JP2023134212A - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分厚いワークを用いる場合であってもカッターマークの発生が抑制された、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造し得る方法を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態による樹脂シートの製造方法は、樹脂シートを複数枚重ねてワークWを形成すること、および、ワークWの外周面1a、1b、1c、1dをエンドミル20で切削すること、を含む。エンドミル20による切削は、エンドミルの上下方向に超音波振動を付与しながら行われる。1つの実施形態においては、超音波振動の振動数は30kHz~50kHzである。1つの実施形態においては、超音波振動の振幅は0.5μm~30μmである。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂シートの製造方法に関する。
用途に応じた種々の樹脂シートが幅広く利用されている。樹脂シートは、所定の形状に切断された後、外周端面を仕上げ加工に供する場合がある。このような仕上げ加工においては、エンドミルによる切削が行われる場合がある。エンドミルによる切削は、通常、樹脂シートを複数枚重ねたワークに対して行われる。ここで、製造効率を考慮すると、分厚いワークに対して切削を行うことが好ましい。しかし、分厚いワークに対して切削を行う場合、いわゆるカッターマークと称されるエンドミルの切削刃の刃痕が認められる場合がある。このようなカッターマークは、ワーク下部において特に顕著である。このようなカッターマークが発生すると、切削端面の表面粗さが大きくなるという付随的な問題が生じ得る。
特開2009-196015号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、分厚いワークを用いる場合であってもカッターマークの発生が抑制された、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造し得る方法を提供することにある。
本発明の実施形態による樹脂シートの製造方法は、樹脂シートを複数枚重ねてワークを形成すること、および、該ワークの外周面をエンドミルで切削すること、を含む。該エンドミルによる切削は、該エンドミルの上下方向に超音波振動を付与しながら行われる。
1つの実施形態においては、上記超音波振動の振動数は30kHz~50kHzである。
1つの実施形態においては、上記超音波振動の振幅は0.5μm~30μmである。
1つの実施形態においては、上記エンドミルのねじれ角は65°以下である。
1つの実施形態においては、上記ワークの厚みは5mm以上である。
1つの実施形態においては、上記樹脂シートは積層体である。1つの実施形態においては、上記樹脂シートは光学フィルムを含む。1つの実施形態においては、上記光学フィルムは偏光子を含む。
1つの実施形態においては、上記樹脂シートは接着剤層および/または粘着剤層を含む。
本発明の実施形態によれば、樹脂シートの製造方法において、分厚いワークを用いる場合であってもカッターマークの発生を抑制することができる。その結果、樹脂シートを高効率でかつ簡便に製造することができる。
本発明の実施形態による製造方法における樹脂シートの端面加工に用いられるエンドミルの構造の一例を説明するための概略斜視図である。 図1のエンドミルを回転軸方向から見た概略平面図である。 本発明の実施形態による製造方法における樹脂シートの端面加工の一例を説明するための概略斜視図である。 実施例1の粘着剤層付偏光板と比較例1の粘着剤層付偏光板の端面の状態を比較して示す電子顕微鏡画像である。 実施例3の粘着剤層付偏光板と比較例3の粘着剤層付偏光板の端面の状態を比較して示す電子顕微鏡画像である。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、見やすくするために図面は模式的に表されており、さらに、図面における長さ、幅、厚み等の比率、ならびに角度等は、実際とは異なっている。さらに、詳細な形状および図中の記号の意味を理解しやすくするために、図面間で形状が正確に対応していない場合がある。
A.樹脂シートの製造方法の概要
本発明の実施形態による樹脂シートの製造方法は、樹脂シートを複数枚重ねてワークを形成すること、および、ワークの外周面をエンドミルで切削すること、を含む。エンドミルによる切削は、当該製造方法において、代表的には樹脂シートの端面加工として行われる。本発明の実施形態においては、エンドミルによる切削は、エンドミルの上下方向に超音波振動を付与しながら行われる。以下、樹脂シート、エンドミル、および樹脂シートの製造方法の順に具体的に説明する。
B.樹脂シート
樹脂シートとしては、端面加工に供され得る任意の適切な樹脂シートが挙げられる。樹脂シートは、単一層で構成されるフィルムであってもよく、積層体であってもよい。樹脂シートの具体例としては、光学フィルム、断熱シート、汎用エンジニアリングプラスチックシート、樹脂窓、表面保護フィルム、繊維強化プラスチック(FRP)シート、包装フィルム、食品用フィルムが挙げられる。1つの実施形態においては、樹脂シートは光学フィルムを含む。光学フィルムは他の樹脂シートまたはフィルムに比べて精密な端面加工が要求されるところ、本発明の実施形態による効果が顕著なものとなる。光学フィルムの具体例としては、偏光子、位相差フィルム、偏光板(代表的には、偏光子と保護フィルムとの積層体)、タッチパネル用導電性フィルム、表面処理フィルム、ならびに、これらを目的に応じて適切に積層した積層体(例えば、反射防止用円偏光板、タッチパネル用導電層付偏光板)が挙げられる。1つの実施形態においては、樹脂シートは、接着剤層および/または粘着剤層を含む。したがって、樹脂シートは、例えば接着剤層および/または粘着剤層を含む光学フィルムであり得る。接着剤層および/または粘着剤層を含む光学フィルムにおいては、本発明の実施形態による効果がさらに顕著なものとなる。
C.エンドミル
図1は、樹脂シートの端面加工に用いられ得るエンドミルの構造の一例を説明するための概略斜視図であり;図2は、図1のエンドミルを回転軸方向から見た概略平面図である。エンドミル20は、回転軸21を中心として回転する本体22と;本体22の外周部に設けられた、刃先23aとすくい面23bと逃がし面23cとを有する切削刃23と;を有する。
エンドミル20は、超硬合金、高速度工具鋼等の硬質な金属材料によって一体に形成されて、回転軸21を中心とした略円柱の軸状をなしている。図示例のエンドミルにおいては、切削刃が形成されていない1つの端部(図示例では上端部)は円柱状のままのシャンク部25とされている。エンドミルの両端部がシャンク部とされてもよい。エンドミルのシャンク部25がマシニングセンタ等の工作機械の主軸に保持されて、回転軸21回りに回転されることにより、対象物に当接した切削刃が当該対象物を切削する。1つの端部がシャンク部とされる場合、エンドミルは工作機械に片持ち状態で保持され;端部がシャンク部とされる場合、エンドミルは工作機械に両持ち状態で保持される。エンドミルの上下方向への超音波振動の付与(詳細は後述)を考慮すると、エンドミルは、好ましくは工作機械に片持ち状態で保持され得る(すなわち、1つの端部のみがシャンク部とされ得る)。
切削刃23は、上記のとおり、本体22の外周部に設けられている。切削刃23は、刃先23aとすくい面23bと逃がし面23cとを有する。すくい面23bは、切削刃23の回転方向Tを向く壁面である。図示例のすくい面23bは、回転軸に直交する方向の断面において、回転方向Tとは反対側に凹んだ円弧を規定しながら、外周側に向かうに従い回転方向Tとは反対側に向かうように延びている。逃がし面23cは切削刃23の外周面であり、すくい面23bと交差して刃先23aを規定する。逃がし面23cは、実質的には、エンドミル20の外周面でもある。逃がし面23cは、好ましくは、粗面化処理されている。粗面化処理としては、任意の適切な処理が採用され得る。代表例としては、ブラスト処理が挙げられる。逃がし面に粗面化処理を施すことにより、切削対象物(代表的には、樹脂シート)が粘着剤層および/または接着剤層を含む場合に切削刃への粘着剤および/または接着剤の付着が抑制され、結果として、ブロッキングが抑制され得る。なお、ブロッキングとは、樹脂シートが粘着剤層および/または接着剤層を含む場合において、ワークにおける樹脂シート同士が端面の粘着剤等で接着する現象をいい、端面に付着する粘着剤等の削りカスが樹脂シート同士の接着に寄与することとなる。
切削刃の数(エンドミルの刃数)としては、目的に応じて任意の適切な刃数が採用され得る。刃数は、1枚であってもよく、2枚であってもよく、3枚であってもよく、図示例のように4枚であってもよく、5枚以上であってもよい。好ましくは、刃数は2枚または4枚である。このような構成であれば、刃の剛性が確保され、かつ、ポケットが確保されて削りカスを良好に排出することができる。刃数が複数(2枚以上)である場合、複数の切削刃は、図示例のように周方向に等間隔に形成されていてもよく、図示しないが周方向に不等間隔に形成されていてもよい。さらに、刃数が複数(2枚以上)である場合、複数の切削刃は、代表的には回転軸21回りの回転軌跡が互いに一致させられる。
切削刃は、代表的にはねじれ刃である。切削刃がねじれ刃である場合に、本発明の実施形態による効果が顕著なものとなり得る。切削刃のねじれ角Θは、好ましくは65°以下であり、より好ましくは10°~65°であり、さらに好ましくは15°~60°であり、特に好ましくは15°~50°であり、とりわけ好ましくは20°~45°であり、最も好ましくは25°~40°である。切削刃のねじれ角がこのような範囲である場合に、本発明の実施形態による効果がさらに顕著なものとなり得る。
切削刃のすくい角θ1は、好ましくは-10°~45°であり、より好ましくは0°~45°であり、さらに好ましくは10°~45°であり;刃先角θ2は、好ましくは20°~100°であり、より好ましくは20°~90°であり、さらに好ましくは20°~80°である。切削刃のすくい角θ1および刃先角θ2がこのような範囲であれば、平滑性に優れた加工面の形成が可能となる。本明細書において、「すくい角」とは、回転軸に直交する方向の断面において、回転軸21と刃先23aとを結ぶ直線と、刃先23aからすくい面23bに沿って延びる直線と、のなす角度であり;「刃先角」とは、回転軸に直交する方向の断面において、刃先23aからすくい面23bに沿って延びる直線と、刃先23aから逃がし面23cに沿って延びる直線と、のなす角度である。なお、すくい面が図示例のように回転軸に直交する方向の断面において円弧を規定している場合には、すくい面に沿って延びる線とは、刃先から延びるすくい面の接線である。また、逃がし面は切削刃の外周面であり、回転軸に直交する方向の断面において円弧を規定するので、逃がし面に沿って延びる線とは、実質的には刃先から延びる逃がし面の接線である。
エンドミルの外径は、目的に応じて適切に設定され得る。より詳細には、エンドミルの外径は、好ましくは0.5mm~30mmであり、より好ましくは0.5mm~20mmであり、さらに好ましくは0.5mm~16mmである。エンドミルの外径がこのような範囲であれば、一般的なエンドミル加工が可能な工作機械を用いて不具合なく加工することができる。さらに、本発明の実施形態においては、外径が小さいほど(例えば15mm以下、また例えば10mm以下であれば)、超音波振動を付与することとの組み合わせの効果が顕著なものとなる。具体的には、カッターマークをさらに良好に抑制することができる。なお、エンドミルの外径は、回転軸と刃先とを結ぶ直線の距離を2倍したもの(すなわち、切削刃の回転軌道の直径)である。
D.樹脂シートの製造方法
以下、樹脂シートの一例として粘着剤層付偏光板を採用した場合の製造方法について説明する。粘着剤層付偏光板の平面形状が図示例の平面形状に限定されないことは当業者に自明である。また、本発明の実施形態が粘着剤層付偏光板以外の任意の適切な樹脂シートにも適用され得ることは、当業者に自明である。すなわち、本発明の実施形態は、任意の適切な形状を有する任意の適切な樹脂シートの製造に適用され得る。
D-1.ワークの形成
図3は、本発明の実施形態による製造方法における樹脂シート(ここでは、粘着剤層付偏光板)の端面加工の概要を説明するための概略斜視図である。本図にワークWが示されている。図3に示すように、粘着剤層付偏光板を複数枚重ねることにより、ワークWが形成される。粘着剤層付偏光板は、ワーク形成に際し、代表的には原反ロールから任意の適切なサイズおよび形状に切断されている。具体的には、粘着剤層付偏光板は矩形形状に切断されていてもよく、矩形形状に類似する形状に切断されていてもよく、目的に応じた適切な形状(例えば、円形)に切断されていてもよい。図示例では、粘着剤層付偏光板は矩形形状に切断されており、ワークWは、互いに対向する外周面(切削面)1a、1bおよびそれらと直交する外周面(切削面)1c、1dを有している。切断は、任意の適切な手段により行われる。切断手段の具体例としては、打ち抜き刃(例えば、トムソン刃)による打ち抜き、レーザー照射が挙げられる。1つの実施形態においては、粘着剤層付偏光板の粘着剤層表面にははく離ライナーが仮着されていてもよく、および/または、粘着剤層付偏光板の粘着剤層と反対側の表面には表面保護フィルムが仮着されていてもよい。
ワークの総厚みは、例えば5mm以上であり、好ましくは10mm以上であり、より好ましくは15mm以上であり、さらに好ましくは20mm以上であり、特に好ましくは30mm以上である。本発明の実施形態によれば、切削時にエンドミルに超音波振動を付与することにより(詳細は後述)、分厚いワークであっても不具合なく(代表的には、カッターマークを抑制して)端面加工を行うことができる。その結果、樹脂シート(ここでは、粘着剤層付偏光板)を高効率でかつ簡便に製造することができる。一方で、ワークの総厚みは、好ましくは150mm以下であり、より好ましくは100mm以下である。ワークの総厚みの上限は、主として工作機械の構成上の制約に起因し得る。
ワークWは、好ましくは、クランプ手段(図示せず)により上下からクランプされている。クランプ手段(例えば、治具)は、軟質材料で構成されてもよく硬質材料で構成されてもよい。軟質材料で構成される場合、その硬度(JIS A)は、好ましくは60°~80°である。硬度が高すぎると、クランプ手段による押し跡が残る場合がある。硬度が低すぎると、治具の変形により位置ずれが生じ、切削精度が不十分となる場合がある。
D-2.端面加工
本発明の実施形態においては、切削(端面加工)は、エンドミルを用いて当該エンドミルの上下方向に超音波振動を付与しながら行われる。具体的には、エンドミル20は、工作機械(図示せず)に保持され、エンドミルの回転軸まわりに高速回転されて、回転軸に交差する方向に送り出されながら切削刃をワークWの外周面に当接させ切り込ませて用いられる。すなわち、切削は、代表的には、エンドミルの切削刃をワークWの外周面に当接させ切り込ませることにより行われる。その際に、エンドミルの上下方向(回転軸に平行な方向)に超音波振動が付与される。言い換えれば、エンドミルは、超音波の周波数で上下方向に振動しながら回転軸まわりに高速回転されて、切削に用いられる。
エンドミルによる切削(端面加工)は、ワークWの外周面全体に対して行ってもよく、外周面の所定の位置に対して行ってもよい。エンドミルによる切削が外周面の所定の位置に対して行われる場合、エンドミルにより切削されなかった部分は、切削されなくてもよく、他の切削手段(例えば、回転砥石等のやすり刃、両頭フライス)により切削されてもよい。好ましくは、エンドミルによる切削(端面加工)は、ワークの外周面全体に対して行われる。好ましくは、エンドミルによる切削全体にわたって、エンドミルに超音波振動が付与される。
エンドミルによる切削(端面加工)は、目的に応じた任意の適切な様式で行われる。例えば、外周面に沿って一筆書きの要領で切削してもよく;対向する一対の外周面を切削した後、対向するもう一対の外周面を切削してもよい。エンドミルによるワーク外周面の切削回数は、1回削り、2回削り、3回削りまたはそれ以上であり得る。
本発明の実施形態においては、上記のように、エンドミルによる切削は、エンドミルの上下方向(回転軸に平行な方向)に超音波振動を付与しながら行われる。超音波振動を付与しながら切削を行うことにより、分厚いワークであってもカッターマークを抑制することができる。その結果、切削端面の表面粗さを小さくすることができる。これに伴い、樹脂シートが積層体である場合に層間はがれ(デラミネーション)を顕著に抑制することができる。また、樹脂シートが光学フィルム(特に、偏光子)を含む場合にクラックを顕著に抑制することができる。さらに、樹脂シートが粘着剤層および/または接着剤層を含む場合に糊欠けおよび刃汚れを顕著に抑制することができる。なお、糊欠けとは、粘着剤層または接着剤層の端部が欠落する現象をいい;刃汚れとは、切削刃に粘着剤層の粘着剤または接着剤層の接着剤が付着して切削性能(加工性能)が許容範囲を超えて低下する現象をいう。
エンドミルに超音波振動を付与する方式としては、任意の適切な方式が採用され得る。1つの実施形態においては、いわゆる超音波スピンドルにエンドミルを取り付けることにより、エンドミルに超音波振動を付与することができる。超音波スピンドルは硬質材料(代表的には、セラミックス、サファイア、石英ガラス)の切削工具として周知であるところ、本発明者らは、この切削技術を非常に薄く柔らかい樹脂シート(特に、偏光子等の光学フィルム)に適用することにより、上記のような優れた効果が得られることを見出した。すなわち、本発明の実施形態により得られる効果は、予期せぬ優れた効果である。
エンドミルに付与される超音波振動の振動数(周波数)は、好ましくは30kHz~50kHzであり、より好ましくは32kHz~48kHzであり、さらに好ましくは34kHz~46kHzであり、特に好ましくは36kHz~44kHzであり、とりわけ好ましくは38kHz~42kHzである。当該振動数がこのような範囲であれば、樹脂シートが光学フィルム(特に、偏光子)と粘着剤層および/または接着剤層とを含む場合に、層間はがれ(デラミネーション)、クラック、糊欠けおよび刃汚れをさらに良好に抑制することができる。
エンドミルに付与される超音波振動の振幅は、好ましくは0.5μm~30μmであり、より好ましくは1μm~20μmであり、さらに好ましくは3μm~15μmであり、特に好ましくは5μm~10μmである。当該振幅がこのような範囲であれば、樹脂シートが光学フィルム(特に、偏光子)と粘着剤層および/または接着剤層とを含む場合に、層間はがれ(デラミネーション)、クラック、糊欠けおよび刃汚れをさらに良好に抑制することができる。
エンドミルによる端面加工の条件は、樹脂シートの種類、所望の形状等に応じて適切に設定され得る。例えば、エンドミルの回転速度(回転数)は、好ましくは100rpm~50,000rpmであり、より好ましくは200rpm~40,000rpmであり、さらに好ましくは300rpm~30,000rpmである。また例えば、エンドミルの送り速度は、好ましくは10mm/分~5,000mm/分であり、より好ましくは20mm/分~3,000mm/分であり、さらに好ましくは25mm/分~1000mm/分である。エンドミルの回転速度および送り速度がこのような範囲であれば、上記の超音波振動を付与することによる効果との相乗的な効果により、分厚いワークであっても不具合なく(代表的には、カッターマークを抑制して)端面加工を行うことができる。
エンドミルは、上記のとおり、工作機械に片持ち状態で保持されてもよく、両持ち状態で保持されてもよい。エンドミルへの超音波振動の付与を考慮すると、片持ち状態で保持することが好ましい。
本発明の実施形態の製造方法により得られる樹脂シートの端面の表面粗さは、例えば算術平均高さSaを指標とすることができる。算術平均高さSaは、エンドミルの切削刃のねじれ角に依存して変化し得る。例えばねじれ角が30°である場合には、算術平均高さSaは、好ましくは0.30μm~0.65μmであり、より好ましくは0.35μm~0.55μmである。例えばねじれ角が50°である場合には、算術平均高さSaは、好ましくは0.30μm~1.00μmであり、より好ましくは0.40μm~0.80μmである。ねじれ角によらず、ワーク中央部および下部(厚み方向に3分割したときの中央の部分および一番下の部分)に含まれる樹脂シートの算術平均高さSaは、超音波振動を付与しない場合に得られる算術平均高さSaを1.00としたとき、好ましくは0.50~0.85であり、より好ましくは0.55~0.80である。なお、算術平均高さSaは、例えばISO 25178に準じて測定され得る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における評価項目は以下のとおりである。
(1)算術平均高さSa
実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光板の外周端面の表面粗さについて、ISO 25178に準じて算術平均高さSaを測定した。
(2)層間はがれ
実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光板における各層の剥がれの発生状態を光学顕微鏡(倍率10倍)により観察し、各層の剥がれの大きさ(μm)の評価を行った。結果を表1に示す。
(3)クラック
実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光板を、粘着剤層を介してガラス板(厚み1.1mm)に貼り付け、試験サンプルとした。この試験サンプルのクラックの発生状態を光学顕微鏡(倍率10倍)により観察し、クラックの長さ(μm)の評価を行った。結果を表1に示す。
(4)糊欠け
実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光板における粘着剤層の粘着剤の糊欠け(粘着剤層の欠落)の発生状態を光学顕微鏡(倍率10倍)により観察し、糊欠けの大きさ(μm)の評価を行った。結果を表1に示す。
(5)カッターマーク
実施例および比較例で得られた粘着剤層付偏光板の端面の状態をレーザー顕微鏡(倍率20倍)で観察した。端面の観察は、ワークの上部、中央部および下部の3つの領域の粘着剤層付偏光板について行った。なお、上部はワークを厚み方向に3分割したときの一番上の部分であり、中央部は上から2番目の部分であり、下部は一番下の部分である。
<実施例1>
常法により、視認側から順に表面保護フィルム(60μm)/シクロオレフィン系保護フィルム(47μm)/偏光子(5μm)/シクロオレフィン系保護フィルム(24μm)/粘着剤層(20μm)/はく離ライナーの構成を有する粘着剤層付偏光板を作製した。なお、表面保護フィルムとしては、PET基材(50μm)/粘着剤層(10μm)の構成を有する表面保護フィルムを用いた。この粘着剤層付偏光板を5.7インチサイズ(縦140mmおよび横65mm程度)に打ち抜いた。ここで、偏光子の吸収軸方向は横方向(短辺方向)となるように打ち抜きを行った。打ち抜いた粘着剤層付偏光板を複数枚重ねてワークとした。ワークの総厚みは16mmであった。得られたワークをクランプ(治具)で挟んだ状態で、エンドミルにより端面加工を行った。エンドミルの外径は2mm、刃数は2枚、ねじれ角は30°であった。端面加工は、ワークの外周全体を一筆書きの要領で、粗加工および仕上げ加工の2回の加工を行った。粗加工および仕上げ加工のいずれにおいても、エンドミルに超音波振動を付与しながら切削を行った。超音波振動の振動数は39kHz、振幅は5μmであった。粗加工の削り量は0.05mmであり、仕上げ加工の削り量は0.005mmであった。さらに、粗加工および仕上げ加工のいずれにおいても、エンドミルの送り速度は50mm/分、回転数は2,500rpmであった。得られた粘着剤層付偏光板について、上記(1)~(5)の評価を行った。(1)~(4)の結果を表1に、(5)の結果(SEM画像)を図4に示す。
<比較例1>
超音波振動を付与することなくエンドミルによる切削(端面加工)を行ったこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および図4に示す。
<実施例2>
エンドミルの切削刃のねじれ角を40°としたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。得られた粘着剤層付偏光板について上記(2)~(4)の評価を行った。の評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
超音波振動を付与することなくエンドミルによる切削(端面加工)を行ったこと以外は実施例2と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例2と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
エンドミルの切削刃のねじれ角を50°としたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および図5に示す。
<比較例3>
超音波振動を付与することなくエンドミルによる切削(端面加工)を行ったこと以外は実施例3と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。得られた粘着剤層付偏光板について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1および図5に示す。
Figure 2023134212000002
<評価>
表1ならびに図4および図5から明らかなように、本発明の実施例によれば、分厚いワークであってもカッターマークを抑制して切削でき、その結果、切削端面の表面粗さを小さくすることができることがわかる。特に、ワークの中央部および下部においてその効果が顕著であることがわかる。さらに、本発明の実施例によれば、クラック、糊欠けおよび刃汚れが顕著に抑制されていることがわかる。
本発明の実施形態による製造方法により得られる樹脂シートは、広範囲な用途に用いられ得る。樹脂シートは例えば光学フィルムであり得る。
W ワーク
20 エンドミル
21 回転軸
22 本体
23 切削刃
23a 刃先
23b すくい面
23c 逃がし面

Claims (9)

  1. 樹脂シートを複数枚重ねてワークを形成すること、および
    該ワークの外周面をエンドミルで切削すること、を含み、
    該エンドミルによる切削が、該エンドミルの上下方向に超音波振動を付与しながら行われる、
    樹脂シートの製造方法。
  2. 前記超音波振動の振動数が30kHz~50kHzである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記超音波振動の振幅が0.5μm~30μmである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記エンドミルのねじれ角が65°以下である、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記ワークの厚みが5mm以上である、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記樹脂シートが積層体である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記樹脂シートが光学フィルムを含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記光学フィルムが偏光子を含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記樹脂シートが接着剤層および/または粘着剤層を含む、請求項6から8のいずれかに記載の製造方法。

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