JP2023151669A - 潤滑油用添加剤組成物及び潤滑油組成物 - Google Patents

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頼由 高嶋
Yoriyuki Takashima
宏明 甲嶋
Hiroaki Koshima
祐輔 中西
Yusuke Nakanishi
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Abstract

【課題】優れた摩擦摩耗特性を有する無灰系の潤滑油用添加剤組成物及び当該潤滑油用添加剤組成物を含有する潤滑油組成物を提供する。【解決手段】特定の構造を有するマレイン酸エステル系化合物(A1)及び特定の構造を有するコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)を含有する、潤滑油用添加剤組成物とした。また、当該潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを含有する、潤滑油組成物とした。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油用添加剤組成物及び当該潤滑油用添加剤組成物を含有する潤滑油組成物に関する。
代表的な潤滑油用添加剤の一つとして、摩擦調整剤が挙げられる。摩擦調整剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン(MоDTC)等のモリブデン系摩擦調整剤が挙げられる。
近年、環境への悪影響等を考慮し、金属を含まない、無灰系摩擦調整剤についても検討されている。例えば、特許文献1では、無灰系摩擦調整剤としてグリセロールモノオレートを配合した潤滑油組成物が提案されている。
米国特許5,114,603号公報
しかしながら、グリセロールモノオレートは、摩擦低減性能及び耐摩耗性能(以下、これらをまとめて「摩擦摩耗特性」ともいう)が十分ではない。そのため、摩擦摩耗特性により優れる無灰系の潤滑油用添加剤組成物の創出が希求されている。
本発明は、優れた摩擦摩耗特性を有する無灰系の潤滑油用添加剤組成物及び当該潤滑油用添加剤組成物を含有する潤滑油組成物を提供することを課題とする。
本発明によれば、下記[1]~[3]が提供される。
[1] 下記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び下記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)を含有する、潤滑油用添加剤組成物。

[前記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではない。R及びRは、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。a及びbは、各々独立に、0~6の整数である。]

[前記一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R11及びR12の少なくとも一方は水素原子ではない。R13及びR14は、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。c及びdは、各々独立に、0~6の整数である。Gは、置換基を示す。mは、1又は2である。]
[2] 上記[1]に記載の潤滑油用添加剤組成物を、摩擦調整剤として使用する、潤滑油用添加剤組成物の使用方法。
[3] 上記[1]に記載の潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを含有する、潤滑油組成物。
本発明によれば、優れた摩擦摩耗特性を有する無灰系の潤滑油用添加剤組成物及び当該潤滑油用添加剤組成物を含有する潤滑油組成物を提供することが可能となる。
本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本発明の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
[潤滑油用添加剤組成物の態様]
本実施形態の潤滑油用添加剤組成物は、下記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び下記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)を含有する。

[前記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではない。R及びRは、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。a及びbは、各々独立に、0~6の整数である。]

[前記一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R11及びR12の少なくとも一方は水素原子ではない。R13及びR14は、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。c及びdは、各々独立に、0~6の整数である。Gは、置換基を示す。mは、1又は2である。]
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、上記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び上記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)が、摩擦摩耗特性に優れることを見出し、これらを潤滑油用添加剤組成物として(特に摩擦調整剤として)好適に用いることができることを見出すに至った。
上記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び上記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)が、摩擦摩耗特性に優れる理由は、明確にはなっていないが、例えば、摺動面に脂質二分子膜が形成されること等によるものと推察される。
なお、以降の説明では、「ジカルボン酸エステル系化合物(A)」、「マレイン酸エステル系化合物(A1)」、及び「コハク酸エステル系化合物(A2)」を、それぞれ「化合物(A)」、「化合物(A1)」、及び「化合物(A2)」と略記することもある。
以下、マレイン酸エステル系化合物(A1)及びコハク酸エステル系化合物(A2)について、詳細に説明する。
<マレイン酸エステル系化合物(A1)>
マレイン酸エステル系化合物(A1)は、下記一般式(I)で表される。
マレイン酸エステル系化合物(A1)は、その骨格を無置換のコハク酸骨格に変更すると、本発明の効果が発揮されなくなる。したがって、マレイン酸骨格を有すること(コハク酸骨格には存在しない、C=C二重結合を有すること)が、本発明の効果を発揮する上で重要な役割を担っているものと考えられる。
上記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではない。
及びRの双方が水素原子であると、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が8未満である場合又は24超である場合にも、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
及びRとして選択し得る炭素数8~24のアルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、及びテトラコシル基が挙げられる。
これらは、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、本発明の効果の向上の観点から、当該アルキル基の炭素数は、好ましくは10~20、より好ましくは10~18、更に好ましくは10~16である。
及びRとして選択し得る炭素数8~24のアルケニル基としては、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基,トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、及びテトラコセニル基が挙げられる。
これらは、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、本発明の効果の向上の観点から、当該アルケニル基の炭素数は、好ましくは10~20、より好ましくは10~18、更に好ましくは10~16である。
ここで、R及びRとして選択し得る基は、本発明の効果の向上の観点及びマレイン酸エステル系化合物(A1)の合成のしやすさ等の観点から、R及びRの双方が、各々独立して、炭素数8~24の直鎖状のアルキル基又は炭素数8~24の直鎖状のアルケニル基であることが好ましく、炭素数8~24の直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
この場合の直鎖状のアルキル基及び直鎖状のアルケニル基の好ましい炭素数は、上記と同様である。
上記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。a及びbは、各々独立に、0~6の整数である。
a及びbが2以上である場合、当該アルキレン基の炭素数が1又は4超であると、マレイン酸エステル系化合物(A1)の合成が困難となる。
また、a及びbが6超である場合、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
及びRとして選択し得る炭素数2~4のアルキレン基としては、具体的には、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH(CH2CH3)-、及びCH2CH(CH3)CH2-等が挙げられる。これらの中でも、-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-が好ましく、-CH2CH2-がより好ましい。
a及びbは、マレイン酸エステル系化合物(A1)の合成のしやすさの観点及び本発明の効果の向上の観点等から、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、更に好ましくは1である。
マレイン酸エステル系化合物(A1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<マレイン酸エステル系化合物(A1)の合成方法>
マレイン酸エステル系化合物(A1)の合成方法は、特に限定されないが、例えば、マレイン酸(又は無水マレイン酸)とアルコールとのエステル化反応により合成することができる。
詳細には、マレイン酸(又は無水マレイン酸)とアルコールのエステル化反応は、大気圧下、50℃~200℃の反応温度で実行される。反応温度としては、100℃~150℃が好ましい。エステル化に用いる溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系の溶媒、及びトルエン、キシレン、クメン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系の溶媒等が使用できる。また、エステル化反応は、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、クメン、ジクロロベンゼン等の、水と共沸する溶媒の存在下に行っても良い。エステル化反応の触媒は酸であり、無機酸、例えば硫酸、スルホン酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、及びドデシルスルホン酸誘導体等から選択でき、均質単相媒体中で反応させることができる。また、触媒は固形物ポリマー、酸性イオン交換樹脂に担持させて用いることができる。この場合には反応は不均質2相媒体中で行うことができる。触媒としては、好ましくは、p-トルエンスルホン酸が用いられる。
<コハク酸エステル系化合物(A2)>
コハク酸エステル系化合物(A2)は、下記一般式(II)で表される。
既述のように、マレイン酸エステル系化合物(A1)は、その骨格を無置換のコハク酸骨格に変更すると、本発明の効果が発揮されなくなる。しかし、コハク酸骨格であっても、置換基Gを有することで、本発明の効果が発揮される。
上記一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R11及びR12の少なくとも一方は水素原子ではない。
11及びR12の双方が水素原子であると、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が8未満である場合又は24超である場合にも、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
11及びR12として選択し得る炭素数8~24のアルキル基としては、R及びRとして例示したものが挙げられる。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、本発明の効果の向上の観点から、当該アルキル基の炭素数は、好ましくは10~20、より好ましくは10~18、更に好ましくは10~16である。
11及びR12として選択し得る炭素数8~24のアルケニル基としては、R及びRとして例示したものが挙げられる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、本発明の効果の向上の観点から、当該アルケニル基の炭素数は、好ましくは10~20、より好ましくは10~18、更に好ましくは10~16である。
ここで、R11及びR12として選択し得る基は、本発明の効果の向上の観点及びコハク酸エステル系化合物(A2)の合成のしやすさ等の観点から、R11及びR12の双方が、各々独立して、炭素数8~24の直鎖状のアルキル基又は炭素数8~24の直鎖状のアルケニル基であることが好ましく、炭素数8~24の直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
この場合の直鎖状のアルキル基及び直鎖状のアルケニル基の好ましい炭素数は、上記と同様である。
上記一般式(II)中、R13及びR14は、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。c及びdは、各々独立に、0~6の整数である。
c及びdが2以上である場合、当該アルキレン基の炭素数が1又は4超であると、コハク酸エステル系化合物(A2)の合成が困難となる。
また、c及びdが6超である場合、潤滑油基油への溶解性が確保できなくなり、本発明の効果が発揮されなくなる。
13及びR14として選択し得る炭素数2~4のアルキレン基としては、R及びRとして例示したものが挙げられ、これらの中でも、-CH2CH2-及び-CH2CH(CH3)-が好ましく、-CH2CH2-がより好ましい。
c及びdは、コハク酸エステル系化合物(A2)の合成のしやすさの観点及び本発明の効果の向上の観点等から、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、更に好ましくは1である。
上記一般式(II)中、Gは置換基を示す。mは1又は2である。
mは、コハク酸エステル系化合物(A2)の合成のしやすさの観点及び本発明の効果の向上の観点等から、好ましくは1である。
ここで、Gは、本発明の効果の向上の観点から、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含む1価の基であることが好ましい。
このような基としては、具体的には、以下に例示する基等が挙げられる。
なお、下記基中、Rは各々独立に水素原子又は炭化水素基(好ましくは水素原子又は炭素数1~8の鎖状アルキル基)であり、nは各々独立に0~20の整数(好ましくは0~10、より好ましくは0~8)である。
-OR
-O-(CH-CH
-O-(CH-NH
-O-(CH-C(=O)-OR
-O-(CH-SO
-O-C(=O)-R
-O-C(=O)-NH-R
-O-C(=O)-NR-R
-O-C(=O)-NH-CH(R)-C(=O)-OR
-O-C(=O)-NH-(CH-SO
-O-C(=O)-NH-(CH-C(=O)-OR
-O-C(=O)-OR
-O-C(=O)-SR
-O-SO-OR
-O-PO-OR
-(OCHCH-R
-(OCHCHCH-R
-C(=O)-OR
-C(=O)-NH-R
-C(=O)-NR-R
-SO
-SO-R
-C(=O)-NH-CH(R)-C(=O)-OR
-C(=O)-NH-(CH-SO
-NR
-NH-R
-NH-(CH-NH
-NH-CH(R)-C(=O)-OR
-NH-(CH-SO
-NH-(CH-SO
-NH-C(=O)-OR
-NH-C(=O)-NH
-NH-C(=O)-NH-CH(R)-C(=O)-OR
-NH-C(=O)-NH-(CH-SO
-NH-C(=O)-NH-(CH-C(=O)-OR
-O-C(=O)-(CH-NH
-SR
-S-(CH-C(=O)-OR
-S-(CH-CH(NH)-C(=O)-OR
-S-S-(CH-CH(NH)-C(=O)-OR
-PO
-S-P(=S)-(OR)
-S-P(=O)-(OR)
-O-P(=O)-(OR)
-O-P(=S)-(OR)
また、Gは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含む1価の基の中でも、本発明の効果の向上の観点から、下記一般式(III)及び(IV)で表される基から選択される基であることがより好ましい。

上記一般式(III)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。
ここで、本発明の効果の向上の観点から、Xは、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、硫黄原子であることがより好ましい。
上記一般式(III)中、nは0~6の整数である。
ここで、本発明の効果の向上の観点から、nは、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、更に好ましくは1である。
上記一般式(III)中、R21は、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。
ここで、本発明の効果の向上の観点から、R21は、好ましくは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
上記一般式(IV)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。
ここで、本発明の効果の向上の観点から、Xは、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、硫黄原子であることがより好ましい。
上記一般式(IV)中、R31及びR32は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。
ここで、本発明の効果の向上の観点から、R31及びR32は、各々独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
コハク酸エステル系化合物(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<コハク酸エステル系化合物(A2)の合成方法>
コハク酸エステル系化合物(A2)の合成方法は、特に限定されないが、例えば、マレイン酸エステル系化合物(A1)に所望の置換基Gを付加することで合成することができる。
マレイン酸エステル系化合物(A1)に置換基Gを付加させる方法としては、塩基性触媒の存在下、置換基Gを形成し得る化合物(例えば、メルカプト酢酸やO,O-ジエチルジチオホスフェート等)をマイケル付加させる方法等が挙げられる。これにより、コハク酸エステル系化合物(A2)が得られる。反応温度としては、-70℃~100℃が好ましい。付加反応に用いる溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系の溶媒、及びトルエン、キシレン、クメンやジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系の溶媒等が使用できる。塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、アルミナ、トリエチルボラン、9-BBN(9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)等から選択できる。好ましくはトリエチルアミンが用いられる。
<ジカルボン酸エステル系化合物(A)の好ましい態様>
ジカルボン酸エステル系化合物(A)は、本発明の効果の向上の観点からは、マレイン酸エステル系化合物(A1)及びコハク酸エステル系化合物(A2)であってGが上記一般式(III)で表される基である化合物からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
また、これらの中でも、耐摩擦性能をより高める観点からは、マレイン酸エステル系化合物(A1)を含むことが好ましく、高荷重下(特に150N以上)における摩擦係数低減の観点からは、コハク酸エステル系化合物(A2)であってGが上記一般式(III)で表される基である化合物を含むことが好ましい。
<潤滑油用添加剤組成物中のジカルボン酸エステル系化合物(A)の含有量>
本実施形態の潤滑油用添加剤組成物は、潤滑油基油に添加した際に本発明の効果をより発揮させやすくする観点から、ジカルボン酸エステル系化合物(A)の含有量が、潤滑油用添加剤組成物の全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、更になお好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95質量%以上である。また、マレイン酸エステル系化合物(A1)及びコハク酸エステル系化合物(A2)の純度を考慮すると、ジカルボン酸エステル系化合物(A)の含有量は、潤滑油用添加剤組成物の全量基準で、通常99質量%未満である。
なお、本実施形態の潤滑油用添加剤組成物は、潤滑油基油との溶解性や取扱性の観点から、希釈溶剤により希釈されていてもよい。なお、潤滑油用添加剤組成物中のジカルボン酸エステル系化合物(A)の含有量は、希釈溶剤を除いた、潤滑油用添加剤組成物中の有効成分の全量基準に対する含有量を意味する。
<潤滑油用添加剤組成物の用途>
本実施形態の潤滑油用添加剤組成物は、摩擦摩耗特性に優れる。したがって、摩擦調整剤として有用である。
したがって、本実施形態では、当該潤滑油用添加剤組成物を、摩擦調整剤として使用する潤滑油用添加剤組成物の使用方法が提供される。
[潤滑油組成物]
本実施形態の潤滑油組成物は、上記潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを含有する。
潤滑油用添加剤組成物の含有量は、潤滑油用添加剤組成物の添加効果を良好に発揮させる観点から、潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.10質量%~5.0質量%、更に好ましくは0.30質量%~2.0質量%となるように調整される。
<潤滑油基油>
潤滑油基油は、潤滑油組成物に用いられる一般的な基油を、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、鉱油及び合成油からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
潤滑油基油の100℃動粘度は1.0mm/s~50mm/sの範囲にあることが好ましく、1.5mm/s~30mm/sの範囲にあることがより好ましく、2.0mm/s~20mm/sの範囲にあることが更に好ましい。潤滑油基油の100℃における動粘度が上記範囲にあることで、潤滑油組成物の蒸発損失を少なくしやすくできるとともに、潤滑油組成物の粘性抵抗による動力損失を抑制して燃費改善効果等を得やすいものとできる。
また、潤滑油基油の粘度指数は80以上であることが好ましく、90以上であることがより好ましく、100以上であることがより更に好ましい。潤滑油基油の粘度指数が上記範囲にあることで、潤滑油組成物の粘度特性を良好なものとしやすい。
潤滑油基油の動粘度及び粘度指数はJIS K2283:2000に準じて測定又は算出される値である。
潤滑油基油の具体例を以下に挙げる。
鉱油としては、例えば、パラフィン基原油、中間基原油、又はナフテン基原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油;等が挙げられる。精製油を得るための精製方法としては、例えば、溶剤脱ろう処理、水素化異性化処理、水素化仕上げ処理、白土処理等が挙げられる。
合成油としては、例えば、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。また、合成油としては、天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス,Gas To Liquids WAX)を異性化することで得られるGTL(Gas To Liquids)を用いてもよい。
<他の添加剤>
本実施形態の潤滑油組成物は、上記潤滑油用添加剤組成物の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、油性剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、金属不活性化剤、及び消泡剤等の他の添加剤を含有してもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態では、上記潤滑油用添加剤組成物とともに、上記潤滑油用添加剤組成物以外の他の添加剤として、酸化防止剤、油性剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、金属不活性化剤、及び消泡剤等から選択される1種以上の添加剤を含有する潤滑油組成物用の添加剤パッケージも提供される。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、従来の潤滑油組成物に使用されているアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等を使用することができる。これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン及びモノノニルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン系化合物;4,4’-ジブチルジフェニルアミン、4,4’-ジペンチルジフェニルアミン、4,4’-ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’-ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、及び4,4’-ジノニルジフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン系化合物;テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、及びテトラノニルジフェニルアミン等のポリアルキルジフェニルアミン系化合物;α-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、ブチルフェニル-α-ナフチルアミン、ペンチルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘキシルフェニル-α-ナフチルアミン、ヘプチルフェニル-α-ナフチルアミン、オクチルフェニル-α-ナフチルアミン、及びノニルフェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系化合物が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等のモノフェノール系化合物;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)及び2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物が挙げられる
酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物の酸化安定性を保つのに必要な最低量を加えれば良い。具体的には、例えば、潤滑油組成物の全量基準で、0.01~1質量%が好ましい。
(油性剤)
油性剤としては、脂肪族アルコール;脂肪酸及び脂肪酸金属塩等の脂肪酸化合物;ポリオールエステル、ソルビタンエステル、及びグリセライド等のエステル化合物;脂肪族アミン等のアミン化合物等を挙げることができる。
油性剤の含有量は、添加効果の点から、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.1~20質量%であり、好ましくは0.5~10質量%である。
(清浄分散剤)
清浄分散剤としては、金属スルホネート、金属サリチレート、金属フェネート、及びコハク酸イミド等が挙げられる。
清浄分散剤の含有量は、添加効果の点から、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.01~10質量%であり、好ましくは0.1~5質量%である。
(粘度指数向上剤)
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン-プロピレン共重合体等)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン水素化共重合体等)等が挙げられる。
粘度指数向上剤の含有量は、好ましくは、潤滑油組成物の全量基準で、0.3~5質量%である。
(防錆剤)
防錆剤としては、金属系スルホネート、コハク酸エステル、並びにアルキルアミン及びモノイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン等を挙げることができる。
防錆剤の含有量は、添加効果の点から、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.01~5質量%であり、好ましくは0.03~3質量%である。
(金属不活性剤)
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール及びチアジアゾール等を挙げることができる。
金属不活性剤の好ましい含有量は、添加効果の点から、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.01~5質量%であり、好ましくは0.01~1質量%である。
(消泡剤)
消泡剤としては、メチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、及びポリアクリレート等を挙げることができる。
消泡剤の含有量は、添加効果の点から、潤滑油組成物の全量基準で、通常0.0005~0.01質量%である。
[潤滑油組成物の物性等]
<動粘度、粘度指数>
本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、好ましくは1.0mm/s~50mm/s、より好ましくは1.5mm/s~30mm/s、更に好ましくは2.0mm/s~20mm/sである。
本実施形態の潤滑油組成物の粘度指数は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上である。
潤滑油組成物の動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準じて測定又は算出される値である。
<摩擦係数>
本実施形態の潤滑油組成物は、後述する実施例に記載の摩擦摩耗試験における摩擦係数が、以下の範囲であることが好ましい。
すなわち、荷重50Nである場合、摩擦係数は、好ましくは0.075以下、より好ましくは0.070以下、更に好ましくは0.065以下、より更に好ましくは0.60以下である。
荷重100Nである場合、摩擦係数は、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.070以下である、より更に好ましくは0.65以下である。
荷重150Nである場合、摩擦係数は、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.070以下、より更に好ましくは0.64以下である。
荷重200Nである場合、摩擦係数は、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.070以下、より更に好ましくは0.065以下、更になお好ましくは0.063以下である。
荷重50N~200Nである場合の摩擦係数の平均値は、好ましくは0.080以下、より好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.070以下、より更に好ましくは0.065以下である。
本実施形態の潤滑油組成物は、本実施形態の潤滑油用添加剤組成物を含有するため、摩擦係数が低く、特に荷重150N以上の高荷重であっても摩擦係数低減効果に優れる。
<耐摩耗性能>
本実施形態の潤滑油組成物は、後述する実施例に記載の摩擦摩耗試験における摩耗痕径が、好ましくは440μm以下、より好ましくは430μm以下、更に好ましくは425μm以下、より更に好ましくは420μm以下、更になお好ましくは415μm以下、一層好ましくは410μm以下である。
[潤滑油組成物の製造方法]
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、特に制限されない。
例えば、本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、上記潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを混合する工程を含む。
当該製造方法は、必要に応じ、上述の他の添加剤を配合する工程を更に含んでいてもよい。
各成分を混合する方法としては、特に制限はないが、例えば、潤滑油基油に、各成分を配合する方法が挙げられる。また、各成分は、希釈油等を加えて溶液(分散体)の形態とした上で配合してもよい。各成分を配合した後、公知の方法により、撹拌して均一に分散させることが好ましい。
なお、潤滑油用添加剤組成物及び潤滑油基油の好ましい態様は、上述のとおりである。
また、潤滑油用添加剤組成物の配合量は、上述した潤滑油用添加剤組成物の好ましい含有量に対応する配合量とすることが好ましい。
[潤滑油組成物の用途]
本実施形態の潤滑油組成物は、本実施形態の潤滑油用添加剤組成物を含有するため、摩擦摩耗特性に優れる。
そのため、本実施形態の潤滑油組成物は、例えば、ギア油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャル油等)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油等)、無段変速機油(ベルトCVT油、トロイダルCVT油等)、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、及び電動モーター油等の駆動系油;ガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用、及びガスエンジン用等の内燃機関(エンジン)用油;油圧作動油;タービン油;圧縮機油;流体軸受け油;転がり軸受油;冷凍機油等をはじめ各種の用途に好適に使用でき、これら各用途で使用される装置に充填し、当該装置に係る各部品間を潤滑する潤滑油組成物として好適に使用することができる。
[潤滑油組成物を用いる潤滑方法]
本実施形態の潤滑油組成物を用いる潤滑方法としては、好ましくは、前記潤滑油組成物を、前述した各用途で使用される装置に充填し、当該各装置に係る各部品間を潤滑する方法が挙げられる。
[グリース組成物]
本実施形態の潤滑油用添加剤組成物は、グリース組成物に配合して用いることもできる。
すなわち、本実施形態では、上記潤滑油用添加剤組成物と、増ちょう剤と、潤滑油基油とを含有するグリース組成物を提供することもできる。
[提供される本発明の一態様]
本発明の一態様では、下記[1]~[6]が提供される。
[1] 下記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び下記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)を含有する、潤滑油用添加剤組成物。

[前記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではない。R及びRは、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。a及びbは、各々独立に、0~6の整数である。]

[前記一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R11及びR12の少なくとも一方は水素原子ではない。R13及びR14は、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。c及びdは、各々独立に、0~6の整数である。Gは、置換基を示す。mは、1又は2である。]
[2] 前記一般式(II)中、Gは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含む1価の基である、上記[1]に記載の潤滑油用添加剤組成物。
[3] 前記一般式(II)中、Gは、下記一般式(III)及び(IV)で表される基から選択される基である、上記[1]又は[2]に記載の潤滑油用添加剤組成物。

[前記一般式(III)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。nは、0~6の整数である。R21は、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。]

[前記一般式(IV)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。R31及びR32は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。]
[4] 摩擦調整剤として用いられる、上記[1]~[3]のいずれかに記載の潤滑油用添加剤組成物。
[5] 上記[1]~[3]のいずれかに記載の潤滑油用添加剤組成物を、摩擦調整剤として使用する、潤滑油用添加剤組成物の使用方法。
[6] 上記[1]~[4]のいずれかに記載の潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを含有する、潤滑油組成物。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1~3]
<製造例1:マレイン酸エステル系化合物(A1)-1の合成>
口1Lフラスコに、ディーンスターク管とジムロート冷却器を取り付け、無水マレイン酸19.6g(0.200モル)、1-ヘキサデカノール97.0g(0.400モル)、p-トルエンスルホン酸・水和物1.90g(0.010モル)、トルエン200mLを仕込んだ。次いで、加熱還流下、共沸脱水により水を除去しながら6時間攪拌し、反応させた。反応終了後、氷冷し、析出した白色結晶を濾取、乾燥後、マレイン酸ビス(n-ヘキサデシル)84.9g(収率75.1%)を得た。
製造例1で得られたマレイン酸エステル系化合物(A1)-1の構造式を以下に示す。
マレイン酸エステル系化合物(A1)-1は、上記一般式(I)中、R及びRがn-テトラデシル基であり、R及びRがエチレン基であり、a及びbが1である。
<製造例2:コハク酸エステル系化合物(A2)-1の合成>
4口フラスコに、温度計、ジムロート冷却器を取り付け、製造例1で得たマレイン酸ビス(n-ヘキサデシル)22.6g(0.040モル)、メルカプト酢酸3.68g(0.040モル)、テトラヒドロフラン50mLを仕込み、トリエチルアミン4.05g(0040モル)を加え、50℃にて10時間撹拌した。反応後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣に、ヘキサンを加え、析出した白色固体を濾取、乾燥後、2-((1,4-ビス(n-ヘキサデシルオキシ)-1,4-ジオキソブタン-2-イル)チオ)酢酸23.18g(収率88.0%)を得た。
製造例2で得られたコハク酸エステル系化合物(A2)-1の構造式を以下に示す。
コハク酸エステル系化合物(A2)-1は、上記一般式(II)中、R11及びR12がn-テトラデシル基であり、R13及びR14がエチレン基であり、c及びdが1である。
また、Gは上記一般式(III)で表される基であり、mは1である。上記一般式(III)中、Xは硫黄原子であり、R21は水素原子であり、nは1である。
<製造例3:コハク酸エステル系化合物(A2)-2の合成>
製造例1で得たマレイン酸ビス(n-ヘキサデシル)16.95g(0.03モル)、O,O-ジエチルジチオホスフェート5.59g(0.03モル)、テトラヒドロフラン50mLを仕込み、トリエチルアミン3.04g(0.03モル)を加え、バス温60℃にて7時間加熱撹拌した。反応後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。得られた残渣をフラッシュカラムクローマトグラフィー(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル=50:1~10:1)により精製し、ビス(n-ヘキサデシル)-2-((ジエトキシホスホロチオイル)スルファニル)スクシナート2.82g(収率25.1%)を得た。
製造例3で得られたコハク酸エステル系化合物(A2)-2の構造式を以下に示す。
コハク酸エステル系化合物(A2)-2は、上記一般式(II)中、R11及びR12がn-テトラデシル基であり、R13及びR14がエチレン基であり、c及びdが1である。
また、Gは上記一般式(IV)で表される基であり、mは1である。上記一般式(IV)中、Xは硫黄原子であり、R31及びR32はエチル基である。
[実施例1~3及び比較例1~4]
潤滑油基油(ポリ-α-オレフィン(PAO)、100℃の動粘度=3.9mm/s、粘度指数=120)に、下記化合物を添加して混合し、潤滑油組成物を調製した。潤滑油組成物中の下記化合物の含有量は0.5質量%とした。そして、調整した潤滑油組成物を、下記評価に供した。
潤滑油基油の100℃動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定又は算出した。
実施例1~3及び比較例1~4において添加した化合物は以下のとおりである。
・実施例1:製造例1で得られたマレイン酸エステル系化合物(A1)-1
・実施例2:製造例2で得られたコハク酸エステル系化合物(A2)-1
・実施例3:製造例3で得られたコハク酸エステル系化合物(A2)-2
・比較例1:オレイン酸

・比較例2:グリセロールモノオレート

・比較例3:ジアルキルチオカルバミン酸モリブデン(4つのアルキル基の炭素数が各々独立に7又は13である、二核のMoDTCである。表1中では「MoDTC」と略記する。)
・比較例4:コハク酸ビス(n-ヘキサデシル)
<評価1:摩擦摩耗試験>
ボール・オン・ディスク型の高速往復動摩擦試験機TE77(Phoenix Tribology社製)を用いて、試験プレートと試験球との間に潤滑油組成物を導入し、下記の条件にて、試験球を動かして試験を行い、各荷重における平均摩擦係数を測定した。また、試験後の試験球の縦方向の摩耗痕径及び横方向の摩耗痕径を測定し、下記式により摩耗痕径の平均値を算出した。
・試験プレート 材質:SUJ2、形状:長さ58mm×幅38mm×厚さ3.9mm
・試験球 材質:SUJ2、直径10mm
・給油条件:油浴、油量3mL
・荷重:50N(300秒間)→100N(300秒間)→150N(300秒間)→200N(300秒間)
・温度:100℃
・振幅:10mm
・振動数:10Hz
摩耗痕径の平均値={(縦方向の摩耗痕径)+(横方向の摩耗痕径)}/2
摩擦係数が低いほど、摩擦低減性能に優れた潤滑油組成物であるといえる。
また、摩耗痕径の値が小さい程、耐摩耗性能に優れた潤滑油組成物であるといえる。
結果を表1に示す。

表1に示す結果から、以下のことがわかる。
実施例1~3に示す結果から、マレイン酸エステル系化合物(A1)-1、コハク酸エステル系化合物(A2)-1、又はコハク酸エステル系化合物(A2)-2を配合した潤滑油組成物は、摩擦摩耗特性に優れる潤滑油組成物であることがわかる。
換言すれば、マレイン酸エステル系化合物(A1)-1、コハク酸エステル系化合物(A2)-1、及びコハク酸エステル系化合物(A2)-2は、摩擦摩耗特性に優れる潤滑油用添加剤であることがわかる。
これに対し、比較例1~4に示す潤滑油組成物は、摩擦摩耗特性に劣ることがわかる。
なお、実施例1~3の潤滑油組成物について、マレイン酸エステル系化合物(A1)-1、コハク酸エステル系化合物(A2)-1、又はコハク酸エステル系化合物(A2)-2を配合した後に、潤滑油組成物の外観を確認したところ、透明であり、潤滑油基油への溶解性が良好であることが確認された。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表されるマレイン酸エステル系化合物(A1)及び下記一般式(II)で表されるコハク酸エステル系化合物(A2)からなる群から選択される1種以上のジカルボン酸エステル系化合物(A)を含有する、潤滑油用添加剤組成物。

    [前記一般式(I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではない。R及びRは、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。a及びbは、各々独立に、0~6の整数である。]

    [前記一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、炭素数8~24のアルキル基、又は炭素数8~24のアルケニル基を示す。但し、R11及びR12の少なくとも一方は水素原子ではない。R13及びR14は、各々独立に、炭素数2~4のアルキレン基を示す。c及びdは、各々独立に、0~6の整数である。Gは、置換基を示す。mは、1又は2である。]
  2. 前記一般式(II)中、Gは、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含む1価の基である、請求項1に記載の潤滑油用添加剤組成物。
  3. 前記一般式(II)中、Gは、下記一般式(III)及び(IV)で表される基から選択される基である、請求項1又は2に記載の潤滑油用添加剤組成物。

    [前記一般式(III)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。nは、0~6の整数である。R21は、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。]

    [前記一般式(IV)中、Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、又はメチレン基である。R31及びR32は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基である。]
  4. 摩擦調整剤として用いられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油用添加剤組成物。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油用添加剤組成物を、摩擦調整剤として使用する、潤滑油用添加剤組成物の使用方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑油用添加剤組成物と、潤滑油基油とを含有する、潤滑油組成物。
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