JP2023151683A - 潤滑剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができ、しかも細孔通過性にも優れる、潤滑剤組成物及びその製造方法を提供する。【解決手段】潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有する、潤滑剤組成物であって、前記粒子(B-1)が、下記要件(α)を満たし、前記潤滑剤組成物が、下記要件(β)を満たす、潤滑剤組成物とした。・要件(α):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下である。・要件(β):せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑剤組成物及びその製造方法に関する。
自動車電装機器、家電機器、及びOA事務機器等の機器に組み込まれる軸受として、金属粉末を焼結して成形した含油軸受が広く利用されている。
含油軸受は、一般的に、原料である金属粉末を、混合、成形、焼結、及びサイジング等の各工程を経て多孔質の金属体に成形した後、含浸装置を用いて、当該金属体に潤滑油組成物を真空含油して製造されたものであって、自己給油の状態で使用される滑り軸受である。
含油軸受は、回転軸の回転に起因するポンピング作用により、多孔質の金属体に含浸されていた潤滑油組成物が回転軸と軸受内面との摺動面に供給され、潤滑を行うものであって、耐久性や剛性に優れるだけでなく、生産コストも低く抑えられるという利点もある。
含油軸受に含浸して用いられる潤滑油組成物については、従来各種提案されている(例えば、特許文献1及び2等を参照)。
特開2005-179571号公報 特開2010-275471号公報
ところで、含油軸受に含浸して用いられる潤滑油組成物は、油漏れ及び油飛散の抑制の観点から、潤滑油基油の粘度を高めたり、高分子増粘剤を配合したりすることで、高粘度化して用いられることがある。しかし、潤滑油組成物の高粘度化は、運転時(回転時)の撹拌抵抗の増大を引き起こす。
そのため、潤滑油組成物において、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とは、トレードオフの関係にあり、両立が難しいという問題がある。
なお、この問題は、含油軸受に含浸して用いられる潤滑油組成物だけでなく、油漏れ及び油飛散の抑制が求められる工作機械用潤滑油等においても存在する。
また、含油軸受に含浸して用いられる潤滑油組成物は、含油軸受に存在する細孔内に保持されるため、細孔通過性が良好であることも求められる。
なお、細孔通過性は、含油軸受に含浸して用いられる潤滑油組成物だけでなく、例えばオイルフィルター等を介して循環給油が行われる各種装置等に用いられる潤滑油組成物においても要求される。例えば、工作機械においては、潤滑油組成物が、オイルフィルター等を介して循環給油して用いられることがある。
本発明者は、上記問題点を踏まえ、鋭意検討し、新たなコンセプトに基づく潤滑剤組成物の創出に至った。
そこで、本発明は、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができ、しかも細孔通過性にも優れる、潤滑剤組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、下記[1]~[3]が提供される。
[1] 潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有する、潤滑剤組成物であって、
前記粒子(B-1)が、下記要件(α)を満たし、
前記潤滑剤組成物が、下記要件(β)を満たす、潤滑剤組成物。
・要件(α):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下である。
・要件(β):せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下である。
[2] 上記[1]に記載の潤滑剤組成物を、含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として使用する、使用方法。
[3] 潤滑油基油(A)と、
増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を含有するグリース(C)と
を混合する工程を含み、
前記グリース(C)中の前記粒子(B-2)が、下記要件(γ)を満たす、潤滑剤組成物の製造方法。
・要件(γ):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-2)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が5.0μm以下である。
本発明によれば、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができ、しかも細孔通過性にも優れる、潤滑剤組成物及びその製造方法を提供することが可能となる。
増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を微細化するためのグリース製造装置の断面の模式図である。 図1のグリース製造装置の容器本体側の第一凹凸部における、回転軸に直交する方向の断面の模式図である。 比較製造例1及び2で使用した、図1とは別態様のグリース製造装置の断面の模式図である。
本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本発明の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
[潤滑剤組成物の態様]
本実施形態の潤滑剤組成物は、潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有する。
そして、粒子(B-1)は下記要件(α)を満たし、潤滑剤組成物は下記要件(β)を満たす。
・要件(α):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下である。
・要件(β):せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下である。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立するためには、低せん断応力下では流動性が低く、高せん断応力下では流動性が高い、いわゆる非ニュートン流体的な振る舞いをする潤滑剤組成物の創出が有効であると着想するに至った。
また、細孔通過性にも優れる潤滑剤組成物とするためには、潤滑剤組成物中に粒子が存在しないか、あるいは粒子が存在したとしても極微細なものでなければならないと着想するに至った。
本発明者は、これらの着想に基づき、鋭意検討を行った。その結果、潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有し、要件(α)及び要件(β)を満たす潤滑剤組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、まず初めに、本実施形態の潤滑剤組成物における要件(α)及び要件(β)について、詳細に説明する。
<要件(α)>
要件(α)は、レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下であることを規定している。
要件(α)では、潤滑剤組成物中に分散している状態の「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)」が測定対象とされる。測定は、後述する実施例に記載の方法により行われる。
また、「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)」とは、潤滑剤組成物中に分散している、増ちょう剤(B)が凝集してなる粒子を指す。
増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)の算術平均粒子径が10.0μm超であると、潤滑剤組成物中における粒子(B-1)の粒子径が大きすぎるため、細孔通過性に劣る潤滑剤組成物となる。
ここで、細孔通過性により優れる潤滑剤組成物とする観点から、粒子(B-1)の算術平均粒子径は、好ましくは9.5μm以下である。
なお、粒子(B-1)の算術平均粒子径の下限値は、特に制限されないが、本実施形態の潤滑剤組成物の調製のしやすさの観点等を考慮すると、好ましくは0.1μm以上である。
<要件(β)>
要件(β)は、せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下であることを規定している。
[(x1)/(x2)]が2.0未満であると、潤滑剤組成物の非ニュートン流体的な振る舞いが薄れ、油漏れ及び油飛散を抑制し難くなる。
また、[(x1)/(x2)]が100超であると、運転時の撹拌抵抗を低減し難くなる。
ここで、潤滑剤組成物の油漏れ及び油飛散をより抑制しやすくする観点、運転時の撹拌抵抗をより低減しやすくする観点から、[(x1)/(x2)]は、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上である。また、好ましくは80以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは60以下、より更に好ましくは50以下、更になお好ましくは40以下、一層好ましくは30以下である。
なお、本明細書において、せん断粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
次に、本実施形態の潤滑剤組成物の構成成分について、要件(α)及び要件(β)を満たす潤滑剤組成物を調製する観点も踏まえ、詳細に説明する。
<潤滑油基油(A)>
本実施形態の潤滑剤組成物は、潤滑油基油(A)を含有する。
潤滑油基油(A)としては、従来、潤滑剤組成物の基油として用いられている鉱油及び合成油から選択される1種以上を、特に制限なく使用することができる。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、又はナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油;等が挙げられる。
合成油としては、例えば、1-オクテンオリゴマー及び1-デセンオリゴマー等並びにこれらの水添物、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン油;イソパラフィン油;ポリオールエステル及び二塩基酸エステル等の各種エステル油;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル油;ポリアルキレングリコール油;アルキルベンゼン油;アルキルナフタレン油;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(ガストゥリキッド(GTL)ワックス)を異性化することで得られるGTL基油等が挙げられる。
鉱油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。合成油も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、1種以上の鉱油と1種以上の合成油とを組み合わせて用いてもよい。
ここで、潤滑油基油(A)は、本発明の効果の向上等の観点から、鉱油、ポリオレフィン油、及びエステル油から選択される1種以上を含むことが好ましい。中でも、本発明の効果のさらなる向上等の観点から、潤滑油基油(A)は、エステル油を含むことが好ましい。
潤滑油基油(A)がエステル油を含む場合、潤滑油基油(A)はエステル油のみからなるものであってもよいが、エステル油に加え、さらに鉱油及びポリオレフィン油からなる群から選択される1種以上を含んでいてもよい。
潤滑油基油(A)がエステル油を含む場合、エステル油の含有量は、潤滑油基油(A)の全量基準で、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、更になお好ましくは50質量%以上である。
なお、エステル油の中では、二塩基酸エステル油が好ましい。
潤滑油基油(A)は、要件(β)を満たす潤滑剤組成物を調製しやすくする観点から、40℃における動粘度(以下、「40℃動粘度」ともいう)が、好ましくは4.14mm/s以上、より好ましくは9.00mm/s以上、更に好ましくは13.5mm/s以上である。また、好ましくは110mm/s以下、より好ましくは74.8mm/s以下である。
本明細書において、潤滑油基油(A)の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定される値を意味する。
なお、潤滑油基油(A)が2種以上の基油を含有する混合基油である場合、当該混合基油の40℃動粘度が上記範囲内であることが好ましい。
本実施形態において、潤滑剤組成物中の潤滑油基油(A)の含有量は、要件(β)を満たす潤滑剤組成物を調製しやすくする観点から、潤滑剤組成物の全量基準で、好ましくは80.0質量%以上、より好ましくは85.0質量%以上である。また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下、更に好ましくは98.0質量%以下である。
これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは80.0質量%~99.9質量%、より好ましくは85.0質量%~99.0質量%、更に好ましくは85.0質量%~98.0質量%である。
なお、本実施形態の潤滑剤組成物が、後述するように潤滑油基油(A)とグリース(C)とを混合することで調製される場合、潤滑油基油(A)には、当該グリース(C)由来の基油が含まれていてもよい。当該グリース(C)由来の基油も含めた潤滑油基油(A)の含有量の好ましい範囲についても、上記と同様である。
<増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)>
本実施形態の潤滑剤組成物は、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を含有する。
本実施形態の潤滑剤組成物が、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を含有しない場合、要件(α)は勿論のこと、要件(β)を満たすものとできない。
本実施形態の潤滑剤組成物においては、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を含有することが、要件(β)を満たす上で、重要な要素となっている。
増ちょう剤(B)としては、グリース組成物を調製する際に用いられる各種増ちょう剤が挙げられ、例えば、石けん系増ちょう剤及び非石けん系増ちょう剤からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
石けん系増ちょう剤としては、例えば、リチウム石けん、カルシウム石けん、ナトリウム石けん、バリウム石けん、及びアルミニウム石けん等の金属石けん;リチウムコンプレックス石けん、カルシウムコンプレックス石けん、バリウムコンプレックス石けん、及びアルミニウムコンプレックス石けん等の金属コンプレックス石けん等が挙げられる。
非石けん系増ちょう剤としては、ウレア系増ちょう剤、ベントナイト系増ちょう剤、及びシリカ系増ちょう剤等が挙げられる。
ここで、要件(α)及び要件(β)を満たす潤滑剤組成物をより調製しやすくして、本発明の効果をより向上させやすくする観点から、増ちょう剤(B)は、ウレア系増ちょう剤を含むことが好ましい。
また、同様の観点から、増ちょう剤(B)中のウレア系増ちょう剤の含有量は、増ちょう剤(B)の全量基準で、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは60質量%~100質量%、更に好ましくは70質量%~100質量%、より更に好ましくは80質量%~100質量%、更になお好ましくは90質量%~100質量%、一層好ましくは95質量%~100質量%である。
以下、ウレア系増ちょう剤について、詳細に説明する。
(ウレア系増ちょう剤)
ウレア系増ちょう剤としては、ウレア結合を有する化合物であればよいが、2つのウレア結合を有するジウレア化合物が好ましく、下記一般式(b1)で表されるジウレア化合物がより好ましい。
-NHCONH-R-NHCONH-R (b1)
なお、ウレア系増ちょう剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6~24の1価の炭化水素基を示す。R及びRは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rは、炭素数6~18の2価の芳香族炭化水素基を示す。
前記一般式(b1)中のR及びRとして選択し得る1価の炭化水素基の炭素数としては、6~24であるが、好ましくは6~20、より好ましくは6~18である。
また、R及びRとして選択し得る1価の炭化水素基としては、飽和又は不飽和の1価の鎖式炭化水素基(脂肪族炭化水素基)、飽和又は不飽和の1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
ここで、前記一般式(b1)中のR及びRにおける、鎖式炭化水素基の含有率をXモル当量、脂環式炭化水素基の含有率をYモル当量、及び芳香族炭化水素基の含有率をZモル当量とした際、下記要件(a)及び(b)を満たすことが好ましい。
・要件(a):[(X+Y)/(X+Y+Z)]×100の値が90以上(好ましくは95以上、より好ましくは98以上、更に好ましくは100)である。
・要件(b):X/Y比が、0/100(X=0、Y=100)~100/0(X=100、Y=0)(好ましくは10/90~90/10、より好ましくは15/85~85/15)である。
なお、前記鎖式炭化水素基、前記脂環式炭化水素基、及び前記芳香族炭化水素基は、上記一般式(b1)中のR及びRとして選択される基であることから、X、Y、及びZの値の総和は、上記一般式(b1)で示される化合物1モルに対して、2モル当量である。また、上記要件(a)及び(b)の値は、グリース組成物中に含まれる、上記一般式(b1)で示される化合物群全量に対する平均値を意味する。
上記要件(a)及び(b)を満たす、上記一般式(b1)で表される化合物を用いることで、本発明の効果をより向上させやすい。
なお、X、Y、及びZの値は、原料として使用する各アミンのモル当量から算出することができる。
及びRとして選択し得る、1価の飽和鎖式炭化水素基としては、炭素数6~24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
及びRとして選択し得る、1価の不飽和鎖式炭化水素基としては、炭素数6~24の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、オレイル基、ゲラニル基、ファルネシル基、リノレイル基等が挙げられる。
なお、1価の飽和鎖式炭化水素基及び1価の不飽和鎖式炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
及びRとして選択し得る、1価の飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等のシクロアルキル基;メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、イソプロピルシクロヘキシル基、1-メチル-プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ペンチルシクロヘキシル基、ペンチル-メチルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基で置換されたシクロアルキル基(好ましくは、炭素数1~6のアルキル基で置換されたシクロヘキシル基);等が挙げられる。
及びRとして選択し得る、1価の不飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;メチルシクロヘキセニル基、ジメチルシクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基、ジエチルシクロヘキセニル基、プロピルシクロヘキセニル基等の炭素数1~6のアルキル基で置換されたシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数1~6のアルキル基で置換されたシクロヘキセニル基);等が挙げられる。
及びRとして選択し得る、1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(b1)中のRとして選択し得る2価の芳香族炭化水素基の炭素数としては、6~18であるが、好ましくは6~15、より好ましくは6~13である。
として選択し得る2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、ジフェニルプロピレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、エチルフェニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、又はジフェニルプロピレン基が好ましく、ジフェニルメチレン基がより好ましい。
本実施形態の潤滑剤組成物において、増ちょう剤(B)の含有量は、要件(β)を満たす潤滑剤組成物を調製しやすくする観点から、潤滑剤組成物の全量基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは、0.3質量%以上である。また、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。増ちょう剤(B)の含有量がこれらの範囲であることにより、本実施形態の潤滑剤組成物において規定される要件(β)をより満たしやすくなり、本発明の効果をより向上させやすくできる。
なお、これらの数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。具体的には、好ましくは0.1質量%~2.0質量%未満、より好ましくは0.2質量%~1.0質量%、更に好ましくは0.3質量%~0.8質量%である。
増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)が、本実施形態の潤滑剤組成物において規定される要件(α)を満たすようにするための潤滑剤組成物の製造方法は、特に制限されず、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を微細化するための各種手法を適用した製造方法を適宜採用することができる。
ここで、本実施形態の潤滑剤組成物は、最終形態として、微細化され、特定の粒径に調整された増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)を、潤滑油基油(A)に分散させて調製すればよい。その一例として、要件(α)及び要件(β)を満たす潤滑剤組成物をさらに調製しやすくして、本発明の効果をさらに向上させやすくする観点から、以下に説明する製造方法により、本実施形態の潤滑剤組成物を製造することが好ましい。
[潤滑剤組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑剤組成物を製造するための方法の一例としては、潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を含有するグリース(C)とを混合する工程を含む製造方法が挙げられる。
そして、当該製造方法においては、粒子(B-2)が、下記要件(γ)を満たすことが好ましい。
・要件(γ):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-2)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が5.0μm以下である。
要件(γ)では、グリース中に分散している状態の「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)」が測定対象とされる。測定は、後述する実施例に記載の方法により行われる。
また、「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)」とは、グリース(C)中に分散している、増ちょう剤(B)が凝集してなる粒子を指す。
潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を含有するグリース(C)とを混合すると、グリース中に分散している「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)」が、潤滑油基油(A)に分散し、潤滑剤組成物中に分散している「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)」となる。
「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)」は、潤滑油基油(A)との相溶等の影響によって、「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)」よりも僅かに膨潤し、要件(α)で規定される粒子径になると推察される。
そのため、要件(γ)で規定される「増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)」の算術平均粒子径は、要件(α)を満たす潤滑剤組成物を調製しやすくして、潤滑剤組成物の細孔通過性をより優れたものとする観点から、小さい程好ましい。
具体的には、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、更に好ましくは2.0μm以下である。また、通常、0.01μm以上である。
ここで、要件(α)及び要件(β)を満たす潤滑剤組成物をより調製しやすくして、本発明の効果をより向上させやすくする観点から、グリース(C)中の増ちょう剤(B)は、ウレア系増ちょう剤を含むことが好ましい。
また、同様の観点から、ウレア系増ちょう剤の含有量は、増ちょう剤(B)の全量基準で、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくは60質量%~100質量%、更に好ましくは70質量%~100質量%、より更に好ましくは80質量%~100質量%、更になお好ましくは90質量%~100質量%、一層好ましくは95質量%~100質量%である。
グリース(C)の配合量は、グリース(C)中の増ちょう剤(B)の含有量を考慮し、潤滑剤組成物中の増ちょう剤(B)の含有量を、上述の好適範囲に調整可能となるように、適宜調整される。
グリース(C)中の増ちょう剤(B)の含有量は、グリース(C)を潤滑油基油(A)に分散させやすくして、本実施形態の潤滑剤組成物を調製しやすくする観点から、グリース(C)の全量基準で、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは3~12質量%、更に好ましくは3~10質量%である。
また、同様の観点から、グリース(C)の25℃における混和ちょう度は、好ましくは310以上である。
ここで、要件(γ)を満たす粒子(B-2)を含有するグリース(C)を調製しやすくする観点から、既述のように、増ちょう剤(B)はウレア系増ちょう剤を含むことが好ましい。そして、グリース(C)は、例えば、以下に説明する製造方法により製造することが好ましい。
<グリース(C)の製造方法>
ウレア系増ちょう剤は、通常、イソシアネート化合物と、モノアミンとを反応させることによって得ることができる。当該反応は、基油にイソシアネート化合物を溶解させて得られる加熱した溶液αに、基油にモノアミンを溶解させた溶液βを添加する方法が好ましい。
例えば、前記一般式(b1)で表される化合物を合成する場合に、イソシアネート化合物としては、前記一般式(b1)中のRで示される2価の芳香族炭化水素基に対応する基を有するジイソシアネートを用い、モノアミンとしては、R及びRで示される1価の炭化水素基に対応する基を有するアミンを用いて、上記の方法により、所望のウレア系増ちょう剤を合成することができる。
なお、上記要件(γ)を満たすように、グリース(C)中の粒子(B-2)を微細化する観点から、下記<1>に示すようなグリース製造装置を用いて、グリース(C)を製造することが好ましい。
<1>グリース原料が導入される導入部、及び外部にグリースを吐出させる吐出部を有する容器本体と、
前記容器本体の内周の軸方向に回転軸を有し、前記容器本体の内部に回転可能に設けられた回転子とを備え、
前記回転子は、
(i)前記回転子の表面に沿って、凹凸が交互に設けられ、当該凹凸が前記回転軸に対して傾斜し、
(ii)前記導入部から前記吐出部方向への送り能力を有する
第一凹凸部を備えている、グリース製造装置。
以下、上記<1>に記載のグリース製造装置について説明するが、以下の記載の「好ましい」とされる規定は、特に断りが無い限り、上記要件(γ)を満たすように、グリース(C)中の粒子(B-2)を微細化する観点からの態様である。
図1は、本実施形態で使用し得る、上記<1>のグリース製造装置の断面の模式図である。
図1に示すグリース製造装置1は、グリース原料を内部に導入する容器本体2と、容器本体2の内周の中心軸線上に回転軸12を有し、回転軸12を中心軸として回転する回転子3とを備える。
回転子3は、回転軸12を中心軸として高速回転し、容器本体2の内部でグリース原料に高いせん断力を与える。これにより、、上記要件(γ)を満たすグリース(C)が製造される。
容器本体2は、図1に示すように、上流側から順に、導入部4、滞留部5、第一内周面6、第二内周面7、及び吐出部8に区画されていることが好ましい。
容器本体2は、図1に示すように、導入部4から吐出部8に向かうにしたがって、次第に内径が拡径する円錐台状の内周面を有していることが好ましい。
容器本体2の一端となる導入部4は、容器本体2の外部からグリース原料を導入する複数の溶液導入管4A、4Bを備える。
滞留部5は、導入部4の下流部に配置され、導入部4から導入されたグリース原料を一時的に滞留させる空間である。この滞留部5にグリース原料が長時間滞留すると、滞留部5の内周面に付着したグリースが、大きなダマを形成してしまうので、なるべく短時間で下流側の第一内周面6に搬送するのが好ましい。更に好ましくは、滞留部5を経ず、直接第一内周面6に搬送することが好ましい。
第一内周面6は、滞留部5に隣接した下流部に配置され、第二内周面7は、第一内周面6に隣接した下流部に配置される。詳しくは後述するが、第一内周面6に第一凹凸部9を設けること、及び第二内周面7に第二凹凸部10を設けることが、第一内周面6及び第二内周面7をグリース原料又はグリースに高いせん断力を付与する高せん断部として機能させる上で好ましい。
容器本体2の他端となる吐出部8は、第一内周面6と第二内周面7で撹拌されたグリースを吐出する部分であり、グリースを吐出する吐出口11を備える。吐出口11は、回転軸12に直交する方向又は略直交する方向に形成されている。これにより、グリースが吐出口11から回転軸12に直交する方向又は略直交する方向に吐出される。但し、吐出口11は、必ずしも回転軸12に直交せずともよく、回転軸12と平行方向又は略平行方向に形成されていてもよい。
回転子3は、容器本体2の円錐台状の内周面の中心軸線を回転軸12として回転可能に設けられ、図1に示すように容器本体2を上流部から下流部に向けてみたときに、反時計回りに回転する。
回転子3は、容器本体2の円錐台の内径の拡大に応じて拡大する外周面を有し、回転子3の外周面と、容器本体2の円錐台の内周面とは、一定の間隔が維持されている。
回転子3の外周面には、回転子3の表面に沿って凹凸が交互に設けられた回転子の第一凹凸部13が設けられている。
回転子の第一凹凸部13は、導入部4から吐出部8方向に、回転子3の回転軸12に対して傾斜し、導入部4から吐出部8方向への送り能力を有する。即ち、回転子の第一凹凸部13は、回転子3が図1に示された方向に回転する時に、溶液を下流側に押し出す方向に傾斜している。
回転子の第一凹凸部13の凹部13Aと凸部13Bの段差は、回転子3の外周面の凹部13Aの直径を100とした際、好ましくは0.3~30、より好ましくは0.5~15、更に好ましくは2~7である。
円周方向における回転子の第一凹凸部13の凸部13Bの数は、好ましくは2~1000個、より好ましくは6~500個、更に好ましくは12~200個である。
回転子3の回転軸12に直交する断面における回転子の第一凹凸部13の凸部13Bの幅と、凹部13Aの幅との比〔凸部の幅/凹部の幅〕は、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~2である。
回転軸12に対する、回転子の第一凹凸部13の傾斜角度は、好ましくは2~85度、より好ましくは3~45度、更に好ましくは5~20度である。
容器本体2の第一内周面6には、内周面に沿って凹凸が複数形成された第一凹凸部9が備えられていることが好ましい。
また、容器本体2側の第一凹凸部9の凹凸は、回転子の第一凹凸部13とは逆向きに傾斜していることが好ましい。
即ち、容器本体2側の第一凹凸部9の複数の凹凸は、回転子3の回転軸12が図1に示される方向に回転する時に、溶液を下流側に押し出す方向に傾斜していることが好ましい。容器本体2の第一内周面6に備えられた複数の凹凸を有する第一凹凸部9によって、撹拌能力と吐出能力が更に増強される。
容器本体2側の第一凹凸部9の凹凸の深さは、容器内径(直径)を100とした際、好ましくは0.2~30、より好ましくは0.5~15、更に好ましくは1~5である。
容器本体2側の第一凹凸部9の凹凸の本数は、好ましくは2~1000本、より好ましくは6~500本、更に好ましくは12~200本である。
容器本体2側の第一凹凸部9の凹凸の凹部の幅と、溝間の凸部の幅との比〔凹部の幅/凸部の幅〕は、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~2以下である。
回転軸12に対する、容器本体2側の第一凹凸部9の凹凸の傾斜角度は、好ましくは2~85度、より好ましくは3~45度、更に好ましくは5~20度である。
なお、容器本体2の第一内周面6に第一凹凸部9を備えることによって、第一内周面6をグリース原料又はグリースに高いせん断力を付与するせん断部として機能させることができるが、第一凹凸部9は必ずしも設けずともよい。
回転子の第一凹凸部13の下流部の外周面には、回転子3の表面に沿って、凹凸が交互に設けられた回転子の第二凹凸部14が設けられていることが好ましい。
回転子の第二凹凸部14は、回転子3の回転軸12に対して傾斜し、導入部4から吐出部8に向けて、溶液を上流側に押し戻す送り抑制能力を有する。
回転子の第二凹凸部14の段差は、回転子3の外周面の凹部の直径を100として際、好ましくは0.3~30、より好ましくは0.5~15、更に好ましくは2~7である。
円周方向における回転子の第二凹凸部14の凸部の数は、好ましくは2~1000個、より好ましくは6~500個、更に好ましくは12~200個である。
回転子3の回転軸に直交する断面における回転子の第二凹凸部14の凸部の幅と、凹部の幅との比〔凸部の幅/凹部の幅〕は、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~2である。
回転軸12に対する、回転子の第二凹凸部14の傾斜角度は、好ましくは2~85度、より好ましくは3~45度、更に好ましくは5~20度である。
容器本体2の第二内周面7には、容器本体2側の第一凹凸部9における凹凸の下流部に隣接して、複数の凹凸が形成された第二凹凸部10が備えられていることが好ましい。
凹凸は、容器本体2の内周面に複数形成され、それぞれの凹凸は、回転子の第二凹凸部14の傾斜方向とは逆向きに傾斜していることが好ましい。
即ち、容器本体2側の第二凹凸部10の複数の凹凸は、回転子3の回転軸12が図1に示される方向に回転する時に、溶液を上流側に押し戻す方向に傾斜していることが好ましい。容器本体2の第二内周面7に備えられた第二凹凸部10の凹凸によって、撹拌能力が更に増強される。また、容器本体の第二内周面7をグリース原料又はグリースに高いせん断力を付与するせん断部として機能させ得る。
容器本体2側の第二凹凸部10の凹部の深さは、容器本体2の内径(直径)を100とした際、好ましくは0.2~30、より好ましくは0.5~15、更に好ましくは1~5である。
容器本体2側の第二凹凸部10の凹部の本数は、好ましくは2~1000本、より好ましくは6~500本、更に好ましくは12~200本である。
回転子3の回転軸12に直交する断面における容器本体2側の第二凹凸部10の凹凸の凸部の幅と、凹部の幅との比〔凸部の幅/凹部の幅〕は、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~2以下である。
回転軸12に対する、容器本体2側の第二凹凸部10の傾斜角度は、好ましくは2~85度、より好ましくは3~45度、更に好ましくは5~20度である。
容器本体2側の第一凹凸部9の長さと、容器本体2側の第二凹凸部10の長さとの比〔第一凹凸部の長さ/第二凹凸部の長さ〕は、好ましくは2/1~20/1である。
図2は、グリース製造装置1の容器本体2側の第一凹凸部9における、回転軸12に直交する方向の断面の図である。
図2に示す、回転子の第一凹凸部13には、第一凹凸部13の凸部13Bの突出方向先端よりも、先端が容器本体2の内周面側に突出したスクレーパー15が複数設けられている。また、図示を省略するが、第二凹凸部14にも、第一凹凸部13と同様、凸部の先端が容器本体2の内周面側に突出したスクレーパーが複数設けられている。
スクレーパー15は、容器本体2側の第一凹凸部9、及び、容器本体2側の第二凹凸部10の内周面に付着したグリースを掻き取るものである。
回転子の第一凹凸部13の凸部13Bの突出量に対する、スクレーパー15の先端の突出量は、スクレーパー15の先端の半径(R2)と、凸部13Bの先端の半径(R1)との比〔R2/R1〕が、1.005を超え、2.0未満となることが好ましい。
スクレーパー15の数は、好ましくは2~500箇所、より好ましくは2~50箇所、更に好ましくは2~10箇所である。
なお、図2に示すグリース製造装置1では、スクレーパー15を設けているが、スクレーパー15を設けないものであってもよく、間欠的にスクレーパー15を設けたものであってもよい。
グリース製造装置1により、グリース(C)を製造するには、前述したグリース原料である、溶液αと溶液βとを、容器本体2の導入部4の溶液導入管4A、4Bからそれぞれ導入し、回転子3を高速回転させることにより、増ちょう剤(B)がウレア系増ちょう剤であり、上記要件(γ)を満たすように粒子(B-2)が微細化されたグリース(C)を製造することができる。
回転子3の高速回転条件として、グリース原料に与えるせん断速度としては、好ましくは10-1以上、より好ましくは10-1以上、更に好ましくは10-1以上であり、また、通常10-1以下である。
また、回転子3の高速回転する際のせん断における、最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは10以下である。
混合液に対するせん断速度ができるだけ均一であることにより、グリース(C)中のウレア系増ちょう剤やその前駆体を微細化しやすくなり、より均一なグリース構造となる。
ここで、最高せん断速度(Max)とは、混合液に対して付与される最高のせん断速度であり、最低せん断速度(Min)とは、混合液に対して付与される最低のせん断速度であって、下記のように定義されるものである。
・最高せん断速度(Max)=(回転子の第一凹凸部13の凸部13B先端の線速度)/(回転子の第一凹凸部13の凸部13B先端と容器本体2の第一内周面6の第一凹凸部9の凸部のギャップA1)
・最低せん断速度(Min)=(回転子の第一凹凸部13の凹部13Aの線速度)/(回転子の第一凹凸部13の凹部13Aと容器本体2の第一内周面6の第一凹凸部9の凹部のギャップA2)
なお、ギャップA1とギャップA2は、図2に示されるとおりである。
グリース製造装置1がスクレーパー15を備えていることにより、容器本体2の内周面に付着したグリースを掻き取ることができるため、混練中にダマが発生することを防止することができ、上記要件(γ)を満たすように、ウレア系増ちょう剤を微細化したグリース(C)を連続して短時間で製造することができる。
また、スクレーパー15が、付着したグリースを掻き取ることにより、滞留グリースが回転子3の回転の抵抗となるのを防止することができるため、回転子3の回転トルクを低減することができ、駆動源の消費電力を低減して、効率的にグリースの連続製造を行うことができる。
容器本体2の内周面が、導入部4から吐出部8に向かうにしたがって、内径が拡大する円錐台状であるので、遠心力がグリース又はグリース原料を下流方向に排出する効果を持ち、回転子3の回転トルクを低減して、グリースの連続製造を行うことができる。
回転子3の外周面に、回転子の第一凹凸部13が設けられ、回転子の第一凹凸部13が回転子3の回転軸12に対して傾斜し、導入部4から吐出部8への送り能力を有し、回転子の第二凹凸部14が回転子3の回転軸12に対して傾斜し、導入部4から吐出部8への送り抑制能力を有しているため、溶液に高いせん断力を付与することができ、上記要件(γ)を満たすように、グリース(C)中のウレア系増ちょう剤を微細化することができる。
容器本体2の第一内周面6に第一凹凸部9が形成され、回転子の第一凹凸部13とは逆向きに傾斜しているため、回転子の第一凹凸部13の効果に加え、更に、グリース又はグリース原料を下流方向に押し出しながら、十分なグリース原料の撹拌を行うことができ、添加剤を配合後も、上記要件(γ)を満たすように、グリース(C)中のウレア系増ちょう剤を微細化することができる。
また、容器本体2の第二内周面7に第二凹凸部10が設けられると共に、回転子3の外周面に回転子の第二凹凸部14が設けられることにより、グリース原料が必要以上に容器本体の第一内周面6から流出することを防止できるので、溶液に高いせん断力を与えてグリース原料を高分散化して、上記要件(γ)を満たすように、グリース(C)中のウレア系増ちょう剤を微細化することができる。
<その他添加剤>
本実施形態の潤滑剤組成物は、本発明の効果を大きく損なうことのない範囲で、潤滑油基油(A)及び増ちょう剤(B)以外の他の成分(以下、「その他添加剤」ともいう)を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
その他添加剤としては、例えば、油性剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、極圧剤、消泡剤、固体潤滑剤、分散剤、粘度指数向上剤、及び流動点降下剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の潤滑剤組成物において、その他添加剤の合計含有量は、潤滑剤組成物の全量基準で、好ましくは0質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~15質量%、更に好ましくは0.5質量%~10質量%、より更に好ましくは0.5質量%~5質量%である。
[潤滑剤組成物の物性]
<せん断粘度等>
本実施形態の潤滑剤組成物は、各種温度におけるせん断粘度及び各種温度におけるせん断粘度に関連する各種比率が、以下に規定する要件を満たすことが好ましい。
(せん断速度5s-1におけるせん断粘度(25℃)とせん断速度10,000s-1におけるせん断粘度(25℃)との比)
本実施形態の潤滑剤組成物は、せん断速度5s-1におけるせん断粘度(25℃)とせん断速度10,000s-1におけるせん断粘度(25℃)との比が、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.3以上である。また、好ましくは90以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは60以下、より更に好ましくは50以下、更になお好ましくは40以下、一層好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
(せん断速度5s-1におけるせん断粘度(100℃)とせん断速度10,000s-1におけるせん断粘度(100℃)との比)
本実施形態の潤滑剤組成物は、せん断速度5s-1におけるせん断粘度(100℃)とせん断速度10,000s-1におけるせん断粘度(100℃)との比が、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは4.5以上である。また、好ましくは110以下、より好ましくは90以下、更に好ましくは80以下、より更に好ましくは70以下、更になお好ましくは60以下、一層好ましくは50以下、より一層好ましくは40以下である。
<細孔通過性>
本実施例の潤滑油組成物は、後述する実施例に記載の方法で測定される細孔通過性が、好ましくは50質量%以上である。
[潤滑剤組成物の用途]
本実施形態の潤滑剤組成物は、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができ、しかも細孔通過性にも優れる。
したがって、本実施形態の潤滑剤組成物は、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減との両立が要求され、しかも細孔通過性にも優れることが要求される各種潤滑剤組成物として使用することができる。
このような潤滑剤組成物としては、含浸軸受油が挙げられる。また、摺動面油等の工作機械用潤滑油等も挙げられる。
したがって、本実施形態によれば、上記潤滑剤組成物を、含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として使用する、使用方法が提供される。
また、本実施形態によれば、上記潤滑剤組成物を含浸させた、含油軸受が提供される。
さらに、本実施形態によれば、上記潤滑剤組成物を含む、工作機械が提供される。
[提供される本発明の一態様]
本発明の一態様では、下記[1]~[9]が提供される。
[1] 潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有する、潤滑剤組成物であって、
前記粒子(B-1)が、下記要件(α)を満たし、
前記潤滑剤組成物が、下記要件(β)を満たす、潤滑剤組成物。
・要件(α):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下である。
・要件(β):せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下である。
[2] 前記増ちょう剤(B)が、ウレア系増ちょう剤を含む、上記[1]に記載の潤滑剤組成物。
[3] 前記増ちょう剤(B)の含有量が、前記潤滑剤組成物の全量基準で、0.1質量%~2.0質量%未満である、上記[1]又は[2]に記載の潤滑剤組成物。
[4] 含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として用いられる、上記[1]~[3]のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
[5] 上記[1]~[4]のいずれかに記載の潤滑剤組成物を、含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として使用する、使用方法。
[6] 潤滑油基油(A)と、
増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を含有するグリース(C)と
を混合する工程を含み、
前記グリース(C)中の前記粒子(B-2)が、下記要件(γ)を満たす、潤滑剤組成物の製造方法。
・要件(γ):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-2)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が5.0μm以下である。
[7] 前記増ちょう剤(B)は、ウレア系増ちょう剤を含む、上記[6]に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
[8] 前記グリース(C)中の前記増ちょう剤(B)の含有量が、前記グリース(C)の全量基準で、3質量%~20質量%である、上記[6]又は[7]に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
[9] 前記グリース(C)の25℃における混和ちょう度が、310以上である、上記[6]~[8]のいずれかに記載の潤滑剤組成物の製造方法。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1及び比較製造例1~4]
製造例1及び比較製造例1~7に説明する方法により、実施例1~3及び比較例1~6の潤滑剤組成物を調製するための原料となるグリース(C)-1(以下、「グリース(C)」と略記することもある。)及びグリース(C’)-1~グリース(C’)-4(以下、グリース(C’)と略記することもある。)を調製した。
(グリース調製用基油)
グリース調製用基油として、以下の基油を準備した。
なお、グリース調製用基油の40℃動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定した。
・「グリース調製用基油(1)」:低粘度鉱油(40℃動粘度:18mm/s)と高粘度鉱油(ブライトストック、40℃動粘度:400mm/s)との混合基油。低粘度鉱油:高粘度鉱油=25:68(質量比)
・「グリース調製用基油(2)」:PAO(ポリ-α-オレフィン、40℃動粘度:17mm/s)
・「グリース調製用基油(3)」:低粘度鉱油(40℃動粘度:90mm/s)
・「グリース調製用基油(4)」:高粘度鉱油(ブライトストック、40℃動粘度:400mm/s)
<製造例1:グリース(C)-1(ウレアグリース1)の調製>
70℃に加熱したグリース調製用基油(1)46.93質量部に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)3.16質量部を加えて、溶液αを調製した。
また、別に用意した、70℃に加熱したグリース調製用基油(1)46.55質量部に、シクロヘキシルアミン2.00質量部と、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)1.36質量部とを加えて、溶液βを調製した。
そして、図1に示すグリース製造装置1を用いて、70℃に加熱した溶液αを溶液導入管4Aから、70℃に加熱した溶液βを溶液導入管4Bから、それぞれ等量を同時に容器本体2内へ導入し、回転子3を回転させた状態で溶液αと溶液βとを容器本体2内へ連続的に導入し続けた。その後、この混合物を図3で示した攪拌装置で160℃に昇温し、1時間攪拌後、ロールミル処理して均一化し、グリース(C)-1を調製した。
なお、使用したグリース製造装置1の回転子3の回転数は8,000rpmとした。また、この際の最高せん断速度(Max)は10,500s-1であり、最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)との比〔Max/Min〕は3.5として、撹拌を行った。
得られたグリース(C)-1に含まれるウレア系増ちょう剤は、前記一般式(b1)中のR及びRが、シクロヘキシル基又はオクタデシル基(ステアリル基)であり、Rがジフェニルメチレン基である化合物に相当する。
また、原料として用いたオクタデシルアミン(脂肪族アミン)とシクロヘキシルアミン(脂環式アミン)との比率(オクタデシルアミン(脂肪族アミン):シクロヘキシルアミン(脂環式アミン))は、モル比で、2:8である。
<比較製造例1:グリース(C’)-1(ウレアグリース2)の調製>
70℃に加熱したグリース調製用基油(2)33質量部に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)2.18質量部を加えて、溶液αを調製した。
また、別に用意した、70℃に加熱したグリース調製用基油(2)60.5質量部に、シクロヘキシルアミン0.17質量部と、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)4.15質量部とを加えて、溶液βを調製した。
そして、図3に示すグリース製造装置を用いて、70℃に加熱した溶液αを溶液導入管から容器本体内へ導入した。その後、攪拌しながら、70℃に加熱した溶液βを、溶液導入管から溶液αの入った容器本体内へ導入した。全ての溶液βを容器本体内へ導入した後、撹拌翼を回転させ、撹拌を継続しながら160℃に昇温し、1時間保持した後、ロールミル処理して均一化し、グリース(C’)-1を調製した。
なお、この際の最高せん断速度(Max)は約100s-1であり、最低せん断速度は1.23s-1であった。また、最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は約81であった。
グリース(C’)-1に含まれるウレア系増ちょう剤は、前記一般式(b1)中のR及びRが、シクロヘキシル基又はオクタデシル基(ステアリル基)であり、Rがジフェニルメチレン基である化合物に相当する。
また、原料として用いたオクタデシルアミン(脂肪族アミン)とシクロヘキシルアミン(脂環式アミン)との比率(オクタデシルアミン(脂肪族アミン):シクロヘキシルアミン(脂環式アミン))は、モル比で、9:1である。
<比較製造例2:グリース(C’)-2(ウレアグリース3)の調製>
70℃に加熱したグリース調製用基油(2)33質量部に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)3.17質量部を加えて、溶液αを調製した。
また、別に用意した、70℃に加熱したグリース調製用基油(2)60.5質量部に、シクロヘキシルアミン1.99質量部と、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)1.34質量部とを加えて、溶液βを調製した。
そして、図3に示すグリース製造装置を用いて、70℃に加熱した溶液αを溶液導入管からで容器本体内へ導入した。その後、攪拌しながら、70℃に加熱した溶液βを、溶液導入管から溶液αの入った容器本体内へ導入した。全ての溶液βを容器本体内へ導入した後、撹拌翼を回転させ、撹拌を継続しながら160℃に昇温し、1時間保持した後、ロールミル処理して均一化し、グリース(C’)-2を調製した。
なお、この際の最高せん断速度(Max)は約100s-1であり、最低せん断速度は1.23s-1であった。また、最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は約81であった。
グリース(C’)-2に含まれるウレア系増ちょう剤は、前記一般式(b1)中のR及びRが、シクロヘキシル基又はオクタデシル基(ステアリル基)であり、Rがジフェニルメチレン基である化合物に相当する。
また、原料として用いたオクタデシルアミン(脂肪族アミン)とシクロヘキシルアミン(脂環式アミン)との比率(オクタデシルアミン(脂肪族アミン):シクロヘキシルアミン(脂環式アミン))は、モル比で、2:8である。
<比較製造例3:グリース(C’)-3(リチウム石鹸グリース)の調製>
グリース調製用基油(3)28質量部に、12ヒドロキシステアリン酸6質量部を加えて調製した溶液を攪拌させながら加熱し、80℃に到達したら、水酸化リチウム0.9質量部の4倍水溶液を添加した。攪拌を継続しながら、100℃を保持し脱水した。さらに加熱し、202℃で10分間保持し、グリース調製用基油(3)55.58質量部及びグリース調製用基油(4)8.25質量部を攪拌混合し、ロールミル処理して均一化し、グリース(C’)-3を調製した。
<比較製造例4:グリース(C’)-4(シリカグリース)の調製>
疎水性シリカ10質量部と、グリース調製用基油(2)90質量部とを撹拌混合し、ロールミル処理して均一化し、グリース(C’)-4を調製した。
<グリース(C)及びグリース(C’)に関する評価>
グリース(C)及びグリース(C’)について、以下の評価1~2を行った。
(評価1:混和ちょう度及びちょう度番号)
グリース(C)及びグリース(C’)の混和ちょう度を、JIS K2220:2013(箇条7)に準拠して、25℃にて測定した。
また、グリース(C)及びグリース(C’)のちょう度番号を、混和ちょう度の値に基づき決定した。
(評価2:増ちょう剤を含む粒子の平均粒子径の評価)
グリース(C)及びグリース(C’)について、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)の算術平均粒子径(要件(γ)に対応)を評価した。
測定・解析方法は、JIS Z 8825に準拠した。レーザー回折型粒径測定機(株式会社島津製作所製、商品名:SALD-7500nano)の高濃度サンプル測定モードを選択し、測定試料は希釈することなく直接測定を行った。まずブランク測定のために、スライドガラス2枚を試料室にセットし、ブランク測定を実施した。次に、測定試料を2mLスポイトに充填し、スポイトから0.1mLの試料を押し出し、ブランク測定に用いたスライドガラス1枚の表面に乗せ、残りのスライドガラス1枚で挟み込んだ。これを、レーザー回折型粒径測定機にセットして測定を開始し、体積基準の算術平均粒子径を得た。
ここで、「体積基準の算出平均粒子径」とは、体積基準での粒子径分布を算術平均した値を意味する。体積基準での粒子径分布は、測定対象である粒子全体における粒子径の頻度分布を、当該粒子径から算出される体積を基準として、示したものである。また、体積基準での粒子径分布を算術平均した値は、下記式(1)~(3)により計算することができる。
まず、対数スケール分割で区切られた粒子径区間での代表粒子径を式(1)で計算し、測定区間における粒子の合計を100%と仮定し、対数スケール上での平均値μを式(2)で求める。最後に、平均粒子径を下記式(3)にて求める。



上記式、jは粒子径の分割番号を意味する。xは、j番目の粒子径範囲における最大粒子径、xj+1は最小粒子径を意味する。qは、粒子径区間〔x、xj+1〕(J=1,2,3,・・・,n)に対応する相対粒子量(差分%)である。
グリース(C)及びグリース(C’)の配合の詳細及び評価結果を表1に示す。
[実施例1~3及び比較例1~6]
潤滑油基油(A)と、製造例1並びに比較例1~4で調製したグリース(C)及びグリース(C’)とを、それぞれ表2に示す配合で混合し、実施例1~3及び比較例2~5の潤滑剤組成物を調製した。
比較例1では、潤滑油基油(A)のみを用いた。
比較例6では、グリースではなく、希釈油(重量平均分子量:3,600)で希釈されたポリブテン(重量平均分子量:12,000)を、表2に示す配合で混合した。
(潤滑油基油(A))
実施例1~3及び比較例1~6で用いた潤滑油基油(A)は以下のとおりとした。
・「潤滑油基油(A)-1」:PAO(ポリ-α-オレフィン、40℃動粘度:30mm/s)
・「潤滑油基油(A)-2」:エステル油(ビス(2-エチルヘキシル)ドデカン二酸、40℃動粘度:14mm/s)
(その他添加剤)
実施例3で配合したその他添加剤の詳細は以下のとおりである。
・「その他添加剤」:リン系極圧剤、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、分散剤、腐食防止剤
実施例1~3及び比較例1~6の潤滑剤組成物について、以下の評価3~5を行った。
(評価3:増ちょう剤を含む粒子の平均粒子径の評価)
測定試料をグリースから潤滑剤組成物に変更し、評価2と同様の方法で、増ちょう剤を含む粒子の平均粒子径(要件(α)に対応)の評価を行った。
(評価4:せん断粘度に関する評価)
せん断粘度は、応力制御型レオメーター(Anton Paar社製、製品名「MCR301」)を用いて、測定を行った。詳細な測定方法は以下のとおりである。
温度調整した試料台に潤滑剤組成物を約1mLスポイトで垂らし、50φのコーンプレートで0.05mmのギャップで挟み込んだ後、あらかじめ測定温度でゼロギャップした条件で測定を開始した。本実施形態の潤滑剤組成物は、チクソトロピー性があり、試料の挟み込み方によってせん断粘度等のレオロジー特性に影響を与える可能性があるため、あらかじめ定常流条件、せん断速度100s-1で30s間プレシアをかけた後に3分間静置した。その後、10分間かけてせん断速度を0.01s-1から10,000s-1まで、対数上昇で増速した際の5s-1及び10,000s-1のせん断粘度を取得した。
具体的には、下記6条件でせん断粘度を取得した。
・条件1:せん断速度5s-1、油温25℃
・条件2:せん断速度10,000s-1、油温25℃
・条件3:せん断速度5s-1、油温40℃
・条件4:せん断速度10,000s-1、油温40℃
・条件5:せん断速度5s-1、油温100℃
・条件6:せん断速度10,000s-1、油温100℃
そして、得られた測定結果に基づき、「(条件1のせん断粘度)/(条件2のせん断粘度)」、「(条件3のせん断粘度)/(条件4のせん断粘度)」、「(条件5のせん断粘度)/(条件6のせん断粘度)」を算出した。
なお、「(条件3のせん断粘度)/(条件4のせん断粘度)」が、要件(β)に対応する。
(評価5:ミリポアフィルター試験による細孔通過性の評価)
細孔通過性の評価は、以下の手順により実施した。
JIS B 9931 質量法による作動油汚染の測定方法に準拠した手法でフィルター残存物量M(mg/100mL)(JIS B 9931に記載の汚染要因物)を求め、下記式(1)により細孔通過性(質量%)を求めた。この時、試料量は5mLとし、希釈に用いる溶剤はn-ヘキサン、フィルターはポリカーボネート製の孔径10μmであるフィルター(メルク社製 商品名:TCTP04700)を用いた。

式(4)中、ρは潤滑油基油(A)の密度(g/cm)、Tcは増ちょう剤(B)の量(質量部)である、
細孔通過性の評価基準は、以下のとおりとした。
・評価A:細孔通過性50質量%以上
・評価B: 細孔通過性50質量%未満
本実施例では、評価Aを合格とした。
評価結果を表2に示す。
表2より、以下のことがわかる。
実施例1~3の潤滑剤組成物は、要件(α)を満たし、細孔通過性に優れる。
また、実施例1~3の潤滑剤組成物は、要件(β)も満たし、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができる。
これに対し、比較例2~4の潤滑剤組成物は、要件(α)を満たさないため、細孔通過性に劣る。
また、比較例1、2、5、及び6の潤滑剤組成物は、要件(β)を満たさないため、油漏れ及び油飛散の抑制と運転時の撹拌抵抗の低減とを両立することができない。
1 グリース製造装置
2 容器本体
3 回転子
4 導入部
4A、4B 溶液導入管
5 滞留部
6 第一凹凸部
7 第二凹凸部
8 吐出部
9 容器本体側の第一凹凸部
10 容器本体側の第二凹凸部
11 吐出口
12 回転軸
13 回転子の第一凹凸部
13A 凹部
13B 凸部
14 回転子の第二凹凸部
15 スクレーパー
A1、A2 ギャップ

Claims (9)

  1. 潤滑油基油(A)と、増ちょう剤(B)を含む粒子(B-1)とを含有する、潤滑剤組成物であって、
    前記粒子(B-1)が、下記要件(α)を満たし、
    前記潤滑剤組成物が、下記要件(β)を満たす、潤滑剤組成物。
    ・要件(α):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-1)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が10.0μm以下である。
    ・要件(β):せん断速度5sec-1における40℃でのせん断粘度(x1)と、せん断速度10,000sec-1における40℃でのせん断粘度(x2)との比率[(x1)/(x2)]が、2.0以上100以下である。
  2. 前記増ちょう剤(B)が、ウレア系増ちょう剤を含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. 前記増ちょう剤(B)の含有量が、前記潤滑剤組成物の全量基準で、0.1質量%~2.0質量%未満である、請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
  4. 含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として用いられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物を、含浸軸受油又は工作機械用潤滑油として使用する、使用方法。
  6. 潤滑油基油(A)と、
    増ちょう剤(B)を含む粒子(B-2)を含有するグリース(C)と
    を混合する工程を含み、
    前記グリース(C)中の前記粒子(B-2)が、下記要件(γ)を満たす、潤滑剤組成物の製造方法。
    ・要件(γ):レーザー回折・散乱法により25℃の環境下で前記粒子(B-2)を測定した際の体積基準での算術平均粒子径が5.0μm以下である。
  7. 前記増ちょう剤(B)は、ウレア系増ちょう剤を含む、請求項6に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
  8. 前記グリース(C)中の前記増ちょう剤(B)の含有量が、前記グリース(C)の全量基準で、3質量%~20質量%である、請求項6又は7に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
  9. 前記グリース(C)の25℃における混和ちょう度が、310以上である、請求項6~8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物の製造方法。
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