアリル基を構成する炭素-炭素二重結合等の光重合性不飽和基
)を介して重合反応を起こす化合物である。ラジカル重合性を示す炭素-炭素二重結合は
「エチレン性不飽和二重結合」とも称される。
光重合性化合物は、単官能重合性化合物または多官能重合性化合物に分類される。ここ
で、単官能重合性化合物としては、ラジカル重合性を示す官能基を1つ有する単官能重合
性モノマー(例えば1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性モノマー)やラジカル重
合性を示す官能基を1つ有する単官能重合性オリゴマー(例えば、1つの重合性不飽和基
を有する単官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。多官能重合性化合物としては、ラジ
カル重合性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性モノマー(例えば2つ以上の重合
性不飽和基を有する多官能重合性モノマー)やラジカル重合性を示す官能基を2つ以上有
する多官能重合性オリゴマー(例えば、2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性
オリゴマー)等が挙げられる。
単官能重合性モノマーの具体例としては、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル
(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコー
ル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチ
ルカルビトール(メタ)アクリレート、2-(2’-ビニルオキシエトキシ)エチル(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-
ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N
-(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2
-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート
、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(
メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルヘキサヒドロフタルイミド、1-(メタ)アクリロイルピロリジン-2-オン、1-(
メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイ
ミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジエ
チルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、
N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メチ
ロールアクリルアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシク
ロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシク
ロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ
)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、
γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシ
プロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシ
シランβ-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシ
エチルトリエトキシシラン、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシ
プロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート等
や、これらをアルキレングリコールで変性したものが挙げられる。
多官能重合性モノマーのうち、ラジカル重合性を示す官能基を2つ有する多官能重合性
モノマー(2官能重合性モノマー)の具体例としては、1,3-ブチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート
、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メ
チル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシ
ド)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノール
ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジメチロール-トリシ
クロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビスフェノー
ルAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
ラジカル重合性を示す官能基を3つ以上有する多官能重合性モノマー(3官能以上の多
官能重合性モノマー)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(
メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性オリゴマーは、好ましくはアクリルオリゴマーである。アクリルオリゴマーとは
、ラジカル重合性を示す官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオ
リゴマーである。アクリルオリゴマーの具体例としては、ポリウレタンアクリルオリゴマ
ー[ウレタン結合(-NHCOO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリエステルア
クリルオリゴマー[エステル結合(-COO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリ
アミノアクリルオリゴマー[アミノ基(-NH)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポ
リエポキシアクリルオリゴマー[エポキシ基を複数持つアクリルオリゴマー]、シリコー
ンアクリルオリゴマー[シロキサン結合(-SiO-)を複数持つアクリルオリゴマー]
、ポリブタジエンアクリルオリゴマー[ブタジエン単位を複数持つアクリルオリゴマー]
等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インク中の光重合性化合物の量は、例えば20.0~90.0
質量%である。光重合性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用
いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、光重合性化合物の平均官能基数が1.5未満である
ことが好ましく、1.05~1.2であることがさらに好ましい。インク中に含まれる光
重合性化合物の平均官能基数が1.5未満、特には1.05~1.2であると、膜の硬化
収縮を抑える効果が高く、膜自体の付着性を大幅に向上でき、かつ膜強度を保持すること
ができる。これにより、各種基材や膜への付着性と活性エネルギー線硬化層自体の膜強度
を確保することができる。
本明細書において、インク中に含まれる光重合性化合物の平均官能基数は、以下のよう
に算出することができる。
平均官能基数=〔光重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結合数〕/〔光重
合性化合物の全分子数〕 ・・・計算式(1)
ここで、計算式(1)における「光重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結
合数」については、光重合性化合物の1分子当たりのエチレン性不飽和二重結合の数に、
当該光重合性化合物の全分子数を乗じて計算される。インク中に光重合性化合物が複数種
類配合される場合においては、その種類毎にエチレン性不飽和二重結合数を計算し、それ
らを合計した全てのエチレン性不飽和二重結合の数のことを言う。
(光重合性化合物の平均官能基数の求め方の例)
光重合性化合物の全量を100質量部とする。
光重合性化合物A:エチレン性不飽和二重結合数=1、分子量X、30質量部
光重合性化合物B:エチレン性不飽和二重結合数=2、分子量X、70質量部
平均官能基数={(1×30/X)+(2×70/X)}/{(30/X)+(70/X
)}
光重合開始剤は、活性エネルギー線が照射されることによって、上述した光重合性化合
物の重合を開始させる作用を有する。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系
化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アシルホスフィンオキシド
系化合物等が挙げられる。更に、光重合開始剤の開始反応を促進させるため、光増感剤等
の助剤を併用することも可能である。
活性エネルギー線硬化型インク中の光重合開始剤の量は、例えば1~15質量%である
。光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、染料や顔料等の色材を含むことができる。色材とし
ては、公知の材料が使用でき、例えば、カーボンブラック、黄色酸化鉄、弁柄、複合酸化
物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・バナジウム系、コバルト・アル
ミニウム系、コバルト・アルミニウム・クロム系、ウルトラマリンブルー)、酸化チタン
等の無機顔料・染料や、キナクリドン系、ジケトプロロピール系、ベンズイミダゾロン系
、イソインドリノン系、アンスラピリミジン系、フタロシアニン系、スレン系、ジオキサ
ジン系、アゾ系等の有機顔料・染料が挙げられる。耐候性の観点から、無機顔料を用いる
ことが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インク中の色材の量は、1~20質量%であることが好ましい
。色材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、付着向上剤を含むことが好ましい。付着向上剤を用
いることで、意匠層の付着性を向上させることができる。活性エネルギー線硬化型インク
用の付着向上剤としては、水酸基含有モノマー、窒素原子含有モノマー(好ましくはアミ
ノ基含有モノマーおよびアミド基含有モノマー)、シラン基含有モノマー、およびシラン
カップリング剤等が好適に挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば、ヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ
)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(
メタ)アクリレート等のヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート、好ましく
はヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはヒドロキシC
-4アルキル(メタ)アクリレート]、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの(メ
タ)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のトリ乃至ヘキサヒ
ドロキシC3-10ポリオールの(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド系化合物、窒素原子
含有(メタ)アクリレート化合物、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等
が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルア
ミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、
N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N
-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N
,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルア
ミド等のN-置換(メタ)アクリルアミド[例えば、N-アルキル(メタ)アクリルアミ
ド(例えば、N,N-ジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド)]等が挙げられる。
窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN-置換アミノアルキル(メ
タ)アクリレート(例えば、N,N-ジC1-4アルキルアミノC2-4アルキル(メタ
)アクリレート)等が挙げられる。
シラン基含有モノマーとしては、例えば、加水分解(縮合)性基(例えば、アルコキシ
基、ハロゲン原子)が結合したシリル基を有するモノマーであり、下記構造式(3)で表
される化合物等が挙げられる。
(R1)-Si-(R2)4-n (3)
構造式(3)において、R1は、重合性不飽和結合基を有する基を示す。R2は、水素
原子、加水分解縮合性基、炭化水素基、エポキシ基(エポキシ基含有基)を示し、少なく
とも1つのR2は加水分解縮合性基を示す。nは、1~3の整数を示す。
構造式(3)において、R1において、重合性不飽和結合基としては、例えば、ビニル
基、アリル基、(メタ)アクロイル基等が挙げられる。R2において、炭化水素基として
は、例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等)等が挙げられる。アルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等が挙げられる。R2におい
て、加水分解縮合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子等)
、アルコキシ基、アシロキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、メルカプト基等
が挙げられる。R2において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基
等のC1-4アルコキシ基等が挙げられる。R2において、アシロキシ基としては、例え
ば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のC2-4アシルオキシ基などが挙げら
れる。
シラン基含有モノマーとしては、例えば、ビニル基含有シラン{例えば、ビニル基を有
するハロシラン(例えば、ビニルトリクロロシラン等のビニルモノ乃至トリハロシラン)
、ビニル基を有するアルコキシシラン[例えば、ビニルアルコキシシラン(例えば、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルモノ乃至トリアルコキシシ
ラン、好ましくはビニルモノ乃至トリC1-4アルコキシシラン)、ビニルアルコキシア
ルコキシシラン(例えば、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(β-
メトキシエトキシ)シラン等のビニルモノ乃至トリ(C1-4アルコキシC1-4アルコ
キシ)シラン)、スチリル基含有シラン(例えば、p-スチリルトリメトキシシラン等の
スチリルモノ乃至トリアルコキシシラン、好ましくはスチリルモノ乃至トリC1-4アル
コキシシラン)]}、(メタ)アクリロイル基含有シラン{例えば、(メタ)アクリロイ
ル基を有するアルコキシシラン[例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエ
トキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルモノ乃至トリアルコキシシラン、好まし
くは(メタ)アクリロキシC2-4アルキルモノ乃至トリC1-4アルコキシシラン]、
(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシシラン[例えば、3-(メタ)アクリロキシ
プロピルヒドロキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルヒドロキシシラン
等の(メタ)アクリロキシアルキルヒドロキシシラン、好ましくは(メタ)アクリロキシ
2-4アルキルヒドロキシシラン]}等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有
シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプロポ
キシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジ
エトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、
N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(ア
ミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ
-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロ
ピルトリイソプロポキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン
、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン
、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-
(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-
N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、グリシドキシメチルトリメト
キシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメト
キシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル(エチル)
ジメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、β
-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチ
ルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、8-グリシ
ドキシオクチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート基含有シランカップリング剤の具体例としては、3-イソシアネートプ
ロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インク中の付着向上剤の量は、例えば0.1~30.0質量%
である。付着向上剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい
活性エネルギー線硬化型インクは、その他の成分として、溶媒、分散剤、表面調整剤、
酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡
剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、紫外線吸収剤
、ラジカル捕捉剤等の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合するこ
とで調製できる。また、不純物等によるヘッドのノズル詰まりを防止する目的で、フィル
ターを用いたろ過をインクに対して行うことが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インクは、その25℃における表面張力が20~30mN/m
の範囲内であることが好ましい。25℃におけるインク表面張力が上記特定した範囲内に
あれば、良好な吐出安定性が得られる。インクの表面張力は、プレート法により測定でき
る。
活性エネルギー線硬化型インクの印刷は、インクジェット印刷方式にて行われることが
好ましい。インクジェット印刷では、種々のインクジェットプリンタに使用することがで
きる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりイ
ンク組成物を噴出させるインクジェットプリンタが挙げられる。また、大型インクジェッ
トプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジ
ェットプリンタも好適に使用できる。
活性エネルギー線硬化型インクから形成される層は、紫外線等の活性エネルギー線の照
射により硬化されることになる。活性エネルギー線の光源としては、高圧水銀ランプ、メ
タルハライドランプ、LEDランプ等を使用できる。また、この層を硬化させるために照
射する活性エネルギー線の波長は、光重合開始剤の吸収波長と重複していることが好まし
く、活性エネルギー線の主波長が350~400nmであることが好ましい。活性エネル
ギー線の積算光量は100~2000mJ/cmの範囲にあることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インクを用いた印刷は、吐出条件やその後の硬化条件を適宜選
択することで、グロス調、マット調等の表面仕上げ加工を行うことができる。例えば、イ
ンクが拡がった後、時間を置いて硬化すればグロス調になり、インク滴がレンズ状のまま
硬化すればマット調になる。
本発明の塗装体において、意匠層が活性エネルギー線硬化層以外の層を含む場合、活性
エネルギー線硬化層以外の層としては、例えば、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤
系塗料およびインク、主溶媒として水を用いる水系塗料およびインク、光重合性化合物を
用いる光硬化型塗料、粉体塗料等の各種塗料およびインク等から形成される層が挙げられ
る。
本発明の塗装体において、意匠層のガラス転移温度は、-10℃~90℃のガラス転移
温度を有することが好ましい。意匠層が活性エネルギー線硬化層を含む場合、活性エネル
ギー線硬化層は、-30℃~60℃のガラス転移温度を有することが好ましい。
意匠層および活性エネルギー線硬化層のガラス転移温度は、表面保護層のガラス転移温
度と同様の方法によって測定することができる。
本発明の塗装体において、意匠層、特に活性エネルギー線硬化層は、基材や他の層(特
には、水系塗料およびインクから形成された層)との付着性を確保し、層間剥離を生じさ
せないため、積層構造に発生する内部応力を緩和できる層であることが好ましく、軟質で
あることが好ましい。一方、表面保護層は、外的要因から意匠層を保護する観点から硬質
であることが好ましい。
本発明の塗装体において、意匠層、特に活性エネルギー線硬化層のガラス転移温度は、
表面保護層のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。ここで、各層が複数のガラス転
移温度を有する場合、「意匠層、特に活性エネルギー線硬化層のガラス転移温度」とは、
意匠層、特に活性エネルギー線硬化層のガラス転移温度のうち最も高いガラス転移温度を
指し、「表面保護層のガラス転移温度」とは、表面保護層のガラス転移温度のうち最も低
いガラス転移温度を指す。
本発明の塗装体において、意匠層の厚みは、例えば0.1~150.0μmであり、0
.1~100.0μmであることが好ましい。
本発明の塗装体は、表面保護層上に光触媒層をさらに含んでもよい。光触媒層は、太陽
光などの光が照射されることにより、光触媒作用が働く材料を組成物中に含有した層であ
る。他方で、最表層に光触媒層が存在する場合、紫外線によりラジカルを生じ、意匠層や
表面保護層等の塗膜を劣化させる恐れがあるが、本発明において、表面保護層は、ラジカ
ルに対して劣化しにくい層であることから、このようなラジカルに対する保護機能を表面
保護層自体および意匠層のために発揮することができる。
光触媒作用が働く材料としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化
錫、酸化亜鉛、酸化セリウムのような金属酸化物があげられるが、特にこれらの材料に限
定されない。
光触媒層は、その他の成分として、樹脂、分散剤、表面調整剤、酸化防止剤、可塑剤、
防錆剤、溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力
緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等の
添加剤を必要に応じて含んでもよい。
光触媒層は、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料およびインク、主溶媒とし
て水を用いる水系塗料およびインク、光重合性化合物を用いる光硬化型塗料およびインク
、粉体塗料等の各種塗料およびインク等から形成することができる。
本発明の塗装体において、基材としては、例えば、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカ
ーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、特にはポリメチルメタクリ
レート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)
等のプラスチック基材、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンやそれらの合金等の
金属基材、セメント、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、大理石
、人工大理石、ガラス、セラミック等の金属以外の無機質基材、紙系基材、木質基材、こ
れら基材の2種以上の材料を組み合わせた複合基材等が挙げられる。
基材の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状等がある。基材の表面は、
平滑であってもよいし、凹凸を有していてもよい。
基材の具体例としては、例えば、単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(M
DF)等の木質建材;窯業系サイディングボード、フレキシブルボード、珪酸カルシウム
板、石膏スラグバーライト板、木片セメント板、石綿セメント板、パルプセメント板、プ
レキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート(ALC)板またはALCパネル、石
膏ボード等の窯業建材;金属サイディングボード、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金
属建材等の各種建材(特に建築板)が好適に挙げられる。また、基材の具体例として、塩
ビシート、ターポリン、プラダン(プラスチック製ダンボール)、アクリル板等のプラス
チック基材、コート紙(具体的には樹脂コート紙)、アート紙、キャスト紙、微塗工紙、
上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙類;タイル、ガラス板等も挙げられる。
基材は、その表面に、脱脂処理、化成処理、研磨等の前処理や、シーラー、プライマー
塗装等が施されていてもよい。例えば、基材が、窯業建材等の塗料やインクを過度に吸い
込む可能性のある基材(特に多孔性基材)である場合、基材の表面がシーラーで塗装され
、基材上にシーラー層が形成されている場合がある。また、基材が、金属建材等である場
合には、基材の表面がプライマーで塗装され、基材上にプライマー層が形成されている場
合がある。
本発明の塗装体の一実施形態において、塗装体は、基材と、意匠層と、表面保護層とを
備えることができ、ここで、意匠層は基材上に位置し、表面保護層は意匠層上に位置し、
意匠層を被覆している。また、塗装体の最表層に光触媒層や、撥水剤、親水剤等を含むオ
ーバーコート層が存在していてもよい。
本発明の塗装体は、受容層を含むことが好ましい。受容層とは、インクを吸収し、色材
を定着させるための層である。基材上に受容層を形成させることで、意匠層の発色性を向
上させるとともに、受容層を介して意匠層と基材の付着性を向上させることができる。
受容層は、樹脂を含むことが好ましく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アク
リルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロ
ジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿
素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキド樹脂、脂肪族炭化水素
樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチ
ミン樹脂、およびこれらの樹脂を変性した樹脂(変性樹脂)等が挙げられる。受容層中の
樹脂の量は、例えば20.0~85.0質量%である。樹脂は、一種単独で用いてもよく
、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
受容層は、顔料を含むことが好ましい。顔料としては、例えば、防錆顔料、体質顔料、
着色顔料、光輝顔料等の、塗料業界において通常使用されている顔料が使用できる。受容
層中の顔料の量は、例えば0.1~80.0質量%である。顔料は、一種単独で用いても
よく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
受容層は、その他の成分として、分散剤、表面調整剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、
溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、
浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等の添加剤を
必要に応じて含んでもよい。
受容層は、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料およびインク、主溶媒として
水を用いる水系塗料およびインク、光重合性化合物を用いる光硬化型塗料およびインク、
粉体塗料等の各種塗料およびインク等から形成することができる。
受容層は、基材を保護するとともに、例えば基材が硬質基材である場合には付着性を確
保する観点から、硬質であることが好ましい。
本発明の塗装体において、受容層のガラス転移温度は、10℃~80℃のガラス転移温
度を有することが好ましい。受容層のガラス転移温度は、表面保護層のガラス転移温度と
同様の方法によって測定することができる。
本発明の塗装体において、受容層、意匠層および表面保護層のガラス転移温度(Tg)
は、以下の関係を満たすことが好ましい。
意匠層のTg ≦ 受容層のTg ≦ 表面保護層のTg
ここで、各層が複数のガラス転移温度を有する場合、「意匠層のTg」とは、意匠層、
特に活性エネルギー線硬化層のガラス転移温度のうち最も高いガラス転移温度を指し、「
表面保護層のTg」とは、表面保護層のガラス転移温度のうち最も低いガラス転移温度を
指し、「受容層のTg」とは、受容層の各Tgを指す(すなわち、それぞれのTgが上記
関係を満たす)。
本発明の塗装体において、受容層の厚みは、例えば1.0~100.0μmであり、5
.0~70.0μmであることが好ましい。
本発明の塗装体の一実施形態において、塗装体は、基材と、受容層と、意匠層と、表面
保護層とを備えることができ、ここで、受容層は基材上に位置し、意匠層は受容層上に位
置し、表面保護層は意匠層上に位置し、意匠層を被覆している。また、塗装体の最表層に
光触媒層や、撥水剤、親水剤等を含むオーバーコート層が存在していてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら
限定されるものではない。
<水分散性樹脂>
水分散性樹脂1~13として、以下のものをエマルションとして用意した。水分散性樹
脂10~12は、架橋形成成分であるγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン(KBM503)を構成要素として含む樹脂である。各樹脂のマルテンス硬度は、以
下の方法によって測定した。
<水分散性樹脂のマルテンス硬度>
水分散性樹脂1~13に最低成膜温度が40℃になるように成膜助剤を配合して、固形
分が38質量%の樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液について、6ミルアプリケータ
を用いて乾燥膜厚が40μmとなるようにブリキ板に塗布し、乾燥炉で100℃×5分間
乾燥後、常温で1週間養生することで測定用のサンプルを作製した。作製した各試験板の
マルテンス硬度を、微小硬度計(SHIMADZU製微小硬度計DUH-211)により
115°三角錐圧子を使用して、温度20℃、50%相対湿度、試験力5mN、および負
荷速度3secの条件により測定し、試験力・押し込み深さ曲線の傾きからマルテンス硬
度(HMs)を求めた。
<水分散性樹脂1~13の詳細>
・水分散性樹脂1:[MMA/CHMA/EHA/HEMA/AA/LA82(質量比3
3.5/25/34/3/1.5/3)]の乳化重合体、固形分量45質量%、マルテン
ス硬度28.0N/mm
・水分散性樹脂2:[MMA/CHMA/EHA/BA/HEMA/AA/LA82(質
量比23.5/20/20/29/3/1.5/3)]の乳化重合体、固形分量45質量
%、マルテンス硬度11.0N/mm
・水分散性樹脂3:[MMA/CHMA/EHA/HEMA/AA/TN400/LA8
2(質量比48.5/30/14/2/1.5/1/3)]の乳化重合体、固形分量45
質量%、マルテンス硬度52.0N/mm
・水分散性樹脂4:[MMA/CHMA/EHA/BA/HEMA/AA/TN400/
LA82(質量比16.5/16/25/35/2/1.5/1/3)]の乳化重合体、
固形分量45質量%、マルテンス硬度3.5N/mm
・水分散性樹脂5:[MMA/CHMA/BMA/EHA/BA/HEMA/AA/TN
400/LA82(質量比53.5/2/20/10/7/2/1.5/1/3)]の乳
化重合体、固形分量45質量%、マルテンス硬度72.0N/mm
・水分散性樹脂6:[1段目:MMA/CHMA/HEMA/AA/LA82/TN40
0(質量比26/20/2/1/0.5/1)、2段目:CHMA/EHA/HEMA/
LA82/TN400(質量比21/26/1/0.5/1)]の乳化重合体、固形分量
45質量%、マルテンス硬度55.0N/mm
・水分散性樹脂7:[1段目:MMA/CHMA/EHA/HEMA/AA(質量比10
/15/20/3/1)、2段目:MMA/CHMA/EHA/HEMA/LA82(質
量比12/30/4/1/4)]の乳化重合体、固形分量45質量%、マルテンス硬度3
3.0N/mm
・水分散性樹脂8:[1段目:MMA/CHMA/AA(質量比26/23/1)、2段
目:CHMA/EHA/AA(質量比23/26/1)]の乳化重合体、固形分量45質
量%、マルテンス硬度56.0N/mm
・水分散性樹脂9:[1段目:MMA/EHA/BA/AA(質量比24/15/10/
1)、2段目:MMA/BA/AA(質量比42/7/1)]の乳化重合体、固形分量4
5質量%、マルテンス硬度43.0N/mm
・水分散性樹脂10:[1段目:MMA/CHMA/AA/TN400(質量比18/1
4/1/1)、2段目:CHMA/EHA/KBM503/TN400(質量比8/23
/1/1、3段目:MMA/CHMA/EHA/KBM503/LA82/TN400(
質量比5/15/10/1/1/1)]の乳化重合体、固形分量45質量%、マルテンス
硬度28.0N/mm
・水分散性樹脂11:[1段目:MMA/CHMA/HEMA/AA/LA82/TN4
00(質量比18/12/3/1/0.5/0.5)、2段目:CHMA/EHA/KB
M503/LA82/TN400(質量比13/18/1/1/1)、3段目:CHMA
/BMA/EHA/KBM503/LA82/TN400(質量比13/13/3/1/
0.5/0.5)]の乳化重合体、固形分量45質量%、マルテンス硬度39.0N/m

・水分散性樹脂12:[1段目:MMA/CHMA/HEMA/AA/RUVA-93(
質量比25/21/2/1/1)、2段目:CHMA/EHA/HEMA/KBM503
(質量比22/26/1/1)]の乳化重合体、固形分量45質量%、マルテンス硬度2
1.0N/mm
・水分散性樹脂13:[MMA/EHA/HEMA/AA/LA82(質量比78.5/
14/3/1.5/1.5/3)固形分量45質量%、マルテンス硬度102.0N/m
乳化重合体を構成する単量体の略号は、以下のことを意味する。
・MMA:メチルメタクリレート、ホモポリマーのTg105℃、SP値9.53
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、ホモポリマーのTg66℃、SP値9.4

・BMA:n-ブチルメタクリレート、ホモポリマーのTg20℃、SP値9.27
・EHA:2-エチルヘキシルアクリレート、ホモポリマーのTg-50℃、SP値9.

・BA:n-ブチルアクリレート、ホモポリマーのTg-55℃、SP値9.67
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ホモポリマーのTg55℃、SP値
11.87
・KBM503:γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン,ホモポリマー
のTg30℃
・AA:アクリル酸、ホモポリマーのTg106℃、SP値10.01
ラジカル捕捉剤
・LA82:1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタアクリレート(株
式会社ADEKA社製)
・RUVA-93:2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル
]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(大塚化学株式会社)
・TN400:TINUVIN400、トリアジン系紫外線吸収剤(BASF株式会社)
建築板の作製に使用した材料などの詳細を以下に示す。
<基材>
スレート板〔150mm×70mm×5mm、TP技研(株)製〕
<シーラー>
水性マイティーシーラーマルチ〔カチオン型水性塗料、大日本塗料(株)製商品名〕
<下塗り塗料>
DNTビューアクリル〔水性アクリルエマルション塗料、大日本塗料(株)製商品名〕
<インク受理層用塗料1>
表1に示す配合に従い、原料とチタニアビーズを混合した後、ビーズミルで分散した。
分散後、チタニアビーズを取り除き、インク受理層用塗料1を調製した。
なお、表1に示す樹脂粒子水分散体1は、特開2019-217680号公報の段落[
0074]~[0076]に記載された<樹脂粒子水分散体1の調製(合成例1)>に従
い調製した樹脂粒子水分散体1である。
Figure 2023153212000002
表1の注釈については、以下のとおりである。
1)酸化チタン、密度3.8g/cm(TITONE R-62N,堺化学社製)
2)重質炭酸カルシウム、密度2.7g/cm、平均粒子径2μm(丸尾カルシウム製

3)SNデフォーマー1316(サンノプコ社製)
4)ASE-60(ロームアンドハース社製)
5)Proxel AM(アーチケミカルズ社製)
6)TINUVIN 1130(BASF社製)
7)サノール LS-292(三共化成社製)
<活性エネルギー線硬化型インク>
以下の表2の通りの配合により、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインク
を調製した(表中に示される配合の各成分の量は質量部で示される)。具体的には、表2
中の各原料を全て混合し、ビーズミルにて5時間練合・溶解を行なった後、孔径1μmの
グラスフィバーフィルターにより濾過して不純物を除去した。
Figure 2023153212000003
インクの調製に使用した材料の詳細を以下に示す。
・DAIPYROXIDE ブルー #9410 〔ブルー顔料、C.I.ピグメントブ
ルー 28、大日精化工業(株)製商品名〕
・BAYFERROX 130M 〔マゼンタ顔料、C.I.ピグメントレッド 101
、ランクセス社製商品名〕
・TAROX 合成酸化鉄 HY-100 〔イエロー顔料、C.I.ピグメントイエロ
ー 42、チタン工業(株)製商品名〕
・TEGO-Dispers 685〔顔料分散剤、Evonic社製商品名〕
<表面保護層形成用塗料>
以下の表3~10の通りの配合により、表面保護層形成用塗料として上塗り塗料を調製
した。表中に示される配合の各成分の量は質量部で示される
具体的には、表3~10中の各原料を全て混合し、高速分散機〔ホモディスパー2.5
、プライミクス(株)社製〕にて撹拌を行なった後、100メッシュの金属網で濾過して
不純物を除去した。なお、配合した各原料については以下の通りである。
・TINUVIN 1130〔紫外線吸収剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN 384〔紫外線吸収剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN 400DW〔紫外線吸収剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN 477DW〔紫外線吸収剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN 479DW〔紫外線吸収剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN LS-292〔ラジカル捕捉剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・TINUVIN 123DW〔ラジカル捕捉剤、BASFジャパン(株)製商品名〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(成膜助剤)
・ビスカレックスVG2〔増粘剤、ヘキスト合成(株)製商品名〕
・BYK-028〔消泡剤、BYK社製商品名〕
・BYK-349〔レベリング剤、BYK社製商品名〕
・ACEMATT TS100〔艶消し剤、エボニック社製商品名)
・ルミフロンFE4300〔フッ素樹脂、旭硝子(株)製商品名〕
・KBM403〔3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製
商品名〕
・KBE9007〔3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株
)製商品名〕
・エポクロスWS500〔オキサゾリン基含有樹脂、日本触媒(株)製商品名〕
・カルボジライトE-02〔水分散性ポリカルボジイミド化合物、日清紡(株)製商品名
<光触媒コーティング剤>
光触媒コーティング剤A:テイカ株式会社TKC-304
光触媒コーティング剤B:株式会社ピアレックス・テクノロジーズ ピュアコート
<建築板の作製>
1.シーラー板の作製
基材上に水性マイティーシーラーマルチを塗布量100g/mとなるようにエアスプ
レーで塗装し、室温で2時間乾燥することでシーラー板を作製した。
2.下塗り基材の作製
上記1.で作製したシーラー板を60℃に加温して、上述のインク受理層用塗料1をエ
アスプレーにより塗布量が130g/m(乾燥膜厚約30μm)になるように塗装した
後、100℃×3分乾燥させることで下塗り基材としてインク加飾用のインク受理層基材
を作製した。
3.着色層付き基材の作製
インク受理層用塗料に代えてDNTビューアクリル各色を同条件で塗装したこと以外は
「2.下塗り基材の作製」と同様に作業を行うことで、着色層付き基材を作製した。
表3~10の「意匠層」の欄に「水性塗料」と記載された例については、この着色層付
き基材の作製を行った。
4.インク層付き基材の作製
上記2.で作製したインク受理層基材を基材温度が50~60℃に調整された状態で上
述の活性エネルギー線硬化型インク(シアンインク、マゼンタインクおよびイエローイン
ク)によりインクジェットプリンター〔EB100(制御装置)、XY100(搬送ステ
ージ)、共にコニカミノルタIJ(株)社製〕にて各色の階調パターン(記録濃度を10
%から100%まで20%刻みで段階的に記録したベタ画像)を形成させた後に、メタル
ハライドランプによりピーク照度300mW/cmで積算光量200mJ/cmの紫
外線を照射して、インクを硬化させ、インク層付き基材を作製した。
表3~10の「意匠層」の欄に「UVインク」と記載された例については、このインク
層付き基材の作製を行った。
5.表面保護層
インク層および着色層が形成された基材の表面温度が50℃になるよう調整した状態で
、上述の上塗り塗料(表面保護層形成用塗料)をエアスプレーにより塗布量が100g/
(乾燥膜厚30μm相当)になるようにインク層および着色層上に塗装した後、12
0℃で15分乾燥させることで表面保護層を形成させた。
6.光触媒層
上記5.で形成させた表面保護層に対して、基材の表面温度が60℃になるように調整
した状態で、光触媒コーティング剤をエアスプレーにより塗布量が20g/m(乾燥膜
厚400nm相当)になるように塗装した後、60℃3分乾燥させることで光触媒層を形
成させた。
表3~10の「光触媒コーティング剤」の欄に「A」と記載された例については、光触
媒コーティング剤Aを用いて光触媒層の形成を行い、「B」と記載された例については、
光触媒コーティング剤Bを用いて光触媒層の形成を行った。これらの例では、最表層に光
触媒層が存在している。
表3~10の「光触媒コーティング剤」の欄に「-」と記載された例については、光触
媒層を作製しなかった。これらの例では、最表層は表面保護層である。
上記<建築板の作製>の記載に従って建築板を作製した。
※ <建築板の作製>の1.~6.に記載の基材温度の測定は、赤外線放射型非接触温度
計(ISK-8700II、アズワン(株)社製)を用いて行った。
<塗装体のマルテンス硬度>
上記で作製した建築板について常温で1週間養生後に、建築板上に形成された塗膜のマ
ルテンス硬度を微小硬度計(SHIMADZU製微小硬度計DUH-211)により11
5°三角錐圧子を使用して、温度20℃、50%相対湿度、試験力5mN、および負荷速
度1mN/sec、負荷および除荷保持時間5secの条件により測定し、試験力・押し
込み深さ曲線の傾きからマルテンス硬度(HMs)を求め、以下の基準に基づいて評価し
た。結果を表3~10に示す。
なお、塗膜中に艶消しビーズ、カラービーズ、マイカなどの骨材成分を含む場合は、そ
れらを除いた部分で測定するものとする。
(評価基準)
○:マルテンス硬度が10~200N/mm
△:マルテンス硬度が10N/mm未満、または200N/mmよりも大きい。
<耐水性(JIS K 5600-6-2:1999に準拠)>
作製した建築板を、40℃に保った恒温水槽中に浸漬し、240時間後に取り出して乾
燥させた。その後、発生した膨れ、白化等の外観の観察をし、また、付着性を評価した。
結果を表3~10に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:膨れ、白化等の外観異常が無く、付着性が分類0である。
○:膨れ、白化等の外観異常が無く、付着性が分類1~2である。
△:膨れ、白化等の外観異常が無く、付着性が分類3~5である。
×:膨れ、白化等の外観異常が見られる。
なお、JIS K 5600-5-6:1999の8.3に記載される分類0~5は以
下の通りである。
・分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
・分類1:積層塗膜の残存率が95~99%。
・分類2:積層塗膜の残存率が85%以上95%未満。
・分類3:積層塗膜の残存率が65%以上85%未満。
・分類4:積層塗膜の残存率が0%以上65%未満。
・分類5:分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。
<促進耐候性1(サンシャイン)>
JISK5400-9-8に基づき、建築板をサンシャインカーボンアーク灯式の促進
耐候性試験に7500時間供した後、初期板との比較によって色差、光沢保持率と塗膜外
観について以下の方法で評価した。結果を表3~10に示す。
◎:塗膜にクラックなどの不具合はなく、光沢保持率が90%以上で色差がΔE<1.
0である。
○:塗膜にクラックなどの不具合はなく、光沢保持率が80%以上で色差がΔE<2.
0である。
△:塗膜にクラックなどの不具合はなく、光沢保持率が70%以上で色差がΔE<3.
0である。
×:塗膜にクラックが生じており、光沢保持率が70%未満である、あるいは色差がΔ
E>3.0である。
<促進耐候性2(スーパーUV試験)>
建築板を岩崎電気製アイスーパーUVテスター試験に1000時間供した後、初期板と
の比較によって色差、光沢保持率と塗膜外観について以下の方法で評価した。
◎:塗膜にクラックなどの不具合はなく、光沢保持率が90%以上で色差がΔE<1.
0である。結果を表3~10に示す。
○:見ための大きな変化がなく、光沢保持率が80%以上で色差がΔE<2.0である

△:見ための大きな変化がなく、光沢保持率が70%以上で色差がΔE<3.0である

×:塗膜にクラックが生じており、光沢保持率が70%未満である、あるいは色差がΔ
E>3.0である。
促進耐候性評価に使用される光沢保持率および色差は以下の式で算出できる。
光沢保持率(%)=(試験後の60°光沢値)/(初期板の60°光沢値)×100
色差(ΔE)=((ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
(ΔL=試験後のL値-初期板のL値)
(Δa=試験後のa値-初期板のa値)
(Δb=試験後のb値-初期板のb値)
光沢値はBYK製micro-TRI-gloss、測色値はコニカミノルタ製CR-
400により測定した
<耐候性試験後の二次付着性>
上記<促進耐候性2(スーパーUV試験)>に従い、建築板を岩崎電気製アイスーパー
UVテスター試験に1000時間供した。次いで、建築板上の膜にカッターナイフを用い
て縦横2mm間隔で切れ目を入れ、100マス目を作製して、セロテープ(登録商標)剥
離試験を行った。なお、評価基準は以下の通りである。結果を表3~10に示す。
◎:付着性が分類0である。
〇:付着性が分類1である。
△:付着性が分類2~3である。
×:付着性が分類4~5である。
なお、JIS K 5600-5-6:1999の8.3に記載される分類0~5は以
下の通りである。
・分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
・分類1:積層塗膜の残存率が95~99%。
・分類2:積層塗膜の残存率が85%以上95%未満。
・分類3:積層塗膜の残存率が65%以上85%未満。
・分類4:積層塗膜の残存率が0%以上65%未満。
・分類5:分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。
<耐ブロッキング性>
作製した建築板の塗面に40℃雰囲気下で24時間、1t/mの荷重をかけて、塗膜
の圧着痕について、以下の方法で評価する。塗装体のマルテンス硬度が低すぎたり高すぎ
たりすると、耐ブロッキング性が低下する。結果を表3~10に示す。
〇:塗膜にワレがなく、目視で圧着痕なし
△:塗膜にワレはないが、目視で圧着痕が見られる
×:塗膜にワレを生じる
耐候性に関して、促進耐候性1(サンシャイン)、促進耐候性2(スーパーUV試験)
および耐候性試験後の二次付着性の3つの評価を行ったが、いずれの評価結果も◎、○ま
たは△である場合、その塗料組成物は、高いレベルの耐候性を実現し得る表面保護層を形
成することが可能な塗料組成物である。このような塗料組成物であれば、意匠層が活性エ
ネルギー線硬化型インクである場合や最表層に光触媒層が存在する場合にも長期に亘って
その意匠を保護できる表面保護層を形成することができる。
Figure 2023153212000004
Figure 2023153212000005
Figure 2023153212000006
Figure 2023153212000007
Figure 2023153212000008
Figure 2023153212000009
Figure 2023153212000010
Figure 2023153212000011
表中「樹脂中の紫外線吸収剤量」および「樹脂以外の紫外線吸収剤量」はいずれも塗料
組成物中の紫外線吸収剤の量(質量%)を示し、「樹脂中の紫外線吸収剤量」の「紫外線
吸収剤」は、水分散性樹脂の構成要素として含まれる紫外線吸収剤を指し、「樹脂以外の
紫外線吸収剤量」は、水分散性樹脂の構成要素としてではなく、塗料組成物中に分散また
は溶解している紫外線吸収剤を指す。
同様に、「樹脂中のラジカル捕捉剤量」および「樹脂以外のラジカル捕捉剤量」はいず
れも塗料組成物中のラジカル捕捉剤の量(質量%)を示し、「樹脂中のラジカル捕捉剤量
」の「ラジカル捕捉剤」は、水分散性樹脂の構成要素として含まれるラジカル捕捉剤を指
し、「樹脂以外のラジカル捕捉剤量」は、水分散性樹脂の構成要素としてではなく、塗料
組成物中に分散または溶解しているラジカル捕捉剤を指す。

Claims (11)

  1. 意匠層を保護するための表面保護層形成用塗料組成物であって、
    前記表面保護層形成用塗料組成物が、水分散性樹脂と、塗料組成物中に分散または溶解
    している(A)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤とを含有し、
    前記水分散性樹脂が、(B)紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素と
    して含む樹脂を含み、成分(A)および成分(B)の一方は少なくとも紫外線吸収剤であ
    り、成分(A)および成分(B)の他方は少なくともラジカル捕捉剤であり、
    前記水分散性樹脂が、架橋形成成分を構成要素として含む樹脂を含むか、および/また
    は前記表面保護層形成用塗料組成物が、さらに架橋形成成分を含み、ここで、前記架橋形
    成成分を構成要素として含む樹脂は、前記紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を
    構成要素として含む樹脂であってもよいことを特徴とする、表面保護層形成用塗料組成物
  2. 前記水分散性樹脂が、SP値9.4以下の単量体を構成要素として含むことを特徴とす
    る、請求項1に記載の表面保護層形成用塗料組成物。
  3. 前記水分散性樹脂が、マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂を含むか、および/
    または、前記表面保護層形成用塗料組成物が、マルテンス硬度が5~90N/mmの別
    の樹脂をさらに含み、ここで、前記マルテンス硬度が5~90N/mmの樹脂は、前記
    紫外線吸収剤および/またはラジカル捕捉剤を構成要素として含む樹脂であってもよいし
    、前記架橋形成成分を構成要素として含む樹脂であってもよいことを特徴とする、請求項
    1または2に記載の表面保護層形成用塗料組成物。
  4. 前記表面保護層形成用塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50
    ℃未満となる単量体を樹脂成分中に10質量%以上含むことを特徴とする、請求項1~3
    のいずれか一項に記載の表面保護層形成用塗料組成物。
  5. 前記表面保護層形成用塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50
    ℃以上となる単量体を樹脂成分中に40重量%以上含むことを特徴とする、請求項1~4
    のいずれか一項に記載の表面保護層形成用塗料組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の表面保護層形成用塗料組成物を意匠層に塗装して
    表面保護層を形成することを特徴とする、表面保護層形成方法。
  7. 前記表面保護層形成用塗料組成物中に含まれる樹脂成分が、ホモポリマーのTgが50
    ℃以上となる単量体を樹脂成分中に40重量%以上含むとともに、前記表面保護層形成用
    塗料組成物を塗装した後、80~150℃で加熱乾燥することを特徴とする、請求項6に
    記載の表面保護層形成方法。
  8. 活性エネルギー線硬化層を含む意匠層と、該活性エネルギー線硬化層に接する層とを含
    む塗装体であって、前記活性エネルギー線硬化層に接する層が請求項1~5のいずれか一
    項に記載の表面保護層形成用塗料組成物によって形成される表面保護層であることを特徴
    とする、塗装体。
  9. 意匠層と、該意匠層上に形成された表面保護層と、該表面保護層上に形成された光触媒
    層とを含む塗装体であって、前記表面保護層が請求項1~5のいずれか一項に記載の表面
    保護層形成用塗料組成物によって形成される表面保護層であることを特徴とする、塗装体
  10. 前記塗装体のマルテンス硬度が10~200N/mmであることを特徴とする、請求
    項8または9に記載の塗装体。
  11. 前記表面保護層が、付着向上剤を含む第1の保護層と、付着向上剤を含まない第2の保
    護層の少なくとも2層よりなることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載
    の塗装体。
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