JP2023133433A - 変位検出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、別の方法としては、光ファイバとして偏波保持ファイバを使用し、その偏波保持ファイバに入射する光として、消光比を上げて、不要な偏光成分の光を減少させる方法がある(特許文献2参照)。
また、偏波保持ファイバに入射する光の消光比を上げる方法では、光量の減少は起こらないが、光コネクタ等を追加する際、各勘合部分での光学軸の合わせ込を精密に行う必要があり、製造コストがかかるという問題があった。
また、近年変位検出装が備えるA/Dコンバータの分解能が上がるにつれ、偏波保持ファイバの光学軸に直交する成分の偏光ビームの漏れが問題視されるようになっており、不要光による干渉の振幅は、A/Dコンバータの量子化誤差以内にする必要が生じている。
図1は、被測定面の変位に連動して、回析格子を変位させる変位検出装置100の構成例を示す。
変位検出装置100は、光源101を備える。光源101としては、レーザやLEDなどが使用可能である。光源101にレーザを使用する場合には、可干渉性の低いマルチモードの半導体レーザダイオードを使用してもよい。半導体レーザには、セルフパルセーションレーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオードを含む。
また、光源101として使用する固体レーザには、YAGレーザ、Ndレーザ、チタンサファイアレーザ、ファイバーレーザ等が含まれる。さらに、光源101として使用するレーザには、ヘリウムカドミウムレーザ(金属レーザ)、色素レーザ(液体レーザ)が含まれる。なお、光源101は、連続発振で縦モードの発振波長に幅があり、可干渉性の低いものが望ましい。
あるいは、光源101として、シングルモードの半導体レーザを高周波重畳によって可干渉性を低くしたものを使用してもよい。
変位検出器110に入射されたビームは、第2レンズ111を介して第1偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarizing beam splitter)112に入射される。第1偏光ビームスプリッタ112は、ビームをS偏光のビームとP偏光のビームに分割する。例えば、S偏光のビームは第1偏光ビームスプリッタ112で反射し、P偏光のビームは第1偏光ビームスプリッタ112を透過する。
回析格子115は、被測定面の変位量を検出するスケールとして機能し、被測定面の変位に連動して、矢印X1で示すように移動する。
回析格子115に入射した各ビームの回析光は、第3レンズ116又は第4レンズ117と第1位相板118を介して第3ミラー119に入射され、第3ミラー119で反射された各ビームが回析格子115に戻される。第1位相板118は、例えば1/4波長板よりなる。
したがって、回析格子115から戻った2つのビームは、光源101からのビームの第1偏光ビームスプリッタ112への入射面とは異なる面から、重ね合わされた状態で出射され、受光部130に入射される。
光源101から出射されたビームは、第1レンズ102によって偏波保持ファイバ150の端面に集光入射される。偏波保持ファイバ150から出射されたビームが、第2レンズ111によってコリメートされる。コリメートされたビームは、第1偏光ビームスプリッタ112によって1:1に2分配されるような偏光状態で、第1偏光ビームスプリッタ112に入射される。第1偏光ビームスプリッタ112で分配された内の一方のS偏光成分のビームは、第1ミラー113を通過し、回折格子115の位置P1に入射される。回折格子115によって垂直に回折されたビームは、第1位相板118によって円偏光となり、第3ミラー119で反射されて、回析格子115側に折り返される。このとき、第1位相板118を再度通過することで、P偏光成分のビームとなり、回折格子115で2回回折された光となり、第1偏光ビームスプリッタ112に向かう。
第2位相板132を通過する際、互いに直交する直線偏光同士は、互いに逆回りの円偏光の重ね合わせとなる。そして、第2偏光ビームスプリッタ133に入射される直線偏光の偏光方向は、回折格子115が移動方向に1波長だけ移動すると2回転する。したがって、第1受光素子141と第2受光素子142では、Acos(4Kx+δ’)の干渉信号が得られる。ここで、Aは、干渉信号の振幅であり、Kは2π/Λで示される波数である。また、xは、回折格子の移動量を示しており、δ’は初期位相である。Λは、回折格子における格子の間隔である。
なお、4つの受光素子141~144で得られる干渉信号には、光源101の波長に関する成分が含まれていない。よって、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長に変動が起きても、干渉強度は影響を受けない。
図2は、被測定面の変位に連動して、ターゲットミラー214を移動させるマイケルソン干渉計型の変位検出装置200の構成例を示す。
変位検出装置200は、光源201を備える。光源201として適用可能な条件は、図1に示す変位検出装置100で説明した光源101の条件と同じであり、例えば可干渉性が低い光源や、マルチモード半導体レーザなどが使用される。
変位検出器210に入射されたビームは、第2レンズ211を介して第1偏光ビームスプリッタ212に入射される。第1偏光ビームスプリッタ212を透過したP偏光のビームは、第1位相板213を介してターゲットミラー214に入射される。ターゲットミラー214は、被測定面の変位に連動して、X2方向に移動する。また、第1偏光ビームスプリッタ212で反射されたS偏光のビームは、第2位相板215を介してリファレンスミラー216に入射される。第1位相板213及び第2位相板215は、例えば1/4波長板よりなる。
そして、ターゲットミラー214及びリファレンスミラー216から第1偏光ビームスプリッタ212に戻ったビームが重ね合わされた干渉信号となり、受光部230に入射される。
したがって、変位検出装置200は、第1~第4受光素子241~244での受光状態から、干渉信号をターゲットミラー214のX2方向の変位量として検出することができる。
図3は、ターゲットミラー315とリファレンスミラー316とを平行に配置した変位検出装置300の構成例を示す。
変位検出装置300は、光源301を備える。光源301として適用可能な条件は、図1に示す変位検出装置100で説明した光源101の条件と同じであり、例えば可干渉性が低い光源や、マルチモード半導体レーザなどが使用される。
変位検出器310に入射したビームは、第2レンズ311を介して第1偏光ビームスプリッタ312に入射される。第1偏光ビームスプリッタ312を透過したP偏光のビームは、第1位相板313を介してターゲットミラー315に入射される。第1位相板313は、例えば1/4波長板よりなる。ここで、ターゲットミラー315に入射されるビームは、ターゲットミラー315に対して45°の角度で入射させる。ターゲットミラー315は、被測定面の変位に連動して、X3方向に移動する。
受光部330に入射されたビームは、ビームスプリッタ331に入射され、2分割される。2分割された一方のビームが、第3位相板332を介して第2偏光ビームスプリッタ333に入射される。第2偏光ビームスプリッタ333に入射されたビームは、偏光成分ごとに分けられた後、第1受光素子341及び第2受光素子342に入射される。また、2分割された他方のビームが第3偏光ビームスプリッタ334に入射され、偏光成分ごとに分けられた後、第3受光素子343及び第4受光素子344に入射される。
なお、図3に示す構成の場合、ターゲットミラー315の位置が変化しても、光路長は変化しない。
変位検出装置100,200,300は、いずれも光源101,102,103と変位検出器110,210,310との間のビームの伝送に、偏波保持ファイバ150,250,350を使用する。
図4は、偏波保持ファイバ150の構成例を断面で示す。他の偏波保持ファイバ250,350についても、偏波保持ファイバ150と同じ構成である。
偏波保持ファイバ150は、ビームを伝送するコア151の上と下に、応力付与材152,153を備える。そして、応力付与材152,153が、コア151に対して上下からストレスが加わった状態で、全体をクラッド154で覆う構成である。
この例では、コア151に対してストレスが加わる上下方向をX偏波モード軸とし、そのX偏波モード軸と直交する方向をY偏波モード軸とする。このとき、X偏波モード軸が偏波保持が成立する光学軸になる。
偏波保持ファイバ150を使用することで、X偏波モード軸とY偏波モード軸の成分に関しては偏波が保持される。しかしながら、コア151内のX偏波モード軸とY偏波モード軸の偏光成分の屈折率が異なるため、偏波保持ファイバ150にストレスが印加されると、X偏波モード軸を経由したビームとY偏波モード軸を経由したビームとで、位相差が生じる。
そこで、本例では、光源の可干渉性と偏波保持ファイバ150の長さを規定し、その影響が最小になるように抑制している。
次に、偏波保持ファイバ150,250,350の長さを決める条件について説明する。この偏波保持ファイバ150,250,350の長さを決める条件は、光源101,201,301としてマルチモードレーザを使用する場合の条件と、光源101,201,301として可干渉性が悪い帯域が広い光源を使用する場合の条件の、2つである。
まず、マルチモードレーザを使用する場合の条件について説明する。
干渉を起こす距離Lperiodは、光路長差が0の干渉状態から次に再び干渉強度が上昇しピークとなるまでを1周期とすると、[数1]式で与えられる。
つまり、ビームには、共振器長の2倍に共振器の屈折率をかけた長さの整数m倍で、干渉強度のピークが現れることを意味している。
ここでビート長は、偏波保持ファイバ中を伝搬するX偏波モード軸とY偏波モード軸の光の速さを示す伝搬定数(βx,βy)の差を
Δβ=βx-βy
とすると、[数3]式で表せる。
よって、偏波保持ファイバ150の長さとして、光源の共振器長の2倍に共振器の屈折率かけた長さの整数倍と、偏波保持ファイバのX,Y偏波モードの伝搬定数の差から求められるビート長の積から光源の波長を割った長さを避けた長さとする。このようにすることで、X偏波モード軸経由のビームとY偏波モード軸経由のビームとの干渉を避けることができ、偏波保持ファイバ150のストレスに対し安定した変位検出が可能になる。
以下の[数4]式は、光ファイバ長Lfiberを求める式を示す。
ここで、X偏波モード軸経由のビームとY偏波モード軸経由のビームが互いに干渉することを避けた長さとするということは、例えばピークP11とピークP12の間の干渉強度がほぼ0になる光学遅延距離を持つ長さにすることである。ピークP11とピークP12の間以外のその他のピークの間の干渉強度がほぼ0になる光学遅延距離を持つ長さとしてもよい。
可干渉距離を持つ可干渉性の低い光源には、前述した共振器長に伴う複数の発振スペクトルを持たず、特定の波長幅を持ち波長に対しブロードに強度が変化する光源もある。例えば、スーパールミネッセンスダイオードやLED(発光ダイオード)がある。あるいは、固体レーザでは、チタンササファイアレーザ等が挙げられる。
図6は、光源の可干渉距離Llowを計測する構成例を示す。なお、図6では、可干渉距離Llowを計測する原理を示し、計測する基本的な原理を説明する上で不要な構成については省略している。
ここでは、光源401が被計測対象の光源である。光源401が出力するビームは、偏光ビームスプリッタ402に入射され、一方及び他方の偏光成分に分配される。一方の偏光成分は、固定ミラー403により反射されて偏光ビームスプリッタ402に戻り、他方の偏光成分は、可動ミラー404により反射されて偏光ビームスプリッタ402に戻る。
可動ミラー404の位置は、X4方向に移動する。
そして、偏光ビームスプリッタ402に戻った2つのビームは、重ね合わせた状態で受光素子405に入射される。
ここでは、偏光ビームスプリッタ402と可動ミラー404との間の光路長(往復の長さ)をLaとし、偏光ビームスプリッタ402と固定ミラー403との間の光路長(往復の長さ)Lbとする。そして、図7の横軸は、光路長差(La-Lb)である。
一般に、上述した可干渉性の低い光源は、マルチモードの半導体レーザより波長幅が広く、可干渉距離Llowが非常に短いため、光ファイバ長Lfiberが非常に長くなってしまうことは少ない。
[数5]式は、上述した偏波保持ファイバ150の長さLfiberを決める条件を数式で示すものである。
なお、ここまでの説明では、図1に示す変位検出装置100が備える偏波保持ファイバ150の長さの条件を示したが、図2,図3に示す変位検出装置200,300が備える偏波保持ファイバ250,350の長さの条件についても、同じように決めることができる。
変位検出装置100,200,300が備える偏波保持ファイバ150,250,350は、複数本の偏波保持ファイバを接続するようにしてもよい。
例えば、図8に示すように、光源101からのビームを、第1レンズ102を介して、3本の偏波保持ファイバ150a,150b,150cを勘合させて接続したものに入射するようにしてもよい。その3本の偏波保持ファイバ150a,150b,150cを伝ったビームが、変位検出器110に入射される。
ここでの偏波保持ファイバ150a,150b,150cの勘合とは、各偏波保持ファイバ150a,150b,150cの端面が、隙間がない状態で接続された状態を示す。
このような勘合状態は、例えば偏波保持ファイバに取り付けられたコネクタ(不図示)を使って実現することができる。
例えば、同じ長さの偏波保持ファイバを勘合させてしまうと、勘合部の漏れで、X+Y偏波モード軸経由のビームとY+X偏波モード軸経由ビームが、干渉してしまう可能性がある。
例えば、X偏波モードを主たる成分として光を伝搬させた偏波保持ファイバの場合、次の段の偏波保持ファイバのX偏波モードに主たる成分を勘合させると、Y偏波モードへ漏れる成分がある。ここで、複数の勘合部を有することにより、様々な漏れ成分が発生するが、Y偏波モードの同士の干渉は十分に小さいために無視できる。
例えば各偏波保持ファイバ長は、L1=2×L3、L2=4×L3のように、L1≠L2≠L3である必要がある。
なお、本発明が適用される変位検出装置は、図1,図2,図3に示す3つの変位検出装置100,200,300とは異なる構成や原理で、変位を検出するものでもよい。すなわち、光源からの光を偏波保持ファイバを介して変位検出器に導く構成の変位検出装置であれば、その他の構成にも適用可能である。
Claims (4)
- 光を出射する共振器長に伴う複数の発振スペクトルを持つ可干渉性の低いレーザ光源と、
前記レーザ光源からの光を集光させるレンズと、
前記共振器長の2倍に共振器の屈折率をかけた長さの整数倍と2つの偏波モードの伝搬定数の差から求められるビート長の積を光源の波長で割った長さと同一となることを含まない長さが選定され、前記レンズで集光された光を伝送する偏波保持ファイバと、
前記偏波保持ファイバによって伝送されたビームを2分割させ、その各ビームに乗じられた位相の変化を変位量とするために、前記各ビームを干渉させることで干渉信号に変換する変位検出器とを含む
変位検出装置。 - 前記偏波保持ファイバは、脱着可能なコネクタで複数本が勘合されており、複数の勘合部が存在するとき、偏波保持ファイバの接続順序として、最後の偏波保持ファイバと、それを除いた偏波保持ファイバのあらゆる組み合わせとの、偏波保持ファイバの総長が、前記共振器長の2倍に共振器の屈折率をかけた長さの整数倍と前記偏波保持ファイバのX,Y偏波モードの伝搬定数の差から求められるビート長の積を光源の波長で割った長さと同一となることを避けるようにした
請求項1に記載の変位検出装置。 - 光を出射する可干渉距離をもつ可干渉性の低い光源と、
前記光源からの光を集光させるレンズと、
前記可干渉距離と2つの偏波モードの伝搬定数の差から求められるビート長の積から前記光源の波長を割った長さよりも大きな長さで製作され、前記レンズで集光された光を伝送する偏波保持ファイバと、
上記偏波保持ファイバによって伝送されたビームを2分割させ、その各ビームに乗じられた位相の変化を変位量とするために、前記各ビームを干渉させることで干渉信号に変換する変位検出器とを含む
変位検出装置。 - 前記偏波保持ファイバは、脱着可能なコネクタで複数本が勘合されており、各々の偏波保持ファイバの長さは、2m×L(但しmは0以上の整数、Lは最も短い偏波保持ファイバの長さ)で構成され、かつ各々の偏波保持ファイバの長さは同じ組合せが無いようにした
請求項3に記載の変位検出装置。
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