JP2023126188A - ビタミンd誘導体 - Google Patents

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Kazuo Nagasawa
正行 寺
Masayuki Tera
海帆 岩城
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Abstract

【課題】簡便で、かつ候補化合物の実際のVDR結合親和性を反映できる、VDR結合親和性評価に使用可能な化合物を提供する。【解決手段】下記式(I)で表される化合物を使用する:TIFF2023126188000080.tif5264(式中、R1はエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基等;R2は水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基等;R3は水素又は水酸基;Lはリンカー;Mは標識分子)。【選択図】なし

Description

本発明は、ビタミンD誘導体、その合成中間体及びその合成方法、並びに該ビタミンD誘導体を使用して対象化合物のビタミンD受容体に対する結合親和性を評価する方法に関する。
ビタミンDは骨形成作用、カルシウム濃度恒常性維持作用、筋肉増強作用、細胞分化誘導作用をはじめとする多様な生理活性を有しており、その誘導体の多くが医薬品として開発されてきた。これまでに、その生理活性に着目したビタミンD製剤の開発を目的として、3000種類を超えるビタミンD誘導体が合成されてきた。その中で、慢性腎不全、二次性副甲状腺機能亢進症、骨粗しょう症、乾癬ビタミンDなどの疾患に対し、アルファカルシドール、ファレカルシトリオール、paricalcitol、エルデカルシトール、カルシポトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール等が臨床に用いられている(非特許文献1)。
1α,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)およびその誘導体の多くは、細胞の核内に存在するビタミンD受容体(VDR)と結合することで、その生理活性を示すことが知られている。そのため、新規のビタミンD誘導体からの創薬開発には、ビタミンD誘導体候補化合物から、そのVDR結合親和性の評価によるスクリーニングを行う工程が有用である。従来は、同位体標識を有する活性型ビタミンDを、候補化合物と共にVDRに競合的に結合させ、非結合物質の標識を検出することで、候補化合物のVDR結合親和性を評価する方法がとられてきた(非特許文献2)。特許文献1には、同位体標識に代えて、活性型ビタミンDの特定の位置に蛍光物質を結合させた低分子化合物(蛍光リガンド)を使用する方法が開示されている。この方法では、VDR結合時と非結合時で蛍光物質の蛍光偏向度が変化する特性を用いて、非結合の該低分子化合物を定量することが可能である。
非特許文献3には、VDRのリガンド結合部位(LBD)と分割型ルシフェラーゼを結合させた複合体を用いて、候補化合物のVDR結合親和性を評価する方法が開示されている。候補化合物(リガンド)と前記複合体が結合することにより、LBDに構造変化が生じて2つに分割したルシフェラーゼが結合し、一体化したルシフェラーゼが形成される。これとルシフェリンとの反応により生じる蛍光を測定することで、候補化合物のVDR結合親和性を評価することが可能である。
国際公開第2003/070697号
岡野登志夫 編「ビタミンDと疾患 改訂版」医薬ジャーナル社(2014/1/15) Peter F., et. al., Science, Vol. 4129 (183), pp. 1089-1091 (1974) 真野寛生ら、ビタミン第91巻第3号、pp. 165-172 (2017)
特許文献1に記載の方法は、蛍光リガンドの蛍光偏向度を測定することを要する。蛍光偏向度の測定は、通常の分光蛍光光度計では不可能であり、特殊な装置を用いることを要する。また、蛍光偏向を生じさせるためには蛍光リガンドをVDRから確実に遊離させる必要があるが、蛍光リガンドのKdが高いため、比較的多量の候補化合物を要する、という課題があった。
一方、非特許文献3に記載の方法は、分光蛍光光度計で測定可能ではあるが、VDRそのものではなく、LBD及び分割型ルシフェラーゼの複合体と候補物質との結合親和性を測定する方法である。したがって、その測定値が実際のVDR結合親和性を反映できているか不明である。
本発明は、簡便で、かつ候補化合物の実際のVDR結合親和性を反映できる、VDR結合親和性評価に使用可能な化合物を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供する。
[1]下記式(I)で表される化合物:
Figure 2023126188000001
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である)。
[2]前記リンカーが炭素数2~10の炭素鎖に相当する長さを有する、[1]に記載の化合物。
[3]下記式(II)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の化合物:
Figure 2023126188000002
(式中、Mは標識分子である)。
[4]下記式(III)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の化合物:
Figure 2023126188000003
(式中、Mは標識分子である)。
[5]下記式(IV)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の化合物:
Figure 2023126188000004
(式中、Mは標識分子である)。
[6]ビタミンD受容体への結合親和性を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物。
[7]標識分子が、環境応答型蛍光分子である、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物。
[8]標識分子が、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物である、[7]に記載の化合物。
Figure 2023126188000005
Figure 2023126188000006
Figure 2023126188000007
Figure 2023126188000008
Figure 2023126188000009
[9]標識分子が、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子である、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物。
[10][1]に記載の化合物の中間化合物である、下記式(X)で表される化合物:
Figure 2023126188000010
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである)。
[11][1]に記載の化合物を合成する方法であって、下記工程(a)~(d)を含む、方法:
(a)下記式(XI)で表される化合物を提供する工程:
Figure 2023126188000011
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である);
(b)上記式(XI)で表される化合物より、下記式(X)で表される化合物を取得する工程;
Figure 2023126188000012
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである);
(c)上記式(X)で表される化合物を下記式(XII)で表される化合物と反応させて下記式(XIII)で表される化合物を取得する工程;及び
Figure 2023126188000013
(式中、Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;R及びRは、それぞれ独立に炭素数2~8の飽和又は不飽和の炭化水素である)、
Figure 2023126188000014
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;Lはリンカーである)
(d)上記式(XIII)で表される化合物に標識分子を結合させ、脱保護を行い、下記式(I)で表される化合物を得る工程:
Figure 2023126188000015
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である)。
[12]対象化合物のビタミンD受容体(VDR)に対する結合親和性を評価する方法であって、下記工程(i)~(iii)を含む、方法:
(i)下記式(I)で表され、かつ、VDRに対する結合親和性を有する標識リガンドを提供する工程:
Figure 2023126188000016
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である);
(ii)VDR、前記標識リガンド、及び対象化合物を反応させる工程;
(iii)前記標識分子の所定のシグナルを定量する工程。
[13]前記リンカーが炭素数2~10の炭素鎖に相当する長さを有する、[12]に記載の方法。
[14]前記標識リガンドが、下記式(II)で表される化合物である、[12]又は[13]に記載の方法:
Figure 2023126188000017
(式中、Mは標識分子である)。
[15]前記標識リガンドが、下記式(III)で表される化合物である、[12]又は[13]に記載の方法:
Figure 2023126188000018
(式中、Mは標識分子である)。
[16]標識分子が、環境応答型蛍光分子である、[12]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17]標識分子が、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物である、[16]に記載の方法。
Figure 2023126188000019
Figure 2023126188000020
Figure 2023126188000021
Figure 2023126188000022
Figure 2023126188000023
[18]標識分子が、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子である、[12]~[15]のいずれかに記載の化合物。
[19]複数の候補化合物群からビタミンD受容体(VDR)結合親和性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、
各候補化合物を対象化合物として、[12]~[18]のいずれかに記載の方法で対象化合物のVDR結合親和性を評価して、高いVDR結合親和性を有する化合物を選定することを含む、方法。
[20][1]~[10]のいずれかに記載の化合物、及びビタミンD受容体を含む、対象化合物のVDR結合親和性を評価するためのキット。
本発明によれば、簡便で、かつ候補化合物の実際のVDR結合親和性を反映できる、VDR結合親和性評価に使用可能な化合物を提供することが可能である。
活性型ビタミンD(1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の構造と、従来の誘導体類の構造を示す概略図である。 アセチニルアジドビタミンD誘導体の合成手順の例を示す概略図である。 図2-1の続きである。 アセチニルニトリルビタミンD誘導体の合成手順の例を示す概略図である。 本発明の対象化合物のVDR結合親和性評価方法の原理を示す概略図である。 各濃度のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物19)の蛍光スペクトルである。 各濃度のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物23)の蛍光スペクトルである。 各濃度の1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、一定量のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物19)の蛍光スペクトルである。 各濃度の1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、一定量のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物23)の蛍光スペクトルである。 各濃度のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物19)の励起波長280nmでの蛍光スペクトルである。 各濃度の1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、一定量のビタミンD受容体を添加した、蛍光リガンド(化合物19)の励起波長280nmでの蛍光スペクトルである。
本明細書に表される化学式は、特に記載がない限り、あらゆる幾何学異性体及び光学的異性体を含むものとする。また、本明細書に表される化合物は、特に記載がない限り、その化合物の塩及び溶媒和物を包含するものとする。本明細書において「含有量」又は「量」とは、特に記載のない限り、モル量を指すものとする。また「モル濃度(M)」は、特に記載のない限り、溶液単位体積当たりのモル量(モル/dm)を指すものとする。
1.化合物
本発明の第1の実施形態は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 2023126188000024
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である)。
本実施形態の化合物は、ビタミンDのA環及びCD環構造(図1を参照のこと)を有するビタミンDの誘導体である。図1に、活性型ビタミンD(1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の構造と、既知の誘導体類の構造を示す。図1に示す通り、従来のビタミンD誘導体は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDの1~3位、16位、19~21位及び22~25位が修飾されて形成されるものが知られていた。本実施形態の化合物は、11位に置換基が導入された点に特徴を有する。特に後述の環境応答型蛍光分子を標識分子として使用する場合に、11位に標識分子が結合することで、VDRとの結合時と非結合時のその蛍光波長及び/又は蛍光強度に明確な差異が生じる。
本実施形態の化合物において、リンカー(L)は、炭素数2~10、特に炭素数3~6、さらに炭素数4~5の炭素鎖に相当する長さを有するリンカーであることが好ましい。Lの構造は、特に限定されないが、例えば、炭素数2~10の飽和又は不飽和の炭素鎖を有する構造とすることができる。炭素鎖の長さが上記範囲内であれば、前記炭素鎖はエーテル結合を有してもよく、また、分岐鎖を有してもよい。前記炭素鎖が不飽和結合を有する場合、例えば、1つ又は2つの二重結合及び/又は三重結合を有することができる。Lの構造は、例えば、左を標識分子側として、-C≡C-CH-CH-、-C≡C-C≡C-CH-、-C=C-CH-等の構造とすることができる。Lを上記の長さとすることで、標識分子(M)を後述の環境依存型の蛍光標識を使用した場合に、VDRとの結合時と非結合時のその蛍光波長及び/又は蛍光強度に差異を生じさせることが可能となる。
本実施形態の化合物において、標識分子(M)は、低分子化合物の検出に通常使用される標識分子であれば特に限定されず、蛍光分子、キレート、ビオチン、ジゴキシゲニン、核酸等のいずれも使用できる。
本実施形態の化合物の一態様においては、Mとして、環境応答型蛍光分子を使用する。本明細書において「環境応答型蛍光分子」とは、周囲環境の極性変化によって、その蛍光波長及び/又は蛍光強度に変化が生じる特徴を有する蛍光分子を指す。前記の特徴を有する蛍光分子であれば、特に限定されないが、例えば、ダンシル、ベンゾフラザン等の蛍光分子を使用することができる。このような蛍光分子としては、好適には、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1つの環境応答型蛍光分子を使用することができる。
Figure 2023126188000025
Figure 2023126188000026
Figure 2023126188000027
Figure 2023126188000028
Figure 2023126188000029
本実施形態の化合物の別の態様においては、Mとして、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子を使用する。VDRのVD結合領域近傍にはトリプトファン残基があることが知られる。トリプトファン残基は、280nmの励起光を照射することで350nm付近の蛍光を発することが知られる。そのため、標識分子として励起波長が280nmに近い蛍光物質を使用すると、その検出時にトリプトファンの蛍光が干渉する可能性がある。本実施形態の化合物の標識分子として、トリプトファンの蛍光波長である350nm付近に励起波長を有する蛍光分子を用いた場合、前記化合物とVDRが結合すると、前記蛍光分子とVDRのトリプトファンが非常に近接した状態となる。ここに、280nmの光を照射すると、トリプトファンから350nm付近の蛍光が発生し、この傾向が前記蛍光分子の励起光となり、さらに高波長(例えば520nm)の蛍光が生じる(蛍光共鳴エネルギー移動(FRET))。高波長の蛍光を検出することにより、VDRに結合する前記化合物の量をより正確に測定することが可能である。なお、本明細書において「蛍光を発する」とは、照射光(励起光)よりも長波長側にて検出可能な蛍光ピークを生じることを指す。ここでいう「検出可能な蛍光ピーク」とは、例えば、ノイズに埋もれることなく、使用した測定機器、解析ソフトの使用でピークとして明確に認識可能なピークを指す。
このような蛍光分子は、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子であれば特に限定されないが、例えば、下記式(V)、(XIV)及び(XV)で表される化合物並びにこれらの誘導体が挙げられる。
Figure 2023126188000030
Figure 2023126188000031
Figure 2023126188000032
本実施形態の化合物は、VDR結合親和性を有することが好ましい。本明細書において「VDR結合親和性を有する」化合物とは、活性型ビタミンD(1α,25-ジヒドロキシビタミンD)のVDR結合力を100とした場合に、1以上の結合力を有する化合物を指す。本実施形態の化合物の、L、Mの部分を除く構造は、既知のVDR結合親和性を有する化合物、例えば、非特許文献1に記載のVDR結合親和性を有する化合物のうち、いずれかの化合物と同じ構造とすることができる。
本明細書において、「ビタミンD受容体(VDR)」とは、カルシトリオール受容体とも称される、核内受容体の1つを指す。より具体的には、配列番号1(GenBank:AB002168.2)で表されるアミノ酸配列又は配列番号1のアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、活性型ビタミンD(1α,25-ジヒドロキシビタミンD)との結合親和性を有するポリペプチドを指す。
本実施形態の化合物は、例えば、下記式(II)から(IV)のいずれかの構造を有することができる。
Figure 2023126188000033
(式中、Mは標識分子である)。
Figure 2023126188000034
(式中、Mは標識分子である)。
Figure 2023126188000035

(式中、Mは標識分子である)。
2.化合物の合成方法
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の化合物を合成する方法である。本実施形態の方法は、下記工程(a)~(d)を含むことを特徴とする。
(a)下記式(XI)で表される化合物を提供する工程:
Figure 2023126188000036
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である);
(b)上記式(XI)で表される化合物より、下記式(X)で表される化合物を取得する工程;
Figure 2023126188000037
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである);
(c)上記式(X)で表される化合物を下記式(XII)で表される化合物と反応させて下記式(XIII)で表される化合物を取得する工程;及び
Figure 2023126188000038
(式中、Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;R及びRは、それぞれ独立に炭素数2~8の飽和又は不飽和の炭化水素である)、
Figure 2023126188000039
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;Lはリンカーである)
(d)上記式(XIII)で表される化合物に標識分子を結合させ、脱保護を行い、上記式(I)で表される化合物を得る工程。
ビタミンD誘導体の誘導体を合成するためにビタミンDの環状構造に官能基を導入する場合、その立体構造や反応活性等の影響で、通常は、非特許文献1、特許文献1に示される通り、1位、2位に導入される。一方、11位の炭素は、官能基化を行うための足場となる水酸基等の官能基がなく化学的に不活性(安定)であることから、この位置の官能基化は1位、2位への官能基化と比較して困難であった。本発明者らは、A環及びCD環を備えたビタミンD骨格を有する化合物に直接官能基を導入するのではなく、A環とCD環とを別々に調製して、CD環の11位相当位置のC-H結合を活性化した後にリンカーを導入し、これをA環と結合させることで、第1の実施形態の化合物のように11位にリンカーが導入された化合物を合成した。本実施形態の方法における化合物の合成手順の例を図2及び図3に示す。
2-1 工程(a)
本実施形態の方法の工程(a)は、上記式(XI)で表される化合物を提供する工程である。式中のRは、上記式(I)のRと共通の構造を有してもよい。Rの保護基Pは、例えばトリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、テトラヒドロピィラニル基(THP)、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基本(EE)、ベンジルオキシメチル基(BOM)等とすることができる。上記式(XI)で表される化合物は、R. Bouillon et al., J. Biol. Chem., Vol. 267, No. 5, pp. 3044-3051(1992)に記載の方法で調製することができる。
2-2 工程(b)
本実施形態の方法の工程(b)は、上記式(XI)で表される化合物より、上記式(X)で表される化合物を取得する工程である。式(X)中のRは、上記式(XI)のRと共通の構造を有してもよい。また、リンカーLは、上記式Lと共通の構造を有してもよい。上記式(XI)で表される化合物より上記式(X)で表される化合物を取得する詳細な手順は、11位に相当する位置にリンカーを付加できれば特に限定されないが、例えば、図2(図2-1及び図2-2)に示す手順、すなわち、オレフィン構造を有する化合物1を開始物質として、化合物10を得る手順とすることができる。あるいは、図3に示す手順、すなわち、オレフィン構造を有する化合物1から中間化合物6を経て、化合物16を得る手順とすることができる。
図2に示す例では、まず、オレフィン化合物1に三臭化ピリジン及びトリエチルアミンを反応させ、オレフィンの不飽和結合に臭素(ハロゲン)が付加した化合物2を生成させる。化合物2にカリウムtert-ブトキシドを反応させてハロゲン付加部分をアセチレン基に変換し、化合物3を生成する。次いで、アセチレン基の末端に(1)ジアゾ酢酸エチル、(2)リチウムアルミニウムヒドリド、(3)トシルクロリドをこの順に付加・精製してトシル体6を得る。次いで、トシル基に(4)アジ化ナトリウムを付加して、アジド化合物7を得る。化合物7を脱保護・酸化してケトン化合物9を生成した後、1位の水酸基に保護基を付加して化合物10を得ることができる。
図3に示す例では、上記と同様に調製したトシル体6にシアン化ナトリウムを反応させ、トシル基をシアノ基に変換させて化合物13を得る。化合物13を脱保護、酸化してケトン体15を生成した後、1位の水酸基に保護基を付加して化合物16を得ることができる。
2-3 工程(c)
本実施形態の方法の工程(c)は、上記式(X)で表される化合物を上記式(XII)で表される化合物と反応させて上記式(XIII)で表される化合物を取得する工程である。上記式(XIII)で表される化合物において、R及びRは、それぞれ独立して、例えば、フェニル基又は炭素数2~8のアルキル基とすることができる。特に、R及びRをいずれもフェニル基とする、すなわち、R、R及びホスフィンオキシド基を合わせて、ジフェニルホスフィンオキシド基とすることが好ましい。上記式(XII)で表される化合物において、Rは、上記式(I)のRと共通の構造を有してもよい。R及びRにおいて、保護基Pは、例えば、トリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBS)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、テトラヒドロピィラニル基(THP)、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基本(EE)、ベンジルオキシメチル基(BOM)等とすることができる。
上記式(X)で表される化合物より上記式(XIII)を取得する詳細な手順は、リンカーを有するCD環構造にA環を付加できれば特に限定されないが、例えば、図2に示す手順、すなわち、図2中の化合物10に化合物11を反応させて、化合物12を得る手順とすることができる。あるいは、図3に示す手順、すなわち図3中の化合物16に化合物11を反応させて化合物17を得る手順とすることができる。
2-4 工程(d)
本実施形態の方法の工程(d)は、上記式(XIII)で表される化合物に標識分子を結合させて脱保護を行い、上記式(I)で表される化合物を得る工程である。ここで、結合させる標識分子(M)は、低分子化合物の検出に通常使用される標識分子であれば特に限定されず、蛍光分子、キレート、ビオチン、ジゴキシゲニン、核酸等のいずれも使用できる。本実施形態の方法において、Mは、環境応答型蛍光分子とすることが好ましく、さらに、上記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1つの環境応答型蛍光分子とすることがより好ましい。
3.中間化合物
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態の化合物の中間化合物であって、下記(X)で表される化合物である。
Figure 2023126188000040
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである)。
本実施形態の化合物は、第1の実施形態の化合物、具体的には上記式(I)で示される化合物を合成するために使用される。
4.対象化合物のVDR結合親和性評価方法
本発明の第4の実施形態は、対象化合物のVDRに対する結合親和性を評価する方法であって、下記工程(i)~(iii)を含む、ことを特徴とする。
(i)下記式(I)で表され、かつ、VDRに対する結合親和性を有する標識リガンドを提供する工程:
Figure 2023126188000041
(式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である);
(ii)VDR、前記標識リガンド、及び対象化合物を反応させる工程;
(iii)前記標識分子の所定のシグナルを定量する工程。
本実施形態の方法は、標識分子が付加されたVDR結合性化合物(標識リガンド)と対象化合物とをVDR存在下で競合的に反応させることで、前記標識リガンドに生じるシグナルの変化に基づいて対象化合物のVDR結合親和性を評価することができる。
対象化合物としては、VDR結合親和性を有すると予測される候補化合物であれば、いずれの化合物であってもよい。このような化合物は、例えば、ビタミンDと同じ環構造、すなわちA環及びCD環を備え、かつ、新規の修飾を加えた化合物とすることができる。
図4に本実施形態の方法の原理を示す。候補物質の不存在下では、標識リガンドはVDRと結合して複合体を形成する。ここに、一定量の対象化合物(図中では1α,25-ジヒドロキシビタミンD)を共存させると、対象化合物がVDR結合性を有していれば、対象化合物と前記標識リガンドが競合して、少なくとも一部の標識リガンドが複合体から遊離する。複合体と遊離化合物とで、結合する標識分子の発するシグナルが変化することから、標識リガンドの遊離に伴うシグナル変化を定量することで、対象化合物のVDR結合親和性を評価することが可能となる。
4.1 工程(i)
本実施形態の方法の工程(i)は、上記式(I)で表され、かつ、VDRに対する結合親和性を有する標識リガンドを提供する工程である。本実施形態の方法において、使用する標識リガンドのリンカー(L)は、炭素数2~10、特に炭素数3~6、さらに炭素数4~5の炭素鎖に相当する長さを有するリンカーであることが好ましい。Lの構造は、特に限定されないが、例えば、炭素数2~10の飽和又は不飽和の炭素鎖を有する構造とすることができる。炭素鎖の長さが上記範囲内であれば、前記炭素鎖はエーテル結合を有してもよく、また、分岐鎖を有してもよい。前記炭素鎖が不飽和結合を有する場合、例えば、1つ又は2つの二重結合及び/又は三重結合を有することができる。Lの構造は、例えば、左を標識分子側として、-C≡C-CH-CH-、-C≡C-C≡C-CH-、-C=C-CH-等の構造とすることができる。
本実施形態の方法において、使用する標識リガンドの標識分子(M)は、低分子化合物の検出に通常使用される標識分子であれば特に限定されず、蛍光分子、キレート、ビオチン、ジゴキシゲニン、核酸等のいずれも使用できるが、特に、環境応答型蛍光分子を好適に使用できる。
本実施形態の方法の好適な態様は、11位の炭素に、炭素数2~10、より好適には炭素数3~6、さらに好適には4~5の炭素鎖に相当する長さを有するリンカーを介して、標識リガンドとして環境応答型蛍光分子が結合した構造を有する化合物を使用する。以下、このような標識リガンドを「蛍光リガンド」とも称する。当該蛍光リガンドは、VDR結合時のVDR-蛍光分子間の距離に起因して、VDR結合時とVDR非結合時とで、蛍光分子周囲の極性に変化が生じる。そのため、蛍光リガンドがVDRから遊離する際に、その蛍光波長及び/又は蛍光強度に変化が生じる。その際の蛍光波長、蛍光強度の変化は、通常の分光蛍光光度計で容易に測定することが可能である。
蛍光リガンドにおいて、例えば、蛍光分子を11位ではなく2位の炭素に結合させた場合、VDR-蛍光分子間の距離が離れすぎているため、VDR結合時とVDR非結合時との極性変化は微小となり、遊離時の蛍光波長及び蛍光強度の変化はほとんど見られない。そのため、蛍光リガンドの遊離の程度を測定するためには、蛍光偏向度を測定するか、遊離した蛍光リガンドとVDRに残存する蛍光リガンドを分離して、いずれか又は両方の蛍光強度を測定する必要がある。
Mとしては、好適には、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1つの環境応答型蛍光分子を使用することができる。
Figure 2023126188000042
Figure 2023126188000043
Figure 2023126188000044
Figure 2023126188000045
Figure 2023126188000046
本実施形態において、「リガンド」とは、活性型ビタミンD(1α,25-ジヒドロキシビタミンD)のVDR結合力を100とした場合に、1以上の結合力を有する化合物を指す。本実施形態における標識リガンドの、L、Mの部分を除く構造は、既知のVDR結合親和性を有する化合物、例えば、非特許文献1に記載のVDR結合親和性を有する化合物のうち、いずれかの化合物と同じ構造をとることができる。
標識リガンドは、例えば、下記式(II)又は(III)の構造を有する化合物とすることができる。
Figure 2023126188000047
(式中、Mは標識分子である)。
Figure 2023126188000048
(式中、Mは標識分子である)。
本実施形態の方法で使用される標識リガンドは、「2.化合物の合成方法」の項に記載の方法で合成することができる。また、本実施形態の方法で使用される標識リガンドは、「3.中間化合物」の項に記載の化合物を中間物質として合成することができる。
本実施形態で使用される標識リガンドのその他の特徴は、特に矛盾のない限り、「1.化合物」の項に記載の特徴と同様である。
4.2 工程(ii)
本実施形態の方法の工程(ii)は、VDR、前記標識リガンド、及び対象化合物を反応させる工程である。工程(ii)において使用するVDRは、生体試料から精製したポリペプチドであってもよく、また、公知の方法で調製されたリコンビナントポリペプチドであってもよい。市販のリコンビナントVDR、例えば、Thermo Fisher Vitamin D3 Receptor Recombinant Human Protein (製品番号 A15670)等を使用してもよい。
工程(ii)は、例えば、VDRと標識リガンドとが複合体を形成して存在する系に、VDR結合性を有すると予測される対象化合物を添加する工程とすることができる。図4に示すように、前記複合体に対象化合物(図中では1α,25-ジヒドロキシビタミンD)を添加することで、対象化合物とVDRとで複合体を生じさせ、標識リガンド(図中では蛍光リガンド)を遊離させることができる。対象化合物のVDR結合親和性が高いほど、遊離する蛍光リガンドの量が多くなる。
工程(ii)において、VDR、標識リガンド及び対象化合物の反応は、特に限定されないが、バッファー(緩衝液)中で行うことが好ましい。使用するバッファーとしては、Tris、リン酸、HEPES、TAPS、CHES等の緩衝剤、EDTA等のキレート剤、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の塩類を含むものをいずれも使用できる。使用するバッファーのpHは、特に限定されないが、pH6~11、特にpH7~10とすることが好ましい。反応をバッファーを使用する場合、VDRの濃度は、特に限定されないが、例えば、10~200nM、特に50~100nMとすることができる。また、標識リガンドの濃度は、特に限定されないが、例えば、100~1000nM、特に200~600nMとすることができる。
4.3 工程(iii)
本実施形態の方法の工程(iii)は、前記標識分子の所定のシグナルを定量する工程である。図4に示すように、工程(ii)において、VDR-標識リガンドの複合体に対象化合物(図中では1α,25-ジヒドロキシビタミンD)の一定量を添加すると、対象化合物のVDR結合親和性の高さに応じて前記複合体から標識リガンドが遊離し、標識分子の発するシグナルに変化が生じる。この変化したシグナルを定量することで、添加した化合物のVDR結合親和性を評価することが可能である。本実施形態における「所定のシグナル」とは、標識リガンドの遊離に伴い生じるシグナルを指す。具体的に定量の対象となるシグナルは、その標識リガンドにおける標識分子の種類や炭素骨格の構造等によって異なる。
上記の通り、標識分子として環境応答型蛍光分子を使用した場合、標識リガンド(蛍光リガンド)の遊離により変化した蛍光波長及び/又は蛍光強度を測定することにより、対象化合物をVDR結合親和性を評価することが可能である。例えば、標識分子として上記式(V)で表されるダンシルを使用した場合、蛍光リガンドの遊離により、342nmの励起光照射時の蛍光波長は約480nmから約510nmに変化し、更に全体の蛍光強度が低下する。そのため、極大蛍光波長の変化の度合い、及び/又は約510nmの蛍光強度を測定することで、対象化合物のVDR結合親和性を評価することができる。また、例えば、標識分子として上記式(VI)で表されるニトロベンゾフラザンを使用した場合、蛍光リガンドの遊離により、487nmの励起光照射時の551nmの蛍光強度は低くなる。そのため、反応後の551nmの蛍光強度を測定することで、対象化合物のVDR結合親和性を評価することができる。
標識分子として環境応答型蛍光分子以外を使用する場合は、遊離した標識リガンドを複合体から溶媒抽出、カラム分離、抗体結合等の公知の手段により分離して、分離後の遊離した標識リガンド、又は複合体に残留した標識リガンドを定量することにより、対象化合物のVDR結合親和性を評価することが可能である。あるいは、環境応答型でない蛍光分子を標識分子として使用する場合は、対象化合物を添加した後の遊離した標識リガンドを蛍光偏向度の測定により定量し、対象化合物のVDR結合親和性を評価してもよい。
5.スクリーニング方法
本発明の第5の実施形態は、各候補化合物を対象化合物として「4.対象化合物のVDR結合親和性評価方法」に記載の方法でVDR結合親和性を評価して、高いVDR結合親和性を有する化合物を選定することを含む、複数の候補化合物群からVDR結合親和性を有する化合物をスクリーニングする方法である。
本実施形態において、候補化合物は、VDR結合親和性を有すると予測される候補化合物であれば、いずれの化合物であってもよい。このような化合物は、例えば、ビタミンDと同じ環構造、すなわちA環及びCD環を備え、かつ、新規の修飾を加えた化合物とすることができる。
6.キット
本発明の第6の実施形態は、「1.化合物」の項に記載の化合物、及びビタミンD受容体(VDR)を含む、対象化合物のVDR結合親和性を評価するためのキットである。本実施形態のキットは、「4.対象化合物のVDR結合親和性評価方法」の項に記載の方法に使用することができる。また、本実施形態のキットは、「5.スクリーニング方法」の項に記載の方法に使用することができる。
本実施形態のキットは、上記式(I)で表される化合物であって、VDR結合親和性を有する化合物、すなわち標識リガンドを含む。また、本実施形態のキットは、VDRを含む。VDRとしては、生体試料から精製したVDRポリペプチド、公知の方法で調製されたリコンビナントVDRポリペプチド及び市販のVDRポリペプチドのいずれを使用してもよい。
本実施形態のキットは、VDR結合親和性の評価対象となる対象化合物を希釈するための溶媒及び/又は緩衝液を備えていてもよい。また、対象化合物と、標識リガンド及びVDRとを反応させるための容器を備えていてもよい。容器の材質、形状は特に限定されず、マイクロウェルプレート、キュベット、石英セル等をいずれも使用できるが、標識分子として蛍光標識を使用する場合は、遮光性のマイクロウェルプレート等を好適に使用できる。
本実施形態のキットは、さらに、キットの使用方法等を記載した説明書を備えていてもよい。
[実施例1]アセチニルアジドビタミンD誘導体の合成
アセチニルアジドビタミンD誘導体12の合成手順は、図2に示す通りである。以下、各合成手順を説明する。
(1-1)(((1R,3aR,4S,7aR)-6-(1,2-ジブロモエチル)-7a-メチル-1-(R)-6-メチル-6((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタヒドロ-1H-インデン-4-イル)オキシ)トリエチルシラン(2)の合成
オレフィン1は、R. Bouillon et al., J. Biol. Chem., Vol. 267, No. 5, pp. 3044-3051(1992)に記載の方法に準じて調製した。アルゴン雰囲気下、オレフィン1(117mg,0.22mmol)をジクロロメタン(CHCl、1mL)に溶解し、トリエチルアミン(EtN、36μL)、三臭化ピリジン(pyHBr・Br、84mg)を0℃で加え、30分攪拌した。室温に戻し、トリエチルアミン(36μL)、再び0℃で三臭化ピリジン(84mg)を加えた。反応液にトリエチルアミン(72μL)、チオ硫酸ナトリウムを加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、ジブロモ体2(141mg,収率93%)を黄色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.26-4.23 (m, 1H), 4.13-4.09 (m, 1H), 3.86-3.69 (m, 2H), 2.63-2.54 (m, 1H), 1.94-1.80 (m, 2H), 1.69-1.52 (m, 3H), 1.41-1.06 (m, 16H), 1.00-0.90 (m, 24H), 0.61-0.46 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C32H64Br2O2Si2Na 719.26888, found 719.26995.
(1-2)トリエチル(((1R,3aR,4S,7aR)-6-エチニル-7a-メチル-1-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタヒドロ-1H-インデン-4-イル)オキシ)シラン(3)の合成
アルゴン雰囲気下、ジブロモ体2(141mg、0.20mmol)をTHF(2.0mL)に溶解し、カリウム-tert-ブトキシド(t-BuOK、113mg、0.01mmol)を加え、80℃で5分攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、アセチニル3(74mg、収率78%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.05 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 2.90 (td, J = 12.4, 2.7 Hz, 1H), 2.26 (dd, J = 12.6, 2.5 Hz, 1H), 2.01-1.95 (m, 1H), 1.88-1.79 (m, 1H), 1.61-1.48 (m, 1H), 1.41-1.22 (m, 4H), 1.19 (s, 6H), 1.03-0.91 (m, 24H), 0.61-0.53 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C16H21D3O6SNa 370.1380, found 370.1413.
(1-3)エチル-4-((3R,3aR,5R,7S,7aR)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタ-2-イル)-7-((トリエチルシリル)オキシ)オクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ブト-3-イノエート(4)の合成
アルゴン雰囲気下、アセチニル3(73.8mg,0.16mmol)をアセトニトリル(MeCN、0.31mL)に溶解し、室温でヨウ化銅(CuI、6.0mg,0.03mmol)、ジアゾ酢酸エチル(25μL,0.24mmol)を加え、室温で一日攪拌した。溶媒留去したのちに、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、エステル4(75mg,収率76%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.28-4.14 (m, 3H), 4.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 3.25-3.21 (m, 2H), 2.90 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.23 (dd, J = 12.4, 2.7 Hz, 1H), 2.00-1.92 (m, 1H), 1.86-1.77 (m, 1H), 1.61-1.04 (m, 22H), 1.02-0.82 (m, 24H), 0.55 (qd, J = 7.9, 1.5 Hz, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C36H68O3Si2Na 643.45538, found 643.45886.
(1-4)4-((3R,3aR,5R,7S,7aR)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)-7-((トリエチルシリル)オキシ)オクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ブト-3-イル-l-オール(5)の合成
アルゴン雰囲気下、エステル4(75mg,0.12mmol)をTHF(0.12mL)に溶解し、リチウムアルミニウムヒドリド(LiAlH、13mg,0.36mmol)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。反応液にロッシェル塩(1mL)を加え、0℃で30分攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1)にて精製し、アルコール5(50mg,収率68%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.02 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 3.69-3.64 (m, 2H), 2.86 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.44 (td, J = 6.2, 2.0 Hz, 2H), 2.20 (dd, J = 12.4, 2.3 Hz, 1H), 1.93-1.02 (m, 23H), 0.98-0.90 (m, 24H), 0.60-0.52 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C14H23D3O3SiNa 296.1737, found 296.1732.
(1-5)4-((3R,3aR,5R,7S,7aR)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)-7-((トリエチルシリル)オキシ)オクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ブト-3-イン-l-イル-4-メチルベンゼンスルホネート(6)の合成
アルゴン雰囲気下、アルコール5(27mg,0.46mmol)をジクロロメタン(0.46mL)に溶解し,トリエチルアミン(45μL,0.32mmol)、トシルクロリド(p-TsCl、35mg,0.18mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.6mg,0.005mmol)を加え、室温で7時間攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、トシル体6(29mg,収率87%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 7.80 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 4.06 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 4.01 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 2.78 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.55-2.49 (m, 2H), 2.45 (s, 3H), 2.13 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 1.86-1.77 (m, 2H), 1.58-1.47 (m, 2H), 1.40-1.21 (m, 11H), 1.18 (s, 6H), 0.96-0.78 (m, 24H), 0.55 (qd, J = 7.9, 2.1 Hz, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C41H72O5S1Si2Na 755.45111, found 755.45367.
(1-6)(((1R,3aR,4S,6R,7aR)-6-(4-アジドブト-1-イン-1-イル)-7a-メチル-1-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタヒドロ-1H-インデン-4-イル)オキシ)トリエチルシラン(7)の合成
アルゴン雰囲気下、トシル体6(75mg,0.10mmol)をDMF(0.13mL)に溶解し、室温アジ化ナトリウム(NaN、20mg,0.308mmol)を加え、70℃で20時間攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、アジド7(59.5mg,収率93%)を黄色液体として得た。
1H-NMR (301 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.03 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.86 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 2.48 (td, J = 6.9, 2.1 Hz, 2H), 2.23-2.19 (m, 1H), 1.94-1.76 (m, 2H), 1.59-1.16 (m, 18H), 0.98-0.90 (m, 24H), 0.60-0.52 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C34H65N3O2Si2Na 626.45155, found 626.45130.
(1-7)(1R,3aR,4S,6R,7aR)-6-(4-アジドブト-1-イン-1-イル)-1-((R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル)-7a-メチルオクタヒドロ-1H-インデン-4-オール(8)の合成
アルゴン雰囲気下、アジド7(57mg,0.1mmol)をTHF(4.7mL)に溶解し,フッ化水素・トリエチルアミン錯体(HF・EtN、0.6mL)を加え、室温で三日攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、ジオール8(36mg,収率95%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.10-4.07 (m, 1H), 3.34-3.29 (m, 2H), 2.87 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.47-2.40 (m, 2H), 2.25-2.17 (m, 1H), 2.04 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 1.91-1.82 (m, 1H), 1.57-1.23 (m, 15H), 1.20 (d, J = 4.6 Hz, 6H), 1.13-0.96 (m, 1H), 0.92 (t, J = 3.2 Hz, 6H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C22H37N3O2Na 398.27986, found 398.27835.
(1-8)(1R,3aR,6R,7aR)-6-(4-アジドブト-1-イン-1-イル)-1- ((R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル)-7a-メチルオクタヒドロ-4H-インデン-4-オン(9)の合成
アルゴン雰囲気下、ジオール8(34mg,0.09mmol)をジクロロメタン(1.8mL)に溶解し、モレキュラーシーブス(45mg)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO、23mg,0.198mmol)を0℃で加え、20分攪拌した。室温でテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(MS4A、1.3mg,0.004mmol)を室温で加え、3時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、ケトン9(30mg,収率78%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 3.35-3.25 (m, 2H), 2.98-2.83 (m, 1H), 2.53-2.21 (m, 5H), 2.04 (dd, J = 10.8, 4.4 Hz, 1H), 1.95-1.77 (m, 1H), 1.74-1.63 (m, 1H), 1.55-1.23 (m, 7H), 1.18 (d, J = 16.0 Hz, 4H), 0.98 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 0.91 (t, J = 3.2 Hz, 1H), 0.61 (s, 2H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C22H35N3O2Na 396.26229, found 396.26270.
(1-9)(1R,3aR,6R,7aR)-6-(4-アジドブト-1-イン-1-イル)-7a-メチル-1-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタヒドロ-4H-インデン-4-オン(10)の合成
アルゴン雰囲気下、ケトン9(19.9mg,0.05mmol)を脱水ジクロロメタン(0.26mL)に溶解し、氷冷下、2.6-ルチジン(2,6-lutidine、49.3μL,0.43mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル(TESOTf、48.1μL,0.21mmol)を滴下し、4時間攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製し、シリル保護体10(12mg,収率49%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 3.34 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 2.98-2.92 (m, 1H), 2.61 (s, 1H), 2.55-2.22 (m, 6H), 1.96-1.87 (m, 1H), 1.77-1.22 (m, 11H), 1.18 (s, 6H), 0.99-0.91 (m, 12H), 0.62-0.50 (m, 9H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C13H20D3NOSiNa 263.1635, found 263.1632
(1-10)(((1R,3S,Z)-5-(2-((1R,3aS,6S,7aR,E)-6-(4-アジドブト-1-イン-1-イル)-7a-メチル-1-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタヒドロ-4H-インデン-4-イリデン)エチリデン)-4-メチレンシクロヘキサン-1,3-ジニル)ビス(オキシ))ビス(tert-ブチルジメチルシラン)(12)の合成
アルゴン雰囲気下、A環部11(55mg,0.095mmol)を脱水THF(0.19mL)に溶解し、-78℃でn-ブチルリチウム(n-BuLi、2.6Mヘキサン溶液)(33.6μL,0.09mmol)を加え、20分攪拌した。シリル保護体10(9.3mg,0.019mmol)のTHF溶液(0.15ml)を滴下し、-78℃で3時間攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、アセチニルアジドビタミンD誘導体12(12mg,収率78%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 6.23 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.22-5.17 (m, 1H), 4.89-4.84 (m, 1H), 4.37 (q, J = 3.4 Hz, 1H), 4.21-4.17 (m, 1H), 3.36 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.05 (dd, J = 13.5, 3.9 Hz, 1H), 2.58-2.43 (m, 4H), 2.27-2.17 (m, 2H), 1.99-1.74 (m, 5H), 1.58 (s, 3H), 1.48-1.25 (m, 9H), 1.15 (d, J = 25.6 Hz, 6H), 1.02-0.91 (m, 10H), 0.89-0.78 (m, 16H), 0.59-0.52 (m, 10H), 0.10-0.05 (m, 15H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C49H89N3O3Si3Na 874.61094, found 874.60868
[実施例2]アセチニルニトリルビタミンD誘導体の合成
アセチニルニトリルビタミンD誘導体17の合成手順を図3に示す。以下、各合成手順を説明する。
(2-1)5-((3R,3aR,5R,7S,7aR)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)-7-((トリエチルシリル)オキシ)オクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ペント-4-インニトリル(13)の合成
アルゴン雰囲気下、アルキン6(33.3mg,0.07mmol)をジメチルスルホキシド(1.4mL)に溶解し、シアン化ナトリウム(NaCN、17.2mg,0.35mmol)を加え、70℃で30分攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=200/1)にて精製し、ニトリル13(0.57g,収率72%)を無色液体として得た。
1H-NMR (301 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.08-4.02 (m, 1H), 2.85 (s, 1H), 2.53 (s, 4H), 2.20-2.16 (m, 1H), 1.88 (t, J = 13.9 Hz, 1H), 1.62 (d, J = 32.0 Hz, 4H), 1.44-1.07 (m, 16H), 1.04-0.90 (m, 24H), 0.56 (q, J = 7.8 Hz, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C12H19D3O2SiNa 252.1475, found 252.1503.
(2-2)5-((3R,3aR,5R,7S,7aR)-7-ヒドロキシ-3-((R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル)-3a-メチルオクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ペント-4-インニトリル(14)の合成
アルゴン雰囲気下、ニトリル13(13mg,0.2mmol)をTHF(1.1mL)に溶解し,フッ化水素・トリエチルアミン錯体(0.2mL)を加え、室温で三日攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、ジオール14(7.2mg,収率95%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 4.12-4.03 (m, 1H), 2.87 (t, J = 12.4 Hz, 1H), 2.54 (d, J = 16.5 Hz, 4H), 2.24-2.16 (m, 1H), 2.04 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 1.92-1.82 (m, 1H), 1.57-1.16 (m, 19H), 1.13-0.97 (m, 1H), 0.92 (t, J = 3.2 Hz, 6H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C23H37N1O2Na 382.27503, found 382.27220.
(2-3)5-((3R,3aR,5R,5R,7aR)-3-((R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル)-3a-メチル-7-オクソオクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ペント-4-イネンニトリル(18)の合成
アルゴン雰囲気下、ジオール14(7.2mg,0.02mmol)をジクロロメタン(0.4mL)に溶解し、モレキュラーシーブス(10mg)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(5.2mg,0.044mmol)を0℃で加え、20分攪拌した。室温でテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(0.3mg,0.001mmol)、を室温で加え、3時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、ケトン15(6.4mg,収率85%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 2.97-2.91 (m, 1H), 2.53-2.26 (m, 9H), 1.96-1.86 (m, 1H), 1.74-1.64 (m, 2H), 1.56-1.31 (m, 8H), 1.28-1.21 (m, 7H), 1.10-1.03 (m, 1H), 0.98 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 0.64 (d, J = 17.4 Hz, 3H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C23H35N1O2Na 380.25655, found 380.25926.
(2-4)5-((3R,3aR,5R,5R,7aR)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)-7-オクソオクタヒドロ-1H-インデン-5-イル)ペント-4-インニトリル(16)の合成
アルゴン雰囲気下、ケトン15(14mg,0.04mmol)を脱水ジクロロメタン(0.19mL)に溶解し,氷冷下、2.6ルチジン(117μL,0.62mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル(70.7μL,0.31mmol)を滴下し、3時間攪拌した。反応液に蒸留水(1mL)加え、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製し、シリル保護体16(12mg,収率69%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 2.98-2.92 (m, 1H), 2.54-2.22 (m, 9H), 1.97-1.87 (m, 1H), 1.75-1.22 (m, 9H), 1.18 (s, 6H), 0.98-0.88 (m, 14H), 0.62 (s, 3H), 0.59-0.48 (m, 6H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C29H49NO2SiNa 494.34302, found 494.33811.
(2-5)5-((3R,3aR,5S,7aS,E)-7-((Z)-2-((3S,5R)-3,5,-ビス((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-メチレンシクロヘキシルインデン)エチリデン)-3a-メチル-3-((R)-6-メチル-6-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタン-2-イル)オクタンヒドロ-1H-インデン-5-イル)ペント-4-イネンニトリル(17)の合成
アルゴン雰囲気下、A環部11(10g,0.022mmol)を脱水THF(0.22mL)に溶解し、-78℃でnブチルリチウム(2.6M ヘキサン溶液)(19.4μL,0.05mmol)を加え、20分攪拌した。シリル保護体19(32.8mg,0.056mmol)のTHF溶液(0.15ml)を滴下し、-78℃で3時間攪拌した。反応液に蒸留水(0.5mL)加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/1)にて精製し、アセチニルアジドビタミンD誘導体17(10.1mg,収率78%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 6.23 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.18 (s, 1H), 4.84 (s, 1H), 4.37 (s, 1H), 4.19 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 3.04 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.55 (s, 4H), 2.46 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 2.25-2.20 (m, 2H), 2.04-1.68 (m, 5H), 1.57 (s, 6H), 1.48-1.25 (m, 6H), 1.18 (s, 6H), 1.02-0.79 (m, 12H), 0.59-0.50 (m, 9H), 0.07-0.05 (m, 18H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C50H89NO3Si3Na 858.60479, found 858.60652.
[実施例3]アセチアジドビタミンD誘導体のダンシル標識体19及びアセチルニトリルビタミンD誘導体のダンシル標識体21の合成
(3-1)化合物12へのダンシルの付加
Figure 2023126188000049
アルゴン雰囲気下、アセチルアジドビタミンD 12(5.0mg,0.006mmol)をTHF(58μL)、蒸留水(4μL)に溶解し,トリメチルホスフィン(1.0M THF溶液)(30μL,0.029mmol)を加え、1時間攪拌し、溶媒留去した。残渣をジクロロメタン(11μL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(1μL,0.007mmol)、ダンシルクロリド(1.7mg,0.006mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液に蒸留水(0.2ml)を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30/1)精製し、ダンシル標識体18(5.1mg,収率83%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.56 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.31-8.26 (m, 2H), 7.60-7.52 (m, 2H), 7.18 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.22 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.19 (s, 1H), 4.95 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 4.86 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.37 (t, J = 3.4 Hz, 1H), 4.20-4.17 (m, 1H), 3.04-2.98 (m, 2H), 2.89-2.83 (m, 6H), 2.49-1.10 (m, 42H), 0.94 (t, J = 7.8 Hz, 12H), 0.88-0.83 (m, 18H), 0.59-0.50 (m, 9H)
(3-2)化合物18の脱保護
Figure 2023126188000050
アルゴン雰囲気下、化合物18(5.1mg,0.005mmol)をメタノール(0.16mL)に溶解し、0℃でp-トルエンスルホン酸(3.2mg,0.017mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム(1ml)を加え、クロロホルムで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、アセチルアジドビタミンDのダンシル標識体19(1.8mg,収率52%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.50-8.60 (1H), 8.27 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.58-7.54 (m, 2H), 6.30-6.37 (1H), 5.96-6.07 (1H), 5.34 (s, 1H), 4.99 (s, 1H), 4.35-4.49 (1H), 4.17-4.31 (1H), 3.02 (s, 2H), 2.89 (s, 6H), 2.55-2.65 (1H), 2.29-1.22 (m, 34H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C43H60N2O5SNa 739.41206, found 739.41090.
(3-3)化合物17へのダンシルの付加
Figure 2023126188000051
アルゴン雰囲気下、アセチルニトリルビタミンD 17(2.4mg,0.003mmol)をジエチルエーテル(0.1mL)に溶解し、0℃で水素化アルミニウムリチウム(0.32mg,0.008mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に硫酸ナトリウム10水和物(1mg)加え、綿栓ろ過した。残渣をジクロロメタン(50μL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(4.7μL,0.036mmol)、ダンシルクロリド(8.3mg,0.031mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液に蒸留水(0.2ml)を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)精製し、ダンシル標識体20(5.1mg,収率83%)を無色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.87-5.76 (m, 1H), 5.20-5.02 (m, 2H), 4.23-4.19 (m, 1H), 1.97 (s, 1H), 1.91-1.78 (m, 1H), 1.65 (dd, J = 13.8, 4.8 Hz, 1H), 0.89 (s, 18H), 0.09-0.04 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C20H37D3O3Si2Na 394.2653, found 394.2677.
(3-4)化合物28の脱保護
Figure 2023126188000052
アルゴン雰囲気下、20(5.1mg,0.005mmol)をメタノール(0.16 mL)に溶解し、0℃でp-トルエンスルホン酸(3.2mg,0.017mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム(1ml)を加え、クロロホルムで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、アセチルアジドビタミンDのダンシル標識体21(1.8mg,収率52%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.54 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.28 (q, J = 7.9 Hz, 2H), 7.59-7.51 (m, 2H), 7.19 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.02 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.32 (s, 1H), 4.98 (s, 1H), 4.91 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.44 (s, 1H), 4.22 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 3.65 (s, 2H), 3.49 (s, 2H), 3.06-2.96 (m, 3H), 2.89 (s, 6H), 2.61-1.21 (m, 30H), 0.95 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.53 (d, J = 8.2 Hz, 3H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C20H37D3O3Si2Na 394.2653, found 394.2677.
[実施例4]アセチアジドビタミンD誘導体23及びアセチルニトリルビタミンD誘導体のニトロベンゾフラザン(NBD)標識体25の合成
(4-1)化合物12へのNBDの付加
Figure 2023126188000053
アルゴン雰囲気下、アセチルアジドビタミンD 12(5.0mg,0.006mmol)をTHF(58μL)、蒸留水(4μL)に溶解し,トリメチルホスフィン(1.0M THF溶液)(30μL,0.029mmol)を加え、1時間攪拌し、溶媒留去した。残渣をジクロロメタン(11μL)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(1μL,0.007mmol)、4-フルオロ-7-ニトロベンゾフラザン(1.7mg,0.006mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液に蒸留水(0.2ml)を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30/1)精製し、NBD標識体22(5.1mg,収率83%)を無色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.92-5.82 (m, 1H), 5.30-5.24 (m, 1H), 5.10 (qt, J = 5.0, 1.4 Hz, 1H), 4.42-4.38 (m, 1H), 4.33-4.28 (m, 0H), 1.99 (s, 1H), 1.93-1.73 (m, 2H), 0.90 (s, 9H), 0.11 (s, 6H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C14H23D3O2SiNa 280.1788, found 280.1804.
(4-2)化合物22の脱保護
Figure 2023126188000054
アルゴン雰囲気下、22(5.1mg,0.005mmol)をメタノール(0.16mL)に溶解し、0℃でp-トルエンスルホン酸(3.2mg,0.017mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム(1ml)を加え、クロロホルムで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、アセチルアジドビタミンDのNBD標識体23(1.8mg,収率52%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.51 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 4.98 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.26 (s, 1H), 3.72 (d, J = 6.9 Hz, 0H), 3.64 (s, 4H), 3.13 (s, 2H), 3.05-3.01 (m, 1H), 2.70 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.59 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 2.34 (t, J = 6.9 Hz, 0H), 2.26-2.17 (m, 1H), 2.04-1.91 (m, 2H), 1.79-1.67 (m, 6H), 1.46-1.34 (m, 6H), 1.26 (d, J = 11.0 Hz, 2H), 1.22 (s, 4H), 1.13 (s, 1H), 0.94 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.88-0.84 (m, 2H), 0.54 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 0.07 (s, 1H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C37H50N4O6Na 669.3628, found 669.3666.
(4-3)化合物17へのNBDの付加
Figure 2023126188000055
アルゴン雰囲気下、アセチルニトリルビタミンD 17(11.2mg,0.013mmol)をジエチルエーテル(0.1mL)に溶解し、0℃で水素化アルミニウムリチウム(1.5mg,0.040mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に硫酸ナトリウム10水和物(1mg)加え、綿栓ろ過した。残渣をアセトニトリル(0.1ml)に溶解し、0 °Cでトリエチルアミン(10.9μL,0.078mmol)、4-フルオロ-7-ニトロベンゾフラザン(7.1mg,0.039mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液に蒸留水(0.2ml)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)精製し、NBD標識体24(5.2mg,収率40%)を無色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.87-5.76 (m, 1H), 5.20-5.02 (m, 2H), 4.23-4.19 (m, 1H), 1.97 (s, 1H), 1.91-1.78 (m, 1H), 1.65 (dd, J = 13.8, 4.8 Hz, 1H), 0.89 (s, 18H), 0.09-0.04 (m, 12H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C20H37D3O3Si2Na 394.2653, found 394.2677.
(4-4)化合物24の脱保護
Figure 2023126188000056
アルゴン雰囲気下、化合物24(5.1mg,0.005mmol)をメタノール(0.16mL)に溶解し、0℃でp-トルエンスルホン酸(3.2mg,0.017mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム(1ml)を加え、クロロホルムで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、アセチルアジドビタミンDのNBD標識体25(1.8mg,収率52%)を無色液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.51 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.34 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 6.24 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.06 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.33 (s, 1H), 4.99 (s, 1H), 4.45 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 4.26 (s, 1H), 3.68 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.07 (dd, J = 13.7, 4.1 Hz, 1H), 2.59 (d, J = 13.3 Hz, 2H), 2.44 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 2.34-2.25 (m, 2H), 2.09-1.89 (m, 6H), 1.83-1.04 (m, 19H), 0.94 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 0.55 (d, J = 16.9 Hz, 3H)
HRMS (ESI, M+Na) calcd. for C20H37D3O3Si2Na 394.2653, found 394.2677.
[実施例5]蛍光リガンドに対するVDRの用量反応曲線
(5-1)化合物19に対する反応試験
10μMのリコンビナントヒトVDR(Thermo Fisher Vitamin D3 Receptor Recombinant Human Protein (製品番号 A15670))に対し、2%DTTを含む反応バッファー(50mM Tris・HCl、500mM KCl、1mM EDTA、pH9.5)を加え、0~2000nMの所定の濃度のVDR溶液を調製した。2000nMの蛍光リガンド(化合物19)30μLに反応バッファー270μLを加えて蛍光リガンド溶液と調製した。各VDR溶液、蛍光リガンド溶液を15μLずつ384ウェルマイクロプレート(781209、グライナー社)に分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長342nmでの蛍光スペクトルを、SPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダー(テカン社)を用いて測定した。
図5に測定結果を示す。VDRと結合する蛍光リガンドの増加に伴い、最大発光波長が低波長側にシフトし、全体の蛍光強度が増大することが確認された。
(5-2)化合物23に対する反応試験
10μMのリコンビナントヒトVDRに対し、2%DTTを含む反応バッファーを加え、0~200nMの所定の濃度のVDR溶液を調製した。4000nMの蛍光リガンド(化合物23)30μLに反応バッファー270μLを加えて蛍光リガンド溶液を調製した。各VDR溶液、蛍光リガンド溶液を15μLずつ384ウェルマイクロプレートに分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長487nmでの蛍光スペクトルを、SPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
図6に測定結果を示す。VDRと結合する蛍光リガンドの増加に伴い、全体の蛍光強度が増大することが確認された。
[実施例6]蛍光リガンド及びビタミンD受容体に対する1α,25-ジヒドロキシビタミンDの用量反応曲線
(6-1)化合物19に対する反応試験
10mMの1α,25-ジヒドロキシビタミンD(MERCIAN CORPORATION)に対し、DMSOを加えて所定の濃度とし、さらに2% DTTを含む反応バッファーを加え、DMSO終濃度を5%とした(1α,25-ジヒドロキシビタミンD濃度を0.0001~250000nMとした)。4000nMの蛍光リガンド(化合物19)40μLと1500nMのヒトVDR 3μL、反応バッファー156μLを加えた。VDR・蛍光リガンド溶液と1α,25-ジヒドロキシビタミンD溶液をそれぞれ10μLずつ384ウェルマイクロプレートに分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長350nmでの蛍光スペクトルをSPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
図7に測定結果を示す。添加する1α,25-ジヒドロキシビタミンD量を増加させることで蛍光強度が減少することが確認された。これにより、1α,25-ジヒドロキシビタミンDの添加により、VDRと結合する蛍光リガンド量の減少、すなわち蛍光リガンドの遊離が生じることが確認された。
(6-2)化合物23に対する反応試験
10mMの1α,25-ジヒドロキシビタミンDに対し、DMSOを加えて所定の濃度とし、さらに2% DTTを含む反応バッファーを加え、DMSO終濃度を5%とした(1α,25-ジヒドロキシビタミンD 0.02~6.6nMとした)。4000nMの蛍光リガンド(化合物19)5μLと1nMのヒトVDR(Thermo Fischer)3μL、反応バッファー92μLを加えた。VDR・蛍光リガンド溶液と1α,25-ジヒドロキシビタミンD溶液をそれぞれ10μLずつ384ウェルマイクロプレートに分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長470nmでの蛍光スペクトルをSPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
図8に測定結果を示す。添加する1α,25-ジヒドロキシビタミンD量を増加させることで蛍光強度が減少することが確認された。これにより、1α,25-ジヒドロキシビタミンDの添加により、VDRと結合する蛍光リガンド量の減少、すなわち蛍光リガンドの遊離が生じることが確認された。
[実施例7]VDRと化合物19とのFRET試験
(7-1)VDR量による化合物19の蛍光スペクトルの変化
10μMのリコンビナントヒトVDR(Thermo Fisher Vitamin D3 Receptor Recombinant Human Protein (製品番号 A15670))に対し、2%DTTを含む反応バッファー(50mM Tris・HCl、500mM KCl、1mM EDTA、pH9.5)を加え、0~4000nMの所定の濃度のVDR溶液を調製した。2000nMの蛍光リガンド(化合物19)30μLに反応バッファー270μLを加えて蛍光リガンド溶液と調製した。各VDR溶液、蛍光リガンド溶液を15μLずつ384ウェルマイクロプレート(781209、グライナー社)に分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長280nmでの蛍光スペクトルを、SPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダー(テカン社)を用いて測定した。
図9に測定結果を示す。トリプトファンの励起波長である280nmの光照射で、VDR濃度依存的にダンシルの蛍光波長に相当する520nm付近の蛍光強度が上昇していることが確認され、これによりFRETが生じていることが確認できた。ダンシルの蛍光は疎水性環境下で低波長側にシフトすることが知られるが、図9においてダンシルの極大蛍光波長がVDR濃度依存的に低波長側にシフトしていることから、ダンシルがVDR近傍に局在していることが示唆された。
(7-2)1α,25-ジヒドロキシビタミンD添加による競合試験
10mMの1α,25-ジヒドロキシビタミンD(MERCIAN CORPORATION)に対し、DMSOを加えて所定の濃度とし、さらに2% DTTを含む反応バッファーを加え、DMSO終濃度を5%とした(1α,25-ジヒドロキシビタミンD濃度を0.0001~250000nMとした)。4000nMの蛍光リガンド(化合物19)40μLと1500nMのヒトVDR 3μL、反応バッファー156μLを加えた。VDR・蛍光リガンド溶液と1α,25-ジヒドロキシビタミンD溶液をそれぞれ10μLずつ384ウェルマイクロプレートに分注混合した。マイクロウェルプレートを室温暗所にて140分間静置し、各ウェルの励起波長280nmでの蛍光スペクトルをSPARK(登録商標)マルチ検出モードマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
図10に測定結果を示す。励起波長280nmより発せられる極大波長500nm付近の蛍光は、添加する1α,25-ジヒドロキシビタミンD量の増加により低下したことから、VDRと蛍光リガンドと結合により生じる蛍光であることが確認された。

Claims (20)

  1. 下記式(I)で表される化合物:
    Figure 2023126188000057
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である)。
  2. 前記リンカーが炭素数2~10の炭素鎖に相当する長さを有する、請求項1に記載の化合物。
  3. 下記式(II)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2023126188000058
    (式中、Mは標識分子である)。
  4. 下記式(III)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2023126188000059
    (式中、Mは標識分子である)。
  5. 下記式(IV)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物:
    Figure 2023126188000060
    (式中、Mは標識分子である)。
  6. ビタミンD受容体への結合親和性を有する、請求項1に記載の化合物。
  7. 標識分子が、環境応答型蛍光分子である、請求項1に記載の化合物。
  8. 標識分子が、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物である、請求項7に記載の化合物。
    Figure 2023126188000061
    Figure 2023126188000062
    Figure 2023126188000063
    Figure 2023126188000064
    Figure 2023126188000065
  9. 標識分子が、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子である、請求項1に記載の化合物。
  10. 請求項1に記載の化合物の中間化合物である、下記式(X)で表される化合物:
    Figure 2023126188000066
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである)。
  11. 請求項1に記載の化合物を合成する方法であって、下記工程(a)~(d)を含む、方法:
    (a)下記式(XI)で表される化合物を提供する工程:
    Figure 2023126188000067
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である);
    (b)上記式(XI)で表される化合物より、下記式(X)で表される化合物を取得する工程;
    Figure 2023126188000068
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Lはリンカーである);
    (c)上記式(X)で表される化合物を下記式(XII)で表される化合物と反応させて下記式(XIII)で表される化合物を取得する工程;及び
    Figure 2023126188000069
    (式中、Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;R及びRは、それぞれ独立に炭素数2~8の飽和又は不飽和の炭化水素である)、
    Figure 2023126188000070
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rはアジド基又はシアノ基である;Rは-O-P(Pは保護基)である;Rは水素又は-O-P(Pは保護基)である;Lはリンカーである)
    (d)上記式(XIII)で表される化合物に標識分子を結合させ、脱保護を行い、下記式(I)で表される化合物を得る工程:
    Figure 2023126188000071
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である)。
  12. 対象化合物のビタミンD受容体(VDR)に対する結合親和性を評価する方法であって、下記工程(i)~(iii)を含む、方法:
    (i)下記式(I)で表され、かつ、VDRに対する結合親和性を有する標識リガンドを提供する工程:
    Figure 2023126188000072
    (式中、Rはエーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基である;Rは水素、エーテル結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は不飽和結合を有してもよい置換若しくは非置換の炭素数1~5のアルコキシ基である;Rは水素又は水酸基である;Lはリンカーである;Mは標識分子である);
    (ii)VDR、前記標識リガンド、及び対象化合物を反応させる工程;
    (iii)前記標識分子の所定のシグナルを定量する工程。
  13. 前記リンカーが炭素数2~10の炭素鎖に相当する長さを有する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記標識リガンドが、下記式(II)で表される化合物である、請求項12に記載の方法:
    Figure 2023126188000073
    (式中、Mは標識分子である)。
  15. 前記標識リガンドが、下記式(III)で表される化合物である、請求項12に記載の方法:
    Figure 2023126188000074
    (式中、Mは標識分子である)。
  16. 標識分子が、環境応答型蛍光分子である、請求項12に記載の方法。
  17. 標識分子が、下記式(V)~(IX)で表される化合物及びこれらの誘導体からなる群より選択される、少なくとも1つの化合物である、請求項16に記載の方法。
    Figure 2023126188000075
    Figure 2023126188000076
    Figure 2023126188000077
    Figure 2023126188000078
    Figure 2023126188000079
  18. 標識分子が、波長350nmの光照射で蛍光を発する蛍光分子である、請求項12に記載の方法。
  19. 複数の候補化合物群からビタミンD受容体(VDR)結合親和性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、
    各候補化合物を対象化合物として、請求項12~18のいずれか1項に記載の方法でVDR結合親和性を評価して、高いVDR結合親和性を有する化合物を選定することを含む、方法。
  20. 請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、及びビタミンD受容体を含む、対象化合物のVDR結合親和性を評価するためのキット。
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