JP2023138062A - 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法 - Google Patents

細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023138062A
JP2023138062A JP2022044554A JP2022044554A JP2023138062A JP 2023138062 A JP2023138062 A JP 2023138062A JP 2022044554 A JP2022044554 A JP 2022044554A JP 2022044554 A JP2022044554 A JP 2022044554A JP 2023138062 A JP2023138062 A JP 2023138062A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recess
side wall
handling member
cell handling
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022044554A
Other languages
English (en)
Inventor
恵 八巻
Megumi Yamaki
興治 藤本
Koji Fujimoto
太郎 長井
Taro Nagai
寛子 渡邉
Hiroko Watanabe
貴弘 掛川
Takahiro Kakegawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2022044554A priority Critical patent/JP2023138062A/ja
Publication of JP2023138062A publication Critical patent/JP2023138062A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】底部や細胞懸濁液に影響を及ぼすことなく、細胞が側壁に接着することを抑制することが可能な、細胞取扱部材、及び該細胞取扱部材の製造方法を提供する。【解決手段】細胞取扱部材10は、底部11と、底部11に連続する側壁12と、を備え、底部11と側壁12とにより、細胞Cを保持する空間Sが形成され、側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分に、凹部20が形成されている。凹部20の高さは、1.0μm以上3.0μm以下である。【選択図】図2

Description

本開示は、細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法に関する。
従来、細胞収容部を備える各種の部材が知られている。このような部材は、細胞の培養、保存及び検査等を目的としている。細胞収容部を備える部材においては、細胞が部材の側壁へ意図せず接着するという問題がある。
特許第6856225号公報
これに対して従来、細胞の接着を低減するために、細胞収容部内に細胞非接着性の物質をコーティングするなどの手法がとられている。しかしながら、細胞収容部の壁面のみを選択的にコーティングすることや、コーティングを長期的に安定させることは困難である。さらにコーティング物質が剥離して細胞懸濁液に混入したり、細胞収容部の底面もコーティングされることにより、底面の機能が低減したりするおそれもある。
本開示は、底部や細胞懸濁液に影響を及ぼすことなく、細胞が側壁に接着することを抑制することが可能な、細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法を提供する。
本実施の形態による細胞取扱部材は、底部と、前記底部に連続する側壁と、を備え、前記底部と前記側壁とにより、細胞を保持する空間が形成され、前記側壁のうち、前記底部と前記側壁とが連続している部分に、凹部が形成され、前記凹部の高さは、1.0μm以上3.0μm以下である。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部は、前記底部に沿う方向に延びてもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部は、前記空間から見て外側に向けて湾曲する弧状の断面を有してもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部の深さは、200nm以上450nm以下であってもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記側壁の高さ方向に複数の前記凹部が形成されていてもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部は、凹部上側頂部と、凹部底部とを有し、前記凹部上側頂部は、前記凹部の最も上側に位置し、前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、断面において、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線と、前記凹部底部と前記凹部上側頂部とを結ぶ直線とのなす角は、75°以下であってもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部は、凹部下側内面と、凹部底部と、凹部上側内面とを有し、前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、前記凹部下側内面は、前記凹部底部よりも下側に位置し、前記凹部上側内面は、前記凹部底部よりも上側に位置し、断面において、前記凹部下側内面又は前記凹部上側内面の接線と、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線とのなす角のうち前記側壁の外面側に開いた角の角度が0°以上105°以下となる領域を、前記底部の外面の垂線に投影したときの投影像が連続しており、かつ前記投影像の高さ方向距離は、450nm以下となってもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部は、凹部下側内面と、凹部底部と、凹部上側内面とを有し、前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、前記凹部下側内面は、前記凹部底部よりも下側に位置し、前記凹部上側内面は、前記凹部底部よりも上側に位置し、断面において、前記凹部下側内面又は前記凹部上側内面の接線と、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線とのなす角のうち前記側壁の外面側に開いた角の角度が0°以上105°以下となる領域を、前記底部の外面の垂線に投影したときの投影像が連続しており、かつ前記投影像の高さ方向距離は、450nm超であり、前記角度が0°以上105°以下となる前記領域と、当該領域に隣接しかつ前記角度が0°以上105°以下となる他の領域までの高さ方向距離は、450nm超であってもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材において、前記凹部に、前記側壁の高さ方向に延びる隔壁が設けられていてもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材は、細胞収容容器又は送液部材であってもよい。
本実施の形態による細胞取扱部材の製造方法は、本実施の形態による細胞取扱部材の製造方法であって、前記底部と前記側壁とを有する基板を準備する工程と、前記側壁のうち、前記底部と前記側壁とが連続している部分に、DRIE法により凹部を形成する工程と、を備える。
本実施の形態によれば、底部や細胞懸濁液に影響を及ぼすことなく、細胞が側壁に接着することを抑制できる。
図1は、一実施の形態による細胞取扱部材を示す断面図である。 図2は、一実施の形態による細胞取扱部材を示す部分拡大断面図(図1のII部拡大図)である。 図3は、一実施の形態による細胞取扱部材を示す部分拡大斜視図である。 図4は、細胞取扱部材の変形例を示す部分拡大断面図である。 図5は、凹部を示す部分拡大断面図である。 図6(a)、(b)は、一実施の形態による細胞取扱部材の製造方法を示す断面図である。 図7は、細胞収容容器である細胞取扱部材を示す部分断面斜視図である。 図8は、細胞懸濁液の送液部材である細胞取扱部材を示す部分断面斜視図である。 図9は、マイクロ流路デバイスである細胞取扱部材を示す部分断面斜視図である。 図10は、細胞懸濁液の撹拌又は振盪を伴う培養容器である細胞取扱部材を示す断面図である。 図11は、細胞懸濁液の輸送を伴う保管容器である細胞取扱部材を示す断面図である。 図12(a)、(b)は、それぞれ実施例と比較例1による側壁及び底部を示す走査型電子顕微鏡写真である。 図13は、第1変形例による細胞取扱部材を示す部分拡大斜視図である。 図14は、第1変形例による細胞取扱部材を示す断面図(図13のXIV-XIV線断面図)である。 図15は、第2変形例による細胞取扱部材を示す部分拡大断面図である。 図16は、比較例2による細胞取扱部材を示す部分拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら各実施の形態について具体的に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含む。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、他の構成の直上(又は直下)にある場合に限らない。ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとは、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
図1乃至図3を参照して、本実施の形態による細胞取扱部材の構成について説明する。図1は、本実施の形態による細胞取扱部材10を示す断面図である。図2は、本実施の形態による細胞取扱部材10の部分拡大断面図である。図3は、本実施の形態による細胞取扱部材10の部分拡大斜視図である。
本明細書において、細胞取扱部材10は、X軸及びY軸によって形成されるXY平面上に配置される。またZ軸は、X軸及びY軸に垂直な軸であり、鉛直方向に平行な方向である。本明細書において、Z軸方向を高さ方向ともいう。図1及び図2は、Z軸及びX軸によって形成されるZX平面に沿う断面図である。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態による細胞取扱部材10は、底部11と、底部11に連続する側壁12とを備える。底部11と側壁12とにより、細胞Cを保持する空間Sが形成されている。側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに、凹部20が形成されている。
本実施の形態による細胞取扱部材10は、細胞Cを取り扱うための部材である。細胞取扱部材10は、細胞収容部材又は細胞懸濁液の送液部材であってもよい。具体的には、細胞取扱部材10は、シャーレ、フラスコ、ビーカー、プレート、チャンバースライド、ボトル、バッグ、タンク、バイアル、試験管、チューブ、シリンジ、流路などの形状を持った部材であって、内面にさらにウェルや溝などを有していても良い。
細胞取扱部材10は、細胞収容容器であっても良い。細胞収容容器は、空間S内で細胞Cを底部11に一定時間留めるように収容する容器である。この場合、細胞取扱部材10は、側壁12上に天部14を有していても良い。この場合、底部11、側壁12及び天部14によって閉じた空間Sが形成されても良い。細胞収容容器としては、例えば細胞Cを培養する細胞培養容器であっても良い。細胞培養容器としては、例えばシャーレ、フラスコ、マルチウェルプレート、チャンバースライド、ビーカー、プレート、ボトル、又はバッグ、タンク等が挙げられる。
また細胞取扱部材10の底部11には、特殊加工が施されていても良い。このような特殊加工としては、例えば、温度応答性ポリマー被覆、機能性ペプチド被覆、微細凹凸加工、又は高分子パターニング等が挙げられる。本実施の形態によれば、底部11と側壁12とが連続している部分12cに凹部20が形成されていることにより、後述するように、側壁12に細胞Cが接着することを抑制できる。これにより、特殊加工の機能がより発揮されやすくなる。例えば、側壁12に接着した細胞Cが剥離せず、底部11に形成された細胞シートの回収が困難になることを抑制できる。
細胞取扱部材10は、細胞懸濁液用の送液部材であっても良い。送液部材は、細胞Cを空間S内で底部11上に留めることなく流すデバイスであっても良い。送液部材としては、例えば細胞Cを流すシリンジ、キャピラリー、チューブ、バイアル、又はマイクロ流路デバイス等であっても良い。この場合、細胞取扱部材10は、側壁12上に天部14を有していても良い。
このほか細胞取扱部材10としては、例えば細胞Cの撹拌、還流、振盪又は輸送を伴うタンク、ボトル、バッグ、バイアル、試験管等の各種培養容器又は保存容器等であっても良い。
細胞Cとしては、特に限定されないが、例えば、受精卵、卵細胞、ES細胞(胚性幹細胞)及びiPS細胞(人工多能性幹細胞)が挙げられる。卵細胞は、未受精の卵細胞をさし、未成熟卵母細胞及び成熟卵母細胞が含まれる。受精卵は、受精後、卵割により2細胞期、4細胞期、8細胞期と細胞数が増えてゆき、桑実胚を経て、胚盤胞へと発生する。受精卵には、2細胞胚、4細胞胚及び8細胞胚などの初期胚、桑実胚、胚盤胞(初期胚盤胞、拡張胚盤胞及び脱出胚盤胞を含む)が含まれる。胚盤胞は、胎盤を形成する潜在能力がある外部細胞と胚を形成する潜在能力がある内部細胞塊からなる胚を意味する。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から得られる未分化な多能性又は全能性細胞を指す。iPS細胞は、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞に似た分化万能性を持たせた細胞を指す。すなわち、細胞には、受精卵や胚盤胞のように複数の細胞の集合体も包含される。細胞は、哺乳動物及び鳥類の細胞、特に哺乳動物の細胞であっても良い。哺乳動物は、温血脊椎動物を指し、例えば、ヒト及びサルなどの霊長類、マウス、ラット及びウサギなどの齧歯類、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマ及びブタなどの家畜が挙げられる。本実施の形態において、とりわけ細胞Cが接着性である場合に、細胞Cの側壁12への接着を抑制する効果を好適に得られる。
細胞Cの直径は、2.0μm以上であっても良く、4.0μm以上であっても良い。また細胞Cの直径は、100μm以下であっても良く、10.0μm以下であっても良い。細胞Cは、細胞懸濁液中に含まれた状態で空間Sに保持されていても良い。このような細胞懸濁液は、細胞Cと液体とを含む。細胞懸濁液に含まれる液体は、細胞培養液、培地等の培養液であっても良い。
細胞取扱部材10を構成する材料は特に限定されない。細胞取扱部材10は、細胞Cの観察を外部から目視や顕微鏡等、光学的に行う場合、可視光を透過する透明材料が好ましい。透明材料として、例えばポリジメチルシロキサン(以下、PDMSという)等のシリコーンゴム、アクリル、ポリスチレン等の各種樹脂材料やガラス、ゲル等が挙げられる。これらの中でも、安価で量産しやすい点から、ポリスチレン樹脂が好ましい。本実施の形態によれば、後述するように、側壁12に細胞Cが接着することが抑制される。これにより、細胞取扱部材10が例えばマルチウェルプレートである場合に、細胞Cが側壁12に接着することにより細胞Cを顕微鏡で観察できなくなることを抑えられる。細胞取扱部材10の材料としては、透明材料以外では、シリコン、白金等の金属などが挙げられる。また、細胞取扱部材10が互いに異なる材料からなる複数の部材から構成されていても良く、単一の材料から構成されていても良い。
図1乃至図3に示すように、細胞取扱部材10は、底部11と、底部11に連続する側壁12と、を備える。側壁12の、底部11の反対側の端部には、開口部13が形成されている。開口部13は天部14によって覆われていても良い。細胞Cは、開口部13から空間Sに導入されても良く、天部14に形成された図示しない孔から空間Sに導入されても良い。
底部11は、底部内面11aと底部外面11bとを有する。底部内面11aと底部外面11bとは互いに平行であっても良い。底部内面11aに微細加工等により凹凸が形成されている場合、底部内面11aのうち凹凸が形成されていない部分が底部外面11bに平行であっても良い。底部外面11bは、細胞取扱部材10の使用時に鉛直方向下方を向く面である。また底部外面11bは、細胞取扱部材10の外方を向く面であり、載置台等に設置される面である。底部内面11aは、細胞取扱部材10の使用時に鉛直方向上方を向く面である。底部内面11aは、空間S側を向く面であり、細胞Cが保持される面である。本実施の形態において、底部内面11aはXY平面に平行な平坦面である。なお、これに限らず、底部内面11aに凹凸が形成されていてもよい。
側壁12は、底部11から高さ方向(Z軸方向)に延びている。側壁12は、側壁内面12aと側壁外面12bとを有する。側壁内面12aのうち凹部20が形成されていない部分と、側壁外面12bとは互いに平行である。側壁外面12bは、細胞取扱部材10の使用時に外方を向く面である。側壁内面12aは、細胞取扱部材10の使用時に内方を向く面である。側壁内面12aは、空間S側を向く面である。本実施の形態において、側壁内面12aのうち、凹部20が形成されていない開口部13側の部分は、YZ平面に平行な平坦面である。なお、これに限らず、側壁内面12aの全域にわたって凹部20が形成されていてもよい。
側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに、凹部20が形成されている。凹部20は、側壁内面12aから側壁外面12bに向けて凹むように形成される。図2の断面に示すように、底部11と側壁12とが連続している部分12cは、側壁内面12aの下端部(開口部13の反対側の端部)に位置する。なお、図4に示すように、底部内面11aの周縁が湾曲している場合、連続している部分12cとは、断面において底部内面11a及び側壁内面12aを構成する曲線の曲率の変化が最も大きくなる箇所をいう。
図2に示すように、凹部20は、空間Sから見て外側に向けて湾曲する弧状の断面を有する。凹部20の断面は、円弧状又は楕円弧状であっても良い。この場合、凹部20は、側壁内面12aの高さ方向に沿って複数形成されている。複数の凹部20は、全体として断面視で波形状を有している。
図3に示すように、凹部20は、底部11の底部内面11aに沿う方向に延びている。凹部20は、底部11に沿う方向に複数形成されていても良い。凹部20は、線状に延びる溝であっても良い。この場合、凹部20の長さ方向は、Y軸方向に平行である。なお、例えば細胞取扱部材10が細胞培養用シャーレ等である場合、底部内面11aが平面視で円形である。この場合、凹部20の長さ方向は、底部内面11aの外周に沿って円形となっても良い。凹部20は、連続的な一本の線状に延びていても良く、断続的な破線状に延びていても良い。凹部20の長さ方向距離(Y軸方向距離)は、側壁内面12aのうち、細胞Cの接着を抑えたい領域の長さに対応して良い。例えば、凹部20の長さ方向距離は、0.45μm以上20.0μm以下としても良い。
細胞取扱部材10が細胞収容容器である場合、凹部20は、細胞収容容器の周方向全域に設けられていても良い。あるいは、凹部20は、細胞収容容器の周方向の一部に設けられていても良い。また細胞取扱部材10がマイクロ流路デバイス等の送液部材である場合、複数の凹部20は、送液部材の流路の長さ方向全域に設けられていても良い。あるいは、複数の凹部20は、送液部材の流路の長さ方向の一部に設けられていても良い。
また複数の凹部20は、少なくとも底部内面11aの近傍に存在する。具体的には、複数の凹部20が存在する領域の高さH1(図1参照)は、底部内面11aから少なくとも5μm以上であることが好ましく、10μm以上とすることがさらに好ましい。本実施の形態において、複数の凹部20は、高さ方向に互いに連続して形成されている。なお、これに限らず、複数の凹部20は、高さ方向に断続的に形成されていても良い。これにより、細胞Cが側壁内面12aに沿って上昇することを抑制できる。
図5は、最も下方(底部11側)に位置する凹部20の周辺を拡大して示す断面図である。図5に示すように、各凹部20は、凹部下側頂部21と、凹部下側内面22と、凹部底部23と、凹部上側内面24と、凹部上側頂部25とを有する。凹部下側頂部21は、各凹部20の最も下側(底部11側)に位置する。凹部下側内面22は、凹部下側頂部21から凹部底部23に向けて延びる。凹部下側内面22は、凹部底部23より底部11側に位置する。この場合、凹部下側内面22は、側壁12の外側に向かって湾曲する湾曲面である。凹部底部23は、各凹部20のうち最も深い位置にある。すなわち凹部底部23は、凹部下側頂部21と凹部上側頂部25とを接続する接続線L1から最も遠い位置にある。凹部上側内面24は、凹部底部23から凹部上側頂部25に向けて延びる。凹部上側内面24は、凹部底部23より上側(開口部13側)に位置する。この場合、凹部上側内面24は、側壁12の外側に向かって湾曲する湾曲面である。凹部上側頂部25は、各凹部20の最も上側(開口部13側)に位置する。凹部上側頂部25は、空間S側に向けて鋭角的に突出する。凹部上側頂部25は、上方に隣接する凹部20の凹部下側頂部21と同一の位置に存在しても良い。
また凹部下側頂部21と凹部上側頂部25との高さ方向距離を凹部20の高さH2とする。このとき、凹部20の高さH2は、1.0μm以上としても良く、1.1μm以上としても良い。凹部20の高さH2は、3.0μm以下としても良く、2.0μm以下としても良い。一般に、単層の接着細胞の厚みは、2.9±0.6μm程度であることが知られている(例えば、Technical report: Cell thickness measurements by confocal fluorescence microscopy on C3H10T1/2 and V79 cells - PubMed (nih.gov)参照)。このため、凹部20の高さH2を上記範囲とすることにより、底部内面11aに吸着した細胞Cが凹部20に嵌まり込むことを抑え、細胞Cが凹部上側内面24に接着することを抑制できる。凹部20の高さH2とは、細胞取扱部材10の底部11のうち、細胞Cを保持する空間Sを形成する面(例えば底部内面11a)の反対側を向く面(例えば底部外面11b)を水平面に静置した場合に、凹部上側頂部25を通る水平線HL1と下側頂部21を通る水平線HL2との間の距離をいう。凹部20の高さH2は、走査型電子顕微鏡により凹部20の断面を観察し、観察画像を画像解析ソフトウェア等を用いて測定する等の手法により測定できる。
複数の凹部20が設けられている場合、複数の凹部20の高さH2が同一であっても良い。あるいは、複数の凹部20の高さH2が互いに異なっても良い。この場合、最も下方(底部11側)に位置する凹部20の高さH2が最も高くても良い。
また図5において、凹部下側頂部21と凹部上側頂部25とを接続する接続線L1と凹部底部23との距離を凹部20の深さD1とする。このとき、凹部20の深さD1は、200nm以上としても良く、300nm以上としても良い。凹部20の深さD1は、450nm以下としても良く、400nm以下としても良い。平面での実験において、細胞は幅450nmよりも狭いストライプ状の領域には接着できないことが知られている(例えば、http://webpark1390.sakura.ne.jp/research/nanopattern/nanopattern.html参照)。このため、凹部20の深さD1を上記範囲とすることにより、細胞Cが凹部下側内面22に接着することを抑えられる。これにより、細胞Cが側壁内面12aに沿って上昇することを抑制できる。凹部20の深さD1とは、上記接続線L1から凹部20内に向けた水平線の距離が最も長くなる場所と、上記接続線L1とを結ぶ、上記水平線に平行な線分の長さをいう。凹部20の深さD1は、走査型電子顕微鏡により凹部20の断面を観察し、観察画像を画像解析ソフトウェア等を用いて測定する等の手法により測定できる。
複数の凹部20が設けられている場合、複数の凹部20の深さD1が同一であっても良い。あるいは、複数の凹部20の深さD1が互いに異なっても良い。この場合、最も底部11に近い凹部20の深さD1が最も深くても良い。
また図5において、底部内面11aに平行かつ凹部底部23を通過する水平線HLと、凹部底部23と凹部上側頂部25とを結ぶ直線L2とのなす角を角度θ1とする。このとき、角度θ1は、40°以上としても良く、55°以上としても良い。角度θ1は、75°以下としても良く、70°以下としても良い。角度θ1を上記範囲とすることにより、凹部上側内面24が「返し」として機能し、細胞Cが凹部上側内面24を上昇することを抑制できる。なお、凹部上側内面24は、直線L2と交わらないことが好ましい。
さらに、凹部下側内面22又は凹部上側内面24の接線L3と、水平線HLとのなす角のうち側壁外面12b側に開いた角の角度θ2が0°以上105°以下となる領域A1(太線の領域)を、底部外面11bの垂線VLに投影することを想定する。このときの投影像PIが連続しており、かつ投影像PIの高さ方向距離H3は、450nm以下となることが好ましい。これにより、細胞Cが側壁内面12aに接着することをさらに抑制できる。
あるいは、上記投影像PIが連続しており、かつ投影像PIの高さ方向距離H3が450nm超であっても良い。この場合、接線L3と水平線HLとのなす角度θ2が0°以上105°以下となる領域A1と、当該領域A1に隣接しかつ上記角度θ2が0°以上105°以下となる他の領域A2までの高さ方向距離H4は、450nm超となることが好ましい。これにより、仮に細胞Cが側壁内面12aに接着した場合でも、細胞Cが側壁内面12aに沿って上昇することを抑制できる。
次に、本実施の形態による細胞取扱部材10の製造方法について説明する。
まず、図6(a)に示すように、底部11と、底部11に連続する側壁12とを有する基板10aを準備する。基板10aは、底部11と側壁12とによって取り囲まれることにより、空間Sが形成されている。この場合、一枚の基材に対して空間Sを切削することにより底部11と側壁12とを形成しても良い。あるいは、底部11と側壁12とが別部材から構成されても良い。この場合、底部11上に、空間Sに対応する開口を有する側壁12を積層しても良い。
続いて、図6(b)に示すように、側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに、凹部20を形成する。これにより、本実施の形態による細胞取扱部材10が得られる。底部11と側壁12とが別部材から構成される場合、あらかじめ側壁12の端部に凹部20を形成してもよい。この場合、前述した凹凸形状を形成できる公知の方法から、用いる材質などによって適宜選択すればよい。例えば側壁12上に硬化性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、所望の凹凸形状を有する金属や樹脂製の凹凸形成用原版の凹凸形状を、前記硬化性樹脂組成物の塗膜に賦型する。その後、当該硬化性樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸構造体を形成し、前記微細凹凸構造体を凹凸形成用原版から剥離する方法を用いても良い。あるいは、基材上に、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に加熱して当該熱可塑性樹脂を液状とする。その後、所望の微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体形成用原版の凹凸形状を、前記熱可塑性樹脂組成物の塗膜に賦型し、当該熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下に冷却して、前記原版を剥離する方法を用いても良い。また、集束イオンビーム加工などの手法を用いて側壁12に直接凹部20を形成してもよい。側壁12がシリコンから構成される場合、例えばドライエッチング法により側壁12に凹部20を形成しても良い。ドライエッチング法としては、例えばボッシュプロセスを用いたDRIE(Deep Reactive Ion Etching)法等が用いられる。
このように、側壁12の材料がシリコンであり、DRIE法により凹部20が形成される場合、側壁12へ凹部20を容易に形成できる。また、凹部20の周辺の部材が側壁12の他の部分から遊離して異物となる可能性が少ない。なお、凹部20は、側壁12を形成するための底面方向のエッチングと同時に形成されても良い。この場合、側壁12を個別に加工する工程を設ける必要がなく効率的である。底部11と側壁12が別部材により構成される場合は、部材の材質や使用目的に応じて接着剤、熱、超音波、素材の自己吸着性等の公知の接合技術を利用し、底部11と側壁12とを接合できる。またはシリコンリングなどの治具を用いて底部11と側壁12とを密着させた状態で空間Sを形成してもよい。
このほか、本実施の形態による細胞取扱部材10は、微小な流路構造を有するマイクロデバイスの製造に用いられている方法など、公知の微細加工法を利用して製造できる。該微細加工法としては、例えばフォトリソグラフィ法、電子ビームリソグラフィー法、ナノインプリント法、エッチング法、切削法等が挙げられる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、細胞取扱部材10には、複数の細胞Cが収容又は導入され、細胞Cが空間S内に保持される。例えば細胞取扱部材10が細胞収容容器である場合、細胞Cは、空間S内で細胞収容容器の底部11に一定時間留めるように収容される。あるいは、細胞取扱部材10がマイクロ流路デバイス等の送液部材である場合、複数の細胞Cは、流路を構成する空間S内で底部11に沿って移動する。
空間S内において、細胞Cは底部11上に保持される。細胞Cは、直接底部11上に収容又は導入されても良く、細胞懸濁液に含まれる状態で収容又は導入されても良い。複数の細胞Cは底部11上で広がり、一部の細胞Cは、側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに達する。このとき細胞Cは、側壁12に細胞接着したり、底部11から側壁12へ移動し、意図せず側壁12を上昇したりすることが考えられる。
これに対して本実施の形態においては、側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに凹部20が形成されている。凹部20は、側壁12の外側に向けて湾曲する弧状の断面を有する。これにより、細胞Cと側壁12との接触面積を小さくできる。この結果、底部11と側壁12とが連続している部分12cに達した細胞Cが、側壁12に接着することを抑制できる。また、仮に細胞Cが側壁12に接着した場合でも、側壁12との接着面積が狭いため、細胞Cを側壁12から容易に剥離できる。
また本実施の形態によれば、凹部20が、側壁12の外側に向けて湾曲する弧状の断面を有する。この場合、凹部20の凹部上側内面24は、凹部底部23側から上方に向かうにつれて、空間S側に向けて延びる。凹部上側内面24は、底部11から伸展してくる細胞Cを底部11側に戻す「返し」のような役割を果たす。この場合、細胞Cが凹部上側内面24を上昇するためにより多くのエネルギーが必要となる。このため、細胞Cが凹部上側内面24に沿って開口部13方向へ伸展することが困難になる(図2の矢印参照)。これにより、側壁12のうち、底部11と側壁12とが連続している部分12cに達した細胞Cが側壁12に沿って上昇することを抑制できる。
また本実施の形態によれば、側壁12が凹部20を有することにより、側壁12が撥水性を有する。これにより、細胞取扱部材10から例えば細胞懸濁液等の液体を排出する際に、凹部20への液体の侵入を抑制し、液体が側壁12へ残存することを抑制できる。
また本実施の形態によれば、側壁12が凹部20を有することにより、側壁12の表面積が増加する。これにより、側壁12の外部との熱のやりとりが活発になり、細胞取扱部材10の熱伝導性が向上する。
また本実施の形態によれば、凹部20は、底部11に沿う方向に延びる。これにより、ピラー構造等と比較して空間Sに保持された細胞懸濁液等の液体に流れが生じる場合に、このような流れを妨げることがない。なお、細胞懸濁液等の液体に流れが生じる場合とは、例えば細胞懸濁液等の液体を撹拌したり、液体を送液したりする場合が挙げられる。
また、図7に示すように、例えば細胞取扱部材10が細胞収容容器である場合、通常、細胞Cは底部11に沈降するか細胞懸濁液等の液体中に浮遊する。細胞Cは重力に従い沈降し、底部11で接着増殖することが考えられる。この際、底部11と側壁12とが連続している部分12cに近い細胞Cは、接着又は分裂増殖等の過程を経て、側壁12にも接着進展しようとする。本実施の形態においては、側壁12が凹部20を有することにより、細胞接着性を低下させ、側壁12への細胞Cの移動を抑制できる。
また、細胞取扱部材10が細胞収容容器である場合、細胞取扱部材10は、シリンジ等、細胞収容容器内で流れが生じ得る容器であっても良い。図8に示すように、細胞取扱部材10は、細胞懸濁液の送液部材であっても良い。例えば図9に示すように、細胞取扱部材10がマイクロ流路デバイスである場合、細胞取扱部材10は、流路51と、流路51に連通する開口部52とを有する。開口部52には、細胞懸濁液が導入されるか、又は、開口部52から細胞懸濁液が排出される。流路51を構成する側壁12の材料は細胞接着性をもつことが多い。また流路51内に導入した細胞懸濁液が滞留した場合、細胞Cが重力に従って沈降し、底部11に接着する場合がある。本実施の形態においては、底部11に接着した細胞Cが側壁12に沿って進展していくことを凹部20によって抑制できる。これにより、接着した細胞Cによって流路51の断面積が狭められたり、流路51が閉塞したりすることを抑制できる。
図10に示すように、細胞取扱部材10は、細胞懸濁液の撹拌又は振盪を伴う培養容器であっても良い。撹拌又は振盪を伴う培養を行う際、細胞が浮遊した状態で培養されることを期待する場合があるが、細胞懸濁液の流れが不十分な箇所においては、底面へ意図しない細胞接着が発生するおそれがある。本例においては、底部11に接着した細胞Cが側壁12に沿って進展していくことを凹部20によって抑制できる。これにより細胞Cの培養空間の減少や、接着細胞数の増加を抑制できる。
図11に示すように、細胞取扱部材10は、細胞懸濁液の輸送を伴う保管容器であっても良い。細胞懸濁液の輸送や保管においては、底面へ意図しない細胞接着が発生する可能性がある。本例においては、底部11に接着した細胞Cが側壁12に沿って進展していくことを凹部20によって抑制できる。これにより、細胞Cの回収時の収率の低下を防ぐことができる。また、細胞懸濁液の保管や輸送の際には保管容器を冷蔵又は冷凍することもある。仮に側壁にコーティングを施すことによって側壁への細胞接着性を低減させた場合、温度変化によるコーティング剤の機能の低下や剥離が懸念される。このため、コーティングを用いない本例を好適に利用できる。
[実施例]
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
(実施例)
図1に示す細胞取扱部材(実施例)を作製した。この場合、まず基材となるシリコンウエハをDRIE法にてエッチングし、底部と側壁とを有する空間を形成した。また、側壁に複数の溝状の凹部を形成した。底部から5μmの高さまでに形成された凹部の高さの平均値は、1.16μmであった。凹部の深さの平均値は、400nmであった。次に、複数の凹部を形成したウエハ上にCCL163細胞を2.0×10cell滴下した。その後、側壁上に天部となるカバーガラスを密着させた。次に、細胞取扱部材(実施例)をインキュベーター内に静置し、細胞を培養した。培養を開始して24時間後、カバーガラスを取り外し、4%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した。固定した細胞をエタノール上昇系列によって脱水し、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。この結果、側壁に接着した細胞はほとんど観察されなかった(図12(a)参照)。
(比較例1)
側壁に凹部を形成しなかったこと、以外は、上述した細胞取扱部材(実施例)と同様に、細胞取扱部材(比較例1)を作製した。実施例の場合と同様に細胞を播種したのち側壁が平滑面となる向きに部材を転回させた状態で培養し、培養した細胞を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。この結果、側壁に多数の細胞が接着していることが観察された(図12(b)参照)。
(比較例2)
キュリバイオ社製の微細凹凸培養基材である細胞取扱部材(35mm NanoSurface Dish、比較例2)を準備した。細胞取扱部材(比較例2)において、図16に示すように、側壁の凹部の断面形状は矩形状であった。なお、側壁の凹部の深さは600nmであり、側壁の凹部の高さは800nmであった。実施例の場合と同様に細胞を培養し、培養した細胞を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。この結果、側壁に多数の細胞が伸展していることが観察された(図12(c)参照)。
[変形例]
次に、図13乃至図15を参照して、本実施の形態の各変形例について説明する。図13乃至図15は、それぞれ本実施の形態の変形例を示す図である。図13乃至図15において、図1乃至図12に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(第1変形例)
図13及び図14は、細胞取扱部材10の第1変形例を示している。図13及び図14に示す変形例は、凹部20に隔壁26が設けられている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図12に示す実施の形態と略同一である。
図13及び図14に示す細胞取扱部材10において、凹部20は、側壁12の外側に向けて湾曲する弧状の断面を有する。また、凹部20に、側壁12の高さ方向に延びる隔壁26が設けられている。隔壁26は、1つの凹部20内に複数設けられていても良い。この場合、隔壁26同士は、凹部20の長さ方向に間隔を空けて配置されていても良い。また、1つの凹部20内の隔壁26と、当該凹部20に隣接する凹部20内の隔壁26とが連続していても良い。
図14に示すように、凹部20の長さ方向に沿う断面において、隔壁26は、2つの隔壁面26aを有する。2つの隔壁面26a同士は隔壁頂部26bで接続されている。凹部20の長さ方向に沿う断面において、隔壁頂部26bの角度は鋭角であっても良い。隔壁26の幅(凹部20の長さ方向に沿う長さ)W1は、30nm以上であっても良く、40nm以上であっても良い。隔壁26の幅W1は、90nm以下であっても良く、60nm以下であっても良い。また隔壁26の同士の間隔(凹部20の長さ方向に沿う長さ)P1は、240nm以上であっても良く、800nm以上であっても良い。隔壁26の間隔P1の上限は特に限定されないが、例えば10000nm以下であっても良く、1500nm以下であっても良い。
このように、凹部20に隔壁26が設けられていることにより、側壁12の表面積が増加する。これにより、側壁12の外部との熱のやりとりが活発になり、細胞取扱部材10の熱伝導性が向上する。
(第2変形例)
図15は、細胞取扱部材10の第2変形例を示している。図15に示す変形例は、凹部20の断面形状が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図12に示す実施の形態と略同一である。
図15に示す細胞取扱部材10において、凹部20は、側壁12の外側に向けて凹む断面を有する。凹部20は、側壁内面12aの高さ方向に沿って複数形成されている。この場合、凹部20の断面は、連続する複数の線分から構成されている。複数の凹部20は、全体として断面視でジグザグ形状を有している。
凹部20は、凹部下側頂部21と、凹部下側内面22と、凹部底部23と、凹部上側内面24と、凹部上側頂部25とを有する。凹部下側内面22は、凹部下側頂部21から凹部底部23に向けて延びる。この場合、凹部下側内面22の断面は、凹部下側頂部21から凹部底部23に向かって折れ線状に延びる。なお、これに限らず、凹部下側内面22の断面は、凹部下側頂部21から凹部底部23に向かって一直線状に延びても良い。凹部底部23の断面は、外側に向けて鋭角的に突出しても良い。凹部上側内面24は、凹部底部23から凹部上側頂部25に向けて延びる。この場合、凹部上側内面24の断面は、凹部底部23から側壁12の内側に向かって折れ線状に延びる。なお、これに限らず、凹部上側内面24の断面は、凹部底部23から凹部上側頂部25に向かって一直線状に延びても良い。凹部上側頂部25は、空間S側に向けて鋭角的に突出する。
上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10 細胞取扱部材
11 底部
11a 底部内面
11b 底部外面
12 側壁
12a 側壁内面
12b 側壁外面
12c 部分
13 開口部
14 天部
20 凹部
21 凹部下側頂部
22 凹部下側内面
23 凹部底部
24 凹部上側内面
25 凹部上側頂部
26 隔壁
C 細胞
S 空間

Claims (11)

  1. 底部と、
    前記底部に連続する側壁と、を備え、
    前記底部と前記側壁とにより、細胞を保持する空間が形成され、
    前記側壁のうち、前記底部と前記側壁とが連続している部分に、凹部が形成され、
    前記凹部の高さは、1.0μm以上3.0μm以下である、細胞取扱部材。
  2. 前記凹部は、前記底部に沿う方向に延びる、請求項1に記載の細胞取扱部材。
  3. 前記凹部は、前記空間から見て外側に向けて湾曲する弧状の断面を有する、請求項1又は2に記載の細胞取扱部材。
  4. 前記凹部の深さは、200nm以上450nm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  5. 前記側壁の高さ方向に複数の前記凹部が形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  6. 前記凹部は、凹部上側頂部と、凹部底部とを有し、
    前記凹部上側頂部は、前記凹部の最も上側に位置し、
    前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、
    断面において、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線と、前記凹部底部と前記凹部上側頂部とを結ぶ直線とのなす角は、75°以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  7. 前記凹部は、凹部下側内面と、凹部底部と、凹部上側内面とを有し、
    前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、
    前記凹部下側内面は、前記凹部底部よりも下側に位置し、
    前記凹部上側内面は、前記凹部底部よりも上側に位置し、
    断面において、前記凹部下側内面又は前記凹部上側内面の接線と、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線とのなす角のうち前記側壁の外面側に開いた角の角度が0°以上105°以下となる領域を、前記底部の外面の垂線に投影したときの投影像が連続しており、かつ前記投影像の高さ方向距離は、450nm以下となる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  8. 前記凹部は、凹部下側内面と、凹部底部と、凹部上側内面とを有し、
    前記凹部底部は、前記凹部のうち最も深い位置にあり、
    前記凹部下側内面は、前記凹部底部よりも下側に位置し、
    前記凹部上側内面は、前記凹部底部よりも上側に位置し、
    断面において、前記凹部下側内面又は前記凹部上側内面の接線と、前記底部の内面に平行かつ前記凹部底部を通過する水平線とのなす角のうち前記側壁の外面側に開いた角の角度が0°以上105°以下となる領域を、前記底部の外面の垂線に投影したときの投影像が連続しており、かつ前記投影像の高さ方向距離は、450nm超であり、
    前記角度が0°以上105°以下となる前記領域と、当該領域に隣接しかつ前記角度が0°以上105°以下となる他の領域までの高さ方向距離は、450nm超である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  9. 前記凹部に、前記側壁の高さ方向に延びる隔壁が設けられている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  10. 細胞収容容器又は送液部材である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の細胞取扱部材。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の細胞取扱部材の製造方法であって、
    前記底部と前記側壁とを有する基板を準備する工程と、
    前記側壁のうち、前記底部と前記側壁とが連続している部分に、DRIE法により凹部を形成する工程と、を備えた、細胞取扱部材の製造方法。
JP2022044554A 2022-03-18 2022-03-18 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法 Pending JP2023138062A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022044554A JP2023138062A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022044554A JP2023138062A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023138062A true JP2023138062A (ja) 2023-09-29

Family

ID=88145726

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022044554A Pending JP2023138062A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023138062A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9126199B2 (en) Hanging drop plate
CN107109341B (zh) 用于生成和培养3d细胞聚集体的方法和装置
US20190322969A1 (en) Devices and methods for generation and culture of 3d cell aggregates
US9034636B2 (en) Microfluidic hanging drop chip
US9557318B2 (en) Array plates for washing samples
US20080085556A1 (en) Culture device
KR20170052524A (ko) 배양용기
JP2013533491A5 (ja)
WO2012133514A1 (ja) 胚様体形成用培養容器
JP6248476B2 (ja) 加振装置
JP6686958B2 (ja) 細胞処理容器
US20220127553A1 (en) Microplates for automating organoid cultivation
JP2009050201A (ja) 初期胚等用培養器具
JP6349847B2 (ja) 細胞培養容器
WO2013047655A1 (ja) iPS細胞用培養容器
US20210292707A1 (en) Method for the culturing of cells
JP2023138062A (ja) 細胞取扱部材及び細胞取扱部材の製造方法
JP2017216967A (ja) 細胞培養容器
JP2019086375A (ja) 顕微鏡観察用サンプルの作製方法およびサンプル作製キット
US8505109B2 (en) Measuring probe device for a probe microscope, measuring cell and scanning probe microscope
JP6427988B2 (ja) 細胞培養容器
US20160102281A1 (en) Hanging drop plate
JP6252043B2 (ja) 培地充填方法
JP6326905B2 (ja) 細胞培養容器
AU2006216110A1 (en) Culture device