JP2023127884A - 採取キット - Google Patents
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Abstract
【課題】採取キットは、経験の浅い作業者であっても、正確な量の液体試料の培養ボトルへの採取を可能とする。
【解決手段】採取キット10は、液体試料を収容した血小板バッグが接続可能な接続用チューブ12と、所定量の液体試料を収容するシリンジ14と、サンプリング用ホルダ16と、を備え、シリンジは、バレル本体22と、バレル本体22の内部を摺動するガスケット24と、ガスケット24に取り付けられたプランジャ26と、を有し、バレル本体22は、2本の培養ボトル92、94に採取する量の液体試料を収容可能な容積を有し、シリンジ14は、培養ボトルの負圧に抗してガスケット24の移動を阻止するストッパ構造を有する。
【選択図】図6
【解決手段】採取キット10は、液体試料を収容した血小板バッグが接続可能な接続用チューブ12と、所定量の液体試料を収容するシリンジ14と、サンプリング用ホルダ16と、を備え、シリンジは、バレル本体22と、バレル本体22の内部を摺動するガスケット24と、ガスケット24に取り付けられたプランジャ26と、を有し、バレル本体22は、2本の培養ボトル92、94に採取する量の液体試料を収容可能な容積を有し、シリンジ14は、培養ボトルの負圧に抗してガスケット24の移動を阻止するストッパ構造を有する。
【選択図】図6
Description
本発明は、血液製剤を検査用に採取する採取キットに関する。
血液製剤の安全性を担保するために、血液製剤の出荷前に少量の液体試料を採取して培養検査が行われる。培養検査は、所定量の液体試料(血液製剤)を培養ボトルに採取し、培養ボトルを細菌の増殖に好適な30~40℃の温度環境で所定期間保管し、その後、培養ボトルの中の細菌の増殖を確認する。
培養ボトルへの液体試料の採取には、専用の採取キットが用いられる。例えば、特許文献1は、血液バッグから液体試料の採取するための採取キットを開示する。この採取キットは、サンプル採取管に予め所定量の液体試料を採取する。次に、そのサンプル採取管の標線で液体試料の移送量を確認しながら、培養ボトルに液体試料を移送する。
従来の採取キットは、培養ボトルの負圧による吸引で採取ボトルの液体試料の液面が素早く変化する。そのため、経験が浅い作業者は、一定量の液体試料を培養ボトルに計り採ることが難しく、培養ボトルに採取する液体試料の量に過不足を生じさせることがある。また、従来の採取キットでは、嫌気培養ボトルへの液体試料の移送の際に、使用者が誤って空気を混入させるリスクがある。
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
以下の開示の一観点は、液体試料を収容した医療用バッグが接続可能な接続用チューブと、前記接続用チューブに連通し、所定量の前記液体試料を収容するシリンジと、前記シリンジに連通し、培養ボトルが接続可能なサンプリング用ホルダと、を備え、前記シリンジは、バレル本体と、前記バレル本体の内部を摺動するガスケットと、前記ガスケットに取り付けられたプランジャと、を有し、前記バレル本体は、2本の前記培養ボトルに採取する量の前記液体試料を収容可能な容積を有し、前記シリンジは、前記ガスケットに当接して前記培養ボトルの負圧に抗して前記ガスケットの軸線方向への移動を阻止するストッパ構造を有する、採取キットにある。
上記観点の採取キットは、培養ボトルへの液体試料の移送を、シリンジの操作によりコントロール可能とする。そのため、採取キットは、経験の浅い作業者であっても、正確な量の液体試料の培養ボトルへの採取を可能とする。また、バレル本体の内部は、液体試料と空気とがガスケットによって隔てられているため、嫌気培養に用いる培養ボトルへの空気の混入を防止できる。
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態に係る採取キット10は、例えば、血液製剤を製造する血液センター等の事業所において、製剤の安全性を確認するための培養試験に用いられる。培養試験は、嫌気性菌の培養及び好気性菌の培養を行う。したがって、培養試験には、好気培養と嫌気培養とのそれぞれに用いる2本の培養ボトル90(図5A参照)が用いられる。採取キット10は、液体試料として、例えば血小板製剤を採取し、所定量(例えば、8ml又は10ml)ずつ好気培養ボトル92及び嫌気培養ボトル94(図6A参照)に採取するために使用される。
図1に示す本実施形態に係る採取キット10は、例えば、血液製剤を製造する血液センター等の事業所において、製剤の安全性を確認するための培養試験に用いられる。培養試験は、嫌気性菌の培養及び好気性菌の培養を行う。したがって、培養試験には、好気培養と嫌気培養とのそれぞれに用いる2本の培養ボトル90(図5A参照)が用いられる。採取キット10は、液体試料として、例えば血小板製剤を採取し、所定量(例えば、8ml又は10ml)ずつ好気培養ボトル92及び嫌気培養ボトル94(図6A参照)に採取するために使用される。
図1に示すように採取キット10は、接続用チューブ12と、シリンジ14と、サンプリング用ホルダ16と、三方活栓18と、第2チューブ20とを備える。接続用チューブ12及び第2チューブ20は、例えば、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂よりなる半透明の医療用チューブである。接続用チューブ12は、無菌接合装置を使用することで、内部を外気に曝すことなく他の医療用チューブとの接続を行うことができる。また、接続用チューブ12は、チューブシーラーを使用することで、内部を外気に曝すことなく他の医療用チューブからの分離と端部の封止を行える。
接続用チューブ12は、上流側の第1端部12aと下流側の第2端部12bとを有する。第1端部12aは、初期状態(製品提供当初の状態)において溶着されて封止されている。第2端部12bは、三方活栓18の第1ポート18aに接続されている。
三方活栓18は、接続用チューブ12と、シリンジ14と、サンプリング用ホルダ16とを接続する。三方活栓18は、第1ポート18aと、第2ポート18bと、第3ポート18cと、流路切換コック18dとを有する。第1ポート18aには、接続用チューブ12が接続される。第2ポート18bには、サンプリング用ホルダ16が接続される。第3ポート18cには、第2チューブ20を介してシリンジ14が接続される。
流路切換コック18dは、図2に示すT字流路18eを有する。流路切換コック18dは、初期状態である第1位置において、図示のように、接続用チューブ12と第2チューブ20(及びシリンジ14)とを流体的に連通させる。流路切換コック18dは、第1位置において、サンプリング用ホルダ16と接続用チューブ12及びシリンジ14との流体的な連通を阻止する。
流路切換コック18dは、第1位置から180°回転した第2位置において、サンプリング用ホルダ16と、接続用チューブ12とシリンジ14とを流体的に連通させる。
第2チューブ20は、三方活栓18とシリンジ14とを接続する。第2チューブ20は、一端が三方活栓18の第3ポート18cに接続され、他端がシリンジ14のノズル34に接続される。第2チューブ20は、接続用チューブ12と同様の可撓性を有する医療用チューブである。第2チューブ20は、血小板バッグ100(図4参照)の液体試料をシリンジ14に導入するための経路と、シリンジ14の液体試料を培養ボトル90に移送するための経路を兼ねる。
シリンジ14は、バレル本体22と、ガスケット24と、プランジャ26と、を有する。バレル本体22は、円筒状の本体部30を有しており、本体部30の収容空間36にガスケット24及びプランジャ26を収容する。
図3Aに示すように、ガスケット24とプランジャ26とは互いに組み付けられてプランジャ組立体27を構成する。図2に示すように、プランジャ26は、基端がバレル本体22の基端側に突出する。プランジャ26は、ガスケット24と一体的に変位する。プランジャ26は、使用者の操作力をガスケット24に伝える。
ガスケット24は、バレル本体22の収容空間36に挿入可能な外径を有している。ガスケット24は、外周面24bから、径方向の外方に突出する一対の突起24aを有する。一方の突起24aと他方の突起24aとは、周方向に180°離れて配置される。突起24aは、後述する案内溝42に収容されてガスケット24の変位を規制する。
バレル本体22は、円筒状の本体部30と、本体部30の先端に形成された首部32と、首部32の先端から先端に向け突出したノズル34とを有している。図2に示すように、本体部30は、内部に円筒状の収容空間36を有する。収容空間36は、基端において開口する。収容空間36には、ガスケット24が収容される。ガスケット24は、収容空間36の基端の開口から挿入される。収容空間36の先端側は、首部32により覆われている。ガスケット24と、首部32との間の収容空間36は、ガスケット24によって液密に封じられた収容部38となる。収容部38は、液体試料を収容する。なお、初期状態において、ガスケット24は、首部32に当接しており、収容部38の容積はゼロである。
本体部30の内周面40は、収容空間36を囲む。内周面40は、平滑な円筒面を有している。内周面40は、ガスケット24を液密及び気密に保ちつつ、スムーズに摺動させることができる。バレル本体22は、内周面40に形成された案内溝42を有する。案内溝42は、後述するガスケット24の突起24aを収容するべく内周面40に対して凹んだ凹状の溝である。案内溝42は、ストッパ構造28の一部を構成する。案内溝42は、所定の位置でガスケット24の軸線方向への移動を解除可能に阻止する。
案内溝42は、クランク形状であり、第1軸方向溝44と、周方向溝46と、第2軸方向溝48とを有する。第1軸方向溝44は、案内溝42の最も基端側に位置する溝である。第1軸方向溝44は、周方向の幅がガスケット24の突起24aの周方向の幅と同じであり、深さ(径方向の寸法)が突起24aの径方向の突出高さと同じである。そのため、第1軸方向溝44には突起24aが隙間を生じることなく収容される。第1軸方向溝44は、突起24aを通すことでガスケット24の軸線方向の移動を許容する。
第1軸方向溝44は、基端がガスケット24の第1停止位置に位置する。2本分の培養ボトル90の液体試料をシリンジ14が収容したときに、ガスケット24が第1停止位置で停止する。ガスケット24が第1停止位置で停止したときの収容部38の容積は、例えば16ml又は20mlである。第1軸方向溝44の先端は、第2停止位置に位置する。第2停止位置は、1本目の培養ボトル90に液体試料を採取した後にガスケット24が停止する位置である。ガスケット24が第2停止位置で停止したときの収容部38の容積は、例えば、8ml又は10mlである。
周方向溝46は、バレル本体22の周方向に延びた溝である。周方向溝46は、その周方向の一端において第1軸方向溝44の先端に接続される。周方向溝46は、幅(軸線方向の寸法)が突起24aの軸線方向の寸法と同じであり、深さは突起24aの径方向の突出深さと同じである。したがって、周方向溝46は、突起24aを隙間なく収容する。周方向溝46は、ガスケット24の軸線方向への移動を規制し、周方向の回動を許容する。
周方向溝46の周方向の他端は、第2軸方向溝48の基端と繋がる。第2軸方向溝48は、周方向溝46から軸線方向の先端に向けて延在する。第2軸方向溝48は、第1軸方向溝44と同じ幅及び深さを有しており、突起24aを隙間なく収容する。第2軸方向溝48は、その先端が首部32にまで延在する。第2軸方向溝48は、ガスケット24の首部32までの軸線方向の移動を許容する。
上記の案内溝42は、バレル本体22の内周面40に2本形成されている。2本の案内溝42は、互いに周方向に180°離れた位置に配置されている。一方の案内溝42は、ガスケット24の一方の突起24aを収容し、他方の案内溝42は、ガスケット24の他方の突起24aを収容する。なお、案内溝42の数は2本に限定されない。ガスケット24の突起24aの数と同じ本数を受けられればよい。
バレル本体22は、透明な樹脂材料で形成されており、内部に収容する液体試料や気泡を視認できる。バレル本体22の外周部には、第1停止位置及び第2停止位置に対応する部位に標線35が配置されている。
なお、図10に示すように、シリンジ14は、バレル本体22の基端部と、プランジャ26とを接続する封止部材49をさらに備えてもよい。封止部材49は、柔軟な樹脂シート等によって形成された筒状の部材である。封止部材49は、一端がバレル本体22の基端部に接続され、他端がプランジャ26の基端に接続される。封止部材49は、蛇腹状に形成されている。封止部材49は、プランジャ26の位置に応じて蛇腹状に折り畳まれた形状から、筒状に伸長した形状に変形する。すなわち、封止部材49は、蛇腹が伸展することで、プランジャ26の変位に追随する。封止部材49は、プランジャ26とバレル本体22との隙間を外気から封止して、収容空間36の無菌性を維持する。封止部材49は、バレル本体22の内壁への菌付着を阻止することにより、製剤が無菌であるのにもかかわらず汚染があるとされてしまう、検査の擬陽性の発生を防止する。
以上のようなシリンジ14は、図2のストッパ構造28によって、ガスケット24の軸線方向の移動が第2停止位置で規制される。ガスケット24を所定角度だけ周方向へ回動させると、ストッパ構造28はガスケット24の軸線方向の移動の規制を解除する。
図2に示すように、サンプリング用ホルダ16は、針管50と、針ハブ52と、キャップ54とを有する。針管50は、後述する培養ボトル90の栓体96に穿刺され、栓体96を貫通する。針管50は、内部に内腔50aを有する。針管50が、栓体96を貫通すると、内腔50aが培養ボトル90の内部空間と連通する。針ハブ52は、針管50の基部を支持する。針ハブ52は、内腔50aに連通する流路52aを有する。また、針ハブ52は、培養ボトル90の入口を保持する筒状部52bを有する。
サンプリング用ホルダ16は、針管50の菌付着を防ぐために、キャップ54を有する。キャップ54は、初期状態において筒状部52bを覆って閉塞する。針管50は、針ハブ52の筒状部52bとキャップ54とで封じられている。キャップ54は、ヒンジ部56で針ハブ52に対して開放可能に連結されている。キャップ54を開けると、針管50が露出する。針ハブ52は、内部の流路52aが三方活栓18の第2ポート18bに連通する。
本実施形態の採取キット10は、以上のように構成される。この採取キット10は、以下のように使用される。
図4Aに示すように、まず、採取キット10の接続用チューブ12に、血小板製剤を収容した血小板バッグ100(医療用バッグ)が接続される工程が行われる。この工程は、血小板バッグ100から延びるチューブ102と、接続用チューブ12とを無菌接合装置を用いて接合して行われる。
次に、図4Bに示すように、シリンジ14に液体試料(血小板製剤の一部)を収容する工程が行われる。この工程に先立って、予め接続用チューブ12及び第2チューブ20の内部の空気を液体試料で置き換える工程が行われる。この工程は、血小板バッグ100を上方に配置した状態で、接続用チューブ12及び第2チューブ20を圧迫する等の方法で行われる。
その後、シリンジ14のプランジャ26が、基端側に引き込まれることで、液体試料がシリンジ14の収容部38に収容される。この操作の途中で、プランジャ26を軸線方向に小刻みに往復移動させて、シリンジ14の気泡を抜く操作が行われてもよい。ガスケット24が第2停止位置にまで移動すると、ガスケット24の軸線方向の移動は、ストッパ構造28によって阻止される。プランジャ26を周方向に所定角度回転させることにより、ストッパ構造28によるガスケット24の軸線方向の移動の規制が解除される。
さらに、プランジャ26が引き込まれる。ガスケット24は、突起24a(図3A参照)が案内溝42の基端に到達することで、第1停止位置で停止する。ここまでの操作により、シリンジ14には2本の培養ボトル90に採取するのに必要な液体試料が収容される。
その後、血小板バッグ100を採取キット10から切り離す工程が行われる。この工程は、血小板バッグ100のチューブ102と接続用チューブ12とをチューブシーラーを用いて切断部分を溶着しつつ切断して分離して行われる。
次に、図5Aに示すように、1本目の培養ボトル90に液体試料を収容する工程が行われる。この工程では、採取キット10のサンプリング用ホルダ16に、1本目の培養ボトル90が接続される。1本目の培養ボトル90は、好気培養ボトル92である。その後、流路切換コック18dが第2位置に回動される。第2位置の流路切換コック18dは、サンプリング用ホルダ16と第2チューブ20と接続用チューブ12とを連通させる。
好気培養ボトル92は、内部が負圧であるため、シリンジ14の液体試料を負圧によって吸い込む。シリンジ14のガスケット24は、図5Bに示すように、好気培養ボトル92の負圧によって第1停止位置から第2停止位置に変位する。ガスケット24が第2停止位置に到達すると、ストッパ構造28を構成するガスケット24の突起24a(図3A参照)が周方向溝46(図3B参照)の側壁に当接する。
その結果、ストッパ構造28により、ガスケット24の軸線方向の移動が阻止される。ガスケット24の移動が阻止されることにより、好気培養ボトル92への液体試料の移送が停止する。この時点で、好気培養ボトル92には、所定量(例えば、8ml又は10ml)の液体試料が採取される。このように本実施形態の採取キット10は、ガスケット24が第2停止位置で停止するため、経験の浅い作業者が操作を行った場合であっても、正確な量の液体試料を好気培養ボトル92に採取できる。
なお、好気培養ボトル92への液体試料の移送に伴って、針管50の内腔50a及び針ハブ52の流路52a内の空気が好気培養ボトル92に排出される。すなわち、好気培養ボトル92への液体試料の移送は、内腔50a及び流路52aを液体試料で置換するプライミング工程を兼ねる。この工程により、後の嫌気培養ボトル94への空気の混入が抑制される。
その後、図6Aに示すように、採取キット10から好気培養ボトル92が取り外される。次に、2本目の培養ボトル90に液体試料を採取する工程が行われる。2本目の培養ボトル90は、嫌気培養ボトル94である。その後、シリンジ14のプランジャ26を所定角度だけ周方向に回動させる操作が行われる。この操作により、ガスケット24の突起24a(図3A参照)が周方向溝46(図3B参照)を周方向に移動して、第2軸方向溝48に移動する。この操作により、ストッパ構造28によるガスケット24の軸線方向への移動の阻止が解除される。なお、プランジャ26を回動させる操作は、好気培養ボトル92を採取キット10から取り外した後であって、嫌気培養ボトル94を接続する前に行ってもよい。
嫌気培養ボトル94の内部の負圧によって、シリンジ14の収容部38の液体試料が嫌気培養ボトル94に吸い出される。シリンジ14のガスケット24は、先端側に変位する。嫌気培養ボトル94への液体試料の移送は、図6Bに示すように、ガスケット24が首部32に当接するまで継続する。ガスケット24が首部32に当接すると、液体試料の移送が完了する。
この工程により、嫌気培養ボトル94への所定量(例えば、8ml又は10ml)の液体試料の採取が完了する。本実施形態の採取キット10は、ガスケット24によって液体試料が空気から隔離されている。そのため、嫌気培養ボトル94の負圧がかかった状態であっても、シリンジ14は、嫌気培養ボトル94への空気の混入を阻止できる。
その後、採取キット10から嫌気培養ボトル94が取り外される工程が行われる。以上の工程により、好気培養ボトル92及び嫌気培養ボトル94への液体試料の採取が完了する。
(第2実施形態)
本実施形態は、図7A及び図7Bを参照してシリンジ14Aについて説明する。シリンジ14Aは、図1の採取キット10のシリンジ14を置き換えることができる。なお、シリンジ14Aの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態は、図7A及び図7Bを参照してシリンジ14Aについて説明する。シリンジ14Aは、図1の採取キット10のシリンジ14を置き換えることができる。なお、シリンジ14Aの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図7A及び図7Bに示すように、シリンジ14Aは、バレル本体22Aと、ガスケット24Aと、プランジャ26とを備える。図7Aに示すように、本実施形態のガスケット24Aは、外周面24bに突起24a(図3A参照)を有しておらず、全周が平滑な円筒面を有する。ガスケット24Aは、プランジャ26の先端に固定され、プランジャ26と一体的に変位する。
図7Bに示すように、バレル本体22Aは、本体部30の内周面40に、第1環状突起58と、第2環状突起60とを有する。第1環状突起58は、バレル本体22Aの軸線周りの周方向の全域にわたって延在する。第1環状突起58は、内周面40から、軸線に接近する方向(内方)に突出した環状の突起として形成されている。第1環状突起58の突出高さは、使用者がプランジャ26を操作してガスケット24Aを基端側への移動させた際に、ガスケット24Aの移動を妨げることができる高さに設定される。第1環状突起58は、ガスケット24Aの第1停止位置の基端に配置される。第1環状突起58は、ストッパ構造28Aの一部を構成する。
第1環状突起58は、プランジャ26を基端側に引いた際に、ガスケット24Aの基端への移動を妨げる。第1環状突起58は、ガスケット24Aを基端側に引き込んで、シリンジ14に液体試料を採取する際に、ガスケット24Aの移動を停止させる。これにより、血小板バッグ100から液体試料をシリンジ14Aに採取する工程(図4A及び図4B参照)おいて、シリンジ14Aは液体試料の採取量の過不足の発生を防止する。
第2環状突起60は、第2停止位置に配置された環状の突起である。第2環状突起60は、内周面40から内方に向けて突出した環状の突起である。第2環状突起60の突出高さは、培養ボトル90の負圧によるガスケット24Aの軸線方向への移動を妨げる程度に設定される。すなわち、第2環状突起60は、ガスケット24Aの軸線方向への移動を阻止するストッパ構造28Aを構成する。なお、第2環状突起60の高さは、使用者がプランジャ26を強く押圧するとガスケット24Aが乗り越えられる程度の高さに設定される。すなわち、ストッパ構造28Aによるガスケット24Aの軸線方向への移動の阻止は、使用者のプランジャ26の先端への押圧操作によって解除可能である。
本実施形態のストッパ構造28Aは、1本目の培養ボトル90に採取する液体試料の量のバラツキを防ぐことができる。
図1の採取キット10において、シリンジ14に代えて本実施形態のシリンジ14Aを使用した場合も、第1実施形態の採取キット10と同様の効果が得られる。
なお、ストッパ構造28Aは、第1環状突起58及び第2環状突起60に代えて、1又は複数の突起で構成されてもよい。この場合において、ストッパ構造28Aは、周方向に分離した複数の突起を有してもよい。
(第3実施形態)
本実施形態は、図8A及び図8Bを参照してシリンジ14Bについて説明する。シリンジ14Bは、図1の採取キット10のシリンジ14に置き換えることができる。なお、シリンジ14Bの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態は、図8A及び図8Bを参照してシリンジ14Bについて説明する。シリンジ14Bは、図1の採取キット10のシリンジ14に置き換えることができる。なお、シリンジ14Bの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図8A及び図8Bに示すように、シリンジ14Bは、バレル本体22Bと、ガスケット24Bと、プランジャ26とを備える。図8Aに示すように、本実施形態のガスケット24Bは、突起24a(図3A参照)を有しておらず、全周が平滑な円筒面を有する。ガスケット24Bは、プランジャ26の先端に固定され、プランジャ26と一体的に変位する。
本実施形態のガスケット24Bは、シリンジ14Bの内周面40Bの内径よりも大きな外径を有する。したがって、本実施形態のガスケット24Bは、軸線方向の移動に対して、第1実施形態のガスケット24(図2参照)よりも大きな摺動抵抗を発生させる。ガスケット24Bは、培養ボトル90の負圧による吸引力に抗して移動しない程度の摺動抵抗を発生させる。すなわち、本実施形態は相対的に大きな摺動抵抗を発生させるガスケット24B及び内周面40Bがストッパ構造28Bを構成する。
使用者が、プランジャ26を軸線方向に押し引きして操作することで、ガスケット24Bを移動させることができる。すなわち、本実施形態のストッパ構造28Bは、プランジャ26を通じたガスケット24Bの押圧操作により、ガスケット24Bの移動の阻止が解除される。
シリンジ14Bへの液体試料の採取量の調節、好気培養ボトル92への液体試料の採取、及び嫌気培養ボトル94への液体試料の採取の各工程は、使用者がシリンジ14Bの標線35を手掛かりに、プランジャ26を操作すること行われる。
図1の採取キット10において、シリンジ14に代えて本実施形態のシリンジ14Bを使用した場合も、第1実施形態の採取キット10と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
本実施形態は、図9A及び図9Bを参照してシリンジ14Cについて説明する。シリンジ14Cは、図1の採取キット10のシリンジ14を置き換えることができる。なお、シリンジ14Cの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態は、図9A及び図9Bを参照してシリンジ14Cについて説明する。シリンジ14Cは、図1の採取キット10のシリンジ14を置き換えることができる。なお、シリンジ14Cの構成において、第1実施形態のシリンジ14と同様の構成については、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
図9A及び図9Bに示すように、シリンジ14Cは、バレル本体22Cと、ガスケット24Cと、プランジャ26とを備える。図9Aに示すように、本実施形態のガスケット24Cは、外周面24bに突起24a(図3A参照)を有しておらず、全周が平滑な円筒面を有する。ガスケット24Cの外径は、第1実施形態のガスケット24の外径と同様である。
バレル本体22Cは、内周面40Cの先端寄りの一部に縮径部62を有する。縮径部62は、内周面40Cが内周側に縮径した部分である。縮径部62は、ガスケット24Cの軸方向への移動に対して、より大きな摺動抵抗を発生させる。縮径部62は、第2停止位置よりも先端側に位置する。そのため、縮径部62は、培養ボトル90による吸引力に抗して、ガスケット24の軸線方向の移動を阻止するストッパ構造28Cを構成する。縮径部62では、使用者が培養ボトル90の負圧による吸引力よりも強い力でプランジャ26を押し込むと、ガスケット24Cを前進させることができる。すなわち、ストッパ構造28Cは、ガスケット24Cの先端に向けた押圧操作により解除される。
図1の採取キット10において、シリンジ14に代えて本実施形態のシリンジ14Cを使用した場合も、第1実施形態の採取キット10と同様の効果が得られる。
上記の本発明の諸実施形態は、以下にまとめられる。
一観点に係る採取キット10は、液体試料を収容した医療用バッグが接続可能な接続用チューブ12と、前記接続用チューブに連通し、所定量の前記液体試料を収容するシリンジ14と、前記シリンジに連通し、培養ボトル90が接続されるサンプリング用ホルダ16と、を備え、前記シリンジは、バレル本体22と、前記バレル本体の内部を摺動するガスケット24、24A、24B、24Cと、前記ガスケットに取り付けられたプランジャ26と、を有し、前記バレル本体は、2本の前記培養ボトルに採取する量の前記液体試料を収容可能な容積を有し、前記シリンジは、前記ガスケットに当接して前記培養ボトルの負圧に抗して前記ガスケットの軸線方向への移動を阻止するストッパ構造28、28A、28B、28Cを有する。
上記の採取キットは、ガスケットがストッパ構造によって停止するため、熟練した作業者でなくても、容易に所定量の液体試料を、好気培養ボトル92と嫌気培養ボトル94とに採取できる。また、嫌気培養ボトルへの空気の混入リスクを無くすことができる。さらに、空気を混入させることなく、シリンジ内の全量の液体試料を培養ボトルに採取できるため、貴重な血小板製剤等の液体試料の採取量を減らすことができる。
前記ストッパ構造は、前記ガスケットから径方向の外方に向けて突出した突起24aと、前記バレル本体の内周面40に形成され、前記突起を受け入れつつ摺動させる案内溝42と、を有してもよい。上記のストッパ構造28は、案内溝42と、突起24aといった簡素な構成で、ガスケット24の軸線方向への移動を確実に阻止できる。
前記案内溝は、周方向に延びる周方向溝46と、前記周方向溝の一端から前記軸線方向の基端側に延在する第1軸方向溝44と、前記周方向溝の他端から前記軸線方向の先端側に延在する第2軸方向溝48と、を有し、前記周方向溝が、前記ガスケットの前記軸線方向の移動を規制してもよい。上記の案内溝は、所定位置でガスケットの軸線方向への移動を阻止できる。また、上記の案内溝を有するストッパ構造は、ガスケットを回転させることで、ガスケットの軸線方向への移動の阻止を解除する。
前記ストッパ構造は、前記バレル本体の内周面から突出した突起を有してもよい。このストッパ構造は、構造をさらに簡素化できる。
前記ストッパ構造は、1本目の前記培養ボトルに採取する前記液体試料を収容する領域と、2本目の前記培養ボトルに採取する前記液体試料を収容する領域との境目で前記ガスケットを停止させてもよい。このストッパ構造は、熟練した作業者でなくても、容易に所定量の液体試料を、好気培養ボトルと嫌気培養ボトルに採取できる。
前記ストッパ構造は、前記ガスケットよりも小さな内径を有することにより、前記ガスケットの外周面24bとの間に前記培養ボトルの負圧によって発生する吸引力より大きな摩擦抵抗を発生させる前記バレル本体の内周面40B、40Cであってもよい。このストッパ構造は、構造をさらに簡素化できる。
上記の採取キットは、前記接続用チューブと、前記サンプリング用ホルダと、前記シリンジとを接続する三方活栓18と、を有してもよい。この採取キットは、嫌気培養ボトルへの液体試料の採取の際の空気の混入リスクをさらに効果的に防止でき、嫌気培養検査における擬陽性の発生リスクを低減できる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
10…採取キット 12…接続用チューブ
14、14A、14B、14C…シリンジ 16…サンプリング用ホルダ
18…三方活栓
22、22A、22B、22C…バレル本体
24、24A、24B、24C…ガスケット
26…プランジャ
28、28A、28B、28C…ストッパ構造
14、14A、14B、14C…シリンジ 16…サンプリング用ホルダ
18…三方活栓
22、22A、22B、22C…バレル本体
24、24A、24B、24C…ガスケット
26…プランジャ
28、28A、28B、28C…ストッパ構造
Claims (8)
- 液体試料を収容した医療用バッグが接続可能な接続用チューブと、
前記接続用チューブに連通し、所定量の前記液体試料を収容するシリンジと、
前記シリンジに連通し、培養ボトルが接続されるサンプリング用ホルダと、を備え、
前記シリンジは、バレル本体と、前記バレル本体の内部を摺動するガスケットと、前記ガスケットに取り付けられたプランジャと、を有し、
前記バレル本体は、2本の前記培養ボトルに採取する量の前記液体試料を収容可能な容積を有し、
前記シリンジは、前記ガスケットに当接して前記培養ボトルの負圧に抗して前記ガスケットの軸線方向への移動を阻止するストッパ構造を有する、採取キット。 - 請求項1記載の採取キットであって、前記ストッパ構造は、
前記ガスケットから径方向の外方に向けて突出した突起と、
前記バレル本体の内周面に形成され、前記突起を受け入れつつ摺動させる案内溝と、を有する、採取キット。 - 請求項2記載の採取キットであって、前記案内溝は、
周方向に延びる周方向溝と、
前記周方向溝の一端から前記軸線方向の基端側に延在する第1軸方向溝と、
前記周方向溝の他端から前記軸線方向の先端側に延在する第2軸方向溝と、を有し、
前記周方向溝が、前記ガスケットの前記軸線方向の移動を規制する、採取キット。 - 請求項1記載の採取キットであって、前記ストッパ構造は、前記バレル本体の内周面から突出した突起を有する、採取キット。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の採取キットであって、前記ストッパ構造は、1本目の前記培養ボトルに採取する前記液体試料を収容する領域と、2本目の前記培養ボトルに採取する前記液体試料を収容する領域との境目で前記ガスケットを停止させる、採取キット。
- 請求項1記載の採取キットであって、前記ストッパ構造は、前記ガスケットよりも小さな内径を有することにより、前記ガスケットの外周面との間に前記培養ボトルの負圧によって発生する吸引力より大きな摩擦抵抗を発生させる前記バレル本体の内周面である、採取キット。
- 請求項1記載の採取キットであって、前記ストッパ構造は、前記バレル本体の所定位置よりも先端側に設けられた縮径部である、採取キット。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の採取キットであって、
前記シリンジのノズルに接続された第2チューブと、
前記第2チューブと、前記接続用チューブと、前記サンプリング用ホルダと、前記シリンジとを接続する三方活栓と、を有し、
前記第2チューブは、前記接続用チューブから前記シリンジに前記液体試料を移送する経路と、前記シリンジから前記サンプリング用ホルダに前記液体試料を移送する経路とを兼ねる、採取キット。
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JP2022031835A JP2023127884A (ja) | 2022-03-02 | 2022-03-02 | 採取キット |
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Family Applications (1)
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2022
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