JP2023133322A - 照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メカニカル部品を削減し、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射する照射装置を提供する。【解決手段】照射装置1は、S偏光の光を反射し、P偏光の光を透過させる複数のPBS4と、光の偏光状態を制御する複数の偏光切替素子3と、光を屈折させて光の進行方向を変化させる複数のプリズム5と、を備えている。そして、PBS4は、光の偏光状態に応じて、複数の光出射領域A1~A5のいずれかから光を出射させ、あるいは他のPBS4に光を入射させ、偏光切替素子3は、複数のPBS4のそれぞれに入射する光の状態を制御可能なように、光源システム2から光出射領域A1~A5までの経路上に配置されており、複数の光出射領域A1~A5から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線VL1~VL5が仮想発光点VPで交わるように、PBS4とプリズム5とが配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、光源から照射された光を複数の方向に向けて選択的に出射する照射装置に関する。
遠距離にある対象までの距離を測定する技術の一つに、Light Detection and Ranging(LiDAR)技術があり、それを実現する装置としてレーザレーダ装置がある。レーザレーダ装置は、対象物に向かってレーザ光を出射するレーザ光源を含む投光光学系と、対象物に当たって反射したレーザ光の反射光を受光する受光光学系を含む(例えば、特許文献1)。
従来のLiDAR技術を用いたレーザレーダ装置は、ポリゴンミラー等のメカニカル部品を駆動させることでレーザ光を複数の方向に向けて選択的に出射している。このようなレーザレーダ装置を車両等の移動体に搭載する場合、走行時等の振動で内部の機構に共振や破損が生じないようにメカニカル部品に十分な対策が必要とされる。このため、メカニカル部品を削減したいという要望がある。
例えば、メカニカル部品を削減したレーザ光を複数の方向に向けて選択的に出射する方法としては、特許文献2に記載の方法が挙げられる。特許文献2には、光学系に液晶素子と偏光グレーティングを用いて、レーザ光を複数の方向に向けて選択的に出射することが記載されている。
特許文献2に記載した方法の場合、積層した光ビーム偏光素子の最後のエレメントから出射する光ビームが散け、異なった位置から偏光するため、散けたビーム間の距離であるwalk-offが存在してしまう。つまり、特許文献2に記載の方法は、仮想発光点が一つではないので、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射するのが困難である。
本発明が解決しようとする課題としては、メカニカル部品を削減し、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射することが一例として挙げられる。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光源からの光を複数の光出射領域へ選択的に出射する照射装置であって、第1の偏光の光の進行方向を変化させ、第2の偏光の光を透過させる複数の第1光学素子と、前記光の偏光を制御する複数の第2光学素子と、前記光の進行方向を変化させる複数の第3光学素子と、前記光を反射して進行方向を変化させる第4光学素子と、を備え、前記第1光学素子は、前記光の偏光に応じて、前記複数の光出射領域のいずれかから前記光を出射させ、あるいは他の前記第1光学素子に前記光を入射させ、前記第4光学素子は、前記第1光学素子から前記複数の光出射領域のいずれかへ出射されなかった光を前記複数の光出射領域のうち前記第1光学素子とは異なる前記光出射領域へ出射させ、前記複数の第2光学素子は、前記複数の第1光学素子のそれぞれに入射する光の偏光を制御可能なように、前記光源から前記光出射領域までの経路上に配置されており、前記複数の光出射領域から出射される光のそれぞれについて、前記第1光学素子又は前記第4光学素子から前記光出射領域へ他の前記第1光学素子、他の前記第2光学素子、他の前記第3光学素子、他の前記第4光学素子を経ずに出射される光の光路を当該第1光学素子又は当該第4光学素子から前記光出射領域への出射方向と逆向きに延長した仮想線が一点で交わるように、前記第1光学素子と前記第3光学素子とが配置されている、ことを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態にかかる照射装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる照射装置は、第1状態の光の進行方向を変化させ、第2状態の光を透過させる複数の第1光学素子と、光の状態を制御する複数の第2光学素子と、光の進行方向を変化させる複数の第3光学素子と、を備えている。そして、第1光学素子は、光の状態に応じて、複数の光出射領域のいずれかから光を出射させ、あるいは他の第1光学素子に光を入射させ、複数の第2光学素子は、複数の第1光学素子のそれぞれに入射する光の状態を制御可能なように、光源から光出射領域までの経路上に配置されており、複数の光出射領域から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線が一点で交わるように、第1光学素子と第3光学素子とが配置されている。このようにすることにより、第1光学素子と第2光学素子とでメカニカル部品を削減して光を複数の方向に向けて選択的に出射する構成を実現することができる。また、第1光学素子と第3光学素子が、複数の光出射領域から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線が一点で交わるように配置されているので、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射することができる。
また、第3光学素子は、隣接する光出射領域にそれぞれ対応する仮想線がなす角度を二等分する位置に配置されていてもよい。このようにすることにより、第3光学素子の配置位置を容易に求めることができる。
また、第3光学素子は、プリズムで構成されていてもよい。このようにすることにより、光を屈折させることにより容易に光の進行方向を変化させることができる。
また、光の状態は光の偏光であり、第2光学素子は、光の状態をP偏光とS偏光とに選択的に変化させてもよい。このようにすることにより、偏光状態によって外部へ出射する光出射領域を選択することができる。
また、第1光学素子に入射する光の状態を変化させるように第2光学素子を制御する状態制御部を更に備えていてもよい。このようにすることにより、外部へ光を出射する第1光学素子を順次切り替えて、光を走査することができる。また、出射される光を、電子的制御により走査することができる。
また、状態制御部は、第2光学素子を制御することによって、光の空間的な出射間隔を変化させてもよい。このようにすることにより、例えば走査範囲について粗く走査したり細かく走査したりといった走査密度を変化させることが可能となる。
また、第1光学素子、第2光学素子及び第3光学素子は、所定の基板上に形成された導波路の一部として形成されていてもよい。このようにすることにより、これらの光学素子の位置決めを容易にし、さらに、これらの光学素子が形成されたユニットとして量産することが容易となる。
また、本発明の一実施形態にかかる距離測定装置は、上述した照射装置と、その照射装置が照射した光が対象物により反射された反射光を受光する受光部と、光の照射から受光部による反射光の受光までに要した時間に基づき、対象物までの距離を測定する測定部と、を備えている。このようにすることにより、距離測定装置において、メカニカル部品を削減することができ、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射することができる。
本発明の第1の実施例にかかる照射装置を図1~図11を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例における照射装置を示す構成図である。照射装置1は、光源システム2と、偏光切替素子3(3a、3b、3c、3d)と、偏光ビームスプリッタ(PBS)4(4a、4b、4c、4d)と、プリズム5(5a、5b、5c、5d)と、ミラー6(6a、6b)と、制御部7と、を備えている。
光源システム2は、例えば、レーザ照射装置(光源)、コリメートレンズ等を含むシステムである。なお、本実施例では、光源システム2からはP偏光の光が照射されるように調整されている。
第2光学素子としての偏光切替素子3は、光源システム2から照射された光の状態を選択的に変化させる(制御する)素子であり、例えば、光の偏光方向をP偏光またはS偏光に偏光する。P偏光は、入射面(入射面は、界面の法線ベクトルと入射光の波動ベクトルを含む面)内で電界が振動する偏光である。S偏光は、入射面に垂直に電界が振動する偏光である。偏光切替素子3の例としては、例えば、電気光学素子や液晶材料を用いた液晶デバイス等が挙げられる。電気光学素子の例としては、LiNbO3が挙げられる。
偏光切替素子3が電気光学素子である場合、電気光学素子に半波長電圧を印加した状態で(半波長電圧ON)、電気光学素子に光が入射すると、偏光状態が変化した光が出射される。
例えば、電気光学素子に半波長電圧を印加した状態で(半波長電圧ON)、電気光学素子にP偏光の光が入射すると、S偏光に変化した光が出射される。また、電気光学素子に半波長電圧を印加した状態で(半波長電圧ON)、電気光学素子にS偏光の光が入射すると、P偏光に変化した光が出射される。
一方、電気光学素子に半波長電圧を印加しないで(半波長電圧OFF)、電気光学素子に光が入射すると、光はそのまま電気光学素子を素通りし(光の偏光状態に変化はなし)、出射される。
液晶デバイスは、例えば、液晶材料を両側から配向膜、透明電極、及びガラス基板で挟んだデバイスである。配向膜は、一定方向に微細な溝がある板であり、2つの配向膜の溝の向きが90度異なるように、液晶材料を挟んだ2つの配向膜は配置される。
偏光切替素子3が液晶デバイスである場合、液晶デバイスに電圧を印加した状態で(電圧ON)、液晶デバイスに光が入射すると、光はそのまま液晶デバイスを素通りし(光の偏光状態に変化はなし)、出射される。一方、液晶デバイスに電圧を印加しない状態で(電圧OFF)、液晶デバイスにS偏光の光が入射すると、P偏光に変化した光が出射される。また、液晶デバイスに電圧を印加しない状態で(電圧OFF)、液晶デバイスにP偏光の光が入射すると、S偏光に変化した光が出射される。
第1光学素子としてのPBS4は、入射した光を、その光の偏光状態によって透過させたり、反射させたりする光学素子である。ミラー6は、入射した光を全反射する光学素子である。本実施例では、PBS4は、P偏光の光を透過し、S偏光の光を反射するように調整しているが、仕様によってはS偏光の光を透過し、P偏光の光を反射するように調整してもよい。なお、ミラー6に代えてPBS4を設けてもよい。その場合は、必要に応じてミラー6に代えて設置したPBS4の前段に偏光切替素子3を設ける。
第3光学素子としてのプリズム5は、入射した光を所定の角度に屈折させる光学素子である。プリズム5としては例えばウエッジプリズムを用いることができるが、他の種類のプリズムであってもよい。
状態制御部としての制御部7は、偏光切替素子3a~3dへの電圧印加を切り替えて各偏光切替素子3a~3dから出射する光の偏光状態を制御する。制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するマイクロコンピュータ等で構成すればよい。
図1に示したように、偏光切替素子3は、PBS4の前段に配置される。例えば、偏光切替素子3aはPBS4aの前段に配置されている。偏光切替素子3bはPBS4bの前段に配置されている。偏光切替素子3cはPBS4cの前段に配置されている。偏光切替素子3dはPBS4dの前段に配置されている。なお、偏光切替素子3bとPBS4bとの間にはプリズム5aが配置されており、偏光切替素子3dとPBS4dとの間にはプリズム5cが配置されているように、前段とは直前に配置することに限らない。
また、PBS4aは、入射した光がP偏光の場合は、当該光をそのまま偏光切替素子3c向けて透過する。一方、PBS4aは、入射した光がS偏光の場合は、当該光を偏光切替素子3bへ向けて反射する。PBS4bは、入射した光がP偏光の場合は、当該光をそのままプリズム5b向けて透過する。一方、PBS4bは、入射した光がS偏光の場合は、当該光を光出射領域A4へ向けて反射する(図2を参照)。PBS4cは、入射した光がP偏光の場合は、当該光をそのまま光出射領域A3向けて透過する(図2を参照)。一方、PBS4cは、入射した光がS偏光の場合は、当該光を偏光切替素子3dへ向けて反射する。PBS4dは、入射した光がP偏光の場合は、当該光をそのままプリズム5d向けて透過する。一方、PBS4dは、入射した光がS偏光の場合は、当該光を光出射領域A2へ向けて反射する(図2を参照)。
次に、上述した光源システム2、偏光切替素子3、PBS4、プリズム5の配置について図2を参照して説明する。図2のミラー6bから伸びる矢印は光出射領域A1から出射される出射光、PBS4dから伸びる矢印は光出射領域A2から出射される出射光、PBS4cから伸びる矢印は光出射領域A3から出射される出射光、PBS4bから伸びる矢印は光出射領域A4から出射される出射光、ミラー6aから伸びる矢印は光出射領域A5から出射される出射光である。光出射領域とは、例えば光を出射するために開口している出射口等に限らない。例えば透明な板でもよいし、各領域がそれぞれ仕切られずに1つの大きな開口や1枚の透明な板等であってもよい。要するに照射装置1から光が出射される部分(領域)であればよい。
そして、この光出射領域A1~A5へ向かう矢印をそれぞれ出射方向と逆向きに伸ばした仮想線をそれぞれVL1~VL5とすると、これらの仮想線VL1~VL5が一点である仮想発光点VPで交わるように偏光切替素子3、プリズム5及びミラー6が配置されている。仮想発光点VPとは、照射装置1から出射させる光が発光したと見做せる点である。プリズム5及びミラー6の配置と仮想発光点VPの関係について図3を参照して説明する。
図3は、図1や図2に示したPBS4d、プリズム5d、ミラー6bを抜粋した図であるが、他のPBS4やプリズム5、ミラー6についても同様の考え方で配置することができる。図3において、仮想線VL1とVL2とがなす角度を2θとすると、プリズム5dはこの角度2θを二等分する角度の位置に配置するのが好ましい。即ち、プリズム5(第3光学素子)は、隣接する光出射領域にそれぞれ対応する仮想線がなす角度を二等分する位置に配置されている。
また、ミラー6bの入射光の入射角とミラー6bで反射された反射光の反射角とは、反射の法則により同じ角度となる。ミラー6bへの入射光は、反射光が仮想線VL1の方向、つまり光出射領域A1の方向へ向かうようにプリズム5dで光の進行方向を変化させる必要がある。
ここで、図3において、PBS4dから出射した光とその光を屈折させるプリズム5dの面とがなす角度は、PBS4dから出射した光と仮想線VL2がなす角度が90°であることから90°-θとなる。同様に、この光が屈折する面とプリズム5dからミラー6bへの出射光とがなす角度も90°-θとなる。したがって、プリズム5dにおける光の屈折角(偏角)σは2θとなる。つまり、図3の場合、プリズム5dは光の進行方向を角度2θだけ変化させる。
このときのプリズム5dがウエッジプリズムである場合、スネルの法則により上記した偏角σはウエッジ角αと以下の(1)式の関係になる。(1)式においてnはウエッジプリズムの屈折率である。
σ=sin-1(nsinα)-α≒(n―1)α・・・・(1)
σ=sin-1(nsinα)-α≒(n―1)α・・・・(1)
このように(1)式から、偏角σと屈折率nが求まればプリズム5dのウエッジ角αを求めることができる。つまり、照射装置1から出射する光の空間的な間隔を定める角度となる2θ(=σ)が決まればプリズム5dのウエッジ角αを求めることができる。
なお、プリズム5の配置位置は図3の例に限らない。例えば照射装置1から出射する光の空間的な間隔を定める角度が2θであればその2θとなるように光を出射できるように配置すればよい。その場合は上記した偏角やウエッジ角も適宜変更されることとなる。
このように構成された照射装置1は、上述したように制御部7により偏光切替素子3への電圧印加が切り替えられる。照射装置1の動作原理について図4~図8を参照して説明する。なお、図4~図8において、実線矢印はP偏光を示し、破線矢印はS偏光を示している。また、以下の説明では、偏光切替素子3は電気光学素子で構成されており、PBS4は、P偏光の光を通過させ、S偏光の光を反射させるように調整されている。
図4は、光出射領域A1から光を出射する場合の図である。この場合、制御部7は、偏光切替素子3a、3bへ半波長電圧を印加せず(OFF)、偏光切替素子3c、3dへ半波長電圧を印加する(ON)。すると、光源システム2から照射されたP偏光の光は、偏光切替素子3aをそのまま通過し(偏光状態に変化なし)、PBS4aに入射する。PBS4aに入射したP偏光の光はそのまま透過し、偏光切替素子3cに入射する。
偏光切替素子3cに入射したP偏光の光はS偏光に変化して出射されPBS4cに入射する。PBS4cに入射したS偏光の光は反射され、偏光切替素子3dに入射する。偏光切替素子3dに入射したS偏光の光はP偏光に変化して出射されプリズム5cで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてPBS4dに入射する。PBS4dに入射したP偏光の光はそのまま透過し、プリズム5dで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてミラー6bに入射する。ミラー6bに入射したP偏光の光は光出射領域A1へ反射されて外部へ出射される。
図5は、光出射領域A2から光を出射する場合の図である。この場合、制御部7は、偏光切替素子3a、3b、3dへ半波長電圧を印加せず、偏光切替素子3cへ半波長電圧を印加する。すると、光源システム2から照射されたP偏光の光は、偏光切替素子3aをそのまま通過し(偏光状態に変化なし)、PBS4aに入射する。PBS4aに入射したP偏光の光はそのまま透過し、偏光切替素子3cに入射する。
偏光切替素子3cに入射したP偏光の光はS偏光に変化して出射されPBS4cに入射する。PBS4aに入射したS偏光の光は反射され、偏光切替素子3dに入射する。偏光切替素子3dに入射したS偏光の光はそのまま通過し(偏光状態に変化なし)、プリズム5cで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてPBS4dに入射する。PBS4dに入射したS偏光の光は光出射領域A2へ反射されて外部へ出射される。
図6は、光出射領域A3から光を出射する場合の図である。この場合、制御部7は、偏光切替素子3a~3dへ半波長電圧を印加しない。すると、光源システム2から照射されたP偏光の光は、偏光切替素子3aをそのまま通過し(偏光状態に変化なし)、PBS4aに入射する。PBS4aに入射したP偏光の光はそのまま透過し、偏光切替素子3cに入射する。
偏光切替素子3cに入射したP偏光の光はそのまま透過し(偏光状態に変化なし)、PBS4cに入射する。PBS4aに入射したP偏光の光はそのまま透過して光出射領域A3から外部へ出射される。
図7は、光出射領域A4から光を出射する場合の図である。この場合、制御部7は、偏光切替素子3b、3c、3dへ半波長電圧を印加せず、偏光切替素子3aへ半波長電圧を印加する。すると、光源システム2から照射されたP偏光の光は、偏光切替素子3aでS偏光に変化してPBS4aに入射する。PBS4aに入射したS偏光の光は反射され、偏光切替素子3bに入射する。
偏光切替素子3bに入射したS偏光の光はそのまま通過し(偏光状態に変化なし)、プリズム5aで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてPBS4bに入射する。PBS4bに入射したS偏光の光は光出射領域A4へ反射され外部へ出射される。
図8は、光出射領域A5から光を出射する場合の図である。この場合、制御部7は、偏光切替素子3c、3dへ半波長電圧を印加せず、偏光切替素子3a、3bへ半波長電圧を印加する。すると、光源システム2から照射されたP偏光の光は、偏光切替素子3aでS偏光に変化してPBS4aに入射する。PBS4aに入射したS偏光の光は反射され、偏光切替素子3bに入射する。
偏光切替素子3bに入射したS偏光の光はP偏光に変化して、プリズム5aで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてPBS4bに入射する。PBS4bに入射したP偏光の光はそのまま透過し、プリズム5bで所定の角度だけ光の進行方向を変化させてミラー6aに入射する。ミラー6aに入射したP偏光の光は光出射領域A5へ反射されて外部へ出射される。
上述した偏光切替素子3a~3dの切り替え制御について図9に示した表にまとめる。図9に示したように、光出射領域A1から光を出射したい場合は、偏光切替素子3aをOFF、偏光切替素子3bをOFF、偏光切替素子3cをON、偏光切替素子3dをONにする。光出射領域A2から光を出射したい場合は、偏光切替素子3aをOFF、偏光切替素子3bをOFF、偏光切替素子3cをON、偏光切替素子3dをOFFにする。光出射領域A3から光を出射したい場合は、偏光切替素子3aをOFF、偏光切替素子3bをOFF、偏光切替素子3cをOFF、偏光切替素子3dをOFFにする。光出射領域A4から光を出射したい場合は、偏光切替素子3aをON、偏光切替素子3bをOFF、偏光切替素子3cをOFF、偏光切替素子3dをOFFにする。光出射領域A5から光を出射したい場合は、偏光切替素子3aをON、偏光切替素子3bをON、偏光切替素子3cをOFF、偏光切替素子3dをOFFにする。
つまり、図9に示した切替制御を上の行から下の行へ向けて順次切り替えることで、光出射領域A1~A5から光を順次照射することができる。したがって、光源システム2からの光を複数の光出射領域A1~A5から選択的に出射することができる。また、例えば、図9の1行目、3行目、5行目の順に切り替えることで、走査領域について粗く走査することができる。このように、偏光切替素子3(第2光学素子)を制御することによって、光の空間的な出射間隔を変化させることができる。この場合、得られる点群の密度は粗くなるが走査速度を速めることができる。即ち、走査速度や点群の密度を可変にすることができる。
以上の説明から明らかなように、PBS4(第1光学素子)は、光の偏光状態に応じて、複数の光出射領域A1~A5のいずれかから光を出射させ、あるいは他のPBS4(第1光学素子)に光を入射させている。また、複数の偏光切替素子3(第2光学素子)は、複数のPBS4(第1光学素子)のそれぞれに入射する光の状態を制御可能なように、光源システム2から光出射領域A1~A5までの経路上に配置されている。そして、複数の光出射領域A1~A5から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線VL1~VL5が仮想発光点VP(一点)で交わるように、PBS4(第1光学素子)とプリズム5(第3光学素子)とが配置されている。
図10に照射装置1を備えた距離測定装置としてのレーザレーダ装置20の概略構成例を示す。図10に示したように、レーザレーダ装置20は、照射装置1と、凹面鏡11と、受光素子12と、測定部13と、を備えている。
凹面鏡11は、照射装置1が照射した光のうち認識したい物体100で反射された反射光を収集して受光素子12へ反射する凹面鏡である。凹面鏡11は、例えばハーシェルタイプの凹面鏡を用いることができる。
受光部としての受光素子12は、凹面鏡11で反射された反射光を受光する受光素子である。受光素子12は、例えばアバランシェフォトダイオード(APD)を用いることができる。
測定部13は、照射装置1による光の照射から受光素子12による反射光の受光までに要した時間に基づき、認識したい物体100までの距離を測定する。また、照射装置1のどの光出射領域から光が照射されるかによって反射光の方位を判定する。これは、制御部7が行う偏光切替素子3の切替制御(図9)の情報を測定部13が取得することで行えばよい。測定部13は、例えばマイクロコンピュータ等で構成すればよい。また、測定部13は、その機能を制御部7が有するようにしてもよい。
本実施例によれば、照射装置1は、S偏光の光を反射し、P偏光の光を透過させる複数のPBS4(4a~4d)と、光の偏光状態を制御する複数の偏光切替素子3(3a~3d)と、光を屈折させて光の進行方向を変化させる複数のプリズム5(5a~5d)と、を備えている。そして、PBS4は、光の偏光状態に応じて、複数の光出射領域A1~A5のいずれかから光を出射させ、あるいは他のPBS4に光を入射させ、偏光切替素子3は、複数のPBS4のそれぞれに入射する光の状態を制御可能なように、光源システム2から光出射領域A1~A5までの経路上に配置されており、複数の光出射領域A1~A5から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線VL1~VL5が仮想発光点VPで交わるように、PBS4とプリズム5とが配置されている。
このようにすることにより、PBS4と偏光切替素子3とでメカニカル部品を削減して光を複数の方向に向けて選択的に出射する構成を実現することができる。また、PBS4とプリズム5が、複数の光出射領域A1~A5から出射される光のそれぞれについて、光路を出射方向と逆向きに延長した仮想線VL1~VL5が一点で交わるように配置されているので、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射することができる。
また、仮想発光点VPを変更することで設計の自由度を高めることができる。例えば、図2において、仮想発光点VPを光源システム2に近づければ、照射装置1を小型化できる。
また、プリズム5は、隣接する光出射領域にそれぞれ対応する仮想線がなす角度を二等分する位置に配置されている。このようにすることにより、プリズム5の配置位置を容易に求めることができる。
また、第3光学素子としてプリズムで構成されているので、光を屈折させることにより容易に光の進行方向を変化させることができる。
また、偏光切替素子3は、光の状態をP偏光とS偏光とに選択的に変化させているので、偏光状態によって外部へ出射する光出射領域を選択することができる。
また、PBS4に入射する光の偏光状態を変化させるように偏光切替素子3を制御する制御部7を備えているので、外部へ光を出射するPBS4を順次切り替えて、光を走査することができる。また、出射される光を、電子的制御により走査することができる。
また、レーザレーダ装置20は、照射装置1と、その照射装置1が照射した光が認識したい物体100により反射された反射光を受光する受光素子12と、光の照射から受光素子12による反射光の受光までに要した時間に基づき、認識したい物体100までの距離を測定する測定部13と、を備えている。このようにすることにより、レーザレーダ装置20において、メカニカル部品を削減することができ、同じ角度、同じ間隔で光ビームを出射することができる。
なお、図1に示した構成は、中央に光源システム2を配置して、偏光切替素子3やPBS4により光の進行方向を左右に変化させることで光出射領域A1~A5から光を出射させていたが、図11に示したように、左端や右端に光源システム2を配置する構成であってもよい。
次に、本発明の第2の実施例にかかる照射装置を図12を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例にかかる照射装置1Aは、基板上に形成された導波路の一部としてPBSや偏光切替素子等が形成されている。
図12に示したように、基板31には、導波路37が形成され、その一部として偏光切替素子33(33a、33b、33c、33d、33e、33f、33g、33h)と、偏光分離膜34(34a、34b、34c、34d、34e、34f、34g、34h)と、プリズム35(35a、35b、35c、35d、35e、35f)と、が形成されている。そして、基板31には、導波路47からの光出射領域にレンズ36(36a、36b、36c、36d、36e、36f、36g)が取り付けられている。
導波路37は、周知のように基板上に形成されたコアとクラッドからなり、コアを光路して光が進行する。
偏光切替素子33としては、第1の実施例で示した電気光学素子や液晶デバイス導波路37の途中に形成することができる。偏光分離膜34は、第1の実施例におけるPBS4に相当するものであり、入射光の偏光状態により反射特性や透過特性が異なる多層膜である。この偏光分離膜34も導波路37の途中に形成することができる。プリズム35は、導波路37中に曲がり導波路として形成することができる。レンズ36は、出射光をコリメート光にするものでありマイクロレンズアレイを用いることができる。
基板41には、一方の端部が基板31の導波路37と接続される導波路46が形成され、導波路46の他方の端部にレンズ45が形成されている。このレンズ45は、導波路46となるコアと一体に形成されている。
また、基板41のレンズ45と対向する位置に発光素子(レーザダイオード)43が実装されている。電極42、44は発光素子43に給電するための電極である。
なお、図12に示した構成では基板31と基板41の2つの基板に分けたが1つの基板に発光素子43と、偏光切替素子33、偏光分離膜34、プリズム35等を形成してもよい。
本実施例によれば、偏光分離膜34、偏光切替素子33及びプリズム35は、基板31上に形成された導波路37の一部として形成されている。このようにすることにより、これらの光学素子の位置決めを容易にし、さらに、これらの光学素子が形成されたユニットとして量産することが容易となる。
また、上記実施例ではP偏光とS偏光の光が交互に出射するような構成であるが、最終出射ポートに1/4λ板を配置することで、すべてを円偏光出射にすることも可能であり、さらに、一つおきのポート出射位置に1/4λ、-1/4λまたは3/4λ板を配置することで、すべて同じ特性の円偏光(右回り統一か左回り統一)にすることも可能である。同じ特性の偏光にすることで、偏光違いによる反射率入射角度依存性がなくなる。また、逆に一つ置きの偏光が異なることで、目標物体の偏光度の測定を行うこともできる。偏光度を測定することで白線の検出が容易になる効果を得られる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の照射装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
1 照射装置
2 光源システム
3、33 偏光切替素子(第2光学素子)
4 PBS(第1光学素子)
5、35 プリズム(第3光学素子)
6 ミラー
7 制御部(状態制御部)
11 凹面鏡
12 受光素子(受光部)
13 測定部
20 レーザレーダ装置(距離測定装置)
31、41 基板
34 偏光分離膜(第2光学素子)
36 レンズ
37、46 導波路
42 発光素子
A1~A5 光出射領域
VL1~LV5 仮想線
VP 仮想発光点(一点)
2 光源システム
3、33 偏光切替素子(第2光学素子)
4 PBS(第1光学素子)
5、35 プリズム(第3光学素子)
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12 受光素子(受光部)
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36 レンズ
37、46 導波路
42 発光素子
A1~A5 光出射領域
VL1~LV5 仮想線
VP 仮想発光点(一点)
Claims (1)
- 光源からの光を複数の光出射領域へ選択的に出射する照射装置であって、
第1の偏光の光の進行方向を変化させ、第2の偏光の光を透過させる複数の第1光学素子と、
前記光の偏光を制御する複数の第2光学素子と、
前記光の進行方向を変化させる複数の第3光学素子と、
前記光の進行方向を変化させる第4光学素子と、
を備え、
前記第1光学素子は、前記光の偏光に応じて、前記複数の光出射領域のいずれかから前記光を出射させ、あるいは他の前記第1光学素子に前記光を入射させ、
前記第4光学素子は、前記第1光学素子から前記複数の光出射領域のいずれかへ出射されなかった光を前記複数の光出射領域のうち前記第1光学素子とは異なる前記光出射領域へ出射させ、
前記複数の第2光学素子は、前記複数の第1光学素子のそれぞれに入射する光の偏光を制御可能なように、前記光源から前記光出射領域までの経路上に配置されており、
前記複数の光出射領域から出射される光のそれぞれについて、前記第1光学素子又は前記第4光学素子から前記光出射領域へ他の前記第1光学素子、他の前記第2光学素子、他の前記第3光学素子、他の前記第4光学素子を経ずに出射される光の光路を当該第1光学素子又は当該第4光学素子から前記光出射領域への出射方向と逆向きに延長した仮想線が一点で交わるように、前記第1光学素子と前記第3光学素子とが配置されている、
ことを特徴とする照射装置。
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