JP2023142717A - ハニカムフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガス処理の初期の圧力損失が小さく、セルにPMが堆積したとしても、圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタを提供する。【解決手段】それぞれ目封止部分及び多孔質のセル隔壁を有する複数の排ガス導入セルと複数の排ガス排出セルとを備えたハニカムフィルタであって、排ガス導入セル12の長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であるか、又は、2種以上の形状であり、排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であり、各排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きく、一部の隣り合う排ガス導入セルにおいて、排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁13には、排ガス導入セル同士を連通するスリット部14が形成されていることを特徴とするハニカムフィルタ。【選択図】図2C

Description

本発明は、ハニカムフィルタに関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境又は人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境又は人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトや炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタ(ハニカムフィルタ)が種々提案されている。
ハニカムフィルタに捕集されたPMは、ある程度の量が堆積すると、ハニカムフィルタに流入する排ガスの温度を上昇させたり、電気ヒーターで加熱したりすることにより燃焼される。
このようなフィルタを開示した発明として、特許文献1が挙げられる。
図6は、特許文献1に係るハニカムフィルタを模式的に示す排ガス入口側の端面図である。
特許文献1には、図6に示すように、流体の流路となり、流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセル502を、区画形成する多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部を備え、複数のセル502のなかの一部のセルが、流入端面側が開口するとともに流出端面側に目封止部が形成された流入セル502aであり、複数のセル502のなかの残りのセルが流入端面側に目封止部が形成されるとともに流出端面側が開口する流出セル502bであり、流入セル502aと流出セル502bとが互いに隣接するように並ぶハニカムフィルタ500が開示されている。具体的には、特許文献1には、ハニカムフィルタ500の長手方向の垂直な断面において、断面形状が正六角形の流入セル502aと、断面形状が等辺六芒星形の流出セル502bとが平面充填するように配置されてなり、かつ、流出セル502bの周囲に流入セル502aが配置されてなるハニカムフィルタ500が開示されている。
特許文献1に記載のハニカムフィルタでは、所定量のPMがセルに堆積した際に、圧力損失が急激に増えるため、PMを燃焼する時期を検知することが可能であった。
特開2016-159192号公報
しかし、特許文献1に記載のセル構造のハニカムフィルタでは、排ガス処理の初期の圧力損失が大きいという問題がある。また、所定量のPMがセルに堆積した際に、圧力損失が急激に上昇するので、ハニカムフィルタに負荷がかかりやすいという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、排ガス処理の初期の圧力損失が小さく、セルにPMが堆積したとしても、圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタを提供することである。
本発明のハニカムフィルタは、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス入口側の端部が開口され、かつ、排ガス出口側の端部が目封止された複数の排ガス導入セルと、排ガス出口側の端部が開口され、かつ、排ガス入口側の端部が目封止された複数の排ガス排出セルとを備えてなり、上記排ガス導入セル、及び、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き上記排ガス入口側の端部から上記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおいて同じであるハニカムフィルタであって、上記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて上記排ガス導入セルが隣接してなり、上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であるか、又は、2種以上の形状であり、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であり、上記ハニカムフィルタの長手方向に垂直方向の断面において、上記排ガス排出セル及び上記排ガス導入セルは、平面充填されるように配置されており、各上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きく、一部の隣り合う上記排ガス導入セルにおいて、上記排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁には、上記排ガス導入セル同士を連通するスリット部が形成されていることを特徴とする。
本発明のハニカムフィルタでは、排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて上記排ガス導入セルが隣接してなる。また、ハニカムフィルタの長手方向に垂直方向の断面において、上記排ガス排出セル及び上記排ガス導入セルは、平面充填されるように配置されている。
そのためPMを捕集する際に、排ガス排出セルの周囲にあるセル隔壁全体を、PMを捕集するために利用することができる。また、排ガス導入セル及び排ガス排出セルが秩序よく配置された形となるので、排ガスの流れが均一かつスムーズになり、排ガス処理の初期において圧力損失が低く、PMが堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとすることができる。
本発明のハニカムフィルタでは、各上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。
つまり、各排ガス導入セルを流れる排ガスによる抵抗よりも、各排ガス排出セルを流れる排ガスによる抵抗の方が小さくなる。そのため、排ガスは、排ガス導入セルから排ガス排出セルに速やかに移動することができる。つまり、排ガスがセル隔壁を通過する際に抵抗が低くなり、その結果、圧力損失が低くなる。
本発明のハニカムフィルタでは、一部の隣り合う上記排ガス導入セルにおいて、上記排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁には、上記排ガス導入セル同士を連通するスリット部が形成されている。
ハニカムフィルタの圧力損失を低減するためには、ハニカムフィルタの長手方向における排ガスの流速のバラつき、及び、ハニカムフィルタの長手方向に垂直な面方向の排ガスの流速のバラつきを抑える必要がある。
一部の隣り合う排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁にスリット部が形成されていると、一方の排ガス導入セルに排ガスが流れ込み、排ガス導入セル内の圧力が高くなったとしても、他方の排ガス導入セルに排ガスを流すことができる。そのため、これらの排ガス導入セル内の圧力差を小さくすることができる。従って、ハニカムフィルタの長手方向に垂直な面方向の排ガスの流速のバラつきを抑えることができ、圧力損失を低減することができる。
また、スリット部が形成されていると、ハニカムフィルタの濾過面積は低下するものの、端面の開口面積を大きくすることができる。
ハニカムフィルタの端面の開口面積が大きくなれば、排ガス流入の抵抗による圧力損失を低減することができる。
また、ハニカムフィルタにおいて、PMを捕集する際、排ガス導入セルと排ガス排出セルとを隔てるセル隔壁が主要的に機能し、排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁が補助的に機能する。そのため、排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁にスリット部が形成されていても、ハニカムフィルタの濾過面積は低下するものの、PMの捕集能は低下しない。
以上より、排ガス導入セル同士を連通するスリット部が形成されている場合、PM捕集能の低下を抑えつつ、圧力損失を効果的に低減することができる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であり、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であることが望ましい。
ハニカムフィルタは、通常、原料を押し出し成型して形成される。排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であると、ハニカムフィルタを成形する際に用いる金型の作成が容易になる。
そのため、ハニカムフィルタは製造しやすい。
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は1種の形状であり、かつ、六角形であり、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な方向の断面形状は、六芒星形であることが好ましい。
排ガス導入セル及び排ガス排出セルが上記形状を有すると、本発明の効果を好適に発揮することができる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記排ガス導入セルは、長手方向に垂直方向の断面形状は1種の形状であり、上記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積に対する上記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の割合は40~70%であることが望ましい。
上記面積の割合をこのような範囲とすることにより、排ガスが排ガス排出セルを通過する際の抵抗を、排ガス導入セルを排ガスが通過する際の抵抗よりも低減することができる。
上記面積の割合が40%未満であると、排ガス導入セルの開口部が狭くなるので、排ガスが流入しにくくなる。
上記面積の割合が70%を超えると、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積と、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積との差が小さくなり上記効果を得られにくくなる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記ハニカムフィルタのセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、同じ厚さであることが望ましい。
セル壁の厚さにバラつきがあると、応力等の圧力が生じた際に、セル壁が薄い部分において破損が生じやすくなる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁の厚さは、0.10~0.46mmであることが望ましい。
このような厚さのセル隔壁は、機械的強度を充分となる厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁の気孔率は、30~65%であることが望ましい。
気孔率をこのように設定することにより、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。
セル隔壁の気孔率が30%未満である場合、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁の気孔率が65%を超える場合、セル隔壁の機械的特性が低くなり、振動等において、クラックが発生し易くなる。
本発明のハニカムフィルタでは、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、5~25μmであることが望ましい。
平均気孔径が上記範囲であると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が5μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
本発明のハニカムフィルタでは、上記ハニカムフィルタは、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されていることが望ましい。
ハニカムフィルタがこのような構成であると、1つのハニカム焼成体に応力が生じた場合でも、その応力が接着材層により緩和され、他のハニカム焼成体に伝わりにくくなる。つまり、ハニカムフィルタに生じた応力を緩和させることができる。その結果、ハニカムフィルタが損傷することを防ぐことができる。
本発明のハニカムフィルタは、ハニカム焼成体から構成されてなり、上記ハニカム焼成体は、炭化ケイ素、又は、ケイ素含有炭化ケイ素からなることが望ましい。
炭化ケイ素及びケイ素含有炭化ケイ素は、耐熱性に優れた材料である。このため、上記構成のハニカムフィルタは、耐熱性に優れたハニカムフィルタとなる。
本発明のハニカムフィルタでは、外周には、外周コート層が形成されていることが望ましい。
外周のコート層は、内部のセルを機械的に保護する役割を果たす。そのため、圧縮強度等の機械的特性に優れたハニカムフィルタとなる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。 図2Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示すハニカム焼成体のA-A線断面図である。 図2Cは、図2Aに示すハニカム焼成体の排ガス入口側の端面図である。 図3Aは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図3Bは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図3Cは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図3Dは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図4Aは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が2種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図4Bは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が2種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図4Cは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が2種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。 図5は、圧力損失測定方法を模式的に示す断面図である。 図6は、特許文献1に係るハニカムフィルタを模式的に示す排ガス入口側の端面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタの一例である第1実施形態について、図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2Bは、図2Aに示すハニカム焼成体のA-A線断面図である。
図2Cは、図2Aに示すハニカム焼成体の排ガス入口側の端面図である。
図1に示すハニカムフィルタ20では、複数個のハニカム焼成体10が接着材層15を介して結束されてセラミックブロック18を構成し、このセラミックブロック18の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層16が形成されている。なお、外周コート層16は、必要に応じて形成されていればよい。
ハニカムフィルタ20では、複数個のハニカム焼成体10が接着材層15を介して結束されている。そのため、1つのハニカム焼成体10に応力が生じた場合でも、その応力が接着材層15により緩和され、他のハニカム焼成体10に伝わりにくくなる。つまり、ハニカムフィルタ20に生じた応力を緩和させることができる。その結果、ハニカムフィルタ20が損傷することを防ぐことができる。
接着材層15は、無機バインダと無機粒子とを含む接着材ペーストを塗布、乾燥させたものである。接着材層15は、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
接着材層15の厚さは、0.5~2.0mmが望ましい。
外周コート層16は、内部のセルを機械的に保護する役割を果たす。そのため、ハニカムフィルタ20は、圧縮強度等の機械的特性に優れる。
なお、外周コート層16の材料は、接着材層15の材料と同じであることが望ましい。外周コート層16の厚さは、0.1~3.0mmが望ましい。
なお、ハニカム焼成体10は、四角柱形状であるが、図2Aに示すように、端面における角部が曲線形状となるように面取りが施されており、これにより角部に熱応力が集中し、クラック等の損傷が発生するのを防止している。上記角部は、直線形状となるように面取りされていてもよい。
図2A及び図2Bに示すハニカム焼成体10は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁13を備え、排ガス入口側の端部10aが開口され、かつ、排ガス出口側の端部10bが目封止された排ガス導入セル12と、排ガス出口側の端部10bが開口され、かつ、排ガス入口側の端部10aが目封止された排ガス排出セル11とを備えてなる。
なお、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス導入セル及び排ガス排出セルを目封じする、目封止材は、ハニカム焼成体と同じ材料であることが望ましい。
ハニカムフィルタ20では、排ガス導入セル12及び排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端部10aから排ガス出口側の端部10bにかけて、それぞれのセルにおいて同じである。
ここで、ハニカム焼成体10に排ガスが流入してPMが捕集される場合について説明する。
図2Bに示すように、排ガス導入セル12に流入した排ガスG(図2B中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス排出セル11と排ガス導入セル12(及びスリット14)とを隔てるセル隔壁13を通過した後、排ガス排出セル11から流出するようになっている。排ガスGがセル隔壁13を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル隔壁13は、フィルタとして機能する。
図2Cに示すように、ハニカム焼成体10では、断面が等辺六芒星形の排ガス排出セル11の周囲全体に、断面が正六角形の排ガス導入セル12が隣接しており、一部の隣り合う排ガス導入セル12(便宜上、符号12及び12で示す)において、排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13には、排ガス導入セル12同士を連通するスリット部14が形成されている。また、図2Cに示すように、ハニカム焼成体10の長手方向に垂直方向の断面において、排ガス排出セル11及び排ガス導入セル12は、平面充填されるように配置されている。なお、排ガス排出セル11の断面である等辺六芒星形の一部は、スリット部14に切り取られた形状となっている。
排ガス排出セル11の断面である等辺六芒星の1辺の長さ(スリット部14で切り取られていない部分の長さ)と、排ガス導入セル12の断面である六角形の1辺の長さは略等しい。
これらの辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁13の厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、一方を長くしてもよい。
ハニカム焼成体10では、排ガス排出セル11の周囲全体に、排ガス導入セル12が隣接しているので、PMを捕集する際に、排ガス排出セル11の周囲にあるセル隔壁13全体を、PMを捕集するために利用することができる。また、排ガス導入セル12及び排ガス排出セル11が秩序よく配置された形となるので、排ガスの流れが均一かつスムーズになり、排ガス処理の初期において圧力損失が低く、PMが堆積しても圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタとすることができる。
なお、ハニカム焼成体10の外周には、外周壁17が形成されており、ハニカム焼成体の最外層に配置されている排ガス導入セル12及び排ガス排出セル11の断面形状は外周壁17により一部が切り欠けられた形状となっている。
また、各排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セル12の長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。なお、本明細書において、排ガス導入セル12の長手方向に垂直な方向の断面の面積とは、スリット部14が形成されていないと仮定した場合の排ガス導入セル12の長手方向に垂直な方向の断面の面積(図2C中、破線で囲われた部分1つの面積)のことを意味する。
このような場合、各排ガス導入セル12を流れる排ガスによる抵抗よりも、各排ガス排出セル11を流れる排ガスによる抵抗の方が小さくなる。そのため、排ガスは、排ガス導入セル12から排ガス排出セル11に速やかに移動することができる。つまり、排ガスがセル隔壁13を通過する際に抵抗が低くなり、その結果、圧力損失が低くなる。
図2Cに示すように、ハニカムフィルタ20では、一部の隣り合う排ガス導入セル12において、排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13には、排ガス導入セル12同士を連通するスリット部14が形成されている。
ハニカムフィルタ20の圧力損失を低減するためには、ハニカムフィルタ20の長手方向における排ガスの流速のバラつき、及び、ハニカムフィルタ20の長手方向に垂直な面方向の排ガスの流速のバラつきを抑える必要がある。
一部の隣り合う排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13にスリット部14が形成されていると、一方の排ガス導入セル12に排ガスが流れ込み、排ガス導入セル12内の圧力が高くなったとしても、他方の排ガス導入セル12に排ガスを流すことができる。そのため、これらの排ガス導入セル12内の圧力差を小さくすることができる。従って、ハニカムフィルタ20の長手方向に垂直な面方向の排ガスの流速のバラつきを抑えることができ、圧力損失を低減することができる。
また、スリット部14が形成されていると、ハニカムフィルタ20の濾過面積は低下するものの、端面の開口面積を大きくすることができる。
ハニカムフィルタ20の端面の開口面積が大きくなれば、排ガス流入の抵抗による圧力損失を低減することができる。
また、ハニカムフィルタ20において、PMを捕集する際、排ガス導入セル12と排ガス排出セル11とを隔てるセル隔壁13が主要的に機能し、排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13が補助的に機能する。そのため、排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13にスリット部が形成されていても、ハニカムフィルタ20の濾過面積は低下するものの、PMの捕集能は低下しない。
以上より、排ガス導入セル12同士を隔てるセル隔壁13に排ガス導入セル12同士を連通するスリット部14が形成されていると、PM捕集能の低下を抑えつつ、圧力損失を効果的に低減することができる。
本明細書において、「長さ」、「厚さ」、「断面積」等の測定は、電子顕微鏡写真を用いて行うことが望ましい。電子顕微鏡写真の撮影は、例えば、電子顕微鏡(FE-SEM:日立ハイテクノロジーズ社製 高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800)にて行うことができる。
また、電子顕微鏡写真の拡大倍率は、セルを構成するセル隔壁の表面(内壁)の粒子や気孔の凹凸が、セルの断面形状の特定や、辺の長さ、隔壁厚さ及びセルの断面積の計測に支障にならない程度の倍率であり、かつセルの断面形状の特定や、辺の長さ、セル隔壁の厚さ及びセルの断面積の計測が可能となる倍率を採用することが必要であり、拡大倍率30倍の電子顕微鏡写真を用いて計測することが最適である。
すなわち、上述したセルの長さやセル隔壁の厚さの定義に基づき、電子顕微鏡写真のスケールを利用してセルの各辺の長さを測定して、その値を求め、断面積については、得られたセルの長さ等の値に基づき、算術的に求める。また、断面積について算術的に計測することが煩雑な場合は、電子顕微鏡写真のスケールから単位面積に相当する正方形(スケール長さを1辺とする正方形)を切り取り、この重量を測定、一方でセルの断面形状に沿ってセル断面を切り取り(多角形の場合に頂点部分が曲線となっている場合にはその曲線に沿って切り取り)、その切り取った部分の重量を測定する。重量比率からセルの断面の断面積を計算することができる。
また、このような人手による計測の他に、電子顕微鏡写真を画像データとして取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、写真のスケールを入力して、電子的な計測に置き換えて測定することも可能である。もちろん、人手による計測方法も電子化した計測方法も電子顕微鏡画像のスケールに基づいた計測であって、同一原理に基づいており、両者の計測結果に齟齬が発生しないことは言うまでもない。
電子的な計測としては、画像解析式粒度分布ソフトウェア(株式会社マウンテック(Mountech)製)MAC-View (Version3.5)なる計測ソフトウェアを用いることができる。このソフウェアでは電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込むか、電子顕微鏡から直接取り込んだ画像データを用い、当該写真のスケールを入力し、セルの内壁に沿って範囲を指定することで断面積を計測できる。また、画像中の任意の点間距離も電子顕微鏡写真のスケールを基に計測できる。
電子顕微鏡によりセル断面を撮影する際には、セルの長手方向に垂直にフィルタを切断し、その切断面が入るように、1cm×1cm×1cmのサンプルを準備し、サンプルを超音波洗浄するか、もしくは樹脂で包埋して、電子顕微鏡写真を撮影する。樹脂による包埋を行っても、セルの辺の長さ及びセル隔壁の厚さの計測には影響を与えない。
ハニカムフィルタ20では、排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面の面積に対する排ガス導入セル12の長手方向に垂直方向の断面の面積の割合は40~70%であることが望ましく、45~65%であることがより望ましい。
上記面積の割合をこのような範囲とすることにより、排ガスが排ガス排出セル11を通過する際の抵抗を、排ガス導入セル12を排ガスが通過する際の抵抗よりも低減することができる。
上記面積の割合が40%未満であると、排ガス導入セルの開口部が狭くなるので、排ガスが流入しにくくなる。
上記面積の割合が70%を超えると、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積と、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積との差が小さくなり上記効果を得られにくくなる。
ハニカムフィルタ20では、排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面の面積は、1.4~2.8mmであることが望ましく、1.5~2.7mmであることがより望ましい。
また、排ガス導入セル12の長手方向に垂直方向の断面の面積は、0.7~1.4mmであることが望ましく、0.8~1.3mmであることがより望ましい。
ハニカムフィルタ20では、ハニカムフィルタ20のセル同士を隔てるセル隔壁13の厚さは、同じ厚さであることが望ましい。
セル壁の厚さにバラつきがあると、応力等の圧力が生じた際に、セル壁が薄い部分において破損が生じやすくなる。
ハニカムフィルタ20では、セル隔壁13の厚さは、0.10~0.46mmであることが望ましい。
このような厚さのセル隔壁13は、機械的強度が充分となる厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
ハニカムフィルタ20では、セル隔壁13の気孔率は、30~65%であることが望ましい。
気孔率をこのように設定することにより、セル隔壁13は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁13に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。
セル隔壁の気孔率が30%未満である場合、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁の気孔率が65%を超える場合、セル隔壁の機械的特性が低くなり、振動時等において、クラックが発生し易くなる。
ハニカムフィルタ20では、セル隔壁13に含まれる気孔の平均気孔径は、5~25μmであることが望ましい。
平均気孔径が上記範囲であると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が5μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
なお、本明細書において、「セル隔壁の気孔径」及び「セル隔壁の気孔率」は水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件で測定した値を意味する。
ハニカムフィルタ20では、スリット部14の幅(図2C中、符号Lで示す距離)は、0.1~0.7mmであることが望ましく、0.2~0.6mmであることがより望ましい。
スリット部14の幅Lが、0.1mm未満であると、スリット部が狭すぎ、一方の排ガス導入セル内の圧力が高くなったとしても、他方の排ガス導入セルに排ガスを流しにくくなる。そのため、これらの排ガス導入セル内の圧力差を小さくしにくくなる。
スリット部14の幅Lが、0.7mmを超えると、ハニカムフィルタの濾過面積が小さくなりすぎるため、PM堆積後の圧力損失が高くなりやすい。
ハニカムフィルタ20において、ハニカム焼成体10の材料は、多孔質材から構成されていれば特に限定されないが、ハニカム焼成体10の構成材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック、ケイ素含有炭化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでは、炭化ケイ素、又は、ケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。炭化ケイ素及びケイ素含有炭化ケイ素は、耐熱性に優れた材料である。このため、炭化ケイ素、又は、ケイ素含有炭化ケイ素からなるハニカム焼成体10は耐熱性に優れる。
なお、ケイ素含有炭化ケイ素は、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたものであり、炭化ケイ素を60wt%以上含むケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。
ハニカム焼成体10の断面におけるセルの単位面積あたりの数は、15.5~93個/cm(100~600個/inch)であることが望ましい。
次に、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法について説明する。
なお、以下においては、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明する。
(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが望ましい。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、図2Cに示すセル構造(セルの形状およびセルの配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
(2)ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封止する目封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
(3)ハニカム成形体を脱脂炉中、300~650℃に加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム成形体を焼成炉に搬送し、2000~2200℃に加熱する焼成工程を行うことにより、図2A~図2Cに示したようなハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、目封止材となる。
また、切断工程、乾燥工程、目封止工程、脱脂工程および焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(4)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
上記接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ-アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
(5)次に、ハニカム集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカムフィルタを作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(6)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
(7)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のハニカムフィルタとすることができる。
以上の工程によって、ハニカム焼成体を含む本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを作製することができる。
上記工程では、切削工程を行うことにより所定形状のハニカムフィルタを作製していたが、ハニカム焼成体を作製する工程において、外周全体に外周壁を有する複数形状のハニカム焼成体を作製し、それら複数形状のハニカム焼成体を接着材層を介して組み合わせることにより円柱等の所定形状となるようにしてもよい。この場合には、切削工程を省略することができる。
(その他の実施形態)
本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタでは、複数のハニカム焼成体が集合して形成された、いわゆる集合型のハニカムフィルタであったが、本発明のハニカムフィルタは、1つのハニカム焼成体からなる、いわゆる一体型ハニカムフィルタであってもよい。
本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタでは、ハニカム焼成体の外周壁が、角部以外で一定の厚さであり、ハニカム焼成体の最外周にある排ガス導入セルの断面の形状が一部カットされていた。
しかし、本発明のハニカムフィルタでは、ハニカム焼成体の最外周にある排ガス導入セルの断面形状はカットされておらず、外周壁の厚さが一定の厚さでなくてもよい。
本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタでは、排ガス導入セル12の長手方向に垂直方向の断面形状が正六角形であり、排ガス排出セル11の長手方向に垂直方向の断面形状が等辺六芒星形であった。
しかし、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス排出セルの周囲全体に、排ガス導入セルが隣接してなり、ハニカムフィルタの長手方向に垂直方向の断面において、排ガス排出セル及び排ガス導入セルが、平面充填されるように配置されており、各排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積が、各排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きければ、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状及び排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、どのような形状であってもよい。
例えば、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は一部又は全部が曲線からなる形状であってもよく、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は一部又は全部が曲線からなる形状であってもよいが、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であることが望ましい。
排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が多角形であるハニカムフィルタについて、以下に図面を用いて説明する。
まず、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合について以下に例示する。
図3A~図3Dは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。
図3Aに示すハニカムフィルタ120Aでは、ハニカムフィルタ120Aの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112Aが正三角形であり、排ガス排出セル111Aが正六角形であり、排ガス導入セル112Aの1辺の長さと、排ガス排出セル111Aの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル111Aの周囲全体に排ガス導入セル112Aが隣接してなる。
また、ハニカムフィルタ120Aの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112A及び排ガス排出セル111Aは、平面充填されるように配置されている。
なお、排ガス導入セル112Aの1辺の長さ及び排ガス排出セル111Aの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁113Aの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、一方を長くしてもよい。
また、一部の隣り合う排ガス導入セル112A(便宜上、符号112A及び112Aで示す)において、排ガス導入セル112A及び排ガス導入セル112Aを隔てるセル隔壁113Aには、排ガス導入セル112A及び排ガス導入セル112Aを連通するスリット部114Aが形成されている。
また、各排ガス排出セル111Aの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セル112Aの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。なお、本明細書において、排ガス導入セル112Aの長手方向に垂直な方向の断面の面積とは、スリット部114Aが形成されていないと仮定した場合の排ガス導入セル112Aの長手方向に垂直な方向の断面の面積(図3A中、破線で囲われた部分1つの面積)のことを意味する。
図3Bに示すハニカムフィルタ120Bでは、ハニカムフィルタ120Bの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112Bがひし形であり、排ガス排出セル111Bが正六角形であり、排ガス導入セル112Bの1辺の長さと、排ガス排出セル111Bの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル111Bの周囲全体に排ガス導入セル112Bが隣接してなる。
また、ハニカムフィルタ120Bの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112B及び排ガス排出セル111Bは、平面充填されるように配置されている。
なお、排ガス導入セル112Bの1辺の長さ及び排ガス排出セル111Bの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁113Bの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、一方を長くしてもよい。
また、一部の隣り合う排ガス導入セル112B(便宜上、符号112B及び112Bで示す)において、排ガス導入セル112B及び排ガス導入セル112Bを隔てるセル隔壁113Bには、排ガス導入セル112B及び排ガス導入セル112Bを連通するスリット部114Bが形成されている。
また、各排ガス排出セル111Bの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セル112Bの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。なお、本明細書において、排ガス導入セル112Bの長手方向に垂直な方向の断面の面積とは、スリット部114Bが形成されていないと仮定した場合の排ガス導入セル112Bの長手方向に垂直な方向の断面の面積(図3B中、破線で囲われた部分1つの面積)のことを意味する。
図3Cに示すハニカムフィルタ120Cでは、ハニカムフィルタ120Cの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112Cが正三角形であり、排ガス排出セル111Cが正六角形であり、排ガス導入セル112Cの1辺の長さが、排ガス排出セル111Cの1辺の長さの略2倍の長さであり、排ガス排出セル111Cの周囲全体に排ガス導入セル112Cが隣接してなる。
また、ハニカムフィルタ120Cの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112C及び排ガス排出セル111Cは、平面充填されるように配置されている。
なお、及び排ガス排出セル111Cの1辺の長さに対する排ガス導入セル112Cの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁113Cの厚さを調整することにより、丁度2倍の長さにしてもよく、丁度2倍よりも短くしてもよく、丁度2倍より長くしてもよい。
また、一部の隣り合う排ガス導入セル112C(便宜上、符号112C及び112Cで示す)において、排ガス導入セル112C及び排ガス導入セル112Cを隔てるセル隔壁113Cには、排ガス導入セル112C及び排ガス導入セル112Cを連通するスリット部114Cが形成されている。
また、各排ガス排出セル111Cの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セル112Cの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。なお、本明細書において、排ガス導入セル112Cの長手方向に垂直な方向の断面の面積とは、スリット部114Cが形成されていないと仮定した場合の排ガス導入セル112Cの長手方向に垂直な方向の断面の面積(図3C中、破線で囲われた部分1つの面積)のことを意味する。
図3Dに示すハニカムフィルタ120Dでは、ハニカムフィルタ120Dの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112Dが正三角形であり、排ガス排出セル111Dが正方形であり、排ガス導入セル112Dの1辺の長さと、排ガス排出セル111Dの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル111Dの周囲全体に排ガス導入セル112Dが隣接してなる。
また、ハニカムフィルタ120Dの長手方向に垂直な断面において、排ガス導入セル112D及び排ガス排出セル111Dは、平面充填されるように配置されている。
なお、排ガス導入セル112Dの1辺の長さ及び排ガス排出セル111Dの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁113Dの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、一方を長くしてもよい。
また、一部の隣り合う排ガス導入セル112D(便宜上、符号112D及び112Dで示す)において、排ガス導入セル112D及び排ガス導入セル112Dを隔てるセル隔壁113Dには、排ガス導入セル112D及び排ガス導入セル112Dを連通するスリット部114Dが形成されている。
また、各排ガス排出セル111Dの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各排ガス導入セル112Dの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きい。なお、本明細書において、排ガス導入セル112Dの長手方向に垂直な方向の断面の面積とは、スリット部114Dが形成されていないと仮定した場合の排ガス導入セル112Dの長手方向に垂直な方向の断面の面積(図3D中、破線で囲われた部分1つの面積)のことを意味する。
次に、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が2種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合について以下に例示する。
図4A~図4Cは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が2種の多角形であり、排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状が1種の多角形である場合のハニカムフィルタの排ガス入口側端面一例を模式的に示す一部拡大図である。
図4Aに示すハニカムフィルタ220Aでは、ハニカムフィルタ220Aの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212Aが正方形であり、第2の排ガス導入セル212Aが正六角形であり、排ガス排出セル211Aが正十二角形であり、第1の排ガス導入セル212Aの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Aの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Aの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル211Aの周囲全体に、第1の排ガス導入セル212A及び第2の排ガス導入セル212Aが交互に隣接してなる。
また、ハニカムフィルタ210Aの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212A、第2の排ガス導入セル212A、及び、排ガス排出セル211Aは、平面充填されるように配置されている。
なお、第1の排ガス導入セル212Aの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Aの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Aの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁213Aの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、いずれかを長くしてもよい。
また、一部の隣り合う第1の排ガス導入セル212A及び第2の排ガス導入セル212Aにおいて、第1の排ガス導入セル212A及び第2の排ガス導入セル212Aを隔てるセル隔壁213Aには、第1の排ガス導入セル212A及び第2の排ガス導入セル212Aを連通するスリット部214Aが形成されている。
また、各排ガス排出セル211Aの長手方向に垂直方向の断面の面積は、第1の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積のそれぞれよりも大きい。なお、本明細書において、第1の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積とは、スリット部214Aが形成されていないと仮定した場合の第1の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Aの長手方向に垂直方向の断面の面積(図4A中、破線で囲われた部分の面積)のことを意味する。
図4Bに示すハニカムフィルタ220Bでは、ハニカムフィルタ220Bの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212Bが正方形であり、第2の排ガス導入セル212Bが変形六角形であり、排ガス排出セル211Bが正六角形であり、第1の排ガス導入セル212Bの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Bの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Bの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル211Bの周囲全体に、第1の排ガス導入セル212B及び第2の排ガス導入セル212Bが隣接してなる。なお、第2の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直な断面は、60°の角、150°の角、150°の角、60°の角、150°の角、150°の角が順に位置する凸多角形である。
また、ハニカムフィルタ210Bの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212B、第2の排ガス導入セル212B、及び、排ガス排出セル211Bは、平面充填されるように配置されている。
なお、第1の排ガス導入セル212Bの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Bの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Bの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁213Bの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、いずれかを長くしてもよい。
また、一部の隣り合う第1の排ガス導入セル212B及び第2の排ガス導入セル212Bにおいて、第1の排ガス導入セル212B及び第2の排ガス導入セル212Bを隔てるセル隔壁213Bには、第1の排ガス導入セル212B及び第2の排ガス導入セル212Bを連通するスリット部214Bが形成されている。
また、各排ガス排出セル211Bの長手方向に垂直方向の断面の面積は、第1の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積のそれぞれよりも大きい。なお、本明細書において、第1の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積とは、スリット部214Bが形成されていないと仮定した場合の第1の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Bの長手方向に垂直方向の断面の面積(図4B中、破線で囲われた部分の面積)のことを意味する。
図4Cに示すハニカムフィルタ220Cでは、ハニカムフィルタ220Cの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212Cが正方形であり、第2の排ガス導入セル212Cが変形五角形であり、排ガス排出セル211Cが正六角形であり、第1の排ガス導入セル212Cの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Cの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Cの1辺の長さが略同じ長さであり、排ガス排出セル211Cの周囲全体に、第1の排ガス導入セル212C及び第2の排ガス導入セル212Cが隣接してなる。なお、第2の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直な断面は、60°の角、150°の角、90°の角、90°の角、150°の角が順に位置する凸多角形である。
また、ハニカムフィルタ210Cの長手方向に垂直な断面において、第1の排ガス導入セル212C、第2の排ガス導入セル212C、及び、排ガス排出セル211Cは、平面充填されるように配置されている。
なお、第1の排ガス導入セル212Cの1辺の長さ、第2の排ガス導入セル212Cの1辺の長さ、及び、排ガス排出セル211Cの1辺の長さは、各セルを構成するセル隔壁213Cの厚さを調整することにより、全く同じ長さにしてもよく、いずれかを長くしてもよい。
また、一部の隣り合う第1の排ガス導入セル212C及び第2の排ガス導入セル212Cにおいて、第1の排ガス導入セル212C及び第2の排ガス導入セル212Cを隔てるセル隔壁213Cには、第1の排ガス導入セル212C及び第2の排ガス導入セル212Cを連通するスリット部214Cが形成されている。
また、各排ガス排出セル211Cの長手方向に垂直方向の断面の面積は、第1の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積のそれぞれよりも大きい。なお、本明細書において、第1の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積とは、スリット部214Cが形成されていないと仮定した場合の第1の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積、及び、第2の排ガス導入セル212Cの長手方向に垂直方向の断面の面積(図4C中、破線で囲われた部分の面積)のことを意味する。
なお、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状が3種以上の多角形であってもよい。
(実施例1)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.2重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.1重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)0.8重量%、グリセリン1.3重量%、オレイン酸2.8重量%、及び、水13.2重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2A~図2Cに示したハニカム焼成体10と同様の形状であって、セルの目封止をしていない生のハニカム成形体を作製した。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの目封止を行った。
具体的には、排ガス入口側の端部及び排ガス出口側の端部が図2Cに示す位置で目封止されるようにセルの目封止を行った。
なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの目封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
続いて、セルの目封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、実施例1に係るハニカム焼成体を作製した。
実施例1において、排ガス導入セルの長手方向に垂直な断面の形状は、1辺の長さが0.65mmの正六角形であり、その面積は、1.11mmであった。
実施例1において、排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面の形状は、1辺の長さが0.65mmの等辺六芒星形であり、その面積は2.18mmであった。
実施例1において、スリット部の幅は、0.31mmであった。
実施例1において、セル隔壁の厚さは0.17mmであった。
また、ハニカム焼成体は、気孔率が38%、平均気孔径が11μm、大きさが36.4mm×36.4mm×177.8mmであった。
出来上がったハニカム焼成体を、SiC粒子、シリカゾル、アルミナファイバの混合物からなる接着剤ペーストを用いて複数個結束させ、外周を加工し、外周に接着剤ペーストと同じ材料からなるコート層を設けて、φ330.2mm×177.8mmの円筒状のハニカムフィルタを作製した。
(比較例1)
スリット部を形成しない以外は実施例1と同様に比較例1に係るハニカムフィルタを製造した。
(圧力損失測定)
実施例1及び比較例1で製造したハニカムフィルタについて、図5に示したような圧力損失測定装置を用いて、圧力損失を測定した。
図5は、圧力損失測定方法を模式的に示す断面図である。
この圧力損失測定装置310は、送風機311のガス管312に、ハニカムフィルタ20を金属ケーシング313内に固定して配置し、ハニカムフィルタ20の前後の圧力を検出可能になるように圧力計314が取り付けられている。
ハニカムフィルタ20は、その排ガス入口側の端部が送風機311の排ガス管312に近い側に配置される。すなわち、排ガス入口側の端部が開口されたセルにガスが流入するように配置される。
送風機311を運転して、ガス温が380℃、ガス流量が1700kg/hrで空気をハニカムフィルタ20に流通させた。
そして、実施例1及び比較例1のハニカムフィルタの圧力損失(kPa)を測定した。
次いで、実施例1及び比較例1にPMをハニカムフィルタ1Lあたりに3.0g、6.0g、18.6g、22.0g堆積させた状態で、上記圧力損失測定装置310を用いて、同じガス条件で、圧力損失を測定した。なお、この時のPMの密度は0.1g/cmであった。
実施例1のハニカムフィルタの初期の圧力損失は、3.8kPaであり、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失は、3.9kPaであった。
同様にPMが3.0g/L堆積した時の実施例1のハニカムフィルタの圧力損失は、9.0kPaであり、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失は、9.2kPaであった。また、PMが6.0g/L堆積した時の実施例1のハニカムフィルタの圧力損失は、13.9kPaであり、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失は、14.6kPaであった。また、PMが18.6g/L堆積した時の実施例1のハニカムフィルタの圧力損失は、39.6kPaであり、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失は、43.5kPaであった。また、PMが22.0g/L堆積した時の実施例1のハニカムフィルタの圧力損失は、49.8kPaであり、比較例1のハニカムフィルタの圧力損失は、55.9kPaであった。
以上の結果より、実施例1に係るハニカムフィルタは、排ガス処理の初期の圧力損失が小さく、セルにPMが堆積したとしても、圧力損失が上昇しにくいハニカムフィルタであることが判明した。
10 ハニカム焼成体
10a 排ガス入口側の端部
10b 排ガス出口側の端部
20、120A、120B、120C、120D、220A、220B、220C ハニカムフィルタ
11、111A、111B、111C、111D、211A、211B、211C 排ガス排出セル
12(12、12)、112A(112A、112A)、112B(112B、112B)、112C(112C、112C)、112D(112D、112D)、212A、212A、212B、212B、212C、212C 排ガス導入セル
13、113A、113B、113C、113D、213A、213B、213C セル隔壁
14、114A、114B、114C、114D、214A、214B、214C スリット部
15 接着材層
16 外周コート層
17 外周壁
18 セラミックブロック
310 圧力損失測定装置
311 送風機
312 排ガス管
313 金属ケーシング
314 圧力計
500 ハニカムフィルタ
502 セル
502a 流入セル
502b 流出セル

Claims (11)

  1. 排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁を備え、排ガス入口側の端部が開口され、かつ、排ガス出口側の端部が目封止された複数の排ガス導入セルと、
    排ガス出口側の端部が開口され、かつ、排ガス入口側の端部が目封止された複数の排ガス排出セルとを備えてなり、
    前記排ガス導入セル、及び、前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き前記排ガス入口側の端部から前記排ガス出口側の端部にかけて、それぞれのセルにおいて同じであるハニカムフィルタであって、
    前記排ガス排出セルの周囲全体に、多孔質のセル隔壁を隔てて前記排ガス導入セルが隣接してなり、
    前記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であるか、又は、2種以上の形状であり、
    前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は、1種の形状であり、
    前記ハニカムフィルタの長手方向に垂直方向の断面において、前記排ガス排出セル及び前記排ガス導入セルは、平面充填されるように配置されており、
    各前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積は、各前記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積よりも大きく、
    一部の隣り合う前記排ガス導入セルにおいて、前記排ガス導入セル同士を隔てるセル隔壁には、前記排ガス導入セル同士を連通するスリット部が形成されていることを特徴とするハニカムフィルタ。
  2. 前記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形であり、
    前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面形状は多角形である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
  3. 前記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面形状は1種の形状であり、かつ、六角形であり、
    前記排ガス排出セルの長手方向に垂直な方向の断面形状は、六芒星形である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
  4. 前記排ガス導入セルは、長手方向に垂直方向の断面形状は1種の形状であり、
    前記排ガス排出セルの長手方向に垂直方向の断面の面積に対する前記排ガス導入セルの長手方向に垂直方向の断面の面積の割合は40~70%である請求項1~3のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  5. 前記ハニカムフィルタのセル同士を隔てるセル隔壁の厚さは、同じ厚さである請求項1~4のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  6. 前記セル隔壁の厚さは、0.10~0.46mmである請求項1~5のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  7. 前記セル隔壁の気孔率は、30~65%である請求項1~6のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  8. 前記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、5~25μmである請求項1~7のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  9. 前記ハニカムフィルタは、
    外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されている請求項1~8のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  10. 前記ハニカムフィルタは、ハニカム焼成体から構成されてなり、前記ハニカム焼成体は、炭化ケイ素、又は、ケイ素含有炭化ケイ素からなる請求項9に記載のハニカムフィルタ。
  11. 外周には、外周コート層が形成されている請求項1~10のいずれかに記載のハニカムフィルタ。

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