JP2023128451A - 光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造装置 - Google Patents

光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非接触ガイドを用いた光ファイバ裸線の冷却を適切に制御する。【解決手段】光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって方向変更しつつ光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって冷却する工程と、光ファイバ裸線を樹脂により被覆する工程と、を備える。各非接触ガイドは、光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有する。ガイド部には光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられている。複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドの位置を調整して複数の非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることにより、光ファイバ裸線の冷却を制御する。【選択図】図4

Description

本開示は、光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造装置に関する。
特許文献1には、光ファイバの製造方法の一例が開示されている。この製造方法は、光ファイバ母材を溶融して線引きを行い、線引きされた光ファイバ裸線の外周に被覆樹脂を設けている。線引きされた光ファイバ裸線は、樹脂が被覆される前に方向変更器(非接触ガイド)によって方向を変更されつつ冷却される。この冷却の際、光ファイバ裸線の被覆樹脂の外径値に基づいて非接触ガイドの位置を水平方向に移動することにより、非接触ガイド間の光ファイバ裸線の長さを調整する。
特開2016-147771号公報
しかしながら、非接触ガイド間の光ファイバ裸線の長さを単に調整する方法では光ファイバ裸線の冷却度合いの変動幅が小さく、所望の冷却効率を実現することが困難なことがある。また、設備の大きさが空間的に制限されているケースが多く、非接触ガイドを水平方向に大きくトラバースすることができないことがある。そのため、光ファイバ裸線の冷却を、コンパクトな設備で適切に制御できる技術が望まれている。
本開示は、非接触ガイドを用いた光ファイバ裸線の冷却方法において、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御できる光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造装置を提供することを目的とする。
本開示は、光ファイバの製造方法を提供する。光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって方向変更しつつ光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって冷却する工程と、光ファイバ裸線を樹脂により被覆する工程と、を備える。各非接触ガイドは、光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、ガイド部には光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられている。複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドの位置を調整して複数の非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることにより、光ファイバ裸線の冷却を制御する。
本開示は、光ファイバの製造装置を提供する。光ファイバの製造装置は、溶融装置と、冷却機構と、被覆装置と、を備える。溶融装置は、光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために光ファイバ母材を溶融する。冷却機構は、光ファイバ裸線を冷却する。被覆装置は、光ファイバ裸線を樹脂により被覆する。冷却機構は、光ファイバ裸線の進行方向を変更する複数の非接触ガイドを有する。各非接触ガイドは、光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、ガイド部には光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられている。複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドは、ガイド部に対する光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させるように移動可能である移動非接触ガイドである。
本開示によれば、非接触ガイドを用いた光ファイバ裸線の冷却を適切に制御することができる。
図1は、一実施形態に係る光ファイバの製造装置の概略図である。 図2は、図1に示す光ファイバの製造装置が有する非接触ガイドを示す斜視図である。 図3は、図1に示す内部空間において、光ファイバ裸線を非接触ガイドに巻き付ける前の状態を示す図である。 図4は、図1に示す内部空間において、光ファイバ裸線を非接触ガイドに巻き付けた状態を示す図である。 図5は、図4に示す複数の非接触ガイドのうち、方向Xにおいて隣り合う2つの非接触ガイドを示す図である。 図6は、冷却距離とファイバ温度との関係を示すグラフである。 図7は、トラバース距離と総巻き付き長との関係を示すグラフである。 図8は、トラバース距離と総空中長との関係を示すグラフである。 図9は、トラバース距離と総巻き付き長との関係を示すグラフである。 図10は、第1変形例に係る光ファイバの製造装置の内部空間において、光ファイバ裸線を非接触ガイドに巻き付けた状態を示す図である。 図11は、第2変形例に係る光ファイバの製造装置の内部空間において、光ファイバ裸線を非接触ガイドに巻き付けた状態を示す図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって方向変更しつつ光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって冷却する工程と、光ファイバ裸線を樹脂により被覆する工程と、を備える。各非接触ガイドは、光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、ガイド部には光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられている。複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドの位置を調整して複数の非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることにより、光ファイバ裸線の冷却を制御する。
この光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイドを介して光ファイバ裸線を方向変更させており、複数の非接触ガイドの位置を調整して光ファイバ裸線の巻き付き長、即ち光ファイバ裸線に非接触ガイドからの気体をより直接的に触れさせる部分の長さ、を増減させるようになっている。このような光ファイバ裸線の巻き付き長の増減は、各非接触ガイド間における光ファイバ裸線の空中長、即ち気体雰囲気中を単に通過するだけの部分の長さ、の増減よりも冷却効率に大きい影響を与える。そのため、上記製造方法によれば光ファイバ裸線の冷却効率をより広い範囲で調整することができ、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御することができる。
一実施形態として、複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドは、水平方向に沿ってトラバースが可能な移動非接触ガイドであってもよい。この形態では、移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して巻き付き長を増減させることにより、光ファイバ裸線の冷却を制御してもよい。この場合、移動非接触ガイドが水平方向に沿って移動される。そのため、移動非接触ガイドが不規則な方向に移動される場合と比べて、光ファイバ裸線の巻き付き長の算出を容易に行うことができ、光ファイバ裸線の冷却の制御を行いやすい。
一実施形態として、複数の非接触ガイドは、3個以上の奇数個の非接触ガイドであってもよい。この形態では、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ母材から偶数番目に位置する移動非接触ガイドを水平方向に沿ってトラバースさせて巻き付き長を増減させる。この場合、光ファイバ母材の溶融を行う装置に最も近接する非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の入線位置(非接触ガイドのどちら側と接するか)と、光ファイバ裸線を被覆する装置に最も近接する非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の出線位置とを同じ側に揃えることができる。これにより、巻き付き長管理が容易となる。
一実施形態として、複数の非接触ガイドは、4個以上の非接触ガイドであってもよい。複数の非接触ガイドのうち光ファイバ母材に最も近接する第1非接触ガイドと樹脂を被覆する装置に最も近接する第2非接触ガイドとを除く非接触ガイドが移動非接触ガイドである。光ファイバ母材から奇数番目に位置する移動非接触ガイドと光ファイバ母材から偶数番目に位置する移動非接触ガイドとを、水平方向において互いに異なる方向であって且つ略同一の距離をトラバースさせて、巻き付き長を増減させてもよい。この場合、第1非接触ガイド及び第2非接触ガイドを除いた非接触ガイド間の光ファイバ裸線の長さが略同一になり、光ファイバ裸線の総巻き付き長(各非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長の合計値)の算出を容易に行うことができる。そのため、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御しやすい。
一実施形態として、移動非接触ガイドのトラバース距離が0mmより大きく且つ350mm以下であってもよい。この場合、トラバース距離が350mm以下であることにより、光ファイバの冷却機構の大型化を抑制することができる。また、トラバース距離が350mm以下の場合、トラバース距離の変動量に対する光ファイバ裸線の総巻き付き長の変動量が大きい。そのため、僅かなトラバース距離の増減作業によって、光ファイバ裸線の冷却効率を大幅に調整することができ、光ファイバ裸線の冷却を効率的に制御できる。
一実施形態として、移動非接触ガイドのトラバースが終了した状態では、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線と、複数の非接触ガイドのうち樹脂を被覆する装置に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線とが一致する。この場合、非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長の管理が容易となり、光ファイバ裸線の冷却をより適切に制御することができる。
一実施形態として、移動非接触ガイドは、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように、配置されていてもよい。この場合、非接触ガイドへの巻き付き長の増減幅をより大きくすることができ、光ファイバ裸線の冷却を効率的に制御できる。また、光ファイバの冷却装置の大型化を抑制することができる。
一実施形態として、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ裸線の進行方向において隣接する非接触ガイド同士が鉛直方向において離隔しており、複数の非接触ガイドは、複数の非接触ガイド間のピッチ幅Hが複数の非接触ガイドのそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されていてもよい。この場合、非接触ガイドの間が離れているので、一つの非接触ガイドから引き出されて次の非接触ガイドに入線する光ファイバ裸線の進行方向が水平方向に対して傾斜する角度を、水平方向に沿った非接触ガイドのトラバース距離に応じて変化させることができる。これにより、非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を容易に増減させることができる。そのため、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御することができる。
一実施形態として、光ファイバ裸線の冷却の制御は、非接触ガイドへの光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることで冷却の度合いを制御し、巻き付き長の調整は、光ファイバ裸線を冷却する工程において行われてもよい。光ファイバ裸線の冷却工程を行いながら冷却制御を行う場合、光ファイバ裸線の冷却制御をより適切なタイミングで行うことができ、より高精度な光ファイバ素線を得ることができる。なお、実際の製造工程における冷却工程を行う前に、予め、巻き付け長をどの程度増減させればよいかを測定しておいてもよく、その場合は、製造中に冷却制御を都度行わなくてもよくなるため、製造方法を簡素化させることができる。
一実施形態に係る光ファイバの製造装置は、溶融装置と、冷却機構と、被覆装置と、を備える。溶融装置は、光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために光ファイバ母材を溶融する。冷却機構は、光ファイバ裸線を冷却する。被覆装置は、光ファイバ裸線を樹脂により被覆する。冷却機構は、光ファイバ裸線の進行方向を変更する複数の非接触ガイドを有する。各非接触ガイドは、光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、ガイド部には光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられている。複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドは、ガイド部に対する光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させるように移動可能である移動非接触ガイドである。
この光ファイバの製造装置では、複数の非接触ガイドの位置を調整して光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることができる。光ファイバ裸線の巻き付き長の増減は、上述したように、各非接触ガイド間における光ファイバ裸線の空中長の増減よりも冷却効率に大きい影響を与える。そのため、上記製造装置を用いることで光ファイバ裸線の冷却効率をより広い範囲で調整することができ、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御できる。
光ファイバの製造装置の一実施形態として、光ファイバの製造装置は、移動非接触ガイドをトラバースする装置を更に備えていてもよい。移動非接触ガイドは、水平方向に沿ってトラバースが可能であってもよい。複数の非接触ガイドは、移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して巻き付き長を増減させることにより光ファイバ裸線の冷却を制御するように配置されていてもよい。この場合、非接触ガイドが水平方向に沿って移動する。そのため、非接触ガイドが不規則な方向に移動する場合と比べて、光ファイバ裸線の巻き付き長の算出を容易に行うことができ、光ファイバ裸線の冷却の制御を行いやすい。
光ファイバの製造装置の一実施形態として、移動非接触ガイドは、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように、配置されていてもよい。この場合、非接触ガイドへの巻き付き長の増減幅をより大きくすることができ、光ファイバ裸線の冷却を効率的に制御できる。また、光ファイバの冷却装置の大型化を抑制することができる。
光ファイバの製造装置の一実施形態として、複数の非接触ガイドのうち光ファイバ裸線の進行方向において隣接する非接触ガイド同士が鉛直方向において離隔しており、複数の非接触ガイドは、複数の非接触ガイド間のピッチ幅Hが複数の非接触ガイドのそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されていてもよい。この場合、非接触ガイドの間が離れているので、一つの非接触ガイドから引き出されて次の非接触ガイドに入線する光ファイバ裸線の進行方向が水平方向に対して傾斜する角度を、水平方向に沿った非接触ガイドのトラバース距離に応じて変化させることができる。これにより、非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を容易に増減させることができる。そのため、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御することができる。
光ファイバの製造装置の一実施形態として、冷却機構は、3個以上15個以下の非接触ガイドを有していてもよい。この場合、非接触ガイドの個数が3個以上であることにより、光ファイバ裸線の総巻き付き長の調整を行うことができる。また、非接触ガイドの個数が15個以下であることにより、光ファイバの製造装置の大型化を抑制することができる。
光ファイバの製造装置の一実施形態として、各非接触ガイドの巻き付き径は、50mm以上200mm以下であってもよい。この場合、各非接触ガイドの巻き付き径が50mm以上であることにより、各非接触ガイドに対する光ファイバ裸線の巻き付き長を十分に確保でき、光ファイバ裸線の冷却を適切に制御することができる。また、各非接触ガイドの巻き付き径が200mm以下であることにより、光ファイバの製造装置の大型化を抑制することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係る光ファイバの製造装置及び光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1及び図2を参照して、一実施形態に係る光ファイバの製造装置、及び光ファイバの製造方法について説明する。図1は、一実施形態に係る光ファイバの製造装置1の概略図である。図2は、非接触ガイド20を示す斜視図である。本実施形態において、製造装置1の高さ方向(鉛直方向)を方向Xとし、幅方向(水平方向)を方向Yとし、奥行き方向を方向Zとする。本実施形態においては、方向X、方向Y及び方向Zは互いに直交する。
製造装置1は、図1に示されるように、光ファイバ母材2を加熱溶融して光ファイバ裸線10の線引きを行い、その光ファイバ裸線10の外周に被覆樹脂を設けることにより光ファイバ素線11を製造する装置である。製造装置1は、図1に示すように、線引き炉3、冷却部4、コーティング部5、硬化部6、直下ローラ7、牽引ローラ8及び巻取部9を、光ファイバ裸線10及び光ファイバ素線11の通過経路に沿って順に備えている。また、製造装置1は、トラバース装置50を備えている。
線引き炉3は、光ファイバ母材2を加熱溶融する溶融装置である。線引き炉3によって光ファイバ母材2を加熱溶融し、鉛直方向(図1に示す方向X)に沿って線引きできるようにする。線引き炉3は、光ファイバ母材2の周囲に位置するヒータを有する。光ファイバ母材2は、例えば石英ガラスを含むガラス体(プリフォーム)であってもよい。線引きされた光ファイバ母材2は、光ファイバ裸線10となる。光ファイバ裸線10は、例えばコアと、コアの外周を覆うクラッドとを含むガラス線であってもよい。線引きされた光ファイバ裸線10は、冷却部4へと送られる。
冷却部4は、光ファイバ裸線10を冷却する冷却機構である。冷却部4は、外壁(側壁、天板及び底板を含む)によって囲まれる内部空間Sを有し、当該内部空間Sを光ファイバ裸線10が通過する。冷却部4が外壁を有することにより、断線した光ファイバ裸線10が飛散することを防止でき、また、内部空間Sへと異物が張り込むことを抑制し、内部空間Sのクリーン度を維持することができる。冷却部4の外壁は、冷却部4の内部を確認できるように透明なガラス又は樹脂によって構成されていてもよい。
冷却部4は、光ファイバ裸線10を全体的に冷却するための乾燥ガスを内部空間Sに注入するための吸気口(不図示)を有していてもよい。光ファイバ裸線10の熱は、乾燥ガスを冷媒として外部に放出される。冷却部4は、乾燥ガスを排出するための排気口(不図示)を有していてもよい。冷却部4の方向Xにおける高さ(側壁の高さ)は、例えば1000mm以上1600mm以下であってもよい。冷却部4の方向Yにおける幅(側壁の幅)は、例えば800mm以上1400mm以下であってもよい。なお、外壁で囲むことにより、冷却部4内部の露点管理や、断線時の光ファイバの飛散防止が可能となるが、外壁で囲まずに、後述する非接触ガイド20によって光ファイバ裸線10を冷却するだけであってもよい。また、外壁で囲った場合であっても、内部空間Sに乾燥ガスを注入せずに光ファイバ裸線10を外気に直接触れないようにするだけであってもよい。
光ファイバ裸線10は、複数の非接触ガイド20によって進行方向を変更させられながら蛇行するように内部空間Sを通過する。光ファイバ裸線10は、各非接触ガイド20の間を方向X及び方向Yに対して傾斜する方向に通過する。冷却部4は、9個の非接触ガイド21から29を有する。各非接触ガイド21から29は、光ファイバ裸線10の走行路において順に設けられている。以下、各非接触ガイド21から29を区別して説明する必要のない場合には、単に非接触ガイド20と総称して説明を行う。冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は複数であればよく、9個に限定されない。例えば、冷却部4は、3個以上15個以下の非接触ガイド20を有していてもよい。
非接触ガイド20は、光ファイバ裸線10の進行方向を変更する部材である。非接触ガイド20は、図2に示すように、第1フランジ30及び第2フランジ35を備える。第1フランジ30及び第2フランジ35は、円盤形状を有する部材であり、中心軸Cに沿う方向において互いに重畳するように設けられている。非接触ガイド20は、第1フランジ30と第2フランジ35との間にガイド部40を有している。ガイド部40は、第1フランジ30の外縁部と第2フランジ35の外縁部との間に設けられた隙間である。ガイド部40は、非接触ガイド20の外周に沿って環状に設けられている。ガイド部40には、光ファイバ裸線10が通される。
第1フランジ30及び第2フランジ35の内部には、内部部材(不図示)が収容されている。内部部材は、外部の気体供給源(エアポンプ等)と繋がっている。内部部材は、気体供給源から供給された気体を、ガイド部40内部の吹出口を介して非接触ガイド20の外部へと吹き出す。気体供給源から供給される気体は、例えば冷却部4の内部空間S(図1を参照)に充満する乾燥ガスであってもよい。吹き出された気体は、ガイド部40に通された光ファイバ裸線10に吹き付けられる。光ファイバ裸線10は、気体が吹き付けられることにより浮遊し、第1フランジ30及び第2フランジ35と接触しないようになっている。
第2フランジ35は、内部部材に対して移動可能に取り付けられていてもよい。この場合、第2フランジ35を移動してガイド部40の幅を変化させることにより、ガイド部40から吹き出される気体の圧力を調整できる。ガイド部40から吹き出される気体の圧力は、ガイド部40に通される光ファイバ裸線10の径又は種類等に応じて適宜調整されてもよい。第1フランジ30は、内部部材に固定されていてもよいし、第2フランジ35と同様に、ガイド部40の幅を変化させる方向へ移動可能となるように内部部材に取り付けられていてもよい。
各非接触ガイド20の少なくとも1つは、内部空間Sを横切るように方向Yに沿って移動可能な移動非接触ガイドである。光ファイバの製造工程では、複数の非接触ガイド20のうち少なくとも1個以上の非接触ガイドの位置を調整して、非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させる。これにより、光ファイバ裸線10の冷却を制御する。光ファイバ裸線10の巻き付き長とは、ガイド部40に通された光ファイバ裸線10のうち、非接触ガイド20の中心軸Cを中心とした円弧上に位置する部分(以下、巻き付き部分という)の長さである。
本実施形態においては、偶数番目の非接触ガイド20(非接触ガイド22、24、26及び28)が図1の紙面右側に向かって方向Yに沿って移動されている。偶数番目の非接触ガイド20は、光ファイバ母材2から偶数番目に位置する非接触ガイド20であり、光ファイバ裸線10が通過する順に非接触ガイド20を数えたときに遇数番目に数えられる。一方、奇数番目の非接触ガイド20は、光ファイバ母材から奇数番目に位置する非接触ガイド20であり、光ファイバ裸線10が通過する順に非接触ガイド20を数えたときに奇数番目に数えられる。本実施形態において奇数番目の非接触ガイド20とは、非接触ガイド21、23、25、27及び29である。
製造装置1は、各非接触ガイド20をトラバースするトラバース装置50を備えている。ここで、非接触ガイド20をトラバースするとは、非接触ガイド20を方向Y(水平方向)に沿って移動することをいう。すなわち、トラバース装置50は、各非接触ガイド20を方向Y(水平方向)に沿って移動可能に構成されている。各非接触ガイド20は、トラバース装置50に取り付けられている。各非接触ガイド20は、トラバース装置50から着脱可能であってもよい。すなわち、冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は変更可能であってもよい。非接触ガイド20の個数を変更することにより、非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の総巻き付き長を調整可能となる。光ファイバ裸線10の総巻き付き長とは、冷却部4が有する各非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長の合計値である。
光ファイバ裸線10は、複数の非接触ガイド20によって方向変更されつつ内部空間Sを移動する。冷却部4によって冷却された光ファイバ裸線10は、コーティング部5へと送られる。
コーティング部5は、光ファイバ裸線10の外周に被覆樹脂を塗布する被覆装置である。被覆樹脂は、例えば紫外線硬化型樹脂である。コーティング部5は、種類の異なる2つの被覆樹脂を光ファイバ裸線10の外周に塗布してもよい。コーティング部5は、例えばプライマリ樹脂を光ファイバ裸線10に塗布した後、セカンダリ樹脂をプライマリ樹脂の外側に塗布してもよい。コーティング部5は、プライマリ樹脂とセカンダリ樹脂とを略同時に光ファイバ裸線10に塗布してもよい。被覆樹脂が塗布された光ファイバ裸線10は、硬化部6に送られる。
硬化部6は、紫外線を照射することにより、光ファイバ裸線10に塗布された被覆樹脂を硬化させる硬化装置である。硬化部6は、紫外線を出射する紫外線ランプ等の発光素子を有している。光ファイバ裸線10に塗布された被覆樹脂が硬化することにより、光ファイバ素線11が完成する。光ファイバ素線11は、直下ローラ7へと送られる。
直下ローラ7は、光ファイバ素線11の進行方向を方向Xに沿う方向から所定の方向へと変更するローラである。直下ローラ7によって進行方向が変更された光ファイバ素線11は牽引ローラ8へと送られる。牽引ローラ8は、光ファイバ素線11を牽引し移動させるローラである。牽引ローラ8の回転速度を変更することにより、光ファイバ裸線10及び光ファイバ素線11の移動速度を調整可能となっていてもよい。光ファイバ素線11は、牽引ローラ8から巻取部9へと送られる。巻取部9は、光ファイバ素線11を巻き取る部材である。巻取部9は、例えば光ファイバ素線11を巻き付け可能なボビンであってもよい。以上で光ファイバ素線11の製造工程が終了する。
図3及び図4を参照して、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付ける方法、及び光ファイバ裸線10の巻き付き長を調整する方法について説明する。図3は、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付ける前の状態を示す図である。図4は、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付けた状態を示す図である。図4においては、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付ける前の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を破線で示し、巻き付けた後の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を実線で示している。
光ファイバ裸線10が非接触ガイド20に巻き付けられる前の状態では、図3に示すように、光ファイバ裸線10が方向Xに沿って延びるように配置されている。光ファイバ裸線10は、方向Yにおいて、奇数番目の非接触ガイド20と偶数番目の非接触ガイド20とによって挟まれるように配置されている。複数の非接触ガイド20は、光ファイバ裸線10の進行方向において隣接する非接触ガイド20同士が方向Xにおいて所定距離だけ離隔して配置されている。すなわち、奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20は、方向Xにおける位置が互いに重ならないように交互に配置されている。
この状態で、非接触ガイド20をトラバースする。非接触ガイド20のトラバースは、製造装置1が備えるトラバース装置50(図1を参照)を用いて行われる。奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20を、光ファイバ裸線10に向かって互いに異なる方向にトラバースする。
奇数番目の非接触ガイド20は、図4に示すように、その外縁が方向Xに延びる光ファイバ裸線10とおよそ重なる位置まで(ガイド部40に光ファイバ裸線10が通される位置まで)トラバースする。偶数番目の非接触ガイド20は、光ファイバ母材2に最も近接する最上部の非接触ガイド21から方向Xに沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースする。偶数番目の非接触ガイド20は、奇数番目の非接触ガイド20の間を通り抜け、トラバース前に光ファイバ裸線10が配置されていた位置よりも図4の紙面右側の位置までトラバースされる。各非接触ガイド20をトラバースすることにより、非接触ガイド20の外周(図2に示すガイド部40)に光ファイバ裸線10が巻き付く。
非接触ガイド20のトラバース距離を適宜調整することにより光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させ、光ファイバ裸線10の冷却を制御することができる。光ファイバ裸線10の冷却の制御(巻き付き長の増減作業)は、光ファイバの製造工程のうち、光ファイバ裸線10の冷却工程において行われてもよい。巻き付き長を増減する際には、必ずしも全ての非接触ガイド20をトラバースさせなくともよく、例えば偶数番目の非接触ガイド20のみをトラバースさせてもよいし、いずれか1個の非接触ガイド20のみをトラバースさせてもよい。トラバース距離と巻き付き長との関係については、図7を参照して後述する。
非接触ガイド20のトラバースが終了した状態では、光ファイバ母材2に最も近接する最上部の非接触ガイド21に導入される光ファイバ裸線10、及びコーティング部5に最も近接する最下部の非接触ガイド29から排出される光ファイバ裸線10は、方向Xに沿って延びている。一方、各非接触ガイド20間を通る光ファイバ裸線10は、方向Xに対して傾斜する向きに延びている。本実施形態においては、各非接触ガイド20間の光ファイバ裸線10の長さは略同一になっている。非接触ガイド20のトラバースが終了した状態では、非接触ガイド21から鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線と、非接触ガイド29から鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線とが一致する。
光ファイバ裸線10の進行方向は、各非接触ガイド20によって所定の角度αだけ変更される。非接触ガイド20によって変更される進行方向の角度αは、当該非接触ガイド20によって進行方向が変更されないと仮定した場合に光ファイバ裸線10の進む方向と、当該非接触ガイド20によって進行方向が変更された光ファイバ裸線10の進む方向とが成す角度である。すなわち、非接触ガイド21によって変更される角度αは、非接触ガイド21によって進行方向が変更されないと仮定した場合に光ファイバ裸線10の進む方向(図4に示す直線SL1に沿って紙面下側に進む方向)と、非接触ガイド21によって進行方向が変更された光ファイバ裸線10の進む方向(図4に示す直線SL2に沿って紙面右側に進む方向)とが成す角度α1であり、後述する角度θを用いると、α1=π/2+θである。また、非接触ガイド22によって変更される角度αは、非接触ガイド22によって進行方向が変更されないと仮定した場合に光ファイバ裸線10の進む方向(図4に示す直線SL2に沿って紙面右側に進む方向)と、非接触ガイド22によって進行方向が変更された光ファイバ裸線10の進む方向(図4に示す直線SL3に沿って紙面左側に進む方向)とが成す角度α2であり、後述する角度θを用いると、α2=2θである。ここで、直線SL3は、非接触ガイド22から排出され非接触ガイド23に導入される光ファイバ裸線10に沿う直線である。
本実施形態では、非接触ガイド21及び非接触ガイド29によって90°を僅かに超える角度α(例えば95°以上110°以下の角度)だけ光ファイバ裸線10の進行方向が変更され、他の非接触ガイド22から28によって角度α(例えば10°以上40°以下の角度)だけ光ファイバ裸線10の進行方向が変更される。
図5は、方向Xにおいて隣り合う2つの非接触ガイド20を示す図である。図5では、非接触ガイド21及び非接触ガイド22を例として示している。図5においては、説明の都合上、非接触ガイド21及び非接触ガイド22間の方向Yにおける幅を図4よりも縮小して図示している。図5においては、トラバースが終了した状態の非接触ガイド21、22を実線で示している。また、図5においては、非接触ガイド22がトラバースを開始し、光ファイバ裸線10を方向Xに沿って垂れ下がるように延在させたときに、当該光ファイバ裸線10が湾曲することなくガイド部40を通過する地点(以下、基準地点という)に位置する非接触ガイド22を非接触ガイド22Aとし、二点鎖線で示している。
ここで、図5に示す各地点間の距離等について説明する。図5に示すピッチ幅Hは、隣り合う非接触ガイド20がそれぞれ有する中心軸C間の方向Xにおける距離である。ピッチ幅Hは、各非接触ガイド20の方向Xにおける位置を変更することにより、調整可能であってもよい。また、水平距離Lは、隣り合う非接触ガイド20がそれぞれ有する中心軸C間の方向Yにおける距離である。水平距離Lは、例えば50mm以上450mm以下であってもよい。水平距離Lは、各非接触ガイド20の方向Yにおける位置を変更することにより(各非接触ガイド20をトラバースすることにより)、調整可能であってもよい。
巻き付き径D1とは、各非接触ガイド20において、ガイド部40の全周に亘って光ファイバ裸線10を巻き付けた際に、当該光ファイバ裸線10によって形成される円の直径である。巻き付き径D1は、例えば50mm以上200mm以下であってもよい。外径D2は、各非接触ガイド20の鍔部の直径(方向Zから見た場合の非接触ガイド20の外縁の直径)である。外径D2は、例えば80mm以上230mm以下であってもよい。複数の非接触ガイド20は、複数の非接触ガイド20間のピッチ幅Hが複数の非接触ガイド20のそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されている。ピッチ幅Hは、例えば150mm以上200mm以下であってもよい。トラバース距離L11とは、基準地点に位置する非接触ガイド20(図5に示す非接触ガイド22A)の中心軸Cと、トラバース後の非接触ガイド20(例えば図5に示す非接触ガイド22)の中心軸Cとの方向Yにおける距離である。トラバース距離L11は、0mmより大きければよく、例えば100mm以上500mm以下であってもよいし、200mm以上400mm以下であってもよいし、およそ350mmであってもよい。
内部空間Sに入線された光ファイバ裸線10は方向Xに沿って移動した後、非接触ガイド21のガイド部40に通される。その後、光ファイバ裸線10は、ガイド部40に沿って非接触ガイド21に巻き付くように移動し、ガイド部40から排出され非接触ガイド22へと送られる。非接触ガイド21と非接触ガイド22との間の光ファイバ裸線10は、方向Xに対して角度θで交わる方向に延びる。非接触ガイド22へと送られた光ファイバ裸線10は、非接触ガイド22のガイド部40に通される。その後、光ファイバ裸線10は、ガイド部40に沿って非接触ガイド22に巻き付くように移動し、ガイド部40から排出され非接触ガイド23(図4を参照)に送られる。このとき、水平距離Lは、下記の数式(1)により求められる。
L=(H-D1/cosθ)/tanθ …(1)
次に、光ファイバ裸線10の巻き付き長及び空中長について説明を行う。上述したように、光ファイバ裸線10の巻き付き長とは、ガイド部40に通された光ファイバ裸線10のうち、非接触ガイド20の中心軸Cを中心とした円弧上に位置する部分(以下、巻き付き部分という)の長さである。非接触ガイド21に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長L21は、下記の数式(2)により求められる。
L21=D1(π-2θ)/4 …(2)
また、非接触ガイド29(図4を参照)に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長についても数式(2)と同様の式を用いて算出することができる。
非接触ガイド22に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長L22は、下記の数式(3)により求められる。
L22=D1(π-2θ)/2 …(3)
また、非接触ガイド23から28(図4を参照)に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長についても数式(3)と同様の式を用いて算出することができる。
光ファイバ裸線10の空中長とは、光ファイバ裸線10のうち、巻き付き部分同士を接続する部分の長さである。非接触ガイド21及び非接触ガイド22の間における、光ファイバ裸線10の空中長L31は、下記の数式(4)により求められる。
L31=D1tanθ+L/cosθ …(4)
また、他の非接触ガイド20の間における、光ファイバ裸線10の空中長についても数式(4)と同様の式を用いて算出することができる。
図6は、冷却距離とファイバ温度との関係を計算した結果を示すグラフである。図6において、横軸は冷却距離(単位:mm)を示し、縦軸はファイバ温度(単位:℃)を示す。ここで冷却距離とは、冷却部4の内部空間S(図1を参照)において光ファイバ裸線10が移動する距離である。冷却距離は、上述した各数式を適宜用いて算出される。ファイバ温度とは、光ファイバ裸線10の温度である。図6に示す各線は、条件A1から条件A3のそれぞれ異なる条件下において光ファイバ裸線10を冷却したときのファイバ温度を示している。条件A1及び条件A2の測定では、非接触ガイド20を使用せずに光ファイバ裸線10を内部空間Sにおいて方向Xに沿って直線的に移動させた。また、条件A1の測定では光ファイバ裸線10の線速を従来条件のY1m/minに設定し、条件A2の測定では光ファイバ裸線10の線速を1.2×Y1m/minに設定した。
一方、条件A3の測定では、非接触ガイド20を使用して、光ファイバ裸線10をその進行方向を変更しつつ移動させた。条件A3の測定では8個の非接触ガイド20を使用し、各非接触ガイド20間の水平距離L(図5を参照)を500mm、光ファイバ裸線10の線速を1.2×Y1m/minに設定した。また、条件A1から条件A3の全ての条件において、内部空間Sに入線させたときの光ファイバ裸線10の温度は約600℃と仮定した。
図6に示すように、条件A3での測定では、条件A1及び条件A2での測定と比べて、より短い冷却距離でファイバ温度が100℃程度まで低下している。光ファイバ裸線10を約100℃まで冷却することにより、光ファイバ裸線10の外周に適切に樹脂被覆を設けることができる。
また、条件A1及び条件A2での測定では、ファイバ温度がなだらかに低下している。一方、条件A3での測定では、ファイバ温度がなだらかに低下する部分と急激に低下する部分が交互に繰り返されている。このうちファイバ温度が急激に低下する部分は、光ファイバ裸線10のうち非接触ガイド20への巻き付き部分に対応している。本発明者らの知見によれば、非接触ガイド20に光ファイバ裸線10が巻き付いた際にガイド部40から吹き付けられる気体によって、ファイバ温度が急激に低下するものと考えられる。すなわち、非接触ガイド20間の空中長よりも、非接触ガイド20への巻き付き長を増減させることで、光ファイバ裸線10の冷却効率をより大きく調整することが可能となる。
図7は、トラバース距離L11と総巻き付き長L20との関係を示すグラフである。図7において、横軸は偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11(単位:mm)を示し、縦軸は光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20(単位:mm)を示す。図7のグラフは、条件B1から条件B3の各条件下において、偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11を変化させた際の総巻き付き長L20の変化を示している。各非接触ガイド20間のピッチ幅Hは、条件B1では150mm、条件B2では170mm、条件B3では190mmであった。また、各条件共通して、冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は9個、各非接触ガイド20の巻き付き径D1は120mmとした場合の一例である。
図7に示すように、条件B1から条件B3のいずれの場合も、偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11を増加させるにつれ、総巻き付き長L20が増加している。しかしながら、トラバース距離L11の増加量に対する総巻き付き長L20の増加量は、トラバース距離L11が大きくなるにつれ徐々に減少する。トラバース距離L11がおよそ300mmを超えると、トラバース距離L11を増加させても総巻き付き長L20はほぼ変わらず一定となることがわかる。冷却部4が有する非接触ガイド20の個数を5個、及び7個に設定して総巻き付き長L20を計算した場合も同様の傾向となる。
図8は、トラバース距離L11と総空中長L30との関係を示すグラフである。図8において、横軸は偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11(単位:mm)を示し、縦軸は総空中長L30(単位:mm)を示す。ここで総空中長とは、各非接触ガイド20間の空中長の合計値である。図8のグラフは、条件C1から条件C3の各条件下において、偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11を変化させたときの総空中長L30の変化を示している。冷却部4が有する非接触ガイド20の数は、条件C1では5個、条件C2では7個、条件C3では9個であった。また、各条件共通して、ピッチ幅Hは170mm、各非接触ガイド20の巻き付き径D1は120mmとした。
図8に示すように、条件C1から条件C3のいずれの場合も、偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11を増加させるにつれ総空中長L30が増加している。図7と対比して、上述した総巻き付き長L20とは異なり、トラバース距離L11が300mmを超えても総空中長L30の増加量は低下しない。非接触ガイド20のピッチ幅Hを150mm、及び190mmに設定した場合も、総空中長L30は同様の傾向となる。
図9は、トラバース距離L11と総巻き付き長L20との関係を示すグラフである。図9において、横軸は偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11(単位:mm)を示し、縦軸は総巻き付き長L20(単位:mm)を示す。図9のグラフは、条件E1から条件E3の各条件下において、偶数番目の非接触ガイド20のトラバース距離L11を変化させたときの総巻き付き長L20の変化を示している。
条件E1においては、冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は9個、巻き付き径D1は100mm、ピッチ幅Hは150mmであった。条件E2においては、冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は9個、巻き付き径D1は120mm、ピッチ幅Hは170mmであった。条件E3においては、冷却部4が有する非接触ガイド20の個数は7個、巻き付き径D1は150mm、ピッチ幅Hは190mmであった。また、冷却部4の最上部に位置する非接触ガイド20の上端から最下部に位置する非接触ガイド20の下端までの全高さT(図4を参照)は、条件E1の下では1300mm、条件E2の下では1480mm、条件E3の下では1350mmであった。
図9に示すように、非接触ガイド20の個数が7個である条件E3での総巻き付き長L20は、非接触ガイド20の個数が9個である条件E1での総巻き付き長L20よりも大きい。すなわち、非接触ガイド20の個数を少なくした場合であっても、巻き付き径D1及びピッチ幅Hを調整することにより総巻き付き長L20を増加させることができる。また、条件E1と条件E3とでは、全高さT(したがって冷却部の設備の高さ)が同程度又は同じであっても、条件E3とすることで、総巻き付き長L20を、条件E1よりも増加させることできる。
また、巻き付き径D1が120mmである条件E2での総巻き付き長L20は、巻き付き径D1が150mmである条件E3での総巻き付き長L20よりも大きい。すなわち、巻き付き径D1を小さくした場合であっても、非接触ガイド20の個数及びピッチ幅Hを調整することにより総巻き付き長L20を増加させることができる。
上述したように、非接触ガイド20の個数、巻き付き径D1、ピッチ幅H及びトラバース距離L11等を適宜変更することにより、光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減することができる。巻き付き長の増減作業は、光ファイバの製造工程のうち、光ファイバ裸線10の冷却工程において行われてもよい。また、製造装置1の配置スペース、各非接触ガイド20の重量等を考慮して、光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20が最大化するように調整されてもよい。
以上、本実施形態に係る光ファイバの製造方法によれば、複数の非接触ガイド20の位置を調整して光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させることができる。光ファイバ裸線10の巻き付き長の増減は、各非接触ガイド20間における光ファイバ裸線10の空中長の増減よりも冷却効率に大きい影響を与える。そのため、上記製造方法によれば光ファイバ裸線10の冷却効率をより広い範囲で調整することができ、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御できる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイド20のうち少なくとも1つの非接触ガイド20は、水平方向(方向Y)に沿ってトラバースが可能な移動非接触ガイドである。移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して巻き付き長を増減させることにより、光ファイバ裸線10の冷却を制御する。この場合、移動非接触ガイドが水平方向(方向Y)に沿って移動する。そのため、移動非接触ガイドが不規則な方向に移動する場合と比べて、光ファイバ裸線10の巻き付き長の算出を容易に行うことができ、光ファイバ裸線10の冷却の制御を行いやすい。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイド20は、3個以上の奇数個の非接触ガイド20である。複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2から偶数番目に位置する移動非接触ガイドを水平方向に沿ってトラバースさせて巻き付き長を増減させる。この場合、光ファイバ母材2の溶融を行う装置(線引き炉3)に最も近接する非接触ガイド21に対する光ファイバ裸線10の入線位置と、光ファイバ裸線10を被覆する装置(コーティング部5)に最も近接する非接触ガイド29に対する光ファイバ裸線10の出線位置とを同じ側に揃えることができる。これにより、巻き付き長管理が容易となる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、移動非接触ガイドのトラバース距離が0mmより大きく且つ350mm以下であってもよい。この場合、トラバース距離が350mm以下であることにより、光ファイバの製造スペースの大型化を抑制することができる。また、トラバース距離が350mm以下の場合、トラバース距離L11の変動量に対する光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20の変動量が大きい。そのため、僅かなトラバース距離L11の増減作業によって、光ファイバ裸線10の冷却効率を大幅に調整することができ、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御できる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、移動非接触ガイドのトラバースが終了した状態では、複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2に最も近接する非接触ガイド21から鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線と、複数の非接触ガイド20のうちコーティング部5に最も近接する非接触ガイド29から鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線とが一致する。この場合、非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長の管理が容易となり、光ファイバ裸線10の冷却をより適切に制御することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、移動非接触ガイドは、複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向(方向X)に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように配置される。この場合、非接触ガイド20への巻き付き長の増減幅をより大きくすることができ、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御できる。また、光ファイバの製造装置1の大型化を抑制することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ裸線10の進行方向において隣接する非接触ガイド20同士が鉛直方向に(方向X)おいて離隔している。複数の非接触ガイド20は、複数の非接触ガイド20間のピッチ幅Hが複数の非接触ガイド20のそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されている。この場合、非接触ガイド20を水平方向(方向Y)にトラバースした際に、非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減することができる。そのため、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、光ファイバ裸線10の冷却の制御は、巻き付き長を増減させることで冷却の度合いを制御し、巻き付き長の調整は、光ファイバ裸線10を冷却する工程において行われてもよい。光ファイバ裸線10の冷却工程を行いながら冷却制御を行う場合、光ファイバ裸線10の冷却制御をより適切なタイミングで行うことができ、より高精度な光ファイバ素線11を得ることができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1では、複数の非接触ガイド20の位置を調整して光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させることができる。光ファイバ裸線10の巻き付き長の増減は、各非接触ガイド20間における光ファイバ裸線10の空中長の増減よりも冷却効率に大きい影響を与える。そのため、上記製造装置1を用いることで光ファイバ裸線10の冷却効率をより大幅に調整することができ、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御できる。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1は、移動非接触ガイドをトラバースする装置(トラバース装置50)を備えている。移動非接触ガイドは、水平方向(方向Y)に沿ってトラバースが可能である。複数の非接触ガイド20は、移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して巻き付き長を増減させることにより光ファイバ裸線10の冷却を制御するように配置されている。この場合、移動非接触ガイドが水平方向(方向Y)に沿って移動する。そのため、移動非接触ガイドが不規則な方向に移動する場合と比べて、光ファイバ裸線10の巻き付き長の算出を容易に行うことができ、光ファイバ裸線10の冷却の制御を行いやすい。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1では、移動非接触ガイドは、複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2に最も近接する非接触ガイド21から鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように、配置されていてもよい。この場合、非接触ガイド20への巻き付き長の増減幅をより大きくすることができ、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御できる。また、光ファイバの製造装置1の大型化を抑制することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1では、複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ裸線10の進行方向において隣接する非接触ガイド20同士が鉛直方向に(方向X)おいて離隔している。複数の非接触ガイド20は、複数の非接触ガイド20間のピッチ幅Hが複数の非接触ガイド20のそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されている。この場合、非接触ガイド20を水平方向(方向Y)にトラバースした際に、非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減することができる。そのため、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1では、冷却機構(冷却部4)は、3個以上15個以下の非接触ガイド20を有していてもよい。この場合、非接触ガイド20の個数が3個以上であることにより、光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20の調整を行うことができる。また、非接触ガイド20の個数が15個以下であることにより、光ファイバの製造装置1の大型化を抑制することができる。
本実施形態に係る光ファイバの製造装置1では、各非接触ガイド20の巻き付き径D1は、50mm以上200mm以下であってもよい。この場合、各非接触ガイド20の巻き付き径D1が50mm以上であることにより、各非接触ガイド20に対する光ファイバ裸線10の巻き付き長を十分に確保でき、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御することができる。また、各非接触ガイド20の巻き付き径D1が200mm以下であることにより、光ファイバの製造装置1の大型化を抑制することができる。
<第1変形例>
図10を参照して、光ファイバの製造装置1及び製造方法の第1変形例について説明する。図10は、第1変形例に係る光ファイバの製造装置の内部空間Sにおいて、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付けた状態を示す図である。以下の説明では、上述した実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。図10においては、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付ける前の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を破線で示し、巻き付けた後の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を実線で示している。
上述した実施形態においては、図4に示すように、冷却部4において奇数番目の非接触ガイド20よりも偶数番目の非接触ガイド20が大きくトラバースされる。一方、本変形例では冷却部4Aにおいて奇数番目の非接触ガイド20のうち一部が、偶数番目の非接触ガイド20と同程度の距離だけトラバースされる点で上記実施形態と異なる。
光ファイバ裸線10が非接触ガイド20に巻き付けられる前の状態では、上述した実施形態と同様に、光ファイバ裸線10が方向Xに沿って延びるように配置される。光ファイバ裸線10は、方向Yにおいて、奇数番目の非接触ガイド20と偶数番目の非接触ガイド20とによって挟まれるように配置されている。複数の非接触ガイド20は、光ファイバ裸線10の進行方向において隣接する非接触ガイド20同士が方向Xにおいて離隔して配置されている。すなわち、奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20は、方向Xにおける位置が互いに重ならないように交互に配置されている。
この状態で、奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20を、光ファイバ裸線10に向かって互いに異なる方向にトラバースする。具体的には、奇数番目の非接触ガイド20を図10に示す矢印A方向にトラバースし、偶数番目の非接触ガイド20を図10に示す矢印B方向にトラバースする。
奇数番目の非接触ガイド20のうち、光ファイバ母材2に最も近接する最上部の非接触ガイド21(第1非接触ガイド)、及びコーティング部5に最も近接する最下部の非接触ガイド29(第2非接触ガイド)は、その外縁が方向Xに延びる光ファイバ裸線10とおよそ重なる位置まで(ガイド部40に光ファイバ裸線10が通される位置まで)トラバースする。非接触ガイド21及び非接触ガイド29を除いた奇数番目の非接触ガイド20(非接触ガイド23、25及び27)は、偶数番目の非接触ガイド20と略同一の距離だけトラバースする。各非接触ガイド20のトラバース距離を適宜調整することにより光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させ、光ファイバ裸線10の冷却を制御することができる。
本変形例に係る光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイド20は、4個以上の非接触ガイド20である。複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2に最も近接する非接触ガイド21と樹脂を被覆する装置(コーティング部5)に最も近接する非接触ガイド29とを除く非接触ガイド20(非接触ガイド21から非接触ガイド28)が移動非接触ガイドである。光ファイバ母材2から奇数番目に位置する非接触ガイド23、25及び27と光ファイバ母材2から偶数番目に位置する非接触ガイド22、24、26及び28とを、水平方向(方向Y)において互いに異なる方向であって且つ略同一の距離をトラバースさせて、巻き付き長を増減させる。この場合、非接触ガイド21及び非接触ガイド29を除いた非接触ガイド20間の光ファイバ裸線10の長さが略同一になり、光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20の算出を容易に行うことができる。そのため、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御しやすい。
<第2変形例>
図11を参照して、光ファイバの製造装置1及び製造方法の第2変形例について説明する。図11は、第2変形例に係る光ファイバの製造装置の内部空間Sにおいて、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付けた状態を示す図である。以下の説明では、上述した実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。図11においては、光ファイバ裸線10を非接触ガイド20に巻き付ける前の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を破線で示し、巻き付けた後の状態における光ファイバ裸線10及び非接触ガイド20を実線で示している。
上述した実施形態に係る冷却部4は、図4に示すように、奇数個(9個)の非接触ガイド20を有している。一方、本変形例に係る冷却部4Bは、図11に示すように、偶数個(8個)の非接触ガイド20を有している点で上記実施形態と異なる。
光ファイバ裸線10が非接触ガイド20に巻き付けられる前の状態では、上述した実施形態と同様に、光ファイバ裸線10が方向Xに沿って延びるように配置される。光ファイバ裸線10は、方向Yにおいて、奇数番目の非接触ガイド20と偶数番目の非接触ガイド20とによって挟まれるように配置されている。複数の非接触ガイド20は、光ファイバ裸線10の進行方向において隣接する非接触ガイド20同士が方向Xにおいて離隔して配置されている。すなわち、奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20は、方向Xにおける位置が互いに重ならないように交互に配置されている。
この状態で、奇数番目の非接触ガイド20及び偶数番目の非接触ガイド20を、光ファイバ裸線10に向かって互いに異なる方向にトラバースする。具体的には、奇数番目の非接触ガイド20を図11に示す矢印A方向にトラバースし、偶数番目の非接触ガイド20を図11に示す矢印B方向にトラバースする。
奇数番目の非接触ガイド20のうち、光ファイバ母材2に最も近接する最上部の非接触ガイド21、及びコーティング部5に最も近接する最下部の非接触ガイド28は、その外縁が方向Xに延びる光ファイバ裸線10とおよそ重なる位置まで(ガイド部40に光ファイバ裸線10が通される位置まで)トラバースする。非接触ガイド21を除いた奇数番目の非接触ガイド20(非接触ガイド23、25及び27)は、非接触ガイド28を除いた偶数番目の非接触ガイド20(非接触ガイド22、24及び26)と略同一の距離だけトラバースする。各非接触ガイド20のトラバース距離を適宜調整することにより光ファイバ裸線10の巻き付き長を増減させ、光ファイバ裸線10の冷却を制御することができる。
本変形例に係る光ファイバの製造方法では、複数の非接触ガイド20は、4個以上の非接触ガイド20である。複数の非接触ガイド20のうち光ファイバ母材2に最も近接する非接触ガイド21と樹脂を被覆する装置(コーティング部5)に最も近接する非接触ガイド28とを除く非接触ガイド20(非接触ガイド21から非接触ガイド27)が移動非接触ガイドである。光ファイバ母材2から奇数番目に位置する非接触ガイド20(非接触ガイド23、25及び27)と光ファイバ母材2から偶数番目に位置する非接触ガイド20(非接触ガイド22、24及び26)とを、水平方向(方向Y)において互いに異なる方向であって且つ略同一の距離をトラバースさせて、巻き付き長を増減させる。この場合、非接触ガイド21及び非接触ガイド28を除いた非接触ガイド20間の光ファイバ裸線10の長さが略同一になり、光ファイバ裸線10の総巻き付き長L20の算出を容易に行うことができる。そのため、光ファイバ裸線10の冷却を適切に制御しやすい。
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。
各非接触ガイド20のトラバース距離は、それぞれ異なっていてもよい。また、各非接触ガイド20の巻き付き径D1及び外径D2は、それぞれ異なっていてもよい。各非接触ガイド20は、方向Yに限らず、方向X及び方向Zに沿って、又はこれらの方向と交差する方向に沿って移動可能であってもよい。
1…製造装置
2…光ファイバ母材
3…線引き炉
4、4A、4B…冷却部
5…コーティング部
6…硬化部
7…直下ローラ
8…牽引ローラ
9…巻取部
10…光ファイバ裸線
11…光ファイバ素線
20、21、22、22A、23、24、25、26、27、28、29…非接触ガイド
30…第1フランジ
35…第2フランジ
40…ガイド部
50…トラバース装置
C…中心軸
D1…巻き付き径
D2…外径
H…ピッチ幅
L…水平距離
L11…トラバース距離
L20…総巻き付き長
L21、L22…巻き付き長
L30…総空中長
L31…空中長
S…内部空間
θ…角度

Claims (15)

  1. 光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、
    前記光ファイバ裸線を複数の非接触ガイドによって方向変更しつつ前記光ファイバ裸線を前記複数の非接触ガイドによって冷却する工程と、
    前記光ファイバ裸線を樹脂により被覆する工程と、
    を備え、
    前記各非接触ガイドは、前記光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、前記ガイド部には前記光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられ、
    前記複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドの位置を調整して前記複数の非接触ガイドに対する前記光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させることにより、前記光ファイバ裸線の冷却を制御する、光ファイバの製造方法。
  2. 前記複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドは、水平方向に沿ってトラバースが可能な移動非接触ガイドであり、
    前記移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して前記巻き付き長を増減させることにより、前記光ファイバ裸線の冷却を制御する、
    請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記複数の非接触ガイドは、3個以上の奇数個の非接触ガイドであり、
    前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ母材から偶数番目に位置する前記移動非接触ガイドを水平方向に沿ってトラバースさせて前記巻き付き長を増減させる、
    請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記複数の非接触ガイドは、4個以上の非接触ガイドであり、
    前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ母材に最も近接する第1非接触ガイドと前記樹脂を被覆する装置に最も近接する第2非接触ガイドとを除く非接触ガイドが前記移動非接触ガイドであって、
    前記光ファイバ母材から奇数番目に位置する前記移動非接触ガイドと前記光ファイバ母材から偶数番目に位置する前記移動非接触ガイドとを、水平方向において互いに異なる方向であって且つ略同一の距離をトラバースさせて、前記巻き付き長を増減させる、
    請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
  5. 前記移動非接触ガイドのトラバース距離が0mmより大きく且つ350mm以下である、
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  6. 前記移動非接触ガイドのトラバースが終了した状態では、前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線と、前記複数の非接触ガイドのうち前記樹脂を被覆する装置に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線とが一致する、
    請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  7. 前記移動非接触ガイドは、前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように、配置されている、
    請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  8. 前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ裸線の進行方向において隣接する非接触ガイド同士が鉛直方向において離隔しており、
    前記複数の非接触ガイドは、前記複数の非接触ガイド間のピッチ幅Hが前記複数の非接触ガイドのそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されている、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  9. 前記光ファイバ裸線の冷却の制御は、前記巻き付き長を増減させることで冷却の度合いを制御し、前記巻き付き長の増減は、前記光ファイバ裸線を冷却する工程において行われる、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  10. 光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために前記光ファイバ母材を溶融する溶融装置と、
    前記光ファイバ裸線を冷却する冷却機構と、
    前記光ファイバ裸線を樹脂により被覆する被覆装置と、
    を備え、
    前記冷却機構は、前記光ファイバ裸線の進行方向を変更する複数の非接触ガイドを有し、
    前記各非接触ガイドは、前記光ファイバ裸線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有し、前記ガイド部には前記光ファイバ裸線を浮遊させる気体を吹き出す吹出口が設けられ、
    前記複数の非接触ガイドのうち少なくとも1つの非接触ガイドは、前記ガイド部に対する前記光ファイバ裸線の巻き付き長を増減させるように移動可能である移動非接触ガイドである、
    光ファイバの製造装置。
  11. 前記移動非接触ガイドをトラバースする装置を更に備え、
    前記移動非接触ガイドは、水平方向に沿ってトラバースが可能であり、
    前記複数の非接触ガイドは、前記移動非接触ガイドのトラバース距離を調整して前記巻き付き長を増減させることにより前記光ファイバ裸線の冷却を制御するように配置されている、
    請求項10に記載の光ファイバの製造装置。
  12. 前記移動非接触ガイドは、前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ母材に最も近接する非接触ガイドから鉛直方向に沿って下方に伸ばした仮想線を交差してトラバースするように、配置されている、
    請求項11に記載の光ファイバの製造装置。
  13. 前記複数の非接触ガイドのうち前記光ファイバ裸線の進行方向において隣接する非接触ガイド同士が鉛直方向において離隔しており、
    前記複数の非接触ガイドは、前記複数の非接触ガイド間のピッチ幅Hが前記複数の非接触ガイドのそれぞれの外径D2よりも大きくなるように、一定間隔で配置されている、
    請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の光ファイバの製造装置。
  14. 前記冷却機構は、3個以上15個以下の前記非接触ガイドを有する、
    請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の光ファイバの製造装置。
  15. 前記各非接触ガイドの巻き付き径は、50mm以上200mm以下である、
    請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の光ファイバの製造装置。

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