JP2023135313A - ラクトン類製造用触媒及びラクトン類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法、特にコハク酸を原料とした場合でも高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法と、そのためのラクトン類製造用触媒を提供する。【解決手段】触媒存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造する方法であって、前記触媒が、ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素M、及び1分子内に2以上の配位座を有する有機配位子を含有し、且つ、前記有機配位子が前記配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内に5員環又は6員環(但し、前記芳香族炭化水素基を除く)を有する、ラクトン類の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の原料化合物の水素化によりラクトン類を製造する方法及びそのためのラクトン類製造用触媒に関する。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造する方法は古くから検討されており、これまでに種々の触媒が提案されている。
例えば、均一系のルテニウム触媒を使用して上記の水素化反応を行うラクトン類の製造法が知られており、特許文献1には、〔RuX(PR〕型の触媒を使用して40~400psiの条件で水素化反応を行うことが記載されている。また特許文献2には同様の触媒による水素化反応を有機アミンの存在下に行うことが記載されている。更には特許文献3には〔Ru(SnCl)(MR〕型の触媒を用いて水素化反応を行うことが記載されている。
特許文献4にはルテニウム、単座配位子型の有機ホスフィン、及びpKaが2よりも小さい酸の共役塩基を含有するルテニウム系触媒を用いるラクトン類の製造方法が記載されている。
特許文献5にはルテニウム、単座配位子型の有機ホスフィン、及び周期律表第IVA、VA、IIIB族に属する金属化合物を含有するルテニウム系触媒を用いるラクトン類の製造方法が記載されている。
米国特許第3957827号明細書 米国特許第4485246号明細書 米国特許第4485245号明細書 特公平7-78054号公報 特公平7-121925号公報
しかしながら、特許文献1~5に記載の方法は、目的物の反応収率が低いという課題があった。
また、特許文献4及び5に記載されている、単座配位子型の有機ホスフィンを用いた場合、目的物の反応収率がさらに低く、特に、原料化合物として、目的物であるラクトン類の製造に多用されるコハク酸を用いた場合、目的物の反応収率が著しく低いという課題があった。
本発明は、高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法及びそのためのラクトン類製造用触媒を提供することを目的とする。さらに、コハク酸を原料とした場合でも高収率で目的物を得ることができるラクトン類の製造方法及びそのためのラクトン類製造用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のルテニウム又はイリジウム系触媒を用いることで、目的物の反応収率を顕著に改善することができることを見出した。
即ち、本発明の第1の要旨は、ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素M、及び、1分子内に2以上の配位座を有する有機配位子を含有する、ラクトン類製造用触媒であって、前記有機配位子が、前記配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内に5員環又は6員環(但し、前記芳香族炭化水素基を除く)を有する、ラクトン類製造用触媒、にある。
本発明の第2の要旨は、このラクトン類製造用触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化して、ラクトン類を製造する、ラクトン類の製造方法、にある。
本発明のラクトン類製造用触媒を用いることにより、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化してラクトン類を製造するに当たり、高収率で目的物を得ることができる。
さらに、コハク酸を原料とした場合でも高収率で目的物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値または物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
[ラクトン類製造用触媒]
本発明のラクトン類製造用触媒は、ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素M、及び、1分子内に2以上の配位座を有する有機配位子を含有する、ラクトン類製造用触媒であって、前記有機配位子が、前記配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内に5員環又は6員環(但し、前記芳香族炭化水素基を除く)を有することを特徴とする。
<元素M>
元素Mとしては、その供給形態において金属元素M及び元素M化合物のいずれもが使用可能である。
元素M化合物のうち、ルテニウム化合物としては、ルテニウムの酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトン)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、ビス(トリ-n-ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフエニルホスホニウム、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ポリマー、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(I)ジクロリド等が挙げられ、好ましくは塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、酢酸ルテニウムである。
元素M化合物のうち、イリジウム化合物としては、イリジウムの酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には、二酸化イリジウム、四酸化イリジウム、二水酸化イリジウム、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、硝酸イリジウム、酢酸イリジウム、トリス(アセチルアセトン)イリジウム、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム、テトラカルボニルイリジウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルイリジウム、シクロペンタジエニルジカルボニルイリジウム、ジブロモトリカルボニルイリジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドイリジウム、ビス(トリ-n-ブチルホスフィン)トリカルボニルイリジウム、ドデカカルボニルトリイリジウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトライリジウム、オクタデカカルボニルヘキサイリジウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリイリジウム酸テトラフエニルホスホニウム、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(II)ポリマー、ビス(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)ジクロリド等が挙げられる。
これらの元素M及び元素M化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
即ち、金属ルテニウム及びルテニウム化合物の1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの金属イリジウム及びイリジウム化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、金属ルテニウム及びルテニウム化合物の1種又は2種以上と、金属イリジウム及びイリジウム化合物の1種又は2種以上を併用してもよい。
元素Mとしては、特に触媒性能に優れ、目的物が高収率で得られる観点からルテニウムが好ましく、従って、金属ルテニウム及び/又はルテニウム化合物を用いることが好ましい。
<有機配位子>
本発明で用いる有機配位子(以下、「本発明の有機配位子」と称す場合がある。)は、1分子内に2以上の配位座を有する有機配位子であって、この配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内にこの芳香族炭化水素基とは別の5員環又は6員環を有することを特徴とする。
このような有機配位子が、ルテニウム及び/又はイリジウムである元素Mとの組み合わせにおいて、優れたラクトン類製造の水素化触媒活性を示すメカニズムは定かでないが、ラクトン類製造用触媒の安定性に優れることで、該触媒が有する性能が高くなるためと推察される。
本発明の有機配位子は、ラクトン類製造用触媒の安定性に優れ、目的物が高収率で得られる観点から、1分子内に2以上の配位座を有する多座配位子であればよいが、目的物をより高収率で得る観点から、配位座の数は2~4であることが好ましく、配位座が2つの2座配位子であることがより好ましい。
また、前述の元素Mは、目的物を高収率で得る観点から、このような配位座を介して、配位狭角95゜以上でキレート配位していることが好ましい。前記配位狭角が95゜以上とすることで、目的物をより高収率で得られる理由は定かではないが、前述の元素Mに本発明の有機配位子が配位した時に前記配位狭角95゜以上であれば、ラクトン類製造用触媒分子中の歪が高くなり、該触媒が有する反応活性が高くなるためと推定される。
元素Mが2以上の配位座に対して、配位狭角95゜以上でキレート配位するためには、本発明の有機配位子が、前記配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内に5員環又は6員環(但し、前記芳香族炭化水素基を除く)を有する有機配位子であればよい。
この配位狭角は95゜以上であればよく、目的物をより高収率で得る観点から97゜以上が好ましく、98.5゜以上がより好ましく、102゜以上がさらに好ましい。一方、前記配位狭角の上限は、特に限定されないが、通常は130゜以下、好ましくは120゜以下である。
なお、本発明における「配位狭角(bite-angle)」は、当業者に公知であり、例えばP.W.N.M.van Leeuwen et al.、Chem.Rev.2000、2741で説明されているものを採用できる。或いは又、この分野の当業者であれば、分子力場計算等の公知の計算方法を用いて測定することができる。
また、本発明の有機配位子の配位座は、特に限定されるものではなく、例えば、アリーロキシ基、ピロリル基、インドリル基、アミド基、シリルアミド基、スルホンアミド基およびアリールチオ基から選ばれる基のヘテロ原子、若しくは、イミン、ケトン、アルデヒド、アミン、エーテル、ホスフィンおよびスルフィドから選ばれる化合物のヘテロ原が挙げられる。前記ヘテロ原子は、特に限定されるものではなく、例えば、リン原子、酸素原子、イオウ原子、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、スズ原子、ホウ素原子等の中から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられるが、目的物をより高収率で得る観点から、リン原子が好ましい。
さらに、本発明の有機配位子としては、目的物をより高収率で得る観点から、リン原子を配位座とする有機ホスフィンであることが好ましく、特に3価のリン原子を配位座とする有機ホスフィンであることが好ましい。
かかる有機ホスフィンとしては、ラクトン類製造用触媒の安定性に優れ、目的物が高収率で得られる観点から、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「有機ホスフィン(1)」と称す場合がある。)を含むことが好ましい。
Figure 2023135313000001
[式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、若しくは、置換基又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1~8の炭化水素基を表す。RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよいし、RとRは置換基を有していてもよい同一の炭素原子として環状構造を形成してもよい。Aは、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい窒素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~4の炭化水素基を表す。X、X、X及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表し、X~Xのうちの少なくとも1つは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
上記一般式(I)中、R~Rの置換基又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1~8の炭化水素基としては、炭素数1~8のアルキル基等が挙げられる。
~Rとしては、原料化合物に対するラクトン類製造用触媒の立体障害が小さく、また、ラクトン類製造用触媒の溶解性に優れる観点から、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、特にR、R、R、R、R、Rについては水素原子であることが好ましい。
前記置換基は、特に限定されないが、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が挙げられる。前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子は、特に限定されないが、具体的には、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種の非金属原子が挙げられる。前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基がが挙げられ、フェニル基、トリル機、o-キシリル基、m-キシリル基、p-キシリル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。置換基の数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
とRとが互いに結合して環状構造を形成する場合、該環状構造としては1個以上のメチレン基からなる構造(-(CH-,iは1~40の整数)が挙げられる。また、RとRは置換基を有していてもよい同一の炭素原子として環状構造を形成してもよい。
Aは、特に限定されないが、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい窒素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~4の炭化水素基が挙げられ、好ましくは酸素原子である。
、X、X、Xは、本発明の有機配位子における、配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基に該当し、X~Xのうちの少なくとも1つは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
該芳香族炭化水素基としては、炭素数6~60、好ましくは6~20、より好ましくは6~14の芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、アズレニニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
また、該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、特に限定はないが、好ましくはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、エステル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、スルホニル基、シリル基、ボリル基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルケニル基、炭素数1~8のアルキニル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基等が挙げられる。また、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。該芳香族炭化水素基は、ラクトン類製造用触媒の熱安定性の観点から置換基を有しないことが好ましい。
、X、X、Xのうちの少なくとも一つは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であるが、好ましくはX~Xのうちの1~3個が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、より好ましくはX~Xのうちの1又は2個が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはX~Xのすべてが置換基を有さない芳香族炭化水素基であることが好ましい。
~Xのすべてが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の場合、X~Xは同一の置換基に限られず、異なる置換基であっても良いし、或いは又、前記芳香族炭化水素基は同一の芳香族炭化水素基に限られず、異なる芳香族炭化水素基であってもよい。
ただし、ラクトン類製造用触媒の熱安定性の観点からX~Xのすべてが同一の置換基を有していてもよい、同一の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
~Xのうちのいずれか3つ以下が置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基以外の場合、当該の3つ以下の置換基は、同一の置換基に限られず、異なる置換基であっても良いし、或いは又、前記芳香族炭化水素基は同一の芳香族炭化水素基に限られず、異なる芳香族炭化水素基であってもよい。
本発明の有機配位子の具体例としては、後掲の実施例において用いられた有機ホスフィンc、有機ホスフィンd、有機ホスフィンe、有機ホスフィンf、有機ホスフィンg、有機ホスフィンh、有機ホスフィンi、有機ホスフィンjが挙げられる。
これらの有機配位子は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<元素Mと有機配位子の割合>
本発明のラクトン類製造用触媒を構成する元素Mと有機配位子の割合は、元素Mモルに対して、0. 1~1000モルの範囲であることが好ましく、1~100モルの範囲であることがより好ましい。
<ラクトン類製造用触媒の製造方法>
本発明のラクトン類製造用触媒は、水素化反応に先立ち、予め合成、単離して使用してもよいし(例えば、J.Organometal.Chem.77 C-31(’74))、または、その前駆体をそれぞれ単独に反応系に添加して反応系内でラクトン類製造用触媒を調製して使用してもよい。
本発明で用いるラクトン類製造用触媒の合成法は、特に限定されるものではなく、公知のラクトン類製造用触媒の合成方法から任意に選択できるが、例えば、共沈法、水熱法、ゾル-ゲル法など公知の方法を用いることができる。
[ラクトン類の製造方法]
本発明のラクトン類の製造方法は、触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、「原料化合物」と称す場合がある。)を水素化してラクトン類を製造する方法において、触媒として上述の本発明のラクトン類製造用触媒を用いることを特徴とする。
本発明に係る水素化反応は、上述した水素化反応の反応性に優れ、使用する原料化合物の量を格段に低減でき、さらに反応後は抽出等の操作により生成物であるラクトン類を簡便に単離・精製することができる観点から液相中で行うことが好ましい。
<原料化合物>
本発明で原料化合物とするジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸エステルは、炭素数が3~7の飽和又は不飽和のジカルボン酸或いはその誘導体であって、エステルとしてはアルキルエステルが好ましい。特にカルボン酸骨格としては炭素数4の誘導体が好ましい。
原料化合物としては、具体的には、フマール酸、コハク酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、マレイン酸ジメチル、フマール酸ジエチル、コハク酸-ジ-n-ブチル、コハク酸モノメチル、マレイン酸モノメチル等が挙げられる。
これらの原料化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、通常は1種のみが用いられる。
<ラクトン類製造用触媒の使用量>
本発明のラクトン類の製造方法において、本発明のラクトン類製造用触媒のうち、元素M及び元素M化合物使用量は、反応液1L中の元素M換算の濃度として通常0.0001~100モル、好ましくは0.001~10モルとなる量であることが反応収率の観点から好ましい。
また、本発明の有機配位子の使用量は、元素M1モルに対して、通常0.1~1000モル、好ましくは1~100モルの範囲である。
<溶媒>
本発明のラクトン類の製造方法において、原料化合物の水素化反応は、溶媒の不存在下に、すなわち原料化合物そのものを溶媒として実施することもできるが、原料化合物以外の溶媒を使用することもできる。
このような溶媒としては例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフエノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、フエノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸等のカルボン酸類;酢酸メチル、酢酸n-ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキサメチルリン酸トリアミド;N,N,N’,N’-テトラエチルスルファミド等のその他のアミド類;N,N’-ジメチルイミダゾリドン、N,N,N,N-テトラメチル尿素等の尿素類;ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類;γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、18-クラウン-6等のポリエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等;などが挙げられる。
これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<水素化反応方法>
本発明のラクトン類の製造方法により水素化反応を行うためには、反応容器に原料化合物と触媒成分並びに所望により溶媒を装入し、これに水素を導入すればよい。水素は、窒素や二酸化炭素等の反応に不活性なガスで希釈されたものであってもよい。
反応温度は、通常50~250℃、好ましくは100~210℃である。反応系内の水素分圧は、通常0.1~100kg/cm、好ましくは0.9~10kg/cmである。これよりも低い圧力又は高い圧力下で実施することも可能ではあるが、工業的に有利ではない。
反応は、回分方式および連続方式のいずれで実施することもできる。回分方式の場合の所要反応時間は通常1~20hrsである。
反応生成液からは、蒸留、抽出等の通常の分離精製手段により、目的物であるラクトン類を回収することができる。また、蒸留残渣は、触媒成分として反応系に循環することができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の実施例及び比較例で使用した化合物は以下のとおりである。
有機配位子として、以下に示す有機ホスフィンa~mを用いた。なお、下記構造式において、「Ph」はフェニル基を表し、「Cy」は「シクロヘキシル基」を表す。
Figure 2023135313000002
有機ホスフィンa:商品名 dppe、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンb:商品名 dppp、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンc:商品名 dppf、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンd:商品名 XantPhos、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンe:商品名 4,5-Bis(dicyclohexylphosphino)- 9,9-dimethylxanthene、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンf:商品名 DPEphos、関東化学株式会社製
有機ホスフィンg:商品名 Diphosphorite、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンh:商品名 C―TunePhos、Sigma-Aldrich社製
有機ホスフィンi:商品名 (R)-(-)-DTBM-SEGPHOS、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンj:商品名 DIOP、東京化成工業株式会社製
有機ホスフィンk:商品名 DUPhos、東京化成工業株式会社製
配位子l:商品名 フェナントロリン、東京化成工業株式会社製
配位子m:商品名 (S,S)-2,6-Bis(4-isopropyl-2-oxazolin-2-yl)pyridine、東京化成工業株式会社製
無水コハク酸:商品名 無水コハク酸、東京化成工業株式会社製
CH(OCHCHOCH:商品名 トリグリム、三協化学株式会社製
[Ru(COD)Cl:商品名 ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(II),ポリマー、Sigma-Aldrich社製
[Ir(COD)Cl]:商品名 ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド、Sigma-Aldrich社製
Ni(COD):商品名 ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)、Sigma-Aldrich社製
[Rh(COD)Cl]:商品名 クロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、Sigma-Aldrich社製
以下の実施例及び比較例では、下記反応式に従って、無水コハク酸(以下、「SAH」と略記する。)の水素化によるγ-ブチロラクトン(以下、「GBL」と略記する。)の製造を行った。
Figure 2023135313000003
[実施例1]
(SAHからGBLへの水素化反応)
内容量50mLの密閉式のSUS製反応器の内部を窒素置換した後、窒素を反応器内に供給しながら、原料化合物として無水コハク酸(SAH) 20mmol、元素M化合物として[Ru(COD)Cl 0.04mmol、有機配位子として有機ホスフィンa 0.042mmol、溶媒としてCH(OCHCHOCH 20mLを、この順に反応器内に添加した。次いで、攪拌しながら反応器内の水素置換を3回行なった後、水素ゲージ圧1.0MPaGとなるように水素を圧入した後、140℃で2時間加熱した。なお、30分毎に反応器内の圧力(水素ゲージ圧)を記録した。加熱終了後、反応器を氷浴につけて反応を停止させ、15分後に反応器内の温度を室温に戻した後、反応器を開封し、反応器内の反応生成液を十分攪拌した後に、反応生成液の重量を測定した。
得られた反応生成液の一部を採取し、ガスクロマトグラフィー内部標準法により以下の方法で分析し、生成物であるGBLの収率を求めた。
これらの結果を表1に示した。
<ガスクロマトグラフィー分析方法>
ガスクロマトグラフィー分析装置((株)島津製作所製GC-17A型)にて、Agilent社製DB-1カラム(無極性)を用い、GBLを分析した。
[実施例2~6、比較例1~7]
有機配位子として、有機ホスフィンaの代わりに、表1に記載した有機ホスフィンb~k、または配位子l~mを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。GBL収率の測定結果を表1に示した。
Figure 2023135313000004
[実施例7~10、比較例8~10]
元素M化合物として[Ru(COD)Cl 0.04mmolの代わりに、[Ir(COD)Cl] 0.02mmolを用い、さらに有機配位子として表2に記載した有機ホスフィンd~f,h、j、または配位子l~mを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。GBL収率の測定結果を表2に示した。
Figure 2023135313000005
[比較例11~12]
元素M化合物として[Ru(COD)Cl 0.04mmolの代わりに、Ni(COD) 0.04mmolを用い、さらに有機配位子として表3に記載した有機ホスフィンd、jを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。GBL収率の測定結果を表3に示した。
[比較例13~14]
元素M化合物として[Ru(COD)Cl 0.04mmolの代わりに、[Rh(COD)Cl] 0.02mmolを用い、さらに有機配位子として表3に記載した有機ホスフィンd、fを用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。GBL収率の測定結果を表3に示した。
Figure 2023135313000006
[実施例11]
有機配位子として、有機ホスフィンaの代わりに、有機ホスフィンd、元素M化合物として、[Ru(COD)Cl]nの代わりに、[Ru(acac)3]、無水コハク酸(SAH)の代わりにコハク酸を用いた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。GBL収率の測定結果を表4に示した。
Figure 2023135313000007
表1、表2及び表4より明らかなように、実施例1~11の製造条件では、GBL収率に優れていた。
一方、比較例1~10の製造条件では、有機配位子が配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有さない又は分子内に5員環又は6員環を有さないため、GBL収率が低位であった。
表3に示されるように、比較例11~14の製造条件では、元素Mがルテニウム又はイリジウムではないため、GBL収率が低位であった。

Claims (8)

  1. ルテニウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素M、及び、1分子内に2以上の配位座を有する有機配位子を含有する、ラクトン類製造用触媒であって、
    前記有機配位子が、前記配位座に結合した1又は2以上の芳香族炭化水素基を有し、且つ、分子内に5員環又は6員環(但し、前記芳香族炭化水素基を除く)を有する、ラクトン類製造用触媒。
  2. 前記有機配位子が、2以上の配位座を介して前記元素Mに、配位狭角95°以上でキレート配位することを含む、請求項1に記載のラクトン類製造用触媒。
  3. 有機配位子が、リン原子を配位座として有する有機ホスフィンである、請求項1又は2に記載のラクトン類製造用触媒。
  4. 前記有機ホスフィンが、3価のリン原子を配位座として有する、請求項3に記載のラクトン類製造用触媒。
  5. 前記有機ホスフィンが、下記一般式(I)で表される化合物を含む、請求項3又は4に記載のラクトン類製造用触媒。
    Figure 2023135313000008
    [式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、若しくは、置換基又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1~8の炭化水素基を表す。RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよいし、RとRは置換基を有していてもよい同一の炭素原子として環状構造を形成してもよい。Aは、単結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい窒素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~4の炭化水素基を表す。X、X、X及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表し、X~Xのうちの少なくとも1つは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
  6. 元素Mがルテニウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載のラクトン類製造用触媒。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のラクトン類製造用触媒の存在下に、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及びジカルボン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を水素化して、ラクトン類を製造する、ラクトン類の製造方法。
  8. 液相中で前記水素化反応を行う、請求項7に記載のラクトン類の製造方法。
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