JP2023148283A - 防災機器内蔵電池の管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】防災機器に内蔵されている電池の交換に関するユーザと施工・点検者の負担を軽減することができる防災機器内蔵電池の管理システムを提供する。【解決手段】建造物に設置され監視システムを構成する複数の防災機器に内蔵されている電池をデータ処理装置によって管理する防災機器内蔵電池の管理システムにおいて、前記データ処理装置は、人手による操作が可能な入力装置から入力された監視システムを構成する防災機器の点検の周期に関する情報および電池に関する情報に基づいて、監視システムを構成する防災機器の点検時期と防災機器に内蔵されている電池の交換時期を算出する機能と、点検に合わせて交換対象の電池を内蔵した防災機器の情報を表記したリストを出力する機能と、を備えるようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、防災機器に内蔵された電池の管理システムに関し、例えば火災報知システムを構成する火災感知器や位置情報システムの発信器(ビーコン)等電池で駆動される防災機器に内蔵された電池の管理に適用して有効な電池管理システムに関する。
従来、自動火災報知設備をはじめとする防災機器は有線で電力の供給を受けて信号を送受信するものが多かったが、近年においては、無線通信技術が発達したことに呼応して、火災報知システム用の無線感知器や感知器に対応して設置される位置情報システム用のビーコンを備えた設備が実用化されている。
上記のようなシステムにおいては、有線を使用しないメリットを活かすために機器の電源として電池駆動方式が採用されるが、無線感知器やビーコンは建物内の各所に多数設置されるため、それらの防災機器に内蔵される電池の数も多くなり、従来に比べて防災機器の点検時における対象機器は確実に増えている。そして、内蔵電池が切れてしまうと、防災機器による監視機能が失われてしまうため、電池の交換時期の管理は非常に重要である。
特開2020-184376号公報 特開2000-123263号公報
機器の内蔵電池の管理においては、例えば電池が内蔵されている各機器に、電池残量の低下時に外部へ報知する機能(ランプ等)を設けることが考えられるが、防災機器に関してはそのような機能を設けると、電池寿命は各機器によって異なるので、建物の管理者(ユーザ)が施工者や点検業者等(以下、施工・点検者)へ連絡を行う必要が頻繁に生じると予想されるため、ユーザの手間とコスト負担が増加する要因となる。
また、電池残量の低下を外部へ報知する機能を無線送信で行うことも考えられるが、その場合、送信自体にも電力を消費することとなるので、電池交換の期間が短くなって交換頻度が高くなる。しかも、電池残量の低下の情報に基づいて電池交換を行う場合、電池残量が低下する度に施工・点検者を呼ぶことになるため、ユーザと施工・点検者の双方の負担が増大してしまうという課題がある。
なお、本願発明に関連する先行技術として、ビーコン等の情報発信モジュールを備えた機器(情報発信アダプタ)の内蔵電池を管理するシステムに関する発明が特許文献1に記載されている。
また、保守点検日の前に保守点検の予告を行なう予告機能や、保守点検日に至るかもしくは経過すると保守点検の警告を行なう警告機能を備えるようにした火災報知装置に関する発明が特許文献2に記載されている。
しかし、特許文献1に記載されている電池管理システムは、単にビーコン等の情報発信モジュールを備えた情報発信アダプタの内蔵電池の残り期間が所定の閾値未満のアダプタのIDを表示するに過ぎないため、電池点検は不要となり電池交換も一括で行えるものの、電池交換のためだけに現地へ向かうこととなり、ユーザと施工・点検者の負担軽減の課題を解決することができない。
また、特許文献2に記載されている火災報知装置においては、火災受信機からユーザに対しての保守点検の予告や警告を行うことができるものの、施工・点検者に対しての予告や警告ではなく、また防災機器に内蔵されている電池の交換時期を報知することまではできないという課題がある。
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、防災機器に内蔵されている電池の交換に関するユーザと施工・点検者の負担を軽減することができる防災機器内蔵電池の管理システムを提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、
建造物に設置され監視システムを構成する複数の防災機器に内蔵されている電池をデータ処理装置によって管理する防災機器内蔵電池の管理システムにおいて、
前記データ処理装置は、人手による操作が可能な入力装置から入力された前記監視システムを構成する防災機器の点検の周期に関する情報および前記電池に関する情報に基づいて、前記監視システムを構成する防災機器の点検時期と前記防災機器に内蔵されている前記電池の交換時期を算出する機能と、
前記点検に合わせて交換対象の電池を内蔵した防災機器の情報を表記したリストを出力する機能と、を備えるようにしたものである。
上記のような構成を有する防災機器内蔵電池の管理システムによれば、点検に合わせて交換対象の電池を内蔵した防災機器の情報を表記したリストが出力されるため、当該リストに従って電池の交換を実施するように指示することで、火災報知システムの点検のタイミングに合わせて必要最小限の防災機器に内蔵されている電池交換を実施することができ、それによって防災機器に内蔵されている電池の交換に関するユーザと施工・点検者の負担を軽減することができる。
ここで、望ましくは、前記リストに表記される前記防災機器の情報には、少なくとも防災機器の固有情報および設置位置情報が含まれるようにする。
かかる構成によれば、出力されるリストに電池交換が必要な防災機器の設置位置情報が含まれているため、防災機器の固有情報と設置位置情報とを対応させて記載した表やフロア図等のマップを別途用意する必要がなくなり、電池交換に伴う作業の効率を向上させることができる。
また、望ましくは、前記監視システムは、前記防災機器として複数の火災感知器と該火災感知器からの信号を受信して火災の発生を判断し報知する火災受信機とを備え、
前記火災受信機は、当該火災受信機における特定のスイッチの操作に基づいて試験実施日に関する情報を前記データ処理装置へ送信し、
前記データ処理装置は、前記火災受信機から受信した前記試験実施日に関する情報に基づいて、前記点検時期と前記交換時期を算出する基準となる点検実施日を更新するように構成する。
上記のような構成によれば、火災を検知し報知する機能を有する監視システムにおいて、定期的に試験の実施が必要な火災報知システムの試験が実施されると、防災機器の点検時期と電池交換時期を算出する基準となる点検実施日が自動的に更新されるため、施工・点検者の人手による点検実施日の入力の手間を省くことができるとともに、入力ミスや入力忘れによるサーバ内データの信頼性低下を回避することができる。
また、望ましくは、前記監視システムは、前記防災機器として、監視エリア内に分散して配設され少なくとも固有情報を無線信号に乗せて定期的に周囲に発信する複数の発信器を備え、
施工・点検者が所持する携帯情報端末が前記発信器からの信号を受信したことに応じて、前記携帯情報端末は、前記発信器からの信号を受信したことを示す所定の情報を前記データ処理装置へ送信し、
前記データ処理装置は、前記携帯情報端末から前記所定の情報を受信したことに基づいて、前記点検時期と前記交換時期を算出する基準となる点検実施日を更新するように構成する。
上記のような構成によれば、監視エリア内に分散して配設された発信器を備え発信器からの信号を受信することで位置を把握する機能を有する監視システムにおいて、施工・点検者が防災機器の点検を実施すると、施工・点検者が所持する携帯情報端末が発信器からの信号を受信したことに応じて、防災機器の点検時期と電池交換時期を算出する基準となる点検実施日が自動的に更新されるため、施工・点検者の人手による点検実施日の入力の手間を省くことができるとともに、入力ミスや入力忘れによるサーバ内データの信頼性低下を回避することができる。
さらに、望ましくは、前記データ処理装置はサーバであり、前記入力装置は通信ネットワークを介して前記サーバに接続された情報端末であるようにする。
かかる構成によれば、複数の物件の電池内蔵型防災機器の電池を1つのサーバによって管理することができるため、施工・点検者が複数の物件を一括で管理することができ、それによって各物件を管理する施工・点検者の負担を軽減することができる。
本発明の防災機器内蔵電池管理システムによれば、火災報知システムの点検のタイミングに合わせて、必要最小限の防災機器に内蔵されている電池交換を実施することで、消耗した電池の交換に関するユーザと施工・点検者の負担を軽減することができる。また、点検サイクルの途中で一部の防災機器に内蔵されている電池が切れて機能が損なわれてしまうような事態が発生するのを回避することができるという効果がある。
位置情報表示機能を有するシステムに本発明に係る防災機器内蔵電池管理システムを適用した場合の一実施形態を示すシステム構成図である。 電池管理サーバのデータベースに登録される物件情報および電池内蔵の機器の情報の一例を示す図である。 自動火災報知機能および位置情報表示機能を有するシステムに本発明に係る防災機器内蔵電池管理システムを適用した場合の一実施形態を示すシステム構成図である。 実施形態の防災機器内蔵電池管理システムにおいて実行される電池交換時期の算出および出力の手順の一例を示すフローチャートである。 火災報知システムを構成する機器の点検および電池内蔵機器の管理スケジュールの一例を示す図である。 電池管理サーバまたは情報端末により作成される電池交換報告書の一例を示す図である。 実施形態の第3変形例の防災機器内蔵電池管理システムを適用する場合の構成例を示すシステム構成図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る防災機器内蔵電池管理システムの実施形態について説明する。図1は、位置情報表示機能を有する監視システムとしての位置情報システムに、本発明に係る防災機器内蔵電池管理システムを適用した場合の一実施形態を示すシステム構成図である。
本実施形態の防災機器内蔵電池管理システムが適用される位置情報システムは、図1に示すように、監視エリア(監視対象の建物)内の天井など建物内部の複数箇所に配設されているビーコン(発信器)10と、ビーコン10からの信号(電波)を受信可能な携帯情報端末20と、無線基地局30及びインターネット等の通信ネットワークNを介して携帯情報端末20との間でデータ通信を行う位置情報サーバ40、などから構成されている。この位置情報システムに、電池管理サーバ50と情報端末60を備えた防災機器内蔵電池管理システムが付加される。
携帯情報端末20へ無線信号(機器IDや設備情報などの固有情報)を発信するビーコン10は、電池を内蔵し電池の電源で動作する機器であり、例えばBluetooth(登録商標)通信やIEEE 802.11規格に従ったWiFi等の無線LAN、赤外線通信、可視光通信など公知の通信方式を利用して信号を発信する。
ビーコン10を配置する間隔は特に限定されないが、例えば隣接するそれぞれのビーコン10の通信範囲が建物内の空間を網羅できるように配置されている。また、ビーコン10は、固有情報である自己の識別情報(機器ID)を無線信号に乗せて定期的に周囲に発信する発信機能を備える。ビーコン10が無線で発信する信号(ビーコン信号)には、少なくとも当該ビーコン10の識別情報が含まれていれば良い。
携帯情報端末20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムを格納した不揮発性メモリ、作業用のRAM(Random Access Memory)などからなるデータ処理機能の他、無線通信機能を備える機器であり、公知のスマートフォン等を利用することができる。また、携帯情報端末20はビーコン10からの信号を受信する受信機能を備える。
携帯情報端末20の内部メモリには、定期的にビーコン10から無線で発信されるビーコン信号を受信して当該ビーコン信号に含まれる識別情報(機器ID)等を抽出し、識別情報を含むビーコン情報を無線基地局30及び通信ネットワークNを介して位置情報サーバ40へ送信する処理と、通信ネットワークN及び無線基地局30を介して位置情報サーバ40から送信されたフロア図情報に基づくフロア図画像を画面に表示する処理とを実行するアプリケーション・プログラム(位置情報表示アプリ)が格納されている。
位置情報サーバ40は、当該位置情報サーバ40が管理する建物の各フロアの地図情報(フロア図)を記憶するデータベース41を備えている。なお、各フロアの地図情報(フロア図)には、各フロアに設置されているビーコン10の識別情報(機器ID)及び設置位置情報などが含まれる。
位置情報サーバ40は、携帯情報端末20からビーコン10の機器IDを受信すると、受信したビーコンの機器IDとデータベース41に記憶されている情報に基づいて当該携帯情報端末20のフロア図上の位置を算出する。そして、位置情報サーバ40により算出された携帯情報端末20の位置を示したフロア図が、当該携帯情報端末20や図示しない位置表示用端末に送信され、表示部に表示される。
本実施形態の防災機器内蔵電池管理システムは、記憶装置(データベース)を備えビーコン10等の防災機器に内蔵されている電池の情報を管理する電池管理サーバ50と、通信ネットワークNを介して電池管理サーバ50にアクセス可能なパーソナルコンピュータ(PC)のような情報端末60とにより構成されている。
情報端末60には、液晶ディスプレイのような表示装置61と、キーボードやマウスのような施工・点検者が操作可能な入力装置62が接続されているとともに、情報端末60の内部メモリにはサーバアクセス用アプリもしくはサーバ管理用アプリが格納されており、該アプリによって電池管理サーバ50にアクセスできるように構成されている。
具体的には、入力装置62を操作して、例えば図2(A)に示すように管理対象の建物の名称や建物の住所、システムを構成する機器の点検者、点検者所属会社名、物件の規模、点検周期、前回点検日等の項目からなる管理対象の物件の情報を入力して電池管理サーバ50へ送信しデータベース51に記憶させる。また、入力装置62を操作して、ビーコン10等の防災機器に内蔵された電池の情報として、例えば図2(B)に示すように管理対象の建物に設置されている電池内蔵機器の種類(物品名)やID、設置場所、使用開始日、機器交換時期、電池個数、電池容量、機器の消費電流、消費電力、電池交換時期等の項目からなる機器情報を入力して電池管理サーバ50へ送信しデータベースに記憶させる。
なお、上記機器情報には、内蔵電池の情報として、電池の種類や定格電流など定格値の情報が含まれていても良い。
また、各項目においては、以下の例のように他の入力項目の内容に応じて、予め機器名や電池の内容情報に数値データが記憶されているテーブルを参照して、機器名が入力され指定されると、自動的に数値データが入力されるようにしてもよい。
・機器消費電流:機器名に応じて対応する消費電流を自動入力
・機器交換時期:機器名に応じて対応する交換時期を自動入力
・電池容量:電池個数と機器名に応じて対応する電池容量を自動入力
・機器消費電力:機器名と各種電池内容に応じて消費電力を自動入力
また、情報端末60は、物件情報に基づいて電池管理サーバ50から対象の物件に設置されているビーコン10等の防災機器に内蔵した電池の情報を取得して、交換対象の電池を内蔵している機器(ビーコン)のリストを表示装置61に表示させることができるように構成されている。
なお、電池駆動の防災機器は避難時等に活用可能な位置情報システム用のビーコンに限定されず、予備電源を備えた火災受信機、無線式の感知器や中継器、避難口・通路誘導灯、発信機や表示灯を備えた非常警報設備または機器収容箱などであっても良い。また、電池管理サーバ50と情報端末60が接続される通信ネットワークは、位置情報サーバが接続される通信ネットワークと異なるものであっても良い。
本実施形態の防災機器内蔵電池管理システムの特徴は、火災報知システムや位置情報システムを構成する防災機器に内蔵されている電池の交換を、例えば半年(6か月)のようなサイクルで定期的に実施するシステムの点検に合わせて実行することを前提とした上で、電池管理サーバ50が内蔵電池を交換すべき機器を抽出して情報端末60へ送信して表示装置61に表示するようにした点にある。
図3は、図1の位置情報システムと火災報知システムとを併用した監視システムに本発明に係る防災機器内蔵電池管理システムを適用した場合のシステム構成図である。
この実施形態の監視システムにおける火災報知システムは、建物内部の複数箇所に配設されている火災感知器71と、押しボタン式の発信機72aや表示灯72bを備えた非常警報設備または機器収容箱72、感知器回線73を介して火災感知器71からの火災検出信号や発信機72aからの火災報知信号を受信可能な火災受信機74などにより構成されている。また、特に限定されるものでないが、火災受信機74はゲートウェイ(中継器)80を介して通信ネットワークNに接続されている。
火災感知器71は、警戒区域ごとに異なる感知器回線73を介して火災受信機74に接続されており、熱、煙、炎、有害ガスなどの発生を検出すると、感知器回線73を介して火災検出信号を火災受信機74へ送信する。火災感知器71は、火災検出信号に自己の設置アドレスを付加するタイプ(いわゆるR型)の感知器であっても良いし、設置アドレスを付加しないタイプ(いわゆるP型)の感知器であっても良い。
なお、図3に示すシステムにおいては、火災感知器71と非常警報設備または機器収容箱72は有線式のものであるが、電池および無線通信モジュールを内蔵した無線式の機器であっても良い。
火災受信機(R型またはP型)74は、火災感知器71からの火災検出信号を受信した場合、火災の発生を判断し表示部に火災報知表示を行うとともに地区ベルの鳴動や防排煙装置などの連動制御を行う。
ここで、火災受信機74は、火災検出信号に火災感知器71の設置アドレスが付加されている場合には、当該設置アドレスに基づいて火災の発生場所を特定する。一方、火災検出信号に火災感知器71の設置アドレスが付加されていない場合には、当該火災検出信号を伝送した感知器回線73に基づいて火災の発生場所(警戒区域)を特定する。
なお、位置情報システム及び防災機器内蔵電池管理システムの構成は図1のシステムと同様であるので、説明を省略する。位置情報システムを構成するビーコン10は、火災感知器71と一体に構成されているものでも、別体として構成され単独で設置されるものであっても良い。
以下、本実施形態の防災機器内蔵電池管理システムにおける基本的な作業や処理の流れについて、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、防災機器内蔵電池管理システムを構成する電池管理サーバ50および電池管理サーバ50へアクセスする権限を有する情報端末60は、電池を内蔵した防災機器(例えばビーコン)を設置し定期点検を行う施工・点検者によって管理されるものとする。
先ず、防災機器の施工・点検者は、情報端末60の入力装置62を操作して、対象物件に関する情報、施工・点検に関する情報、内蔵電池に関する情報を入力して電池管理サーバ50へ送信する(ステップS1)。
ここで、対象物件に関する情報とは建物の名称や建物の住所、防災機器(例えばビーコン)の設置場所を示す情報(フロアの階数やフロア内での設置位置等)、施工・点検に関する情報とは対象物件に防災機器を設置した日(施工日)や最後に点検を行なった日(最終点検日)の情報、内蔵電池に関する情報とは使用開始日、電池の種類、定格値、個数、内蔵している機器の消費電力、または電池交換の目安となる期間の情報である。
ステップS1で入力された情報を受信した電池管理サーバ50は、入力された情報に基づいて、次回点検予定時期、次々回点検予定時期、電池交換予定時期をそれぞれ算出する(ステップS2)。なお、次回点検予定時期は、施工・点検情報である施工日や最終点検日に対して点検周期(例えば6か月)の期間を加算することで算出される。また、次々回点検予定時期は、上記次回点検予定時期に対してさらに点検周期(例えば6か月)の期間を加算することで算出される。一方、電池交換予定時期は、使用開始日に対して、電池の定格値や対応する防災機器の消費電力に基づいて算出される電池寿命または電池交換の目安期間を加算することで算出される。
次に、施工・点検者は情報端末60の入力装置62を操作して、電池管理サーバ50に対して、対象物件内に設置されている防災機器の電池のうち次回点検予定時期~次々回点検予定時期の間に電池交換予定時期を迎える電池のリストを要求する(ステップS3)。すると、電池管理サーバ50は、データベースを参照して次回点検予定時期~次々回点検予定時期の間に電池交換予定時期を迎える電池を内蔵している防災機器のIDを抽出してリストを作成して情報端末60へ送信し、リストを受信した情報端末60は受信したリストを表示装置61へ出力して表示させる(ステップS4)。
具体的に説明すると、点検周期が6か月であり、点検スケジュールが例えば図5(A)に示すように実施される物件において、現在の日付が2022年3月で最終点検が2022年2月に行われた場合、次回点検は6か月後の2022年8月-9月の2か月間に予定され、次々回点検は12か月後の2023年2月-3月の2か月間に予定されているものとする。また、電池を内蔵した防災機器としての火災受信機とビーコンの内蔵電池の寿命が、図5(A)において機器の欄の右側にて薄いグレーが付されている範囲と濃いグレーとが付されている範囲の境界であるとする。なお、試験実施日や点検実施日は必ずしも日単位に限らず、本実施例のように月単位とする等、特定の期間を試験実施日や点検実施日として扱うようにしてもよい。
すると、IDが「00」「01」「02」「03」のビーコンの電池は、次回点検予定時期~次々回点検予定時期の間に寿命に達するので、電池管理サーバ50は、IDが「00」「01」「02」「03」のビーコンを電池交換が必要な機器として抽出して、対象機器と設置場所を表記したリスト、あるいは図6に示すように交換対象機器リスト欄を備えた電池交換報告書を作成して情報端末60へ送信する。なお、電池管理サーバ50はリストのみを作成し、図6の電池交換報告書は情報端末60が作成するようにしても良い。
なお、ステップS4において、情報端末60は、受信したリストを表示させる代わりもしくは表示と合わせてリストをプリントアウトするようにしても良い。また、リストを出力する代わりに、フロア図上に電池交換の必要な防災機器を表わすマークおよびその近傍にチェック枠を記したものをチェックシートとして出力するようにしても良い。
本実施形態の電池管理システムにおいては、上記のような手順に従った作業や処理を行うことで、各種防災機器の点検のタイミングに合わせて内蔵されている電池を適切なタイミングで交換することができ、ユーザおよび施工・点検者の負担を軽減することができる。
また、図6に示すような電池交換報告書は、チェック項目の欄を備えているので、交換する電池を手配した段階や交換作業が終了した段階で、この欄にチェックを入れるようにすることで、作業のチェックリストとして兼用することができる。さらには、電池の交換対象をグループ化することができるので、ユーザへの電池交換の提案が一元化できるともに、仮に故障が発生した防災機器に対してもグループ化したものとは別に単独で管理することができ、交換の記録を容易に把握できるという利点がある。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
第1の変形例は、製品寿命を迎える機器がある場合、そのような機器については、製品寿命を考慮して機器交換時期を報知するようにするものである。具体的には、例えば図5(B)に「黒塗りパターン」で示すように、電池内蔵のビーコンの製品寿命が次々回点検時期(2023年2月-3月)の後にある場合、IDが「02」「03」ビーコンは、次回点検時期(2022年8月-9月)における電池交換の対象となるが、その直後に製品寿命を迎えることになるので、電池を交換してもすぐに製品を交換することとなって電池交換は余計な費用となる。そのような場合においては、次回点検時(2022年8月-9月)に前倒しで製品交換をするよう表示させる。このとき、次回点検時期には電池交換を、次々回点検時期に製品交換を行い、その製品交換時には前回交換したばかりの電池を引き続き使用することを促すようにしてもよい。
一方、図5(B)の例においては、IDが「00」と「01」のビーコンは、次回点検時期(2023年2月-2023年3月)~次々回点検時期(2023年8月-9月)の期間に電池寿命の期限を迎えることはないが、その間にビーコン自身が製品寿命を迎えることとなるため、次々回点検時期(2023年2月-3月)に製品を交換するよう表示させる。
第2の変形例は、火災報知システムにおいては、定期的にシステムの試験が実施されており、その試験の際に電池内蔵機器では電池交換が行われるので、火災受信機74が通信ネットワークを介して電池管理サーバ50と接続されている場合、火災受信機74において保守点検を行なう際に使用されるスイッチ(保守スイッチ、試験復旧スイッチ等)が操作された際に、その情報と物件情報とを合わせて試験実施情報として電池管理サーバ50へ送信し、電池管理サーバ50はその試験実施情報を受信した際にその物件での最終点検日を更新するようにするというものである。このとき、前述の保守点検を行なう際に使用されるスイッチとして、火災受信機には特許文献2の「保守点検終了スイッチ」のように専用のスイッチを設けてもよい。
第3の変形例は、図7に示すように、点検作業を行う施工・点検者が点検者用携帯端末90を所持して移動する場合、点検者用携帯端末90がビーコン10からの信号を受信した際に、当該点検者用携帯端末90の固有情報と受信したビーコン固有情報を試験実施情報として電池管理サーバ50へ送信し、電池管理サーバ50は、その試験実施情報を受信した際にビーコン固有情報から点検対象物件を特定してその物件での最終点検日を更新するようにするというものである。
上記のようにすることで、施工・点検者の人手による入力の手間を省くことができるとともに、入力ミスや入力忘れによるサーバ内データの信頼性低下を回避することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、ビーコン10は固有情報である自己の識別情報(機器ID)を発信すると説明したが、ビーコン10が無線で発信する信号(ビーコン信号)には、固有情報に加えて内蔵電池の残量情報が含まれても良い。これにより、例えばビーコンが感知器と一体もしくは近傍に配設される監視システムにおいては、定期点検ですべての感知器を点検する際に点検者用携帯90によりビーコン10からの情報を収集することができるので、ビーコン自体に長距離通信機能を持たせなくてもビーコン情報の収集を漏れなく実施できるため、収集した電池残量情報に基づいて電池交換時期を算出し適切に更新することができる。
また、前記実施形態のシステムにおいては、電池管理サーバ50とは別個に該サーバへアクセスする情報端末60を設けているが、電池管理サーバ50としてキーボードや表示装置を接続可能なサーバを使用する場合には、情報端末60を省略することが可能である。また、前記実施形態は、複数の物件の電池内蔵型防災機器の電池を管理することができるようにすることを想定してシステムを構成した場合について説明したが、例えば物件ごとに電池内蔵型防災機器の電池を管理するシステムを構成する場合には、電池管理サーバ50を省略して、電池管理用のアプリケーションプログラムを情報端末60としてのPCに格納することで、情報端末60のみで電池の交換時期を管理するようにしても良い。
10 ビーコン(発信器)
20 携帯情報端末
30 無線基地局
40 位置情報サーバ
50 電池管理サーバ
60 情報端末
61 表示装置
62 入力装置
71 火災感知器
72 非常警報設備または機器収容箱
73 感知器回線
74 火災受信機
80 ゲートウェイ(中継器)

Claims (5)

  1. 建造物に設置され監視システムを構成する複数の防災機器に内蔵されている電池をデータ処理装置によって管理する防災機器内蔵電池の管理システムであって、
    前記データ処理装置は、人手による操作が可能な入力装置から入力された前記監視システムを構成する防災機器の点検の周期に関する情報および前記電池に関する情報に基づいて、前記監視システムを構成する防災機器の点検時期と前記防災機器に内蔵されている前記電池の交換時期を算出する機能と、
    前記点検に合わせて交換対象の電池を内蔵した防災機器の情報を表記したリストを出力する機能と、
    を備えることを特徴とする防災機器内蔵電池の管理システム。
  2. 前記リストに表記される前記防災機器の情報には、少なくとも防災機器の固有情報および設置位置情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の防災機器内蔵電池の管理システム。
  3. 前記監視システムは、前記防災機器として複数の火災感知器と該火災感知器からの信号を受信して火災の発生を判断し報知する火災受信機とを備え、
    前記火災受信機は、当該火災受信機における特定のスイッチの操作に基づいて試験実施日に関する情報を前記データ処理装置へ送信し、
    前記データ処理装置は、前記火災受信機から受信した前記試験実施日に関する情報に基づいて、前記点検時期と前記交換時期を算出する基準となる点検実施日を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の防災機器内蔵電池の管理システム。
  4. 前記監視システムは、前記防災機器として、監視エリア内に分散して配設され少なくとも固有情報を無線信号に乗せて定期的に周囲に発信する複数の発信器を備え、
    点検者が所持する携帯情報端末が前記発信器からの信号を受信したことに応じて、前記携帯情報端末は、前記発信器からの信号を受信したことを示す所定の情報を前記データ処理装置へ送信し、
    前記データ処理装置は、前記携帯情報端末から前記所定の情報を受信したことに基づいて、前記点検時期と前記交換時期を算出する基準となる点検実施日を更新することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の防災機器内蔵電池の管理システム。
  5. 前記データ処理装置はサーバであり、前記入力装置は通信ネットワークを介して前記サーバに接続された情報端末であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の防災機器内蔵電池の管理システム。
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