JP2023127135A - サンドブラスト用感光性樹脂組成物およびドライフィルム - Google Patents

サンドブラスト用感光性樹脂組成物およびドライフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高感度で微細なパターンが形成可能であり、アルカリ現像性に優れ、耐サンドブラスト性に優れたサンドブラスト用感光性樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物、および(D)特定のペンタエリスリトールテトラアクリレート化合物を含有するサンドブラスト用感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、サンドブラスト用感光樹脂性組成物およびこれを用いて形成された感光性樹脂層を有するドライフィルムに関する。
従来、ガラス、石材、金属、プラスチック、セラミック等を切削し、レリーフ形成するに際しては、サンドブラスト処理による加工が行われている。サンドブラスト処理とは、非処理体上にマスク材としてフォトリソグラフィー法等によりパターニングされた樹脂層を設けた後、研磨剤を吹き付けて非マスク部を選択的に切削する処理である。
このサンドブラスト処理用のマスク材として用いられる感光性樹脂組成物としては、例えば、ポリエステルフィルムなどの支持体上に感光性樹脂層を有するドライフィルムが用いられている。該感光性樹脂層としては、アルカリ可溶性樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、および、光重合開始剤を含むことが一般的である。アルカリ可溶性樹脂としては、セルロース誘導体、又は、カルボキシ基含有アクリル樹脂が使用されている(例えば、特開平10-239840号公報(特許文献1)や特開平10-69851号公報(特許文献2)など)。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、又はいずれかを表す。
フォトリソグラフィー技術の微細化に伴い、サンドブラスト法による被処理体の切削においても、例えば100μm以下の微細なパターンが形成可能であることが求められている。微細なパターンが形成可能なサンドブラスト用感光性樹脂組成物として、特開平8-54734号公報(特許文献3)には特定の酸価と硬化後のガラス転移点を有するカルボキシ変性ウレタン(メタ)アクリレート化合物、特定の酸価を有するアルカリ可溶高分子化合物、および光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、微細なパターンの再現性と耐サンドブラスト性の両立においては更なる改善が望まれていた。
他方、微細なパターンの形成が可能な感光性樹脂組成物として、国際公開第2020/027024号パンフレット(特許文献4)には、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、および特定のエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートを含有する感光性樹脂組成物が記載されている。
特開平10-239840号公報 特開平10-69851号公報 特開平8-54734号公報 国際公開第2020/027024号パンフレット
本発明の課題は、高感度で微細なパターンが形成可能であり、アルカリ現像性に優れ、耐サンドブラスト性に優れた感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、下記手段によって、上記課題を解決できることを見いだした。
(1)(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物、および(D)下記一般式(i)で表されるエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート化合物を含有するサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
一般式(i)中、l、m、n、およびoの合計値は4~8である。
(2)支持体の一方の面上に、少なくとも上記(1)記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層を有し、該感光性樹脂層上にカバーフィルムを有するドライフィルム。
本発明によって、高感度で微細なパターンが形成可能であり、アルカリ現像性に優れ、耐サンドブラスト性に優れた感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いて作製したドライフィルムの一実施例を示す概略断面図 本発明の感光性受精組成物を用いて作製したドライフィルムの別の実施例を示す概略断面図
以下、本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」と略す場合がある)について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂を含有する。(A)アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性セルロース誘導体、カルボキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性セルロース誘導体としては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等が挙げられる。
カルボキシ基含有アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合させたアクリル系重合体が挙げられる。また、その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体を共重合させてもよい。
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸や、それらの無水物やハーフエステルを用いることもできる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エトキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニル-n-ブチルエーテル等が挙げられる。
(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gであることが好ましく、100~300mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が30mgKOH/g未満ではアルカリ現像の時間が長くなる傾向があり、酸価が500mgKOH/gを超えると、耐ブラスト性が低下する場合がある。酸価はJIS K2501:2003に準拠して測定した値である。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、10,000~200,000であることが好ましく、10,000~150,000であることがより好ましい。質量平均分子量が10,000未満では、本発明の感光性樹脂組成物を被膜状態に形成するのが困難になることがあり、一方、200,000を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物は(B)光重合開始剤を含有する、(B)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N,N′,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N′,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等のアシルホスフィン化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有する。原因は定かではないが、感光性樹脂組成物がカルボキシ基を有するウレタンアクリレートを含有することで、アルカリ現像液に対する溶解性が高くなり容易に感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層を除去することができる反面、感光性樹脂組成物を硬化させるために必要となるエネルギーが増加し、高感度で微細なパターンを形成することが難しくなる。また、仮に高感度で微細なパターンの形成が可能であっても、パターン形成後の被膜の弾性、柔軟性が不足し、耐サンドブラスト性が低下する。
(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、多価ヒドロキシ基を有する化合物と多価イソシアネート化合物とが反応した末端イソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応生成物が挙げられる。前記多価ヒドロキシ基を有する化合物としては、ヒドロキシ基を有するポリエステル類、ポリエーテル類等が挙げられるが、ポリエステル類としては、ラクトン類が開環重合したポリエステル類、ポリカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールと、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応で得られたポリエステル類が挙げられる。前記ラクトン類としては、具体的にはδ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、α-メチル-β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、α,α-ジメチル-β-プロピオラクトン、β,β-ジメチル-β-プロピオラクトン等が挙げられる。また、前記ポリカーボネート類としては、具体的にはビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサノン等のジオールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物が挙げられる。また、前記ポリエーテル類としては、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール等を挙げることができる。
上記多価ヒドロキシ基を有する化合物と反応する多価イソシアネート化合物としては、具体的にはジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5-ジメチルヘキサン-1,6-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式のジイソシアネート化合物を挙げることができ、その化合物の単独又は2種類以上の混合物が使用できる。
上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート等を挙げることができ、またそれら1molに対してε-カプロラクトンを1~10mol付加した化合物等を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は(D)一般式(i)で表されるエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート化合物を含有する。一般式(i)において、l、m、n,およびoの合計値は4~8である。これにより、微細なパターンが形成可能であり、アルカリ現像性に優れ、且つ耐サンドブラスト性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。一般式(i)中のl、m、n,およびoの合計値が4よりも小さいと、微細画像、特に孤立した微小な画像が残り難くなり、またl、m、n,およびoの合計値が8よりも大きいと、微小な非画像部を除去するのが難しくなる。微細なパターンの形成とアルカリ現像性のバランスの観点から、一般式(i)中のl、m、n、およびoの合計値は4であることが好ましい。
一般式(i)中、l、m、n、およびoの合計値は4~8である。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、上記成分(A)~(D)以外の成分を含有させてもよい。このような成分としては、光重合性単量体、溶剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、光減色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤および撥油剤等が挙げられ、各々成分(A)~(D)の合計量に対して0.01~20質量%含有することができる。これらの成分は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合性単量体とは、成分(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物および成分(D)一般式(i)で表されるペンタエリスリトールテトラアクリレート化合物以外の、分子内に少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物である。例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの光重合性単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記光重合性単量体としては、分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を使用してもよい。分子内に3個以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において、成分(A)の配合量は、成分(A)、(B)、(C)、(D)の総量に対して3~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。成分(A)の配合量が3質量%未満では、被膜性が十分でない場合や、アルカリ現像性が低下する場合がある。成分(A)の配合量が50質量%を超えると、耐サンドブラスト性が低下することがある。
成分(B)の配合量は、成分(A)、(B)、(C)、(D)の総量に対して0.1~10質量%であることが好ましく、0.3~6.5質量%であることがより好ましい。成分(B)の配合量が0.1質量%未満では、光重合性が不十分となる傾向がある。一方、10質量%を超えると、露光の際に感光性樹脂層の表面で活性光線の吸収が増大して、感光性樹脂層内部の光架橋が不十分となる傾向がある。
成分(C)の配合量は、成分(A)、(B)、(C)、(D)の総量に対して30~80質量%であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましい。成分(C)の配合量が30質量%未満では、耐サンドブラスト性が低下し、光感度が不十分となる傾向がある。一方、80質量%を超えると、膜表面の粘着性が増加する傾向にある。
成分(D)の配合量は、成分(A)、(B)、(C)、(D)の総量に対して1~30質量%であることが好ましく、3~15質量%であることがより好ましい。成分(D)の配合量が1質量%未満では、密着性が低下する傾向にある。一方、30質量%を超えると、耐サンドブラスト性が低下する傾向にある。
本発明の感光性樹脂組成物は、図1に示すように、支持体1、感光性樹脂層3、およびカバーフィルム4が積層したドライフィルムの構成としてもよい。また、図2に示すように、支持体1、剥離層2、感光性樹脂層3、およびカバーフィルム4が積層したドライフィルムの構成としてもよい。支持体1は、活性光線を透過させる透明フィルムが好ましい。厚みは薄い方が、光の屈折が少ないので好ましく、厚い方が、塗工安定性に優れるため好ましいが、10~100μmが好ましい。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。剥離層2としては、ポリビニルアルコール、アルカリ可溶性樹脂とウレタン(メタ)アクリレートの混合物などが挙げられる。カバーフィルム4は、未硬化又は硬化した感光性樹脂層3を剥離できればよく、離型性の高いフィルムが用いられる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコンに代表される離型剤が塗工されたポリエチレンフィルム等が挙げられる。感光性樹脂層3は、本発明の感光性樹脂組成物を支持体1上あるいは剥離層2上に塗布、乾燥して形成される。
感光性樹脂層の塗布方法としては、特に限定されないが、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、アプリケーターバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法を採用することができる。乾燥の条件としては、各成分の種類、含有割合等によっても異なるが、通常60~110℃で30秒~15分間である。
ドライフィルムの使用方法には、直接法および間接法がある。直接法は、まず、カバーフィルム4を除去し、次に、被処理体上に感光性樹脂層3が接触するようにしてラミネータ等を利用して貼り付ける。次に、支持体1側から所望のレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光した後に支持体1を剥離する。もしくは、解像性を要求する場合は、支持体1を剥離したのち支持体1を剥離した側から所望のレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光する。露光した部分は硬化される。次に、非露光部をアルカリ現像液によって洗い流し(剥離層2を有する場合は、この際に同時に除去される)、水洗を実施する。続いてパターニングされた樹脂層を介してサンドブラスト処理を施し、被処理体を加工する。
間接法は、被処理体にドライフィルムをラミネート又は密着露光が実施できない場合に用いることが多い。まず、ドライフィルムを所望のレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光した後に支持体1を剥離する。もしくは、解像性を要求する場合は、支持体1を剥離したのち支持体1を剥離した側から所望のレリーフ画像にあったマスクフィルムを介して露光する。露光した部分は硬化される。次に、非露光部をアルカリ現像液によって洗い流し(剥離層2を有する場合は、この際に同時に除去される)、水洗を実施する。これによりカバーフィルム4上にパターニングされた樹脂層が形成される。次いで、パターニングされた樹脂層面を被処理体に水系粘着剤等を利用して貼り付け、カバーフィルム4を剥離し、被処理体上にパターニングされた樹脂層を設ける。続いてパターニングされた樹脂層を介してサンドブラスト処理を施し、被処理体を加工する。
感光性樹脂層の厚みは、10~150μmであることが好ましく、20~120μmであることがより好ましい。この感光性樹脂層の厚みは、厚みが大きすぎると、解像性の低下、コスト高、等の問題が発生しやすくなる。逆に薄すぎると、耐サンドブラスト性が低下する傾向にある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1~16、比較例1~3)
表1に示す各成分を混合し、感光性樹脂組成物の塗工液を得た。なお、表1における各成分の含有量の単位は[質量部]である。得られた塗工液を、アプリケーターバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(支持体、商品名:R310、25μm厚、三菱ケミカル社製)上に塗工し、70℃で8分間乾燥して溶剤成分を除去し、PETフィルムの片面上に、感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層(50μm厚)を形成した。次いで、ポリエチレンフィルム(カバーフィルム、商品名:GF1、50μm厚、タマポリ社製)を感光性樹脂層面に貼り付け、ドライフィルムを作製した。
表1において、各成分は以下の通りである。
(A-1)セルロースアセテートフタレート(酸価:200mgKOH/g、質量平均分子量:60,000)
(B-1)2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
(B-2)フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
(B-3)N,N,N′,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン
(C-1)紫光(登録商標)UV―3000B(三菱ケミカル社製)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物
(C-2)紫光(登録商標)UV-2000B(三菱ケミカル社製)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物
(C-3)DAUA-167(共栄社化学社製)カルボキシ基を有するウレタンアクリレート化合物でカルビトールアセテートを溶剤とした53質量%溶液。表中の数値は、溶剤を含まないウレタンアクリレートのみの配合量である。
(D-1)エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(一般式(i)におけるl+m+n+o=4)
(D-2)エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(一般式(i)におけるl+m+n+o=12)
(D-3)エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(一般式(i)におけるl+m+n+o=0)
実施例1~16および比較例1~3のドライフィルムのカバーフィルムを剥離し、100℃に加熱したラミネータを用いて、厚み3mmのガラス板に感光性樹脂層が接するように貼り付けた。次に、60&60、80&80、100&100、200&200μmのライン&スペースのパターンを有するフォトマスクを介して、感光性樹脂層に対してメタルハライドランプ(100mJ/cm)で露光を行った。次に、PETフィルムを剥がし、0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液にてアルカリ現像を実施し、非露光部の感光性樹脂層を除去してガラス板上にパターニングされた樹脂層を形成した。次いで、パターニングされた樹脂層の解像性、耐サンドブラスト性の評価を行った。解像性について、下記評価基準にて評価を行った。結果を表2に示す。
(解像性)
○:60&60μmのライン&スペースまで再現できた。
○△:60&60μmのライン&スペースは再現できなかったが、80&80μm以上のライン&スペースが再現できた。
△:80&80μm以下のライン&スペースは再現できなかったが、100&100μm以上のライン&スペースが再現できた。
△×:100&100μmのライン&スペースが再現できない。
×:非露光部の感光性樹脂層が除去できない。
耐サンドブラスト性については、上記200&200μmのライン&スペースのパターニングされた樹脂層を有するガラス板を、炭化珪素粉(ナニワ研磨工業製、GC#1200)を用いて、ブラスト圧0.4MPaでサンドブラスト処理を行い、パターニングされた樹脂層がガラス板面に保持されている間に切削できた深さを、下記評価基準にて評価を行った。結果を表2に示す。なお、比較例2は非露光部の感光性樹脂層を除去できなかったため、耐サンドブラスト性の評価を行うことができなかった。
(耐サンドブラスト性)
○:1000μmの深さまで切削できた。
○△:500μm以上1000μm未満の深さまで切削できた。
△:200μm以上500μm未満の深さまで切削できた。
×:200μmの深さまで切削できない。
表2の結果よりわかるように、実施例1~16のサンドブラスト用感光性樹脂組成物は、比較例と比べて、アルカリ現像性に優れ、微細なパターンが形成可能であり、耐サンドブラスト性に優れることがわかる。
1 支持体
2 剥離層
3 感光性樹脂層
4 カバーフィルム

Claims (2)

  1. (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)カルボキシ基を有しないウレタン(メタ)アクリレート化合物、および(D)一般式(i)で表されるエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート化合物を含有するサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
    (一般式(i)中、l、m、n、およびoの合計値は4~8である。)
  2. 支持体の一方の面上に、少なくとも前記請求項1記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物を含有する感光性樹脂層を有し、該感光性樹脂層上にカバーフィルムを有するドライフィルム。
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