JP2023146351A - 全方向移動体の走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】下り坂における全方向移動体の停止距離を短縮することができる全方向移動体の走行制御装置を提供する。
【解決手段】走行制御装置10は、4つの車輪3をそれぞれ独立に回転駆動する4つの走行モータ11と、全方向移動ロボット1を走行させるように走行モータ11を制御する走行制御部16と、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかを検知する下り坂検知部17と、全方向移動ロボット1の向きを設定する向き設定部18とを備え、向き設定部18は、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されたときは、全方向移動ロボット1の向きを4つの車輪3のうち対向する2つの車輪3が駆動される2輪駆動状態の向きに設定する。
【選択図】図3
【解決手段】走行制御装置10は、4つの車輪3をそれぞれ独立に回転駆動する4つの走行モータ11と、全方向移動ロボット1を走行させるように走行モータ11を制御する走行制御部16と、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかを検知する下り坂検知部17と、全方向移動ロボット1の向きを設定する向き設定部18とを備え、向き設定部18は、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されたときは、全方向移動ロボット1の向きを4つの車輪3のうち対向する2つの車輪3が駆動される2輪駆動状態の向きに設定する。
【選択図】図3
Description
本発明は、全方向移動体の走行制御装置に関する。
全方向移動体の走行制御装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の走行制御装置は、4つの車輪を有する全方向移動台車に搭載されている。走行制御装置は、4つの車輪をそれぞれ独立に駆動する4つの駆動モータと、全方向移動台車の3自由度方向の目標速度を設定入力するための入力器と、入力器で設定入力された3自由度方向の目標速度に基づいて各車輪の目標回転速度をそれぞれ求め、この目標回転速度に応じて各駆動モータをそれぞれ制御する駆動制御コントローラとを備えている。
全方向に移動可能な全方向移動体は、車輪を回転させるモータの駆動効率の観点から、通常は4つの車輪が全て駆動される4輪駆動状態で走行する。この場合、例えば下り坂の走行時に全方向移動体の進行方向に障害物が存在すると、全方向移動体の走行を非常停止させる。このとき、全方向移動体を急減速させても全方向移動体の進行方向に対して後側の車輪が浮かないように、全方向移動体の減速度を下げる必要がある。しかし、全方向移動体の減速度を下げると、全方向移動体の停止距離が長くなってしまう。
本発明の目的は、下り坂における全方向移動体の停止距離を短縮することができる全方向移動体の走行制御装置を提供することである。
本発明の一態様は、4つの車輪を有し全方向に移動可能な全方向移動体の走行制御装置において、4つの車輪をそれぞれ独立に回転駆動する4つの走行モータと、全方向移動体を走行させるように走行モータを制御する走行制御部と、全方向移動体が下り坂を走行するかどうかを検知する下り坂検知部と、全方向移動体の向きを設定する設定部とを備え、設定部は、下り坂検知部により全方向移動体が下り坂を走行することが検知されたときは、全方向移動体の向きを4つの車輪のうち対向する2つの車輪が駆動される2輪駆動状態の向きに設定し、走行制御部は、設定部により全方向移動体の向きが4つの車輪が駆動される4輪駆動状態の向きに設定されたときは、全方向移動体を4輪駆動状態で走行させるように走行モータを制御し、設定部により全方向移動体の向きが2輪駆動状態の向きに設定されたときは、全方向移動体を2輪駆動状態で走行させるように走行モータを制御する。
このような走行制御装置においては、全方向移動体が下り坂を走行することが検知されると、全方向移動体の向きは、4つの車輪のうち対向する2つの車輪が駆動される2輪駆動状態の向きに設定される。そして、全方向移動体は、下り坂を2輪駆動状態で走行する。ここで、2輪駆動状態では、4つの車輪が駆動される4輪駆動状態よりも全方向移動体のホイールベースが長いため、下り坂において全方向移動体を急減速させても、4輪駆動状態に比べて全方向移動体の進行方向に対して後側の車輪が浮きにくい。従って、下り坂において全方向移動体の走行を停止させる際に、全方向移動体の減速度を上げることができる。これにより、下り坂における全方向移動体の停止距離を短縮することができる。また、全方向移動体の速度及び減速度を下げずに済むため、全方向移動体の走行停止時のサイクルタイムを短縮することもできる。
設定部は、全方向移動体が4輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部により全方向移動体が下り坂を走行することが検知されると、全方向移動体を旋回させることで全方向移動体の向きを4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータを制御してもよい。
このような構成では、全方向移動体が4輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動体が下り坂を走行することが検知されても、全方向移動体が旋回することで、全方向移動体の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きにスムーズに切り替わる。
走行制御装置は、全方向移動体が走行するエリアの地図データを記憶する地図データ記憶部を更に備え、下り坂検知部は、地図データ記憶部に記憶された地図データに基づいて、全方向移動体が下り坂を走行するかどうかを検知してもよい。
このような構成では、全方向移動体が下り坂を走行していることを検出するセンサ等が不要となる。従って、全方向移動体が下り坂を走行するかどうかの検知を安価に実現することができる。
下り坂検知部は、地図データに基づいて、全方向移動体が下り坂の手前に達したかどうかを判断し、設定部は、全方向移動体が4輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部により全方向移動体が下り坂の手前に達したと判断されると、下り坂の手前において全方向移動体を旋回させることで全方向移動体の向きを4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータを制御してもよい。
このような構成では、全方向移動体が4輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動体が下り坂の手前に達すると、下り坂の手前において全方向移動体が旋回することで、全方向移動体の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替わる。このため、下り坂の始点から全方向移動体が下り坂を2輪駆動状態で走行することとなる。従って、全方向移動体が下り坂を安定して走行するようになる。
走行制御装置は、全方向移動体の傾き角を検出する傾き角検出部を更に備え、下り坂検知部は、傾き角検出部により検出された全方向移動体の傾き角に基づいて、全方向移動体が下り坂を走行しているかどうかを判断してもよい。
このような構成では、地図データを使用しないで全方向移動体を自律走行させる場合でも、全方向移動体が下り坂を走行するかどうかを検知することができる。
走行制御装置は、全方向移動体の進行方向に障害物が存在するかどうかを検知する障害物検知部と、下り坂検知部により全方向移動体が下り坂を走行していることが検知されたときに、障害物検知部により全方向移動体の進行方向に障害物が存在することが検知されると、全方向移動体の走行を停止させるように走行モータを制御する停止制御部とを更に備えてもよい。
このような構成では、全方向移動体が下り坂を2輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動体の進行方向に障害物が存在することが検知されると、全方向移動体の走行が強制的に停止する。このとき、上述したように全方向移動体の減速度を上げることができる。従って、下り坂において全方向移動体の進行方向に障害物が検知されても、全方向移動体を短い距離で停止させることができる。
本発明によれば、下り坂における全方向移動体の停止距離を短縮することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図中、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る走行制御装置を具備した全方向移動体である全方向移動ロボットを示す側面図である。図2は、図1に示された全方向移動ロボットの裏面図である。
図1及び図2において、全方向移動ロボット1は、例えばピッキング作業で使用され、荷物Mを搬送する自律走行ロボットである。ピッキング作業では、全方向移動ロボット1が作業者(図示せず)を追尾しながら、作業者が全方向移動ロボット1に荷物Mを積載する。全方向移動ロボット1は、水平面内の全方向に移動可能な全方向移動体である。水平面内の全方向は、前後方向、左右方向、斜め方向及び旋回方向である。
全方向移動ロボット1は、車体であるロボット本体2と、このロボット本体2の前後左右に配置された4つの車輪3とを備えている。ロボット本体2は、略円柱状の基台4と、この基台4の上方に配置された上下2段の荷台5,6とを有している。荷台5,6の載置面5a,6aには、荷物Mが置かれる。荷台6は、基台4に取り付けられている。荷台5は、荷台6に取り付けられている。
車輪3は、例えば45度オムニホイールである。車輪3は、ロボット本体2の基台4に回転可能に取り付けられている。車輪3は、基台4の周方向に沿って等間隔に配置されている。隣り合う車輪3同士は、互いに垂直な方向を向くように配置されている。
図3は、本発明の第1実施形態に係る走行制御装置の構成を示すブロック図である。図3において、本実施形態の走行制御装置10は、全方向移動ロボット1に搭載されている。走行制御装置10は、全方向移動ロボット1を自律走行させる装置である。具体的には、走行制御装置10は、全方向移動ロボット1の荷台5,6に荷物Mが積載された後、全方向移動ロボット1を目的地まで自動的に走行させる。
走行制御装置10は、4つの走行モータ11と、指示スイッチ12と、2つのレーザセンサ13と、地図データ記憶部14と、コントローラ15とを備えている。
走行モータ11は、各車輪3をそれぞれ独立に回転駆動する。走行モータ11は、基台4に取り付けられている。走行モータ11は、車輪3よりも基台4の径方向内側に配置されている(図2参照)。
指示スイッチ12は、特に図示はしないが、例えばロボット本体2の荷台6に備えられている。指示スイッチ12は、作業者が全方向移動ロボット1の自律走行の開始を指示するための手動操作スイッチである。
レーザセンサ13は、基台4の上面に取り付けられている(図1参照)。レーザセンサ13は、全方向移動ロボット1が4輪駆動状態(後述)にあるときの前端部及び後端部に配置されている。レーザセンサ13は、全方向移動ロボット1の周囲に向けてレーザを照射し、レーザの反射光を受光することにより、全方向移動ロボット1の周囲に存在する物体を検出する。レーザセンサ13としては、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)またはレーザレンジファインダ等が使用される。
地図データ記憶部14は、全方向移動ロボット1が走行するエリアの地図データを記憶する。地図データには、棚、壁及び柱等といった物体のデータだけでなく、坂道等のデータも含まれている。
コントローラ15は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ15は、走行制御部16と、下り坂検知部17と、向き設定部18と、障害物判定部19と、停止制御部20とを有している。
走行制御部16は、指示スイッチ12により全方向移動ロボット1の自律走行の開始が指示されると、レーザセンサ13の検出データ及び地図データ記憶部14に記憶された地図データに基づいて、全方向移動ロボット1を走行させるように走行モータ11を制御する。
具体的には、走行制御部16は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、レーザセンサ13の検出データと地図データ記憶部14に記憶された地図データとをマッチングさせて全方向移動ロボット1の自己位置を推定し、全方向移動ロボット1を目的地に向かって走行させるように走行モータ11を制御する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置推定を行う自己位置推定技術である。
全方向移動ロボット1は、通常は図4(a)に示されるように、走行モータ11の駆動効率の観点から、4輪駆動状態で走行する。4輪駆動状態は、4つの車輪3全てが全方向移動ロボット1の進行方向Aに相当する方向Bに回転駆動される状態である。4輪駆動状態での走行は、並進と称される。
なお、4輪駆動状態では、4つの車輪3の回転速度を変えることで、全方向移動ロボット1の向きを変えずに、全方向移動ロボット1が水平方向360度どの方向にも進むことが可能である。ただし、走行モータ11により4つの車輪3を全て同じ速度で回転させることで、全方向移動ロボット1を最も効率良く4輪駆動状態で走行させることができる。
また、全方向移動ロボット1は、図4(c)に示されるように、2輪駆動状態で走行することも可能である。2輪駆動状態は、4つの車輪3のうち対向する2つの車輪3が全方向移動ロボット1の進行方向Aに相当する方向Bに回転駆動され、他の2つの車輪3は回転駆動されない状態である。このとき、全方向移動ロボット1の進行方向Aに垂直な軸心を有する2つの車輪3のみが回転駆動される。2輪駆動状態での走行は、斜行と称される。
走行制御部16は、後述する向き設定部18により全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きに設定されたときは、全方向移動ロボット1を4輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する。走行制御部16は、後述する向き設定部18により全方向移動ロボット1の向きが2輪駆動状態の向きに設定されたときは、全方向移動ロボット1を2輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する。
下り坂検知部17は、地図データ記憶部14に記憶された地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂S(図7参照)を走行するかどうかを検知する。具体的には、下り坂検知部17は、地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達したかどうかを判断する。また、下り坂検知部17は、地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったかどうかを判断する。
向き設定部18は、全方向移動ロボット1の向きを設定する。向き設定部18は、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されたときは、全方向移動ロボット1の向きを2輪駆動状態の向きに設定する。
向き設定部18は、全方向移動ロボット1が4輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されると、全方向移動ロボット1を旋回させることで全方向移動ロボット1の向きを4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータ11を制御する。
具体的には、向き設定部18は、全方向移動ロボット1が4輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達したと判断されると、下り坂Sの手前において全方向移動ロボット1を旋回させることで全方向移動ロボット1の向きを4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータ11を制御する。
全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きとなっている(図4(a)参照)ときに、図4(b)に示されるように、4つの車輪3全てを基台4の周方向に沿って同じ方向Cに回転させることで、全方向移動ロボット1を45度だけ旋回させると、全方向移動ロボット1の向きが2輪駆動状態の向きとなる(図4(c)参照)となる。
また、向き設定部18は、全方向移動ロボット1が2輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しないことが検知されると、全方向移動ロボット1を旋回させることで全方向移動ロボット1の向きを2輪駆動状態の向きから4輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータ11を制御する。
具体的には、向き設定部18は、全方向移動ロボット1が2輪駆動状態で走行しているときに、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったと判断されると、全方向移動ロボット1を旋回させることで全方向移動ロボット1の向きを2輪駆動状態の向きから4輪駆動状態の向きに切り替えるように走行モータ11を制御する。
障害物判定部19は、レーザセンサ13の検出データに基づいて、全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物X(図7参照)が存在するかどうかを判定する。障害物Xは、作業者、荷物または他の全方向移動ロボット1等である。障害物判定部19は、レーザセンサ13と協働して、全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在するかどうかを検知する障害物検知部を構成する。
停止制御部20は、下り坂検知部17により全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行していることが検知されたときに、障害物判定部19により全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在することが検知されると、全方向移動ロボット1の走行を停止させるように走行モータ11を制御する。
図5は、コントローラ15により実行される走行制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、作業者により指示スイッチ12がON操作されると、実行される。なお、本処理では、平坦な作業場において全方向移動ロボット1が4輪駆動状態の向きで停止しているときに、指示スイッチ12がON操作される。そして、全方向移動ロボット1は、途中に下り坂S(図7参照)が存在する走行経路を目的地に向かって走行する。また、全方向移動ロボット1の自己位置の推定は、常時行われる。
図5において、コントローラ15は、まず地図データ記憶部14に記憶された地図データを取得する(手順S101)。続いて、図4(a)に示されるように、全方向移動ロボット1を4輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する(手順S102)。
続いて、コントローラ15は、地図データと全方向移動ロボット1の自己位置とに基づいて、全方向移動ロボット1が目的地に到達したかどうかを判断する(手順S103)。コントローラ15は、全方向移動ロボット1が目的地に到達していないと判断したときは、地図データと全方向移動ロボット1の自己位置とに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達したかどうかを判断する(手順S104)。コントローラ15は、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達していないと判断したときは、上記の手順S103を再度実行する。
コントローラ15は、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達したと判断したときは、図4(b),(c)に示されるように、下り坂Sの手前において全方向移動ロボット1を45度だけ旋回させるように走行モータ11を制御する(手順S105)。これにより、下り坂Sの手前の平地または上り坂において、全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替わる。そして、コントローラ15は、全方向移動ロボット1を2輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する(手順S106)。
続いて、コントローラ15は、地図データと全方向移動ロボット1の自己位置とに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったかどうかを判断する(手順S107)。コントローラ15は、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったと判断したときは、全方向移動ロボット1を45度だけ旋回させるように走行モータ11を制御する(手順S108)。これにより、下り坂Sの通過後の平地または上り坂において、全方向移動ロボット1の向きが2輪駆動状態の向きから4輪駆動状態の向きに切り替わる。そして、コントローラ15は、上記の手順S102を再度実行する。
コントローラ15は、手順S103で全方向移動ロボット1が目的地に到達したと判断したときは、全方向移動ロボット1の走行を停止させるように走行モータ11を制御し(手順S109)。本処理を終了する。
ここで、走行制御部16は、上記の手順S101~S103,S106,S109を実行する。下り坂検知部17は、上記の手順S104,S107を実行する。向き設定部18は、上記の手順S105,S108を実行する。
図6は、コントローラ15により実行される停止制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理も、指示スイッチ12がON操作されると、実行される。
図6において、コントローラ15は、まず地図データ記憶部14に記憶された地図データを取得する(手順S111)。そして、コントローラ15は、地図データと全方向移動ロボット1の自己位置とに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかを判断する(手順S112)。
コントローラ15は、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行していると判断したときは、レーザセンサ13の検出データを取得する(手順S113)。そして、コントローラ15は、レーザセンサ13の検出データに基づいて、全方向移動ロボット1の進行方向に障害物X(図7参照)が存在しているかどうかを判断する(手順S114)。コントローラ15は、全方向移動ロボット1の進行方向に障害物Xが存在していないと判断したときは、上記の手順S112を再度実行する。
コントローラ15は、全方向移動ロボット1の進行方向に障害物Xが存在していると判断したときは、全方向移動ロボット1の走行を非常停止させるように走行モータ11を制御する(手順S115)。これにより、全方向移動ロボット1は、障害物Xの手前において非常停止する。
ここで、下り坂検知部17は、上記の手順S111,S112を実行する。障害物判定部19は、上記の手順S113,S114を実行する。停止制御部20は、上記の手順S115を実行する。
ところで、全方向移動ロボット1が下り坂Sを4輪駆動状態で走行(並進)する場合には、以下の課題が発生する。即ち、図7に示されるように、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているときに、全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在すると、レーザセンサ13から照射されるレーザLにより障害物Xが検知され、全方向移動ロボット1が減速して非常停止する。
ただし、全方向移動ロボット1の4輪駆動状態では、全方向移動ロボット1のホイールベースWが短い(図4(a)参照)。ホイールベースWは、全方向移動ロボット1の進行方向Aに対して前後の車輪3間の距離である。このため、下り坂Sにおける全方向移動ロボット1の急減速時に、全方向移動ロボット1の進行方向Aに対して後側の車輪3が下り坂Sの路面から浮かないように、全方向移動ロボット1の速度または減速度を落とす必要がある。しかし、この場合には、全方向移動ロボット1の走行を停止させる際のサイクルタイムが長くなる。また、全方向移動ロボット1の減速度を落とすと、全方向移動ロボット1の停止距離が長くなってしまう。
そのような課題に対し、本実施形態では、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されると、全方向移動ロボット1の向きは、4つの車輪3のうち対向する2つの車輪3が駆動される2輪駆動状態の向きに設定される。そして、全方向移動ロボット1は、下り坂Sを2輪駆動状態で走行する。ここで、2輪駆動状態では、4つの車輪3が駆動される4輪駆動状態よりも全方向移動ロボット1のホイールベースWが長い(図4(c)参照)ため、下り坂Sにおいて全方向移動ロボット1を急減速させても、4輪駆動状態に比べて全方向移動ロボット1の進行方向Aに対して後側の車輪3が浮きにくい。従って、下り坂において全方向移動ロボット1の走行を停止させる際に、全方向移動ロボット1の減速度を上げることができる。これにより、下り坂Sにおける全方向移動ロボット1の停止距離を短縮することができる。また、全方向移動ロボット1の速度及び減速度を下げずに済むため、全方向移動ロボット1の走行停止時のサイクルタイムを短縮することもできる。
また、本実施形態では、全方向移動ロボット1が4輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されても、全方向移動ロボット1が旋回することで、全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きにスムーズに切り替わる。
また、本実施形態では、全方向移動ロボット1が走行するエリアの地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかが検知される。このため、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行していることを検出するセンサ等が不要となる。従って、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかの検知を安価に実現することができる。
また、本実施形態では、全方向移動ロボット1が4輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達すると、下り坂Sの手前において全方向移動ロボット1が旋回することで、全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替わる。このため、下り坂Sの始点から全方向移動ロボット1が下り坂Sを2輪駆動状態で走行することとなる。従って、全方向移動ロボット1が下り坂Sを安定して走行するようになる。
また、本実施形態では、全方向移動ロボット1が下り坂Sを2輪駆動状態で走行しているときに、全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在することが検知されると、全方向移動ロボット1の走行が強制的に停止する。このとき、上述したように全方向移動ロボット1の減速度を上げることができる。従って、下り坂Sにおいて全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが検知されても、全方向移動ロボット1を短い距離で停止させることができる。
図8は、本発明の第2実施形態に係る走行制御装置の構成を示すブロック図である。図8において、本実施形態では、SLAM手法を用いて全方向移動ロボット1の自己位置を推定して全方向移動ロボット1を走行させるのではなく、走行路の路面に設置された磁気テープ(図示せず)に沿って全方向移動ロボット1を走行させる。
図8において、本実施形態の走行制御装置10Aは、上記の第1実施形態における地図データ記憶部14に代えて、磁気センサ25及びジャイロセンサ26を備えている。磁気センサ25は、走行路の路面に設置された磁気テープを検出する。ジャイロセンサ26は、全方向移動ロボット1の傾き角を検出する傾き角検出部である。
また、走行制御装置10Aは、上記の第1実施形態におけるコントローラ15に代えて、コントローラ15Aを備えている。コントローラ15Aは、走行制御部16Aと、下り坂検知部17Aと、上記の向き設定部18、障害物判定部19及び停止制御部20とを有している。
走行制御部16Aは、指示スイッチ12により全方向移動ロボット1の自律走行の開始が指示されると、磁気センサ25の検出データに基づいて、全方向移動ロボット1を走行させるように走行モータ11を制御する。具体的には、走行制御部16Aは、磁気センサ25の検出データに基づいて全方向移動ロボット1の自己位置を推定し、全方向移動ロボット1を目的地に向かって走行させるように走行モータ11を制御する。
下り坂検知部17Aは、ジャイロセンサ26により検出された全方向移動ロボット1の傾き角に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかを検知する。具体的には、下り坂検知部17Aは、全方向移動ロボット1の傾き角に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかを判断する。また、下り坂検知部17Aは、全方向移動ロボット1の傾き角に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったかどうかを判断する。
図9は、コントローラ15Aにより実行される走行制御処理の手順を示すフローチャートであり、図5に対応している。
図9において、コントローラ15Aは、まず全方向移動ロボット1を4輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する(手順S121)。続いて、コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1の自己位置に基づいて、全方向移動ロボット1が目的地に到達したかどうかを判断する(手順S122)。
コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1が目的地に到達していないと判断したときは、ジャイロセンサ26の検出値を取得する(手順S123)。そして、コントローラ15Aは、ジャイロセンサ26の検出値に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかを判断する(手順S124)。コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行していないと判断したときは、上記の手順S122を再度実行する。
コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行していると判断したときは、全方向移動ロボット1を45度だけ旋回させるように走行モータ11を制御する(手順S125)。続いて、コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1を2輪駆動状態で走行させるように走行モータ11を制御する(手順S126)。
続いて、コントローラ15Aは、ジャイロセンサ26の検出値を取得する(手順S127)。そして、コントローラ15Aは、ジャイロセンサ26の検出値に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったかどうかを判断する(手順S128)。コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきっていないと判断したときは、上記の手順S127を再度実行する。
コントローラ15Aは、全方向移動ロボット1が下り坂Sを下りきったと判断したときは、全方向移動ロボット1を45度だけ旋回させるように走行モータ11を制御し(手順S129)、上記の手順S121を再度実行する。
コントローラ15Aは、手順S122で全方向移動ロボット1が目的地に到達したと判断したときは、全方向移動ロボット1の走行を停止させるように走行モータ11を制御し(手順S130)。本処理を終了する。
ここで、走行制御部16Aは、上記の手順S121,S122,S126,S130を実行する。下り坂検知部17Aは、上記の手順S123,S124,S127,S128を実行する。向き設定部18は、上記の手順S125,S129を実行する。
以上のように本実施形態においても、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行することが検知されると、全方向移動ロボット1の向きは、4つの車輪3のうち対向する2つの車輪3が駆動される2輪駆動状態の向きに設定される。そして、全方向移動ロボット1は、下り坂Sを2輪駆動状態で走行する。このため、上記の第1実施形態と同様に、下り坂Sにおける全方向移動ロボット1の停止距離を短縮することができる。
また、本実施形態では、全方向移動ロボット1の傾き角に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかが判断される。従って、地図データを使用しないで全方向移動ロボット1を自律走行させる場合でも、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかを検知することができる。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記の第1実施形態では、全方向移動ロボット1が下り坂Sの手前に達したときに、下り坂Sの手前において全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り換えられているが、特にそのような形態には限られない。例えば、地図データ記憶部14に記憶された地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかを判断し、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行している途中で、全方向移動ロボット1の向きを4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えてもよい。
また、上記実施形態では、全方向移動ロボット1の自律走行開始地点が平地であることから、まず全方向移動ロボット1は4輪駆動状態で走行し、全方向移動ロボット1が下り坂Sに差し掛かると、全方向移動ロボット1の向きが4輪駆動状態の向きから2輪駆動状態の向きに切り替えられているが、特にそのような形態には限られない。例えば、全方向移動ロボット1の自律走行開始地点が下り坂Sの途中または下り坂Sの手前である場合は、全方向移動ロボット1をその場旋回させたり、全方向移動ロボット1を走行させながら旋回させることで、全方向移動ロボット1の向きを2輪駆動状態の向きに設定してから、全方向移動ロボット1を2輪駆動状態で走行させてもよい。
また、全方向移動ロボット1が下り坂Sに差し掛かるまで、全方向移動ロボット1を2輪駆動状態で走行させてもよい。この場合には、全方向移動ロボット1が下り坂Sに差し掛かっても、全方向移動ロボット1を旋回させなくて済む。
また、上記実施形態では、全方向移動ロボット1の目的地も平地であるが、特にその形態には限られず、全方向移動ロボット1の目的地が下り坂または上り坂であってもよい。全方向移動ロボット1の目的地が下り坂である場合でも、全方向移動ロボット1を短い距離で目的地に停止させることができる。
また、上記実施形態では、レーザセンサ13により全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在するかどうかが検知されているが、特にその形態には限られず、カメラ等を用いて全方向移動ロボット1の進行方向Aに障害物Xが存在するかどうかを検知してもよい。
また、上記実施形態では、レーザセンサ13の検出データによるSLAM手法または磁気テープを用いて、全方向移動ロボット1の自己位置が推定されているが、特にそのような形態には限られない。全方向移動ロボット1の自己位置を推定する手法としては、例えばカメラの画像データによるSLAM手法、全方向移動ロボット1の移動量及び移動方向を検出するオドメトリセンサ、或いは全方向移動ロボット1の角速度及び加速度を計測する慣性計測ユニット(IMU)等を用いてもよい。
カメラの画像データによるSLAM手法を採用する場合は、上記の第1実施形態と同様に、地図データに基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行するかどうかを検知する。オドメトリセンサまたは慣性計測ユニットを採用する場合は、自己位置の推定に地図データが使用されないため、上記の第2実施形態と同様に、ジャイロセンサ26により検出された全方向移動ロボット1の傾き角等に基づいて、全方向移動ロボット1が下り坂Sを走行しているかどうかを検知する。
また、上記実施形態は、荷物Mを搬送する全方向移動ロボット1の自律走行を制御する走行制御装置であるが、本発明は、荷物Mの搬送以外にも、4つの車輪を有し全方向に移動可能な全方向移動体であれば適用可能である。
1…全方向移動ロボット(全方向移動体)、3…車輪、10,10A…走行制御装置、11…走行モータ、13…レーザセンサ(障害物検知部)、14…地図データ記憶部、16,16A…走行制御部、17,17A…下り坂検知部、18…向き設定部(設定部)、19…障害物判定部(障害物検知部)、20…停止制御部、26…ジャイロセンサ(傾き角検出部)、A…進行方向、S…下り坂、X…障害物。
Claims (6)
- 4つの車輪を有し全方向に移動可能な全方向移動体の走行制御装置において、
前記4つの車輪をそれぞれ独立に回転駆動する4つの走行モータと、
前記全方向移動体を走行させるように前記走行モータを制御する走行制御部と、
前記全方向移動体が下り坂を走行するかどうかを検知する下り坂検知部と、
前記全方向移動体の向きを設定する設定部とを備え、
前記設定部は、前記下り坂検知部により前記全方向移動体が前記下り坂を走行することが検知されたときは、前記全方向移動体の向きを前記4つの車輪のうち対向する2つの車輪が駆動される2輪駆動状態の向きに設定し、
前記走行制御部は、前記設定部により前記全方向移動体の向きが前記4つの車輪が駆動される4輪駆動状態の向きに設定されたときは、前記全方向移動体を前記4輪駆動状態で走行させるように前記走行モータを制御し、前記設定部により前記全方向移動体の向きが前記2輪駆動状態の向きに設定されたときは、前記全方向移動体を前記2輪駆動状態で走行させるように前記走行モータを制御する全方向移動体の走行制御装置。 - 前記設定部は、前記全方向移動体が前記4輪駆動状態で走行しているときに、前記下り坂検知部により前記全方向移動体が前記下り坂を走行することが検知されると、前記全方向移動体を旋回させることで前記全方向移動体の向きを前記4輪駆動状態の向きから前記2輪駆動状態の向きに切り替えるように前記走行モータを制御する請求項1記載の全方向移動体の走行制御装置。
- 前記全方向移動体が走行するエリアの地図データを記憶する地図データ記憶部を更に備え、
前記下り坂検知部は、前記地図データ記憶部に記憶された前記地図データに基づいて、前記全方向移動体が前記下り坂を走行するかどうかを検知する請求項1または2記載の全方向移動体の走行制御装置。 - 前記下り坂検知部は、前記地図データに基づいて、前記全方向移動体が前記下り坂の手前に達したかどうかを判断し、
前記設定部は、前記全方向移動体が前記4輪駆動状態で走行しているときに、前記下り坂検知部により前記全方向移動体が前記下り坂の手前に達したと判断されると、前記下り坂の手前において前記全方向移動体を旋回させることで前記全方向移動体の向きを前記4輪駆動状態の向きから前記2輪駆動状態の向きに切り替えるように前記走行モータを制御する請求項3記載の全方向移動体の走行制御装置。 - 前記全方向移動体の傾き角を検出する傾き角検出部を更に備え、
前記下り坂検知部は、前記傾き角検出部により検出された前記全方向移動体の傾き角に基づいて、前記全方向移動体が前記下り坂を走行しているかどうかを検知する請求項1または2記載の全方向移動体の走行制御装置。 - 前記全方向移動体の進行方向に障害物が存在するかどうかを検知する障害物検知部と、
前記下り坂検知部により前記全方向移動体が前記下り坂を走行していることが検知されたときに、前記障害物検知部により前記全方向移動体の進行方向に前記障害物が存在することが検知されると、前記全方向移動体の走行を停止させるように前記走行モータを制御する停止制御部とを更に備える請求項1~5の何れか一項記載の全方向移動体の走行制御装置。
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JP (1) | JP2023146351A (ja) |
-
2022
- 2022-03-29 JP JP2022053490A patent/JP2023146351A/ja active Pending
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