JP2023149499A - 光学部材および光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光をより均一に取り出し得る光抽出層を有する光学部材を提供する。【解決手段】光学部材1は、多孔質構造を有する第1の領域12を含む第1の層10を有する。第1の層10は、多孔質構造を有さず、且つ、接着剤が充填されている第2の領域14をさらに含む。第2の領域14は、離散的に配置された複数の島状領域14aを含む。島状領域14aの等周長円相当径は1000μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材および光学素子に関する。
導光層から光を取り出す方法として、屈折率の異なる2つの領域を有する光抽出層を利用する方法が知られている。このような光抽出層は、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、基材上にナノボイド化ポリマー材料を印刷法により所定のパターンで付与した後、ナノボイド化ポリマー材料が存在していない領域を、ナノボイド化ポリマー材料よりも高い屈折率を有する接着剤等で充填することによって、低屈折率領域と高屈折率領域とを含む光抽出層を形成する方法が開示されている。
なお、本明細書においては、特許文献1における光抽出層を「光結合層」ということがある。また、特許文献1における「光を抽出する」ことを「光を取り出す」または「光を結合させる」ということがある。
特許第6541571号公報
低屈折率領域と高屈折率領域とを含む光抽出層を有する光学素子では、光源から出射して導光層の端面から導光層内に入射した光を、光抽出層により取り出すことができる。光学素子の用途によっては、取り出される光の光量(輝度)を、光源からの距離によらず均一にすることを求められる場合がある。しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献1に開示されている方法により形成された光抽出層では、光量(輝度)を均一にするのが難しいことがわかった。
本発明の実施形態は、光をより均一に取り出し得る光抽出層を有する光学部材を提供することを目的とする。
本発明の実施形態によると、以下の項目に記載の解決手段が提供される。
[項目1]
多孔質構造を有する第1の領域を含む第1の層を有する光学部材であって、
前記第1の層は、多孔質構造を有さず、且つ、接着剤が充填されている第2の領域をさらに含み、
前記第2の領域は、離散的に配置された複数の島状領域を含み、
前記複数の島状領域のそれぞれの等周長円相当径は1000μm以下である、光学部材。
[項目2]
前記第1の層において1辺が10mmの正方形である任意の領域を単位領域と呼ぶとき、
前記第1の層は、前記第2の領域の前記第1の層に占める面積率Pが0.1%以上50%以下の単位領域を含む、項目1に記載の光学部材。
[項目3]
前記複数の島状領域のピッチは、5000μm以下である、項目1または2に記載の光学部材。
[項目4]
前記第2の領域の前記第1の層に占める面積率Pが、前記第1の層の層面内で一側から他側に向かうにつれて変化する、項目1から3のいずれか1項に記載の光学部材。
[項目5]
前記第1の層に層法線方向に隣接し、接着性を有する第2の層をさらに有する、項目1から4のいずれか1項に記載の光学部材。
[項目6]
前記第1の層に層法線方向に隣接し、接着性を有する第3の層であって、前記第1の層に対して前記第2の層と反対側に位置する第3の層をさらに有する、項目5に記載の光学部材。
[項目7]
前記第1の領域と前記第2の領域との界面の、前記第1の層の層法線方向に対する勾配角が0°以上60°以下である、項目1から6のいずれか1項に記載の光学部材。
[項目8]
前記第1の領域の屈折率をn、前記第2の領域の屈折率をnとしたとき、n<nである、項目1から7のいずれか1項に記載の光学部材。
[項目9]
が1.30以下であり、nが1.43以上である、項目8に記載の光学部材。
[項目10]
前記第1の領域は、シリカ多孔体を含む、項目1から9のいずれか1項に記載の光学部材。
[項目11]
項目1から10のいずれか1項に記載の光学部材と、
導光層と、
を有する、光学素子。
[項目12]
前記光学部材に対して前記導光層とは反対側に配置された方向変換層をさらに有する、
項目11に記載の光学素子。
本発明の実施形態によると、光をより均一に取り出し得る光抽出層を有する光学部材を提供することができる。
本発明の実施形態による光学部材1を有する光学素子100を模式的に示す断面図である。 光学部材1(光学素子100)が有する第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置例を示す平面図である。 第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置の他の例を示す平面図である。 本発明の実施形態による光学部材1を有する他の光学素子200を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 光学部材1の製造方法の1工程を模式的に示す断面図である。 賦形フィルム72を模式的に示す平面図である。 賦形フィルム72を模式的に示す断面図であり、図5A中の5B-5B’線に沿った断面を示している。 比較例1~3の光学部材801を模式的に示す断面図である。 光学部材801の製造方法を説明するための図である。 光学部材801の製造方法を説明するための図である。 光学部材801を有する光学素子800を模式的に示す断面図である。 グラビア印刷法を用いる場合に発生する塗工液CLの濡れ広がりを模式的に示す図である。 グラビア印刷法を用いて設計開口率25%で形成された第1の層810を有する光学部材801の光学顕微鏡像である。 レーザリフトオフ法を用いて設計開口率30%で形成された第1の層10を有する光学部材1の光学顕微鏡像である。 レーザリフトオフ法を用いて設計開口率1%で形成された第1の層10を有する光学部材1の光学顕微鏡像である。 比較例1の断面SEM像であり、第1の領域812の側面近傍を示している。 実施例3の断面SEM像であり、第1の領域12の側面近傍を示している。 実施例3の断面SEM像であり、図14の一部を拡大したものである。 第1の領域12の側面12sの勾配角θの定義を説明するための図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下の説明で例示するものに限定されない。
[光学部材の構成]
本発明の実施形態による光学部材は、例えば、導光層を伝搬する光を、導光層の主面から取り出すこと、または、導光層の主面に接するように配置された光学部材へと導くことができる。導光層を伝搬する光を導光層の主面に接するように配置された光学部材に導くことを、光学的に結合させるといい、そのように作用する層を光結合層という。以下に説明する光学部材は、例えば、国際公開第2022/025067号に記載の導光部材が有する光結合層として好適に用いられる。国際公開第2022/025067号に記載されているように、光結合層は、導光層と方向変換層との間に設けられ得る。方向変換層は、例えば、内部全反射によって光を方向変換層の主面側に向ける界面を形成する複数の内部空間を有する。このような内部空間を有する方向変換層は、例えば、国際公開第2019/087118号に開示された配光構造体であってもよい。また、方向変換層は、公知のプリズムシートであってもよい。国際公開第2022/025067号および国際公開第2019/087118号の開示内容のすべてを参照により本明細書に援用する。
図1は、本発明の実施形態による光学部材1を有する光学素子100を模式的に示す断面図である。光学素子100は、図1に示すように、光学部材1と、導光層50とを有する。
光学部材1は、第1の層10と、第1の層10を介して互いに対向する第2の層20および第3の層30と、第1の層10、第2の層20および第3の層30を支持する基材層40とを有する。
第2の層20および第3の層30は、それぞれ第1の層10に層法線方向に隣接しており、第3の層30は、第1の層10に対して第2の層20とは反対側に位置している。第2の層20および第3の層30のそれぞれは、接着性を有する接着剤層である。以下では、第2の層20を「第1接着剤層」と呼び、第3の層30を「第2接着剤層」と呼ぶことがある。図示している例では、第1接着剤層20は、第1の層10と導光層50との間に設けられており、第2接着剤層30は、第1の層10と基材層40との間に設けられている。
第1の層10は、多孔質構造を有する第1の領域12と、多孔質構造を有しない第2の領域14とを含む。第2の領域14には、接着剤が充填されている。より具体的には、第2の領域14は、第1接着剤層20と同じ材料および/または第2接着剤層30と同じ材料を含む。また、第2の領域14は、離散的に配置された複数の島状領域14aを含む。複数の島状領域14aのそれぞれの等周長円相当径は、実施例を示して後述するように、1000μm以下である。
第1の領域12の屈折率をn、第2の領域14の屈折率をn、第2の層(第1接着剤層)20の屈折率をnとしたとき、n<nで、かつ、n<nである。第1の領域12の屈折率nは、例えば1.30以下である。第2の領域14の屈折率nおよび第1接着剤層20の屈折率nは、それぞれ例えば1.43以上である。また、第3の層(第2接着剤層)30の屈折率をnとしたとき、n<nである。第2の領域14の屈折率n、第1接着剤層20の屈折率nおよび第2接着剤層30の屈折率nは、実質的に同じであり得る。
多孔質構造を有する第1の領域12は、例えばシリカ多孔体で形成され得る。シリカ多孔体の空隙率は、0%超100%未満である。シリカ多孔体の空隙率は、低い屈折率を得るためには、40%以上が好ましく、50%以上がさらに好ましく、55%以上がより好ましい。空隙率の上限は、特に制限されないが、強度の観点からは、95%以下が好ましく、85%以下がさらに好ましい。シリカ(シリカ多孔体のマトリクス部分)の屈折率は、例えば1.41以上1.43以下である。
本願明細書において、「接着剤」は、感圧接着剤(粘着剤とも呼ぶ)を含む意味で用いる。第2の領域14、第1接着剤層20および第2接着剤層30のそれぞれを形成するための接着剤の具体例としては、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤が挙げられる。これらの接着剤は単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
第1の領域12と第2の領域14とを所定のパターンで配置することによって、光結合層(光抽出層)として機能する第1の層10が得られる。光結合層は、2つの光学層の間、例えば導光層と方向変換層との間に配置され、導光層を伝搬する光の一部を方向変換層へ導く。方向変換層は、例えば、伝搬する光に層法線方向の成分を与える界面(または表面)を有する。方向変換層は、例えばプリズムシートであり得る。
上述した構成を有する光学素子100は、以下のように機能する。
図1中には、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示している。ここで、光学素子100の各層は、XY面に平行な主面を有しているとする。導光層50の受光端面(不図示)に向けて光源LSから出射された光は、導光層50内をY方向に伝搬する(導波光L)。導光層50内に入射した光の一部は、第1の層10、第2の層20および第3の層30によって基材層40に光学的に結合され(取り出され)、Z方向に出射される(出射光L)。もちろん、光の伝搬方向はY方向からばらつき(分布)を有しており、光の出射方向もZ方向からばらつき(分布)を有している。
導光層50内を伝搬する光Lのうち、第2の層20と第1の層10の第1の領域12との界面に入射した光は、内部全反射される。これに対し、第2の層20と第1の層10の第2の領域14との界面に入射した光は、内部全反射されることなく、第1の層10の第2の領域14、第3の層30および基材層40を通過し、光学素子100から出射される。
第1の層10の第1の領域12および第2の領域14の層面(XY面に平行な面)内における配置を調整することによって、光学部材1によって導光層50から取り出される(基材層40と結合される)光の配光分布(出射強度分布、出射角度分布など)を制御することができる。第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置は、要求される配光分布に応じて適宜設定される。
図2Aは、第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置の例を示す図である。図2Aに示す例では、第1の層10において、複数の円形の島状領域14aが離散的に配置されている。島状領域14aの直径は、例えば1μm以上1000μm以下である。また、X方向に隣接する島状領域14aのピッチPx、Y方向に隣接する島状領域14aのピッチPyは、それぞれ独立に、例えば、2μm以上5000μm以下である。ピッチPx、Pyは、それぞれX方向およびY方向に隣接する島状領域14aの中心(面積重心)間の距離である。
図2Bは、第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置の他の例を示す図である。図2Bに示す例においても、複数の円形の島状領域14aが離散的に配置されている。図2Bに示す例では、複数の島状領域14aのピッチPyが、Y方向に沿って(図中左側から右側に向かうにつれて)減少する。つまり、複数の島状領域14aの配置密度が、Y方向に沿って増大する。さらに言い換えると、図2Bに示す例では、第2の領域14の第1の層10に占める面積率PがY方向に沿って増大する。これは、図2Bおける左側に配置された光源(不図示)から導光層に入射し、Y方向に伝搬する光を、光源からの距離に関わらず均一にZ方向に出射させるためである。なお、以下では、第2の領域14の第1の層10に占める面積率Pを、第1の層10の「開口率」と呼ぶこともある。
第1の層10における第1の領域12および第2の領域14の配置は、種々に改変され得る。また、島状領域14aの形状は、例示した円形に限られず、種々の形状であり得る。
島状領域14aの形状や寸法、第1の層10の開口率Pは、光学部材1(光学素子100)が用いられる目的および用途に応じて適宜変更され得る。例えば、透明性などの良好な視認性が求められる場合、島状領域14aの個々の長径が200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。例えば図2Aおよび図2Bに示したように島状領域14aが円形である場合、円の直径が200μm以下であることが好ましい。島状領域14aの長径が200μm以下であることにより、モバイルディスプレイや小型サイネージ等の、比較的近い距離で光学部材1を備えた機器が観察される用途において、島状領域14aが視認されることを抑制することができる。島状領域14aが円形でない場合には、島状領域14aの寸法は、例えば等周長円相当径(島状領域14aの周長に等しい円周をもつ円の直径)で評価することができる。従って、島状領域14aの等周長円相当径は、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましいと言える。
本発明の実施形態による光学部材(およびそれを有する光学素子)は、上述した第1の層10を少なくとも含んでいればよく、種々の改変が可能である。
図3に、本発明の実施形態による光学部材1を有する他の光学素子200を示す。図3に示す光学素子200は、複数の内部空間ISを有する配光制御構造をさらに有する点において、図1に示した光学素子100と異なっている。
図示している例では、複数の内部空間ISを有する配光制御構造は、基材層40上に設けられた方向変換層70に形成されている。方向変換層70は、複数の凹部74を有する主面を有する賦形フィルム72と、賦形フィルム72と基材層40との間に配置された接着剤層76とから構成されている。配光制御構造の複数の内部空間ISは、賦形フィルム72の複数の凹部74と接着剤層76とによって規定され、基材層40内を伝搬する光の一部を内部全反射(TIR)によって光出射面側に向ける界面を形成する。
上述したように、本発明の実施形態による光学部材1では、第1の層10の島状領域14aのサイズ(等周長円相当径)が1000μm以下であるので、第1の層10に開口率Pが低い部分を含ませることが容易であり、そのことによって、取り出される光の均一性を向上させ得る。これに対し、特許文献1に開示されている方法では、高屈折領域を小さなサイズで形成することが難しく、比較例を示して後述するように、高屈折領域の光抽出層に占める面積率(開口率)を低くすることが難しい。図2Bを参照しながら説明したことからも理解されるように、光源からの距離によらず光量(輝度)を均一にするためには、光抽出層が開口率の比較的低い部分を含む必要があるが、特許文献1に開示されている方法では、そのような光抽出層を得ることが難しい。
[光学部材の製造方法]
本発明の実施形態による光学部材1は、以下に説明する製造方法により好適に製造され得る。
光学部材1の好適な製造方法は、基材に支持された多孔質層を用意する工程Aと、多孔質層にレーザ光を照射することによって、多孔質層の一部の領域を除去する工程Bであって、除去される一部の領域は、離散的な複数の島状領域を含む、工程Bと、工程Bの後、多孔質層上に第1接着剤層を配置する工程Cとを包含する。この製造方法によれば、後述するように、島状領域14aのサイズが十分に小さく、かつ、第1の層10が開口率Pの十分に低い部分を含む光結合層(光抽出層)を有する光学部材1が得られる。
光学部材1の好適な製造方法は、工程Cの後、多孔質層から基材を剥離する工程Dと、工程Dの後、多孔質層の第1接着剤層とは反対側に第2接着剤層を配置する工程Eとをさらに包含してもよい。
図4A~図4Fを参照しながら、光学部材1の製造方法の具体例を説明する。
まず、図4Aに示すように、基材40Tに支持された、多孔質構造を有する層(多孔質層)10Pを用意する。例えば、基材40T上に多孔質層10Pを形成する。基材40Tは、樹脂から形成されたフィルムであり得る。基材40Tとして、例えば、ポリイミド(PI)フィルムまたは黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。多孔質層10Pは、例えば、後に例示する方法によって形成することができる。
図示している例では、基材40T上には剥離層2が設けられており、多孔質層10Pは、剥離層2上に形成される。剥離層2は、多孔質層10Pに対する剥離性が高い材料(例えばシクロオレフィンポリマー)から形成される。剥離層2は、レーザ光吸収性を付与されていてもよい。なお、剥離層2は、省略されてもよい。剥離層2が設けられていると、後述する多孔質層10Pの転写(図4Eに示す工程)をいっそう容易に行うことができる。
次に、図4Bに示すように、多孔質層10Pにレーザ光LBを照射することによって、多孔質層10Pの一部の領域を除去(剥離)する。つまり、この工程では、レーザリフトオフ法により、多孔質層10Pが部分的に除去される。このとき、除去される一部の領域は、離散的な複数の島状領域10aを含む。
レーザ光LBとして、紫外線レーザ光を好適に用いることができる。紫外線レーザ光以外のレーザ光(例えば赤外線レーザ光)を用いることもできるが、紫外線レーザ光を用いることにより、多孔質層10Pの除去を微細なパターンであっても好適に行うことができる。紫外線レーザ光の波長範囲は、150nm以上380nm以下であることが好ましく、190nm以上360nm以下であることがさらに好ましい。例えば、ArFエキシマレーザ光源、KrFエキシマレーザ光源、XeCLエキシマレーザ光源およびXeFエキシマレーザ光源から、それぞれ波長193nm、248nm、308nmおよび351nmのレーザ光が得られる。
多孔質層10Pの除去に必要な光照射量は、照射する光の強度、照射時間などを調節することによって適切に設定し得る。また、用いるレーザ光LBの波長範囲に応じて、基材40Tの光吸収係数を適切に設定することにより、多孔質層10Pの除去を好適に行うことができる。具体的には、用いるレーザ光LBに対する基材40Tの光吸収係数が500cm-1以上であることが好ましい。例えば、レーザ光LBとして波長355nmの紫外線レーザ光を用いる場合、波長355nmの光に対する基材40Tの光吸収係数は、500cm-1以上であることが好ましい。基材40Tの厚さをL、入射光の強度から反射光の強度を差し引いた光強度をI、基材40Tを通過した後の光の強度をIとすると、光吸収係数αは、-αL=log10(I/I)の関係(ランベルト・ベール式から導出される)を満足する。
レーザ光(ビーム)LBの光強度分布は、例えば、ガウシアン型またはトップハット型である。レーザ光LBの光強度分布がトップハット型であると、レーザ光LBの照射により与えられるエネルギーを照射領域内において均一にしやすい。
ビーム形状は、円形であってもよいし、矩形であってもよい。対物レンズ等の集光光学系を用いて、集光してもよい。ビーム形状が円形である場合、焦点径(スポット径)は、例えば1μm以上200μm以下の範囲が好ましく、20μm以上120μm以下の範囲がさらに好ましい。
短時間でパターン形成を行う観点からは、パルスレーザを用いることが好ましく、ナノ秒からマイクロ秒オーダーのパルス幅を有するレーザを用いることが好ましい。パルスレーザ光の繰り返し周波数は特に限定されないが、生産性の観点からは高いほど好ましく、10kHz~5000kHzの範囲で適宜調整可能である。
上記の諸要件を満たすレーザ発振器の種類としては、エキシマレーザの他、YAGレーザ、YLFレーザ、YVOレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザなどが挙げられる。
レーザ光LBの照射条件は、任意の適切な条件に設定され得るが、エネルギー密度が例えば0.1J/cm以上5J/cm以下であることが好ましい。
所望のパターン処理を高速に実施する観点で、ガルバノスキャナまたはポリゴンスキャナ、もしくはそれらを組み合わせたスキャナユニットを用いることが好ましい。このようなスキャナユニットを用いることで、レーザ光のスキャン方向において、スキャン速度0.01m/秒~170m/秒の範囲でパターン形成が可能となる。パターンのピッチは、スキャン速度に合わせてレーザーパルスの繰り返し周波数を調整することにより任意に設定可能であり、例えば、10μm~500μmの範囲で設定できる。
スキャン方向と垂直方向のパターンピッチは、スキャナユニットと被照射物の相対的な位置関係を制御することによって適宜調整できる。このような制御は、駆動軸を有する精密ステージを用いて、例えば、枚葉の被照射物をステージ面に吸着固定して、スキャン方向と垂直方向に一定間隔で送りながらレーザ光照射することによって所望のピッチでパターンを形成することができる。あるいは、巻き回された長尺の原反をロールトゥロール搬送方式にて間欠または連続搬送しているところに、スキャナユニットを用いてパターン形成することもできる。
続いて、図4Cに示すように、多孔質層10P上に第1接着剤層20を配置する。具体的には、剥離シート61上に形成された第1接着剤層20を多孔質層10P上に貼り付ける。
次に、図4Dに示すように、多孔質層10Pから基材40Tを剥離する。図示している例では、基材40T上には剥離層2が形成されているので、多孔質層10Pから基材40Tが剥離層2ごと剥離される。
続いて、図4Eに示すように、多孔質層10Pの第1接着剤層20とは反対側に第2接着剤層30を配置する。具体的には、剥離シート62上に形成された第2接着剤層30を第1の層10上に貼り付ける。このとき、多孔質層10Pが残存している領域が第1の領域12となる。また、多孔質層10Pが除去された複数の島状領域10aに、図4Cに示した工程において第1接着剤層20から接着剤が入り込むこと、および/または、図4Eに示した工程において第2接着剤層30から接着剤が入り込むことによって、各島状領域10aが第2の領域14(島状領域14a)となる。このようにして、第1の領域12および第2の領域14を含む第1の層10が得られる。なお、多孔質層10Pと第1接着剤層20との間、および/または多孔質層10Pと第2接着剤層30との間には、接着剤成分が多孔質層10Pに浸透するのを抑制するためのバリア層があってもよい。
次に、図4Fに示すように、剥離シート62を剥がし、第2接着剤層30に基材層40を貼り付けることによって、光学部材1が得られる。また、その後、剥離シート61を剥がし、第1接着剤層20に導光層50を貼り付けることによって、光学素子100が得られる。
なお、ここでは、多孔質層10Pから基材40Tが剥離される(言い換えると多孔質層10Pが基材40Tから剥離シート61と第1接着剤層20との積層体に転写される)例を説明したが、多孔質層10Pから基材40Tが剥離されず(つまり基材40Tを転写基材として機能させず)、基材40Tが光学部材(光学素子)の一部として機能してもよい。その場合には、図4Cに示す工程において、複数の島状領域10aが第1接着剤層20から入り込む接着剤によって完全に埋められてよい。また、多孔質層10Pから基材40Tが剥離されない場合、基材40Tの多孔質層10Pとの反対側に第2接着剤層30が積層されてもよい。上述した製造方法が、多孔質層10Pから基材40Tを剥離する工程Dを含んでいると、多孔質層10Pから基材40Tが剥離されない場合に比べ、基材40Tが残らない分だけ光学部材(光学素子)の厚さを小さくし得る。
上述した製造方法(少なくとも工程A、BおよびCを含む)によれば、島状領域14aのサイズが十分に小さく、かつ、第1の層10が開口率Pの十分に低い部分を含む光結合層(光抽出層)を有する光学部材1を製造することができる。以下、このことを検証した結果を、実施例1~8および比較例1~3を示して説明する。
[実施例1]
(1)基材の用意および剥離層の形成
基材40Tとして、厚さ50μmの黒色PETフィルム(東レ社製ルミラー X30)を用意し、その上に以下のようにして剥離層2を形成した。
剥離層2を形成するための塗工液(剥離層形成用塗工液)の調整は、エチルシクロヘキサン中にシクロオレフィンポリマー(COP)(日本ゼオン社製ZEONEX F52R)を8質量%になるように投入し、常温下においてスターラーでCOPが目視で溶解するまで攪拌および混合することによって行った。また、黒色PETフィルムの片面に、剥離層形成用塗工液がはじかれることを抑制する目的で、コロナ処理(放電度0.22W/cm)を施した。黒色PETフィルムのコロナ処理が施された面に剥離層形成用塗工液を塗布し、その後120℃で3分間乾燥を行って厚さが800nmの剥離層2を形成した。
(2)多孔質層の形成
多孔質層10P(第1の層10の第1の領域12)形成用塗工液の調製を以下のようにして行った。
(2-1)ケイ素化合物のゲル化
2.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ゲル状ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させて混合液Aを調製した。この混合液Aに、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を0.5g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを含む混合液Bを生成した。
5.5gのDMSOに、28質量%のアンモニア水0.38g、および純水0.2gを添加した後、さらに、上記混合液Bを追添し、室温で15分撹拌することで、トリス(ヒドロキシ)メチルシランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物(ポリメチルシルセスキオキサン)を含む混合液Cを得た。
(2-2)熟成処理
上記のように調製したゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行った。
(2-3)粉砕処理
つぎに、上記のように熟成処理したゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cmサイズの顆粒状に砕いた。次いで、混合液Cにイソプロピルアルコール(IPA)を40g添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒および触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回行うことにより、溶媒置換し、混合液Dを得た。次いで、混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)は、ホモジナイザー(エスエムテー社製:商品名UH-50)を使用し、5ccのスクリュー瓶に、混合液D中のゲル状化合物1.85gおよびIPAを1.15g秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕を行った。
この粉砕処理によって、上記混合液D中のゲル状ケイ素化合物が粉砕されたことにより、該混合液D’は、粉砕物のゾル液となった。混合液D’に含まれる粉砕物の粒度バラツキを示す体積平均粒子径を、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装社製UPA-EX150型)にて確認したところ、0.50~0.70であった。さらに、このゾル液(混合液C’)0.75gに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社:商品名WPBG266)の1.5質量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.062g、ビス(トリメトキシシリル)エタンの5%濃度MEK溶液を0.036gの比率で添加し、多孔質層形成用塗工液を得た。多孔質層形成用塗工液は、シルセスキオキサンを基本構造として含むシリカ多孔体を含有している。
剥離層2上に多孔質層形成用塗工液を、乾燥後の塗工膜の厚さが700nmとなるように塗布して塗工膜を形成した。塗工膜を1分間静置した後、100℃で2分間乾燥させた。乾燥後の塗工膜に、波長360nmの光を用いて300mJ/cmの光照射量(エネルギー)でUV照射し、黒色PETフィルム上に剥離層2および多孔質層10P(シリカ微細孔粒子同士の化学的結合によるシリカ多孔体)が形成された積層体を得た。多孔質層10Pの屈折率は1.15であった。
(3)レーザリフトオフ法による多孔質層の部分的除去
得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。なお、「加工」の欄に記載されている「1ショット」は、レーザ光の1回の照射(つまり1回の加工)により設計パターン径の島状領域を形成することを意味している。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:150μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:1ショット
(4)光学素子の作製
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、図3に示した光学素子200と同様の構成を有する光学素子を作製した。第2の層(第1接着剤層)20および第3の層(第2接着剤層)30は、アクリル系接着剤を用いて10μmの厚さを有するように形成した。基材層40としては、アクリル系樹脂から形成されたフィルムを用い、方向変換層70を構成する接着剤層(基材層40と賦形フィルム72とを接着する接着剤層)76は、ポリエステル系接着剤を用いて形成した。
第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径100μm)であった。開口率P(実測値)は、34.9%であった。
賦形フィルム72として、特表2013-524288号公報に記載の方法にしたがって凹凸賦形フィルムを製造した。具体的には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムの表面をラッカー(三洋化成工業社製ファインキュアー RM-64)でコーティングし、当該ラッカーを含むフィルム表面上に光学パターンをエンボス加工し、その後ラッカーを硬化させることによって凹凸賦形フィルムを製造した。凹凸賦形フィルムの総厚さは130μmであり、ヘイズ値は0.8%であった。
図5Aおよび図5Bに、製造された凹凸賦形フィルム72の一部を示す。図5Aは、凹凸賦形フィルム72を、複数の凹部74を有する主面(凹凸面)側から見た平面図であり、図5Bは、図5A中の5B-5B’線に沿った断面図である。複数の凹部74のX方向における配置間隔Eは155μmであり、Y方向における配置間隔Dは100μmであった。各凹部74の断面は三角形状であり、各凹部74の長さLは80μm、幅Wは14μm、深さHは10μmであった。凹凸賦形フィルム72の表面における凹部74の密度は、3612個/cmであった。図5Bにおける角θaおよびθbはいずれも41°であり、凹凸賦形フィルム72を凹凸面側から平面視した際の凹部74の占有面積率は4.05%であった。
[実施例2]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:1000μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:1ショット
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径100μm)であった。開口率P(実測値)は、0.79%であった。
[実施例3]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:130μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:1ショット
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径100μm)であった。開口率P(実測値)は、46.5%であった。
[実施例4]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:200μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:1ショット
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径100μm)であった。開口率P(実測値)は、19.6%であった。
[実施例5]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。なお、「加工」の欄に記載されている「スパイラル」は、設計パターン径の島状領域を形成するために、レーザ光照射位置をサークル状に移動させてレーザ光の照射を複数回行うことを意味している。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:5000μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:スパイラル(600mm/sでスキャン)
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径1000μm)であった。開口率P(実測値)は、3.14%であった。
[実施例6]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ80μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:5000μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.913W
パルスエネルギー:73μJ
加工:スパイラル(600mm/sでスキャン)
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径500μm)であった。開口率P(実測値)は、0.79%であった。
[実施例7]
実施例1と同様にして、基材40T上に剥離層2および多孔質層10Pが形成された積層体を得た。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Spectra-Physics社製Talon355-20
波長:355nm
スキャナ:ScanLab社製intelliScan14(ガルバノスキャナ)
ビーム強度分布:ガウシアン
集光スポットサイズ:φ40μm
繰り返し周波数:12.5kHz
パターンピッチ:200μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.5W
パルスエネルギー:40μJ
加工:1ショット
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1と同様にして光学素子を作製した。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径50μm)であった。開口率P(実測値)は、4.91%であった。
[実施例8]
基材40Tとして、厚さ30μmのアクリル系樹脂フィルムを用意し、その上に、剥離層2を形成することなく、実施例1と同様にして多孔質層10Pを形成した。得られた積層体に対し、紫外線レーザ光を以下の諸条件で照射して、多孔質層10Pの一部の領域(複数の島状領域)を除去した。
レーザ発振器:Mlase社製エキシマレーザ
波長:193nm
スキャナ:レーザ固定でXYステージを制御
ビーム強度分布:トップハット
集光スポットサイズ:φ100μm
繰り返し周波数:0.1kHz
パターンピッチ:150μm(パターン配列は正方格子状)
パターン加工エリア:□10mm
パワー:0.0012W
パルスエネルギー:12μJ
上述したようにして多孔質層10Pが部分的に除去された積層体を用い、実施例1とほぼ同様にして光学素子を作製した。ただし、多孔質層10Pから基材40Tの剥離は行わず、基材40Tを基材層40とした。第3の層(第2接着剤層)30は省略された格好となる。第1の層10の島状領域14aは、ほぼ円形(直径100μm)であった。開口率P(実測値)は、34.9%であった。
[比較例1]
特許文献1に開示されているように、グラビア印刷法を用いて光抽出層を形成し、図6に示す光学部材801を以下のようにして作製した。
(1)光学部材801の構成
光学部材801は、第1の層810と、第1の層810に層法線方向に隣接する第2の層820とを有する。第1の層810は、多孔質構造を有する第1の領域812と、多孔質構造を有しておらず、接着剤が充填されている第2の領域814とを含み、光抽出層として機能する。第2の層820は、接着性を有する接着剤層である。光学部材801は、さらに、第1の層810を支持する基材層840と、第2の層820の、第1の層810とは反対側に配置された剥離シート861とを有する。
光学部材801を作製する際、まず、基材層840上に、多孔質構造を有する材料をグラビア印刷法を用いて所定のパターンで付与することによって、第1の層810の第1の領域812を形成し、図7Aに示すような積層体(第1の積層体)801Aを得る。また、それとは別途に、図7Bに示すような、第2の層(接着剤層)820および剥離シート861が積層された積層体(第2の積層体)801Bを用意する。その後、第1の積層体801Aと第2の積層体801Bとを重ね合わせることによって、光学部材801が得られる。このとき、多孔質構造を有する材料が付与されていない領域(第1の領域812が形成されていない領域)に第2の層820から接着剤が充填されることによって、第1の層810の第2の領域814が形成される。
(2)第1の積層体の作製
実施例1と同様にして、多孔質層(第1の層810の第1の領域812)形成用塗工液の調製を行った。得られた塗工液の粘度は、0.5Pa・s(角周波数0.63rad/s)であった。基材層840として、厚さ30μmのアクリル系樹脂フィルムを用意し、その上に、この塗工液を、グラビア印刷法により所定のパターンで付与した。グラビアロールとして、直径120mm、幅100mmの鉄製ロールの表面にCrメッキが施されたものを用いた。グラビアロールへの製版パターンは、円形のセルの直径が50μm、セルの深さが20μm、セルピッチが150μmであり、開口率(第1の層810における第2の領域814の面積率)の設計値が91%となるものを用いた。印刷速度15m/min、圧胴ニップ圧0.8MPaで印刷を行った。
印刷後の塗工膜を1分間静置した後、100℃で2分間乾燥させた。乾燥後の塗工膜に、波長360nmの光を用いて300mJ/cmの光照射量(エネルギー)でUV照射し、アクリル系樹脂フィルム上に第1の領域812が形成された第1の積層体801Aを得た。
(3)光学部材・光学素子の作製
得られた第1の積層体801Aを用いて、光学部材801を作製した。第2の積層体801Bの剥離シート861として離型処理を施したPETフィルムを用い、第2の層(接着剤層)820は、アクリル系接着剤を用いて10μmの厚さを有するように形成した。
得られた光学部材801を用い、図8に示す光学素子800を作製した。光学素子800は、光学部材801の剥離シート861を剥がして第2の層820に導光層850を貼り付けるとともに、基材層840の第1の層810とは反対側に複数の内部空間ISを含む方向変換層870を配置する(具体的には基材層840に接着剤層876を介して賦形フィルム872を貼り付ける)ことによって作製した。接着剤層876は、ポリエステル系接着剤を用いて形成した。複数の凹部874を有する賦形フィルム872は、実施例1で用いた賦形フィルム72と同様にして製造した。
第1の層810の第1の領域812は、離散的に形成された複数の島状領域を含み、個々の島状領域は、ほぼ円形(直径105μm)であった。第1の層810の第2の領域814は、格子状に連続した形状(島状領域のサイズは規定できない)であった。第2の領域814が第1の層810に占める面積率(開口率)の実測値は、62.0%であった。
[比較例2]
比較例1とほぼ同様にして、光学素子800を作製した。ただし、グラビアロールへの製版パターンのセルピッチを100μmとし、開口率の設計値を80%とした。得られた光学素子800では、第1の層810において第1の領域812がベタ状に形成されており、第2の領域814がほとんど存在しなかった。
[比較例3]
比較例1とほぼ同様にして、光学素子800を作製した。ただし、多孔質層形成用塗工液に対し、60℃のオーブンで乾燥処理を行って溶媒の一部を除去し、塗工液の粘度を2.0Pa・s(角周波数0.63rad/s)とした。塗工液の粘度が高かったため、グラビア印刷法による第1の領域812の形成をうまく行うことができなかった。
[実施例・比較例の総括]
表1に、実施例1~8および比較例1~3について、パターン形成の可否、第2の領域14の島状領域14aのサイズ(ここでは島状領域14aがほぼ円形であるので直径)および開口率Pの実測値を示す。
Figure 2023149499000002
表1からわかるように、実施例1~8のいずれについても、パターン形成が可能であり、また、開口率Pを低くする(具体的には50%以下にする)ことができた。
これに対し、比較例1では、パターン形成自体は可能であったものの、実測開口率(62%)は、設計開口率(91%)に比べて大幅に低かった。また、比較例1よりも設計開口率が小さい(80%)比較例2では、パターン形成が可能ではなかった。グラビア印刷法を用いる方法でパターン形成が困難になるのは、後述するように塗工液の濡れ広がりに起因しているので、塗工液の粘度を高くすることによって実測開口率の設計開口率からの大幅な低下を抑制することが考えられるが、塗工液の粘度を比較例1よりも高くした比較例3では、印刷自体を好適に行うことができなかった。
このように、レーザリフトオフ法によって多孔質層の部分的除去を行うことにより、島状領域14aのサイズを十分に小さくし、かつ、第1の層10の開口率Pを十分に低くし得ることが確認された。グラビア印刷法を用いる場合に、実測開口率が設計開口率に比べて大幅に低くなったり、パターン形成が困難になったりする理由は、以下のように推察される。
グラビア印刷法を用いる場合、図9の上段に示すように、グラビアロールGRで基材層840上に塗工液CLを所定のパターンで付与したときに、塗工液CLの濡れ広がりが発生する。そのため、図9の下段左側に示すように隣接する第1の領域812の間隔が短く(つまり第2の領域814となる領域が小さく)なったり、図9の下段右側に示すように隣接する第1の領域812が連続してパターンが消失したりする。
図10は、グラビア印刷法を用いて設計開口率25%で形成された第1の層810を有する光学部材801の光学顕微鏡像である。図10から、第1の領域812がベタ状に形成されており、パターンが消失していることがわかる。
図11および図12は、レーザリフトオフ法を用いて設計開口率30%および1%で形成された第1の層10を有する光学部材1の光学顕微鏡像である。図11および図12から、第2の領域14の複数の島状領域14aがほぼ円形に形成されており、パターン形成が好適に行われていることがわかる。
図13は、比較例1の断面SEM像であり、第1の領域812の側面近傍を示している。また、図14および図15は、実施例3の断面SEM像であり、第1の領域12の側面近傍を示している。図15は、図14の一部を拡大したものである。
図13からわかるように、グラビア印刷法を用いた比較例1では、第1の領域812の側面がなだらかに形成されている。これは、塗工液CLの濡れ広がりに起因すると考えられる。一方、図14および図15からわかるように、レーザリフト法を用いた実施例3では、第1の領域12の側面が急峻に形成されている。
表1には、実施例1~8および比較例1について、第1の領域12(812)の側面の、第1の層10(810)の層法線方向に対する勾配角を示している。図16に示すように、第1の領域12の側面12s(第1の領域12と第2の領域14との界面ともいえる)の勾配角θは、層法線方向(Z方向)と、側面12sの上端12saおよび下端12sb(厚さ方向における一端および他端)を通る直線L1とのなす角度の絶対値である。
表1からわかるように、実施例1~8のいずれについても第1の領域12の側面12sの勾配角θは、60°以下であった。これに対し、比較例1では、第1の領域812の側面の勾配角θは85°であった。このように、第1の領域12の側面12sの勾配角θが比較的小さいことが、既に説明したような効果を得るのに寄与しているともいえる。
上述したように、本発明の実施形態による光学部材1では、第1の層10の島状領域14aのサイズ(等周長円相当径)が1000μm以下であり、そのことによって、取り出される光の均一性を向上させ得る。島状領域14aが視認されることを抑制する観点からは、島状領域14aの等周長円相当径は、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
第2の領域14の第1の層10に占める面積率(開口率)Pは、取り出される光の均一性を向上させるために、光源の配置に応じて第1の層10の層面内で分布を有するように設定されてもよい。つまり、第1の層10の層面内で一側から他側に向かうにつれて開口率Pが変化してもよい。例えば、図2Bを例示して説明したように、光源から離れるにつれて開口率Pを増大させてもよい。その場合、開口率Pを連続的に増大させてもよいし、段階的に増大させてもよい。
開口率Pは、例えば、1辺が10mmの正方形の領域について求められる。第1の層10における、1辺が10mmの正方形である任意の領域を「単位領域」と呼ぶとき、取り出される光の均一性を向上させる観点からは、第1の層10は、面積率Pが0.1%以上50%以下の単位領域を含むことが好ましい。また、第1の層10は、面積率Pが0.1%以上20%以下の単位領域を含むことがより好ましく、面積率Pが0.1%以上5%以下の単位領域を含むことがさらに好ましい。なお、単位領域に含まれる島状領域14aの個数は、例えば10~10000個である。
第1の領域12と第2の領域14との界面(第1の領域12の側面12s)の、第1の層10の層法線方向に対する勾配角θは、例えば0°以上60°以下である。勾配角θは、0°以上50°以下であることが好ましく、0°以上20°以下であることがより好ましく、0°以上10°以下であることがさらに好ましい。
次に、本発明の実施形態による光学素子に好適に用いられる構成要素の例を説明する。
[導光層]
導光層50には、公知の導光層(導光体)を広く用いることができる。導光層50は、代表的には、樹脂(好ましくは、透明樹脂)のフィルムまたは板状物で構成され得る。樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、光硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PET等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂である。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂などの光硬化性樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
導光層50の厚さは、例えば、100μm以上100mm以下であり得る。導光層50の厚さは、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは30mm以下であり、さらに好ましくは10mm以下である。
導光層50の屈折率nGPは、例えば、第2の層20の屈折率nに対して-0.1~+0.1の範囲の値であり、下限値は、好ましくは1.43以上であり、より好ましくは1.47以上である。一方、導光層50の屈折率の上限値は、1.7である。
導光層50として、表面に凹凸形状を有する従来の導光層を用いることもできるが、図1に示した導光層50のように、表面が実質的に平坦な導光層を好適に用いることができる。光結合層として機能する光学部材1は、実質的に平坦な主面を有し得るので、実質的に平坦な表面を有する導光層50と容易に積層することができるとともに、実質的に平坦な表面を有する他の光学要素と容易に積層することができる。実質的に平坦な表面とは、表面の凹凸形状によって、光を屈折あるいは拡散反射しないことをいう。
[多孔質層、第1の層の第1の領域]
第1の層10の第1の領域12は、多孔質構造を有する。第1の層10は、多孔質層10Pから形成され得る。好適に用いられる多孔質層10Pは、シリカ粒子、微細孔を有するシリカ粒子、シリカ中空ナノ粒子等の略球状粒子、セルロースナノファイバー、アルミナナノファイバー、シリカナノファイバー等の繊維状粒子、ベントナイトから構成されるナノクレイ等の平板状粒子等を含む。1つの実施形態において、多孔質層10Pは、粒子(例えば微細孔粒子)同士が直接的に化学的に結合して構成される多孔体である。また、多孔質層10Pを構成する粒子同士は、その少なくとも一部が、少量(例えば、粒子の質量以下)のバインダ一成分を介して結合していてもよい。多孔質層10Pの空隙率および屈折率は、当該多孔質層10Pを構成する粒子の粒径、粒径分布等により調整することができる。
多孔質層10Pを得る方法としては、例えば、国際公開第2019/146628号に記載の低屈折率層の形成方法の他、特開2010-189212号公報、特開2008-040171号公報、特開2006-011175号公報、国際公開第2004/113966号、特開2017-054111号公報、特開2018-123233号公報および特開2018-123299号公報およびそれらの参考文献に記載された方法が挙げられる。これらの公報の開示内容のすべてを参照により本明細書に援用する。
多孔質層10Pとして、シリカ多孔体を好適に用いることができる。シリカ多孔体は、例えば、以下の方法で製造される。ケイ素化合物;加水分解性シラン類および/またはシルセスキオキサン、ならびにその部分加水分解物および脱水縮合物の少なくともいずれか1つを加水分解および重縮合させる方法、多孔質粒子および/または中空微粒子を用いる方法、ならびにスプリングバック現象を利用してエアロゲル層を生成する方法、ゾルゲル法により得られたゲル状ケイ素化合物を粉砕し、得られた粉砕体である微細孔粒子同士を触媒等で化学的に結合させた粉砕ゲルを用いる方法、等が挙げられる。ただし、多孔質層10Pは、シリカ多孔体に限定されず、製造方法も例示した製造方法に限定されず、どのような製造方法により製造しても良い。なお、シルセスキオキサンは、(RSiO1.5、Rは炭化水素基)を基本構成単位とするケイ素化合物であり、SiOを基本構成単位とするシリカとは厳密には異なるが、シロキサン結合で架橋されたネットワーク構造を有する点でシリカと共通しているので、ここではシルセスキオキサンを基本構成単位として含む多孔体もシリカ多孔体またはシリカ系多孔体という。
シリカ多孔体は、互いに結合したゲル状ケイ素化合物の微細孔粒子から構成され得る。ゲル状ケイ素化合物の微細孔粒子としては、ゲル状ケイ素化合物の粉砕体が挙げられる。シリカ多孔体は、例えば、ゲル状ケイ素化合物の粉砕体を含む塗工液を、基材に塗工して形成され得る。ゲル状ケイ素化合物の粉砕体は、例えば、触媒の作用、光照射、加熱等により化学的に結合(例えば、シロキサン結合)し得る。
多孔質層10P(第1の層10)の厚さの下限値は、例えば、用いる光の波長より大きければよい。具体的には、下限値は、例えば0.3μm以上である。第1の層10の厚さの上限値に特に限定はないが、例えば5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。第1の層10の厚さが上記範囲内であれば、表面の凹凸が積層に影響を与えるほど大きくならないので、他の部材との複合化または積層が容易である。
多孔質層10Pの屈折率、すなわち、第1の層10の第1の領域12の屈折率nは、1.30以下であることが好ましい。第1の領域12と接する界面で内部全反射が起こりやすく、すなわち臨界角を小さくできる。第1の領域12の屈折率nは、1.25以下がより好ましく、1.18以下がさらに好ましく、1.15以下が特に好ましい。第1の領域12の屈折率nの下限は特に限定されないが、機械強度の観点から、1.05以上が好ましい。
多孔質層10Pの空隙率、すなわち、第1の層10の第1の領域12の空隙率の下限値は、例えば、40%以上であり、好ましくは50%以上であり、より好ましくは55%以上、70%以上がより好ましい。多孔質層10Pの空隙率の上限値は、例えば、90%以下であり、より好ましくは85%以下である。空隙率が上記範囲内であることにより、第1の領域12の屈折率を適切な範囲とすることができる。空隙率は、例えば、エリプソメーターで測定した屈折率の値から、Lorentz‐Lorenz’s formula(ローレンツ-ローレンツの式)より算出され得る。
多孔質層10Pの膜密度、すなわち、第1の層10の第1の領域12の膜密度は、例えば、1g/cm以上であり、好ましくは10g/cm以上であり、より好ましくは15g/cm以上である。一方、膜密度は、例えば50g/cm以下であり、好ましくは40g/cm以下であり、より好ましくは30g/cm以下であり、さらに好ましくは2.1g/cm以下である。膜密度の範囲は、例えば5g/cm以上50g/cm以下であり、好ましくは10g/cm以上40g/cm以下であり、より好ましくは15g/cm以上30g/cm以下である。あるいは、当該範囲は、例えば1g/cm以上2.1g/cm以下である。膜密度は、公知の方法で測定され得る。
多孔質層10Pのマトリクス部分(多孔質層10Pの空隙以外の部分)を構成する材料の屈折率をnとすると、多孔質層10Pの屈折率、すなわち第1の領域12の屈折率nは、nと空隙率と空気の屈折率で決まる。例えば、上述したように、多孔質層10Pとしてシリカ多孔体を用いると、nは、例えば、1.41以上1.43以下である。
[第1の層の第2の領域]
第1の層10の第2の領域14は、多孔質層10Pが除去された領域に、接着剤が充填されることによって形成されている。第2の領域14の屈折率nは、第1の領域12の屈折率nおよび第2の層20の屈折率nと、n<nかつn<nの関係を満たす。第2の領域14の屈折率nがこの関係を満たすことで、第1の層10の面方向における第1の領域12と第2の領域14の界面における反射および屈折による光の散乱を抑制することができる。第2の領域14の屈折率nの下限値は、例えば、1.30超であり、好ましくは1.35以上であり、より好ましくは1.40以上である。
なお、多孔質層10Pが除去された領域10aに、第2の層20および第3の層30の両方から接着剤が充填される場合、第2の領域14は、第2の層20からの接着剤で構成される領域と、第3の層30からの接着剤で構成される領域とが厚さ方向に沿って積層された構造を有することになる。前者の領域と後者の領域との界面における反射や屈折等を抑制する観点からは、第2の層20の屈折率nと第3の層30の屈折率nとの差が小さいことが好ましい。具体的には、第2の層20の屈折率nと第3の層30の屈折率nとの差は、0.05以下が好ましく、0.03以下がより好ましく、0.02以下がさらに好ましい。
[基材層]
基材層40の厚さは、例えば1μm以上1000μm以下であり、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上80μm以下がさらに好ましい。基材層40の屈折率は、1.40以上1.70以下が好ましく、1.43以上1.65以下がさらに好ましい。
[接着剤層]
第1接着剤層20、第2接着剤層30および接着剤層76の厚さは、それぞれ独立に、例えば0.1μm以上100μm以下であり、0.3μm以上100μm以下が好ましく、0.5μm以上50μm以下がさらに好ましい。第1接着剤層20、第2接着剤層30および接着剤層76の屈折率は、それぞれ独立に、好ましくは1.42以上1.60以下であり、より好ましくは1.47以上1.58以下である。また、第1接着剤層20、第2接着剤層30および接着剤層76の屈折率は、それが接する導光層50、基材層40または賦形フィルム72の屈折率と近いことが好ましく、屈折率の差の絶対値が0.2以下であることが好ましい。
本発明の実施形態による光学部材は、例えば、導光層等とともに光学素子(配光素子)とされ、フロントライト、バックライト、ウィンドウ/ファサードの照明、サイネージ、信号点灯、窓照明、壁面照明、卓上照明、ソーラーアプリケーション、装飾イルミネーション、ライトシールド、ライトマスク、ルーフライティング等の公共または一般の照明等に適用可能である。また、本発明の実施形態による光学部材は、サイネージの一例である反射型ディスプレイのフロントライトの構成部材として好適に用いられる。本発明の実施形態による光学部材を用いることで、散乱または回折された光によって生じる視認可能なぼやけ等の光学的欠点のない、反射型ディスプレイ上の画像またはグラフィックを見ることが可能になる。
1 光学部材
10 第1の層
12 第1の領域
14 第2の領域
14a 島状領域
20 第2の層(第1接着剤層)
30 第3の層(第2接着剤層)
40 基材層
50 導光層
70 方向変換層
72 賦形フィルム
74 凹部
76 接着剤層
100 光学素子
IS 内部空間

Claims (12)

  1. 多孔質構造を有する第1の領域を含む第1の層を有する光学部材であって、
    前記第1の層は、多孔質構造を有さず、且つ、接着剤が充填されている第2の領域をさらに含み、
    前記第2の領域は、離散的に配置された複数の島状領域を含み、
    前記複数の島状領域のそれぞれの等周長円相当径は1000μm以下である、光学部材。
  2. 前記第1の層において1辺が10mmの正方形である任意の領域を単位領域と呼ぶとき、
    前記第1の層は、前記第2の領域の前記第1の層に占める面積率Pが0.1%以上50%以下の単位領域を含む、請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記複数の島状領域のピッチは、5000μm以下である、請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 前記第2の領域の前記第1の層に占める面積率Pが、前記第1の層の層面内で一側から他側に向かうにつれて変化する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. 前記第1の層に層法線方向に隣接し、接着性を有する第2の層をさらに有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の光学部材。
  6. 前記第1の層に層法線方向に隣接し、接着性を有する第3の層であって、前記第1の層に対して前記第2の層と反対側に位置する第3の層をさらに有する、請求項5に記載の光学部材。
  7. 前記第1の領域と前記第2の領域との界面の、前記第1の層の層法線方向に対する勾配角が0°以上60°以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の光学部材。
  8. 前記第1の領域の屈折率をn、前記第2の領域の屈折率をnとしたとき、n<nである、請求項1から7のいずれか1項に記載の光学部材。
  9. が1.30以下であり、nが1.43以上である、請求項8に記載の光学部材。
  10. 前記第1の領域は、シリカ多孔体を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の光学部材。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の光学部材と、
    導光層と、
    を有する、光学素子。
  12. 前記光学部材に対して前記導光層とは反対側に配置された方向変換層をさらに有する、
    請求項11に記載の光学素子。
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