JP2023134347A - トナー、トナーの製造方法、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

トナー、トナーの製造方法、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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真広 行川
Masahiro Yukikawa
章生 武井
Akio Takei
彰法 斉藤
Akinori Saito
秀人 鈴木
Hideto Suzuki
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【課題】転写性及びトナー補給性に優れ、良好な画像を形成できるトナーを提供する。【解決手段】樹脂及びワックスを含むトナー母体粒子と、外添剤とを含むトナーであって、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、トナーの製造方法、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
電子写真方式による画像形成において良好な画像を安定して得るためには、帯電させたトナーを適正な量で現像領域まで搬送し、現像により消費したトナーを適正に補給する必要がある。すなわち、トナーの搬送性、補給性を向上させる必要がある。また一般に、トナーにおいては、母体粒子に外添剤を付着させることが知られている。外添剤によって、流動性安定性を向上させ、上述の搬送性、補給性を改善できることが知られている。
例えば、特許文献1には、トナー母体粒子の表面に複数個の一次粒子を合一してなる不定形粒子を外添剤として添加されたトナーが提案されている。特許文献1には、不定形粒子を外添剤として用いることで、外添剤の埋没や脱離が防止され、トナーの流動性の低下、凝集等が防止できるため、搬送経路での詰まりを防止できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、不定形の外添剤粒子によって表面形状が歪化するため、トナー同士の付着力が過度に増加することがあり、転写性が低下しやすい。このように、従来、転写性及びトナー補給性を共に満足させることは困難であった。
上記に鑑みて、本発明の一態様は、転写性及びトナー補給性に優れ、良好な画像を形成できるトナーを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、樹脂及びワックスを含むトナー母体粒子と、外添剤とを含むトナーであって、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である。
本発明の一態様により、転写性及びトナー補給性に優れ、良好な画像を形成できるトナーを提供できる。
一実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除等、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(トナー)
本実施形態によるトナーは、トナー母体粒子内に所定径を有する空隙を所定数有するものである。より具体的には、本実施形態によるトナーでは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である。
一般に、トナーの転写性を向上させるためには、トナーの付着力を下げる必要があるが、付着力を下げるためには、トナー形状を球形に近付けることが望ましい。しかしながら、トナー形状が球形に近くなるほど、ゆるみ見掛け密度が高くなって、十分な流動性が確保できなくなる場合がある。十分な流動性が確保できないと、トナー補給性(若しくはトナー搬送性)が悪化し、トナー若しくは現像剤の帯電立ち上がり性が悪化したりするため、画像濃度ムラの多い画像となったり、トナーの機内中への飛散を引き起こし好ましくない。つまり、転写性とトナー補給性とは、トレードオフの関係にある。そのため、転写性の一層の向上が求められた場合にも、トナー補給性に優れるトナーが求められていた。
これに対し、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定されるトナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数を5個以上10個以下とすることで、転写性を保持しつつ、ゆるみ見掛け密度を適正化することができ、よって、転写性及びトナー補給性を両立できることを見出した。
また、近年、高画質化のために、小径のトナー若しくは球形化されたトナーが利用される。このようなトナーは、転写性に優れるが、搬送経路において凝集、付着を生じやすい。しかしながら、本実形態によれば、そのような小径若しくは球形化されたトナーであっても、搬送性、補給性を確保できるので、高い画像品質も得ることができる。
<トナー母体粒子>
トナー母体粒子(以下、「トナー母体」、「母体粒子」とも称することがある)は、結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、さらに必要に応じて、その他の成分を含有する。
<<結着樹脂>>
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、トナーに可撓性を与えることができる点から、ポリエステル樹脂が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<<ポリエステル樹脂>>>
ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
-結晶性ポリエステル-
結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性ポリエステル」、「ポリエステル樹脂成分」とも称する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、高い結晶性をもつために、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。このような特性を有する結晶性ポリエステル樹脂を後述する非晶性ポリエステル樹脂と併用することで、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性が良く、溶融開始温度では結晶性ポリエステル樹脂の融解による急激な粘度低下(シャープメルト)を起こし、それに伴い非晶性ポリエステル樹脂と相溶し、共に急激に粘度低下することで定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。また、離型幅(定着下限温度と耐高温オフセット発生温度との差)についても、良好な結果を示す。
なお、本明細書において結晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるものを指し、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、後述のプレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂には属さない。
--ポリオール--
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコール等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。これらの中でも、結晶性を向上させ、かつ融点の低下を防ぐことができる点から、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
飽和脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンジオール等が挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられる3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
--ポリカルボン酸--
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステル等も挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられる3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステル等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリカルボン酸としては、飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸や、2重結合を持つジカルボン酸等が含まれていてもよい。
以上のカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2以上12以下の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成されることが好ましい。すなわち、結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4以上12以下の飽和脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位と、炭素数2以上12以下の飽和脂肪族ジオールに由来する構成単位とを有することが好ましい。そうすることにより、結晶性が高く、シャープメルト性に優れることから、優れた低温定着性を発揮できる点で好ましい。
本実施形態によるトナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の有無は、結晶解析X線回折装置(例えば、X'Pert Pro MRD、フィリップス社製)により確認すできる。以下、測定方法について説明する。
まず、対象試料を乳鉢により、すり潰し試料粉体を作製し、得られた試料粉体を試料ホルダーに均一に塗布する。その後、回折装置内に試料ホルダーをセットし、測定を行い、回折スペクトルを得る。次に、得られた回折スペクトルにおいて、20°<2θ<25°の範囲に得られたピークのうち最もピーク強度が大きいピークのピーク半値幅が2.0以下である場合に、結晶性ポリエステル樹脂を有すると判断できる。結晶性ポリエステル樹脂に対し、上記状態を示さないポリエステル樹脂を、本明細書では、非晶質ポリエステル樹脂とする。
以下に、X線回折の測定条件の一例を記載する。
―測定条件-
・Tension kV: 45kV
・Current: 40mA
・MPSS
・Upper
・Gonio
・Scanmode: continuos
・Start angle : 3°
・End angle : 35°
・Angle Step:0.02°
・Lucident beam optics
・Divergence slit : Div slit 1/2
・Difflection beam optics
・Anti scatter slit: As Fixed 1/2
・Receiving slit : Prog rec slit
結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点が、60℃以上であると、結晶性ポリエステル樹脂が低温で溶融しやすく、トナーの耐熱保存性が低下する不具合を防止でき、80℃以下であると、定着時の加熱による結晶性ポリエステル樹脂の溶融が不十分で、低温定着性が低下するという不具合を防止することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。オルトジクロロベンゼンを溶媒として用いたGPC測定における、結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分の重量平均分子量(Mw)は、3,000~30,000が好ましく、5,000~15,000がより好ましい。
また、オルトジクロロベンゼンを溶媒として用いたGPC測定における、結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分の数平均分子量(Mn)は、1,000~10,000が好ましく、2,000~10,000がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量の比(Mw/Mn)としては、1.0~10が好ましく、1.0~5.0がより好ましい。これは、分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、且つ分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が低下するためである。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、0mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~50mgKOH/gがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1又は990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、3質量部以上であると、結晶性ポリエステル樹脂によるシャープメルト化が不十分なため、低温定着性が悪化するという不具合を防止することができる。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、20質量部以下であると、耐熱保存性が低下したり、画像のかぶりが生じやすくなったりするといった不具合を防止することができる。
-非晶性ポリエステル樹脂-
非晶性ポリエステル樹脂(以下、「非晶性ポリエステル」、「非晶質ポリエステル」、「非晶質ポリエステル樹脂」、「未変性ポリエステル樹脂」、「ポリエステル樹脂成分A」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られる非晶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において非晶性ポリエステル樹脂とは、上記のごとく、ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを示す。すなわち、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えば、後述するプレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる変性ポリエステル樹脂は、本実施形態においては非晶性ポリエステル樹脂には含めず、変性ポリエステル樹脂として扱う。
非晶性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に可溶なポリエステル樹脂成分であってよい。また、非晶性ポリエステル樹脂としては、線状のポリエステル樹脂が好ましい。
--ポリオール--
非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、例えば、ジオール等が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるジオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物等が挙げられる。これらの中でも、ポリオールとしては、アルキレングリコールを40モル%以上含有することが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
--ポリカルボン酸--
非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸等が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いられるジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1~20のアルキル基;炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸としては、テレフタル酸を50モル%以上含有するものが好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、酸価、水酸基価を調整するため、非晶性ポリエステル樹脂における樹脂鎖の末端に3価以上のカルボン酸及び/又は3価以上のアルコール、3価以上のエポキシ化合物等を含んでいてもよい。これらの中でも、ムラが発生しにくく、十分な光沢や画像濃度が得られるという観点から、3価以上の脂肪族アルコールを含有することが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂における3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂における3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下の範囲であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、3,000~10,000が好ましく、4,000~7,000がより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、1,000~4,000が好ましく、1,500~3,000がより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の分子量の比(Mw/Mn)としては、1.0~4.0が好ましく、1.0~3.5がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)が上記範囲であることが好ましい理由としては、重量平均分子量(Mw)が3,000以上、又は数平均分子量(Mn)が1,000以上であると、トナーの耐熱保存性、現像機内での撹拌等のストレスに対する耐久性の低下を抑制でき、重量平均分子量(Mw)が10,000以下、又は数平均分子量(Mn)が4,000以下であると、トナーの溶融時の粘弾性が高くなることで低温定着性が低下することを防止できるためである。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定できる。
非晶性ポリエステル樹脂(THF可溶分)における分子量600以下の成分は、2質量%~10質量%が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂(THF可溶分)における分子量600以下の成分が10質量%以下であると、トナーの耐熱保存性、及び現像機内での撹拌等のストレスに対する耐久性に劣るといった問題を解消できる。また、非晶性ポリエステル樹脂(THF可溶分)における分子量600以下の成分が2質量%以上であると、低温定着性に劣るといった問題を解消できる。
非晶性ポリエステル樹脂(THF可溶分)における分子量600以下の成分の含有量を調節する方法としては、非晶性ポリエステル樹脂をメタノールにより抽出し、分子量600以下の成分を除去し、精製する方法等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~30mgKOH/gがより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の酸価が1mgKOH/g以上であると、トナーが負帯電性となりやすく、更には、紙への定着時に紙とトナーの親和性がよくなり、低温定着性を向上させることができる。非晶性ポリエステル樹脂の酸価が、50mgKOH/g以下であると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下するという不具合を防止できる。
非晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g以上が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、40℃~65℃が好ましく、45℃~65℃がより好ましく、50℃~60℃がさらに好ましい。非晶性ポリエステル樹脂のTgが40℃以上であると、トナーの耐熱保存性、及び現像機内での撹拌等のストレスに対する耐久性が向上し、また、耐フィルミング性が向上するため好適である。非晶性ポリエステル樹脂のTgが65℃以下であると、トナーの定着時における加熱及び加圧による変形が良好になり、低温定着性が向上するため好適である。
非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、低温定着性及び耐熱保存性が両立したトナーが得られるという点で、トナー100質量部に対して、80質量部以上90質量部以下が好ましい。
-変性ポリエステル樹脂-
変性ポリエステル樹脂(以下、「変性ポリエステル」、「ポリエステル樹脂成分」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するポリエステル樹脂(以下、「プレポリマー」、「ポリエステルプレポリマー」と称することがある)との反応生成物等が挙げられる。
変性ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂である。テトラヒドロフラン(THF)に不溶なポリエステル樹脂成分は、Tgや溶融粘性を低下させ、低温定着性を担保しつつ、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造となるため、低温で変形するが流動しないというゴム的な性質を付与する。
変性ポリエステル樹脂は、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するため、これらの部位が擬似架橋点のような挙動を示し、非晶性ポリエステル樹脂のゴム的性質が強くなり、耐熱保存性、耐高温オフセット性に優れたトナーを作製することができる。
--活性水素基含有化合物--
活性水素基含有化合物は、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するポリエステル樹脂と反応する化合物である。
活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
活性水素基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するポリエステル樹脂がイソシアネート基を含有するポリエステル樹脂である場合には、アミン類が好ましい。活性水素基含有化合物がアミン類であることで、ポリエステル樹脂と伸長反応、架橋反応等によりポリエステル樹脂を高分子量化することができる。
アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン、3価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたもの等が挙げられる。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のアミンとの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。脂環式ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
3価以上のアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
アミノアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。
アミノメルカプタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。
アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。
アミノ基をブロックしたものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物等が挙げられる。
--活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するポリエステル樹脂--
活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂(以下、「イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマー」と称することがある)等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とを重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコール、ジオールと3価以上のアルコールとの混合物等が挙げられる。これらの中でも、ジオール、ジオールと少量の3価以上のアルコールとの混合物が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられるジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鎖状アルキレングリコール、オキシアルキレン基を有するジオール、脂環式ジオール、ビスフェノール類、脂環式ジオールのアルキレンオキシド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
鎖状アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。なお、鎖状アルキレングリコールの炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2~12が好ましい。これらの中でも、炭素数が2~12である鎖状アルキレングリコール、及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物の少なくともいずれかが好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物と炭素数が2~12の鎖状アルキレングリコールとの混合物がより好ましい。
オキシアルキレン基を有するジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられる3価以上のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
3価以上の脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
3価以上のポリフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
ジオールと3価以上のアルコールとを混合して用いる場合、ジオールに対する3価以上のアルコールの質量比(3価以上のアルコール/ジオール)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましい。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、ジカルボン酸と3価以上のカルボン酸との混合物等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸、ジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸との混合物が好ましい。上記ポリカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられるジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のアルカン酸、2価のアルケン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
2価のアルカン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。2価のアルケン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数4~20の2価のアルケン酸が好ましい。炭素数4~20の2価のアルケン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられる3価以上のカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸等が挙げられる。3価以上の芳香族カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数9~20の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。炭素数9~20の3価以上の芳香族カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂の合成に用いられるポリカルボン酸として、ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、及びジカルボン酸と、3価以上のカルボン酸との混合物のいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。低級アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸と3価以上のカルボン酸とを混合して用いる場合、ジカルボン酸に対する3価以上のカルボン酸の質量比(3価以上のカルボン酸/ジカルボン酸)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましい。
ポリオールとポリカルボン酸とを重縮合させるときの、ポリカルボン酸のカルボキシル基に対するポリオールの水酸基の当量比(ポリオールの水酸基/ポリカルボン酸のカルボキシル基)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~2が好ましく、1~1.5がより好ましく、1.02~1.3が特に好ましい。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマーにおけるポリオール由来の構成単位の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%~40質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、2質量%~20質量%が特に好ましい。上記含有量が0.5質量%以上であると、耐ホットオフセット性が低下し、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立が困難となるといった問題を解消することができ、上記含有量が40質量%以下であると、低温定着性が低下するといった問題を解消することができる。
ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチルジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3-メチルジフェニルメタン、4,4'-ジイソシアナト-ジフェニルエーテル等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアヌレート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートと、水酸基を有するポリエステル樹脂を反応させる場合、ポリエステル樹脂の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~5が好ましく、1.2~4がより好ましく、1.5~2.5が特に好ましい。当量比が1以上であると、耐ホットオフセット性が低下するといった問題を解消することができ、当量比が5以下であると、低温定着性が低下するといった問題を解消することができる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにおけるポリイソシアネート由来の構成単位の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%~40質量%が好ましく、1質量%~30質量%がより好ましく、2質量%~20質量%がさらに好ましい。含有量が0.5質量%以上であると、耐ホットオフセット性が低下するといった問題を解消でき、含有量が40質量%以下であると、低温定着性が低下するといった問題を解消できる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1以上が好ましく、1.5~3がより好ましく、1.8~2.5がさらに好ましい。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーが一分子当たりに有するイソシアネート基の平均数が1以上であると、変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下するといった問題を解消できる。
変性ポリエステル樹脂は、ワンショット法等により製造することができる。その一例として、ウレア変性ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
まず、ポリオールとポリカルボン酸とを、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下で、150℃~280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を除去して、水酸基を有するポリエステル樹脂を得る。次に、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとを40℃~140℃で反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る。さらに、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類とを0℃~140℃で反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。
変性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定において測定して、1,000~10,000が好ましく、1,500~6,000がより好ましい。
変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定により測定して、20,000以上1,000,000以下が好ましい。変性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、20,000以上であると、トナーが低温で流動しやすくなり、耐熱保存性に劣るという不具合、及び溶融時の粘性が低くなり高温オフセット性が低下する不具合を防止できる。
水酸基を有するポリエステル樹脂と、ポリイソシアネートとを反応させる場合、及びイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーと、アミン類とを反応させる場合には、必要に応じて、溶媒を用いることもできる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族溶媒、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類等のイソシアネート基に対して不活性なもの等が挙げられる。
芳香族溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。アミド類としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、-60℃以上0℃以下であることが好ましく、-40℃以上-20℃以下がより好ましい。変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が-60℃以上であると、低温でのトナーの流動が抑制できずに、耐熱保存性が悪化したり、耐フィルミング性が悪化したりするといった不具合を防止できる。変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であると、定着時の加熱及び加圧によるトナーが十分に変形できずに低温定着性が不十分となる不具合を防止できる。
変性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、1質量部~15質量部が好ましく、5質量部~10質量部がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂、及び変性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1及び990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有しないものを非晶性ポリエステル樹脂として検出する方法等が挙げられる。
<<着色剤>>
着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン系染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられる。
着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチと共に混練される樹脂(マスターバッチ用樹脂)としては、例えば、ポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合し、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤と共に混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
<<ワックス>>
ワックス(離型剤)としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
天然ワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
合成ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂であるポリ-n-ステアリルメタクリレート、ポリ-n-ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体又は共重合体(例えば、n-ステアリルアクリレート-エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等が挙げられる。これらの中でも炭化水素系ワックスが好ましい。
ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下が好ましい。ワックスの融点が60℃以上であると、低温で離型剤が溶融しやすくなり、耐熱保存性が劣るという不具合を防止できる。ワックスの融点が80℃以下であると、樹脂が溶融して定着温度領域にある場合でも、ワックスが充分溶融しないため、定着オフセットが生じ、画像の欠損を生じるという不具合を防止できる。
ワックスの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー母体粒子100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上8質量部以下がより好ましい。
ワックスの含有量が2質量部以上であると、定着時の耐高温オフセット性、及び低温定着性に劣るという不具合を防止することができ、ワックスの含有量が10質量部以下であると、耐熱保存性が低下したり、画像のかぶり等が生じやすくなったりするといった不具合を防止することができる。
トナー母体粒子におけるその他の成分としては、通常のトナー母体粒子に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。その他の成分の含有量としては、トナーの性質を害することがない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
トナーにおけるその他の成分としては、通常のトナーに用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料等が挙げられる。
-帯電制御剤-
帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
帯電制御剤の市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(以上、日本カーリット株式会社製)等が挙げられる。
帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部~10質量部が好ましく、0.2質量部~5質量部がより好ましい。帯電制御剤の含有量が10質量部以下であると、トナーの帯電性が大きすぎることにより主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くといった問題を解消することができる。
帯電制御剤はマスターバッチ及び樹脂とともに溶融混練した後、溶解分散させてもよいし、有機溶媒に直接溶解乃至分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作製後に固定化させてもよい。
-外添剤-
外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、フルオロポリマー等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、疎水化処理された無機微粒子がより好ましい。
疎水化された無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、疎水化処理された酸化チタン微粒子、疎水化処理されたシリカ微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカ微粒子の市販品としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル株式会社製)等が挙げられる。
チタニアの市販品としては、例えば、P-25(日本アエロジル株式会社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)等が挙げられる。
疎水化処理された酸化チタン微粒子の市販品としては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)等が挙げられる。
疎水化処理は、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等を用いて行うことができる。また、シリコーンオイルを無機微粒子や酸化微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、及びシリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。シリコーンオイルを用いた処理においては、必要に応じて、熱を加えてもよい。
シリコーンオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル等が挙げられる。
外添剤の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以下が好ましく、1nm~100nmがより好ましく、3nm~70nmがさらに好ましく、5nm~70nmが特に好ましい。外添剤の一次粒子の平均粒径が、上記範囲であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいという不具合、及び感光体表面を不均一に傷つけるという不具合を防止できる。
外添剤としては、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことが好ましい。
外添剤のBET法による比表面積としては、20m/g~500m/gが好ましい。外添剤のBET比表面積は、トナー母体粒子のBET比表面積の測定(後述)と同様にして測定できる。
外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.3質量部以上3質量部以下がより好ましい。
-流動性向上剤-
流動性向上剤としては、表面処理を行い、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリカ及び酸化チタンは、流動性向上剤により表面処理を行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
-クリーニング性向上剤-
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子等が挙げられる。
ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm~1μmであるものも好ましい。
-磁性材料-
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本実施形態によるトナーの、示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)としては、40℃~65℃が好ましい。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)に不溶な成分において、DSCの昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)としては、-45℃~5℃が好ましい。トナーのTHFに可溶な成分において、DSCの昇温2回目におけるガラス転移温度(Tg2nd)としては、20℃~65℃が好ましい。
トナーの示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)、及び2回目の昇温におけるガラス転移点(Tg2nd)は、低温定着性及び耐熱保存性が向上したトナーを得ることができる点で、Tg1st-Tg2nd≧10[℃]を満たすことが好ましい。
上記のトナーのガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC-60、株式会社島津製作所製)等を用いて測定することができる。例えば、上記示差走査熱量計を用いてDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、解析プログラム中の吸熱ショルダー温度を用いて、昇温1回目におけるガラス転移温度(Tg1st)を求めることができる。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、吸熱ショルダー温度を用いて、昇温2回目におけるガラス転移温度(Tg2nd)を求めることができる。
<空隙>
上述のように、本実施形態によるトナーにおいては、トナー母体粒子の内部に空隙が存在する。このような空隙は、例えば、ルテニウム染色されたトナー母体粒子の断面を、SEMによる観察によって判定できる。より具体的には、断面SEMにより撮影された二次電子像及び反射電子像の比較による。すなわち、二次電子像では、トナー母体粒子に含まれるワックスも、空隙も黒く観察されるが、反射電子像では、ワックスのみが黒く観察され、空隙は黒く観察されない(グレーに観察される)。よって、二次電子像で黒く観察されるが、反射電子像では黒く観察されてない(グレーに観察される)部分を、空隙と判別する。
上述のように判別された空隙の大きさは次のように測定できる。画像処理ソフト(ImageJ)を使用して、空隙の外周を測定し、測定して得られた外周と同じ円周を有する真円の直径を、空隙径Φとする。
走査型電子顕微鏡(SEM)における撮影条件の一例を以下に示す。
[撮影条件]
・走査型電子顕微鏡:SU-8230(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
・撮影倍率:60000倍
・撮影像:SE(L):二次電子、BSE(反射電子)
・加速電圧:3.0kV
・加速電流:1.0μA
・プローブ電流:Normal
・焦点モード:UHR
・WD:8.0mm。
空隙の存在状態としては、空隙径Φ200nm以上500nm以下の空隙の、トナー1個(若しくはトナー母体粒子1個)当たりの平均個数が、5個以上10個以下であることが好ましい。空隙径Φ200nm以上500nm以下の空隙のトナー1個当たりの平均個数が5個以上であると、流動性が確保できるためトナー補給性(トナー搬送性)が向上するとともに、帯電立ち上がり性の悪化による画像濃度ムラも抑制できる。また、空隙径Φ200nm以上500nm以下の空隙のトナー1個当たりの平均個数が10個以下であると、嵩高さが高くなりすぎて転写時に生じ得るトナーの転写チリを抑制できる(転写性が向上する)。
さらに、本形態においては、空隙径Φ200nm以上300nm以下の空隙の、トナー1個(トナー母体粒子1個)当たりの平均個数が、5個以上10個以下であるとより好ましい。空隙径Φ200nm以上300nm以下の空隙のトナー1個当たりの平均個数が5個以上であると、流動性がさらに向上してトナー補給性がさらに良好になるとともに、帯電立ち上がり性が向上して画像濃度ムラの防止がより一層抑制される。また、空隙径Φ200nm以上300nm以下の空隙のトナー1個当たりの平均個数が10個以下であると、嵩高さが過度に高くなることを防ぎ、転写時に生じ得るトナーの転写チリを一層抑制できる(転写性が向上する)。
また、空隙径Φ500nm超の空隙のトナー1個当たりの平均個数が、トナー1個当たり1個未満であると好ましく、0.3個以下あるとより好ましく、0個であるとさらに好ましい。空隙径Φ500nm超の空隙の数が上記範囲にあることで、流動性が過度に増大することを防止でき、トナー補給性が向上する。
なお、上記の所定の空隙径Φのトナー1個当たりの平均個数を求めるには、10個以上のトナー粒子を無作為選んで測定を行い、平均値を求めることが好ましい。
また、本実施形態では、トナー母体粒子のBET比表面積は、1.2~2.1m/gであると好ましく、1.4~2.0m/gであるとより好ましい。上記範囲のBET比表面積を有することで、転写時のトナーの不都合な凝集を抑制し、転写性を向上できる。また、トナー母体粒子のBET比表面積が比較的低い、例えば1.8m/g以下となるような場合であっても、上述のように空隙径Φ200nm以上500nm以下の空隙を所定数で有する本実施形態によれば、適正なゆるみ見かけ密度が得られ、ひいては適切な流動性を得ることができる。よって、転写性とトナー補給性とを両立させることができる。
トナー母体粒子のBET比表面積は、窒素吸着法により求めることができ、例えばBET流動法による全自動比表面積測定装置のMacsorb(登録商標)HM model-1200シリーズ(MOUNTECH社)、例えばHM model-1201、HM model-1208等を用いて測定できる。
トナー母体粒子の平均円形度(円形度係数ともいう)は、0.97~0.99であると好ましく、0.974~0.984であるとより好ましい。平均円形度を0.97以上とすることで、外添剤の有効被覆率が高まり、転写性が向上する。また、平均円形度が比較的大きい、特に0.975以上の平均円形度を有するトナー母体粒子を含むトナーであっても、上述のように空隙径Φ200nm以上500nm以下の空隙を所定数で有する実施形態によれば、適正なゆるみ見かけ密度が得られ、ひいては適切な流動性を得ることができる。よって、転写性とトナー補給性とを両立させることができる。
平均円形度は、フロー式粒子像測定装置を用いて測定でき、例えば、FPIA-3000(シスメックス社製)等によって測定することができる。平均円形度の定義は、
(平均円形度)=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
である。
平均円形度は、例えば以下のようにして行うことができる。イオン交換水30mLに対し、任意の界面活性剤を2mLと測定試料を0.05g投入し分散超音波発振器を用い分散させる。分散時には2~3分分散を行い所定の分散液とする。次いで、上述のフロー式粒子像測定装置を用いて、該分散液濃度が約5000~10000個/μLとなるように分散液を再調整して測定を行う。測定結果はトナーの円相当径で2μm~200μmのデータの範囲で解析を行い、トナーの平均円形度を算出する。
(現像剤)
本実施形態において、現像剤は、少なくとも本実施形態によるトナーを含み、必要に応じて、キャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。なお、現像剤は、一成分現像剤であっても二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
<キャリア>
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
<<芯材>>
芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g~90emu/gのマンガン-ストロンチウム系材料、50emu/g~90emu/gのマンガン-マグネシウム系材料等が挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g~120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g~80emu/gの銅-亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
芯材の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm~150μmが好ましく、40μm~100μmがより好ましい。芯材の体積平均粒径が10μm以上であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じるといった問題を解消することができる。芯材の体積平均粒径が150μm以下であると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることで、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなるといった問題を解消することができる。
本実施形態によるトナーは、上記のキャリアと混合して二成分現像剤に用いることができる。二成分現像剤におけるキャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、二成分現像剤100質量部に対して、90質量部以上98質量部以下が好ましく、93質量部以上97質量部以下がより好ましい。
本実施形態による現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
(トナーの製造方法)
本実施形態に係るトナーの製造方法は、特に限定されない。本実施形態に係るトナーにおけるトナー母体粒子の製造方法としては、例えば、粉砕法、或いは油相を水系媒体からなる水相中に分散させて造粒する方法である、溶解懸濁法、乳化凝集法等が挙げられる。
本実施形態におけるトナー母体粒子としては、例えば、有機溶媒中に少なくともポリエステル及び/又は結着樹脂前駆体(変性ポリエステル)、着色剤、離型剤を含むトナー材料を溶解乃至分散させて得られる油相を水系媒体(水相)中に分散させて、得られた油相/水相(O/W)型分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものが好ましい。また、そのようなO/W型分散液(乳化分散液)を得る際に、上記油相に、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を溶解させた後、油相を微粒子分散剤の存在する水系媒体からなる水相中に分散させることが好ましい。さらに、乳化分散液中で結着樹脂成分を架橋反応及び/又は伸長反応させることが好ましい。
つまり、トナー母体粒子は、有機溶媒と、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルを生成可能な活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む溶解液又は分散液を水相中に分散させて乳化分散液とし、該乳化分散液中で活性水素基含有化合物と重合体とを架橋反応及び/又は伸長反応させ、該乳化分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものであることが好ましい。
-粉砕法-
粉砕法は、例えば、トナー材料を混合した混合物を溶融混練機に仕込んで溶融・混練し、粉砕、分級等することにより、トナー母体粒子を得る方法である。なお、該粉砕法の場合、トナーの平均円形度を調整する目的で、得られたトナー母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、該機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョン等の装置を用いて付与することができる。
-溶解懸濁法-
溶解懸濁法は、結着樹脂又は結着樹脂原料と着色剤とを主成分としたトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させて形成した溶解物又は分散物(油相)を、水系媒体(水相)中で乳化乃至分散させて乳化液乃至分散液を調製して、造粒を行う方法である。
トナー母体粒子の製造方法においては、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを少なくとも含むトナー材料の溶解乃至分散液(油相)を、水系媒体(水相)中に乳化乃至分散させ、水系媒体中で活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて造粒することが好ましい。水系媒体中で活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させることにより、後述する接着性基材を生成させることが好ましい。
特に、トナー母体粒子としては、有機溶媒と、分子構造中に少なくともエステル結合と該エステル結合以外の結合単位を含む変性ポリエステルを生成可能な活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含む溶解液又は分散液を水相中に分散させて乳化分散液とし、該乳化分散液中で活性水素基含有化合物と重合体とを架橋反応及び/又は伸長反応させ、該乳化分散液から有機溶媒を除去して造粒されたものであることが好ましい。活性水素基含有化合物と該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を架橋反応及び/又は伸長反応させたポリマーは変性ポリエステルであり、接着性基材としての機能を有する。
トナー材料の溶解乃至分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製される。トナー材料としては、トナーを形成可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、活性水素基含有化合物、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)のいずれかを含み、さらに必要に応じて、未変性ポリエステルや、離型剤、着色剤等の上記その他の成分を含んでいてもよい。
トナー材料の溶解乃至分散液は、トナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて調製することが好ましい。
溶解乃至分散工程においては、無機物フィラーを微分散状態とするため、分散機を用いることが好ましい。分散機としては特に制限はないが、高速回転せん断型分散機や、メディア型分散機等がある。本実施形態によるトナーの製造方法としては、特に材料の微細化に優れた点からメディア型分散機が好ましい。
なお、有機溶媒は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去することが好ましい。トナー材料を溶解乃至分散する有機溶媒としては、トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。トナーの造粒時乃至造粒後の除去の容易性の点で沸点が150℃未満のものが好ましい。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。また、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。トナー材料100質量部に対し40~300質量部が好ましく、60~140質量部がより好ましく、80~120質量部がさらに好ましい。なお、トナー材料の溶解乃至分散液の調製は、有機溶媒中に、活性水素基含有化合物、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、未変性ポリエステル、離型剤、着色剤、帯電制御剤、等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
また、トナー材料の中で、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、後述する水系媒体の調製において、水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。
水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物、等を用いることができるが、これらの中でも、水が特に好ましい。水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類等を用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。また、低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー材料の溶解乃至分散液の水系媒体中への乳化乃至分散は、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体中で攪拌しながら分散させることが好ましい。分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機等を用いて行うことができる。分散機としては、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機等が挙げられる。このトナーの製造方法においては、乳化乃至分散の際、活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を伸長反応乃至架橋反応させると、接着性基材(結着樹脂)が生成する。
乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去としては、例えば(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
有機溶媒の除去が行われるとトナー母体粒子が形成される。形成されたトナー母体粒子に対し、洗浄を行う。洗浄後、トナーが分散した水系スラリーを加熱処理し、脱水乾燥等を行う。なお、水系スラリーの加熱処理(乾燥工程)においては、洗浄工程で得たトナー粒子を、ガラス転移温度マイナス20℃超(ガラス転移温度より20℃低い温度超)、且つガラス転移温度未満の温度で乾燥することが好ましい。これにより、得られるトナーにおけるトナー母体粒子中に適切な空隙が形成され、転写性及びトナー補給性の両方に優れたトナーを得ることができる。
さらにその後、所望により分級等を行う。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行う。なお、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
-乳化凝集法-
乳化重合凝集法(乳化凝集法ともいう)は、トナー材料を含む油相、又はモノマー相を、水系媒体(水相)に分散及び/又は乳化して造粒し、トナー母体粒子を得る方法である。当該方法では、乳化重合により作製した樹脂粒子分散液と、着色剤、離型剤等を分散した分散液とを共にヘテロ凝集させ、その後、融合合一させることができる。
乳化重合凝集融合法は、乳化重合法で調製した樹脂粒子分散液と、着色剤分散液と、必要に応じ離型剤分散液を混合し、樹脂粒子と着色剤とを凝集させて、凝集粒子を形成する凝集粒子分散液の調製工程(以下「凝集工程」と称することがある)、及び凝集粒子を加熱融合してトナー粒子を形成する工程(以下「融合工程」と称することがある)を含む。
凝集工程においては、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、必要に応じて離型剤分散液を互いに混合し、樹脂粒子等を凝集して凝集粒子を形成する。凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、その際に凝集粒子の安定化、粒径/粒度分布制御を目的として、凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加することができる。融合工程においては、凝集粒子中の樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱して溶融する。
融合工程の前段で、凝集粒子分散液にその他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。
融合工程で融合された融合粒子は、水系媒体中に着色融合粒子分散液として存在しており、これを洗浄工程において水系媒体から融合粒子を取り出すのと同時に、上記の各工程において混入した不純物等を除去し、これを乾燥して粉体としてのトナー母体粒子を得る。洗浄工程においては、酸性、場合によっては塩基性の水を融合粒子に対して数倍の量で加えて攪拌した後、ろ過して固形分を得る。これに純水を固形分に対して数倍加えて攪拌した後、ろ過を行う。これを数回繰り返し、ろ過後のろ液のpHが約7になるまで繰り返す。
その後、トナーが分散した水系スラリーを加熱処理して、乾燥させ、着色されたトナー粒子を得る。この時必要に応じて乾燥空気を循環させたり、真空条件下で加熱したりする方法がとられる。なお、水系スラリーの加熱処理(乾燥工程)においては、洗浄工程で得たトナー粒子を、ガラス転移温度マイナス20℃超(ガラス転移温度より20℃低い温度超)、且つガラス転移温度未満の温度で乾燥することが好ましい。これにより、得られるトナーにおけるトナー母体粒子中に適切な空隙が形成され、転写性及びトナー補給性の両方に優れたトナーを得ることができる。
次いで、乾燥して得られたトナー母体粒子表面に外添剤を添加してトナーを得る。
樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液の分散性の安定化のためには、乳化剤である有機酸金属塩の脂環式化合物をそのまま用いることができる。しかし、着色剤分散液、離型剤分散液のpHによる安定性等により、必ずしも塩基性条件下で安定でない場合、また樹脂粒子分散液の経時安定性の理由により、若干量の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
上記の界面活性剤のうちイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤がより好ましい。本実施形態によるトナーにおいて、一般的にはアニオン性界面活性剤は分散力が強く、樹脂粒子、着色剤の分散性に優れているため、離型剤を分散させるための界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤が有利である。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩類、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類;等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクローライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクローライド、ジステアリルアンモニウムクローライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクローライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクローライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクローライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクローライド、アルキルトリメチルアンモニウムクローライド等の4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類等が挙げられる。
界面活性剤の各分散液中における含有量は、本実施形態の特徴を阻害しない程度であれば良く、一般的には少量であり、具体的には樹脂粒子分散液の場合、0.01~1質量%が好ましい。より好ましくは0.02~0.5質量%であり、更に好ましくは0.1~0.2質量%である。0.01質量%以上であると、特に樹脂粒子分散液のpHが十分に塩基性でない状態の場合に、凝集を生じることを抑制できる。
着色剤分散液、離型剤分散液の場合の界面活性剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.5~0.2質量%が更に好ましい。凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、0.01質量%以上であると、特定粒子の遊離が生じることを抑制できる。10質量%以下であると、粒子の粒度分布が広くなる、粒子径の制御が困難になる等の問題を抑制できる。
本実施形態においては、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液及びその他の成分の分散液の分散媒として、例えば水系媒体等を使用できる。水系媒体の具体例としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
凝集粒子分散液を調製する工程においては、乳化剤の乳化力をpHで調整して凝集を発生させ、凝集粒子を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法ために、凝集剤を添加してもよい。
凝集剤としては、1価以上の電荷を有する化合物が好ましく、具体的には、上述のイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮すると、性能、使用の点で無機酸の金属塩が好ましい。
上記の凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であり、1価の場合は3質量%以下が好ましく、2価の場合は1質量%以下が好ましく、3価の場合は0.5質量%以下が好ましい。凝集剤の添加量は少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができるので好適である。
次いで、トナー母体粒子表面に外添剤を添加してトナーを得る。
(トナー収容ユニット)
一実施形態によるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、一実施形態によるトナーを収容したものを示す。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えばトナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジ等が挙げられる。
トナー収容容器とは、一実施形態によるトナーを収容した容器を示す。現像器は、一実施形態によるトナーを収容し現像する手段を有するものを示す。プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、一実施形態によるトナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものを示す。プロセスカートリッジは、さらに帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えていてもよい。
ここで、一実施形態に係るプロセスカートリッジについて図面を参照しながら説明する。プロセスカートリッジの一実施形態を図1に示す。本実施形態のプロセスカートリッジは、図1に示すように、潜像担持体101を内蔵し、帯電装置102、現像装置104、クリーニング部107を含み、さらに必要に応じて、その他の手段を有する。図1中、符号103は露光装置からの露光、符号105は記録紙をそれぞれ示す。
潜像担持体101としては、後述する画像形成装置における静電潜像担持体と同様のものを用いることができる。また帯電装置102には、任意の帯電部材が用いられる。図1に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについては、潜像担持体101は、図1中において時計回りに回転しながら、帯電装置102による帯電、露光手段(図示せず)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像装置104でトナー現像され、トナー現像は転写ローラ108により、記録紙105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の潜像担持体表面は、クリーニング部107によりクリーニングされ、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本実施形態による画像形成装置は、前述のトナー収容ユニットを有し、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、さらに必要に応じて、その他の手段を有することが好ましい。
本実施形態に係る画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更さらに必要に応じて、その他の工程を含む。
<静電潜像担持体>
静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。静電潜像担持体の材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。静電潜像担持体の線速としては、300mm/s以上であることが好ましい。
<静電潜像形成手段及び静電潜像形成工程>
静電潜像形成手段としては、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段等が挙げられる。
静電潜像形成工程としては、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段を用いて行うことができる。
-帯電部材及び帯電-
帯電部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。これらの中でも、帯電部材から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる点で、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
帯電部材の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等のどのような形態をとってもよく、画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択できる。帯電は、例えば、帯電部材を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
<<露光部材及び露光>>
露光部材としては、帯電部材により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光部材等が挙げられる。
露光部材に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般等が挙げられる。
また、露光部材に用いられる光源には、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
露光は、例えば、露光部材を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。なお、本実施形態においては、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像手段及び現像工程>
現像手段としては、静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像して可視像であるトナー像を形成するトナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
現像工程としては、静電潜像担持体に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像することにより、可視像であるトナー像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像手段により行うことができる。
現像手段としては、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面にトナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
<その他の手段及びその他の工程>
その他の手段としては、例えば、転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段等が挙げられる。
-転写手段及び転写工程-
転写手段としては、可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
転写工程としては、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。転写工程は、例えば、可視像を、転写帯電器を用いて感光体を帯電することにより行うことができ、上記転写手段により行うことができる。
ここで、記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、転写手段により、中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて、中間転写体上に画像を形成し、中間転写手段により、中間転写体上の画像を記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。転写手段(一次転写手段、及び二次転写手段)は、感光体上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、OHP用のPETベース等も用いることができる。
-定着手段及び定着工程-
定着手段としては、記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の加熱加圧部材が好ましい。
加熱加圧部材としては、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ等が挙げられる。
定着工程としては、記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各色のトナーに対し記録媒体に転写するごとに行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。定着工程は、定着手段により行うことができる。
加熱加圧部材における加熱としては、80℃~200℃が好ましい。
本実施形態においては、目的に応じて、定着手段とともに、あるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
定着工程における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm~80N/cmであることが好ましい。
<<クリーニング手段及びクリーニング工程>>
クリーニング手段としては、感光体上に残留するトナーを除去できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられる。
クリーニング工程としては、感光体上に残留するトナーを除去できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クリーニング手段により行うことができる。
-除電手段及び除電工程-
除電手段としては、感光体に対し除電バイアスを印加して除電する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が挙げられる。除電工程としては、感光体に対し除電バイアスを印加して除電する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電手段により行うことができる。
-リサイクル手段及びリサイクル工程-
リサイクル手段としては、クリーニング工程により除去したトナーを現像装置にリサイクルさせる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段等が挙げられる。
リサイクル工程としては、クリーニング工程により除去したトナーを現像装置にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リサイクル手段により行うことができる。
さらに、画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態の画像形成装置として、プリンタが例として示されているが、本実施形態による画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、複合機等のトナーを用いて画像を形成することが可能であれば、特に限定されない。
画像形成装置は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着器250とを備えている。給紙部210は、給紙される紙Pが積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された紙Pを一枚ずつ給紙する給紙ローラ212を備えている。搬送部220は、給紙ローラ212により給紙された紙Pを転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221により搬送された紙Pの先端部を挟み込んで待機し、紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、カラートナー像が定着した紙Pを排紙トレイ224に排出する排紙ローラ223を備えている。
作像部230は、所定の間隔をおいて、図中、左方から右方に向かって順に、イエロートナーを有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニット180Yと、シアントナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Cと、マゼンタトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Mと、ブラックトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Kと、露光器233を備えている。
画像形成ユニット画像形成ユニット180(180Y、180C、180M、180K)は、図中、時計回りに回転可能に設けられており、静電潜像及びトナー像が形成される感光体ドラム231(231Y、231C、231M、231K)と、感光体ドラム231(231Y、231C、231M、231K)の表面を一様に帯電させる帯電器232(232Y、232C、232M、232K)と、感光体ドラム231(231Y、231C、231M、231K)の表面に残ったトナーを除去する清掃器236(236Y、236C、236M、236K)を備えている。
また、画像形成ユニット180(180Y、180C、180M、180K)は、各色のトナーを収容するトナーボトル234(234Y、234C、234M、234K)と、トナーボトル234(234Y、234C、234M、234K)から供給されたトナーを補給するためのサブホッパ160(160Y、160C、160M、160K)を備えている。なお、画像形成ユニット180(180Y、180C、180M、180K)のうち、任意の画像形成ユニットを示す場合には、画像形成ユニットという。
露光器233は、画像情報に基づいて光源233aから発せられたレーザ光Lを、モータにより回転駆動されるポリゴンミラー233b(233bY、233bC、233bM、233bK)により反射させて感光体ドラム231に照射する。
現像剤は、トナーとキャリアを有する。4つの画像形成ユニット180(180Y、180C、180M、180K)は、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同一である。
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い、図2中反時計回りに回転することが可能な中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体ドラム231(231Y、231C、231M、231K)に対向して設けられた一次転写ローラ244(244Y、244C、244M、244K)と、トナー像の紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245及び二次転写ローラ246を備えている。
定着器250は、ヒータが内部に設けられており、紙Pを加熱する定着ベルト251を、定着ベルト251に対して、回転可能に加圧することによりニップを形成する加圧ローラ252を備えている。これにより、紙P上のカラートナー像に熱と圧力が印加されて、カラートナー像が定着する。カラートナー像が定着した紙Pは、排紙ローラ223により排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<トナーの製造>
<<トナー母体粒子Aの製造>>
-結晶性ポリエステルの合成-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,6-アルカンジオール2300g、フマル酸2530g、無水トリメリット酸291g、ハイドロキノン4.9gを入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて[結晶性ポリエステル1]を得た。
-非結晶性ポリエステル(低分子ポリエステル)の合成-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で7時間反応し、さらに10~15mmHgの減圧で4時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[非結晶性ポリエステル1]を得た。ここで、[非結晶性ポリエステル1]は未変性ポリエステルに相当する。
-ポリエステルプレポリマーの合成-
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で8時間反応し、さらに10~15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量Mnが2100、重量平均分子量Mwが9500、ガラス転移温度Tgが55℃、酸価が0.5KOHmg/g、水酸基価が51KOHmg/gであった。ここで、[中間体ポリエステル1]は未変性ポリエステルに相当する。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。ここで、[プレポリマー1]は変性ポリエステルであり「活性水素基含有化合物」に相当する。
-ケチミンの合成-
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。[ケチミン化合物1]は、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体である。
-マスターバッチの合成-
水1200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5〕540部、[非結晶性ポリエステル1]1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、[マスターバッチ1]を得た。
-油相の作製-
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[非結晶性ポリエステル1]378部、カルナウバワックス110部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
さらに、[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、12パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[非結晶性ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液を1042.3部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。[顔料・ワックス]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
-結晶性ポリエステル分散液の作製-
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル1]を100g、酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mLを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液1]を得た。
-有機微粒子エマルションの合成-
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30:三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA-920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
-水相の調製-
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON-7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とした。
-乳化・脱溶剤-
[顔料・ワックス分散液1]664部、[プレポリマー1]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液1]を120部、[ケチミン化合物1]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000rpmで60秒間混合し、[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
-洗浄・加熱・乾燥-
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、以下の操作を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した。
(5):(4)のスラリーをTKホモミキサーで混合(回転数1000rpm)しながら、液温が40℃になるまで加熱処理し、液温40℃を15分保持した。
(6):(5)のスラリーを25℃まで冷却した。
(7):(6)のスラリーを濾過し、[濾過ケーキ1]を得た。
(8):(7)の[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて35℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子A]を得た。
<<外添処理>>
[トナー母体粒子A]100質量部に対して、シリカ粒子としてH1303VP(平均一次粒子径23nm、クラリアント社製)0.6質量部、平均粒径20nmの酸化チタン(JMT-150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した。
混合順として、1段目にシリカ粒子のみ添加して混合、2段目に酸化チタンを追加して混合。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、[トナー1]を得た。
(実施例2)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱保持時間を30分とした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー2]を得た。
(実施例3)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱保持時間を45分とした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー3]を得た。
(実施例4)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を45℃とした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー4]を得た。
(実施例5)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を45℃とし、加熱保持時間を35分にした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー5]を得た。
(実施例6)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を45℃とし、加熱保持時間を25分にした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー6]を得た。
(実施例7)
実施例1の水相調整工程において、硫酸ナトリウムの10%水溶液5質量部を添加し、実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を45℃とし、加熱保持時間を15分にした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー7]を得た。
(比較例1)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を50℃とした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー8]を得た。
(比較例2)
実施例1の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理温度を35℃とした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー9]を得た。
(比較例3)
実施例5の洗浄・加熱・乾燥工程において、加熱処理をしないとした以外は、実施例1同様に作製し、[トナー10]を得た。
<キャリアの作製>
トルエン100質量部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100質量部、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部、及びカーボンブラック10質量部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。
流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000質量部の表面に、上述のように調製した樹脂層塗布液を塗布して、[キャリア]を作製した。
<現像剤の作製>
ボールミルを用いて、各[トナー]5質量部と[キャリア]95質量部とを混合し、各[現像剤]を作製した。
次に、得られた各トナー及び各現像剤を用い、以下のようにして諸特性を評価した。結果は表1に示す。
<空隙径Φの測定>
得られた各トナーをルテニウム染色し、断面SEMによって観察した。その際、走査型電子顕微鏡(SEM)における撮影条件は以下の通りであった。
〔撮影条件〕
・走査型電子顕微鏡:SU-8230(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
・撮影倍率:60000倍
・撮影像:SE(L):二次電子、BSE(反射電子)
・加速電圧:3.0kV
・加速電流:1.0μA
・プローブ電流:Normal
・焦点モード:UHR
・WD:8.0mm
撮影された二次電子像及び反射電子像を比較した。この比較において、トナー母体粒子中、二次電子像で黒く観察されるが、反射電子像では黒く観察されていない(グレーダウンしている)部分を、空隙と判定した。さらに、画像処理ソフト(ImageJ)を使用して、各空隙の外周を測定し、測定して得られた外周と同じ円周を有する真円の直径を、空隙径Φ(nm)とした。そして、トナー1個当たり(トナー母体粒子1個当たり)の、300≧Φ≧200である空隙の平均個数を求めた。また、トナー1個当たり(トナー母体粒子1個当たり)の、500≧Φ≧200の空隙の平均個数、及びΦ>500の空隙の平均個数をそれぞれ求めた。なお、各例の空隙の平均個数を求めるために観察したトナーは、無作為に選んだ10個であった。
<BET比表面積の測定>
各例で得られたトナー母体粒子のBET比表面積を、全自動比表面積測定装置Macsorb HM model-1201(MOUNTECH社)を用いて測定した。
<平均円形度の測定>
各例で得られたトナー母体粒子の平均円形度を、フロー式粒子像測定装置FPIA-3000(シスメックス社製)を用いて測定した。円形度は上述したように以下とした。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
測定は、具体的には、以下のようにして行った。イオン交換水30mLに対し、任意の界面活性剤を2mLと測定試料を0.05g投入し分散超音波発振器を用い分散させた。分散時には2~3分分散を行い所定の分散液とした。次いで、上記フロー式粒子像測定装置を用いて、該分散液濃度が約5000~10000個/μLとなるように分散液を再調整して測定を行った。測定結果はトナーの円相当径で2μm~200μmのデータの範囲で解析を行い、トナーの平均円形度を算出した。
<転写性評価>
単色モードで7%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、投入したトナー量と廃トナー量の関係から転写率を算出した:
転写率=100×(投入トナー量-廃トナー量)/(投入トナー量)
転写率90以上を◎、75以上90未満を○、60以上75未満を△、60未満を×とした。
<トナー補給性>
トナーを容量1,200mLのトナー収容容器に120g充填し、トナー収容容器を振ってトナーを十分に攪拌した。トナー収容容器を、搬送ノズルを備えた補給装置に装着した。トナー収容容器を回転、及び補給装置を以下の条件で動作させて補給装置から排出されるトナーの量を計測した。
〔補給装置の動作条件〕
トナー収容容器回転数:100rpm
補給装置の搬送ノズル内の搬送スクリュピッチ:12.5mm
搬送スクリュ外径:10mm
搬送スクリュ軸径:4mm
搬送スクリュ回転数:500rpm。
容器本体からのトナー補給性を、以下の評価基準で評価した。以下の評価のうち、◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。
〔評価基準〕
◎:非常に良好
(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー残量が70g未満、10g以上の範囲において、トナー補給量が0.4g/sec以上の状態で安定的に(一定量)で維持されている。)
※トナー補給量0.4g/secは、A4紙に全ベタ画像を連続通紙してもトナー補給量不足によりベタ画像のかすれ等がない(ベタ追従性)ことが予測される補給量である。
※トナー10g以上の範囲としたのは、容器内壁にトナーが付着する分を考慮したものである。
○:良好
(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー残量が70g未満、10g以上の範囲において、トナー補給量が0.4g/sec未満の状態で一定量で維持されている。)
※トナー補給量は、0.4g/secより少ないが、安定的に(一定量で)補給量が維持されているため、トナー収容容器の回転数を上げる等により、トナー補給量の底上げを行なうことができ、安定して、ベタ追従に十分な補給が行える。
△:許容レベル
(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー残量が70g未満となったとき以降、トナーの排出は行われるが、トナー補給量が一定ではなく、傾きを持って減少してゆく。)
※トナーは排出されるため、補給が0になるということはないが、ベタ追従性を保障するためにより複雑な補給制御が必要となる。
×:実用上使用できないレベル
(トナー排出ができなくなるまで駆動し続けたときに、トナー排出はなされるが、トナー残量70g以上残った状態で排出が行われなくなってしまうもの)
<画像濃度>
ベタ画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力後、画像濃度をX-Rite(X-Rite社製)により測定した。画像出力は4色それぞれ単独で行ない、濃度の平均を求めた。測定値が1.2未満の場合を×、1.2以上1.4未満の場合を△、1.4以上1.8未満の場合を○、1.8以上2.2未満の場合を◎とした。
<総合判定>
各評価項目の結果に基づき、以下の判断基準で判定した。
[評価基準]
◎:評価項目の内3つ以上「◎」
〇:評価項目の内「◎」が2つ以下であり、「△」及び「×」がない
△:評価項目のどれかが「△」
×:評価項目のどれかが「×」
Figure 2023134347000002
表1より、実施例1~7は、補給性、転写性、画像濃度のいずれも優れた性能を示すことが分かった。なお、空隙径Φが500nm≧Φ≧200nmである空隙が多い比較例1では、補給性がやや低下しており、これは、流動性が過剰であったためと考えられる。また、比較例1では、トナー凝集が起きやすく、転写性もやや低下していた上、画像の不均一化が起こり画像濃度の低下が確認された。一方、空隙径Φが500nm≧Φ≧200nmである空隙が少ない比較例2は、補給性がやや低下しており、これは流動性が不足しているためと考えられる。比較例2に対してさらに空隙が少ない比較例3は、トナー補給性がさらに劣っていた。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 樹脂及びワックスを含むトナー母体粒子と、外添剤とを含むトナーであって、
走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、トナー。
<2> 300≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、前記<1>に記載のトナー。
<3> Φ>500である空隙のトナー1個当たりの平均個数が1個未満である、前記<1>又は<2>に記載のトナー。
<4> 前記トナー母体粒子のBET比表面積が1.4~2.0m/gである、前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナー。
<5> 前記トナー母体粒子の平均円形度が0.974~0.984である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナー。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを収容する、トナー収容ユニット。
<7> 前記<6>に記載のトナー収容ユニットを有する、画像形成装置。
<8> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを用いて現像し、可視像であるトナー像を形成する現像工程と、を含む、画像形成方法。
<9> 乳化凝集法又は溶解懸濁法によりトナー母体粒子を造粒することを含むトナーの製造方法であって、
走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、トナーの製造方法。
101 潜像担持体
102 帯電装置
103 露光装置からの露光
104 現像装置
105 記録紙
107 クリーニング部
108 転写ローラ
160Y サブホッパ(イエロー)
160C サブホッパ(シアン)
160M サブホッパ(マゼンタ)
160K サブホッパ(ブラック)
180Y 画像形成ユニット(イエロー)
180C 画像形成ユニット(シアン)
180M 画像形成ユニット(マゼンタ)
180K 画像形成ユニット(ブラック)
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231Y 感光体ドラム(イエロー)
231C 感光体ドラム(シアン)
231M 感光体ドラム(マゼンタ)
231K 感光体ドラム(ブラック)
232Y 帯電器(イエロー)
232C 帯電器(シアン)
232M 帯電器(マゼンタ)
232K 帯電器(ブラック)
233 露光器
233a 光源
233bY ポリゴンミラー(イエロー)
233bC ポリゴンミラー(シアン)
233bM ポリゴンミラー(マゼンタ)
233bK ポリゴンミラー(ブラック)
234Y トナーボトル(イエロー)
234C トナーボトル(シアン)
234M トナーボトル(マゼンタ)
234K トナーボトル(ブラック)
236Y 清掃器(イエロー)
236C 清掃器(シアン)
236M 清掃器(マゼンタ)
236K 清掃器(ブラック)
240 転写部
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
244Y 一次転写ローラ(イエロー)
244C 一次転写ローラ(シアン)
244M 一次転写ローラ(マゼンタ)
244K 一次転写ローラ(ブラック)
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着器
251 定着ベルト
252 加圧ローラ
L レーザ
P 紙
特許第4894876号公報

Claims (9)

  1. 樹脂及びワックスを含むトナー母体粒子と、外添剤とを含むトナーであって、
    走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、トナー。
  2. 300≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. Φ>500である空隙のトナー1個当たりの平均個数が1個未満である、請求項1に記載のトナー。
  4. 前記トナー母体粒子のBET比表面積が1.4~2.0m/gである、請求項1に記載のトナー。
  5. 前記トナー母体粒子の平均円形度が0.974~0.984である、請求項1に記載のトナー。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のトナーを収容する、トナー収容ユニット。
  7. 請求項6に記載のトナー収容ユニットを有する、画像形成装置。
  8. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、請求項1から5のいずれか一項に記載のトナーを用いて現像し、可視像であるトナー像を形成する現像工程と、を含む、画像形成方法。
  9. 乳化凝集法又は溶解懸濁法によりトナー母体粒子を造粒することを含むトナーの製造方法であって、
    走査型電子顕微鏡(SEM)による断面の観察に基づき測定される、前記トナー母体粒子内の空隙の径をΦ(nm)として、500≧Φ≧200である空隙のトナー1個当たりの平均個数が、5個以上10個以下である、トナーの製造方法。
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