JP2023140793A - 処理液とインクのセット、記録方法、及び、記録装置 - Google Patents

処理液とインクのセット、記録方法、及び、記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた画質と画像密着性が得られる、処理液とインクのセットの提供。【解決手段】樹脂(A)を含有する処理液と、樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクとからなり、有機溶剤(C)は20℃の蒸気圧が0.5mmHg以下であり、有機溶剤(C)に、樹脂(A)の樹脂片を浸漬した時の樹脂片の膨潤平衡値Q0は450%以上であり、樹脂(B)の樹脂片を浸漬した時の樹脂片の膨潤平衡値Q0は450%以上である、処理液とインクのセット。但し、浸漬時間をX軸とし、[Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2]で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。Wa:乾燥した樹脂片の質量(g)、Wb:膨潤した樹脂片の質量(g)、ρ1:乾燥した樹脂片の密度(g/cm3)、ρ2:有機溶剤(C)の密度(g/cm3)【選択図】なし

Description

本発明は、処理液とインクのセット、記録方法、及び、記録装置に関する。
記録媒体に記録(印刷)を行う方法としては、例えば、記録媒体に処理液を付与し、続いて該処理液と反応性を有するインクを処理液の付与部に重ねて付与することにより、インクを布地に定着させる記録方法が行われている。
このような処理液及びインクを用いた記録方法では、濃色に着色された記録媒体に記録を行う場合に、白インク層の隠蔽性が十分ではなく、記録媒体の色に影響を受けて白インク層、及び白インク層に重ねて記録を行うカラーインク層の発色が狙いの発色から外れてしまう。即ち、白インク層の色相が下の記録媒体の色によりばらつき、記録媒体の色が暗色であれば明度が低下し、彩度がくすんでしまうという問題がある。
上記問題点を解決するため、例えば、特許文献1では樹脂粒子を含有する処理液と樹脂粒子及び有機溶剤を含有するインクとを用いるインクセットにおいて、処理液に含まれる樹脂として、樹脂の水に対する膨潤率Aが100%以上500%以下の膨潤率を示す樹脂を用いたインクセットが提案されている。
特許文献1によれば膨潤率Aは、下記式(1)によって表される。
膨潤率A(%)={(w2-w0)/(w1-w0)}×100 ・・・(1)
〔式(1)中、w0は6cm四方の非吸収性基材の質量(g)、w1は6cm四方の非吸収性基材に付量1.6g/mになるように前記樹脂を塗布、乾燥させた試験片の質量(g)、w2は前記試験片を水に10分間浸漬させた時の質量(g)である。〕
上記の発明では耐擦性、ひび割れ防止性、滲み防止性を両立できる、とされている。
処理液によって形成される下地層の樹脂がインク付着と共に膨潤し、インク層形成時の収縮に下地層の樹脂の収縮が追随することで耐擦過性、ひび割れ防止性が付与される。
処理液に含有する樹脂がインク塗布時に膨潤することによって、比較的少量の含有樹脂で記録媒体の目地を良く埋めることができる。目地が良く埋まった記録媒体はインクの浸透が物理的に抑制され、また表層に樹脂層が形成され、より均質な表層が形成される。このような記録媒体にインクを塗布した場合、浸透が抑制されるため画像濃度が高く、下地色の影響を受けにくく発色し、また、表層がより均質なため、色むら、にじみ等も抑制される。
しかし、処理液中の樹脂が造膜して形成される下地層の水に対する膨潤率が大きい場合、吸湿や、布への記録物であれば洗濯などによっても下地層が膨潤し、追随してインク層も引き延ばされて画像が膨潤し、また乾燥すれば収縮し、膨潤と収縮を画像が繰り返してしまい、長期的に見れば画像の耐久性が損なわれやすい問題を抱えている。
本発明は、記録媒体に対して優れた画質、および画像密着性を付与することができる、処理液とインクとのセットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明は以下に記載する通りのインクセットに係るものである。
少なくとも樹脂(A)を含有する処理液と、少なくとも樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクと、からなる処理液とインクのセットであって、
前記有機溶剤(C)は20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下であり、
前記有機溶剤(C)に前記樹脂(A)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であり、
前記有機溶剤(C)に前記樹脂(B)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である
ことを特徴とする処理液とインクのセット。
但し、浸漬時間をX軸とし、下記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2 (1)
Wa:乾燥した樹脂片の質量(g)
Wb:膨潤した樹脂片の質量(g)
ρ1:乾燥した樹脂片の密度(g/cm
ρ2:有機溶剤(C)の密度(g/cm
本発明によると、濃色に着色された記録媒体であっても優れた隠蔽性を付与することができる処理液とインクのセットを提供することができる。
図1は、浸漬時間と膨潤度との関係を示すグラフである。 図2は、本発明の記録装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の記録装置における制御手段の構成の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の記録方法を示すフローチャートである。
(インクセット・記録方法及び記録装置)
本発明のインクセットは樹脂粒子(A)を含有する処理液と、樹脂粒子(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクとからなる。
有機溶剤(C)は20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下であって、有機溶剤(C)に樹脂粒子(A)の樹脂片を浸漬した時の樹脂(A)の樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であり、かつ有機溶剤(C)に樹脂粒子(B)の樹脂片を浸漬した時の樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である。
本発明の記録方法は、前記インクセットを用い、処理液を付与する工程と、インクを付与する工程とを含む。
また、本発明の記録方法は、前記インクセットを用い、処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、記録媒体上の処理液を乾燥させる乾燥工程と、処理液層の上にインクを付与するインク付与工程を含む。
本発明の記録装置は、前記インクセットを備え、処理液を付与する手段と、前記インクを付与する手段と、を有する。
また、本発明の記録装置は、前記インクセットを備え、処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、記録媒体上の処理液を乾燥させて処理液層を形成する乾燥手段と、インクを処理液層の上に付与するインク付与手段からなると、を有する。
これらの手段は個々の手段をまとめて一体化した装置であってもよいし、個々の手段が別体の装置であっても良い。
本発明の記録方法は、本発明の記録装置により好適に実施することができ、前記処理液付与工程は前記処理液付与手段により行うことができ、前記インク付与工程は前記インク付与手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明において、記録媒体としては、例えば、紙、段ボール、浸透層を設けたフィルム、あるいは綿、麻、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の材質の布地があり、具体的な製品には、シャツ、Tシャツ、トレーナー、ハンカチ、手ぬぐい、タオル、のれん、トートバッグなどが挙げられる。
本発明の処理液とインクのセットは、浸透性を有する記録媒体への記録において効果が高く、特に目地が粗い布等への記録において効果が高い。布地に形成する画像としては、文字、絵、写真、文字と絵の組み合わせ、文字と写真の組み合わせ等、いかなる画像であってもよい。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、樹脂(A)を含有する処理液、と樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクとからなるインクセットが下記の要件を満足し、記録媒体に該処理液を塗布してこれを乾燥して処理液層を形成し、この処液層の上にて該インクを塗布することにより、優れた画像密着性と発色性を有する画像を付与することができるとの知見を得た。
(要件)
・有機溶剤(C)は20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下である。
・有機溶剤(C)に樹脂(A)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である。
・有機溶剤(C)に樹脂(B)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である。
なお、樹脂(A)及び樹脂(B)はで処理液及びインク中では樹脂粒子の形態であることが好ましい。
以下では、樹脂(A)及び樹脂(B)として樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)を用いた場合について述べる。
以下では、インク中又は処理液中の分散樹脂を指すときは「樹脂粒子(A)」、「樹脂粒子(B)といい、インク層及び処理液層中の樹脂を指すときは「樹脂A」、「樹脂B」ということがある。
上記のインクセットを用いて、上記の様に画像形成を行うことで、優れた画像密着性と発色性を有する画像を付与することができる仕組みは以下のようであると推察される。
本発明の記録方法においては、インクによる画像形成は処理液中の樹脂粒子(A)が造膜した樹脂層Aにインク中の樹脂粒子(B)が混合して造膜したインク層Bを重ねて行われる。
この時、インク中の有機溶剤(C)が従来技術同様、処理液が含有する樹脂粒子(A)を膨潤させることで、記録媒体が布地である場合にはその目地(繊維と繊維の隙間・空隙)が良く埋まり、インクの浸透が抑制される。
本発明ではさらに有機溶剤(C)が、樹脂粒子(A)だけでなく、インク中に含有する樹脂粒子(B)も膨潤させる造膜助剤としての機能も併せ持つことで、インク中の樹脂粒子(B)の造膜が有機溶剤(C)により促進され、急速に増粘するため、インクの浸透を更に抑制することができる、と推察される。
したがって、インクの浸透が抑制されるため画像濃度が高く、下地色の影響を受けにくく発色し、また、表層がより均質なため、色むら等も抑制されると考えられる。
さらに本発明では有機溶剤(C)の20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下であるとしている。
蒸気圧が0.5mmHg以下の有機溶剤はインク中の水、および他の保湿剤などの溶剤と比較して揮発しにくい。このためインク層の乾燥過程でこの有機溶剤(C)は良く残り、インク中の存在比率が次第に高くなる。そこのように蒸発しにくい材料を選択することで、有機溶剤(C)単体で高い膨潤性を樹脂粒子(A)、および樹脂粒子(B)に対して有するものであれば、乾燥前のインク中の存在比が少なくても、含有量の割に良く樹脂A、および樹脂Bを膨潤させることができる。
上記のように、有機溶剤(C)が効率的に働くため、有機溶剤(C)のインク中の含有率はさほど多くなくてよい。
一方でインクが乾燥していない状態であれば有機溶剤(C)が樹脂を膨潤させる機能は発現しにくい。有機溶剤(C)のインク中の含有率が少なければ尚更である。このため、本発明のインクはインクジェットヘッド部材を接合する接着剤等、インク流路に使われる樹脂らの接液性が十分に確保できる。
また、20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の蒸気圧が小さい有機溶剤(C)は画像乾燥後も樹脂Aおよび樹脂B中に残留溶剤として留まりやすい。
このため、このような蒸気圧が小さい有機溶剤(C)をインク中に含有すると画像の乾燥時、画像を形成する膨潤した樹脂の収縮率は相対的に有機溶剤の蒸気圧が高い場合よりも小さく、弾性も付与される。
このため、樹脂A、樹脂B共に乾燥時によく延伸し、また、収縮も小さく、ひび割れが発生しにくくなる。また画像の乾燥時、処理液層とインク層の界面において、樹脂Aの膨潤と収縮、インク層の造膜と乾燥による収縮が同時に進むことから処理液による樹脂層とインク層の密着性が高くなる、と本発明者は考えている。
鋭意、本発明者が評価したところ、高い画質と、密着性を示す目安として、有機溶剤(C)に樹脂粒子(A)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であり、かつ有機溶剤(C)に樹脂粒子(B)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であると良いと分かった。
(膨潤度及び膨潤平衡値Qの定義)
本発明における膨潤度(Q)は、樹脂片を有機溶剤(C)に浸漬した時の樹脂片の膨潤度であり、以下の式(1)によって算出される値である。
Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2 (1)
Wa:乾燥した樹脂片の質量(g)
Wb:膨潤した樹脂片の質量(g)
ρ1:乾燥した樹脂片の密度(g/cm
ρ2:有機溶剤(C)の密度(g/cm
また、本発明における膨潤平衡値Qは次のようにして求める。
浸漬時間をX軸とし、下記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作成する。得られたグラフの直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
グラフの作成において、浸漬開始から1週間以降、2週、3週というように、以降1週間ごとに膨潤率の計測を行う。このうち後発で計測された膨潤率から3点をプロットして、この3点に対して一次近似した直線を引く。この一次近似でR=0.8以上となれば平衡状態になった(直線となった)とみなす。
(膨潤度測定用樹脂片)
図1は、浸漬時間と膨潤度との関係を示すグラフである。
膨潤度測定用樹脂片(以下「樹脂サンプル」という)は、例えば、以下の(1)から(3)に示す方法により作製することができる。
(1)樹脂を含有する処理液を、ETFE(Ethylene tetrafluoroethylene)テープを貼ったガラス板上にキャスト法によって塗布し、樹脂フィルムを作製する。この時、常温(23℃)環境において徐冷、乾燥により造膜させて樹脂フィルムを作製する。
(2)樹脂を含有する処理液を、樹脂の離型性が高いフッ素樹脂シャーレ上に取り、平坦な場において、オーブン等で乾燥させ樹脂を造膜させる。
これを何度か繰り返し所望の厚さのフィルムを作製する。
(3)樹脂を含有する処理液から遠心分離により樹脂を取り出す。樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に加熱したETFEテープを貼ったガラス板上にキャスト法によって塗布する。塗布後、常温(23℃)環境において徐冷し、樹脂を造膜させて樹脂フィルムを作製する。
(4)樹脂を含有する処理液から遠心分離により樹脂を分離する。分離管内で凝集した樹脂塊を取り出し、これを薄くスライスして、適度な厚さに研磨し樹脂フィルムを作製する。
上記(1)~(4)の方法により作製したフィルムを30℃で24時間程度、真空乾燥機を用いて乾燥することが好ましい。
[膨潤度の測定]
常温(23℃)に冷却した上記の方法で作製した樹脂フィルムを裁断し、厚さ約1.0mm×縦10mm×横20mmの樹脂片を作製する。樹脂片の質量Waを化学天秤にて測定する。
共栓付250mL試験管に約100mLの溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液を取り、その中に樹脂片を漬けた。樹脂片が管壁にふれないように栓の下側に鉤をつけ単糸で吊り下げて計測する。
次に、容器を恒温槽にて一定温度(30℃)に保ち、暗室中に静置する。
溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液中に樹脂片を浸漬して1日~20日の膨潤平衡に達した後、樹脂片を溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液より取り出し、ろ紙で拭った後、予め秤量した秤量瓶に手早く入れ、膨潤した樹脂片の質量Wbをそれぞれ計測し、下記数式により膨潤度Qを算出することができる。
膨潤度Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2
ただし、ρ1は樹脂片の密度、ρ2は溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液の密度を表す。
また、浸漬時間をX軸とし、上記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
膨潤平衡値ランクがB以上(膨潤平衡値Q:100%以上)のとき、樹脂に対して溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合溶剤は造膜助剤・浸透剤としての機能を有していると考えられる。
しかし、膨潤平衡ランクがBランク以下の溶剤では画像濃度や耐擦過性が向上するほどの効果を示すには多量に溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合溶剤をインクに含有する必要があり、この場合記録画像はべた付く不具合を示してしまう。
両立するには、樹脂に対して膨潤率の高い溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合溶剤を少量含有することが肝要である。
本発明では有機溶剤(C)に樹脂粒子(A)の樹脂片を浸漬した時の樹脂片の潤平衡値Qは450%以上であり、かつ有機溶剤(C)に樹脂粒子(B)の樹脂片を浸漬した時の樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であると良いことを見出した。
インクが有機溶剤(C)以外の水、溶剤、を含有する場合、有機溶剤(C)以外の溶剤の大半が揮発し、残留溶剤として有機溶剤Cが多く残留しないと樹脂を膨潤させる機能が発現しにくい。本発明では有機溶剤(C)の20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下としている。有機溶剤Cは蒸気圧が低いことで前記のように乾燥時に表層に良く留まり、樹脂をよく膨潤させることができる。
更に本発明では有機溶剤(C)は水への20℃溶解度が5%以下の難溶解性溶剤であるとよい知見を得ている。
一般的な水分散性樹脂は、表面アニオン性官能基量が少なく、表面の親水性が低い(疎水性が高い)。
このため、難水溶性化合物が樹脂と相溶しやすく、間欠吐出性が低下したと推測される。難水溶性化合物は、非印字ノズルの先端部でインクから分離し、油膜を形成してインク中の水分の蒸発を抑制する。
しかし、難水溶性化合物が樹脂と相溶してしまうと、インク中の難水溶性化合物の濃度が低下して油膜が形成されにくくなり、間欠吐出性が低下すると考えられる。
本発明では、有機溶剤(C)のインク中における含有量cは0.2質量%以上5%質量以下であり、かつ樹脂粒子(B)のインク中における含有量を100質量部としたときに1質量部以上10質量部以下であることが望ましい。
有機溶剤(C)として、水に対して低溶解度のものを用いる場合は、有機溶剤(C)が水から分離しない程度の含有量とする必要がある。
有機溶剤(C)の含有量cが0.2質量%未満では量が少なく、樹脂の膨潤率が低いため十分な効果が得られない。
有機溶剤(C)の含有量cが5質量%より多いと前提とする蒸気圧が小さいため、常温ではいつまでもインク層表層に残留して乾かない。インク中の有機溶剤(C)の含有比率としては膨潤した樹脂に残留溶剤が取り込まれる程度の量が好ましい。含有比率が多すぎると記録物はべた付き、風合いが損ねられる。
有機溶剤(C)のインク中の含有量が樹脂粒子(B)100質量部に対して1質量部未満では量として少なく、膨潤率が低いため十分な効果が得られない。また、10質量部より多いと樹脂が乾燥しにくい溶剤を多量に含んでべた付いてしまい、画像の質感が悪くなるため適当ではない。
(処理液)
本発明において処理液は樹脂粒子(A)を含有する。
処理液は、その他に凝集剤、溶剤、水、水溶性樹脂、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、防錆剤、防カビ剤、等を含有しても良い。
<樹脂粒子(A)>
樹脂粒子(A)を構成する樹脂Aとしては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂;エチレン-酢酸ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂等のビニル系モノマーを乳化重合したビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂を乳化重合したものは低温(180℃未満)での造膜性に優れ、白インクを重ねて記録した時、高い隠蔽性を得ることができる。また、密着性と粘弾性に優れているため、布地に塗布して下地層としても布地の伸縮性を害しにくく、衣類などへの記録を行っても、画像割れを起こしにくく、洗濯堅牢性に優れた記録物を得ることができる。
-ノニオン性樹脂-
処理液に含まれる樹脂は、分散安定性の確保のため、共に含有する凝集剤、とりわけ塩に対し、塩析しにくい高い分散安定性を持っている必要がある。このため、樹脂はアニオン性の荷電を持たない自己分散型の非イオン分散型の樹脂であるノニオン性樹脂が好ましい。
ノニオン性樹脂とは、電荷を利用せずとも分散可能な樹脂である。
本発明におけるノニオン性樹脂とは、液体組成物から遠心分離により単離された固形分について、熱分解GC-MS(例えば、株式会社島津製作所製、GC-17Aなど)による分析を行ったとき、カルボキシル基、スルホ基などの酸性官能基、あるいはアミノ基などの塩基性官能基を含有するモノマーが検出されない樹脂を指す。樹脂の化学構造については、ノニオン分散可能なノニオン性樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
乳化重合に使用されるビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル等のアクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、アクリルアミド、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのモノマーを常法により乳化重合することによって樹脂が製造される。
また、樹脂には、被覆組成物として使用する場合に添加されるクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等の無機顔料や、着色顔料、増粘剤、可塑剤、消泡剤、防腐剤、離型剤等を添加したものでも差支えない。
また、処理液は重ねたインク中の色材を凝集させる凝集剤を含有すると、処理液に重ねたインクが増粘し、色材の浸透性を妨げ、高い画像品質を得ることができる。また、凝集した色材が良く密着し、インク層の密着性が向上する。
この時、処理液の保存性確保のため、樹脂粒子(A)は凝集剤と反応性を有しないノニオン性樹脂である、あるいは樹脂粒子(A)自体が凝集剤としての機能を有するカチオン性樹脂、あるいはアニオン性樹脂であることが求められる。
ノニオン性樹脂としては、以下に示す市販品を用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ES509(住友精化株式会社製)などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、NE205N(住友精化株式会社製)などが挙げられる。
ビニル樹脂としては、例えば、VA406、VA407(住友化学株式会社製);S-465HQ、S-401HQ、S-408HQE、S-500HQ、S-801HQ、S-808HQ、S-830、S-850HQ、S-900HL、S-951HQ、S-1010(住友化学工業株式会社製);ビニブラン1002、ビニブラン1017-AD、ビニブランGV-6181、ビニブラン4003(日信化学工業株式会社製)などが挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、ビニブラン1225、ビニブラン1245L、ビニブラン2680、ビニブラン2682(日信化学工業株式会社製)などが挙げられる。
ウレタン樹脂としては、例えば、スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE-2000(第一工業製薬株式会社製);PUE-1000、PUE-1370(村山化学株式会社製);ハイドランWLI-611(DIC株式会社製)などが挙げられる。
ノニオン性樹脂のガラス転移温度Tgは、-30℃以上30℃以下が好ましく、-25℃以上25℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度Tgが-30℃以上であれば、樹脂皮膜が十分強靭なものとなり、処理液層がより堅牢なものとなり、30℃以下であれば樹脂の成膜性が向上し、充分な柔軟性も担保されるため基材密着性が強固なものとなり好ましい。 ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置(装置名:DSC120U、セイコーインスツル株式会社製)を用い、測定温度30℃~300℃、1分間に2.5℃の昇温速度により測定できる。
ノニオン性樹脂の含有量は、処理液の全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が0.1質量%以上であれば樹脂が充分に布地を被覆することができるため布地に対する密着性が向上し、前記含有量が30質量%以下であれば膜厚が厚くなりすぎないため基材に対する密着性の低下の恐れが無い。
ノニオン性樹脂の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、及び高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
ノニオン性樹脂の最低造膜温度(MFT)は20℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。
最低造膜温度(MFT)の低い樹脂を含有すると、造膜が早く、布地に塗布した時処理液の浸透が抑制され、布地表層近くでアンダーコート層を形成する。すると凝集剤も樹脂に伴って表層近くに残り、またノニオン性樹脂も拡散せずによく布地の目地を埋めることからインクの浸透をブロックする効果も高くなる。
<凝集剤>
インクは処理液層の上に重ねて付与される。処理液に含まれる凝集剤は、処理液によって形成された処理液層に、インクに含まれる顔料・樹脂等を凝集させる機能を付与する。
インクに含まれる色材や樹脂をアニオン性、又はカチオン性の電荷をもつイオン分散型とするインクセットを想定しており、凝集剤は該電荷を打ち消す機能を持つ。
凝集剤としては、例えば、カチオン性樹脂、多価金属塩、多価有機塩などが挙げられる。これらの中でも、多価金属塩は水への溶解度が高く、処理液に重ね打ったインクにも容易に溶解して浸透するため、インク中にイオン分散している色材や樹脂などに対し高い凝集効果を持つ凝集剤として好適に用いることができる。
-多価金属塩-
多価金属塩は、インク中の顔料を着滴後に速やかに凝集させ、カラーブリードを抑制するとともに、発色性を向上させる。
前記多価金属塩としては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、或いはこれらの無水物又は水和物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料を効果的に凝集させることができるため、カルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩及びアルミニウム塩から選ばれる少なくとも1つが好ましく、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩がより好ましい。
凝集剤の含有量は、処理液の全量に対して、0.1質量%以上20.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下が更に好ましい。凝集剤の含有量が0.1質量%以上であるとインクによる画像形成の際に、インク成分の凝集によるビーディング抑制効果が発揮される。一方、凝集剤の含有量が20.0質量%以下であると乾燥塗膜の強度及び透明性が向上する。
<その他の成分>
前記処理液は、必要に応じて、色材(顔料又は染料)、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前記処理液は、凝集剤、ノニオン性樹脂、溶剤、及び水、更に必要に応じてその他の成分を混合し、必要に応じて撹拌混合して作製することができる。撹拌混合は、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などで行うことができる。
(処理液付与工程及び処理液付与手段)
処理液付与工程は、布地上に、凝集剤、ノニオン性樹脂、該ノニオン性樹脂の造膜助剤、及び水を含有する処理液を付与する工程であり、処理液付与手段により実施される。なお、処理液は、「前処理液」、「先塗液」と称することもある。
前記処理液の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらの中でも、ロールコート法、スプレーコート法が好ましい。
処理液を付与された布地に対しては、必要に応じて、布地を加熱して処理液を乾燥させる加熱工程を行うことが好ましい。なお、加熱工程は、例えば、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風などの公知の加熱手段により布地を加熱して布地に付与された処理液を乾燥させる工程である。
前記処理液は、凝集剤、ノニオン性樹脂、該ノニオン性樹脂の造膜助剤、及び水を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
(インク)
<インク付与工程及びインク付与手段>
インク付与工程は、処理液を付与した部位に、樹脂及び色材を含有するインクを付与する工程であり、インク付与手段により実施される。
本発明においては、布地上に処理液を付与した後にインクを付与する。なお、インクの付与は処理液の乾燥前でもよいし、乾燥後であってもよいが、乾燥後が好ましい。
前記インクの付与方法としては、特に制限はなく、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらの中でも、機器のメンテナンス性や作業効率が高い点から、インクジェット方式が好ましい。
前記インク付与工程の後に、加熱工程を有することが好ましい。
加熱工程は、充分に乾燥の効果を得られ、また、布地に損傷を与えないという点から、80℃以上200℃以下で加熱処理することが好ましい。
加熱時間は、充分に乾燥の効果が得られ、また、布地に損傷を与えないという点から、10秒間以上10分間以下が好ましい。
本発明の記録方法で使用される処理液層に付与するインクは、樹脂及び色材を含有し、水、有機溶剤、及び界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<色材>
本発明の記録方法に用いられる処理液を付与した処理液層にインクを重ねて付与すれば、処理液中に造膜助剤が含まれない処方と比べて、白インクであれば布地色をよく隠蔽でき、カラーインクや黒インクでは高い画像濃度を得ることができる。
色材としては、特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,
142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、画像濃度の向上、及び良好な定着性や吐出安定性の点から、インクの全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散性顔料などが使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
色材に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、体積平均粒径が30~110nmであることが好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂粒子(B)>
本発明のインクは樹脂粒子(B)を含有する。
前記樹脂粒子(B)における樹脂Bとしては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記樹脂粒子(B)としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販の樹脂としては、例えば、マイクロジェルE-1002、E-5002(スチレン-アクリル系樹脂、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂、DIC株式会社製)、ボンコート5454(スチレン-アクリル系樹脂、DIC株式会社製)、SAE-1014(スチレン-アクリル系樹脂、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK-200(アクリル系樹脂、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC-22、AC-61(アクリル系樹脂、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX-2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂、東洋インキ株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂、御国色素株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
樹脂が造膜してインク層を形成するため、インク中の顔料の浸透を抑制することが
できる。樹脂はインク中の処理液中の凝集剤と反応性を有することが望ましく、即ちアニオン性であることが好ましい。
また、樹脂Bはインク中の有機溶剤(C)によって、造膜性が促進される樹脂種の樹脂が好適である。
本発明ではインク中の樹脂Bに加えて、処理液中の樹脂Aに対しても有機溶剤(C)が膨潤しやすいことが好ましいため、処理液中の樹脂Aとインク中の樹脂Bは同種か近しいHSP値を持つ樹脂であることが望ましい。
例えば樹脂Aがエチレン-酢酸ビニル系樹脂あるいはウレタン樹脂であれば、樹脂Bも同じエチレン-酢酸ビニル樹脂、あるいはウレタン樹脂であることが好ましい。
風合いや光沢性を考慮すればインク層に含まれる樹脂としてはウレタン樹脂がより望ましい。
樹脂粒子(B)の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂粒子(B)の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、及びインクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤としては、一種類の溶剤を用いてもよく、複数種の溶剤を用いてもよい。また、溶剤として液体樹脂を用いてもよい。
本発明における液体樹脂とは、モノマー、オリゴマーの類で分子量が小さな樹脂であって、かつ常温下で液体である樹脂を指す。例えば市販品としてはスマックMP-40(花王製)(ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル)、YG-15(四日市合成製)(ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルを含有する)を用いることができる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類等のエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物などが挙げられる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
また、一方で、本発明ではインクに処理液中の樹脂粒子(A)、に対して大きな膨潤率を持ち、かつインク中の樹脂粒子(B)に対して造膜助剤として働く有機溶剤(C)を含有することが望ましい。
このような有機溶剤として、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、イソブチルアルデヒド、等があげられる
アルコール類としては、例えば、3-メトキシ-3-メチル-1ブタノール(SP値=9.6)、3-メチル-1ブタノール、1-ドデカノール(SP値=9.8)などが挙げられる
グリコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール(SP値=9.5)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(SP値=9.9)、エチレングリコールジアセテート(SP値=10.0)などが挙げられる。
脂肪族系エステルアルコールとしては、例えば、プロピレングリコールーモノ―2-エチルヘキサノエート(四日市合成株式会社製:商品名:ワイジノールEHP01)などが挙げられる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(SP値=9.9)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(SP値=10.2),エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値=9.5)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値=9.7)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値=10.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値=9.5)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=9.7)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値=9.4)、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル(SP値=9.8)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値=10.1)などが挙げられる。
また、市販品の造膜助剤としてポリエーテルであるポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(花王株式会社製、商品名:スマック MP-40)などが挙げられる。
ポリフェニルグリコールであり、芳香族グリコールエーテルの一種でもあるポリオキシエチレンモノフェニルエーテルを主成分とした(四日市合成株式会社製:商品名Y-PE,)、更に酸化エチレン付加モル数の多い成分を少量含む(四日市合成株式会社製:商品名YG-15)などが挙げられる。
上記Y-PE、TG-15は水系酢酸ビニル樹脂向けの造膜助剤として混合比が適正に調整された2-フェノキシエタノールと2-(2-フェノキシエトキシ)エタノールを主成分とする混合液でもある。
アルデヒド類としては、例えば、アセトアルデヒド(SP値=10.3)、イソブチルアルデヒドである、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(JNC社製、商品名:CS-12)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(JNC社製、商品名:CS-16)などが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン(SP値=10.0)、ε-カプロラクトン(SP値=10.1)などが挙げられる。
フタル酸エステルとしては、例えば、DEHP:フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、DBP:フタル酸ビスブチル、BBP:フタル酸ブチルベンジル、DIBP:フタル酸ビスイソブチル、DINP:フタル酸ビスイソノリル、DIDP:フタル酸ビスイソデシル、DNOP:フタル酸ビスノルマルオクチル、DPENP:フタル酸ビスペンチル、DHEXP:フタル酸ビスヘキシル、DCHP:フタル酸ビスシクロヘキシルなどが挙げられる。
アミン類としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(SP値=10.1)、1.3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(SP値=10.1)などが挙げられる。
これらの溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液は、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明者はこれらの中でも有機溶剤(C)の20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤がより望ましいことを見出している。
20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下に該当する溶剤として、例えば、ジプロピレングリコール(1Pa),ジエチレングリコールモノブチルエーテル,(3Pa)、2-フェノキシエタノール(5.2kPa)、2-(2-フェノキシエトキシ)エタノール、市販品ではY-PE、YG-15、CS-12(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート)(1.3Pa未満)等を挙げることができる
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH
等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<水>
水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク中における水の含有量については、特に制限はなく、常温保管において多価金属塩が析出しない十分な量を含有していればよい。
<その他の成分>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。
ここで、粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R
24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
(処理液とインクのセット)
本発明の処理液とインクのセットは、樹脂粒子(A)を含有する処理液と、樹脂粒子(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクと、からなる。
(記録装置及び記録方法)
本発明の記録方法は、本発明の処理液とインクのセットを用い、前記処理液を付与する工程と、前記インクを付与する工程とを含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の処理液とインクのセットは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付与可能なものを意味する。更に、この記録装置には、卓上型や、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の印刷装置、例えば、ロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタ等も含まれる。
図2に、記録装置の一例を示す。
なお、本発明の記録方法における処理液を付与する工程と、インクを付与する工程とは同じ印刷機器で実施してもよいし、別々の印刷機器で実施してもよい。
図2の記録装置100は、図2、3に示すように、処理液付与部110、インク付与部120、制御手段160、記憶部170を有し、必要に応じて後処理液付与部130、乾燥部140、及び搬送部150を有していてもよい。処理液付与部110は記録媒体Mに処理液を付与する。
処理液付与部110における塗工方法は、特に制限無く公知のあらゆる方法を用いる事ができる。例えば、処理液中に記録媒体を浸漬させる方法(浸漬塗布法)、処理液をロールコーター等で塗布する方法(ローラー塗布法)、処理液をスプレー装置等によって噴射する方法(スプレー塗布法)、処理液をインクジェット方式により噴射する方法(インクジェット塗布法)等が挙げられ、いずれの方法も使用してもよい。
インク付与部120は、記録媒体Mの処理液が付与された面に、インクを付与する。
インク付与部120としては、例えば公知のインクジェットヘッド等を用いることができる。
インク付与部120は、任意の色のインクを吐出するヘッドであってよく、例えば、必要に応じてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)、W(ホワイト)の色のインクを吐出するヘッドを設けてもよい。
記憶部170は例えばHDDなどであり、印刷する画像等のデータを保持する。本画像形成装置の制御手段160は、例えばCPUなどであり、記憶部170や各制御部への指示を出す。
組成液付与制御部161は、制御手段160からの指示に応じて組成液付与部110の駆動を制御する。
インク付与制御部162は、制御手段160からの指示に応じてインク付与部120の駆動を制御する。
乾燥制御部163は、制御手段160からの指示に応じて乾燥部140の駆動を制御する。
後処理液付与部130は、記録媒体Mのインクジェットインクが付与された面のインクジェットインクが付与された領域に後処理液を付与できればよく、例えば、インクジェットヘッド以外にも、スプレーやローラーなどを用いることができる。
なお、後処理液付与部130は、省略してもよい。
後処理液を付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法、ローラー塗布法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
本発明における記録装置は、処理液、インクが付与された記録媒体Mの印字面や裏面を乾燥させる乾燥部140を有していてもよい。必要に応じて、後処理液を含むその他液体が付与された後や、各液体の付与前後に記録媒体Mを乾燥させる工程を含んでもよい。加熱に用いる装置としては、多くの既知の装置を使用することができる。例えば、温風加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥、ヒートプレス、定着ローラー等の装置が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。乾燥の強度は基材の厚さや材質など熱収縮特性に応じて設定されるのが好ましい。堅牢性向上、加熱時間短縮の観点からヒートプレスが好ましい。加熱温度は150℃以上であることが好ましく、150℃以上200℃以下程度であることがより好ましい。
なお、乾燥部140は、省略してもよい。
搬送部150は、記録媒体Mを搬送する。
搬送部150としては、記録媒体Mを搬送することが可能であれば、特に限定されないが、搬送ベルト、プラテンなどが挙げられる。
なお、搬送部150は、必要に応じて省略してもよい。
卓上プリンタを画像形成装置として用いる場合には、前処理液付与部、後処理液付与部の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)などのインクの場合と同様に、前処理液や後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
<記録装置100の動作例>
記録装置100の動作について説明する。図4は、記録装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
記録開始の指示を受け付けると、記録装置100は記録動作を開始する。
ステップS1にて、記録装置100の搬送部150は記録媒体Mを搬送し、処理液付与部110は記録媒体Mに対して処理液を付与する。この際、処理液付与部110は、記録を行う部分のみに対して処理液を付与してもよいし、記録媒体全面に付与してもよい。
処理液付与部110が記録を行う部分のみに対して処理液を付与する際には、組処理液付与制御部161や制御手段160からの指示に応じて付与範囲を決定し、記録媒体Mに処理液を付与する。
処理液付与部110が記録媒体全面に対して処理液を付与する際には、処理液付与制御部161や制御手段160からの指示に応じて記録媒体全面に処理液の付与を行う。
ステップS2では、搬送部150により搬送された、処理液が塗布された記録媒体Mに対して、インク付与部120がインクを吐出する。この際、インク付与部120は、処理液が吐出された部分のみに対してインクを吐出してもよいし、記録媒体全面に吐出してもよい。ただし、本発明においては処理液が塗布された部分にインク付与部120がインクを吐出することが好ましい。
記録を行う部分のみに対してインクを吐出する際には、インク付与制御部162や制御手段160からの指示に応じて吐出範囲を決定し、インク付与部120がインクを吐出する。
インク付与部120が記録媒体全面に対してインクを吐出する際には、インク付与制御部162や制御手段160からの指示に応じて記録媒体全面にインクの吐出を行う。
記録装置100には、記録媒体の位置や場所の認識を行うセンサーを設けていてもよい。記録媒体の位置や場所の認識を行う前記センサーを設けることで、処理液付与部110及びインク付与部120が、ステップS1及びステップS2にてより効率的に、処理液及びインクを記録媒体に塗布することが可能となる。
ステップS3では処理液及びインクを塗布した記録媒体を搬送部150が乾燥部140に搬送し、乾燥させる。ステップS3及び乾燥部140は、本発明における記録方法及び記録装置に必須ではないが、あるとより好ましい。
ステップS3を設けない場合には、ユーザーが手動で別の乾燥装置を用いて乾燥を行ってもよいし、乾燥工程を設けなくてもよい。
乾燥時間や乾燥温度は、一定であってもよく、処理液及びインクの付与量に応じて調節してもよい。処理液及びインクの付与量に応じて調節することがより好ましい。
乾燥時間や乾燥温度を調節する場合には、乾燥制御部163や制御手段160からの指示に応じて乾燥時間や乾燥温度を決定し、記録媒体の乾燥を行う。
乾燥時間や乾燥温度が一定の場合には、乾燥制御部163や制御手段160からの指示に応じて記録媒体の乾燥を行う。
記録装置100は、記録媒体に塗布された組成液及びインクの塗布量の認識を行うセンサーを設けていてもよい。前記センサーを設けることで、処理液及びインクが記録媒体に塗布された量に応じて乾燥時間や乾燥温度を設定、調節することが可能となるため、ステップS3にて乾燥部140がより効率的に記録媒体を乾燥させることができる。
処理液及びインクの塗布量を認識する前記センサーは、実際に記録媒体に付着している液体量を認識するものであってもよいし、各付与部にて記録媒体に吐出された量を計測して認識するものであってもよい。
記録媒体の乾燥を行った後、記録装置による記録工程は終了するが、必要に応じて記録媒体を記録装置から取り出す工程や、記録媒体を搬送する工程があってもよい。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
本発明において、記録に用いる記録媒体としては布帛が好ましい。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。よく、繊維の太さや網目の大きさに制限はない。
(記録物)
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明の液体組成物のセットを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録装置及び前記記録方法により記録して記録物とすることができる。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
また、以下の記載においては特に明記しない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
(樹脂サンプルの製造例1)
-樹脂サンプル1の作製-
ノニオン性エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)原液をフッ素樹脂シャーレに4g取り、80℃で40時間超の乾燥を行い、残留溶媒1%未満の円盤状の固形物を得た。
常温(23℃)に冷却したエチレン-酢酸ビニル樹脂の円盤状の固形物を裁断し、厚さ約0.9mm×縦30mm×横15mmの樹脂片である樹脂サンプル1を作製した。
(樹脂サンプルの製造例2)
-樹脂サンプル2の作製-
樹脂サンプルの製造例1におけるノニオン性エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)を、ノニオン性ウレタン樹脂(イソシアネートエステル系ウレタン樹脂、スーパーフレックスE-2000、第一工業製薬株式会社製)に代えた以外は、樹脂サンプルの製造例1と同様にして、ウレタン樹脂からなる樹脂片である樹脂サンプル2を作製した。
(樹脂サンプルの製造例3)
-樹脂サンプル3の作製-
樹脂サンプルの製造例1におけるノニオン性エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)を、ノニオン性アクリル樹脂(ビニブラン2682、日信化学工業株式会社製)に代えた以外は、樹脂サンプルの製造例1と同様にして、アクリル樹脂からなる樹脂片である樹脂サンプル3を作製した。
(樹脂サンプルの製造例4)
-樹脂サンプル4の作製-
樹脂サンプルの製造例1におけるノニオン性エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)を、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス500HQ、住友化学工業株式会社製)に代えた以外は、樹脂サンプルの製造例1と同様にして、アクリル樹脂からなる樹脂片である樹脂サンプル4を作製した。
(樹脂サンプルの製造例5)
-樹脂サンプル5の作製-
樹脂サンプルの製造例1におけるエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)を、アニオン性ポリエステル系ウレタン樹脂(スーパーフレックス420NS、第一工業製薬株式会社製)に代えた以外は、樹脂サンプルの製造例1と同様にして、ウレタン樹脂からなる樹脂片である樹脂サンプル5を作製した。
(樹脂サンプルの製造例6)
-樹脂サンプル6の作製-
樹脂サンプルの製造例1におけるエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製)を、アニオン性アクリル-シリコーン樹脂(AE980、株式会社イーテック製)に代えた以外は、樹脂サンプルの製造例1と同様にして、アクリル樹脂からなる樹脂片である樹脂サンプル6を作製した
<膨潤度の測定>
得られた樹脂サンプル1~6の質量Waをそれぞれ化学天秤にて測定した。共栓付250mL試験管に約100mLの溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液を取り、その中に各樹脂サンプルを漬けた。樹脂サンプルが管壁にふれないように栓の下側に鉤をつけ単糸で吊り下げて計測した。
次に、容器を恒温槽にて一定温度(30℃)に保ち、暗室中に静置した。
溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液中に各樹脂サンプルを浸漬して1日~20日の膨潤平衡に達した後、各樹脂サンプルを溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液より取り出し、ろ紙で拭った後、予め秤量した秤量瓶に手早く入れ、膨潤した各樹脂サンプルの質量Wbをそれぞれ計測した。膨潤度Qは下記式(1)に基づいて計算した。
膨潤度Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2
また、浸漬時間をX軸とし、上記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
上記樹脂サンプル1~6について、下記の表2に示すように溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合液を代えて浸漬し、膨潤度を測定し、膨潤平衡値を求め、下記評価基準に基づいて膨潤平衡値ランクを評価した。結果を表1に示した。
(評価基準:膨潤平衡値ランク)
S:2000%以上
A:450%以上2000%未満
B:100%以上450%未満
C:100%未満
Figure 2023140793000001
20℃蒸発率が0.5mmHg以下のとき、難揮発性の溶剤と判断する。
膨潤平衡値ランクがB以上(膨潤平衡値Q:100%以上)のとき、樹脂に対して溶剤、液体樹脂、又はこれらの混合溶剤は造膜助剤・浸透剤としての機能を有しているとする。
以下のような処方で、処理液1~3を作成した。
(処理液の製造例1)
-処理液1の調製-
・凝集剤(塩化カルシウム): 6%
・ノニオン性樹脂: 10%
(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、スミカフレックス408HQ、住友化学工業株式会社製、固形分換算)
・純水: 残量
(合計:100%)
(処理液の製造例2)
-処理液2の調製-
・凝集剤(塩化カルシウム) 6%
・ノニオン性樹脂: 10%
(ウレタン樹脂、スーパーフレックスE-2000、第一工業製薬株式会社製)固形分換算)
・純水: 残量
(合計:100%)
(処理液の製造例3)
-処理液3の調製-
・凝集剤(塩化カルシウム): 6%
・ノニオン性樹脂: 10%
(アクリル樹脂、ビニブラン2682、信越化学株式会社製)固形分換算)
・純水: 残量
(合計:100%)
表2に各処理液の組成を示す。
Figure 2023140793000002
<処理液の布地への塗布方法>
(1)上記処理液1~3を綿布(綿100%のTシャツ、品名:085-CVT、トムス株式会社製、サイズ:XL、カラー:ホワイト)をA4サイズにカットしたもの)に霧吹きで満遍なく22.5g塗布した。
(2)上記処理液1~3を塗布した綿布をヒートプレス機(ユーロポート株式会社製、品番:CHP-2938)にセットし、離型紙(株式会社UACJ製箔、品名:クッキングシート)を綿布の上に被せ、プレスしながら165℃設定で90秒間の乾燥を行った。
<インク処方>
-ブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製-
ポリマー溶液Aを28gと、カーボンブラック(デグサ社製、FW100)を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、顔料固形分15%、固形分濃度20%のブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体1を得た。以下表3、表4に記載した処方で、インク0~22を作成した。
Figure 2023140793000003
Figure 2023140793000004
<布地への印刷方法>
上記<処理液の布地への塗布方法>(1)および(2)に記載の方法で処理液1~3を塗布した白綿布(綿100%のTシャツ、品名:085-CVT、トムス株式会社製、サイズ:XL、カラー:ホワイト)にインクジェット印刷機(株式会社リコー製、Ri2000)を用いて上記表4、表5に示す処方の黒インクの100%dutyのベタ画像を印刷した。黒インクの付与量は2.2mg/mであった。
黒インク印刷後、ヒートプレス機(ユーロポート株式会社製、品番:CHP-2938)にセットし、離型紙(株式会社UACJ製箔、品名:クッキングシート)を綿布の上に被せ、プレスしながら165℃設定で90秒間の乾燥を行った。
<インクセットと印刷物の評価>
以下、表5~表11に示す基準例、比較例1~10、実施例1~22に示すインクセットを用い、上記印刷方法で処理液、およびインクの印刷を行ったサンプルを作成し、各々のサンプルに対し、耐擦過性評価、画像濃度評価、べた付き評価を行った。
各評価結果を表5~11に合わせて記す。
<耐擦過性評価>
乾燥後の記録物を学振型磨耗堅牢度試験機AB-301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠:金巾3号)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて10回擦り、その白綿布に転写したインク痕を分光測色計(X-rite社製、品名:eXact スタンダード)を用いて黒濃度Kpiを計測した。
耐擦過性ランクは基準インクセット(インク0、および処理液1からなるインクセット)における、転写したインク痕の黒濃度:Kp0を基準とし、その基準に対する対象サンプルの黒濃度の差を示している。
◎、〇が合格、△、×が不合格である。
(耐擦過性ランク)
◎:転写黒濃度が基準より大幅に低下する。K0aから-30%~-20%
〇:転写黒濃度差が基準より低下する。K0aから-20%~-10%
△:基準 転写黒濃度差基準と同等、もしくはわずかに低下する。K0aから-10%~0%
×:転写黒濃度が増加する。
<画像濃度評価>
分光測色計(X-rite社製、品名:eXact スタンダード)を用いて布地(品名:085-CVT、トムス株式会社製、サイズ:XL、カラー:ホワイト)に印刷された各印刷サンプルの黒べタ部の黒濃度:Kiを測定した。
画像濃度ランクは基準インクセット(インク0、および処理液1からなるインクセット)における黒濃度:K0を基準とし、その基準に対する対象サンプルの画像濃度Kiとの差を示している。
◎、〇が合格、△、×が不合格である。
(評価基準)
画像濃度ランク
◎:黒濃度差+0.2以上
〇:濃度差+0.1以上、+0.2未満
△:黒濃度差+0以上、0.1未満
×:黒濃度減少
<べた付き評価>
べたつき感を評価する方法として,摩擦係数測定治具COF2-2N(IMADA 社製)のテーブルに 評価サンプルを固定し,付属のウエイト(200g)に金巾3号を貼り付け、該ウエイトを評価サンプル上に金巾3号が触れるように静置し、電動計測スタンドMH2-500N(IMADA 社製)でCOF2-2N付属の該ウエイト(200g)を引張り、この時の水平方向の滑り抵抗をデジタルフォースゲージ(IMADA 社製,ZP-200N)により測定した。
(べた付きランク)
べた付きランクは基準インクセット(インク0、および処理液1からなるインクセット)における滑り抵抗(N)を基準とし、その基準に対する対象サンプル隠蔽性の差を示している。
◎、〇が合格、△、×が不合格である。
(評価基準)
◎:さらさら。触れたときに滑り感を感じる。滑り抵抗が基準滑り抵抗の-50%以下
〇:基準:べた付かない。滑り抵抗が基準滑り抵抗の-50%~+50%
△:ややべた付く。触れたときに粘着性を感じる。滑り抵抗が基準滑り抵抗の+50%以上
×:べた付く。触れたときにはっきりと粘着性を感じる。滑り抵抗が基準滑り抵抗の+200%以上
Figure 2023140793000005
Figure 2023140793000006
Figure 2023140793000007
Figure 2023140793000008
Figure 2023140793000009
Figure 2023140793000010
実施例7と比較して実施例18ではインク処方に揮発性のある浸透剤が多く含有している。密着性が若干向上するが、反面、インクが浸透しやすくなるため若干画像ODは低下する。また、残留溶剤が増えるため、若干べた付きの度合いが悪くなる。
Figure 2023140793000011
本発明の実施形態は例えば以下に記載する通りである。
(1)少なくとも樹脂(A)を含有する処理液と、少なくとも樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクと、からなる処理液とインクのセットであって、
前記有機溶剤(C)は20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下であり、
前記有機溶剤(C)に前記樹脂(A)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であり、
前記有機溶剤(C)に前記樹脂(B)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である
ことを特徴とする処理液とインクのセット。
但し、浸漬時間をX軸とし、下記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2 (1)
Wa:乾燥した樹脂片の質量(g)
Wb:膨潤した樹脂片の質量(g)
ρ1:乾燥した樹脂片の密度(g/cm
ρ2:有機溶剤(C)の密度(g/cm
(2)前記有機溶剤(C)のインク中における含有量cは0.2質量%以上5質量%以下であり、かつ、樹脂(B)のインク中における含有量を100質量部としたときに、前記含有量cが1質量部以上10質量部以下である、上記(1)に記載の処理液とインクのセット。
(3)前記有機溶剤(C)として、2-フェノキシエタノール、または、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートを含有する、上記(1)または(2)に記載の処理液とインクのセット。
(4)前記樹脂(B)はウレタン樹脂を含有する、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の処理液とインクのセット。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の処理液とインクのセットを用い、前記処理液を付与する工程と、前記インクを付与する工程とを含む記録方法。
(6)前記処理液を記録媒体に付与する工程と、
前記記録媒体上の前記処理液を乾燥させて処理液層を形成する乾燥工程と、
前記処理液層の上に前記インクを付与するインク付与工程と、
を有する、上記(5)に記載の記録方法。
(7)上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の処理液とインクのセットを備え、前記処理液を付与する手段と、前記インクを付与する手段と、を有することを特徴とする記録装置。
(8)前記処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、
前記記録媒体上の前記処理液を乾燥させて処理液層を形成する乾燥手段と、
前記処理液層の上に前記インクを付与するインク付与手段と、
を有する、上記(7)に記載の記録装置。
100 記録装置
110 組成液付与部
120 インク付与部
130 後処理液付与部
140 乾燥部
150 搬送部
160 制御手段
161 組成液付与制御部
162 インク付与制御部
163 乾燥制御部
170 記憶部
国際公開第2018/105416号

Claims (8)

  1. 少なくとも樹脂(A)を含有する処理液と、少なくとも樹脂(B)及び有機溶剤(C)を含有するインクと、からなる処理液とインクのセットであって、
    前記有機溶剤(C)は20℃における蒸気圧が0.5mmHg以下であり、
    前記有機溶剤(C)に前記樹脂(A)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上であり、
    前記有機溶剤(C)に前記樹脂(B)の樹脂片を浸漬した時の前記樹脂片の膨潤平衡値Qは450%以上である
    ことを特徴とする処理液とインクのセット。
    但し、浸漬時間をX軸とし、下記式(1)で定義される膨潤度Q(%)をY軸としてプロットしてグラフを作製し、その直線部分を延長した線のY軸切片の膨潤度Q(%)の値を膨潤平衡値Q0(%)とする。
    Q(%)=100(Wb-Wa)ρ1/Waρ2 (1)
    Wa:乾燥した樹脂片の質量(g)
    Wb:膨潤した樹脂片の質量(g)
    ρ1:乾燥した樹脂片の密度(g/cm
    ρ2:有機溶剤(C)の密度(g/cm
  2. 前記有機溶剤(C)のインク中における含有量cは0.2質量%以上5質量%以下であり、かつ、樹脂(B)のインク中における含有量を100質量部としたときに、前記含有量cが1質量部以上10質量部以下である、請求項1に記載の処理液とインクのセット。
  3. 前記有機溶剤(C)として、2-フェノキシエタノール、または、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートを含有する、請求項1または2に記載の処理液とインクのセット。
  4. 前記樹脂(B)はウレタン樹脂を含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の処理液とインクのセット。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の処理液とインクのセットを用い、前記処理液を付与する工程と、前記インクを付与する工程とを含む記録方法。
  6. 前記処理液を記録媒体に付与する工程と、
    前記記録媒体上の前記処理液を乾燥させて処理液層を形成する乾燥工程と、
    前記処理液層の上に前記インクを付与するインク付与工程と、
    を有する、請求項5に記載の記録方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の処理液とインクのセットを備え、前記処理液を付与する手段と、前記インクを付与する手段と、を有することを特徴とする記録装置。
  8. 前記処理液を記録媒体上に付与する処理液付与手段と、
    前記記録媒体上の前記処理液を乾燥させて処理液層を形成する乾燥手段と、
    前記処理液層の上に前記インクを付与するインク付与手段と、
    を有する、請求項7に記載の記録装置。
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