JP2023130573A - 金属錯体、オレフィン重合用触媒、並びに、当該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体及び共重合体の製造方法 - Google Patents

金属錯体、オレフィン重合用触媒、並びに、当該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィン重合体及び共重合体の製造方法 Download PDF

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直正 佐藤
Naomasa Sato
拓矢 河島
Takuya Kawashima
啓司 山元
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Abstract

【課題】オレフィン重合体及び共重合体の製造用の新規な金属錯体、並びにそれを用いたオレフィン重合体及び共重合体の製造方法を提供する。【解決手段】下記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である、金属錯体。JPEG2023130573000026.jpg56108【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィンの重合体及び共重合体の製造に有用な金属錯体、オレフィン重合用触媒、並びにそれを用いた新規なオレフィン重合体及び共重合体の製造方法に関する。
エチレンと極性基含有ビニルモノマーである酢酸ビニルや(メタ)アクリル酸エステルとを高温高圧のラジカル重合で共重合する方法はよく知られている。しかしながら、この方法では、多数の分岐生成により結晶性の低い共重合体となるため、得られた共重合体の強度が低いという欠点がある。また、Brookhartらはα-ジイミン配位子を有するパラジウム錯体を触媒として、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体が製造できることを報告している(非特許文献1)。しかしながら、得られた共重合体は分岐構造に富むものであり、結晶性の低いものである。
Pughら、野崎ら、及びGoodallらは、ホスフィノスルホン酸配位子を有するパラジウム錯体を触媒として用いることにより、エチレンとアクリル酸メチルの共重合体が得られることを報告している(非特許文献2,非特許文献3,特許文献1)。しかしながら、これらの公知文献で用いられている触媒は、希少な資源であり、かつ、高価なパラジウムを用いているため、工業的な応用には問題が大きい。
我々は、いわゆるSHOP系と呼ばれる、リンと酸素を配位原子とする配位子を有するニッケル触媒を用いることにより、分岐が少ない直鎖状のエチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体が得られることを報告している(特許文献2、特許文献3)。しかしながら、工業化に向けては更なる触媒活性の向上が求められている。
米国特許出願公開第2007/0049712号明細書 国際公開第2010/050256号公報 特開2019-156764号公報
J.Am.Chem.Soc.1998,120,888-899. Chem.Commun.2002,744-745. Dalton Trans.2006,25-27.
オレフィン重合もしくはオレフィン/(メタ)アクリル酸エステル等の共重合において、より高活性で重合体を与える触媒が望まれている。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、オレフィン重合体及び共重合体の製造に用いられる、より高活性で重合体を与える新規な金属錯体、オレフィン重合用触媒、並びにそれを用いたオレフィン重合体及び共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、架橋部の芳香環、及び/又は、リン原子等(E)の置換基の芳香環が、窒素原子を含む芳香族複素環構造を有する配位子構造を備えた特定の遷移金属錯体を用いると、オレフィンの単独重合又は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合が可能であって、より高活性で重合体又は共重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属錯体は、下記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である金属錯体である。
[式(A-1)及び式(A-2)中、
は酸素原子または硫黄原子を表す。
はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
Zは、水素原子、または脱離基を表し、mはZの価数を表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
式(B)及び式(B’)中、
10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
また、本発明の金属錯体は、下記一般式(A)で表される、金属錯体である。
[式(A)中、
Mは周期表9族、10族または11族に属する遷移金属原子を表す。
は酸素原子または硫黄原子を表す。
はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
は、水素原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはMに配位したリガンドを表す。
はMに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR,CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
式(B)及び式(B’)中、
10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記本発明の金属錯体を含むことを特徴とする。
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物を含む。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に、酸素原子含有置換基であることが、高活性で重合体を与える点から好ましい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることが、高活性で重合体を与える点から好ましい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることが、電子的効果の点から好ましい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
前記A及びA5’、A及びA6’、又は、A及びA7’のいずれか1組が窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることが、高活性で重合体を与える点から好ましい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であるとき、Aが周期表14族の原子であり、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であってよい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記Aが周期表14族の原子であり、Rが、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基であることが、高活性で重合体を与える点から好ましい。
本発明の金属錯体及びオレフィン重合用触媒においては、前記A、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’において周期表14族の原子が炭素原子であることが、電子的効果の点から好ましい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、前記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合することを特徴とする。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合する製造方法であってよい。
本発明によれば、オレフィン重合体及び共重合体の製造に用いられる、より高活性で重合体を与える新規な金属錯体、及びオレフィン重合用触媒を提供することができる。
本発明の金属錯体、オレフィン重合用触媒を使用すると、より高活性で、オレフィン(共)重合体を得ることができる。
本発明は、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、ニッケル、パラジウム、コバルト、銅またはロジウム等の周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物、典型的には一般式(A)で表される金属錯体、並びにそれをオレフィン重合用触媒とし、その触媒の存在下に行うオレフィンの重合体の製造方法、及びオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルモノマー等極性基含有モノマーとの共重合体の製造方法である。
本発明において、「重合」とは、1種類のモノマーの単独重合と複数種のモノマーの共重合を総称するものであり、特に両者を区別する必要がない場合には、総称して単に「重合」と記載する。また、本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの両方を含む。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
1.金属錯体
本発明の金属錯体は、下記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である。
[式(A-1)及び式(A-2)中、
は酸素原子または硫黄原子を表す。
はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
Zは、水素原子、または脱離基を表し、mはZの価数を表す。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
式(B)及び式(B’)中、
10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
本発明の金属錯体、すなわち、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物は、例えば、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物とを接触させることにより得られる。
本発明において「接触」とは、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物中のEが、上記遷移金属と配位結合を形成でき、かつ/又は、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物中のXが、上記遷移金属と単結合を形成できるように、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、上記遷移金属化合物とが十分近傍に存在することを意味する。そして、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と上記遷移金属化合物とを接触させるとは、これらの化合物を十分近傍に存在させ、上記2種類の結合の少なくともいずれか一方が形成できるように、これらの化合物を混合することを意味する。
前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と上記遷移金属化合物とを混合する条件は、特に限定されない。これらの化合物を直に混合してもよいし、溶媒を用いて混合してもよい。特に、均一な混合を達成する観点から、溶媒を用いることが好ましい。
得られる金属錯体中において、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物は配位子となることから、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と上記遷移金属化合物との反応は、通常、配位子交換反応となる。得られる金属錯体が上記遷移金属化合物よりも熱力学的に安定である場合には、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と上記遷移金属化合物とを室温(15~30℃)で混合することにより配位子交換反応が進行する。一方、得られる金属錯体が上記遷移金属化合物よりも熱力学的に不安定である場合には、配位子交換反応を十分に進行させるため、上記混合物を適宜加熱することが好ましい。
前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である金属錯体としては、後述する一般式(A)に示す構造を有すると推定される。
しかし、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物は、二座配位子であるから、当該化合物を周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物と接触させた場合には一般式(A)に示す構造以外の構造を有する金属錯体が生成する可能性がある。例えば、一般式(A-1)または(A-2)中のXのみが遷移金属と結合を形成する場合や、これらの式中のEのみが遷移金属と結合を形成する場合も考えられる。また、一般式(A)で表される金属錯体は、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と遷移金属化合物との1:1反応生成物であるところ、遷移金属の種類によっては異なる組成比の反応生成物が得られることも考えられる。例えば、2分子以上の前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物が1つの遷移金属と錯体を形成する場合も考えられるし、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物1分子が2つ以上の遷移金属と反応して多核錯体を合成する場合も考えられる。
本発明においては、このような一般式(A)に示す構造以外の構造を有する金属錯体が、一般式(A)で表される金属錯体と同様に、オレフィン重合用触媒として、オレフィン(共)重合体の製造に用いることが可能であることを否定するものではない。
本発明の金属錯体を使用すると、より高活性で、オレフィン(共)重合体を得ることができる。
本発明の金属錯体においては、配位子の架橋部の芳香環、及び/又は、リン原子等(E)の置換基の芳香環が、窒素原子を含む芳香族複素環構造を有する。芳香族複素環中の窒素原子は、電気陰性度が炭素原子等の14族の原子よりも高いために、芳香族複素環は僅かに電子不足となり、中心金属M(遷移金属)の求電子性が高まることが推定される。また、リン原子等(E)の置換基の芳香環がR10、R14、R10’、及びR14’としてヘテロ原子含有置換基を有することにより、ヘテロ原子が置換活性な原子として中心金属と相互作用し、中心金属のアピカル位を立体的および電子的に覆ったり離れたりすることで、各種遷移状態がコントロールされると推定される。これらの相乗効果により重合活性が向上したものと推察される。
以下、前記一般式(A-1)または(A-2)中のA~A、n、R~R、E、X、ならびに、Z、mについて説明する。
、A、A、及びAは、それぞれ独立に、周期表14族または窒素原子を表す。nは、0または1であり、A~Aが窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~Aに置換基R~Rは存在しない。A~Aが周期表14族の原子の場合nは1であって、このとき周期表14族の原子であるA~Aに置換基R~Rが存在する。
周期表14族の原子としては、炭素原子、またはケイ素原子であってよく、炭素原子であってよい。
前記A、A、A又はAのうち、3つが窒素原子であり、1つが周期表14族の原子であってもよく、2つが窒素原子であり、2つが周期表14族の原子であってもよく、1つが窒素原子であり、3つが周期表14族の原子であってもよい。
前記A、A、A又はAのうち、少なくとも1つが窒素原子である場合、電子的効果の点から、A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であることが好ましい。
一方、立体的および電子的効果の点から、置換基Rが存在することが好ましく、Aは周期表14族の原子であることが好ましい。
従って、前記A、A、A又はAのうち、少なくとも1つが窒素原子である場合、立体的および電子的効果の点から、Aが周期表14族の原子であり、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であることが好ましく、A又はAのいずれか1つが窒素原子であってよく、Aが窒素原子であってよい。
また、A、A、A、及びAはすべて、周期表14族の原子であってもよい。この場合、後述するA、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つは窒素原子である。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、下記(i)~(iv)からなる群より選ばれる原子または基を表す。
(i)水素原子
(ii)ハロゲン原子
(iii)ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基
(iv)OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)
(ii)ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子が好ましい。
(iii)におけるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子、ホウ素原子が挙げられる。置換基としてのヘテロ原子としては、ハロゲン原子であってよく、ハロゲン原子としては前記(ii)と同様であってよい。
(iii)におけるヘテロ原子含有置換基として、例えば、酸素原子含有置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アシルオキシ基等が挙げられ、窒素原子含有置換基としては、アミノ基、アミド基が挙げられ、硫黄原子含有置換基としては、アルキルチオ基やアリールチオ基が挙げられ、リン原子含有置換基としては、フォスフィノ基が挙げられ、セレン原子含有置換基としては、セレニル基が挙げられ、ケイ素原子含有置換基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基が挙げられ、フッ素原子含有置換基としては、フルオロアルキル基、フルオロアリール基が挙げられ、ホウ素原子含有置換基としては、アルキルホウ素基、アリールホウ素基が挙げられる。また、(iii)におけるヘテロ原子含有置換基としては、後述する(iv)に挙げられるヘテロ原子含有置換基と同様の基であってもよい。(iii)に使用されるヘテロ原子含有置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはエステル基であってよい。
(iii)における炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、直鎖、分岐、環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭素数1~30の直鎖状アルキル基、炭素数3~30の分岐した非環状アルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数3~30の側鎖を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、及び炭素数7~30のアルキルアリール基等が挙げられる。
炭素数1~30の炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デシル基、t-ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、イソ(i-)プロピル基、1-ジメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、i-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、2-プロピルヘプチル基、2-オクチル基、3-ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ノルボルニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2-i-プロピルフェニル基、3-i-プロピルフェニル基、4-i-プロピルフェニル基、2,4-ジi-プロピルフェニル基、2,5-ジi-プロピルフェニル基、2,6-ジi-プロピルフェニル基、3,5-ジi-プロピルフェニル基、2-t-ブチルフェニル基、3-t-ブチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2,4-ジt-ブチルフェニル基、2,5-ジt-ブチルフェニル基、2,6-ジt-ブチルフェニル基、3,5-ジt-ブチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
(iii)においては、R~Rに相当する置換基の総炭素数が、好ましくは1~30であり、より好ましくは2~25であり、さらに好ましくは4~20である。
(iii)としては、(iii-A)炭素数1~30の直鎖状アルキル基、炭素数3~30の分岐した非環状アルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数3~30の側鎖を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、及び炭素数7~30のアルキルアリール基、(iii-B)上記(iii-A)のそれぞれの基に上記ヘテロ原子が1又は2以上置換している基、(iii-C)上記(iii-A)のそれぞれの基にヘテロ原子含有置換基が1又は2以上置換している基、並びに、(iii-D)上記(iii-A)のそれぞれの基に、上記ヘテロ原子が1又は2以上置換し、かつ、ヘテロ原子含有置換基が1又は2以上置換している基を指す。(iii-C)については、例えば、アルコキシ基が置換しているアルキル基や、エステル基が置換しているアリール基等が挙げられる。
(iv)は、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基である。
ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。
また、(iv)のヘテロ原子含有置換基に含まれる複数の基(R、R)が互いに連結し、環を形成してもよい。例えば、N(Rはカルバゾリル基であってもよい。
前記(iv)の例示としては、例えば、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ジメチルアミド基、アセチル基、ベンゾイル基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、フェニルチオ基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、メチルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ジメチルホスフェート基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、カルバゾリル基、ピペリジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリメチルシリルオキシ基、トリメトキシシロキシ基、カルボン酸ナトリウム、スルフォン酸ナトリウム、スルフォン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
また、R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、前記(ii)、(iii)及び(iv)の少なくとも1種が挙げられる。
とりわけRの立体的および電子的影響は触媒性能に大きく係るため、Aは14族の原子であることが好ましく、Rは、(iii)ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、又は(iv)ヘテロ原子含有置換基であることが好ましい。
中心金属との距離が近く、中心金属に直接的に立体的および電子的な影響を及ぼすため、中でも、Rはヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基であることがより好ましい。
は、金属錯体となった際には、中心金属M(遷移金属)側に張り出して、立体的に相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、Rはかさ高い方が好ましい。そのため、Rの炭化水素基の好ましい炭素数は3~30、さらに好ましくは3~20、よりさらに好ましくは3~15である。
は、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい、炭素数3~30の直鎖状アルキル基、炭素数3~30の分岐した非環状アルキル基、炭素数3~30の側鎖を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は、炭素数7~30のアルキルアリール基であってよく、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい、炭素数3~30の分岐した非環状アルキル基、炭素数3~30の側鎖を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は、炭素数7~30のアルキルアリール基であってよく、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい、炭素数6~30のアリール基、又は、炭素数7~30のアルキルアリール基であってよい。炭素数7~30のアルキルアリール基としては、炭素数1~6のアルキル基が置換した炭素数6~18のアリール基であってもよい。
として用いられるヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、1-プロピル基、i-プロピル基、1-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ノルボルニル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フルオレニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,3,4-トリメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2-i-プロピルフェニル基、3-i-プロピルフェニル基、4-i-プロピルフェニル基、2,4-ジi-プロピルフェニル基、2,5-ジi-プロピルフェニル基、2,6-ジi-プロピルフェニル基、3,5-ジi-プロピルフェニル基、2-t-ブチルフェニル基、3-t-ブチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2,4-ジt-ブチルフェニル基、2,5-ジt-ブチルフェニル基、2,6-ジt-ブチルフェニル基、3,5-ジt-ブチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が好適なものとして挙げられる。
また、Rとして用いられるヘテロ原子含有置換基としては、具体的には、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、エトキシカルボニル基、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、フェニルチオ基、シクロヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、カルバゾリル基、ピペリジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリメチルシリルオキシ基、トリメトキシシロキシ基等が好適なものとして挙げられる。
、R及びRは、それぞれ独立に、好ましいものとして、(i)水素原子;(ii)フッ素原子、塩素原子、臭素原子;(iii)炭素数1~30の直鎖状アルキル基、炭素数3~30の分岐した非環状アルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数3~30の側鎖を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、及び炭素数7~30のアルキルアリール基;(iv)メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ニトリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリメチルシリルオキシ基、トリメトキシシロキシ基、シクロヘキシルアミノ基、スルフォン酸ナトリウム、スルフォン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
、R及びRは、それぞれ独立に、これらの中で特に好ましいものとしては、(i)水素原子;(iii)メチル基、t-ブチル基;(iv)トリメチルシリル基等が挙げられる。
、R及びRとしては、Mに電子的影響を与え、触媒のチューニングに使用できる点から、それぞれ独立に、(iii)ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、または(iv)ヘテロ原子含有置換基であってもよいが、合成の点からは水素原子であってよい。
は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
式(B)及び式(B’)中、R10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
10、R14、R10’、及びR14’におけるヘテロ原子含有置換基は、前記R~Rの(iii)において説明したヘテロ原子含有置換基と同様であってよい。
10、R14、R10’、及びR14’におけるヘテロ原子含有置換基としては、中心金属との相互作用のしやすさ及び置換活性度の点から、酸素原子含有置換基が好ましい。
酸素原子含有置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、エステル基、アシルオキシ基であってよく、OR20、C(O)R20、CO20、またはOC(O)R20であってよく、ここでのR20はそれぞれ独立に、炭素数1~30の炭化水素基であってよい。前記R20はそれぞれ独立に、炭素数1~30の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基、或いは、炭素数6~30のアリール基またはアルキルアリール基であってよく、炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基、或いは、炭素数6~30のアリール基またはアルキルアリール基であってよく、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基、或いは、炭素数6~12のアリール基またはアルキルアリール基であってよく、炭素数1~7の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基、或いは、炭素数6~12のアリール基またはアルキルアリール基であってよい。
10、R14、R10’、及びR14’におけるヘテロ原子含有置換基としては、中でも中心金属との相互作用のしやすさ及び置換活性度の点から、それぞれ独立に、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種としては、炭素数1~20のアルコキシ基または炭素数6~30のアリールオキシ基であってよく、炭素数1~12のアルコキシ基または炭素数6~12のアリールオキシ基であってよく、炭素数1~6のアルコキシ基または炭素数6~10のアリールオキシ基であってよい。
10、R14、R10’、及びR14’における酸素原子含有置換基としては具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基などのアリールオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などのエステル基、アセトキシ基などのアシルオキシ基が好適なものとして挙げられ、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基などのアリールオキシ基が好適なものとして挙げられる。
式(B)及び式(B’)中、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表す。
nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’にそれぞれ置換基R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。A~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子の場合nは1であって、このとき周期表14族の原子であるA~A及びA5’~A7’にそれぞれ置換基R11~R13及びR11’~R13’が存在する。
周期表14族の原子については、前記A~Aと同様であってよい。
~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
従って、A~Aの少なくとも1つが窒素原子である場合には、前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’のすべてが周期表14族の原子であってもよい。
一方、A~Aのすべてが周期表14族の原子である場合には、前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つが窒素原子である。
前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’において、窒素原子は、電子的影響の点から、1つ以上4つ以下であってよく、2つ以上3つ以下であってよく、2つであってよい。
例えば、前記A、A、またはAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってもよく、
前記A、A、またはAのいずれか2つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってもよく、
前記A、A、またはAのいずれか1つが窒素原子であり、前記A5’、A6’、またはA7’のいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってもよく、
前記A、A、またはAのいずれか2つが窒素原子であり、前記A5’、A6’、またはA7’のいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってもよく、
前記A、A、またはAのいずれか2つが窒素原子であり、前記A5’、A6’、またはA7’のいずれか2つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってもよい。
好ましくは前記A、A、またはAのいずれか1つが窒素原子であり、前記A5’、A6’、またはA7’のいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が14族の原子であってよく、より好ましくは前記A及びA5’、A及びA6’、又は、A及びA7’のいずれか1組が窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってよい。
他の好ましい形態としては前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が14族の原子であるか、或いは、
前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってよい。
中でも、前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
前記A及びA5’、A及びA6’、又は、A及びA7’のいずれか1組が窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であってよい。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)
また、R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’における前記原子または基は、それぞれ、前記R、R、R及びRにおいて説明した(i)~(iv)からなる群より選ばれる原子または基と同様であってよい。
11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、これらの中で特に好ましいものとしては、(i)水素原子;(iii)メチル基、t-ブチル基、;(iv)トリメチルシリル基等が挙げられ、水素原子であってもよい。
また、R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成する構造も好適に用いられる。
及びRは、中心金属M(遷移金属)に電子的影響を与え、触媒のチューニングに使用できる点から、それぞれ異なっていてもよいが、合成の点からは同一であってもよい。
は酸素原子、硫黄原子、またはSOを表す。この中でも、Xは酸素原子であることが好ましい。
はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。この中でも、Eはリン原子であることが好ましい。
Zは、水素原子、または脱離基を表す。Zは、具体的には、水素原子、RSO基(ここでRは、前記したとおりである)、CFSO基などを挙げることができる。
mはZの価数を表す。
本発明における前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物における置換基等の具体的な組み合わせを、下記表1および表2に示す。表1には、R及びRの組み合わせを示す。表2においてR及びRの組み合わせは表1を参照する。
~A、A5’~A7’、R~R、R10~R14、R10’~R14’、E、X、Z、及びmの組み合わせにより前記一般式(A-1)で表される化合物を表し、A~A、A5’~A7’、R~R、R10~R14、R10’~R14’、E、及びXの組み合わせにより前記一般式(A-2)で表される化合物を表している。ただし、具体例は、下記例示に限定されるものではない。
Figure 2023130573000008
Figure 2023130573000009
なお、表中、Cは炭素原子、Nは窒素原子、Hは水素原子、Pはリン原子、Oは酸素原子、“-”はnが0で存在しないことを表す。また表中、例えば、R12とR13の2つの欄に“ベンゼン”と記載している場合、R12とR13同士でそれらに結合している原子と一緒に、ベンゼン環を形成していることを表す。
また、本明細書において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Prはi-プロピル基、Buはn-ブチル基、Buはt-ブチル基、OMeはメトキシ基、Phはフェニル基、OPhはフェノキシ基を表す。
さらに、表1に例示したb1~b10のR及びRの組み合わせにおいて、R10、R14、R10’およびR14’のメトキシ基に代えてエトキシ基、メトキシ基に代えてイソプロポキシ基、メトキシ基に代えてメトキシメトキシ基としたR及びRの組み合わせも挙げることができる。またメトキシ基をエトキシ基、イソプロポキシ基またはメトキシメトキシ基に代えたR及びRの組み合わせを、表2に例示したa1~a22の化合物において、b1~b10の代わりに用いた化合物も挙げることができる。
前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物については、公知の合成法に基づいて合成することができる。
本発明で用いられる周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物は、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と反応して、重合能を有する錯体を形成可能なものが使用される。これらは、プリカーサー(前駆体)とも呼ばれることがある。
周期表9族、10族または11族の遷移金属を含む遷移金属化合物としては、下記一般式(T)で表される遷移金属化合物を使用することができる。
一般式(T):MR7’ 21
(ここで、Mは、周期表9族、10族または11族の遷移金属原子であり、R7’は、水素原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはMに配位した中性リガンドを表し、Lは、Mに配位したリガンドを表し、R7’とLが互いに結合して環を形成してもよい。R21は、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基(ここで、Rは、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1~20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表し、xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)を表す。pは1以上の整数、qは1以上の整数、rは0以上の整数であり、p+q+rはMの価数を満たす。)
本発明において、Mは、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属原子である。Mは、好ましくは、10族のニッケル原子、パラジウム原子、白金原子および9族のコバルト原子、ロジウム原子および11族の銅原子であり、さらに好ましくは、10族のニッケル原子、パラジウム原子、白金原子であり、最も好ましくは10族のニッケル原子またはパラジウム原子である。
Mの価数については2価であってもよい。ここでMの価数とは、有機金属化学で用いられる形式酸化数(formal oxidation number)を意味する。すなわち、ある元素が関与する結合中の電子対を電気陰性度の大きい元素に割り当てたとき、その元素の原子上に残る電荷の数を指す。例えば、後述する一般式(A)において、Eがリン原子、Xが酸素原子、Mがニッケル原子、Rがフェニル基、Lがピリジンであり、ニッケル原子がリン原子、酸素原子、フェニル基の炭素原子、ピリジンの窒素原子と結合を形成している場合、ニッケル原子の形式酸化数、すなわちニッケル原子の価数は2価となる。なぜならば、上述の定義に基づき、これらの結合において、電子対は、ニッケル原子よりも電気陰性度の大きいリン原子、酸素原子、炭素原子、窒素原子に割り当てられ、電荷は、リン原子が0、酸素原子が-1、フェニル基が-1、ピリジンが0で、錯体は、全体として電気的に中性であるため、ニッケル原子上に残る電荷は+2となるからである。
2価の遷移金属としては、例えば、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)が好ましく、2価以外では、銅(I)またはロジウム(III)であってもよい。
本発明においてR7’は、水素原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはMに配位した中性リガンドを表す。
7’の具体的な例としては、ヒドリド基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、p-メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
また、Mがニッケル原子で0価の遷移金属化合物の場合、R7’は、Mに配位した中性リガンドであってよい。R7’においてMに配位した中性リガンドとしては、中性の電子供与性リガンドである。一つの例としては、電気的に中性であり不対電子を金属Mに配位させることで配位結合を形成しうるリガンドであり、不対電子を有する窒素原子、リン原子、ヒ素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子などを有する炭素数1~20の炭化水素化合物が挙げられる。また別の例としては、遷移金属に配位可能な炭素-炭素不飽和結合を有するヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素化合物、具体的には、π電子を供与することによってπ供与結合を形成するエチレン、シクロオクタジエンのような化合物、金属に配位する不飽和結合及びヘテロ原子を有するジベンジリデンアセトン(dba)のような化合物が挙げられる。これらの例として、アセトニトリル、イソニトリル、一酸化炭素、エチレン、テトラヒドロフランなど、金属錯体の中性リガンドとして公知のもの、アリルやシクロペンタジエニルなどπ電子を供与するリガンドを用いることができる。
本発明におけるリガンドLは、配位結合可能な原子として、不対電子を有する窒素原子、リン原子、ヒ素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子を有する炭素数1~20の炭化水素化合物である。また、Lとして、遷移金属に配位可能な炭素-炭素不飽和結合を有するヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素化合物も使用することができる。好ましくは、Lの炭素数は、1~16であり、さらに好ましくは1~10である。後述する一般式(A)中のMと配位結合するLとしては、電荷を持たない化合物が好ましい。
本発明における好ましいLとしては、環状不飽和炭化水素類、ホスフィン類、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類などを挙げることができる。さらに好ましいLとしては、環状オレフィン類、ホスフィン類、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類が挙げられ、特に好ましいLとして、トリアルキルホスフィン、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、RCO(RおよびRの定義は、前記の通り)を挙げることができる。
なお、R7’とLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、1,5-シクロオクタジエンや、下記一般式(T-1)で示されるπ-アリル結合様式を挙げることができ、これも本発明における好ましい様態である。
下記一般式(T-1)で示されるπ-アリル結合様式は、一般式(T)中、MおよびR7’とLが一つになりπ-アリル結合を形成した部分のみを示す。
Figure 2023130573000010
[式[T-1]中、ここでR21は、前記のとおりである。]
一般式[T-1]中、R21としては、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。
例えば、ニッケル原子を含む遷移金属化合物としては、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod))、Ni(4-フルオロフェニル)ブロモ(TMEDA)(TMEDA:テトラメチルエチレンジアミン)、一般式:Ni(CHCR21CHで表される錯体[ここで21は、前記のとおりである。]、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、一般式:Ni(CHSiR21 で表される錯体(ここでR21、Lは、前記の通りである。)、一般式:NiR7’ で表される錯体(ここでR7’、Lは、前記のとおりである。)等を使用することができる。
これらの遷移金属化合物のうち、好ましく用いられるものは、Ni(cod)、NiPhCl(PEt(以下、Phはフェニル、Etはエチルを表す。)、NiPhCl(PPh2、NiPhCl(TMEDA)(以下、TMEDAはテトラメチルエチレンジアミンを表す。)、NiArBr(TMEDA)(ここで、Ar=4-フルオロフェニルである。)、Ni(acac)(以下acacはアセチルアセトンを表す)、一般式:Ni(CHCR21CHで表される錯体で表される錯体(ここでR21は前記の通りである。)、一般式:Ni(CHSiR21 で表される錯体(ここでR21、Lは前記の通りである。)、一般式:NiR7’ で表される錯体(ここでR7’、Lは、前記の通りである。)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)(ここで、dbaは、ジベンジリデンアセトンを表す。)、Pd(OCOCH、(1,5-シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。
特に好ましくは、Ni(cod)、NiPhCl(PEt、NiPhCl(PPh2、NiPhCl(TMEDA)、NiArBr(TMEDA)、Ni(acac)、Ni(CHCHCH、Ni(CHCMeCH、Ni(CHSiMe(Py)(以下Pyは、ピリジンを表す。)、Ni(CHSiMe(Lut)(以下Lutは、2,6-ルチジンを表す。)、NiPh(Py)、NiPh(Lut),Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)(ここで、dbaは、ジベンジリデンアセトンを表す。)、Pd(OCOCH、(1,5-シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。
また、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と前記遷移金属化合物との反応生成物が、前記遷移金属化合物由来の配位子に起因して不安定な構造の場合には、更に配位性化合物を反応させることにより前記遷移金属化合物由来の配位子と置換して、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、前記遷移金属化合物および配位性化合物との反応生成物として、安定な金属錯体としてもよい。
本発明で用いられる配位性化合物とは、配位結合可能な原子として、酸素原子、窒素原子、リン原子、ヒ素原子、硫黄原子、セレン原子を有する炭素数1~20の炭化水素化合物、または、遷移金属に配位可能な炭素-炭素不飽和結合を有するヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素化合物を使用することができ、前記Lと同義であって良い。
好ましい配位性化合物としては、環状不飽和炭化水素類、ホスフィン類、スルフィド類、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類などを挙げることができる。さらに好ましい配位性化合物としては、環状オレフィン類、ホスフィン類、スルフィド類、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類が挙げられ、特に好ましい配位性化合物として、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、RCO(RおよびRの定義は、前記の通り)を挙げることができる。
本発明の反応生成物は、前述の一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と前述の遷移金属化合物とを、例えば1:99~99:1(モル比)で、0~100℃のトルエンやベンゼン等の有機溶媒中で、減圧~加圧下で1秒~86400秒間接触させることにより、得ることができる。遷移金属化合物として、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod))のトルエンやベンゼン溶液を用いる場合には、溶液の色が黄色から、例えば赤色に変化することにより、反応生成物の生成が確認できる。
本反応後、遷移金属化合物を構成している成分であって、当該化合物中の遷移金属以外の一部が、一般式(A-1)中のZを除いた部分や一般式(A-2)の化合物によって置換されて、下記一般式(A)で表される金属錯体等の、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と遷移金属化合物との反応生成物である金属錯体が生成する。この置換反応は、定量的に進行する方が好ましいが、場合によっては完全に進行しなくてもよい。反応終了後、一般式(A)で表される錯体等の、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と遷移金属化合物との反応生成物である金属錯体以外に、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物、及び遷移金属化合物由来の他の成分が共存し得るが、本発明の重合反応または共重合反応を行う際に、これらの他の成分は、除去してもよいし、除去しなくてもよい。一般的には、これらの他の成分は、除去した方が、高活性が得られるので好ましい。
なお、反応を行う際に、本発明に係る配位性化合物(L)を共存させてもよい。本発明に係るMとして、ニッケル原子やパラジウム原子を用いた場合には、ルイス塩基性の配位性化合物を系内に共存させることによって、生成した金属錯体の安定性が増す場合があり、このような場合には、配位性化合物が本発明の重合反応または共重合反応を阻害しない限りにおいて、配位性化合物を共存させることが好ましい。この場合、下記一般式(A)で表される金属錯体等の、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と前記遷移金属化合物および配位性化合物との反応生成物である金属錯体が生成する。
前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物または前記遷移金属化合物および配位性化合物との反応生成物中に、下記一般式(A)で表される金属錯体が含まれると考えられる。前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物に類似の骨格を有する化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物として、下記一般式(A)で表される金属錯体と類似の骨格を有する金属錯体の構造が報告されており、当該金属錯体が触媒活性を示すことが報告されている(例えば、ACS Macro Lett.2018,7,213-217.、Chem. Eur. J.,2003,9,6093-6107.、及びEuropean Journal of Inorganic Chemistry,2000,3,431-440.等)。従って、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物または前記遷移金属化合物および配位性化合物との反応生成物は、その反応機構から下記一般式(A)で表される金属錯体が含まれると推定される。後述のように、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物は、優れた触媒活性を示すので、反応機構から推定される下記一般式(A)で表される構造が、触媒活性を示す化合物の1つであると推定される。
ただし、上述したように、当該反応生成物である金属錯体の構造は、一般式(A)で表される構造のみに限定されるものではない。
前記一般式(A)中、A~A、R~R、n、R及びR、E、Xは上記の通りである。このように、上記反応生成物中の金属錯体と、一般式(A)に示す金属錯体との間には、芳香環を含む主骨格や、これら置換基(R~R、R及びR、E、X)の点において錯体構造の共通性がある。
また、一般式(A)中のM、及び、Lは、前記遷移金属化合物において説明した通りである。
本発明においてRは、水素原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはMに配位したリガンドを表す。
MがNiで0価の遷移金属化合物におけるR7’はMに配位した中性リガンドであってよいが、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、MがNiで0価の遷移金属化合物とが反応する場合、Niは2価になるため、反応後のRは、中性リガンドではなく、アニオン性リガンドになる。例えば、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、ニッケル(0)ビス(1,5-シクロオクタジエン)とが反応した場合、遷移金属化合物由来の配位子は、RとLが互いに結合して環を形成したシクロオクテン-1-イル基となる。
がリガンドである金属錯体の場合は、オレフィン重合開始時に助触媒が必要なこともあり、その例は後述の成分(B)や成分(C)である。
本発明における重合または共重合反応は、MとRの結合に本発明におけるプロピレン等のオレフィンまたはその共重合モノマーが挿入されることによって、開始されると考えられる。したがって、Rの炭素数が過度に多いと、この開始反応が阻害される傾向にある。このため、好ましいRとしては、置換基に含まれる炭素数を除く炭素数が1~16、さらに好ましくは当該炭素数が1~10である。
の具体的な例としては、ヒドリド基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、p-メチルフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
なお、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクト-4-エニル基、アセチルアセトナト基を挙げることができ、これも本発明における好ましい様態である。
本発明における上記一般式(A)で表される金属錯体中の置換基等の具体的な組み合わせを、下記表3及び4に示す。表3及び4においてR及びRの組み合わせは表1を参照する。表中、RとLの2つの欄に“σ,π-cyclooct-4-enyl”と記載している場合、RとL同士でそれらに結合している原子と一緒に、シクロオクトエニル環を形成していることを表す。ただし、具体例は、下記例示に限定されるものではない。
また表1においてメトキシ基をエトキシ基、イソプロポキシ基またはメトキシメトキシ基に代えたR及びRの組み合わせを、表3及び4に示した例示化合物において、b1~b10の代わりに用いた化合物も例示される。
金属錯体の構造の理解のため、上記表3に記載の錯体6の構造式と名称を示す。この構造式の錯体は、(2-(ビス(2,6-ジメトキシフェニルホスファニル)-6-t-ブチル-3-ピリジノラート)((1,4,5-η)-4-シクロオクテン-1-イル)ニッケル(II)と称する。
本発明において、反応をオレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器とは別の容器で予め行ったうえで、得られた金属錯体を、オレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に供してもよいし、反応をこれらのモノマーの存在下に行ってもよい。また、反応を、オレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器の中で行ってもよい。この際に、これらのモノマーは存在していてもよいし、存在していなくてもよい。また、一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物については、それぞれ単独の成分を用いてもよいし、それぞれ複数種の成分を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の併用が有用である。
2.金属錯体の製造方法
本発明の金属錯体は、上述したように、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物とを接触させることにより、一般式(A)で表される金属錯体を包含する、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物を製造することができる。
3.オレフィン重合用触媒
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記本発明の金属錯体を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記本発明の金属錯体、すなわち、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である金属錯体や、前記一般式(A)で表される金属錯体を、重合または共重合の触媒や触媒成分として使用することができる。前記本発明の金属錯体を触媒に用いる場合、単離したものを用いてもよい。
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物を含むことを特徴とする。
本発明においては、前記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と周期表9、10または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物を、重合または共重合の触媒や触媒成分として使用することができる。
前記本発明の金属錯体や反応生成物を触媒に用いる場合、そのまま触媒として用いてもよいし、担体に担持したものを用いてもよい。こうした担持は、オレフィンの重合やオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器中で、これらのモノマーの存在下または非存在下で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。
使用可能な担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO-Al、SiO-V、SiO-TiO、SiO-MgO、SiO-Cr等の混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。
これらは混合層を形成していてもよい。人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらの担体は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SO等の塩類処理を行ってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また粉砕や造粒等の形状制御や乾燥処理を行ってもよい。
本発明のオレフィン重合用触媒は、下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含んでもよい。
成分(A):前記本発明の金属錯体または前記本発明の反応生成物
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
成分(A)は、上記金属錯体、或いは上記製造方法で得られる金属錯体または反応生成物であり、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)の一つとして、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al-O-Al結合を有し、その結合数は通常1~100、好ましくは1~50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記一般式で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
(RAl(X(3-t)
(一般式中、Rは、炭素数1~20の炭化水素基を示し、Xは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
は、炭素数1~20の炭化水素基であるが、好ましくは1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのいずれでも差し支えないが、メチル基、i-ブチル基が好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1~1.2/1、特に、0.5/1~1/1であることが好ましく、反応温度は、通常-70~100℃、好ましくは-20~20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分~24時間、好ましくは10分~5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物などに含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。
なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。MAO溶液を溶媒留去して得られた固体状のドライメチルアルミノキサン(DMAO)もまた好適である。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶解又は分散させた溶液としたものを用いてもよい。
また、成分(B)の具体例として、イオン交換性層状珪酸塩が挙げられる。イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。珪酸塩は、各種公知のものが知られており、具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている。
本発明において、成分(B)として好ましく用いられるものは、スメクタイト族に属するもので、具体的にはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどを挙げることができる。中でも、共重合体部分の重合活性、分子量を高める観点からモンモリロナイトが好ましい。
大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英やクリストバライトなど)が含まれることが多く、本発明で用いられるスメクタイト族の珪酸塩に夾雑物が含まれていてもよい。
珪酸塩は酸処理及び/又は塩類処理を行ってもよい。該処理においては、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。
成分(B)として、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と、イオン交換性層状珪酸塩との混合物を用いることもできる。更に、それぞれを単独でも用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
成分(C)として使用される、有機アルミニウム化合物の一例は、次の一般式で表される。
Al(R22(3-a)
一般式中、R22は、炭素数1~20の炭化水素基、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。
22は、炭素数1~20の炭化水素基であるが、好ましくは1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
中でも、良好な助触媒である点から、下記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。
一般式(1):Al(R22(式中、R22は、炭素数1~20の炭化水素基である。)
前記一般式で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられ、中でもトリアルキルアルミニウムが好ましい。
トリアルキルアルミニウムのアルキル基としては、前述と同様であってよく、中でもメチル基、イソブチル基が好ましく、これらの中では、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
上記の有機アルミニウム化合物は2種以上併用してもよい。また、上記のアルミニウム化合物をアルコール、フェノールなどで変性して用いてもよい。これらの変性剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールなどが例示され、好ましい具体例は、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールである。
本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製法において、成分(A)、(B)、更に必要に応じて(C)を接触させる方法は、特に限定されないが、次の様な方法を例示することができる。
(i)成分(A)と成分(B)とを接触させた後に、成分(C)を添加する方法
(ii)成分(A)と成分(C)とを接触させた後に、成分(B)を添加する方法
(iii)成分(B)と成分(C)とを接触させた後に、成分(A)を添加する方法
(iv)各成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させる方法。
更に、各成分中で別種の成分を混合物として用いてもよいし、別々に順番を変えて接触させてもよい。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
また、成分(B)と成分(C)とを接触させた後、成分(A)と成分(C)の混合物を加えるというように、成分を分割して各成分に接触させてもよい。
上記の各成分(A)、(B)、(C)の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行うことが好ましい。接触は、-20℃から溶媒の沸点の間の温度で行うことができ、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好ましい。
4.オレフィン重合体の製造方法
本発明のオレフィン重合体の製造方法の一実施形態は、前記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合又は共重合するものである。
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法の一実施形態としては、前記本発明の金属錯体または前記本発明の反応生成物のみを含む前記オレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合又は共重合してもよいが、前記成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含む前記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合又は共重合してもよい。
本発明におけるオレフィンは、鎖状オレフィンであっても環状オレフィンであってもよく、エチレン、プロピレン、炭素数4~22のα-オレフィン及び炭素数4~20の環状オレフィンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明におけるオレフィンとしては、一般式:CH=CHR30で表されるオレフィンが挙げられる。ここで、R30は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R30の炭素数が20より大きいと、十分な重合活性が発現しない傾向がある。このため、なかでも、好ましいオレフィンとしては、R30が水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であるオレフィンが挙げられる。
また、炭素数4~20の環状オレフィンは、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等が挙げられる。
好ましいオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレンが挙げられる。重合体の製造効率の点から、中でも、エチレン、プロピレン、1-ブテン、及びノルボルネンからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、更に、エチレンであることが好ましい。なお、単独のオレフィンを使用してもよいし、複数のオレフィンを併用してもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法の他の実施形態は、上記重合用触媒の存在下に、オレフィンと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ビニルモノマー又はアリルモノマー等の極性基含有モノマーとを共重合するものである。
本発明における(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、一般式:CH=C(R31)CO(R32)で表される。ここで、R31は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R32は、炭素数1~30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R32内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
31の炭素数が11以上であると、十分な重合活性が発現しない傾向がある。したがって、R31は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、R31が水素原子または炭素数1~5の炭化水素基であるものが挙げられる。より好ましい(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、R31がメチル基であるメタクリル酸エステルまたはR31が水素原子であるアクリル酸エステルが挙げられる。同様に、R32の炭素数が30を超えると、重合活性が低下する傾向がある。よって、R32の炭素数は1~30であるが、R32は、好ましくは炭素数1~12であり、さらに好ましくは炭素数1~8である。
また、R32内に含まれていてもよいヘテロ原子としては、酸素、硫黄、セレン、リン、窒素、ケイ素、フッ素、ホウ素等が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましく、酸素が更に好ましい。また、R32は、ヘテロ原子を含まないものも好ましい。
さらに好ましい(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸-2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。なお、単独の(メタ)アクリル酸エステルを使用してもよいし、複数の(メタ)アクリル酸エステルを併用してもよい。
本発明におけるビニルモノマーは、含ハロゲン原子、含窒素原子、含酸素原子、含硫黄原子等の極性基を有するビニルモノマーで、特にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ホルミル基、エステル基、エポキシ基、ニトリル基等を含有するビニルモノマーである。具体的には、5-ヘキセン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、10-ウンデセン酸エチル、10-ウンデセン-1-オール、12-トリデセン-2-オール、10-ウンデカノイック酸、メチル-9-デセネート、t-ブチル-10-ウンデセネート、1,1-ジメチル-2-プロペン-1-オール、9-デセン-1-オール、3-ブテン酸、3-ブテン-1-オール、N-(3-ブテン-1-イル)フタルイミド、5-ヘキセン酸、5-ヘキセン酸メチル、5-ヘキセン-2-オン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。この中でも、特に3-ブテン-1-オール、10-ウンデセン酸エチル、10-ウンデセン-1-オールが好ましい。
本発明におけるアリルモノマーは、炭素数3のアリルモノマー(プロぺニルモノマー)、アリル基を有する、炭素数4以上のアリル系モノマーが例示される。アリルモノマーは、含ハロゲン原子、含窒素原子、含酸素原子、含硫黄原子等の極性基を有するアリルモノマーで、特にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ホルミル基、エステル基、エポキシ基、ニトリル基等を含有するビニルモノマーである。好ましい具体例として、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、N-アリルアニリン、N-t-ブトキシカルボニル-N-アリルアミン、N-ベンジルオキシカルボニル-N-アリルアミン、N-アリル-N-ベンジルアミン、塩化アリル、臭化アリル、アリルエーテル、ジアリルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、特に酢酸アリル、アリルアルコールが好ましく、酢酸アリル、アリルエーテル、ジアリルエーテルがより好ましい。
本発明の共重合反応としては、オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合することが、重合活性の点から好適な態様として挙げられる。
本発明の重合反応は、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下あるいは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。さらに、イオン液体も溶媒として使用可能である。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒やイオン液体がより好ましい。
本発明では、公知の添加剤の存在下または非存在下で重合反応を行うことができる。添加剤としては、ラジカル重合を禁止する重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体などが好ましい添加剤の例として挙げられる。具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6-ジ-t-ブチル4-メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。また、添加剤として、無機およびまたは有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。さらに、本発明に係るLやイオン液体を添加剤として用いてもよい。
本発明における好ましい添加剤として、ルイス塩基が挙げられる。適切なルイス塩基を選択することにより、活性、分子量、アクリル酸エステルの共重合性を改良することができる。ルイス塩基の量としては、重合系内に存在する触媒成分中の遷移金属Mに対して、0.0001当量~1000当量、好ましくは0.1当量~100当量、さらに好ましくは、0.3当量~30当量である。ルイス塩基を重合系に添加する方法については、特に制限はなく、任意の手法を用いることができる。例えば、本発明の触媒成分と混合して添加してもよいし、モノマーと混合して添加してもよいし、触媒成分やモノマーとは独立に重合系に添加してもよい。また、複数のルイス塩基を併用してもよい。また、本発明に係るLと同じルイス塩基を用いてもよいし、異なっていてもよい。
ルイス塩基としては、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル類、アリールニトリル類、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、ホスフェート類、ホスファイト類、チオフェン類、チアンスレン類、チアゾール類、オキサゾール類、モルフォリン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいルイス塩基は、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類であり、なかでも好ましいルイス塩基は、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピペリジン誘導体、イミダゾール誘導体、アニリン誘導体、ピペリジン誘導体、トリアジン誘導体、ピロール誘導体、フラン誘導体である。
具体的なルイス塩基化合物としては、ピリジン、ペンタフルオロピリジン、2,6-ルチジン、2,4-ルチジン、3,5-ルチジン、ピリミジン、N、N-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、2,2’-ビピリジン、アニリン、ピペリジン、1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ピリジル)-s-トリアジン、キノリン、8-メチルキノリン、フェナジン、1,10-フェナンスロリン、N-メチルピロール、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデカ-7-エン、1,4-ジアザビシクロ-[2,2,2]-オクタン、トリエチルアミン、ベンゾニトリル、ピコリン、トリフェニルアミン、N-メチル-2-ピロリドン、4-メチルモルフォリン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、フラン、2,5-ジメチルフラン、ジベンゾフラン、キサンテン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、ジベンゾチオフェン、チアンスレン、トリフェニルホスフォニウムシクロペンタジエニド、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリピロリジノホスフィン、トリス(ピロリジノ)ボランなどを挙げることができる。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、または、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。さらに、いわゆるchain transfer agent(CSA)を併用し、chain shuttlingや、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマーおよび媒体との分離には、従来公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
重合温度、重合圧力および重合時間に、特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。すなわち、重合温度は、通常-20℃~290℃、好ましくは0℃~250℃、共重合圧力は、0.1MPa~300MPa、好ましくは、0.3MPa~250MPa、重合時間は、0.1分~10時間、好ましくは、0.5分~7時間、さらに好ましくは1分~6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じてさまざまな供給法をとることができる。たとえばバッチ重合の場合、あらかじめ所定量のモノマーを重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を重合反応器に連続的に、または間歇的に供給し、重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中のリガンド構造の制御により分子量を制御する等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。
また、極性基含有モノマー自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、極性基含有モノマーのオレフィンに対する比率や、極性基含有モノマーの濃度を制御することによっても、分子量調節が可能である。
遷移金属錯体中のリガンド構造を制御して、分子量調節を行う場合には、前記したR、R中のヘテロ原子含有置換基の種類、数、配置を制御したり、遷移金属Mのまわりに嵩高い置換基を配置したりすることによって、分子量が向上する傾向を利用することができる。
特に本発明により得られる共重合体は、共重合体の極性基にもとづく効果により、良好な塗装性、印刷性、帯電防止性、無機フィラー分散性、他樹脂との接着性、他樹脂との相溶化能などが発現する。こうした性質を利用して、本発明の共重合体は、さまざまな用途に使用することができる。例えば、フィルム、シート、接着性樹脂、バインダー、相溶化剤、ワックスなどとして使用可能である。
以下の実施例および比較例において本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の合成例で、とくに断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。また、合成例において前工程で得られた中間体の量が不十分な場合には、前工程までの工程を必要な回数繰り返して中間体の量を確保した。
1.評価法
(1)重量平均分子量Mw:以下のGPC測定により求めた。
試料(約20mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL-SP 260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo-ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1(重量%)になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL-SP 260VS中に135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。なお、本発明におけるGPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーは無かった。次に、カラムとして東ソー社製TSKgel GMH-HT(30cm×4本)およびRI検出器を装着した東ソー社製HLC-8321GPC/HTを使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:約300μL、カラム温度:135℃、溶媒:o-ジクロロベンゼン、流量:1.0mL/minを採用した。分子量の算出は以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散ポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。なお、粘度式としては、[η]=K×Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E-4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に関してはK=4.77E-4、α=0.70を使用した。
以下の合成例における、略称を示す。
n-Bu:ノルマルブチル
t-Bu:ターシャリーブチル
OAc:アセテート(-OC(O)CH
OMOM:メトキシメトキシ(-OCHOCH
THF:テトラヒドロフラン
DMF:ジメチルホルムアミド
TMEDA:トリメチルエチレンジアミン
TFM:トリフルオロ酢酸
DCM:ジクロロメタン
2.配位子の合成
(合成例1):配位子B-526の合成
以下のスキームに従って配位子B-526を合成した。
(i)化合物B-526_1(25g,262.88mmol,1eq)のTHF/DMF混合溶液(60mL/140mL)に、tBuOK(44.25g,394.32mmol,1.5eq)を0℃にてゆっくりと加えた。その後、反応溶液を25℃で1時間攪拌し、白色の懸濁液を得た。そこにクロロメチルメチルエーテル(MOMCl)(27.73g,344.42mmol,26.16mL,1.31eq)を0℃にてゆっくりと加えた。その後、反応混合物を25℃で2時間攪拌し、黄色の懸濁液を得た。
反応混合物は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(200mLx3)で抽出した。有機相は食塩水(200mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。その後ろ過し、有機相を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラム(酸性SiO,展開溶媒に石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物B-526_2(12g,86.24mmol,収率32.80%)を黄色液体として得た。
(ii)化合物B-526_2(15.5g,111.39mmol,1eq)とTMEDA(15.66g,134.78mmol,20.34mL,1.21eq)のTHF溶液(300mL)に、n-ブチルリチウム(2.5M,50.35 mL,1.13eq)を窒素下で-78℃にてゆっくりと滴下した。その後、反応混合物を20℃で1.5時間攪拌し、黄色懸濁液を得た。この反応混合物に、ヨウ素(42.41g,167.08mmol,33.66mL,1.5eq)のTHF溶液(100mL)を-78℃にて加え、20℃で16時間攪拌し、黒色懸濁液を得た。
反応混合物は飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、酢酸エチル(100mLx3)で抽出した。その後、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した後に有機相を減圧化下で濃縮し、黄色の粗生成物を得た。粗生成物をカラム(酸性SiO,展開溶媒に石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン=20:1:1)で精製し、化合物B-526_3(11g,41.50mmol,収率37.26%,純度100%)を薄黄色固体として得た。
(iii)化合物B-526_31(25g,103.66mmol,1eq)とTMEDA(12.05g,103.66mmol,15.64mL,1eq)のジエチルエーテル溶液(300mL)にn-ブチルリチウム(2.5M,49.76mL,1.2eq)を-15℃にて滴下した。この混合物を-15℃で30分攪拌し、-78℃にてTHF(150mL)で希釈し、B(OMe)(21.44g,206.29mmol,23.30mL,1.99eq)を速やかに加えた。この反応混合物は-78℃で1時間攪拌した後、25℃で17時間攪拌し、白色懸濁液を得た。反応溶媒を減圧留去し、黄色オイルを得た。これを水中(100mL)に分散させ、2M HClを加えてpHを5-6に調整した。これにTHF(15mL)を加え、75℃で2時間攪拌した後、ジクロロメタン(4x50mL)で抽出した。有機相をNaSOで脱水し、ろ過した後に有機相を濃縮し粗生成物を得た。これを石油エーテル(30mL)で洗浄した後、化合物B-526_32(6g,29.11mmol,収率28.09%)を白色固体として得た。
(iv)化合物B-526_3(2.33g,11.32mmol,1.5eq)、化合物B-526_32(2g,7.55mmol,1eq)、Pd(OAc)(16.94mg,75.46μmol,0.01eq)、t-BuONa(2.18g,22.64mmol,3eq)、3-(tert-ブチル)-4-(2,6-ジメトキシフェニル)-2,3-ジヒドロロベンゾ[d][1,3]オキサホスフオーレ(BI-DIME)(49.86mg,150.92umol,0.02eq)を混合させ、その後トルエン(10mL)を加えた。この混合物を窒素下で110℃にて48時間攪拌し、黒色懸濁液を得た。この反応混合物を25℃まで冷却した後に、ろ過し、濾滓をジクロロメタン(180mLx3)で洗浄した。混合有機相を減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をカラム(酸性SiO,石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物B-526_4を得た。
(v)化合物B-526_4(1.00g,3.35mmol,1eq)とTMEDA(428.34mg,3.69mmol,556.29uL,1.1eq)の脱水THF溶液(15mL)に、n-ブチルリチウム(2.5M,1.47mL,1.1eq)を窒素下で-78℃にて滴下した。その後、反応混合物を20℃で2時間攪拌し、-78℃まで降温した後に30分攪拌した。そこにPCl(1.38g,10.05mmol,884.62uL,3eq)を素早く加え、20℃で1時間攪拌し黄色懸濁液を得た。この懸濁液を減圧下で濃縮し、化合物B-526_5(1.34g,crude)を得た。化合物B-526_5を同様の操作で繰り返し合成し、所定量を得て次工程に進んだ。
(vi)化合物B-526_20(4.04g,29.26mmol,3.78mL,2.4eq)の脱水THF溶液(60mL)にn-ブチルリチウム(2.5M,12.19mL,2.5eq)を0℃にて滴下した。反応混合物は20℃で2時間攪拌し、黄色懸濁液を与えた。その後、この反応溶液に化合物B-526_5(4.88g,12.19mmol,1eq)のTHF溶液(20mL)を-78℃にて滴下し、その後20℃で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し黄色オイルを得た。これをカラム(酸性SiO、展開溶媒に石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン=1:0:0-5:1:1)で精製し、化合物B-526_6(1.7g,2.82mmol,収率23.10%)を得た。
(vii)化合物B-526_6(2g,3.31mmol,1eq)のジクロロメタン溶液(4mL)にトリフルオロ酢酸を窒素下にて0℃で加えた。反応混合物を20℃で3時間攪拌し黄色溶液を得た。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)でpHが6.5~7になるように調整した。その後、ジクロロメタン(50mLx2)で抽出し、有機相を減圧下で濃縮した。得られた白色固体はシリカカラム(酸性SiO、展開溶媒に石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン=3:1:1)で精製し、B-526(1g,1.79mmol,収率53.94%)を白色固体として得た。
H NMR(CDCl,δ,ppm):8.24(d,1H),7.32(t,1H),7.19-7.27(m,4H),6.93(d,1H),6.85(d,1H),6.49(dd,4H),6.43(br,1H),3.56(s,12H),2.55(sept,2H),1.08(d,6H),1.04(d,6H);31P NMR(CDCl,δ,ppm):-57.7(s).
(合成例2):配位子B-527の合成
以下のスキームに従って配位子B-527を合成した。
(i)特開2019-156764の[0069]~[0072]に記載の方法(化合物7の合成)に倣い化合物B-527_3を合成した。
(ii)化合物B-527_3(4.5g,15.08mmol,1eq)の脱水THF溶液(60mL)に、n-ブチルリチウム(2.5M, 6.63mL,1.1eq)を窒素下にて-78℃で滴下し、20℃で2時間攪拌した。この反応溶液を-78℃まで冷却し30分攪拌した後に、PCl(6.21g,45.24mmol,3.98mL,3eq)を素早く加え、20℃で1時間攪拌し、黄色懸濁液を得た。この懸濁液を減圧下で濃縮し、化合物B-527_4(6.02g,crude)を白色オイルとして得た。化合物B-527_4はそのまま次工程に用いた。
(iii)化合物B-527_5(5.02g,36.06mmol,2.4eq)の脱水THF溶液(50mL)に、n-ブチルリチウム(2.5M,15.03mL,2.5eq)を-78℃で滴下した。反応混合物は20℃で2時間攪拌し、黄色懸濁液を得た。その後、この反応反応混合物に、化合物B-527_4(6g,15.03mmol,1eq)のTHF溶液(20mL)を滴下し、20℃で16時間攪拌した。これを減圧下で濃縮し、黄色オイルを得た。その後、カラム(酸性SiO2,展開液に石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール=1:0:0:0-5:1:1:1-1:1:1:1)により精製し、化合物B-527_6(1.5g)を得た。
(iv)化合物B-527_6(0.5g,826.90μmol,1eq)のTHF溶液(5mL)に、ジメチルスルフィドボラン(10M,248.07μL,3eq)をアルゴン下で0℃にてゆっくりと加え、25℃で2時間攪拌した。この反応混合物にメタノール(10mL)を25℃でゆっくりと加えてクエンチした。その後、減圧下で濃縮し、カラム(酸性SiO,石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物B-527_6_1(0.33g,533.54μmol,収率64.52%)の薄黄色固体を得た。
(v)化合物B-527_6_1(0.84g,1.36mmol,1eq)のジクロロメタン溶液(10mL)に、トリフルオロ酢酸(5mL)をアルゴン下で0℃にてゆっくりと加え、40℃で8時間攪拌し、黄色溶液を得た。この反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、pHを6.5~7.0に調整し、ジクロロメタン(50mLx2)で抽出した。抽出した有機相を減圧下で濃縮し、化合物B-527(0.74g,1.32mmol,収率97.19%)を黄色固体として得た。
H NMR (CDCl,δ,ppm):7.91(s,4H),7.27-7.34(m,2H),7.20-7.22(m,2H), 6.98-6.99(m,1H),6.83(t,1H),6.21(br,1H),3.66(s,12H),2.56(sept,2H),1.03(s,12H);31P NMR (CDCl,δ,ppm):-62.9(s).
(合成例3):配位子B-529の合成
以下のスキームに従って配位子B-529を合成した。
(i)配位子B-527_4と同様の合成方法にて化合物B-529_4まで合成した。
(ii)化合物B-529_5(10g,50.49mmol,1eq)のメタノール懸濁溶液(35mL)に、ナトリウムメトキシド(10.91g,201.97mmol,4eq)を加え、64℃で48時間攪拌し、黄色懸濁液を得た。この反応混合物を冷却後にろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を水に溶解し、ジクロロメタン(30mLx2)で抽出した。その後、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過で回収したろ液を濃縮し、黄色固体を得た。これを石油エーテル/酢酸エチル混合溶媒(10/1, 10mL)で洗浄し、化合物B-529_6(3.4g,17.97mmol,収率35.59%)を白色固体として得た。
(iii)化合物B-529_6(3.40g,17.97mmol,2.4eq)の脱水THF(40mL)に、n-ブチルリチウム(2.5M,7.49mL,2.5eq)を0℃にて滴下した。これを20℃で2時間攪拌した。そこに、化合物B-529_4(2.99g,7.49mmol,1eq)のTHF溶液(20mL)を-78℃で滴下し、20℃で14時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で濃縮した。シリカカラム(酸性SiO,展開液として石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物B-529_7(4g,5.68mmol,収率75.79%)を白色固体として得た。
(iv)化合物B-529_7(3g,4.26mmol,1eq)のジクロロメタン溶液(10mL)に、トリフルオロ酢酸(30mL)をアルゴン下で0℃にて加え、20℃で1時間攪拌した。これに、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、pH6.5~7.0になるように調整し、ジクロロメタン(50mLx2)で抽出した。得られた有機相を減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラム(酸性SiO,展開液として石油エーテル:酢酸エチル=10:1)で精製し、B-529(1.2g,1.82mmol,収率42.67%)を白色固体として得た。
H NMR (CDCl,δ,ppm): 7.94(d,2H), 7.83(d,2H), 7.63(t,2H),7.35-7.40(m,4H),7.22-7.27(m,2H),6.93(d,1H),7.02(d,1H),6.87(t,4H),5.87(s,1H),3.85(s,6H),3.73(s,6H),2.62(sept,2H),1.05(d,6H),1.02(d,6H);31P NMR(CDCl,δ,ppm):-55.6(s).
3.金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製、及びエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
(実施例1):配位子B-526を用いたエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
(i)金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製
以下、ビス-1,5-シクロオクタジエンニッケル(0)をNi(cod)と記載する。
配位子として合成例1で得られたB-526(32.2mg,0.0575mmol)を50mL2口ナスフラスコに空気下で秤量し、窒素置換した。グローブボックス内でNi(cod)(71.1mg,0.2585mmol)を2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(25.9mL)を加えて0.01mol/Lの溶液とした。このNi(cod)の0.01mol/Lトルエン溶液5.8mLを、B-526の入った50mL2口ナスフラスコに加え、室温で1分撹拌した。反応溶液の色が黄色から橙色に変化し、配位しB-526とNi(cod)との反応生成物が得られた。
(ii)エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
内容積2Lの誘導撹拌式オートクレーブに、乾燥トルエン(1L)およびアクリル酸t-ブチル(23.0ml,158mmol)、トリ-n-オクチルアルミニウム(0.1mmol)を導入した。撹拌しながらオートクレーブを110℃に昇温した後、エチレンをオートクレーブに供給し、エチレン分圧が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、上記(i)で得られた反応生成物(4mL,40μmol)をオレフィン重合用触媒として供給し、共重合を開始させた。60分間重合させた後、1,2-ブタンジオールを導入して反応を停止させた。未反応ガスを除去した後、オートクレーブを開放し、エタノールを加えて共重合体を沈殿させ、濾過、洗浄、加熱乾燥を行い、共重合体を得た。重合結果は表1に記載した。活性は、重合に用いた錯体1molあたり(上記(i)において配位子とNi(cod)が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算)の共重合体収量(kg)を表す。得られた共重合体に関するGPC測定の結果も表3に記載した。
(実施例2):配位子B-527を用いたエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
(i)金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製
配位子として合成例2で得られたB-527(54.6mg,0.0974mmol)、Ni(cod)(53.3mg,0.1938mmol)、Ni(cod)/トルエン溶液が0.01mmol/Lとなる量のトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製を行った。
(ii)エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
錯体として上記(i)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして共重合を行って、共重合体を得た。結果を表1に示す。なお、活性は配位子B-527とNi(cod)が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。重合結果は表3に記載した。
(実施例3):配位子B-529を用いたエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
(i)金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製
配位子として合成例3で得られたB-529(73.8mg,0.1117mmol)、Ni(cod)(74.8mg,0.2719mmol)、Ni(cod)/トルエン溶液が0.01mmol/Lとなる量のトルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製を行った。
(ii)エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
錯体として上記(i)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして共重合を行って、共重合体を得た。結果を表1に示す。なお、活性は配位子B-529とNi(cod)が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。重合結果は表3に記載した。
(比較例1):配位子B-423/Ni(cod)を用いたエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
(i)金属錯体、オレフィン重合用触媒の調製
特開2019-156764の合成例1を参照して下記配位子B-423を合成し、[実施例1]を参照して金属錯体を調製した。
(ii)エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合
特開2019-156764の[実施例1]を参照してエチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合を行って、共重合体を得た。重合結果は表3に記載した。
Figure 2023130573000019
4.考察
比較例1と比較すると、本発明に相当する実施例1~3の重合活性がより高いことが分かる。
高活性の理由として、配位子の複素環はベンゼン環よりも電子不足となり、中心金属の求電子性が高まることが予想され、そのような電子的効果がオレフィンモノマーとの反応性を向上し、重合活性を向上させたと考えられる。
本発明の金属錯体を用いることにより、オレフィン重合体の重合体及びオレフィンと(メタ)アクリル酸エステル等の極性基含有モノマーとの共重合体の製造において、より高活性で重合体を製造可能となるため、工業的に極めて有用であり、産業上大いに有用である。

Claims (20)

  1. 下記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物である、金属錯体。
    [式(A-1)及び式(A-2)中、
    は酸素原子または硫黄原子を表す。
    はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
    Zは、水素原子、または脱離基を表し、mはZの価数を表す。
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
    式(B)及び式(B’)中、
    10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
    11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
    nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
  2. 下記一般式(A)で表される金属錯体。
    [式(A)中、
    Mは周期表9族、10族または11族に属する遷移金属原子を表す。
    は酸素原子または硫黄原子を表す。
    はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
    は、水素原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基、またはMに配位したリガンドを表す。
    はMに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR,CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
    式(B)及び式(B’)中、
    10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
    11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
    nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
  3. 前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に、酸素原子含有置換基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属錯体。
  4. 前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の金属錯体。
  5. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
    前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の金属錯体。
  6. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
    前記A及びA5’、A及びA6’、又は、A及びA7’のいずれか1組が窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の金属錯体。
  7. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であるとき、Aが周期表14族の原子であり、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の金属錯体。
  8. 前記Aが14族の原子であり、Rが、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の金属錯体。
  9. 前記A、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’において周期表14族の原子が炭素原子であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の金属錯体。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の金属錯体を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
  11. 下記一般式(A-1)または(A-2)で表される化合物と、周期表9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属化合物との反応生成物を含む、オレフィン重合用触媒。
    [式(A-1)及び式(A-2)中、
    は酸素原子または硫黄原子を表す。
    はリン原子、砒素原子またはアンチモン原子を表す。
    Zは、水素原子、または脱離基を表し、mはZの価数を表す。
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、OC(O)R、SR、SO、OSO、P(O)(OR2-y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3-x(R、OSi(OR3-x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、Rは水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。Rは炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R、R、R及びRは、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    は、下記一般式(B)で示される基を表し、Rは、下記一般式(B’)で示される基を表す。
    式(B)及び式(B’)中、
    10、R14、R10’、及びR14’は、それぞれ独立に、ヘテロ原子含有置換基を表す。
    11、R12、R13、R11’、R12’、及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基、OR15、CO15、COM’、C(O)N(R15、C(O)R16、OC(O)R16、SR16、SO16、OSO16、P(O)(OR162-y(R16、CN、NHR16、N(R16、Si(OR153-x(R15、OSi(OR153-x(R15、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR16M’またはエポキシ含有基を表す。(ここで、R15は、水素原子または炭素数1~20の炭化水素基を表す。R16は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはホスホニウムを表す。xは0~3の整数を表し、yは0~2の整数を表す。)R11、R12及びR13、並びに、R11’、R12’及びR13’は、隣接する置換基同士でそれらに結合している原子と一緒に、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子を少なくとも1つ含有する複素環を形成してもよい。このとき、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していてもよい。
    、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’は、それぞれ独立に、周期表14族の原子または窒素原子を表し、A~A及びA5’~A7’の少なくとも1つは窒素原子である。
    nは、0または1であり、A~A及びA5’~A7’が窒素原子の場合nは0であって、このとき窒素原子であるA~A及びA5’~A7’に置換基R~R、R11~R13及びR11’~R13’は存在しない。]
  12. 前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に,酸素原子含有置換基であることを特徴とする請求項11に記載のオレフィン重合用触媒。
  13. 前記R10、R14、R10’、及びR14’が、それぞれ独立に、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11又は12に記載のオレフィン重合用触媒。
  14. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
    前記A、A、A、A5’、A6’、及びA7’の少なくとも1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  15. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であるか、或いは、
    前記A及びA5’、A及びA6’、又は、A及びA7’のいずれか1組が窒素原子であり、その他のA~A及びA5’~A7’が周期表14族の原子であることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  16. 前記A、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であるとき、Aが周期表14族の原子であり、A、A又はAのいずれか1つが窒素原子であることを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  17. 前記Aが周期表14族の原子であり、Rが、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有置換基からなる群から選ばれる基で置換されていてもよい炭素数1~30の炭化水素基であることを特徴とする請求項11~16のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  18. 前記A、A、A、A、A、A、A、A5’、A6’、及びA7’において周期表14族の原子が炭素原子であることを特徴とする請求項11~17のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒。
  19. 請求項10~18のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  20. オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合することを特徴とする、請求項19に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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