JP2023148116A - 絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で異物を残存させることなく絶縁被膜を剥離することができる絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法を提供する。【解決手段】心線2が絶縁被膜3によって覆われた導線1から絶縁被膜3を剥離する絶縁被膜剥離方法であって、該絶縁被膜剥離方法は、導線1にCO2レーザ10を照射するCO2レーザ照射工程と、導線1のCO2レーザ10を照射した箇所である剥離領域4に、波長が1μm以上2μm以下の赤外線レーザ20を照射する赤外線レーザ照射工程と、を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法に関する。
特許文献1には、心線(特許文献1では芯線)と心線を覆う絶縁被膜(特許文献1では絶縁被覆)とからなる絶縁導線から、脆化工程と被覆剥離工程とにより絶縁被膜を剥離する絶縁導線の被覆剥離方法が開示されている。脆化工程では、絶縁導線を炉内に入れて加熱して絶縁被膜を脆化させ、絶縁被膜を破断し易くする。被覆剥離工程では、脆化した絶縁被膜に短パルスレーザを照射し、心線と絶縁被膜との界面に気泡を発生させ、気泡を膨張させて脆化した絶縁被膜を破断して細分化した状態に破裂させ、心線の表面から絶縁被膜を剥離する。
特許文献2には、絶縁被膜が施された断面矩形状の平角線の端部同士を溶接する接合方法が開示されている。特許文献2の接合方法では、絶縁被膜が施された断面矩形状の平角線は、端部の一面のみ絶縁被膜が剥離された被膜剥離面が対向するように突き合わせられた状態で、平角線の端面に上方からレーザ光がスポット的に照射されて溶接される。
特許文献1に開示された被覆剥離方法は脆化工程と被覆剥離工程とからなり、被覆を脆化させるための炉が別途必要となるため、コストアップにつながるおそれがある。また、特許文献2に開示された被膜剥離方法では、絶縁被膜の剥離の具体的方法についての開示はないが、例えば、絶縁被膜を剥離した後の被膜剥離面に異物が付着している場合には、レーザが照射されることによってその異物が気化してガスが発生するおそれがある。溶接中に発生したガスは、例えば、接合強度不足、ボイド等の発生要因となり、溶接の安定性が低下するおそれがある。
このような理由から、簡便な方法で異物を残存させることなく絶縁被膜を剥離することができる絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法が望まれている。
本発明に係る絶縁被膜剥離方法の特徴は、心線が絶縁被膜によって覆われた導線から前記絶縁被膜を剥離する絶縁被膜剥離方法であって、前記導線にCO2レーザを照射するCO2レーザ照射工程と、前記導線の前記CO2レーザを照射した箇所である剥離領域に、波長が1μm以上2μm以下の赤外線レーザを照射する赤外線レーザ照射工程と、を含む点にある。
この特徴によると、CO2レーザの照射後に赤外線レーザを照射することにより、赤外線レーザの照射後には絶縁被膜が機械剥離と同程度まで剥離される。これにより、異物としての絶縁被膜を残存させることなく絶縁被膜を剥離することができる絶縁被膜剥離方法が実現できた。
本発明に係るレーザ溶接方法の特徴は、心線が絶縁被膜によって覆われた2つの導線をレーザにより溶接するレーザ溶接方法であって、2つの前記導線の夫々にCO2レーザを照射するCO2レーザ照射工程と、2つの前記導線の夫々の前記CO2レーザを照射した箇所である剥離領域に、波長が1μm以上2μm以下の赤外線レーザを照射する赤外線レーザ照射工程と、2つの前記導線の前記赤外線レーザを照射した箇所を互いに対向させて、当該対向させた箇所に可視光レーザを照射して2つの前記導線を溶接する溶接工程と、
を含む点にある。
を含む点にある。
この特徴によると、CO2レーザの照射後に赤外線レーザを照射することにより、赤外線レーザの照射後には絶縁被膜が機械剥離と同程度まで剥離される。そして、絶縁被膜が機械剥離と同程度まで剥離された導線を用いてレーザ溶接を行うことができる。これにより、溶接箇所が必要十分な溶接面積、接合強度、及び、導電性を確保することができる。
以下、本発明の実施形態に係る絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
〔絶縁被膜剥離方法〕
本実施形態に係る絶縁被膜剥離方法の実施対象となる導線として、心線2の周囲を絶縁被膜3で覆ったマグネットワイヤ1(導線の一例)を用いて説明する。本実施形態で、心線2は導電性の高い銅からなり、絶縁被膜3はポリイミドからなる。心線2は断面が3.6mm×2.7mmの矩形状である平角線であり、絶縁被膜3の膜厚は0.1mmである。マグネットワイヤ1の絶縁被膜3を剥離する際は、公知のレーザ照射装置を絶縁被膜剥離装置として用いるため、絶縁被膜剥離装置の詳細な説明は省略する。なお、心線2は、銅に限らず鉄、アルミ等の導電性の高い金属でもよい。また、絶縁被膜3の材質はポリイミドに限らずポリウレタン、ポリエステル等であってもよい。
本実施形態に係る絶縁被膜剥離方法の実施対象となる導線として、心線2の周囲を絶縁被膜3で覆ったマグネットワイヤ1(導線の一例)を用いて説明する。本実施形態で、心線2は導電性の高い銅からなり、絶縁被膜3はポリイミドからなる。心線2は断面が3.6mm×2.7mmの矩形状である平角線であり、絶縁被膜3の膜厚は0.1mmである。マグネットワイヤ1の絶縁被膜3を剥離する際は、公知のレーザ照射装置を絶縁被膜剥離装置として用いるため、絶縁被膜剥離装置の詳細な説明は省略する。なお、心線2は、銅に限らず鉄、アルミ等の導電性の高い金属でもよい。また、絶縁被膜3の材質はポリイミドに限らずポリウレタン、ポリエステル等であってもよい。
まず、図1(a)に示すように、波長が10.6μmであるCO2レーザ10を、マグネットワイヤ1の絶縁被膜3を剥離する剥離領域4(図1(b)参照)に出力360Wで照射する(CO2レーザ照射工程)。CO2レーザ10の照射パターンは、照射点を剥離領域4の領域内で、マグネットワイヤ1の長手方向Aに沿って往復走査させながら徐々にマグネットワイヤ1の幅方向Bにその往復走査位置をずらすパターンである。CO2レーザ10の照射が剥離領域4の全体になされると、剥離領域4の絶縁被膜3は大半が蒸発して剥離されるが、図1(b)に示すように、心線2の表面にはCO2レーザ10の走査跡である凸部5と凹部6とが形成され、凹部6には、絶縁被膜3が炭化してできた残渣7が残った状態となる。なお、図1では凸部5と凹部6とは誇張して描かれており、現実の凸部5と凹部6はこれほど大きな凹凸ではなく、数μm程度である。
この残渣7が残った2つのマグネットワイヤ1,1の剥離領域4を図6に示すように対向させて、当該対向させた剥離領域4にグリーンレーザ30(可視光レーザの一例)を出力4000Wで照射して溶接すると、溶接時に残渣7が爆飛して溶接箇所8(図6参照)に空洞ができ、溶接箇所8の接合強度と導電性が確保されないおそれがある。そのため、レーザ溶接前に絶縁被膜3の残渣7を取り除く必要がある。
そこで、図1(c)に示すように、波長1μm以上2μm以下であるIR(Infrared Ray)レーザ20(赤外線レーザの一例)を、CO2レーザ10を照射した箇所(剥離領域4)に出力60Wで照射する(赤外線レーザ照射工程)。IRレーザ20の例としては、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザが挙げられる。IRレーザ20の照射パターンもCO2レーザ10の場合と同じとし、照射点の移動もCO2レーザ10の場合と同様とする。これにより、図1(d)に示すように、残渣7が完全に剥離されると共に、心線2の表面の凹凸もなくなり、剥離領域4は、絶縁被膜3がなく、心線2の表面が露出した状態が得られる。
このように所望の場所における絶縁被膜3を完全に剥離できるのは、上述したように、CO2レーザ10の照射によって大半の絶縁被膜3を剥離した後、残った残渣7をIRレーザ20によって剥離するという、2種類の異なる波長を有するレーザを用いて2段階で絶縁被膜3を剥離したことによる。この理由について、以下に説明する。
図2に示すように、CO2レーザ10の波長である10.6μmでは、レーザの熱エネルギーの吸収率が、絶縁被膜3が90%を超えているのに対し、心線2の材料である銅は吸収率が1%程度である。その結果、CO2レーザ10の照射を行うと、ほとんどの熱エネルギーは絶縁被膜3に吸収されて、ほとんどの絶縁被膜3は瞬時に蒸発してしまう。その一方、心線2には熱エネルギーがほとんど到達せず、心線2が蒸発することはない。蒸発したとしても表層の極僅かの厚さである。この心線2の表層の僅かな蒸発が、上述したCO2レーザ10の走査跡(凹部6)として残る。このように、CO2レーザ10を照射すると、効率よくほとんどの絶縁被膜3を剥離することができる。
CO2レーザ10の照射により、ほとんどの絶縁被膜3は瞬時に蒸発してしまうが、図1(b)に示すように、一部の絶縁被膜3が蒸発せずに炭化して残渣7として心線2の凹部6に残存したままとなることがある。残渣7が表面に残存したままの2つのマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接すると、残渣7が溶接箇所8における異物となり、上述したように、溶接の際に残渣7が爆飛して溶接箇所8に空洞ができてしまう。空洞ができてしまうと、溶接箇所8の接合強度と導電性が確保されないおそれがある。そこで、残渣7を完全に剥離するために、図1(c)に示すように、IRレーザ20を剥離領域4に照射する。
上述したように、本実施形態のIRレーザ20の波長は1μm以上2μm以下である。この波長は、図2に示すように、絶縁被膜3の熱エネルギーの吸収率が10%以下まで低下する一方、銅の吸収率は3%程度まで上昇する。その結果、IRレーザ20を剥離領域4に照射すると、レーザの熱エネルギーの一部は残渣7を透過して心線2にまで到達する。IRレーザ20の照射により心線2に吸収される熱エネルギーの量は、CO2レーザ10の照射により心線2に吸収される熱エネルギーの量よりも多いので、この熱エネルギーが心線2の表層(数μm程度)の銅を蒸発させ、残渣7ごと剥離する。これにより、図1(d)に示すように、残渣7を完全に剥離することができる。
図3に、CO2レーザ10を2回照射し、照射後の2つのマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接した後の溶接領域9を示す。溶接領域9は、図6に示す溶接箇所8を模したものである。図3(c)の溶接領域9において、白っぽく写っているのが銅(心線2)であり、黒っぽく写っているのが残渣7の爆飛によりできた空洞である。本来であれば、空洞の箇所も銅であれば、溶接領域9は十分な接合強度と導電性が確保することができる。しかし、空洞ができていることにより、溶接領域9に占める銅の割合は少なくなり、十分な接合強度と導電性とを確保しているとは言い難い。
図4に、CO2レーザ10を1回照射した後IRレーザ20を1回照射し、照射後の2つのマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接した後の溶接領域9を示す。図4(c)においては、図3(c)と比較して、ほとんどが白っぽく写っていることから、溶接領域9のほとんどが銅(心線2)であり、空洞がない、すなわち、溶接時に残渣7による爆飛がなかったことが示されている。このように、CO2レーザ10を照射した後IRレーザ20を照射することにより、剥離領域4から絶縁被膜3と残渣7とをほとんど剥離し、心線2の銅だけを露出させることができる。そして、残渣7を含まず銅だけを露出させた心線2を有する2つのマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接すると、十分な溶接面積を確保して溶接領域9の接合強度と導電性とを確保することができる。
ここで、レーザ溶接とTIG(Tungsten Inert Gas)溶接の溶接時の現象を比較する。残渣7が残存したマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接するときに溶接箇所8が爆飛するのは、レーザ溶接が高密度エネルギーで物質を溶融及び蒸発させる方法なので(キーホール溶接)、沸点が異なる心線2の銅と絶縁被膜3(残渣7)とでは銅が液体で絶縁被膜3(残渣7)が気体となる温度が存在し、この温度では、気化した絶縁被膜3(残渣7)が膨張して、溶融状態の銅を巻き上げて爆飛してしまう。これにより本来銅同士で溶接されるべき箇所が爆飛による空洞となり、銅同士が接合される面積が、残渣7が残存していない場合と比較して少なくなってしまう。
一方、TIG溶接では、熱伝導で溶接するので、心線2(銅)、絶縁被膜3(残渣7)ともに溶融状態のままで溶接される。この場合、異物である絶縁被膜3(残渣7)が含まれた状態で溶接したとしても、溶融された銅の中に異物が含まれるだけで、爆飛などの急激な溶接の不具合が発生しにくい。しかし、TIG溶接では、レーザ溶接に比べて時間がかかり、母材の熱歪みや溶接焼けが発生するおそれがある。そのため、溶接時間が短く、母材への熱の影響が少ない点で、レーザ溶接を採用するメリットがある。しかし、上述したように、レーザ溶接において溶接箇所8の接合強度と導電性とを確保するためには、溶接時に対向する面(剥離領域4)において、絶縁被膜3(残渣7)を完全に剥離することが必要となる。
次に、CO2レーザ10の照射では、一部の絶縁被膜3が蒸発せずに炭化して残渣7として残存したままとなり、その後のIRレーザ20の照射により残渣7が完全に剥離されたことを示す。図5に、種々の剥離方法で絶縁被膜3を剥離した剥離領域4の表面をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用いて表面の元素を分析したときの元素比率の結果を示す。図5(a)は、剥離方法を比較する基準として、機械によって絶縁被膜3を剥離したときの剥離領域4の表面の分析結果を示す。表面の元素は、銅が約82%、酸素、炭素、及び窒素の合計が約3%となっている。酸素、炭素、及び窒素はポリイミドからなる絶縁被膜3(残渣7)に含まれる元素であり、これらの合計が剥離領域4に残存する絶縁被膜3(残渣7)の比率である。機械によって絶縁被膜3を剥離したマグネットワイヤ1,1をレーザ溶接すると、溶接箇所8が必要十分な溶接面積、接合強度、及び、導電性を有することが分かっている。
図5(b)には、CO2レーザ10を1回照射して絶縁被膜3を剥離した剥離領域4の表面の分析結果が示されている。これによると、剥離領域4の表面において、銅が約25%である一方、残渣7である酸素、炭素、及び窒素の合計が約38%となっている。これより、CO2レーザ10の1回照射では、図5(a)の機械剥離と比べて、剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)を十分に剥離できておらず、残渣7が残存していることが理解される。
CO2レーザ10の1回照射では絶縁被膜3を十分に剥離できなかったので、更にCO2レーザ10を照射して、絶縁被膜3(残渣7)の完全剥離を試みる。すなわち、CO2レーザ10を2回照射する。図5(d)には、CO2レーザ10を2回照射して絶縁被膜3を剥離した剥離領域4の表面の分析結果が示されている。これによると、剥離領域4の表面において、銅が約59%、酸素、炭素、及び窒素の合計が約21%となっている。これより、CO2レーザ10の1回照射よりは改善されたものの、依然として、機械剥離と同程度まで剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)が剥離されず、残渣7が残存していることが理解される。
そこで、CO2レーザ10の1回照射の後でIRレーザ20を1回照射して、絶縁被膜3(残渣7)の完全剥離を試みる。図5(c)には、CO2レーザ10を1回照射(図5(b)の剥離領域4)した後、IRレーザ20を1回照射して絶縁被膜3を剥離した剥離領域4の表面の分析結果が示されている。これによると、剥離領域4の表面において、銅が約80%、酸素、炭素、及び窒素の合計が約3%となっている。これより、CO2レーザ10を1回照射した後、IRレーザ20を1回照射すると、機械剥離と同程度まで剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)が剥離されることが理解される。
更に比較として、図5(e)には、CO2レーザ10を2回照射(図5(d)の剥離領域4)した後、IRレーザ20を1回照射して絶縁被膜3を剥離した剥離領域4の表面の分析結果が示されている。これによると、剥離領域4の表面において、銅が約81%、酸素、炭素、及び窒素の合計が約3%となっている。これより、CO2レーザ10を2回照射した後、IRレーザ20を1回照射すると、機械剥離と同程度まで剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)が剥離されることが理解される。また、IRレーザ20を照射する前のCO2レーザ10の照射回数は、1回(図5(b))でも2回(図5(d))でも差がないことが理解される。これより、生産性やコストを考慮すると、図5(c)に示すCO2レーザ10を1回照射した後、IRレーザ20を1回照射して絶縁被膜3を剥離する工程が最善であることが理解される。
〔レーザ溶接方法〕
図6に示すように、CO2レーザ10の1回照射の後でIRレーザ20を1回照射した2つのマグネットワイヤ1,1の夫々の剥離領域4を対向させ、先端を当接させた状態で、当該当接箇所にグリーンレーザ30を照射する(溶接工程)。図2に示すように、グリーンレーザ30の波長である532nmでは、銅のエネルギー吸収率は約40%であり、CO2レーザ10、IRレーザ20の銅のエネルギー吸収率と比べて高い。そこで、グリーンレーザ30を用いることにより、効率よく溶接を行うことができる。これらのマグネットワイヤ1,1においては、剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)が機械剥離と同程度まで剥離されているので、溶接時の爆飛による空洞ができることもない。その結果、溶接箇所8が必要十分な溶接面積、接合強度、及び、導電性を有している。
図6に示すように、CO2レーザ10の1回照射の後でIRレーザ20を1回照射した2つのマグネットワイヤ1,1の夫々の剥離領域4を対向させ、先端を当接させた状態で、当該当接箇所にグリーンレーザ30を照射する(溶接工程)。図2に示すように、グリーンレーザ30の波長である532nmでは、銅のエネルギー吸収率は約40%であり、CO2レーザ10、IRレーザ20の銅のエネルギー吸収率と比べて高い。そこで、グリーンレーザ30を用いることにより、効率よく溶接を行うことができる。これらのマグネットワイヤ1,1においては、剥離領域4の絶縁被膜3(残渣7)が機械剥離と同程度まで剥離されているので、溶接時の爆飛による空洞ができることもない。その結果、溶接箇所8が必要十分な溶接面積、接合強度、及び、導電性を有している。
なお、本実施形態においては、マグネットワイヤ1は平角線であったが、丸線を用いてもよく、マグネットワイヤ1の断面形状は限定されない。
本発明は、絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法に利用することができる。
1 :マグネットワイヤ(導線)
2 :心線
3 :絶縁被膜
4 :剥離領域
10 :CO2レーザ
20 :IRレーザ(赤外線レーザ)
30 :グリーンレーザ(可視光レーザ)
2 :心線
3 :絶縁被膜
4 :剥離領域
10 :CO2レーザ
20 :IRレーザ(赤外線レーザ)
30 :グリーンレーザ(可視光レーザ)
Claims (2)
- 心線が絶縁被膜によって覆われた導線から前記絶縁被膜を剥離する絶縁被膜剥離方法であって、
前記導線にCO2レーザを照射するCO2レーザ照射工程と、
前記導線の前記CO2レーザを照射した箇所である剥離領域に、波長が1μm以上2μm以下の赤外線レーザを照射する赤外線レーザ照射工程と、
を含む絶縁被膜剥離方法。 - 心線が絶縁被膜によって覆われた2つの導線をレーザにより溶接するレーザ溶接方法であって、
2つの前記導線の夫々にCO2レーザを照射するCO2レーザ照射工程と、
2つの前記導線の夫々の前記CO2レーザを照射した箇所である剥離領域に、波長が1μm以上2μm以下の赤外線レーザを照射する赤外線レーザ照射工程と、
2つの前記導線の前記赤外線レーザを照射した箇所を互いに対向させて、当該対向させた箇所に可視光レーザを照射して2つの前記導線を溶接する溶接工程と、
を含むレーザ溶接方法。
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JP2022055980A JP2023148116A (ja) | 2022-03-30 | 2022-03-30 | 絶縁被膜剥離方法及びレーザ溶接方法 |
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- 2022-03-30 JP JP2022055980A patent/JP2023148116A/ja active Pending
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