JP2023127559A - コーティング組成物、塗膜、積層体及び防錆剤 - Google Patents

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Takehiro Ogata
彰 下地頭所
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Abstract

【課題】多様な被着体への接着性に優れるコーティング組成物を提供する。また、該コーティング組成物を用いた塗膜、積層体及び防錆剤を提供する。【解決手段】下記式で表される構成単位(A-1)、(A-1’)、(A-2)、(A-2’)等からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する化合物と、溶剤と、を含有する、コーティング組成物。TIFF2023127559000021.tif28156TIFF2023127559000022.tif28156【選択図】なし

Description

本発明は、多様な被着体に対して適用可能なコーティング組成物に関する。また、本発明は、該コーティング組成物を用いた塗膜、積層体及び防錆剤に関する。
従来、コーティング組成物を用いて、被着体上に塗膜を形成し、被着体の表面を改質することが行われている。例えば、特許文献1には、種々の材料の親水性あるいは疎水性処理に有効であり、その効果が持続できるような下塗り層組成物として、加水分解性シリル基を有する化合物を含有する熱硬化性バインダー100重量部、及び分子内に加水分解性シリル基と活性光線によりラジカル重合を開始する官能基を有する化合物5~150重量部からなる塗料用下塗り層組成物が記載されている。
特開平9-12923号公報
近年、高い耐熱性、耐薬品性、電気特性を併せ持つフッ素樹脂が注目されている。一方で、フッ素樹脂は接着性に乏しく、表面の改質も困難であるため、従来の粘接着剤では接合させることが難しかった。したがって、フッ素樹脂からなる表面を有する被着体のようなコーティングが難しい被着体であっても高い接着性を示すコーティング組成物が求められていた。また、その他の樹脂、金属等の多様な被着体に対しても接着性に優れるコーティング組成物が求められていた。
本発明は、多様な被着体への接着性に優れるコーティング組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該コーティング組成物を用いた塗膜、積層体及び防錆剤を提供することを目的とする。
本開示1は、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する化合物と、溶剤と、を含有する、コーティング組成物である。
Figure 2023127559000001
Figure 2023127559000002
Figure 2023127559000003
Figure 2023127559000004
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。
本開示2は、前記化合物は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有する、本開示1のコーティング組成物である。
本開示3は、前記化合物は、前記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下である、本開示1又は2のコーティング組成物である。
本開示4は、前記化合物は、前記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下である、本開示1~3のいずれかのコーティング組成物である。
本開示5は、前記化合物は、重量平均分子量が400以上、1万以下である、本開示1~4のいずれかのコーティング組成物である。
本開示6は、前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が2である、本開示1~5のいずれかのコーティング組成物である。
本開示7は、前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が3である、本開示1~5のいずれかのコーティング組成物である。
本開示8は、前記化合物が、少なくとも部分的に 水素添加された水素添加体である、本開示1~7のいずれかのコーティング組成物である。
本開示9は、更に、ベースポリマーを含有する、本開示1~8のいずれかのコーティング組成物である。
本開示10は、前記ベースポリマーと、前記化合物との配合割合が、前記ベースポリマー100重量部に対して前記化合物が0.5~1000重量部である、本開示9のコーティング組成物である。
本開示11は、更に、顔料及び/又は染料を含む、本開示1~10のいずれかのコーティング組成物である。
本開示12は、本開示1~11のいずれかのコーティング組成物の硬化物である、塗膜である。
本開示13は、被着体と、本開示12の塗膜とが積層された、積層体である。
本開示14は、前記被着体がフッ素樹脂を含有する、本開示13の積層体である。
本開示15は、前記被着体が金属材料で構成される、本開示13の積層体である。
本開示16は、被着体と、本開示12の塗膜と、粘着剤層とがこの順に積層された、積層体である。
本開示17は、本開示1~11のいずれかのコーティング組成物を含有する、防錆剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、構成単位(A)を有する化合物と溶剤を含むコーティング組成物によれば、通常接着しにくい樹脂に対しても、優れた接着性が得られることを見出した。すなわち、構成単位(A)を有する化合物は、ガロール基等の官能基を有することにより親水性を付与することができると考えられ、フッ素樹脂のような接着性に乏しい被着体に対しても良好な密着性を示すことができることが分かった。また、構成単位(A)を有する化合物と溶剤を含むコーティング組成物は、その他の樹脂、金属等の多様な被着体に対しても接着性に優れるものである。このように、構成単位(A)を有する化合物と溶剤を含むコーティング組成物によれば、多様な被着体への高い接着性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明者らは、検討の結果、構成単位(A)を有する化合物のなかでも、ガロール基等のフェノール性水酸基を有する構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、金属への配位/酸化防止能を有しており、かつベースポリマーと併用される場合でも相溶性に優れ、析出を抑制できるので、被着体に対して防錆性を長期間安定して付与できることを見出した。
本発明のコーティング組成物は、下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する化合物を含有する。
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Figure 2023127559000007
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式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物は、上記構成単位(A)を側鎖中に有していてもよいし、主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有していてもよい。なかでも、コーティング組成物として好適な物性を有することができることから、上記化合物は、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有することが好ましい。
上記構成単位(A)を有する化合物のなかでも、ガロール基等のフェノール性水酸基を有する構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、金属への配位/酸化防止能を有しており、かつベースポリマーと併用される場合でも析出を抑制できるので、被着体に対して防錆性を長期間安定して付与できる。
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)において、Rはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-1)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-1’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-1’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)において、nは2以上、4以下の整数であり、n’は2以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、n及びn’が2又は3であることが好ましい。
上記構成単位(A-1)及び上記構成単位(A-1’)として、より具体的には例えば、ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が2の場合)、トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(n及びn’が3の場合)等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ジヒドロキシトルエン、ジヒドロキシキシレン、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシアセトフェノン、ジアセチルジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシフェニル-2-ブタノン、ジヒドロキシフェニル酢酸メチル、ベンジルジヒドロキシフェニルケトン、ジヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシメトキシベンゼン、ジヒドロキシベンジルアルコール、ジヒドロキシフェニルエタノール、ジヒドロキシフェニルグリコール、ジヒドロキシフェニルアセトニトリル、ジヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのジヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、ピロカテコールが好ましい。
上記トリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジフェニルメタン、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシフェニルエタノン、トリヒドロキシフェニルブタノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。これらのトリヒドロキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、ピロガロールが好ましい。
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)において、Rはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-2)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-2’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-2’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)において、mは1以上、4以下の整数であり、m’は1以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、m及びm’が1又は2であることが好ましい。
上記構成単位(A-2)及び上記構成単位(A-2’)として、より具体的には例えば、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、2-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、4-メチル安息香酸、2-エチル安息香酸、3-エチル安息香酸、4-エチル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、これらの誘導体等に由来する構成単位等が挙げられる。これらの構成単位は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、Rはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、アミノ基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-3)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-3’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-3’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)において、lは2以上、4以下の整数であり、l’は2以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、l及びl’が2又は3であることが好ましい。
上記構成単位(A-3)及び上記構成単位(A-3’)として、より具体的には例えば、ジアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(l及びl’が2の場合)、トリアルコキシベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(lが3の場合)等が挙げられる。
上記ジアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,4-ジメトキシベンゼン等が挙げられる。上記トリアルコキシベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、1,2,3-トリメトキシベンゼン、1,2,4-トリメトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン等が挙げられる。これらのトリアルコキシベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく被着体と相互作用しやすいことから、1,2,3-トリメトキシベンゼンが好ましい。
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、Rはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基は特に限定されず、例えば、置換又は非置換の炭素数1~20のアリール基等が挙げられる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基等が挙げられる。
上記極性官能基を有する脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、上記のような脂肪族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。上記極性官能基を有する芳香族炭化水素基も特に限定されず、例えば、上記のような芳香族炭化水素基における1以上の水素が上記のような極性官能基に置換された基を用いることができる。
なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。
上記脂肪族炭化水素基は特に限定されず、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。なお、上記化合物において、1つの構成単位(A-4)に含まれる複数のR及びRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4)に含まれる複数のR及びRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、1つの構成単位(A-4’)に含まれる複数のR及びRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる構成単位(A-4’)に含まれる複数のR及びRも、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)において、kは1以上、4以下の整数であり、k’は1以上、5以下の整数であれば特に限定されないが、原料の入手のし易さの観点から、k及びk’が1、2又は3であることが好ましい。
上記構成単位(A-4)及び上記構成単位(A-4’)として、より具体的には例えば、アミノベンゼン又はその誘導体に由来する構成単位(kが1の場合)等が挙げられる。上記アミノベンゼン又はその誘導体は特に限定されず、例えば、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等が挙げられる。これらのアミノベンゼン又はその誘導体は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記構成単位(A)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(A)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(A)を構成するモノマーとしては、例えば、レゾルシノール、ジヒドロキシフェニルエチルアミン塩酸塩、ジヒドロキシヒドロ桂皮酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ジヒドロキシベンジルアルコール、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、6-ヒドロキシ-L-ドーパ、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアミド、トリヒドロキシニトロベンゼン等が挙げられる。
上記化合物における上記構成単位(A)の含有率(モル基準)は特に限定されないが、好ましい下限は1モル%、好ましい上限は60モル%である。上記構成単位(A)の含有率が1モル%以上であれば、コーティング組成物の接着性をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60モル%以下であれば、コーティング組成物として好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5モル%、より好ましい上限は50モル%であり、更に好ましい下限は10モル%、更に好ましい上限は30モル%である。
上記化合物における上記構成単位(A)の含有率(重量基準)は特に限定されないが、好ましい下限は0.9重量%、好ましい上限は60重量%である。上記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上であれば、コーティング組成物の接着性をより高めることができる。上記構成単位(A)の含有率が60重量%以下であれば、コーティング組成物として好適な物性を有することができる。上記構成単位(A)の含有率のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は50重量%であり、更に好ましい下限は10重量%、更に好ましい上限は30重量%である。
上記化合物は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することが好ましい。即ち、上記化合物は、上記構成単位(A)に加えて、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有することが好ましい。上記構成単位(B)を有することにより、コーティング組成物として好適な物性を確保しつつ、ベースポリマーが配合されたときの相溶性を向上することができる。
なかでも、コーティング組成物の接着性をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位又はビニル系モノマーに由来する構成単位が好ましく、テルペン系モノマーに由来する構成単位とビニル系モノマーに由来する構成単位とを併用することも好ましい。また、ベースポリマーが配合されたときの相溶性を向上させる観点からは、テルペン系モノマーに由来する構成単位又は共役ジエン系モノマーに由来する構成単位が好ましい。これらの構成単位は不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有するため、化合物がこれらの構成単位を有することにより、ベースポリマーが配合されたときの相溶性が向上し、相溶性の悪化に起因して接着性が低下することを抑制することができる。
上記テルペン系モノマーは特に限定されず、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、δ-3-カレン、ジメチルオクタトリエン、アロオシメン、ミルセン、オシメン、リナロール、コスメン等が挙げられる。なかでも、コーティング組成物の接着性をより高めることができることから、α-ピネン、β-ピネン又はリモネンが好ましい。
上記ビニル系モノマーは特に限定されないが、ベースポリマーが配合されたときの相溶性、特に化合物と(メタ)アクリル樹脂との相溶性を向上させる観点から、1分子中に芳香環を2以上含む構造(例えば、ナフタレン構造、アントラセン構造、ビフェニル構造、アントラキノン構造、ベンゾフェノン構造等)を有さないビニル系モノマーが好ましい。上記1分子中に芳香環を2以上含む構造を有さないビニル系モノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、クマロン、インデン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、2-フェニル-2-ブテン等が挙げられる。なかでも、コーティング組成物の接着性をより高めることができることから、スチレンが好ましい。
上記共役ジエン系モノマーは特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン等が挙げられる。なかでも、コーティング組成物の接着性をより高めることができることから、イソプレンが好ましい。
これらのモノマー(b)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記構成単位(B)は、石油由来材料のみからなってもよいが、生物由来材料を含むことが好ましい。石油資源の枯渇や、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになっている。上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、石油資源を節約する観点で好ましい。また、上記構成単位(B)が生物由来材料を含んでいれば、生物由来材料は元々大気中の二酸化炭素を取り込んで生成されるため、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やすことがないと考えられ、二酸化炭素の排出量を削減する観点からも好ましい。
生物由来材料を含む上記構成単位(B)を構成する上記モノマー(b)としては、例えば、テルペン系モノマー、エチレン、プロピレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
上記化合物における上記構成単位(B)の含有率は特に限定されないが、好ましい下限は40モル%、好ましい上限は99モル%である。上記構成単位(B)の含有率が40モル%以上であれば、コーティング組成物として好適な物性を確保しつつ、ベースポリマーが配合されたときの相溶性を向上することができる。上記構成単位(B)の含有率が99モル%以下であれば、上記構成単位(A)の含有率を充分に確保することができるため、コーティング組成物として好適な物性を有することができる。上記構成単位(B)の含有率のより好ましい下限は50モル%、より好ましい上限は90モル%である。
上記化合物は、下記式で表される構造を有する共重合体であることが好ましい。このような構造を有する共重合体は、後述するようなカチオン重合を用いた方法により得られる共重合体であり、コーティング組成物として好適な物性を確保しつつ、ベースポリマーが配合されたときの相溶性を向上することができる。
Figure 2023127559000009
式中、Aは構成単位(A)を表し、Bは構成単位(B)を表し、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物は、上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)を有する化合物であることが好ましく、上記構成単位(A)及び上記構成単位(B)を有する共重合体であることがより好ましく、更に他の構成単位を有してもよい。共重合体である場合、上記構成単位(A)と上記構成単位(B)とは、ランダムに共重合していてもよいし、例えばそれぞれがブロックセグメントを形成したうえでブロックセグメント同士が結合する場合のように規則性又は周期性をもって共重合していてもよい。
上記化合物は、不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
上記化合物は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(A)又は上記構成単位(B)中に有していてもよいし、他の構成単位中に有していてもよい。なかでも、合成のし易さの観点、及び、ベースポリマーが配合されたときの相溶性を向上させる観点から、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を上記構成単位(B)又は他の構成単位中に有することが好ましい。このような上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を有する上記構成単位(B)又は他の構成単位は特に限定されないが、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)が好ましい。即ち、上記化合物は、上記不飽和二重結合を有する脂肪族炭化水素基を、テルペン系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)中に有することが好ましい。なかでも、コーティング組成物の接着性をより高めることができることから、テルペン系モノマーに由来する構成単位中に有することが好ましい。
また、上記他の構成単位としては、例えば、上記構成単位(A)には含まれない他のフェノール系モノマーに由来する構成単位、無水マレイン酸に由来する構成単位等も挙げられる。
上記他のフェノール系モノマーは特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらの他のフェノール系モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が400、好ましい上限が1万である。上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、コーティング組成物として好適な物性を有することができる。上記重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は500、より好ましい上限は5000であり、更に好ましい下限は700、更に好ましい上限は3000である。
上記重量平均分子量(Mw)を上記範囲に調整するには、例えば、化合物の組成、重合方法、重合条件等を調整すればよい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び後述するような分子量分布(Mw/Mn)は、以下の方法により測定できる。
化合物の溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過する。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(例えば、Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、化合物のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求める。カラムとしては、例えば、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いる。
上記化合物中の炭素(炭素原子)に占める生物由来の炭素(炭素原子)の含有率は特に限定されないが、炭素に占める生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが好ましい。生物由来の炭素の含有率が10%以上であることが「バイオベース製品」であることの目安となる。
上記生物由来の炭素の含有率が10%以上であれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点から好ましい。上記生物由来の炭素の含有率のより好ましい下限は30%、更に好ましい下限は60%、更により好ましい下限は70%、一層好ましい下限は90%である。上記生物由来の炭素の含有率の上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14がほとんど含まれない。そのため、上記生物由来の炭素の含有率は、化合物に含まれるC-14の濃度を測定することによって算出することができる。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866-20に準じて測定することができる。
上記化合物の量は、コーティング組成物全量基準で、好ましくは10重量%以上100重量%未満である。化合物の量がコーティング組成物全量基準で、10重量%以上100重量%未満であることで、コーティング組成物の接着性を高めつつ、被着体への塗布が容易になる。化合物の量は、コーティング組成物全量基準で、より好ましくは20~80重量%であり、更に好ましくは30~60重量%である。
上記化合物には、上述したような化合物の水素添加体(水添物)も含まれる。即ち、上記化合物は、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体であってもよい。なお、水素添加体とは、上述したような化合物に存在する炭素-炭素二重結合を少なくとも部分的に水素添加により飽和化した化合物である。すなわち、上記化合物は、上述したような化合物中の炭素-炭素二重結合の一部が水素添加された水添体であってもよく、上述したような化合物中の炭素-炭素二重結合の全てが水素添加された水添体であってもよい。このような水素添加体であっても、コーティング組成物の接着性を効果的に高めることができる。なかでも、上記構成単位(B)としてのテルペン系モノマーに由来する構成単位における炭素-炭素二重結合が少なくとも部分的に水素添加されていることが好ましい。
上記化合物を製造する方法は特に限定されないが、上記構成単位(A)を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[I]ともいう)である。
上記モノマー(a)としては、下記式で表されるモノマー(a-1)、モノマー(a-2)、モノマー(a-3)及びモノマー(a-4)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2023127559000010
Figure 2023127559000011
Figure 2023127559000012
Figure 2023127559000013
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。n’’は2以上、5以下の整数を表す。m’’は1以上、5以下の整数を表す。l’’は2以上、5以下の整数を表す。k’’は1以上、5以下の整数を表す。
上記化合物の製造方法[I]では、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
カチオン重合を用いることにより、上記モノマー(a)のフェノール性水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基等の官能基を予め化学修飾により保護することなく上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、その後の脱保護も不要となる。このため、より簡便な1段階の反応工程により上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とを共重合させることができ、不純物の低減及び収率の向上にもつながる。
上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とをルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(b)のカチオンが生じて、上記モノマー(b)同士のカチオン重合が進行するとともに、上記モノマー(a)と上記モノマー(b)とのFridel-Craftsアルキル化反応が進行すると考えられる。このような反応が繰り返し起こることにより、上記モノマー(a)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
上記ルイス酸は特に限定されず、従来公知のルイス酸を用いることができ、例えば、塩化アルミニウム(AlCl)、ジエチルアルミニウムクロリド(EtAlCl)、塩化すず(IV)(SnCl)、塩化チタン(IV)(TiCl)、三塩化ホウ素(BCl)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF・EtO)等が挙げられる。なかでも、より高い収率が得られることから、塩化アルミニウム(AlCl)が好ましい。
より具体的には例えば、上記モノマー(a)としてピロガロールを用い、上記モノマー(b)としてα-ピネンを用い、これらをルイス酸である塩化アルミニウム(AlCl)の存在下で反応させる場合、下記スキームに示す反応が進行すると考えられる。
即ち、上記モノマー(b)であるα-ピネンのカチオンが生じて、α-ピネン同士のカチオン重合が進行する(下記スキームの上段)とともに、上記モノマー(a)であるピロガロールと上記モノマー(b)であるα-ピネンとのFridel-Craftsアルキル化反応が進行する(下記スキームの中段)。このような反応が繰り返し起こることにより、ピロガロールに由来する構成単位と、α-ピネンに由来する構成単位とを有する共重合体を得ることができる(下記スキームの下段)。なお、このような共重合体は、ピロガロールに由来する構成単位を主鎖骨格中又は主鎖骨格の末端に有するものとなる。
Figure 2023127559000014
式中、s及びtはそれぞれ1以上の整数を表す。なお、*は連結部を表す。
上記化合物を製造する方法として、上記構成単位(A)を側鎖中に有する場合は、例えば、次のような方法が好ましい。即ち、上記構成単位(A)を構成するモノマー(a)に更に不飽和二重結合を導入したモノマー(a’)と、上記構成単位(B)を構成するテルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)とを共重合させる方法(以下、製造方法[II]ともいう)である。
上記モノマー(a’)としては、例えば、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、4‐ビニルカテコール等が挙げられる。これらのモノマー(a’)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、立体障害が少なく、被着体と相互作用しやすいことから、4-ビニル安息香酸が好ましい。
上記化合物の製造方法[II]においても、上記化合物の製造方法[I]と同様に上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させることが好ましい。
上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とをカチオン重合により共重合させる方法としては、上記モノマー(a’)と上記モノマー(b)とを上述したようなルイス酸の存在下で反応させる方法が好ましい。このような方法によれば、上記モノマー(a’)中の不飽和二重結合と、上記モノマー(b)中の不飽和二重結合とのカチオン重合が進行し、上記モノマー(a’)に由来する構成単位(A)と、上記モノマー(b)に由来する構成単位(B)とを有する共重合体を得ることができる。
本発明のコーティング組成物は、溶剤を含有する。溶剤を含有することにより、上記化合物を被着体の表面に塗布することができ、取り扱い性を向上させることができる。
上記溶剤としては、25℃で液体であり、上記化合物を溶解させることができるものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ビニル等のエステル類;ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール類;アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;水等を用いることができる。溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記溶剤の沸点は特に限定されないが、70~160℃であることが好ましい。上記沸点が70℃以上であることで、蒸発が早くなりすぎず、取り扱い性に優れ、かつ揮発性有機化合物(VOC)対策になる。上記沸点を160℃以下とすることで、得られる成形物の強度を向上させることが可能となる。また、比較的低温で乾燥させることができ、エネルギーコストの削減、いわゆるCO削減が可能となる。
上記溶剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは5~95重量%であり、より好ましくは10~90重量%であり、さらに好ましくは20~85重量%であり、特に好ましくは30~80重量%であり、最も好ましくは40~75重量%である。
本発明のコーティング組成物は、更に、ベースポリマーを含有することが好ましい。ベースポリマーを含有することにより、コーティング組成物から得られる塗膜の密着性、及び、柔軟性を向上することができる。
上記ベースポリマーとしては特に限定されないが、エラストマーが好ましく、例えば、ゴム(熱硬化性エラストマー)及び熱可塑性エラストマーを用いることができる。
上記ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、ジエン系ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴムを用いることができ、特に、アクリルゴム、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いることができ、スチレンブタジエンゴムを用いることが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、アクリル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーといったモノビニル置換芳香族化合物系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
上記アクリル系熱可塑性エラストマーとしては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)とアクリル酸アルキルエステルとのブロック共重合体が挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。
上記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(スチレン・ブタジエンブロック共重合体)、SIS(スチレン・イソプレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体)、SEEPS(スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体)等のスチレン系ブロック共重合体を用いることができる。
本発明のコーティング組成物において、上記ベースポリマーと、上記化合物との配合割合は、ベースポリマー100重量部に対して上記化合物が0.5~1000重量部であることが好ましい。このような配合割合であることにより、ベースポリマーによってコーティング組成物から得られる塗膜の密着性、及び、柔軟性を向上しつつ、上記化合物によってコーティング組成物の接着性を高めることができる。上記ベースポリマー100重量部に対する上記化合物の配合割合は、より好ましくは1~500重量部であり、更に好ましくは10~300重量部であり、特に好ましくは20~200重量部であり、最も好ましくは40~100重量部である。
また、例えば被着体との密着性を高めるなどの目的のために、ベースポリマーを、極性基を含有する化合物で変性してもよい。上記極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、無水マレイン酸基等の酸無水物基、アミノ基が挙げられ、無水マレイン酸基、又はアミノ基が好ましい。
また、同様の目的のために、コーティング組成物に、極性基を含有する化合物を含有させてもよい。このような化合物として、例えば、上記極性基を含有する樹脂、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。極性基を含有する樹脂としては、例えば、アイオノマー、ロジン樹脂、シリコーンレジン等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物は、更に、顔料及び/又は染料を含んでいてもよい。顔料及び/又は染料を含有することにより、コーティング組成物を塗料として用いることができる。顔料及び/又は染料を含有するコーティング組成物を被着体に塗布することで、被着体の意匠性を向上できる。
上記顔料及び染料としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、紺青等の無機顔料や、アゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料;タルク、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料;導電カーボン、アンチモンドープの酸化スズをコートしたウイスカー等の導電顔料;アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝材等が挙げられる。
上記コーティング組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、表面調整剤、タッキファイヤー、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、金属粉等の導電性充填剤、有機改質剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐衝撃強化剤、難燃剤、防曇剤、ワックス、金属石鹸等の各種の添加剤を含有していてもよい。
上記コーティング組成物の粘度は特に限定されないが、20℃においてB型粘度計を用いプローブ回転数を5rpmに設定して測定した場合の粘度の好ましい下限が0.1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sである。
上記粘度を0.1Pa・s以上とすることで、ダイコート印刷法等により塗工した後、得られる塗膜が所定の形状を維持することが可能となる。また、上記粘度を100Pa・s以下とすることで、ダイの塗出痕が消えない等の不具合を防止して、印刷性に優れるものとすることができる。
上記コーティング組成物を作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、上記化合物、上記溶剤及び必要に応じて添加される他の成分を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。上記コーティング組成物の構成成分の添加順序は適宜設定することができる。
本発明のコーティング組成物は、接着性に優れるため、電気・電子部品、家庭電化製品、自動車関連部品、インフラ関連部品、住設関連部品、医療器具・機器等の各種用途に用いることができる。より具体的には、被着体の表面に塗布するプライマー、はんだ付け促進剤(フラックス)、インク等の塗料等に好適に用いることができる。
本発明のコーティング組成物を硬化させることで塗膜を製造することができる。このようなコーティング組成物の硬化物である、塗膜もまた本発明の1つである。
上記塗膜の厚さは、用途に応じて設定されればよく特に限定されないが、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
上記塗膜の形成方法は特に限定されず、例えば、ロールコーター、ダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の塗工方法等が挙げられる。
本発明の塗膜は、被着体との優れた接着性を有するものである。このような被着体と、本発明の塗膜とが積層された、積層体もまた本発明の1つである。本発明の塗膜は、被着体を被覆する膜であればよく、その用途は特に限定されず、プライマー層として用いられるものであってもよいし、中塗り、上塗り等の被着体の塗装に用いられるものであってもよい。
上記被着体の材質は特に限定されず、有機樹脂、金属材料、無機材料等を用いることができる。上記有機樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアリールアミド樹脂等が挙げられる。上記金属材料としては、ステンレス(SUS)、鉄、アルミニウム等が挙げられる。上記無機材料としては、ガラス等が挙げられる。
本発明の積層体の好ましい態様としては、上記被着体がフッ素樹脂を含有するものが挙げられる。フッ素樹脂は、従来のコーティング組成物では充分な接着性を得ることが難しいものであるが、本発明のコーティング組成物によれば、ガロール基等の官能基を有することにより親水性を付与することができるので、良好な接着性が得られる。したがって、上記被着体がフッ素樹脂を含有する場合には、本発明のコーティング組成物による優れた特性を効果的に発揮させることができる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー等が挙げられる。
本発明の積層体の好ましい態様としては、上記被着体が金属材料で構成されるものが挙げられる。構成単位(A)を有する化合物のなかでも、ガロール基等のフェノール性水酸基を有する構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、金属への配位/酸化防止能を有しており、被着体に対して防錆性を付与できる。また、構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、ベースポリマーと併用される場合でも相溶性に優れ、析出を抑制できるので、防錆性を長期間安定して付与できる。したがって、上記被着体が金属材料で構成される場合には、本発明のコーティング組成物による優れた特性を効果的に発揮させることができる。
また、本発明の積層体は、被着体の反対側の面に粘着剤層を備えるものであってもよい。すなわち、被着体と、本発明の塗膜と、粘着剤層とがこの順に積層された、積層体もまた本発明の1つである。本発明の塗膜からなるプライマー層を介して被着体上に粘着剤層を形成することによって、粘着剤層が被着体から剥がれることを防止できるので、粘着剤層によって被着体と他の部材とを強固に結合することが可能となる。
上記積層体を構成する粘着剤層は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤、ゴム系粘着剤が挙げられ、なかでも、(メタ)アクリレート共重合体を含むアクリル系粘着剤が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、更に炭素数が6以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記炭素数が6以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されない。例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート及びドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、粘着剤層の粘着力を高める観点から、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はオクチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの炭素数が6以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、更に炭素数が2以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。上記(メタ)アクリレート共重合体が、上記炭素数が2以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することで、ポリマー間の絡み合いが増加して、粘着剤層の密着性及び凝集力が向上する。
上記炭素数が2以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エチルアクリレート又はメチルアクリレートが好ましい。エチルアクリレート又はメチルアクリレートを用いることで、上記粘着剤層が固くなり過ぎず、充分な粘着力を発揮することができる。
これらの炭素数が2以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、含フッ素(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するものであってもよい。
上記含フッ素(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート及び1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移点を下げて粘着力を調整しやすいという観点からは、アクリレートであることが好ましい。
これらの含フッ素(メタ)アクリレートは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、更に、極性官能基を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリレート共重合体に極性官能基を含有させることにより、粘着剤層の凝集力を高め、粘着力を高めることができる。
上記極性官能基は、架橋反応等の反応性を有するものであり、水酸基、カルボキシ基、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。なかでも、本発明の塗膜(プライマー層)又は上記他の部材との界面接着力の向上に寄与できることから、水酸基又はカルボキシ基であることがより好ましく、カルボキシ基であることが特に好ましい。上記(メタ)アクリレート共重合体がカルボキシ基を含有することで、該カルボキシ基は、上記プライマー層が含有するプライマーと縮合又は相互作用することができる。この結果、一層強固に接着された積層体を得ることができる。
上記極性官能基を含有するためには、上記(メタ)アクリレート共重合体は、上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましい。上記水酸基を有するモノマーとして、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記カルボキシ基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記エポキシ基を有するモノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの極性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、上記(メタ)アクリレート共重合体の全構成単位100重量%において、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は5重量%である。上記含有量が上記範囲であることにより、粘着剤層の凝集力をより高めることができる。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、更に、他のモノマーに由来する構成単位を含有してもよい。そのようなモノマーとしては、例えばプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、酢酸ビニル及びアクリロニトリル等を挙げることができる。
上記(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量の下限が30万、上限が150万であることが好ましい。上記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が30万以上であれば、粘着剤層の凝集力が向上する。上記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が150万以下であれば、粘着剤層と本発明の塗膜(プライマー層)又は上記他の部材との界面接着力が高くなる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は120万であり、更に好ましい下限は50万、更に好ましい上限は110万である。
なお、重量平均分子量は、重合条件(例えば、重合開始剤の種類又は量、重合温度、モノマー濃度等)によって調整できる。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される値を意味する。具体的には、測定試料をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈し、フィルターで濾過したサンプルを用いて、GPC法によりポリスチレン換算分子量として測定される。GPC法に用いるカラムとしては、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。
上記(メタ)アクリレート共重合体を合成するには、上記の構成単位の由来となるモノマーを重合開始剤の存在下にて重合させればよい。構成単位の由来となるモノマーを重合させることで、当該構成単位を含有する共重合体を得ることができる。
重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合及び塊状重合等が挙げられる。なかでも、合成が簡便であることから、溶液重合が好ましい。また、特にアクリロニトリルに由来する構成単位の含有量を多くする場合には、エマルジョン重合が好ましい。
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン及びジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記重合開始剤としては特に限定されず、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等を用いることができる。なかでもラジカル重合開始剤を好適に用いることができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート及びt-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記粘着剤層は、架橋剤を含有することが好ましい。上記架橋剤を含有することにより、上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位の極性官能基を架橋し、架橋構造を構築することができる。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤及び金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。これらの架橋剤を用いることで、架橋反応後に形成される結合が分極する。このため、粘着剤層が本発明の塗膜(プライマー層)又は上記他の部材と相互作用しやすくなり、界面接着力が強固になる。
上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.001重量部、好ましい上限が20重量部である。上記含有量のより好ましい下限は0.005重量部、より好ましい上限は10重量部であり、更に好ましい下限が0.01重量部、更に好ましい上限が5重量部である。
上記粘着剤層は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤を含有することにより、粘着剤層の粘着力を高めることができる。
上記シランカップリング剤は特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
なかでも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記シランカップリング剤の含有量は、上記(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記含有量が上記下限値以上であれば、粘着剤層の界面接着力が一層向上する。上記含有量が上記上限値以下であれば、粘着剤層を剥離した際の上記被着体又は上記他の部材への糊残りを抑えることができる。この結果、リワーク性が向上する。
上記含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は4重量部であり、更に好ましい下限は1重量部、更に好ましい上限は3重量部である。
上記粘着剤層は、必要に応じて、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤及びその他の樹脂等を含有してもよい。
上記粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが5μm以上であれば、粘着剤層の粘着力が向上する。上記粘着剤層の厚みが100μm以下であれば、粘着剤層の加工性が向上する。
また、各種鋼板などの金属資材などを防食するために、長年に亘って技術開発が行われており、多種の防錆剤や防食・防錆塗料等が開発されてきた。しかし、腐食反応自体を抑制する効果がある防錆剤の多くは低分子でベースポリマーにいれた場合に析出するおそれがあった。
本発明のコーティング組成物に含まれる構成単位(A)を有する化合物のなかでも、ガロール基等のフェノール性水酸基を有する構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、金属への配位/酸化防止能を有しており、被着体に対して防錆性を付与できる。また、構成単位(A-1)及び/又は構成単位(A-1’)を有する化合物は、ベースポリマーと併用される場合でも相溶性に優れ、析出を抑制できるので、防錆性を長期間安定して付与できる。したがって、本発明のコーティング組成物は、錆防止の用途で用いられることが好ましく、本発明のコーティング組成物を含有する、防錆剤もまた本発明の1つである。
本発明の防錆剤は、未処理鋼板、処理鋼板、メッキ鋼板等の各種基材にそのまま塗工できるほか、必要に応じて通常の塗料、接着剤、電子材料用のコーティング剤等に配合して使用することもできる。更に、本発明の防錆剤を水性媒体中に乳化・分散させ、水系組成物として使用してもよい。
本発明によれば、多様な被着体への接着性に優れるコーティング組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該コーティング組成物を用いた塗膜、積層体及び防錆剤を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<樹脂状化合物の調製>
(合成例A)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl)2重量部を投入した。ここに、表1に示す構成単位(A)形成用のモノマー(a)、及び、構成単位(B)形成用のモノマー(b)合計50重量部(モル比は表1に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体の樹脂状化合物である構成単位(A)を有する化合物を得た。
得られた化合物についてH-NMR測定を行い、化合物が、モノマー(a)であるカテコールに由来する構成単位(A)と、モノマー(b)であるα-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体であることを確認した。
得られた化合物をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、化合物のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
また、得られた化合物について、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
(合成例B~I及びK~M)
構成単位(A)形成用のモノマー(a)、及び、構成単位(B)形成用のモノマー(b)を表1に示すように変更したこと以外は合成例Aと同様にして、樹脂状化合物を得た。なお、合成例Dと合成例Iとでは同じモノマーを使用したが、合成例Iではピロガロール(n=3)及びα-ピネン合計70重量部(モル比は 表1に示すとおり)をトルエン30重量部に溶かした溶液を滴下することにより重量平均分子量(Mw)の異なる化合物を得た。
(合成例J)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にトルエン50重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後にトルエンを75℃に保持しながら塩化アルミニウム(AlCl)2重量部を投入した。ここに、4-ビニル安息香酸(m=1)及びα-ピネン合計70重量部(モル比は表1に示すとおり)をトルエン50重量部に溶かした溶液を1時間30分かけて、徐々に滴下し反応させた。4時間重合反応させた後、反応器内にピリジン0.1重量部を加えながら冷却することにより、塩化アルミニウム(AlCl)から発生した塩酸を中和した。中和により生じた沈殿物を濾過し、得られた濾液の分液操作を行った後、トルエンを揮発させて、固体状の化合物を得た。
得られた化合物についてH-NMR測定を行い、化合物が、4-ビニル安息香酸に由来する構成単位(A)と、α-ピネンに由来する構成単位(B)とを有する共重合体(構成単位(A)を側鎖中に有する共重合体)であることを確認した。
得られた化合物をテトラヒドロフランに溶かした溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、化合物のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)を求めた。カラムとしては、GPC KF-802.5L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
また、得られた化合物について、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
Figure 2023127559000015
<アクリル系ポリマーの調製>
(合成例1)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル100重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここに、メチルメタクリレート30重量部、イソブチルメタクリレート60重量部、及び、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部を混合したモノマー混合物を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分25重量%のアクリル系ポリマーの溶液を得た。
得られたアクリル系ポリマーの溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル系ポリマーのポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は15万であった。カラムとしては、GPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(実施例1)
合成例Aで作製した樹脂状化合物30重量部、合成例1で作製したアクリル系ポリマー70重量部、溶剤としてのキシレン400重量部を混合攪拌し、コーティング組成物を得た。
(実施例2~22、比較例1~3)
樹脂状化合物、及び、ベースポリマーの種類及び配合量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、コーティング組成物を得た。使用した材料のうち、表1に記載されていないものを以下に示す。
<樹脂状化合物>
ロジンエステル系樹脂(荒川化学工業社製、商品名「パインクリスタルKE359」)
テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターG150」)
<ベースポリマー>
ウレタンエマルション(ALBERDINGK社製、商品名「U-205」)
SEBS(クレイトンジャパンポリマー社製、商品名「G1652」)
<顔料/染料>
カーボンブラックのスチレン-マレイン酸樹脂分散体(東洋インキ製造社製、商品名「マルチラックA-903ブラック」)
<評価>
実施例及び比較例で得られた積層体について、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
(1)PTFE板接着力
実施例及び比較例で得られたコーティング組成物をそれぞれ、被着体であるPTFE板(日本テストパネル社製)に刷毛を用いて塗工し、乾燥させてプライマー層(塗膜)を形成した。
そして、プライマー層上に積層する粘着剤層を用意するために、以下の方法で両面粘着テープを作製した。
まず、反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に投入した。続いて、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(13F)48重量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)34重量部、メチルアクリレート(MA)15重量部、アクリル酸(AAc)3重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入した。4時間重合反応を行い、含フッ素(メタ)アクリレート共重合体含有溶液を得た。
得られた含フッ素(メタ)アクリレート共重合体含有溶液に、含フッ素(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して、架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を1.5重量部(固体成分比率)、シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3重量部加え、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルム上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが35μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させて粘着剤層を形成させた。この粘着剤層を2つ作製し、基材となる厚み50μmの両面をコロナ処理したPETフィルムの両面にそれぞれ転着させ、40℃で48時間養生し、両面粘着テープを得た。
得られた両面粘着テープを5mm幅の短冊状に裁断し、片面の離型フィルムを剥離除去して粘着剤層を露出させた。この両面粘着テープを、プライマー層を形成したPTFE板に、露出した粘着剤層がプライマー層に対向した状態となるように載せた。その後、両面粘着テープ上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより、両面粘着テープとプライマー層を形成したPTFE板とを貼り合わせ、23℃で24時間静置した。これにより、PTFE板(被着体)、プライマー層(塗膜)、両面粘着テープ(粘着剤層/PETフィルム/粘着剤層)が積層された積層体を作製した。
得られた積層体を用いて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、180°引きはがし粘着力(N/mm)を測定した。180°引きはがし粘着力より以下の基準で評価した。
◎:粘着力10N/inch以上
〇:粘着力5N/inch以上、10N/inch未満
△:粘着力3N/inch以上、5N/inch未満
×:粘着力3N/inch未満
(2)防錆性
実施例及び比較例で得られたコーティング組成物をそれぞれ、被着体である脱脂鋼板にスプレー塗布し、常温で5日間放置することにより、乾燥塗膜厚が15μmの試験板を作製した。該試験板について、JIS K5400の耐塩水噴霧試験を行い、240時間後の錆の発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
〇:錆の発生無し
×:錆の発生有り
Figure 2023127559000016
本発明によれば、多様な被着体への接着性に優れるコーティング組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該コーティング組成物を用いた塗膜、積層体及び防錆剤を提供することができる。

Claims (17)

  1. 下記式で表される構成単位(A-1)、構成単位(A-1’)、構成単位(A-2)、構成単位(A-2’)、構成単位(A-3)、構成単位(A-3’)、構成単位(A-4)及び構成単位(A-4’)からなる群から選ばれる少なくとも1種である構成単位(A)を有する化合物と、溶剤と、を含有する、コーティング組成物。
    Figure 2023127559000017
    Figure 2023127559000018
    Figure 2023127559000019
    Figure 2023127559000020
    式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。Rはそれぞれ脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、極性官能基を有する脂肪族炭化水素基、又は、極性官能基を有する芳香族炭化水素基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子、又は、脂肪族炭化水素基を表す。nは2以上、4以下の整数を表し、n’は2以上5以下の整数を表す。mは1以上、4以下の整数を表し、m’は1以上、5以下の整数を表す。lは2以上、4以下の整数を表し、l’は2以上、5以下の整数を表す。kは1以上、4以下の整数を表し、k’は1以上、5以下の整数を表す。
  2. 前記化合物は、更に、テルペン系モノマー、ビニル系モノマー及び共役ジエン系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー(b)に由来する構成単位(B)を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
  3. 前記化合物は、前記構成単位(A)の含有率が1モル%以上、60モル%以下である、請求項1記載のコーティング組成物。
  4. 前記化合物は、前記構成単位(A)の含有率が0.9重量%以上、60重量%以下である、請求項1記載のコーティング組成物。
  5. 前記化合物は、重量平均分子量が400以上、1万以下である、請求項1記載のコーティング組成物。
  6. 前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が2である、請求項1記載のコーティング組成物。
  7. 前記構成単位(A-1)又は前記構成単位(A-1’)において、n及びn’が3である、請求項1記載のコーティング組成物。
  8. 前記化合物が、少なくとも部分的に水素添加された水素添加体である、請求項1記載のコーティング組成物。
  9. 更に、ベースポリマーを含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
  10. 前記ベースポリマーと、前記化合物との配合割合が、前記ベースポリマー100重量部に対して前記化合物が0.5~1000重量部である、請求項9に記載のコーティング組成物。
  11. 更に、顔料及び/又は染料を含む、請求項1記載のコーティング組成物。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載のコーティング組成物の硬化物である、塗膜。
  13. 被着体と、請求項12に記載の塗膜とが積層された、積層体。
  14. 前記被着体がフッ素樹脂を含有する、請求項13記載の積層体。
  15. 前記被着体が金属材料で構成される、請求項13記載の積層体。
  16. 被着体と、請求項12記載の塗膜と、粘着剤層とがこの順に積層された、積層体。
  17. 請求項1~11のいずれかに記載のコーティング組成物を含有する、防錆剤。

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