JP2023129387A - フェノール誘導体からなる医薬 - Google Patents

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耕三 吉田
Kozo Yoshida
浩之 北野
Hiroyuki Kitano
雄貴 水上
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Abstract

【課題】嚥下障害の治療薬として有用な、嚥下反射を改善し高い安全性を有する化合物及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬を提供する。【解決手段】式(2):TIFF2023129387000083.tif29149[式中、R1は、水素原子等を表し、R2は、メトキシ基等を表し、R3は、水素原子等を表し、R4は、置換されていてもよいC1-6アルキル基等を表し、mは、0、1又は2を表し、nは、0、1、2又は3を表し、L1は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-等を表し、L2は、単結合等を表し、Xは、置換されていてもよいフェニル等を表し、Yは、置換されていてもよいフェニル等を表し、ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合している]で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。【選択図】なし

Description

本発明は、医薬として有用なフェノール誘導体及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬又は嚥下反射を改善することができる嚥下障害治療薬に関する。
嚥下の動作は、食べ物を認識する先行期、食べ物を口腔内に摂取し咀嚼する準備期、舌で咽頭に食べ物を送り出す口腔期、食べ物の刺激により嚥下反射が誘発され食べ物を食道に送り出す咽頭期、蠕動運動により食道から胃まで食べ物を送り届ける食道期の5期により構成されている。これらの動作のいずれかに障害が起きると円滑な嚥下動作が起こらなくなり嚥下障害が引き起こされる。咽頭期の嚥下反射の異常や低下は、様々な薬剤、脳血管疾患や神経変性疾患、また加齢によりもたらされる(非特許文献1、2)。
嚥下障害の治療法として、嚥下指導、リハビリテーション、外科的な治療が行われる。嚥下反射の遅延には粘性の高い食形態を選択することがすすめられる。リハビリテーションは、冷圧刺激が嚥下反射を惹起する方法として用いられ、嚥下関連器官のストレッチや嚥下パターン訓練が行われる。いずれもランダム化比較試験による効果の検証が乏しく、有効性についてはさらなる検討が必要とされている。上記の方法が奏功しない場合には嚥下機能改善手術が検討されるが、侵襲性があることや期待通りの効果が得られない場合もあることから慎重に施行される必要がある。したがって嚥下障害に対して明確に有効性を示すことができる治療法が求められている。
嚥下反射の改善作用が報告されている薬剤として、Angiotensin converting enzyme(ACE)阻害剤(非特許文献3)、シロスタゾール(非特許文献4)、ニセルゴリン(非特許文献5)、半夏厚朴湯(非特許文献6)などがある。これらは末梢でのサブスタンスP遊離量を上昇させることで嚥下反射を惹起しやすくなり、その結果として肺炎の予防効果が期待されるが有効性については不確定である。そのため、嚥下障害の治療薬の創出が望まれている。
一方、カプサイシン、黒コショウ、メントールなどのサプリメントとして用いられる成分も嚥下反射を改善することが報告されている。これらはTransient receptor potential(TRP)チャネルに作用することでサブスタンスPを遊離する。その中でもカプサイシンはTRPV1作動薬として、強力に嚥下反射を改善することが報告されており(非特許文献7)、嚥下改善作用を期待したサプリメントも販売されている。しかし医薬品でないことなどからあまり利用はされていない。
TRPV1作動薬としては、例えば、特許文献1-5に記載の化合物が開示されているが、刺激性や全身投与による低体温などの副作用の可能性があることも報告されている(非特許文献8、9)。そのため、安全性に優れたTRPV1作動薬の創出が望まれている。
国際公開第2009/136625号 国際公開第2011/058932号 国際公開第2011/058933号 国際公開第2002/100819号 国際公開第2006/115168号
Nakazawa, H. et al. Chest. 1993,103, 1636-1637. Sekizawa, K. et al. LANCET. 1990,355, 1228-1229. Nakayama, K. et al. Chest. 1998,113(5),1425. Funahashi, H. et al. KyusyuNeuropsychiatry. 2012, 58, 14-21. Nakashima, T. et al. Medicine.2011, 90(4), 279-283. Iwasaki, K. et al. Phytomedicine.1999, 6(2), 103-106. Ebihara, T. et al. LANCET. 1993,341, 432. Fosgerau, K. et al. BMCCardiovascular Disorders. 2010, 10, 51. Caterina, M. et al. Nature. 1997,389, 816-824.
本開示の課題は、嚥下障害の治療薬として有用な、嚥下反射を改善し高い安全性を有する化合物及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表される化合物がTRPV1作動性を有し嚥下障害の改善作用を示すと共に、アンテドラッグ様性質も有することを見出し、本開示を完成した。本開示によれば、下記式(1)で表されるフェノール誘導体(以下、「本開示の化合物」と称することもある。)及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬が提供される。
すなわち、本開示は、以下の通りである。
(項1)
式(1):
Figure 2023129387000001

[式中、
は、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
は、メトキシ基、水酸基又は水素原子を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、置換されていてもよいC6-10アリール基又はホルミル基を表し、
は、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7脂環式オキシ基、置換されていてもよいC6-10アリールオキシ基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
mは、0、1又は2を表し、
nは、0、1、2又は3を表し、
は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-を表し、
Qは、単結合、-O-、-S-、-SO-、-NR-又は-CR-を表し、
は、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表し、
Xは、置換されていてもよいC6-10アリール基又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール基を表し、
Yは、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
、R及びRは、各々独立して、水素原子、置換されていてもよいC3-6脂環式基又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
(項2)
が、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-である、
項1に記載される医薬。
(項3)
Qが、単結合である、
項1又は2に記載される医薬。
(項4)
Xが、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい6員のヘテロアリール基である、
項1~3のいずれか一項に記載される医薬。
(項5)
Yが、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基である、
項1~4のいずれか一項に記載される医薬。
(項6)
式(2):
Figure 2023129387000002

[式中、
は、水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、水酸基、カルボキシル基及び-NR1112からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
は、メトキシ基、水酸基又は水素原子を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、置換されていてもよいC6-10アリール基又はホルミル基を表し、
は、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7脂環式オキシ基、置換されていてもよいC6-10アリールオキシ基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
ここにおいて、Rが置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基である場合、該非アリールヘテロ環上の炭素原子がカルボニル基と結合しており、
11は、水素原子、置換されていてもよいC1-3アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
12は、水素原子又は置換されていてもよいC1-3アルキル基を表し、
mは、0、1又は2を表し、
nは、0、1、2又は3を表し、
は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-を表し、
は、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表し、
Xは、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい6員のヘテロアリール基を表し、
Yは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合しており、
ただし、
1)式(W-2):
Figure 2023129387000003

{式中、
1bが、メチル基又は-CDであり、
2bが、下記式(W-2A)、(W-2B)、(W-2C)、(W-2D)、又は(W-2R)であり、
Figure 2023129387000004

(式中、*はOとの結合位置を表す)
3bが、下記式(W-2E)、(W-2F)、(W-2G)、(W-2H)、(W-2I)、(W-2J)、(W-2K)、(W-2L)、(W-2M)、(W-2N)、(W-2O)、(W-2P)又は(W-2Q)であり、
Figure 2023129387000005

(式中、*はC=Oとの結合位置を表す)
が、CH又はNであり、
が、CH又はNであり、
が、-CH-又は-CHD-である}で表される化合物、
2)式(W-3):
Figure 2023129387000006

{式中、
1C及びR1dが、メチル基又は水素原子であり、
1eが、C1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、
が、CH又はNである}で表される化合物、及び
3)6-[4-メトキシ-2-(2-{4-[2-(ピぺリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アセトアミド)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル 2,2-ジメチルプロパノエート
を除く]
で表される化合物その製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
(項7)
式(2):
Figure 2023129387000007

[式中、
は、水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、水酸基、カルボキシル基及び-NR1112からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
は、メトキシ基、水酸基又は水素原子を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、置換されていてもよいC6-10アリール基又はホルミル基を表し、
は、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7脂環式オキシ基、置換されていてもよいC6-10アリールオキシ基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
ここにおいて、Rが置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基である場合、該非アリールヘテロ環上の炭素原子がカルボニル基と結合しており、
11は、水素原子、置換されていてもよいC1-3アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
12は、水素原子又は置換されていてもよいC1-3アルキル基を表し、
mは、1又は2を表し、
nは、0、1、2又は3を表し、
は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-を表し、
は、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表し、
Xは、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい6員のヘテロアリール基を表し、
Yは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合しており、
ただし、
1)式(W-1):
Figure 2023129387000008

{式中、
1aが、水素原子又はアセチル基であり、
1aが、-C(=O)-NH-又は-SO-NH-である}で表される化合物、
2)式(W-2):
Figure 2023129387000009

{式中、
1bが、メチル基又は-CDであり、
2bが、下記式(W-2A)、(W-2B)、(W-2C)、(W-2D)、又は(W-2R)であり、
Figure 2023129387000010

(式中、*はOとの結合位置を表す)
3bが、下記式(W-2E)、(W-2F)、(W-2G)、(W-2H)、(W-2I)、(W-2J)、(W-2K)、(W-2L)、(W-2M)、(W-2N)、(W-2O)、(W-2P)又は(W-2Q)であり、
Figure 2023129387000011

(式中、*はC=Oとの結合位置を表す)
が、CH又はNであり、
が、CH又はNであり、
が、-CH-又は-CHD-である}で表される化合物、
3)4’-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル アセテート、
4)2’-(2-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル)-4,4’,5,5’-テトラメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル アセテート、
5)(2’-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}-4,4’,5,5’-テトラメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル ベンゾエート、
6)6-[4-メトキシ-2-(2-{4-[2-(ピぺリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アセトアミド)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル 2,2-ジメチルプロパノエート、
7)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル アセテート、
8)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル ベンゾエート、
9)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 4-クロロベンゾエート、
10)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 2-クロロベンゾエート、
11)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 3-ニトロベンゾエート
12)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 2,4-ジクロロベンゾエート、及び
13)9-(2-{[2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}フェニル)-9H-キサンテン-3,6-ジイル ジアセテートを除く]
で表される化合物その製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
(項8)
が、水素原子である、
項1~7のいずれか一項に記載される医薬。
(項9)
mが、1又は2である、
項1~6のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項10)
mが、1である、
項1~8のいずれか一項に記載される医薬。
(項11)
が、水素原子、C1-6アルキルカルボニル基又はC6-10アリールカルボニル基である、
項1~10のいずれか一項に記載される医薬。
(項12)
が、水素原子である、
項1~10のいずれか一項に記載される医薬。
(項13)
が、メトキシ基である、
項1~12のいずれか一項に記載される医薬。
(項14)
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-である、
項1~13のいずれか一項に記載される医薬。
(項15)
が、単結合である、
項1~14のいずれか一項に記載される医薬。
(項16)
Xが、下記式(A)であり、
Figure 2023129387000012

(式中、*はLとの結合位置を表し、**はQ又はYとの結合位置を表す)
aが、CR又はNであり、
bが、CR又はNであり、
cが、CR10又はNであり、
、R及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1-6アルキル基又は置換されていてもよいC1-6アルコキシ基である、
項1~15のいずれか一項に記載される医薬。
(項17)
Xが、式(A)であり、
ここにおいて、(1)aがNの場合、bがCRであり、かつcがCR10であり、(2)bがNの場合、aがCRであり、かつcがCR10であり、(3)cがNの場合、aがCRであり、かつbがCRである、
項1~16のいずれか一項に記載される医薬。
(項18)
Xが、式(A)であり、
ここにおいて、cがCR10であり、(1)aがNの場合、bがCRであり、(2)bがNの場合、aがCRである、
項1~16のいずれか一項に記載される医薬。
(項19)
Xが、式(A)であり、
ここにおいて、cがCHであり、(1)aがNの場合、bがCHであり、(2)bがNの場合、aがCHである、
項1~16のいずれか一項に記載される医薬。
(項20)
Xが、式(A)であり、
ここにおいて、a、b及びcがCHである、
項1~16のいずれか一項に記載される医薬。
(項21)
Yが、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい6員のヘテロアリール基又は置換されていてもよいC3-7脂環式基である、
項1~20のいずれか一項に記載される医薬。
(項22)
Yが、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいシクロヘキシル基である、
項1~20のいずれか一項に記載される医薬。
(項23)
Yが、下記式(B)又は(C)である、
Figure 2023129387000013

(式中、*はX又はQとの結合位置を表し、**はL又は酸素原子との結合位置を表す)
項1~20のいずれか一項に記載される医薬。
(項24)
が、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基又は置換されていてもよいC6-10アリール基である、
項1~23のいずれか一項に記載される医薬。
(項25)
が、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよいC6-10アリール基である、
項1~23のいずれか一項に記載される医薬。
(項26)
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1~23のいずれか一項に記載される医薬。
(項27)
が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基又はベンジル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基及びベンジル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1~23のいずれか一項に記載される医薬。
(項28)
が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びフェニル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1~23のいずれか一項に記載される医薬。
(項29)
以下の化合物から選択される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する、項1に記載の医薬:
3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例1)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキサンカルボキシレート(実施例2)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-4-イル ベンゾエート(実施例3)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-4-イル 2-メチルプロパノエート(実施例4)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキシルアセテート(実施例5)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル フェノキシアセテート(実施例6)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(3,5-ジフルオロフェニル)アセテート(実施例7)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(4-フルオロフェニル)アセテート(実施例8)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(3-メチルフェニル)アセテート(実施例9)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-クロロフェニル)アセテート(実施例10)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(オキサ-4-イル)アセテート(実施例11)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル アセテート(実施例12)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(チオフェン-2-イル)アセテート(実施例13)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(4-クロロフェニル)アセテート(実施例14)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-フルオロフェニル)アセテート(実施例15)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル プロパノエート(実施例16)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル 2-メチルプロパノエート(実施例17)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル フェニルアセテート(実施例18)、
2’-フルオロ-5’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例19)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]-4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例20)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]-2’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例21)、
4’-フルオロ-3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例22)、
2’-フルオロ-3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例23)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例24)、
3-{2-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-4-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例25)、
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例26)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル(4-メチルフェニル)アセテート(実施例27)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル(2-フルオロフェニル)アセテート(実施例28)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル(オキサ-4-イル)アセテート(実施例29)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル シクロヘキシルアセテート(実施例30)、
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル シクロヘキシルアセテート(実施例31)、
3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル シクロヘキシルアセテート(実施例32)、
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル シクロヘキサンカルボキシレート 塩酸塩(実施例33)、
3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル シクロヘキサンカルボキシレート(実施例34)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル フェニルアセテート(実施例35)、
トランス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル フェニルアセテート(実施例36)、
トランス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキサンカルボキシレート(実施例37)、
トランス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル アセテート(実施例38)、
4-(2-{3-[(シス)-4-(アセチルオキシ)シクロヘキシル]アニリノ}-2-オキソエチル)-2-メトキシフェニル アセテート(実施例39)、
4-(2-{3-[(トランス)-4-(アセチルオキシ)シクロヘキシル]アニリノ}-2-オキソエチル)-2-メトキシフェニル アセテート(実施例40)、
シス-4-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}シクロヘキシル アセテート(実施例41)、
シス-4-(3-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}フェニル)シクロヘキシル アセテート(実施例42)、
4-[2-({2-[(シス)-4-(アセチルオキシ)シクロヘキシル]ピリジン-4-イル}アミノ)-2-オキソエチル]-2-メトキシフェニル アセテート(実施例43)、
3’-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}[1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例44)、
3’-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}[1,1’-ビフェニル]-3-イル シクロヘキシルアセテート(実施例45)、
3-(4-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例46)、
3-(6-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例47)、
トランス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル 2-メチルプロパノエート(実施例48)及び
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート 塩酸塩(実施例49)。
(項30)
以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例1)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキサンカルボキシレート(実施例2)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(3-メチルフェニル)アセテート(実施例9)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-クロロフェニル)アセテート(実施例10)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル アセテート(実施例12)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-フルオロフェニル)アセテート(実施例15)、
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル 2-メチルプロパノエート(実施例17)、
2’-フルオロ-5’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例19)、
3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート(実施例24)、
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例26)、
3-(4-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例46)及び
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート 塩酸塩(実施例49)。
(項31)
項1~30のいずれか一項に記載の医薬を含有するTRPV1が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬。
(項32)
TRPV1が関与する障害又は疾患が、嚥下障害である、項31に記載の治療薬又は予防薬。
(項33)
TRPV1が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬。
(項34)
嚥下障害を治療又は予防するための、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬。
(項35)
治療又は予防が必要な患者に、治療又は予防上の有効量の項1~30のいずれか一項に記載の医薬を投与することを含む、TRPV1が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための方法。
(項36)
TRPV1が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬を製造するための、項1~30のいずれか一項に記載の医薬の使用。
(項37)
TRPV1が関与する障害又は疾患の治療又は予防に使用するための、項1~30のいずれか一項に記載の医薬。
(項38)
項1~30のいずれか一項に記載の医薬と、1又は複数の他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物。
(項39)
1又は複数の他の薬剤と併用して、TRPV1が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、項1~30のいずれか一項に記載の医薬。
本開示において、上記1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態及び利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示の化合物は、TRPV1作動性を示すことから、薬剤誘発の嚥下障害をはじめとして、パーキンソン病などの神経変性疾患を背景とする嚥下障害、脳血管疾患や老化などの様々な原因により嚥下反射の低下する嚥下障害の治療薬として有用である。
試験例2のラットハロペリドール誘発嚥下障害モデルにおける嚥下改善作用を示す図である。縦軸は、嚥下回数(回)を表し、平均±標準誤差で示した。横軸は、群名(処置薬剤)を表す。
以下に、本開示をさらに詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
「置換されていてもよい」又は「置換されている」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はない。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分又は置換基である場合にも該当する。
「置換されていてもよい」における置換基としては、以下からなる置換基群αから選択され、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい。置換基の種類によって特に制限されないが、置換基が結合する原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子の場合は、下記の置換基の中から結合する原子が炭素原子のものに限定される。
置換基群αは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)カルボキシル基、
4)シアノ基、
5)C1-6アルキル基、
6)C2-6アルケニル基、
7)C2-6アルキニル基、
8)C1-6アルコキシ基、
9)C1-6アルキルチオ基、
10)C1-6アルキルカルボニル基、
11)C1-6アルキルスルホニル基、
(但し、5)から11)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
12)C3-10脂環式基、
13)C3-10脂環式オキシ基、
14)C6-10アリールオキシ基、
15)5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基、
16)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、
17)C3-10脂環式チオ基、
18)C6-10アリールチオ基、
19)5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基、
20)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基、
21)C6-10アリール基、
22)5員若しくは6員のヘテロアリール基、
23)4~10員の非アリールヘテロ環基、
24)C3-10脂環式カルボニル基、
25)C6-10アリールカルボニル基、
26)5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基、
27)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基、
28)C3-10脂環式スルホニル基、
29)C6-10アリールスルホニル基、
30)5員若しくは6員のヘテロアリールスルホニル基、
31)4~10員の非アリールヘテロ環スルホニル基、
(但し12)から31)の各置換基は、C1-6アルキル基及び置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
32)-NR1617
33)-SO-NR10b11b
34)-NR10c-C(=O)R11c
35)-NR10d-C(=O)OR11d
36)-NR12a-C(=O)NR10e11e
37)-NR10f-C(=S)R11f
38)-NR10g-C(=S)OR11g
39)-NR12b-C(=S)NR10h11h
40)-NR10i-SO-R11i
41)-NR12c-SO-NR10j11j
42)-C(=O)OR10k
43)-C(=O)NR10l11k
44)-C(=O)NR10mOR11l
45)-C(=O)NR12d-NR10n11m
46)-C(=S)OR10o
47)-C(=S)NR10p11n
48)-C(=S)NR10qOR11o
49)-C(=S)NR12e-NR10r11p
50)-C(=NR13a)R10s
51)-C(=NR13b)CHO、
52)-C(=NR13c)NR10t11q
53)-C(=NR13d)NR12f-NR10u11r
54)-NR17c-C(=NR13k)R17d
55)-NR12g-C(=NR13e)-NR10v11s
56)-NR14-C(=NR13f)NR12h-NR10w11t
57)-OC(=O)R10x
58)-OC(=O)OR10y
59)-OC(=O)NR10z111u
60)-NR12i-NR10z211v
61)-NR10z3OR11w
62)-C(=N-OR13a)R10s
63)-C(=N-OR13b)CHO、
64)-C(=N-OR13c)NR10t11q
65)-C(=N-OR13d)NR12f-NR10u11r、及び
66)-C(=O)H
からなる群であり、
置換基群βは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)カルボキシル基、
4)シアノ基、
5)C3-10脂環式基、
6)C1-6アルコキシ基、
7)C3-10脂環式オキシ基、
8)C1-6アルキルチオ基、
9)5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基、
10)C6-10アリール基、
11)5員若しくは6員のヘテロアリール基、
12)4~10員の非アリールヘテロ環基、
13)C1-6アルキルカルボニル基、
14)C3-10脂環式カルボニル基、
15)C6-10アリールカルボニル基、
16)5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基、
17)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基、
18)-NR15a16a
19)-SO-NR15b16b
20)-NR15c-C(=O)R16c
21)-NR17a-C(=O)NR15d16d
22)-C(=O)NR15e16e
23)-C(=NR13g)R15f
24)-C(=NR13h)NR15g16f
25)-NR16g-C(=NR13i)R15h
26)-NR17b-C(=NR13j)-NR15i16h
27)-C(=N-OR13g)R15f、及び
28)-C(=N-OR13h)NR15g16f
(但し、置換基群βのうち、5)から17)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基及び-NR18a18bからなる群より選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)からなる群であり、
13a、R13b、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g、R13h、R13i、R13j及びR13kは、各々独立して、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、R10k、R10l、R10m、R10n、R10o、R10p、R10q、R10r、R10s、R10t、R10u、R10v、R10w、R10x、R10y、R10z1、R10z2、R10z3、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11f、R11g、R11h、R11i、R11j、R11k、R11l、R11m、R11n、R11o、R11p、R11q、R11r11s、R11t、R11u、R11v、R11w、R12a、R12b、R12c、R12d、R12e、R12f、R12g、R12h、R12i、R14、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R16h、R17a、R17b、R17c及びR17dは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基(該基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基及び-NR18a18bからなる群より選択される1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
18a及びR18bは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基である。
「置換されていてもよい」における置換基としては、好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群αは、好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)カルボキシル基、
4)シアノ基、
5)C1-6アルキル基、
6)C1-6アルコキシ基、
7)C1-6アルキルチオ基、
8)C1-6アルキルカルボニル基、
(但し、5)から8)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
9)C3-10脂環式基、
10)C3-10脂環式オキシ基、
11)C6-10アリールオキシ基、
12)5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基、
13)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、
14)C3-10脂環式チオ基、
15)C6-10アリールチオ基、
16)5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基、
17)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基、
18)C6-10アリール基、
19)5員若しくは6員のヘテロアリール基、
20)4~10員の非アリールヘテロ環基、
21)C3-10脂環式カルボニル基、
22)C6-10アリールカルボニル基、
23)5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基、
24)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基、
(但し9)から24)の各置換基は、C1-6アルキル基及び置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
25)-NR10a11a
26)-SO-NR10b11b
27)-NR10c-C(=O)R11c
28)-NR12a-C(=O)NR10d11d
29)-NR10e-SO-R11e
30)-NR12b-SO-NR10f11f
31)-C(=O)NR10g11g
32)-C(=NR13a)R10h
33)-C(=NR13b)NR10i11h
34)-NR11f-C(=NR13c)R10g
35)-NR12c-C(=NR13d)-NR10j11i
36)-C(=N-OR13a)R10h、及び
37)-C(=N-OR13b)NR10i11h
からなる群であり、
置換基群βは、好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)シアノ基、
4)C3-10脂環式基、
5)C1-6アルコキシ基、
6)C1-6アルキルチオ基、
7)5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基、
8)5員若しくは6員のヘテロアリール基、
9)4~10員の非アリールヘテロ環基、
10)C1-6アルキルカルボニル基、
11)C3-10脂環式カルボニル基、
12)C6-10アリールカルボニル基、
13)5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基、
14)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基、
15)-NR15a16a
16)-NR15b-C(=O)R16b
17)-NR17a-C(=O)NR15c16c
18)-C(=O)NR15d16d
19)-C(=NR13e)R15e
20)-C(=NR13f)NR15f16e
21)-NR16f-C(=NR13g)R15g
22)-NR17b-C(=NR13h)-NR15h16g
23)-C(=N-OR13e)R15e、及び
24)-C(=N-OR13f)NR15f16e
(但し、置換基群βのうち、4)から14)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基及び-NR18a18bからなる群より選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)からなる群であり、
13a、R13b、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g、R13hは、各々独立して、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10g、R10h、R10i、R10j、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11f、R11g、R11h、R11i、R12a、R12b、R12c、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R17a及びR17bは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基(該基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基及び-NR18a18bからなる群より選択される、1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
18a、R18bは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基である。
「置換されていてもよい」における置換基としては、さらに好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群αは、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)シアノ基、
4)C1-6アルキル基、
5)C1-6アルコキシ基、
6)C1-6アルキルチオ基、
7)C1-6アルキルカルボニル基、
(但し、4)から7)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
8)5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基、
9)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、
10)5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基、
11)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基、
12)C6-10アリール基、
13)5員若しくは6員のヘテロアリール基、
14)4~10員の非アリールヘテロ環基、
(但し4)から14)の各置換基は、C1-6アルキル基及び置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
15)-NR10a11a
16)-NR11b-C(=O)R10b
17)-NR12a-C(=O)NR10c11c
18)-C(=O)NR10d11d
19)-C(=NR13a)R10e
20)-C(=NR13b)NR10f11e
21)-NR11f-C(=NR13c)R10g
22)-NR12b-C(=NR13d)-NR10h11g
23)-C(=N-OR13a)R10e、及び
24)-C(=N-OR13b)NR10f11e
からなる群であり、
置換基群βは、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)シアノ基、
4)-NR15a16a
5)-NR15b-C(=O)R16b
6)-NR17a-C(=O)NR15c16c
7)-C(=O)NR15d16d
8)-C(=NR13e)R15e
9)-C(=NR13f)NR15f16e
10)-NR16f-C(=NR13g)R15g
11)-NR17b-C(=NR13h)-NR15h16g
12)-C(=N-OR13e)R15e、及び
13)-C(=N-OR13f)NR15f16e
からなる群であり、
13a、R13b、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g及びR13hは、各々独立して、水素原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10g、R10h、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11f、R11g、R12a、R12b、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R17a及びR17bは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基(該基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基及び-NR18a18bからなる群より選択される、1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
18a、R18bは、各々独立して、水素原子又はC1-6アルキル基である。
「C1-6」とは、炭素原子数が1~6であることを意味する。他の数字の場合も同様であり、例えば、「C1-4」とは炭素原子数が1~4であることを意味する。
「ヘテロ原子」は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を意味する。
「ハロゲン原子」とは、炭素原子及び水素原子以外の任意の原子をいい、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を意味する。中でもフッ素原子及び塩素原子が好ましい。「ハロゲン原子」を「ハロゲン」と称する場合もある。
「C1-6アルキル」又は「C1-6アルキル基」とは、炭素原子数が1~6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。C1-6アルキル基として、好ましくは「C1-4アルキル基」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル基」が挙げられる。「C1-3アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチルなどが挙げられる。「C1-4アルキル基」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ブチル、1、1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピルなどが挙げられる。「C1-6アルキル基」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ペンチル、1、1-ジメチルプロピル、1、2-ジメチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
「C2-6アルケニル」又は「C2-6アルケニル基」とは、1個又は2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数2から6の不飽和炭化水素基を意味する。「C2-6アルケニル基」として、好ましくは「C2-4アルケニル基」である。「C2-6アルケニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ビニル基、1-プロピレニル基、2-プロピレニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロピレニル基、2-メチル-2-プロピレニル基などが挙げられる。
「C2-6アルキニル」又は「C2-6アルキニル基」とは、1個又は2個以上の炭素-炭素三重結合を有する、直鎖又は分枝鎖状の炭素原子数2から6の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-6アルキニル基」として、好ましくは「C2-4アルキニル基」である。「C2-6アルキニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-へキシニル基などが挙げられる。
「C3-10脂環式基」とは、炭素原子数3~10の単環式又は二環式の1価の非芳香族炭化水素環基を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたもの及び1個又は2個以上のカルボニル構造を有するものも含まれる。「脂環式基」は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びシクロアルキニル基を包含する。「C3-10脂環式基」として、好ましくは「C3-7脂環式基」、さらに好ましくは「C5-6脂環式基」が挙げられる。「C5-6脂環式基」の具体例としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。「C3-7脂環式基」の具体例としては、例えば、前記「C5-6脂環式基」の具体例として挙げたものに加え、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘプチルなどが挙げられる。「C3-10脂環式基」の具体例としては、例えば、前記「C3-7脂環式基」の具体例として挙げたものに加え、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチルが挙げられる。
一部架橋構造を有する「C3-10脂環式基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000014
また、「C3-10脂環式基」には、芳香族環と縮環した化合物も包含される。具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
Figure 2023129387000015
「C6-10アリール基」とは、炭素原子数が6~10の単環式又は二環式の芳香族炭化水素基を意味する。「C6-10アリール基」は、前記「脂環式基」又は後述の「非アリールヘテロ環基」と可能な全ての位置で縮合していてもよい。「C6-10アリール基」の具体例としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。「C6-10アリール基」として、好ましくはフェニル基が挙げられる。当該縮環構造の具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
Figure 2023129387000016

Figure 2023129387000017
「5~10員のヘテロアリール基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から独立して選ばれる1~4個の原子を含む、5~10個の原子で構成される単環式又は二環式の芳香族複素環基を意味する。「5~10員のヘテロアリール基」は、前記「脂環式基」又は後述の「非アリールヘテロ環基」と可能な全ての位置で縮合していてもよい。「5~10員のヘテロアリール基」として、好ましくは、「6員のヘテロアリール基」、「5員若しくは6員のヘテロアリール基」、「6~10員のヘテロアリール基」又は「9員若しくは10員のヘテロアリール基」が挙げられる。より好ましくは、「6員のヘテロアリール基」、「5員若しくは6員のヘテロアリール基」が挙げられる。「6員のヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基が挙げられる。「5員若しくは6員のヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基が挙げられる。「6~10員のヘテロアリール基」の具体例としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノキサリル基、トリアゾロピリジル基等が挙げられる。「5~10員のヘテロアリール基」の具体例としては、前記「6~10員のヘテロアリール基」及び「5員若しくは6員のヘテロアリール基」の具体例が挙げられる。
「9員若しくは10員のヘテロアリール基」の具体例としては、これらに限定されないが、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000018

Figure 2023129387000019
前記「5員若しくは6員のヘテロアリール基」又は「5~10員のヘテロアリール基」は、C5-10脂環式基との縮環構造、もしくは5~10員の非アリールヘテロ環との縮環構造を形成していてもよい。具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
Figure 2023129387000020

Figure 2023129387000021

Figure 2023129387000022
「4~10員の非アリールヘテロ環基」とは、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から独立して選択される、同一又は異なる1~2個のヘテロ原子を含む、4~10個の原子で構成される単環式又は二環式の非芳香族のヘテロ環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの及び/又は一部スピロ化されたものを含む。「4~10員の非アリールヘテロ環基」としては、「4~7員の非アリールヘテロ環基」が好ましい。「4~7員の非アリールヘテロ環基」の具体例としては、例えば、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。好ましくは、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、モルホリニル基、及びオキセタニル基が挙げられる。非アリールヘテロ環は、アリール又はヘテロアリールと縮合環を形成してもよい。例えば、C6-10アリール基又は5員若しくは6員のヘテロアリール基と縮合した場合も非アリールヘテロ環に含まれる。また、当該非アリールヘテロ環を構成するのに、1個又は2個以上のカルボニル基、チオカルボニル基、スルフィニル基又はスルホニル基を含んでいてもよく、例えば、ラクタム、チオラクタム、ラクトン、チオラクトン、環状のイミド、環状のカルバメート、環状のチオカルバメート等の環状基も当該非アリールヘテロ環に含まれる。ここにおいて、カルボニル基、スルフィニル基及びスルホニル基の酸素原子及びチオカルボニルの硫黄原子は、4から10員の数(環の大きさ)及び環を構成しているヘテロ原子の数には含まれない。「4~10員の非アリールヘテロ環」としては、「4~7員の非アリールヘテロ環」が好ましい。「4~7員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。「4~10員の非アリールヘテロ環」の具体例として、例えば、前記「4~7員の非アリールヘテロ環」の具体例として挙げたものに加え、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000023
また、一部架橋及び/又はスピロ構造を有する「4~10員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000024
また、一部不飽和結合を有する「4員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000025
また、一部不飽和結合を有している「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000026
また、一部架橋構造を有している「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000027
また、カルボニルやチオカルボニル等を含んでいる「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000028
また、一部不飽和結合を有している「6員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000029
また、一部架橋構造を有している「6員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
Figure 2023129387000030
「C1-6アルコキシ」又は「C1-6アルコキシ基」とは「C1-6アルキルオキシ」のことであり、「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。「C1-6アルコキシ」としては、好ましくは「C1-4アルコキシ」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルコキシ」が挙げられる。「C1-3アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシなどが挙げられる。「C1-4アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシ、1,1-ジメチルエトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシなどが挙げられる。「C1-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチロキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、4-メチルペンチロキシ、3-メチルペンチロキシ、2-メチルペンチロキシ、1-メチルペンチロキシ、ヘキシロキシなどが挙げられる。
「C3-7脂環式オキシ」又は「C3-7脂環式オキシ基」とは、(C3-7脂環式基)-O-基を意味し、該C3-7脂環式部分は、C3-7脂環式基と同義である。「C3-7脂環式オキシ基」は、「C3-7シクロアルコキシ基」を含む。「シクロアルコキシ基」は、「シクロアルキルオキシ」のことであり、「シクロアルキル」部分は、前記「シクロアルキル」と同義である。「C3-7脂環式オキシ基」の具体例としては、例えば、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキトキシ基などが挙げられる。
「C6-10アリールオキシ基」のC6-10アリール部分は、上記C6-10アリール基と同義である。「C6-10アリールオキシ基」として、好ましくは「C若しくはC10のアリールオキシ基」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等が挙げられる。
「5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基」の5員若しくは6員のヘテロアリール部分は、上記「5員のヘテロアリール基」若しくは「6員のヘテロアリール基」と同義である。「5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ピラゾイルオキシ基、トリアゾイルオキシ基、チアゾイルオキシ基、チアジアゾイルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリダゾイルオキシ基等が挙げられる。
「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」の4~10員の非アリールヘテロ環部分は、上記「4~10員の非アリールヘテロ環」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環オキシ基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばテトラヒドロフラニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、アゼチジニルオキシ基、ピロリジニルオキシ基、ピペリジニルオキシ基等が挙げられる。
「C1-6アルキルチオ基」のC1-6アルキル部分は、上記C1-6アルキルと同義である。「C1-6アルキルチオ基」として、好ましくは「C1-4アルキルチオ基」であり、より好ましくは「C1-3アルキルチオ基」である。「C1-6アルキルチオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基等が挙げられる。
「C3-10脂環式チオ」又は「C3-10脂環式チオ基」は、(C3-10脂環式基)-S-基を意味し、該C3-10脂環式部分は、上記C3-10脂環式基と同義である。「C3-10脂環式チオ基」として、好ましくは「C3-6脂環式チオ基」である。「C3-6脂環式チオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
「C6-10アリールチオ」又は「C6-10アリールチオ基」のC6-10アリール部分は、上記C6-10アリール基と同義である。「C6-10アリールチオ基」として、好ましくは「C若しくはC10のアリールチオ基」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基等が挙げられる。
「5員若しくは6員のヘテロアリールチオ」又は「5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基」の5員若しくは6員のヘテロアリール部分は、上記「5員のヘテロアリール基」若しくは「6員のヘテロアリール基」と同義である。「5員若しくは6員のヘテロアリールチオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ピラゾイルチオ基、トリアゾイルチオ基、チアゾイルチオ基、チアジアゾイルチオ基、ピリジルチオ基、ピリダゾイルチオ基等が挙げられる。
「4~10員の非アリールヘテロ環チオ」又は「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」の4~10員の非アリールヘテロ環部分は、上記「4~10員の非アリールヘテロ環基」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環チオ基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばテトラヒドロピラニルチオ基、ピペリジニルチオ基等が挙げられる。
「C1-6アルキルカルボニル」又は「C1-6アルキルカルボニル基」とは、上記「C1-6アルキル基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C1-6アルキルカルボニル基」として、好ましくは、「C1-4アルキルカルボニル基」又は「C1-3アルキルカルボニル基」である。「C1-6アルキルカルボニル基」の具体例として、これらに限定されないが、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
「C1-6アルコキシカルボニル」又は「C1-6アルコキシカルボニル基」とは、上記「C1-6アルコキシ基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C1-6アルコキシカルボニル基」として、好ましくは、「C1-4アルコキシカルボニル基」又は「C1-3アルコキシカルボニル基」である。「C1-6アルコキシカルボニル基」の具体例として、これらに限定されないが、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
「C3-10脂環式カルボニル」又は「C3-10脂環式カルボニル基」とは、上記「C3-10脂環式基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C3-10脂環式カルボニル基」として、好ましくは、「C3-6脂環式カルボニル基」である。「C3-10脂環式カルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばシクロプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基等が挙げられる。
「C6-10アリールカルボニル」又は「C6-10アリールカルボニル基」とは、上記「C6-10アリール基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C6-10アリールカルボニル基」として、好ましくは、「C又はC10のアリールカルボニル基」である。「C6-10アリールカルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばベンゾイル基、1-ナフチルカルボニル基、2-ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
「5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル」又は「5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基」とは、上記「5員若しくは6員のヘテロアリール基」で置換されたカルボニル基を意味する。「5員若しくは6員のヘテロアリールカルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばピラゾイルカルボニル基、トリアゾイルカルボニル基、チアゾイルカルボニル基、チアジアゾイルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピリダゾイルカルボニル基等が挙げられる。
「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル」又は「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」とは、上記「4~10員の非アリールヘテロ環基」で置換されたカルボニル基を意味する。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環カルボニル基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばアゼチジニルカルボニル基、ピロリジニルカルボニル基、ピペリジニルカルボニル基、モルホリニルカルボニル基等が挙げられる。
「C1-6アルキルスルホニル」又は「C1-6アルキルスルホニル基」とは、上記「C1-6アルキル基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C1-6アルキルスルホニル基」として、好ましくは「C1-4アルキルスルホニル基」である。「C1-6アルキルスルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばメチルスルホニル基、プロピオニルスルホニル基、ブチリルスルホニル基等が挙げられる。
「C3-10脂環式スルホニル」又は「C3-10脂環式スルホニル基」とは、上記「C3-10脂環式基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C3-10脂環式スルホニル基」として、好ましくは「C3-6脂環式スルホニル基」である。「C3-10脂環式スルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばシクロプロピルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
「C6-10アリールスルホニル」又は「C6-10アリールスルホニル基」とは、上記「C6-10アリール基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C6-10アリールスルホニル基」として、好ましくは「C又はC10のアリールスルホニル基」である。「C6-10アリールスルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばフェニルスルホニル基、1-ナフチルスルホニル基、2-ナフチルスルホニル基等が挙げられる。
「5員若しくは6員のヘテロアリールスルホニル」又は「5員若しくは6員のヘテロアリールスルホニル基」とは、上記「5員若しくは6員のヘテロアリール基」で置換されたスルホニル基を意味する。「5員若しくは6員のヘテロアリールスルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばピラゾイルスルホニル基、トリアゾイルスルホニル基、チアゾイルスルホニル基、チアジアゾイルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、ピリダゾイルスルホニル基等が挙げられる。
式(1)又は式(2)で表される本開示の化合物において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、m、n、L、L、Q、X及びYの好ましいものは以下のとおりであるが、本開示の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
の好ましい態様としては、水素原子が挙げられる。
の好ましい態様としては、メトキシ基が挙げられる。
の好ましい態様としては、水素原子が挙げられる。
の好ましい態様としては、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
のより好ましい態様としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基又はベンジル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基及びベンジル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
のさらに好ましい態様としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びフェニル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
、R及びRの好ましい態様としては、水素原子、C3-6脂環式基又はC1-6アルキル基(該C3-6脂環式基及びC1-6アルキル基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルコキシ基、C3-10脂環式基、C6-10アリール基及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
、R及びR10の好ましい態様としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基が挙げられる。
11の好ましい態様としては、水素原子、C1-3アルキル基、ホルミル基、C1-3アルキルカルボニル基、C1-4アルコキシカルボニル基又はC6-10アリールカルボニル基(該C1-3アルキル基、C1-3アルキルカルボニル基、C1-4アルコキシカルボニル基及びC6-10アリールカルボニル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
12の好ましい態様としては、水素原子又はC1-3アルキル基(該C1-3アルキル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
mの好ましい態様としては、1又は2が挙げられる。
mのより好ましい態様としては、1が挙げられる。
nの好ましい態様としては、0、1、2又は3が挙げられる。
nのより好ましい態様としては、0、1又は2が挙げられる。
nのさらに好ましい態様としては、0又は1が挙げられる。
の好ましい態様としては、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-が挙げられる。
のより好ましい態様としては、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-が挙げられる。
の好ましい態様としては、単結合が挙げられる。
Qの好ましい態様としては、単結合が挙げられる。
Xの好ましい態様としては、C6-10アリール基又は5~10員のヘテロアリール基(該C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
Xのより好ましい態様としては、フェニル基又は6員のヘテロアリール基(該フェニル基及び6員のヘテロアリール基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
Xのさらに好ましい態様としては、下記式(A1)、(A2)及び(A3)が挙げられる。
Figure 2023129387000031

(式中、*はLとの結合位置を表し、**はQ又はYとの結合位置を表す)
Yの好ましい態様としては、C6-10アリール基、5~10員のヘテロアリール基又はC3-7脂環式基(該C6-10アリール基、5~10員のヘテロアリール基及びC3-7脂環式基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
Yのより好ましい態様としては、フェニル基又はシクロヘキシル基(該フェニル基及びシクロヘキシル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
Yのさらに好ましい態様としては、下記式(B)、(C)が挙げられる。
Figure 2023129387000032

(式中、*はX又はQとの結合位置を表し、**はL又は酸素原子との結合位置を表す)
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(A)が挙げられる。
(A)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、0、1又は2であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-であり、
が、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、
Qが、単結合であり、
Xが、C6-10アリール基又は5~10員のヘテロアリール基(該C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
Yが、C6-10アリール基、5~10員のヘテロアリール基又はC3-7脂環式基(該C6-10アリール基、6員のヘテロアリール基及びC3-7脂環式基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合している、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(B)が挙げられる。
(B)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1又は2であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、C6-10アリール基又は5~10員のヘテロアリール基(該C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
Yが、C6-10アリール基、5~10員のヘテロアリール基又はC3-7脂環式基(該C6-10アリール基、5~10員のヘテロアリール基及びC3-7脂環式基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合している、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(C)が挙げられる。
(C)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、フェニル基又は6員のヘテロアリール基(該フェニル基及び6員のヘテロアリール基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
Yが、フェニル基又はシクロヘキシル基(該フェニル基及びシクロヘキシル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合している、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(D)が挙げられる。
(D)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、フェニル基又はピリジル基(該フェニル基及びピリジル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
Yが、フェニル基又はシクロヘキシル基(該フェニル基及びシクロヘキシル基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、C3-7脂環式基、C3-10脂環式オキシ基、C6-10アリール基、4~10員の非アリールヘテロ環基、4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基、C6-10アリールオキシ基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び5員若しくは6員のヘテロアリールオキシ基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合している、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(E)が挙げられる。
(E)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、下記式(A)であり、
Figure 2023129387000033

(式中、*はLとの結合位置を表し、**はYとの結合位置を表す)
aが、CR又はNであり、
bが、CR又はNであり、
cが、CR10又はNであり、
、R及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
Yが、下記式(B)又は(C)である、
Figure 2023129387000034

(式中、*はXとの結合位置を表し、**は酸素原子との結合位置を表す)
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(F)が挙げられる。
(F)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基又はベンジル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基及びベンジル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、下記式(A1)、(A2)又は(A3)であり、
Figure 2023129387000035

(式中、*はLとの結合位置を表し、**はYとの結合位置を表す)
Yが、下記式(B)又は(C)である、
Figure 2023129387000036

(式中、*はXとの結合位置を表し、**は酸素原子との結合位置を表す)
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(G)が挙げられる。
(G)
が、水素原子であり、
が、メトキシ基であり、
が、水素原子であり、
が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びフェニル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)であり、
mが、1であり、
nが、0、1、2又は3であり、
が、-NH-C(=O)-,-C(=O)-NH-であり、
が、単結合であり、
Qが、単結合であり、
Xが、下記式(A1)、(A2)又は(A3)であり、
Figure 2023129387000037

(式中、*はLとの結合位置を表し、**はYとの結合位置を表す)
Yが、下記式(B)又は(C)である、
Figure 2023129387000038

(式中、*はXとの結合位置を表し、**は酸素原子との結合位置を表す)
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン等の有機塩基塩が挙げられる。さらに、「製薬学的に許容される塩」としては、アルギニン、リジン、オルニチン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とのアミノ酸塩も挙げられる。
原料化合物及び中間体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩は、慣用の無毒性塩であり、それらとしては、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、当業者が適宜選択することができる。
本発明の化合物の塩を取得したいとき、本発明の化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解若しくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
本発明において、式(1)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上の1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も、式(1)で表される化合物に包含される。
本発明には、式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩が含まれる。また、本発明の化合物は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(エタノール和物等)の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本発明の化合物に含まれる。さらに、本発明には、本発明の化合物(1)のあらゆる互変異性体、存在するあらゆる立体異性体、及びあらゆる様態の結晶形のもの、さらにこれらの混合物も含まれる。
本発明の化合物(1)の中には、光学活性中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じた軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他の立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体及びそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。
特に光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体として、又は光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の公知の分離方法によって、物理的に又は化学的にそれらの光学対掌体に分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学活性分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって分割することができる。
本開示の化合物の製造方法について以下に述べるが、本開示の化合物の製造法はこれらに限定されるものではない。
本開示の化合物は、これらに限定されないが、例えば、下記に記した製造法によって製造することができる。これらの製造法は、有機合成化学を習熟している者の知識に基づき、適宜改良することができる。下記製造法において、原料として用いられる化合物は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
下記製造法において、具体的に保護基の使用を明示していなくても、反応点以外のいずれかの官能基が反応条件で変化する場合、又は反応後の処理を実施するのに不適当な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後又は一連の反応を行った後に脱保護することにより目的化合物を得ることができる。これらの過程で用いられる保護基としては、文献(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Group in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999))等に記載されている通常の保護基を用いることができる。また、保護基の導入及び除去は、有機合成化学で常用される方法(例えば、上記文献に記載の方法等)又はそれらに準じた方法により行うことができる。
下記製造法における出発原料及び中間体は、市販品として購入可能であるか、又は公知文献に記載された方法もしくは公知化合物から公知の方法に準じて合成することにより入手可能である。また、これらの出発原料及び中間体は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
下記製造法における中間体及び目的化合物は、それらの官能基を適宜変換することによって、本開示に含まれる別の化合物へ変換することもできる。その際の官能基の変換は、有機合成化学で常用される方法(例えば、R. C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations”, 2nd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999)に記載されている方法等)又はそれらに準じた方法により行うことができる。
下記製造法における不活性溶媒とは、反応で用いられる原料、試薬、塩基、酸、触媒、配位子等(以下、「反応で用いられる原料等」と称することもある)と反応しない溶媒を意味する。また、各工程で使用する溶媒が、反応で用いられる原料等と反応する場合であっても、目的の反応が進行して目的化合物が得られる限り、不活性溶媒として使用することができる。
式(1)で表される本開示の化合物は、例えば、下記の製造法1~5により製造することができる。
製造法1
式(1)で表される化合物のうち、式[A1]で表される化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
Figure 2023129387000039
(式中、R41とR42が同一又は異なってRであり、Lが-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、R、R、R、X及びYが項1と同義である。)
[工程1-1:縮合反応]
化合物a5は、化合物a1に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a2を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくはプロピオホスホン酸無水物又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程1-2:縮合反応]
化合物a5は、化合物a3に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a4を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくはプロピオホスホン酸無水物又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程1-3:カップリング反応]
化合物a8は、化合物a5に触媒及び塩基存在下、化合物a6又はa7とカップリングすることにより製造される。触媒としては、パラジウム等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは1,2-ジメトキシエタン及び水の混合溶媒が挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、20℃~150℃である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程1-4:縮合反応]
化合物a12は、化合物a8に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a9、a10又はa11を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程1-5:脱ベンジル反応]
化合物A1は、化合物a12を触媒存在下で還元することにより製造される。還元剤としては、例えば水素、蟻酸アンモニウム等の蟻酸の塩、ヒドラジンを用いることができる。触媒としては、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは酢酸エチル、エタノール又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
化合物a1は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、ACS Chem Neurosci. 2018, 9, 587-602等に記載されている方法に準じて製造することができる。
化合物a3は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、Nature Commun. 2018, 9, 4123等に記載されている方法に準じて製造することができる。
製造法2
式(1)で表される化合物のうち、式[A2]で表される化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
Figure 2023129387000040
(式中、R41とR42が同一又は異なってRであり、Lが-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、R、R、R、X及びYが項1と同義である。)
[工程2-1:脱ベンジル反応]
化合物a13は、化合物a8を触媒存在下で還元することにより製造される。還元剤としては、例えば水素、蟻酸アンモニウム等の蟻酸の塩、ヒドラジンを用いることができる。触媒としては、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは酢酸エチル、エタノール又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程2-2:縮合反応]
化合物a14は、化合物a13に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a9、a10又はa11を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくはプロピオホスホン酸無水物又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程2-3:脱アシル反応]
化合物A2は、化合物a14に、適当な溶媒中、種々の塩基を反応させることにより製造される。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはアンモニアが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは2-プロパノール又はテトラヒドロフランが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
製造法3
式[a13]で表される化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
Figure 2023129387000041
(式中、Yが不飽和結合を有するC3-10脂環式基であり、YがC3-10脂環式基であり、Lが-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、R、R及びXが項1と同義であり、a15、a16及びa17は、Y上のカルボニル基がアセタール保護された化合物を表す。)
[工程3-1:カップリング反応]
化合物a17は、化合物a5に触媒及び塩基存在下、化合物a15又はa16とカップリングすることにより製造される。触媒としては、パラジウム等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは1,2-ジメトキシエタン及び水の混合溶媒が挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、20℃~150℃である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程3-2:脱アセタール反応]
化合物a18は、化合物a17に、適当な溶媒中、種々の酸を反応させることにより製造される。酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、硫酸等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン又はアセトンが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程3-3:脱ベンジル反応]
化合物a19は、化合物a18を触媒存在下で還元することにより製造される。還元剤としては、例えば水素、蟻酸アンモニウム等の蟻酸の塩、ヒドラジンを用いることができる。触媒としては、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは酢酸エチル、エタノール又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程3-4:還元反応]
化合物a13は、化合物a19を触媒及び/又は塩基存在下で還元剤を用いて還元することにより製造される。また、還元剤のみを用いて、当該反応を行うこともできる。還元剤としては、例えば水素、蟻酸ナトリウム等の蟻酸の塩、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化トリsec-ブチルホウ素リチウム等を用いることができる。触媒としては、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはカリウムtert-ブトキシド、水酸化カリウム、トリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、メタノール又はジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、-80℃~200℃、好ましくは、-80℃~100℃である。より好ましくは、0℃~100℃である。
製造法4
式(1)で表される化合物のうち、式[A3]で表される化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
Figure 2023129387000042
(式中、R41とR42が同一又は異なってRであり、Lが-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、R、R、R、R、X及びYが項1と同義である。)
[工程4-1:縮合反応]
化合物a22は、化合物a20に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a2を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくはプロピオホスホン酸無水物又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程4-2:縮合反応]
化合物a22は、化合物a21に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a4を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくはプロピオホスホン酸無水物又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程4-3:カップリング反応]
化合物a23は、化合物a22に触媒及び塩基存在下、化合物a6又はa7とカップリングすることにより製造される。触媒としては、パラジウム等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは1,2-ジメトキシエタン及び水の混合溶媒が挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、20℃~150℃である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程4-4:縮合反応]
化合物A3は、化合物a23に、種々の縮合剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中、化合物a9、a10又はa11を反応させることにより製造される。縮合剤としては、常法で使用される種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩を含む)が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
化合物a20は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、ACS Chem Neurosci. 2018, 9, 587-602等に記載されている方法に準じて製造することができる。
化合物a21は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、Nature Commun. 2018, 9, 4123等に記載されている方法に準じて製造することができる。
製造法5
式[a23]で表される化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
Figure 2023129387000043
(式中、Yが不飽和結合を有するC3-10脂環式基であり、YがC3-10脂環式基であり、Lが-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-であり、R、R、R及びXが項1と同義であり、a15、a16及びa24は、Y上のカルボニル基がアセタール保護された化合物を表す。)
[工程5-1:カップリング反応]
化合物a24は、化合物a22に触媒及び塩基存在下、化合物a15又はa16とカップリングすることにより製造される。触媒としては、パラジウム等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは1,2-ジメトキシエタン及び水の混合溶媒が挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、20℃~150℃である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程5-2:脱アセタール反応]
化合物a25は、化合物a24に、適当な溶媒中、種々の酸を反応させることにより製造される。酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、硫酸等が挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン又はアセトンが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程5-3:水素添加反応]
化合物a26は、化合物a25を触媒存在下で還元することにより製造される。還元剤としては、例えば水素、蟻酸アンモニウム等の蟻酸の塩、ヒドラジンを用いることができる。触媒としては、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくは酢酸エチル、エタノール又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、0℃~200℃、好ましくは、0℃~100℃である。
[工程5-4:還元反応]
化合物a23は、化合物a26を触媒及び/又は塩基存在下で還元剤を用いて還元することにより製造される。また、還元剤のみを用いて、当該反応を行うこともできる。還元剤としては、例えば水素、蟻酸ナトリウム等の蟻酸の塩、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化トリsec-ブチルホウ素リチウム等を用いることができる。触媒としては、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはカリウムtert-ブトキシド、水酸化カリウム、トリエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはテトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、メタノール又はジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常、5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常、-80℃~200℃、好ましくは、-80℃~100℃である。より好ましくは、0℃~100℃である。
上記の各製造法の各工程において使用される塩基は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸アルカリ類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのような炭酸アルカリ類、フッ化カリウム、フッ化セシウムのような金属フッ化物、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミドのような有機金属塩基類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような有機塩基類が挙げられる。
上記の各製造法の各工程において使用される溶媒は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルケトンのようなケトン類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンのようなエーテル類、トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドンのようなアミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、アセトニトリルのようなニトリル類が挙げられ、これらの溶媒は単独又は2種類以上混合して用いることができる。また反応の種類によっては、有機塩基類を溶媒として用いてもよい。
式(1)で表される本開示の化合物又はその中間体は、当業者に公知の方法で分離、精製することができる。例えば、抽出、分配、再沈殿、カラムクロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー若しくは分取液体クロマトグラフィー)又は再結晶等が挙げられる。
再結晶溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ベンゼン若しくはトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン若しくはクロロホルム等のハロゲン系溶媒、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド若しくはアセトニトリル等の非プロトン系溶媒、水、又はこれらの混合溶媒等を用いることができる。その他の精製方法としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻等に記載された方法等を用いることができる。また、本開示の化合物の分子構造の決定は、それぞれの原料化合物に由来する構造を参照して、核磁気共鳴法、赤外吸収法、円二色性スペクトル分析法等の分光学的手法、及び質量分析法により容易に行える。
また、上記製造方法における中間体又は最終生成物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ基、水酸基、カルボニル基、ハロゲン原子等から種々の側鎖を伸張すること、及び、その際に必要に応じて下記の保護、脱保護を行うことによって、本開示に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換及び側鎖の伸張は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, John Wiley & Sons Inc.(1999)等を参照)によって行うことができる。
アミノ基の保護基としては、例えば、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、ホルミル基、フェニルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基)、フェニルオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)、トリチル基、フタロイル基、トシル基、ベンジル基が用いられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基)、フェニル基、ベンジル基、トリチル基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基)が用いられる。
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、メチル基、tert-ブチル基、アリル基、置換されているメチル基(例えば、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基)、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリチル基、アリールアルキル基(例えば、ベンジル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基)、ホルミル基、ベンゾイル基、アリールアルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基)が用いられる。
カルボニル基の保護は、カルボニル基をアサイクリックケタール(ジメチルケタール、ジエチルケタール等)又はサイクリックケタール(1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン等)に変換させることによって行うことができる。
式(1)で表される本開示の化合物又はその製薬学的に許容される塩には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本開示の化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものも含まれ、通常の方法に従って製造することができる。
製造方法としては、例えば、不斉点を有する原料を用いる方法か、又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては、例えば、式(1)で表される化合物又はその中間体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒、又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N-ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸、酒石酸、o-ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸)を用いて塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。
式(1)で表される本開示の化合物又はその中間体が、カルボキシル基等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば1-フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
塩を形成させる温度としては、-50℃から溶媒の沸点までの範囲、好ましくは0℃から沸点までの範囲、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲から選択される。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5~約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
以上説明した各々の製造法における原料、中間体のうち、特にあらためてその製造法を記載しなかったものについては、市販化合物であるか、又は市販化合物から当業者に公知の方法、若しくはそれに準じた方法によって合成することができる。
「TRPV1が関与する障害又は疾患」とは、TRPV1が発現する神経細胞の活動の亢進により生じる障害または疾患のことであり、例えば、嚥下障害、疼痛、皮膚疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、泌尿器系疾患、糖尿病、肥満症などが挙げられる。疼痛とは神経障害性疼痛、帯状疱疹後神経痛、変形性膝関節症による痛み等が挙げられる。皮膚疾患とは、乾癬、アトピー性皮膚炎、原発性多汗症、脱毛症等が挙げられる。呼吸器疾患としては、咳嗽やぜんそく等が挙げられる。消化器疾患としては、急性胃炎や急性胃粘膜病変、大便失禁等があげられる。泌尿器系疾患としては、膀胱炎や過活動膀胱等が挙げられる。「TRPV1が関与する障害又は疾患」として、好ましくは、嚥下障害である。
本開示は、嚥下障害を治療又は予防するための、本発明の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。「嚥下障害」とは、疾患や老化等により、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になる状態をいう。具体的には、嚥下協調障害、嚥下困難、嚥下障害、嚥下痛、嚥下不能、輪状咽頭筋機能不全等が挙げられる。また、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、パーキンソン病やALSなどの神経変性疾患、アルツハイマー型などの認知症等による嚥下障害を含む。さらに、鎮痛薬や抗精神病薬、抗ヒスタミン薬や抗コリン薬などの治療薬により、嚥下機能が低下した状況も含む。
本開示の化合物の嚥下障害に対する効果は、嚥下障害モデル動物の嚥下機能を指標として評価することができる。ヒトにおける嚥下障害と同様に、老齢動物、脳梗塞モデル動物やパーキンソン病モデル動物などで嚥下障害が生じることが報告されており、これらのモデルで評価することができる。(Dysphagia (2014) 29:61-67、Dysphagia. 2015Jun;30(3):328-42、Dysphagia. 2013 Mar;28(1):95-104)。
なお、本開示において、「予防」とは、疾患を発症していない又は軽度な症状を呈する健常人に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。「治療」とは、医師により疾患を発症していると診断をされた人(患者)に対して本開示の有効成分を投与する行為である。
本開示の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01~1000mg、更に好ましくは約0.1~500mgを1~数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg~300mg、更に好ましくは約0.01mg~100mgを投与することができる。
本開示の化合物は、経口投与又は非経口投与により、直接又は適当な剤形を用いて製剤にし、投与することができる。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
本開示の化合物は、嚥下機能を改善する可能性のある薬剤と併用することができ、嚥下障害を治療又は予防するために投与することができる。パーキンソン病におけるL-Dopa製剤、製剤封入体筋炎における免疫グロブリン、ニーマン・ピック病C型におけるグルコシルセラミド合成酵素阻害剤のミグルスタット、また嚥下反射を改善する可能性のある薬物として、ACE阻害剤、シロスタゾール、ニセルゴリン、半夏厚朴湯等が挙げられる。本開示において、本発明化合物と併用し得る薬物を、他の薬剤と略記する。
本発明化合物及び併用薬剤の投与期間は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。また、その副作用抑制の目的として、制吐剤、睡眠導入剤、抗痙攣薬などの薬剤(併用薬剤)と組み合わせて用いることができる。
本明細書において「又は」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「若しくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」として明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に本開示を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本開示はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては、pinはピナコールを意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重線の二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線及びJは結合定数を意味する。
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMHで、保持時間をRt(分)で示す。
測定条件
検出機器:ACQUITY(登録商標)SQ detector(Waters社)
HPLC:ACQUITY UPLC(登録商標)SYSTEM
Column:Waters ACQUITY UPLC(登録商標) BEH C18(1.7um, 2.1mm × 30mm)
Solvent:
A液;0.05%ギ酸/HO、B液;アセトニトリル
Gradient Condition:
0.0-1.3分(linear gradient from B 10% to 95%)
1.3-1.5分(B 10%)
Flow rate:0.8ml/分
UV:220nm and 254nm
カラム温度:40℃
参考例1
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)アセトアミド
Figure 2023129387000044
4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル酢酸(4.0g)及び6-ブロモピリジン-2-アミン(2.8g)の1,2-ジメトキシエタン溶液(30ml)にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.1ml)及び50%プロピルホスホン酸無水物・酢酸エチル溶液(10.5ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、生じた固体をジエチルエーテルで洗浄することにより参考例1(4.0g)を得た。
LC-MS,m/z; 427.08 (M+H)+ ESI, Rt; 1.071 (min)
参考例2
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-[6-(3-ヒドロキシフェニル)ピリジン-2-イル]アセトアミド 塩酸塩
Figure 2023129387000045
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)アセトアミド(8.61g)、3-ヒドロキシフェニルボロン酸(3.06g)、炭酸カリウム(5.57g)の1,2-ジメトキシエタン(200ml)/水(40ml)溶液にジクロロビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(II)(0.71g)を加え、2時間加熱還流した。反応液を濃縮後、酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。活性炭を加え、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、生じた粗生成物にテトラヒドロフラン(100ml)を加えた。その後、4mol/Lの塩化水素・シクロペンチルメチルエーテル溶液(30ml)を加え、室温条件下30分攪拌した。反応液を濃縮後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄することにより、参考例2(8.58g)を得た。
LC-MS,m/z; 441.25 (M+H)+ ESI, Rt; 0.998 (min)
実施例1及び参考例3
3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート
Figure 2023129387000046
a)3-(6-{2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート(参考例3)の製造
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-[6-(3-ヒドロキシフェニル)ピリジン-2-イル]アセトアミド塩酸塩(1.0g)及びトリエチルアミン(0.791ml)のテトラヒドロフラン(23ml)溶液にイソブチリルクロリド(0.263ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、参考例3の粗生成物を得た。
LC-MS,m/z; 511.34 (M+H)+ ESI, Rt; 1.234 (min)
b)3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(実施例1)の製造
3-(6-{2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート(1.159g)の酢酸エチル溶液(30ml)にパラジウム-活性炭素(Pd 20%)(1.0g)を加え、水素雰囲気下室温で5時間攪拌した。反応液を窒素置換した後、セライトろ過し、減圧濃縮することで得た残渣に対してヘキサンを加え、粗生成物の固体を得た。得られた固体を2-プロパノールから再結晶することにより実施例1(352mg)を得た。
LC-MS,m/z; 421.2 (M+H)+ ESI, Rt;0.993 (min)
1H-NMR(400 MHz, CD3OD) δ: 8.07 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.91 (1H, dd, J = 1.4,7.8 Hz), 7.83-7.79 (2H, m), 7.61 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.48 (1H, t, J = 7.8 Hz),7.14-7.10 (1H, m), 6.97 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.81 (1H, dd, J = 2.0, 8.4 Hz),6.76 (1H, d, J = 7.6 Hz), 3.86 (3H, s), 3.67 (2H, s), 2.86 (1H, p, J =6.9 Hz),1.33 (6H, d, J = 6.8 Hz).
参考例4
N-{[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]メチル}-3-ブロモベンズアミド
Figure 2023129387000047
(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル)メタンアミン塩酸塩(5.0g)及び3-ブロモ安息香酸(3.95g)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(6.8g)のジメチルホルムアミド溶液(36ml)にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.87ml)を加え、室温条件下24時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗浄することにより参考例4(8.0g)を得た。
LC-MS,m/z; 426.13 (M+H)+ ESI,Rt; 1.029 (min)
参考例5
N-{[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]メチル}-3’-ヒドロキシ[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド
Figure 2023129387000048
N-{[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]メチル}-3-ブロモベンズアミド(3.0g)、3-ヒドロキシフェニルボロン酸(1.65g)、(1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(0.575g)、炭酸セシウム(4.59g)を1,2-ジメトキシエタン(70ml)/水(7ml)溶液に加え、100℃で5時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、得られた固体をヘキサン/酢酸エチル=10:1溶液で洗浄することにより参考例5(2.62g)を得た。
LC-MS,m/z; 440.30 (M+H)+ ESI,Rt; 0.955 (min)
参考例6~8
2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-N-(3-(4-オキソシクロヘキシル)フェニル)アセトアミド
Figure 2023129387000049
a)2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-[3-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン-8-イル)フェニル]アセトアミド(参考例6)の製造
2-(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル)-N-(3-ブロモフェニル)アセトアミド(500mg)、1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-7-エン-8-フェニルボロン酸ピナコールエステル(343mg)、炭酸カリウム(486mg)の1,2-ジメトキシエタン(5ml)/水(1ml)溶液にジクロロビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(II)(42mg)を加え、3時間加熱還流した。反応液を濃縮後、クロロホルムを加え、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、得られた参考例6の粗生成物(693mg)は次の反応にそのまま用いた。
LC-MS,m/z; 486.37 (M+H)+ ESI, Rt; 1.058 (min)
b)2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-(4’-オキソ-2’,3’,4’,5’-テトラヒドロ[1,1’-ビフェニル]-3-イル)アセトアミド(参考例7)の製造
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-[3-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-7-エン-8-イル)フェニル]アセトアミドの粗生成物(693mg)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に、5mol/L塩酸(30ml)を加えて室温で1時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。得られた参考例7の粗生成物(570mg)は次の反応にそのまま用いた。
LC-MS,m/z; 442.31 (M+H)+ ESI, Rt; 0.982 (min)
c)2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-N-(3-(4-オキソシクロヘキシル)フェニル)アセトアミド(参考例8)の製造
2-[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]-N-(4’-オキソ-2’,3’,4’,5’-テトラヒドロ[1,1’-ビフェニル]-3-イル)アセトアミドの粗生成物(570mg)の酢酸エチル(10ml)溶液にパラジウム-活性炭素(Pd 20%)(250mg)を加え、水素雰囲気下、室温で7時間攪拌した。反応液を窒素置換した後、セライトろ過し、減圧濃縮することで得た残渣に対してジエチルエーテルを加え、析出した固体をろ取することで参考例8(202mg)を得た。
LC-MS,m/z; 354.14 (M+H)+ ESI, Rt; 0.678 (min)
参考例9
N-{3-[(シス)-4-ヒドロキシシクロヘキシル]フェニル}―2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド
Figure 2023129387000050
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)(1,2-エタンジアミン)ルテニウム(II)(492mg)の2-プロパノール(115ml)溶液に対して、カリウムtert-ブトキシド(2.92g)とテトラヒドロフラン(115ml)を加えた。続いて参考例8(2.3g)を加え、水素雰囲気下、室温で5.5時間攪拌した。反応液を窒素置換した後、セライトろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに溶かし、1mol/L塩酸、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、参考例9(1.2g)を得た。
LC-MS,m/z; 356.3 (M+H)+ ESI, Rt; 0.683 (min)
参考例10
N-{3-[(トランス)-4-ヒドロキシシクロヘキシル]フェニル}―2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド
Figure 2023129387000051
2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-N-(3-(4-オキソシクロヘキシル)フェニル)アセトアミド(500mg)のテトラヒドロフラン(14ml)溶液に対して、水素化ホウ素ナトリウム(107mg)を加えた。室温で1.5時間攪拌した後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮した。得た残渣をメチルtert-ブチルエーテルで精製し参考例10(276mg)を得た。
LC-MS,m/z; 356.2 (M+H)+ ESI, Rt; 0.632 (min)
参考例11
4-[2-(3-{(シス)-4-[(シクロヘキサンカルボニル)オキシ]シクロヘキシル}アニリノ)-2-オキソエチル]-2-メトキシフェニル シクロヘキサンカルボキシレート
Figure 2023129387000052
N-{3-[(シス)-4-ヒドロキシシクロヘキシル]フェニル}―2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド(1.0g)、トリエチルアミン(1.6ml)のテトラヒドロフラン(14ml)溶液に対して、シクロヘキサンカルボニルクロリド(1.1ml)を加えた。室温で4日間攪拌した後、反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、減圧濃縮し、得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、得た固体をヘキサンで洗浄することにより参考例11(1.05g)を得た。
LC-MS,m/z; 576.39 (M+H)+ ESI, Rt; 1.436 (min)
参考例12
3’-ヒドロキシ-N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル][1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド
Figure 2023129387000053
N-{[4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]メチル}-3’-ヒドロキシ[1,1’-ビフェニル]-3-カルボキサミド(250mg)の酢酸エチル(10ml)―エタノール(10ml)溶液にパラジウム-活性炭素(Pd 20%)(50mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応液を窒素置換した後、セライトろ過し、減圧濃縮することで得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することで参考例18(171mg)を得た。
LC-MS,m/z; 350.2 (M+H)+ ESI, Rt; 0.684 (min)
参考例13~19
対応する原料化合物を用いて参考例12と同様の方法により、表1に示す化合物を得た。
Figure 2023129387000054
実施例2
シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキサンカルボキシレート
Figure 2023129387000055
4-[2-(3-{(シス)-4-[(シクロヘキサンカルボニル)オキシ]シクロヘキシル}アニリノ)-2-オキソエチル]―2-メトキシフェニルシクロヘキサンカルボキシレート(0.91g)の2-プロパノール(330ml)溶液に対して、28~30%アンモニア水(110ml)を加えた。室温で1日間攪拌した後、反応液に1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。その後、硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、減圧濃縮し、得た固体をジエチルエーテルで洗浄、アセトニトリルから再結晶することにより実施例2(469mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CD3OD) δ:7.45 (1H, t, J = 1.8 Hz), 7.39-7.35 (1H, m), 7.22 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.97(1H, d, J = 8.0 Hz), 6.94 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.78 (1H, dd, J = 2.0, 6.0 Hz),6.75 (1H, d, J = 8.0 Hz), 5.04 (1H, s), 3.86 (3H, s), 3.57 (2H, s), 2.63-2.54(1H, m), 2.42-2.33(1H, m), 2.00-1.89 (4H, m), 1.85-1.63 (9H, m), 1.55-1.43 (2H,m), 1.43-1.25 (3H, m).
LC-MS,m/z; 466.3 (M+H)+ ESI, Rt; 1.134 (min)
実施例49
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート 塩酸塩
Figure 2023129387000056
3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート(2.5g)の酢酸エチル(50ml)/テトラヒドロフラン(10ml)の混合溶液に対して、4mol/Lの塩化水素・酢酸エチル溶液(10ml)を加え、室温条件下で攪拌した。反応液を濃縮後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄することにより、実施例49(1.97g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 8.51(1H, d, J = 6.4 Hz), 8.22 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.86 (1H, d, J = 6.4 Hz), 7.75(1H, d, J = 8.4 Hz), 7.63-7.58 (2H, m), 7.29 (1H, dd, J = 2.6, 7.8 Hz), 6.94(1H, d, J = 1.6 Hz), 6.81-6.75 (2H, m), 3.86 (3H, s), 3.70 (2H, s), 2.87 (1H,p, J = 7.0 Hz), 1.33 (6H, d, J = 7.2 Hz).
LC-MS,m/z; 421.3 (M+H)+ ESI, Rt; 0.707 (min)
実施例3~48
対応する原料化合物を用いて実施例1、2及び49と同様の方法により、表2に示す化合物を得た。






試験例
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
試験例1:ヒトTRPV1一過性発現細胞を用いた作動性評価
(1)ヒトTRPV1一過性発現細胞の作製
ヒトTRPV1一過性発現細胞を作製し、培養に供した。具体的には、宿主細胞としてHEK293細胞(cat#CCL-82.2、ATCC)を用いた。TRPV1遺伝子(GenBank NP_542435.2)を挿入した哺乳類細胞発現pcDNA3.1ベクター(cat#v790-20、Invitrogen)の導入によりヒトTRPV1及びアポエクオリンを一過性に発現させた。
培地には10%非働化ウシ胎児血清(cat#10270-106、Thermo Fisher Scientific)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)培地(cat#11550-043、Thermo Fisher Scientific)を用い、組織培養用ディッシュ(cat#3020-100、Iwaki)にて培養を行った。培養中、2-3日毎に10%2.5g/1-トリプシン/1mol/L EDTA溶液、フェノールレッド(cat#32777-44、ナカライテスク)を含むPBS処理にて細胞を回収し、継代培養を行った。
継代から3日後、約80%コンフルエントな状態で10%トリプシン-PBS処理にて細胞を回収し、10%ウシ胎児血清含有DMEM培地にて4000 cells/35μl/wellとなるように懸濁し、384wellプレート(cat#353962、FALCON)に播種した。
播種翌日、Viviren(cat#E6492、Promega)を終濃度4.5μM/HBSS(cat#14065-056、Thermo Fisher Scientific)/90mM HEPES(cat#17514-15、ナカライテスク)/0.1%BSA(cat#01281-84、ナカライテスク)となるように添加し(15μl/well)、遠心後2時間室温、遮光下で静置した。
(2)試験化合物の調製
試験化合物は最終濃度の1000倍濃度のジメチルスルホキシド溶液を作製し、この溶液をHanks/20 mmol/L HEPES/0.1%BSA(cat#01281-84、ナカライテスク)にて最終濃度の10倍濃度に調製した。
(3)TRPV1作動性評価
TRPV1作動薬刺激による発光シグナルの検出にはFDSS7000(浜松ホトニクス)を用いた。細胞及び発光基質を添加したプレートに試験化合物を添加した。試験化合物添加後の発光シグナル(中心波長:465nm)を測定してRlu(Max-Min)を算出した。代表的化合物のTRPV1作動活性のデータを表3及び4に示す。
Figure 2023129387000064
Figure 2023129387000065
上表に示すように、本発明の化合物はTRPV1作動性評価試験においてTRPV1作動活性を有した。特に、実施例1、2、9、10、15、17、19、24、26及び46は、より強いTRPV1作動活性を示した。
試験例2:ラットハロペリドール誘発嚥下障害モデルにおける嚥下改善作用の評価
本試験は、薬物の嚥下障害改善作用を評価する試験である。ハロペリドールは、ドパミンD2受容体の阻害による嚥下反射の低下を引き起こすことから、抗精神病薬などによる薬剤誘発の嚥下障害のモデルだけでなくパーキンソン病など神経変性疾患を背景とした嚥下障害のモデル、また嚥下反射が低下するその他の嚥下障害のモデルとしても用いられる。Crl:CD(SD)雄性ラット(一群8匹、8週齢、体重280~310g:入荷時)にハロペリドールを投与した。具体的には、23G注射針(テルモ株式会社)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ株式会社)を用いて、背部皮下に投与した。投与液量は、投与日に最も近い体重を基に5ml/kgで算出し、投与回数は、1日2回(12±2時間間隔)、7日間、計14回行いモデルを作製した。投与7日の翌日の午前中に嚥下回数を測定した。動物に25g注射針(テルモ株式会社)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ株式会社)を用いて、腹腔内に麻酔薬を投与した[投与液量:当日の体重を基に2.3ml/kgで算出。ケタミン(90mg/kg)、キシラジン(10mg/kg)含有]。麻酔導入後、動物の顎下をバリカンで剪毛し、37℃に保温したヒートパッド上で四肢が動かないように仰臥位で保定した。動物の口にラット用ゾンデを1回挿入し、ゾンデの先端を咽頭に留めた。その状態を保ちながら、0.1mlの被験物質投与液を射出した。射出後、嚥下反射によって誘発される1回の嚥下動作を嚥下1回として計測した。1例あたり2回測定し、1回目の測定と2回目の測定の平均値を算出した。なお、ビークルは0.01%エタノールを用いた。結果を図1に示す。
試験例3:飲水による味覚嫌悪性の評価
本試験は、薬物の味覚嫌悪性を評価する試験である。Crl:CD(SD)ラット(一群8匹、入荷時8週齢)をホームケージにて飼育中に給水瓶に被験物質溶液を添加することで試験を行った。ケージあたり2本の給水瓶を準備し、それぞれにビークル(0.05%エタノール含有滅菌水)と被験物質溶液を充填して一晩飼育し、その間の飲水量を測定した。2本の給水瓶の合計飲水量から被験物質を飲水した割合を算出し、味覚嫌悪性の評価を行った。被験物質を飲水した割合が大きいほど味覚嫌悪性が小さく、被験物質による刺激性が小さいと評価できる。結果を表5に示す。
Figure 2023129387000066
試験例4:S9代謝安定性評価試験
肝臓S9画分をリン酸バッファーで希釈した反応溶液中に化合物を添加し、37℃でインキュベーションを開始した(最終化合物濃度10nM、最終容量300μL)。15分間インキュベーションした後、反応液をアセトニトリルに添加することで反応を停止し、遠心分離を行った。上清をフィルター濾過後、LC/MS/MSを用いて化合物量を測定した。得られた化合物量から反応開始前(0分)の化合物量に対する反応を開始してから15分後の残存率を算出した。結果を表6に示す。
Figure 2023129387000067
試験例5:正常ラットにおける嚥下亢進作用の評価
本試験は、薬物の嚥下機能亢進作用を評価する試験である。正常ラットにNaClを含む水を用いて嚥下反射を誘発すると、嚥下回数が抑制されることが報告されており、NaClを含む溶媒を用いて嚥下機能の亢進を評価した。Crl:CD(SD)雄性ラット(一群7~8匹、8~9週齢、体重280~310g:入荷時)麻酔導入後、動物の顎下をバリカンで剪毛し、37℃に保温したヒートパッド上で四肢が動かないように仰臥位で保定した。動物の口にラット用ゾンデを挿入し、ゾンデの先端を咽頭に留めた。その状態で、注入ポンプを用いて12ml/hで10秒間被験物質投与液を投与し、投与開始から30秒間の嚥下動作を計測した。なお、ビークルは1%エタノール、0.1%Tween80を含む生理食塩水を用いた。結果を表7に示す。溶媒投与群に比較してカプサイシン、実施例12、実施例2、実施例49では有意に嚥下回数が増加した(ダネットの検定:*は、P<0.05、**は、P<0.01、***は、P<0.001をそれぞれ示す)。
Figure 2023129387000068
試験例6:正常ラットにおける嚥下亢進作用の脱感作に関する評価
TRPV1作動薬は、高用量また繰り返し作用させることでTRPV1の脱感作を誘発することが知られている。試験例5と同様の方法を用いて、正常ラット嚥下機能に対する薬物の脱感作を誘発する作用を検討した。Crl:CD(SD)雄性ラット(一群7~8匹、8~9週齢、体重280~310g:入荷時)麻酔導入後、動物の顎下をバリカンで剪毛し、37℃に保温したヒートパッド上で四肢が動かないように仰臥位で保定した。動物の口にラット用ゾンデを挿入し、ゾンデの先端を咽頭に留めた。その状態で、注入ポンプを用いて12ml/hで10秒間被験物質投与液を投与し、投与開始から30秒間の嚥下動作を計測した。その後、約5分後に同様の試験を実施し、繰り返し計5回の評価を実施した。なお、ビークルは1%エタノール、0.1%Tween80を含む生理食塩水を用いた。結果を表8に示す。カプサイシンでは、投与1回目に比較して投与4回目と5回目に有意に嚥下回数が減少した(ダネットの検定:**はP<0.01を示す)。一方で、実施例49では有意な差は見られなかった。
Figure 2023129387000069
試験例7:正常ラットにおける眼刺激性試験に関する評価
TRPV1作動薬は刺激性があり、TRPV1作動薬溶液を眼に投与することで拭い行動を誘発することが報告されている。正常ラットを用いて化合物の刺激性について検討した。Crl:CD(SD)雄性ラット(一群5匹、8週齢、体重271~320g)を無麻酔下で保定し、右眼にマイクロピペットを用いて10μL滴下した。ただちに観察ケージ内に戻し、1分間拭い行動を観察した。拭い行動の回数を表9に示す。カプサイシンでは、30μM以上の濃度で有意に拭い行動が増加した(ダネットの検定:*はP<0.05、**はP<0.01をそれぞれ示す)。一方で、実施例12、実施例2、実施例1、実施例49では有意な差は見られなかった。
Figure 2023129387000070
以上で説明したように、本発明の化合物は、強力なTRPV1作動薬であり、嚥下障害モデルとして用いられるハロペリドール誘発嚥下障害動物モデルにおいて嚥下反射の改善作用を示す。ドパミンD2受容体を拮抗することで低下した嚥下反射を改善することから、抗精神病薬などの投与による薬剤誘発性嚥下障害、またパーキンソン病などの神経変性疾患、さらには嚥下反射が低下している脳血管疾患や老化による嚥下障害などの治療薬として有用である。
本開示の化合物は、TRPV1作動性を示すことから、薬剤誘発の嚥下障害をはじめとして、パーキンソン病などの神経変性疾患を背景とする嚥下障害、脳血管疾患や老化などの様々な原因により嚥下反射の低下する嚥下障害の治療薬として有用である。

Claims (32)

  1. 式(2):
    Figure 2023129387000071

    [式中、
    は、水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、水酸基、カルボキシル基及び-NR1112からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
    は、メトキシ基、水酸基又は水素原子を表し、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、置換されていてもよいC6-10アリール基又はホルミル基を表し、
    は、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7脂環式オキシ基、置換されていてもよいC6-10アリールオキシ基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
    ここにおいて、Rが置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基である場合、該非アリールヘテロ環上の炭素原子がカルボニル基と結合しており、
    11は、水素原子、置換されていてもよいC1-3アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
    12は、水素原子又は置換されていてもよいC1-3アルキル基を表し、
    mは、0、1又は2を表し、
    nは、0、1、2又は3を表し、
    は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-を表し、
    は、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表し、
    Xは、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい6員のヘテロアリール基を表し、
    Yは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
    ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合しており、
    ただし、
    1)式(W-2):
    Figure 2023129387000072

    {式中、
    1bが、メチル基又は-CDであり、
    2bが、下記式(W-2A)、(W-2B)、(W-2C)、(W-2D)、又は(W-2R)であり、
    Figure 2023129387000073

    (式中、*はOとの結合位置を表す)
    3bが、下記式(W-2E)、(W-2F)、(W-2G)、(W-2H)、(W-2I)、(W-2J)、(W-2K)、(W-2L)、(W-2M)、(W-2N)、(W-2O)、(W-2P)又は(W-2Q)であり、
    Figure 2023129387000074

    (式中、*はC=Oとの結合位置を表す)
    が、CH又はNであり、
    が、CH又はNであり、
    が、-CH-又は-CHD-である}で表される化合物、
    2)式(W-3):
    Figure 2023129387000075

    {式中、
    1C及びR1dが、メチル基又は水素原子であり、
    1eが、C1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、
    が、CH又はNである}で表される化合物、及び
    3)6-[4-メトキシ-2-(2-{4-[2-(ピぺリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アセトアミド)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル 2,2-ジメチルプロパノエート
    を除く]
    で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
  2. 式(2):
    Figure 2023129387000076

    [式中、
    は、水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、水酸基、カルボキシル基及び-NR1112からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、置換されていてもよいC1-6アルキルカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
    は、メトキシ基、水酸基又は水素原子を表し、
    は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、置換されていてもよいC6-10アリール基又はホルミル基を表し、
    は、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基、置換されていてもよいC6-10アリール基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、置換されていてもよいC3-7脂環式オキシ基、置換されていてもよいC6-10アリールオキシ基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
    ここにおいて、Rが置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基である場合、該非アリールヘテロ環上の炭素原子がカルボニル基と結合しており、
    11は、水素原子、置換されていてもよいC1-3アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1-4アルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル基を表し、
    12は、水素原子又は置換されていてもよいC1-3アルキル基を表し、
    mは、1又は2を表し、
    nは、0、1、2又は3を表し、
    は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-CH-、-C(=O)-NH-CH-、-NH-C(=O)-CH-CH-、-C(=O)-NH-CH-CH-、-SO-NH-、-NH-SO-、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-を表し、
    は、単結合又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を表し、
    Xは、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい6員のヘテロアリール基を表し、
    Yは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよい4~7員の非アリールヘテロ環基を表し、
    ここにおいて、XとYは、それぞれの環上の炭素原子で結合しており、
    ただし、
    1)式(W-1):
    Figure 2023129387000077

    {式中、
    1aが、水素原子又はアセチル基であり、
    1aが、-C(=O)-NH-又は-SO-NH-である}で表される化合物、
    2)式(W-2):
    Figure 2023129387000078

    {式中、
    1bが、メチル基又は-CDであり、
    2bが、下記式(W-2A)、(W-2B)、(W-2C)、(W-2D)、又は(W-2R)であり、
    Figure 2023129387000079

    (式中、*はOとの結合位置を表す)
    3bが、下記式(W-2E)、(W-2F)、(W-2G)、(W-2H)、(W-2I)、(W-2J)、(W-2K)、(W-2L)、(W-2M)、(W-2N)、(W-2O)、(W-2P)又は(W-2Q)であり、
    Figure 2023129387000080

    (式中、*はC=Oとの結合位置を表す)
    が、CH又はNであり、
    が、CH又はNであり、
    が、-CH-又は-CHD-である}で表される化合物、
    3)4’-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル アセテート、
    4)2’-(2-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル)-4,4’,5,5’-テトラメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル アセテート、
    5)(2’-{[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}-4,4’,5,5’-テトラメトキシ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル ベンゾエート、
    6)6-[4-メトキシ-2-(2-{4-[2-(ピぺリジン-1-イル)エトキシ]フェニル}アセトアミド)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル 2,2-ジメチルプロパノエート、
    7)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル アセテート、
    8)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル ベンゾエート、
    9)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 4-クロロベンゾエート、
    10)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 2-クロロベンゾエート、
    11)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 3-ニトロベンゾエート
    12)4’-{[(4-メトキシフェニル)メチル]スルファモイル}[1,1’-ビフェニル]-4-イル 2,4-ジクロロベンゾエート、及び
    13)9-(2-{[2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)エチル]カルバモイル}フェニル)-9H-キサンテン-3,6-ジイル ジアセテートを除く]
    で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
  3. が、水素原子である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  4. mが、1又は2である、
    請求項1又は3に記載される医薬。
  5. mが、1である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  6. が、水素原子、C1-6アルキルカルボニル基又はC6-10アリールカルボニル基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  7. が、水素原子である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  8. が、メトキシ基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  9. が、-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  10. が、単結合である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  11. Xが、下記式(A)であり、
    Figure 2023129387000081

    (式中、*はLとの結合位置を表し、**はYとの結合位置を表す)
    aが、CR又はNであり、
    bが、CR又はNであり、
    cが、CR10又はNであり、
    、R及びR10が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキルスルホニル基、置換されていてもよいC1-6アルキル基又は置換されていてもよいC1-6アルコキシ基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  12. Xが、式(A)であり、
    ここにおいて、(1)aがNの場合、bがCRであり、かつcがCR10であり、(2)bがNの場合、aがCRであり、かつcがCR10であり、(3)cがNの場合、aがCRであり、かつbがCRである、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  13. Xが、式(A)であり、
    ここにおいて、cがCR10であり、(1)aがNの場合、bがCRであり、(2)bがNの場合、aがCRである、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  14. Xが、式(A)であり、
    ここにおいて、cがCHであり、(1)aがNの場合、bがCHであり、(2)bがNの場合、aがCHである、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  15. Xが、式(A)であり、
    ここにおいて、a、b及びcがCHである、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  16. Yが、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい6員のヘテロアリール基又は置換されていてもよいC3-7脂環式基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  17. Yが、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいシクロヘキシル基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  18. Yが、下記式(B)又は(C)である、
    Figure 2023129387000082

    (式中、*はXとの結合位置を表し、**はL又は酸素原子との結合位置を表す)
    請求項1又は2に記載される医薬。
  19. が、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基、置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換されていてもよいC2-6アルキニル基又は置換されていてもよいC6-10アリール基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  20. が、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7脂環式基又は置換されていてもよいC6-10アリール基である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  21. が、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基又はC6-10アリール基(該C1-6アルキル基、C3-7脂環式基及びC6-10アリール基は、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル基、C3-7脂環式基、C6-10アリール基、5員若しくは6員のヘテロアリール基及び4~10員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  22. が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基又はベンジル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基及びベンジル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  23. が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基(該メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基及びフェニル基は、フッ素原子、塩素原子及びC1-6アルキル基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
    請求項1又は2に記載される医薬。
  24. 以下の化合物から選択される化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する、請求項1又は2に記載の医薬:
    3-{6-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル シクロヘキサンカルボキシレート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(3-メチルフェニル)アセテート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-クロロフェニル)アセテート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル アセテート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル(2-フルオロフェニル)アセテート、
    シス-4-{3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]フェニル}シクロヘキシル 2-メチルプロパノエート、
    2’-フルオロ-5’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート、
    3’-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド][1,1’-ビフェニル]-3-イル 2-メチルプロパノエート、
    3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート
    3-(4-{[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]カルバモイル}ピリジン-2-イル)フェニル 2-メチルプロパノエート、及び
    3-{4-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)アセトアミド]ピリジン-2-イル}フェニル 2-メチルプロパノエート 塩酸塩。
  25. 請求項1又は2に記載の医薬を含有するTRPV1が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬。
  26. TRPV1が関与する障害又は疾患が、嚥下障害である、請求項25に記載の治療薬又は予防薬。
  27. TRPV1が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の医薬。
  28. 嚥下障害を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の医薬。
  29. TRPV1が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬を製造するための、請求項1又は2に記載の医薬の使用。
  30. TRPV1が関与する障害又は疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1又は2に記載の医薬。
  31. 請求項1又は2に記載の医薬と、1又は複数の他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物。
  32. 1又は複数の他の薬剤と併用して、TRPV1が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の医薬。
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