JP2023144632A - 変性共役ジエン系重合体、それを含む靴用ゴム組成物、及びアウトソール - Google Patents

変性共役ジエン系重合体、それを含む靴用ゴム組成物、及びアウトソール Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体、靴用ゴム組成物、及びアウトソールを提供することを目的とする。【解決手段】下記のI)~V)の条件を満たす、変性共役ジエン系重合体。I)ガラス転移温度が-80℃~-30℃II)1,2-ビニル結合量が13mol%~30mol%III)JIS K6300(ISO 289-1)の条件で測定をしたムーニー粘度が30~70IV)変性率が、30質量%以上V)結合芳香族ビニルの量が40質量%以下【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体、それを含む靴用ゴム組成物、及びアウトソールに関する。
靴用ゴム組成物(例えば、アウトソール製造用材料などの靴底用ゴム組成物)は、安全性を高めるためのグリップ性能、着用者の運動に伴う荷重や衝撃力に耐える強度と耐摩耗性が要求されている。また靴の軽量化という観点からは、靴底材に発泡体を用いることが提案されている。しかし発泡体は、非発泡体に比べて耐摩耗性が劣るという問題がある。(例えば特許文献1参照)。
耐摩耗性を向上させるための一般的手法として、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ等の無機充填剤が配合される。靴底の着色を可能とし、意匠性が高められるという観点から、一般的にシリカや炭酸カルシウム等の白色系の無機充填剤が用いられる。しかし、シリカ等の無機充填剤は、カーボンブラックと比較して、ゴムとの親和性に劣るため、シリカのゴム中への分散性が必ずしも良好ではなく、この分散性不良により加工性、耐摩耗性や機械強度の低下という課題が生じる。
このような課題に対し、特許文献2では、特定の官能基が共役ジエン系重合体鎖に結合した構造を有する共役ジエン系ゴムを主成分とする靴底用ゴム組成物が提案されている。しかしながら、上記特許文献2の技術によれば、加工性は改善するものの、靴底材としてのグリップ性及び耐摩耗性の改善効果は未だ十分なものではない。
また、特許文献3には、1,2-ポリブタジエン、ビニル・シスブタジエンゴム、熱可塑性重合体、発泡剤及び架橋剤を含有する発泡体用組成物が開示され、靴底用組成物として有用であると記載されている。しかしながら、これらの発泡材の強度、耐摩耗性等は満足できるレベルではなく、更なる改善が求められている。
特開2000-236905号公報 特開2005-162777号公報 特開2006-16518号公報
アウトソール等に用いられる靴用ゴム組成物の技術分野においては、グリップ性と耐摩耗性を両立させることが技術的に難しく、これらの特性を高いレベルで両立させることが求められている。またこれらの特性を備えると同時に、靴用ゴム組成物として使用する際の引張強度が求められる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされた発明であり、引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体、靴用ゴム組成物、及びアウトソールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するため鋭意検討した結果、変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度、1,2-ビニル結合量、ムーニー粘度、変性率、結合芳香族ビニルの量を制御することで、引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる靴用ゴム組成物となる変性共役ジエン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1>
下記のI)~V)の条件を満たす、変性共役ジエン系重合体。
I)ガラス転移温度が-80℃~-30℃
II)1,2-ビニル結合量が13mol%~30mol%
III)JIS K6300(ISO 289-1)の条件で測定をしたムーニー粘度が30~70
IV)変性率が30質量%以上
V)結合芳香族ビニルの量が40質量%以下
<2>
前記変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量100,000以下の面積比率が、8%以上である、<1>に記載の変性共役ジエン系重合体。
<3>
前記変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量1,000,000以上の面積比率が、5%以上である、<1>又は<2>に記載の変性共役ジエン系重合体。
<4>
結合芳香族ビニルの量に対するブロック芳香族ビニルの量の比が、0.23以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体。
<5>
前記変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位と有し、且つ、窒素原子含有官能基を有する重合体を含有する、<1>~<4>のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体。
<6>
<1>~<5>のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム成分100質量部と、
前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以上の無機充填剤成分(B)と
を含有する靴用ゴム組成物。
<7>
前記ゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体(A)以外のゴム状重合体(C)を含み、
前記変性共役ジエン系重合体(A)の含有量が、前記ゴム成分の総量に対して、90質量%以下であり、
前記ゴム状重合体(C)の含有量が、前記ゴム成分の総量に対して、10質量%以上である<6>に記載の靴用ゴム組成物。
<8>
<6>又は<7>に記載の靴用ゴム組成物含むアウトソール。
本発明によれば、引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体、靴用ゴム組成物、及びアウトソールを提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度が、-80℃~-30℃であり、1,2-ビニル結合量が10mol%~30mol%であり、JIS K6300(ISO 289-1)の条件で測定をしたムーニー粘度が30~70であり、変性率が30質量%以上であり、結合芳香族ビニルの量が40質量%以下である。以上の構成により引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる靴用ゴム組成物となる変性共役ジエン系重合体を提供できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、加硫物として好適に用いられる。加硫物は、例えば本実施形態の変性共役ジエン系重合体をシリカやカーボンブラック等の無機充填剤、本実施形態の変性共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体(C)成分、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤と混合して、ゴム組成物とした後、加熱して加硫することにより得ることができる。以下、各成分について詳説する。
〔変性共役ジエン系重合体〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、引張強度に優れ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスに優れる靴用ゴム組成物となる変性共役ジエン系重合体を得る観点から、下記のI)~V)の条件を満たす。
I)ガラス転移温度
本実施形態の変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、-80℃~-30℃である。当該範囲のガラス転移温度を有することで、加工性が良くなる傾向となる。特にグリップ性と耐摩耗性の物性バランを良くすることに好適となる。本実施形態の変性共役ジエン系重合体では、ガラス転移温度(Tg)が低くなると、耐摩耗性を維持しながら、グリップ性が向上する傾向にある。ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-80℃~-35℃であり、より好ましくは-80℃~-45℃であり、更に好ましくは-80℃~-55℃である。本実施形態の変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、芳香族ビニル/共役ジエン比を小さくすることで、ガラス転移温度(Tg)は低くなる傾向となり、重合開始剤の添加量に対する極性物質の添加量を少なくすることで、1,2-ビニル結合量が低くなり、ガラス転移温度(Tg)は低くなる傾向となる。ガラス転移温度は、芳香族ビニル量を1質量%低くすることで、ガラス転移温度(Tg)は約1℃低くなり、1,2-ビニル結合量を2mol%低くすることで、ガラス転移温度(Tg)は約1.5℃低くなる傾向がある。
II)1,2-ビニル結合量
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の1,2-ビニル結合量は、13mol%~30mol%である。1,2-ビニル結合量が13mol%以上であることで、グリップ性と耐摩耗性の性能バランスに好適となる。1,2-ビニル結合量が30mol%以下であることで、耐摩耗性や、引張強度が向上する傾向にある。共役ジエン単量体として、1,3-ブタジエンを重合した場合、重合体として、1,2-ブタジエン(ビニル結合)と1,4-ブタジエン(シス結合とトランス結合の混合物)の混合物が生成し、共役ジエン系共重合体のブタジエン中の1,2-ブタジエンの量(mol%)を「1,2-ビニル結合量」とする。1,2-ビニル結合のガラス転移温度(約-10℃)は、シス-トランス結合のガラス転移温度(約-100℃)に比べて高く、1,2-ブタジエンと1,4-ブタジエンの比率を変えることで、ガラス転移温度(Tg)を調整することが可能となる。1,2-ビニル結合量は、15mol%以上であることがより好ましい。1,2-ビニル結合量は、好ましくは26mol%以下であり、より好ましくは25.2mol%以下である。なお、靴用ゴム組成物のゴム状重合体(C)として、シス結合量の高いハイシスブタジエンを使った場合は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体の1,2-ビニル結合量を変えることでハイシスブタジエンとの相容性を調整することができ、1,2-ビニル結合量を高くすることでハイシスブタジエンとの相容性が良くなる傾向になる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の1,2-ビニル結合量は、重合開始剤に対する極性物質の添加量を調整することで制御することができ、極性物質の添加量を多くすることで、ビニル結合量は高くなる傾向となる。
III)ムーニー粘度
本実施形態の変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度は、30~70である。ムーニー粘度を当該範囲とすることで、優れたグリップ性を有しながら、高い耐摩耗性を示す変性共役ジエン系重合体が得られる。ムーニー粘度は、好ましくは40~70であり、より好ましくは50~70であり、更に好ましくは60~70である。ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300(ISO 289-1)に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。具体的には、まず、試料を100℃で1分間予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定して100℃におけるムーニー粘度を測定した。ムーニー粘度は、変性共役ジエン系重合体を高分子量、高変性率、多分岐構造とすることで高くなる傾向にあり、重合開始剤、共役ジエン系重合体の活性末端に対するカップリング剤の添加量を調整することで制御することができる。ムーニー粘度は、そのほか、後述の製造方法で説明する方法により制御することができる。
IV)変性率
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の変性率は、30質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、アウトソールの補強材であるシリカ系無機充填剤の分散性を高め加工性を向上させながら、優れたグリップ性及び高い耐摩耗性を示す変性共役ジエン系重合体が得られる。変性率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは68質量%以上である。変性率の上限は特に限定されないが例えば100質量%である。変性共役ジエン系重合体の変性率は、カラム吸着GPC法により測定できる。変性率は、より詳細には実施例に記載の方法により測定する。変性率は、変性剤の使用量により適宜調整することができる。
なお、本明細書中、「変性率」は、変性共役ジエン系重合体の総量に対する窒素原子含有官能基を有する重合体の質量比率を表す。本実施形態のゴム状重合体への窒素原子の導入位置は、ゴム状重合体の重合開始末端、分子鎖中(グラフト含む)及び重合末端のどこに含有しても良い。重合開始末端へ窒素原子を導入する方法として、WO2016/133202に記載の窒素原子を含有する、有機リチウム化合物を重合開始剤としてもよい。
V)結合芳香族ビニルの量
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の結合芳香族ビニルは、40質量%以下である。結合芳香族ビニルが40質量%以下であることで、優れたグリップ性を有しながら、高い耐摩耗性を示す変性共役ジエン系重合体が得られる。結合芳香族ビニルは、好ましくは11質量%~37質量%であり、より好ましくは16質量%~37%質量であり、更に好ましくは16質量%~35質量%である。変性共役ジエン系重合体の結合芳香族ビニルは、芳香族ビニル単量体の割合により調整することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、引張強度より向上させ、且つ、グリップ性と耐摩耗性のバランスにより優れる靴用ゴム組成物となる変性共役ジエン系重合体を得る観点から、下記の条件を満たすことが好ましい。
(分子量100,000以下の面積比率)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量100,000以下の面積比率が、8%以上であることが好ましい。分子量100,000以下の面積比率を8%以上とすることで、グリップ性を更に向上させることができる。当該分子量100,000以下の面積比率は、好ましくは9%以上であり、より好ましくは10%以上であり、更に好ましくは11%以上である。当該分子量100,000以下の面積比率は、その上限は特に限定されないが、例えば、30%以下であってもよい。当該分子量100,000以下の面積比率は、後述の方法により調整することができる。
当該分子量100,000以下の面積比率は、例えば、添加する重合開始剤の量によって、調整することができる。重合開始剤の量が少ないと、得られる変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が、全体的に高分子量側にシフトするため、分子量100,000以下の面積比率は、小さくなる。重合開始剤の量が多いと、得られる変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線が、全体的に低分子量側にシフトするため、分子量100,000以下の面積比率は、大きくなる。
(分子量1,000,000以上の面積比率)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量1,000,000以上の面積比率が、5%以上であることが好ましい。分子量1,000,000以上の面積比率を5%以上とすることで、耐久性を更に向上させることができる。当該分子量1,000,000以上の面積比率は、好ましくは6%以上であり、より好ましくは6.5%以上であり、更に好ましくは7.5%以上である。当該分子量1,000,000以上の面積比率は、その上限は特に限定されないが、例えば、30%以下であってもよい。当該分子量1,000,000以下の面積比率は、当該分子量100,000以下の面積比率同様に、添加する重合開始剤の量により調整することができる。
(ブロック芳香族ビニルの量/結合芳香族ビニルの量の比)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の結合芳香族ビニルの量(芳香族ビニル単量体がスチレンである場合、結合スチレン量)に対するブロック芳香族ビニルの量(芳香族ビニル単量体がスチレンである場合、ブロックスチレン量)の比(以下、「ブロック芳香族ビニル/結合芳香族ビニル比」ともいう。)が0.23以下であると好ましく、変性率が向上する方向となり、カーボンブラックやシリカとの相互作用がよくなる傾向となる。ブロック芳香族ビニル/結合芳香族ビニル比は、より好ましくは0.20以下であり、更に好ましくは0.15以下である。ブロック芳香族ビニル/結合芳香族ビニル比は、その下限値は特に限定さないが、0.03以上であってもよく、0.05以上であってもよい。
ブロック芳香族ビニル/結合芳香族ビニル比を小さくする方法として、本実施形態の芳香族ビニル単量体/共役ジエン単量体比を小さくする、極性物質の添加量を多くする、重合温度を高くする、ことを調整することで制御することができる。
本実施形態において、ブロック芳香族ビニルの量とは、変性共役ジエン系重合体における、芳香族ビニル単量体単位が8以上連続して結合している部分の含有量(質量%)、すなわち後述の実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
したがって、ブロック芳香族ビニルの量/結合芳香族ビニルの量の比は、共役ジエン単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位とを有する変性共役ジエン系重合体において、芳香族ビニル単量体単位全体に対する、ブロック芳香族ビニルとして存在している芳香族ビニル単量体単位部分の割合を意味する。より具体的には、ブロックスチレン/結合スチレン比は、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムにおいて、スチレン部分全体に対する、ブロックスチレンとして存在しているスチレン部分の割合を意味する。
ブロック芳香族ビニル量は、Kolthoffの方法(I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法)により共重合体を分解し、メタノールに不溶なブロック芳香族ビニルの量を分析する公知の方法により測定することができる。より具体的には、実施例に記載の方法を用いてもよい。ブロック芳香族ビニルの量は、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体を重合する際に添加する極性物質の添加量を調整することにより制御することができる。極性物質の添加量を増加させると、芳香族ビニルブロック量は小さくなる傾向にある。
(ムーニー緩和率)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の100℃におけるムーニー緩和率は、好ましくは0.7以下である。ムーニー緩和率が、当該範囲にある変性共役ジエン系重合体は、加硫物とするときの生産性が良く、アウトソールとしたときの安全性と耐久性が良くなる傾向にある。当該ムーニー緩和率は、より好ましくは0.55以下であり、更に好ましくは0.5以下である。当該ムーニー緩和率は、その下限は特に限定されないが、例えば、0.3以上であってもよい。
ムーニー緩和率は、ムーニー粘度計を用いて、次のように測定される。本実施形態におけるムーニー緩和率の測定温度は100℃とし、試料を1分間予熱した後、2rpmでローターを回転させ、その4分後のトルクを測定し、測定した値をムーニー粘度とする。その後、即座にローターの回転を停止させ、停止後1.6秒間~5秒間の0.1秒ごとのトルクをムーニー粘度計で記録し、トルクと時間(秒)を両対数プロットした際の直線の傾きを求め、その絶対値をムーニー緩和率とする。ムーニー緩和率は、変性共役ジエン系共重合体の分子の絡み合いの指標となり、低いほど分子の絡み合いが多いことを意味し、多分岐構造及び高分子量になることでムーニー緩和率は低くなる傾向となり、分岐構造の指標となる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体のムーニー緩和率は、高分子量、多分岐構造、高変性率になることで、低くなる傾向となる。重合開始剤の添加量と共役ジエン系重合体の活性末端に対するカップリング剤及び/又は変性剤の添加量を調整することで制御することができ、重合開始剤の添加量を少なくすることで高分子量となり、ムーニー緩和率は低くなる。カップリング剤の添加量を共役ジエン系重合体の活性末端に対して、多くした場合、例えばカップリング剤の分子構造に、活性末端と反応する官能基が4個含有していれば2分岐構造や3分岐構造も生成して、ムーニー緩和率は高くなる。共役ジエン系重合体の活性末端に対して、カップリング剤の添加量が少ない場合は、分岐が少なくなり直鎖の共役ジエン系重合体が残ることでムーニー緩和率は高くなる傾向となる。
例えば共役ジエン系重合体の重量平均分子量を、好ましくは、カップリング前の段階で200,000以上、400,000以下、更に好ましくは、200,000以上、300,000以下になるように重合した共役ジエン系重合体の活性末端に、好ましくは3分岐以上、更に好ましくは4分岐以上となる官能基を含むカップリング剤を反応させて、変性共役ジエン系重合体の変性率を30質量%以上に調整することで、ムーニー緩和率を0.7以下に制御することができる。共役ジエン系重合体の活性末端に対して添加する、カップリング剤の添加量は、0.4当量以上、2.0当量以下が好ましく、更には、0.4当量以上、1.5当量以下が好ましく、0.4当量以上、1.0当量以下が好ましい。カップリング剤の添加量を、上記の範囲に調整することで、カップリング率(変性率)を30質量%以上に制御することができ、加硫物としたときのグリップ性と耐摩耗性が優れる傾向になる。共役ジエン系重合体の活性末端に対して、カップリング剤の添加量が1.0当量を超えて過剰に添加すると、未反応のカップリング剤が残る傾向となり、環境上好ましくない。
カップリング剤が官能基を含み、変性剤を兼ねる場合、カップリング剤の添加量は変性率の制御に繋がると同時に、分子量分布にも影響する。特に非油展系でのシリカとの加工性を良好にするために、低分子量の成分を確保しつつ、靴底の耐摩耗性を向上するための高分子量成分の含有量を特定量以上にする目的で、カップリング前の分子量の設定と、カップリング剤による分岐数の設定及びカップリング率を調整するのが好ましい態様である。
具体的には、カップリング前の重量平均分子量は、400,000以下が好ましく、350,000以下が更に好ましく、300,000以下がより好ましい。下限は、200,000以上が好ましい。カップリング前の重量平均分子量が400,000以下であることで、生産性が良くなる方向となり、200,000以上にすることで、引張強度、引裂き強度が良くなる傾向となる。カップリング後の分岐数は、3分岐以上が好ましく、4分岐以上が更に好ましい。
(分子量分布(MWD))
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の分子量分布(MWD)は、1.5~3.5である。分子量分布(MWD)が当該範囲であることで、加硫物にする際の加工性に優れつつ、優れた耐摩耗性を示す変性共役ジエン系重合体が得られる。分子量分布(MWD)は、好ましくは1.6~3.0であり、より好ましくは1.7~2.7であり、更に好ましくは1.8~2.7である。分子量分布(MWD)は、重合時の滞留時間分布やカップリング剤の添加量を調整することにより制御することができる。
(重量平均分子量(Mw))
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゴム組成物の成形体の形状安定性やゴム組成物を用いた架橋体の引張強度や耐摩耗性の点で、好ましくは200,000以上であり、より好ましくは300,000以上である。一方、ゴム組成物を架橋用組成物にした時の加工性の点で、好ましくは1,500,000以下であり、より好ましくは1,000,000以下であり、さらに好ましくは500,000以下である。重量平均分子量は、重合開始剤の添加量やカップリング剤の添加量を調整することで制御することができる。重合開始剤の添加量を少なくすることで重量平均分子量を高くすることができる。変性剤の添加量は、共役ジエン系重合体の活性末端であるリチウムに対して、添加量を多くすることで重量平均分子量は大きくなり、活性末端のリチウムに対して、1当量を添加することで最大となり、1当量を超えて変性剤を添加することで、重量平均分子量は小さくなる傾向となる。
重量平均分子量や分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の分子量から計算できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を共重合した後に、窒素を含有する変性剤を反応させた重合体であることが好ましい。つまり、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位と有し、且つ、窒素原子含有官能基を有する重合体を含有することが好ましい。複数の官能基を有する変性剤を利用する場合、変性と同時にカップリングが進行し、分岐を有する変性重合体が得られる。分岐を有する重合体は同じ分子量で直鎖状の重合体と比較して、充填剤等と混ざり易い傾向がある点で好ましい。例えば窒素原子含有の変性基を4つ以上有する低分子化合物を共役ジエン系重合体の活性末端に反応させることで、4分岐以上の多分岐構造を含む変性共役ジエン系重合体を得られる。
窒素原子含有の低分子化合物で共役ジエン系重合体の活性末端を変性することで、シリカやカーボンブラック等の無機充填剤との相互作用がよくなり、配合物である無機充填剤の分散性がよくなり、加硫物とするときの加工性がよくなり、グリップ性や耐摩耗性が向上する。
なお、本実施形態において「単量体」とは、重合前の化合物をいい、「単量体単位」とは重合体を構成する構成単位をいう。
共役ジエン単量体としては、特に制限されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及び1,3-ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエンやイソプレンが好ましく。1,3-ブタジエンが最も好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、芳香族ビニル単量体は、特に制限されないが、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、 m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。このような芳香族ビニル単量体に基づく構成単位を含むことにより、アウトソールにした時の硬度を調整することができる。
また、その他の単量体としては、特に制限されないが、例えば、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ジビニルベンゼンなどの非共役ポリエン化合物単量体;ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン等の環状非共役ポリエン化合物単量体が挙げられる。このようなその他の単量体を用いることにより、アウトソールに用いた時の破壊強度やグリップ性や耐摩耗性のバランスがより向上する傾向にある。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体全量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量が40質量%以上であることにより、アウトソールにしたときのグリップ性と耐摩耗性がバランスよく向上する傾向にある。共役ジエン単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体全量に対して、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは93質量%以下であり、さらに好ましくは91質量%以下である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体単位を含むことが好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体全量に対して、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは9質量%以上である。芳香族ビニル単量体単位の含有量が5質量%以上であることにより、アウトソールにしたときのグリップ性に優れる傾向にある。また、芳香族ビニル単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体全量に対して、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量が40質量%以下であることにより、アウトソールにしたときのグリップ性と耐摩耗性がバランスよく向上する傾向にある。
[変性共役ジエン系重合体の製造方法]
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の製造方法は、例えば、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を重合し、共役ジエン系重合体を得る工程と、共役ジエン系重合体の活性末端に、変性基を含有するカップリング剤を反応させて、変性共役ジエン系重合体を得る工程を含む。カップリング剤としては、共役ジエン系重合体の活性末端と反応して、4分岐以上の変性共役ジエン系重合体を含む、変性共役ジエン系重合体が加工性の観点から好ましい。重合生産性や安定した変性率を得る観点で、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、イソシアヌル酸誘導体、窒素基含有カルボニル化合物、窒素基含有ビニル化合物、窒素基含有エポキシ化合物、窒素基含有アルコキシシラン化合物等が好ましい。
バッチ式、連続式のどちらの重合方法で重合してもよいが、高分子量成分と低分子量成分、及び分岐を制御した共役ジエン系重合体を安定的に生産する観点から、連続式で重合することが好ましく、1個の反応器、又は2個以上の反応器を連結させた反応器で重合することがより好ましい。変性率を30質量%以上、MSRを0.7以下にするためには、重合温度は50℃以上100℃以下が好ましく、ソリッドコンテントを16.0質量%以下にし、共役ジエン系重合体を重合することが好ましい。
変性方法は、特に限定されなく、撹拌機が付き、ジャケットで温度制御ができる反応器、インラインミキサー、スタティックミキサー等を用いてもよい。
共役ジエン系重合体の重合反応は、溶媒中で重合することが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒として、以下に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
ムーニー粘度を30~70にする観点で、4分岐となるカップリング剤を添加する場合は、カップリング前の共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、400,000以下にするのが好ましく、350,000以下が更に好ましく、300,000以下に設定するのがより好ましい。下限は、200,000以上が好ましい。3分岐となるカップリング剤を添加する場合は、カップリング前の共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、250,000以上、350,000以下にするのが好ましい。
分子量200,000~300,000のカップリング前の共役ジエン系重合体の活性末端に、3分岐又は4分岐以上となるカップリング剤を反応させる場合、カップリング剤の好ましい添加量は、活性末端に対して0.4当量以上、1.0当量以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体の変性率を30質量%以上に調整し、重量平均分子量は、250,000以上が好ましく、300,000以上が更に好ましく、重量平均分子量の上限は、500,000以下が好ましく、450,000以下が更に好ましく、400,000以下がより好ましい。
カップリング前の共役ジエン系重合体の重量平均分子量と、カップリング後の変性共役ジエン系重合体の変性率と重量平均分子量を、上記の範囲に調整することで、ムーニー粘度を30~70に制御する。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の変性率は上述の範囲が好ましいが、当該変性率は、変性前の共役ジエン系重合体の活性末端に対して、変性剤の添加量を調整することで制御することができる。共役ジエン系重合体の活性末端に対して、変性剤の添加量を多くすることで変性率を上げることができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の分子量分布における分子量が、100,000以下の面積は、重合開始剤の添加量を多くすることで分子量を小さくする、変性率を小さくすることでカップリング剤と反応しない未変性の共役ジエン系重合体を多くすることで多くすることができる。
分子量分布における分子量の100,000以下の面積を8%以上に制御する方法として、共役ジエン系重合体の重量平均分子量を300,000以下、かつカップリング率を70%以下に調整することで制御することができるが、重量平均分子量とカップリング率により調整方法が異なるため、制御方法はこの限りではない。
例えば、変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量を500,000に調整するには、カップリング前の共役ジエン系重合体の重量平均分子量を、320,000に調整し、共役ジエン系重合体の活性末端に対して、4分岐となるカップリング剤を添加して、変性率が45%となる変性共役ジエン系重合体とすることで得ることができる。
分子量分布における100,000以下の面積を8%以上にすることで、生産性が良くなる傾向となる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の分子量分布における分子量が、1,000,000以上の面積を、5%以上にすることで、アウトソールとしたときの耐久性が良くなり経済性に好適な傾向となる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、加硫物とするときの生産性とアウトソールとしたときの安全性と耐久性が良くなることから、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であるのが好ましく、1.7以上3.0以下が更に好ましく、1.8以上2.6以下がより好ましい。
分子量分布の制御は、バッチ式重合、連続式重合で制御することができ、連続式重合にすることで、分子量分布が広い変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、共役ジエン系重合体の活性末端に対して変性剤を過剰に添加する、又は少なく添加することによっても、分子量分布が広くなる傾向となる。
変性率を調整する窒素原子を含有する変性剤として、重合生産性や高い変性率の点で、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、イソシアヌル酸誘導体、窒素基含有カルボニル化合物、窒素基含有ビニル化合物、窒素基含有エポキシ化合物、窒素基含有アルコキシシラン化合物等が好ましい。
またアウトソールにする際の生産性が向上する観点から、変性剤の分岐数は高い方が好ましい。分岐数は特に限定されないが、生産性が向上する観点から3分岐以上が好ましく、4分岐以上がより好ましい。分岐数の上限は特に限定されないが、生産性の観点から30分岐以下が好ましい。
これらの窒素原子を含有する変性剤としては、ゴム状重合体の重合生産性や高い変性率やアウトソールにした時の引張強度の点で、窒素基含有アルコキシシラン化合物がより好ましい。
窒素基含有アルコキシシラン化合物としては、特に制限されないが、例えば、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(5-トリメトキシシリルペンチル)-1-アザ-2-シラシクロヘプタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2-トリメトキシシリルエチル)アミン、トリス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1-(3-(ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N1-メチル-N3-(3-(メチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,3-プロパンジアミンが挙げられる。
変性共役ジエン系重合体の重合工程の終盤に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。ここでの重合工程の終盤とは、添加したモノマーが95%以上重合に消費された状態を言う。
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9~11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
変性共役ジエン系重合体の重合工程の終盤に、ゲル生成を防止や加工安定性の点で、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(以下「BHT」とも記す。)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
ゴム状重合体の重合工程の終盤等に、重合体の生産性、アウトソール製造時の無期充填剤等を配合したときの加工性を改善するために、必要に応じて、ゴム用軟化剤を添加することができる。
ゴム用軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、伸展油、液状ゴム、樹脂等が挙げられる。加工性や生産性や経済性の点で、伸展油が好ましい。
ゴム用軟化剤を共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、ゴム用軟化剤を重合体溶液に加え、混合して、ゴム用軟化剤含有の重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
好ましい伸展油としては、例えば、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。本実施形態のゴム組成物中の伸展油の含有量は、アウトソールにした時の経年劣化の点で、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が最も好ましい。
好ましい樹脂としては、以下のものに限定されないが、例えば、芳香族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族-芳香族炭化水素樹脂、クマリン-インデン樹脂、フェノール樹脂、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。
これら樹脂は、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部残してもよい。
樹脂を添加した際の効果として、共役ジエン系重合体と充填剤等とを配合したゴム組成物としたときの加工性を改善することに加え、加硫物としたときにおける破壊強度を改良する傾向にある。
本実施形態のゴム状重合体を重合体溶液から溶媒を除去して取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えばスチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱気する方法等が挙げられる。
[靴用ゴム組成物]
本実施形態の靴用ゴム組成物は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体(A)含むゴム成分を100質量部と、前記含むゴム成分100質量部に対して20質量部以上の無機充填剤成分(B)とを含有する。以上の構成により、加硫物とするときの加工性に優れ、無機充填剤を含む加硫物が耐摩耗性、グリップ性に優れる靴用ゴム組成物が提供できる。
本実施形態の靴用ゴム組成物における本実施形態の変性共役ジエン系重合体(A)の含有量は、ゴム成分の総量に対して、100質量%であってもよいが、アウトソールにしたときの耐摩耗性、破壊強度を向上させる観点から、好ましくは90質量%以下であり、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。本実施形態の変性共役ジエン系重合体(A)の含有量は、アウトソールにしたときのグリップ性を向上させる観点から、ゴム成分の総量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。
〔変性共役ジエン系重合体(A)以外のゴム状重合体(C)〕
本実施形態の靴用ゴム組成物は、ゴム成分として、ゴム状重合体(C)を含むことが好ましい。ゴム状重合体(C)としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-クロロプレンゴム、アクリロニトリル-イソプレンゴム、スチレン-クロロプレンゴム、スチレン-イソプレンゴムなどのジエン系ゴムが挙げられる。これらを単独でもよいし複数組み合わせて使用してもよい。好ましくは天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエンゴムから選択されるゴム成分であり、特に好ましくは、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)である。
ゴム成分として、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を単独で使用することもできるが、ゴム状重合体の配合量としては、変性共役ジエン系重合体とゴム状重合体を含むゴム成分の総量に対して、ゴム状重合体の含有量は、好ましくは10質量%以上であり、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。ゴム状重合体の含有量が上記範囲内であることにより、アウトソールにしたときの耐摩耗性、破壊強度がより向上する。また、ゴム状重合体の含有量は、アウトソールにしたときのグリップ性を向上させる観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
〔無機充填剤〕
本実施形態の靴用ゴム組成物は、無機充填剤を含む。アウトソールにしたときのグリップ性能や耐摩耗性向上の観点から、無機充填剤の含有量は、ゴム成分の総量100質量部に対して、20質量部以上であり、30質量部以上がより好ましい。またアウトソールにしたときの軽量化の観点から、無機充填剤の含有量は、ゴム成分の総量100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、60質量部以下が更に好ましい。
本実施形態の靴用ゴム組成物に用いる無機充填剤は、公知の無機充填剤、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等のシリカ系無機充填剤、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、種々の表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、カーボン等の少なくとも1種の成分である。
特に好ましい無機充填剤は、シリカであり、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカが挙げられる。無機充填剤がシリカの場合、ゴムとシリカとの相互作用を良くする観点から、変性剤の変性基は、アミノ基であることが好ましい。
〔シランカップリング剤〕
本実施形態の靴用ゴム組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、それぞれの間の相互作用を緊密にする機能を有している。一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。
シランカップリング剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、エトキシ(3-メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シラン[エボニック・デグサ社製:Si363]、Momentive社製のNXT-Z30,NXT-Z45,NXTZ60,NXTシランなどのメルカプト基を含有するシランカップリング剤、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-テトラスルフィド、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-ジスルフィド、ビス-[2-(トリエトキシシリル)-エチル]-テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス-[2-(トリエトキシシリル)-エチル]-テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、等が挙げられる。
この中でも、補強効果の高さの観点から、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-ジスルフィド、エトキシ(3-メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シラン[エボニック・デグサ社製:Si363]、Momentive社製のNXT-Z30,NXT-Z45,NXTZ60,NXTシランなどのメルカプト基を含有するシランカップリング剤、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-テトラスルフィドが好ましい。これらのシランカップリング剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれの間の相互作用を緊密にする効果を一層顕著なものにする観点から、ゴム成分の総量100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。また加工性が良好となる観点から、シランカップリング剤の配合量は、ゴム成分の総量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。
〔ゴム用軟化剤〕
本実施形態の靴用ゴム組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。ゴム用軟化剤としては、例えば、鉱物油系ゴム用軟化剤、及び、液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、プロセスオイル又はエクステンダーオイルとも呼ばれ、ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されている。また、上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30~45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。変性共役ジエン系重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との親和性がよい傾向にあるため好ましい。
[靴用ゴム組成物の製造方法]
上記変性共役ジエン系重合体及びゴム状重合体を含むゴム成分、無機充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤等の、本実施形態のゴム組成物の構成材料を混合する方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、本実施形態のゴム組成物の構成材料を一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
本実施形態のゴム組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。加硫剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が挙げられる。
硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
加硫剤の含有量は、補強効果によって破断強度を向上させる観点から、変性共役ジエン系重合体とゴム状重合体の総量100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。また柔軟性を有し破断伸びが向上する観点から、加硫剤の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は特に限定されないが、加硫時間を短縮でき生産効率を高められる観点から120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。また加硫時の熱劣化を抑制する観点から200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、160℃以下が更に好ましい。
加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。
加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下のものに限定されないが、例えば、スルフェンアミド系化合物、グアニジン系化合物、チウラム系化合物、アルデヒド-アミン系化合物、アルデヒド-アンモニア系化合物、チアゾール系化合物、チオ尿素系化合物、ジチオカルバメート系化合物などの加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸が挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分の総量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤、充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、及び滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
[アウトソール]
本実施形態の靴用ゴム組成物は、靴底用ゴム組成物として好適に用いられる。すなわち、本実施形態のアウトソールは、本実施形態のゴム組成物を用いてなる。
本実施形態のアウトソール用のゴム組成物は、以下のものに限定されないが、例えば、スポーツシューズ、ランニングシューズ、トレキングシューズ、カジュアルシューズ、などの履物全般の靴底材料への利用が可能である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。以下「部」は特に断りがない限り「質量部」を意味する。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量100,000以下の面積比率、及び分子量1,000,000以上の面積比率)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう)測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。また、得られた分子量分布曲線から、分子量100,000以下の面積比率、分子量1,000,000以上の面積比率を算出した。
具体的な測定条件を以下に示す。下記測定用液20μLをGPC測定装置に注入して測定を行った。
(測定条件)
装置 :東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」
溶離液 :5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(THF)
ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、
分離カラム :東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」をこの順に連結したもの。
オーブン温度:40℃
流量 :0.6mL/分
検出器 :RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)
測定用液 :測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解した測定溶液
(ムーニー粘度)
ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300(ISO 289-1)に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。具体的には、まず、試料を1分間100℃度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定して100℃におけるムーニー粘度を測定した。
(ムーニー緩和率)
ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300(ISO 289-1)に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した後に、即座にローターの回転を停止させ、停止後1.6秒間~5秒間の0.1秒ごとのトルクをムーニー単位で記録し、トルクと時間(秒)を両対数プロットした際の直線の傾きを求め、その絶対値をムーニー緩和率(MSR)とした。
(変性率)
変性共役ジエン系重合体の変性率は、変性共役ジエン系重合体がカラムに吸着する特性を利用し、カラム吸着GPC法で以下のとおり測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルを充填したカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系ゲルを充填したカラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件を以下に示す。下記測定用液20μLをGPC測定装置に注入して測定を行った。
(ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件)
装置 :東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」
溶離液 :5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF
ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」
カラム :東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」をこの順で連結したもの
オーブン温度:40℃
流量 :0.6mL/分
検出器 :RI検出器(東ソー社製 HLC8020)
測定用液 :試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件を以下に示す。下記測定用液50μLをGPC測定装置に注入して測定を行った。
(シリカ系カラムを用いたGPC測定条件)
装置 :東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」
溶離液 :THF
ガードカラム:ジーエルサイエンス社製の商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」
分離カラム :アジレントテクノロジー社製の商品名「Zorbax PSM-1000S」、「PSM-300S」、「PSM-60S」をこの順で連結したもの
オーブン温度:40℃、
流量 :0.5mL/分
検出器 :RI検出器(東ソー社製 HLC8020)
変性率の計算方法 : ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(質量%)を求めた。
変性率(質量%)=[1-(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(結合芳香族ビニルの量)
試料100mgを、クロロホルムで100mLに溶解して測定サンプルとした。芳香族ビニルの芳香族基による紫外線吸収波長(スチレンである場合、254nm付近)の吸収量により、試料である変性共役ジエン系重合体100質量%に対しての結合芳香族ビニル量(質量%)を測定した。測定装置としては島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」を用いた。
(1,2-ビニル結合量)
試料50mgを、二硫化炭素10mLに溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2-ビニル結合量(mol%)を求めた。測定装置としては、日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」を用いた。
(ブロック芳香族ビニルの量)
ブロック芳香族ビニルの量は、I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法に従って測定した。より具体的には、変性共役ジエン系重合体0.050gをクロロホルム10mlに溶解し、tert-ブチルハイドロパーオキサイドの69質量%水溶液16mlと四酸化オスミウムの0.050質量%クロロホルム溶液4.0mlとを加え、90℃バス中にて12分間還流させて酸化分解反応を行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、該反応溶液中にメタノール200mlを攪拌しながら加えて芳香族ビニルブロック成分を沈殿させ、これを5μmのガラスフィルターにて濾別した。得られたものの質量を変性共役ジエン系重合体の全質量で除すことにより、ブロック芳香族ビニルの量を求めた。
(ガラス転移温度(Tg))
ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、-100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
[変性共役ジエンの製造]
(実施例A1)試料No.A
内容積が10Lであり、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口を有し、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブ1基を使用し、さらに反応器の原料入口手前に、スタティックミキサーを1基連結した、予め水分等の不純物を除去した、1,3-ブタジエンを、19.5g/分、スチレンを6.7g/分、n-ヘキサンを137.6g/分で混合した。この混合液が1基目の反応器に入る直前で、不純物不活性化処理用のn-ブチルリチウムを0.020phmで供給しスタティックミキサーで混合した後、1基目の反応器の底部に連続的に供給した。さらに、極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを0.065phmと、重合開始剤としてNBL(ノルマルブチルリチウム)を0.097phmとして、反応器の底部へ連続的に供給し、反応器内の温度を98℃に保持した
反応器内で製造されたゴム溶液は、反応器の頂部よりスタティックミキサーへ供給し、スタティックミキサーの手前で、重合開始剤として供給したNBLのリチウムに対して、AS-2(1,3ビス-(N,N‘ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン)を1.0当量の比で連続的に供給して反応を行い、試料No.Aを得た。
(実施例A2)試料No.B
変性剤を、AS-1(2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラクシクロペンタンに変えた以外は、実施例A1と同様の方法で試料No.Bを得た。
(実施例A3)試料No.C
重合開始剤の添加量を、0.107phm、極性物質の添加量を、0.021phm、に変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、試料No.Cを得た。
(実施例A4)試料No.D
変性剤の添加量を、0.6当量に変えた以外は、実施例A3と同様の方法で、試料No.Dを得た。
(実施例A5)試料No.E
変性剤の添加量を、0.4当量に変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、試料No.Eを得た。
(実施例A6)試料No.F
1,3-ブタジエンの添加量を、22.1g/分、スチレンの添加量を4.1g/分、極性物質の添加量を0.018phm、重合温度を95℃に変えた以外は、実施例A3と同様の方法で、試料No.Fを得た。
(実施例A7)試料No.G
1,3-ブタジエンの添加量を、23.5g/分、スチレンの添加量を2.7g/分に変えた以外は、実施例A6と同様の方法で、試料No.Gを得た。
(実施例A8)試料No.H
1,3-ブタジエンの添加量を16.8g/分、スチレン添加量を9.4g/分、極性物質添加量を0.084phm、重合開始剤の添加量を0.116phmに変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、資料No.Hを得た。
(実施例A9)試料No.I
重合開始剤の添加量を0.082phm、極性物質の添加量を0.025phm、変性剤の添加量を0.6当量に変えた以外は、実施例A8と同様の方法で、試料No.Iを得た。
(実施例A10)試料No.J
重合温度を95℃に変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、試料No.Jを得た。
(実施例A11)試料No.K
変性剤の添加量を0.6当量に変えた以外は、実施例A10と同様の方法で試料No.Kを得た。
(比較例A1)試料No.L
極性物質の添加量を0.18phm、重合温度を87℃に変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、試料No.Lを得た。
(比較例A2)試料No.M
重合開始剤の添加量を0.075phm、極性物質の添加量を0.018phm、重合温度を95℃に変えた以外は、実施例A3と同様の方法で、試料No.Mを得た。
(比較例A3)試料No.N
重合開始剤の添加量を0.082phm、極性物質の添加量を0.018phm、変性剤の添加量を0.3当量に変えた以外は、実施例A3と同様の方法で、試料No.Nを得た。
(比較例A4)試料No.O
1,3-ブタジエンの添加量を15.2g/分、スチレンの添加量を11.0g/分、重合触媒の添加量を0.103g/分、極性物質の添加量を0.078phmに変えた以外は、実施例A1と同様の方法で、試料No.Oを得た。
Figure 2023144632000001
以上、実施例A1~A11、及び比較例A1~A4で、表1に示す変性共役ジエン系重合体(試料No.A~O)を得た。
(実施例B1~B11及び比較例B1~B4)
表2に示すように、ゴム成分として変性共役ジエン系重合体を100部と、無機充填剤等を配合することで、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。より詳細には、表2の材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.6L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30rpmの条件で、原料ゴム(変性共役ジエン系重合体)、充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は125~135℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
その後、第二段の混練りとして、73℃に設定したオープンロールにて、一段目で排出されたゴム組成物のロール通しを7回行った。
冷却後、第三段の混練として、73℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1,2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で25分間、加硫プレスにて加硫をし、加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、後述の方法により評価をした。その結果を表3に示す。
Figure 2023144632000002
Figure 2023144632000003
(実施例C1~C11及び比較例C1~C4)
表4に、原料ゴム成分としてポリブタジエンゴムを60部、ポリイソプレンゴムを10部、変性共役ジエン系重合体を30部と、無機充填剤等を配合することで、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。より詳細には、表4の材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.6L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30rpmの条件で、原料ゴム(ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、変性共役ジエン系重合体)、充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は125~135℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
その後、第二段の混練りとして、73℃に設定したオープンロールにて、一段目で排出されたゴム組成物のロール通しを7回行った。
冷却後、第三段の混練として、73℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1,2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で25分間、加硫プレスにて加硫をし、加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価をした。その結果を表5に示す。
Figure 2023144632000004
Figure 2023144632000005
表2,4の各成分について、使用した製品名は以下のとおりである。
・ポリブタジエンゴム(宇部興産社製の「UBEPOL U150」)
・ポリイソプレンゴム(日本ゼオン社製、商品名「Nipol IR2200」)
・シリカ(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil VN3」)
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si69」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
・老化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
・加硫促進剤1(2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT)
・加硫促進剤2(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド:TBBS)
表2の材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.6L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30rpmの条件で、原料ゴム(変性共役ジエン系重合体)、充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は125~135℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
その後、第二段の混練りとして、73℃に設定したオープンロールにて、一段目で排出されたゴム組成物のロール通しを7回行った。
冷却後、第三段の混練として、73℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1,2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で25分間、加硫プレスにて加硫をし、加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価をした。その結果を表3に示す。
表4の材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.6L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30rpmの条件で、原料ゴム(ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、変性共役ジエン系重合体)、充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は125~135℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
その後、第二段の混練りとして、73℃に設定したオープンロールにて、一段目で排出されたゴム組成物のロール通しを7回行った。
冷却後、第三段の混練として、73℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1,2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で25分間、加硫プレスにて加硫をし、加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価をした。その結果を表5に示す。
〔特性の評価〕
(評価1)引裂き強度
試験片としてトラウザ形試験片を準備し、JIS K-6252に準拠して、引裂き試験を行い、試験片が切断に至るまでの最大引裂き力(単位:NK/m)を測定した。
表3において、比較例B4の評価を100として指数化し、実施例B1~B11、比較例B1~B3を指数化した。
表5において、比較例C4の評価を100として指数化し、実施例C1~C11、比較例C1~C3を指数化した。指数が大きいほど引裂き強度に優れる。
(評価2)引張り強度
JIS K6251の引張試験法に準拠し、破断強度(単位:MPa)と破断伸び(単位:%)を測定した。
表3において、比較例B4の評価を100として指数化し、実施例B1~B11、比較例B1~B3を指数化した。
表5において、比較例C4の評価を100として指数化し、実施例C1~C11、比較例C1~C3を指数化した。指数が大きいほど引裂き強度に優れる。
(評価3)グリップ性:動摩擦係数
新東科学社製の動摩擦試験機(HeidonトライボギアType40)にて動摩擦係数の測定を行った。
滑り面はセラミックタイルで、水で潤滑状態にし、厚み3mm、幅30mm、奥行き30mmの加硫シートを滑り面に載せて、荷重500gf、滑り速度25mm/分、滑り距離80mmでの動摩擦係数の平均値をグリップ性として評価を行った。
表3において、比較例B4の評価を100として指数化し、実施例B1~B11、比較例B1~B3を指数化した。
表5において、比較例C4の評価を100として指数化し、実施例C1~C11、比較例C1~C3を指数化した。指数が大きいほど引裂き強度に優れる。
(評価4)耐摩耗性
JIS K6264に準拠した、DIN摩耗試験機(上島製作所製)によって比摩耗体積(単位:mm3)を測定した。
表3において、比較例B4の評価を100として指数化し、実施例B1~B11、比較例B1~B3を指数化した。
表5において、比較例C4の評価を100として指数化し、実施例C1~C11、比較例C1~C3を指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れる。
(評価5)加工性:
第三段の混練りとして、オープンロールで混練りを行ったシート表面の肌荒れとシートのエッジの荒れの状態を目視で観察した。
表3において、比較例B4の評価をEとし、実施例B1~B11、比較例B1~B4を評価した。
表5において、比較例C4の評価をEとし、実施例C1~C11、比較例C1~C4を評価した。
なお、表中の各種評価の基準は以下のとおりである。
A:シートの表面とエッジが滑らかな状態
B:シートの表面とエッジのいずか一方が若干波打っているが滑らかな状態
C:シートの表面とエッジが若干波打っているが滑らかな状態
D:シートの表面、エッジのいずれか一方が荒れている状態
E:シートの表面とエッジが荒れている状態
表3に示す通り、実施例B1~B11は、比較例B1~B3と比較して、靴用ゴム組成物の引張り強度と耐摩耗性のバランスに優れ、さらに優れた引張強度と引裂き強度が得られることを確認した。
同様に表5に示す通り、実施例C1~C11は、比較例C1~C3と比較して、靴用ゴム組成物の引張り強度と耐摩耗性のバランスに優れ、さらに優れた引張強度と引裂き強度が得られことを確認した。
本発明に係る変性共役ジエン系重合体と靴用ゴム組成物は、靴底分野、特にスポーツシューズ、ランニングシューズ、トレキングシューズ、カジュアルシューズなどの履物全般の靴底材料として有用である。

Claims (8)

  1. 下記のI)~V)の条件を満たす、変性共役ジエン系重合体。
    I)ガラス転移温度が-80℃~-30℃
    II)1,2-ビニル結合量が13mol%~30mol%
    III)JIS K6300(ISO 289-1)の条件で測定をしたムーニー粘度が30~70
    IV)変性率が30質量%以上
    V)結合芳香族ビニルの量が40質量%以下
  2. 前記変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量100,000以下の面積比率が、8%以上である、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体。
  3. 前記変性共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより得られる分子量分布曲線の全体面積を100%としたときに、分子量1,000,000以上の面積比率が、5%以上である、請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体。
  4. 結合芳香族ビニルの量に対するブロック芳香族ビニルの量の比が、0.23以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
  5. 前記変性共役ジエン系重合体が、共役ジエン単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位と有し、且つ、窒素原子含有官能基を有する重合体を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム成分100質量部と、
    前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以上の無機充填剤成分(B)と
    を含有する靴用ゴム組成物。
  7. 前記ゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体(A)以外のゴム状重合体(C)を含み、
    前記変性共役ジエン系重合体(A)の含有量が、前記ゴム成分の総量に対して、90質量%以下であり、
    前記ゴム状重合体(C)の含有量が、前記ゴム成分の総量に対して、10質量%以上である請求項6に記載の靴用ゴム組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の靴用ゴム組成物含むアウトソール。
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