JP2023145024A - 包装容器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023145024000001
【課題】製品の流通過程における二酸化炭素排出量低減に寄与する包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器1は、フィルムシートからなる前面部2および背面部3を有する胴部10と、フィルムシートからなる底部50で形成され、胴部10の下部に設けられた底部50と、前面部2の側縁部と背面部3の側縁部とを接合する側シール部41,42と、前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とを接合する上シール部9と、胴部10と底部50とを接合する下シール部43と、を備え、胴部10に縦方向に延びて胴部10の曲折をガイドする縦折れ線61,62が設けられ、縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43と重ならない位置に設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、包装容器に関する。
従来、液体、粉体、粒状体からなる製品を包装する様々な包装容器が知られている。例えば、特許文献1には、積層フィルムの縁部がシールされて収納部を形成した袋状容器(パウチ)であり、内部に被包装物が収納された状態で自立可能に構成されている。
特公昭64-6945号公報
近年、地球温暖化防止の為、環境負荷低減が求められている。産業界において、原料取得段階から製品廃棄段階までの間に排出される二酸化炭素排出量の合計を数値化する手法であるLCA(Life Cycle Assessment)により、環境負荷の定量的な評価が行われている。これに伴い、LCAを考慮し、二酸化炭素排出量低減に寄与する包装容器が望まれている。特許文献1のような袋状容器の場合、段ボール箱等の梱包箱内では多くの隙間が生じており、輸送効率が低く、二酸化炭素排出量低減の観点で改善が望まれている。
上記事情を踏まえ、本発明は、製品の流通過程における二酸化炭素排出量低減に寄与する包装容器を提供することを目的とする。
本発明の態様による包装容器は、フィルムシートからなる前面部および背面部を有する胴部と、前記フィルムシートからなる底部で形成され、前記胴部の下部に設けられた底部と、前記前面部の側部と前記背面部の側部とを接合する側シール部と、前記前面部の上部と前記背面部の上部とを接合する上シール部と、前記胴部と前記底部とを接合する下シール部と、を備え、前記胴部に縦方向に延びて前記胴部の曲折をガイドする縦折れ線が設けられ、前記縦折れ線は、前記上シール部および前記下シール部と重ならない位置に設けられている。
本発明によれば、製品の流通過程における二酸化炭素排出量低減に寄与する包装容器を提供できる。
本実施形態に係る包装容器の一例を示す斜視図である。 本実施形態に係る包装容器の使用例を示す斜視図である。 本実施形態に係る包装容器の縦断面図である。 本実施形態に係る包装容器の底面図である。 本実施形態に係る包装容器の正面図である。 本実施形態に係る包装容器の底面の模式図である。 内容物を充填した包装容器の梱包態様を示す模式図である。 変形例の包装容器の斜視図である。 変形例の包装容器の底面図である。 変形例の包装容器の正面図である。 変形例の包装容器の使用例を示す正面図である。
以下、図1から図6を参照しながら実施形態に係る包装容器1を説明する。
図1は、本実施形態に係る包装容器1を表面側から見た斜視図である。図2は、包装容器1の使用例を示す斜視図である。図3は包装容器の前後方向に沿う縦断面図である。図4は、包装容器1の底面図である。
包装容器1は、流通する製品を収納する容器であり、例えば、パウチ(袋状柔軟性包装体)として用いられる。包装容器1の内部には、液体、粉体、粒状体などの被包装物が充填される。被包装物としては、例えば、液体調味料、小麦粉等の食品や、液体、ビーズ状の洗剤や化粧品などが挙げられる。
図1から図3に示すように、包装容器1は、胴部10および底部50を有する。胴部10は、前面部2と、背面部3とを備える。胴部10は、前面部2と背面部3とが接合されて構成されている。底部50は、前面部2の下部と背面部3の下部との間に設けられる。前面部2、背面部3、および底部50は、柔軟性を有するプラスチック製フィルム(またはシート)で構成される。フィルムシートは、少なくとも基材層とシーラントとが積層されて構成される。前面部2、背面部3、および底部50には、パウチとして用いられる公知の構成を有するフィルムシートを適用することができる。
胴部10及び底部50を形成するそれぞれのフィルムシートの材料および積層構成は、同一であってもよく、異なってもよい。また、前面部2、背面部3、底部50は、それぞれ別体のパーツを用いて構成されてもよく、1枚のフィルムシートを折り曲げて前面部2、背面部3、底部50を形成してもよい。
フィルムシートは、厚さ方向の少なくとも一方の面に、熱融着可能な樹脂層(シーラント層)を有する。シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂を使用することができる。さらに、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することもできる。
シーラント層以外の層については、包装容器1に求める機能や特性等を考慮してその数や構成が適宜決定されてよい。例えば、所定の気体の透過を防ぐガスバリア層、被包装物を光から守る遮光層、包装容器に所定の外観を付与するための印刷層、包装容器の表面にキズなどが付くことを防ぐオーバーコート層などが例示できる。
シーラント層以外の層として、プラスチックフィルムが用いられてもよい。プラスチックフィルムの材質としては、例えばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択することができる。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合には、フィルム強度と価格においてより好ましい。その他、延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
フィルム状のシーラント層と上述したプラスチックフィルムとが、接着剤層を用いて接合されることにより積層フィルムが形成されてもよい。
フィルムシートの他の例として、植物由来の原料を用いたバイオマスフィルムや、回収した樹脂をリサイクルしたリサイクルフィルムであってもよい。
実施形態のフィルムシートは、一例として、ナイロン(Ny)/蒸着ポリエチレンテレフタレート(VMPET)/直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)からなる三層構造を有する。
フィルムシートの厚さは例えば、50μm以上300μm以下である。フィルムシートの厚さが50μm未満であると、胴部10の保形性が担保されない。フィルムシートの厚さが300μmより厚いと縦折れ線61,62を設けてもフィルムシートが曲折した角部が形成され難く、略角柱形状の胴部が形成され難い。
シーラントの厚さは、例えば、30μm以上200μm以下である。シーラントの厚さが30μm未満であると、被包装物の重量が大きい場合に十分なシール性能が得られない。シーラントの厚さを200μmより厚くしてもシール性能の大きな向上が得られず、過剰な材料を使用することになるため環境負荷低減の観点で望ましくない。
前面部2の幅方向Yの両端縁(側縁部)と背面部3の幅方向Yの両端縁(側縁部)とは、熱融着性を有するシーラントを熱融着させることにより、互いに接合され、側シール部41,42が形成される。側シール部41,42は、縦方向Zにわたり概ね一定の幅で形成されている。図3に示すように、包装容器1の下部において、底部50が上に向かって凸となるように折り畳まれた状態で底部50の縁部と前面部2の下端部25とが熱融着により互いに接合され、底部50の縁部と背面部3の下端部35とが熱融着により互いに接合され、下シール部43が形成される。底部50の前端52と後端53とは、左右の両端部において熱融着により互いに接合される。このように、底部50と前面部2と背面部3とが接合されることにより、前面部2と背面部3との間には、被包装物を収納する収納部8が形成される。収納部8の収納容量は特に限定されないが、例えば、100mlから3000ml程度の被包装物を収納可能である。
包装容器1は、図1に示すように、前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とが接合されずに上端21が開放し、収納部8に被包装物が収納される前の状態で包装容器1が一次体として製造される。包装容器1の一次体は、被包装物の充填工程において収納部8に被包装物が充填されると、被包装物の重量により底部50の折り目55が下方に移動するとともに、底部50が前後方向Xに広がる。これにより、包装容器1の容積が増加するとともに、底部50が広がり、包装容器1に自立性が付与される。包装容器1の一次体は、収納部8に被包装物が充填され、図2に示すように、前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とが接合されて被包装物が収納されて流通可能な状態で包装容器1が完成形として機能する。前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とは、熱融着により互いに接合され、上シール部9が形成される。
前面部2および背面部3の少なくともいずれか一方には、縦折れ線61,62が設けられている。縦折れ線61,62は、前面部2または背面部3の曲折をガイドする。縦折れ線61,62は、縦方向Zに延びて形成されている。縦折れ線61,62は、例えば、エンボス加工により線状に形成される。具体的には、線状の雄型と雌型の金型でフィルムシートの厚さ方向に挟んで押圧して線状に形成される。エンボス加工としては、線状の型が賦形された二つのロール間にフィルムシートを通して縦折れ線61,62を形成する方法、フィルムシートの両面に雄型と雌型とを配置して金型を間欠駆動することにより縦折れ線61,62を形成する方法等が採用できる。図5は、包装容器1の一次体の正面図である。図1および図4では、前面部2に幅方向Yに離れた2箇所に縦折れ線61,62が形成された例を示している。図1および図2に示すように、例えば、縦折れ線61,62は、前面部2または背面部3の幅方向Yの中央部と、側シール部41,42との間にそれぞれ1か所設けられている。幅方向Yに離れた2箇所に縦折れ線61,62が形成されることによって、収納部8に収納された被包装物の荷重によってフィルムシートに外力が掛かった時に、前面部2、背面部3を構成するフィルムシートが各縦折れ線61,62の部分で曲折し易い。つまり、収納部8に被包装物が収納されて前面部2および背面部3が内側から外側向かって拡がったときに、縦折れ線61,62は、フィルムシートが曲折する位置を位置決めする。この結果、包装容器1の胴部10が略四角柱形状になり、フィルムシートで構成された包装容器1でも四角柱形状に保形できる。包装容器1は軟性のフィルムシートで形成されていても、被包装物が収納された完成形の包装容器1は、略角柱形状の均質な外形状を形成できる。
図1では、説明の便宜上、異なる形態の縦折れ線61,62を示しているが、前面部2または背面部3に複数の縦折れ線を形成する場合、同じ形態の縦折れ線を形成すると、胴部10がバランス良く曲折できる。縦折れ線は、例えば、図1の左側に示す縦折れ線62のように、少なくとも1本の縦線で形成されていてもよい。縦折れ線61,62は、フィルムシートに線状の金型を押圧して形成されるため、フィルムシートの厚さ方向に外力が加わると、縦折れ線61,62の部分で前面部2または背面部3が曲折し、曲折した形状が保持できる。
縦折れ線61,62は、図1の右側に示す縦折れ線61のように、幅方向Yに近い位置で平行に並ぶ一対の縦線61a、61bで1本の縦折れ線61を構成してもよい。このように、2本の縦線61a、61bを近い位置で離間して平行に配置して1本の縦折れ線61を形成すると、縦線61a、61bでフィルムシートがそれぞれ曲折する。例えば、各縦線61a、61bが曲折する角度が小さくても、フィルムシートは近い位置の2箇所で折れるため、曲折部分を形成しやすい。したがって、一対の縦線61a、61bを含む縦折れ線61によって、前面部2または背面部3が曲折しやすく、かつ折れ形状を保持できる。幅方向Yにおける一対の縦線61a,61b間の距離は、フィルムシートの厚さ、剛性等の特性によって変動するが、例えば、1mm以上5mm以下であると、一対の縦線61a,61bを設けることによる上記効果が得られる。
縦折れ線61,62は、縦方向Zに直線状に形成されていればよい。縦折れ線61,62は、例えば、図1に示すように、複数の短い直線が縦に並ぶ破線状の線や、図8に示すように連続する直線状の線であってもよい。線状の金型でエンボス加工によりフィルムシートを厚さ方向に押圧して縦折れ線61,62を形成する場合、破線状の縦折れ線61,62にすると、金型による単位面積あたりの押圧力が強くなり、深くかつムラを押さえた均質な折れ線が形成できる。この結果、縦折れ線61,62によりフィルムシートを曲折させる効果を高めることができる。
縦折れ線61,62は、上シール部9(図2参照)の下方から下シール部43の上方まで形成されている。縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43を避けた位置に形成されている。すなわち、縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成されて、上シール部9および下シール部43には形成されていない。縦折れ線61,62の上端部は、上シール部9の下方に上シール部9と間隔をあけて配置されている。縦折れ線61,62の下端部は、下シール部43の上方に下シール部43と間隔をあけて配置されている。
上シール部9になる前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とをヒートシールする際に、前面部2の上縁部および背面部3の上縁部に事前に縦折れ線61,62を形成するための罫線加工が施されていると、罫線加工が施されている部分が平面同士のシールとならない。これにより、罫線加工が施されている部分が十分にシールされずに、シール強度が弱くなりシール不良が生じる虞がある。下シール部43についても同様に、底部50の縁部と背面部3の下端部35に事前に縦折れ線61,縦折れ線62を形成するための罫線加工が施されていると、罫線加工が施されている部分が十分にシールされずに、シール強度が弱くなりシール不良が生じる虞がある。本実施形態では、上述しているように、縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成されて、上シール部9および下シール部43には形成されていないため、上記のようなシール不良が生じる虞が無い。
縦折れ線61,62は、底部50の寸法に合わせた位置に設けてもよい。図5に示すように、下シール部43の上端521は下に凸の曲線形状を有する。底部50は、縦折れ線が無い状態では船底形状を有する。すなわち、底部50は、収納部8が広がった状態では、左右の側シール部41,42から幅方向Yの中央部に向かって、前後方向Xの寸法が広がり、かつ、縦方向Zに曲線状に下降した形状を有する。底部50は、縦折れ線が無い状態では、平面視でラグビーボールのような長球形状を有する。縦折れ線61,62は、底部50の前後方向Xの傾斜角度が緩やかになった部分に対応する位置に設けると、底部50も矩形を形成しやすく、図4に示すように、より四角柱に近い形状が形成される。つまり、底部50は、底部50の前後方向Xの長さの変化が小さくなる部分から幅方向Yの中央部分は、前面部2と背面部3との間隔の変化が小さい。底部50の前後方向Xの長さの変化が小さくなる部分に対応する位置に縦折れ線61,62を設けると、より四角柱形状に近い形状が形成できる。
底部50にも底折れ線63を形成してもよい。図4に示すように、前面部2の各縦折れ線61,62と背面部3の縦折れ線61,62とをそれぞれ前後方向Xに結ぶ直線上に底折れ線63を形成する。この結果、底部50の曲折位置がガイドされる。底折れ線63の形成方法は縦折れ線61,62と同様である。縦折れ線61,62と同様に、底折れ線63は、破線状の直線、連続する直線のいずれの態様であってもよい。
完成形の包装容器1が略四角柱形状を有することによって、段ボール箱等の梱包箱内の梱包率を高めることができる。図7の左側に示すように、従来の包装容器101は、底部の形状が楕円形状やラグビーボール形状である。このため、矩形の梱包箱100の辺102に対して包装容器101の幅方向が傾斜するように並べて梱包されている。この結果、梱包箱100内には、多くの隙間S100が生じる。これに対して、実施形態に係る包装容器1は略四角柱形状を有するため、図7の右側に示すように、胴部10の各面が梱包箱100Aの各辺11A,12Aに平行となるように並べて梱包される。この結果、包装容器1間の隙間S100Aを減らすことができる。さらに、図示は省略するが、胴部10が略四角柱形状を有する結果、従来の包装容器101に比べて、梱包箱100A内の縦方向Zの隙間も大幅に減らすことができる。したがって、同数の包装容器1を梱包する場合の梱包箱100Aを小型化できる。あるいは、同じ容積の梱包箱であっても、本実施形態に係る包装容器1の方が、従来の包装容器101よりも収納数を多くすることができる。梱包箱の容積に対する包装容器1の収納量を梱包率と称する。梱包率が高まると、梱包箱あたりの輸送量が上がり、結果として輸送時の二酸化炭素排出量の抑制につながる。
次に、包装容器1の各部の寸法について説明する。上述の通り、包装容器1は、被包装物を収納した完成形の状態で胴部10が所定位置で曲折した略四角柱形状にすることで、軟質フィルムシートからなる包装容器1であっても、略角柱形状で胴部10の形状の均質化を図る。この結果、梱包箱100A内に隙間S100Aを減らし梱包率を高めることができる。包装容器1は、梱包率を高めるために、例えば、以下のような寸法であってもよい。
前面部2および背面部3の両方に2本の縦折れ線61,62を形成する場合、前面部2と背面部3とで、縦折れ線61,62の幅方向Yの位置を合わせると、胴部10が正方形または長方形の四角柱形状を形成でき、梱包率を高めることができる。例えば、図5の右側に示す側シール部41の幅方向Y内側の縁部から、その左側の縦折れ線61迄の幅方向Yの長さL31と、図5の左側に示す側シール部42の幅方向Y内側の縁部から、その右側の縦折れ線62迄の幅方向Yの長さL32とが同じ長さとなる位置に各縦折れ線61,62を形成する。
上述の長さL31,L32は、底部50の寸法に合わせて設定すると、略角柱形状に保形しやすい。例えば、下シール部43の幅方向Yの端部51における接線と、底部50が折り畳まれているときの折り目55の水平線に対する角度θは45度である。図5に示すように、底部50の曲線状の下シール部43の上端521から折り目55までの最大高さH43と、幅方向Yにおける側シール部41,42の内側縁部411,421と縦折れ線61,62との間の長さL31,L32とは同じ長さである。長さL31またはL32を高さH43で除した値ρ1(ρ1=L31(またはL32)/H43)が0.9~1.1の範囲であると、底部50と側シール部41,42との間の空間を低減する。包装容器1の隙間を低減できる結果、梱包率を高めることができる。この他、自立時に底部50が大きく開き、胴部10の側面23,33が直線状に賦形される。上記ρ1の値が0.9未満であると、底部50が十分に開かず、内容物が収納された製品の自立性能が低下する。上記ρ1の値が1.1より大きい場合、底部50の断面形状が略六角形状になり、段ボール箱等、一般的に矩形の収納箱への収納効率が低下する他、収納作業が煩雑になる。
さらに、図5および図6に示すように、2本の縦折れ線61,62間の幅方向Yの長さL2を胴部10の前後方向Xの長さL4で除した値ρ2(ρ2=L2/L4)が0.9~1.1の範囲であると、図4に示すように、略正方形の四角柱形状の胴部10を形成できる。略四角柱形状の胴部10が形成されたとき、前面部2および背面部3が縦折れ線61,62で曲折し、縦折れ線61,62と内側縁部411,421との間の領域が胴部10の側面33,23を形成する。
包装容器1は、上記寸法関係を有する結果、底部50が最大限に開き、長さL4と長さL2とが略等しい理想的な四角柱を形成でき、形状保持性能が安定する。
図1に示すように、側シール部41,42の幅W41,W42は、例えば、15mm以下である。図2、図4に示すように、完成形の包装容器1では、胴部10が略角柱形状を有し、側シール部41,42は、胴部10の側面33,23からそれぞれ方向Y1、方向Y2に突出している。側シール部41,42の幅W41,W42が15mm以下であると、突出している側シール部41,42が梱包の妨げになりにくく、梱包率を高めることができる。梱包率向上の観点で、幅W41,W42の下限は特に限定されないが、熱融着のしやすさ、およびシール部の強度(例えば、落袋強度や耐圧強度)等の観点で、幅W41,W42の下限値は5mmである。
本実施形態に係る包装容器1は、前面部2および背面部3の少なくとも一方に縦折れ線61,62を設けているため、収納部に被包装物を収納するとその自重により胴部10が縦折れ線61,62の部分で折れ曲がり、胴部10が略角柱形状を形成する。この結果、軟性のフィルムシートで形成された包装容器であっても、収納部8に被包装物を収納した状態では胴部10が略角柱形状で保形される。したがって、段ボール箱等の梱包箱100A内に包装容器1が収納される際、包装容器1同士の隙間を低減可能である。この結果、同じ数の包装容器1を収納する梱包箱100Aの小型化を図ることができる。あるいは、梱包箱100A一箱あたりの包装容器1の収納数を増やすことができる。したがって、段ボール箱等の使用量を低減でき、二酸化炭素排出量を低減に寄与する。あるいは、輸送コンテナ、輸送車の荷台等内に、より多くの製品を積載可能となるため、輸送時の二酸化炭素排出量低減に寄与する。つまり、環境負荷低減効果の高い包装容器1を提供できる。
更に、本実施形態に係る包装容器1において、縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43を避けた位置、すなわち上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成されている。上シール部9になる前面部2の上縁部と背面部3の上縁部とをヒートシールする際に、前面部2の上縁部および背面部3の上縁部に事前に縦折れ線61,62を形成するための罫線加工が施されていると、罫線加工が施されている部分が平面同士のシールとならない。これにより、罫線加工が施されている部分が十分にシールされずに、シール強度が弱くなりシール不良が生じる虞がある。下シール部43についても同様に、底部50の縁部と背面部3の下端部35に事前に縦折れ線61,縦折れ線62を形成するための罫線加工が施されていると、罫線加工が施されている部分が十分にシールされずに、シール強度が弱くなりシール不良が生じる虞がある。本実施形態に係る包装容器1では、上述しているように、縦折れ線61,62は、上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成されて、上シール部9および下シール部43には形成されていないため、上記のようなシール不良が生じる虞が無い。したがって、本実施形態に係る包装容器1によれば、縦折れ線61,62を設けても、上シール部9および下シール部43のシール性能に影響しない。
(変形例)
図8は、変形例の包装容器1Aの一次体の斜視図である。図8に示すように、側シール部41,42の前面または背面に接着部7を設けてもよい。接着部7は、例えば、両面テープ、接着剤等である。接着部7は、側シール部41,42を胴部10に接着させて、胴部10からの突出量を低減できれば、特に限定されない。例えば、接着部7は、図8の側シール部41に示す例のように、側シール部のほぼ全面を覆うように設けてもよく、あるいは図8の側シール部42に示す例のように、側シール部上に接着部7を点状に複数個所設けてもよい。
上述の通り、完成形の包装容器1は、側シール部41,42が外方に突出している。そこで、接着部7を設け、接着部7を介して側シール部41,42を前面部2または背面部3に接着させてもよい。具体的には、被包装物を収納して上シール部9をシールした後、側シール部41,42を折り曲げて接着部7を介して前面部2または背面部3に接着させる。この結果、図9に示すように、側シール部41,42の突出量を抑えることができる。さらに、側シール部41,42を前面部2または背面部3に貼り付けることによって、胴部10の側面33,23がより直線形状に近付き、胴部10が四角柱形状に近付く。変形例の包装容器1Aによれば、上記実施形態と同様に、梱包箱100A内に複数の包装容器1を収納したときに、梱包箱100A内の空隙率を低減できる。したがって、変形例の包装容器1Aによれば、被包装物が収納された包装製品の流通過程における二酸化炭素排出量低減に寄与する。つまり、環境負荷低減効果の高い包装容器1を提供できる。
図8に示すように、側シール部41,42の幅方向Yの内側縁部411,421に側シール部縦折れ線64を設けてもよい。側シール部縦折れ線64を設ける場合は、縦折れ線61,62と同様に側シール部縦折れ線64を上シール部9および下シール部43を避けた位置、すなわち上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成する。内側縁部411,421に側シール部縦折れ線64を設けることにより、内側縁部411,421における曲折がガイドされ、側シール部41,42から前面部2と背面部3とが離間する方向に開き易い。この結果、一次体の上縁部の開口が大きく開いた状態に保持しやすく、収納部8に被包装物を入れやすくなる。この他、内側縁部411,421に側シール部縦折れ線64を設けることにより、側シール部41,42が胴部10側へ折れ曲がり易くなり梱包箱100Aの隙間S100Aへの突出量が少なるとともに、胴部10の側面33,23がより直線形状に近付いた状態で保形可能であり、胴部10が四角柱形状に近付く。したがって、変形例の包装容器1Aによれば、被包装物が収納された包装製品の流通過程における二酸化炭素排出量低減に寄与する。つまり、環境負荷低減効果の高い包装容器1Aを提供できる。
更に、変形例の包装容器1Aでは、側シール部縦折れ線64も縦折れ線61,62と同様に、上シール部9および下シール部43を避けた位置、すなわち上シール部9および下シール部43と重ならない位置に形成されている。したがって、変形例の包装容器1Aによれば、上記の実施形態に係る包装容器1と同様に、縦折れ線61,62および側シール部縦折れ線64を設けても、上シール部9および下シール部43のシール性能に影響しない。
(LCAの評価)
パッケージメーカーにとって軟包材のライフサイクルにおけるCO排出量の削減を検討する場合、包材の製造に必要な原材料と製造工程で排出されるCOの削減を検討する事が重要である。しかし、包材製造全体で排出されるCO排出総量に対し、ブランドオーナーが包材に内容物を充填した後、充填拠点から販売小売り等まで、流通過程の配送時のCO排出量は非常に大きい。加えて、内容物が充填された包材の輸送には、段ボール箱等の梱包箱100が使用されるが、従来の一般的なスタンディングパウチのように梱包箱100内の空間率が大きい場合は、輸送効率は更に悪くなる。梱包箱100への収納効率を上げて輸送効率を上げる事によって、輸送時のCO排出量を削減する方法は、包材を製造するために必要な原材料として、CO排出量が少ない原材料(例えばバイオマスを原料に使用した材料)を使用するよりも、製品の流通過程を含めたライフサイクル全体でみればCO排出量の削減効果は大きい。さらに、バイオマス樹脂を原料に含む材料は一般材料より高価である。これに対し、本実施形態では一般的な材料を使用して包装容器を製造してもCO排出量の高い削減効果が得られる。したがって、包装容器の製品価格を上げる必要がない。更に包装容器自体を小さくできる可能性もあるため、包装容器の製品価格を低減する効果が得られる。
(実施例および比較例)
LCAの評価例について説明する。
実施例として、第一実施形態に係る包装容器1を用意した。具体的には、層構成がONY15μm/VMPET12μm/LLDPE100μmであるフィルムを使用し、第一実施形態で示した形状の包装容器1を用意した。比較例1として、実施例と同じ大きさ、形状および材料を用い、縦折れ線を備えない包装容器を用意した。比較例2として、シーラント層にバイオマス原料を含む材料を用い、比較例1と同じ大きさを有する包装容器を用意した。具体的には、層構成がONY15μm/VMPET12μm/LLDPE100μm(バイオマス度50%)であるフィルムを使用し、実施例1と同じ大きさおよび形状の包装容器を用意した。実施例および比較例1,2の空き容器における収納部の容積は同じである。
実施例、比較例1および比較例2の包装容器に同じ内容物を収納して封止し、比較例1と比較例2は同じ大きさの梱包箱に入れ、実施例は、充填後の製品形状に合わせた、比較例と同じ数を収容可能な寸法の梱包箱に入れた。実施例、比較例1、および比較例2を、それぞれ同じ大きさのパレットに積載可能な数、積載して、500km輸送した場合の、各例のCO排出量を算出した。比較の為、従来品である比較例1の100とし、実施例および比較例2のCO排出量の相対値を算出した。算出結果を表1に示す。
Figure 2023145024000002
表1に示すように、実施例の包装容器の製造にかかるCO排出量は比較例1と同等であるが、充填後輸送時のCO排出量は実施例が最も低い値となった。この結果、包装容器の製造および流通過程を含むライフサイクルにおけるCO排出量の削減率は、実施例が最も高いことが分かる。同じ数の製品を収容できる梱包箱の大きさは実施例の包装容器を用いた製品の場合が最も小さくでき、同じ大きさのパレットに積載できる梱包箱の数が最も多く、輸送効率を高めることが出来たことが一因である。
上述の包装容器1,1Aによれば、縦折れ線61,62は胴部10の幅方向Yに離間して2箇所以上設けられているため、被包装物を収納した状態で胴部10を略四角柱形状にできる。縦折れ線61,62を設けることにより、所定位置で曲折する略四角柱形状の胴部10を形成できる。したがって、梱包箱100A内に包装容器1を収納したときに、梱包箱100A内の隙間を減らし、梱包率を向上させることができる。
上述の包装容器1,1Aによれば、縦折れ線61,62が前面部2および背面部3の少なくとも一方に設けられていることにより、被包装物を収納した包装容器1の胴部10に所定の立体形状を付与できる。縦折れ線61,62を前面部2および背面部3の両方に設けた場合、被包装物を収納した包装容器1の胴部10を略角柱形状に保形できる。上述の包装容器1,1Aによれば、胴部10および底部50で囲まれた収納部8に被包装物が充填された状態で胴部10が縦折れ線61,62に沿って曲折して略角柱形状、略四角柱形状に保形されるため、梱包箱100A内に収納時の隙間を減らし、梱包率を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態等の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
上記実施形態では、包装容器1の一例として、自立可能な所謂スタンディングパウチの例を示したが、包装容器は完成形で自立する構成は必須の構成ではない。例えば、非自立型の平パウチであっても、被包装物を収納後、胴部10が略角柱形状を有し、梱包箱内に立てて並べて収納可能な包装容器であってもよい。
上記実施形態では、底部50が平面視ラグビーボール形の船底形状である例を示したが、底部の形状は実施形態の例に限定されない。例えば、平面視六角形状の底部や、正方形、長方形等の矩形の底部であってもよい。
上記実施形態では、胴部10が略四角柱形状で保持される包装容器1,1Aの例を示したが、包装容器1の胴部10の形状は略四角柱形状に限定されず、多角柱形状の胴部が形成される包装容器1であってもよい。例えば、前面部および背面部に、各3本の縦折れ線を設けて略六角柱形状の胴部を形成してもよい。例えば、前面部に2本の縦折れ線を設け、背面部に3本の縦折れ線を設け、略五角形状の胴部を形成してもよい。
上記実施形態では、上シール部9は全域がシールされて封止される例を示したが、上シール部9の構成は実施形態の例に限定されない。例えば、図10に示すように、包装容器1Bに内容物を注ぎ出す注出ノズル90を形成した形状であってもよい。また、図11に示すような、上シール部9や側シール部41,42に、プラスチック成型品からなる注出栓(スパウト)92を設けた包装容器であってもよい。このような包装容器1B、1Cであっても、上記実施形態と同様に、容器の形状を均一化でき、梱包効率を高め、かつ、輸送効率も高めることができる。
上記各実施形態に係る包装容器は、現在市場に流通している多くの一般的なパウチに適用が可能である。この結果、特別な製袋機や充填装置を用いる必要がなく、現在の製袋、充填に使用している装置を大きな改造等を行うことなく製袋、充填して製造することができる。例えば包装容器を構成するフィルムシートに予め折れ線を形成しておき、それを用いて従来の装置で製袋、充填して包装容器を製造することができる。つまり、折れ線を形成するための特別な装置等を用意する必要がなく、輸送効率を高める包装容器を容易に製造できる。
また、一般的な製袋装置においては汎用またはオプションとしてエンボス装置が備わっている場合が多く、その場合には金型を用意して変更するのみで、装置自体の大きな改造を伴わずに実施できる。
1、1A、1B、1C…包装容器
2…前面部
3…背面部
8…収納部
9…上シール部
10…胴部
50…底部
41,42…側シール部
43…下シール部
61,62…縦折れ線
63…底折れ線

Claims (5)

  1. フィルムシートからなる前面部および背面部を有する胴部と、
    前記フィルムシートからなる底部で形成され、前記胴部の下部に設けられた底部と、
    前記前面部の側縁部と前記背面部の側縁部とを接合する側シール部と、
    前記前面部の上縁部と前記背面部の上縁部とを接合する上シール部と、
    前記胴部と前記底部とを接合する下シール部と、を備え、
    前記胴部に縦方向に延びて前記胴部の曲折をガイドする縦折れ線が設けられ、
    前記縦折れ線は、前記上シール部および前記下シール部と重ならない位置に設けられている
    包装容器。
  2. 前記縦折れ線は、前記胴部の幅方向に離間して2箇所以上設けられている
    請求項1に記載の包装容器。
  3. 前記縦折れ線は、前記前面部および前記背面部の少なくとも一方に設けられている
    請求項1または請求項2に記載の包装容器。
  4. 前記胴部および前記底部で囲まれた収納部に被包装物が充填された状態で前記胴部が前記縦折れ線に沿って曲折して略角柱形状に保形される
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装容器。
  5. 前記縦折れ線は前記前面部および前記背面部にそれぞれ幅方向に離間した2箇所に形成され、
    前記胴部および前記底部で囲まれた収納部に被包装物が充填された状態で前記胴部が前記縦折れ線に沿って曲折して略四角柱形状に保形される
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装容器。
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