JP2023145310A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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【課題】意匠性に優れており、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができ、かつ、建築材として使用しても接触物にダメージを与えることを抑制できる化粧シートを提供する。【解決手段】オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートであって、上記表面保護層は、上記表面保護層の上記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、上記表面保護上層は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含み、上記表面保護下層は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含み、上記透明性樹脂層及び上記表面保護層は、凹凸形状を有することを特徴とする化粧シート。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
建材、家具、家電製品等において、使用する部材を加飾したい場合には、意匠を備える化粧材が一般的に用いられている。
通常、化粧材では、被着材上に直接絵柄層を設けただけの構成では耐傷性、耐汚染性、耐候性等の表面性能が不十分となるため、被着材上に、絵柄層を備えた基材シート、透明性樹脂フィルムや表面保護層を備えた化粧シートをラミネートすることにより、表面性能を付与している。
例えば、特許文献1には、化粧材の基材に耐摩耗性層及び硬化性表面保護層を積層してなる化粧材において、該耐摩耗性層が、電離放射線硬化型樹脂組成物、及び上記硬化性表面保護層の組成物と化学的に反応した官能基をもつ組成物、並びにヌープ硬度が、1300Kg/mmを最低とする無機粒子を含み、硬化した表面保護層と該耐摩耗性層とが、その界面で化学反応により結着してなることを特徴とする化粧材が開示されている。
また、特許文献1では、化粧材に用いる基材として、紙又は紙に類似した繊維質シートからなるものを使用することが開示されている。
また例えば、特許文献2には、透明樹脂層と、上記透明樹脂層の上に形成された表面保護層とを備え、上記表面保護層は、上記透明樹脂層側に形成された下層と、その下層の上に形成された上層とを有し、上記下層に、球状の光沢調整剤と、球状の耐摩耗剤とを含むことを特徴とする化粧シートが開示されている。
近年は、意匠性に関する要望が高まっており、化粧シートの表面に木質等を模した凹凸形状を設けることにより、視覚だけでなく触覚(手触り)的にも立体感を感じられるような優れた意匠性が要求されている。
しかしながら、特許文献1の化粧材では、基材として紙又は紙に類似した繊維質シートを用いるものであるので、深い凹凸形状を形成することができず、意匠性において不十分なものであった。
また従来、化粧材における耐傷性は、引き掻き試験(鉛筆硬度試験等)において「抉れ傷又は凹み傷」の発生の有無で評価がされてきたが、近年では非常に浅い凹み、傷に起因する「艶変化」の発生の有無についても重要視されるようになってきた。
そのため、引き掻き試験(鉛筆硬度試験等)において「抉れ傷又は凹み傷」を防止するだけなく、「艶変化」の発生をも抑制できる化粧材の開発が望まれている。
特開平09-169095号公報 特開2021-109327号公報
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意検討したところ、表面保護層の樹脂を硬質化することで艶変化の改善する方法を試みたが、樹脂自体が硬脆くなった結果、ホフマンスクラッチ試験により連続した抉れ傷が生じてしまう(耐傷性能の低下)といった課題があることを見出した。
また、本発明者らは、特許文献2の化粧材について検討したところ、表面保護層の下層に光沢調整剤と耐摩耗剤の両方が添加されていると、表面保護層の下層の架橋密度が低下してしまい、耐傷性試験時において下層に添加されている耐摩耗剤が脱落してしまい、それに伴い表面保護層の下層に空隙が生じて白化が生じるという新たな課題があることを見出した。
更に、表面保護層の下層に光沢調整剤を添加し、表面保護層の上層に耐摩耗剤が添加されている場合には、耐摩耗剤が表面保護層の上層から突出してしまい、建築材として使用した場合に、接触物にダメージを与えてしまう恐れあるという課題も見出した。
そこで、本発明は、意匠性に優れており、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができ、かつ、建築材として使用しても接触物にダメージを与えることを抑制できる化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートにおいて、上記表面保護層は、上記表面保護層の上記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、上記表面保護上層は、特定のナノインデンテーション硬度を有しており、かつ、光沢調整剤を含み、上記表面保護下層は、特定の硬度を有する耐摩耗剤を含み、上記透明性樹脂層及び上記表面保護層は、凹凸形状を有することにより、意匠性に優れており、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制でき、かつ、建築材として使用しても接触物にダメージを与えることを抑制できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートであって、上記表面保護層は、上記表面保護層の上記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、上記表面保護上層は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含み、上記表面保護下層は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含み、上記透明性樹脂層及び上記表面保護層は、凹凸形状を有することを特徴とする化粧シートである。
本発明の化粧シートにおいて、上記表面保護上層は、電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましい。
また、上記表面保護上層は、厚みが10μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、上記光沢調整剤は、平均粒子径が1μm以上15μm以下であることが好ましい。
また、上記表面保護下層は、ナノインデンテーション硬度が80MPa以上250MPa以下であることが好ましい。
また、上記表面保護下層は、電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましい。
また、上記表面保護下層は、上記耐摩耗剤が表面処理されており、上記電離放射線硬化型樹脂と結着していることが好ましい。
また、上記表面保護下層は、厚みが10μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、上記耐摩耗剤は、平均粒子径が前記表面保護下層の厚み未満であることが好ましい。
また、本発明の化粧シートは上記基材シートと、上記透明性樹脂層との間に絵柄層を備えることが好ましい。
また、本発明は、被着材上に、上記化粧シートを備える化粧材でもある。
本発明は、意匠性に優れており、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができ、かつ、建築材として使用しても接触物にダメージを与えることを抑制できる化粧シートを提供することができる。
図1は、本発明の化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。 図2(a)~(c)は、本明細書のナノインデンテーション硬度の測定方法を説明する図である。 図3は、表面保護上層の厚みを説明する模式的な断面図である。 図4は、本発明の化粧シートの好ましい一例を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の化粧材の好ましい一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の化粧シート及び化粧材について説明する。
なお、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
<化粧シート>
本発明の化粧シートは、オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートであって、上記表面保護層は、上記表面保護層の上記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、上記表面保護上層は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含み、上記表面保護下層は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含み、上記透明性樹脂層及び上記表面保護層は、凹凸形状を有することを特徴とする。
図1は、本発明の化粧シートの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明の化粧シート20は、基材シート12、透明性樹脂層11及び表面保護層10を備えており、表面保護層10は、表面保護層10の透明性樹脂層11を備える側と反対側から順に、表面保護上層1、及び、表面保護下層2の少なくとも2層を含む。
本発明の化粧シート20は、透明性樹脂層11と表面保護層10との間にプライマー層13を有するのが好ましい。
(表面保護層)
本発明の化粧シート20は、表面保護層10を備えており、表面保護層10は、表面保護層10の透明性樹脂層11を備える側と反対側から順に、表面保護上層1、及び、表面保護下層2の少なくとも2層を含む。
まずは、表面保護上層1について説明する。
(表面保護上層)
表面保護上層1は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含む。
表面保護上層は、十分かつ硬すぎない硬度を備えているため、抉れ傷の発生を抑制でき、かつ、艶変化の発生を抑制することができる。
表面保護上層1は、艶変化をより好適に抑制する観点から、ナノインデンテーション硬度が320MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましい。
表面保護上層1は、抉れ傷を好適に抑制する観点から、ナノインデンテーション硬度の上限としては、450MPa以下であることが好ましい。
本明細書において、各層の「ナノインデンテーション硬度」は、表面皮膜物性試験機トライボインデンター(登録商標)「TI-950」(HYSITRON社製)を用いて測定されるナノインデンテーション硬度である。
なお、トライボインデンター(登録商標)「TI-950」を用いた各層のナノインデンテーション硬度(HIT)の測定方法は次の通りである。
(1)図2(a)に示されるバーコビッチ圧子を用いて、図2(b)に示すように測定試料40にバーコビッチ圧子41を後述の押込み条件にて、荷重をかける方向42の矢印方向に押込み、表面にできた三角錐型の幾何学的形状から、「装置標準の方法で補正した接触投影面積(Ap)(mm)」を計算し、最大試験荷重(Fmax)を前記Apで除することにより硬さを求める。
すなわち、HIT=Fmax/Apである。
(2)ここで、押込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図2(c)に示される通り、表面保護上層1については、先ず0~100μNまでの負荷を10秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に100μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に100~0μNまでの除荷を10秒間で行う。
また、後述する表面保護下層2については、先ず0~50μNまでの負荷を5秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に50μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に50~0μNまでの除荷を10秒間で行う。
通常、押し込み量(h)は100~150nm程度であるため、測定試料となる層の押し込み方向の厚みは1.0μm以上(好適には1.5μm以上)であればよい。Apは、24.50〔hmax-ε(hmax-hr)〕2で算出される(ここで、εは圧子の幾何学的形状による補正係数であり、hrは除荷後の表面に残存している三角錐型の幾何学的形状の深さである。)。
(3)なお、硬度の測定に際し、測定試料40となる層以外の層の硬度の影響を回避するために測定対象の層の断面の硬さを測定する。すなわち、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化型樹脂)で包埋し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを機械研磨して測定対象の層の断面を露出させ、測定対象の層の断面(充填剤等の微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置)にバーコビッチ圧子41を押込むことにより各層の断面の硬さを測定する。
(4)各層について、それぞれ偏りが生じないように10箇所のナノインデンテーション硬度を測定し、10箇所の平均値をそれぞれ「表面保護上層1のナノインデンテーション硬度」、「表面保護下層2のナノインデンテーション硬度」とする。
表面保護上層1は、取り扱い性を向上させる観点から、厚みが30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、18μm以下であることが更に好ましい。
一方で、表面保護上層1は、本発明の化粧シート20の艶変化をより好適に防止する観点から、厚みが10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。
表面保護上層1の厚みについて説明する。
図3は、表面保護上層1の厚みを説明する模式的な断面図である。
表面保護上層1の表面Aから表面Bまでの長さ{すなわち、表面Aにおける平坦な部分(凹凸形状を避けた部分)から表面Bにおける平坦な部分(凹凸形状を避けた部分)までの長さ}が表面保護上層1の厚みである。
後述する表面保護下層2、透明性樹脂層11も同様に、表面(表面保護下層2であれば、表面保護上層1と接する界面、凹凸形状を避けた平坦な部分)から表面(表面保護下層2であれば、透明性樹脂層11と接する界面、凹凸形状を避けた平坦な部分)までの長さが厚みである。
なお、表面保護上層1と表面保護下層2との界面や、表面保護下層2と透明性樹脂層11との界面は、光学顕微鏡等により確認することができる。
表面保護上層1としては、上述したナノインデンテーション硬度を好適に充足し、本発明の化粧シート20に艶変化が生じることを防止する観点から、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂と熱硬化性樹脂を混合した混合組成物のいずれかからなることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂は後述する熱硬化性樹脂を用いることができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線、すなわち電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)の他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線を照射することにより硬化する樹脂である。具体的には、電離放射線硬化型樹脂としては、慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマー及びプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
上記重合性モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられる。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、表面保護上層1のナノインデンテーション硬度は、目的とする数値に応じて、例えば、モノマー、オリゴマーの種類や、架橋密度、重量平均分子量、異なる樹脂を混合させること等を適宜変更して調整すればよい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2~15Mrad程度が好ましい。
表面保護上層1は、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化型樹脂を混合させたものでもよい。熱硬化性樹脂や電離放射線硬化型樹脂は上記に列挙したものを適宜混合すればよい。
表面保護上層1は、上記電離放射線硬化型樹脂の他、添加剤が含まれていてもよい。
表面保護上層1は、光沢調整剤を含む。
上記光沢調整剤は、球状であることが好ましい。
ここで、「球状」とは、真球状または楕円形状を含み、楕円形状の場合には、その長径と短径との比が2以下のものとする。
上記光沢調整剤が球状とすることで、滑り性がよくなり、抉れ傷、艶変化を好適に抑制することができる。
上記光沢調整剤は、平均粒子径が1μm以上15μm以下の範囲内であることが好ましい。
このような平均粒子径とすることにより、滑り性を好適に付与しつつ、表面保護上層1から上記光沢調整剤が突出したり、上記光沢調整剤が脱落したりすることを好適に抑制することができる。
なお、表面保護上層1から上記光沢調整剤が突出すると、建築材として使用した場合に、接触物にダメージを与えてしまう恐れあるので好ましくない。
上記光沢調整剤は、平均粒子径が5μm以上10μm以下の範囲内であることがより好ましい。
ここで、「平均粒子径」とは、用いる粒子の粒度分布測定(レーザー回折・散乱法)により得られる値(平均値)としてもよいし、得られた化粧材の断面観察から、複数の粒子の粒径を実測して平均化した値であってもよい。
上記光沢調整剤としては、例えば、PE(ポリエチレン)ワックス、PP(ポリプロピレン)ワックス、樹脂ビーズなどの有機材料、シリカ、ガラス等の無機材料が挙げられる。
なかでも、艶消し性能を好適に付与する観点から、多孔質のシリカが好ましい。
上記多孔質シリカの吸油量は、200mL/100g以上であることが好ましい。吸油量が大きい多孔質シリカは艶消し性能が大きく、艶消し剤の必要添加量を減ずる効果も大きいからである。
上記光沢調整剤は、上述した樹脂成分の質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.3質量%以上5質量%以下の範囲であることがより好ましい。
上記光沢調整剤を上記範囲で含有することにより、表面保護上層1に適切な範囲の硬度を付与することができ、艶消し効果を好適に付与することができ、かつ、光沢調整剤の脱落を好適に抑制することができる。
表面保護上層1は、上記電離放射線硬化型樹脂、光沢調整剤の他、添加剤が含まれていてもよい。
上記添加剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、重合開始剤、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、分散剤、溶剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルゲン剤、防カビ剤等を添加することができる。
これらは、本発明の効果を阻害しない範囲で用いればよい。
表面保護上層1は、後述する耐摩耗剤の含有量が0.1質量%未満であることが好ましく、0質量%である(含まない)ことがより好ましい。
表面保護上層1が耐摩耗剤を含むことにより、建築材として使用した場合に、接触物にダメージを与えてしまう恐れがあるためである。
(表面保護下層)
表面保護下層2は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含む。
なお、本明細書において「モース硬度」とは、標準物質に対しての傷の付き方を元に硬度を数値化するものであり、柔らかいものから順に1から10までの標準物質が指定されている。
上記モース硬度はモース硬度計を用いて常法により測定できる。
上記耐摩耗剤としては、アルミナ、炭化ホウ素、炭化ケイ素等が挙げられる。
なかでも、抉れ傷や艶変化を好適に抑制する観点から、アルミナであることが好ましい。
上記耐摩耗剤は、球状であることが好ましい。
上記耐摩耗剤が球状であることにより、滑り性がよくなり、抉れ傷、艶変化を好適に抑制することができる。
上記耐摩耗剤は、平均粒子径が表面保護下層2の厚み未満であることが好ましい。
上記平均粒子径であることにより、上記耐摩耗剤が表面保護下層2を構成する樹脂成分に覆われるので、表面保護下層2内のみに存在することができ(表面保護上層1に存在しない)、耐摩耗剤の脱落による白化の発生や、突出による接触物へのダメージを与えることを好適に抑制することができる。
上記耐摩耗剤は、平均粒子径の下限としては、滑り性を好適に付与して抉れ傷や艶変化を抑制する観点から、3μmであることが好ましい。
上記耐摩耗剤は、表面処理されていることが好ましい。
上記表面処理がされていることにより、後述する電離放射線硬化型樹脂や熱硬化性樹脂と結着することができるので、上記耐摩耗剤の脱落を抑制し、白化を好適に抑制することができる。
上記表面処理としては、例えば、上記耐摩耗剤の表面に有する水酸基に対してシランカップリング剤等を用いてビニル基、エポキシ基、アミノ基等を修飾して疎水化処理をする方法等が挙げられる。
上記耐摩耗剤は、後述する樹脂成分の質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.3質量%以上5質量%以下の範囲であることがより好ましい。
上記耐摩耗剤を上記範囲で含有することにより、表面保護下層2に適切な範囲の硬度を付与することができ、抉れ傷、艶変化を好適に抑制することができる。
表面保護下層2としては、表面保護上層1で記載した電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましい。
また、表面保護下層2としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂からなる層であってもよい。
表面保護下層2は、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化型樹脂を混合させたものでもよい。熱硬化性樹脂や電離放射線硬化型樹脂は表面保護上層1に列挙したものを適宜混合すればよい。
上記熱硬化性樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
上記熱硬化性樹脂で表面保護下層2を形成する方法は、例えば、熱硬化性樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
上記2液硬化型樹脂としては、主剤と硬化剤とにより硬化する樹脂であれば特に制限はないが、上記2液硬化型ポリウレタン樹脂の場合には、主剤をポリオール(多価アルコール)とし、硬化剤をイソシアネート硬化剤とするものが挙げられる。
上記主剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のポリオール;アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ウレタンポリオール等の官能基として水酸基を有するポリオール;等が好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。
上記イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート;等のポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いられる。
上記2液硬化型樹脂の主剤と硬化剤の割合については特に限定されないが、例えば、主剤100質量部に対して、硬化剤が5~30質量部である。
上記2液硬化型ポリウレタン樹脂としては、上記ナノインデンテーション硬度を充足し、表面保護層10に緩衝性を付与する観点から、主剤としてアクリルポリオールとウレタンポリオールとを含み、イソシアネート硬化剤として1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを用いて形成されるアクリルポリウレタン樹脂であることが好ましい。
表面保護下層2は、抉れ傷や艶変化を好適に抑制する観点から、ナノインデンテーション硬度が80MPa以上250MPa以下であることが好ましく、120MPa以上220MPa以下であることがより好ましく、150MPa以上180MPa以下であることが更に好ましい。
なお、表面保護下層2のナノインデンテーション硬度は、目的とする数値に応じて、例えば、上記主剤及び硬化剤の種類や、配合比率を適宜変更して調整すればよい。
表面保護下層2は、抉れ傷や艶変化を好適に抑制する観点から、厚みが10μm以上30μm以下であることが好ましく、12μm以上18μm以下であることがより好ましい。
表面保護下層2は、添加剤が含まれていてもよい。
上記添加剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、表面保護上層1で記載したものを適宜選択して用いることができる。
なお、表面保護下層2は、光沢調整剤を含んでもよいが、上記耐摩耗剤の脱落を抑制する観点から、上記光沢調整剤の含有量は、上述した樹脂成分の質量に対して、3質量%未満であることが好ましい。
(透明性樹脂層)
本発明の化粧シート20は、透明性樹脂層11を備える。
透明性樹脂層11は、絵柄層14を可視できれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
透明性樹脂層11としては、熱可塑性樹脂により形成された層であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナレフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタール酸共重合体樹脂、テレフタル酸-エチレングリコール-1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート共重合体樹脂、メチル(メタ)アクリレート-スチレン共重合体樹脂等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アイオノマー等が挙げられる。
なかでも、引張強度が高く、耐薬品性に優れ、生産工程面で優れていることからポリエチレン又はポリプロピレンがより好ましい。
上記ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよいし、エチレンと、エチレンと共重合可能な他のコモノマー(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール等)との共重合体であってもよい。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、架橋ポリエチレン(PEX)等が挙げられる。
これらのポリエチレンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンと、プロピレンと共重合可能な他のコモノマー(例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;酢酸ビニル、ビニルアルコール等)との共重合体であってもよい。
これらのポリプロピレンは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリプロピレンは、曲げ加工性の観点から、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)であることが好ましい。
透明性樹脂層11は、1層により構成されていてもよいし、2層以上の層により構成されてもよい。
透明性樹脂層11が2層以上の層により構成されている場合、後述する透明性接着剤層15との接着性の観点から、透明性接着剤層15と接する側が、マレイン酸変性ポリエチレン又はマレイン酸変性ポリプロピレンにより形成された層であることが好ましい。
透明性樹脂層11の厚みは、優れた耐傷性と曲げ加工性とを得る観点から、30μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上120μm以下がより好ましい。
透明性樹脂層11が2層以上の層により構成される場合、透明性樹脂層11の総厚みは、30μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上120μm以下がより好ましい。
透明性樹脂層11が複数の層から構成される場合、形成する樹脂の種類は同じであっても異なっていてもよく、また厚みは同じであっても異なっていてもよい。
透明性樹脂層11を2層以上に積層する方法としては、一般的な方法であれば限定されず、ドライラミネート法や押出し熱ラミネート等が挙げられる。
透明性樹脂層11は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
(基材シート)
本発明の化粧シート20は、基材シート12を備える。
基材シート12は、オレフィン系樹脂を含む。
基材シート12がオレフィン系樹脂を含むことにより、透明性樹脂層11まで達する深い凹凸形状を形成することができるので、視覚だけでなく触覚(手触り)的にも立体感を感じられるような優れた意匠性を付与することができる。
基材シート12は、基材シート12全体の質量に対して、オレフィン系樹脂が50質量%であることが好ましく、55質量%以上であることが好ましい。
基材シート12に含まれるオレフィン系樹脂としては、透明性樹脂層11を形成し得るオレフィン系樹脂と同じものが例示できる。
なかでも、優れた耐傷性と曲げ加工性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
基材シート12を形成するポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタラート、ポリナフタレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、PET-Gが好ましく、優れた耐傷性と曲げ加工性の観点から、ポリブチレンテレフタラート、PET-Gが更に好ましい。
基材シート12は、必要に応じて着色されていてもよい。
この場合は、上記オレフィン系樹脂に着色剤を添加すればよい。上記着色剤としては、後述する絵柄層14で用いる顔料又は染料が使用できる。
基材シートは12、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
なお、添加剤の含有量としては、基材シート12の質量を基準として、20質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
基材シート12は、優れた耐傷性と曲げ加工性の観点から、厚みが30μm以上120μm以下であることが好ましく、40μm以上110μm以下であることがより好ましく、50μm以上100μm以下であることが更に好ましく、55μm以上95μm以下であることが特に好ましい。
(絵柄層)
本発明の化粧シート20は、基材シート12と、透明性樹脂層11との間に絵柄層14を備えることが好ましい。
図4は、本発明の化粧シートの好ましい一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、本発明の化粧シート20の好ましい一例では、基材シート12、絵柄層14、透明性接着剤層15、透明性樹脂層11、プライマー層13及び表面保護層10をこの順に備える。
絵柄層14は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
例えば、基材シート12の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ層とすることで、着色隠蔽しつつ、意匠性を向上させることができる。更に意匠性を向上させる観点から、ベタ層と絵柄層とを組み合わせてもよいし、一方、基材シート12の地模様を生かす場合は、ベタ層とせずに絵柄層のみを設ければよい。
絵柄層14に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
上記バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられる。これらのバインダーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
上記着色剤としては、後述する基材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、例えば、白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を用いることもできる。
絵柄層14として絵柄層を有する場合、その模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層14の厚みは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、基材シート12の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、0.5~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましく、2~5μmが更に好ましい。
(透明性接着剤層)
透明性接着剤層15としては、特に限定されず、公知の接着剤を用いればよい。
例えば、ポリウレタン系、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
透明性接着剤層15は、乾燥後の厚みが0.1~30μm程度が好ましく、1~5μm程度がより好ましい。
(その他)
本発明の化粧シート20は、必要に応じて、プライマー層及びバッカー層等を有してもよい。
上記プライマー層としては、公知のプライマー剤を塗布することにより形成できる。
上記プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
上記プライマー層は、必要に応じて紫外線吸収剤を含有してもよい。
上記紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を適宜選択して用いることができる。
上記プライマー層は、例えば、透明性樹脂層11の片面又は両面、基材シート12の片面又は両面、等に設けることができる。
上記プライマー層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.01~10μmが好ましく、0.1~1μmがより好ましい。
本発明の化粧シート20は、耐傷性、耐衝撃性を付与する観点から、基材シート12の最下層(上記絵柄層14が積層される側と反対側)にバッカー層を有してもよい。
上記バッカー層としては、特開2014-188941号公報等に開示された公知のバッカー層を適宜選択して用いることができる。
なお、上記バッカー層の厚みとしては、例えば、50μm~500μmであることが好ましい。
(凹凸形状)
本発明の化粧シート20は、透明性樹脂層11及び表面保護層10が凹凸形状を有する。
透明性樹脂層11まで達するような深い凹凸形状を形成することにより、視覚だけでなく触覚(手触り)的にも立体感を感じられるような優れた意匠性を付与することができる。
また、本発明の化粧シート20は、基材シート12まで達する凹凸形状を形成してもよい。
上記凹凸形状は、例えば、表面保護層10を有する側からエンボス加工を施す方法等により形成することができ、上記エンボス加工にて、透明性樹脂層11まで達する凹凸形状を施せば、透明性樹脂層11及び表面保護層10が凹凸形状を有するものとすることができる。
また、例えば、透明性樹脂層11形成時(又は形成後、表面保護層形成前)にエンボス加工を施した後、表面保護層10を形成することにより、透明性樹脂層11の凹凸形状に追従する凹凸形状を有する表面保護層10を形成してもよい。
上記凹凸形状の模様としては、例えば木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。意匠性を向上させる観点から、上記凹凸形状の模様は、絵柄層14の絵柄と同調させた模様であることが好ましい。
例えば、絵柄層14が木目模様の場合は、凹部の模様として木目板導管溝を選択し、かつ絵柄層14の木目と凹部の木目とを同調させると、よりリアルで質感に溢れた、高級感のある化粧シートが得られる。
(化粧シートの製造方法)
本発明の化粧シート20の製造方法について、基材シート12、絵柄層14、透明性接着剤層15、透明性樹脂層11及び表面保護層10をこの順に備える化粧シート20を例にとって、その製造方法の一例を説明する。
まず、基材シート12を形成する樹脂組成物を用意して、溶融押出法等の方法により基材シート12を製膜し、該基材シート12の上に、絵柄層14を形成する。
また、これとは別に、透明性樹脂層11を形成する樹脂組成物を用意して、溶融押出法等の方法により透明性樹脂層11を製膜し、透明性接着剤層15を介して、絵柄層14と透明性樹脂層11とを接着する。
その後、透明性樹脂層11の上にプライマー層13を形成し、プライマー層13上に表面保護下層2を塗工した後、表面保護上層1を塗工して、電子線を放射して硬化させて表面保護層10を形成する。
本発明の化粧シート20に凹凸形状を設ける場合は、例えば、エンボス加工により施せばよい。
上記エンボス加工としては、例えば、化粧シート20の表面保護層10を有する側から、周知の枚葉、又は、輪転式のエンボス機により、エンボス加工を施す方法等が挙げられる。
<化粧板>
本発明の化粧板は、被着材上に本発明の化粧シートを備えることを特徴とする。
図5は、本発明の化粧材の好ましい一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、本発明の化粧材30は、被着材21上に、本発明の化粧シート20を備える。
なお、図5において、化粧シート20は、図4で説明した本発明の化粧シートの好ましい一例のものを用いている。
上記被着材としては、例えば、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板;石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板;珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板;パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板;陶器、磁器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板;鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板;ポリオレフィン樹脂板、ポリ塩化ビニル樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板;フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化性樹脂板;フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、これらの2種以上を積層した複合基板として用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂板や熱硬化性樹脂板は必要に応じて、着色剤(顔料又は染料)、木粉や炭酸カルシウム等の充填剤、シリカ等の艶消し剤、発泡剤、難燃剤、タルク等の滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
なお、上記被着材の厚みは用途に応じて適宜選択すればよい。
上記被着材へ本発明の化粧シートを積層する方法としては特に限定されず、例えば、上述したプライマー層を介して積層したり、上述した透明性接着剤層を介して積層したりする手段等が挙げられる。
本明細書では、以下の事項が開示されている。
本開示(1)は、オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートであって、上記表面保護層は、上記表面保護層の上記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、上記表面保護上層は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含み、上記表面保護下層は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含み、上記透明性樹脂層及び上記表面保護層は、凹凸形状を有することを特徴とする化粧シートである。
本開示(2)は、上記表面保護上層が、電離放射線硬化型樹脂を含む本開示(1)に記載の化粧シートである。
本開示(3)は、上記表面保護上層が、厚みが10μm以上30μm以下である本開示(1)又は(2)に記載の化粧シートである。
本開示(4)は、上記光沢調整剤が、平均粒子径が1μm以上15μm以下である本開示(1)~(3)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(5)は、上記表面保護下層が、ナノインデンテーション硬度が80MPa以上250MPa以下である本開示(1)~(4)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(6)は、上記表面保護下層が、電離放射線硬化型樹脂を含む本開示(1)~(5)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(7)は、上記表面保護下層が、上記耐摩耗剤が表面処理されており、上記電離放射線硬化型樹脂と結着している本開示(6)に記載の化粧シートである。
本開示(8)は、上記表面保護下層が、厚みが10μm以上30μm以下である本開示(1)~(7)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(9)は、上記耐摩耗剤が、平均粒子径が上記表面保護下層の厚み未満である本開示(1)~(8)の何れかに記載の化粧シートである。
本開示(10)は、上記基材シートと、上記透明性樹脂層との間に絵柄層を備える本開示(1)~(9)の何れかに記載の化粧シート。
本開示(11)は、被着材上に、本開示(1)~(10)の何れかに記載の化粧シートを備える化粧材である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によって限定されるものではない。
(実施例1)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートを準備し、その一方の面上に厚み2μmの絵柄層を印刷により形成し、さらに、絵柄層上に、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート用接着剤(ポリエステルポリオール1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)との混合)を用いて厚み3μmの透明性接着剤層を形成した。
次いで、透明性接着剤層の上に透明性樹脂層(透明性接着剤層側がマレイン酸変性PP10μ、表面保護層側はランダムPP50μmで、合計の厚み60μm)となるように押出ラミネート法で積層した。
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(主剤としてアクリルポリオールとウレタンポリオールとを含み、硬化剤として1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を含む2液硬化型ポリウレタン樹脂)をグラビア塗工法により塗工してプライマー層を形成した。上記プライマー層の面上に表面保護下層として、アルミナ(モース硬度9)を耐摩耗剤として添加(平均粒子径:5μm、樹脂成分の質量に対して0.5質量%)したウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂をグラビア塗工法で塗工し、乾燥した後、上記表面保護下層上に表面保護上層として、シリカを光沢調整剤として添加(平均粒子径:6μm、樹脂成分の質量に対して0.5質量%)したウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂をグラビア塗工法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電離放射線硬化型樹脂に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させ、15μm厚、インデンテーション硬さが150MPaの表面保護下層、15μm厚、インデンテーション硬さが320MPaの表面保護上層を形成した。
最後に、表面保護上層が形成された側から熱圧によるエンボス加工を施すことにより、透明性樹脂層まで達する木目導管柄の凹凸形状を形成し、化粧シートを作製した。
(実施例2)表面保護下層に添加した耐摩耗剤をアルミナから表面処理アルミナ(シランカップリング剤による疎水化処理)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例3)ウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂を変更し、表面保護上層のナノインデンテーション硬度を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例4)表面保護下層をポリウレタン系熱硬化性樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(実施例5)表面保護下層をポリウレタン系熱硬化性樹脂とウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂の混合物に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例1)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートを準備し、その一方の面上に厚み2μmの絵柄層を印刷により形成し、さらに、絵柄層上に、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート用接着剤(ポリエステルポリオール1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)との混合)を用いて厚み3μmの透明性接着剤層を形成した。
次いで、透明性接着剤層の上に透明性樹脂層(透明性接着剤層側がマレイン酸変性PP10μm、表面保護層側はランダムPP50μmで、合計の厚み60μm)となるように押出ラミネート法で積層した。上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(主剤としてアクリルポリオールとウレタンポリオールとを含み、硬化剤として1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を含む2液硬化型ポリウレタン樹脂)をグラビア塗工法により塗工してプライマー層を形成した。上記プライマー層の面上に表面保護層として、シリカを光沢調整剤として添加(平均粒子径:6μm、樹脂成分の質量に対して0.5質量%)したウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂をグラビア塗工法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電離放射線硬化型樹脂に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させ、15μm厚、インデンテーション硬さが150MPaの表面保護層を形成した。
次いで、表面保護層が形成された側から熱圧によるエンボス加工を施すことにより、木目導管柄の凹凸模様を形成し、化粧シートを作製した。
なお、表1では、表面保護上層の欄に、比較例1における表面保護層のナノインデンテーション硬度及び厚み、並びに添加剤の種類を記載した。
(比較例2)
ウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂を変更し、表面保護層のナノインデンテーション硬度を表1に記載のものに変更したこと以外は、比較例1と同様にして化粧シートを作製した。
なお、表1では、表面保護上層の欄に、比較例2における表面保護層のナノインデンテーション硬度及び厚み、並びに添加剤の種類を記載した。
(比較例3)
表面保護下層に添加した耐摩耗剤をアルミナからウレタンビーズ(モース硬度3)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例4)
表面保護下層に添加した耐摩耗剤をアルミナから窒化ケイ素(モース硬度7)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例5)
表面保護下層に、耐摩耗剤としてアルミナ(モース硬度9、平均粒子径:5μm、樹脂成分の質量に対して0.5質量%)と、光沢調整剤としてシリカ(モース硬度7、平均粒子径:6μm、樹脂成分の質量に対して0.5質量%)を添加し、表面保護上層に、光沢調整剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に化粧シートを作製した。
(比較例6~7)
ウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂を変更し、表面保護上層のナノインデンテーション硬度を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
(比較例8)
坪量30g/mの薄葉紙を基材シートとして用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
しかしながら、透明性樹脂層まで達する凹凸形状を形成することはできなかった。
(比較例9)
表面保護下層に、光沢調整剤としてシリカ(モース硬度7)を添加し、表面保護上層に、耐摩耗剤としてアルミナを添加したこと以外は、実施例1と同様に化粧シートを作製した。
(化粧材の作製)
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、基材シートの裏面に形成されたプライマー層と、木質基材とを湿気硬化型ホットメルト接着剤(ポリウレタン系)を介して接着して化粧材を作製した。
<評価方法>
(ナノインデンテーション硬度、及び、厚み)
表面保護上層、表面保護下層のナノインデンテーション硬度、並びに、厚みは、明細書本文に記載の方法により測定した。その結果を表1に示した。なお、表1中では、「ナノインデンテーション硬度」を「硬度」と略記した。
(1)鉛筆硬度試験
実施例及び比較例で作製した化粧材について、JIS K5600-5-4:1999に準じて、表面保護層側の面に対して2Hの硬度の鉛筆を用いて試験を実施し、以下の基準で評価した。その結果を表1に示した。
なお、+評価以上を合格と判断した。
+:艶変化を目視で確認することができない(斜光での確認)
-:試験部位に傷付が原因である艶変化が目視で確認できる(斜光での確認)。
(2)耐傷性試験(ホフマンスクラッチ試験)
実施例及び比較例で作製した化粧材について、ホフマンスクラッチ試験機(BYK-GARDNER社製)を用いて試験を行った。具体的には、化粧材の化粧シート表面(表面保護層側)に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。100g荷重ずつ徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧シート表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行い、以下の基準で抉れ傷、白化を評価した。その結果を表1に示した。
なお、+評価以上を合格と判断した。
(抉れ傷)
+:1000g荷重で連続した抉れ傷が生じない
-:700g、800g、900g荷重で連続した抉れ傷が発生
--:300g、400g、500g、若しくは、600g荷重で連続した抉れ傷が発生
(白化)
++:抉れ傷が生じるまで、白化を目視で確認することができない(白化が生じるよりも先に抉れてしまう)
+:1200g以上の荷重で試験部位に耐摩耗剤の脱離が原因である白化が目視で確認できる
-:500g以上、1200g未満の荷重で試験部位に耐摩耗剤の脱離が原因である白化が目視で確認できる
なお、一般的に表面保護層に抉れ傷が生じる荷重は、白化が生じる荷重よりも大きい。そのため抉れ傷が生じるまで白化を確認することができない「++」評価は、白化を抑制する性能が極めて優れていると判断することができる。
(3)接触物劣化試験(摺動性試験)
(接触物の傷の発生)
実施例及び比較例で作製した化粧材について、摺動性試験を実施した。
具体的には、化粧材の化粧シート表面に対して、接触物として市販の靴下(綿:61%、アクリル:24%、ナイロン12%、ポリウレタン:2%、ポリエステル:1%)を用いて荷重300g/cmで100往復こすり、試験後の接触物の劣化状態を確認し、以下の基準で評価した。その結果を表1に示した。
なお、+評価以上を合格と判断した。
+:接触物に傷(繊維のほつれ)の発生を目視で確認することができない
-:接触物に傷(繊維のほつれ)が発生を目視で確認することができる
Figure 2023145310000002
表1より、実施例の化粧シートは、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができることが確認された。
また、実施例の化粧シートでは、透明性樹脂層にまで達する凹凸形状を有する(透明性樹脂層及び表面保護層が凹凸形状を有する)ことより、視覚だけでなく触覚(手触り)的にも立体感を感じられるような優れた意匠性を有することが確認された。
その一方で、表面保護層が2層構成ではない比較例1、2から、表面保護層のナノインデンテーション硬度が低い場合には艶変化の発生を抑制することができず、表面保護層のナノインデンテーション硬度が高い場合には抉れ傷の発生を抑制することができなかった。
また、表面保護下層に添加した耐摩耗剤のモース硬度が低い比較例3、4では、抉れ傷の発生を抑制することができなかった。
また、表面保護上層に光沢調整剤を添加せず、表面保護下層に光沢調整剤及び耐摩耗剤を添加した比較例5では、耐摩耗剤の脱落に起因する白化が発生した。
また、比較例6から、2層構成でも表面保護層のナノインデンテーション硬度が低い場合には艶変化の発生を抑制することができなかった。
また、比較例7から、表面保護層のナノインデンテーション硬度が高い場合にはモース硬度9のアルミナでも抉れ傷の発生を抑制することができなかった。
また、基材シートして薄葉紙を用いた比較例8では、透明性樹脂層にまで達する凹凸形状を形成することができず、意匠性が不十分であった。
また、比較例9では、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができることが確認されたが、表面保護層上層の耐摩耗剤により、接触物へのダメージが発生した。
本発明の化粧シートは、意匠性に優れており、抉れ傷、艶変化及び白化の発生を抑制することができ、かつ、建築材として使用しても接触物にダメージを与えることを抑制できるので、化粧材等に用いる化粧シートとして有用である。
1 表面保護上層
2 表面保護下層
10 表面保護層
11 透明性樹脂層
12 基材シート
13 プライマー層
14 絵柄層
15 透明性接着剤層
20 化粧シート
21 被着材
30 化粧材
40 測定試料
41 バーコビッチ圧子
42 荷重をかける方向

Claims (11)

  1. オレフィン系樹脂を含む基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを少なくともこの順に備える化粧シートであって、
    前記表面保護層は、前記表面保護層の前記透明性樹脂層を備える側と反対側から順に、表面保護上層、及び、表面保護下層の少なくとも2層を含み、
    前記表面保護上層は、ナノインデンテーション硬度が300MPaを超え500MPa以下であり、かつ、光沢調整剤を含み、
    前記表面保護下層は、モース硬度が9以上である耐摩耗剤を含み、
    前記透明性樹脂層及び前記表面保護層は、凹凸形状を有する
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護上層は、電離放射線硬化型樹脂を含む請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護上層は、厚みが10μm以上30μm以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記光沢調整剤は、平均粒子径が1μm以上15μm以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護下層は、ナノインデンテーション硬度が80MPa以上250MPa以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  6. 前記表面保護下層は、電離放射線硬化型樹脂を含む請求項1又は2に記載の化粧シート。
  7. 前記表面保護下層は、前記耐摩耗剤が表面処理されており、前記電離放射線硬化型樹脂と結着している請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記表面保護下層は、厚みが10μm以上30μm以下である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  9. 前記耐摩耗剤は、平均粒子径が前記表面保護下層の厚み未満である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  10. 前記基材シートと、前記透明性樹脂層との間に絵柄層を備える請求項1又は2に記載の化粧シート。
  11. 被着材上に、請求項1又は2に記載の化粧シートを備える化粧材。
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