JP2023127040A - 活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着テープ - Google Patents

活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】粘着剤組成物自体の熱安定性に優れ、かかる粘着剤組成物を用いた粘着シートにおいて、様々な被着体への高い粘着力、保持力を有しながらも、曲面貼付性に優れ、さらに、高温下での耐熱性にも優れる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。【解決手段】アクリル系樹脂(A)と粘着付与剤(B)を含有する活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が20万以上であり、アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び紫外線活性部位を有するモノマー(a2)を含む共重合成分(a)を重合してなるアクリル系樹脂(A)であり、粘着付与剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、10~40重量部である活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物に関し、さらに詳しくはホットメルト塗工用の粘着テープや粘着ラベル等で使用できる粘着剤組成物に関する。そして、本発明は、活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の優れた熱安定性に加えて、かかる組成物を用いて作製した粘着シートは、様々な被着体への常温での粘着性、保持力、曲面貼付性にも優れ、被着体に貼り合わせた後の長時間の耐熱性にも優れる活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着テープに関する。
従来、粘着テープまたは粘着シート等の粘着剤としてはゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤が知られている。アクリル系粘着剤としては、特定のアルキル(メタ)アクリレートを必須構成単位とする(共)重合体が開発されている。
近年、環境への関心の高まりから、有機溶剤を使用しない粘着剤組成物が注目されている。例えば、特許文献1、特許文献2等において、熱溶融させた樹脂を基材状に塗布することを特徴とするアクリル系ホットメルト型粘着剤組成物が提案されている。しかしながら、これら従来のアクリル系ホットメルト型粘着剤組成物を用いた粘着テープ等は粘着力、保持力等の粘着特性が劣るという欠点があった。
上記欠点を解決するために、例えば、特許文献3は、活性エネルギー線照射によって、ホットメルト塗工したアクリル系粘着剤組成物を架橋させることが提案されている。
特開昭59-75975号公報 特開昭60-23469号公報 特表2018-501397号公報
しかしながら、上記特許文献3では様々な被着体への高い粘着力や静的剪断を有するが粘着シートの厚みが厚く、曲面貼付性について考慮されていなかった。また、上記特許文献1~3では粘着シートの耐熱性に関する記述はあるが、70℃下1週間と比較的低温での耐熱性試験結果であり、より高温下での耐熱性については改善の余地があった。
また、ホットメルト型粘着剤組成物は一般に常温では流動性がないため、通常100~160℃と高温に加熱して塗工する必要があるが、高温条件下に晒されると、粘着剤組成物によっては、粘着剤組成物中のアクリル系樹脂の分子量が増加したり、増粘し塗工性が低下するといった、粘着剤組成物自体の熱安定性が劣るといった問題があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、粘着剤組成物自体の熱安定性に優れ、かかる粘着剤組成物を用いた粘着剤が、様々な被着体への高い粘着力、保持力を有しながらも、曲面貼付性に優れ、さらに、高温下での耐熱性にも優れる活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シートを提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物において、アクリル樹脂の重量平均分子量を特定以上のものを用い、粘着付与剤の含有量を調整することで、粘着剤組成物の高温での熱安定性に優れ、かかる粘着剤を用いた粘着シートは様々な被着体への高い粘着力、保持力を有しながらも、曲面貼付性に優れ、さらに、高温下での長時間の耐熱性に優れる活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物を得られることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
<1>
アクリル系樹脂(A)と粘着付与剤(B)を含有する活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物であって、
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が20万以上であり、
アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び紫外線活性部位を有するモノマー(a2)を含む共重合成分(a)を重合してなるアクリル系樹脂(A)であり、
粘着付与剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、10~40重量部である活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
<2>
前記粘着付与剤(B)の軟化点が70~130℃である<1>記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
<3>
前記粘着付与剤(B)がロジン系粘着付与剤(B1)である<1>又は<2>記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
<4>
前記アクリル系樹脂(A)の共重合成分(a)が、極性基含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を含有する<1>~<3>いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
<5>
さらに架橋剤(C)を含有する請求項<1>~<4>いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
<6>
<1>~<5>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物が架橋されてなる活性エネルギー線硬化性粘着剤。
<7>
<6>記載の難接着被着体用粘着剤が基材上に形成されてなる粘着テープ。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、熱安定性に優れ、かかる組成物を用いた粘着シートは様々な被着体への粘着力を有しながらも、保持力にも優れ、さらに曲面貼付性、被着体に貼り合わせた後の長時間の耐熱性にも優れているため、様々なラベルに好適でに用いられる粘着剤を提供する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
また、「テープ」とは、テープ、フィルム、シートを概念的に包含するものである。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、粘着付与剤(B)を含有する。
以下、順番にかかる構成成分について説明する。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、共重合成分(a)としてアルキル(メタ)アクリレート(a1)及び紫外線活性部位を有するモノマー(a2)を含有する。
〔アルキル(メタ)アクリレート(a1)〕
上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも粘着力の点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)にはガラス転移温度が-60℃未満のモノマーを少なくても1種以上含むことが好ましい。ガラス転移温度が-60℃未満のモノマーとして、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソデシルアクリレートが挙げられる。
ガラス転移温度が-60℃未満のアルキル(メタ)アクリレート(a1)の含有量は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)に対して0~85重量%、好ましくは15~75重量%、特に好ましくは20~60重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、塗工性が低下し、含有量が多すぎると加熱後の粘着力が低下する傾向がある。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、共重合成分(a)に対して、通常1~99重量%であり、好ましくは30~97重量%、特に好ましくは50~95重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、ガラス転移温度が高くなるため粘着剤全般の性能が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、保持力や曲面貼付性が悪化する傾向がある。
〔紫外線活性部位を有するモノマー(a2)〕
上記紫外線活性部位を有するモノマー(a2)としては、例えば、紫外線によって活性化され、(メタ)アクリル共重合体分子中の別の部分または別のアクリル共重合体分子との架橋を形成することができる部位を有する(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。紫外線活性部位として、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o-ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3-ケトクマリン構造、2-エチルアントラキノン構造及びカンファキノン構造が挙げられる。これらの構造の各々は、紫外線照射によって励起できるものであり、その励起状態において、(メタ)アクリル共重合体分子から水素ラジカルを引き抜くことができる。このようにして、(メタ)アクリル共重合体上にラジカルが生成される。生成したラジカルが互いに結合することによる架橋構造の形成、酸素分子との反応による過酸化物ラジカルの生成、生成した過酸化物ラジカルを介する架橋構造の形成、及び生成したラジカルによる別の水素ラジカルの引き抜きなど、系内に様々な反応が引き起こされ、(メタ)アクリル共重合体は、最終的に架橋される。
上述の構造の中でも、透明性、反応性などを考慮すると、ベンゾフェノン構造が好ましい。そのようなベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリレートの例としては、限定するものではないが、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオ キシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、及びそれらの混合物が挙げられる。
紫外線活性部位を有するモノマー(a2)は、共重合成分(a)に対して、通常0.1~5重量%、好ましくは0.3~2重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射時の硬化性が低くなる傾向があり、含有量が多すぎると、ゲル分率が上昇しすぎるために曲面貼付性が悪化する傾向がある。
〔極性基含有エチレン性不飽和モノマー(a3)〕
上記極性基含有エチレン性不飽和モノマー(a3)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、シアノ基含有モノマー等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、共重合したアクリル樹脂としての粘着力に優れる点でカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルモノマー、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルモノマーが好ましく、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、特には4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、N-グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
上記極性基含有エチレン性不飽和モノマー(a3)の含有量は、樹脂の熱安定性と粘着物性の両立の点から共重合成分(a)に対して10重量%未満であり、0.1重量%以上9重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以上8重量%以下、さらに好ましくは1重量%以上7重量%以下、特に好ましくは2重量%以上6重量%以下である。かかる含有量が多すぎると共重合したアクリル樹脂の熱安定性が低下する傾向がある。また、含有量が少なすぎると粘着力が低下する傾向がある。
〔その他の重合性モノマー(a4)〕
上記その他の重合性モノマー(a4)として、上記(a1)、(a2)および(a3)以外の、他の重合性モノマーであればよく、例えば、脂環構造含有モノマー;芳香族モノマー;アルコキシ基含有モノマー;ビニルモノマー等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記芳香族モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート等の芳香環を一つ有する(メタ)アクリレート;フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香環を二つ有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ビニルモノマーとしては、例えばプロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
その他の重合性モノマー(a4)は、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができるが、全共重合成分(a)に対して20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下である。
<アクリル系樹脂(A)の製造方法>
アクリル系樹脂(A)の製造方法としては、上記共重合成分(a)を用いて、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法を用いることができる。例えば、有機溶媒中に、適宜選択してなる重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、所定の重合条件にて重合する方法等が挙げられ、なかでも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、安定にアクリル系樹脂(A)が得られる点で、溶液ラジカル重合が特に好ましい。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの有機溶媒の中でも、重合反応のしやすさ、連鎖移動の効果、粘着剤組成物の塗工時の乾燥のしやすさ、安全上の点から、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が好ましく、なかでも酢酸エチルが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
有機溶媒の使用量は、通常、共重合成分(a)100重量部に対して10~900重量部である。
また、かかる溶液ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、通常、共重合成分(a)100重量部に対して0.01~10重量部である。
このようにして、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
<アクリル系樹脂(A)の物性>
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、20万以上が好ましく、更に好ましくは21万~150万、より好ましくは23万~100万、殊に好ましくは25万~50万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると、凝集力が低くなり粘着性が低下し、大きすぎると溶融粘度が高くなりすぎるため、ホットメルト塗工に不適である。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、10以下であることが好ましく、より好ましくは7以下である。かかる分散度が高すぎると凝集力が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は通常1である。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本ウォーターズ社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100~2×10、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列に接続して用いることにより測定することができ、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は、上記重量平均分子量と数平均分子量の測定値より求めることができる。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、-85℃以上が好ましく、より好ましくは-80~20℃、更に好ましくは-75~0℃、特に好ましくは-70℃~-10℃、殊に好ましくは-65~-30℃である。かかるガラス転移温度が低すぎると、硬化後の接着強度が低下する傾向にあり、高すぎると硬化前のタックが低くなる傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 2023127040000001
Tg:重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
即ち、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率をFoxの式に当てはめて算出した値である。
なお、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
アクリル系樹脂(A)は、粘着剤組成物の主成分であり、粘着剤組成物に対し50重量%以上が好ましく、より好ましくは60~98重量%、更に好ましくは70~95重量%、特に好ましくは75~93重量%である。かかる範囲外であると、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
上記希釈されたアクリル系樹脂(A)の粘度は、500~30000mPa・s/25℃が好ましく、1000~10000mPa・s/25℃がより好ましい。粘度が低すぎると比重の重い成分を用いた場合、その成分が沈降し易くなり、アクリル系樹脂(A)中の成分の濃度が不均一となる傾向がある。
<粘着付与剤(B)>
本発明で用いられる粘着付与剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部(固形分)に対して、10~40重量部であることが好ましく、より好ましくは12~35重量部、更に好ましくは15~30重量部である。殊に好ましくは18~25重量部である。かかる含有量が多すぎても少なすぎても、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
粘着付与剤(B)の軟化点としては、20~180℃であることが好ましく、より好ましくは50~160℃、更に好ましくは70~130℃である。高すぎても低すぎても粘着性が低下する傾向がある。
粘着付与剤(B)としては、例えば、ロジン系樹脂(B1)、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、変性テルペン系樹脂、炭化水素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エラストマー系樹脂、ケトン系樹脂などが挙げられるが、PE等の低極性被着体への粘着力の観点からロジン系樹脂(B1)であることが好ましい。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記、ロジン樹脂(B1)としては、例えば、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン系樹脂、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンエステル等が挙げられ、中でも、変性ロジン系樹脂は無溶剤系のアクリル樹脂と混合する際に高温での熱安定性が高いため、ホットメルト組成物を構成する観点で好ましい。
<任意成分>
本発明においては、上記各成分の他に、任意成分として、例えば、カーボンや金属等の導電剤;金属粒子やガラス粒子等の無機フィラー;充填剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;イオン性化合物、過酸化物、シランカップリング剤、ウレタン化触媒等の架橋促進剤;アセチルアセトン等の架橋遅延剤、単官能モノマー、多官能モノマー等の各種添加剤を含有することもできる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の粘着剤組成物は、上記任意成分の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
上記任意成分を用いる場合、その含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下である。かかる含有量が多すぎると、本発明の効果を損なう傾向にある。
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂(A)と粘着付与剤(B)に加え、必要に応じて任意成分を混合することにより得ることができる。
これらの成分の混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
粘着剤組成物中のアクリル系樹脂(A)と粘着付与剤(B)の含有量は、粘着剤組成物中の90重量%以上が好ましく、より好ましくは95重量%以上、更に好ましくは98重量%以上である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、粘着剤成分として有用であり、特にはホットメルト用粘着剤成分として有用である。ホットメルト用として用いる場合は、上記成分を配合し、粘着剤組成物溶液を得た後、溶剤を留去する。
配合した粘着剤組成物溶液から溶剤を留去する工程は、公知一般の方法で行うことができ、溶剤を留去する方法としては、加熱することにより溶剤を留去する方法や、減圧することにより溶剤を留去する方法等があるが、溶剤の留去を効率的に行う点から、減圧下で加熱することにより留去する方法が好ましい。
加熱して溶剤を留去する場合の温度としては、60~150℃で行うことが好ましく、特には、アクリル系樹脂を重合した後の反応溶液を60~80℃で保持して溶剤を留出させ、次いで、80~150℃で溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。なお、アクリル樹脂のゲル化を抑制する点から、溶剤留去の際の温度は150℃以上で行わないことが好ましい。
減圧して溶剤を留去する場合の圧力としては、20~101.3kPaで行うことが好ましく、特には、50~101.3kPaの範囲で保持して反応溶液中の溶剤を留出させた後、0~50kPaで残存溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。
かくして本発明に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造することができる。
<粘着シート>
本発明の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物は、これを用いてなる粘着剤層を基材シート上に設けた粘着シート、粘着剤層を離型シート上に設けた両面粘着シート等に用いられることが好ましい。なお、上記粘着剤層は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物そのものであっても、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化(架橋)されてなるものであってもよい。硬化方法としては、活性エネルギー線により硬化する方法や、架橋剤を用いて架橋することにより硬化する方法、これらを組み合わせた方法等があげられる。
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
なお、本発明において、「シート」とは、特に「フィルム」や「テープ」と区別するものではなく、これらをも含めた意味として記載するものである。
まず、活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物を加熱により溶融した状態で基材シートの片面もしくは両面に塗工し、その後冷却する方法や、粘着剤組成物を加熱により溶融させ、Tダイ等により基材シート上に押出しラミネートする方法、溶剤が含まれる場合は塗工後、溶剤を乾燥させる方法等で基材シート上の片面もしくは両面に所定の厚みとなるように粘着剤層を形成する。ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。
また、基材シート上に粘着剤層を形成した後、必要に応じて活性エネルギー線照射処理を行ない、さらにエージングすることで粘着剤組成物が硬化(架橋)してなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。
得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布があげられる。これらの基材シートは、単層体として又は2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
さらに、上記離型シートとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法があげられる。
活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物中のアクリル系樹脂(A)が分子内及び/又は分子間で架橋構造を形成する。
活性エネルギー線照射をするに際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
上記エージング処理は、特に粘着剤組成物に架橋剤を用いる場合に行なうことが好ましく、上記エージング処理の条件としては、温度は通常室温(25℃)~100℃、時間は通常1日~30日であり、具体的には、例えば23℃で1日~20日間、好ましくは、23℃で3~10日間、40℃で1日~7日間等の条件で行なえばよい。
上記粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、粘着力、耐久性の点から10~90%であることが好ましく、特には20~70%が好ましく、殊には30~50%であることが好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性低下する傾向がある。また、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
なお、ゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、活性エネルギー線照射量や(a2)紫外線活性部位を有するモノマーの種類や量を調整すること、また、架橋剤を用いる場合には、架橋剤の種類や量を調整すること等により達成される。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
上記粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、5~2000μmであることが好ましく、さらには10~100μmがあることが好ましく、殊には15~25μmであることが好ましい。上記粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着性が低下する傾向があり、厚すぎると粘着ラベルとして用いた場合に糊のはみ出しが起きる傾向がある。
なお、本発明における膜厚は、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着剤層含有積層体全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求めた値である。
本発明の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物は優れた熱安定性に加えて、かかる粘着剤を用いて作製した粘着シートは、様々な被着体への常温での粘着性、保持力、曲面貼付性にも優れ、被着体に貼り合わせた後の長時間の耐熱性にも優れる。
したがって、本発明の粘着剤組成物は、ホットメルト塗工用の中でも種々の用途、例えば、コーション用ラベル、冷凍食品用ラベル、建材用、車載部品用、電子部品用、放熱シート、FPC製造用、半導体製造工程用、部材封止用、航空部品用、スポーツ用品用等の粘着用途に有用であり、なかでもコーション用ラベル(粘着シート、粘着テープ)に好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂原料モノマーとして以下のものを用意した。
(a1-1)ノルマルブチルアクリレート(以下、「BA」):三菱ケミカル社製
(a1-2)2-エチルへキシルアクリレート(以下、「2EHA」):三菱ケミカル社製
(a2)4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン(以下、「MBP」):新菱社製
(a3-1)アクリル酸(以下、「Aac」:大阪有機化学工業社製
(a4)酢酸ビニル(以下「Vac」):三菱ケミカル社製
[アクリル系樹脂溶液(A-1)の製造]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル122部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.087部仕込み、フラスコ内で加熱還流させた後、BA70.5部、2EHA20.0部、MBP0.5部、Vac5部、Aac4部、酢酸エチル3.6部の混合溶液を、2時間にわたって滴下した。モノマー滴下終了から1時間後に重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後、さらに重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後、さらに重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後に酢酸エチル30.2部で希釈して、アクリル系樹脂(A-1)溶液〔固形分濃度38.9%、重量平均分子量(Mw)30.8万、分散度3.45(Mw/Mn)〕を得た。
[アクリル系樹脂溶液(A-2)の製造]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル133部、重合開始剤としてAIBNを0.087部仕込み、フラスコ内で加熱還流させた後BA90.5部、MBP0.5部、Vac5部、Aac4部、酢酸エチル3.6部の混合溶液を、2時間にわたって滴下した。モノマー滴下終了から1時間後に重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後、さらに重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後、さらに重合開始剤(AIBN)0.087部を追加し、2時間反応させた後に酢酸エチル30.2部で希釈して、アクリル系樹脂(A-2)溶液〔固形分濃度37.4%、重量平均分子量(Mw)37.0万、分散度3.19(Mw/Mn)〕を得た。
[アクリル系樹脂溶液(A´-1)の製造]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル14.3部、メチルエチルケトン28.6部、重合開始剤としてアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVN)を0.014部仕込み、フラスコ内で加熱還流させた後、BA70.50部、2EHA20部、MBP0.5部、Vac5部、Aac4部、メチルエチルケトン2.9部、ADVN0.1部の混合溶液を、2時間にわたって滴下した。モノマー滴下終了から1時間後に重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、1時間反応させた後、さらに重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、1時間反応させた後、さらに重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、2時間反応させた後にメチルエチルケトン8.6部で希釈して、アクリル系樹脂(A´-1)溶液〔固形分濃度63.7%、重量平均分子量(Mw)17.9万、分散度2.61(Mw/Mn)〕を得た。
[アクリル系樹脂溶液(A´-2)の製造]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メチルエチルケトン42.9部、重合開始剤としてADVNを0.014部仕込み、フラスコ内で加熱還流させた後、BA90.50部、MBP0.5部、Vac5部、Aac4部、メチルエチルケトン2.9部、ADVN0.1部の混合溶液を、2時間にわたって滴下した。モノマー滴下終了から1時間後に重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、1時間反応させた後、さらに重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、1時間反応させた後、さらに重合開始剤(ADVN)0.057部を追加し、2時間反応させた後にメチルエチルケトン8.6部で希釈して、アクリル系樹脂(A´-2)溶液〔固形分濃度63.3%、重量平均分子量(Mw)13.6万、分散度2.51(Mw/Mn)〕を得た。
<粘着付与剤(B)>
粘着付与剤(B)として、以下のものを用意した。
(B-1)変性ロジン系樹脂(ハリマ化成社製、M-113S、軟化点:115℃)
(B-2) ロジンエステル(ハリマ化成社製、ハリエスターDS-70L、軟化点:74℃)
(B-3)ロジンエステル(荒川化学社製、スーパーエステルA-75、軟化点:70~80℃)
(B-4)ロジンエステル(荒川化学社製、スーパーエステルA-125、軟化点:120~130℃)
<実施例1~5、比較例1~4>
上記のアクリル系樹脂溶液(A)と粘着付与樹脂(B)を後記の表1にしたがって配合した(NET/NETの配合量)。得られた配合液をトの字連結管を使用することで溶剤を系外に留去できる形にしたフラスコにて、ジャケット温度80℃にて1時間、さらに10kPaに減圧しジャケット温度90℃にて2時間放置して溶剤の留去を行い、実施例1~5と比較例1~4に記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物を得た。
<樹脂の熱安定性>
溶剤留去した組成物2gをガラス瓶の中に入れた後、樹脂入りガラス瓶を160℃に温めたミニジェットオーブンに入れて静置し、4時間加熱した後に活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物を取り出した。
その後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の重量平均分子量を測定し、下記式1で示す通り、160℃で4時間加熱処理した後の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の重量平均分子量をM2,かかる熱処理前の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の重量平均分子量をM1とした時の重量平均分子量変化率M(%)を算出し、下記評価基準にて評価した。
[式1]
M(%)=(|M2-M1|/M1)×100
M2:160℃で4時間加熱処理した後の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の重量平均分子量
M1:上記加熱処理前の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物の重量平均分子量
(評価基準)
◎・・Mが10未満
〇・・Mが10以上、20未満
×・・Mが20以上
[粘着シートの作製]
実施例1~5及び比較例1~4の各活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物と酢酸エチルを配合し、固形分濃度が40%になるまで希釈した後に、厚み50μmのPET(東レ社製、「ルミラー #50-T60」)に、乾燥後の厚みが20μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層の表面に厚み38μmのセパレータ(三井化学東セロ社製、「SPPET01 38BU」)を貼り合わせた後に、高圧水銀ランプを使用したUV照射装置にて、所定の線量(140mW/cm、900mJ/cm)の紫外線照射を行うことで粘着シートを作製した。(PETフィルム/粘着剤層/軽剥離シリコンセパレータの積層体)。
<常温粘着力>
上記で得られた粘着シートから幅25mm×200mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、被着体〔SUS304-BA板、PE(ポリエチレン)板〕に23℃、50RH%の雰囲気下にて2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、23℃で30分間静置した。その後、JIS Z 0237に準じて、剥離速度300mm/minで180°剥離強度(N/25mm)を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)対SUS-BA板
◎・・15.0N/25mm以上
〇・・12.0N/25mm以上、15.0N/25mm未満
△・・8.0N/25mm以上、12.0N/25mm未満
×・・8.0N/25mm未満
(評価基準)対PE板
◎・・8.0N/25mm以上
〇・・6.0N/25mm以上、8.0N/25mm未満
△・・4.0N/25mm以上、6.0N/25mm未満
×・・4.0N/25mm未満
<加熱後粘着力>
上記で得られた粘着シートから幅25mm×200mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、被着体〔SUS304-BA板〕に23℃、50RH%の雰囲気下にて2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、23℃で30分間静置した。その後、120℃に加熱したミニジェットオーブンに10日間静置して加熱を行った。その後、JIS Z 0237に準じて、剥離速度300mm/minで180°剥離強度(N/25mm)を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)
◎・・15.0N/25mm以上
〇・・12.0N/25mm以上、15.0N/25mm未満
△・・8.0N/25mm以上、12.0N/25mm未満
×・・8.0N/25mm未満
<曲面貼付性>
上記で得られた粘着シートから幅25mm×40mmの試験片を作製し、セパレータをはがしたうえで、直径25mmのメスシリンダーの表面に貼り付けた養生紙に加圧貼付した後に、40℃で72時間静置した。その後、試験片が養生紙から剥がれた幅を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)
〇・・1mm未満
△・・1mm以上、10mm未満
×・・10mm以上
<ゲル分率>
上記で得られた粘着シートから粘着剤をピッキングにより採取し、当該粘着剤を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に調整したトルエン中に24時間浸漬した。酢酸エチル浸漬の前後における粘着剤層の重量をそれぞれ測定し、両重量の差を金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量とした。酢酸エチル浸漬前における粘着剤層の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
<保持力>
上記で得られた粘着シートから幅25mm×25mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、サンドペーパーで研磨したステンレス鋼板(SUS304)に2kgローラーを往復させ加圧貼付(貼り付け面積25mm×25mm)した。クリープテスター(テスター産業社製、高温恒湿槽付保持力試験機BE-501)を用いて、荷重1kgを40℃雰囲気下で24時間かけて保持力を測定した。保持力の評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・1440min以上保持し、且つズレなし
〇・・1440min以上保持したが、ズレあり
△・・100min以上、1440min未満保持した
×・・100min未満保持した
Figure 2023127040000002



上記結果より、本発明の構成を満たす実施例1~5では、いずれも樹脂の熱安定性に優れ、かかる粘着剤を用いた粘着シートは、SUSやPEといった様々な被着体への粘着力を有しながらも、保持力、さらに曲面貼付性、被着体に貼り合わせた後の長時間の耐熱性に優れることがわかる。
これに対し、粘着付与剤(B)の量がアクリル樹脂(A)100質量部に対して40%を超える比較例1ではPEに対する粘着力が劣ったり、加熱後粘着力が劣ったり、さらには保持力に劣ったりする粘着剤であることがわかる。
また、粘着付与剤(B)の量がアクリル樹脂(A)100質量部に対して10%未満である比較例2ではPEに対する粘着力が劣ったり、曲面貼付性が劣ったりする粘着剤であることがわかる。
さらには、比較例3、4では、実施例1と同等の粘着付与剤(B)量であるが、アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が20万以下であることから、保持力、曲面貼付性に劣る結果となっている。
したがって、本発明の効果を奏するために本発明の効果を有すること、なかでもアクリル樹脂(A)の重量平均分子量と粘着付与剤(B)の含有量が所定の割合を満たすことが必要であることがわかる。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、熱安定性に優れ、かかる粘着剤組成物を用いた粘着シートは様々な被着体への粘着力を有しながらも、保持力にも優れ、さらに曲面貼付性、被着体に貼り合わせた後の長時間の耐熱性にも優れているため、様々なラベルに好適である粘着剤を提供する。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂(A)と粘着付与剤(B)を含有する活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物であって、
    アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が20万以上であり、
    アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び紫外線活性部位を有するモノマー(a2)を含む共重合成分(a)を重合してなるアクリル系樹脂(A)であり、
    粘着付与剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、10~40重量部である活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
  2. 前記粘着付与剤(B)の軟化点が70~130℃である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
  3. 前記粘着付与剤(B)がロジン系粘着付与剤(B1)である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
  4. 前記アクリル系樹脂(A)の共重合成分(a)が、極性基含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を含有する請求項1~3いずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
  5. さらに架橋剤(C)を含有する請求項1~4いずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物が架橋されてなる活性エネルギー線硬化性粘着剤。
  7. 請求項6記載の活性エネルギー線硬化性粘着剤が基材上に形成されてなる粘着テープ。
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