JP2023150454A - 射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚肉成形品の射出成形において、成形品の収縮と反り変形を低減できる射出成形方法を提供する。【解決手段】第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程と、第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程と、を有し、前記コア層を成形する工程において、前記熱可塑性樹脂Bの温度が前記熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、前記スキン層の内部に前記熱可塑性樹脂Bを充填する、射出成形方法。【選択図】なし
Description
本発明は、射出成形方法に関する。
従来、圧力配管に用いられる熱可塑性樹脂製の継手製品は肉厚の設計となり、射出成形時の収縮が大きいことから、成形サイクルが長くなる。また、金型内での冷却において、内層の樹脂は外層に比べて、高温となる。そのため、成形品内で熱収縮量の差が生じ、ヒケと呼ばれる凹部が形成されて、外観が劣化するという課題や、目的とする寸法の成形品が得られないという課題がある。
上記の課題を解決するために、ヒケを抑える対策としては、金型内で成形品の各部や肉厚部分の内部が均一な温度となるように、冷却時間を長くする方法や、金型から取り出した成形品に矯正治具を取り付けた状態で冷却する方法等が挙げられる。
しかしながら、上記のような対策を採った場合、以下のような課題が生じる。すなわち、金型内での冷却時間を長くする方法では、生産効率の低下を招き、さらには、射出シリンダー内の樹脂の劣化による物性低下も生じることがある。
一方、金型から取り出した成形品に矯正治具を取り付けた状態で冷却する方法では、矯正治具を成形品に取付けるのに人手が掛かるとともに、成形品を室温まで冷却するまで矯正を行なわなければならず、矯正時間と成形サイクルとが同期していない。したがって、矯正治具を多数用意しなければならず、その結果として、矯正治具を保管するために、大きなスペースが必要となり、設備コストが掛かるという課題が発生する。さらに、矯正治具を用いた場合でも、金型から成形品を取り出す際に、成形品内部の温度が、成形品の融点以上の高温である場合、離型時に成形品の変形が発生するため、これ以上の成形サイクルの短縮は困難である。
一方、反りや変形のないサンドイッチ射出成形品の製造方法としては、スキン層およびコア層を構成する樹脂の厚さ、線膨張係数、弾性率をそれぞれ規定する方法や、コア層を成形する樹脂の充填量を増やし、流動中の冷却歪みを小さくする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記の手法は、比較的薄肉でリブ等の形状を有する成形品において、歪みや残留応力といった要因からなる変形に対して有効な方法であるものの、厚肉の成形品における、成形品内での熱収縮差による変形を抑制するのは難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、厚肉成形品の射出成形において、成形品の収縮と反り変形を低減できる射出成形方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程と、
第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程と、
を有し、
前記コア層を成形する工程において、前記熱可塑性樹脂Bの温度が前記熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、前記スキン層の内部に前記熱可塑性樹脂Bを充填する、射出成形方法。
[2]前記熱可塑性樹脂Aと前記熱可塑性樹脂Bは同一の樹脂である、[1]に記載の射出成形方法。
[3]成形品の全体積に占めるコア層の割合は、10体積%以上である、[1]または[2]に記載の射出成形方法。
[4]前記スキン層の厚さと前記コア層の厚さの合計が8mm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の射出成形方法。
[1]第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程と、
第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程と、
を有し、
前記コア層を成形する工程において、前記熱可塑性樹脂Bの温度が前記熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、前記スキン層の内部に前記熱可塑性樹脂Bを充填する、射出成形方法。
[2]前記熱可塑性樹脂Aと前記熱可塑性樹脂Bは同一の樹脂である、[1]に記載の射出成形方法。
[3]成形品の全体積に占めるコア層の割合は、10体積%以上である、[1]または[2]に記載の射出成形方法。
[4]前記スキン層の厚さと前記コア層の厚さの合計が8mm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の射出成形方法。
本発明によれば、厚肉成形品の射出成形において、成形品の収縮と反り変形を低減できる射出成形方法を提供することができる。
以下、本発明の射出成形方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[射出成形方法]
本実施形態の射出成形方法は、第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程(以下、「工程A」と言う。)と、第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程(以下、「工程B」と言う。)と、を有する。
本実施形態の射出成形方法は、外層樹脂(スキン層)と内層樹脂(コア層)とがサンドイッチ状に成形されてなる樹脂成形品を提供する成形方法である。
本実施形態の射出成形方法は、第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程(以下、「工程A」と言う。)と、第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程(以下、「工程B」と言う。)と、を有する。
本実施形態の射出成形方法は、外層樹脂(スキン層)と内層樹脂(コア層)とがサンドイッチ状に成形されてなる樹脂成形品を提供する成形方法である。
(工程A)
第1射出ユニットは、熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形いられる。第1射出ユニットから、金型内のスキン層を成形するキャビティ内に熱可塑性樹脂Aを射出する。
第1射出ユニットは、熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形いられる。第1射出ユニットから、金型内のスキン層を成形するキャビティ内に熱可塑性樹脂Aを射出する。
熱可塑性樹脂Aとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリブテン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
スキン層の成形温度、すなわち、金型内に射出する際の熱可塑性樹脂Aの温度は、160℃以上280℃以下が好ましく、180℃以上240℃以下がより好ましい。熱可塑性樹脂Aの温度が前記下限値以上であると、流動性維持や表面転写性が確保される。熱可塑性樹脂Aの温度が前記上限値以下であると、樹脂の熱分解が抑制され強度維持や変色が防止できる。
スキン層の成形において、熱可塑性樹脂Aのメルトフローレイト(MFR)は、0.01g/10min以上25g/10min以下が好ましく、0.02g/10min以上20g/10min以下がより好ましい。熱可塑性樹脂AのMFRが前記下限値以上であると、適切な外観品質が発現する。熱可塑性樹脂AのMFRが前記上限値以下であると、バリ不良の発生が抑制できる。
(工程B)
第2射出ユニットは、熱可塑性樹脂Bを射出してコア層を成形するためのものである。第2射出ユニットとしては、コア層を射出成形する射出成形機が用いられる。第2射出ユニットから、金型内のスキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを射出する。
第2射出ユニットは、熱可塑性樹脂Bを射出してコア層を成形するためのものである。第2射出ユニットとしては、コア層を射出成形する射出成形機が用いられる。第2射出ユニットから、金型内のスキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを射出する。
熱可塑性樹脂Bとしては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂Aと同様のものが挙げられる。
本実施形態の射出成形方法では、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bは同一の樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の樹脂であることにより、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの相溶性が高いため、コア層とスキン層の界面で、これらの層が剥離することを抑制できる。なお、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の樹脂であるとは、少なくとも熱可塑性樹脂Aの主成分と熱可塑性樹脂Bの主成分が同一であることを言う。
本実施形態の射出成形方法では、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bは同一の樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の樹脂であることにより、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの相溶性が高いため、コア層とスキン層の界面で、これらの層が剥離することを抑制できる。なお、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の樹脂であるとは、少なくとも熱可塑性樹脂Aの主成分と熱可塑性樹脂Bの主成分が同一であることを言う。
工程Bでは、熱可塑性樹脂Bの温度が熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填する。言い換えれば、コア層の成形温度、すなわち、金型内に射出する際の熱可塑性樹脂Bの温度を、金型内の熱可塑性樹脂Aから形成されるスキン層の温度よりも低くする。これにより、金型から取り出す際の成形品の温度を下げることができる。すなわち、金型内での成形品の冷却速度が速くなり、成形後、早くに金型から成形品を取り出すことが可能となり、成形サイクルを短縮することができる。また、成形品のヒケ量を低減することができ、成形品の外観品質を向上できる。
熱可塑性樹脂Bの温度と熱可塑性樹脂Aの温度の差は、40℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上70℃以がより好ましい。熱可塑性樹脂Bの温度と熱可塑性樹脂Aの温度の差が前記下限値以上であると、ヒケ防止の効果が得られやすくなる。熱可塑性樹脂Bの温度と熱可塑性樹脂Aの温度の差が前記上限値以下であると、熱可塑性樹脂Bを適度な射出圧となるため、充填がスムーズになる。
スキン層の成形において、熱可塑性樹脂Aのメルトフローレイト(MFR)は、0.01g/10min以上25g/10min以下が好ましく、0.02g/10min以上20g/10min以下がより好ましい。熱可塑性樹脂AのMFRが前記下限値以上であると、適切な射出圧で充填可能となる。熱可塑性樹脂AのMFRが前記上限値以下であると、ゲートシール時間が短くできるため、冷却時間の短縮が期待できる。
工程Bにおいて、スキン層の厚さとコア層の厚さの合計が8mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。スキン層の厚さとコア層の厚さの合計が前記下限値以上であると、熱可塑性樹脂Bの温度が熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填した場合、成形サイクルを短縮することができ、得られる成形品において、スキン層とコア層の熱収縮量の差を抑制し、ヒケを抑制することができる。
工程Bにおいて、成形品の全体積に占めるコア層の割合は、10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましい。コア層の割合が前記下限値以上であると、熱可塑性樹脂Bの温度が熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填した場合、成形サイクルを短縮することができ、得られる成形品において、スキン層とコア層の熱収縮量の差を抑制し、ヒケを抑制することができる。
成形品の全体積に占めるコア層の割合の上限は、50体積%であってもよく、80体積%であってもよい。
成形品の全体積に占めるコア層の割合の上限は、50体積%であってもよく、80体積%であってもよい。
上記の工程Aと工程Bを経ることにより、コア層と、そのコア層を覆うスキン層とを有する成形品が得られる。
本実施形態の射出成形方法によって成形する成形品としては、特に限定されないが、例えば、配管、継手等が挙げられる。本実施形態の射出成形方法は、厚肉成形品の射出成形において好適に用いられる。
本実施形態の射出成形方法によって成形する成形品としては、特に限定されないが、例えば、配管、継手等が挙げられる。本実施形態の射出成形方法は、厚肉成形品の射出成形において好適に用いられる。
本実施形態の射出成形方法によれば、上記工程Aと、上記工程Bと、を有し、上記工程Bにおいて、熱可塑性樹脂Bの温度が熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填するため、厚肉成形品の射出成形において、成形品の収縮と反り変形を低減できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
コア層樹脂が成形品の全体のうち、体積で26%である図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品(エルボ継手)1を以下のような成形条件で成形した。
射出成形機:東洋機械金属株式会社製、Si-230-6S
樹脂合流部:共和工業株式会社製、MMP(Mold Master Plate)
金型:1点ゲート(サイドゲート、エルボ背側中心) コールドランナー方式
スキン層樹脂およびコア層樹脂:高密度ポリエチレン(旭化成株式会社製)、コア層のみ判別用に青色マスターバッチ含有
樹脂温度:スキン層樹脂200℃、コア層樹脂160℃
計量位置:第1射出ユニット200mm、第2射出ユニット144mm
射出速度:第1射出ユニット10mm/s、第2射出ユニット10mm/s
コア層樹脂充填開始位置:第1射出ユニットスクリュー位置(スキン層樹脂) 90mm
冷却時間:30秒
金型冷却温度:27℃
コア層樹脂が成形品の全体のうち、体積で26%である図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品(エルボ継手)1を以下のような成形条件で成形した。
射出成形機:東洋機械金属株式会社製、Si-230-6S
樹脂合流部:共和工業株式会社製、MMP(Mold Master Plate)
金型:1点ゲート(サイドゲート、エルボ背側中心) コールドランナー方式
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冷却時間:30秒
金型冷却温度:27℃
[比較例1]
コア層樹脂が成形品全体のうち、体積で12%であること、およびコア層樹脂充填量の変更のため、コア層樹脂充填開始位置が90mmであること以外は、実施例1と同様の成形条件で図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品1を成形した。
コア層樹脂が成形品全体のうち、体積で12%であること、およびコア層樹脂充填量の変更のため、コア層樹脂充填開始位置が90mmであること以外は、実施例1と同様の成形条件で図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品1を成形した。
[比較例2]
単一層樹脂からなる図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品1を以下のような成形条件で成形した。
射出成形機:東洋機械金属株式会社製、Si-230-6S
樹脂合流部:共和工業株式会社製、MMP(Mold Master Plate)
金型:1点ゲート(サイドゲート、エルボ背側中心) コールドランナー方式
射出樹脂:高密度ポリエチレン(旭化成株式会社製)
樹脂温度:240℃
射出速度:10mm/s
冷却時間:30秒
金型冷却温度:27℃
単一層樹脂からなる図1~図3に示すようなエルボ形状の成形品1を以下のような成形条件で成形した。
射出成形機:東洋機械金属株式会社製、Si-230-6S
樹脂合流部:共和工業株式会社製、MMP(Mold Master Plate)
金型:1点ゲート(サイドゲート、エルボ背側中心) コールドランナー方式
射出樹脂:高密度ポリエチレン(旭化成株式会社製)
樹脂温度:240℃
射出速度:10mm/s
冷却時間:30秒
金型冷却温度:27℃
実施例および比較例1~2で得られた成形品1のそれぞれについて、射出成形直後の成形品表面温度を図3に示す内面1aおよび外面1bで測定し、その結果を表1に示した。また、図2に示すT1部寸法を継手受口のヒケとして、成形品1を1週間常温で保管後測定し、その結果を表2に示した。
表1に示す結果から、スキン層樹脂よりも低温のコア層樹脂の充填割合が増加することにより、取り出し時の成形品の温度が下がることが分かった。すなわち、金型内での成形品の冷却速度が速くなっており、成形後、早くに金型から成形品を取り出すことが可能となり、成形サイクルを短縮できることが分かった。
また、表2に示す結果から、スキン層樹脂よりも低温のコア層樹脂を射出することにより、成形品のヒケ量が低減され、成形品の外観品質を向上できることが分かった。
また、表2に示す結果から、スキン層樹脂よりも低温のコア層樹脂を射出することにより、成形品のヒケ量が低減され、成形品の外観品質を向上できることが分かった。
1 成形品(エルボ継手)
1a 内面
1b 外面
T1 ヒケ測定位置
1a 内面
1b 外面
T1 ヒケ測定位置
Claims (4)
- 第1射出ユニットから熱可塑性樹脂Aを射出してスキン層を成形する工程と、
第2射出ユニットから前記スキン層の内部に熱可塑性樹脂Bを充填してコア層を成形する工程と、
を有し、
前記コア層を成形する工程において、前記熱可塑性樹脂Bの温度が前記熱可塑性樹脂Aの温度より低い状態で、前記スキン層の内部に前記熱可塑性樹脂Bを充填する、射出成形方法。 - 前記熱可塑性樹脂Aと前記熱可塑性樹脂Bは同一の樹脂である、請求項1に記載の射出成形方法。
- 成形品の全体積に占めるコア層の割合は、10体積%以上である、請求項1または2に記載の射出成形方法。
- 前記スキン層の厚さと前記コア層の厚さの合計が8mm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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