JP2023150220A - ハニカムフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】PM捕集効率が高いハニカムフィルタを提供する。【解決手段】一方の端面が封じられた排ガス導入セルと、排ガス排出セルとを備えたハニカムフィルタであって、ハニカムフィルタは、セル隔壁を介して第1セル31と第2セル32とを含み、セル隔壁の第1部分13aを、第1セル側の表面から第1方向Yに向かって0.5μm毎に階層化し、各階層において、第2方向Xに連続する気孔部を1つの気孔40とし、1つの気孔の合計数を各階層の気孔数とし、第2方向のセル隔壁の第1部分の距離とセル隔壁の第1部分の気孔率との積を、セル隔壁の第1部分の平均気孔径で除した値を平均気孔数とし、第1セル側の表面から順に、各階層の気孔数と平均気孔数とを比較し各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層を決定した際に、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が10μm以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。【選択図】図4

Description

本発明は、ハニカムフィルタに関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境又は人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境又は人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトや炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなるハニカム構造のフィルタ(ハニカムフィルタ)が種々提案されている。
このようなハニカムフィルタとして特許文献1には、流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、それぞれの前記セルの前記流入端面側又は前記流出端面側の開口部に配設された目封止部と、を備え、水銀圧入法によって測定された前記隔壁の累積細孔容積において、前記累積細孔容積が10%となる細孔径を、細孔径D10とし、前記累積細孔容積が30%となる細孔径を、細孔径D30とし、前記累積細孔容積が50%となる細孔径を、細孔径D50とし、前記累積細孔容積が70%となる細孔径を、細孔径D70とし、前記累積細孔容積が90%となる細孔径を、細孔径D90とし、前記細孔径D10が、6μm以上であり、前記細孔径D90が、58μm以下であり、且つ、下記式(1)の関係を満たす、目封止ハニカム構造体が開示されている。
式(1):0.35≦(D70-D30)/D50≦1.5
(但し、式(1)において、D30は、細孔径D30の値を示し、D50は、細孔径D50の値を示し、D70は、細孔径D70の値を示す。)
特許文献1に記載のハニカムフィルタでは、累積細孔容積の分布を制御することにより、捕集性能を向上させ、排気ガス浄化用の触媒の担持後における、圧力損失のばらつきの発生を抑制している。
ここで、特許文献1に記載のされたようなハニカムフィルタを用いることによりPMを捕集することができる原理を説明する。
図12は、従来のハニカムフィルタを用いて、排ガス中のPMを捕集する場合の一例を模式的に示す説明図である。
図12に示す、従来のハニカム焼成体510は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁513を備え、排ガス入口側の端面510aが開口され、かつ、排ガス出口側の端面510bが目封止された排ガス導入セル511と、排ガス出口側の端面510bが開口され、かつ、排ガス入口側の端面510aが目封止された排ガス排出セル512とを備えてなる。
セル隔壁513は、多孔質体なので、排ガスのガス成分は通過できるものの、固形成分であるPMは通過できない。
そのため、ハニカム焼成体510に排ガスが流入する場合、排ガスG(図12中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス導入セル511に流入し、排ガス排出セル512と排ガス導入セル511とを隔てるセル隔壁513を通過した後、排ガス排出セル512から流出する。排ガスGがセル隔壁513を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル隔壁513は、フィルタとして機能する。
特開2018-149510号公報
近年、環境負荷を減らすために、PMの排出規制がさらに厳しくなっている。重量のわりに数が多い粒子径の小さいPMは、捕集しにくく環境中に放出されやすい。
このようなPMは、特許文献1に開示されたように累積細孔容積の分布を制御するだけでは充分に捕集できないという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされた発明であり、本発明は、PMの捕集効率が高いハニカムフィルタを提供することを目的とする。
本発明者は、ハニカムフィルタのPMを捕集するセルの表面に早期にPMを堆積させケーク層を形成することにより、PMの捕集効率が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明のハニカムフィルタは、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端面が開口され且つ排ガス出口側の端面が封じられている排ガス導入セルと、排ガス出口側の端面が開口され且つ排ガス入口側の端面が封じられている排ガス排出セルとを備えたハニカムフィルタであって、上記ハニカムフィルタは炭化ケイ素からなり、上記ハニカムフィルタの長手方向に垂直な断面において、上記複数のセルは、第1セルと、上記セル隔壁を介して上記第1セルと対面する第2セルとを含み、上記セル隔壁は、上記第1セルの輪郭を構成する辺と、上記第2セルの輪郭を構成する辺とが平行になるように形成されたセル隔壁の第1部分を有し、上記セル隔壁の第1部分は、上記第1セルから上記第2セルに向かう第1方向と、上記第1方向に垂直な第2方向とを有し、上記ハニカムフィルタの長手方向に垂直な方向の上記セル隔壁の第1部分の断面写真において、上記セル隔壁の第1部分を、上記第1セル側の表面から上記第1方向に向かって0.5μm毎に階層化し、上記各階層において、上記第2方向に連続する気孔部を1つの気孔とし、上記1つの気孔の合計数を各階層の気孔数とし、上記第2方向の上記セル隔壁の第1部分の距離と上記セル隔壁の第1部分の気孔率との積を、上記セル隔壁の第1部分の平均気孔径で除した値を平均気孔数とし、上記第1セル側の表面から順に、上記各階層の気孔数と上記平均気孔数とを比較し上記各階層の気孔数が初めて上記平均気孔数を超える階層を決定した際に、上記第1セル側の前記セル隔壁の第1部分の表面から、上記各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が10μm以下であることを特徴とする。
ハニカムフィルタを用いて排ガスを浄化する場合、排ガスに含まれるPMの大部分は、セル隔壁の気孔を通過できず排ガス導入セルの表面に捕集される。しかし、一部の粒子径が小さいPMは、セル隔壁の気孔を通過してしまい排ガス排出セルに移動してしまう場合がある。つまり、粒子径の小さいPMは漏れてしまう場合がある。
排ガス導入セルの表面に捕集されたPMは、堆積しケーク層を形成する。このケーク層は、粒子径が小さいPMがセル隔壁を通過する場合の抵抗になる。つまり、ケーク層が形成されていると粒子径が小さいPMが漏れてしまうことを防ぐことができる。
そのため、ケーク層は早期に形成されることが好ましい。
また、炭化ケイ素からなるハニカムフィルタを製造する場合、炭化ケイ素を成分とするハニカム成形体を焼成する。この際、炭化ケイ素粒子の形状や焼成状態によって、セル隔壁の表面の状態と内部の状態とには差が生じることがある。
例えば、セル隔壁の表面近傍に位置する気孔の気孔径が大きい場合、セル隔壁に到達した排ガスに含まれるPMは、セル隔壁の表面近傍に位置する気孔からセル隔壁の内部にまで侵入することがある。
そうすると、上記のようなケーク層が形成されるまでに多くの時間が必要になり、排ガス浄化の初期において、粒子径が小さいPMを捕集しにくくなる。
本発明のハニカムフィルタでは、各階層の気孔数と平均気孔数とが上記関係である。これは、セル隔壁において、気孔径が小さい気孔が、セル隔壁の表面近傍に形成されていることを意味する。そのため、本発明のハニカムフィルタを用いて排ガスを浄化する際、PMは、セル隔壁に侵入しにくく、ケーク層を早期に形成することができる。
従って、本発明のハニカムフィルタでは、粒子径が小さいPMの捕集効率が高い。
本発明のハニカムフィルタでは、上記平均気孔数が、上記セル隔壁の第1部分の上記第2方向の長さ1mmあたりに10~30個であることが好ましい。
このような平均気孔数であると、排ガス中のPMを捕集しやすく、また、圧力損失も小さくなる。
本発明のハニカムフィルタは、上記気孔率が35~55%であることが好ましい。
気孔率をこのように設定することにより、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。
セル隔壁の気孔率が35%未満である場合、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁の気孔率が55%を超える場合、PMの捕集効率が低下することがある。
本発明のハニカムフィルタでは、平均気孔径が10~35μmであることが好ましい。
平均気孔径が上記範囲であると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
平均気孔径が10μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
平均気孔径が35μmを超えると、気孔が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
本発明のハニカムフィルタでは、上記第1方向における上記セル隔壁の厚さが、0.1~0.46mmであることが好ましい。
このような厚さのセル隔壁は、充分な機械的強度を有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
本発明のハニカムフィルタは、外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されていることが好ましい。
このような構成である場合、1つのハニカム焼成体に応力が生じた場合でも、その応力が接着材層により緩和され、他のハニカム焼成体に伝わりにくくなる。つまり、ハニカムフィルタに生じた応力を緩和させることができる。その結果、ハニカムフィルタが損傷することを防ぐことができる。
本発明のハニカムフィルタでは、外周には、外周コート層が形成されていることが好ましい。
外周コート層は、内部のセルを機械的に保護する役割を果たす。そのため、圧縮強度等の機械的特性に優れたハニカムフィルタとなる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。 図2Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示すハニカム焼成体の排ガス入口側の端面図である。 図3は、本発明のハニカムフィルタの長手方向に垂直な断面の一例を模式的に示す拡大図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分の階層化の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの第1階層及び第2階層の一例を模式的に示す断面図である。 図6Aは、従来のハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の開始時の一例を模式的に示す断面図である。 図6Bは、従来のハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の初期の一例を模式的に示す断面図である。 図7Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の開始時の一例を模式的に示す断面図である。 図7Bは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の初期の一例を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の第2実施形態に係るハニカムフィルタの排ガス入口側の端面の一例を模式的に示す端面の拡大図である。 図9は、本発明の第3実施形態に係るハニカムフィルタの排ガス入口側の端面の一例を模式的に示す端面の拡大図である。 図10Aは、実施例1に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分のSEM画像である。 図10Bは、比較例1に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分のSEM画像である。 図11は、PM堆積試験の結果を示すグラフである。 図12は、従来のハニカムフィルタを用いて、排ガス中のPMを捕集する場合の一例を模式的に示す説明図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの一例について、図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2Bは、図2Aに示すハニカム焼成体の排ガス入口側の端面図である。
図1に示すハニカムフィルタ20では、複数個のハニカム焼成体10が接着材層15を介して結束されてセラミックブロック18を構成し、このセラミックブロック18の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層16が形成されている。なお、外周コート層16は、必要に応じて形成されていればよい。
ハニカムフィルタ20では、複数個のハニカム焼成体10が接着材層15を介して結束されている。そのため、1つのハニカム焼成体10に応力が生じた場合でも、その応力が接着材層15により緩和され、他のハニカム焼成体10に伝わりにくくなる。つまり、ハニカムフィルタ20に生じた応力を緩和させることができる。その結果、ハニカムフィルタ20が損傷することを防ぐことができる。
接着材層15は、無機バインダと無機粒子とを含む接着材ペーストを塗布、乾燥させたものである。接着材層15は、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
接着材層15の厚さは、0.5~2.0mmが好ましい。
外周コート層16は、内部のセルを機械的に保護する役割を果たす。そのため、ハニカムフィルタ20は、圧縮強度等の機械的特性に優れる。
なお、外周コート層16の材料は、接着材層15の材料と同じであることが好ましい。外周コート層16の厚さは、0.1~3.0mmが好ましい。
なお、ハニカム焼成体10は、四角柱形状であるが、図2A及び図2Bに示すように、端面における角部が曲線形状となるように面取りが施されており、これにより角部に熱応力が集中し、クラック等の損傷が発生するのを防止している。上記角部は、直線形状となるように面取りされていてもよい。
図2Aに示すハニカム焼成体10は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁13を備え、排ガス入口側の端面10aが開口され、かつ、排ガス出口側の端面10bが目封止された排ガス導入セル11と、排ガス出口側の端面10bが開口され、かつ、排ガス入口側の端面10aが目封止された排ガス排出セル12とを備えてなる。
ハニカム焼成体10は、炭化ケイ素からなる。炭化ケイ素からなるハニカム焼成体は耐熱性が高い。
なお、本発明のハニカムフィルタでは、排ガス導入セル及び排ガス排出セルを目封じする目封止材は、ハニカム焼成体と同じ材料であることが好ましい。
ハニカムフィルタ20では、排ガス導入セル11及び排ガス排出セル12の長手方向に垂直方向の断面形状は、目封止部分を除き排ガス入口側の端面10aから排ガス出口側の端面10bにかけて、それぞれのセルにおいて同じである。
図2Bに示すように、ハニカム焼成体10では、排ガス導入セル11の断面形状、及び、排ガス排出セル12の断面形状は同じ形状の正方形であり、これらは、交互に市松模様上に配置されている。
ここで、ハニカムフィルタ20におけるセル隔壁13についてより詳しく説明する。
図3は、本発明のハニカムフィルタの長手方向に垂直な断面の一例を模式的に示す拡大図である。
図3に示すように、ハニカムフィルタ20は、第1セル31と、セル隔壁13を介して第1セル31と対面する第2セル32とを含む。
なお、本発明のハニカムフィルタでは、セル隔壁を介して対面するセルのうち、どちらを第1セルと考えてもよい。つまり、セル隔壁を介して対面するセルのうち、一方を第1セルと考えた場合、他方が第2セルである。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、排ガス導入セル11を第1セル31とし、排ガス排出セル12を第2セル32として説明する。
図3に示すように、セル隔壁13は、第1セル31の輪郭を構成する辺31aと、第2セル32の輪郭を構成する辺32aとが平行になるように形成されたセル隔壁の第1部分13aを有する。
セル隔壁の第1部分13aは、第1セル31から第2セル32に向かう第1方向(図3中、矢印Yで示す方向)と、第1方向Yに垂直な第2方向(図3中、矢印Xで示す方向)とを有する。
なお、図3において、セル隔壁の第1部分13aは、第1セル31と第2セル32との間にあるセル隔壁13全体であるが、本発明のハニカムフィルタにおいて、セル隔壁の第1部分は、第1セルの輪郭を構成する辺と、第2セルの輪郭を構成する辺とが平行になる領域であって、第2方向の幅が400μm以上の任意の部分を意味する。
ハニカムフィルタ20では、ハニカムフィルタ20の長手方向に垂直な方向のセル隔壁の第1部分13aの断面写真において、セル隔壁の第1部分13aを、第1セル31側の表面から第1方向Yに向かって0.5μm毎に階層化し、各階層において、第2方向Xに連続する気孔部を1つの気孔とし、1つの気孔の合計数を各階層の気孔数とし、第2方向Xのセル隔壁の第1部分13aの距離とセル隔壁の第1部分13aの気孔率との積を、セル隔壁の第1部分13aの平均気孔径で除した値を平均気孔数とし、第1セル31側の表面から順に、各階層の気孔数と平均気孔数とを比較し各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層を決定した際に、第1セル31側の前記セル隔壁の第1部分13aの表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が10μm以下である。
ハニカムフィルタ20において、「気孔率」、「平均気孔径」及び「各階層の気孔数」は、ハニカムフィルタ20の長手方向に垂直な方向のセル隔壁の第1部分13aの断面写真に基づいて算出する。
当該断面写真は、電子顕微鏡写真を用いて行うことが好ましい。電子顕微鏡写真の撮影は、例えば、電子顕微鏡(FE-SEM:日立ハイテクノロジーズ社製 高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800)にて行うことができる。
また、電子顕微鏡写真の拡大倍率は、セルを構成するセル隔壁の表面(内壁)の粒子や気孔の凹凸が、セルの断面形状の特定や、辺の長さ、隔壁厚さ及びセルの断面積の計測に支障にならない程度の倍率であり、かつセルの断面形状の特定や、辺の長さ、セル隔壁の厚さ及びセルの断面積の計測が可能となる倍率を採用することが必要であり、拡大倍率200倍の電子顕微鏡写真を用いて計測することが最適である。
電子顕微鏡により当該断面写真を撮影する際には、セルの長手方向に垂直にフィルタを切断し、その切断面が入るように、1cm×1cm×1cmのサンプルを準備し、サンプルを超音波洗浄するか、もしくは樹脂で包埋して、電子顕微鏡写真を撮影する。樹脂による包埋を行っても計測には影響を与えない。
セル隔壁の第1部分13aの「気孔率」、及び、「平均気孔径」は画像解析処理ソフト「image J」を用いて算出することができる。なお、本明細書において「セル隔壁の第1部分の気孔率」とは、セル隔壁の第1部分の断面写真において、セル隔壁の第1部分に存在している気孔の割合を意味する。また、本明細書において、「セル隔壁の第1部分の平均気孔径」とは、セル隔壁の第1部分の断面写真において、セル隔壁の第1部分の各階層に存在している気孔の気孔径の平均値を意味する。
また、本明細書において、「平均気孔数」とは、断面写真における第2方向のセル隔壁の第1部分の距離とセル隔壁の第1部分13aの気孔率との積を、セル隔壁の第1部分13aの平均気孔径で除した値を意味する。
次に、「各階層の気孔数の算出方法」について、図面を用いて詳述する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分の階層化の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、セル隔壁の第1部分13aには多数の気孔40が存在している。
各階層の気孔数を算出する場合、まず、図4に示すように、セル隔壁の第1部分13aの断面写真において、セル隔壁の第1部分13aを、第1セル31側の表面から第1方向Yに向かって0.5μm毎に階層化する。
図4に示すように、第1セル31に最も近い階層が第1階層Lであり、その次の階層が第2階層Lであり、以下、順に階層が第n層Lまで続いていく。なお、各階層の第1方向Yの厚さTは、0.5μmである。
ここで、「各階層の気孔数の算出方法」について、第1階層L及び第2階層Lを例に挙げて説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの第1階層及び第2階層の一例を模式的に示す断面図である。
第1階層Lの気孔数を算出する場合、まず、第1階層Lにおける気孔部41と材料部51とを区分けする。区分けの方法としてはソフトウェアを用いた二値化等を採用することができる。
ソフトウェアとしては、画像解析処理ソフト「image J」を用いることができる。
次に、連続している気孔部41を一つの気孔(図5中、P1-1、P1-2、P1-3、P1-4・・・P1-kで示す部分)とする。この「1つの気孔」の合計数が第1階層Lの気孔数である。
第2階層Lの気孔数を算出する場合、まず、第2階層Lにおける気孔部41と材料部51とを区分けする。次に、連続している気孔部41を一つの気孔(図5中、P2-1、P2-2、P2-3、・・・P2-lで示す部分)とする。この「1つの気孔」の合計数が第2階層Lの気孔数である。
なお、図5に示すように、P1-2はP2-2と繋がっており、かつ、P1-3はP2-2とは繋がっている。つまり、セル隔壁13全体では、P1-2、P1-3及びP2-2は、一つながりの気孔であるが第1階層Lから第2階層Lにかけて分岐している形状である。
このような場合であっても、第1階層Lの気孔数を算出する際、P1-2及びP1-3は、別々の「一つの気孔」と考えて数を数える。
次に、第1セル31側の表面から順に、各階層の気孔数と平均気孔数の比較をする。つまり、第1階層Lから順に各階層の気孔数と平均気孔数の比較をする。
そして、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層と、第1セル31側のセル隔壁の第1部分13aの表面との間の距離を測定する。
この操作を、10箇所のセル隔壁の第1部分13aで行い、その平均距離が、そのハニカムフィルタにおける「第1セル側のセル隔壁の第1部分の表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離」である。
ハニカムフィルタ20では、第1セル31側のセル隔壁の第1部分13aの表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が10μm以下である。
なお、ハニカムフィルタ20では、第1セル31側のセル隔壁の第1部分13aの表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が3~9μmであることが好ましい。
ハニカムフィルタ20がこのような特徴を有するということは、セル隔壁13において、気孔径が小さい気孔が、セル隔壁13の表面近傍に形成されていることを意味する。
ここで、ハニカムフィルタ20を使用して排ガスを浄化する場合の効果を、従来のハニカムフィルタを使用して排ガスを浄化する場合と比較して説明する。
図6Aは、従来のハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の開始時の一例を模式的に示す断面図である。
図6Bは、従来のハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の初期の一例を模式的に示す断面図である。
図7Aは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の開始時の一例を模式的に示す断面図である。
図7Bは、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを使用した排ガス浄化の初期の一例を模式的に示す断面図である。
図6Aに示すように、従来のハニカムフィルタ520では、セル隔壁513の表面近傍には、気孔径が大きい気孔540が形成されている。そのため、排ガス浄化の開始時においてセル隔壁513に到達した排ガスGに含まれるPMは、セル隔壁513の表面近傍に位置する気孔540に侵入する。
そうすると、図6Bに示すように、ケーク層560が形成されるまでの時間が長くなり、粒子径が小さいPMを捕集しにくくなる。
一方、図7Aに示すように、ハニカムフィルタ20では、セル隔壁13の表面近傍には、気孔径が小さい気孔が形成されている。
そのため、図7Bに示すように、ケーク層60が、セル隔壁13の表面に速やかに形成される。従って、ハニカムフィルタ20では、粒子径が小さいPMの捕集効率が高い。
ハニカムフィルタ20では、平均気孔数が、セル隔壁の第1部分13aの第2方向Xの長さ1mmあたりに10~30個であることが好ましく、12~28個であることがより好ましい。
このような平均気孔数であると、排ガス中のPMを捕集しやすく、また、圧力損失も小さくなる。
ハニカムフィルタ20では、セル隔壁の第1部分13aにおいて気孔率が35~55%であることが好ましく、38~50%であることがより好ましい。
気孔率をこのように設定することにより、セル隔壁13は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁13に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。
セル隔壁の気孔率が35%未満である場合、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
セル隔壁の気孔率が55%を超える場合、PMの捕集効率が低下することがある。
ハニカムフィルタ20では、セル隔壁の第1部分13aにおいて、気孔の平均気孔径が10~35μmであることが好ましく、12~30μmであることがより好ましい。
平均気孔径が上記範囲であると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
平均気孔径が10μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
平均気孔径が35μmを超えると、気孔が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
ハニカムフィルタ20では、第1方向Yにおけるセル隔壁13の厚さが、0.1~0.46mmであることが好ましい。
このような厚さのセル隔壁は、充分な機械的強度を有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
ハニカムフィルタ20では、ハニカム焼成体10の断面におけるセルの単位面積あたりの数は、31~93個/cm(200~600個/inch)であることが好ましい。
次に、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法について説明する。
(1)炭化ケイ素粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、平均粒子径が18~35μmの炭化ケイ素粗粉末及び平均粒子径が0.1~2.0μmの炭化ケイ素微粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
この際、炭化ケイ素粗粉末として、平均粒子径が、18~35μmのものを用いることが好ましく、20~30μmのものを用いることがより好ましい。
このような大きさの炭化ケイ素粗粉末を用いることにより、後の工程を経て作製されるハニカム焼成体において、セル隔壁の第1部分を第1セル側の表面から第1方向に向かって0.5μm毎に階層化した際に、第1セル側のセル隔壁の第1部分の表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離を10μm以下にすることができる。
上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらの中では、アルミナバルーンが好ましい。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、図2Bに示すセル構造(セルの形状及びセルの配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
(2)ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封止する目封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
(3)ハニカム成形体を脱脂炉中、300~650℃に加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム成形体を焼成炉に搬送し、1900~2200℃に加熱する焼成工程を行う。このような焼成温度で焼成することにより、後の工程を経て作製されるハニカム焼成体において、セル隔壁の第1部分を第1セル側の表面から第1方向に向かって0.5μm毎に階層化した際に、第1セル側のセル隔壁の第1部分の表面から、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離を10μm以下にすることができる。
このように焼成を行うことで、図2A及び図2Bに示したようなハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、目封止材となる。
また、切断工程、乾燥工程、目封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(4)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
上記接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が好ましい。
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ-アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが好ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
(5)次に、ハニカム集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカムフィルタを作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(6)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
(7)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のハニカムフィルタとすることができる。
以上の工程によって、ハニカム焼成体を含む本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタを作製することができる。
上記工程では、切削工程を行うことにより所定形状のハニカムフィルタを作製していたが、ハニカム焼成体を作製する工程において、外周全体に外周壁を有する複数形状のハニカム焼成体を作製し、それら複数形状のハニカム焼成体を接着材層を介して組み合わせることにより円柱等の所定形状となるようにしてもよい。この場合には、切削工程を省略することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
本発明の第2実施形態に係るハニカムフィルタは、セルの配置位置が異なる以外は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタと同じ態様である。
図8は、本発明の第2実施形態に係るハニカムフィルタの排ガス入口側の端面の一例を模式的に示す端面の拡大図である。
図8に示すハニカムフィルタ120では、排ガス導入セル111の断面形状及び排ガス排出セル112の断面形状は同じ形状の正方形である。また、排ガス排出セル112の周囲を、セル隔壁113を介して排ガス導入セル111が囲むように、排ガス導入セル111及び排ガス排出セル112が格子状に配列されている。
つまり、ハニカムフィルタ120では、排ガス導入セル111同士(便宜上、符号111a及び111bで示す)が隣接している部分がある。
ハニカムフィルタ120では、排ガス導入セル111aを第1セルとし、排ガス導入セル111bを第2セルとしてもよい。
また、ハニカムフィルタ120では、排ガス導入セル111aを第1セルとし、排ガス導入セル111aに隣接する排ガス排出セル112を第2セルとしてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
本発明の第3実施形態に係るハニカムフィルタは、セルの形状及び配置位置が異なる以外は、本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタと同じ態様である。
図9は、本発明の第3実施形態に係るハニカムフィルタの排ガス入口側の端面の一例を模式的に示す端面の拡大図である。
図9に示すハニカムフィルタ220では、断面が八角形状の排ガス排出セル212の周囲全体に、セル隔壁213を隔てて断面が正方形の第1排ガス導入セル211aと断面が八角形状の第2排ガス導入セル211bとが隣接している。第1排ガス導入セル211aと第2排ガス導入セル211bとは、排ガス排出セル212の周囲に交互に配置されており、第2排ガス導入セル211bの断面積が第1排ガス導入セル211aの断面積より大きく、排ガス排出セル212の断面積は、第2排ガス導入セル211bの断面積と同じである。
第2排ガス導入セル211bと排ガス排出セル212の断面形状は、いずれも八角形であり、互いに合同である。
ハニカムフィルタ220では、第1排ガス導入セル211a、第2排ガス導入セル211b及び排ガス排出セル212のいずれを第1セルとしてもよい。この場合、第1セルと隣接するいずれかのセルが第2セルとなる。
(その他の実施形態)
本発明の第1実施形態に係るハニカムフィルタでは、複数のハニカム焼成体が集合して形成された、いわゆる集合型のハニカムフィルタであったが、本発明のハニカムフィルタは、1つのハニカム焼成体からなる、いわゆる一体型ハニカムフィルタであってもよい。
(実施例1)
平均粒子径24μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.6重量部及び平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.4重量部とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.4重量部、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.6重量部、グリセリン1.2重量部、及び、水13.8重量部を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2A及び図2Bに示したハニカム焼成体10と同様の形状であって、セルの目封止をしていない生のハニカム成形体を作製した。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの目封止を行った。
具体的には、排ガス入口側の端面及び排ガス出口側の端面が図2Bに示す位置で目封止されるようにセルの目封止を行った。
なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの目封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
続いて、セルの目封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2150℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、実施例1に係るハニカム焼成体を作製した。
実施例1において、ハニカム焼成体のセル隔壁の厚さは、0.40mmであり、セル密度は31セル/cm(200cpsi)であった。また、ハニカム焼成体のサイズは34.3×34.3×254mmであった。
出来上がったハニカム焼成体を、SiC粒子、シリカゾル、アルミナファイバの混合物からなる接着材ペーストを用いて複数個結束させ、外周を加工し、外周に接着材ペーストと同じ材料からなるコート層を設けて、φ118.4mm×254mmの円柱状のハニカムフィルタを作製した。
(実施例2)
製造するハニカムフィルタの大きさをφ143.8mm×203.2mmの円柱状とした以外は、実施例1と同様に実施例2に係るハニカムフィルタを作製した。
(比較例1)
ハニカム焼成体の材料として、炭化ケイ素の粗粉末として平均粒子径が15μmであるものを用い、焼成温度を2250℃とし、製造するハニカムフィルタの大きさをφ143.8mm×177.8mmの円柱状とした以外は、実施例1と同様に比較例1に係るハニカムフィルタを作製した。
(各階層の気孔数の測定)
各実施例及び比較例に係るハニカム焼成体を長手方向に垂直な方向に切断し、断面をSEMにより撮影した。
次に、当該SEM画像において、第1セルの輪郭を構成する辺と、第2セルの輪郭を構成する辺とが平行になる部分のセル隔壁の第1部分を選択した。なお、当該SEM画像において、第1セルから第2セルに向かう方向が第1方向である。SEM画像におけるセル隔壁の第1部分の第2方向の幅は、640μmであった。
次に、セル隔壁の第1部分を画像解析処理ソフト「image J」を用いて二値化し、気孔部と材料部とを区分けした。
次に、セル隔壁の第1部分を、第1セル側の表面から第1方向に向かって0.5μm毎に階層化した。そして、気孔率、平均気孔径及び各階層の気孔数を測定し、平均気孔数を算出した。
その後、「各階層の気孔数」と「平均気孔数」とを比較し、各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層を決定し、第1セル側のセル隔壁の第1部分の表面から各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層を算出した。
この操作を、10箇所のセル隔壁の第1部分で行い、その平均距離を算出した。
結果を表1に示す。
また、上記測定に用いた、実施例1及び比較例1に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分のSEM画像の内一枚ずつを、代表例として、図10A及び図10Bに示す。
図10Aは、実施例1に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分のSEM画像である。
図10Bは、比較例1に係るハニカムフィルタのセル隔壁の第1部分のSEM画像である。
なお、図10A及び図10Bでは、SEM画像の左に「各階層の気孔数」のグラフも示している。
Figure 2023150220000002
(PM堆積試験)
各実施例及び比較例に係るハニカムフィルタをハニカムフィルタの前段に酸化触媒を配置して排気量2.5Lのディーゼルエンジンに接続し、ディーゼルエンジンをWHTCモード(cold)で運転し、ハニカムフィルタに堆積したPMの量(ハニカムフィルタの容積当たりのPMの蓄積量:g/L)、及び、ハニカムフィルタを通過したPMの数(ディーゼルエンジンの仕事量当たりのPM排出数:個/kWh)を測定した。
ハニカムフィルタに堆積したPMの量と、ハニカムフィルタを通過したPMの数との関係を図11に示す。
図11は、PM堆積試験の結果を示すグラフである。
図11に示すように、実施例1及び実施例2に係るハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタに堆積したPMの量が小さいにも関わらず、ハニカムフィルタを通過したPMの数が少なかった。これは、ハニカムフィルタのセル隔壁の表面に速やかにケーク層が形成され、PMがハニカムフィルタを通過する数が少なくなったためと考えられる。
10、510 ハニカム焼成体
10a、510a 排ガス入口側の端面
10b、510b 排ガス出口側の端面
11、111(111a、111b)、511 排ガス導入セル
12、112、212、512 排ガス排出セル
13、113、213、513 セル隔壁
13a セル隔壁の第1部分
15 接着剤層
16 外周コート層
18 セラミックブロック
20、120、220、520 ハニカムフィルタ
31 第1セル
31a 第1セルの輪郭を構成する辺
32 第2セル
32a 第2セルの輪郭を構成する辺
40、540 気孔
41 気孔部
51 材料部
60、560 ケーク層
211a 第1排ガス導入セル
211b 第2排ガス導入セル

Claims (7)

  1. 排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端面が開口され且つ排ガス出口側の端面が封じられている排ガス導入セルと、排ガス出口側の端面が開口され且つ排ガス入口側の端面が封じられている排ガス排出セルとを備えたハニカムフィルタであって、
    前記ハニカムフィルタは炭化ケイ素からなり、
    前記ハニカムフィルタの長手方向に垂直な断面において、
    前記複数のセルは、第1セルと、前記セル隔壁を介して前記第1セルと対面する第2セルとを含み、
    前記セル隔壁は、前記第1セルの輪郭を構成する辺と、前記第2セルの輪郭を構成する辺とが平行になるように形成されたセル隔壁の第1部分を有し、
    前記セル隔壁の第1部分は、前記第1セルから前記第2セルに向かう第1方向と、前記第1方向に垂直な第2方向とを有し、
    前記ハニカムフィルタの長手方向に垂直な方向の前記セル隔壁の第1部分の断面写真において、前記セル隔壁の第1部分を、前記第1セル側の表面から前記第1方向に向かって0.5μm毎に階層化し、前記各階層において、前記第2方向に連続する気孔部を1つの気孔とし、前記1つの気孔の合計数を各階層の気孔数とし、
    前記第2方向の前記セル隔壁の第1部分の距離と前記セル隔壁の第1部分の気孔率との積を、前記セル隔壁の第1部分の平均気孔径で除した値を平均気孔数とし、
    前記第1セル側の表面から順に、前記各階層の気孔数と前記平均気孔数とを比較し前記各階層の気孔数が初めて前記平均気孔数を超える階層を決定した際に、
    前記第1セル側の前記セル隔壁の第1部分の表面から、前記各階層の気孔数が初めて平均気孔数を超える階層までの距離が10μm以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。
  2. 前記平均気孔数が、前記セル隔壁の第1部分の前記第2方向の長さ1mmあたりに10~30個である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
  3. 前記気孔率が35~55%である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
  4. 前記平均気孔径が10~35μmである請求項1~3のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  5. 前記第1方向における前記セル隔壁の厚さが、0.1~0.46mmである請求項1~4のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  6. 前記ハニカムフィルタは、
    外周に外周壁を有する複数のハニカム焼成体が接着材層を介して接着されることにより形成されている請求項1~5のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  7. 外周には、外周コート層が形成されている請求項1~6のいずれかに記載のハニカムフィルタ。

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