JP2023143864A - 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法 - Google Patents

太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023143864A
JP2023143864A JP2023046762A JP2023046762A JP2023143864A JP 2023143864 A JP2023143864 A JP 2023143864A JP 2023046762 A JP2023046762 A JP 2023046762A JP 2023046762 A JP2023046762 A JP 2023046762A JP 2023143864 A JP2023143864 A JP 2023143864A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power generation
sheet
solar power
installation surface
photovoltaic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023046762A
Other languages
English (en)
Inventor
孝 青木
Takashi Aoki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2023143864A publication Critical patent/JP2023143864A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Roof Covering Using Slabs Or Stiff Sheets (AREA)

Abstract

【課題】可撓性を有する太陽光発電シートを屋根の表面などの設置面に簡易に設置することができ、かつ、発電部の破損を抑制したうえで容易に太陽光発電シートを設置面から引き剥がすことができる太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法を提供する。【解決手段】太陽光発電シートの設置構造100は、発電部3を備える太陽光発電シート1であって、可撓性を有する太陽光発電シート1と、太陽光発電シート1が設置される設置面9と、太陽光発電シート1及び設置面9の間に介在して太陽光発電シート1を設置面9に固定する固定材7と、を備える。固定材7は、太陽光発電シート1の一方向に沿って延びており、かつ、発電部3を避けた部分であって一方向に直交する他方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、太陽光発電シート1を設置面9に固定する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば屋根の表面などの設置面に太陽光発電シートを設置する設置構造、及び、設置面に太陽光発電シートを設置する太陽光発電シートの施工方法に関する。
特許文献1には、ソーラーパネルの取付構造が開示されている。特許文献1に記載の取付構造は、屋根の表面に接着剤などによって固定された固定部材及び補強部材を備えている。ソーラーパネルは、その一端部が蝶番を介して固定部材に回動可能に取り付けられ、その他端部が磁石を介して磁性材料で形成された補強部材に係脱可能に固着されている。これにより、ソーラーパネルは、屋根上に空間をあけて設置される。
特開2021-195846号公報
従来のソーラーパネルは、板状に加工されたリジッドな太陽電池であり、特許文献1に記載の取付構造のように、固定部材や補強部材などの取付架台を用いて屋根上に設置するのが一般的である。しかし、取付架台は重量が大きく、屋根に取付架台を取り付ける作業は大変な労力を要する。
また近年では、ペロブスカイト太陽光発電シートなどの可撓性を有する薄膜型太陽電池が普及している。この太陽光発電シートを取付架台によって屋根上に設置すると、太陽光発電シートと屋根との間に空間が生じ、可撓性を有する太陽光発電シートでは設置された状態において風などの影響を受けて振動する。太陽光発電シートは振動により発電効率が低下するという特徴があるため、実用上好ましくない。また、強風時や雨水が溜まった際に、固定部に張力が集中することで太陽光発電層の破損や内部配線の断線、シートそのものの破れなどが生じることがある。以上より、取付架台を用いることなく屋根の表面に直接設置することが好ましい。
ここで、太陽光発電シートを屋根の表面に直接設置する方法として、太陽光発電シートの全域を屋根の表面に固着する、あるいは、太陽光発電シートの周縁部を全周にわたって屋根の表面に固着することが考えられる。しかし、この方法では、太陽光発電シートを回収する必要がある場合に、太陽光発電シートを屋根の表面から徐々に引き剥がす際に発電部が折れ曲がるため、発電部に応力が集中して発電部が破損するおそれがある。
本発明の目的は、可撓性を有する太陽光発電シートを屋根の表面などの設置面に簡易に設置することができ、かつ、発電部の破損を抑制したうえで容易に太陽光発電シートを設置面から引き剥がすことができる太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
項1.発電部を備える太陽光発電シートであって、可撓性を有する太陽光発電シートと、 前記太陽光発電シートが設置される設置面と、
前記太陽光発電シート及び前記設置面の間に介在して前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する固定材と、
を備え、
前記固定材は、前記太陽光発電シートの一方向に沿って延びており、かつ、前記発電部を避けた部分であって前記一方向に直交する他方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する、太陽光発電シートの設置構造。
項2.前記発電部は、前記他方向に間隔をあけて配置され、
前記固定材は、それぞれの前記発電部を挟むように、前記他方向に間隔をあけて配置される、項1に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項3.前記太陽光発電シートは、平面視矩形状であり、
前記固定材は、前記太陽光発電シートの互いに向かい合う一対の辺に沿って延びるように配置されるとともに、隣り合う前記発電部の間の部分に前記一対の辺と平行に延びるように配置される、項2に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項4.前記固定材が、面ファスナ、磁石、両面テープ及び接着剤からなる群より選択される少なくとも一種である、項1から3のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項5.前記太陽光発電シートは、前記固定材で前記設置面に固定された部分以外の少なくとも一部分において、前記固定材による固定力よりも弱い固定力の弱固定材で前記設置面に固定されており、
前記弱固定材による固定力は、前記固定材による固定力の3/4以下である、項1から4のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項6.前記太陽光発電シートの曲げ強さが50MPa以上200MPa以下である、項1から5のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項7.前記発電部がペロブスカイト化合物を含む、項1から6のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
項8.設置面に対して可撓性を有する太陽光発電シートを設置するための太陽光発電シートの施工方法であって、
前記太陽光発電シートの一方向に沿って延びる固定材により、前記太陽光発電シートの前記発電部を避けた部分でありかつ前記一方向に直交する他方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する、太陽光発電シートの施工方法。
本発明によれば、可撓性を有する太陽光発電シートを屋根の表面などの設置面に簡易に設置することができ、かつ、発電部の破損を抑制したうえで容易に太陽光発電シートを設置面から引き剥がすことができる、という利点がある。
図1は本発明の一実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の斜視図である。 図2は図1の(A)I-I断面図、(B)II-II断面図、である。 図3は本発明の一実施形態に係る太陽光発電シートの底面図である。 図4(A)は太陽光発電シートの断面図であり、図4(B)は図4(A)のB部分の拡大図であり、図4(C)は図4(A)のA-A線に沿って発電部を切断した状態を示す断面図、である。 図5は本発明の一実施形態に係る設置構造において太陽光発電シートを設置面から引き剥がす手順を説明する断面図である。 図6は本発明の他の実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の平面図である。 図7は本発明のさらに他の実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の平面図である。 図8は本発明のさらに他の実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の平面図である。 図9は本発明のさらに他の実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の平面図である。 図10は比較例に係る太陽光発電シートの設置構造の一部分の平面図である。 図11は比較例の設置構造において太陽光発電シートを設置面から引き剥がす手順を説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
太陽光発電シートの設置構造
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電シートの設置構造100(以下、単に「設置構造100」という。)を示す。図1及び図2に示す設置構造100は、図3及び図4に示す太陽光発電シート1が設置面9に設置された構造であり、設置面9と、太陽光発電シート1と、設置面9に設置された太陽光発電シート1を設置面9に固定する固定材7と、を備える。
以下、本実施形態に係る設置構造100の各構成を、より詳細に説明する。
設置面
設置面9は、上述した太陽光発電シート1の設置対象物の表面である。設置対象物は、特に限定されるものではなく、例えば、屋根、壁(金属系サイディング材、窯業系サイディング材、サンドイッチパネル等)、間仕切り、扉、フェンス、床などを挙げることができる。また、設置対象物は、その他の構造物の表面、例えば、道路、地面、堤防などであってもよく、自動車、電車、船舶などであってもよい。本実施形態では、建築物の屋根を設置対象物としている。屋根は、例えば、折板屋根、スレート屋根、ルーフデッキ、瓦棒葺き、立平葺き等に用いられる屋根材が挙げられる。屋根は、縦葺きであってもよいし、横葺きであってもよい。建築物は、非住宅建築物であってもよいし、住宅建築物であってもよい。非住宅建築物は、特に限定されるものではなく、例えば、店舗、倉庫、工場、ビニールハウス、温室、集会場、体育館、駐車場などを挙げることができる。
設置面9は、水平面(重力が働く方向に垂直な面)と平行な面であってもよいし、水平面に対して角度をなして交わる面であってもよい。水平面に対して角度をなして交わる設置面9は、水平面に対して所定の傾斜角度θ(0°<θ<90°)をなす傾斜面と、水平面に対して垂直をなす鉛直面と、を含む。本実施形態では、設置面9は傾斜面である。設置面9は、平面であってもよいし、曲面であってもよく、その表面状態は平滑である他、ざらざらしていたり凸凹していてもよい。設置面9は、例えば、金属、樹脂、アスファルト、コンクリートなどで形成される。
また、設置面9は、上述した構造物の表面に敷設及び固定された例えば樹脂製シート等のシート材の表面であってもよい。
設置面9のJIS B0601で測定される算術平均粗さについて、上限は、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、下限は、0.1μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。設置面3の表面粗さが上記範囲であれば、太陽光発電シート1の外周縁から太陽光発電シート1及び設置面9の間に風が吹きこむのを抑制できる。また、固定材7に接着剤を用いた場合に接着剤が設置面9の凸凹に入り込むことによるアンカー効果によって接着剤の接着力が高まり、設置面9に対する太陽光発電シート1の固定力を高めることができる。
太陽光発電シート
図1から図3に示すように、太陽光発電シート1はシート状に形成されており、太陽光を厚さ方向の少なくとも一方の面(例えばおもて面)側から受けることで発電を行うことができる。本明細書でいう「シート」「シート状」は、その物体の厚さが、平面視における周縁の間の最大長さに対して、10%以下である形状を意味し、膜状、箔状、フィルム状なども、「シート状」に含まれる。また、「平面視における周縁の間の最大長さ」は、平面視における形状が矩形状である場合、対角線の長さを意味し、平面視における形状が円形状である場合、直径の長さを意味する。
本実施形態に係る太陽光発電シート1は、平面視矩形状、好ましくは平面視長方形状に形成されている。平面視矩形状の太陽光発電シート1は、互いに向かい合う一対の辺と平行な方向の縦方向と、互いに向かい合う他の一対の辺と平行でありかつ縦方向に直交する横方向と、を有する。本実施形態では、太陽光発電シート1は平面視長方形状であり、縦方向及び横方向として、一対の長辺12,13と平行な長手方向と、一対の短辺10,11と平行でありかつ長手方向に直交する短手方向と、を有する。上述した縦方向及び横方向は、特許請求の範囲に記載の一方向及び他方向に相当する。
太陽光発電シート1の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平面視円形状、平面視楕円形状、平面視多角形状などであってもよい。例えば、平面視楕円形状の太陽光発電シート1は、長軸方向及び短軸方向が特許請求の範囲に記載の一方向及び他方向に相当する。平面視円形状の太陽光発電シート1は、一つの径方向が特許請求の範囲に記載の一方向に相当し、前記一つの径方向に直交する他の一つの径方向が特許請求の範囲に記載の他方向に相当する。
太陽光発電シート1は、可撓性を有している。太陽光発電シート1の曲げ強さについて、下限は、好ましくは10MPa以上であり、より好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは90MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。また、太陽光発電シート1の曲げ強さの上限は、好ましくは200MPa以下であり、より好ましくは150MPa以下であり、より好ましくは140MPa以下であり、より好ましくは130MPa以下である。また、太陽光発電シート1の可撓性は、曲げ弾性率で定義されていてもよい。太陽光発電シート1の曲げ弾性率について、下限は、好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上であり、上限は、好ましくは10000MPa以下であり、より好ましくは5000MPa以下である。太陽光発電シート1を曲げ弾性率で定義する場合、曲げ強さは上記範囲に含まれなくてもよい。太陽光発電シート1は、曲げ強さ又は曲げ弾性率が、上記範囲内に設定されることで、設置面9に対する太陽光発電シート1の施工性を良好にしながら、太陽光発電シート1にひび割れなどの破損が生じることを抑制できる。太陽光発電シート1の曲げ強さ及び曲げ弾性率は、例えば、JIS K7171に準拠する測定方法で測定される。
太陽光発電シート1は、図4に示すように、バックシート2と、少なくとも一つの発電部3と、バリアシート4と、封止剤5と、封止縁材6と、を備える。本実施形態では、太陽光発電シート1は、複数の発電部3を備えるが、発電部3を一つ備えるものであってもよい。複数の発電部3及び封止剤5は、バックシート2とバリアシート4との間に配置されている。封止縁材6は、バックシート2とバリアシート4との間に複数の発電部3及び封止剤5を配置した状態で、外縁を全長にわたって封止する。
(バックシート)
バックシート2は、太陽光発電シート1の受光面とは反対側に配置される。バックシート2は、太陽光発電シート1において設置面9に対向する面を構成する。バックシート2は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。バックシート2は、透光性があってもよいが、必ずしも透光性は必要ではない。
なお、本明細書でいう「透光性がある」とは、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であることを意味する。
バックシート2は、可撓性を有する。バックシート2の縦弾性係数について、下限は、好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは1000MPa以上であり、より好ましくは2400MPa以上であり、より好ましくは3000MPa以上であり、上限は、好ましくは10000MPa以下であり、より好ましくは5000MPa以下であり、より好ましくは4200MPa以下であり、より好ましくは4000MPa以下である。バックシート2の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、ビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂からなるプラスチックフィルム、プラスチック基板などを挙げることができる。また、バックシート2の材料としては、合成樹脂のほか、例えば、天然樹脂、ゴム、金属、カーボン、パルプ等が用いられてもよい。
バックシート2の厚さについて、下限は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、より好ましくは200μm以上であり、上限は、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは800μm以下であり、より好ましくは600μm以下である。バックシート2の厚さが上記範囲内であることにより、太陽光発電シート1の曲げ強さを上記範囲内に設定しやすい。
太陽光発電シート1において設置面9に対向する面を構成するバックシート2の臨界表面張力について、下限は、好ましくは10mN/m以上であり、より好ましくは15mN/m以上であり、上限は、好ましくは50mN/m以下であり、より好ましくは40mN/m以下である。バックシート2の臨界表面張力が上記範囲内であることにより、太陽光発電シート1及び設置面9の間に浸入した雨水などの水が水滴状になりにくく、設置面9の下る方向に水を流下させやすくすることができる。臨界表面張力は、例えば、接触角を測定することにより得られる。臨界表面張力に関しては、「プラスチックの表面改質」(高分子材料の界面物性と表面改[30]-[38]杉田和之)を参照のこととする。接触角に関しては、静的・動的手法など種々あるが、本明細書においては静的手法を用い、カメラによる計測で測定することができる。
(発電部)
太陽光発電シート1において、複数の発電部3は、互いに間隔をあけて配置されており、本実施形態では長手方向に間隔をあけて並んでいる。なお、複数の発電部3は、本実施形態では、太陽光発電シート1の長手方向に一列で並んでいるが、この列が太陽光発電シート1の短手方向に間隔をあけて複数あってもよい。複数の発電部3は、直列又は並列で電気的に接続されている。
隣り合う発電部3の間の距離について、下限は、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、より好ましくは15mm以上であり、上限は、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは50mm以下であり、より好ましくは20mm以下である。
発電部3は、光起電力効果を利用した光電変換素子である発電セル300を少なくとも一つ備える。本実施形態では、発電部3は複数の発電セル300を備え、複数の発電セル300が太陽光発電シート1の面方向(例えば太陽光発電シート1の長手方向及び/又は短手方向)に配置された光電変換ユニットにより構成される。なお、発電部3は一つの発電セル300により構成されていてもよい。
発電セル300は、図4(A)に示すように、透光性基材30と、透光性導電層31と、発電層32と、電極33と、を備える。透光性基材30、透光性導電層31、発電層32、及び電極33は、バリアシート4からバックシート2に向かう方向に沿って、この順で積層されている。すなわち、透光性基材30がバリアシート4に対向し、電極33がバックシート2に対向するように配置される。
(透光性基材)
透光性基材30は、透光性導電層31、発電層32、及び電極33を支持する。透光性基材30は、透光性を有する。透光性基材30の透光性は、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、10%以上であればよいが、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上である。なお、本明細書では、光の透過率が、入射前の光のピーク波長に対して、80%以上であることを、「透明」であるとする。
透光性基材30の材料は、例えば、無機材料、有機材料、金属材料などを挙げることができる。無機材料は、例えば、石英ガラス、無アルカリガラスなどを挙げることができる。有機材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET; polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN; polyethylene naphthalene)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマーなどのプラスチック、高分子フィルムなどを挙げることができる。金属材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコンなどを挙げることができる。
透光性基材30の厚さは、透光性導電層31、発電層32及び電極33を支持することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、30μm以上300μm以下である。
透光性基材30は、発電セル300の製造過程で必要になる基材である。このため、太陽光発電シート1の製品としては、必ずしも必要な構成ではない。透光性基材30は、例えば、太陽光発電シート1の製造途中にだけ利用されてもよく、製造後又は製造途中に取り除かれてもよい。なお、取り除かれる場合、透光性基材30に代えて、透光性を有さない基材を用いてもよい。
(透光性導電層)
透光性導電層31は、導電性を有する層であり、カソードとして機能する。透光性導電層31は、透光性を有する。透光性導電層31は、透明であることが好ましい。
透光性導電層31の材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO; Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO; F-doped Tin Oxide)、ネサ膜などの透明な材料を挙げることができる。透光性導電層31は、透光性基板の表面に対して、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法などにより形成される。
また、透光性導電層31は、不透光性材料を用いつつ、光を透過可能なパターンを形成することで、透光性を有するように構成してもよい。不透光性材料は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金などを挙げることができる。光を透過可能なパターンは、例えば、格子状、線状、波線状、ハニカム状、丸穴状などを挙げることができる。
透光性導電層31の厚さは、好ましくは30nm以上300nm以下である。透光性導電層31は、厚みが30nm以上300nm以下であると、可撓性を高く保ちながら、良好な導電性を得ることができる。
(発電層)
発電層32は、光の照射によって光電変換を生じさせる層であり、光を吸収することで生成された励起子から、電子と正孔とを生じさせる。発電層32は、図4(B)に示すように、正孔輸送層320と、光電変換層321と、電子輸送層322と、を備える。正孔輸送層320、光電変換層321、及び電子輸送層322は、透光性導電層31から電極33に向かう方向に沿って、この順で積層されている。
(正孔輸送層)
正孔輸送層320は、光電変換層321で発生した正孔を、透光性導電層31へ抽出し、かつ光電変換層321で発生した電子が、透光性導電層31へ移動するのを妨げる。正孔輸送層320の材料は、例えば、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウムなどを挙げることができる。また、その他、デラフォサイト型化合物半導体(CuGaO2)、酸化銅、チオシアン酸銅(CuSCN)、五酸化バナジウム(V2O)、酸化グラフェン等が用いられてもよい。また、正孔輸送層320の材料は、p型有機半導体又はp型無機半導体を用いることもできる。
正孔輸送層320の厚さについて、下限は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、上限は、好ましくは1000nm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、より好ましくは50nm以下である。正孔輸送層320は、厚さが上記範囲であれば、正孔の輸送が実現できる。
(光電変換層)
光電変換層321(光活性層)は、吸収した光を光電変換する層である。光電変換層321の材料は、吸収した光を光電変換することができれば特に限定されるものではなく、例えば、アモルファスシリコン、ペロブスカイト、非シリコン系材料(半導体材料CIGS)などが用いられる。また、光電変換層321は、これらを複合したタンデム型の積層構造としてもよい。非シリコン系材料が用いられた光電変換層321は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体材料CIGSが用いられており、光電変換層の厚さを薄くしやすい。
以下では、光電変換層321の一例として、ペロブスカイトが用いられる光電変換層321を挙げて説明する。ペロブスカイト化合物を含む光電変換層321は、入射光の角度に対する発電効率の依存性(以下、入射角依存性という場合がある)が比較的低いという利点がある。これにより、太陽光発電シート1は、設置面9の勾配に対する依存性が少ないため、他の太陽電池と比較してより広い箇所に設置でき、より高い発電効率を得ることができる。
ペロブスカイト化合物は、ペロブスカイト結晶構造体及びこれに類似する結晶を有する構造体である。ペロブスカイト結晶構造体は、組成式 ABX で表される。この組成式において、例えば、Aは有機カチオン、Bは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンを示す。ただし、Aサイト、Bサイト及びXサイトはこれに限定されない。
Aサイトを構成する有機カチオンの有機基は、特に限定されるものではなく、例えば、アルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体などを挙げることができる。Aサイトを構成する有機カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
Bサイトを構成する金属カチオンの金属としては、特に限定されるものではなく、例えば、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euなどを挙げることができる。Bサイトを構成する金属カチオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
Xサイトを構成するハロゲンアニオンのハロゲンは、特に限定されるものではなく、例えば、F、Cl、Br、Iなどを挙げることができる。Xサイトを構成するハロゲンアニオンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
光電変換層321の厚さについて、下限は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、より好ましくは300nm以上であり、上限は、好ましくは1000000nm以下であり、より好ましくは50000nm以下であり、より好ましくは1000nm以下である。光電変換層321は、厚さが上記範囲内であると、光電変換効率が向上する。
(電子輸送層)
電子輸送層322は、光電変換層321で発生した電子を電極33へ抽出し、かつ光電変換層321で発生した正孔が、電極33へ移動するのを妨げる。電子輸送層322としては、例えば、ハロゲン化合物又は金属酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
ハロゲン化合物は、例えば、ハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)、ハロゲン化ナトリウム(NaF、NaCl、NaBr、NaI)などを挙げることができる。金属酸化物を構成する元素は、チタン、モリブデン、バナジウム、亜鉛、ニッケル、リチウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ニオブ、スズ、バリウムなどを挙げることができる。また、電子輸送層322の材料は、n型有機半導体又はn型無機半導体を用いることもできる。
電子輸送層322の厚さについて、下限は、好ましくは1nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、上限は、好ましくは1000nm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、より好ましくは150nm以下である。電子輸送層322は、厚さが上記範囲内であれば、電子の輸送が実現できる。
(電極)
電極33は導電性を有し、アノードとして機能する。電極33は、光電変換層321によって生じた光電変換に応じて、光電変換層321から電子を取り出すことができる。電極33は、透光性を有していてもよいし、不透光性材料で構成されてもよい。電極33の材料は、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、又はこれらを含む合金などを挙げることができる。
(バリアシート)
バリアシート4は、太陽光発電シート1の厚さ方向において、バックシート2とは反対側に配置される。バリアシート4は、太陽光発電シート1の受光面を含む。バリアシート4は、透光性を有している。バリアシート4は、透明であることが好ましい。バリアシート4は、水蒸気に対するバリア性能、及び外力に対する保護性能を有する。
バリアシート4は、可撓性を有する。バリアシート4の縦弾性係数について、下限は、好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは1000MPa以上であり、より好ましくは2400MPa以上であり、より好ましくは3000MPa以上であり、上限は、好ましくは10000MPa以下であり、より好ましくは5000MPa以下であり、より好ましくは4200MPa以下であり、より好ましくは4000MPa以下である。バリアシート4の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、ビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂からなるプラスチックフィルム、ビニルフィルムなどを挙げることができる。また、バリアシート4の材料としては、合成樹脂のほか、例えば、天然樹脂、ゴム、金属、パルプ等が用いられてもよい。
また、バリアシート4の厚さについて、下限は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、より好ましくは200μm以上であり、上限は、好ましくは2000μm以下であり、より好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは800μm以下であり、より好ましくは600μm以下である。バリアシート4の厚さが上記範囲内であることにより、太陽光発電シート1の曲げ強さを上記範囲内に設定しやすい。
(封止剤)
封止剤5は、バリアシート4とバックシート2との間に発電層32を配置した状態で、バリアシート4とバックシート2との間に充填される。封止剤5は、発電層32に対して、発電層32の周囲から浸水するのを妨げる。封止剤5は、透光性を有しており、好ましくは、透明である。
封止層の材料としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA; Ethylene-vinyl acetate)、ポリオレフィン、ブチルゴム、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、SBS樹脂、SIBS樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
(封止縁材)
封止縁材6は、バックシート2とバリアシート4との間に複数の発電セル300及び封止剤5を配置した状態で、外縁を全長にわたって封止する。封止縁材6の外周縁が太陽光発電シート1の外周縁を構成する。封止縁材6は、図4に示すように、第1接着部60と、第2接着部61と、第1接着部60と第2接着部61とをつなぐ封着部62と、を備える。第1接着部60は、バリアシート4のおもて面(図では上面)に接着される。第2接着部61は、バックシート2のうら面(図では下面)に接着される。第1接着部60、封着部62及び第2接着部61は、一体に形成されている。
封止縁材6の材料としては、例えば、ブチルゴム、シリコーンゴム等からなるテープ材を挙げることができる。
(太陽光発電シートの作用)
太陽光発電シート1のおもて面側(バリアシート4側)から太陽光発電シート1に光が照射されると、発電部3において発電セル300の発電層32の光電変換層321が光を吸収して光電変換を行うことで、光電変換層321で電子と正孔とが生じる。当該電子が電子輸送層322を介して電極33(アノード)へ抽出され、正孔が正孔輸送層320を介して透光性導電層31(カソード)へ抽出されることで、透光性導電層31から電極33へ電流が流れる(すなわち発電が行われる)。
ここで、発電部3では、図4(C)に示すように、複数の発電セル300の電極33に延長部330が設けられており、電極33の延長部330は透光性導電層31側へ延びている。隣り合う二つの発電セル300,300では、一方の発電セル300の電極33の延長部330が他方の発電セル300の透光性導電層31に接合される。この接合により、図4(C)において矢印で示すように、太陽光発電シート1に光が照射される間では、発電部3の一方端(図4(C)では右端)にある透光性導電層31から、発電部3の他方端(図4(C)では左端)にある電極33へ電流が流れる。この電流は、図示しない配電線を介して取り出される。
発電部3が複数の発電セル300を備える光電変換ユニットにより構成することで、一部の発電セル300に不具合が生じても、発電部3からの電気取り出し量を安定化させることができる。
なお、複数の発電セル300の電極33に延長部330を設けることに代わり、複数の発電セル300の透光性導電層31に、電極33側へ延びる延長部を設けてもよい。この場合、隣り合う二つの発電セル300,300では、一方の発電セル300の透光性導電層31の延長部が、他方の発電セル300の電極33に接合される。このようにしても上記と同様の効果が得られる。
また、発電部3に透光性基材30を設ける場合には、発電部3の製造を容易にする観点から、図4(C)に示すように、複数の発電セル300の透光性導電層31、発電層32及び電極33を、共通の透光性基材30に支持させることが好ましい。
また、発電部3が一つの発電セル300によって構成される場合には、透光性導電層31から電極33へ流れる電流が配電線を介して取り出される。
固定材
図1から図3に示すように、固定材7は、太陽光発電シート1及び設置面9の間において、太陽光発電シート1の一方向に沿って延びるとともに、前記一方向に直交する他方向に間隔をあけて配置される。
本実施形態では、固定材7は、太陽光発電シート1及び設置面9の間において、平面視長方形状の太陽光発電シート1の短手方向に沿って延びるとともに、長手方向に間隔をあけて配置される。固定材7は、太陽光発電シート1の一部分を設置面9に固定する。太陽光発電シート1は、固定材7により、その全域が設置面9に固定されておらず、かつ、その周縁部が全周にわたって設置面9に固定されていない。そのため、太陽光発電シート1は、周縁部の内側に設置面9に固定されない非固定部分16を含み、また、周縁部にも設置面9に固定されない非固定部分15を含む。
なお、本明細書において、周縁部とは、太陽光発電シート1の輪郭をなす周縁(本実施形態では四つの辺10-13)から一定の範囲を持つ域を意味する。周縁部は、太陽光発電シート1の外周縁から設置面9に沿って内側に向かう方向の長さとして、好ましくは5mm以上の範囲の領域であり、より好ましくは100mm以上の範囲の領域であり、より好ましくは150mm以上の範囲の領域であり、より好ましくは250mm以下の範囲の領域であり、より好ましくは200mm以下の範囲の領域であり、より好ましくは175mm以下の範囲の領域である。また、非固定部分とは、太陽光発電シート1において、何らかの部材によって設置面9から離れる方向に動くのを規制されていない部分である。非固定部分15,16においては、太陽光発電シート1と設置面9との間に隙間が生じ得るが、この隙間は1mm以上5mm以下程度である。
固定材7は、例えば、マジックテープ(登録商標)などの面ファスナ、磁石、両面テープ、接着剤などを挙げることができる。固定材7は、これらの中の一種又は複数種の組み合わせを選択して用いることができる。
面ファスナ、磁石、両面テープ、接着剤は、固定材7に例えばボルト、ねじ、ステープルなどを用いる場合と比べて、簡易に太陽光発電シート1を設置面9に固定することができ、太陽光発電シート1の回収時に設置面9から太陽光発電シート1を容易に引き剥がすことができる。そのうえ、太陽光発電シート1や設置面9に穴を開けないことから防水性に優れている。
また、面ファスナ、磁石、両面テープ、接着剤の中では、簡易に太陽光発電シート1を設置面9に固定できるとの観点からは、面ファスナ、磁石、両面テープを固定材7に用いることが好ましい。また、太陽光発電シート1の回収時に設置面9から太陽光発電シート1を容易に引き剥がすことができるとの観点からは、面ファスナ、磁石を固定材7に用いることが好ましい。また、固定強度の観点からは、両面テープ、接着剤を固定材7に用いることが好ましい。
なお、固定材7は、太陽光発電シート1を設置面9に簡易に固定することができ、かつ、太陽光発電シート1の回収時に設置面9から太陽光発電シート1を容易に引き剥がすことができれば、上述した面ファスナ、磁石、両面テープ、接着剤に限定されない。
本実施形態では、固定材7として、互いに面的に着脱可能でありかつ所定の幅及び長さを有する一対の帯状の面ファスナ7A,7Bを用いている。一方の面ファスナ7Aは太陽光発電シート1の設置面9と対向する側の面に例えば接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着され、他方の面ファスナ7Aは設置面9に例えば接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着される。
面ファスナ7A,7Bの材質は、特に限定されるものではなく、例えばナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどを挙げることができる。その中でも、耐久性の観点からは、ポリプロピレンを好ましく挙げることができる。面ファスナ7A,7Bの具体例としては、例えばTRSUCO社製のTMSD-25などを挙げることができる。
面ファスナ7Aは、特に限定されるものではないが、好ましくは太陽光発電シート1の互いに向かい合う一対の辺に沿って延びるように設けられる。本実施形態では、面ファスナ7Aは、太陽光発電シート1の一対の短辺10,11に沿って延びるように設けられる。面ファスナ7Aは、太陽光発電シート1の一対の短辺10,11に当接する、つまりは、一対の短辺10,11との間に隙間がなくてもよいし、太陽光発電シート1の一対の短辺10,11に近接する、つまりは、一対の短辺10,11との間に隙間があってもよい。
さらに太陽光発電シート1の一対の短辺10,11の間に、一対の短辺10,11と平行に延びるようにして、一つの面ファスナ7A又は互いに間隔をあけた複数の面ファスナ7Aが設けられる。これらの面ファスナ7Aは、特に限定されるものではないが、太陽光発電シート1を設置面9にしっかりと固定するとの観点からは、太陽光発電シート1の互いに向かい合う他の一対の辺、本実施形態では一対の長辺12,13の間をその全長又はほぼ全長にわたって途切れなく連続的に延びていることが好ましい。
なお、本明細書にて、平行とは、実質的に平行であることを意味し、対象の直線、面が、延長しても交差しない場合だけでなく、延長した場合に、10°以内の範囲で交差することも含まれる。
太陽光発電シート1の一対の短辺10,11の間に設けられる少なくとも一つの面ファスナ7Aは、特に限定されるものではないが、発電部3を避けた部分(平面視で発電部3に重複しない部分)に設けられ、例えば、隣り合う発電部3の間の部分14(以下、「セル境界部14」という。)に面ファスナ7Aが設けられる。この場合、太陽光発電シート1を設置面9にしっかりと固定するとの観点からは、面ファスナ7Aは、全てのセル境界部14に設けられることが好ましい。つまり、それぞれの発電部3を両側から挟むようにして、面ファスナ7Aが太陽光発電シート1の長手方向に間隔をあけて設けられることが好ましい。なお、面ファスナ7Aは、必ずしも全てのセル境界部14に設けられている必要はない。
太陽光発電シート1は、上述した面ファスナ7Aの配置により、周縁部の内側の発電部3が位置する部分(平面視で発電部3に重複する部分)において面ファスナ7Aが設けられない部分となり、当該部分は設置面9に固定されない非固定部分15となる。また、太陽光発電シート1は、周縁部の一対の長辺12,13に沿う部分でありかつ発電部3に隣接する部分において面ファスナ7Aが設けられない部分となり、当該部分は設置面9に固定されない非固定部分16となる。
固定材7としての面ファスナ7Aの幅について、下限は、好ましくは10mm以上であり、より好ましくは15mm以上であり、上限は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。面ファスナ7Aの幅が上記範囲内にあることで、太陽光発電シート1を設置面9に良好に固定することができるととともに太陽光発電シート1の回収時に太陽光発電シート1を設置面9から無理なく引き剥すことができる。そのうえ、面ファスナ7Aが太陽光発電シート1の発電部3が位置する部分にはみ出て太陽光発電シート1の発電部3が位置する部分について設置面9に固定されるのを抑制することができる。
太陽光発電シートの施工方法
次に、本実施形態に係る太陽光発電シート1を施工面9に設置する施工方法の一例を説明する。
まず作業者は、設置面9の太陽光発電シート1を載せる場所に対し、固定材7として太陽光発電シート1に設けられた面ファスナ7Aと着脱可能な面ファスナ7Bを、面ファスナ7Aに対応する位置に、接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着する。
そして、作業者は、設置面9に太陽光発電シート1を載せ、太陽光発電シート1において長手方向に間隔をあけて設けられた面ファスナ7Aを、長手方向の一方の端(一対の短辺10,11の一方の短辺側)の面ファスナ7Aから設置面7Bの対応する面ファスナ7Bに順次接着させる。これにより、平面視矩形状の太陽光発電シート1を、太陽光発電シート1の短手方向(縦方向及び横方向の一方の方向)に沿って延びる固定材7により、太陽光発電シート1の発電部3を避けた部分でありかつ長手方向(縦方向及び横方向の他方の方向)に互いに間隔のあいた複数の部分において、設置面9に固定する。これによって、太陽光発電シート1の施工が完了する。この方法によると、可撓性を有する太陽光発電シート1を設置面9に簡易に設置することができる。
太陽光発電シートの引き剥がし方法
次に、本実施形態に係る太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす方法の一例を説明する。
太陽光シート1を回収する際には、図1及び図5に示すように、固定材7が延びる短手方向ではなく、固定材7が延びる短手方向と交差する長手方向(図1の矢印で示す方向)に太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす。
具体的に、太陽光発電シート1の長手方向に間隔をあけて配置された固定材7について、まず、図5(A)に示すように、長手方向の一方の端(一対の短辺10,11の一方の短辺10側)に位置する固定材7による太陽光発電シート1及び設置面9の固定を外す、つまりは、太陽光発電シート1側の面ファスナ7Aを設置面9側の面ファスナ7Bから取り外す。これにより、固定を解除した固定材7に隣接した太陽光発電シート1の非固定部分15,16を設置面9から難なく引き剥がすことができる。太陽光発電シート1において、設置面9から引き剥がした部分は、長手方向の次の固定材7が位置するセル境界部分14を折り目にして反対側に折り重ねる。
次に、図5(B)に示すように、長手方向の次に位置する固定材7による太陽光発電シート1及び設置面9の固定を外す、つまりは、太陽光発電シート1側の面ファスナ7Aを設置面9側の面ファスナ7Bから取り外す。これにより、固定を解除した固定材7に隣接した太陽光発電シート1の非固定部分15,16を設置面9から難なく引き剥がすことができる。太陽光発電シート1において、設置面9から引き剥がした部分は、長手方向の次の固定材7が位置するセル境界部分14を折り目にして反対側に折り重ねる。
そして、最後に、図5(C)に示すように、長手方向の他方の端(一対の短辺10,11の他方の短辺11側)に位置する固定材7による太陽光発電シート1及び設置面9の固定を外す、つまりは、太陽光発電シート1側の面ファスナ7Aを設置面9側の面ファスナ7Bから取り外す。これにより、太陽光発電シート1の全体を設置面9から引き剥がして太陽光発電シート1を回収することができる。
この方法によると、太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす際に、発電部3が折れ曲がることがなく、発電部3に応力が集中しないため、発電部3の破損を抑制したうえで容易に太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすことができる。また、太陽光発電シート1をコンパクトに折り畳みながら設置面9から引き剥がすことができるため、屋根などの上で風が強い環境であっても、太陽光発電シート1が風にあおられることを抑制でき、容易に太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすことができる。
なお、仮に、図10に示すように、太陽光発電シート1の全域を固定材7により設置面9に固定する、あるいは、太陽光発電シート1の周縁部を全周にわたって設置面9に固定した場合に、太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすと、図11に示すように、太陽光発電シート1を設置面9から徐々に引き剥がす際に発電部3が折れ曲がる。そのため、この場合には、太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす際に、発電部3に応力が集中して発電部3が破損するおそれがある。
作用効果
本実施形態に係る設置構造100は、設置面9に設置された太陽光発電シート1を、面ファスナ、磁石、両面テープ及び接着剤などの固定材7を用いて設置面9に固定することを特徴としている。このように、取付架台を用いることなく設置面9に太陽光発電シート1を設置するため、太陽光発電シート1を設置面9に簡易に設置することができる。
また、本実施形態に係る設置構造100は、固定材7が太陽光発電シート1及び設置面9の間において、太陽光発電シート1の一方向である短手方向に沿って延びており、かつ、固定材7は太陽光発電シート1の発電部3を避けた部分であって太陽光発電シート1の他方向である長手方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、太陽光発電シート1を設置面9に固定することを特徴としている。これにより、太陽光発電シート1は、発電部3が位置する部分が固定材7によって設置面9に固定されておらず、周縁部も全周にわたって固定材7によって設置面9に固定されていない。
よって、上述したように、太陽光発電シート1の回収時に太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす方向を、固定材7が延びる短手方向ではなく短手方向と交差する長手方向とし、長手方向に互いに間隔をあけて配置される複数の固定材7について、順番に太陽光発電シート1及び設置面9の固定を外すことで、発電部3の破損を抑制したうえで容易に太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすことができる。
なお、太陽光発電シート1において発電部3が位置する部分は、必ずしも厳密に設置面9に固定されていない必要はなく、発電部3の輪郭をなす周縁から内側に30mm程度までであれば、設置面9に固定されていても発電部3が破損するほどの影響はない。そのため、本明細書では、発電部3の周縁から内側に30mm程度の部分は、上述した「発電部3を避けた部分」に含まれる。
また、本実施形態に係る設置構造100は、複数の発電部3が太陽光発電シート1の他方向である長手方向に互いに間隔をあけて配置され、固定材7は、それぞれの発電部3を挟むように、太陽光発電シート1の他方向である長手方向に間隔をあけて配置されることを特徴としている。これにより、太陽光発電シート1が設置面9に設置された状態において、風などの影響を受けて振動するのを抑制することができる。設置後の太陽光発電シート1が振動により発電効率が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態に係る設置構造100は、太陽光発電シート1がペロブスカイト化合物を含む複数の発電部3を有することを特徴としている。ペロブスカイト化合物を含む発電部3を有する太陽光発電シート1は、入射角依存性が小さいため、例えば凸凹している設置面9に直接設置しても、発電効率が損なわれるのを抑制することができる。
また、本実施形態に係る設置構造100は、太陽光発電シート1の曲げ強さが50MPa以上200MPa以下であることを特徴としている。太陽光発電シート1が柔らかすぎずかつ硬すぎない柔軟性を有することにより、太陽光発電シート1の取り扱いが容易であり、太陽光発電シート1の破損を抑制したうえで設置面9に容易に設置することができる。
他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、図1から図5に示す実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、本発明は図1から図5に示す実施形態に限定されない。実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。以下、本発明の他の実施形態について説明する。以下に説明する他の実施形態についても、本発明の目的を達成することができる。
図1から図5に示す実施形態では、固定材7が平面視長方形状の太陽光発電シート1の短手方向に沿って延びており、かつ、固定材7は太陽光発電シート1の発電部3を避けた部分であって太陽光発電シート1の長手方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、太陽光発電シート1を設置面9に固定している。他の実施形態の設置構造100として、図6に示すように、固定材7が平面視長方形状の太陽光発電シート1の長手方向に沿って延びており、かつ、固定材7は太陽光発電シート1の発電部3を避けた部分であって太陽光発電シート1の短手方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、太陽光発電シート1を設置面9に固定するようにしてもよい。
上述した全ての実施形態では、太陽光発電シート1は、固定材7により設置面9に固定されている部分以外の部分は、設置面9に固定されない非固定部分とされている。他の実施形態の設置構造100として、図7に示すように、太陽光発電シート1は、固定材7で設置面9に固定された部分以外の少なくとも一部分において、固定材7による固定力よりも弱い固定力の弱固定材8で設置面9に固定されていてもよい。
例えば図7(A)に示すように、太陽光発電シート1の周縁部において、固定材7により設置面9に固定されない部分(上述した実施形態の非固定部分16)を弱固定材8で設置面9に固定してもよい。
あるいは図7(B)に示すように、太陽光発電シート1の周縁部において、固定材7により設置面9に固定されない部分(上述した実施形態の非固定部分16)に加えて、太陽光発電シート1の周縁部の内側において、発電部3が位置する部分(上述した実施形態の非固定部分15)を弱固定材8で設置面9に固定してもよい。
弱固定材8は、面ファスナ、磁石、両面テープ及び接着剤からなる群より選択される少なくとも一種とすることができる。弱固定材8による固定力は、固定材7による固定力の好ましくは3/4以下であり、より好ましくは2/3以下であり、より好ましくは1/2以下である。
本明細書において、固定材7及び弱固定材8による固定力は、主に引き剥がし力のことを指し、90度ピール試験(JIS Z0237)にて計測することが好ましい。測定方法及び引き剥がし速度は、上記の相対比較を行う際には同一条件で計測することとする。
固定材7による固定力と弱固定材8による固定力とに強弱を付ける手段は、特に限定されるものではないが、固定材7及び弱固定材8が面ファスナであれば、互いの接着力に差をつける、面ファスナの幅に差をつけるなどを挙げることができる。固定材7及び弱固定材8が磁石であれば、磁力に差をつける、磁石の幅に差をつけるなどを挙げることができる。固定材7及び弱固定材8が両面テープや接着剤であれば、接着力に差をつける、両面テープや接着剤塗布領域の幅に差をつけるなどを挙げることができる。
図7に示す実施形態において、弱固定材8による固定力が固定材7による固定力の例えば1/2以下である場合は、以下に示す通りに太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすことができる。つまり、太陽光発電シート1を設置面9から徐々に引き剥がす際に、太陽光発電シート1が剥がれながら弱固定材8による太陽光発電シート1及び設置面9の固定も難なく外れる、つまりは、発電部3が折れ曲がることがないぐらいに太陽光発電シート1を設置面9から難なく剥がせる場合は、上述した実施形態と同様に、太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす。
図7に示す実施形態において、弱固定材8による固定力が固定材7による固定力の例えば1/2より大きい場合は、以下に示す通りに太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がすことができる。つまり、太陽光発電シート1を設置面9から徐々に引き剥がす際に、太陽光発電シート1が剥がれながら弱固定材8による太陽光発電シート1及び設置面9の固定が難なく外れずに、発電部3が折れ曲がってしまう場合は、太陽光発電シート1において弱固定材8により設置面9に固定されている部分を先に設置面9から剥がす。そして、上述した実施形態と同様に、太陽光発電シート1を設置面9から引き剥がす。
これにより、太陽光発電シート1を設置面9に良好に固定して設置状態における設置面9からの剥がれを抑制したうえで、太陽光発電シート1の回収時に太陽光発電シート1を設置面9から容易に引き剥がすことができる。
上述した全ての実施形態では、太陽光発電シート1は、複数の発電部3が長手方向に一列で並んでいる。他の実施形態の設置構造100として、図8に示すように、太陽光発電シート1は、長手方向に複数の発電部3が並ぶ列が短手方向に複数列あってもよい。
上述した全ての実施形態では、固定材7は、太陽光発電シート1の短手方向又は長手方向に沿って途切れることなく連続的に延びている。他の実施形態の設置構造100として、図9に示すように、固定材7は、太陽光発電シート1の短手方向又は長手方向に沿って間隔をあけて隙間を有するように断続的に延びていてもよい。
上述した全ての実施形態について、固定材7を面ファスナ7A,7Bではなく、磁石、両面テープ、接着剤などにしてもよい。
固定材7を磁石にする場合は、上述した全ての実施形態において、面ファスナ7A,7Bを互いに引き合い可能な一対の磁石に代え、面ファスナ7A,7Bと同様に、一方の磁石を太陽光発電シート1に接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着し、他方の磁石を設置面9に接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着すればよい。なお、設置面9が磁性を有する場合は、太陽光発電シート1にのみ設置面9に引き合う磁石を接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いて固着すればよい。磁石の具体例としては、例えばスガツネ社製のネオジウムマグネットテープ(NMS-3-200)などを挙げることができる。
また、固定材7を両面テープにする場合は、上述した全ての実施形態において、面ファスナ7Aを両面テープに代えるとともに面ファスナ7Bをなくし、面ファスナ7Aと同様に、両面テープを太陽光発電シート1に貼り付ければよい。両面テープの具体例としては、例えば3M社製のスコッチ(SKB‐20)などを挙げることができる。
また、固定材7を接着剤にする場合は、上述した全ての実施形態において、面ファスナ7Aを接着剤に代えるとともに面ファスナ7Bをなくし、面ファスナ7Aと同様に、接着剤を例えば太陽光発電シート1に塗布すればよい。
接着剤の粘度について、下限は、好ましくは800cP以上であり、より好ましくは1000cP以上である。接着剤の粘度が上記範囲内であることにより、太陽光発電シート1を設置面9に強く接着できる。接着剤の粘度は800cP未満であってもよいが、100cP以上であることが好ましい。接着剤の粘度の上限は、接着剤の取り扱い性の点で、好ましくは10×10cP以下であり、より好ましくは10×10cP以下であり、より好ましくは10×10cP以下である。
接着剤の振動に対する損失係数(tanδ)について、下限は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.07以上であり、上限は、好ましくは0.3以下であり、より好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.2以下である。損失係数は、設置面9から接着剤を介して太陽光発電シート1に伝達される振動エネルギー量を示す。損失係数は、接着剤の貯蔵弾性率/損失弾性率によって算出される。損失係数は、レオメータを用いてJIS K7244-10に従い測定できる。
太陽光発電シート1が屋根や壁等の設置面9に設置される場合、太陽光発電シート1は設置面9の振動に伴って振動する場合がある。この設置面9の振動を原因にして太陽光発電シート1が振動すると、太陽光発電シート1の発電効率が低下するおそれがある。特に太陽光発電シート1を大型化した場合には、上述した設置面9の振動を原因にした太陽光発電シート1の振動が大きくなり、太陽光発電シート1は振動による発電効率の低下の課題が顕著となる。
接着剤の損失係数が上記範囲内にあることで、設置面9の振動を効果的に弾性的な損失としてエネルギーを硬化した接着剤の層において消費できため、太陽光発電シート1が振動するのを抑制できる。加えて、太陽光発電シート1を接着剤によって設置面9に強く固定でき、特に設置面9が傾斜していて太陽光発電シート1の設置角度が水平面に対して鉛直に近づいても、太陽光発電シート1が設置面9を下方へすべり落ちるのを抑制できる。
接着剤の厚みについて、下限は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは1mm以上であり、より好ましくは3mm以上であり、上限は、好ましくは20mm以下であり、より好ましくは15mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。接着剤の厚みが上記範囲内にあることで、設置面9の振動を硬化した接着剤の層において効果的に抑制でき、太陽光発電シート1が振動するのを抑制できる。加えて、設置面9への重量的負荷を軽減できる。
硬化した接着剤の層の横弾性係数について、下限は、好ましくは0.1MPa以上であり、より好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは1MPa以上であり、上限は、好ましくは100MPa以下であり、より好ましくは50MPa以下であり、より好ましくは10MPa以下である。硬化した接着剤の層の横弾性係数が上記範囲内であることより、設置面9の形状に応じて太陽光発電シート1を沿わせて設置面9に施工できるため、面積を有効活用できる。
接着剤を介した設置面9に対する太陽光発電シート1の剥離強度は、0.1N/cm以上であることが好ましい。剥離強度はJIS K6854-1に準拠される90°剥離試験で得られる測定結果であり、経年的に劣化する場合は施工時点での剥離強度とする。
接着剤としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレン、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上を含む樹脂組成物を使用できる。
接着剤は、施工現場で設置面9又は太陽光発電シート1に塗布してもよいし、シート状などをなしてあらかじめ太陽光発電シート1又は設置面9(特に設置建材等)に設けられ、施工現場へ輸送の際は離形保護シートで接着面が覆われていて、施工現場に到着後に離形保護シートを剥がして使用するようにしてもよい。
接着剤の幅について、太陽光発電シート1の外周縁から設置面9に沿って内側に向かう方向の長さとして、下限が好ましくは5mm以上であり、より好ましくは100mm以上であり、より好ましくは150mm以上であり、上限が250mm以下であり、より好ましくは200mm以下であり、より好ましくは175mm以下である。接着剤の幅が上記範囲内であることで、設置面9の振動を原因とした太陽光発電シート1の振動を接着剤により効果的に抑制できる。
上述した全ての実施形態において、太陽光発電シート1は樹脂製シート等のシート材を介して設置面9に設置されていてもよく、この場合、シート材の表面も設置面9となる。シート材としては、例えば繊維含有シートが挙げられる。
繊維含有シートは、繊維を含有するシートである。繊維含有シートとして、繊維の周囲が樹脂で被覆された繊維強化シート、又は或いは不織布を使用できる。この場合、繊維含有シートに含ませる繊維の材料として例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリオレフィン、アスファルト、珪砂が使用される。繊維含有シートの厚さは、好ましくは0.1mm以上100mm以下である。設置面9が繊維含有シートにより覆われて太陽光が照射されるのが遮られることで、草木が設置面9に生える、育つのを抑制することができる。
繊維含有シートの平面視形状は、特に限定されるものではなく、長方形状などの矩形状、円形状、楕円形状、多角形状など、種々の形状とすることができる。繊維含有シートは、太陽光発電シート1と同じ形状で同じ大きさに形成することができるが、太陽光発電シート1よりも一回り大きく形成されていることが好ましい。これにより、繊維含有シートを設置面9に敷設、固定することで、太陽光発電シート1を設置面9に設置することができる。
上述した全ての実施形態において、太陽光発電シート1は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層321の代わりに、アモルファスシリコンを含む光電変換層を有していてもよく、あるいは、アモルファスシリコン及びペロブスカイト化合物を複合的に含むタンデム型の積層構造の光電変換層を備えていてもよい。なおペロブスカイト化合物を光電変換層321に含めるようにすれば、ペロブスカイト化合物の発電効率の依存性が光の入射角度に対して比較的低いことで、より高い発電効率を得ることができる。
上述した全ての実施形態において、太陽光発電シート1は、ペロブスカイト化合物を含む光電変換層321を有する太陽光発電シートを例にして説明をしたが、本発明の太陽光発電シートの設置構造は、可撓性を有する太陽電池シートであれば同等の効果を発揮することができる。また、太陽光発電シート1としては、光により発電効果が得られるシートだけでなく、光エネルギーを別のエネルギーに変換するシート(光エネルギー変換シート)であってもよい。光エネルギー変換シートとしては、例えば、光エネルギーを熱エネルギーに変換する光発熱シート(太陽光駆動型熱電変換デバイス)などを挙げることができる。
1 太陽光発電シート
3 発電部
7 固定材
9 設置面

Claims (8)

  1. 発電部を備える太陽光発電シートであって、可撓性を有する太陽光発電シートと、
    前記太陽光発電シートが設置される設置面と、
    前記太陽光発電シート及び前記設置面の間に介在して前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する固定材と、
    を備え、
    前記固定材は、前記太陽光発電シートの一方向に沿って延びており、かつ、前記発電部を避けた部分であって前記一方向に直交する他方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する、太陽光発電シートの設置構造。
  2. 前記発電部は、前記他方向に間隔をあけて配置され、
    前記固定材は、それぞれの前記発電部を挟むように、前記他方向に間隔をあけて配置される、請求項1に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  3. 前記太陽光発電シートは、平面視矩形状であり、
    前記固定材は、前記太陽光発電シートの互いに向かい合う一対の辺に沿って延びるように配置されるとともに、隣り合う前記発電部の間の部分に前記一対の辺と平行に延びるように配置される、請求項2に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  4. 前記固定材が、面ファスナ、磁石、両面テープ及び接着剤からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  5. 前記太陽光発電シートは、前記固定材で前記設置面に固定された部分以外の少なくとも一部分において、前記固定材による固定力よりも弱い固定力の弱固定材で前記設置面に固定されており、
    前記弱固定材による固定力は、前記固定材による固定力の3/4以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  6. 前記太陽光発電シートの曲げ強さが50MPa以上200MPa以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  7. 前記発電部がペロブスカイト化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の太陽光発電シートの設置構造。
  8. 設置面に対して可撓性を有する太陽光発電シートを設置するための太陽光発電シートの施工方法であって、
    前記太陽光発電シートの一方向に沿って延びる固定材により、前記太陽光発電シートの前記発電部を避けた部分でありかつ前記一方向に直交する他方向に互いに間隔のあいた複数の部分において、前記太陽光発電シートを前記設置面に固定する、太陽光発電シートの施工方法。
JP2023046762A 2022-03-23 2023-03-23 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法 Pending JP2023143864A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022047106 2022-03-23
JP2022047106 2022-03-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023143864A true JP2023143864A (ja) 2023-10-06

Family

ID=88220076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023046762A Pending JP2023143864A (ja) 2022-03-23 2023-03-23 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023143864A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5775182B2 (ja) 太陽電池モジュール用のフレームシステム
US20090159118A1 (en) Roofing Products Having Receptor Zones and Photovoltaic Roofing Elements and Systems Using Them
KR101509841B1 (ko) 집광 소자에 대한 개선
JP2011517124A (ja) 光起電の熱溶接可能な熱可塑性屋根材膜
JP2007314989A (ja) 陸屋根建物における太陽電池モジュールの設置方法
ES2685519T3 (es) Módulo solar sin marco con orificios de montaje y procedimiento para producir un módulo solar de este tipo
JP2006269609A (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
CN102544147A (zh) 一种柔性太阳能电池组件
JP2012064767A (ja) 太陽電池モジュール
JP2011219916A (ja) 太陽電池モジュール一体型建材及びその施工方法
JP2023143864A (ja) 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法
JP2011134859A (ja) 太陽電池
JP2023143863A (ja) 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法
WO2024042759A1 (ja) 積層体、太陽光発電システム
WO2023182405A1 (ja) 太陽光発電シートの設置構造
JP2024071307A (ja) 太陽光発電シートの設置構造及び太陽光発電シートの施工方法
JP2000252510A (ja) 太陽電池モジュール及びその製造方法、施工方法並びに太陽光発電システム
US11277094B2 (en) Photovoltaic assembly
WO2023182429A1 (ja) 太陽光発電シートの設置構造
JP7449342B2 (ja) 太陽光発電シートの設置構造
AU2018101325A4 (en) Self-heating rolling material
JP7336009B1 (ja) 太陽光発電シートの設置構造
JP7253160B1 (ja) 太陽光発電シートの取付構造、太陽光発電シートの施工方法及び凹凸外装材用の太陽光発電シート
TWI575864B (zh) 太陽能板模組之強化結構
JP2024045927A (ja) 太陽光発電装置の設置構造及び施工方法