JP2023132119A - 電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法 - Google Patents

電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質と電解質とを容易に識別することができる電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法を提供する。【解決手段】本開示に係る電気化学反応可視化装置100は、二次電池1を収納する窓付きセル10と、充放電を制御する充放電コントローラ20と、照明光が二次電池1で反射した反射光を透過させる対物レンズ34を有するカラーコンフォーカル撮像部30と、二次電池1の各充電状態のカラー画像データ及び充放電データを取得する画像処理部と、を備え、画像処理部は、満充電状態のカラー画像データを選択し、選択されたカラー画像データにおいて活物質部分を抽出し、活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するマスター抽出部と、各充電状態に対応したカラー画像データにおいて、抽出した活物質部分の位置を追跡し、追跡した活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するスレーブ抽出部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法に関し、例えば、未充電状態で、色や輝度により活物質と電解質とを識別することができない二次電池の充電状態の分布を可視化する動的可視化装置および動的可視化方法に関する。
二次電池内部の電気化学反応の均一性・局所的過充電や温度、膨張等の物理変化など、二次電池の性能に与える影響を評価するためには、充電状態分布を動的に可視化することが必要である。
特許文献1には、電解液中の活物質粒子(黒鉛)が充放電反応により色相を変化させることを使って、活物質粒子の局所的な充電状態を評価することが記載されている。しかしながら、特許文献1の方法を全固体電池に適用した場合、ある充電状態においては(0%~30%程度)固体電解質と活物質の色相が類似しているため識別して解析するとことが困難である。
特許文献2~5には、リチウムイオン二次電池を充放電状態で観察することが記載されている。しかしながら、特許文献1と同様に、全固体電池に適用した場合、ある充電状態においては固体電解質と活物質の色相が類似しているため識別して解析するとことが困難である。
特許第5388078号公報 特開2013-239263号公報 特開2017-212163号公報 特開2014-089969号公報 特開2021-021579号公報
これまでのリチウムイオン電池のように、透明な電解液が用いられる二次電池では、カラーコンフォーカル顕微鏡を用いた充放電状態のその場観察に際し、電解液と活物質とを容易に識別することができる。なぜならば、電解液と観察窓との界面からの反射光は、コンフォーカル光学系により除去され、電解液と活物質の界面反射だけを観察することができるからである。電極中の活物質粒子以外の空間は、多穴質状であるので、電解液で満たされており、活物質の無い孔からの反射光は殆どない。この場合は、活物質とそれ以外の場所とは、輝度や色相によって比較的容易に識別できる。
しかしながら、全固体電池の電極では、活物質と固体電解質との混合物になっているため、電極界面の反射光を観察する場合に、活物質も固体電解質も同程度の明るさに観察される。特に、未充電状態の活物質は、固体電解質と輝度や色相が非常に似かよっているため、これまでの方法では識別が困難である。このような固体電解質が用いられる二次電池では、電池内部の電気化学反応のオペランド観察を使って電極の充放電反応を評価することができない。活物質と(固体)電解質とを容易に識別するための装置および方法が所望されている。
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、活物質と電解質とを容易に識別することができる電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法を提供することである。
本開示に係る電気化学反応可視化装置は、二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化装置であって、透明窓を有し、満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む前記二次電池を収納する窓付きセルと、前記充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する充放電コントローラと、前記透明窓を介して前記二次電池を照明光で照明するとともに、前記照明光が前記二次電池で反射した反射光を透過させる対物レンズを有し、前記対物レンズと前記二次電池との間の相対距離を変化させながら前記二次電池のカラー画像データを取得するカラーコンフォーカル撮像部と、前記二次電池の各充電状態の前記カラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得する画像処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記カラー画像データ及び前記充放電データを時系列で対応付けるリンク部と、前記満充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するマスター抽出部と、各充電状態に対応した前記カラー画像データにおいて、抽出した前記活物質部分の位置を追跡し、追跡した前記活物質部分を囲む範囲を前記トラッキングROIとして抽出するスレーブ抽出部と、を有する。
上記電気化学反応可視化装置では、前記画像処理部は、前記活物質部分のRGB輝度を色相に変換することにより、各充電状態を解析する色解析部をさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記マスター抽出部は、複数の前記トラッキングROIを含むマスターROIを生成し、生成した前記マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成し、前記スレーブ抽出部は、複数の前記トラッキングROIを含むスレーブROIを生成し、生成した前記スレーブROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、の差から、前記トラッキングROIの重なりを算出する重なり算出部をさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる各トラッキングROIの第1方向の長さの和及び前記第1方向に直交する第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる各トラッキングROIの前記第1方向の長さの和及び前記第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、の差から、前記トラッキングROIの前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかの長さの重なりを算出する重なり算出部をさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクの前記トラッキングROIのうち、対応する前記トラッキングROIが前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクにおいて消滅したものの面積を算出する消滅面積算出部をさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、各充電状態におけるトラッキングROIの第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向のうち少なくともいずれかの線膨張率を算出する線膨張率算出部をさらに有し、前記線膨張率算出部は、時間に対して前記線膨張率が増加する変化を近似する膨張関数、及び、前記時間に対して前記線膨張率が減少する変化を近似する収縮関数の少なくともいずれかを算出してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記窓付きセルは、不動点を含み、前記カラー画像データは、前記不動点を含むように撮像され、前記画像処理部は、複数の前記カラー画像データにおける前記不動点を追跡し、前記不動点が同じ位置となるように各カラー画像データの位置ずれを補正するドリフト補正部をさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記マスター抽出部及び前記スレーブ抽出部は、各トラキングROI内の前記活物質部分と、活物質部分以外の部分と、を分離してもよい。
上記電気化学反応可視化装置では、前記マスター抽出部が抽出した前記活物質部分の位置を前記スレーブ抽出部が追跡できない場合に、前記マスター抽出部は、前記満充電状態以外の前記充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を前記活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出し、複数の前記トラッキングROIを含む準マスターROIを生成し、生成した前記準マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域とした準マスターマスクを生成してもよい。
本開示に係る電気化学反応可視化方法は、二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化方法であって、透明窓を有し、満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む前記二次電池を収納する窓付きセルと、前記充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する充放電コントローラと、前記透明窓を介して前記二次電池を照明光で照明するとともに、前記照明光が前記二次電池で反射した反射光を透過させる対物レンズを有し、前記対物レンズと前記二次電池との間の相対距離を変化させながら前記二次電池のカラー画像データを取得するカラーコンフォーカル撮像部と、を備えた電気化学反応可視化装置から、前記二次電池の各充電状態の前記カラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得するデータ取得ステップと、前記カラー画像データ及び前記充放電データを時系列で対応付けるリンクステップと、前記満充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するマスター抽出ステップと、各充電状態に対応した前記カラー画像データにおいて、抽出した前記活物質部分の位置を追跡し、追跡した前記活物質部分を囲む範囲を前記トラッキングROIとして抽出するスレーブ抽出ステップと、を有する。
上記電気化学反応可視化方法では、前記活物質部分のRGB輝度を色相に変換することにより、各充電状態を解析する色解析ステップをさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、前記マスター抽出ステップは、複数の前記トラッキングROIを含むマスターROIを生成し、生成した前記マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成し、前記スレーブ抽出ステップは、複数の前記トラッキングROIを含むスレーブROIを生成し、生成した前記スレーブROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、の差から、前記トラッキングROIの重なりを算出する重なり算出ステップをさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの第1方向の長さの和及び前記第1方向に直交する第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの前記第1方向の長さの和及び前記第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、の差から、前記トラッキングROIの前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかの長さの重なりを算出する重なり算出ステップをさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクの前記トラッキングROIのうち、対応する前記トラッキングROIが前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクにおいて消滅したものの面積を算出する消滅面積算出ステップをさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、各充電状態におけるトラッキングROIの第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれかの線膨張率を算出する線膨張率算出ステップをさらに有し、前記線膨張率算出ステップは、時間に対して前記線膨張率が増加する変化を近似する膨張関数、及び、前記時間に対して前記線膨張率が減少する変化を近似する収縮関数の少なくともいずれかを算出してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、前記窓付きセルは、不動点を含み、前記カラー画像データは、前記不動点を含むように撮像され、複数の前記カラー画像データにおける前記不動点を追跡し、前記不動点が同じ位置となるように、各カラー画像データの位置ずれを補正するドリフト補正ステップをさらに有してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、前記マスター抽出ステップ及び前記スレーブ抽出ステップは、各トラキングROI内の前記活物質部分と、活物質部分以外の部分と、を分離してもよい。
上記電気化学反応可視化方法では、前記マスター抽出ステップで抽出した前記活物質部分の位置を前記スレーブ抽出ステップにおいて追跡できない場合に、満充電状態以外の前記充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を前記活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出し、複数の前記トラッキングROIを含む準マスターROIを生成し、生成した前記準マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域とした準マスターマスクを生成する準マスター抽出ステップをさらに有してもよい。
本発明によれば、活物質と電解質とを容易に識別することができ、充放電中の二次電池の状態変化を解析することができる電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法を提供することができる。
実施形態1に係る電気化学反応可視化装置を例示した構成図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化装置において、窓付きセルを例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化装置において、信号処理部を例示したブロック図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化装置において、画像処理部を例示したブロック図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法の概要を例示した図であり、活物質と固体電解質の混合状態の模式図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法の概要を例示した図であり、全固体電池の充電前の電極におけるコンフォーカル観察を例示した全焦点画像である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法の概要を例示した図であり、全固体電池の満充電の電極におけるコンフォーカル観察を例示した全焦点画像である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、活物質の追跡を例示した概念図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIの生成方法を例示した図であり、満充電状態のカラー画像データを示す。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIの生成方法を例示した図であり、活物質を色相で識別したカラー画像データを示す。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIの生成方法を例示した図であり、トラッキングROIの抽出を示す。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIを例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、マスターマスクを例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、マスターマスクからスレーブマスクを作成する過程を例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法を例示したフローチャート図である。 比較例に係る電気化学反応可視化方法において、二次電池における指定したエリアを例示した図である。 比較例に係る電気化学反応可視化方法において、平均点の解析結果を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、平均点を示す。 比較例に係る電気化学反応可視化方法において、抽出した活物質部分のカラーリングを例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、二次電池における指定したエリアを例示した図である。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、平均点の解析結果を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、平均点を示す。 実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、抽出した活物質部分のカラーリングを例示した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、画像処理部を例示したブロック図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化方法を例示したフローチャート図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、ライン画像を説明した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、ライン画像を説明した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、ライン画像を説明した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、トラッキングROIの重なりがない状態を例示した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、トラッキングROIの重なりがある状態を例示した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、トラッキングROIの重なりを例示した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、膨張関数及び収縮関数を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、膨張率を示し、右側の縦軸は、電圧を示す。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、膨張関数による解析ROI座標の補正を例示した図である。 実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、膨張関数による解析ROI座標の補正を例示した図である。
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
(実施形態1)
実施形態1に係る電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法を説明する。まず、[電気化学反応可視化装置の構成]を説明する。その後、[電気化学反応可視化方法]を説明する。
[電気化学反応可視化装置の構成]
図1は、実施形態1に係る電気化学反応可視化装置を例示した構成図である。図1に示すように、電気化学反応可視化装置100は、窓付きセル10、充放電コントローラ20、カラーコンフォーカル撮像部30、信号処理部50を備えている。信号処理部50は、画像処理部70を含む。電気化学反応可視化装置100は、上記以外に、画像データストレージ、汎用情報処理装置等を含んでもよい。電気化学反応可視化装置100は、二次電池1の充放電中の状態変化を可視化する。以下で、電気化学反応可視化装置100の構成として、<窓付きセル>、<充放電コントローラ>、<カラーコンフォーカル撮像部>、<信号処理部>及び<画像処理部>を説明する。
<窓付きセル>
画像解析される試験用の試料は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池1である。二次電池1は、窓付きセル10内に配置する。窓付きセル10は、透明窓19を有し、二次電池1を収納する。窓付きセル10は、二次電池1を密封する。窓付きセル10の内部は、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスで満たされる。窓付きセル10は、リチウムイオン電池等の二次電池1を不活性ガスの雰囲気中に保持する。
図2は、実施形態1に係る電気化学反応可視化装置100において、窓付きセル10を例示した図である。図1及び図2に示すように、窓付きセル10は、二次電池1の断面を観察できるように設計されている。窓付きセル10は、窓付きの蓋と、セル本体とを有している。
まず、二次電池1として、電解液を用いる場合を説明する。二次電池1は、正極集電板2、正極活物質層3、セパレータ4、負極活物質層5、負極集電板6が積層された積層構造を有している。正極集電板2及び正極活物質層3を、正極と呼び、負極活物質層5及び負極集電板6を負極と呼ぶ。正極集電板2として、例えば、圧延したアルミニウム箔が用いられ、正極活物質層3として、コバルト酸リチウム(LiCoO)層が用いられる。負極集電板6として、例えば、銅箔が用いられ、負極活物質層5として、グラファイト層が用いられる。正極と負極との間にセパレータ4が配置され、正極と負極とが絶縁される。これら正極及び負極には電解液が満たされ、電解液としてエチレンカーボネート(EC)等の有機溶媒にLiPF等のリチウム塩が溶解した有機電解液が用いられる。
二次電池1は、例えば、専用の位置合わせ治具で、電極ホルダの間に、正極、セパレータ4及び負極を挟み、さらに、専用治具の刃物でカットする。電極ホルダを、電解液とともにセル本体に封入した後、蓋に取り付けた透明窓19に電極断面を押し付ける。このようにして、二次電池1の観察を行う。蓋を閉めるまでの作業は、グローブボックス内またはドライルームで行うが、蓋で密閉した後は、大気中で観察を行う。充放電実験時にガスが発生することがあるが、発生したガスは観察の妨げになるだけではなく、部分的に電解液のない乾燥状態を作ってしまうのでそれも大きな障害となる。これらの障害を避けるために、専用の窓付きセル10では、発生したガスを観察部位から排除する機能を有している。
二次電池1として、全固体電池を適用する場合は、電解液の含浸は不要である。また、セパレータも使用しない。二次電池1は、固体電解質と電極(固体電解質と活物質の混合物)が圧着されたものである。二次電池1を切断することで観察端面を作成することができる。本実施形態では、二次電池1は、満充電状態と満充電状態以外とで輝度の差が生じるものであればよく、例えば満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む、電解液を用いるものでもよいし、全固体電池でもよい。
<充放電コントローラ>
図1に示すように、充放電コントローラ20は、二次電池1の充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する。窓付きセル10には、第1及び第2の接続端子10a及び10bを設け、これら接続端子は、二次電池1の正極及び負極にそれぞれ接続する。第1の接続端子10aは、二次電池1の充放電を制御する充放電コントローラ20のI0+端子に接続される。第2の接続端子10bは、充放電コントローラ20のI0-端子に接続される。
充放電の制御方法として、例えば、定電流定電圧方式(CVCC:Constant Voltage Constant Current)により充電を行うことができる。すなわち、充電の開始時に二次電池1に定電流を供給して充電を行い、満充電に到達した後、定電圧で充電を行う制御方式で制御する。また、放電制御は、定電流制御により行うことができる。第1及び第2の接続端子10a及び10bは、充放電コントローラ20のV及びV端子に接続され、充放電コントローラ20に設けた電圧検出手段により充放電電圧(電池電圧)を時系列のデータとして検出する。さらに、充放電コントローラ20は、二次電池1を流れる電流を検出する電流検出手段を有し、二次電池1を流れる電流値を時系列のデータとして出力する。検出された充放電電圧及び充放電電流は、充放電データとして信号処理部50に出力される。
<カラーコンフォーカル撮像部>
カラーコンフォーカル撮像部30は、照明光源31、ビームスプリッタ32、2次元スキャナ33、対物レンズ34、モータ35、距離センサ36及び画像取得部37を備えている。照明光源31は、例えば、水銀ランプ、白色レーザ等のような白色光を発生する白色光源である。
照明光源31から出射した白色の照明ビームは、ビームスプリッタ32に入射する。ビームスプリッタ32は、照明光源31から二次電池1に向かう照明ビームと二次電池1で反射した反射ビームとを分離する機能を果たす。ビームスプリッタ32は、例えば、ハーフミラーである。
ビームスプリッタ32を透過した照明ビームは、2次元スキャナ33に入射し、X及びY方向に2次元スキャンされ、対物レンズ34に入射する。照明ビームは、対物レンズ34により集束ビームに変換されて窓付きセル10に入射する。このように、対物レンズ34は、透明窓19を介して二次電池1を照明光で照明する。
対物レンズ34には、モータ35が連結され、光軸方向に所定の速度で連続的に移動することができる。従って、照明ビームの集束点は、2次元走査中に光軸方向にそって連続的に変位する。対物レンズ34の光軸方向の位置は、距離センサ36により検出され、対物レンズ34と二次電池1の表面との間の相対距離情報として信号処理部50に供給される。なお、対物レンズ34として、板厚補正された対物レンズ34を用いることが望ましい。
照明ビームは、窓付きセル10に設けられた透明窓19を経て、充放電中の二次電池1に入射する。本実施形態では、二次電池1の断面のカラー画像データを撮像する。したがって、二次電池1は、断面が透明窓19と対向するように配置されている。照明ビームは、2次元スキャナにより2次元スキャンされているので、充放電中の二次電池1の断面は、集束した照明ビームにより2次元走査される。また、対物レンズ34が光軸方向に移動しながら照明ビームが断面を2次元走査するため、視野全体について合焦した2次元画像(全焦点画像)が撮像される。したがって、二次電池1の断面に凹凸面が露出されている場合には、全ての凹凸面について焦点が合った(合焦した)画像が撮像される。
充放電中の二次電池1の断面で反射した反射ビームは、透明窓19を経て対物レンズ34により集光される。よって、対物レンズ34は、照明光が二次電池1で反射した反射光を透過させる。対物レンズ34を透過した反射光は、2次元スキャナ33を経てビームスプリッタ32に入射する。そして、ビームスプリッタ32で反射し、画像取得部37に入射する。
画像取得部37は、結像レンズ系、入射した反射ビームをRGBのカラー成分光に分離する色分解光学系、及び、RGBのカラー成分光をそれぞれ受光する3個の撮像素子を有する。色分解光学系は、例えば、プリズムを含む。撮像素子は、例えば、CDD、ラインセンサ等を含む。
このように、カラーコンフォーカル撮像部30は、透明窓19を介して二次電池1を照明光で照明するとともに、照明光が二次電池1で反射した反射光を透過させる対物レンズ34を有する。そして、カラーコンフォーカル撮像部30は、対物レンズ34と二次電池1との間の相対距離を変化させながら、二次電池1のカラー画像データを取得する。したがって、カラーコンフォーカル撮像部30は、カラーコンフォーカル(共焦点)光学系を構成し、高分解能のカラー共焦点画像が撮像される。
なお、1回の撮像操作において、対物レンズ34を光軸方向に所定の距離だけ移動させながら複数のカラー画像データを取得する。1回のカラー画像データの取得に要する時間は、例えば30秒とする。30秒間に対物レンズ34を所定の距離だけ移動させ、その間に複数のカラー画像データを取得する。尚、撮像操作の時間間隔は、例えば1分間隔とすることができる。従って、1分間隔でカラー画像データを取得する。3個の撮像素子から出力されるRGBのカラー画像データは、時系列のデータとして信号処理部50に供給され、信号処理を経て、一体化された二次電池1のカラー画像データになる。カラーコンフォーカル撮像部30の特長は下記の通りである。
[1]カラーコンフォーカル撮像部30は、二次電池1の観察面上の焦点の合った位置からの反射光だけを検出する。これにより、一般的な光学顕微鏡と異なり、観察面の手前に透明窓19が存在しても、透明窓19による不要な散乱光を除去することができる。また、液体中の観察面でも、液体による不要な散乱光を除去することができ、観察面を鮮明に観察することができる。
[2]カラーコンフォーカル撮像部30は、二次電池1を焦点方向にスキャンしながら各画素が最も明るくなった瞬間を合成することで、焦点深度が無限大のような「全焦点画像」を得ることができる。カラーコンフォーカル撮像部30は、数μm大の粒子で構成されることの多い立体的なLiB電極全ての部分に焦点を合わせることができ、活物質粒子の水平方向の寸法変化だけではなく、深さ方向の位置変化を測定することができる。
オペランド観察する場合のデータ取得は、充放電プログラムによって充電・放電を行いながら、カラーコンフォーカル撮像部30を用いる。これにより、例えば、1分毎に撮像してカラー観察像を保存する。
<信号処理部>
信号処理部50には、キーボードのような入力装置51及びモニタ52が接続される。操作者は、入力装置51を介して出力すべき解析データを指定する指定情報を入力することができる。指定された解析データは、モニタ52上に表示される。
図3は、実施形態1に係る電気化学反応可視化装置100において、信号処理部50を例示したブロック図である。図3に示すように、信号処理部50は、画像データと充放電データとを時間的にリンクさせるために用いられるクロック装置53を有する。信号処理部50は、クロック装置53から出力されるクロック信号を共通のクロック信号として用い、カラー画像データと充放電データとをリンクさせる。すなわち、充放電の開始及び充電開始後の経過時間は、クロック装置53から出力されるクロック信号を基準として計測される。取得されたカラー画像データ及び充放電データは、クロック装置53から出力されるクロック信号と対としてメモリに記憶される。従って、クロック装置53とメモリとが画像データと充放電データとをリンクさせるリンク手段として機能する。
RGBのカラー画像信号は、全焦点画像形成手段54に供給される。全焦点画像形成手段54は、対物レンズ34を光軸方向に移動させながら撮像された複数のカラー共焦点画像について、各画素ごとに最大輝度値を検出し、最大輝度値により構成される2次元画像を全焦点画像として形成する。すなわち、対物レンズ34を光軸方向に移動させることにより照明ビームの集束点は、光軸方向に変位する。照明ビームの集束点が二次電池1の表面上に位置した時、撮像素子から最大輝度値が出力される。従って、対物レンズ34を光軸方向に移動させながら複数の2次元画像を撮像し、各画素ごとに最大輝度値を検出することにより、撮像エリアの全体について焦点が合った全焦点画像を形成することができる。よって、二次電池1の活物質層の断面に凹凸が存在する場合、全焦点画像形成手段54から、凹凸表面に焦点が合ったカラー画像が形成される。全焦点画像は、例えば1分の時間間隔で形成される。
カラー全焦点画像信号は、第1のメモリ55に供給される。第1のメモリ55には、クロック装置53から出力されるクロック情報も入力される。第1のメモリ55は、時系列のカラー全焦点画像とクロック情報とを対として順次記憶する。
距離センサ36から出力される相対距離情報(Z軸情報)は、3次元画像形成手段56に供給される。3次元画像形成手段56は、全焦点画像形成手段54において、各画素ごとに最大輝度値を検出した時点における相対距離情報を用いて二次電池1の表面の3次元画像を形成する。すなわち、撮像素子から最大輝度値が出力された時、照明ビームの集束点は、二次電池1の表面上に位置する。このため、最大輝度値が出力された時点における光軸方向の位置情報ないし距離情報を用いて、二次電池1の観察面の3次元画像を形成することができる。3次元画像は、全焦点画像の形成と同様に、1分の時間間隔で連続して形成する。
形成された3次元画像信号は、第2のメモリ57に順次供給する。第2のメモリ57には、クロック装置53から供給されるクロック情報も入力される。第2のメモリ57は、入力した3次元画像信号とクロック信号とを対として記憶する。
充放電コントローラ20から出力される時系列の充放電データは、第3のメモリ58に供給される。第3のメモリ58には、クロック装置53から出力されるクロック信号も供給される。入力した充放電データである充放電電圧及び充放電電流とクロック情報とはそれぞれ対として記憶される。充放電データは、SOC演算手段59に供給され、充放電電流から充電開始後の充電状態(SOC、State of Charge)が求められる。充電状態は、二次電池1に蓄積されている電気量を指標するデータであり、充放電データから積算電気量を算出し、満充電を100%とし、満充電状態を基準として正規化された蓄電量を示す。算出された充電状態は、クロック情報と共に第4のメモリ60に記憶される。これにより、画像データとリンクした充電状態が第4のメモリ60に記憶される。
第1のメモリ55に記憶された全焦点のカラー画像データは、画像処理部70に供給される。カラー画像データは、クロック信号に対応付けられている。また、第3のメモリ58に記憶された充放電データは、第4のメモリ60を経由して、充電状態とともに画像処理部70に供給される。充放電データ及び充電状態は、クロック信号に対応付けられている。画像処理部70は、二次電池1の各充電状態のカラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得する。出力手段61は、モニタ52に対して各種のデータを出力する。
<画像処理部>
図4は、実施形態1に係る電気化学反応可視化装置100において、画像処理部70を例示したブロック図である。図4に示すように、画像処理部70は、取得部71、リンク部72、マスター抽出部73、スレーブ抽出部74及び色解析部75を有している。
取得部71は、二次電池の各充電状態のカラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得する。リンク部72は、カラー画像データ及び充放電データを時系列で対応付ける。具体的には、リンク部72は、カラー画像データに対応付けられたクロック信号と、充放電データに対応付けられたクロック信号とをリンクさせて時系列で対応付ける。マスター抽出部73は、後述するマスターROIを抽出し、マスターマスクを生成する。スレーブ抽出部74は、後述するスレーブROIを抽出し、スレーブマスクを生成する。なお、マスター抽出部73及びスレーブ抽出部74が一体となった一つの抽出部が、マスター抽出部73及びスレーブ抽出部74の両方の機能を有してもよい。色解析部75は、カラー画像データにおける活物質部分の色を解析する。
画像処理部70を含む信号処理部50または単に画像処理部70は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置でもよい。これらの装置は、それぞれ、図示しない制御部、通信部、記憶部及びインターフェース部を有している。制御部、通信部、記憶部及びインターフェース部は、それぞれ、制御手段、通信手段、記憶手段及びインターフェース手段としての機能を有している。
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサを含む。制御部は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。また、制御部は、通信部、記憶部、インターフェース部及び各装置の機能を実行するための各構成要素の動作を制御する。
各装置の各構成要素は、例えば、制御部の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、取得部71、リンク部72、マスター抽出部73、スレーブ抽出部74及び色解析部75等の各構成要素は、記憶部に格納されたプログラムを、制御部が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。
通信部は、各装置が情報処理を行う上で必要な通信を行う。記憶部は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部は、制御部によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。
インターフェース部は、例えば、ユーザインターフェース(User Interface)である。インターフェース部は、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力装置51と、ディスプレイ又はスピーカ等のモニタ52とに接続されている。インターフェース部は、ユーザ(オペレータ等)によるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を出力する。以下の電気化学反応可視化方法において、画像処理部70の各機能を説明する。
[電気化学反応可視化方法]
次に、電気化学反応可視化方法を説明する。電気化学反応可視化方法を、<概要>、<トラッキングROIの作成>、<マスターマスクの作成>、<スレーブマスクの作成>、<トラッキングの方法>、<データ読込からトラッキング解析までの手順のフローチャート>、<色解析>の順で説明する。
<概要>
図5A~図5Cは、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法の概要を例示した図である。図5Aは、活物質と固体電解質の混合状態の模式図であり、図5Bは、全固体電池の充電前の電極におけるコンフォーカル観察を例示した全焦点画像であり、図5Cは、全固体電池の満充電の電極におけるコンフォーカル観察を例示した全焦点画像である。
図5Aに示すように、本実施形態の電気化学反応可視化方法の概要は、充電状態によって、色変化する活物質Aと色変化しない物質Bとを識別することが前提となっている。例えば、全固体電池の活物質の代表例であるグラファイト(黒鉛)は、観察色が充電状態によって段階的に(グレー→青色→赤色→金色)変化する。この変化は、グラファイト層状結晶の層間にリチウムがインターカレートすることで、グラファイトの電子状態が変化し、反射スペクトルが変化するためと考えられている。一方、固体電解質(SEと呼ぶ。)は、グラファイトのように充放電で色が変化しない。よって、未充電状態では、活物質の輝度や色は、SEの色と類似するため、画像から簡単に識別できない。
図5Bに示すように、充電前の未充電状態では、色変化する活物質Aと色変化しない物質Bとは、色が類似しているために、両者を識別することが困難である。一方、図5Cに示すように、満充電状態では、活物質Aの色は金色に変化する。このため、活物質Aと物質Bとを識別することができる。そこで、本実施形態は、充電状態に応じて色変化する活物質Aだけを抽出し、色の変化を数値化することによって、充放電時間に対応した充放電状態(充放電電圧)と、色の変化との関係性を観察する。
図6は、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、活物質の追跡を例示した概念図である。図6に示すように、初期の状態(a)では、未充電状態であり、充電状態で色変化する活物質A(例えば、グラファイト)と、色変化しない物質Bとを識別することが困難である。充電時の時間経過の状態(b)では、充電状態で色変化する活物質Aの色は変化する。そして、満充電状態(c)では、活物質Aは、金色に変化する。よって、活物質Aと、色変化しない物質Bとを識別することができる。
まず、充電状態で色変化する活物質Aと、色変化しない物質Bとを識別するために、充電状態(SOC)が100%の満充電状態(c)において、金色に変化した活物質Aを含む画像を用いて、活物質Aを抽出する。そして、抽出した活物質Aを囲む領域をトラッキングROIと設定する。
具体的には、マスター抽出部73は、満充電状態のカラー画像データを選択する。マスター抽出部73は、選択したカラー画像データにおいて輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出する。そして、マスター抽出部73は、活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出する。また、マスター抽出部73は、複数のトラッキングROIを含む領域をマスターROIとして設定する。マスター抽出部73は、マスターROIから、マスターマスクを生成する。
次に、活物質Aの抽出に使用した範囲であるトラッキングROIに対し、初期の状態(a)及び時間経過の状態(b)に時間を遡り、あるいは、時間経過の状態(d)、最後の状態(e)に時間を進めることにより、活物質Aを追跡し続ける。
具体的には、スレーブ抽出部74は、各充電状態に対応したカラー画像データにおいて、抽出した活物質部分の位置を追跡する。スレーブ抽出部74は、追跡した活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出する。また、スレーブ抽出部74は、複数のトラッキングROIを含む領域をスレーブROIとして設定する。スレーブ抽出部74は、スレーブROIから、スレーブマスクを生成する。
<トラッキングROIの生成>
次に、トラッキングROIの生成を詳細に説明する。図7A~図7Cは、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIの生成方法を例示した図であり、図7Aは、満充電状態(SOC100%)のカラー画像データを示し、図7Bは、活物質を色相で識別したカラー画像データを示し、図7Cは、トラッキングROIの抽出を示す。
図7Aに示すように、トラッキングROIを抽出する際には、まず、充電状態が100%の満充電状態(SOC100%)のカラー画像データを選択する。次に、図7Bに示すように、色変化した活物質部分APに色付けする。色付けについては<色解析>で説明する。そして、図7Cに示すように、色付けした活物質部分APを抽出する。抽出した活物質部分を画像上で四角に囲む。囲んだ四角の枠をトラッキングROI(T-ROIとも呼ぶ。)と呼ぶ。なお、図が煩雑にならないように、いくつかの活物質部分AP及びトラッキングROIのみ符号を付し、いくつかの活物質部分AP及びトラッキングROIの符号を省略している。このようにして、トラッキングROIを抽出する。カラー画像データ上に抽出したトラッキングROIだけを取り出すと、個々のトラッキングROIは、抽出した活物質部分の縦横(XY)の最大を囲むように設定されている。
図8は、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、トラッキングROIを例示した図である。図8に示すように、例えば、カラー画像データ上をXY平面とする。トラッキングROIの四角枠の左上隅のXY座標をそのトラッキングROIの座標とする。なお、XY座標は、トラッキングROIの四角枠の左上隅に限らず、右上隅、左下隅、右下隅、中央等でもよい。ここで設定した個々のトラッキングROIの大きさや形は不変とするのが基本形となる。しかしながら、トラッキングROIをSOC100%以外の画像に適用する場合や、途中で作りなおす場合に、トラッキングROIサイズを変化させる場合があってもよい。
<マスターマスクの作成>
次に、複数のトラッキングROIの集まりに対して、マスターマスクを作成する。まず、トラッキングROIを抽出した領域全体を、マスターROIまたはM-ROIと呼ぶ。よって、マスターROIは、複数のトラッキングROIを含む。マスターROI内において、トラッキングROIの内部の領域は「有効領域」であり、それ以外は「無効領域」として設定する。例えば、「有効領域」を「1」として「白」で表し、「無効領域」を「0」として「黒」で表現する。
図9は、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、マスターマスクを例示した図である。図9に示すように、マスター抽出部73は、生成したマスターROIから、トラッキングROIの部分を有効領域とし、トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成する。マスターマスクをM-Maskとも呼ぶ。マスターマスクは、2値化マスクを意味する。解析対象の画像とマスターマスクの論理積をとることで、「有効領域」だけを解析対象に絞りこむことが可能となる。
<スレーブマスクの作成>
図10は、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、マスターマスクからスレーブマスクを作成する過程を例示した図である。図10に示すように、マスター抽出部73は、満充電状態(SOC100%)のカラー画像データを選択して、マスターROI(M-ROI)及びマスターマスク(M-Mask)を生成する。なお、図10に示すように、説明の便宜のために、マスターマスク及びスレーブマスクを、モニタ52上で2値化マスクとして表示されていなくてもよい。
満充電状態以外のカラー画像データから生成されるマスクをスレーブマスク(S-Mask)と呼ぶ。スレーブマスクの生成は以下の通りである。スレーブ抽出部74は、マスターマスク内のトラッキングROIを初期条件とする。そして、スレーブ抽出部74は、個々のトラッキングROIを充電状態の変化に応じて追跡することにより、複数のスレーブROI(S-ROI)を生成する。各スレーブROIは、複数のトラッキングROIを含む。
そして、スレーブ抽出部74は、生成したスレーブROIから、トラッキングROIの部分を有効領域とし、トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成する。つまり、この再設定されたトラッキングROIに基づいて生成されたものが、「スレーブマスク」である。
<トラッキングの方法>
トラッキングは、物体追跡法を用いてもよい。活物質部分PAを囲む範囲(トラッキングROI)を未充電状態(SOC0%)まで時間を遡って捕捉する。また、活物質部分PAを囲む範囲(トラッキングROI)を放電末状態(SOC0%)まで時間を進めることにより捕捉する。具体的な物体追跡アルゴリズムは、OPEN-CV等で提供される方法などがある(例えば、KCF、Kernelized Correlation Filters)。時系列で保存された、メモリ等のホルダ内の全カラー画像データに対して、スレーブマスクを生成してもよい。
<データ読込からトラッキング解析までの手順のフローチャート>
次に、二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化方法について、データ読込からトラッキング解析までの手順を説明する。図11は、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法を例示したフローチャート図である。図11のステップS10に示すように、カラー画像データを読み込む。具体的には、画像処理部70の取得部71は、カラーコンフォーカル撮像部30が撮像したカラー画像データを読み込む。二次電池1を撮像したカラー画像データは、例えば、第1のメモリ55に記憶されている。取得部71は、第1のメモリ55からカラー画像データを読み込む。
また、ステップS20に示すように、電圧及び電流等の充放電データを読み込む。具体的には、取得部71は、二次電池1のカラー画像データを撮像した際の電圧及び電流等の充放電データを読み込む。充放電データは、例えば、第4のメモリ60に記憶されている。取得部71は、第4のメモリ60から充放電データを読み込む。なお、ステップS10及びステップS20の順序はこれに限らず、ステップS20の後にステップS10を行ってもよいし、ステップS10とステップS20を並行して行ってもよい。つまり、取得部71は、電気化学反応可視化装置100から、二次電池1の各充電状態のカラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得することができればよい。
次に、ステップS30に示すように、カラー画像データと充放電データとのリンクをとる。具体的には、リンク部72は、時間をキーとして同期をとり、取得したカラー画像データ及び充放電データを時系列で対応付ける。
次に、ステップS40に示すように、トラキング解析を行う。具体的には、画像処理部70は、前述したように、マスターマスクの作成及びトラッキングを行う。なお、後述する色解析を行ってもよい。
まず、ステップS41に示すように、マスターマスクを生成する。マスター抽出部73は、満充電状態のカラー画像データを選択し、選択したカラー画像データにおいて、輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出する。そして、マスター抽出部73は、抽出した活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出する。また、マスター抽出部73は、複数のトラッキングROIを含むマスターROIを生成し、生成したマスターROIから、トラッキングROIの部分を有効領域とし、トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成する。このようにして、マスター抽出部73は、マスターROI及びマスターマスクを生成する。
次に、ステップS42に示すように、トラッキングを行う。スレーブ抽出部74は、各充電状態に対応したカラー画像データにおいて、抽出した活物質部分の位置を追跡する。スレーブ抽出部74は、追跡した活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出する。そして、スレーブ抽出部74は、複数のトラッキングROIを含むスレーブROIを生成し、生成したスレーブROIから、トラッキングROIの部分を有効領域とし、トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成する。トラッキング解析では、ステップS43に示すように、色解析を行ってもよい。以下で、色解析を説明する。
<色解析>
二次電池1における充放電均一性は、二次電池1の性能を決める重要因子である。本実施形態の電気化学反応可視化装置100は、充放電中の活物質を含む電極(例えば、合材電極内の黒鉛負極)の反応分布を可視化することができる。例えば、活物質であるグラファイトは、Li量と色変化(青色→赤色→金色)が相関する。したがって、RGB輝度を下記の(1)式により、色相(Hue、または、Hとも呼ぶ。)に変換し、色の変化を数値化することができる。
そこで、図11のステップS43に示すように、色解析を行う。具体的には、色解析部75は、活物質部分のRGB輝度を色相に変換することにより、各充電状態を解析する。カラー画像データから抽出したRGB成分の空間的な平均値を、それぞれ、R、G、Bとする。
Figure 2023132119000002
さらに、このHueをグラファイトの色変化である青色:-120度~赤色:0度~黄色60度に分ける。そして、下記の平均点を算出する。
金色:100点
赤色:50点
青色:30点
平均点=「金色」×100点+「赤色」×50点+「青色」×30点
このように、平均点を算出することで、空間分布の時間変化を得ることができる。例えば、集電帯、負極(グラファイト)、SEが順に積層した積層方向を厚み方向とする。厚み方向に分離した2つのエリアを指定し、各エリアの平均点を算出すると、二次電池1の厚み方向の反応分布を定量化することができる。
本実施形態を説明する前に、比較例を説明する。図12Aは、比較例に係る電気化学反応可視化方法において、二次電池1における指定したエリアを例示した図である。図12Bは、比較例に係る電気化学反応可視化方法において、平均点の解析結果を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、平均点を示す。図12Cは、比較例に係る電気化学反応可視化方法において、抽出した活物質部分のカラーリングを例示した図である。
図12Aに示すように、平均点を算出するエリアは、例えば、負極におけるセパレータ側解析エリア(Area1)及び集電箔側解析エリア(Area2)の2箇所である。ぞれぞれの領域を「解析ROI」と呼ぶ。セパレータ側解析エリア(Area1)及び集電箔側解析エリア(Area2)は、厚み方向に分離されている。図12Bに示すように、比較例の電気化学反応可視化方法においては、平均点は、想定される平均点よりも低い。また、反応の時間差は、想定よりも長くなる。この理由は、図12Cに示すように、比較例の電気化学反応可視化方法は、グラファイト等の活物質とSEとを区別することができないので、活物質とSEとが混在して解析される。よって、充電状態(SOC)は、30%と認識されるためである。
次に、本実施形態を説明する。図13Aは、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、二次電池1における指定したエリアを例示した図である。図13Bは、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、平均点の解析結果を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、縦軸は、平均点を示す。図13Cは、実施形態1に係る電気化学反応可視化方法において、抽出した活物質部分のカラーリングを例示した図である。
図13Aに示すように、本実施形態においても、比較例と同様に、平均点を算出するエリアは、例えば、負極におけるセパレータ側解析エリア(Area1)及び集電箔側解析エリア(Area2)の2箇所である。図13Bに示すように、本実施形態の電気化学反応可視化方法においては、平均点は、想定される平均点となっている。また、反応の時間差は、想定どおりである。図13Cに示すように、本実施形態の電気化学反応可視化方法は、グラファイトの活物質部分のみを抽出することができる。よって、活物質部分について色解析を行うことができ、SEに影響されない。これにより、全固体電池でグラファイトのみを解析することができ、想定される点数を求めることができる。反応の時間差も定量化することができる。
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の電気化学反応可視化装置100は、二次電池1を満充電状態とした上で活物質を抽出する。よって、活物質と活物質以外とを明確に分離することができる。また、抽出した活物質を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出し、トラッキングを行う。よって、各充電状態においても活物質をトラッキングすることにより、活物質を電解質と区別することができる。このように、本実施形態は、各充電状態において、活物質と電解質とを容易に識別することにより、二次電池1の充電状態を解析することができる。
これまでのリチウムイオン電池など、透明な電解液が用いられる二次電池1では、カラーコンフォーカル顕微鏡を用いた充放電状態の観察に際し、電解液と活物質を容易に識別することができた。しかし、全固体電池など、未充電状態で活物質と輝度や色による識別が困難な電解質が用いられる二次電池1では、電池内部の電気化学反応のオペランド観察を行うことが困難である。これに対して、本実施形態では、充電状態で色や輝度が変化する活物質を識別する。そして、各充電状態にわたってトラッキングすることで、全固体電池の充電状態分布を可視化することができる。
また、本実施形態は、全固体電池の場合でも、色解析により、活物質の反応分布及び反応時間を高精度に検出することができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置及び電気化学反応可視化方法を説明する。本実施形態は、トラッキングを用いた電極評価法に関するものである。図14は、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置100において、画像処理部70を例示したブロック図である。図14に示すように、画像処理部70は、ドリフト補正部76、重なり算出部77、消滅面積算出部78、線膨張率算出部79を有している。画像処理部70は、ドリフト補正部76、重なり算出部77、消滅面積算出部78、線膨張率算出部79のうち、少なくともいずれかを有してもよい。
図15は、実施形態2に係る電気化学反応可視化方法を例示したフローチャート図である。本実施形態の電気化学反応可視化方法は、実施形態1の電気化学反応可視化方法に比べて、トラッキングによるドリフト補正(ステップS31)、ライン画像作成(ステップS32、S37)、ドリフト補正(ステップS33)、再追跡による準マスターマスク作成(ステップS34)、活物質劣化評価1(ステップS35)、活物質劣化評価2(ステップS36)及び解析ROI座標の膨張関数補正(ステップS38)を有している。
以下の[ドリフト補正]、[ライン画像作成]、[活物質劣化評価1]、[活物質劣化評価2]、[線膨張関数による補正]、[活物質と固体電解質の分離]及び[再追跡]において、上述した各構成及び各ステップを説明する。
[ドリフト補正]
活物質のトラッキング解析を有効に機能させるためには、光学系による二次電池1のカラー画像データ上のX方向及びY方向の位置ズレ(ドリフト)を最小限に抑える必要がある。そこで、ステップS31~S33に示すように、トラッキングによるドリフト補正、または/及び、ライン画像作成によるドリフト補正を行う。ドリフト補正のためには、まず、時系列のカラー画像データにおいて、視野内の活物質以外の不動点(ホルダーの一部のマーカーとなるもの)をトラッキングし、全カラー画像データに対して不動点が同じXY座標となるようなドリフト補正値(ΔX,ΔY)を算出する方法や、不動点の線上の位置変化を後述するライン画像から測定する方法を用いてもよい。そして、ステップS33に示すように、これらのドリフト補正値を全フレームに対して適用することによって、ドリフト補正を行う。
具体的には、窓付きセル10は、不動点を含む。カラー画像データは、不動点を含むように撮像される。ドリフト補正部76は、複数のカラー画像データにおける不動点を追跡し、不動点が同じ位置となるように各カラー画像データの位置ずれを補正する。
この補正により、カラー画像データの急激なブレ等を取り除くことができる。座標の補正値を計算する場合は、ピクセルサイズの量子化によるガタガタを解消するために、バイキュービック補間等でサブピクセル処理を行うことが重要なポイントである。
[ライン画像作成]
ステップS32及びS37に示すように、ライン画像を作成する。図16A~図16Cは、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、ライン画像を説明した図である。ライン画像は、時系列で得られたカラー画像データについて、所定の位置(例えば、全固体二次電池の正極・負極間の厚さ方向)におけるカラー画像データを時系列に並べた画像であり、図16B、図16Cにおいては、横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、例えば、厚み方向である計測ラインLM上の画素の位置を示している。例えば、図16Aに示すように、不動点NPを通る計測ラインLMを設定し、当該計測ラインLMについての各カラー画像データを時系列に並べることにより、図16Bに示すようなライン画像を得ることができる。このライン画像を、不動点NPの軌跡を解析してドリフト補正に用いたり、後述する線膨張関数や収縮関数を補正したりすることができる(例えば、図16C)。
[活物質劣化評価1]
図17Aは、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置100において、トラッキングROIの重なりがない状態を例示した図である。図17Bは、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置100において、トラッキングROIの重なりがある状態を例示した図である。
図17Aに示すように、活物質の個々のトラッキングROIの面積は、全カラー画像データを通じて不変であるので、この総面積をΣAとする。図17Bに示すように、同じカラー画像データ内のトラッキングROI同士は、活物質が接近したり移動したりすると、重なり合う場合がある。このとき、重なる部分は、色評価において重複して解析されないようにする。さらに、この重なりを含めた全面積をΣSとする。例えば、トータルの重なり面積Cは(2)式のように書ける。
Figure 2023132119000003
このように、重なりを算出する際に、ΣAを算出するために用いたマスターマスクまたはスレーブマスクを基準マスクとする。基準マスクは、ΣAを算出することができれば、任意のマスターマスクまたはスレーブマスクでもよい。後述する準マスターマスクを基準マスクに用いてもよい。ステップS35において、重なり算出部77は、例えば、基準マスクとするマスターマスクまたはスレーブマスクにおけるトラッキングROIの面積の和と、基準マスクと異なるマスターマスクまたはスレーブマスクに含まれるトラッキングROIの面積の和と、の差から、トラッキングROIの重なりを算出する。トラッキングROI同士の重なりが一切ない場合は、C=0となる。ここで、パラメータΦを(3)式のように定義する。
Figure 2023132119000004
充放電で活物質同士が押し合うことで、粒子の崩壊や劣化につながると考えると、Φの変化は、電極の劣化を評価するパラメータとして使うことができる。これは、色解析しなくとも良い方法なので、色変化のあまりないグラファイト以外の活物質評価に適用できる、簡便な方法である。
図18は、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置100において、トラッキングROIの重なりを例示した図である。図18に示すように、重なりを面積ではなく、X方向(例えば、第1方向)の重なりの長さLxの合計、Y方向(例えば、第2方向)の重なりの長さLyの合計にすることで、二次電池1内の活物質の変形や移動の方向性を評価することができる。トラッキングROIのX方向の長さの合計に対するX方向の重ならない長さの割合及びトラッキングROIのY方向の長さの合計に対するY方向の重ならない長さの割合をそれぞれ、(4)式及び(5)式のように定義する。トラッキングROIのX方向の長さの合計とY方向の長さの合計をそれぞれ、ΣLRXとΣLRYとする。
Figure 2023132119000005
Figure 2023132119000006
ここでは、重なりを算出する際に、ΣLRXとΣLRYを算出するために用いたマスターマスクまたはスレーブマスクを基準マスクとする。基準マスクは、ΣLRXとΣLRYを算出することができれば、任意のマスターマスクまたはスレーブマスクでもよい。後述する準マスターマスクを基準マスクに用いてもよい。ステップS35において、重なり算出部77は、基準マスクとするマスターマスクまたはスレーブマスクに含まれる各トラッキングROIのX方向の長さの和及びY方向の長さの和の少なくともいずれかと、基準マスクと異なるマスターマスクまたはスレーブマスクに含まれる各トラッキングROIのX方向の長さの和及びY方向の長さの和の少なくともいずれかと、の差から、トラッキングROIのX方向及びY方向の少なくともいずれかの長さの重なりを算出する。活物質劣化評価1では、重なり算出部77は、ラッキングROIの重なり面積、及び、重なり長さの少なくともいずれかを算出することにより、活物質の劣化を評価する。
[活物質劣化評価2]
活物質をトラッキングする際に、活物質が破断、崩壊等により、活物質を捕捉できない場合は、そのトラッキングROIの属性を「Lost」とする。Lost属性のトラッキングROIの総面積をΣLとし、パラメータχを(6)式のように定義する。
Figure 2023132119000007
ここでは、ΣAを算出するために用いたマスターマスクまたはスレーブマスクを基準マスクとする。基準マスクは、ΣAを算出することができれば、任意のマスターマスクまたはスレーブマスクでもよい。後述する準マスターマスクを基準マスクに用いてもよい。消滅面積算出部78は、基準マスクとするマスターマスクまたはスレーブマスクのトラッキングROIのうち、対応するトラッキングROIが基準マスクと異なるマスターマスクまたはスレーブマスクにおいて消滅したものの面積を算出する。ステップS36に示すように、活物質劣化評価2として、消滅面積算出部78は、トラッキングROIの消滅を算出することにより、トラッキングで捕捉できない程度のコントラスト変化しかでない状態がどの程度実験に含まれているかをパラメータχから評価する。つまり、全体の色解析の出来具合を評価する指標として、このパラメータを用いることができる。
[線膨張関数による補正]
次に、線膨張関数による補正を説明する。まず、ステップS37に示すように、ステップS33と同様の方法で、ライン画像を生成する。次に、ステップS38に示すように、解析ROI座標の膨張関数補正を行う。以下で、図を参照して説明する。
図19は、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置100において、膨張関数及び収縮関数を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、膨張率を示し、右側の縦軸は、電圧を示す。図19では、例えば、カラー画像データのY方向に沿った線上のライン画像からY軸方向の膨張率を解析した結果を示している。図19に示すように、0時間から12時間までは、二次電池1のY軸方向の膨張率は増加している。これは電圧が高くなっていくことに対応している。すなわち、充電されていることを示す。一方、12時間から20時間までは、二次電池1のY軸方向の膨張率は減少している。これは電圧が低くなっていくことに対応している。すなわち、放電されていることを示す。
線膨張率算出部79は、各充電状態におけるトラッキングROIのY方向(例えば、第2方向)の線膨張率を算出する。そして、線膨張率算出部79は、0時間から12時間までのY軸方向の線膨張率の時間変化及び12時間から20時間までのY軸方向の線膨張率の時間変化を、それぞれ、多項式等で近似関数化(あるいは参照テーブル)する。例えば、線膨張率算出部79は、0時間から12時間までの時間に対して線膨張率が増加する変化を近似する膨張関数を算出する。また、線膨張率算出部79は、12時間から20時間までの時間に対して線膨張率が減少する変化を近似する収縮関数を算出する。
図20A及び図20Bは、実施形態2に係る電気化学反応可視化装置において、膨張関数による解析ROI座標の補正を例示した図である。図20Aに示すように、解析ROI-A及び解析ROI-Bの初期Y座標は、Ya及びYbで与えられている。図20Bに示すように、充電時における解析ROI-A及び解析ROI-Bの補正Y座標は、膨張関数Ey(t)を用いて、下記の(7)式及び(8)式により算出することができる。なお、Y座標の原点は、ドリフト補正の「不動点」を原点とすることが好ましい。
Figure 2023132119000008
Figure 2023132119000009
このような補正によって、膨張収縮によって解析ROIの位置が電極内の相対位置からずれることを抑制することができる。この方法により、色解析等の解析領域を必要最小限の大きさに制限することが可能となる。解析領域をできるだけ制限することは、空間的な分解能を向上させることと、解析の計算負荷を減らすことにつながり、解析コストを削減するために必要な処理となる。
なお、線膨張率算出部79は、Y方向(例えば、第2方向)の線膨張率を算出したが、これに限らず、X方向(例えば、第1方向)及びY方向(例えば、第2方向)の少なくともいずれかの線膨張率を算出してもよい。また、上の説明は、解析ROI(解析領域)の膨張補正について述べたものであるが、まったく同様の補正をマスターROI座標の膨張収縮補正についても適用することができる。
[活物質と固体電解質の分離]
充電される前(放電状態)の活物質と固体電解質とは、カラー画像データ全体を同じ基準を使って、二値化処理で分離するのは極めて困難である。しかし、ある場所の活物質の近傍だけに着目した場合は、色相や輝度を使って二値化処理等で分離することが可能である。そこで、活物質をトラッキングした、そのトラッキングROI内においで、それぞれのトラッキングROI毎に活物質と固体電解質の二値化処理条件を設定する。こうすることで、活物質と固体電解質とを精度よく分離することが可能となる。例えば、マスター抽出部73及びスレーブ抽出部74は、各トラキングROI内の活物質部分と、活物質部分以外の部分と、を分離してもよい。
[再追跡]
トラッキング時に、活物質を捕捉できない場合、解析の途中でマスターROIをあらためて作成する。仮に、これを準マスターROIとする。トラッキングの捕捉が充放電過程を通じて一貫して実行できない場合は、いくかの時間において作成した準マスターROIを参照することで、トラッキングを継続させることができる。
このように、ステップS34に示すように、再追跡による準マスターマスクの作成を行ってもよい。具体的には、マスター抽出部73が抽出した活物質部分の位置をスレーブ抽出部74が追跡できない場合に、マスター抽出部73は、満充電状態以外の充電状態のカラー画像データを選択してもよい。そして、マスター抽出部73は、選択したカラー画像データにおいて輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出し、活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出してもよい。さらに、マスター抽出部73は、複数のトラッキングROIを含む準マスターROIを生成し、生成した準マスターROIから、トラッキングROIの部分を有効領域とし、トラッキングROI以外の部分を無効領域とした準マスターマスクを生成してもよい。なお、上述した[活物質劣化評価1]及び[活物質劣化評価2]における基準マスクに準マスターマスクを用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1及び2における各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
また、本実施形態の電気化学反応可視化方法をコンピュータに実行させる下記の電気化学反応可視化プログラムも実施形態の技術思想に含まれる。
二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化プログラムであって、
透明窓を有し、満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む前記二次電池を収納する観察用セルと、
前記充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する充放電コントローラと、
前記透明窓を介して前記二次電池を照明光で照明するとともに、前記照明光が前記二次電池で反射した反射光を透過させる対物レンズを有し、前記対物レンズと前記二次電池との間の相対距離を変化させながら前記二次電池のカラー画像データを取得するカラーコンフォーカル撮像部と、
を備えた電気化学反応可視化装置から、前記二次電池の各充電状態の前記カラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得させるデータ取得ステップと、
前記カラー画像データ及び前記充放電データを時系列で対応付けさせるリンクステップと、
前記満充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択された前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を前記活物質部分として抽出させ、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出させるマスター抽出ステップと、
各充電状態に対応した前記カラー画像データにおいて、抽出した前記活物質部分の位置を追跡させ、追跡した前記活物質部分を囲む範囲を前記トラッキングROIとして抽出させるスレーブ抽出ステップと、
をコンピュータに実行させる電気化学反応可視化プログラム。
また、上述した電気化学反応可視化プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
1 二次電池
2 正極集電板
3 正極活物質層
4 セパレータ
5 負極活物質層
6 負極集電板
10 窓付きセル
10a、10b 接続端子
19 透明窓
20 充放電コントローラ
30 カラーコンフォーカル撮像部
31 照明光源
32 ビームスプリッタ
33 2次元スキャナ
34 対物レンズ
35 モータ
36 距離センサ
37 画像取得部
50 信号処理部
51 入力装置
52 モニタ
53 クロック装置
54 全焦点画像形成手段
55 第1のメモリ
56 3次元画像形成手段
57 第2のメモリ
58 第3のメモリ
59 SOC演算手段
60 第4のメモリ
61 出力手段
70 画像処理部
71 取得部
72 リンク部
73 マスター抽出部
74 スレーブ抽出部
75 色解析部
76 ドリフト補正部
77 重なり算出部
78 消滅面積算出部
79 線膨張率算出部
100 電気化学反応可視化装置

Claims (20)

  1. 二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化装置であって、
    透明窓を有し、満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む前記二次電池を収納する窓付きセルと、
    前記充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する充放電コントローラと、
    前記透明窓を介して前記二次電池を照明光で照明するとともに、前記照明光が前記二次電池で反射した反射光を透過させる対物レンズを有し、前記対物レンズと前記二次電池との間の相対距離を変化させながら前記二次電池のカラー画像データを取得するカラーコンフォーカル撮像部と、
    前記二次電池の各充電状態の前記カラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得する画像処理部と、
    を備え、
    前記画像処理部は、
    前記カラー画像データ及び前記充放電データを時系列で対応付けるリンク部と、
    前記満充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するマスター抽出部と、
    各充電状態に対応した前記カラー画像データにおいて、抽出した前記活物質部分の位置を追跡し、追跡した前記活物質部分を囲む範囲を前記トラッキングROIとして抽出するスレーブ抽出部と、
    を有する、
    電気化学反応可視化装置。
  2. 前記画像処理部は、前記活物質部分のRGB輝度を色相に変換することにより、各充電状態を解析する色解析部をさらに有する、
    請求項1に記載の電気化学反応可視化装置。
  3. 前記マスター抽出部は、
    複数の前記トラッキングROIを含むマスターROIを生成し、
    生成した前記マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成し、
    前記スレーブ抽出部は、
    複数の前記トラッキングROIを含むスレーブROIを生成し、
    生成した前記スレーブROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成する、
    請求項1または2に記載の電気化学反応可視化装置。
  4. 前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、の差から、前記トラッキングROIの重なりを算出する重なり算出部をさらに有する、
    請求項3に記載の電気化学反応可視化装置。
  5. 前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる各トラッキングROIの第1方向の長さの和及び前記第1方向に直交する第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる各トラッキングROIの前記第1方向の長さの和及び前記第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、の差から、前記トラッキングROIの前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかの長さの重なりを算出する重なり算出部をさらに有する、
    請求項3または4に記載の電気化学反応可視化装置。
  6. 前記画像処理部は、基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクの前記トラッキングROIのうち、対応する前記トラッキングROIが前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクにおいて消滅したものの面積を算出する消滅面積算出部をさらに有する、
    請求項3に記載の電気化学反応可視化装置。
  7. 各充電状態におけるトラッキングROIの第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向のうち少なくともいずれかの線膨張率を算出する線膨張率算出部をさらに有し、
    前記線膨張率算出部は、時間に対して前記線膨張率が増加する変化を近似する膨張関数、及び、前記時間に対して前記線膨張率が減少する変化を近似する収縮関数の少なくともいずれかを算出する、
    請求項3に記載の電気化学反応可視化装置。
  8. 前記窓付きセルは、不動点を含み、
    前記カラー画像データは、前記不動点を含むように撮像され、
    前記画像処理部は、複数の前記カラー画像データにおける前記不動点を追跡し、前記不動点が同じ位置となるように各カラー画像データの位置ずれを補正するドリフト補正部をさらに有する、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の電気化学反応可視化装置。
  9. 前記マスター抽出部及び前記スレーブ抽出部は、各トラキングROI内の前記活物質部分と、活物質部分以外の部分と、を分離する、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の電気化学反応可視化装置。
  10. 前記マスター抽出部が抽出した前記活物質部分の位置を前記スレーブ抽出部が追跡できない場合に、
    前記マスター抽出部は、
    満充電状態以外の前記充電状態の前記カラー画像データを選択し、
    選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を前記活物質部分として抽出し、
    前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出し、
    複数の前記トラッキングROIを含む準マスターROIを生成し、
    生成した前記準マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域とした準マスターマスクを生成する、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の電気化学反応可視化装置。
  11. 二次電池の充放電中の状態変化を可視化する電気化学反応可視化方法であって、
    透明窓を有し、満充電状態で輝度が大きくなる活物質を含む前記二次電池を収納する窓付きセルと、
    前記充放電中に充電量が異なる複数の充電状態を経るように、充放電を制御する充放電コントローラと、
    前記透明窓を介して前記二次電池を照明光で照明するとともに、前記照明光が前記二次電池で反射した反射光を透過させる対物レンズを有し、前記対物レンズと前記二次電池との間の相対距離を変化させながら前記二次電池のカラー画像データを取得するカラーコンフォーカル撮像部と、
    を備えた電気化学反応可視化装置から、前記二次電池の各充電状態の前記カラー画像データ、及び、各充電状態の充放電データを取得するデータ取得ステップと、
    前記カラー画像データ及び前記充放電データを時系列で対応付けるリンクステップと、
    前記満充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出するマスター抽出ステップと、
    各充電状態に対応した前記カラー画像データにおいて、抽出した前記活物質部分の位置を追跡し、追跡した前記活物質部分を囲む範囲を前記トラッキングROIとして抽出するスレーブ抽出ステップと、
    を有する電気化学反応可視化方法。
  12. 前記活物質部分のRGB輝度を色相に変換することにより、各充電状態を解析する色解析ステップをさらに有する、
    請求項11に記載の電気化学反応可視化方法。
  13. 前記マスター抽出ステップは、
    複数の前記トラッキングROIを含むマスターROIを生成し、
    生成した前記マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたマスターマスクを生成し、
    前記スレーブ抽出ステップは、
    複数の前記トラッキングROIを含むスレーブROIを生成し、
    生成した前記スレーブROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域としたスレーブマスクを生成する、
    請求項11または12に記載の電気化学反応可視化方法。
  14. 基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの面積の和と、の差から、前記トラッキングROIの重なりを算出する重なり算出ステップをさらに有する、
    請求項13に記載の電気化学反応可視化方法。
  15. 基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの第1方向の長さの和及び前記第1方向に直交する第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクに含まれる前記トラッキングROIの前記第1方向の長さの和及び前記第2方向の長さの和の少なくともいずれかと、の差から、前記トラッキングROIの前記第1方向及び前記第2方向の少なくともいずれかの長さの重なりを算出する重なり算出ステップをさらに有する、
    請求項13または14に記載の電気化学反応可視化方法。
  16. 基準マスクとする前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクの前記トラッキングROIのうち、対応する前記トラッキングROIが前記基準マスクと異なる前記マスターマスクまたは前記スレーブマスクにおいて消滅したものの面積を算出する消滅面積算出ステップをさらに有する、
    請求項13に記載の電気化学反応可視化方法。
  17. 各充電状態におけるトラッキングROIの第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれかの線膨張率を算出する線膨張率算出ステップをさらに有し、
    前記線膨張率算出ステップは、時間に対して前記線膨張率が増加する変化を近似する膨張関数、及び、前記時間に対して前記線膨張率が減少する変化を近似する収縮関数の少なくともいずれかを算出する、
    請求項13に記載の電気化学反応可視化方法。
  18. 前記窓付きセルは、不動点を含み、
    前記カラー画像データは、前記不動点を含むように撮像され、
    複数の前記カラー画像データにおける前記不動点を追跡し、前記不動点が同じ位置となるように、各カラー画像データの位置ずれを補正するドリフト補正ステップをさらに有する、
    請求項11~17のいずれか1項に記載の電気化学反応可視化方法。
  19. 前記マスター抽出ステップ及び前記スレーブ抽出ステップは、各トラキングROI内の前記活物質部分と、活物質部分以外の部分と、を分離する、
    請求項11~18のいずれか1項に電気化学反応可視化方法。
  20. 前記マスター抽出ステップで抽出した前記活物質部分の位置を前記スレーブ抽出ステップにおいて追跡できない場合に、
    満充電状態以外の前記充電状態の前記カラー画像データを選択し、選択した前記カラー画像データにおいて前記輝度が所定の閾値以上の部分を前記活物質部分として抽出し、前記活物質部分を囲む範囲をトラッキングROIとして抽出し、
    複数の前記トラッキングROIを含む準マスターROIを生成し、
    生成した前記準マスターROIから、前記トラッキングROIの部分を有効領域とし、前記トラッキングROI以外の部分を無効領域とした準マスターマスクを生成する準マスター抽出ステップをさらに有する、
    請求項11~19のいずれか1項に電気化学反応可視化方法。
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