JP2023151227A - 土木構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼製枠及び中詰材によって土木構造物に作用する外力に抵抗するために必要な強度を維持しつつ、使用する鋼材の使用量を減らし軽量化を図るとともに、鋼製枠の形状維持を可能にする。【解決手段】高さ方向H及び幅方向Wに互いに連結された複数の鋼製枠10と、鋼製枠10に充填されている中詰材と、を備え、鋼製枠10は、一対の柱材11,12と、一対の柱材11,12それぞれの上端部及び下端部を幅方向Wに連結する一対の梁材13,14と、奥行き方向に対向する柱材11,12の上端部及び下端部を連結する繋ぎ材15,16と、柱材11の上端部と柱材12の下端部とを連結するブレース材17と、を枠材として含み、枠材は、互いにピン構造により連結されていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)JFE建材株式会社の顧客訪問営業記録令和3年12月10日,令和3年12月13日 (2)JFE建材株式会社のメーリングリストの登録者へのメール令和3年12月13日 (3)JFE建材株式会社のウェブサイト掲載令和4年1月7日 https://www.jfe-kenzai.co.jp/newsrelease/pdf/210107.pdf
本発明は、土木構造物に関する。
従来、治山工事や砂防工事その他一般の土木工事において、堰堤、土留、擁壁等として、渓谷間に設置される、鋼製枠と、中詰材と、を備えた土木構造物が知られている。鋼製枠同士は、上下左右に互いに連結されており、鋼製枠は、前後左右に互いに間隔をあけた複数の柱材と、柱材を左右に結合する梁材と、柱材を前後に結合する奥行材(繋ぎ材)とにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鋼製枠において、左右に面する側面の四角形枠には、斜め材(ブレース材)は設けられていない。
特許文献1における土木構造物においては、作用する外力に対する抵抗力を鋼製枠の骨組み強度のみで負担するだけでなく、経済性,省資源の観点から、鋼材の使用量を少なくすることを目的として、鋼製枠内に充填された中詰材においても負担している。
特開平11-209987号公報
ところで、特許文献1における鋼製枠においては、その骨組みを構成する枠材から中詰材に外力が伝達されて中詰材にせん断変形が発生するが、土木構造物に外力が作用する方向において柱材を結合する斜め材が省かれている。このため、外力が作用した際に鋼製枠が外力の作用方向において過度に歪むことがあり、鋼製枠の形状を維持することが困難な状況が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鋼製枠及び中詰材によって土木構造物に作用する外力に抵抗するために必要な強度を維持しつつ、使用する鋼材の使用量を減らし軽量化を図るとともに、鋼製枠の形状維持を可能にする技術を提供することを目的とする。
本発明に係る土木構造物は、高さ方向及び該高さ方向に交差する一の交差方向に互いに連結された複数の鋼製枠と、前記鋼製枠に充填されている中詰材と、を備え、前記鋼製枠は、複数の枠材が連結されてなり、該枠材は、前面部側の一対の前柱材と、後面部側の一対の後柱材と、前記一対の前柱材及び前記一対の後柱材それぞれの上端部を前記一の交差方向に連結する一対の上端梁材と、前記前柱材及び前記後柱材それぞれの下端部を前記一の交差方向に連結する一対の下端梁材と、前記高さ方向及び前記一の交差方向に交差する他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材の上端部を連結する上端繋ぎ材と、前記他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材の下端部を連結する下端繋ぎ材と、前記他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材において、前記前柱材の上端部と前記後柱材の下端部とを連結するブレース材と、を含み、前記枠材は、互いにピン構造により連結されていることを特徴とする。
また、本発明に係る土木構造物の一態様においては、前記ブレース材と前記前柱材及び前記後柱材とを連結するピン構造において、ボルトが挿通される孔の内径は、前記ボルトの軸径よりも大きく、前記ボルトと前記孔との間に隙間が形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る土木構造物の一態様においては、前記前柱材及び前記後柱材は、H形鋼により形成されており、前記上端梁材及び前記下端梁材は、前記前柱材及び前記後柱材の一対のフランジの間に挿入されて連結されており、前記上端梁材及び前記下端梁材は、フランジに対して隙間 をあけて前記前柱材及び前記後柱材に連結されていることが好ましい。
また、本発明に係る土木構造物の一態様においては、前記鋼製枠の前面部、後面部、天面部及び底面部の少なくとも1つの面部に面材が設けられており、前記面材と前記枠材とは互いにピン構造により連結されており、前記面材の連結の用に供されるピン構造において、ボルトが挿通される孔の内径は、前記ボルトの軸径よりも大きく、前記ボルトと前記孔との間に隙間が形成されており、該隙間は、前記枠材同士のピン構造における前記隙間よりも大きいことが好ましい。
本発明により、鋼製枠及び中詰材によって土木構造物に作用する外力に抵抗するために必要な強度を維持しつつ、使用する鋼材の使用量を減らし軽量化を図るとともに、鋼製枠の形状維持を可能にする。
本発明に係る土木構造物を下流側から見た概略的な正面図である。 本発明に係る土木構造物を側方から見た側面図である。 下段側の鋼製枠の構成を説明するための斜視図である。 柱材と梁材とが連結された状態を説明するための図である。 最上段の鋼製枠の平面図である。 最下段の鋼製枠の底面図である。 根入れ枠の正面図である。 斜材の構成を説明するために一部拡大した正面図である。 斜材を正面下方から見た斜視図である。 斜材の構成を説明するための背面斜視図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
本発明に係る土木構造物1は、傾斜地の斜面に設置され、堰堤、土留、擁壁等として使用される。例えば、本発明に係る土木構造物1は、渓谷間において川幅方向に設置されて、上流から流れてくる土石流等を堰き止める。
<土木構造物の構成>
図1Aは、本発明に係る土木構造物1を下流側から見た概略的な正面図である。図1Bは、本発明に係る土木構造物1を側方から見た側面図である。本発明に係る土木構造物1は、鋼製枠10と、補強枠30と、根入れ枠50と、中詰材70と、を備え、屈撓性・透水性に優れており、工期短縮や通年施工が可能である。
土木構造物1は、複数の鋼製枠10を所定の高さになるように高さ方向Hに積み重ねて連結されているとともに、幅方向W及び奥行き方向Dに互いに連結されてなる。なお、説明の便宜上、土木構造物1が堰堤として設置された状態において、土木構造物1の上下方向を「高さ方向H」、川幅に沿って延びる土木構造物1の方向を「幅方向W」、河川の流れに沿って延びる土木構造物1の方向を「奥行き方向D」とする。なお、土木構造物1が土留、擁壁として設置された場合、幅方向Wは、地山G等の法面に沿って連続する方向であり、奥行き方向Dは、地山G等の法面に向かう方向である。
本発明に係る土木構造物1は、高さ方向H及び該高さ方向Hに交差する幅方向(一の交差方向)Wに互いに連結された複数の鋼製枠10と、鋼製枠10に充填されている中詰材70と、を備え、鋼製枠10は、複数の枠材が連結されてなり、該枠材は、前面部10aの側の一対の柱材(前柱材)11と、後面部10bの側の一対の柱材(後柱材)12と、一対の柱材11及び一対の柱材12それぞれの上端部を幅方向Wに連結する一対の梁材(上端梁材)13と、柱材11及び柱材12それぞれの下端部を幅方向Wに連結する一対の梁材(下端梁材)14と、高さ方向H及び幅方向Wに交差する奥行き方向(他の交差方向)Dに対向する柱材11及び後柱材12の上端部を連結する繋ぎ材(上端繋ぎ材)15と、奥行き方向Dに対向する柱材11及び後柱材12の下端部を連結する繋ぎ材(下端繋ぎ材)16と、奥行き方向Dに対向する柱材11及び柱材12において、柱材11の上端部と柱材12の下端部とを連結するブレース材17と、を含み、枠材は、互いにピン構造により連結されていることを特徴とする。以下に本発明に係る土木構造物1について具体的に説明する。
本実施の形態に係る土木構造物1は、高さ方向Hに鋼製枠10が4段重ねられている。下側の3段の鋼製枠10は、側面視において台形又は略台形に形成されており、最上段の鋼製枠10は、側面視において矩形又は略矩形に形成されている。土木構造物1の設置状態において、下側3段の鋼製枠10における下流に面する側は、斜めに傾斜している。土木構造物1全体として、最下段の鋼製枠10の下流に面する面が3段目の鋼製枠10に向かって上流側に傾斜している。下側3段の鋼製枠10における上流に面する側は、高さ方向Hにおいて鉛直又は略鉛直方向に延びている。土木構造物1の奥行き方向Dにおける寸法は、高さ方向Hに沿って下側から上側にいくに連れて小さくなっている。
最上段の鋼製枠10は、下側から3段目の鋼製枠10の上側に連結されている。最上段の鋼製枠10における上流に面する側及び下流に面する側は、鉛直又は略鉛直方向に延びている。最上段の鋼製枠10の奥行き方向Dにおける寸法は、下側から3段目における鋼製枠10の天面の奥行き方向Dにおける寸法と同じである。最上段の鋼製枠10は、水通し部2が形成されるように、中央において幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。
本発明に係る土木構造物1は、河川に堰堤として設置された状態において、地山Gの斜面に対応した形状を有している(図1参照)。例えば、本実施の形態に係る土木構造物1は、高さ方向Hに沿って下側から上側に向かって幅方向Wに広がりをもって逆三角形状に構成されており、幅方向Wに連結されている鋼製枠10の数は、各段において異なる。例えば、下段の鋼製枠10の数は、幅方向Wの両端において、相対的に上段の鋼製枠10よりも1つだけ少ない。
補強枠30は、側面視において矩形又は略矩形に形成されていて、下側2段の鋼製枠10に幅方向Wに沿って上流に面する側で鋼製枠10に連結されている。根入れ枠50は、各段における鋼製枠10の幅方向Wにおける両端部に連結されている。根入れ枠50は、正面視において三角形状又は略三角形状に形成されている。根入れ枠50は、土木構造物1において地山Gの形状に合わせて斜面に沿って形成されている。土木構造物1は、設置状態において、幅方向Wにおける両端部の根入れ枠50及び根入れ枠50に近い側の幾つかの鋼製枠10並びに河川の底側で地盤に埋め戻されている。中詰材70は、鋼製枠10、補強枠30及び根入れ枠50内にそれぞれ充填されている。
[鋼製枠]
図2は、下段側の鋼製枠10の構成を説明するための斜視図である。鋼製枠10は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる、奥行き方向Dにおいて下流側に面する前面部10a、上流側に面する後面部10b、幅方向Wに面する左側面部10c、右側面部10d、高さ方向Hに面する天面部10e及び底面部10fを有する六面体の枠である。なお、以下では、土木構造物1において最下段に設置される鋼製枠10を例に説明する。
鋼製枠10は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる。鋼製枠10は、4本の柱材(枠材)11,12と、4本の梁材(枠材)13,14と、6本の繋ぎ材(枠材)15,16と、2本のブレース材17と、前面材21と、を有する。なお、図示の鋼製枠10は、下段側に設けられる鋼製枠10であり、最上段に設けられる鋼製枠10については、主として側面の形状が異なる。
4本の柱材11,12は、互いに幅方向W及び奥行き方向Dにそれぞれ所定の間隔をあけて高さ方向Hに延びるようにして設けられている。柱材11,12は、例えば、H形鋼により形成されている。柱材11は、下流側に設けられた前柱材であり、柱材12は、柱材11に対して上流側に所定の間隔をおいて対向して設けられている後柱材である。柱材11は、上流側に設けられる柱材12に向かって高さ方向Hにおいて下側から上側に沿って斜めになっている。
柱材11,12は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。各柱材11,12の一対のフランジには、延び方向における両端部に連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて後述する梁材13,14との連結の用に供される。各柱材11,12は、それぞれのフランジが上流側及び下流側に面するように設けられている。
梁材13,14は、柱材11,12を幅方向Wに連結する。梁材13は、例えば、H形鋼により形成されている。梁材13は、高さ方向Hにおいて梁材14に対して上側に位置し、柱材11,12をそれぞれ上端部において幅方向Wに互いに連結している上端梁材である。梁材13は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。
梁材13の一対のフランジには、延び方向に沿って所定の間隔をあけて複数の連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。梁材13は、フランジが下流側及び上流側に面するようにして柱材11,12に連結されている。梁材13の一対のフランジには、延び方向に沿って所定の間隔をあけて複数の連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて柱材11及び前面材18等の他の枠材との連結の用に供される。梁材13は、フランジが下流側及び上流側に面するようにして柱材11に連結されている。なお、土木構造物1において上側に他の鋼製枠10が連結されない最上段の鋼製枠10の梁材13は、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼であってよい。
梁材14は、例えば、H形鋼により形成されている。梁材14は、高さ方向Hにおいて梁材13に対して下側に位置し、柱材11,12をそれぞれ下端部において幅方向Wに互いに連結している下端梁材である。梁材14は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。梁材14の一対のフランジには、延び方向に沿って所定の間隔をあけて複数の連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて柱材12及び他の枠材との連結の用に供される。梁材14は、フランジが下流側及び上流側に面するようにして柱材12に連結されている。なお、土木構造物1において上側に他の鋼製枠10が連結されない最上段の鋼製枠10の梁材13は、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼であってよい。
図3は、柱材11,12と梁材13,14とが連結された状態を説明するための図である。一対のフランジにおいて、柱材11,12のフランジの間に挿入されている。柱材11,12と梁材13,14とは、それぞれのフランジが互いに隙間をもって互いに連結されている。柱材11,12の一対のフランジの内側の間隔D1は、梁材13,14の一対のフランジの外側の間隔D2よりも大きく形成されている。間隔D1は、間隔D2に対して1.01倍~1.10倍、好ましくは、1.03~1.05倍である。梁材13,14は、柱材11,12のフランジの間を隙間の分だけ移動可能である。
上記の柱材11,12と梁材13,14とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。柱材11,12及び梁材13,14それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材11,12及び梁材13,14は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
繋ぎ材15,16は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材15は、奥行き方向Dにおいて対向する柱材11,12を、継手板PL1を介して上端部において互いに連結するとともに、奥行き方向Dにおいて梁材13同士を、継手板PL1を介して連結する上端繋ぎ材である。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材15が設けられている。各個所において2本の繋ぎ材15が互いに背中合わせで設けられている。繋ぎ材15の両端部には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。
繋ぎ材16は、奥行き方向Dにおいて対向する柱材11,12を、継手板PL2を介して下端部において互いに連結するとともに、奥行き方向Dにおいて梁材14同士を、継手板PL2を介して連結する下端繋ぎ材である。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材16が設けられている。各個所において2本の繋ぎ材16が互いに背中合わせで設けられている。繋ぎ材16の両端部には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。
継手板PL1,PL2は、鋼製の板材であり、柱材11,12の上端部及び下端部並びに梁材13,14の中間部にそれぞれ取り付けられている。継手板PL1,PL2には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて繋ぎ材15,16との連結の用に供される。
柱材11,12及び梁材13,14と繋ぎ材15,16とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。継手板PL1,PL2及び繋ぎ材15,16それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材11,12、梁材13,14及び繋ぎ材15,16は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
ブレース材17は、所定の断面形状を有する鋼材により形成されており、奥行き方向Dにおいて柱材11,12に連結されている。具体的には、ブレース材17の一端は、継手板PL1を介して柱材11の上端部に連結されており、他端において継手板PL2を介して柱材12の下端部に連結されている。ブレース材17の両端部には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて柱材11,12との連結の用に供される。継手板PL1,PL2には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されてブレース材17との連結の用に供される。
柱材11,12とブレース材17とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。継手板PL1及びブレース材17それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材11,12及びブレース材17は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
前面部10aは下流側に面し、2本の柱材11と、梁材13,14と、によって画定されている。前面部10aは、後述する中詰材70が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の前面材21を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。前面材21は、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。前面材21は、一端が梁材13に連結されていて、他端が梁材14に連結されている。梁材13,14と前面材21とは、ボルト等のピン構造により連結されている。前面材21の両端部及び梁材13,14それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径は、が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、前面材21と及び梁材13,14のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、前面材21は及び梁材13,14は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。後面部10bは上流側に面し、2本の柱材12と、梁材13,14と、によって画定されている。鋼製枠10には後面部10bの側で、補強枠30が連結されている(図1B参照)。
図4は、最上段の鋼製枠10の平面図である。天面部10eは、高さ方向Hにおいて上側に面し、平面視において矩形状に形成されている。天面部10eは、梁材13と繋ぎ材15とによって画定されている。土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて最上段の鋼製枠10の天面部10eは、後述する中詰材70が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の天面材22を有する。天面材22は、梁材13,の間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。高さ方向Hにおいて最上段以外の鋼製枠10は、天面材22を有していない。
天面材22は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。天面材22は、一端が上流側の梁材13に鋼製の継手板PL3を介して連結されていて、他端が下流側の梁材13に継手板PL3を介して連結されている。天面材22と継手板PL3とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。天面材22の両端部及び継手板PL3それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、天面材22及び継手板PL3のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、天面材22は及び梁材13は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
図5は、最下段の鋼製枠10の底面図である。底面部10fは、高さ方向Hにおいて下側に面し、平面視において矩形状に形成されている。底面部10fは、梁材14と繋ぎ材16とによって画定されている。土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて最下段の鋼製枠10の底面部10fは、後述する中詰材70が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の底面材23を有する。高さ方向Hにおいて最下段以外の鋼製枠10は、底面材23を有していない。
底面材23は、梁材14の間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。梁材14と底面材23とは、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。底面材23の両端部及び梁材14それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、底面材23及び梁材14のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、底面材23は及び梁材14は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
上側2段の鋼製枠10において、柱材12と梁材13,14とによって画定されている後面部10bには、後述する中詰材70が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の後面材(図示せず)を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。後面材は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の溝形鋼により形成されている。後面材は、一端が梁材13に連結されていて、他端が梁材14に連結されている。後面材と梁材13,14とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。後面材の両端部及び梁材13,14それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、後面材と梁材13,14のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、後面材は及び梁材13,14は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
[補強枠]
補強枠30は、高さ方向Hにおいて下側1段目及び2段目の鋼製枠10の上流側に設けられている。つまり、補強枠30は、鋼製枠10の後面部10bの側に設けられている。補強枠30は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる枠である。なお、以下では、土木構造物1において最下段に設置される鋼製枠10に設けられている補強枠30について説明する。
補強枠30は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる。鋼製枠30は、2本の柱材(枠材)31と、2本の梁材(枠材)32,33と、6本の繋ぎ材(枠材)34,35と、後面材36と、天面材(図示せず)と、底面材37と、を有する。
柱材31は、鋼製枠10の柱材12に対して上流側に立設されている。柱材31は、例えば、H形鋼により形成されている。柱材31は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。各柱材31の一対のフランジには、延び方向における両端部に連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて後述する梁材32,33との連結の用に供される。各柱材31は、それぞれのフランジが上流側及び下流側に面するように設けられている。
梁材32は、柱材31を幅方向Wに連結する。梁材32は、例えば、H形鋼により形成されている。梁材32は、高さ方向Hにおいて梁材33に対して上側に位置し、柱材31をそれぞれ上端部において幅方向Wに互いに連結している上端梁材である。梁材32は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。
梁材32の一対のフランジには、延び方向に沿って所定の間隔をあけて複数の連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。梁材32は、フランジが下流側及び上流側に面するようにして柱材31に連結されている。なお、土木構造物1において下側から2段目の補強枠30の梁材32は、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼であってよい。
梁材33は、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。梁材33は、高さ方向Hにおいて梁材32に対して下側に位置し、柱材31をそれぞれ下端部において幅方向Wに互いに連結している下端梁材である。梁材33は、一対のフランジと、フランジを連結するウェブと、を有する。
梁材33の一対のフランジには、延び方向に沿って所定の間隔をあけて複数の連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。梁材33は、フランジが下流側及び上流側に面するようにして柱材31に連結されている。なお、土木構造物1において下側から2段目の補強枠30の梁材33は、例えば、H形鋼により形成されていてもよい。
梁材32,33は、一対のフランジにおいて、柱材31のフランジの間に挿入されている。柱材31と梁材32,33とは、それぞれのフランジが互いに隙間をもって互いに連結されている。柱材31の一対のフランジの内側の間隔は、梁材32,33の一対のフランジの外側の間隔よりも大きく形成されている。
上記の柱材31と梁材33,32とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。柱材31及び梁材32,33それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材31及び梁材32,33は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
繋ぎ材34,35は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材34は、奥行き方向Dにおいて対向する柱材31を、継手板PL4を介して上端部において互いに連結するとともに、奥行き方向Dにおいて梁材32同士を、鋼製の継手板PL4を介して連結する上端繋ぎ材である。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材34が設けられている。各個所において2本の繋ぎ材34が互いに背中合わせで設けられている。繋ぎ材34の両端部には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。
繋ぎ材35は、奥行き方向Dにおいて対向する柱材31を、継手板PL3を介して下端部において互いに連結するとともに、奥行き方向Dにおいて梁材35同士を、鋼製の継手板PL5を介して連結する下端繋ぎ材である。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材35が設けられている。各個所において2本の繋ぎ材35が互いに背中合わせで設けられている。繋ぎ材35の両端部には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて他の枠材との連結の用に供される。
継手板PL4,PL5は、柱材12,31の上端部及び下端部並びに梁材13,14,32,33の中間部にそれぞれ取り付けられている。継手板PL4,PL5には、連結孔(図示せず)が形成されていて、ボルトが挿通されて繋ぎ材34,35との連結の用に供される。
柱材12,31と、梁材13,14,32,33と、繋ぎ材34,35とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。継手板PL3及び繋ぎ材34,35それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材12、31、梁材13,14,32,33及び繋ぎ材34,35は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
後面部30aは上流側に面し、2本の柱材31と、梁材32,33とによって画定されている。後面部30aは、後述する中詰材70が補強枠30から流出することを防止するための複数の後面材36を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。後面材36は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の溝形鋼により形成されている。後面材36は、一端が梁材32に連結されていて、他端が梁材33に連結されている。後面材36と梁材32,33とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。後面材の両端部及び梁材32,33それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、後面材36と梁材32,33のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、後面材36は及び梁材32,33は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
天面部30bは、高さ方向Hにおいて上側に面し、平面視において矩形状に形成されている。天面部30bは、梁材13,32と繋ぎ材34とによって画定されている。土木構造物1のうち、下側から2段目の鋼製枠10の天面部30bは、後述する中詰材70が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の天面材(図示せず)を有する。天面材は、梁材13,32の間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。最下段の補強30は、天面材を有していない。
天面材は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。天面材は、一端が梁材13に継手板を介して連結されていて、他端が梁材32に継手板を介して連結されている。天面材と継手板とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。天面材の両端部及び継手板それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、天面材と継手板のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、天面材は及び梁材13,32は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
底面部30cは、高さ方向Hにおいて下側に面し、平面視において矩形状に形成されている。底面部30cは、梁材14,33と繋ぎ材35とによって画定されている。土木構造物1のうち、最下段の補強枠30の底面部30cは、後述する中詰材70が補強枠30から流出することを防止するための複数の底面材37を有する。高さ方向Hにおいて下側から2段目の補強枠30は、底面材37を有していない。
底面材37は、梁材14,33の間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。梁材14,33と底面材37とは、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。底面材37の両端部及び梁材14,33それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、底面材37及び梁材14,37のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトに対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、底面材37は及び梁材14,33は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
[根入れ枠]
図6は、根入れ枠50の正面図である。根入れ枠50は、土木構造物1における鋼製枠10の各段に設けられている。具体的には、根入れ枠50は、各段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10と、上段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10との間に設けられている。なお、根入れ枠50は、各段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10の一方にのみ設けられていてもよい。
根入れ枠50は、斜材51,52を有する。斜材51は、下流側に設けられており、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材11の下端部と、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材14との間で斜めに延在している。斜材52は、上流側に設けられており、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材12の下端部と、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材14との間で斜めに延在している。
図7Aは、斜材51,52の構成を説明するために一部拡大した正面図である。図7Bは、斜材51,52を正面下方から見た斜視図である。図7Cは、斜材51,52の構成を説明するための背面斜視図である。斜材51,52は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されており、互いに直角又は略直角をなす壁部51a,51b,52a,52bを有する。斜材51,52が他部材と連結された状態(以下、「連結状態」ともいう)において、壁部51a,52aは下流側に面しており、壁部51b,52bは、高さ方向Hにおいて下側かつ幅方向Wにおいて側方に斜め下側に面している。
斜材51,52は、連結部53,54、傾斜部55,56と、を有する。連結状態において、連結部53,54は、柱材11,12に直接的に連結される部分であり、柱材11,12のフランジ間に挿入されていて、柱材11,12の長手方向(延在方向)に沿って延びている。斜材11,12は、壁部51a,52aにおいて下流側に面する柱材11,12のフランジに直接的に連結されている。連結部53,54において柱材11,12との連結個所C1は、柱材11,12のウェブを挟んで反対側における梁材23bとの連結個所C2と高さ方向Hにおいて同じ又は略同じ位置にある。
傾斜部55,56は、連結部53,54に対して、所定の角度をなして上段の梁材14に向かって延びている部分である。なお、連結部53,54に対する傾斜部55,56の角度は、適宜設定することができる。傾斜部55,56において壁部51b,52bは、高さ方向Hにおいて壁部51a,52aの下側の縁から上流側に向かって延びている。傾斜部55,56において壁部51b,52bの長手方向の延長線上には連結部53,54と柱材11,12との連結個所C1があり、さらに、この延長線は、柱材11,12のウェブの下端に一致する。
柱材11,12と、梁材14と、斜材51,52とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。柱材11,12、梁材14及び斜材51,52それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、例えば、丸孔であり、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔の内径は、普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍、好ましくは、1.15~1.32倍である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、柱材11,12、梁材14及び斜材51,52は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
奥行き方向Dにおいて下流側に面する前面部50a及び上流側に面する後面部50bは、後述する中詰材70が根入れ枠50から流出することを防止するための複数の前面材57及び後面材58をそれぞれ、幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。前面材57及び後面材58は、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。前面材57及び後面材58は、一端が梁材14に連結されていて、他端が斜材51,52の傾斜部55,56に連結されている。前面材57及び後面材58の両端部並びに斜材51,52それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径は、が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、前面材57及び後面材58並びに斜材51,52のいずれかに形成された連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、前面材57及び後面材58並びに斜材51,52は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
高さ方向Hにおいて下側にかつ幅方向Wにおいて側方に斜めに面する底面部50cは、平面視において矩形状に形成されている。底面部50cは、高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10及び幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10における繋ぎ材16と、斜材51,52とによって画定されている。底面部50cは、後述する中詰材70が根入れ枠50から流出することを防止するための複数の底面材59を有する(図1B参照)。底面材59は、斜材51,52の間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。
底面材59は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。底面材59は、一端が斜材51の壁部51bに連結されていて、他端が斜材52の壁部52bに連結されている。
斜材51,52と底面材59とは、後述する中詰材70のせん断抵抗力を有効に利用するために、例えば、普通ボルト等のピン構造により連結されている。斜材51,52及び底面材59それぞれに形成されている、普通ボルトが挿通される連結孔は、普通ボルトの軸径よりも大きな内径を有している。普通ボルトが連結孔に挿通された状態において、普通ボルトと連結孔との間には所定の隙間が形成されている。連結孔は、その内径が普通ボルトの軸径に対して、1.01~1.50倍の丸孔であり、好ましくは、斜材51,52及び底面材59のいずれかに形成されている連結孔は、その内径が普通ボルトに対して2.0~2.5倍の長孔である。連結孔の内径と普通ボルトの軸径との関係が上記の範囲内にあると、外力が土木構造物1に作用した際に、斜材51,52及び底面材59は、外力を吸収しつつ互いに相対的に移動するようになり、外力を後述する中詰材70に伝達する。
[中詰材]
中詰材70は、鋼製枠10、補強枠30及び根入れ枠50内にそれぞれ充填されている。中詰材70としては、透水性の観点から玉石、割石等が用いられる。本発明に係る土木構造物1は、作用する外力に対して中詰材70のせん断抵抗力が抵抗する構造になっている。
本発明に係る土木構造物1の耐力は、中詰材70として使用されている石同士の噛み合わせにより期待されている。つまり、本発明に係る土木構造物1においては、外力により石同士の摩擦を発生させて、積極的に中詰材70のせん断変形を起こすことにより外力に対して抵抗する構造になっていて、土木構造物1の高さの1~2%程度の中詰材70のせん断変形を見込むことができる。土木構造物1を設計する際に、中詰材70のせん断変形を検討することができるので、せん断変形を許容しない土木構造物1に対して優位に土木構造物1を設計することができる。
中詰材70のせん断変形を許容した本発明に係る土木構造物1によれば、鋼製枠10を構成する柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16ブレース材17は、互いにピン構造により連結されている。これにより、上流側からの、例えば、土圧などの外力に対して、鋼製枠10が下流側に向かって倒れるように変形するように鋼製枠10は構成されており、下流側に向かって中詰材70がせん断変形することを検討して、土木構造物1を設計することができる。
鋼製枠10の枠材がピン構造により互いに連結されているので、中詰材70の単位幅あたりの抵抗モーメントMrを予め設計計算して、中詰材70に対応する各枠材11,12,13,14,15,16,17の強度等のチェック、外力及び自重によるモーメントによる中詰材70のせん断変形のチェック及び鋼製枠全体としての安定性等を検討することができる。本発明に係る中詰材70における単位幅あたりの抵抗モーメントMrは以下の関係式により設計計算することができる。
Mr=1/6・γ・Ro
γ:中詰材70の換算単位体積重量(kN/m
Ro(係数):(Bs/Hs)・(3-Bs/Hs・cosθ)・sinθ
Bs:換算土木構造物幅
Hs:換算土木構造物高
θ:中詰材70のせん断抵抗角(度)
上述の土木構造物1によれば、鋼製枠10の柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17は、互いにピン構造により連結されていて、ボルトの軸径に対して、ボルトが挿通される孔の内径が大きくなっている。これにより、土木構造物1に外力が作用した場合、鋼製枠10が外力を吸収しつつ変形することができる。
さらに、鋼製枠10においては、ブレース材17により、柱材11,12は、ピン構造により連結されている。鋼製枠10は、外力が作用した場合に、鋼製枠10が上流側から下流側に向かって想定を超えて変形することを抑制するとともに、ボルトの軸径に対して、ボルトが挿通される孔の内径が大きくなっているので、ブレース材17と柱材11,12は、相対的に奥行き方向Dに移動・回動することができ、中詰材70への外力の伝達を阻害しない。これにより、本発明に係る土木構造物1によれば、鋼製枠10の変形及び中詰材70のせん断変形により、作用する外力に対して土木構造物1全体で抵抗することができる。
土木構造物1において、柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17は、ピン構造により連結されて、中詰材70のせん断変形においても外力に対する抵抗を負担することができるので、鋼製枠10において使用する柱材11,12,梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17に使用する鋼材の強度は、中詰材70のせん断変形を許容しない土木構造物における鋼製枠に使用される枠材の強度よりも低く設定することができる。これにより、本発明に係る土木構造物1においては使用する鋼材の使用量を減じることができる。
さらに、鋼製枠10において、前面材21,57、天面材22,58、底面材23,37、後面材36におけるピン構造のボルトが挿通される連結孔の内径は、柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17同士を連結するピン構造におけるボルトが挿通される孔の内径よりも大きくなっている。柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17は、鋼製枠10の形状を作る骨組み部分であり、前面材21,57、天面材22,58、底面材23,37、後面材36のピン構造における連結孔を、例えば、長孔として、柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17における連結孔よりも大きくすることにより、柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17の変形量を確保することができ、柱材11,12、梁材13,14、繋ぎ材15,16及びブレース材17における変形は阻害されない。
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
上記の実施の形態において鋼製枠10はユニット化されていたが、高さ方向H及び幅方向Wに連結される鋼製枠10はそれぞれ、連結される鋼材が共通化されて構成されていてもよい。例えば、高さ方向Hに連結されている鋼製枠10のうち、梁材13、下段の鋼製枠10の繋ぎ材15とをそれぞれ、上段の鋼製枠10の繋ぎ材16と、梁材14と共通化してもよい。また、幅方向Wに連結されている鋼製枠10同士で共通の柱材11,12を用いてもよい。
1・・・土木構造物
10・・・鋼製枠、11・・・柱材(前柱材、枠材)、12・・・柱材(後柱材、枠材)、13・・・梁材(上端梁材、枠材)、14・・・梁材(下端梁材、枠材)、15・・・繋ぎ材(上端繋ぎ材、枠材)、16・・・繋ぎ材(下端繋ぎ材、枠材)、17・・・ブレース材(枠材)
30・・・補強枠
50・・・根入れ枠
70・・・中詰材

Claims (4)

  1. 高さ方向及び該高さ方向に交差する一の交差方向に互いに連結された複数の鋼製枠と、
    前記鋼製枠に充填されている中詰材と、
    を備え、
    前記鋼製枠は、複数の枠材が連結されてなり、該枠材は、前面部側の一対の前柱材と、後面部側の一対の後柱材と、前記一対の前柱材及び前記一対の後柱材それぞれの上端部を前記一の交差方向に連結する一対の上端梁材と、前記前柱材及び前記後柱材それぞれの下端部を前記一の交差方向に連結する一対の下端梁材と、前記高さ方向及び前記一の交差方向に交差する他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材の上端部を連結する上端繋ぎ材と、前記他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材の下端部を連結する下端繋ぎ材と、前記他の交差方向に対向する前記前柱材及び前記後柱材において、前記前柱材の上端部と前記後柱材の下端部とを連結するブレース材と、を含み、
    前記枠材は、互いにピン構造により連結されている
    ことを特徴とする土木構造物。
  2. 前記ブレース材と前記前柱材及び前記後柱材とを連結するピン構造において、ボルトが挿通される孔の内径は、前記ボルトの軸径よりも大きく、前記ボルトと前記孔との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の土木構造物。
  3. 前記前柱材及び前記後柱材は、H形鋼により形成されており、前記上端梁材及び前記下端梁材は、前記前柱材及び前記後柱材の一対のフランジの間に挿入されて連結されており、前記上端梁材及び前記下端梁材は、フランジに対して隙間をあけて前記前柱材及び前記後柱材に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の土木構造物。
  4. 前記鋼製枠の前面部、後面部、天面部及び底面部の少なくとも1つの面部に面材が設けられており、前記面材と前記枠材とは互いにピン構造により連結されており、
    前記面材の連結の用に供されるピン構造において、ボルトが挿通される孔の内径は、前記ボルトの軸径よりも大きく、前記ボルトと前記孔との間に隙間が形成されており、該隙間は、前記枠材同士のピン構造における前記隙間よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の土木構造物。

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