JP2023143706A - エンドミル - Google Patents

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惟武希 四方
Ibuki Shikata
和哉 山崎
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Abstract

【課題】切削の安定性に優れ、かつ長寿命のエンドミルを提供する。【解決手段】中心軸に沿って延びるボディと、ボディの先端に位置する複数の底刃と、ボディの外周面に位置し中心軸周りに螺旋状に捩れる複数の外周刃とを備えるエンドミル。各々の外周刃には、切屑を分断させる複数のチップブレーカが設けられている。1つの外周刃において隣り合うチップブレーカ同士の中心軸方向の間隔は、チップブレーカの中心軸方向の長さをLc[mm]としたとき、Lc+2[mm]以上、Lc+20[mm]以下の範囲である。複数のチップブレーカは、ボディの外周部において中心軸周りの螺旋状に配列されている。チップブレーカの螺旋状配列は、ボディの先端に向かうに従ってエンドミル回転方向と反対側に向かって延びている。ボディは、チップブレーカの螺旋状配列を2条または3条有する。【選択図】図1

Description

本発明は、エンドミルに関する。
従来、高切り込み切削における切屑処理のために、切屑を分断させるチップブレーカを外周刃に備えたエンドミルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2012-518550号公報
チップブレーカを備えるエンドミルでは、チップブレーカの配置態様によって、切削抵抗および切屑の状態が変化する。従来のエンドミルには、チップブレーカの最適化により切削性能をさらに高める余地があった。
本発明は、切削の安定性に優れ、かつ長寿命のエンドミルを提供することを目的の一つとする。
本発明の一態様によれば、中心軸回りに回転されるエンドミルであって、中心軸に沿って延びるボディと、前記ボディの先端に位置する複数の底刃と、前記ボディの外周面に位置し中心軸周りに螺旋状に捩れる複数の外周刃とを備えるエンドミルが提供される。各々の前記外周刃には、切屑を分断させる複数のチップブレーカが設けられている。1つの前記外周刃において隣り合う前記チップブレーカ同士の中心軸方向の間隔は、前記チップブレーカの中心軸方向の長さをLc[mm]としたとき、Lc+2[mm]以上、Lc+20[mm]以下の範囲である。複数の前記チップブレーカは、前記ボディの外周部において中心軸周りの螺旋状に配列されている。前記チップブレーカの螺旋状配列は、前記ボディの先端に向かうに従ってエンドミル回転方向と反対側に向かって延びている。前記ボディは、前記チップブレーカの螺旋状配列を2条または3条有する。
この構成によれば、チップブレーカを左捩れの螺旋状に配列することで、エンドミルが正回転(右回転)したときに、被削材に接触するチップブレーカの位置が徐々にボディ先端側へ移動するため、ボディ先端側の切刃の切削抵抗が回転に伴って徐々に低下する。これにより、切削加工時にボディが撓みにくくなり、安定した切削加工が可能になる。
また、チップブレーカの螺旋状配列が2条または3条であることにより、適切な厚さおよび長さの切屑を生じさせることができ、切削加工時の外周刃の負荷が過大にならず、工具寿命の低下が生じにくくなる。
前記チップブレーカは、前記エンドミルを中心軸周りに回転させたときの回転軌跡が、左右対称の凹形状かつ、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を滑らかに接続した複合R形状である構成としてもよい。
前記チップブレーカの回転軌跡の中心軸方向長さが1.5mm以上2.0mm以下である構成としてもよい。
前記チップブレーカの回転軌跡において径方向内側に凹む谷部の曲率半径が0.6mm以上2.5mm以下である構成としてもよい。
前記チップブレーカの回転軌跡において径方向外側に突出する山部の曲率半径が、0.2mm以上0.7mm以下である構成としてもよい。
前記チップブレーカの回転軌跡における前記谷部の深さが0.15mm以上0.5mm以下である構成としてもよい。
本発明の一態様によれば、切削の安定性に優れ、かつ長寿命のエンドミルが提供される。
図1は、実施形態のエンドミルを示す斜視図である。 図2は、実施形態のエンドミルの側面図である。 図3は、実施形態のエンドミルを先端側から見た図である。 図4は、エンドミルを中心軸周りに回転させたときの外周刃の回転軌跡およびチップブレーカの回転軌跡を示す概略図である。 図5は、実施形態のボディ全体の展開図を模式的に示す図である。 図6は、チップブレーカの螺旋状配列を3条備えるボディの展開図の例である。 図7は、隣接する2つのチップブレーカの配置を説明する図である。 図8は、本実施形態のエンドミルの外周刃により生成される切屑の形状を説明する図である。
図1は、実施形態のエンドミルを示す斜視図である。図2は、実施形態のエンドミルの側面図である。図3は、実施形態のエンドミルを先端側から見た図である。
図1に示す本実施形態のエンドミル10は、中心軸Oを中心とした略円柱状である。本実施形態の場合、エンドミル10は、中心軸Oを中心として回転される。したがって中心軸Oは、エンドミル10の回転軸である。本明細書では、中心軸Oに沿って延びる方向を「軸方向」、中心軸Oに直交する方向を「径方向」、中心軸Oの軸周り方向を「周方向」と呼ぶ場合がある。
エンドミル10は、例えば、超硬合金等の硬質材料からなる。エンドミル10は、シャンク2とボディ3とを有する。シャンク2は、エンドミル10の後端側(図2では上側)、ボディ3はエンドミル10の先端側(図2では下側)に位置する。シャンク2は、本実施形態の場合、円柱状である。ボディ3は、シャンク2の先端から中心軸Oに沿って先端側へ延びる。ボディ3は、複数の切屑排出溝4と、複数の外周逃げ面11とを有する。切屑排出溝4と外周逃げ面11とのエンドミル回転方向T前方側の交差稜線部に外周刃7が形成されている。
エンドミル10は、シャンク2が工作機械の主軸に把持されて中心軸Oの軸回りに沿ってエンドミル回転方向Tに回転させられる。エンドミル10は、例えば、中心軸Oに垂直な方向に送り出され、ボディ3の切刃(外周刃7)によって被削材に切削加工を施す。
切屑排出溝4は、ボディ3の外周において、ボディ3の軸方向先端から後端に向かうに従って、エンドミル回転方向Tとは反対側に中心軸O回りに捩れて延びる。本実施形態では、ボディ3の外周面に、5つの切屑排出溝4が周方向に互いに間隔を空けて形成されている。
切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tの前方を向く壁面であるすくい面12と、すくい面12に隣接するボディ3の外周面である外周逃げ面11との回転方向前方側の交差稜線部に、外周刃7が形成されている。本実施形態において、ボディ3は、5つの外周刃7を有している。また、ボディ3は、外周刃7を複数の切刃に分断する複数のチップブレーカ8を有している。本実施形態では、チップブレーカ8は、外周刃7を部分的に切り欠いた切欠部からなる。
切屑排出溝4の先端部には、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tの前方側を向く壁面に沿って凹溝状のギャッシュ5がそれぞれ形成されている。個々のギャッシュ5のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端縁には、上記壁面をすくい面とする複数の底刃6が、それぞれ外周刃7の先端から内周側に延びている。
本実施形態のエンドミル10は、底刃6と外周刃7とがボディ3の外周端において所定角度で交差するスクエアエンドミルである。本実施形態のエンドミル10は、ラジアスエンドミルまたはボールエンドミルとして構成することもできる。本実施形態のエンドミル10は、5本の底刃6の分割角が等分ではない、不等分割エンドミルである。本実施形態のエンドミル10は、等分割エンドミルであってもよい。
図3に示すように、5本の底刃6は、1本の長底刃6aと、5本の短底刃6bから構成される。長底刃6aは、他の4本の短底刃6bよりも長い切刃である。長底刃6aは、エンドミル10の先端逃げ面において、先端逃げ面の外周端から中心軸Oの近傍まで径方向に沿って延びる。他の短底刃6bは、エンドミル10の先端逃げ面の外周端から長底刃6aよりも中心軸Oと間隔をあけた位置まで延びている。エンドミル10の先端逃げ面において、短底刃6bの内周端よりも内側の領域を通じて、複数のギャッシュ5が互いに繋がっている。
本実施形態では、各々の外周刃7は、軸方向の先端から後端に向かって一定の捩れ角で螺旋状に延びている。本実施形態では、5本全ての外周刃7の捩れ角は互いに等しい。複数の外周刃7の捩れ角を刃毎に異ならせた不等リードのエンドミルとしてもよい。
チップブレーカ8は外周刃7を不連続にする切欠部である。チップブレーカ8は、周方向に隣り合う2つの切屑排出溝4を繋ぐように、外周逃げ面11を周方向に切り欠いて横断する。チップブレーカ8は、外周逃げ面11から径方向内側へ凹み、周方向に延びる凹溝である。言い換えると、チップブレーカ8は、周方向に隣り合う2つの切屑排出溝4同士を周方向に連通させる凹溝である。チップブレーカ8のエンドミル回転方向T側の端部は、外周刃7のすくい面12に開口する。チップブレーカ8のエンドミル回転方向T後方側の端部は、外周逃げ面11のエンドミル回転方向T後方側に位置する切屑排出溝4の壁面に開口する。各々のチップブレーカ8は、エンドミル回転方向Tと概ね平行に延びる。各々のチップブレーカ8は、エンドミル10を中心軸O周りに回転させたときの回転軌跡が互いに等しい形状となる。
図4は、エンドミル10を中心軸O周りに回転させたときの外周刃7の回転軌跡70およびチップブレーカ8の回転軌跡80を示す概略図である。
図4に示すように、外周刃7の回転軌跡70は、中心軸Oに沿って延びる直線状である。チップブレーカ8は、エンドミル10を中心軸O周りに回転させたときの回転軌跡80が、左右対称の凹形状かつ、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を滑らかに接続した複合R形状である。すなわち、チップブレーカ8の回転軌跡80は、軸方向においてチップブレーカ8の両端部に位置する2つの山部81a、81bと、2つの山部81a、81bに挟まれる谷部82とからなる。
山部81a、81bは、チップブレーカ8の回転軌跡80において径方向外側に突出する部位である。本実施形態の山部81a、81bは、互いに等しい曲率半径R1を有する円弧状である。チップブレーカ8の軸方向の両端において、山部81a、81bは、それぞれ外周刃7の回転軌跡70と滑らかに接続する。
谷部82は、チップブレーカ8の回転軌跡80において径方向内側に凹む部位である。谷部82は、曲率半径R2を有する円弧状である。谷部82の軸方向一方側(図示左側)の端は、山部81aの一方の端部(図示右側の端部)と滑らかに接続される。谷部82の軸方向他方側(図示右側)の端部は、山部81bの一方の端部(図示左側の端部)と滑らかに接続される。
本実施形態において、チップブレーカ8の回転軌跡80の中心軸方向長さLcは、1.5mm以上2.0mm以下である。中心軸方向長さLcが1.5mm未満である場合、チップブレーカ8による切屑分断性が十分に得られない。切屑詰まりが生じやすくなるため、工具折損が発生しやすくなる。中心軸方向長さLcが2.0mmを超える場合、加工に作用する切刃が短くなり、外周刃7への負荷が大きくなって十分な工具寿命が得られなくなる。
本実施形態では、チップブレーカ8の回転軌跡80において径方向内側に凹む谷部82の曲率半径R2は0.6mm以上2.5mm以下である。谷部82の曲率半径R2が0.6mm未満である場合、切削加工時に谷部82に作用する応力が過度に大きくなり、チップブレーカ8を基点とする工具折損が発生しやすくなる。谷部82の曲率半径R2が2.5mmを超える場合、チップブレーカ8の凹形状が横長のなだらかな形状になる。そのため、チップブレーカ8の深さを切屑を十分に分断できる大きさにすると、チップブレーカ8の中心軸方向長さLcが大きくなる。そうすると、加工に作用する切刃が短くなるため、外周刃7への負荷が大きくなって十分な工具寿命が得られなくなる。
チップブレーカ8の回転軌跡80において径方向外側に突出する山部81a、81bの曲率半径R1は、0.2mm以上0.7mm以下であることが好ましい。山部81a、81bの曲率半径R1を上記範囲内とすることで、径方向切り込みを大きくしても安定して切削加工できるエンドミル10が得られやすくなる。
本実施形態では、チップブレーカ8の回転軌跡80における谷部82の深さdは、0.15mm以上0.5mm以下であることが好ましい。谷部82の深さdは、図4に示すように、外周刃7の回転軌跡70から、谷部82の谷底までの径方向長さである。谷部82の深さdを上記範囲内とすることで、径方向切り込みを大きくしても安定して切削加工できるエンドミル10が得られやすくなる。
本実施形態のエンドミル10では、チップブレーカ8は、エンドミル10を中心軸周りに回転させたときの回転軌跡80が、左右対称の凹形状かつ、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を滑らかに接続した複合R形状であり、チップブレーカ8の回転軌跡80の中心軸方向長さが1.5mm以上2.0mm以下であり、チップブレーカ8の回転軌跡80において径方向内側に凹む谷部の曲率半径が0.6mm以上2.5mm以下である構成を備える。これにより、径方向切り込みを大きくしても、工具の損傷を抑制しながら、チップブレーカ8による良好な切屑処理が可能である。本実施形態のエンドミル10によれば、高能率の切削加工が可能である。
次に、図5は、本実施形態のボディ3全体の展開図を模式的に示す図である。図5では、外周刃7およびチップブレーカ8の配置を見やすくするために、すべての外周刃7(外周逃げ面11)をそれぞれ一本の直線として表示している。図5の下側はボディ3の先端側であり、図5の上側はボディ3の後端側(シャンク側)である。
本実施形態では、ボディ3は5つの外周刃7を有し、各外周刃7にはそれぞれ2つまたは3つチップブレーカ8が設けられている。
本実施形態では、ボディ3は13個のチップブレーカ8を有する。2つの外周刃7はそれぞれ2つのチップブレーカ8を有し、3つの外周刃7はそれぞれ3つのチップブレーカ8を有している。さらに、図5に示すように、複数のチップブレーカ8は、ボディ3の外周部において中心軸周りの螺旋状に配列されている。チップブレーカ8の螺旋状配列は、ボディ3の先端に向かうに従ってエンドミル回転方向Tと反対側に向かって延びている。すなわち、外周刃7が右捩れの螺旋状であるのに対して、チップブレーカ8の配列は左捩れの螺旋状である。
チップブレーカ8を左捩れの螺旋状に配列することで、エンドミル10が正回転(右回転)したときに、被削材に接触するチップブレーカ8の位置が徐々にボディ3先端側へ移動するため、ボディ3先端側の切刃の切削抵抗が回転に伴って徐々に低下する。これにより、切削加工時にボディ3が撓みにくくなる。安定した切削加工が可能なエンドミル10を実現できる。
本実施形態では、ボディ3は、チップブレーカ8の螺旋状配列を2条有する。本実施形態のボディ3には、チップブレーカ8の螺旋状配列A1と螺旋状配列A2が設けられている。チップブレーカ8の配列方向は、周方向において最も近いチップブレーカ同士を結ぶ線に沿う方向である。あるいは、図6に示すように、ボディ3は、チップブレーカ8の螺旋状配列A1、A2、A3の3条を有していてもよい。
チップブレーカ8の螺旋状配列が1条である場合、チップブレーカ8によって分断された切刃が長くなり、切屑が長くなる。切屑を短くするために1つの外周刃7のチップブレーカ8の間隔Pを小さくすると、周方向に隣り合う外周刃7のチップブレーカ8が軸方向に重なり合いやすくなる。周方向に隣り合う外周刃のチップブレーカ8が軸方向に重なると、チップブレーカ8が重なった2刃の次の切刃が切り取る切屑厚さが大きくなる。切屑厚さが大きくなると、切刃への負荷が増大し、チッピングや異常損傷が起きやすくなってしまう。
また、チップブレーカ8の螺旋状配列が4条以上である場合、ボディ3におけるチップブレーカ8の数が多くなりすぎて、切削加工に作用する切刃が短くなりすぎる。切刃の負荷が増大して工具寿命の低下につながる。
すなわち、チップブレーカ8の螺旋状配列が2条または3条であることにより、適切な厚さおよび長さの切屑を生じさせることができ、切削加工時の外周刃7の負荷が過大にならず、工具寿命の低下が生じにくくなる。
本実施形態では、各々の外周刃7において、軸方向に隣り合うチップブレーカ8の間隔Pは、ボディ3全体においてほぼ一定の長さである。具体的には、1つの外周刃7において隣り合うチップブレーカ8同士の軸方向(中心軸方向)の間隔Pは、チップブレーカ8の中心軸方向の長さLc[mm]に対して、Lc+2[mm]以上、Lc+20[mm]以下の範囲である。本実施形態の場合、チップブレーカ8の中心軸方向の長さLcは、1.5mm以上2.0mm以下であるから、間隔Pの下限値は、3.5mm以上4mm以下の範囲であり、間隔Pの上限値は、21.5mm以上22mm以下の範囲である。
チップブレーカ8の間隔Pが上記した下限値を下回ると、チップブレーカ8により分断された切刃が過度に短くなり、切刃への負荷が増大してチッピングまたは異常損傷を生じやすくなる。チップブレーカ8の間隔Pが上記した上限値を上回ると、切屑が長くなって切屑処理が円滑になされなくなる。
本実施形態では、ボディ3の全体においてチップブレーカ8の間隔Pがほぼ一定である構成としたが、この構成に限られない。例えば、エンドミル10を不等分割あるいは不等リードのエンドミルとした場合には、外周刃7同士の周方向間隔が一定ではなくなる。この場合には、複数のチップブレーカ8が左捩れの螺旋状に配列されるように、個々の外周刃7におけるチップブレーカ8の間隔Pを調整するとよい。
本実施形態においてはチップブレーカ8が、外周逃げ面11を周方向に跨いで延びる凹溝である構成としたが、チップブレーカ8は、図4に示した回転軌跡形状が得られる範囲において、種々に変更可能である。例えば、チップブレーカ8が外周逃げ面11全体を横断しておらず、チップブレーカ8の後方側の端部が、外周逃げ面11上に位置する構成であってもよい。
本実施形態のエンドミルでは、近接して配置される2つのチップブレーカ8が、軸方向において互いに離間して配置される。この構成について、図7および図8を参照して説明する。図7は、図5に対応する図であって、隣接する2つのチップブレーカの配置を説明する図である。図8は、本実施形態のエンドミル10の外周刃7により生成される切屑100の形状を説明する図である。
図7において、第1のチップブレーカ8Aと、第2のチップブレーカ8Bは、チップブレーカ8の螺旋状配列A1に属し、連続して配置される2つのチップブレーカ8である。第1のチップブレーカ8Aは、第2のチップブレーカ8Bに対してエンドミル回転方向の前方側に位置する。
本実施形態において、第1のチップブレーカ8Aの先端位置18aは、エンドミル回転方向Tの後方側に位置する第2のチップブレーカ8Bの後端位置18bよりも後端側に位置する。すなわち、先端位置18aと後端位置18bとは、中心軸O方向に間隔gを空けて配置される。この位置関係は、螺旋状配列A1に属する他のチップブレーカ8においても同様である。また、螺旋状配列A2に属するチップブレーカ8において同様である。本実施形態では、螺旋状配列A1、A2の捩れ角が一定であり、チップブレーカ8の中心軸方向の長さも一定であるため、チップブレーカ8同士の端部間隔gも各螺旋状配列A1、A2において一定の長さである。
図8に示すように、チップブレーカ8aの直後に位置する外周刃7aでは、厚さが不均一な切屑100が生成される。先行する外周刃7のチップブレーカ8aの部分では、ワークが切削されないため、切屑100に他の部位よりも切屑厚さが大きい厚肉部101が発生する。そして、本実施形態では、連続する2つのチップブレーカ8が、中心軸方向に離れて配置されていることで、図8に示すように、切屑100において、厚肉部101の両側に、厚肉部よりも切屑厚さが小さい薄肉部102、103が生成される。
このような形状の切屑100では、先端側から後端側に向かって、薄肉部102から切屑厚さが徐々に厚くなって厚肉部101となり、その後に、薄肉部103に向かって切屑厚さが薄くなる。これにより、切削により切屑100が生成される際に、厚肉部101が切屑100の端部に位置しないので、回転切削時に外周刃7aの位置で切削抵抗が急激に上がることがない。したがって本実施形態のエンドミル10によれば、安定に加工することができる。
上記では、チップブレーカ8の列が2条設けられた構成について説明したが、図6に示した、チップブレーカ8が3条設けられた構成においても同様である。すなわち、螺旋状配列A1~A3の各配列において、螺旋状配列内で連続する2つのチップブレーカ8は、中心軸方向に間隔を空けて配置されている。これにより、外周刃7から発生する切屑の両端部が厚くなるのを抑制できるため、チップブレーカを設けることによる切削抵抗の上昇を抑えることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者は、上記実施形態のチップブレーカ8について、複数のエンドミルを用いた切削試験により効果を実証した。
本実施例では、チップブレーカの長さと深さを種々に変化させた12条件について各2本、合計24本のエンドミルのサンプルを作製した。各サンプルのエンドミルの基本構成は、図1から図4に示したスクエアエンドミルと共通である。エンドミルの工具径Dは12mmとした。チップブレーカの中心軸方向のピッチは12mmの固定ピッチとした。チップブレーカは2条の左捩れの螺旋状配列とした。
切削試験は、作製した各エンドミルを用いたトロコイド加工により行った。具体的には、径方向の切り込み量aeを0.6mmずつ増加させながら、複数回のトロコイド加工を行い、安定して切削加工できる最大の切り込み量aeを評価した。各エンドミルについて、最大の切り込み量aeを、表2に「送り限界」として記載した。表2の「N1」、「N2」は、同一条件のサンプル1本目、2本目にそれぞれ対応する。
Figure 2023143706000002
Figure 2023143706000003
表2に示すように、チップブレーカの回転軌跡の中心軸方向長さが1.5mm以上2.0mm以下であり、チップブレーカの回転軌跡において径方向内側に凹む谷部の曲率半径が0.6mm以上2.5mm以下であるNo.1~6のエンドミルは、送り限界N1、N2がいずれも3mm以上であった。通常、トロコイド加工における送り限界は、工具径Dの20%以下であり、本実施例の場合、2.4mm(12mm×0.2)以下である。No.1~6のエンドミルによれば、従来よりも大きな径方向切り込み量でトロコイド加工を実施することができ、高能率の加工が可能であった。
さらに、チップブレーカの谷部の曲率半径が1mm以上1.5mm以下であるNo.1、2のエンドミルによれば、最も高能率の加工が可能であった。
一方、チップブレーカの回転軌跡の中心軸方向長さが1.5mm以上2.0mm以下の範囲外、または、チップブレーカの回転軌跡において径方向内側に凹む谷部の曲率半径が0.6mm以上2.5mm以下の範囲外であるNo.7~12のエンドミルでは、送り限界N1、N2の少なくとも一方が2.4mm以下であり、従来と同等の径方向切り込み量でしかトロコイド加工を行えなかった。
(第2実施例)
本実施例では、チップブレーカの条数を変えた3本のエンドミルのサンプルA、B、Cを作製した。各サンプルのエンドミルの基本構成は、図1から図4に示したスクエアエンドミルと共通である。エンドミルの工具径Dは12mmとした。チップブレーカの中心軸方向のピッチは12mmの固定ピッチとした。チップブレーカは1~3条の左捩れの螺旋状配列とした。
切削試験は、作製した各エンドミルを用いた溝加工により行った。溝加工はトロコイド加工よりも切屑詰まりが発生しやすい。径方向の切り込み量aeが12mmの条件で、深さ24mm、長さ150mmの溝を被削材に加工した。加工時の切屑噛み込みの量、加工音の大きさ、加工された溝の壁面性状を定性評価した。
Figure 2023143706000004
Figure 2023143706000005
チップブレーカの条数が1条であるサンプルAのエンドミルを用いた加工では、チップブレーカが2条設けられたサンプルBのエンドミル、チップブレーカが3条設けられたサンプルCのエンドミルをそれぞれ用いた加工に対して、切屑噛み込みが多く発生した。また、加工音についても、サンプルAのエンドミルが最も大きくなった。
本実施例の溝加工では、工具進行方向の右側に位置する被削材の壁面がダウンカット面、工具進行方向の左側に位置する被削材の壁面がアップカット面である。サンプルA~Cのエンドミルのいずれにおいても、ダウンカット面では良好な加工面が得られた。一方、アップカット面では、サンプルA~C間で加工面品質に差が生じた。表4に示すように、チップブレーカの条数が1条であるサンプルAのエンドミルでは、切屑の噛み込みによる加工面の傷が多数発生した。これに対して、チップブレーカが2条設けられたサンプルBのエンドミルと、チップブレーカが3条設けられたサンプルCのエンドミルでは、切屑噛み込みによる加工面の傷が格段に少なかった。チップブレーカを2条または3条設けることにより、切屑の噛み込みを効果的に抑制でき、良好な加工面性状が得られることが確認された。
2…シャンク
3…ボディ
4…切屑排出溝
5…ギャッシュ
6…底刃
6a…長底刃
6b…短底刃
7…外周刃
8…チップブレーカ
8A…第1のチップブレーカ
8B…第2のチップブレーカ
10…エンドミル
11…外周逃げ面
12…すくい面
18a…第1のチップブレーカの先端位置
18b…第2のチップブレーカの後端位置
70,80…回転軌跡
81a,81b…山部
82…谷部
A1,A2,A3…螺旋状配列
D…工具径
d…深さ
g…連続する2つのチップブレーカの端部間隔
Lc…中心軸方向長さ
O…中心軸
P…チップブレーカ同士の中心軸方向の間隔
R1,R2…曲率半径
T…エンドミル回転方向

Claims (3)

  1. 中心軸回りに回転されるエンドミルであって、
    中心軸に沿って延びるボディと、前記ボディの先端に位置する複数の底刃と、前記ボディの外周面に位置し中心軸周りに螺旋状に捩れる複数の外周刃とを備え、
    各々の前記外周刃には、切屑を分断させる複数のチップブレーカが設けられており、
    1つの前記外周刃において隣り合う前記チップブレーカ同士の中心軸方向の間隔は、前記チップブレーカの中心軸方向の長さをLc[mm]としたとき、Lc+2[mm]以上、Lc+20[mm]以下の範囲であり、
    複数の前記チップブレーカは、前記ボディの外周部において中心軸周りの螺旋状に配列されており、
    前記チップブレーカの螺旋状配列は、前記ボディの先端に向かうに従ってエンドミル回転方向と反対側に向かって延びており、
    前記ボディは、前記チップブレーカの螺旋状配列を2条または3条有する、
    エンドミル。
  2. 前記チップブレーカは、前記エンドミルを中心軸周りに回転させたときの回転軌跡が、左右対称の凹形状かつ、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を滑らかに接続した複合R形状である、
    請求項1に記載のエンドミル。
  3. 前記チップブレーカの螺旋状配列において連続する2つの前記チップブレーカにおいて、
    エンドミル回転方向の前方側に位置する第1の前記チップブレーカの中心軸方向の先端位置と、エンドミル回転方向の後方側に位置する第2の前記チップブレーカの中心軸方向の後端位置とは、中心軸方向に間隔を空けて配置される、
    請求項1または2に記載のエンドミル。
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