JP2023134349A - 金属管の圧延方法、金属管の製造方法、圧延設備及び金属管 - Google Patents

金属管の圧延方法、金属管の製造方法、圧延設備及び金属管 Download PDF

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Toshiro Okazaki
俊輔 佐々木
Shunsuke Sasaki
龍郎 勝村
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勝 三宅
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Abstract

【課題】圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制する圧延方法、金属管の製造方法、圧延設備及び金属管を提供すること。【解決手段】素管1を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管2を得る圧延工程を含み、上記圧延工程では、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、縮径圧延時の圧延荷重を制御する、金属管の圧延方法。上記圧延方法では、縮径圧延時の圧延荷重が以下の式(1)を満たしてよい。L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18(1)ここで、式(1)中、Cp:冷間圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、L:圧延荷重最大値[ton]、である。【選択図】図1

Description

本発明は、加工硬化によって金属管の降伏強度を向上させ、高降伏強度を有する金属管とする金属管の圧延方法、金属管の製造方法、圧延設備及び金属管に関する。
シームレス金属管製品を使用する分野において、特に優れた耐食性と高強度が求められる分野では、耐食性能を向上させるために、Cr、Mo、Ni等の耐食性向上元素を多く添加した2相ステンレス鋼(JIS G3459 SUS 329J1、329J3L、329J4L相当)やオーステナイト系ステンレス鋼(JIS G3459 SUS 301、302、304、305、309、310、312、315、316、317、836、890、321、347相当)のシームレス鋼管ならびにNi基合金(JIS H4552 NW4400、NW6007、NW0276、NW6022、NW6002相当)のシームレス管が使用されている。
これらの鋼種及び合金は、優れた耐食性能を発揮させるために添加される合金元素を多量に含有する。そのため、組織としてはオーステナイト相単相、またはオーステナイト相を含む多相組織となる。結晶構造が面心立方格子(fcc)構造であるオーステナイト相は、低温~常温程度の使用環境では、結晶構造が体心立方格子(bcc)構造であるフェライト相やマルテンサイト相に比べて、降伏強度が低い場合が多い。そのため、オーステナイト相が含まれる材料で、更に高い降伏強度が求められる場合は、冷間で加工を付加し、加工による転位強化を利用して高降伏強度化を図っている。
例えば、油井管などに使われる外径3-1/2inch以上の高強度高耐食性鋼管では、冷間引抜加工や冷間ピルガー加工といった冷間加工が多用されており、降伏強さが125ksi以上である高強度鋼管が実用化されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、非特許文献1に記載の冷間引抜加工法は、鋼管長手方向の強度向上に加え、鋼管の長手方向における肉厚分布の均一化にも有効な手法であるが、引抜加工前に鋼管の軟化熱処理、酸洗、潤滑被膜付与のための化成処理、引抜時のつかみ部を作るための管端加工などの多くのプロセスが必要である。また、引抜加工に必要な圧力の制限や工具への焼付き防止の観点から減肉率が20%程度しか得られない。さらに、1回の引抜加工で減肉量が足りない場合は、再度前述の軟化熱処理からの一連のプロセスを繰り返す必要がある。また、引抜加工後の鋼管の形状は引抜に使用される工具寸法により一義的に決定されるため、サイズ変更の際は工具の交換が必要となり、少量多品種の製造には不向きである。さらに当然ながら、引抜加工を実施する際に必要なプロセスが多いため設備投資やエネルギー消費量も多大になるという問題がある。一方の冷間ピルガー加工は、鋼管の予備処理が不要で、かつ高い減肉率が得られるが、1パスでの送り量が数十mmと小さく、生産能率が悪い。また、圧延ロールの形状が複雑であり、工具製造負荷(圧延ロールを製造するための作業負荷や経済的負荷)が大きい。
これらの問題に対し、特許文献1に記載の技術では、回転軸が金属管の圧延パス方向センターラインに対して傾斜して配置した2個以上の圧延ロールを有する傾斜圧延機のロールギャップに金属管を通過させて縮径圧延することを特徴とする冷間圧延方法を提案している。これにより、加工前の金属管に対し表面被膜付与や、管端の加工などの予備処理を必要とせず、かつ高い加工能率で金属管の冷間加工による強度向上が可能になり、環境保護、産業上において良好な効果を得られる。また、傾斜圧延機のロールギャップを変更するだけで外径を縮径して製品サイズを作り分けることができる。また、内面を自由変形とすることで工具に生ずる面圧が過大になることを防ぎ、冷間引抜で発生する焼き付きのような表面疵の発生もなく所望の加工歪みを付加できるため、多品種少量生産にも好適であるという特徴がある。
特許第6432614号公報
日本鉄鋼協会、「鋼管の製造技術の現状と将来」、社団法人 日本鉄鋼協会出版、昭和61年5月6日、p.115-145
しかしながら、特許文献1に記載の冷間圧延方法では、圧延条件によっては、断面形状に関し、圧延前は真円に近い形状であるものが、圧延後に楕円形等に変形し、真円度が低下する場合があることが本発明者らの検討により明らかになった。このように、冷間圧延等の圧延後において、真円度の低下を抑制する技術の確立が希求されていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制する圧延方法、金属管の製造方法、圧延設備及び金属管を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、金属管の真円度を向上させる圧延方法、製造方法について鋭意検討を行った結果、以下の要旨からなる発明を完成した。
[1]素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得る圧延工程を含み、
前記圧延工程では、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する、金属管の圧延方法。
[2]前記圧延工程では、前記縮径圧延時の圧延荷重が以下の式(1)を満たす、前記[1]に記載の金属管の圧延方法。
L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
ここで、式(1)中、
Cp:圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、
t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
L:圧延荷重最大値[ton]、である。
[3]前記圧延工程で、前記縮径圧延を複数パス行う際、各パスにおける圧延荷重最大値Lが前記式(1)を満たす、前記[2]に記載の金属管の圧延方法。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の圧延方法によって縮径圧延を施して金属管を得る、金属管の製造方法。
[5]素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得るための圧延設備であって、
予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する制御部を備える、圧延設備。
[6]前記制御部は、以下の式(1)を満たすように前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する、前記[5]に記載の圧延設備。
L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
ここで、式(1)中、
Cp:圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、
t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
L:圧延荷重最大値[ton]、である。
[7]管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値との差が3.5mm以下である、金属管。
本発明によれば、圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することができる。
本発明の金属管の圧延方法の一例を説明する模式図である。 圧延後の金属管の断面形状を説明する模式図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
本発明の金属管の圧延方法では、素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得る圧延工程を含み、該圧延工程では、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、縮径圧延時の圧延荷重を制御する。これにより、金属管の圧延後の圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することができる。
また、この圧延工程では、縮径圧延時の圧延荷重が以下の式(1)を満たすことが好ましい。
L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
ここで、式(1)中、
Cp:圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、
t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
L:圧延荷重最大値[ton]、である。
なお、本発明における圧延工程は、複数パスの圧延を行う際、その一部のパスのみを対象としてもよいし、全てのパスの処理を圧延工程に含めてもよい。例えば、全3パスの圧延を行う際、本発明における圧延工程は、いずれか1パスのみを対象としてもよいし、前半2パスまたは後半2パスのみを対象としてもよいし、全3パスの処理を圧延工程に含めてもよい。
また、本発明の圧延設備は、素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得るための圧延設備であって、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、上記縮径圧延時の圧延荷重を制御する制御部を有する。該制御部は、上記の式(1)を満たすように縮径圧延時の圧延荷重を制御することが好ましい。
以下では、本発明の圧延設備を用いて金属管の圧延を行う圧延方法の説明を行う。また、圧延設備の一例として、回転軸が金属管の圧延パス方向センターライン(管軸方向)に対して傾斜して配置された2個以上の圧延ロールを有する傾斜圧延機を挙げて説明する。
図1は、本発明の圧延方法の一例として、2ロール型の傾斜圧延機(2つの圧延ロールを有する傾斜圧延機)により圧延する場合を説明する模式図である。図1(b)は圧延方向から見た正面図、図1(a)は図1(b)における被圧延管(金属管)のA-A断面と圧延ロールを側面から見た図、図1(c)は被圧延管(金属管)の断面と圧延ロールの図1(a)におけるB-B矢視図である。以下、圧延として、冷間圧延を行う場合について説明する。圧延設備としては、冷間圧延設備を例に挙げる。なお、本発明では、冷間圧延を行う場合だけでなく、熱間圧延、温間圧延を行うことも可能である。
上記のように、本発明において、金属管の冷間圧延を行うための傾斜圧延機は、素管1(金属管2)の管周方向に2個以上配設された、素管1を圧延する圧延ロール3を有する。
また、本発明では、後述するように、素管1の圧延荷重(圧延荷重最大値)の調整は、傾斜圧延機が有する制御部により自動で制御することができる。制御部は、後述する式(1)を満たすように縮径圧延時の圧延荷重を制御することができる。
制御部は、特に限定されないが、CPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータ等の情報処理装置とすることができる。
図1に示すように、本発明では、圧延ロール3の回転軸が圧延パス方向センターライン(管軸方向)に対して、傾斜角β(管軸方向に垂直な方向であって、素管1への圧延荷重がかかる方向に視た場合に、管軸方向に対して傾斜した角度:β)をなして、あるいはさらに圧延出側で交差角(交叉角)γ(管軸方向に垂直な方向であって、且つ素管1への圧延荷重がかかる方向に垂直な方向に視た場合に、管軸方向に対して傾斜した角度:γ)をなして配置された傾斜圧延機のロールギャップに、該傾斜圧延機の入側(図1(a)における右側)から素管1を供給する。そして、一対の圧延ロール3に素管1を挟圧させつつ、素管1を図1に示す圧延方向に通過させることで、縮径圧延を施し、金属管(冷間圧延管)2を製造する。ここで、特に限定されないが、傾斜角βは、0.5~40.0°とすることが好ましい。また、交叉角γは、0~45.0°とすることが好ましい。
一対の圧延ロール3において、管軸方向に対して傾斜角β、交叉角γが形成される方向は互いに反対の方向としてよい。
本発明では、2個以上の圧延ロール3は、回転軸が圧延パス方向センターライン(管軸方向)に対して傾斜角βをなすように傾斜して配置される。このような傾斜した配置により、上記回転軸を中心に回転する圧延ロール3が、圧延ロール3と素管1との接触によって生じる摩擦力を利用し、ロールギャップに供給された素管1を圧延方向に引き込む。そのため、素管1は圧延ロール3によって回転を受けながららせん状に圧延される。すなわち、素管1は、管周方向に回転しつつ、管軸方向に進行しながら圧延される。
このような圧延形態は、少なくとも2個の圧延ロール3のロールギャップを、素管1の外径より小さくし、かつ上述したように、圧延ロール3夫々を傾斜配置すれば実現可能である。図1では、2ロール型の傾斜圧延機を示したが、管周方向に3個以上の圧延ロールが配設された傾斜圧延機であっても、同様にして素管1を縮径圧延することができる。なお、圧延ロール3の形状については特に制限はなく、図1に示した樽型ロール以外に、素管1との接触位置を制御するために直径をロール長手方向に直線的または連続的に変化させた形状を有する圧延ロールも適用できる。
ここで、圧延ロールを樽型ロールとする場合、特に限定されないが、傾斜角および交叉角共に0°の場合に入側面角は0.2~10.0°とすることが好ましい。また、出側面角は0.2~10.0°とすることが好ましい。
なお、上記の入側面角とは、圧延入側に向けて漸次断面形状が小さくなる圧延ロール3のテーパ側面において、管軸方向に垂直な方向であって、且つ素管1への圧延荷重がかかる方向に垂直な方向に視た場合に、管軸方向に対して傾斜した角度のことを指す。
また、上記の出側面角とは、圧延出側に向けて漸次断面形状が小さくなる圧延ロール3のテーパ側面において、管軸方向に垂直な方向であって、且つ素管1への圧延荷重がかかる方向に垂直な方向に視た場合に、管軸方向に対して傾斜した角度のことを指す。
L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
以下、本発明で特定する式(1)の詳細について説明する。
本発明では、圧延後の金属管2の断面形状(管軸方向垂直断面の形状)の真円度を悪化させないように圧延条件を設定する。圧延後の金属管2の断面形状の例を図2に示す。図2は楕円形に変形した例である。
ここで、圧延後の外径のうち、最大値(楕円形の長径)をDmaxとし、最小値(楕円形の短径)をDminとし、両者の差をC(Cp):金属管2の管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値の差とする。
なお、外径については、ノギスを用いて測定することができ、管端部を測定する場合には、定規を用いてもよい。管端部以外を測定する場合には測定箇所を切断し、切断面の形状を測定してもよい。また、外径の最大値、最小値は、管周方向に等間隔に24点測定することにより得られる。
ここで、ノギス又は定規を用いて外径を測定する際、管軸方向垂直断面において、管周上の測定位置(ノギス設置位置)となる2点間の管周方向における距離は、管周長の1/2となるように設定する。
また、外径の管軸方向での測定位置は、いずれの箇所でもよいが、先尾端から20mmを除いた箇所、より好ましくは先尾端から40mmを除いた箇所を測定することが望ましい。
肉厚については、マイクロメータを用いて測定することができる。管端部以外を測定する場合には測定箇所を切断し、切断部の肉厚を測定してもよい。
本発明者らの実験による検討により、Cは圧延ロールにかかる荷重と高い相関があり、また、Cと荷重の相関関係は素管の肉厚に影響され,式(2)、式(3)に示す値をとることが分かった。ここで、Lは素管(金属管)を圧延している時間内に発生する荷重のうち最大値であり、複数あるロールの内で最も大きな値を示した荷重である。
L≧4.5×t+18の場合
C=L/(1.2×t)-(4.5×t+18)/(1.2×t) ・・・式(2)
L<4.5×t+18の場合 C=0 ・・・式(3)
ここで、式(2)、(3)中、
C:圧延後(最終パス後)に測定した金属管の管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値の差[mm]、
t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
L:各ロールに発生する圧延荷重最大値[ton]、である。
この知見に基づき、本発明では、圧延荷重が式(1)に示す範囲になるように圧延条件を設定する。これにより、圧延後の断面形状の真円度の低下をより抑制することができる。
L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
ここで、式(1)中、
Cp:外径最大値と外径最小値の差の許容値[mm](冷間圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm])
t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
L:圧延荷重最大値[ton]、である。
ここで、圧延を開始する前に、上記の式(1)を満たすように、Lを予め設定する必要がある。そのために、有限要素法などの数値解析を用いて圧延荷重を予測した値を用いてもよいし、可能であれば同条件での予備実験を実施し、その荷重実績値を用いてもよい。Lの設定は、上述した制御部が行うことができる。例えば、上記の荷重実績値を用いる場合、上述した制御部に荷重実績値に記憶させ、制御部により、荷重実績値のデータに基づいて、圧延ロールに圧延荷重を調整させることができる。
圧延条件の設定は、具体的にはロール同士の間隙(図1中のGap)を設定すればよい。式(1)に示す上限値よりLが大きくなることが懸念される場合には、間隙を広く設定して、Lを小さくすればよい。
上記の式(1)に関し、Lは(1.2×t×Cp+4.5×t+18)×0.85以下であることが好ましく、(1.2×t×Cp+4.5×t+18)×0.70以下であることがより好ましい。また、Lは、2.0ton以上であることが好ましく、4.0ton以上であることがより好ましい。
Lは、傾斜圧延機等のロールに隣接して設置されたロードセルによって測定することができる。
また、上記の方法で圧延条件を設定した場合、圧延後に所定の材料強度を得られない可能性がある。その場合、式(1)の条件を満たす圧延を材料強度が得られるまで複数パス実施すればよい。
このとき、縮径圧延を複数パス行う際、各パスにおける圧延荷重最大値Lが上記の式(1)を満たすことが好ましい。また、複数パス行う際、Cpは、冷間圧延工程後(最終パス後)の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差である。tは、初回パス前の肉厚の値を用いてよい。
なお、前述しているように、本発明における圧延工程は、複数パスの圧延を行う際、その一部のパスのみを対象としてもよいし、全てのパスの処理を圧延工程に含めてもよい。例えば、全3パスの圧延を行う際、本発明における圧延工程が後半2パスを対象とする場合、肉厚tが対象とする初回パス前とは、全3パス中、第2パス目前となる。
以上、本発明の金属管の圧延方法について説明した。本発明の金属管の圧延方法によれば、圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することができる。
特に、圧延前の素管に対して、表面被膜付与や、管端の加工などの予備処理は必要とせず、圧延による硬度向上も実現しつつ、圧延後の断面形状の真円度の低下を抑制することができる。
本発明では、上述した圧延方法によって縮径圧延を施して、金属管を得る、金属管の製造方法も提供される。金属管の製造方法では、特に限定されないが、縮径圧延後は、熱処理を施して、金属管を得てもよい。また、縮径圧延後は、酸洗して金属管表面のスケールを取り除く処理を施してもよい。
本発明では、上述した圧延方法によって得られた金属管は、管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値との差を3.5mm以下とすることができる。また、この差は1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
また、上述した圧延方法によって得られた金属管は、降伏強さを700MPa以上とすることができる。
また、特に限定されないが、上記金属管の外径は、8~600mmとすることが好ましい。
また、金属管の肉厚は、0.2~40.0mmであることが好ましく、1.0~32.0mmであることが好ましい。
上述した圧延を行う素管の圧延を行うまでの製造条件は特に限定されず、通常公知の製造条件を採用することができる。
圧延前の素管についても特に限定されず、通常公知の中空の管材であってよく、材質や機械的特性は特に限定されないが、降伏強さが220MPa以上であることが好ましい。
また、圧延前の素管の形状としては、外径最大値と外径最小値との差があっても本発明では所望の効果が得られる。本発明では、圧延前の素管は、管軸方向垂直断面が楕円形状または円形状であって、外径最大値と外径最小値との差が10mm以下であることが好ましく、7mm以下であることがより好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示すJIS G 4303:2012規格のステンレス鋼棒(素材b:SUS329J3L)から機械加工により外径70mm(外径最大値と外径最小値の差:0mm)、肉厚5mmもしくは8mm、長さ250mmの素管を採取し、表2に示す条件で縮径圧延を施した。縮径圧延に用いた傾斜圧延機(冷間圧延設備)は、傾斜角及び交叉角共に0°の場合に入側面角が2.5°、出側面角が3.0°である樽型ロールを有する2ロール型傾斜圧延機又は3ロール型傾斜圧延機であり、圧延に際して傾斜角βを3°、交叉角γを0°とし、常温の素管を圧延した。表2に示す各パスのロールギャップ、ロール数で冷間圧延を行った。
Figure 2023134349000002
圧延後の金属管(冷間圧延管)について、ノギスを用い、外径を管周方向に等間隔に24点測定することで得た最大値Dmax、最小値Dminについて、両者の差をC:外径最大値と外径最小値の差として評価した。管軸方向での測定位置は、中央位置(管端から管全長の半分の長さの位置)とした。
初回パス前の金属管について、マイクロメータで先端部での肉厚を周方向に90°ピッチで4か所測定し、その平均値(4か所の肉厚の和/4)を圧延工程前の金属管の肉厚とした。
さらに、各冷間圧延管から管長手方向の全厚引張試験片を採取し、室温で、JIS Z 2241(2011)に準拠して引張試験を行い、降伏強さYS(0.2%耐力)を評価した。なお、冷間圧延前の素管の降伏強さYSは368MPaであった。
また、圧延荷重は、傾斜圧延機のロールユニットに隣接して設置されたロードセルによって測定した。
表2に結果を示す。
Figure 2023134349000003
管No.1~5、8~11はロール数が2つの圧延機で1パスのみ圧延を実施して得られた管である。
管No.1~5、8~11は、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差を考慮し、縮径圧延時の圧延荷重を制御したため、真円度の低下を抑制することができた。
管No.3、4、10、11では、ロールギャップを小さくすることで降伏強さを向上させることができた。
また、表2に示すように、圧延後の予め設定された外径最大値と外径最小値の差を0.7mmとした場合、圧延荷重最大値が式(1)で計算される上限値以下である本発明例の管No.1、2、5、8、9は、圧延後の外径最大値と外径最小値の差が0.7mm以下であり、より真円度の低下を抑制することができた。
また、複数パスを実施した場合を発明例の管No.6、7では、全てのパスの圧延荷重最大値が式(1)で計算される上限値以下であり、圧延後の外径最大値と外径最小値の差は0.7mm以下であり、より真円度の低下を抑制することができた。
管No.12~16、19~22はロール数3の圧延機で1パスのみ圧延を実施した場合である。
管No.12~16、19~22は、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差を考慮し、縮径圧延時の圧延荷重を制御したため、真円度の低下を抑制することができた。
管No.14、15、21、22では、ロールギャップを小さくすることで降伏強さを向上させることができた。
また、表2に示すように、圧延後の予め設定された外径最大値と外径最小値の差を0.7mmとした場合、圧延荷重最大値が式(1)で計算される上限値以下である管No.12、13、16、19、20は圧延後の外径最大値と外径最小値の差が0.7mm以下であり、より真円度の低下を抑制することができた。
また、複数パスを実施した場合を管No.17、18に示すが、全てのパスの圧延荷重最大値が式(1)で計算される上限値以下であり、圧延後の外径最大値と外径最小値の差は0.7mm以下であり、より真円度の低下を抑制することができた。
また、管No.23、24は、圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差を考慮しなかった(予め設定しなかった)例である。管No.23は、ロール数が2つの圧延機で1パスのみ圧延を実施した場合を示す。また、管No.24は、ロール数が3つの圧延機で1パスのみ圧延を実施した場合を示す。これらは、圧延後の外径最大値と外径最小値の差が3.5mm超であり、真円度の低下を抑制することができなかった。
以上より、本発明例では、真円度の低下を抑制できることが分かった。
1 素管
2 金属管(圧延管)
3 圧延ロール
β 傾斜角
γ 交叉角
Gap ロールギャップ
Dmax 外径最大値
Dmin 外径最小値

Claims (7)

  1. 素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得る圧延工程を含み、
    前記圧延工程では、予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する、金属管の圧延方法。
  2. 前記圧延工程では、前記縮径圧延時の圧延荷重が以下の式(1)を満たす、請求項1に記載の金属管の圧延方法。
    L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
    ここで、式(1)中、
    Cp:圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、
    t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
    L:圧延荷重最大値[ton]、である。
  3. 前記圧延工程で、前記縮径圧延を複数パス行う際、各パスにおける圧延荷重最大値Lが前記式(1)を満たす、請求項2に記載の金属管の圧延方法。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の圧延方法によって縮径圧延を施して金属管を得る、金属管の製造方法。
  5. 素管を、管周方向に回転させると共に、管軸方向に進行させながら縮径圧延することで金属管を得るための圧延設備であって、
    予め設定される圧延工程後の金属管の外径最大値と外径最小値との差に基づいて、前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する制御部を備える、圧延設備。
  6. 前記制御部は、以下の式(1)を満たすように前記縮径圧延時の圧延荷重を制御する、請求項5に記載の圧延設備。
    L≦1.2×t×Cp+4.5×t+18 ・・・式(1)
    ここで、式(1)中、
    Cp:圧延工程後の金属管の管軸方向垂直断面における、予め設定された外径最大値と外径最小値との差[mm]、
    t:圧延工程前の素管の肉厚[mm]、
    L:圧延荷重最大値[ton]、である。
  7. 管軸方向垂直断面における外径最大値と外径最小値との差が3.5mm以下である、金属管。
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