JP2023134312A - 生体中や環境あるいは食品中に存在する微小物質の濃縮法 - Google Patents

生体中や環境あるいは食品中に存在する微小物質の濃縮法 Download PDF

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Abstract

【課題】濃縮すべき微小物質(特にウイルス)以外の夾雑物を多く含む試料から、目的とする微小物質を簡便、迅速、かつ、効率よく濃縮できるポリエチレングリコール(PEG)沈殿法を提供する。【解決手段】PEG溶液に、塩基物質、キレート剤、還元剤、及び/又はタンパク質成分を添加することによって、大容量の種々の試料から微量な微小物質(特にウイルス)を高回収率で回収できる。回収された微小物質は、Direct RT-PCRでの検出に十分耐えうる純度を有している。【選択図】なし

Description

本発明は、生体中や環境あるいは食品中に存在する微小物質、特に、公衆衛生・医療検査分野さらには公共安全性や食品安全性を確保するための一般検査分野などにおけるウイルス(特に病原性ウイルス)を濃縮して検出するのに好適な濃縮方法ならびにそれに使用する試薬に関するものである。
研究や検査の対象となる生体中や環境あるいは食品中の微小物質としては、まずはウイルス(特に動植物に害をもたらす病原性ウイルス)が挙げられる。それに加えて、生体内の細胞や培養細胞由来のエクソームを含む細胞外小胞体(Extracellular Vesicles:EVs)や細胞やEVsの構成物であるプラスミド、核酸(DNA and/or RNA)やタンパク質も、研究や検査の対象となっており、一部では治療への応用も試みられている。
その内、医療検査分野におけるウイルス検査においては、近年世界中で大流行したSARS-CoV-2や毎年のように多数の感染者を発生させるインフルエンザウイルス、世界中に蔓延しているヒト免疫不全ウイルス、さらには、高病原性インフルエンザウイルスやエボラウイルスなど警戒が必要なウイルスが多種多様存在している。さらには今後大規模な感染の危険性が指摘されているウイルスも数多く、日々の観測や警戒が必要になっている。
他方、食品安全性分野においては、ノロウイルスやサポウイルを筆頭に、ロタウイルス、アデノウイルス、アストロウイルス、コロナウイルス、A型肝炎ウイルスなど、ヒトに下痢症を起こすウイルスなどが食品安全性上、特に監視が必要なウイルスとして挙げられる。
さらに、近年、混合試料や大容量の環境水などに存在する微量ウイルスを検知することで、流行地域からの高病原性ウイルス流入の早期発見や流行期が過ぎた後の再流行のモニタリングなどに生かすことの有用性が強調されるに至り、大容量の試料から高感度にモニタリング対象ウイルス(遺伝子)を検出できるシステムの開発が急務になってきている。
これらの生体中や環境あるいは食品中の微小物質の濃縮、精製には、超遠心法やポリエチレングリコール(PEG)沈殿法が多用されているが、両法とも濃縮・精製には煩雑な操作が必要で操作時間も長い。さらに両法とも、大量調製には不向きな上、回収率や夾雑物の除去率においても問題を孕んでいる。
そこで、我々は、PEGにグリコーゲンなどの多糖類を最適濃度で添加し、さらには添加する塩濃度を最適化するなどで、水溶液に懸濁したウイルスを簡便・迅速かつ安定的、高回収率で回収できることを発明(以下、「改良PEG沈殿法」という)し、特許出願を行った(特許文献1:特開2020-005632号)
ところで、回収した濃縮物における検査対象がRNAやDNAなどの核酸である場合には、核酸を増幅して検出する方法が主流ではあるが、最近は、非増幅核酸検出法も開発され始めている。
他方、検査対象がタンパク質などの核酸以外の構成物である場合には、現在は汎用性の高い抗原抗体法で検出するのが主流ではあるが、質量分析法や電子顕微鏡などでの検出も試みられている。
核酸を増幅して検出する主な方法としては、検出対象がDNAの場合は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法やLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法などの標的とするDNA領域を増幅して検出する方法が挙げられる。また、検出対象がRNAの場合は、Reverse transcriptaseで標的とするRNAをDNA(cDNA:complementary DNA)に転換してから上記のDNA増幅法で増幅して検出する方法や、RNAを鋳型として増幅して検出するTMA(Transcription Mediated Amplification)法などが挙げられる。
増幅した核酸を検出する場合は、以前は増幅した核酸を一旦取り出してから電気泳動などで検出する方法が多用されていたが、本法は操作が煩雑な上に、操作中に増幅産物の拡散によるコンタミネーションが生じる危険性も高かった。
しかしながら、蛍光標識したプローブやSYBR Greenなどのインターカレーションダイを用いたMelt Curve(融解曲線)でリアルタイムに目的産物を検出するreal time(RT)-PCR法やreal time(RT)-LAMP法が開発されたことで、簡便・迅速、高感度、かつコンタミネーションの危険性も少なく、検出対象の核酸を増幅して検出することが可能となった。
それでも、通常の核酸増幅法では、試料中に共存する夾雑物由来の反応阻害を避けるために、逆転写酵素によるcDNAへの変換や核酸増幅の前に試料から核酸を抽出・精製する工程が必要となり、遺伝子増幅法の利便性を大いに損なっていた。
そこで、本件発明者は夾雑物を中和する成分を独自に見出し、それを反応液に添加することで、試料から核酸を抽出精製することなしに、直接増幅して検出する方法(Direct PCR法)を見出した(特許文献2:特許3416981号、特許文献3:特許4735645号)。その後、本技術は、検便中の食中毒菌検出キットやノロウイルス検出キット、咽頭拭い液や唾液中のSARS-CoV-2検出キットなどの各種検出キットに利用されている。
しかしながら、Direct(RT-)PCR法では、試料を反応液に直接添加できるが、試料の投入可能量に限界があり、数μLレベル以上を添加することが難しかった。さらにウイルスから核酸を抽出精製してから増幅する方法においても、核酸の回収に必要な液量や抽出精製後にも残存する試料由来の反応阻害物資などを考慮すると、添加可能な試料の量には限度があった。
そこで、今回、我々は、上記で示した改良PEG沈殿法で生体試料(唾液や咽頭拭い液などの体液、糞便などの排出物)に存在する微量のウイルスを濃縮して、Direct(RT-)PCR法で検出する方法の検討を開始した。
まずは、改良PEG沈殿法を使用して唾液に添加した疑似コロナウイルス(NATtrol SARS-CoV2:ZeptoMetrix)の検出を試みたが、蒸留水や緩衝液、環境からの拭取り液を対象とした場合に形成される遠心後の沈渣が形成されず、それに伴い、回収液からのDirect RT-PCRによる反応産物の大幅な減少が認められた。
従って、改良PEG沈殿法においても、生体試料などの核酸以外の夾雑物を多量に含有している試料に対しては改善を加える必要がある。
特開2020-005632号 特許3416981号 特許4735645号
生体中や環境あるいは食品中の微小物質の濃縮、精製には、超遠心法やポリエチレングリコール(PEG)沈殿法が多用されているが、両法とも濃縮・精製には煩雑な操作が必要で操作時間も長い。さらに両法とも、大量調製には不向きな上、回収率や夾雑物の除去率においても問題を孕んでいる。
そこで、我々は、PEGにグリコーゲンなどの多糖類を最適濃度で添加し、さらには添加する塩濃度を最適化するなどで、水溶液に懸濁したウイルスを簡便・迅速かつ高回収率で安定的に回収できることを見出し、前述のとおり特許出願を行なっている(改良PEG沈殿法)。
しかしながら、擬似コロナウイルスを添加した唾液などの生体試料を検体として使用した場合においては、改良PEG沈殿法においても、PEG沈渣からのDirect RT-PCR法での蛍光プローブ検出において、不検出もしくはThreshold Cycle(Ct)の大幅な遅れが認められたところから、ウイルス回収率や夾雑物除去率などの大幅低下が疑われた。
そこで、水溶液のみならず、濃縮すべき微小物質(特にウイルス)以外の夾雑物を多く含む生体試料などから微小物質を簡便、迅速、かつ効率よく濃縮できるPEG沈殿法の開発が必要となった。
さらに、近年、流行地域からの高病原性ウイルス流入の早期発見や流行期が過ぎた後の再流行のモニタリングの必要性が強調されるに至り、大容量の試料からもウイルスなどの微小物質を効率的に濃縮できるシステムの開発が急務になってきている。
しかしながら、Direct(RT-)PCR法では、試料を反応液に直接添加できるが、試料の投入可能量に限界があり、数μLレベル以上を添加することが難しかった。さらにウイルスから核酸を抽出精製してから増幅する方法においても、核酸の回収にはある程度の溶解液が必要となる。さらには、生体試料には多種、多様かつ多量の酵素反応阻害の要因となる夾雑物が存在するので、核酸の抽出精製でも除ききれなかった残渣物の影響を考慮すると、添加可能な試料量にもおのずと限度があった。
PEG沈殿に有効な成分や条件をさらに付加することで、濃縮すべき微小物質(特にウイルス)以外の夾雑物を多く含む試料からも目的とする微小物質を簡便、迅速、かつ効率よく濃縮できるPEG沈殿法の開発を行う。特に特開2020-005632号に記載した水溶液に懸濁したウイルスを簡便・迅速かつ高回収率で安定的に回収できる改良PEG沈殿法をベースに検討することにした。
次に、生体試料からのDirect RT-PCRを可能にした特許文献3(特許4735645号)に記載した検体前処理試薬成分が、夾雑物の不活化などに有効ではないかとの推論を元に改良PEG沈殿法との掛け合わせでの検討を行った。
まずは、疑似コロナウイルスを添加した唾液検体に水酸化ナトリウムを加えて、塩基性化した後に改良PEG沈殿法を行ったところ、終濃度で38.2~3.83mMの水酸化ナトリウムを添加したPEG沈殿においては沈渣が認められたが、水酸化ナトリウム1.21mM添加群や無添加群では沈渣は認められなかった。しかしながら、Direct RT-PCRにおいて、水酸化ナトリウムの12.1および3.83mM添加群では、ターゲットであるウイルスのみならず内部コントロール特異的なPCR産物も得られなかった。
上記の現象は、目的とする疑似ウイルスと共に、多くの夾雑物も共沈した結果ではないかとの推論の元、疑似コロナウイルスを添加した唾液検体に水酸化ナトリウムとともにキレート剤としてEthylene Glycol Tetraacetic Acid(EGTA)を添加して改良PEG沈殿を行った。結果、水酸化ナトリウム存在下、終濃度で10.0mMのEGTAを加えたPEG沈殿においては沈渣が認められなかったが、3.27~0.100mMでは認められた。加えて、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、PEG沈殿において水酸化ナトリウム存在下終濃度で1.00~0.100mMのEGTAを加えた群での反応産物の大幅な増加がターゲット特異的PCR産物検出時のCt値とEnd RFU値から確認できた。また、キレート剤としてEthylenediaminetetraacetic Acid(EDTA)を使用した場合にもEGTA使用時と同様の結果が得られた。
次に、疑似コロナウイルスを添加した唾液検体に水酸化ナトリウム、EGTAとともに還元剤としてDithiothreitol(DTT)を添加して改良PEG沈殿を行った。得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、DTTを終濃度で0.005-0.5mM添加した群では、未添加群に比べてターゲット特異的PCR産物検出時のEnd RFU値の増大が認められた。
ところが、疑似コロナウイルスを添加した蒸留水に、水酸化ナトリウムとEGTAを添加して改良PEG沈殿法を実施したところ、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRでターゲット特異的PCR産物が検出されなくなった。そこで、上記の改良PEG沈殿法にタンパク質成分としてBovine Serum Albumin(BSA)を添加したところ、Direct RT-PCRにおいてターゲット特異的PCR産物が検出されるようになり、その効果は終濃度で0.167~0.0167%を添加した時に最も顕著であった。
40コピーの疑似コロナウイルスを添加した大容量唾液検体(50人分の混合検体250μL)に12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび0.167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)に16%PEG6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量混和し、PEG沈殿法を施行した。得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRを行ったところ、混合唾液を試料として用いた場合においてもBSAによるRT-PCRの増強効果が認められた。
添加する大容量検体を咽頭拭い液や10%糞便懸濁上清に代えて行って実施した場合にも、上記と同様に、Direct RT-PCRによって、250μL検体中の40コピーの疑似コロナウイルスの検出が可能であった。
検出対象をSARS-CoV-2感染者由来のウイルスに代えて、大容量唾液検体(50人分の混合検体250μL)に添加して[0032]と同様の検討を行ったところ、実検体由来の10コピー相当の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出が可能であった。
検出対象をノロウイルス感染者由来のウイルスに代えて、大容量唾液検体(50人分の混合検体250μl)に添加して[0034]と同様の検討を行ったところ、検出対象をノンエンベロープウイルスであるノロウイルスに代えても、100コピー相当のノロウイルスGIおよびGIIの検出が可能であった。
纏めると、今回発明した4要素(塩基物質、キレート剤、還元剤、タンパク質成分)、特に塩基物質、キレート剤は、PEG沈殿法の適用範囲や性能を大きく向上させることができる物質である。今回発明した要素は、特に濃縮対象とする微小物質以外の夾雑物を多く含む、大容量の試料からの濃縮に特に有用である。
すなわち、本発明は、水溶液中の微小物質をポリエチレングリコール(PEG)沈殿法で濃縮する際に、塩基物質及びキレート剤を個別もしくは混合状態で添加した後、遠心操作で微小物質を濃縮することを特徴とするPEG沈殿法である。さらには、還元剤もしくはタンパク質成分を添加してもよい。
また、本発明は、濃縮した検体を核酸の精製なしに反応液に添加して、微小物質中の核酸を増幅して検出することを特徴とするウイルス検出方法である。
微小物質としては、まずは、DNAウイルス、RNAウイルスさらにはレトロウイルスが挙げられる。さらには、生体内の細胞や培養細胞由来のエクソームを含む細胞外小胞体(Extracellular Vesicles:EVs)や細胞やEVsの構成物であるプラスミド、核酸(DNA and/or RNA)やタンパク質も対象として挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
PEG沈殿法での濃縮対象となる水溶液は、蒸留水、生理食塩水、緩衝液、生体試料、環境もしくは食品由来の溶液やそれら由来の乾燥物の再溶解液などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
材料となる生体材料としては、血液、リンパ液、髄液などの体液、汗や唾液などの分泌液、喉、鼻、口などからの拭い液や喀痰、尿、糞便などの排泄物やそれらをPBS(-)や生理食塩液などの各種緩衝液あるいは蒸留水などで希釈したものが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
PEG沈殿法で濃縮したものを検出する方法としては、検出対象が核酸である場合には、PCR法やLAMP法などの標的とするDNA領域を増幅して検出する方法、Reverse transcriptaseで標的とするRNAをDNAに転換してから上記のDNA増幅法で増幅して検出する方法、RNAを鋳型として増幅して検出するTMA法などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない
検出対象がタンパク質などの核酸以外の構成物である場合には、抗原抗体法や質量分析法、電子顕微鏡などの高い分解能を有する顕微鏡を使用する方法などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
今回発明した4要素の内、塩基物質とは、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの水酸化物、あるいはアンモニア、アミンなど水溶液のpHが7.0より大きく塩基性を示す物質の総称である。代表的なものとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、水酸化銅、水酸化鉄などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。水酸化ナトリウムの場合、終濃度で1.21~38.2mM、好ましくは3.83~12.1mMを添加する。
また、キレート剤とは、金属イオンと錯体を形成し活性を低下させる物質であり、EDTA、EGTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、DHEGなどたくさんの種類のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。上記のうち、アミノカルボン酸系キレート剤、すなわち、EGTA、EDTAもしくはその塩の単独もしくはこれらの混合物が好ましい。アミノカルボン酸系キレート剤は、終濃度で0.100~3.27mM、好ましくは0.317~1.00mMを添加する。
さらに、還元剤としては、DTT、BME、TCEP、2-Mercaptoethanolなどのタンパク質ジスルフィド用還元剤が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。還元剤がDTTである場合、終濃度で5mM以下、好ましくは0.005~0.5mMを添加する。
また、タンパク質成分としてはBSAを使用したが、世の中には多種多様のタンパク質が存在し、特にどれかに限定されるわけではない。濃縮用の液に添加するBSAは、終濃度で0.00167~1.67%、好ましくは0.0167~0.167%である。
上記4要素の内、塩基物質とキレート剤が少なくとも含まれていればよいが、3要素若しくは4要素全てを組合せてもよい。これらは、個別もしくは混合状態で、検体やPEG液に予め添加しておくことも、使用時に別途添加することも可能であり、添加する要素や順序などが限定されるわけではない。
上記4要素と組み合わせるPEG溶液はPEGにグリコーゲンなどの多糖類を最適濃度で添加し、さらには添加する塩濃度を最適化するなどした改良PEG液が最適であるが、これらに拘らない。
実施例においては、各種試料中に存在するウイルスの濃縮を例示したが、PEG沈殿法が各種試料に存在する多種多様の微小物質の濃縮に広く使用されていることから、本発明が試料中に存在するウイルス以外の微小物質の濃縮にも応用できることは十分に予測可能な範囲である。よって、本発明の応用範囲はウイルスに限定される必要はない。例えば、生体内の細胞や培養細胞由来のEVs、細胞やEVsの構成物であるプラスミド、核酸(DNA and/or RNA)やタンパク質などが近年研究や検査の対象として注目を集めており、一部では治療への応用も試みられているところから、これらを目的とした濃縮に際しても有効な手段を提供しうる。
また、実施例では、250μLの各種試料中に存在するウイルスの濃縮を例示したが、さらに多量の試料の持ち込みも可能である。その際には、濃縮対象である微小物質に伴って持ち込まれる酵素反応などを阻害する物質の量も増大するが、その場合は、陰電荷膜吸着法、限外ろ過膜法、solid沈殿法などの他の濃縮法との併用やPEG2段階濃縮法、各種核酸抽出精製法などとの組み合わせも有効となる。これらは、海、湖、池、河川、上水、下水など環境水中に微量に存在するウイルスなどを検査対象とする場合に特に有用となる。
生体材料(血液、リンパ液、髄液などの体液、汗や唾液などの分泌液、喉、鼻、口などからの拭い液、喀痰、尿、糞便などの排泄物)やその希釈液、培養細胞やその培養液、環境や食品などの種々サンプル中に存在する微小物質[ウイルス、プラスミド、細胞外小胞体(EVs)、さらにはそれらを構成する核酸(DNA and/or RNA)やタンパク質など]を濃縮する際に使用されるPEG沈殿法をさらに有用にするための添加物として、塩基物質、キレート剤、還元剤、タンパク質成分を見出した。
PEG沈殿を行う際にこれら4成分のうち、少なくとも塩基物質とキレート剤を混合もしくは単独で添加することで、PEG沈殿法がより有効なものになりうる。特に、PEG溶液にグリコーゲンなどの多糖類を最適濃度で添加し、さらには添加する塩濃度を最適化するなどした改良PEG液と組み合わせることで、種々の大容量サンプルから効率的に目的とする微小物質を濃縮することが可能となった。
本方法で濃縮した微小物質中の核酸を(RT)-PCR法などで増幅・検出することで、微量な核酸を簡便・迅速かつ高感度に増幅して検出することが可能となる。従って、コロナウイルス、インフルエンザウイルスやノロウイルスのような感染力が強く、人から人、もしくは人から環境を介して人へと、容易に人に感染し重篤な症状をもたらすウイルスを今回発明した方法で検出もしくはモニタリングすることで、公衆衛生の向上に寄与することができる。
今回発明した方法は、3桁マイクロリッターレベル量の試料からの濃縮に耐えうることから、混合検体からの微量核酸の検出やスクリーニングも可能となる。このことは、流行地域からの高病原性ウイルス流入の早期発見や流行期が過ぎた後の再流行のモニタリングなどに最適なシステムとなる。加えて、陰電荷膜吸着法、限外ろ過膜法、solid沈殿法などの他の濃縮法との併用やPEG2段階濃縮法、各種核酸抽出精製法などとの組み合わせにより、リッター単位の極めて大容量の試料からの濃縮も可能となるであろうことから、環境(特に環境水)中に存在する微量ウイルスの検出もしくはモニタリングなどにより、広域での公衆衛生の向上に寄与することも十分に可能である。
それに加えて、生体内の細胞や培養細胞由来のEVs、細胞やEVsの構成物であるプラスミド、核酸(DNA and/or RNA)やタンパク質などが近年研究や検査の対象として注目を集めており、一部では治療への応用も試みられているところから、これらを目的とした濃縮に際しても有効な手段を提供しうる。
生体試料中に添加した疑似コロナウイルス(NATtrol SARS-CoV2:ZeptoMetrix)のPEG沈殿法での濃縮時における塩基物質添加の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、水酸化ナトリウムを38.2~1.21mM添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、逆転写酵素・PCR酵素、dNTPs、SARS-CoV-2検出用プライマーと3’端を蛍光で標識したプローブおよび内部コントロール(IC)検出用のプライマー/プローブなどを添加した自製RT-PCR反応液を加えて、real time RT-PCR(Direct RT-PCR)を行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表1に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。結果、終濃度で38.2~3.83mMの水酸化ナトリウムを添加したPEG沈殿においては沈渣が認められたが、水酸化ナトリウム1.21mM添加群や無添加群では認められなかった。しかしながら、Direct RT-PCRにおいて、沈渣が認められた群からのターゲット特異的なPCR産物は認められず、かつ12.1および3.83mM添加群では、ターゲットのみならず内部コントロール特異的なPCR産物も得られなかった。本結果から、12.1および3.83mM添加群では、ターゲットであるウイルスのみならず共存する検体由来のRT-PCR阻害物質も濃縮してしまった結果と推測した。
Figure 2023134312000001
生体試料中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時におけるキレート剤添加の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、水酸化ナトリウムを12.1mMとEGTAを10.0~0.100mM添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表2に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。結果、水酸化ナトリウム添加下において終濃度で10.0mMのEGTAを加えたPEG沈殿においては沈渣が認めらなかったが、3.27~0.100mMでは認められた。加えて、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、PEG沈殿において水酸化ナトリウム添加下において終濃度で1.00~0.100mMのEGTAを加えた群からのターゲット特異的産物検出時のCt値とEnd RFU値から増幅産物の増加が確認できた。
Figure 2023134312000002
生体試料中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時におけるEGTA以外のキレート剤添加の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、水酸化ナトリウムを12.1mMとEDTAを10.0~0.100mM添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表3に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。結果、水酸化ナトリウム添加下において終濃度で1.00mMのEDTAを加えたPEG沈殿においては沈渣が認められ、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRのターゲット特異産物検出時のCt値とEnd RFU値から増幅産物の増加も確認できた。
Figure 2023134312000003
生体試料中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における還元剤添加の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、12.1mMの水酸化ナトリウムと1.00mMのEGTAおよび5.00~0.005mMのジチオトレイトール(DTT)を添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表4に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。結果、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、PEG沈殿における水酸化ナトリウムとEGTA共存下においてDTTを終濃度で0.500~0.005mM添加した群では、未添加群に比べてターゲット特異産物検出時のEnd RFU値の増大が認められた。
Figure 2023134312000004
蒸留水中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における各種添加剤の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび1.67~0.00167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表5に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。結果、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、蒸留水を試料として用いた場合、PEG沈殿における水酸化ナトリウム、EGTAのみの添加ではRT-PCR産物の産生は認められなかったが、BSAを共存させることで産生が認められ、特に終濃度で0.167~0.0167%の添加で効果が顕著であった。
Figure 2023134312000005
混合唾液中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における各種添加剤の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび0.167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表6に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、唾液を試料として用いた場合でもPEG沈殿における水酸化ナトリウム、EGTA共存下におけるBSA添加の効果がEnd RFU値の値から見てとれた。
Figure 2023134312000006
咽頭拭い液および糞便検体中に添加した疑似コロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における各種添加剤の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは咽頭拭い液もしくは10%糞便懸濁の遠心上清液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に40コピーの擬似コロナウイルスを混入したものに、12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび0.167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表7に示しているが、各群2重で行った結果の平均値をもとに算出している。得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、咽頭拭い液や糞便懸濁上清液を試料として用いた場合でも、水酸化ナトリウム、EGTAおよびBSAを添加したPEG溶液を使用してPEG沈殿を行うことで、250μLのこれら試料に混入した40コピーの擬似コロナウイルスを検出できることを示している。
Figure 2023134312000007
混合唾液中に添加したコロナウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における各種添加剤の影響を検討した。即ち、50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物にSARS CoV-2感染者唾液から希釈したウイルス(約10コピー)を混入した検体に、12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび0.167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、実施例1で使用した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してDirect RT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。結果を表8に示しているが、得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、実試料由来のエンベロープウイルスであるコロナウイルスを使用した場合でも、水酸化ナトリウム、EGTAおよびBSAを添加したPEG溶液を使用してPEG沈殿を行うことで、250μLの試料に混入した約10コピーのコロナウイルスを検出できることを示している。
Figure 2023134312000008
混合唾液中に添加したノロウイルスのPEG沈殿法での濃縮時における各種添加剤の影響を検討した。即ち、750μLの蒸留水もしくは50人分の混合唾液(250μL)と蒸留水(500μL)の混和物に、ノロウイルス感染者糞便懸濁液から希釈したウイルス(約100コピー)を混和した検体に、12.1mMの水酸化ナトリウム、1.00mMのEGTAおよび0.167%のBSAを添加したもの(PEG液を加えた後の終濃度として)をPEG沈殿用の材料とした。そこに、16% PEG 6,000溶液にグリコーゲンと塩化ナトリウムを添加したPEG溶液を等量添加し、室温で10分間放置した後、0℃に設定した遠心機で20,000G 10分間の遠心を施した。遠心上清を吸引廃棄後、沈渣に自製の検体処理液を添加して、90℃,5分間処理した。熱処理したサンプルに、逆転写酵素・PCR酵素、dNTPs、ノロウイルス検出用プライマーと3’端を蛍光で標識したプローブおよび内部コントロール(IC)検出用のプライマー/プローブなどを添加した自製RT-PCR反応液を加えて、Direct RT-PCRを行った。結果は、濃縮後の沈渣形成の有無、濃縮液に添加したのと同量のウイルスを直接検体処理液に添加してリアルタイムRT-PCRを行った際の標識プローブ由来の蛍光立上りcycle値(Ct値)と45cycles PCR後のEnd RFU値との比較で評価した。ノロウイルスGI検出結果を表9、ノロウイルスGII検出結果を表10に示している。得られたPEG沈殿物からのDirect RT-PCRの結果、ウイルスをノンエンベロープウイルスであるノロウイルスに代えた場合でも、水酸化ナトリウム、EGTAおよびBSAを添加したPEG溶液を使用してPEG沈殿を行うことで、250μLの試料に混入した100コピー相当のノロウイルスを検出できることを示している。
Figure 2023134312000009
Figure 2023134312000010

Claims (14)

  1. 水溶液中の微小物質をポリエチレングリコール(PEG)沈殿法で濃縮する際に塩基物質及びキレート剤を個別もしくは混合状態で添加した後、遠心操作で微小物質を濃縮することを特徴とするPEG沈殿法。
  2. 請求項1のPEG沈殿法において、塩基物質及びキレート剤とともに、さらに還元剤及び/又はタンパク質成分を添加することを特徴とする請求項1記載のPEG沈殿法。
  3. 微小物質がウイルス、細胞外小胞体、プラスミド、核酸、タンパク質などであることを特徴とする請求項1記載のPEG沈殿法。
  4. ウイルスがエンベロープウイルスもしくはノンエンベロープウイルスであることを特徴とする請求項3記載のPEG沈殿法。
  5. 濃縮用の液に添加する塩基物質が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1乃至2記載のPEG沈殿法。
  6. 濃縮用の液に添加する水酸化ナトリウムが、終濃度で1.21~38.2mMである請求項5記載のPEG沈殿法。
  7. 濃縮用の液に添加するキレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤であることを特徴とする請求項1乃至2記載のPEG沈殿法。
  8. 濃縮用の液に添加するアミノカルボン酸系キレート剤が、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩の単独もしくはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項7記載のPEG沈殿法。
  9. 濃縮用の液に添加するアミノカルボン酸系キレート剤が、終濃度で0.100~3.27mMである請求項7及至8記載のPEG沈殿法。
  10. 濃縮用の液に添加する還元剤が、ジチオトレイトール(DTT)であることを特徴とする請求項2記載のPEG沈殿法。
  11. 濃縮用の液に添加するDTTが、終濃度で5mM以下である請求項10記載のPEG沈殿法。
  12. 濃縮用の液に添加するタンパク質成分が牛血清アルブミン(BSA)であることを特徴とする請求項2記載のPEG沈殿法。
  13. 濃縮用の液に添加するBSAが、終濃度で0.00167~1.67%である請求項12記載のPEG沈殿法。
  14. 請求項1に記載した方法で濃縮した検体を核酸の精製なしに反応液に添加して、微小物質中の核酸を増幅して検出することを特徴とするウイルス検出方法。
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