JP2023133661A - 薬液投与装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023133661000001
【課題】穿刺対象に投与される薬液中の気泡(空気)を減らし、穿刺対象に対して所定量で精度よく薬液を投与することができる薬液投与装置を提供する。
【解決手段】薬液投与装置12Eは、薬液Mが充填されたバレル74を有し筐体16内に軸方向に移動可能に収容されたシリンジユニット20Eを備え、シリンジユニット20Eが前記筐体16に沿って先端方向に移動するときに前記シリンジユニット20Eに振動を付与する振動発生機構500を備える。振動発生機構500によってシリンジユニット20Eに振動を付与することで、薬液M中の気泡をバレル74から離間させて基端方向へ移動させる。
【選択図】図59

Description

本発明は、針を穿刺した穿刺対象に対して薬液を投与する薬液投与装置に関する。
従来から、投与対象となる患者の皮膚を穿刺し、皮下注射に用いられる薬液を投与するための携帯型の薬液投与装置が知られている。特許文献1の薬液投与装置は、使用者が穿刺操作を行うとき、筐体の先端に配置された針カバーを注射部位に押し当てることで、針カバーが基端に向けて相対移動し、針カバーから突出した針によって注射部位が穿刺される。そして、針カバーの移動に伴って、プランジャが針に向けて移動することで、カートリッジ内の薬液がプランジャによって押圧されて針を通じて注射部位へと投与される。
特許第4806712号公報
特許文献1に開示されるような薬液投与装置では、プランジャの移動量を制御することでカートリッジ内に充填された薬液の投与量を調整して投与する定量投与が行われている。一般的に、カートリッジ内の薬液中には気泡(空気)が含まれており、前記カートリッジの先端や針の近傍に前記気泡が滞留していることがある。そのため、薬液投与装置で定量投与を行う際、気泡を含んだ薬液が投与されることで正確に所定量の薬液を投与できないという問題が生じる。
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
本発明の態様は、中空筒状に形成される筐体と、
薬液が充填されたバレルと、前記バレルの内部を液密に摺動可能なガスケットとを有し、前記筐体内に前記筐体の軸方向に移動可能に収容されたシリンジユニットと、
前記シリンジユニットの先端に接続され、又は、前記シリンジユニットの先端方向への移動によって該シリンジユニットと接続され、穿刺対象に穿刺されて前記薬液を投与する針と、
を備える薬液投与装置であって、
前記シリンジユニットが前記先端方向に移動するときに前記シリンジユニットに振動を付与する振動発生機構を備える。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、薬液投与装置は通常、先端を下方又は斜め下方に向けて使用され、前記薬液投与装置のシリンジユニットが先端方向に向けて移動したとき、振動発生機構によってシリンジユニットに振動が付与される。そのため、シリンジのバレル内の薬液に含まれた気泡をバレルの内壁から離間させ、該気泡の浮力によって上方(ガスケット側)へ移動させることができる。その結果、穿刺対象に投与される薬液中の気泡(空気)を減らし、穿刺対象に対して所定量で精度よく薬液を投与することができる。
第1の構成に係る薬液投与システムの外観斜視図である。 図1に示す薬液投与システムの分解斜視図である。 図1の薬液投与システムにおける薬液投与装置の外観斜視図である。 図3に示す薬液投与装置の分解斜視図である。 図3のV-V線に沿った断面図である。 図5の薬液投与装置の基端近傍を示す拡大断面図である。 図3のVII-VII線に沿った断面図である。 図7の薬液投与装置の基端近傍を示す拡大断面図である。 図5の薬液投与装置の先端近傍を示す拡大断面図である。 薬液投与装置を構成する針カバー及びシリンジユニットの外観斜視図である。 図10に示すシリンジユニットの外観斜視図である。 図11に示すシリンジユニットの分解斜視図である。 図12に示すシリンジユニットの全体正面図である。 図13に示すシリンジホルダを基端側から見た平面図である。 図13に示すシリンジホルダを先端側から見た平面図である。 図13に示すシリンジホルダの先端近傍の拡大正面図である。 図16のXVII-XVII線に沿った断面図である。 図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。 変形例に係るシリンジユニットの先端近傍を示す拡大斜視図である。 図19のXX-XX線に沿った断面図である。 図21は、針ハブを基端側から見た平面図である。 図5のXXII-XXII線に沿った断面図である。 図5のXXIII-XXIII線に沿った断面図である。 薬液投与装置における駆動ユニットの分解斜視図である。 図24の駆動ユニットにおけるロック部材及びロックボディの分解斜視図である。 図1のXXVI-XXVI線に沿った薬液投与システムの断面図である。 図26のXXVII-XXVII線に沿った断面図である。 図5の薬液投与装置の針カバーを皮膚に押し当てて穿刺した状態を示す全体断面図である。 図28に示す薬液投与装置の基端近傍を示す拡大断面図である。 図28の薬液投与装置の別の断面を示す全体断面図である。 薬液投与装置のシリンジと両頭針との接続が完了した状態を示す全体断面図である。 図31の薬液投与装置の先端近傍を示す拡大断面図である。 バレル内でガスケットが移動して薬液投与が完了した状態を示す全体断面図である。 変形例に係るプランジャを用いて一定量の薬液投与を行う場合を示す全体断面図である。 薬液投与装置の針カバーによって両頭針が覆われた状態を示す全体断面図である。 図36Aは、薬液投与の完了した薬液投与装置を皮膚から離間させたときのロック部材の先端方向への動作を示す基端近傍の拡大断面図であり、図36Bは、図36Aに示すロック部材が移動して係合アームが径方向内方へ弾性変形した状態を示す拡大断面図である。 図35の薬液投与装置の基端近傍を示す拡大断面図である。 図37の薬液投与装置の別断面を示す全体断面図である。 第2の構成に係る薬液投与システムの全体断面図である。 薬液投与装置の先端近傍を示す拡大断面図である。 薬液穿刺装置の第1針部が穿刺され、第1遮菌カバーが折り畳まれた穿刺完了状態を示す拡大断面図である。 第1及び第2遮菌カバーが折り畳まれ、両頭針とシリンジとが接続された状態を示す拡大断面図である。 図43Aは、針ユニットを第1滅菌方法で滅菌する第1滅菌装置を示す概略図であり、図43Bは、シリンジを第2滅菌方法で滅菌する第2滅菌装置を示す概略図である。 包装容器の内部に滅菌水を滴下し、第3滅菌方法で薬液投与システムを滅菌する場合を示す薬液投与装置の外観斜視図である。 第3の構成に係る薬液投与システムの先端近傍を示す拡大断面図である。 図46Aは、第1遮菌カバーの一部断面正面図であり、図46Bは、第2遮菌カバーの一部断面正面図である。 図45に示す薬液投与装置において、第1遮菌カバーが折り畳まれて第1針部が穿刺された穿刺状態を示す拡大断面図である。 図47に示す薬液投与装置において、第2遮菌カバーが折り畳まれて両頭針とシリンジとが接続された接続完了状態を示す拡大断面図である。 第4の構成に係る薬液投与システムの全体断面図である。 図49の薬液投与装置におけるシリンジホルダの外観斜視図である。 図50のシリンジホルダの先端近傍を示す拡大正面図である。 図51のLII-LII線に沿った断面図である。 図52のLIII-LIII線に沿った断面図である。 図49のLIV-LIV線に沿った断面図である。 図55A~図55Cは、第1ガイドリブが第1ガイド溝に挿入されてシリンジユニットが減速機構によって減速される工程を示す拡大動作説明図である。 第5の構成に係る薬液投与システムの全体断面図である。 図56に示す薬液投与装置の全体断面図である。 図57に示す薬液投与装置のシリンジホルダの先端近傍の拡大正面図である。 図57の薬液投与装置の先端近傍を示す拡大断面図である。 図57の薬液投与装置の穿刺状態を示す全体断面図である。 図60の薬液穿刺装置の針ハブ近傍を示す拡大断面図である。 図60の薬液投与装置による薬液投与状態を示す全体断面図である。 図62の薬液穿刺装置の針ハブ近傍を示す拡大断面図である。
薬液投与システム10Aについて、図1~図38を参照しながら説明する。薬液投与システム10Aは、図1及び図2に示されるように、薬液投与装置12Aと、該薬液投与装置12Aが内部に収容される包装容器14とを備える。
薬液投与装置12Aは、例えば、使用者である患者の皮下(穿刺対象)に対して薬液Mを投与するために用いられる。図3~図9に示されるように、薬液投与装置12Aは、中空筒状に形成される筐体16と、該筐体16の内部に移動可能に収容される針カバー18Aと、該筐体16の内部に収容されるシリンジユニット20Aと、両頭針22及び針ハブ24Aからなる針ユニット26Aと、前記シリンジユニット20Aを先端方向に向けて案内するガイド機構28と、使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態においてプランジャ30の前記先端方向への移動を阻止するロック機構32を有した駆動ユニット34とを含む。
筐体16は、樹脂製材料から筒状に形成される。軸方向から見て、筐体16の断面楕円形状である(図3参照)。筐体16は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在する筒体36と、前記筒体36の基端を塞ぐエンドキャップ38とを有する。
筒体36は、軸方向(矢印A、B方向)に所定長さを有する。筒体36の先端及び基端がそれぞれ開口する。筒体36の周壁には、確認窓40及び孔部42を備える。確認窓40は、筒体36の周壁を貫通し、前記筒体36の内部に収容されるシリンジ68を外部から視認可能である。
孔部42は、筒体36の基端寄り(矢印A方向)に配置され、該筒体36の周壁に沿って離間して一対設けられると共に、筒体36の内部まで貫通する。
図3~図5に示されるように、筒体36の周壁には、第1~第3係合孔44a、44b、44cを備える。第1~第3係合孔44a、44b、44cは、それぞれ確認窓40の開口方向に対して周方向に約90°離間した位置に設けられる。第1~第3係合孔44a、44b、44cは、それぞれ筒体36の周壁を貫通する。
一対の第1係合孔44aは、確認窓40よりも先端方向(矢印B方向)に配置され、筒体36の軸中心に対して対称に配置される。第1係合孔44aには、筒体36の内部に収容される針ハブ24Aの第1係合部46aが係合される(図5参照)。
一対の第2係合孔44bは、確認窓40より基端方向(矢印A方向)に配置され、筒体36の軸中心に対して対称に配置される。第2係合孔44bには、筒体36の内部に収容されるシリンジホルダ70Aの第2係合部46bが係合可能である(図5参照)。
一対の第3係合孔44cは、第2係合孔44bよりさらに基端方向(矢印A方向)に配置され、筒体36の軸中心に対して対称に配置される。第3係合孔44cには、筒体36の基端に装着されるエンドキャップ38の第3係合部46cが係合される(図5参照)。
エンドキャップ38は、図5~図8に示されるように、筒体36の基端を塞ぐ蓋部48と、前記蓋部48の外縁部から先端方向(矢印B方向)に延出した押さえ部50と、前記押さえ部50の径方向内側に配置され前記蓋部48から先端方向に突出した保持筒部52と、該蓋部48の中心から先端方向に向けて延出した軸部54とを有する。蓋部48は、円板状であり開口した筒体36の基端を塞ぐ。
図6に示されるように、保持筒部52は、先端方向に開口した筒状であり、先端外周面には、径方向外側へ突出した複数の係合突起56を有する。係合突起56は、保持筒部52の外周面の周方向に沿って互いに離間して配置される。係合突起56は、後述するロックボディ156に係合される。
押さえ部50は、環状に形成され蓋部48の先端側の端面から先端方向(矢印B方向)に向けて突出する。押さえ部50の外周面には、径方向外方向へ突出した一対の第3係合部46cを備える。第3係合部46cは、外周面から突出した突起形状である。
押さえ部50の先端にシリンジユニット20Aの基端が当接することで、前記シリンジユニット20Aの基端方向(矢印A方向)への移動を阻止する。
軸部54は、蓋部48の先端側の端面から先端方向へ突出した軸形状である。軸部54は、筐体16の軸線上に配置される。軸部54は、筒体36、後述するロックボディ156及びシリンジユニット20Aの内部に収容されると共に、該筒体36の軸方向中央近傍まで延在する(図5参照)。
軸部54は、後述する駆動ユニット34を構成するインジェクションばね(付勢部材)146及びプランジャ30に挿通される。
筒体36の基端に対してエンドキャップ38が装着されると、第3係合部46cが筐体16の第3係合孔44cに係合されて前記エンドキャップ38が筐体16に固定されると共に、開口した前記基端が蓋部48によって塞がれ、軸部54が筒体36の軸線上に配置される。
図5及び図9に示されるように、針カバー18Aは、中空筒状に形成され、筐体16の先端に設けられると共に、少なくとも一部が前記筐体16における筒体36の内部に設けられる。針カバー18Aは、筐体16に対して軸方向に移動可能である。図5、図7及び図9に示される使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態において、針カバー18Aは、少なくとも後述する針ユニット26Aの第1針部112を覆う。
図4及び図5に示されるように、針カバー18Aは、先端に設けられる筒状の本体部58と、該本体部58から基端方向(矢印A方向)へ延在するカバー部60と、前記カバー部60の基端から延出する一対の延出部62とを備える。
本体部58の先端中央には、軸方向に貫通した先端開口64を有する。穿刺操作に伴って針カバー18Aが使用者の皮膚Sに対して押し付けられることで、前記針カバー18Aが筐体16に対して基端方向(矢印A方向)に相対移動し、先端開口64に針ユニット26Aの第1針部112が挿通されて針カバー18Aから先端方向(矢印B方向)へ突出する。
図4及び図10に示されるように、カバー部60には、一対のスリット66を有する。スリット66は、カバー部60の基端から先端方向に延在し、針カバー18Aの軸線を中心として対称に配置される。スリット66は、カバー部60の基端に開口している。図10に示されるように、シリンジユニット20Aが針カバー18Aの内部に収容されたとき、シリンジホルダ70Aの一対のホルダ突出部102がスリット66にそれぞれ挿入可能である。
延出部62は、カバー部60の基端から基端方向(矢印A方向)へ延在し、針カバー18Aの周方向に沿ってスリット66から約90°離間した位置に配置される。針カバー18Aが筐体16に対して基端方向(矢印A方向)へ相対移動したとき、後述する駆動ユニット34のロック部材152の先端に延出部62の基端が当接して該ロック部材152を基端方向に押し上げる。
図11及び図12に示されるように、シリンジユニット20Aは、シリンジ68と、該シリンジ68の外周に設けられ該シリンジ68を保持するシリンジホルダ70Aとを有し、筐体16の内部に収容され先端方向(矢印B方向)に沿って移動可能に設けられる(図5参照)。
シリンジ68は、図5及び図7に示されるように、薬液Mが充填された薬室72を有するバレル74と、該バレル74の内部を液密に摺動可能なガスケット76と、前記バレル74の先端に装着されるキャップ78とを備える。バレル74の基端には、該バレル74から径方向外側に向けて拡がったフランジ80を有する。
シリンジ68は、バレル74の先端に配置され該バレル74より縮径したノズル82(図9参照)を有し、前記ノズル82の外周面にキャップ78が装着される。これにより、ノズル82の外周がキャップ78によって覆われる。ノズル82の先端にはノズル孔84が開口する。
図9に示されるように、キャップ78は、シリンジ68に対して小径且つ軸方向に短い円筒状に形成される。キャップ78は、基端に配置される大径部86と、前記大径部86の先端に配置され該大径部86より縮径した小径部88とを備え、前記大径部86と前記小径部88との境界部位に段差部90を有する。段差部90は、キャップ78の軸線と直交する径方向に延在した面を有する。キャップ78は、シリンジ68のバレル74よりも小径且つ軸方向に短く形成されるため、例えば、前記シリンジ68を熱によって滅菌するとき、前記熱に起因したキャップ78の変形量が前記シリンジ68の変形量よりも小さい。
小径部88の先端には、両頭針22の第2針部114が挿通可能な挿通孔92を有する。挿通孔92は、シリンジ68のノズル孔84と向かい合って連通する。挿通孔92の先端は、先端方向に向けて拡がった断面台形状である。小径部88の先端内面とキャップ78の先端内面との間に蓋体94が設けられる。挿通孔92とノズル孔84とが蓋体94を介して対向する。蓋体94は、弾性材料で形成され一定厚さを有した円板状である。蓋体94は、挿通孔92に向かい合い、小径部88の先端内面とキャップ78の先端内面とによって挟持される。
図11及び図12に示されるようにシリンジホルダ70Aは、円筒状に形成されるホルダ胴部96と、前記ホルダ胴部96の基端に形成されるフランジ収容部98と、前記ホルダ胴部96の先端から先端方向(矢印B方向)に延出したホルダ先端筒部100とを有し、前記シリンジホルダ70Aは、筐体16の内部において先端方向(矢印B方向)へ移動可能に設けられる。
ホルダ胴部96は、軸方向に沿って延在し、ホルダ胴部96の内部にはバレル74が収容される。シリンジ68は、オートクレーブ滅菌等で加えられる熱によって変形して湾曲することがあるため、ホルダ胴部96とバレル74との間には、前記変形を許容可能なクリアランスを有している(図5参照)。ホルダ胴部96の外周面には、一対のホルダ突出部102を有する。ホルダ突出部102は、ホルダ胴部96の外周面から径方向外方へ突出し、且つ、軸方向に沿って延在する。一対のホルダ突出部102は、シリンジホルダ70Aの軸線を中心として対称に配置される。
シリンジユニット20Aが針カバー18Aの内部に収容されたとき、シリンジホルダ70Aのホルダ突出部102がスリット66にそれぞれ挿入される(図10参照)。
ホルダ突出部102は、第2係合部(係合部)46bを備える。第2係合部46bは、ホルダ突出部102の延在方向と直交する方向へ突出する。シリンジホルダ70Aが筐体16の内部に収容されたとき、第2係合部46bが筐体16の第2係合孔44bに係合される。使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態において、第2係合部46bが第2係合孔44bへ係合されることで、シリンジホルダ70Aを含むシリンジユニット20Aが筐体16に保持される(図5及び図6参照)。
図11~図14に示されるように、フランジ収容部98は、シリンジ68のフランジ80に対応した略楕円形状に形成され、シリンジホルダ70Aの基端より窪んだ凹部形状である。フランジ収容部98の内部には、シリンジ68のフランジ80が収容される。シリンジ68のフランジ80がフランジ収容部98に収容されることで、シリンジホルダ70Aに対してシリンジ68が先端方向に位置決めされ保持される。
フランジ収容部98の外側には、基端方向に突出した一対の湾曲部104を有し、前記湾曲部104は、前記フランジ収容部98の外縁部を構成し、径方向外側に向けて凸状となる湾曲形状である。湾曲部104の外周面には、後述するガイド機構28の基端支持ガイド140が配置される。ホルダ突出部102の基端は、湾曲部104の基端まで延在し、基端支持ガイド140の一部を構成する。
図11~図13に示されるように、ホルダ先端筒部100は、ホルダ胴部96よりも縮径した円筒状である。ホルダ先端筒部100の内部には、シリンジ68のノズル82及びキャップ78が収容される。ホルダ先端筒部100は、シリンジ68のノズル82及びキャップ78を囲むように配置される(図9参照)。ホルダ先端筒部100は、針ハブ24Aのガイド筒部118に挿入される。
図13、図15及び図16に示されるように、ホルダ先端筒部100は、キャップ78を径方向内側へ向けて弾性的に付勢する保持部106と、針ハブ24Aのガイド筒部118に挿入されるときにガイドする先端スライドガイド130(後述する)とを備える。
保持部106は、キャップ78を介してシリンジ68の先端部を径方向内側へ向けて弾性的に付勢する。保持部106は、キャップ78の外周面を周方向の複数個所で径方向内側に向けて押圧する複数の可撓腕108を有する。複数の可撓腕108は、ホルダ先端筒部100の基端に開口した開口部110に配置され、該開口部110においてホルダ胴部96の先端から先端方向(矢印B方向)へ突出する。可撓腕108の内周面(径方向内端)がキャップ78における小径部88の外周面に当接する(図17及び図18参照)。
複数の可撓腕108は、シリンジホルダ70Aの周方向に沿って互いに等間隔離れて配置される。複数の可撓腕108は、シリンジ68のキャップ78を周方向に沿った複数個所で径方向内側へ向けてそれぞれ押圧することで、シリンジホルダ70Aの先端部であるホルダ先端筒部100に対してシリンジ68の先端部であるノズル82(キャップ78)を同軸に保持する。可撓腕108の数量は、少なくとも3つ以上が望ましい。
可撓腕108で押圧されるキャップ78は、バレル74に対して小径且つ軸方向に短いため、例えば、オートクレーブ滅菌が行われシリンジ68に熱が加えられたとき、該熱に起因したバレル74の変形量に対してキャップ78の変形量が小さくなる。そのため、可撓腕108によってキャップ78を保持することで、前記キャップ78を介してシリンジ68の先端部をシリンジホルダ70Aに対してより高精度に同軸で保持可能となる。
図18に示されるように、複数の可撓腕108は、キャップ78の小径部88を径方向に向けて押圧する。
例えば、図19及び図20に示される変形例に係る保持部106aを有したシリンジホルダ70aを採用してもよい。シリンジホルダ70aの保持部106aは、キャップ78の外周面を周方向の複数個所で径方向内側に向けて押圧する複数の可撓腕108aを有する。
複数の可撓腕108aは、ホルダ先端筒部100の開口部110に配置され、該開口部110の開口先端から基端方向(矢印A方向)に突出し、可撓腕108aの内周面(径方向内端)がキャップ78における小径部88の外周面に当接する。
複数の可撓腕108aは、シリンジホルダ70aの周方向に沿って互いに等間隔離れて配置される。複数の可撓腕108aは、シリンジ68のキャップ78を径方向内側へ向けて押圧することで、シリンジホルダ70aの先端部であるホルダ先端筒部100に対してシリンジ68の先端部であるノズル82(キャップ78)を同軸に保持する。複数の可撓腕108aは、キャップ78の小径部88を押圧すると共に、前記キャップ78における段差部90の先端側に係合される。
可撓腕108aの内周面とキャップ78の外周面との接触面積は、シリンジホルダ70Aの可撓腕108とキャップ78との接触面積よりも大きい。そのため、キャップ78の外周面に対して複数の可撓腕108aをより大きな面積で面接触させ、径方向内側へと押圧することで、シリンジホルダ70aの先端にキャップ78(ノズル82)を同軸に保持可能である。
図5及び図9に示されるように、針ユニット26Aは、第1及び第2針部112、114を有した両頭針22と、前記両頭針22を支持する支持部124を有した針ハブ24Aとを備え、筐体16の内部においてシリンジユニット20Aの先端方向(矢印B方向)に配置される。
両頭針22は、支持部124から先端方向に突出して皮膚Sを穿刺する第1針部112と、支持部124から基端方向に突出した第2針部114とを有し、針ハブ24Aの支持部124に接着等によって固定される。第1針部112の内腔112aと前記第2針部114の内腔114aとが連通する。
針ハブ24Aは、筐体16に保持されるハブ本体116と、該ハブ本体116の先端に設けられるガイド筒部118とを備え、前記針ハブ24Aの内部には、基端から先端方向に向けてシリンジユニット20Aの先端が挿入可能である。
ハブ本体116は、基端が開口した筒状に形成され、該ハブ本体116の外周面には、弾性的に傾動可能な一対のアーム部120を備える。アーム部120の先端がハブ本体116の外周面に接続された固定端であり、前記先端から基端方向に向かって延在する。可動端であるアーム部120の基端には、外側に向けて突出した第1係合部46aを備える。針ハブ24Aが筐体16の内部に収容され第1係合部46aが第1係合孔44aに係合されることで、針ハブ24Aが筐体16における筒部の先端に保持される(図9参照)。
ハブ本体116と針カバー18Aとの間には、カバーばね122が配置される。カバーばね122は、コイルスプリングからなる弾発部材である。カバーばね122の基端は、ハブ本体116の先端に係合される。カバーばね122の先端は、針カバー18Aの本体部58の先端内面に係合される。カバーばね122の弾発力は、筐体16及び針ハブ24Aに対して針カバー18Aを先端方向(矢印B方向)へ向けて相対移動させるように付勢する。
ガイド筒部118は、先端に支持部124を有した有底円筒状であり、第2針部114を囲むと共に、シリンジホルダ70Aのホルダ先端筒部100が内部に挿入可能である。ガイド筒部118の先端は、両頭針22を支持する支持部124を備える。支持部124は、針ハブ24Aの軸方向と直交し、接着等によって支持部124の中心に両頭針22が支持される。第1針部112は、ガイド筒部118の外側(先端方向)に配置される。すなわち、両頭針22の第1針部112と第2針部114とが支持部124を間にして互いに反対方向へ突出する。
シリンジユニット20Aが先端方向へ移動し、ホルダ先端筒部100がガイド筒部118の内部に挿入されて第2針部114が蓋体94に穿刺された後、前記ホルダ先端筒部100に保持されたキャップ78の先端が支持部124に当接する。これにより、シリンジユニット20Aが係止され、該シリンジユニット20Aの先端方向への移動が停止する(図31及び図32参照)。ガイド筒部118の支持部124は、第2針部114がシリンジ68に接続された後、シリンジユニット20Aの先端方向への移動を阻止可能なストッパとして機能する。
図21に示されるように、ガイド筒部118の内周面は、後述するガイド機構28の先端支持ガイド138を備える。
図5に示されるように、ガイド機構28は、筐体16とシリンジユニット20Aとの間に介装される。ガイド機構28は、筐体16の軸方向に沿って延在するガイドリブと、軸方向に沿って延在してガイドリブに係合するガイド溝とを有する。具体的に、ガイド機構28は、シリンジホルダ70Aの外周面に設けられ軸方向に沿って延在する第1ガイド部126と、前記筐体16及び該筐体16に保持される針ハブ24Aの内周面に形成され、前記軸方向に沿って延在し前記第1ガイド部126の係合される第2ガイド部128とを備える。第1ガイド部126は、シリンジホルダ70Aの周方向に沿って複数設けられる。第2ガイド部128は、筐体16及び針ハブ24Aの周方向に沿って複数設けられる。
図11に示されるように、第1ガイド部126は、シリンジホルダ70Aの周方向に沿って複数設けられ、シリンジホルダ70Aの先端部に設けられる先端スライドガイド130(図22参照)と、前記シリンジホルダ70Aの基端部に設けられる基端スライドガイド132(図23参照)とを有する。
図22に示されるように、先端スライドガイド130は、シリンジホルダ70Aのホルダ先端筒部100の外周面から径方向外側に突出する複数の第1ガイドリブ134である。第1ガイドリブ134は、ホルダ先端筒部100の周方向に沿って等間隔離間して4本設けられる。シリンジホルダ70Aの軸方向から見て、第1ガイドリブ134の断面形状は、径方向外側に向けて先細となる三角形状である。
図23に示されるように、基端スライドガイド132は、シリンジホルダ70Aの湾曲部104の外周面から径方向外側に突出する複数の第2ガイドリブ136である。第2ガイドリブ136は、一対の湾曲部104の周方向に沿って互いに離間してそれぞれ3本ずつ設けられる。第2ガイドリブ136は合計6本である。シリンジホルダ70Aの軸方向から見て、第2ガイドリブ136の断面形状は略矩形状である。
図22に示されるように、第2ガイド部128は、針ハブ24Aのガイド筒部118に設けられ先端スライドガイド130を支持する先端支持ガイド138を有する。
先端支持ガイド138は、ガイド筒部118の内周面から径方向外側に窪む複数の第1ガイド溝142である。第1ガイド溝142は、ガイド筒部118の周方向に沿って等間隔離間して4か所設けられる。第1ガイド溝142は、第1ガイドリブ134が挿入可能である。すなわち、第1ガイド溝142と第1ガイドリブ134とが同数である。針ハブ24Aの軸方向から見て、第1ガイド溝142の断面形状は、径方向外方に向けて先細となる三角形状である。
第1ガイド溝142に第1ガイドリブ134が挿入されたとき、前記第1ガイド溝142と前記第1ガイドリブ134との間に若干のクリアランスを有する。第1ガイドリブ134と第1ガイド溝142との間のクリアランスは、シリンジホルダ70Aと針ハブ24Aとの間のクリアランスのうち、最も小さいクリアランスである(図22参照)。
シリンジホルダ70Aを含むシリンジユニット20Aが筐体16に沿って先端方向へ移動するとき、第1ガイドリブ134が第1ガイド溝142に沿って案内されることで、前記シリンジユニット20Aの先端部が前記先端方向に向けてガイドされる。
図23に示されるように、第2ガイド部128は、筐体16に設けられ基端スライドガイド132を支持する基端支持ガイド140を有する。基端支持ガイド140は、筐体16における筒部の内周面から径方向外側に窪む複数の第2ガイド溝144である。第2ガイド溝144は、筒体36の周方向に沿って互いに離間して6か所設けられる。第2ガイド溝144には、第2ガイドリブ136が挿入可能である。すなわち、第2ガイド溝144と第2ガイドリブ136とが同数である。筐体16の軸方向から見て、第2ガイド溝144の断面形状は略矩形状である。
シリンジホルダ70Aを含むシリンジユニット20Aが先端方向へ移動するとき、第2ガイドリブ136が第2ガイド溝144に沿って案内されることで、前記シリンジユニット20Aの基端部が前記先端方向に向けてガイドされる。すなわち、第1及び第2ガイド部126、128によってシリンジユニット20Aが先端方向へ移動する際の直進性が高まる。
図6及び図24に示されるように、駆動ユニット34は、シリンジ68の内部に挿入されガスケット76を先端方向(矢印B方向)に押圧可能なプランジャ30と、前記プランジャ30を前記先端方向に付勢するインジェクションばね(付勢部材)146と、使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態においてプランジャ30の前記先端方向への移動を阻止するロック機構32とを備える。駆動ユニット34は、図6に示される薬液投与装置12Aにおいて、筐体16の基端寄りに配置される。
図6に示されるように、プランジャ30は、軸方向(矢印A、B方向)に長尺な円筒体であり、筐体16の内部で軸方向に移動可能に配置される。プランジャ30は、軸方向に沿って略一定径で形成され、エンドキャップ38の蓋部48に対して先端方向(矢印B方向)に配置されると共に、その先端側がシリンジ68のバレル74の内部に挿入される。図6に示される初期状態において、プランジャ30の先端は、ガスケット76に対して基端方向(矢印A方向)に所定距離だけ離間して配置される。
プランジャ30の内部には、エンドキャップ38の軸部54及びインジェクションばね146が挿入される。図7及び図8に示されるように、プランジャ30の外周面には一対のロック孔150を有する。ロック孔150は、プランジャ30の基端近傍に形成され、前記プランジャ30の外周面から径方向内側へ貫通する。一対のロック孔150は、プランジャ30の軸中心に対して対称に配置され、前記ロック孔150には、後述するロック機構32におけるロックボディ156のロック爪172が径方向外側から係合される。
インジェクションばね146は、コイルスプリングであり、軸部54の軸方向長さよりも長尺である。図6に示されるように、インジェクションばね146は、プランジャ30の先端内面とエンドキャップ38の蓋部48の端面との間に介装され、インジェクションばね146の弾発力によってプランジャ30が先端方向(矢印B方向)に向けて付勢される。
ロック機構32は、使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態において、プランジャ30の先端方向(矢印B方向)への移動を阻止する。図6及び図25に示されるように、ロック機構32は、筐体16の内部に軸方向に変位可能に収容されるロック部材152と、前記ロック部材152を先端方向に向けて付勢するロックスリーブばね(弾性部材)154と、前記初期状態においてプランジャ30に係合して該プランジャ30の先端方向への移動を阻止するロックボディ156とを備える。
ロック部材152は、プランジャ30を囲む筒状に形成され、図8に示される初期状態においてプランジャ30のロック孔150に臨む外周に配置されると共に、穿刺状態では針カバー18Aによって押し上げられて基端方向へ移動してエンドキャップ38の保持筒部52の外周に配置される(図29参照)。
図6及び図8に示されるように、ロック部材152は、円筒部158と、該円筒部158の先端に設けられる鍔部160とを備える。円筒部158の基端には、円筒部158の内周面から径方向内側へ突出した傾斜部162を有する。傾斜部162の先端面は、円筒部158の内周面から基端方向(矢印A方向)に向けて傾斜する。
鍔部160は、円筒部158の基端から径方向外側へ延在する。図28及び図29に示す穿刺時において針カバー18Aが筐体16に対して基端方向へ相対移動したとき、前記針カバー18Aの延出部62の基端が前記鍔部160に当接してロック部材152が基端方向(矢印A方向)に押し上げられる。
図6に示されるように、ロック部材152の外周面には、鍔部160から基端方向に向けて延在する一対のフック部164を有する。フック部164は、ロック部材152の外周面に開口した係止孔166に形成され、フック部164の先端が係止孔166に固定された片持ち構造である。フック部164の基端は、係止孔166の内部に配置され、係止孔166に挿入されるロックボディ156のボディ凸部177と係合可能である。
ロックスリーブばね154は、ロック部材152の外周に配置されたコイルスプリングであり、エンドキャップ38の蓋部48と前記ロック部材152の鍔部160との間に介装される。ロックスリーブばね154の弾発力は、ロック部材152を先端方向(矢印B方向)に向けて付勢する。
図5~図8に示されるように、ロックボディ156は、筐体16の内部においてエンドキャップ38の内部に配置される。ロックボディ156は、プランジャ30の基端近傍に配置され、エンドキャップ38の係合突起56が係合されるボディ孔168と、径方向へ弾性変形可能な一対の係合アーム170と、前記係合アーム170の先端に設けられる一対のロック爪172と、外周面から径方向外側へ突出した一対のボディ凸部177とを備える。
ボディ孔168は、ロックボディ156の外周面に開口して径方向内側に貫通する。ロックボディ156の内部にエンドキャップ38の保持筒部52が配置され、エンドキャップ38の係合突起56がボディ孔168に係合される(図6及び図8参照)。これにより、ロックボディ156がエンドキャップ38に固定される。
図8に示されるように、一対の係合アーム170は、ボディ孔168の先端方向(矢印B方向)に配置される。係合アーム170の基端は固定された固定端であり、該係合アーム170の先端は固定されていない自由端である。係合アーム170の基端を支点として弾性変形可能である。一対の係合アーム170は、ロックボディ156の軸中心に対して対称に配置される。
ロック爪172は、係合アーム170の先端において径方向内側及び径方向外側へ向けて突出する。ロック爪172は、係合アーム170の先端に対して径方向内側へ突出した第1爪部174と、前記先端に対して径方向外側へ突出した第2爪部176とを備える。
第1爪部174の基端は、径方向内側へ向けて先端方向へ傾斜する傾斜面を有する。図8に示す使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態において、第1爪部174の傾斜面がプランジャ30のロック孔150に係合する。このとき、係合アーム170の外周にロック部材152が配置されているため、前記係合アーム170の径方向外側への変形が阻止され、前記ロック爪172と前記ロック孔150との係合状態が維持される。
すなわち、ロック機構32において、ロック爪172の第1爪部174がプランジャ30のロック孔150に係合されることで、プランジャ30の先端方向(矢印B方向)への移動が阻止されたロック状態となる。
図28及び図29に示される薬液投与装置12Aの穿刺操作が行われたとき、筐体16に対して針カバー18Aと共にロック部材152が基端方向(矢印A方向)へ相対移動すると、前記ロック部材152が係合アーム170より基端方向に配置される。そのため、係合アーム170が径方向外側へ変形可能となり、前記係合アーム170のロック爪172が前記プランジャ30のロック孔150から離脱して係合アーム170と前記プランジャ30との係合が解除される。これにより、ロック機構32のロック爪172によるプランジャ30の移動阻止状態が解除される。
第2爪部176の基端は、径方向外側へ向けて先端方向へ傾斜する傾斜面を有し、ロックスリーブばね154の弾発力によってロック部材152が先端方向へ移動したとき、前記ロック部材152と前記係合アーム170とが接触し、該係合アーム170が径方向内側へ弾性変形する。これにより、ロック部材152が、係合アーム170のロック爪172を乗り越えて先端方向へ移動可能となる。すなわち、ロック機構32は、針カバー18Aの基端方向への移動に伴ってプランジャ30の先端方向への移動を許容するロック解除状態となる。ロック部材152が基端方向へ移動してロック解除位置に到達したときにロック機構32がロック解除状態となる。
一対のボディ凸部177は、ロックボディ156の先端外周面に形成され、外周面から径方向外方に向けて突出する。ボディ凸部177は、ロックボディ156の軸中心に対して対称に配置される。図37に示されるように、穿刺操作が完了して針カバー18A及びロック部材152が先端方向へ移動したとき、前記ロック部材152の係止孔166にボディ凸部177が挿入されてフック部164の基端に係合される。これにより、ロック部材152の軸方向への移動がボディ凸部177によって阻止される。
図1に示される包装容器14は、薬液投与装置12Aを密封状態で収容する。図2に示されるように、包装容器14は、薬液投与装置12Aが収容される容器本体178と、封止フィルム180と、前記薬液投与装置12Aの収容時において駆動ユニット34(図5等参照)の発動を阻止可能な発動阻止突起182とを備える。容器本体178は、平面視で略長方形状に形成される。以下、容器本体178における長尺方向を長手方向と呼び、前記長手方向と直交する容器本体178の短尺方向を幅方向と呼ぶ。
容器本体178は、薬液投与装置12Aが収容される収容凹部184と、薬液投与装置12Aを取り出すための開口186を囲む開口縁部188とを有する。前記容器本体178は、比較的硬質な樹脂製材料から形成される。容器本体178の長手方向一端には、長手方向に半円状に膨出した膨出部190を有する。開口縁部188は、収容凹部184の開口186に沿って矩形状に形成され、開口186から外側へ延在する鍔状である。
収容凹部184は、容器本体178の上端に形成された開口縁部188から下方に向けて窪み、薬液投与装置12Aを収容可能に形成される。収容凹部184は、開口186とは反対方向に形成された底部184aを有する。底部184aは、容器本体178の長手方向及び幅方向に沿って平坦であり、底部184aから突出した複数の載置部192に薬液投与装置12Aが載置される。
各載置部192は、薬液投与装置12Aの外形に対応した形状で形成されると共に、容器本体178の長手方向に沿って互いに離間して配置される。載置部192は、容器本体178の幅方向側壁を繋ぐように形成される。
収容凹部184に薬液投与装置12Aが収容されるとき、薬液投与装置12Aが複数の載置部192によって略水平に保持されると共に、膨出部190を有した長手方向一端に薬液投与装置12Aの基端側が収容され、長手方向他端に前記薬液投与装置12Aの先端側が収容される。図26に示されるように、薬液投与装置12Aが包装容器14に収容された状態で、筐体16の孔部42は、駆動ユニット34におけるロック部材152の鍔部160よりも基端方向(矢印A方向)に位置する。
封止フィルム180は、ポリエチレン樹脂等の樹脂製材料から形成される。封止フィルム180は、柔軟性を有した薄肉のシート状である。薬液投与システム10Aの平面視で、封止フィルム180は、容器本体178と略同一寸法の長方形状である。
容器本体178の開口縁部188を覆うように封止フィルム180を配置し、前記封止フィルム180の外縁部を開口縁部188に重ね合わせて加熱する。これにより、封止フィルム180の外縁部と容器本体178の開口縁部188とが接合(融着)される。容器本体178と封止フィルム180とによって、薬液投与装置12Aが容器本体178の内部(収容凹部184)に密封状態で収容される(図1及び図26参照)。
封止フィルム180の長手方向一端には、長手方向に延出した把持部194を備える。封止フィルム180が容器本体178に融着されたとき、把持部194が容器本体178から外側(長手方向)に突出する。
使用者が薬液投与装置12Aを包装容器14から取り出すとき、前記使用者が把持部194を把持して封止フィルム180を容器本体178に対して上方へ引き上げ、前記封止フィルム180を前記容器本体178の開口縁部188から剥離させ容器本体178を開封する。
図2に示されるように、発動阻止突起182は、最も長手方向一端側に配置された載置部192に一体で設けられる。発動阻止突起182は、載置部192と共に収容凹部184の底部184aに設けられ、該底部184aから開口186に向けて突出すると共に、載置部192よりも開口186側へ突出する。発動阻止突起182は、容器本体178の幅方向に離間して一対配置される。
図27に示されるように、収容凹部184に薬液投与装置12Aが収容され載置部192に載置されたとき、発動阻止突起182の端部が、筐体16の孔部42を通じて該筐体16の内部に挿入される。
図26に示されるように、薬液投与装置12Aが包装容器14内に収容された状態において、薬液投与装置12Aは穿刺操作が行われる前の初期状態である。薬液投与装置12Aの初期状態において、発動阻止突起182は、駆動ユニット34のロック部材152の鍔部160よりも基端方向(矢印A方向)に配置される。換言すれば、発動阻止突起182は、ロック部材152が先端方向に位置した初期位置と、筐体16に対して針カバー18Aが基端方向へ相対移動してロック部材152が基端方向へ移動したロック解除位置との間に配置される。
薬液投与装置12Aが包装容器14内に収容された状態において、発動阻止突起182は、孔部42を通じて筐体16の内部に挿入されることで、ロック部材152のロック解除位置への移行を阻止する。すなわち、薬液投与装置12Aが包装容器14内に収容された状態において、発動阻止突起182は、該ロック部材152の基端方向への移動を制限して駆動ユニット34の発動を阻止する。包装容器14から薬液投与装置12Aが取り出されるとき、発動阻止突起182が前記筐体16から抜去されることで前記駆動ユニット34に対する発動阻止が解除される。
次に、薬液投与システム10Aにおいて、包装容器14から薬液投与装置12Aを取り出して穿刺操作を行う場合について説明する。
上述したように、薬液投与装置12Aが包装容器14へ収容された状態では、発動阻止突起182が孔部42を通じて筐体16の内部に挿入され、ロック部材152の鍔部160よりも基端方向に配置されている。そのため、ロック部材152の基端方向への移動が制限されている。
従って、未開封の薬液投与システム10Aにおいて、前記薬液投与システム10Aを誤って落下させて外力が付与されたとき、発動阻止突起182によってロック部材152のロック解除位置への移動が阻止され、前記ロック部材152の基端方向への移動に伴った駆動ユニット34の発動が阻止される。
図1に示す薬液投与システム10Aにおいて、使用者が封止フィルム180の把持部194を把持し、前記封止フィルム180を容器本体178から上方へと引き剥がすことで容器本体178を開封する。
使用者は、開封された容器本体178の開口186を通じて膨出部190に指を挿入し、薬液投与装置12Aの基端側から前記開口186を通じて包装容器14の外部へと取り出す(図2参照)。このとき、筐体16の孔部42から発動阻止突起182が抜去されることで、該発動阻止突起182による駆動ユニット34の発動阻止が解除される。すなわち、発動阻止突起182の抜去によって、駆動ユニット34の発動阻止状態から発動解除状態へと移行する。発動阻止突起182は、収容凹部184の底部184aに設けられ開口186に向かって突出しているため、薬液投与装置12Aを開口186に向けて移動させて外部へ取り出すことで、前記筐体16の内部から発動阻止突起182が簡便且つ確実に抜去される。
包装容器14から取り出された薬液投与装置12Aは、図5及び図7に示される穿刺前の状態である初期状態にある。薬液投与装置12Aの初期状態では、プランジャ30のロック孔150にロックボディ156の係合アーム170のロック爪172が径方向外側から挿入され、前記係合アーム170は、ロックスリーブばね154によって先端方向へ付勢されたロック部材152によって径方向外側への傾動(弾性変形)が阻止されている。すなわち、係合アーム170は径方向外側へ弾性変形することができない。そのため、駆動ユニット34のロック機構32によってプランジャ30の先端方向への移動が阻止されたロック状態にある。
使用者が薬液投与装置12Aの筐体16を把持し、筐体16の先端から突出した針カバー18Aの先端を皮膚Sの所望の穿刺部位に対して略直角となるように押し当てる。皮膚S側(先端側、矢印B方向)に向けて筐体16をさらに連続的に押し込むことで、図28及び図30に示されるように、針カバー18Aが皮膚Sに押されて、カバーばね122の弾性力に抗して筐体16に対して針カバー18Aが基端方向(矢印A方向)に相対移動する。
図28及び図30に示されるように、針カバー18Aの基端方向への相対移動に伴って、両頭針22の第1針部112が針カバー18Aの先端開口64から先端側(矢印B方向)へと突出する。これにより、両頭針22の第1針部112が皮膚Sを穿刺して所定深さまで挿入された穿刺状態となる。
図28及び図29に示されるように、針カバー18Aの基端方向(矢印A方向)への移動に伴い、針カバー18Aの延出部62の基端がロック部材152の鍔部160に当接して基端方向(矢印A方向)へ押し上げる。針カバー18Aによってロックスリーブばね154を圧縮しながらロック部材152が基端方向に移動する。ロック爪172を有した係合アーム170よりも前記ロック部材152が基端方向に位置するロック解除位置にロック部材152が到達することで、前記係合アーム170が外側へ弾性変形可能となる。
インジェクションばね146の弾発力によって、駆動ユニット34のプランジャ30が先端方向(矢印B方向)に向けて付勢することで、ロック孔150に沿うように係合アーム170を傾動させながらロック爪172が外側へ移動し、前記ロック孔150から前記ロック爪172が離脱する(図29参照)。
これにより、ロック機構32を構成するロック爪172によるプランジャ30のロック状態が解除され、プランジャ30は、インジェクションばね146の弾発力によって先端方向(矢印B方向)に向けて移動を開始する。すなわち、針カバー18Aは、使用者による穿刺操作が行われる前の初期状態において発動の阻止された駆動ユニット34(プランジャ30)を発動させるための発動スイッチとして機能する。
プランジャ30が先端方向へ向けて移動を開始すると、プランジャ30の先端がガスケット76の基端に当接する。その後、プランジャ30によってガスケット76が先端方向に押され、プランジャ30及びガスケット76が一体的に移動する。このとき、ガスケット76の先端方向となる薬室72には薬液Mが充填されバレル74の先端孔(ノズル孔84)が蓋体94によって塞がれているため、薬液Mはバレル74から吐出されない。
そのため、バレル74内に充填された薬液Mによってガスケット76が先端方向に移動せず、プランジャ30が先端方向に向けて移動することで、ガスケット76を介してシリンジ68を含むシリンジユニット20Aが先端方向に向けて押される。これにより、シリンジホルダ70Aの第2係合部46bが筐体16の第2係合孔44bから離脱し、筐体16に対するシリンジホルダ70Aの保持状態が解除される(図31参照)。
プランジャ30によって押されたシリンジユニット20Aが筐体16に沿って先端方向へ移動を開始する。このとき、シリンジホルダ70Aの第2ガイドリブ136が、第2ガイド溝144に沿って先端方向に向けて移動することで、前記シリンジホルダ70Aを含むシリンジユニット20Aが先端方向に向けて案内される(図23参照)。
プランジャ30の先端方向への移動に伴って、シリンジユニット20Aが先端方向に移動し、シリンジホルダ70Aのホルダ先端筒部100がハブ本体116を経て針ユニット26Aのガイド筒部118の内部に挿入される。図22に示されるように、ホルダ先端筒部100に設けられた複数の第1ガイドリブ134が、ガイド筒部118の第1ガイド溝142にそれぞれ挿入されることで、シリンジユニット20Aの先端部が針ハブ24Aに沿って先端方向に向けて案内される。
すなわち、シリンジホルダ70Aの外周面に第1ガイド部126を設け、針ハブ24A及び筐体16の内周面に第2ガイド部128を設け、前記第1ガイド部126を前記第2ガイド部128に係合させることで、シリンジユニット20Aが筐体16に沿って先端方向に移動するとき、前記筐体16に対する前記シリンジユニット20Aの傾きが好適に防止され、前記シリンジユニット20Aの先端方向に向けた直進性を高めることが可能である。
シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動するのに伴い、前記シリンジユニット20Aの先端が両頭針22の第2針部114に接近し、該第2針部114が蓋体94に刺さり始める。図31及び図32に示されるように、第2針部114の基端が蓋体94を突き抜けてノズル孔84を通じてバレル74内へ挿入される。これにより、第2針部114を介してシリンジ68の薬室72と両頭針22とが接続され、両頭針22の内腔112a、114aを通じて薬室72と使用者の皮下とが連通する。
両頭針22の第2針部114とシリンジ68の先端とが接続された後、シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動することで、シリンジホルダ70Aのホルダ先端筒部100に保持されたキャップ78の先端が、針ハブ24Aの支持部124に当接する(図31及び図32参照)。これにより、シリンジユニット20Aの先端方向への移動が阻止されシリンジユニット20Aが所定位置で停止すると共に、第2針部114がさらにバレル74の内部に深く挿入され、両頭針22とシリンジ68との接続が完了した接続完了状態となる。
シリンジユニット20Aの先端方向への移動が停止した後、プランジャ30によって連続的にガスケット76が先端方向へ押されており、両頭針22との接続によって薬室72の密封状態が解除されるため、プランジャ30の先端で押されたガスケット76が薬室72内で先端方向へ移動可能となる。プランジャ30に押されてガスケット76がバレル74に沿って先端方向へ移動することで、前記ガスケット76が薬室72の薬液Mを先端方向に向けて押し出す。これにより、薬液Mが、両頭針22の第2針部114の内腔114aから第1針部112の内腔112aを通じて吐出され、使用者の皮下に対する薬液Mの投与が開始される。
図33に示されるように、プランジャ30に押されたガスケット76が薬室72の先端まで到達すると、薬室72内に充填された全ての薬液Mの投与が完了する。
例えば、図34に示される変形例に係るプランジャ30aを採用してもよい。プランジャ30の外周面には、径方向外側へ向けて突出した一対の凸部196を有する。凸部196は、プランジャ30aの基端近傍に配置され、プランジャ30aの軸方向と直交方向に突出する。一対の凸部196は、プランジャ30aの軸中心に対して対称に配置される。
両頭針22の第2針部114がシリンジ68の先端部に接続され、プランジャ30aがガスケット76を先端方向に向けて押して薬液Mを投与するとき、前記ガスケット76の移動によって薬室72内の薬液Mが両頭針22を通じて投与され始め、プランジャ30aが移動して凸部196がシリンジ68のフランジ80に接触することで、前記プランジャ30aの先端方向への移動が停止する。
これにより、図34に示されるように、ガスケット76が薬室72の先端まで到達する前に、凸部196によってプランジャ30aの先端方向への移動を停止させることで、前記薬室72内に充填された薬液Mの一部のみを投与することができる。従って、薬室72内における薬液Mの所定量のみを投与することが可能となる。
図33に示される薬液Mの投与が終了した後に、使用者による薬液投与装置12Aに対する皮膚S側への押し付けを解除することで、カバーばね122の弾発力によって針カバー18Aが先端方向(矢印B方向)に向けて付勢される。図35に示されるように、針カバー18Aの先端が筐体16の先端から突出し、針カバー18Aの先端が両頭針22の第1針部112よりも先端方向となる位置まで移動する。これにより、針カバー18Aによって両頭針22の第1針部112が完全に覆われる。針カバー18Aの第1係合部46aは、筐体16の第1係合孔44aへ係合される。
針カバー18Aの先端方向への移動に伴って、該針カバー18Aによるロック部材152の基端方向への付勢が解除されるため、前記ロック部材152は、ロックスリーブばね154の弾発力によって先端方向(矢印B方向)に移動する。図36Aに示されるように、ロック部材152が先端方向に移動することでロック爪172の第2爪部176に傾斜部162が当接する。このとき、プランジャ30が先端方向へ移動しているため、ロック爪172の内側にはプランジャ30が配置されていない。
そのため、図36Bに示されるようにロック部材152がさらに先端方向へ移動すると、傾斜部162によってロック爪172が内側に向けて押され、係合アーム170が内側へ向けて弾性変形し、前記傾斜部162がロック爪172を乗り越えて先端方向へ移動する。すなわち、ロック部材152が、ロックボディ156よりも先端方向へ移動可能となる。
図35及び図37に示されるように、ロック部材152がロックボディ156より先端方向へ移動することで、ロック部材152の係止孔166にロックボディ156のボディ凸部177が挿入され、前記ボディ凸部177がフック部164の基端と係止孔166とによって保持される。これにより、ロック部材152がロックボディ156に保持され、軸方向への移動が阻止される。
図38に示されるように、針カバー18Aの延出部62は、ロック部材152の先端(鍔部160)に当接しているため、前記針カバー18Aの基端方向(矢印A方向)への移動も阻止される。穿刺後において、針カバー18Aの基端方向への移動が阻止されているため、針カバー18Aに基端方向への力が作用した場合でも、両頭針22の第1針部112が針カバー18Aによって外部に露出することがなく安全である。
以上のように、薬液投与システム10Aの薬液投与装置12Aでは、使用者の皮膚Sに針カバー18Aの先端が押し当てられ針カバー18Aが基端方向へ移動することで、ロック機構32によるプランジャ30の移動阻止状態が解除され、インジェクションばね146の弾発力によって前記プランジャ30が先端方向に移動してシリンジ68のガスケット76を先端方向に向けて押す。これにより、プランジャ30と共にシリンジ68が先端方向に移動し、両頭針22の第2針部114が前記シリンジ68の先端に穿刺されると共に、ガスケット76がバレル74の薬室72に沿って先端方向へ移動することで、使用者の皮下に穿刺された両頭針22を通じて薬室72から薬液Mが投与される。
その結果、使用者が穿刺操作を行うのに連動して、両頭針22とシリンジ68との接続と、両頭針22から皮下への薬液Mの投与とを自動的且つ連続的に行うことが可能となる。そのため、使用者による両頭針22とシリンジ68との接続操作を必要とせず、両頭針22とシリンジ68とを簡便且つ確実に接続することができる。
シリンジユニット20Aが先端方向へ移動するとき、シリンジホルダ70Aの先端部であるホルダ先端筒部100の先端が、針ハブ24Aのガイド筒部118の支持部124に当接することで前記シリンジユニット20Aの先端方向への移動を確実に停止させることができる。そのため、両頭針22の第2針部114にシリンジ68が接続された後、プランジャ30によってシリンジ68のバレル74に対してガスケット76を先端方向へ押して移動させ、前記ガスケット76によって薬液Mの投与を開始することができる。
シリンジ68の外周にシリンジホルダ70Aを配置し、前記シリンジ68を前記シリンジホルダ70Aによって保持することで、前記シリンジユニット20Aが先端方向へ移動するとき、前記シリンジホルダ70Aを筐体16に沿って先端方向へガイドすることで、シリンジ68を先端方向に向けて安定して移動させることが可能である。
穿刺操作が行われる前の初期状態において、シリンジホルダ70Aの第2係合部46bが筐体16の第2係合孔44bに係合され、前記シリンジホルダ70Aが前記筐体16に対して軸方向に係止されているため、ロック機構32によるプランジャ30の移動が阻止された初期状態において、前記シリンジ68を筐体16に対して所定位置に保持しておくことができる。
ロック機構32が、筐体16の内部に変位可能に設けられたロック部材152と、該ロック部材152を先端方向に付勢するロックスリーブばね154と、初期状態においてプランジャ30のロック孔150に係合してプランジャ30の先端方向への移動を阻止するロックボディ156とを備えており、ロックスリーブばね154によってロック部材152を先端方向へ付勢し、ロックボディ156のロック爪172によるプランジャ30の係合を維持することで、プランジャ30の先端方向への移動を阻止することができる。
穿刺操作が行われる前の初期状態において、ロックボディ156の係合アーム170がプランジャ30のロック孔150に径方向外側から係合され、ロック部材152によって前記係合アーム170の径方向外側への傾動が阻止される。そのため、初期状態におけるプランジャ30の先端方向への移動を確実に阻止できると共に、ロック部材152を基端方向へ移動させることで、プランジャ30に対する係合アーム170の係合を解除して、前記プランジャ30を先端方向へ移動させることが可能となる。
ロックスリーブばね154の弾発力によってロック部材152が先端方向へ移動するとき、前記ロック部材152がロックボディ156の係合アーム170に接触することで、前記係合アーム170を径方向内側に向けて弾性変形させて前記ロック部材152が前記先端方向へ移動することができる。そのため、ロック部材152の先端方向への移動によって針カバー18Aを先端方向へ向けて押すことで、前記針カバー18Aを移動させて両頭針22の第1針部112を針カバー18Aによって覆うことができる。
次に、薬液投与システム10Bについて、図39~図44を参照しながら説明する。なお、薬液投与システム10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図39に示される薬液投与システム10Bは、薬液投与装置12Bと、該薬液投与装置12Bが内部に収容され滅菌された内部空間14aを有した包装容器14とを備える。
図39及び図40に示されるように、薬液投与装置12Bは、針ユニット26Bを有し、前記針ユニット26Bは、針ハブ24Bと、該針ハブ24Bに支持される両頭針22の第1針部112に装着される第1遮菌カバー200と、前記両頭針22の第2針部114に装着される第2遮菌カバー202とを備える。両頭針22において、使用者の皮膚Sに穿刺される第1針部112のみに遮菌カバーを装着してもよい。
図40に示されるように、針ハブ24Bは、支持部124の中心から先端方向(矢印B方向)に突出する第1環状突起204と、該支持部124の中心から基端方向(矢印A方向)に突出する第2環状突起206とを備える。第1環状突起204は第1針部112を支持し、第2環状突起206は、第2針部114を支持する。
第1及び第2遮菌カバー200、202は、例えば、シリコーンゴム、ブチルゴム、エラストマー等の弾性材料から筒状にそれぞれ形成され、軸方向に収縮可能である。第1及び第2遮菌カバー200、202が両頭針22に装着された状態で、針ハブ24Bと共に両頭針22に対して電子線又は放射線が照射され、電子線滅菌又は放射線滅菌のいずれかの滅菌方法によって前記両頭針22が滅菌される。第1及び第2遮菌カバー200、202は、電子線又は放射線が透過可能な材質で形成される。
第1遮菌カバー200は、図40に示される穿刺が行われる前の初期状態において第1針部112の先端部を覆う第1カバー先端部208と、針ハブ24Bの支持部124に接続された第1カバー基端部210とを備える。第1カバー先端部208は、第1遮菌カバー200の延在方向と直交した台座208aを有する。第1カバー基端部210は開口し、針ハブ24Bの第1環状突起204の外周に係合され、前記第1環状突起204に接続され保持される。
台座208aは円板状に形成され、図41に示される第1針部112の穿刺時において第1遮菌カバー200が軸方向に折り畳まれるとき、針カバー18Bにおける本体部58の先端内面に形成された受け部218に台座208aが収容され保持される。受け部218は、針カバー18Bの先端内面の中央に形成され、基端方向に向けて環状に立設したカップ状である。受け部218の中央には先端開口64が開口している。
第2遮菌カバー202は、針ハブ24Bの支持部124に接続された第2カバー先端部212と、図40に示される穿刺が行われる前の初期状態において第2針部114の基端部(針先)を覆う第2カバー基端部214とを備える。
第2カバー先端部212は開口し、針ハブ24Bの第2環状突起206の外周に係合され、前記第2環状突起206に接続されて保持される。初期状態において、第2カバー基端部214は、キャップ78の挿通孔92に挿入されている。
次に、上述した薬液投与装置12Bを含む薬液投与システム10Bを製造時において滅菌処理を行う場合について図43A~図44を参照しながら説明する。
先ず、薬液投与装置12Bを組み付ける前において、図43Aに示されるように、両頭針22を含む針ユニット26Bに対して第1滅菌方法である電子線滅菌又は放射線滅菌を行う(第1滅菌工程)。
図43Aに示されるように、第1針部112に第1遮菌カバー200が装着され、第2針部114に第2遮菌カバー202が装着された両頭針22を含む針ユニット26Bを、第1滅菌装置220の第1滅菌室222内に投入する。第1滅菌室222において、電子線又は放射線を照射源224から針ユニット26Bに対して所定時間照射する。
電子線又は放射線は、第1及び第2遮菌カバー200、202を透過することで、第1及び第2針部112、114が電子線滅菌又は放射線滅菌される。これにより、第1及び第2遮菌カバー200、202に覆われた両頭針22の無菌性が確保される。
次に、薬液投与装置12Bを組み付ける前において、シリンジ68に対して第2滅菌方法であるオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)を行う(第2滅菌工程)。
図43Bに示されるように、バレル74の薬室72に薬液Mが充填され薬液Mが封入されたシリンジ68を、第2滅菌装置226の第2滅菌室228内に投入する。配管230を通じて第2滅菌室228内に高圧の水蒸気を供給する。
高圧の水蒸気によってシリンジ68が第2滅菌室228内で所定温度に加熱され、シリンジ68が滅菌される。
最後に、第1滅菌方法で滅菌された針ユニット26B、第2滅菌方法で滅菌されたシリンジ68を含め、薬液投与装置12Bを組み立てた後、図44に示されるように前記薬液投与装置12Bを包装容器14の収容凹部184に収容し、前記包装容器14の内部空間14aを第3滅菌方法によって滅菌する(第3滅菌工程)。
具体的には、図44に示される薬液投与装置12Bを包装容器14の収容凹部184に収容した状態で、容器本体178の開口186から収容凹部184(内部空間14a)に対して滴下装置232の供給ノズル234から滅菌水Wを滴下させる。滅菌水Wは、過酸化水素水である。供給ノズル234から収容凹部184に対して滅菌水Wを所定量滴下させた後、容器本体178の開口縁部188に封止フィルム180を融着させることで容器本体178を密閉状態とする。
薬液投与システム10Bを室温以上の環境下に放置することで、滅菌水Wが包装容器14内で次第に気化して包装容器14の内部空間14aで滅菌ガスとなって充満する。充満した滅菌ガスによって薬液投与装置12Bの内部及び外面にわたって好適に滅菌することができる。これにより、シリンジ68において薬室72の先端に設けられた蓋体94と、該蓋体94に穿刺される両頭針22の第2針部114との間の滅菌がなされ、両者の間の無菌性を確保することが可能となる。
なお、遮菌カバーが装着される薬液投与装置12Bの針体は、第1及び第2針部112、114を有した両頭針22に限定されない。針体は、シリンジ68の先端に予め接続された単頭針であってもよい。
次に、滅菌のなされた薬液投与装置12Bの作用について説明する。なお、薬液投与装置12Aと同一の作用に関しては、その詳細な説明を省略する。
図40に示される穿刺操作が行われる前の初期状態から、使用者が針カバー18Bの先端を皮膚Sに押し付けて針カバー18Bが筐体16に対して基端方向へ相対移動すると、針カバー18Bの基端方向への移動に伴って、第1遮菌カバー200の台座208aが針カバー18Bの受け部218に挿入された後、前記台座208aを介して前記第1カバー先端部208が針カバー18Bと共に基端方向(矢印A方向)に押し上げられる。
図41に示されるように、台座208aを含む第1カバー先端部208が基端方向へ移動することで、第1針部112の針先が前記台座208aに穿刺され、該台座208aを突き抜けて先端方向に突出する。針カバー18Bの基端方向への移動に伴って、第1遮菌カバー200が第1カバー先端部208から第1カバー基端部210に向けて相対移動し、前記第1カバー先端部208が前記第1カバー基端部210に向けて軸方向に折り畳まれ収縮していく。第1遮菌カバー200は、針カバー18Bの受け部218に当接して基端方向に向けて軸方向に重なるように折り畳まれていく。
第1針部112による皮膚Sの穿刺が完了することで、第1遮菌カバー200の台座208aと第1カバー基端部210との間の部位の全てが軸方向に折り畳まれる。
駆動ユニット34が発動してプランジャ30と共にシリンジユニット20Aが先端方向へ移動するとき、シリンジユニット20Aの移動に伴って、第2遮菌カバー202の第2カバー基端部214に蓋体94が当接した後、前記シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動すると、第2針部114の針先が第2カバー基端部214を穿刺して突き抜ける。第2針部114の針先が、蓋体94を穿刺することで、シリンジ68の先端部と第2針部114とが接続される。
図41に示されるように、第2針部114とシリンジ68とが接続された後、シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動することで、蓋体94の端面によって第2カバー基端部214が先端方向へ押され、第2遮菌カバー202は、第2カバー基端部214が第2カバー先端部212に向けて相対移動し、前記第2カバー基端部214が前記第2カバー先端部212に向けて軸方向に折り畳まれ収縮していく(図42参照)。
第2遮菌カバー202は、第2環状突起206の基端に当接して先端方向に向けて軸方向に重なるように折り畳まれていく。
シリンジユニット20Aの先端が針ハブ24Bの支持部124に当接し、両頭針22とシリンジ68との接続が完了したとき、第2遮菌カバー202の第2カバー先端部212と第2カバー基端部214との間の部位が軸方向に折り畳まれる。
以上のように、薬液投与システム10Bでは、両頭針22の第1針部112及び第2針部114がそれぞれ第1遮菌カバー200及び第2遮菌カバー202によって覆われているため、薬液投与装置12Bを組み立てる前に、両頭針22を滅菌することができる。一方、シリンジ68については、薬液投与装置12Bを組み立てる前に、両頭針22の滅菌とは異なる滅菌方法で滅菌することができる。従って、前記両頭針22及びシリンジ68のそれぞれ適した滅菌方法を選択することができるため、前記両頭針22及びシリンジ68に対する滅菌方法のミスマッチを回避することができる。
従って、滅菌処理に伴うシリンジ68及び両頭針22の機能低下を好適に抑制することができる。薬液投与装置12Bの収容された包装容器14内を滅菌水Wによる第3滅菌方法で滅菌することで、シリンジ68の蓋体94と両頭針22との間の無菌性も確保することが可能となる。
相応の設置及び維持コストを要する大掛かりな無菌環境設備を用いることなく、薬液投与システム10Bの滅菌を行うことが可能であるため、使用者が使用する直前まで薬液投与装置12Bの全体の無菌性を安価に確保することができる。
第1及び第2遮菌カバー200、202が装着された両頭針22(針ユニット26B)に対し、電子線滅菌又は放射線滅菌を実施することで、接着等によって両頭針22を支持する針ハブ24Bの支持部124への熱影響を回避することが可能である。
薬室72に薬液Mが充填されたシリンジ68に対し、高圧の水蒸気によるオートクレーブ滅菌を実施することで、前記薬液Mの変性を回避することができる。
包装容器14の容器本体178内に滅菌水Wを滴下させ、前記滅菌水Wを前記容器本体178の内部空間14aで気化させることで容器本体178内の全体を滅菌雰囲気とすることができる。従って、容器本体178から封止フィルム180を剥がして包装容器14が開封されるまで、薬液投与装置12Bの全体の無菌性を確保することができる。
滅菌水Wを過酸化水素水とすることで、薬液投与システム10Bを室温以上の環境下に放置したとき、過酸化水素水を包装容器14の内部空間14aで気化させて包装容器14内に充満させることができる。充満した過酸化水素ガスによって薬液投与装置12Bの内部及び外面にわたって好適に滅菌することができる。
次に、薬液投与システム10Cについて、図45~図48を参照しながら説明する。なお、薬液投与システム10A、10Bと同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図45に示される薬液投与システム10Cは、薬液投与装置12Cと、該薬液投与装置12Cが内部に収容され滅菌された内部空間14aを有する包装容器14とを備える。
薬液投与装置12Cの針ユニット26Cは、針ハブ24Cと、該針ハブ24Cに支持される両頭針22の第1針部112に装着される第1遮菌カバー300と、前記両頭針22の第2針部114に装着される第2遮菌カバー302とを備え、第1及び第2遮菌カバー300、302は、例えば、シリコーンゴム、ブチルゴム、エラストマー等の弾性材料から筒状にそれぞれ形成される。両頭針22において、使用者の皮膚Sに穿刺される第1針部112のみに遮菌カバーを装着してもよい。
針ハブ24Cは、支持部124の先端側に配置される第1収容部304及び第1環状突起306と、支持部124の基端側に配置される第2収容部308及び第2環状突起310とを備える。
第1収容部304は、第1遮菌カバー300の第1蛇腹部316が折り畳まれたときに前記第1蛇腹部316を収容可能な凹部である。第1収容部304は先端方向(矢印B方向)に開口する。
第1環状突起306は、第1針部112を囲んで支持部124から先端方向(矢印B方向)に向かって突出し、後述する第1遮菌カバー300の第1カバー基端部314が外周に保持される。第1環状突起306の内側に第1収容部304が配置される。
第2収容部308は、第2遮菌カバー302の第2蛇腹部324が折り畳まれたときに前記第2蛇腹部324を収容可能な凹部である。第2収容部308は基端方向(矢印A方向)に開口する。
第2環状突起310は、第2針部114を囲んで支持部124から基端方向(矢印A方向)に向かって突出し、後述する第2遮菌カバー302の第2カバー先端部320が外周に保持される。第2環状突起310の内側に第2収容部308が配置される。
第1遮菌カバー300は、図45及び図46Aに示される穿刺操作が行われる前の初期状態において、第1針部112の先端部を覆う第1カバー先端部312と、針ハブ24Cの第1環状突起306に接続された第1カバー基端部314と、第1カバー先端部312と第1カバー基端部314との間に設けられる第1蛇腹部316とを備える。
第1カバー先端部312は、第1カバー基端部314よりも小径である。第1カバー基端部314は開口し、針ハブ24Cの第1環状突起306の外周に係合され前記第1環状突起306に保持される。
図46Aに示されるように、第1蛇腹部316は、円錐台形状に形成され、第1遮菌カバー300の軸方向に沿って複数設けられ該軸方向と直交する径方向に窪んだ第1折り目318を有する。第1蛇腹部316は、複数の第1折り目318を介して径方向に折り畳み可能である。
第2遮菌カバー302は、針ハブ24Cの第2環状突起310に接続された第2カバー先端部320と、図45及び図46Bに示される穿刺操作が行われる前の初期状態において、第2針部114の基端部(針先)を覆う第2カバー基端部322と、第2カバー先端部320と第2カバー基端部322との間に設けられる第2蛇腹部324とを備える。
第2カバー先端部320は開口しており、針ハブ24Cの第2環状突起310の外周に係合され前記第2環状突起310に保持される。第2カバー基端部322は、第2カバー先端部320よりも小径である。穿刺が行われる前の初期状態において、第2カバー基端部322がキャップ78の挿通孔92に挿入され保持されている。
図46Bに示されるように、第2蛇腹部324は、円錐台形状に形成され、第2遮菌カバー302の軸方向に沿って複数設けられ該軸方向と直交する径方向に窪んだ第2折り目326を有する。第2蛇腹部324は、複数の第2折り目326を介して径方向に折り畳み可能である。
次に、薬液投与システム10Cの薬液投与装置12Cの作用について説明する。なお、薬液投与装置12A、12Bと同一の作用に関しては、その詳細な説明を省略する。
図45に示される穿刺操作が行われる前の初期状態から、使用者が針カバー18Bの先端を皮膚Sに押し付けて針カバー18Bが筐体16に対して基端方向へ相対移動すると、針カバー18Bの基端方向への移動に伴って、第1遮菌カバー300の第1カバー先端部312が針カバー18Bの受け部218に当接した後、前記針カバー18Bと共に前記第1カバー先端部312が基端方向(矢印A方向)に押し上げられる。
針カバー18Bの基端方向への移動によって、図47に示すように第1カバー先端部312が第1カバー基端部314に向けて相対移動し、複数の第1折り目318を起点として第1蛇腹部316が径方向に折り畳まれていく。このとき、第1蛇腹部316は円錐台形状であるため、第1遮菌カバー300を円滑に折り畳むことが可能であると共に、第1カバー基端部314に対して第1カバー先端部312が径方向内側となるように折り畳まれる。
第1針部112は、第1カバー先端部312に第1針部112の針先が穿刺されることで、第1カバー先端部312の外側に突出すると共に、先端開口64を通じて針カバー18Bの先端から突出して皮膚Sを穿刺する。
図47に示されるように、針カバー18Bのさらなる基端方向への移動に伴って、第1蛇腹部316が第1カバー基端部314の径方向内側で径方向内側に向けて順番に折り畳まれ、折り畳まれた第1蛇腹部316が径方向に重なるように第1収容部304に収容される。第1遮菌カバー300は、第1蛇腹部316が径方向に折り畳まれることによって第1カバー先端部312が第1カバー基端部314に接近するように軸方向に収縮していく。
第1針部112による穿刺が完了することで、第1遮菌カバー300の第1蛇腹部316が全て径方向に折り畳まれ第1収容部304に収容される。
駆動ユニット34が発動してプランジャ30と共にシリンジユニット20Aが先端方向へ移動するとき、シリンジユニット20Aの移動に伴って、第2遮菌カバー302の第2カバー基端部322にキャップ78の挿通孔92が当接した後、前記シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動すると、第2針部114の針先が第2カバー基端部322を穿刺して突き抜ける。第2針部114の針先が蓋体94を穿刺することで、シリンジ68の先端部と第2針部114とが接続される。
第2針部114とシリンジ68とが接続された後、シリンジユニット20Aがさらに先端方向へ移動することで、キャップ78によって第2カバー基端部322が先端方向へ向けて押され、第2カバー基端部322が第2カバー先端部320に向けて相対移動し、それに伴って、第2遮菌カバー302は、第2折り目326を起点として第2蛇腹部324が径方向に折り畳まれていく。このとき、第2蛇腹部324は円錐台形状であるため、第2遮菌カバー302を円滑に折り畳むことが可能であると共に、第2カバー先端部320に対して第2カバー基端部322が径方向内側となるように折り畳まれる。
シリンジユニット20Aのさらなる先端方向への移動に伴って、図48に示すように第2蛇腹部324が第2カバー先端部320の径方向内側で径方向内側に向けて順番に折り畳まれ、折り畳まれた第2蛇腹部324が径方向に重なるように第2収容部308に収容される。第2遮菌カバー302は、第2蛇腹部324が径方向に折り畳まれることによって第2カバー基端部322が第2カバー先端部320に接近するように軸方向に収縮していく。
両頭針22の第2針部114とシリンジ68との接続が完了することで、第2遮菌カバー302の第2蛇腹部324が全て径方向に折り畳まれ第2収容部308に収容される。
上述した薬液投与システム10Cを、薬液投与システム10Bで実施された第1~第3滅菌方法によって滅菌してもよい。
なお、遮菌カバーが装着される薬液投与装置12Cの針体は、第1及び第2針部112、114を有した両頭針22に限定されない。針体が、シリンジ68の先端に予め接続された単頭針であってもよい。
なお、第1遮菌カバー300は、第1カバー先端部312に対し、第1カバー基端部314が小径で形成されてもよい。第2遮菌カバー302は、第2カバー基端部322に対し、第2カバー先端部320が小径で形成されてもよい。この場合も、第1及び第2遮菌カバー300、302が軸方向に折り畳まれたとき、第1及び第2蛇腹部316、324を径方向に折り畳むことが可能である。このとき、第1カバー先端部312が、第1カバー基端部314の径方向外側に収容され、第2カバー基端部322が、第2カバー先端部320の径方向外側に収容される。
以上のように、薬液投与システム10Cの薬液投与装置12Cでは、両頭針22の第1及び第2針部112、114に装着される第1及び第2遮菌カバー300、302を有し、第1遮菌カバー300は、針ハブ24Cに接続された第1カバー基端部314と、前記第1カバー基端部314と異なる径を有し初期状態において前記第1針部112の先端部を覆う第1カバー先端部312と、第1カバー先端部312と第1カバー基端部314との間に配置される第1蛇腹部316を備える。第2遮菌カバー302は、針ハブ24Cに接続された第2カバー先端部320と、前記第2カバー基端部322と異なる径を有し初期状態において前記第2針部114の先端部を覆う第2カバー基端部322と、第2カバー先端部320と第2カバー基端部322との間に配置される第2蛇腹部324を備える。
両頭針22の第2針部114によって使用者の皮膚Sを穿刺するとき、第1遮菌カバー300における第1カバー先端部312と第1カバー基端部314とが軸方向に相対移動することで、第1蛇腹部316が径方向に折り畳まれる。従って、径方向に折り畳み可能な第1及び第2遮菌カバー300、302は、軸方向に折り畳む従来の遮菌カバーと比較し、折り畳んだ時の軸方向寸法を短くできる。
これにより、両頭針22を覆う第1遮菌カバー300と第2遮菌カバー302の両方が径方向に折り畳み可能であるため、両頭針22を有した薬液投与装置12Cの軸寸法を効果的に小型化できる。
第1遮菌カバー300の第1蛇腹部316、第2遮菌カバー302の第2蛇腹部324を、円錐台形状とすることで、前記第1及び第2遮菌カバー300、302を円滑に折り畳むことが可能となるため、両頭針22に第1及び第2遮菌カバー300、302を設けたことによる穿刺時の穿刺抵抗の増大が抑制される。
第1及び第2蛇腹部316、324が折り畳まれたとき、第1カバー基端部314及び第2カバー先端部320の内側に設けられた第1及び第2収容部304、308に第1及び第2蛇腹部316、324をそれぞれ収容できるため、前記第1及び第2蛇腹部316、324が折り畳まれる針ハブ24Cの支持部124近傍の軸方向厚さを抑制できる。従って、針ハブ24Cを含む薬液投与装置12Cの軸方向に沿った軸寸法を小型化できる。
第1遮菌カバー300において、第1カバー先端部312を第1カバー基端部314よりも小径とすることで、前記第1遮菌カバー300を折り畳んだとき、第1カバー先端部312を第1カバー基端部314の径方向内側に配置することができる。従って、第1カバー基端部314が第1カバー先端部312よりも小径である場合と比較して、第1遮菌カバー300の外径を小さくすることができ、薬液投与装置12Cの小型化に寄与することが可能である。
第2遮菌カバー302において第2カバー基端部322を第2カバー先端部320よりも小径とすることで、前記第2遮菌カバー302を折り畳んだとき、第2カバー基端部322を第2カバー先端部320の径方向内側に配置することができる。従って、第2カバー先端部320が第2カバー基端部322よりも小径である場合と比較して、第2遮菌カバー302の外径を小さくすることができ、薬液投与装置12Cの小型化に寄与することができる。
径方向に窪んだ複数の第1折り目318を第1蛇腹部316に設けることで、第1遮菌カバー300を軸方向に折り畳むとき、複数の第1折り目318を起点として第1カバー先端部312と第1カバー基端部314とが径方向に配置されるように折り畳むことができる。径方向に窪んだ複数の第2折り目326を第2蛇腹部324に設けることで、第2遮菌カバー302を軸方向に折り畳むとき、複数の第2折り目326を起点として第2カバー先端部320と第2カバー基端部322とが径方向に配置されるように折り畳むことができる。
次に、薬液投与システム10Dについて、図49~図55Cを参照しながら説明する。なお、薬液投与システム10A、10B、10Cと同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図49に示される薬液投与システム10Dは、薬液投与装置12Dと、該薬液投与装置12Dが内部に収容される包装容器14とを備える。
薬液投与装置12Dは、穿刺操作の途中においてシリンジユニット20Dの先端方向へ向かう移動速度を低下させる減速機構400を備える。減速機構400は、両頭針22の第2針部114がシリンジユニット20Dの蓋体94に刺さり始めた後、前記シリンジユニット20Dの先端と第2針部114との接続が完了する前に、前記シリンジユニット20Dの先端方向へ向かう移動速度を低下させる。
図49~図51に示されるように、減速機構400は、シリンジホルダ70Dのホルダ先端筒部100の外周面に配置される減速部402を有し、減速部402は、ホルダ先端筒部100の周方向に沿って複数設けられる。
減速部402は、ホルダ先端筒部100の基端部に配置され、第1ガイドリブ134の基端部に設けられた傾斜突起404である。
図51~図53に示されるように、傾斜突起404は、第1ガイドリブ134から外側へ向けて該第1ガイドリブ134と直交方向へ突出し、基端方向(矢印A方向)に向けて第1ガイドリブ134からの突出高さが高くなるように傾斜する(図53参照)。シリンジユニット20Dが先端方向に移動し、第1ガイドリブ134が第1ガイド溝142に挿入されるとき、各傾斜突起404が第1ガイド溝142の内面142aに嵌合して前記第1ガイド溝142に対する第1ガイドリブ134の挿入長さが長くなる。傾斜突起404は、シリンジホルダ70Dと針ハブ24Aとの摺動抵抗を徐々に増加させる。
なお、減速部402の傾斜突起404を、第1ガイドリブ134の代わりに、前記第1ガイドリブ134が挿入される第1ガイド溝142の内面142aに設けてもよい。このとき、傾斜突起404は、第1ガイド溝142の先端部に配置される。すなわち、シリンジホルダ70Dにおけるホルダ先端筒部100の外周面の基端部、針ハブ24Aにおけるガイド筒部118の内周面の先端部の少なくともいずれか一方に減速部402を備えていればよい。
薬液投与装置12Dは、その穿刺操作の過程において、図55Aに示されるようにインジェクションばね146の弾発力によってプランジャ30と共にシリンジユニット20Dが先端方向へ移動し、シリンジホルダ70Dの第1ガイドリブ134の先端部が、針ハブ24Aの第1ガイド溝142の基端部から前記第1ガイド溝142に挿入され始める。このとき、傾斜突起404は、まだ第1ガイド溝142に挿入されない。
図55Bに示されるように、シリンジユニット20Dが先端方向へ移動し、シリンジ68の先端(蓋体94)に両頭針22の第2針部114が刺さり始めた後、傾斜突起404が第1ガイド溝142の内面142aに接触し始める。これにより、傾斜突起404と第1ガイド溝142との摺動抵抗が徐々に増大する。
従って、シリンジユニット20Dの先端と第2針部114との接続が完了する前に、減速部402によってシリンジユニット20Dの先端方向へ向けた移動速度が徐々に低下する。移動速度の低下したシリンジユニット20Dがさらに先端方向へ移動し、図55Cに示されるように、前記シリンジユニット20Dの先端が、ストッパである針ハブ24Aの支持部124に当接することで移動が停止され、前記シリンジユニット20Dと第2針部114との接続が完了する。
すなわち、減速機構400によって、図55Bに示されるシリンジ68の先端に第2針部114が刺さり始めてから、図55Cに示される該第2針部114とシリンジ68の先端との接続が完了する接続完了までの間において、シリンジユニット20Dの先端方向に向けた移動速度を低下させている。
減速部402は、第1ガイドリブ134の設けられるホルダ先端筒部100の外周面に直接配置してもよいし、第1ガイド溝142の設けられるガイド筒部118の内周面に直接配置してもよい。すなわち、減速部402は、ホルダ先端筒部100の外周面の基端部及びガイド筒部118の前記内周面の先端部の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
以上のように、薬液投与装置12Dによる穿刺操作の途中において、シリンジユニット20Dが先端方向へ移動するとき、減速機構400によってシリンジユニット20Dの移動速度を低下させることで、シリンジユニット20Dの先端が針ハブ24Aに当接して停止する際にシリンジユニット20Dが受ける衝撃を抑制することができる。その結果、衝撃に起因したシリンジユニット20Dの破損を防止することができる。
減速機構400は、シリンジユニット20Dが先端方向へ移動する途中において、シリンジユニット20Dの摺動抵抗を増大させることで、簡便な構成でシリンジユニット20Dの移動速度を好適に低下させることができる。
減速機構400は、シリンジホルダ70Dにおけるホルダ先端筒部100の外周面に設けられた減速部402を有し、減速部402が、ホルダ先端筒部100の外周面から突出し、前記ホルダ先端筒部100の挿入される針ハブ24Aのガイド筒部118の内周面に接触可能に形成される。これにより、シリンジホルダ70Dが先端方向へ移動してホルダ先端筒部100が針ハブ24Aのガイド筒部118に挿入されることで、減速部402を介してシリンジホルダ70Dと針ハブ24Aとが接触し、シリンジホルダ70Dと針ハブ24Aとの摺動抵抗を増大させることができる。その結果、シリンジユニット20Dの先端方向への移動速度を効果的に低下させることが可能となる。
減速部402を、シリンジホルダ70Dの先端に設けられるホルダ先端筒部100に設けることで、シリンジ68の先端と両頭針22の第2針部114との接続が完了する前で、シリンジホルダ70Dを含むシリンジユニット20Dの移動速度を低下させることができる。そのため、減速部402を設けることによるシリンジユニット20Dと両頭針22との接続に要する所要時間の増加を最小限に抑制可能である。
第1ガイドリブ134と第1ガイド溝142との間のクリアランスが、シリンジホルダ70D及び針ハブ24Aを含む他の部材の間のクリアランスよりも小さいため、第1ガイドリブ134に減速部402を配置することで、減速部402を介してシリンジホルダ70Dと針ハブ24Aとをより確実に接触させて移動速度を低下させることができる。
減速部402を、第1ガイドリブ134に設けられた傾斜突起404とすることで、シリンジユニット20Dが先端方向に移動するのに伴って、傾斜突起404が針ハブ24Aの第1ガイド溝142の内面142aに徐々に摺接させ、シリンジホルダ70Dと針ハブ24Aとの摺動抵抗を徐々に増大させて前記シリンジユニット20Dの移動速度を徐々に低下させることが可能である。
減速部402をシリンジホルダ70Dの周方向に沿って複数設けることで、シリンジ68が先端方向へ移動するときの移動速度を安定して減速させることが可能となる。
次に、薬液投与システム10Eについて、図56~図63を参照しながら説明する。なお、薬液投与システム10A、10B、10C、10Dと同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図56に示される薬液投与システム10Eは、薬液投与装置12Eと、該薬液投与装置12Eが内部に収容される包装容器14とを備える。
図57に示す薬液投与装置12Eは、シリンジユニット20Eが筐体16に沿って先端方向に移動するときに、シリンジユニット20Eに振動を付与可能な振動発生機構500を備える。
振動発生機構500は、シリンジユニット20Eの外周面に設けられる第1振動発生部502と、筐体16の内部に固定された針ハブ24Eに形成されシリンジユニット20Eが先端方向に向けて移動したとき第1振動発生部502と接触可能な第2振動発生部504とを有する。
図57及び図58に示されるように、第1振動発生部502は、シリンジホルダ70Eの先端部であるホルダ先端筒部100の外周面に配置される。第1振動発生部502は、ホルダ先端筒部100の外周面から径方向外側へ突出した第1突起506を有する。なお、シリンジホルダ70Eを備えずにシリンジ68のみを備えた薬液投与装置では、シリンジ68の外周面に第1振動発生部502を備える。
第1突起506は、シリンジユニット20Eの移動方向(矢印A、B方向)に沿って複数設けられ、各第1突起506が前記移動方向に離間して配置される。第1突起506は、シリンジユニット20Eの周方向に一対配置される。第1突起506の断面形状は、シリンジ68の外周面から径方向外方に向けて先細な三角形状である。第1突起506は、シリンジユニット20Eの周方向に沿って延在する環状であってもよい。
図57に示されるように、第2振動発生部504は、針ハブ24Eにおけるガイド筒部118の基端部の内周面に設けられ、前記内周面から径方向内側へ突出した第2突起508を有する。第2突起508は、第1突起506に向かい合う位置に配置される。第2突起508の断面形状は、針ハブ24Eの内周面から径方向内方に向けて先細な三角形状である。シリンジ68の軸方向から見て、第1突起506と前記第2突起508とが重複して配置される。
第2突起508は、1つであっても、シリンジユニット20Eの移動方向に沿って設けられた複数であってもよい。第2突起508を複数配置するとき、各第2突起508が、針ハブ24Eの軸方向に互いに離間する。
薬液投与装置12Eでは、その穿刺操作の過程において、図57に示される初期状態からインジェクションばね146の弾発力によってプランジャ30と共にシリンジユニット20Eが先端方向へ移動した後、図59に示されるように、ホルダ先端筒部100の先端が針ハブ24Eのガイド筒部118の基端から挿入され、且つ、第2針部114がシリンジ68の先端(蓋体94)に接続される前に、複数の第1突起506のうち、最も先端方向に配置された第1突起506から第2突起508へと接触する。第1突起506と第2突起508との接触に伴って振動が発生し、該振動がシリンジ68の先端であるノズル82近傍へと付与される。
薬液投与装置12Eは、通常、先端を下方又は斜め下方に向けて使用されるため、振動発生機構500によってシリンジ68のノズル82近傍に付与された振動によって、バレル74の薬室72の薬液Mに含まれた気泡(空気)がバレル74の内壁から離間し、該気泡の浮力によって上方に配置されるガスケット76側へ移動させることができる(図60参照)。
図61に示されるように、シリンジユニット20Eの先端方向への移動に伴って、複数の第1突起506が第2突起508に連続的に接触することで、複数回の振動がシリンジ68のノズル82近傍に対して付与されるため、薬液M中に含まれる気泡を確実にバレル74の内壁から離間させ、該気泡をガスケット76側へ移動させることができる。
図62に示されるように、最も基端方向に配置された第1突起506が第2突起508を先端方向に越えた後に、シリンジユニット20Eの先端が針ハブ24Eの支持部124に当接することでシリンジユニット20Eの移動が停止される。シリンジユニット20Eと第2針部114との接続が完了する(図63参照)。
インジェクションばね146の弾発力によってプランジャ30がさらに先端方向へ移動し、前記プランジャ30がガスケット76を先端方向へ押すことで、両頭針22の内腔112a、114aを通じて使用者の皮下に薬液Mが投与される。このとき、図62及び図63に示されるように、振動発生機構500によって発生させた振動によって、薬液M中の気泡が両頭針22とは反対側となるガスケット76側(矢印A方向)に移動しているため、前記両頭針22を通じて気泡を含まない薬液Mのみを投与することが可能となる。
また、図34に示す凸部196を有したプランジャ30aを用いて薬液Mの定量投与を行う場合、振動発生機構500によって気泡を基端方向へ移動させることで、前記薬液Mを所望の定量で正確に投与することができ効果的である。
なお、振動発生機構500を有する薬液投与装置12Eの針は、第1及び第2針部112、114を有しシリンジユニット20Eの移動に伴って先端に接続される両頭針22に限定されない。針は、例えば、シリンジ68の先端に予め接続された単頭針であってもよい。
以上のように、薬液投与装置12Eは、穿刺操作に伴ってシリンジユニット20Eが筐体16に沿って先端方向へ移動するとき、シリンジユニット20Eに対して振動を付与可能な振動発生機構500を備える。振動発生機構500によって前記シリンジユニット20Eに振動を付与することで、シリンジ68のバレル74内に充填された薬液Mに含まれる気泡をバレル74の内壁から離間させ、前記気泡の浮力によって上方に配置されるガスケット76側へと移動させることができる。その結果、両頭針22を通じて使用者の皮下に薬液Mを投与するとき、投与される薬液M中に含まれる気泡を減らし、前記皮下に対して薬液Mを所定量で精度よく投与することが可能となる。
振動発生機構500は、シリンジユニット20Eの外周面に設けられる第1振動発生部502と、針ハブ24Eの内周面に設けられ、シリンジユニット20Eが先端方向へ移動するときに前記第1振動発生部502と接触可能な第2振動発生部504とを備えることで、アクチュエータ等の複雑な機構を設けることなく、シリンジユニット20Eの先端方向への動きを利用して簡便且つ確実に振動を発生させることができる。
第1振動発生部502及び第2振動発生部504の少なくともいずれか一方を複数設けることで、シリンジユニット20Eが先端方向に移動するときに複数回にわたって振動を発生させ、薬液Mに含まれる気泡をより確実にバレル74内で上方へ移動させることが可能である。
第1振動発生部502が、シリンジホルダ70Eのホルダ先端筒部100の外周面から径方向外側へ突出した第1突起506を有し、第2振動発生部504が、針ハブ24Eのガイド筒部118の内周面から径方向内側へ突出した第2突起508を備えているため、シリンジユニット20Eを先端に向けて移動させたとき、第1突起506と第2突起508とを接触させることでシリンジユニット20Eに断続的に振動を付与することができる。従って、薬液Mに含まれバレル74の内壁に付着した気泡を、前記内壁から確実に離間させて上方へ向けて移動させることができる。
シリンジホルダ70Eの先端となるホルダ先端筒部100に第1振動発生部502を配置することで、シリンジ68のバレル74内において先端部に溜まりやすい薬液M中の気泡を確実にバレル74の内壁から離間させ、前記シリンジ68の先端部から基端方向に移動させることができる。
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
上記の実施形態は、中空筒状に形成される筐体(16)と、
薬液(M)が充填されたバレル(74)と、前記バレルの内部を液密に摺動可能なガスケット(76)とを有し、前記筐体内に前記筐体の軸方向に移動可能に収容されたシリンジユニット(20E)と、
前記シリンジユニットの先端に接続され、又は、前記シリンジユニットの先端方向への移動によって該シリンジユニットと接続され、穿刺対象に穿刺されて前記薬液を投与する針と、
を備える薬液投与装置(12E)であって、
前記シリンジユニットが前記先端方向に移動するときに前記シリンジユニットに振動を付与する振動発生機構(500)を備える。
前記振動発生機構は、前記シリンジユニットの外周面に設けられる第1振動発生部(502)と、
前記筐体の内部に形成され、前記シリンジユニットが前記先端方向に向けて移動したとき、前記第1振動発生部と接触する第2振動発生部(504)と、
を備え、
前記第1振動発生部及び前記第2振動発生部の少なくともいずれか一方は、前記シリンジユニットの移動方向に沿って離間して複数設けられる。
前記第1振動発生部は、前記シリンジユニットの外周面から径方向外側へ突出した第1突起(506)を有し、
前記第2振動発生部は、前記筐体の内部で径方向内側へ突出した第2突起(508)を有し、
前記シリンジユニットの軸方向から見て、前記第1突起と前記第2突起とが重複する。
前記第1振動発生部は、前記シリンジユニットの先端部に配置される。
前記シリンジユニットは、前記バレル及び前記ガスケットを有するシリンジ(68)と、前記シリンジを保持するシリンジホルダ(70E)と、を備え、
前記筐体内には、前記針体を保持し、前記シリンジホルダの先端部が挿入される針ハブ(24E)が配置され、
前記第1振動発生部は、前記シリンジホルダの前記先端部の外周面に設けられ、
前記第2振動発生部は、前記針ハブに設けられる。
前記針体は、前記先端方向に突出し、前記穿刺対象を穿刺する第1針部(112)と、
前記シリンジユニットに向かって基端方向に突出する第2針部(114)と、
を有し、
前記第1針部の内腔(112a)と前記第2針部の内腔(114a)とが連通した両頭針(22)である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
10A~10E…薬液投与システム 12A~12E…薬液投与装置
14…包装容器 16…筐体
20A、20D、20E…シリンジユニット
22…両頭針 24A~24C、24E…針ハブ
68…シリンジ
70A、70a、70D、70E…シリンジホルダ
74…バレル 76…ガスケット
112…第1針部 114…第2針部
500…振動発生機構

Claims (6)

  1. 中空筒状に形成される筐体と、
    薬液が充填されたバレルと、前記バレルの内部を液密に摺動可能なガスケットとを有し、前記筐体内に前記筐体の軸方向に移動可能に収容されたシリンジユニットと、
    前記シリンジユニットの先端に接続され、又は、前記シリンジユニットの先端方向への移動によって該シリンジユニットと接続され、穿刺対象に穿刺されて前記薬液を投与する針体と、
    を備える薬液投与装置であって、
    前記シリンジユニットが前記先端方向に移動するときに前記シリンジユニットに振動を付与する振動発生機構を備える、薬液投与装置。
  2. 請求項1記載の薬液投与装置において、
    前記振動発生機構は、前記シリンジユニットの外周面に設けられる第1振動発生部と、
    前記筐体の内部に形成され、前記シリンジユニットが前記先端方向に向けて移動したとき、前記第1振動発生部と接触する第2振動発生部と、
    を備え、
    前記第1振動発生部及び前記第2振動発生部の少なくともいずれか一方は、前記シリンジユニットの移動方向に沿って離間して複数設けられる、薬液投与装置。
  3. 請求項2記載の薬液投与装置において、
    前記第1振動発生部は、前記シリンジユニットの外周面から径方向外側へ突出した第1突起を有し、
    前記第2振動発生部は、前記筐体の内部で径方向内側へ突出した第2突起を有し、
    前記シリンジユニットの軸方向から見て、前記第1突起と前記第2突起とが重複する、薬液投与装置。
  4. 請求項2又は3記載の薬液投与装置において、
    前記第1振動発生部は、前記シリンジユニットの先端部に配置される、薬液投与装置。
  5. 請求項2~4のいずれか1項に記載の薬液投与装置において、
    前記シリンジユニットは、前記バレル及び前記ガスケットを有するシリンジと、前記シリンジを保持するシリンジホルダと、を備え、
    前記筐体内には、前記針体を保持し、前記シリンジホルダの先端部が挿入される針ハブが配置され、
    前記第1振動発生部は、前記シリンジホルダの前記先端部の外周面に設けられ、
    前記第2振動発生部は、前記針ハブに設けられる、薬液投与装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の薬液投与装置において、
    前記針体は、前記先端方向に突出し、前記穿刺対象を穿刺する第1針部と、
    前記シリンジユニットに向かって基端方向に突出する第2針部と、
    を有し、
    前記第1針部の内腔と前記第2針部の内腔とが連通した両頭針である、薬液投与装置。
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