JP2023145039A - 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス - Google Patents

樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2023145039A
JP2023145039A JP2022052304A JP2022052304A JP2023145039A JP 2023145039 A JP2023145039 A JP 2023145039A JP 2022052304 A JP2022052304 A JP 2022052304A JP 2022052304 A JP2022052304 A JP 2022052304A JP 2023145039 A JP2023145039 A JP 2023145039A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
film
siloxane
general formula
composition according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022052304A
Other languages
English (en)
Inventor
豊誠 高橋
Toyomasa Takahashi
太郎 北畑
Taro Kitahata
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2022052304A priority Critical patent/JP2023145039A/ja
Publication of JP2023145039A publication Critical patent/JP2023145039A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Abstract

【課題】高弾性率、低引張伸び率に優れる半導体装置の平坦化膜が得られる樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の半導体装置の平坦化膜に用いられる樹脂組成物は、シロキサン変性ポリイミド前駆体と、溶媒と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイスに関する。
電子デバイスの製造においては、樹脂組成物により、平坦な樹脂膜を形成することが求められる場合がある。例えば、Cu配線などの段差を有する基板上に、平坦な樹脂膜を形成することが求められる場合がある。
特許文献1には、ポリイミドシロキサン樹脂を含む樹脂組成物が開示されている。当該文献には、前記樹脂組成物をプリント回路板の接着材料として用いることが記載されている。
特許文献2には、ポリイミドシロキサン重合体と、前記重合体と反応し得る3官能以上の化合物と、沸点が30℃~140℃の有機溶剤とを含む樹脂組成物が開示されている。当該文献には、樹脂組成物によれば、熱・光・天候等への耐久性、密着性等に優れた塗膜を形成することができると記載されている(例えば、0011段落)。また、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜が得られると記載されている(例えば、0014段落)。
特許文献3には、5.8GHzにおける誘電率、誘電正接、吸水率および線膨張係数が所定の範囲にあるポリイミドフィルムが得られるポリアミック酸溶液(樹脂組成物)が開示されている。当該文献には、前記ポリイミドフィルムを、FPC用のフィルム(基材フィルム、カバーレイなど)などとして好適に使用でき、特に、高周波対応基板用に好適に使用することができると記載されている(例えば、0019段落)。
特開2013-224428号公報 特開2020-84067号公報 特開2021-8560号公報
しかしながら、特許文献1~3には、当該樹脂組成物を半導体装置の平坦化膜形成に用いることは記載されていない。
本発明者らは、シロキサン変性ポリイミド前駆体と、溶媒と、を含む樹脂組成物によれば、半導体装置の平坦化膜形成に用いることができ、さらに高弾性率、低線膨張率に優れることから、当該樹脂組成物から得られる樹脂層を備える電子デバイスの製品信頼性に優れることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
半導体装置の平坦化膜に用いられる樹脂組成物であって、
シロキサン変性ポリイミド前駆体と、
溶媒と、
を含む樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、
前記樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムが提供される。
本発明によれば、
表面に段差を有する基板の当該表面に、前記樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成する製膜工程と、
前記樹脂膜を硬化させる硬化工程と、
得られた硬化膜をグラインド処理し平坦化する工程と、
平坦化された前記硬化膜の表面に金属膜を形成する工程と、
を含む電子デバイスの製造方法が提供される。
本発明によれば、
前記樹脂組成物により形成されたポリイミド膜を備える電子デバイスが提供される。
本発明によれば、高弾性率、低線膨張率に優れる半導体装置の平坦化膜が得られる樹脂組成物を提供することができる。
電子デバイスの製造方法の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「A~B」は特に断りがなければ「A以上」から「B以下」を表す。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、例えば電子デバイスの製造において、平坦化膜を形成するためや、貫通孔を形成するために用いられる。
「平坦化」とは、具体的には、凹凸を有する基板上に樹脂組成物を塗布してその凹凸を樹脂膜で覆い、そして当該樹脂膜の表面にグラインド処理等を施して基板の最表面を当該樹脂膜で平坦にすることをいう。
本実施形態の樹脂組成物は、シロキサン変性ポリイミド前駆体と、溶媒とを含み、特にシロキサン変性ポリイミド前駆体を用いることにより、高弾性率、低線膨張率に優れる半導体装置の平坦化膜を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物から得られるシロキサン変性ポリイミド樹脂からなる樹脂膜は、当該樹脂を構成するポリイミド骨格の高弾性を維持しつつ、さらに当該ポリイミド樹脂に導入されたシロキサン骨格により高弾性率および低線膨張率に優れると考えられる。
[シロキサン変性ポリイミド前駆体]
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体(シロキサン変性ポリアミド酸、またはシロキサン変性ポリアミック酸)は、本発明の効果を奏する範囲で、シロキサン骨格が導入された公知のポリイミド前駆体を用いることができる。シロキサン骨格を含むことにより、低線膨張率に優れる。
本実施形態においては、主骨格に芳香族基を含むシロキサン変性ポリイミド前駆体を用いることが好ましい。これにより、高弾性率にさらに優れた樹脂膜を得ることができる。
芳香族基としては、例えば、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、2以上の芳香族環を有しそれらが直接又は結合基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基等が挙げられる。ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン等の炭素数6~18の芳香族炭化水素から誘導される基を挙げることができる。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体中のシロキサン骨格の含有率は、0.1~20質量%、好ましくは0.2~10質量%、より好ましくは0.3~8質量%、特に好ましくは0.5~3質量%である。これにより、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)やアルミ配線等との密着性が向上するため、半導体装置の信頼性をより向上させることができる。一方、上限値を超えると弾性率が低下する。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体に上記の含有率でシロキサン骨格を導入することにより、当該ポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂を含む樹脂膜と基板等との親和性が改善されることから、平坦化膜を形成できるとともに基板等との密着性に優れると考えられる。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、本発明の効果の観点から、下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2023145039000001
一般式(1)中、Qは炭素数6~48の4価の芳香族含有基を示し、炭素数6~36の4価の芳香族含有基が好ましく、炭素数6~18の4価の芳香族含有基がより好ましい。4価の芳香族含有基としては、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン等の炭素数6~18の芳香族炭化水素から誘導される4価の芳香族基、オキシビスベンゼン、ジフェニルフルオロプロパン、ベンゾフェノン、スピロビフルオレン、ビスフェニルフルオレンから誘導される4価の芳香族含有基を挙げることができる。
およびRはそれぞれ独立して炭素数1~5のアルキル基を示し、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、炭素数1~2のアルキル基がより好ましい。
およびXはそれぞれ独立して炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、炭素数1~10の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数2~8の2価の炭化水素基がより好ましい。2価の炭化水素基として、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、芳香族基等を挙げることができる。
mは1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましい。
Figure 2023145039000002
一般式(2)中、Qは一般式(1)と同義であり、一般式(1)のQと同一でも異なっていてもよい。
Rは水素原子または炭素数1~3のアルキル基を示す。
Zは単結合、酸素原子、置換または未置換の炭素数1~3のアルキレン基、スルホニル基、9,9-フルオレニル基を示す。
nは0~4の整数である。
nが1であり、Zが単結合の場合、隣接するフェニル基のR同士が架橋して炭素数4~6の脂環構造を形成することができる。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、一般式(1)で表される構造単位aおよび下記一般式(2)で表される構造単位bのモル比(a:b)は、0.1:99.9~10:90、好ましくは0.5:99.5~8:92、より好ましくは1:99~5:95とすることができる。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、両末端の少なくとも一方に環状オレフィン系化合物から誘導される基または脂環式化合物から誘導される基を備えることが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの弾性率をより向上させることができる。
環状オレフィン系化合物から誘導される前記基または脂環式化合物から誘導される前記基としては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されず用いることができるが、下記一般式(3)で表される基を挙げることができる。
Figure 2023145039000003
一般式(3)中、aは0または1であり、bは0、1または2である。aとbが同時に0にはならない。XおよびGは、各々独立して酸素原子または炭素数1~3のアルキレン基であり、cは0または1である。cが0のときは架橋構造を形成しない。*は結合手を示す。
前記一般式(3)で表される基としては、下記一般式(3-1)または下記一般式(3-2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023145039000004
一般式(3-1)中のX、一般式(3-2)中のG、cは一般式(3)と同義である。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、例えば下記一般式(4)で表される構造を例示することができる。
Figure 2023145039000005
一般式(4)中、Q、R、R、XおよびXは一般式(1)と同義であり、R、Z、nは一般式(2)と同義であり、X、G、a、b、cは一般式(3)と同義である。qは35~100、rは35~100である。*1および*2は結合手であり、これらは結合してシロキサン変性ポリイミド前駆体を構成する。
一般式(4)で表されるシロキサン変性ポリイミド前駆体としては、以下の一般式(4-1)または一般式(4-2)で表されるシロキサン変性ポリイミド前駆体が好ましい。
Figure 2023145039000006
Figure 2023145039000007
一般式(4-1)および一般式(4-2)中、Q、R、R、X、X、R、Z、n、X、G、a、b、c、*1および*2は一般式(4)と同義である。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、5,000以上100,000以下、好ましくは8,000以上80,000以下、より好ましくは10,000以上50,000以下である。
[シロキサン変性ポリイミド前駆体の製造方法]
本実施形態においては、前記一般式(1)で表される構造単位および前記一般式(2)で表される構造単位を含むシロキサン変性ポリイミド前駆体の製造方法を例に説明する。
まず、下記一般式(a)で表されるジアミノシロキサン化合物(a)と、下記一般式(b)で表されるジアミン化合物(b)とを、乾燥された有機溶媒に溶解する。
Figure 2023145039000008
一般式(a)中、R、R、XおよびXは一般式(1)と同義である。
ジアミノシロキサン化合物(a)としては、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン、PAM-E(アミノ基当量:130g/mol)、KF-8010(アミノ基当量:430g/mol)、X-22-161A(アミノ基当量:800g/mol)、X-22-161B(アミノ基当量:1500g/mol)、KF-8012(アミノ基当量:2200g/mol)、KF-8008(アミノ基当量:5700g/mol)、X-22-9409(アミノ基当量:700g/mol、側鎖フェニルタイプ)、X-22-1660B(アミノ基当量:2200g/mol、側鎖フェニルタイプ)((以上、信越化学株式会社製、商品名)、BY-16-871(アミノ基当量:130g/mol)及びBY-16-853U(アミノ基当量:450g/mol)(以上、東レダウコーニング株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
Figure 2023145039000009
一般式(b)中、R、Z、nは一般式(2)と同義である。
ジアミン化合物(b)としては、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-,5,5'-テトラメチルベンジジン、4,4'-ジアミノ-p-ターフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,7-ジアミノフルオレン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等を挙げることができる。
有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、DMSO、テトラメチルウレア、N,N'-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリドン等が挙げられる。当該溶媒は、本実施形態の樹脂組成物に含まれる溶剤として用いることができる。
次いで、得られた溶液を10℃~20℃程度に冷却し、15分程度混合する。混合後、氷浴下(0℃)下に、溶液が50℃を超えない範囲で攪拌しながら下記一般式(c)で表されるテトラカルボン酸二無水物(c)を滴下する。20℃で16時間程度混合して反応させ、前記一般式(1)で表される構造単位および前記一般式(2)で表される構造単位を含むシロキサン変性ポリイミド前駆体を得ることができる。
Figure 2023145039000010
一般式(c)中、Qは一般式(1)と同義である。
テトラカルボン酸二無水物(c)としては、ピロメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、オキシジフタル酸無水物、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物や4,4'-カルボニルジフタル酸無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、スピロフルオレン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物等が挙げられる。
本実施形態において、ジアミノシロキサン化合物(a)の添加量は、化合物(a)~(c)の合計100質量%において、1~30質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは1~10質量%である。
ジアミン化合物(b)の添加量は、化合物(a)~(c)の合計100質量%において、15~35質量%、好ましくは20~30質量%である。
テトラカルボン酸二無水物(c)の添加量は、化合物(a)~(c)の合計100質量%において、50~90質量%、好ましくは60~80質量%である。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、両末端の少なくとも一方に環状オレフィン系化合物から誘導される基または脂環式化合物から誘導される基を備えることが好ましい。
本実施形態においては、上記のようにして得られたシロキサン変性ポリイミド前駆体を含む反応液の液温50℃程度にし、下記一般式(d)で表される化合物(d)を滴下して3時間程度攪拌して、シロキサン変性ポリイミド前駆体の末端に存在するアミノ基に、化合物(d)を反応させる。
または、上記のようにして得られたシロキサン変性ポリイミド前駆体を含む反応液の液温50℃程度にし、下記一般式(e)で表される脂環式化合物(e)を滴下して3時間程度攪拌して、シロキサン変性ポリイミド前駆体の末端に存在するアミノ基に、脂環式化合物(e)を反応させる。
Figure 2023145039000011
一般式(d)中、X、G、a、b、cは一般式(3)と同義である。
一般式(d)で表される化合物(d)は、以下の一般式(d-1)または一般式(d-2)で表される構造を有していることが好ましい。
Figure 2023145039000012
一般式(d-1)および一般式(d-2)中、X、G、cは一般式(d)と同義である。
化合物(d)としては、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、ノルカンタリジン、エキソ-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、カンタリジン、ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
以上の工程により、シロキサン変性ポリイミド前駆体を含む反応溶液を得ることができ、さらに必要に応じて溶媒で希釈し、本実施形態の樹脂組成物(ポリマー溶液)を得ることができる。溶媒としては、後述するものを挙げることができ、反応工程と同じ溶媒であってもよく、異なる溶媒であってもよい。
[溶媒]
本実施形態の樹脂組成物は溶剤を含む。これにより、段差基板に対して塗布法により樹脂膜を容易に形成することができる。
溶剤は、通常、有機溶剤を含む。上述の各成分を溶解または分散可能で、かつ、各構成成分と実質的に化学反応しないものである限り、有機溶剤は特に限定されない。
有機溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、DMSO、テトラメチルウレア、N,N'-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリドン等が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
溶剤は、樹脂組成物中の不揮発成分全量の濃度が、好ましくは10~50質量%となるように用いられる。この範囲とすることで、各成分を十分に溶解または分散させることができる。また、良好な塗布性を担保することができ、ひいては平坦性の更なる良化にもつながる。さらに、不揮発成分の含有量を調整することにより、樹脂組成物の粘度を適切に制御できる。
(密着助剤)
本実施形態の樹脂組成物は、密着助剤を含むことが好ましい。これにより、例えば半導体装置における基板や金属配線等との密着性をより高めることができる。
密着助剤は、特に限定されない。例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、ウレイド基含有シランカップリング剤、スルフィド基含有シランカップリング剤等のシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤を用いる場合、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-((メタ)アククリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル基含有シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有シランカップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
スルフィド基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
酸無水物含有シランカップリング剤としては、例えば3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。
また、密着助剤としては、シランカップリング剤だけでなく、チタンカップリング剤やジルコニウムカップリング剤等も挙げることができる。
密着助剤が用いられる場合、単独で用いられてもよいし、2種以上の密着助剤が併用されてもよい。
密着助剤が用いられる場合、その使用量は、樹脂組成物の不揮発性成分の全量を基準として、好ましくは0.3~5質量%、より好ましく0.4~4質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。
(界面活性剤)
本実施形態の樹脂組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含むことにより、塗布性が向上し、より均一/平坦な樹脂膜そして硬化膜を得ることができる。
界面活性剤としては、限定されず、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成社製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、フロラードFC-430、フロラードFC-431、ノベックFC4430、ノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-382、サーフロンS-383、サーフロンS-393、サーフロンSC-101、サーフロンSC-102、サーフロンSC-103、サーフロンSC-104、サーフロンSC-105、サーフロンSC-106、(AGCセイミケミカル社製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサン共重合体KP341(信越化学工業社製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤(例えばポリエーテル変性ジメチルシロキサンなど)も好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤として具体的には、東レダウコーニング社のSHシリーズ、SDシリーズおよびSTシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越化学工業株式会社のKPシリーズ、日油株式会社のディスフォーム(登録商標)シリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどを挙げることができる。
これらのなかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤としては、上記具体例のうち、メガファックF171、メガファックF173、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-383、サーフロンS-393(AGCセイミケミカル社製)、ノベックFC4430及びノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
界面活性剤が用いられる場合、その量は、樹脂組成物の不揮発性成分の全量を基準として、例えば0.001~1質量%、好ましくは0.005~0.5質量%とすることができる。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、前述のシロキサン変性ポリイミド前駆体の合成において得られた反応溶液を用いることができ、さらに溶剤やその他の成分を混合して得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、水分含有量が3%未満、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。水分含量が当該範囲にあることから、本実施形態の樹脂組成物は保存安定性に優れる。
本実施形態の樹脂組成物の粘度は、平坦化膜形成の観点から、例えば、10mPa・s以上、2000mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以上、1800mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以上、1500mPa・s以下とすることができる。
<硬化物、ポリイミドフィルム>
本実施形態の樹脂組成物は非感光性であり、加熱により硬化して硬化物を得ることができる。フィルム状に成形してポリイミドフィルムを得ることもできる。
本実施形態の硬化物は、シロキサン変性ポリイミド前駆体が脱水環化(イミド化)して得られたシロキサン変性ポリイミドを含む。シロキサン変性ポリイミドは、例えば、下記一般式(1’)で表される構造単位および下記一般式(2’)で表される構造単位を含むシロキサン変性ポリイミドを含む。
Figure 2023145039000013
一般式(1’)中、Q、R、R、X、Xおよびmは一般式(1)と同義である。
Figure 2023145039000014
一般式(2’)中、Qは一般式(1)と同義であり、R,Z、nは一般式(2)と同義である。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミドは、両末端の少なくとも一方に環状オレフィン系化合物から誘導される基または脂環式化合物から誘導される基を備えることが好ましい。これにより、ポリイミドフィルムの弾性率をより向上させることができる。
環状オレフィン系化合物から誘導される前記基または脂環式化合物から誘導される前記基としては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されず用いることができるが、下記一般式(3')で表される基を挙げることができる。
Figure 2023145039000015
一般式(3')中、aは0または1であり、bは0、1または2である。aとbが同時に0にはならない。XおよびGは、各々独立して酸素原子または炭素数1~3のアルキレン基であり、cは0または1である。cが0のときは架橋構造を形成しない。*は結合手を示す。
前記一般式(3')で表される基としては、下記一般式(3'-1)または下記一般式(3'-2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023145039000016
一般式(3'-1)中のX、一般式(3'-2)中のG、cは一般式(3')と同義である。
本実施形態のシロキサン変性ポリイミドは、例えば下記一般式(4')で表される構造を例示することができる。
Figure 2023145039000017
一般式(4’)中、aは0、1または2であり、R、Z、Q、R、R、X、X、n、q、およびrは一般式(4)と同義でありる。*1および*2は結合手であり、これらは結合してシロキサン変性ポリイミドを構成する。
一般式(4’)で表されるシロキサン変性ポリイミドとしては、以下の一般式(4'-1)または一般式(4'-2)で表されるシロキサン変性ポリイミドが好ましい。
Figure 2023145039000018
Figure 2023145039000019
一般式(4'-1)および一般式(4'-2)中、Q、R、R、X、X、R、Z、n、X、G、a、b、c、*1および*2は一般式(4)と同義である。
本実施形態の樹脂組成物から得られる硬化物(ポリイミドフィルム)は、本発明の効果の観点から、引張試験により測定された引張弾性率が、好ましくは4GPa以上、より好ましくは5GPa以上、さらに好ましくは6GPa以上とすることができる。上限値は、特に限定されないが15GPaとすることができる。
本実施形態の樹脂組成物から得られる硬化物(ポリイミドフィルム)は、引張試験により測定された引張強度が、好ましくは80~400MPa、より好ましくは100~350MPaとすることができる。
本実施形態の樹脂組成物から得られる硬化物(ポリイミドフィルム)は、本発明の効果の観点から、引張試験により測定された伸び率が、好ましくは1~30%、より好ましくは2~25%である。
また、本実施形態の樹脂組成物から得られる硬化物(ポリイミドフィルム)は、低誘電率および低誘電正接にも優れ、電子デバイスのポリイミド膜として好適に用いることができる。
<電子デバイスの製造方法、電子デバイス>
本実施形態の樹脂組成物を用いて、電子デバイス(樹脂組成物により形成された樹脂膜(ポリイミドフィルム)を備える電子デバイス)を製造することができる。電子デバイスとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、カラーフィルター、ミニLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイといった表示デバイス、太陽電池、CMOSなどの受光デバイス等を挙げることができ、再配線層、層間絶縁膜、封止材(トップコート)等に使用することができる。
本実施形態においては、樹脂膜からなる再配線層を備える電子デバイスの製造方法を説明する。
例えば、
(i)表面に段差を有する基板のその表面に、本実施形態の樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成する製膜工程と、
(ii)樹脂膜を硬化する硬化工程と、
(iii)得られた硬化膜表面を平らにする平坦化工程と、
(iv)平坦化された硬化膜表面にSiN層を形成する積層工程と、
(v)SiN層および硬化膜の所定の位置に開口部を形成するエッチング工程と、
(vi)SiN層を除去し、開口部および硬化膜の表面に金属層を形成する工程と、
を含む電子デバイスの製造方法により、電子デバイスを製造することができる。
電子デバイスの製造方法について、図1A~図1Dを参照しつつ、より具体的に説明する。
(製膜工程:図1A)
製膜工程では、配線層10を有する基板1の、段差を有する面側に、本実施形態の樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成する。
基板1は特に限定されない。基板1としては、例えば、シリコンウェハ、セラミック基板、アルミ基板、SiCウェハ、GaNウェハなどを挙げることができる。
配線層10は、例えばAl配線やCu配線である。もちろん、配線層10は、これらの配線以外により段差が形成されていてもよい。
樹脂膜を形成する方法としては、スピンコート法、噴霧塗布法、浸漬法、印刷法、ロールコーティング法、インクジェット法などにより、液体状の樹脂組成物を基板上に供する方法を挙げることができる。樹脂膜を形成する方法は、典型的にはスピンコートである。
膜形成の条件を変更したり、樹脂組成物の粘度を調整したりすることで、樹脂膜の厚みを調整することができる。
(硬化工程:図1A)
製膜工程の後、樹脂膜を加熱硬化させる。樹脂膜に含まれるシロキサン変性ポリイミド前駆体が脱水環化(イミド化)してシロキサン変性ポリイミドを含む樹脂膜3となる。
加熱硬化の温度は、通常100~140℃程度である。また、加熱硬化の時間は、通常2~4分程度である。
(平坦化工程:図1B)
次いで、樹脂膜3の表面を平坦化する。
平坦化方法としては、バックグラインド法、フライカット法や化学的機械研磨(CMP)が挙げられ、複数の方法を組み合わせることもできる。
本実施形態の樹脂組成物は平坦化工程に好適に用いることができる。
(積層工程:図1C)
次いで、平坦化された樹脂膜3の表面にSiN層4を形成する。
具体的には、プラズマCVD法を用いてSiN膜4を形成することができる。SiN膜4の膜厚は、例えば400nm程度である。
(エッチング工程:図1D)
前記工程で得られた、樹脂膜3とSiN層4とからなる積層体に、一般的なエッチング工程を施し、SiN層4aをマスクとして所定の位置に開口部5を形成する。開口部5の底面には配線層10が露出している。
本実施形態においては、CFとOとの混合ガスを用いるRIE法で上記のエッチングを行うことができる。
(金属層形成工程)
次いで、SiN層4Aを公知の方法で除去し、開口部5内を埋設するとともに硬化膜3Aの表面に金属層を形成する。
金属層としては銅またはアルミニウム等からなる層を挙げることができる。金属層の形成方法としては、スパッタ法や蒸着法等を挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例においては以下の化合物を用いた。
<熱硬化性樹脂>
以下の合成例で得られた熱硬化性樹脂を用いた。
[合成例1] ポリアミック酸の合成
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに脱水精製したNMP 185.9gとp-フェニルジアミン 11.24g(0.104モル)を入れ、窒素ガスを流しながら15分間かき混ぜた。次に四口フラスコを氷水浴に入れ、脱水精製したNMP 43.6gを加えた後、50℃を超えないように3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物 29.05g(0.099モル)を少しずつ滴下した。液温が50℃以下で安定化したことを確認後に四口フラスコを氷水浴からオイルバスに乗せ換えて、オイルバスを50℃に加温して反応液を16時間攪拌した。更に50℃の反応液に5-ノルボルネン-2, 3-ジカルボン酸無水物 1.71g (0.010モル)と脱水精製したNMP 8.5gを加えて3時間攪拌し、反応を終了してポリアミック酸溶液を得た。
[合成例2] シロキサン変性ポリアミック酸PI-1の合成
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに脱水精製したNMP 185.9gとp-フェニルジアミン 11.03g(0.102モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 0.21g(0.001モル)を入れ、窒素ガスを流しながら15分間かき混ぜた。次に四口フラスコを氷水浴に入れ、脱水精製したNMP 43.6gを加えた後、50℃を超えないように3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物 29.05g(0.099モル)を少しずつ滴下した。液温が50℃以下で安定化したことを確認後に四口フラスコを氷水浴からオイルバスに乗せ換えて、オイルバスを50℃に加温して反応液を16時間攪拌した。更に50℃の反応液に5-ノルボルネン-2, 3-ジカルボン酸無水物 1.71g (0.010モル)と脱水精製したNMP 8.5gを加えて3時間攪拌し、反応を終了してポリアミック酸溶液を得た。
[合成例3] シロキサン変性ポリアミック酸PI-2の合成
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに脱水精製したNMP 185.9gとp-フェニルジアミン 10.82g(0.100モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 0.42g(0.002モル)を入れ、窒素ガスを流しながら15分間かき混ぜた。次に四口フラスコを氷水浴に入れ、脱水精製したNMP 43.6gを加えた後、50℃を超えないように3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物 29.05g(0.099モル)を少しずつ滴下した。液温が50℃以下で安定化したことを確認後に四口フラスコを氷水浴からオイルバスに乗せ換えて、オイルバスを50℃に加温して反応液を16時間攪拌した。更に50℃の反応液に5-ノルボルネン-2, 3-ジカルボン酸無水物 1.71g (0.010モル)と脱水精製したNMP 8.5gを加えて3時間攪拌し、反応を終了してポリアミック酸溶液を得た。
[合成例4] シロキサン変性ポリアミック酸PI-3の合成
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに脱水精製したNMP 185.9gとp-フェニルジアミン 10.40g(0.096モル)と1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 0.84g(0.003モル)を入れ、窒素ガスを流しながら15分間かき混ぜた。次に四口フラスコを氷水浴に入れ、脱水精製したNMP 43.6gを加えた後、50℃を超えないように3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物 29.05g(0.099モル)を少しずつ滴下した。液温が50℃以下で安定化したことを確認後に四口フラスコを氷水浴からオイルバスに乗せ換えて、オイルバスを50℃に加温して反応液を16時間攪拌した。更に50℃の反応液に5-ノルボルネン-2, 3-ジカルボン酸無水物 1.71g (0.010モル)と脱水精製したNMP 8.5gを加えて3時間攪拌し、反応を終了してポリアミック酸溶液を得た。
<密着助剤>
・カップリング剤1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503P、信越化学社製)
・カップリング剤2:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-403E)
・カップリング剤3:多官能エポキシシラン(エトキシタイプ)(信越化学工業社製、X-12-984S)
<溶媒>
・溶媒1:N-メチル-2-ピロリドン
[比較例1、実施例1~6]
(樹脂組成物の調製)
表1に記載された種類および添加量で、N-メチル-2-ピロリドン中に、合成例で得られた熱硬化性樹脂と、密着助剤を混合し、樹脂組成物を調製した。
(引張強度、伸び率及び弾性率)
実施例および比較例で調製した樹脂組成物を窒素雰囲気下、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、クリーンオーブンを用いて酸素濃度1,000ppm以下で、150℃/30分間および320℃/30分間の硬化によりフィルムを得た。得られたフィルムから短冊試験片(6.5mm×60mm×10μm厚)を切り出した。引張試験は、23℃雰囲気中、延伸速度5mm/分の条件で実施した。引張試験は、オリエンテック社製引張試験機(テンシロンRTC-100)を用いて行った。試験片5本を測定し、破断点の応力を平均化したものを強度とした。破断した距離と初期距離から引張伸び率を算出し、伸び率の最大値と平均値を求めた。得られた応力-歪曲線の初期の勾配からそれぞれ引張弾性率を算出し、平均化したものを弾性率とした。結果を表1に示す。
(ガラス転移温度:Tg)
実施例および比較例で調製した樹脂組成物をシリコンウェハ表面にスピンコートし、120℃3分間のプリベーク後、150℃/30分間および320℃/30分間、窒素下でのポストベークにより、フィルムを調製した。得られたフィルムから長さ50mm×幅5mmの短冊状試験片を切出した。チャック間距離20mmにて動的粘弾性測定を行い、得られた損失正接(tanδ)のピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。測定条件は30ml/分の窒素気流下、印加周波数0.1Hz速度5℃/分とした。結果を表1に示す。
(線熱膨張率:CTE)
実施例および比較例で調製した樹脂組成物をシリコンウェハ表面にスピンコートし、120℃3分間のプリベーク後、200℃60分間および350℃60分間、窒素下でのポストベークにより、フィルムを調製した。得られたフィルムから長さ13mm×幅5mmの短冊状試験片を切出した。チャック間距離10mmにて引張モードの熱機械測定を行い、熱膨張曲線から平均線熱膨張率(CTE、50~100℃)を求めた。結果を表1に示す。
(空洞共振器法による誘電率および誘電正接の評価)
まず、実施例および比較例で調製した樹脂組成物を、Si基板に塗布し、120℃で4分間プリベークを行い、塗布膜厚12μmの樹脂膜を形成した。
これを、窒素雰囲気下、オーブンを用いて200℃で90分加熱し、フッ酸処理(2質量%フッ酸水溶液に浸漬)した。フッ酸から基板を取り出した後に、硬化膜をSi基板から剥離して、これを試験片とした。
測定装置は、ネットワークアナライザHP8510C、シンセサイズドスイーパHP83651AおよびテストセットHP8517B(全てアジレント・テクノロジー社製)を用いた。これら装置と、円筒空洞共振器(内径φ42mm、高さ30mm)とを、セットアップした。
上記共振器内に試験片を挿入した状態と、未挿入状態とで、共振周波数、3dB帯域幅、透過電力比などを、周波数5GHzで測定した。そして、これら測定結果をソフトウェアで解析的に計算することで、誘電率(Dk)および誘電正接(Df)の誘電特性を求めた。なお、測定モードはTE011モードとした。結果を表1に示す。
(破壊電圧)
破壊電圧は、日本エス・エス・エム社製、自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて評価した。破壊電圧は、1×10-2Aの電流が流れた時に印加した電圧を破壊電圧とし、電界強度(1×10-2Aの電流が流れた時に印加した電圧(MV)を膜厚(cm)で除した値。単位:MV/cm)で示した。結果を表1に示す。
(残膜率)
実施例および比較例で調製した樹脂組成物を、それぞれ、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約12μmの塗膜を得た。塗布膜を、酸素濃度を1000ppm以下に保ちながら、オーブンにて200℃で60分間、続いて350℃で60分間加熱し、室温に戻した後の膜厚を測定した。加熱後の膜厚と加熱前の膜厚との膜厚変化率を算出し、残膜率として評価した。結果を表1に示す。
(耐熱性(重量減少率))
実施例および比較例で調製した樹脂組成物を、それぞれ、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約12μmの塗膜を得た。塗布膜を、酸素濃度を1000ppm以下に保ちながら、オーブンにて200℃で60分間、続いて350℃で60分間加熱し、耐熱性評価用のサンプルを得た。
そして、TG-DTA装置(日立ハイテクサイエンス製、STA7200RV)を用いて、加熱によるポリマーの重量減少の程度を測定した。具体的には、以下条件でTG-DTA測定を行い、300℃での重量減少率(%)を評価した。結果を表1に示す。
・温度:30℃から500℃
・昇温速度:10℃/min
・サンプル重量:5μg
・雰囲気:窒素雰囲気下
Figure 2023145039000020
表1の結果から、実施例のシロキサン変性ポリイミド前駆体および溶媒を含む樹脂組成物は、高弾性率、低線膨張率に優れる硬化膜を得ることができた。
さらに、実施例の樹脂組成物を、凹凸を有する基板上に塗布したところ、その凹凸を覆い、そしてグラインド処理を施すことで基板の最表面を樹脂膜で平坦にすることができた。
1 基板
3 樹脂膜
3A 樹脂膜
4 SiN層
4A SiN層
5 開口
10 配線層

Claims (11)

  1. 半導体装置の平坦化膜に用いられる樹脂組成物であって、
    シロキサン変性ポリイミド前駆体と、
    溶媒と、
    を含む樹脂組成物。
  2. 前記シロキサン変性ポリイミド前駆体が、主骨格に芳香族基を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記シロキサン変性ポリイミド前駆体は、下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2)で表される構造単位を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023145039000021
    (一般式(1)中、Qは炭素数6~48の4価の芳香族基を示し、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1~5のアルキル基を示し、XおよびXはそれぞれ独立して炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、mは1~10の整数である。)
    Figure 2023145039000022
    (一般式(2)中、Qは炭素数6~48の4価の芳香族基を示し、nは0または1である。)
  4. 前記シロキサン変性ポリイミド前駆体は、両末端の少なくとも一方に環状オレフィン系化合物から誘導される基または脂環式化合物から誘導される基を備える、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記シロキサン変性ポリイミド前駆体中のシロキサン骨格の含有率が0.1~20質量%である、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 水分含有量が3%未満である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 非感光性である、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物の硬化物の引張試験による引張弾性率が4GPa以上である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルム。
  10. 表面に段差を有する基板の当該表面に、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成する製膜工程と、
    得られた硬化膜をグラインド処理し平坦化する工程と、
    平坦化された前記硬化膜の表面に金属膜を形成する工程と、
    を含む電子デバイスの製造方法。
  11. 請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物により形成された樹脂膜を備える電子デバイス。
JP2022052304A 2022-03-28 2022-03-28 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス Pending JP2023145039A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022052304A JP2023145039A (ja) 2022-03-28 2022-03-28 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022052304A JP2023145039A (ja) 2022-03-28 2022-03-28 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023145039A true JP2023145039A (ja) 2023-10-11

Family

ID=88253428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022052304A Pending JP2023145039A (ja) 2022-03-28 2022-03-28 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023145039A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5862674B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた膜形成方法
EP0800706B1 (en) Forming polyimide and polyimidesiloxane coatings by screen printing
CN102167905B (zh) 半导体装置用聚酰亚胺树脂组合物及使用其的半导体装置中的膜形成方法和半导体装置
WO2011122198A1 (ja) ポリイミド前駆体、該前駆体を含む樹脂組成物および樹脂組成物を用いた膜形成方法
WO2007034604A1 (ja) ネガ型感光性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子部品
WO2012118020A1 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた膜形成方法
JP5472540B1 (ja) ポリアミド酸およびそれを含有する樹脂組成物
JP2010209265A (ja) 新規ポリイミドシリコーン及びこれを含有する感光性樹脂組成物並びにパターン形成方法
JP2016029126A (ja) 樹脂組成物、それを用いた膜形成方法、および基板
US20020016408A1 (en) Polyimide silicone resin, its solution composition, and polyimide silicone resin film
TW202033619A (zh) 聚醯亞胺前驅物組成物和用於顯示器元件之聚醯亞胺膜、基板以及使用其製備之光學元件
CN111045292A (zh) 感光性树脂组合物、感光性干膜和图案形成方法
JP2005232383A (ja) ポリアミド酸誘導体
JP7052384B2 (ja) 仮保護膜用樹脂組成物、およびこれを用いた半導体電子部品の製造方法
JP2023145039A (ja) 樹脂組成物、ポリイミドフィルム、電子デバイスの製造方法および電子デバイス
JPH01121325A (ja) ポリイミドシロキサン組成物
JP2006022173A (ja) 皮膜形成用組成物および皮膜形成法および皮膜加工法
JPH0572736A (ja) 含フツ素系ポリイミド樹脂膜パターンの製造法
KR100244980B1 (ko) 실록산 폴리이미드 전구체 조성물
KR20220018957A (ko) 감광성 폴리이미드 수지 조성물
JP6065495B2 (ja) 電子部品およびパワー半導体装置
JP3702449B2 (ja) 光部品用ポリイミド前駆体及びこれを用いた光部品
JP2018131486A (ja) 樹脂組成物、硬化物の製造方法、硬化物、フレキシブル基板、及びフレキシブルディスプレイ
EP0553971A2 (en) Curable resins, solutions thereof, processes for making them, and electronic part protective coatings
KR100505778B1 (ko) 경화성수지조성물및경화물

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220418