JP2023140965A - 化合物、組成物、インク、及びトナー - Google Patents

化合物、組成物、インク、及びトナー Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた化合物を提供する。また、上記化合物を含む、組成物、インク、及びトナーを提供する。更に、上記化合物の中間体を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される化合物。JPEG2023140965000025.jpg2949【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、組成物、インク、及びトナーに関する。
従来より、油溶性黒色染料として、C.I.(カラーインデックス)ソルベントブラック3(以下「ソルベントブラック3」と略記する。)が知られている。
ソルベントブラック3は、油溶性の黒色ジスアゾ化合物であり、インクジェットインク、トナー、オイル着色、筆記用具、並びに、樹脂及び皮革に対する着色剤等の様々な分野において使用されている。
例えば、特許文献1では、油溶性黒色染料として使用でき、且つ、ソルベントブラック3よりも熱に対する安全性に優れる、下記一般式(1)で表される化合物を開示している。
国際公開第2020/067063号公報
本発明者らは、特許文献1に記載された化合物について検討したところ、耐熱性について、更なる改善の余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、耐熱性に優れた化合物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記化合物を含む、組成物、インク、及びトナーを提供することも課題とする。
更に、本発明は、上記化合物の中間体を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕 後述する式(1)で表される化合物。
〔2〕 上記式(1)中、R~R13が水素原子である、〔1〕に記載の化合物。
〔3〕 上記式(1a)中、R~Rのうち少なくとも1つ以上が、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、又は-NOを表し、
上記RX1及び上記RX2は、各々独立に、アルキル基を表し、
上記RX3は、アルキル基又はアリール基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の化合物。
〔4〕 上記式(1)中、R及びRのうち、少なくとも1つが、上記式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表すか、又は、RとRとが互いに結合して環を形成し、且つ、上記環が、上記X (Y)で表される部分構造を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の化合物。
〔5〕 上記Yで表されるアニオン性の対イオンが、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、フタルイミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、トシル酸イオン、及びメシル酸イオンからなる群から選ばれる1種である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化合物。
〔6〕 上記Yで表されるアニオン性の対イオンが、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、及びトシル酸イオンからなる群から選ばれる1種である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の化合物。
〔7〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化合物と、溶媒と、を含む、組成物。
〔8〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化合物を含む、インク。
〔9〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化合物を含む、トナー。
〔10〕 後述する式(2)で表される化合物。
本発明によれば、耐熱性に優れた化合物を提供できる。
また、本発明によれば、上記化合物を含む、組成物、インク、及びトナーを提供できる。
更に、本発明によれば、上記化合物の中間体を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書中において、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において表記される二価の基の結合方向は特に制限されず、例えば、X-L-Y中のLが-COO-である場合、X側に結合している位置を*1、Y側に結合している位置を*2とすると、Lは*1-O-CO-*2であってもよく、*1-CO-O-*2であってもよい。
[式(1)で表される化合物]
本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
上記式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、RとRとは、互いに結合して環を形成していてもよい。2つのXのうち、一方は、水素原子を表し、他方は、下記式(1a)で表される基を表す。
上記式(1a)中、R~R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、R~R13のうち、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。*は、結合位置を表す。
但し、上記式(1)で表される化合物は、要件1~3の少なくとも1つを満たす。
要件1:R~R13の少なくとも1つが、下記式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表す。
式(1b): *-X
上記式(1b)中、X は、カチオン性基を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。*は、結合位置を表す。
要件2:RとRとが互いに結合して環を形成し、且つ、上記環が、X (Y)で表される部分構造を含む。X は、上記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。
要件3:R~R13のうち、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成し、且つ、上記環が、X (Y)で表される部分構造を含む。X は、上記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。
上記構成の本発明の化合物は、耐熱性に優れる。
本発明の化合物が所望の効果を奏する作用機序の詳細は明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の化合物は、分子内にカチオン性構造部位が導入されており、通常、このカチオン性構造部位は、対アニオンとともに塩構造を形成している。本発明の化合物は、上記塩構造によって化合物同士の分子間相互作用が強く、熱によるアゾ結合の開裂による分解が生じにくいと考えられる。すなわち、この結果として、本発明の化合物は耐熱性に優れると推測される。
以下、本発明の化合物について詳述する。
なお、以下において、本発明の化合物の耐熱性がより優れることを「本発明の効果がより優れる」ということもある。
以下においては、まず、要件1にて規定する式(1b)で表される部分構造を含む置換基について説明する。
上記式(1b)において、X で表されるカチオン性基としては、例えば、下記式(N1)で表される基、下記式(P1)で表される基、下記式(CyN1)で表される基、及び、及び下記式(CyN2)で表される基等が挙げられる。
式(N1): *-N(R
式(P1): *-P(R
式(N1)及び式(P1)中、R及びRとしては、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
及びRで表される置換基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基及びアリール基が挙げられる。
上記アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。上記アルキル基の炭素数としては、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい。上記アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基及びシアノ基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基が好ましい。上記アリール基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~6)、ヒドロキシル基、及びシアノ基等が挙げられる。
及びRとしては、なかでも、水素原子、又は、炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(N1)及び式(P1)中、*は、結合位置を表す。
式(CyN1)中、Ra1及びRa2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。Wa1は、式中に明示される1個のカチオン性窒素原子を少なくとも含む脂環を表す。上記脂環は、Ra1及びRa2以外の置換基を更に有していてもよい。*は、結合位置を表す。
式(CyN2)中、Rb1は、水素原子又は置換基を表す。Wb1は、式中に明示される1個のカチオン性窒素原子を少なくとも含む芳香環を表す。上記芳香環は、Rb1以外の置換基を更に有していてもよい。*は、結合位置を表す。
式(CyN1)及び式(CyN2)中、Ra1、Ra2、及びRb1で表される置換基としては、上述の式(N1)及び式(P1)中のR及びRで表される置換基と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
式(CyN1)において、Wa1は、式(CyN1)中に明示される1個のカチオン性窒素原子を少なくとも含む脂環を表す。
上記脂環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。なお、上記脂環は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
上記脂環を構成する原子(環員原子)としては、式(CyN1)中に明示されるカチオン性窒素原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい式(CyN1)中に明示されるカチオン性窒素原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。
上記脂環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、上記脂環の環員原子としては、式(CyN1)中に明示されるカチオン性窒素原子及び炭素原子のみであるのが好ましい。
上記脂環は、Ra1及びRa2以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、上記脂環は、Ra1及びRa2以外の置換基を有さないのも好ましい。
*で表される結合位置は、上記脂環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN1)の具体的な一例としては、例えば、下記式(CyN1-1)で表される基が挙げられる。
式(CyN1-1)中、Ra1及びRa2は、式(CyN1)中のRa1及びRa2と各々同義であり、好適態様も同じである。
a3は、置換基を表す。置換基としては、脂環が有していてもよいRa1及びRa2以外の置換基として上段部にて説明した置換基が挙げられる。
mは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
nは、0~3の整数を表し、0が好ましい。
*は、結合位置を表す。
なお、*で表される結合位置は、上記脂環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN2)中、Wb1は、式中に明示される1個のカチオン性窒素原子を少なくとも含む芳香環を表す。
上記芳香環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。なお、芳香環は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
上記芳香環は、式(CyN2)中に明示されるカチオン性窒素原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい式(CyN2)中に明示されるカチオン性窒素原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。
上記芳香環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、上記芳香環の環員原子としては、式(CyN2)中に明示されるカチオン性窒素原子及び炭素原子のみであるのが好ましい。
上記芳香環は、Rb1以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、上記芳香環は、Rb1以外の置換基を有さないのも好ましい。
*で表される結合位置は、上記芳香環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN2)の具体的な一例としては、例えば、下記式(CyN2-1)で表される基が挙げられる。
式(CyN2-1)中、Rb1は、式(CyN2)中のRb1と同義であり、好適態様も同じである。
b2は、置換基を表す。置換基としては、芳香環基が有していてもよいRb2以外の置換基として上段部にて説明した置換基が挙げられる。
pは、0~4の整数を表し、0~2の整数が好ましく、0がより好ましい。
*は、結合位置を表す。
なお、*で表される結合位置は、上記芳香環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
上記式(1b)において、Yで表されるアニオン性の対イオンとしては特に制限されないが、例えば、スルホンイミドイオン、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、ハロゲン化物イオン、アリールスルホン酸のアニオン、サッカリンイオン、フタルイミドイオン、及びメシル酸イオン等が挙げられる。
スルホンイミドイオンとは、Rf-SO-N-SO-Rfで表されるイオンである。Rfは、炭素数1~8(好ましくは1~6)のパーフルオロアルキルを表す。
過ハロゲン化ルイス酸のアニオンとしては、例えば、PF 、SbF 、BF 、AsF 、及びFeCl 等が挙げられる。
ハロゲン化物イオンとしては、例えば、Cl、Br、及びI等が挙げられる。
アリールスルホン酸のアニオンとしては、p-CHSO 、及び、PhSO 等が挙げられる。
フタルイミドイオンとしては、フタルイミドイオン中のベンゼン環が更に置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されず、アルキル基等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、Yで表されるアニオン性の対イオンとしては、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、フタルイミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、トシル酸イオン、及びメシル酸イオンからなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、及びトシル酸イオンからなる群から選ばれる1種であるのがより好ましい。
上記要件1における式(1b)で表される部分構造を含む置換基の一例としては、例えば、下記式(T1)で表される置換基が挙げられる。
式(T1): *-LT1-X
式(T1)中、X 及びYは、各々、式(1b)中のX 及びYと同義であり、好適態様も同じである。
T1は、単結合又は2価の連結基を表す。
T1で表される2価の連結基としては特に制限されないが、例えば、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NR-、アルキレン基(直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。炭素数1~15が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、アルケニレン基(炭素数2~6が好ましい。)、2価の脂肪族複素環基(少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、2価のアリーレン基(6~10員環が好ましく、6員環がより好ましい。)、2価のヘテロアリーレン基(少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
上記Rは、水素原子又は1価の有機基が挙げられる。1価の有機基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~6)が好ましい。
また、上記アルキレン基、上記アルケニレン基、上記2価の脂肪族複素環基、2価のアリーレン基、及び2価のヘテロアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
T1としては、なかでも、単結合が好ましい。
次に、式(1)について詳述する。
式(1)中、R及びRで表される置換基としては特に制限されないが、例えば、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基及びアルキル基等が挙げられる。
及びRで表されるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよい。
及びRで表される直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基の炭素数としては、例えば、1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~5が更に好ましい。
また、R及びRで表される環状のアルキル基としては、単環及び多環のいずれであってもよい。また、炭素数としては、5~12が好ましく、5又は6がより好ましく、6が更に好ましい。
及びRで表されるアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、カルバモイル基、アリール基(好ましくは炭素数6~10のアリール基、より好ましくはフェニル基)、及び、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基等が挙げられる。
及びRで表されるアルキル基としては、例えば、-CH、-C、-(CHCH、-CH(CH、-(CHCH、-CHCH(CH、-CH(CH)CHCH、-C(CH、-(CHCH、-(CHCH(CH、-(CHCH、-(CHCH、-(CHCH、-(CH11CH、-CHOCOCH、-CHOCOCH(CH、-CHOCOCH(C)CHCHCHCH、-CHOCONHCH(CH、-CHOH、-CHCN、-CHCONH、-CHCONHPh、及び、-CHPh等(なお、Phはフェニル基を表す)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、RとRとは、互いに結合して環を形成していてもよい。
とRとが互いに結合して形成する環としては特に制限されず、脂環であっても芳香環であってもよいが、脂環であるのが好ましい。
また、RとRとが互いに結合して形成する環としては、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
とRとが互いに結合して形成する環は、X (Y)で表される部分構造を含んでいるのも好ましい。ここで、X は、上記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表し、Yは、アニオン性の対イオンを表す。
で表されるカチオン性原子としては、例えば、カチオン性窒素原子(N)及びカチオン性リン原子(P)等が挙げられ、カチオン性窒素原子(N)が好ましい。
とRとが互いに結合して形成する環において、カチオン性窒素原子(N)は、*-N(R)(R)-*、及び、*-N(R)=*のいずれかの形態となっているのが好ましく、カチオン性リン原子(P)は、*-P(R-*、及び、*-P(R)=*の形態となっているのが好ましい。上記R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。上記R、R、R、R、及びRで表される置換基としては、上述した式(N1)及び式(P1)中のR及びRで表される置換基と同様のものが挙げられる。*は、結合位置を表す。なお、*-P(R-*において、2つのRは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
で表されるアニオン性の対イオンとしては、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基が有するYで表されるアニオン性の対イオンと同様のものが挙げられる。
とRとが互いに結合して形成する環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。
なお、RとRとが互いに結合して形成する環がX (Y)で表される部分構造を含む場合、上記環員原子のうち少なくとも1つは、上述のX で表されるカチオン性原子が該当する。
とRとが互いに結合して形成する環の環員原子としては、上記環がX (Y)で表される部分構造を含む場合、上述のX で表されるカチオン性原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい上述のX で表されるカチオン性原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。RとRとが互いに結合して形成する環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
また、RとRとが互いに結合して形成する環は、カチオン性原子が有し得る置換基(例えば、上記R、R、R、R、及びR)以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
とRとが互いに結合して形成する環の環員原子としては、上記環がX (Y)で表される部分構造を含まない場合、特に制限されないが、例えば、炭素原子のみ、又は、炭素原子及びヘテロ原子により構成され得る。ヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。また、環中のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。
また、上記環は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、RとRとが互いに結合して環を形成する場合、式(1)で表される化合物としては、下記式(1A)で表される化合物であるのが好ましい。
式(1A)中、Xは、式(1)中のXと同義である。
上記R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。上記R及びRで表される置換基としては、上述した式(N1)及び式(P1)中のR及びRで表される置換基と同様のものが挙げられる。
上記Ry1は、置換基を表す。置換基としては、式(CyN1-1)中のRa3で表される置換基と同義であり、好適態様も同じである。
qは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
sは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
rは、0~3の整数を表し、0が好ましい。
式(1)中、2つのXのうち、一方は、水素原子を表し、他方は、上述の式(1a)で表される基を表す。
以下、式(1a)で表される基について詳述する。
式(1a)中、R~Rで表される置換基としては、例えば、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、及び-NOが挙げられる。
X1及びRX2は、各々独立に、アルキル基を表す。RX3は、アルキル基又はアリール基を表す。
X1、RX2、及びRX3表されるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよく、直鎖状又は分岐鎖状であるのが好ましい。
X1、RX2、及びRX3で表されるアルキル基の炭素数としては、1~11が好ましく、1~7がより好ましく、1~4が更に好ましい。
X3で表されるアリール基としては、炭素数6~11のアリール基であるのが好ましく、フェニル基であるのがより好ましい。
~Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
~Rで表される置換基としては、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、又は-NOが好ましく、塩素原子、臭素原子、-CN、-CO-O-RX1(Rx1は、炭素数1~11のアルキル基である)、-CO-RX3(Rx3は、炭素数1~11のアルキル基であるか、又は、炭素数6~11のアリール基である)、又は-NOがより好ましく、塩素原子、-CN、-CO-O-RX1(Rx1は、炭素数1~4のアルキル基である)、-CO-RX3(Rx3は、炭素数1~4のアルキル基である)、又は-NOが更に好ましく、塩素原子が最も好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、式(1a)中、R~Rの少なくとも1つが置換基を表すのが好ましく、なかでも、Rが置換基を表し、且つ、R~Rが水素原子を表すのがより好ましい。
式(1a)中、R~R13で表される置換基としては特に制限されず、例えば、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、式(1a)中、R~R13が水素原子を表すのが好ましい。
式(1a)中、R~R13のうち、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環としては特に制限されず、脂環であっても芳香環であってもよい。
また、R~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環としては、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよい。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環は、X (Y)で表される部分構造を含んでいるのも好ましい。ここで、X は、上記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表し、Yは、アニオン性の対イオンを表す。
で表されるカチオン性原子としては、例えば、カチオン性窒素原子(N)及びカチオン性リン原子(P)等が挙げられ、カチオン性窒素原子(N)が好ましい。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環において、カチオン性窒素原子(N)は、*-N(R)(R)-*、及び、*-N(R)=*のいずれかの形態となっているのが好ましく、カチオン性リン原子(P)は、*-P(R-*、及び、*-P(R)=*のいずれかの形態となっているのが好ましい。上記R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。上記R、R、R、R、及びRで表される置換基としては、上述した式(N1)及び式(P1)中のR及びRで表される置換基と同様のものが挙げられる。*は、結合位置を表す。なお、*-P(R-*において、2つのRは、各々、同一であっても異なっていてもよい。
で表されるアニオン性の対イオンとしては、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基が有するYで表されるアニオン性の対イオンと同様のものが挙げられる。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。
なお、R~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環がX (Y)で表される部分構造を含む場合、上記環員原子のうち少なくとも1つは、上述のX で表されるカチオン性原子が該当する。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環の環員原子としては、上記環がX (Y)で表される部分構造を含む場合、上述のX で表されるカチオン性原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい上述のX で表されるカチオン性原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。R~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
また、R~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環は、カチオン性原子が有し得る置換基(例えば、上記R、R、R、R、及びR)以外の置換基以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環の環員原子としては、上記環がX (Y)で表される部分構造を含まない場合、特に制限されないが、例えば、炭素原子のみ、又は、炭素原子及びヘテロ原子により構成され得る。ヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。また、環中のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。
また、上記環は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
~R13のうち隣接する2つの基が互いに結合して形成する環としては、例えば、ピリジニウム環等が挙げられる。
本発明の化合物は、上述の要件1~3のいずれかを満たす。本発明の効果がより優れる点で、なかでも、上記式(1)において、R及びRのうちの少なくとも1つが、上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表すか、又は、RとRとが互いに結合して環を形成し、且つ、上記環が上述のX (Y)で表される部分構造を含むのが好ましい。換言すると、本発明の化合物は、要件1を満たし、且つ、R及びRのうちの少なくとも1つが上述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表すか、又は、要件2を満たすのが好ましい。
また、本発明の化合物において、本発明の効果がより優れる点で、式(1)中に明示される2つのXのうち、式(1)中に明示されるNHに対してパラ位にあるXが式(1a)で表される基を表し、式(1)中に明示されるNHに対してオルト位にあるXが水素原子を表すのが好ましい。
以下、本発明の化合物の具体的な一例を示すが、これに制限されない。
本発明の化合物は、公知の方法に準じて合成できる。本発明の化合物の合成方法の一例としては、国際公開第2020/067063号公報に記載の方法に準じた工程1~工程4を含む以下の方法が挙げられる。なお、工程1~工程4で使用される試薬や溶媒については、国際公開第2020/067063号公報に記載の試薬や溶媒と同様のものを使用できる。
工程1:1、8-ジアミノナフタレンにケトン化合物を縮合して縮合物を得る工程
工程2:ジアゾ化剤を用いてo-置換アニリンをジアゾニウム塩とした後、1-ナフチルアミンとカップリングしてモノアゾ体を得る工程
工程3:工程2で得たモノアゾ体をジアゾ化剤を用いてジアゾニウム塩とした後、工程1で得られた縮合物とカップリングしてジスアゾ体を得る工程
工程4:アニオン性イオン(例えば、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリンイオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、及びトシル酸イオンからなる群から選ばれる1種のアニオン性イオン)を放出し得る塩(例えば、アルカリ金属塩及び有機塩等)を含む溶液(例えば、アセトン溶液)中に工程3で得られたジスアゾ体を添加し、ジスアゾ体中にイオン対の部位を導入して、本発明の化合物を得る工程。
なお、工程4は、アニオン性イオンを放出し得る塩を含む溶液中に工程3で得られたジスアゾ体を添加し、ジスアゾ体中にイオン対の部位を導入した後、上記手順により得られた化合物中の対アニオン種を塩交換によって他の対アニオン種に変換して、本発明の化合物を得る工程であってもよい。
上記工程3において、中間体として、後述する式(2)で表される化合物が形成され得る。換言すると、後述する式(2)で表される化合物は、本発明の化合物を得る上で中間体として形成され得る化合物に該当する。
以下、式(2)で表される化合物について詳述する。
[式(2)で表される化合物]
式(2)中、2つのXI1のうち、一方は、水素原子を表し、他方は、下記式(2a)で表される基を表す。RI1及びRI2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、RI1とRI2とは、互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RI1及びRI2のうちの少なくとも1つが、窒素原子を含む置換基であるか、又は、RI1とRI2とが互いに結合して窒素原子を含む環を形成する。
式(2a)中、RI3は、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、又は-NOを表す。RX1及びRX2は、各々独立に、アルキル基を表す。RX3は、アルキル基又はアリール基を表す。
式(2)中、RI1及びRI2で表される置換基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基、及び、窒素原子を含む置換基等が挙げられる。
I1及びRI2で表されるアルキル基としては、既述の式(1)中のR及びRで表される置換基として例示したアルキル基と同じものが挙げられ、好適態様も同じである。
I1及びRI2で表される窒素原子を含む置換基としては、例えば、下記式(NX)で表される基が挙げられる。
式(NX): *-LT2-R
式(NX)中、LT2は、単結合又は2価の連結基を表す。LT2で表される2価の連結基としては、既述の式(T1)中のLT1で表される2価の連結基と同じものが挙げられ、好適態様も同じである。
は、下記式(N2)で表される基、下記式(CyN3)で表される基、又は下記式(CyN4)で表される基を表す。
式(N2): *-N(R
式(N1)中、Rとしては、水素原子又は置換基を表す。2つのRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
で表される置換基としては、既述の式(1b)で表される部分構造を含む置換基の説明において挙げた式(N1)で表される基中のRと同じものが挙げられ、好適態様も同じである。
式(CyN3)中、Ra4は、水素原子又は置換基を表す。Wa2は、式中に明示される窒素原子を少なくとも含む脂環を表す。上記脂環は、Ra4以外の置換基を更に有していてもよい。*は、結合位置を表す。
式(CyN4)中、Wb2は、式中に明示される1個の窒素原子を少なくとも含む芳香環を表す。上記芳香環は、置換基を更に有していてもよい。*は、結合位置を表す。
式(CyN3)中、Ra4で表される置換基としては、上述の式(N2)中のRで表される置換基と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
式(CyN3)において、Wa2は、式(CyN3)中に明示される窒素原子を少なくとも含む脂環を表す。
上記脂環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。なお、上記脂環は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
上記脂環を構成する原子(環員原子)としては、式(CyN3)中に明示される窒素原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい式(CyN3)中に明示される窒素原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。
上記脂環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、上記脂環の環員原子としては、式(CyN3)中に明示される窒素原子及び炭素原子のみであるのが好ましい。
上記脂環は、Ra4以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、上記脂環は、Ra4以外の置換基を有さないのも好ましい。
*で表される結合位置は、上記脂環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN3)で表される基の具体的な一例としては、例えば、下記式(CyN3-1)で表される基が挙げられる。
式(CyN3-1)中、Ra4は、式(CyN3)中のRa4と同義である。
a5は、置換基を表す。置換基としては、脂環が有していてもよいRa4以外の置換基として上段部にて説明した置換基が挙げられる。
tは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
uは、0~3の整数を表し、0が好ましい。
*は、結合位置を表す。
なお、*で表される結合位置は、上記脂環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN4)中、Wb2は、式中に明示される窒素原子を少なくとも含む芳香環を表す。
上記芳香環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。なお、芳香環は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
上記芳香環は、式(CyN4)中に明示される窒素原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい式(CyN4)中に明示される窒素原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。
上記芳香環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、上記芳香環の環員原子としては、式(CyN4)中に明示される窒素原子及び炭素原子のみであるのが好ましい。
上記芳香環は、置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、上記芳香環は、置換基を有さないのも好ましい。
*で表される結合位置は、上記芳香環の環員原子が有する水素原子を1つ除いて形成される。
式(CyN4)で表される基としては、例えば、置換基を有していてもよい含窒素芳香環基が挙げられ、置換基を有していてもよいピリジン環基等が好ましい。
また、RI1とRI2とは、互いに結合して窒素原子を含む環を形成していてもよい。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環としては特に制限されず、脂環であっても芳香環であってもよいが、脂環であるのが好ましい。
また、RI1とRI2とが互いに結合して形成する環としては、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよいが、なかでも、単環構造であるのが好ましい。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環の窒素原子は、*-N(R)-*、及び、*-N=*のいずれかの形態となっているのが好ましい。上記Rは、水素原子又は置換基を表す。上記Rで表される置換基としては、上述した式(N1)中のRで表される置換基と同様のものが挙げられる。*は、結合位置を表す。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環の環員数は特に制限されないが、3~10が好ましく、5~8がより好ましく、5~6が更に好ましい。但し、上述のとおり、環員原子のうち少なくとも1つは、窒素原子である。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環の環員原子としては、窒素原子、炭素原子、及び、任意で含まれていてもよい上述の窒素原子以外のヘテロ原子(他のヘテロ原子)が挙げられる。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環が他のヘテロ原子を環員原子として有する場合、他のヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~2が好ましい。他のヘテロ原子としては、例えば、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、及びリン原子等が挙げられ、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
I1とRI2とが互いに結合して形成する環は、窒素原子が有し得る置換基(上記R)以外の置換基を更に有していてもよい。
置換基としては特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルキル基、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、アルキルアミノカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~8)、シアノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(好ましくは炭素数2~8)、アリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7~11、より好ましくは炭素数7)、アリール基(好ましくはフェニル基)等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、RI1とRI2とが互いに結合して環を形成する場合、式(2)で表される化合物としては、下記式(2A)で表される化合物であるのが好ましい。
式(2A)中、XI1は、式(2)中のXI1と同義である。
上記Rは、水素原子又は置換基を表す。上記Rで表される置換基としては、上述した式(N1)中のRで表される置換基と同様のものが挙げられる。
上記Ry2は、置換基を表す。置換基としては、式(CyN3-1)中のRa5で表される置換基と同義であり、好適態様も同じである。
vは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
wは、1~3の整数を表し、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
xは、0~3の整数を表し、0が好ましい。
式(2a)中のRI3で表されるハロゲン原子、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、及び-CO-RX3としては、既述の式(1a)中のR~Rで表されるハロゲン原子、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、及び-CO-RX3と同義であり、好適態様も同じである。
また、式(2)で表される化合物において、式(2)中に明示される2つのXI1のうち、式(2)中に明示されるNHに対してパラ位にあるXが式(2a)で表される基を表し、式(2)中に明示されるNHに対してオルト位にあるXが水素原子を表すのが好ましい。
[式(1)で表される化合物の用途]
本発明の化合物は、色素であり、種々の用途に適用できる。
本発明の化合物の用途としては、例えば、インク(例えば、インクジェットインク等)、トナー、並びに、樹脂及び皮革等に対する着色剤等が挙げられる。本発明の化合物は、これらの用途において、油溶性黒色染料として使用されるのが好ましい。
本発明の化合物は耐熱性に優れるため、なかでも、高温条件に晒される用途に適用されるのが好ましい。例えば、インクジェットインク用途では、サーマル方式とした場合に、瞬間的に高温の熱がかかる。また、トナー用途においては、色素と樹脂とを溶融混練してトナーを製造するため、色素には高い耐熱性が要求される。このため、インク(特に、インクジェットインク)及びトナーの用途において好適に用いられる。
また、本発明の化合物は、樹脂及び皮革等に対する着色剤としても使用できる。
本発明の化合物を着色剤として用いる場合、本発明の化合物と溶媒とを含む組成物としてもよいし、本発明の化合物と樹脂とを含む組成物(例えば、ペレット)としてもよい。
また、本発明の化合物は、上述の用途のほか、ソルベントブラック3が使用される公知の用途において、ソルベントブラック3の代替品として使用できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[カチオン性色素の合成]
〔色素前駆体1~3の合成〕
以下の手順に準じて、化合物1~6のカチオン性色素の前駆体を合成した。
なお、色素前駆体1及び色素前駆体2は、いずれも既述の式(2)で表される化合物に該当する。また、色素前駆体1は、カチオン性色素である後述の化合物1~5の中間体化合物に該当し、色素前駆体2は、カチオン性色素である後述の化合物6の中間体化合物に該当する。
<中間体(C)の合成>
2Lの三ツ口フラスコに、1,8-ナフタレンジアミン(合成図中の(A)、富士フイルム和光純薬(株)製)79.1g(500mmol)とエタノール500mLを加え、次いで、氷冷下で濃硫酸(富士フイルム和光純薬(株)製、試薬特級)7.9g(81mmol)を内温40℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。この懸濁液に、1-メチル-4-ピペリドン(合成図中の(B)、富士フイルムワコーケミカル(株)製)56.6g(500mmol)を注入した後、内温85℃で2時間反応させた。反応液を室温(25℃)まで冷却し、ここへ酢酸エチル500mL、及び、0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を324mLゆっくりと滴下した。室温で15分間攪拌した後に、水層を除去した。続いて、水300mLを加え、室温で15分間攪拌し、水層を除去した。さらに同じ操作を1回繰り返した。得られた有機層に硫酸ナトリウム50gを加え、室温で15分間静置した。硫酸ナトリウムを除去後、溶媒を留去し、茶褐色固体である中間体(合成図中の(C))を得た(収量122g、収率95%)。
<色素前駆体1、2の合成>
≪ジアゾニウム塩溶液の調製≫
500mlの三ツ口フラスコに、モノアゾ化合物の塩酸塩(合成図中の(D))を20.4g(64mmol)と、水74mLと、酢酸(富士フイルム和光純薬(製)、試薬特級)147mLとを加え、内温を5℃まで冷却した。ここへ注意深くリン酸85%水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製、試薬特級)14.8mL(213mmol)を内温10℃以下で滴下し、次いで、亜硝酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製、試薬特級)4.9g(71mmol)を水10mLに溶解させた水溶液を内温0~5℃に保ちながらゆっくりと滴下した。内温0~5℃で1時間反応させた後に、アミド硫酸(富士フイルム和光純薬(製))0.68g(7mmol)を注意深く添加し、15分間攪拌した。
≪色素前駆体の調製≫
別途、1Lの三ツ口フラスコに、先に調製した中間体(合成図中の(C))18.5g(71mmol)と、アセトン(富士フイルム和光純薬(株)製、試薬特級)210mLとを加え、内温を5℃に冷却した。次いで、内温を5~10℃に保ちながら、先に調製したジアゾニウム塩溶液をゆっくりと滴下した後に、内温0~10℃で30分間反応させ、次いで15~20℃で30分間反応させた。ここへアセトン580mLを滴下し、析出している結晶を吸引ろ過でろ取し、アセトンでかけ洗いを行った。得られたウエットケーキを酢酸エチル/メタノール溶媒系のカラム精製をすることで、深緑色光沢結晶の色素前駆体1(合成図中の(E))を得た(収量9.6g、収率27%)。また、同様の方法により、深緑色光沢結晶の色素前駆体2(合成図中の(F))を得た(収量3.2g、収率9%)。
色素前駆体1:
1H-NMR(DMSO-d6):1.83(brs、4H)、2.35(s、3H)、2.55(brs、4H)、6.70(d×2、2H)、6.83(s、1H)、7.42(t、1H)、7.58(m、2H)、7.78(d、1H)、7.82(m、2H)、7.96(d、1H)、8.05(d、3H)、8.15(d、1H)、8.21(d、1H)、9.04(d、1H)、9.09(d、1H)
色素前駆体2:
1H-NMR(DMSO-d6):1.95(brs、3H)、2.10-2.30(brs×2、4H)、2.38(brs、2H)、2.65(brs、2H)、6.70(d、1H)、7.00(d、1H)、7.08(d、1H)、7.25(s、1H)、7.40(t、1H)、7.60(m、2H)、7.78(d、1H)、7.82(m、3H)、7.98(d、1H)、8.05(m、2H)、8.92(d、1H)、9.04(d、1H)、9.80(brs、1H)
<色素前駆体3の合成>
上述の<中間体(C)の合成>において、N-メチル-4-ピペリドンを4-アセチルピリジンにした以外は同様にして、下記構造の色素前駆体3を合成した。
色素前駆体3:
1H-NMR(DMSO-d6):1.77(s、3H)、6.70(d、1H)、6.78(d、1H)、7.40(t、1H)、7.58(m、3H)7.60(t、1H)、7.78(d、1H)、7.82(m、2H)、7.90(s、1H)、7.95(d、1H)、7.98(t、2H)、8.10(d、1H)、8.18(d、1H)、8.50(d、2H)、8.90(s、1H)、9.04(d×2、2H)
〔カチオン性色素(化合物1~6)の合成〕
<化合物1の合成>
以下の手順に準じて、化合物1を合成した。
500ml三ツ口フラスコに25.0g(45.8mmol)の先に調製した色素前駆体1(合成図中の(E))とアセトン250mLとを加えた後、得られた溶液に、更にヨードエタン(富士フイルム和光純薬(製))10.7g(68.7mmol)を滴下した。その後、50℃に昇温して8時間反応させた。反応終了後、室温まで降温し、ろ過した。得られた固形物をアセトンでかけ洗いし、カチオン性色素である化合物1(合成図中の(G)。R=C、X=I)を得た(収量30.0g、収率93%)。
化合物1:
1H-NMR(DMSO-d6):1.30(t、3H)、2.20(brs、4H)、3.05(s、3H)、3.50(t、2H)、3.60(brs、4H)、6.80(d×2、2H)、6.94(brs、1H)、7.50(t、1H)、7.60(m、2H)、7.68(d、1H)、7.85(m、2H)、7.98(d、2H)、8.05(q、2H)、8.25(d、2H)、9.05(d、1H)、9.11(d、1H)
<化合物2の合成>
200ml三ツ口フラスコに10.0g(14.2mmol)の先に調製した化合物1と酢酸エチル50mLとを加えた後、得られた溶液に、更に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム(富士フイルム和光純薬(製))9.1g(28.2mmol)が溶解した水50mLを加えた。その後、室温で2時間攪拌した後、水層を除去した。次いで、水50mLを加えて5分間攪拌して、攪拌終了後に水層を除去した。さらに同じ操作を1回繰り返した。得られた有機層(酢酸エチル層)に硫酸ナトリウムを加え、15分間静置した。硫酸ナトリウムをろ過により除去した後、ロータリーエバポレーターによりろ液中の溶媒を除去し、深緑色光沢結晶の化合物2を得た(収量10.9g、収率90%)。
化合物2:
1H-NMR(DMSO-d6):1.30(t、3H)、2.20(brs、4H)、3.05(s、3H)、3.50(t、2H)、3.60(brs、4H)、6.80(d×2、2H)、6.94(brs、1H)、7.50(t、1H)、7.60(m、2H)、7.68(d、1H)、7.85(m、2H)、7.98(d、2H)、8.05(q、2H)、8.25(d、2H)、9.05(d、1H)、9.11(d、1H)
<化合物3の合成>
上述の<化合物2の合成>において、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムの代わりにヘキサフルオロリン酸カリウム(富士フイルム和光純薬(製))を用いた以外は同じ操作で化合物3を得た。
化合物3:
1H-NMR(DMSO-d6):1.30(t、3H)、2.20(brs、4H)、3.05(s、3H)、3.50(t、2H)、3.60(brs、4H)、6.80(d×2、2H)、6.94(brs、1H)、7.50(t、1H)、7.60(m、2H)、7.68(d、1H)、7.85(m、2H)、7.98(d、2H)、8.05(q、2H)、8.25(d、2H)、9.05(d、1H)、9.11(d、1H)
<化合物4の合成>
上述の<化合物1の合成>において、色素前駆体1のかわりに色素前駆体3を使用し、且つ、ヨードエタンのかわりにp-トルエンスルホン酸メチル(富士フイルム和光純薬(製))を用いた以外は同様の操作により、化合物4を得た。
化合物4:
1H-NMR(DMSO-d6):1.82(s、3H)、2.30(s、3H)、4.18(s、3H)、6.78(d、1H)、6.82(d、1H)、7.12(d、2H)、7.43(d、1H)7.48(d、2H)、7.60(m、2H)、7.78(d、1H)、7.82(m、2H)、7.98(d、2H)、8.00(s、1H)8.15(d、2H)、8.28(d、3H)、8.88(d、2H)、9.05(m、3H)
<化合物5の合成>
上述の<化合物2の合成>において、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムのかわりにサッカリンナトリウム2水和物(富士フイルム和光純薬(製))を用いた以外は同様の操作により、化合物5を得た。
化合物5:
1H-NMR(DMSO-d6):1.30(t、3H)、2.20(brs、4H)、3.05(s、3H)、3.50(t、2H)、3.60(brs、4H)、6.70(d×2、2H)、6.94(brs、1H)、7.50(t、1H)、7.53-70(m、6H)、7.75(d、1H)、7.85(m、2H)、7.98(d、2H)、8.05(q、2H)、8.25(d、2H)、9.05(d、1H)、9.11(d、1H)
<化合物6>
上述の<化合物1の合成>において、色素前駆体1のかわりに色素前駆体2を使用し、且つ、ヨードエタンのかわりにp-トルエンスルホン酸メチル(富士フイルム和光純薬(製))を用いた以外は同様の操作により、化合物6を得た。
化合物6:
1H-NMR(DMSO-d6):2.10(s、2H)、2.20(d、2H)、2.28(s、3H)、3.20(s×2、6H)、3.50(d、2H)、3.70(t、2H)、6.78(d、1H)、7.10(d×2、4H)、7.40(d、2H)、7.47(t、2H)、7.60(m、2H)、7.68(d、1H)、7.85(m、2H)、7.96(d×2、2H)、8.03(d、1H)、8.15(d、1H)、8.28(brs、1H)、9.03(t、2H)
以下、化合物1~6の構造を示す。
以下、比較用化合物(化合物R1及びR2)の構造を示す。
[評価結果]
〔熱に対する安定性(耐熱性)の評価〕
各化合物の熱に対する安定性を以下の手順により評価した。
各化合物の粉末10mgをテトラヒドロフラン500mLに溶解させ、吸収スペクトルを測定して、基準となる吸光度(A)を求めた。一方で、4cm四方のアルミカップに各化合物の粉末10mgを測り取り、オーブンに入れて200℃で5分間加熱した。加熱後の粉末全量を、テトラヒドロフラン500mLに溶解させ、吸収スペクトルを測定して加熱試験後の吸光度(A)を求めた。
次いで、以下の式によって各化合物の残存率を算出して、熱に対する安定性を評価した。結果を表に示す。
化合物の残存率(%)=A/A×100
各化合物の耐熱性を評価するにあたり、加熱前の吸光度(A)及び加熱後の吸光度(A)は、表1に記載の波長における値とした。
カチオン系色素である化合物1~6は、非カチオン系色素である比較化合物R1及びR2と比べると、加熱経時後の残存率が高く、耐熱性に優れていることが明らかである。
実施例1~6の対比から、式(1)中に明示される2つのXのうち、式(1)中に明示されるNHに対してパラ位にあるXが式(1a)で表される基を表し、式(1)中に明示されるNHに対してオルト位にあるXが水素原子を表す場合、本発明の効果がより優れることが確認された。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    前記式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、RとRとは、互いに結合して環を形成していてもよい。2つのXのうち、一方は、水素原子を表し、他方は、下記式(1a)で表される基を表す。
    前記式(1a)中、R~R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、R~R13のうち、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。*は、結合位置を表す。
    但し、前記式(1)で表される化合物は、要件1~3の少なくとも1つを満たす。
    要件1:R~R13の少なくとも1つが、下記式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表す。
    式(1b): *-X
    前記式(1b)中、X は、カチオン性基を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。*は、結合位置を表す。
    要件2:RとRとが互いに結合して環を形成し、且つ、前記環が、X (Y)で表される部分構造を含む。X は、前記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。
    要件3:R~R13のうち、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成し、且つ、前記環が、X (Y)で表される部分構造を含む。X は、前記環の環員原子を構成するカチオン性原子を表す。Yは、アニオン性の対イオンを表す。
  2. 前記式(1)中、R~R13が水素原子である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記式(1a)中、R~Rのうち少なくとも1つ以上が、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、又は-NOを表し、
    前記RX1及び前記RX2は、各々独立に、アルキル基を表し、
    前記RX3は、アルキル基又はアリール基を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 前記式(1)中、R及びRのうち、少なくとも1つが、前記式(1b)で表される部分構造を含む置換基を表すか、又は、RとRとが互いに結合して環を形成し、且つ、前記環が、前記X (Y)で表される部分構造を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記Yで表されるアニオン性の対イオンが、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、フタルイミドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、トシル酸イオン、及びメシル酸イオンからなる群から選ばれる1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 前記Yで表されるアニオン性の対イオンが、スルホンイミドイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヨウ化物イオン、サッカリンイオン、及びトシル酸イオンからなる群から選ばれる1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物と、溶媒と、を含む、組成物。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を含む、インク。
  9. 請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を含む、トナー。
  10. 下記式(2)で表される化合物。
    前記式(2)中、2つのXI1のうち、一方は、水素原子を表し、他方は、下記式(2a)で表される基を表す。RI1及びRI2は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。また、RI1とRI2とは、互いに結合して環を形成していてもよい。但し、RI1及びRI2のうちの少なくとも1つが、窒素原子を含む置換基であるか、又は、RI1とRI2とが互いに結合して窒素原子を含む環を形成する。
    式(2a)中、RI3は、ハロゲン原子、-CN、-CO-O-RX1、-O-CO-RX2、-CO-RX3、又は-NOを表す。RX1及びRX2は、各々独立に、アルキル基を表す。RX3は、アルキル基又はアリール基を表す。
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