JP2023125930A - レジスト組成物の製造方法、及びレジスト組成物の検定方法 - Google Patents

レジスト組成物の製造方法、及びレジスト組成物の検定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一定の感度及びラインウィズスラフネスのレジスト組成物を高い精度で製造することができるレジスト組成物の製造方法、及び、一定の感度及びラインウィズスラフネスのレジスト組成物であるかを検定することができるレジスト組成物の検定方法を提供すること。【解決手段】光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いて基準データを取得する工程(1)、基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いて測定データを取得する工程(2)、基準データと測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、測定用レジスト組成物Bとは樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)を含む、レジスト組成物の製造方法、及びレジスト組成物の検定方法。【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物の製造方法、及びレジスト組成物の検定方法に関する。より詳細には、本発明は、超LSI(Large Scale Integration)及び高容量マイクロチップの製造プロセス、ナノインプリント用モールド作成プロセス並びに高密度情報記録媒体の製造プロセス等に適用可能な超マイクロリソグラフィプロセス、並びにその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いることができるレジスト組成物の製造方法、及びレジスト組成物の検定方法に関する。
従来、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、レジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域又はクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られ、現在では193nm波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。また、更に解像力を高める技術として、従来から投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)で満たす、所謂、液浸法の開発が進んでいる。
また、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線(EB)、X線及び極紫外線(EUV)等を用いたリソグラフィーも開発が進んでいる。これに伴い、各種の活性光線又は放射線に有効に感応するレジスト組成物が開発されている。
また、レジスト組成物に用いる樹脂の評価方法についても検討がされており、例えば、特許文献1には、感放射線性樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、上記溶液の濃度変化に伴う感放射線性樹脂の溶液中の拡散係数変化を表す係数により感放射線性樹脂の現像特性を評価する感放射線性樹脂の評価方法が記載されている。
特開2005-91407号公報
通常、レジスト組成物には、樹脂及び光酸発生剤が含まれているが、ロット間の品質の誤差や不純物の影響などにより、同じ種類の成分を同じ量使用した場合であっても、一定の(目標値からのずれが許容範囲内の)感度のレジスト組成物を調製することが難しい場合がある。
なお、ロット間の品質の誤差や不純物の影響などによる、一定の感度のレジスト組成物を調製する方法については一切記載されていない。
本発明者らは、まず、レジスト組成物に含まれる光酸発生剤と酸拡散制御剤との含有量比を調整することでレジスト組成物の感度を調整する方法を検討した。
しかしながら、上記方法では、レジスト組成物の感度をある程度一定に制御できたとしても、感度以外の性能(例えばラフネス)がずれてしまうことがある。特に、極微細(例えば線幅30nm以下)のパターン形成に用いられるEUV露光用のレジスト組成物では感度とともにラフネスなどの感度以外の性能についても厳しい品質管理が求められる。また、一定の感度及びラインウィズスラフネス(LWR)のレジスト組成物を製造する精度についても、より向上させることが望ましい。
本発明の課題は、一定の感度及びラインウィズスラフネス(LWR)のレジスト組成物を高い精度で製造することができるレジスト組成物の製造方法、及び、一定の感度及びラインウィズスラフネス(LWR)のレジスト組成物であるかを検定することができるレジスト組成物の検定方法を提供することにある。
本発明者らは、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
[1]
光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いてレジスト膜Aを形成し、上記レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程(1)、
上記基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いてレジスト膜Bを形成し、上記レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程(2)、
上記基準データと上記測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、
上記工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、上記測定用レジスト組成物Bとは上記樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)
を含む、レジスト組成物の製造方法。
[2]
上記光酸発生剤として、下記化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含む、[1]に記載のレジスト組成物の製造方法。
化合物(I):
1つ以上の下記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z2を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、下記構造部位Z1に由来する下記第1の酸性部位と下記構造部位Z2に由来する下記第2の酸性部位とを含む酸を発生する化合物。
構造部位Z1:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第1の酸性部位を形成する構造部位
構造部位Z2:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第2の酸性部位を形成する構造部位
ただし、化合物(I)は、下記条件Iを満たす。
条件I:上記化合物(I)において上記構造部位Z1中の上記カチオン部位M 及び上記構造部位Z2中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなる化合物PIが、上記構造部位Z1中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1と、上記構造部位Z2中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2を有し、かつ、上記酸解離定数a1よりも上記酸解離定数a2の方が大きい。
化合物(II):
2つ以上の上記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z3を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、上記構造部位Z1に由来する上記第1の酸性部位を2つ以上と上記構造部位Z3とを含む酸を発生する化合物。
構造部位Z3:酸を中和可能な非イオン性の部位
[3]
上記基準レジスト組成物Aが、更に、上記化合物(I)及び(II)とは異なる酸拡散制御剤Qbを含有する、[2]に記載のレジスト組成物の製造方法。
[4]
上記基準レジスト組成物Aに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、上記基準レジスト組成物Aについての下記式(a)で表されるQをQ、上記レジスト組成物Cに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、上記レジスト組成物Cについての下記式(a)で表されるQをQとしたとき、Q/PからQ/Pを引いた値が、Q/Pの値に対して±0.3%以内である、[2]又は[3]に記載のレジスト組成物の製造方法。
Q=(化合物(I)の1分子中のZ2の個数)×(化合物(I)のモル数)+(化合物(II)の1分子中のZ3の個数)×(化合物(II)のモル数)+(酸拡散制御剤Qbのモル数) ・・・(a)
ただし、酸拡散制御剤Qbは上記化合物(I)及び(II)とは異なる化合物である。
[5]
上記樹脂が、酸分解性樹脂である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[6]
上記基準データ及び上記測定データが、感度のデータであり、上記測定データから上記基準データを引いた値が、上記基準データに対して±0.5%以内である場合を上記許容範囲内とする、[1]~[5]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[7]
上記基準データ及び上記測定データが、ラインウィズスラフネスのデータであり、上記測定データから上記基準データを引いた値が、上記基準データに対して±2.0%以内である場合を上記許容範囲内とする、[1]~[6]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[8]
上記工程(4)で、上記レジスト膜AのEUV吸収効率S1と、上記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜CのEUV吸収効率S1との差が所定の範囲内に入るように、上記測定用レジスト組成物Bにおける上記樹脂の含有率を変更して、上記レジスト組成物Cを調製する、[1]~[7]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[9]
上記S1と上記S1との差が上記S1に対して±0.3%以内である場合を上記所定の範囲内とする、[8]に記載のレジスト組成物の製造方法。
[10]
上記工程(4)で、上記レジスト膜Aのガラス転位温度S2と、上記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜Cのガラス転位温度S2との差が所定の範囲内に入るように、上記測定用レジスト組成物Bにおける上記樹脂の含有率を変更して、上記レジスト組成物Cを調製する、[1]~[7]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[11]
上記S2と上記S2との差が上記S2に対して±0.5%以内である場合を上記所定の範囲内とする、[10]に記載のレジスト組成物の製造方法。
[12]
上記工程(4)で、上記レジスト膜Aの現像液に対する溶解速度S3と、上記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜Cの現像液に対する溶解速度S3との差が所定の範囲内に入るように、上記測定用レジスト組成物Bにおける上記樹脂の含有率を変更して、上記レジスト組成物Cを調製する、[1]~[7]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[13]
上記S3と上記S3との差が上記S3に対して±2.0%以内である場合を上記所定の範囲内とする、[12]に記載のレジスト組成物の製造方法。
[14]
上記基準レジスト組成物Aの固形分濃度をE、上記レジスト組成物Cの固形分濃度をEとしたとき、上記Eと上記Eとの差が上記Eに対して±2.0%以内である、[1]~[13]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[15]
上記露光に使用する光源がEUVである、[1]~[14]のいずれか1つに記載のレジスト組成物の製造方法。
[16]
光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いてレジスト膜Aを形成し、上記レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程(1)、
上記基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いてレジスト膜Bを形成し、上記レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程(2)、
上記基準データと上記測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、
上記工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、上記測定用レジスト組成物Bとは上記樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)
を含む、レジスト組成物の検定方法。
本発明により、一定の感度及びラインウィズスラフネス(LWR)のレジスト組成物を高い精度で製造することができるレジスト組成物の製造方法、及び、一定の感度及びラインウィズスラフネス(LWR)のレジスト組成物であるかを検定することができるレジスト組成物の検定方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書において、「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、X線、軟X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。
本明細書において、「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を表す。また(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー株式会社製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー株式会社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を含む基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
置換基としては、特に断らない限り、1価の置換基が好ましい。置換基の例としては水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、以下の置換基Tから選択できる。
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;シクロアルキルオキシ基;フェノキシ基及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基及びブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シクロアルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;スルファニル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;アルケニル基;シクロアルキル基;アリール基;芳香族複素環式基;ヒドロキシ基;カルボキシル基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;カルバモイル基;等が挙げられる。また、これらの置換基が更に1個以上の置換基を有することができる場合は、その更なる置換基として上記した置換基から選択した置換基を1個以上有する基(例えば、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、トリフルオロメチル基など)も置換基Tの例に含まれる。
本明細書において、表記される2価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく、「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、酸解離定数(pKa)とは、水溶液中でのpKaを表し、具体的には、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求められる値である。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
また、pKaは、分子軌道計算法によっても求められる。この具体的な方法としては、熱力学サイクルに基づいて、水溶液中におけるH解離自由エネルギーを計算することで算出する手法が挙げられる。H解離自由エネルギーの計算方法については、例えばDFT(密度汎関数法)により計算することができるが、他にも様々な手法が文献等で報告されており、これに制限されるものではない。なお、DFTを実施できるソフトウェアは複数存在するが、例えば、Gaussian16が挙げられる。
本明細書において、pKaとは、上述した通り、ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を計算により求められる値を指すが、この手法によりpKaが算出できない場合には、DFT(密度汎関数法)に基づいてGaussian16により得られる値を採用するものとする。
本明細書において、pKaは、上述した通り「水溶液中でのpKa」を指すが、水溶液中でのpKaが算出できない場合には、「ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中でのpKa」を採用するものとする。
本明細書において、レジスト組成物の「固形分」とは、レジスト組成物が含む成分のうちレジスト膜を形成する成分を意味し、溶剤は含まれない。また、レジスト膜を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
<レジスト組成物の製造方法>
本発明のレジスト組成物の製造方法(「本発明の製造方法」ともいう。)は、
光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いてレジスト膜Aを形成し、レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程(1)、
基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いてレジスト膜Bを形成し、レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程(2)、
基準データと測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、
工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、測定用レジスト組成物Bとは樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)
を含む、レジスト組成物の製造方法である。
本発明の製造方法により、一定の感度及びLWRのレジスト組成物を高い精度で製造することができる理由について、必ずしも明らかになってはいないが、本発明者らは以下のように推定している。
レジスト組成物の感度ずれを修正するために、レジスト組成物中の光酸発生剤と酸拡散制御剤の含有量比を調整する方法では、ロット間の品質の誤差や不純物の影響などによるレジスト膜物性への影響を必ずしも補正できず、感度以外の性能(例えばLWR)がずれてしまうことがある。これに対して、本発明では、レジスト組成物中の樹脂の含有率(レジスト組成物中の全固形分に対する樹脂の量)を調整するため、ロット間の品質の誤差や不純物の影響などによるレジスト膜物性への影響を補正でき、感度以外の性能(LWR)のずれを抑制することができると考えられる。
本発明の製造方法は、少なくとも、上記工程(1)~(4)を含む。本発明の製造方法は、工程(1)~(4)に加えて、その他の工程を含んでいてもよい。
[工程(1)及び工程(2)]
工程(1)は、光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物A(「組成物A」ともいう。)を用いてレジスト膜Aを形成し、レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程である。
工程(1)で用いる組成物Aは、基準とするレジスト組成物である。
組成物Aに含まれる成分の詳細は後述する。
工程(1)で取得する基準データは、感度及びLWRの少なくとも一方のデータであることが好ましく、感度及びLWRのデータであることがより好ましい。露光に使用する光源は限定されないが、例えば、KrF、ArF、EUV、電子線等が挙げられ、EUV又は電子線であることが好ましく、EUVであることがより好ましい。レジストパターンAはどのようなパターンでもよいが、例えば、ライン:スペースが1:1のラインアンドスペースパターンなどが挙げられ、線幅30nm以下のラインアンドスペースパターンが好ましい。
露光及び現像処理の詳細は後述する。
工程(2)は、組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物B(「組成物B」ともいう。)を用いてレジスト膜Bを形成し、レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程である。
工程(2)で用いる組成物Bは、組成物Aとは別に調製されるレジスト組成物である。
工程(2)で用いる組成物Bは、組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含むものであり、典型的には、組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を同じ量使用して調製される。
組成物Bに含まれる成分は、組成物Aに含まれる成分と同様であり、詳細は後述する。
工程(2)で取得する測定データは、基準データと同種のデータであることが好ましく、感度及びLWRのデータであることが好ましい。露光に使用する光源は限定されないが、工程(1)と同じであることが好ましく、例えば、KrF、ArF、EUV、電子線等が挙げられ、EUV又は電子線であることが好ましく、EUVであることがより好ましい。レジストパターンBはどのようなパターンでもよいが、レジストパターンAと同様のパターンであることが好ましく、例えば、ライン:スペースが1:1のラインアンドスペースパターンなどが挙げられ、線幅30nm以下のラインアンドスペースパターンが好ましい。
露光及び現像処理は、工程(1)における露光及び現像処理と同様であり、詳細は後述する。
工程(1)と工程(2)を行う順番は限定されない。また、工程(1)と工程(2)を同時に行ってもよい。
[工程(3)]
工程(3)は、基準データと測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程である。
基準データ及び測定データが、感度のデータであり、測定データから基準データを引いた値が、基準データに対して±0.5%以内である場合を許容範囲内とすることが好ましく、±0.4%以内であることがより好ましく、±0.3%以内であることがさらに好ましい。
すなわち、感度の基準データをK1とし、感度の測定データをK1とするとき、-0.5≦100×(K1-K1)/K1≦0.5であることが好ましい。-0.5>100×(K1-K1)/K1の場合、又は100×(K1-K1)/K1>0.5の場合は、許容範囲内ではないと判定することが好ましい。感度の単位は、露光に使用する光源がKrF、ArF、EUV等の場合は、典型的には、「mJ/cm」であり、電子線の場合は、典型的には、「μC/cm」である。
また、基準データ及び測定データが、LWRのデータであり、測定データから基準データを引いた値が、基準データに対して±2.0%以内である場合を許容範囲内とすることが好ましく、±1.5%以内であることがより好ましく、±1.0%以内であることがさらに好ましい。
すなわち、LWRの基準データをK2とし、LWRの測定データをK2とするとき、-2.0≦100×(K2-K2)/K2≦2.0であることが好ましい。-2.0>100×(K2-K2)/K2の場合、又は100×(K2-K2)/K2>2.0の場合は、許容範囲内ではないと判定することが好ましい。LWRの単位は、典型的には、「nm」である。
[工程(4)]
工程(4)は、工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、測定用レジスト組成物Bとは樹脂の含有率が異なるレジスト組成物C(「組成物C」ともいう。)を調製する工程である。
レジスト組成物Cは、基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含むレジスト組成物である。レジスト組成物Cを用いてレジスト膜Cを形成し、レジスト膜Cに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンCを形成して取得したデータCは、基準データと比較して、工程(3)の許容範囲内であることが好ましい。
すなわち、工程(4)は、工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、組成物Bの樹脂の含有率を参照し、この樹脂の含有率を変更(増加又は減少)した組成のレジスト組成物Cを調製する工程である。樹脂の含有率を変更(増加又は減少)する際は、組成物Aの樹脂の含有率をLとし、組成物Cの樹脂の含有率をLとした場合、-5.0≦100×(L-L)/L<0.0、又は0.0<100×(L-L)/L≦5.0の範囲で変更することが好ましく、-3.0≦100×(L-L)/L<0.0、又は0.0<100×(L-L)/L≦3.0の範囲で変更することがより好ましく、-1.0≦100×(L-L)/L<0.0、又は0.0<100×(L-L)/L≦1.0の範囲で変更することが更に好ましい。
工程(4)で調製される組成物Cは、組成物A及び組成物Bとは別に調製されるレジスト組成物である。
組成物Cは、組成物A及び組成物Bに含まれる成分と同じ種類の成分を含むものである。
組成物Cに含まれる成分は、組成物A及び組成物Bに含まれる成分と同様であり、詳細は後述する。
上記データCは、基準データ及び測定データと同種のデータであることが好ましく、感度及びLWRのデータであることが好ましい。上記データCを取得する際の露光に使用する光源は限定されないが、工程(1)と同じであることが好ましく、例えば、KrF、ArF、EUV、電子線等が挙げられ、EUV又は電子線であることが好ましく、EUVであることがより好ましい。レジストパターンCはどのようなパターンでもよいが、レジストパターンAと同様のパターンであることが好ましく、例えば、ライン:スペースが1:1のラインアンドスペースパターンなどが挙げられ、線幅30nm以下のラインアンドスペースパターンが好ましい。
露光及び現像処理は、工程(1)における露光及び現像処理と同様であり、詳細は後述する。
組成物Aの固形分濃度をE、組成物Cの固形分濃度をEとしたとき、EとEとの差がEに対して±2.0%以内であることが好ましく、±1.0%以内であることがより好ましく、±0.5%以内であることが更に好ましい。
すなわち、-2.0≦100×(E-E)/E≦2.0であることが好ましい。
工程(4)で、含有率を変更する樹脂は、酸分解性樹脂であることが好ましい。酸分解性樹脂の詳細は後述する。
工程(4)で、樹脂の含有率を変更する場合は、レジスト膜のEUV吸収効率、レジスト膜のガラス転位温度(Tg)、及びレジスト膜の現像液に対する溶解速度の少なくとも1つを指針とすることが好ましい。これらはレジスト膜の物性であり、感度やLWRと関連性があるため、これらを指針とすることで、より迅速に工程(4)を完了することができる。
工程(4)では、組成物Aを用いて形成したレジスト膜AのEUV吸収効率S1と、組成物Cを用いて形成したレジスト膜CのEUV吸収効率S1との差が所定の範囲内に入るように、組成物Bにおける樹脂の含有率を変更して、組成物Cを調製することが好ましい。樹脂の含有率を変更しても、レジスト膜のEUV吸収効率の差が所定範囲内ではない場合は、所定範囲内になるまで、樹脂の含有率の変更を繰り返し試みることができる。
S1とS1との差がS1に対して±0.3%以内である場合を所定の範囲内とすることが好ましく、±0.2%以内であることがより好ましく、±0.1%以内であることが更に好ましい。
すなわち、-0.3≦100×(S1-S1)/S1≦0.3であることが好ましい。
EUV吸収効率は、下記式(1)で求められるA値により算出することができる。A値が高い場合は、レジスト組成物より形成されるレジスト膜のEUVの吸収効率が高くなる。
式(1):A=([H]×0.04+[C]×1.0+[N]×2.1+[O]×3.6+[F]×5.6+[S]×1.5+[I]×39.5)/([H]×1+[C]×12+[N]×14+[O]×16+[F]×19+[S]×32+[I]×127)
式(1)中、[H]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の水素原子のモル比率を表し、[C]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の炭素原子のモル比率を表し、[N]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の窒素原子のモル比率を表し、[O]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の酸素原子のモル比率を表し、[F]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来のフッ素原子のモル比率を表し、[S]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の硫黄原子のモル比率を表し、[I]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来のヨウ素原子のモル比率を表す。
A値の算出は、レジスト組成物中の全固形分の構成成分の構造、及び、含有量が既知の場合には、含有される原子数比を計算し、算出できる。また、構成成分が未知の場合であっても、レジスト組成物の溶剤成分を蒸発させて得られたレジスト膜に対して、元素分析等の解析的な手法によって構成原子数比を算出可能である。
工程(4)では、レジスト膜Aのガラス転位温度S2と、レジスト膜Cのガラス転位温度S2との差が所定の範囲内に入るように、組成物Bにおける樹脂の含有率を変更して、組成物Cを調製することが好ましい。樹脂の含有率を変更しても、レジスト膜のTgの差が所定範囲内ではない場合は、所定範囲内になるまで、樹脂の含有率の変更を繰り返し試みることができる。
S2とS2との差がS2に対して±0.5%以内である場合を所定の範囲内とすることが好ましく、±0.4%以内であることがより好ましく、±0.3%以内であることが更に好ましい。
すなわち、-0.5≦100×(S2-S2)/S2≦0.5であることが好ましい。
ガラス転位温度の単位は、典型的には、「℃」である。
レジスト膜のTgは、「樹脂のTg」と「レジスト組成物の固形分中の樹脂の含有率(質量%)」の積として算出することができる。「樹脂のTg」は下記方法で算出することができる。
樹脂中に含まれる各繰り返し単位のみからなるホモポリマーのTgを、Bicerano法によりそれぞれ算出する。以後、算出されたTgを、「繰り返し単位のTg」という。次に、樹脂中の全繰り返し単位に対する、各繰り返し単位の質量割合(%)を算出する。次に、Foxの式(Materials Letters 62(2008)3152等に記載)を用いて各質量割合におけるTgを算出して、それらの総和を、樹脂のTg(℃)とする。
Bicerano法はPrediction of polymer properties,Marcel Dekker Inc,New York(1993)等に記載されている。またBicerano法によるTgの算出は、ポリマーの物性概算ソフトウェアMDL Polymer(MDL Information Systems, Inc.)を用いて行うことができる。
工程(4)では、レジスト膜Aの現像液に対する溶解速度S3と、レジスト膜Cの現像液に対する溶解速度S3との差が所定の範囲内に入るように、組成物Bにおける樹脂の含有率を変更して、組成物Cを調製することが好ましい。
S3とS3との差がS3に対して±2.0%以内である場合を所定の範囲内とすることが好ましく、±1.5%以内であることがより好ましく、±1.0%以内であることが更に好ましい。樹脂の含有率を変更しても、レジスト膜の現像液に対する溶解速度の差が所定範囲内ではない場合は、所定範囲内になるまで、樹脂の含有率の変更を繰り返し試みることができる。
すなわち、-2.0≦100×(S3-S3)/S3≦2.0であることが好ましい。
現像液はアルカリ現像液でもよいし、有機系現像液でもよい。
レジスト膜の現像液に対する溶解速度は、レジスト膜の膜厚の変化量を処理に要した時間で除することで求めることができる。処理に要した時間は、水晶振動子マイクロバランス法(QCM(Quartz crystal microbalance)法)から得られるパラメータの変化をリアルタイムに測定し、その変化の挙動から求めることができる。
具体的な測定方法を以下に示す。
QCM電極(水晶振動子の電極)上にレジスト組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークして、膜厚40nmのレジスト膜を形成する。これにより、レジスト膜を有するQCM電極を作製する。次いで、上記レジスト膜付きQCM電極を、アルカリ現像液(2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)に接触させることで、レジスト膜を除去する。この間、水晶振動子の振動数変化をモニタリングし、現像液の接触開始から振動数変化が一定となるまでに要する時間(T)を測定する。処理前のレジスト膜の膜厚(40nm)を測定された時間(T)で除することで(40nm/T秒)、レジスト膜の溶解速度(nm/秒)を算出する。
組成物Aに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、組成物Aについての下記式(a)で表されるQをQ、組成物Cに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、組成物Cについての下記式(a)で表されるQをQとしたとき、Q/PからQ/Pを引いた値が、Q/Pの値に対して±0.3%以内であることが好ましく、±0.2%以内であることがより好ましく、±0.1%以内であることが更に好ましい。
すなわち、-0.3≦100×(Q/P-Q/P)/(Q/P)≦0.3であることが好ましい。
/P、及びQ/Pの値は、感度に影響するパラメータであると考えられるが、これを一定にすることで、樹脂の含有率の変更が行いやすくなり、より迅速に工程(4)を完了することができる。
Q=(化合物(I)の1分子中のZ2の個数)×(化合物(I)のモル数)+(化合物(II)の1分子中のZ3の個数)×(化合物(II)のモル数)+(酸拡散制御剤Qbのモル数) ・・・(a)
ただし、酸拡散制御剤Qbは化合物(I)及び(II)とは異なる化合物である。
光分解性カチオンは、活性光線又は放射線の照射により分解するカチオンである。
<基準レジスト組成物A(組成物A)>
組成物Aは、少なくとも、光酸発生剤、及び樹脂を含有する。
[光酸発生剤]
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤は、典型的には光分解性カチオンを含む。
光酸発生剤は、特に限定されないが、下記化合物(I)及び(II)の少なくとも1種であることが好ましい。化合物(I)及び(II)のカチオン部位M 及びM は光分解性カチオンであることが好ましい。
組成物Aは、光酸発生剤として、化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含んでいてもよいし、化合物(I)及び(II)とは異なる光酸発生剤Pを含んでいてもよいし、化合物(I)及び(II)の少なくとも1種と光酸発生剤Pとを含んでいてもよい。
化合物(I):
1つ以上の下記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z2を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、下記構造部位Z1に由来する下記第1の酸性部位と下記構造部位Z2に由来する下記第2の酸性部位とを含む酸を発生する化合物。
構造部位Z1:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第1の酸性部位を形成する構造部位
構造部位Z2:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第2の酸性部位を形成する構造部位
ただし、化合物(I)は、下記条件Iを満たす。
条件I:上記化合物(I)において上記構造部位Z1中の上記カチオン部位M 及び上記構造部位Z2中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなる化合物PIが、上記構造部位Z1中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1と、上記構造部位Z2中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2を有し、かつ、上記酸解離定数a1よりも上記酸解離定数a2の方が大きい。
化合物(II):
2つ以上の上記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z3を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、上記構造部位Z1に由来する上記第1の酸性部位を2つ以上と上記構造部位Z3とを含む酸を発生する化合物。
構造部位Z3:酸を中和可能な非イオン性の部位
[化合物(I)]
化合物(I)は、上記した通りである。
以下において、条件Iをより具体的に説明する。
化合物(I)が、例えば、構造部位Z1に由来する第1の酸性部位を1つと、構造部位Z2に由来する第2の酸性部位を1つ有する酸を発生する化合物である場合、化合物PIは「HAとHAとを有する化合物」に該当する。
化合物PIの酸解離定数a1及び酸解離定数a2とは、より具体的に説明すると、化合物PIの酸解離定数を求めた場合において、化合物PIが「A とHAとを有する化合物」となる際のpKaが酸解離定数a1であり、上記「A とHAとを有する化合物」が「A とA とを有する化合物」となる際のpKaが酸解離定数a2である。
化合物(I)が、例えば、構造部位Z1に由来する第1の酸性部位を2つと、構造部位Z2に由来する第2の酸性部位を1つと有する酸を発生する化合物である場合、化合物PIは「2つのHAと1つのHAとを有する化合物」に該当する。
化合物PIの酸解離定数を求めた場合、化合物PIが「1つのA と1つのHAと1つのHAとを有する化合物」となる際の酸解離定数、及び「1つのA と1つのHAと1つのHAとを有する化合物」が「2つのA と1つのHAとを有する化合物」となる際の酸解離定数が、上述の酸解離定数a1に該当する。「2つのA と1つのHAとを有する化合物」が「2つのA とA を有する化合物」となる際の酸解離定数が酸解離定数a2に該当する。つまり、化合物PIの場合、構造部位Z1中のカチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数を複数有する場合、複数の酸解離定数a1のうち最も大きい値よりも、酸解離定数a2の値の方が大きい。なお、化合物PIが「1つのA と1つのHAと1つのHAとを有する化合物」となる際の酸解離定数をaaとし、「1つのA と1つのHAと1つのHAとを有する化合物」が「2つのA と1つのHAとを有する化合物」となる際の酸解離定数をabとしたとき、aa及びabの関係は、aa<abを満たす。
酸解離定数a1及び酸解離定数a2は、上述した酸解離定数の測定方法により求められる。
化合物PIは、化合物(I)に活性光線又は放射線を照射した場合に、発生する酸に該当する。
化合物(I)が2つ以上の構造部位Z1を有する場合、構造部位Z1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、2つ以上のA 、及び2つ以上のM は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
化合物(I)中、A 及びA 、並びに、M 及びM は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、A 及びA は、それぞれ異なっていることが好ましい。
化合物PIにおいて、酸解離定数a1(酸解離定数a1が複数存在する場合はその最大値)と酸解離定数a2との差(絶対値)は、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましい。なお、酸解離定数a1(酸解離定数a1が複数存在する場合はその最大値)と酸解離定数a2との差(絶対値)の上限値は特に制限されないが、例えば、16以下である。
化合物PIにおいて、酸解離定数a2は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。なお、酸解離定数a2の下限値としては、-4.0以上が好ましい。
化合物PIにおいて、酸解離定数a1は、2.0以下が好ましく、0以下がより好ましい。なお、酸解離定数a1の下限値としては、-20.0以上が好ましい。
カチオン部位M 及びM について説明する。
及びM は、有機カチオンであることが好ましく、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであることがより好ましい。
及びM が表すカチオンとしては特に制限されない。カチオンの価数は、1又は2価以上であってもよい。カチオンとしては、式(ZaI)で表されるカチオン(以下「カチオン(ZaI)」ともいう。)、又は、式(ZaII)で表されるカチオン(以下「カチオン(ZaII)」ともいう。)が好ましい。
Figure 2023125930000001
上記式(ZaI)において、R201、R202、及びR203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
201、R202、及びR203としての有機基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましい。R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基及びペンチレン基)、及び-CH-CH-O-CH-CH-が挙げられる。
式(ZaI)における有機カチオンの好適な態様としては、後述する、カチオン(ZaI-1)、カチオン(ZaI-2)、カチオン(ZaI-3b)、カチオン(ZaI-4b)が挙げられる。
まず、カチオン(ZaI-1)について説明する。
カチオン(ZaI-1)は、上記式(ZaI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムカチオンである。
アリールスルホニウムカチオンは、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
201~R203のうちの1つがアリール基であり、R201~R203のうちの残りの2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、1つ以上のメチレン基が酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、及び/又はカルボニル基で置換されていてもよいアルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基、及び-CH-CH-O-CH-CH-)が挙げられる。
アリールスルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン、ジアリールアルキルスルホニウムカチオン、アリールジアルキルスルホニウムカチオン、ジアリールシクロアルキルスルホニウムカチオン、及びアリールジシクロアルキルスルホニウムカチオンが挙げられる。
アリールスルホニウムカチオンに含まれるアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有するヘテロ環構造を有するアリール基であってもよい。ヘテロ環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基が挙げられる。アリールスルホニウムカチオンが2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウムカチオンが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、又はシクロヘキシル基がより好ましい。
201~R203のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、アルキル基(例えば、炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~15)、アリール基(例えば、炭素数6~14)、アルコキシ基(例えば、炭素数1~15)、シクロアルキルアルコキシ基(例えば、炭素数1~15)、ハロゲン原子(例えば、フッ素及びヨウ素)、水酸基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、アルキルチオ基、又はフェニルチオ基が好ましい。
上記置換基は可能な場合更に置換基を有していてもよく、上記アルキル基が置換基としてハロゲン原子を有して、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基となっていることも好ましい。
上記置換基は任意の組み合わせにより、酸分解性基を形成することも好ましい。
次に、カチオン(ZaI-2)について説明する。
カチオン(ZaI-2)は、式(ZaI)におけるR201~R203が、それぞれ独立に、芳香環を有さない有機基を表すカチオンである。芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
201~R203としての芳香環を有さない有機基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
201~R203としては、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、並びに、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が挙げられる。
201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201~R203の置換基は、それぞれ独立に、置換基の任意の組み合わせにより、酸分解性基を形成することも好ましい。
次に、カチオン(ZaI-3b)について説明する。
カチオン(ZaI-3b)は、下記式(ZaI-3b)で表されるカチオンである。
Figure 2023125930000002
式(ZaI-3b)中、R1c~R5cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(例えば、t-ブチル基等)、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアリール基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c~R7c、並びに、R及びRの置換基は、それぞれ独立に、置換基の任意の組み合わせにより、酸分解性基を形成することも好ましい。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、この環は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合を含んでいてもよい。
上記環としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族のヘテロ環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。このアルキレン基中のメチレン基が酸素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
5cとR6c、及びR5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。
1c~R5c、R6c、R7c、R、R、並びに、R1c~R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRがそれぞれ互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。
次に、カチオン(ZaI-4b)について説明する。
カチオン(ZaI-4b)は、下記式(ZaI-4b)で表されるカチオンである。
Figure 2023125930000003
式(ZaI-4b)中、lは0~2の整数を表し、rは0~8の整数を表す。
13は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子及びヨウ素原子等)、水酸基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を含む基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子及びヨウ素原子等)、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を含む基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合は、それぞれ独立して、水酸基等の上記基を表す。
15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、及び上記ナフチル基、並びに、2つのR15が互いに結合して形成する環は置換基を有してもよい。
式(ZaI-4b)において、R13、R14、及びR15のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキル基は、メチル基、エチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基等が好ましい。
13~R15、並びに、R及びRの各置換基は、それぞれ独立に、置換基の任意の組み合わせにより、酸分解性基を形成することも好ましい。
次に、式(ZaII)について説明する。
式(ZaII)中、R204及びR205は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204及びR205のアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204及びR205のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有するヘテロ環を有するアリール基であってもよい。ヘテロ環を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェンが挙げられる。
204及びR205のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基)、又は炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はノルボルニル基)が好ましい。
204及びR205のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。R204及びR205のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~15)、アリール基(例えば、炭素数6~15)、アルコキシ基(例えば、炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基が挙げられる。また、R204及びR205の置換基は、それぞれ独立に、置換基の任意の組み合わせにより、酸分解性基を形成することも好ましい。
以下にM 及びM の具体例を示すが、これに限定されない。
Figure 2023125930000004
Figure 2023125930000005
アニオン部位A 及びアニオン部位A は、負電荷を帯びた原子又は原子団を含む構造部位であり、例えば、以下に示す式(AA-1)~(AA-3)及び式(BB-1)~(BB-6)からなる群から選ばれる構造部位が挙げられる。
アニオン部位A としては、酸解離定数の小さい酸性部位を形成し得るものが好ましく、なかでも、式(AA-1)~(AA-3)のいずれかであることがより好ましく、式(AA-1)及び(AA-3)のいずれかであることが更に好ましい。
また、アニオン部位A としては、アニオン部位A よりも酸解離定数の大きい酸性部位を形成し得るものが好ましく、式(BB-1)~(BB-6)のいずれかであることがより好ましく、式(BB-1)及び(BB-4)のいずれかであることが更に好ましい。
なお、以下の式(AA-1)~(AA-3)及び式(BB-1)~(BB-6)中、*は、結合位置を表す。
式(AA-2)中、Rは、1価の有機基を表す。Rで表される1価の有機基は特に制限されないが、例えば、シアノ基、トリフルオロメチル基、及びメタンスルホニル基が挙げられる。
Figure 2023125930000006
Figure 2023125930000007
カチオン部位M 及びカチオン部位M は、正電荷を帯びた原子又は原子団を含む構造部位であり、例えば、電荷が1価の有機カチオンが挙げられる。
化合物(I)の具体的な構造としては特に制限されないが、例えば、後述する式(Ia-1)~式(Ia-5)で表される化合物が挙げられる。
-式(Ia-1)で表される化合物-
以下において、まず、式(Ia-1)で表される化合物について述べる。
11 11 -L-A12 12 (Ia-1)
式(Ia-1)で表される化合物は、活性光線又は放射線の照射によって、HA11-L-A12Hで表される酸を発生する。
式(Ia-1)中、M11 及びM12 は、それぞれ独立に、有機カチオンを表す。
11 及びA12 は、それぞれ独立に、1価のアニオン性官能基を表す。
は、2価の連結基を表す。
11 及びM12 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11 及びA12 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、互いに異なっていることが好ましい。
但し、上記式(Ia-1)において、M11 及びM12 で表されるカチオンをHに置き換えてなる化合物PIa(HA11-L-A12H)において、A12Hで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2は、HA11で表される酸性部位に由来する酸解離定数a1よりも大きい。なお、酸解離定数a1と酸解離定数a2との好適値については、上述した通りである。化合物PIaと、活性光線又は放射線の照射によって式(Ia-1)で表される化合物とから発生する酸は同じである。
また、M11 、M12 、A11 、A12 、及びLの少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
式(Ia-1)中、M11 及びM12 で表される有機カチオンについては、上述したM 及びM と同じである。
11 で表される1価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む1価の基を意図する。また、A12 で表される1価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む1価の基を意図する。
11 及びA12 で表される1価のアニオン性官能基としては、上述した式(AA-1)~(AA-3)及び式(BB-1)~(BB-6)のいずれかのアニオン部位を含む1価のアニオン性官能基であるのが好ましく、式(AX-1)~(AX-3)、及び式(BX-1)~(BX-7)からなる群から選ばれる1価のアニオン性官能基であることがより好ましい。A11 で表される1価のアニオン性官能基としては、なかでも、式(AX-1)~(AX-3)のいずれかで表される1価のアニオン性官能基であることが好ましい。A12 で表される1価のアニオン性官能基としては、なかでも、式(BX-1)~(BX-7)のいずれかで表される1価のアニオン性官能基が好ましく、式(BX-1)~(BX-6)のいずれかで表される1価のアニオン性官能基がより好ましい。
Figure 2023125930000008
式(AX-1)~(AX-3)中、RA1及びRA2は、それぞれ独立に、1価の有機基を表す。*は、結合位置を表す。
A1で表される1価の有機基は特に制限されないが、例えば、シアノ基、トリフルオロメチル基、及びメタンスルホニル基が挙げられる。
A2で表される1価の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、又はアリール基が好ましい。
上記アルキル基の炭素数は1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子又はシアノ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。上記アルキル基が置換基としてフッ素原子を有する場合、パーフルオロアルキル基であってもよい。
上記アリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
上記アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルキル基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、又はシアノ基が好ましく、フッ素原子、ヨウ素原子、又は、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
式(BX-1)~(BX-4)及び式(BX-6)中、Rは、1価の有機基を表す。
*は、結合位置を表す。
で表される1価の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、又はアリール基が好ましい。
上記アルキル基の炭素数は1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基として特に制限されないが、置換基としては、フッ素原子又はシアノ基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。上記アルキル基が置換基としてフッ素原子を有する場合、パーフルオロアルキル基であってもよい。
なお、アルキル基において結合位置となる炭素原子が置換基を有する場合、フッ素原子又はシアノ基以外の置換基であることも好ましい。ここで、アルキル基において結合位置となる炭素原子とは、例えば、式(BX-1)及び(BX-4)の場合、アルキル基中の式中に明示される-CO-と直接結合する炭素原子が該当し、式(BX-2)及び(BX-3)の場合、アルキル基中の式中に明示される-SO-と直接結合する炭素原子が該当し、式(BX-6)の場合、アルキル基中の式中に明示されるNと直接結合する炭素原子が該当する。
上記アルキル基は、炭素原子がカルボニル炭素で置換されていてもよい。
上記アリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
上記アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルキル基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、シアノ基、アルキル基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、アルコキシ基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、又はアルコキシカルボニル基(例えば、炭素数2~10が好ましく、炭素数2~6がより好ましい。)が好ましく、フッ素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基がより好ましい。
式(Ia-1)中、Lで表される2価の連結基としては特に制限されず、-CO-、-NR-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6、直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、2価の脂肪族複素環基(少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、又はSe原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、2価の芳香族複素環基(少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、又はSe原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、2価の芳香族炭化水素環基(6~10員環が好ましく、6員環が更に好ましい。)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。上記Rは、水素原子又は1価の有機基が挙げられる。1価の有機基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~6)が好ましい。
上記アルキレン基、上記シクロアルキレン基、上記アルケニレン基、上記2価の脂肪族複素環基、2価の芳香族複素環基、及び2価の芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が挙げられる。
なかでも、Lで表される2価の連結基としては、式(L1)で表される2価の連結基であることが好ましい。
Figure 2023125930000009
式(L1)中、L111は、単結合又は2価の連結基を表す。
111で表される2価の連結基としては特に制限されず、例えば、-CO-、-NH-、-O-、-SO-、-SO-、置換基を有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1~6がより好ましい。直鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよい)、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは炭素数6~10)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。置換基としては特に制限されず、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。
pは、0~3の整数を表し、1~3の整数を表すことが好ましい。
vは、0又は1の整数を表す。
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてフッ素原子を有していてもよいアルキル基、又はフッ素原子を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。Xfとしては、なかでも、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表すのが好ましく、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基がより好ましい。
なかでも、Xf及びXfとしては、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、Xf及びXfが、いずれもフッ素原子であることが更に好ましい。
*は結合位置を表す。
式(Ia-1)中のL11が式(L1)で表される2価の連結基を表す場合、式(L1)中のL111側の結合手(*)が、式(Ia-1)中のA12 と結合することが好ましい。
-式(Ia-2)~(Ia-4)で表される化合物-
次に、式(Ia-2)~(Ia-4)で表される化合物について説明する。
Figure 2023125930000010
式(Ia-2)中、A21a 及びA21b は、それぞれ独立に、1価のアニオン性官能基を表す。ここで、A21a 及びA21b で表される1価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む1価の基を意図する。A21a 及びA21b で表される1価のアニオン性官能基としては特に制限されないが、例えば、上述の式(AX-1)~(AX-3)からなる群から選ばれる1価のアニオン性官能基が挙げられる。
22 は、2価のアニオン性官能基を表す。ここで、A22 で表される2価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む2価の連結基を意図する。A22 で表される2価のアニオン性官能基としては、例えば、以下に示す式(BX-8)~(BX-11)で表される2価のアニオン性官能基が挙げられる。
Figure 2023125930000011
21a 、M21b 、及びM22 は、それぞれ独立に、有機カチオンを表す。M21a 、M21b 、及びM22 で表される有機カチオンとしては、上述のM 及びM と同じである。
21及びL22は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。
上記式(Ia-2)において、M21a 、M21b 、及びM22 で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIa-2において、A22Hで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2は、A21aHに由来する酸解離定数a1-1及びA21bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-2よりも大きい。なお、酸解離定数a1-1と酸解離定数a1-2とは、上述した酸解離定数a1に該当する。
なお、A21a 及びA21b は、互いに同一であっても異なっていてもよい。M21a 、M21b 、及びM22 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
21a 、M21b 、M22 、A21a 、A21b 、L21、及びL22の少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
式(Ia-3)中、A31a 及びA32 は、それぞれ独立に、1価のアニオン性官能基を表す。なお、A31a で表される1価のアニオン性官能基の定義は、上述した式(Ia-2)中のA21a 及びA21b と同義であり、好適態様も同じである。
32 で表される1価のアニオン性官能基は、上述したアニオン部位A を含む1価の基を意図する。A32 で表される1価のアニオン性官能基としては特に制限されないが、例えば、上述の式(BX-1)~(BX-7)からなる群から選ばれる1価のアニオン性官能基が挙げられる。
31b は、2価のアニオン性官能基を表す。ここで、A31b で表される2価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む2価の連結基を意図する。A31b で表される2価のアニオン性官能基としては、例えば、以下に示す式(AX-4)で表される2価のアニオン性官能基が挙げられる。
Figure 2023125930000012
31a 、M31b 、及びM32 は、それぞれ独立に、1価の有機カチオンを表す。M31a 、M31b 、及びM32 で表される有機カチオンとしては、上述のM と同じである。
31及びL32は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。
上記式(Ia-3)において、M31a 、M31b 、及びM32 で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIa-3において、A32Hで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2は、A31aHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-3及びA31bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-4よりも大きい。なお、酸解離定数a1-3と酸解離定数a1-4とは、上述した酸解離定数a1に該当する。
なお、A31a 及びA32 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、M31a 、M31b 、及びM32 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
31a 、M31b 、M32 、A31a 、A32 、L31、及びL32の少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
式(Ia-4)中、A41a 、A41b 、及びA42 は、それぞれ独立に、1価のアニオン性官能基を表す。なお、A41a 及びA41b で表される1価のアニオン性官能基の定義は、上述した式(Ia-2)中のA21a 及びA21b と同義である。A42 で表される1価のアニオン性官能基の定義は、上述した式(Ia-3)中のA32 と同義であり、好適態様も同じである。
41a 、M41b 、及びM42 は、それぞれ独立に、有機カチオンを表す。
41は、3価の有機基を表す。
上記式(Ia-4)において、M41a 、M41b 、及びM42 で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIa-4において、A42Hで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2は、A41aHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-5及びA41bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-6よりも大きい。なお、酸解離定数a1-5と酸解離定数a1-6とは、上述した酸解離定数a1に該当する。
なお、A41a 、A41b 、及びA42 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、M41a 、M41b 、及びM42 は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
41a 、M41b 、M42 、A41a 、A41b 、A42 、及びL41の少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
式(Ia-2)中のL21及びL22、並びに、式(Ia-3)中のL31及びL32で表される2価の有機基としては特に制限されず、例えば、-CO-、-NR-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6、直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、2価の脂肪族複素環基(少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、又はSe原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、2価の芳香族複素環基(少なくとも1つのN原子、O原子、S原子、又はSe原子を環構造内に有する5~10員環が好ましく、5~7員環がより好ましく、5~6員環が更に好ましい。)、2価の芳香族炭化水素環基(6~10員環が好ましく、6員環が更に好ましい。)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の有機基が挙げられる。上記-NR-におけるRは、水素原子又は1価の有機基が挙げられる。1価の有機基としては特に制限されないが、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~6)が好ましい。
上記アルキレン基、上記シクロアルキレン基、上記アルケニレン基、上記2価の脂肪族複素環基、2価の芳香族複素環基、及び2価の芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が挙げられる。
式(Ia-2)中のL21及びL22、並びに、式(Ia-3)中のL31及びL32で表される2価の有機基としては、例えば、下記式(L2)で表される2価の有機基であることも好ましい。
Figure 2023125930000013
式(L2)中、qは、1~3の整数を表す。*は結合位置を表す。
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
で表される2価の連結基としては特に制限されず、例えば、-CO-、-O-、-SO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6。直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、2価の芳香族炭化水素環基(6~10員環が好ましく、6員環が更に好ましい。)、及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
上記アルキレン基、上記シクロアルキレン基、及び2価の芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が挙げられる。
式(L2)で表される2価の有機基としては、例えば、*-CF-*、*-CF-CF-*、*-CF-CF-CF-*、*-Ph-O-SO-CF-*、*-Ph-O-SO-CF-CF-*、*-Ph-O-SO-CF-CF-CF-*、及び、*-Ph-OCO-CF-*が挙げられる。なお、Phとは、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、1,4-フェニレン基であることが好ましい。置換基としては特に制限されないが、アルキル基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、アルコキシ基(例えば、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましい。)、又はアルコキシカルボニル基(例えば、炭素数2~10が好ましく、炭素数2~6がより好ましい。)が好ましい。
式(Ia-2)中のL21及びL22が式(L2)で表される2価の有機基を表す場合、式(L2)中のL側の結合手(*)が、式(Ia-2)中のA21a 及びA21b と結合することが好ましい。
式(Ia-3)中のL31及びL32が式(L2)で表される2価の有機基を表す場合、式(L2)中のL側の結合手(*)が、式(Ia-3)中のA31a 及びA32 と結合することが好ましい。
-式(Ia-5)で表される化合物-
次に、式(Ia-5)について説明する。
Figure 2023125930000014
式(Ia-5)中、A51a 、A51b 、及びA51c は、それぞれ独立に、1価のアニオン性官能基を表す。ここで、A51a 、A51b 、及びA51c で表される1価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む1価の基を意図する。A51a 、A51b 、及びA51c で表される1価のアニオン性官能基としては特に制限されないが、例えば、上述の式(AX-1)~(AX-3)からなる群から選ばれる1価のアニオン性官能基が挙げられる。
52a 及びA52b は、2価のアニオン性官能基を表す。ここで、A52a 及びA52b で表される2価のアニオン性官能基とは、上述したアニオン部位A を含む2価の連結基を意図する。A52a 及びA52b で表される2価のアニオン性官能基としては、例えば、上述の式(BX-8)~(BX-11)からなる群から選ばれる2価のアニオン性官能基が挙げられる。
51a 、M51b 、M51c 、M52a 、及びM52b は、それぞれ独立に、有機カチオンを表す。M51a 、M51b 、M51c 、M52a 、及びM52b で表される有機カチオンとしては、上述のM と同じである。
51及びL53は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。L51及びL53で表される2価の有機基としては、上述した式(Ia-2)中のL21及びL22と同義であり、好適態様も同じである。
52は、3価の有機基を表す。L52で表される3価の有機基としては、上述した式(Ia-4)中のL41と同義であり、好適態様も同じである。
上記式(Ia-5)において、M51a 、M51b 、M51c 、M52a 、及びM52b で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIa-5において、A52aHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2-1及びA52bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2-2は、A51aHに由来する酸解離定数a1-1、A51bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-2、及びA51cHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-3よりも大きい。なお、酸解離定数a1-1~a1-3は、上述した酸解離定数a1に該当し、酸解離定数a2-1及びa2-2は、上述した酸解離定数a2に該当する。
なお、A51a 、A51b 、及びA51c は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、A52a 及びA52b は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
51a 、M51b 、M51c 、M52a 、及びM52b は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
51b 、M51c 、M52a 、M52b 、A51a 、A51b 、A51c 、L51、L52、及びL53の少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
[化合物(II)]
化合物(II)は、2つ以上の上記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z3を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、上記構造部位Z1に由来する上記第1の酸性部位を2つ以上と上記構造部位Z3とを含む酸を発生する化合物である。
構造部位Z3:酸を中和可能な非イオン性の部位
化合物(II)中、構造部位Z1の定義、並びに、A 及びM の定義は、上述した化合物(I)中の構造部位Z1の定義、並びに、A 及びM の定義と同義であり、好適態様も同じである。
化合物(II)において構造部位Z1中のカチオン部位M をHに置き換えてなる化合物PIIにおいて、構造部位Z1中のカチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1の好適範囲については、上記化合物PIにおける酸解離定数a1と同じである。
なお、化合物(II)が、例えば、構造部位Z1に由来する第1の酸性部位を2つと構造部位Z3とを有する酸を発生する化合物である場合、化合物PIIは「2つのHAを有する化合物」に該当する。この化合物PIIの酸解離定数を求めた場合、化合物PIIが「1つのA と1つのHAとを有する化合物」となる際の酸解離定数、及び「1つのA と1つのHAとを有する化合物」が「2つのA を有する化合物」となる際の酸解離定数が、酸解離定数a1に該当する。
酸解離定数a1は、上述した酸解離定数の測定方法により求められる。
上記化合物PIIとは、化合物(II)に活性光線又は放射線を照射した場合に、発生する酸に該当する。
なお、上記2つ以上の構造部位Z1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。2つ以上の上記A 、及び2つ以上の上記M は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
構造部位Z3中の酸を中和可能な非イオン性の部位としては特に制限されず、例えば、プロトンと静電的に相互作用し得る基、又は、電子を有する官能基を含む部位であることが好ましい。
プロトンと静電的に相互作用し得る基、又は、電子を有する官能基としては、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基が挙げられる。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 2023125930000015
プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基の部分構造としては、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造が挙げられ、なかでも、1~3級アミン構造が好ましい。
化合物(II)としては特に制限されないが、例えば、下記式(IIa-1)及び下記式(IIa-2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023125930000016
上記式(IIa-1)中、A61a 及びA61b は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のA11 と同義であり、好適態様も同じである。また、M61a 及びM61b は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のM11 と同義であり、好適態様も同じである。
上記式(IIa-1)中、L61及びL62は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のLと同義であり、好適態様も同じである。
式(IIa-1)中、R2Xは、1価の有機基を表す。R2Xで表される1価の有機基としては特に制限されず、アルキル基(好ましくは炭素数1~10、直鎖状でも分岐鎖状でもよい)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、又はアルケニル基(好ましくは炭素数2~6)が挙げられる。R2Xで表される1価の有機基におけるアルキル基、シクロアルキル基、及びアルケニル基に含まれる-CH-は、-CO-、-NH-、-O-、-S-、-SO-、及び-SO-からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせで置換されていてもよい。
上記アルキレン基、上記シクロアルキレン基、及び上記アルケニレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)が挙げられる。
上記式(IIa-1)において、M61a 及びM61b で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIIa-1において、A61aHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-7及びA61bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-8は、上述した酸解離定数a1に該当する。
なお、上記化合物(IIa-1)において上記構造部位X中の上記カチオン部位M61a 及びM61b をHに置き換えてなる化合物PIIa-1は、HA61a-L61-N(R2X)-L62-A61bHが該当する。また、化合物PIIa-1と、活性光線又は放射線の照射によって式(IIa-1)で表される化合物から発生する酸は同じである。
61a 、M61b 、A61a 、A61b 、L61、L62、及びR2Xの少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
上記式(IIa-2)中、A71a 、A71b 、及びA71c は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のA11 と同義であり、好適態様も同じである。M71a 、M71b 、及び、M71c は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のM11 と同義であり、好適態様も同じである。
上記式(IIa-2)中、L71、L72、及びL73は、それぞれ上述した式(Ia-1)中のLと同義であり、好適態様も同じである。
上記式(IIa-2)において、M71a 、M71b 、及び、M71c で表される有機カチオンをHに置き換えてなる化合物PIIa-2において、A71aHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-9、A71bHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-10、及びA71cHで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1-11は、上述した酸解離定数a1に該当する。
なお、上記化合物(IIa-1)において構造部位Z1中のカチオン部位M71a 、M71b 、及び、M71c をHに置き換えてなる化合物PIIa-2は、HA71a-L71-N(L73-A71cH)-L72-A71bHが該当する。また、化合物PIIa-2と、活性光線又は放射線の照射によって式(IIa-2)で表される化合物から発生する酸は同じである。
71a 、M71b 、M71c 、A71a 、A71b 、A71c 、L71、L72、及びL73の少なくとも1つが、置換基として、酸分解性基を有していてもよい。
化合物(I)及び化合物(II)が有し得る、カチオン以外の部位を例示する。
Figure 2023125930000017
Figure 2023125930000018
組成物Aは、化合物(I)及び(II)のうち、化合物(I)のみを含んでいてもよいし、化合物(II)のみを含んでいてもよいし、化合物(I)と化合物(II)の両方を含んでいてもよい。
組成物Aが化合物(I)を含む場合、化合物(I)の種類は1種でも2種以上でもよい。
組成物Aが化合物(II)を含む場合、化合物(II)の種類は1種でも2種以上でもよい。
組成物A中の化合物(I)及び(II)の含有率(総含有率)は、特に制限されないが、組成物Aの全固形分に対して、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上が更に好ましい。また、組成物A中の化合物(I)及び(II)の含有率(総含有率)は、組成物Aの全固形分に対して、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましく、40.0質量%以下が更に好ましく、30.0%が特に好ましい。
[化合物(I)及び(II)とは異なる光酸発生剤P]
組成物Aは、光酸発生剤として、化合物(I)及び(II)とは異なる光酸発生剤Pを含んでいてもよい。
光酸発生剤Pは、典型的には光分解性カチオンを含む。
光酸発生剤Pは、アニオンA とカチオンMとからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される酸を発生することが好ましい。
カチオンMをHに置き換えてなるHAで表される酸に由来する酸解離定数a3は、前述の化合物(I)の構造部位Z2中のカチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2よりも小さいことが好ましい。
上記酸として、例えば、スルホン酸(脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、及びカンファースルホン酸等)、カルボン酸(脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、及びアラルキルカルボン酸等)、カルボニルスルホニルイミド酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド酸、及びトリス(アルキルスルホニル)メチド酸が挙げられる。
の具体例及び好ましい範囲は、前述のM 及びM と同じである。
はアニオンを表し、有機アニオンを表すことが好ましい。
有機アニオンとしては、特に制限されず、1又は2価以上の有機アニオンが挙げられる。
有機アニオンとしては、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンが好ましく、非求核性アニオンがより好ましい。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、及びカンファースルホン酸アニオン等)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、及びアラルキルカルボン酸アニオン等)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であっても、シクロアルキル基であってもよく、炭素数1~30の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数3~30のシクロアルキル基が好ましい。
上記アルキル基は、例えば、フルオロアルキル基(フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。パーフルオロアルキル基であってもよい)であってもよい。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおけるアリール基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、及び、ナフチル基が挙げられる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限されないが、例えば、ニトロ基、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(炭素数1~15が好ましい)、アルキル基(炭素数1~10が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数3~15が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、アルコキシカルボニル基(炭素数2~7が好ましい)、アシル基(炭素数2~12が好ましい)、アルコキシカルボニルオキシ基(炭素数2~7が好ましい)、アルキルチオ基(炭素数1~15が好ましい)、アルキルスルホニル基(炭素数1~15が好ましい)、アルキルイミノスルホニル基(炭素数1~15が好ましい)、及び、アリールオキシスルホニル基(炭素数6~20が好ましい)が挙げられる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、炭素数7~14のアラルキル基が好ましい。
炭素数7~14のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及び、ナフチルブチル基が挙げられる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンが挙げられる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、及び、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基が挙げられ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、フッ素化燐(例えば、PF )、フッ素化ホウ素(例えば、BF )、及び、フッ素化アンチモン(例えば、SbF )が挙げられる。
非求核性アニオンとしては、下記式(AN1)で表されるアニオンも好ましい。
Figure 2023125930000019
式(AN1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表す。
置換基は特に制限されないが、電子求引性基ではない基が好ましい。電子求引性基ではない基としては、例えば、炭化水素基、水酸基、オキシ炭化水素基、オキシカルボニル炭化水素基、アミノ基、炭化水素置換アミノ基、及び、炭化水素置換アミド基が挙げられる。
電子求引性基ではない基としては、それぞれ独立に、-R’、-OH、-OR’、-OCOR’、-NH、-NR’、-NHR’、又は、-NHCOR’が好ましい。R’は、1価の炭化水素基である。
上記R’で表される1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、及びブテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、及びブチニル基等のアルキニル基等の1価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、及びアダマンチル基等のシクロアルキル基;シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、及びノルボルネニル基等のシクロアルケニル基等の1価の脂環炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、及びメチルアントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、及びアントリルメチル基等のアラルキル基等の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
なかでも、R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基(シクロアルキル基が好ましい)又は水素原子が好ましい。
Lは、2価の連結基を表す。
Lが複数存在する場合、Lは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、-O-CO-O-、-COO-、-CONH-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、アルキレン基(炭素数1~6が好ましい)、シクロアルキレン基(炭素数3~15が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~6が好ましい)、及び、これらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。なかでも、2価の連結基としては、-O-CO-O-、-COO-、-CONH-、-CO-、-O-、-SO-、-O-CO-O-アルキレン基-、-COO-アルキレン基-、又は、-CONH-アルキレン基-が好ましく、-O-CO-O-、-O-CO-O-アルキレン基-、-COO-、-CONH-、-SO-、又は、-COO-アルキレン基-がより好ましい。
Lとしては、例えば、下記式(AN1-1)で表される基が好ましい。
-(CR2a -Q-(CR2b -* (AN1-1)
式(AN1-1)中、*は、式(AN1)におけるRとの結合位置を表す。
は、式(AN1)における-C(R)(R)-との結合位置を表す。
X及びYは、それぞれ独立に、0~10の整数を表し、0~3の整数が好ましい。
2a及びR2bは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
2a及びR2bがそれぞれ複数存在する場合、複数存在するR2a及びR2bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、Yが1以上の場合、式(AN1)における-C(R)(R)-と直接結合するCR2b におけるR2bは、フッ素原子以外である。
Qは、*-O-CO-O-*、*-CO-*、*-CO-O-*、*-O-CO-*、*-O-*、*-S-*、又は、*-SO-*を表す。
ただし、式(AN1-1)中のX+Yが1以上、かつ、式(AN1-1)中のR2a及びR2bのいずれもが全て水素原子である場合、Qは、*-O-CO-O-*、*-CO-*、*-O-CO-*、*-O-*、*-S-*、又は、*-SO-*を表す。
は、式(AN1)におけるR側の結合位置を表し、*は、式(AN1)における-SO 側の結合位置を表す。
式(AN1)中、Rは、有機基を表す。
上記有機基は、炭素原子を1以上有していれば特に制限はなく、直鎖状の基(例えば、直鎖状のアルキル基)でも、分岐鎖状の基(例えば、t-ブチル基等の分岐鎖状のアルキル基)でもよく、環状の基であってもよい。上記有機基は、置換基を有していても、有していなくてもよい。上記有機基は、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、及び/又は、窒素原子等)を有していても、有してなくてもよい。
なかでも、Rは、環状構造を有する有機基であることが好ましい。上記環状構造は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。環状構造を含む有機基における環は、式(AN1)中のLと直接結合していることが好ましい。
上記環状構造を有する有機基は、例えば、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、及び/又は、窒素原子等)を有していても、有してなくてもよい。ヘテロ原子は、環状構造を形成する炭素原子の1つ以上と置換していてもよい。
上記環状構造を有する有機基は、例えば、環状構造の炭化水素基、ラクトン環基、及び、スルトン環基が好ましい。なかでも、上記環状構造を有する有機基は、環状構造の炭化水素基が好ましい。
上記環状構造の炭化水素基は、単環又は多環のシクロアルキル基が好ましい。これらの基は、置換基を有していてもよい。
上記シクロアルキル基は、単環(シクロヘキシル基等)でも多環(アダマンチル基等)でもよく、炭素数は5~12が好ましい。
上記ラクトン基及びスルトン基としては、例えば、上述した式(LC1-1)~(LC1-21)で表される構造、及び、式(SL1-1)~(SL1-3)で表される構造のいずれかにおいて、ラクトン構造又はスルトン構造を構成する環員原子から、水素原子を1つ除いてなる基が好ましい。
非求核性アニオンとしては、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐鎖状のアルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
非求核性アニオンとしては、下記式(AN2)で表されるアニオンも好ましい。
Figure 2023125930000020
式(AN2)中、oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、水素原子、フッ素原子、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基、又はフッ素原子を有さない有機基を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましく、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
及びRで表されるアルキル基は、炭素数1~4が好ましい。上記アルキル基は置換基を有していてもよい。R及びRとしては、水素原子が好ましい。
Lは、2価の連結基を表す。Lの定義は、式(AN1)中のLと同義である。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。なかでも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び、複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環であってもよく、多環であってもよい。単環の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。なかでも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
アリール基は、単環又は多環であってもよい。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、及び、アントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環又は多環であってもよい。なかでも、多環の複素環基である場合、より酸の拡散を抑制できる。複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及び、ピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及び、デカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又は、デカヒドロイソキノリン環が好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及び、スルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
式(AN2)で表されるアニオンとしては、SO -CF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-CHF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-COO-(L)q’-W、SO -CF-CF-CH-CH-(L)-W、又は、SO -CF-CH(CF)-OCO-(L)q’-Wが好ましい。ここで、L、q及びWは、式(AN2)と同様である。q’は、0~10の整数を表す。
非求核性アニオンとしては、下記式(AN3)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
Figure 2023125930000021
式(AN3)中、Arは、アリール基(フェニル基等)を表し、スルホン酸アニオン、及び、-(D-B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、例えば、フッ素原子及び水酸基が挙げられる。
nは、0以上の整数を表す。nとしては、1~4が好ましく、2~3がより好ましく、3が更に好ましい。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基が挙げられる。
Bは、炭化水素基を表す。
Bとしては、脂肪族炭化水素基が好ましく、イソプロピル基、シクロヘキシル基、又は更に置換基を有してもよいアリール基(トリシクロヘキシルフェニル基等)がより好ましい。
非求核性アニオンとしては、ジスルホンアミドアニオンも好ましい。
ジスルホンアミドアニオンは、例えば、N(SO-Rで表されるアニオンである。
ここで、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表し、フルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。2個のRは互いに結合して環を形成してもよい。2個のRが互いに結合して形成される基は、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましく、フルオロアルキレン基が好ましく、パーフルオロアルキレン基が更に好ましい。上記アルキレン基の炭素数は2~4が好ましい。
組成物Aが光酸発生剤Pを含む場合、光酸発生剤Pの含有率は、特に制限されないが、組成物Aの全固形分に対して、0.1~50.0質量%が好ましく、0.5~40.0質量%がより好ましく、1.0~30.0質量%が更に好ましい。
[樹脂]
組成物Aに含まれる樹脂について説明する。
組成物Aは、酸分解性樹脂を含むことが好ましい。
以下、酸分解性樹脂を「樹脂(E)」ともいう。
樹脂(E)は、酸の作用により極性が増大する樹脂である。
樹脂(E)は、通常、酸の作用により分解し極性が増大する基(「酸分解性基」ともいう。)を含み、酸分解性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。樹脂(E)が酸分解性基を有する場合、本明細書におけるパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、酸分解性基を有する繰り返し単位以外に、不飽和結合を含む酸分解性基を有する繰り返し単位が好ましい。
(酸分解性基を有する繰り返し単位)
酸分解性基とは、酸の作用により分解して極性基を生じる基をいう。酸分解性基は、酸の作用により脱離する基(脱離基)で極性基が保護された構造を有することが好ましい。つまり、樹脂(E)は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する。この繰り返し単位を有する樹脂は、酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が好ましく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基、並びに、アルコール性水酸基が挙げられる。
なかでも、極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又は、スルホン酸基が好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx)(Rx)(Rx
式(Y2):-C(=O)OC(Rx)(Rx)(Rx
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
式(Y1)及び式(Y2)中、Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)、シクロアルキル基(単環又は多環)、アルケニル基(直鎖状又は分岐鎖状)、又は、アリール基(単環又は多環)を表す。なお、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
なかでも、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx~Rxは、それぞれ独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成される環としては、シクロアルキル基が好ましい。Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくは、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくは、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を含む基、又は、ビニリデン基で置き換わっていてもよい。これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、例えば、EUV露光用レジスト組成物である場合、Rx~Rxで表されるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及び、Rx~Rxの2つが結合して形成される環は、更に、置換基として、フッ素原子又はヨウ素原子を有していることも好ましい。
式(Y3)中、R36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基には、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を含む基が含まれていてもよい。例えば、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基において、メチレン基の1つ以上が、酸素原子等のヘテロ原子及び/又はカルボニル基等のヘテロ原子を含む基で置き換わっていてもよい。
38は、繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基と互いに結合して、環を形成してもよい。R38と繰り返し単位の主鎖が有する別の置換基とが互いに結合して形成する基は、メチレン基等のアルキレン基が好ましい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、例えば、EUV露光用レジスト組成物である場合、R36~R38で表される1価の有機基、及び、R37とR38とが互いに結合して形成される環は、更に、置換基として、フッ素原子又はヨウ素原子を有していることも好ましい。
式(Y3)としては、下記式(Y3-1)で表される基が好ましい。
Figure 2023125930000022
ここで、L及びLは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とアリール基とを組み合わせた基)を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を含む基で置き換わっていてもよい。
なお、L及びLのうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及びLの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、Lが2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基、及び、ノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基、及び、アダマンタン基が挙げられる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)及び活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、例えば、EUV露光用レジスト組成物である場合、L及びLで表される、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、これらを組み合わせた基は、更に、置換基として、フッ素原子又はヨウ素原子を有していることも好ましい。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基には、フッ素原子及びヨウ素原子以外に、酸素原子等のヘテロ原子が含まれていることも好ましい。具体的には、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を含む基で置き換わっていてもよい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、例えば、EUV露光用レジスト組成物である場合、Qで表されるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、及び、これらを組み合わせた基において、ヘテロ原子としては、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子であることも好ましい。
式(Y4)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arとしては、アリール基が好ましい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、例えば、EUV露光用レジスト組成物である場合、Arで表される芳香環基、並びに、Rnで表されるアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基は、置換基としてフッ素原子又はヨウ素原子を有していることも好ましい。
繰り返し単位の酸分解性が優れる点から、極性基を保護する脱離基において、極性基(又はその残基)に非芳香族環が直接結合している場合、上記非芳香族環中の、上記極性基(又はその残基)と直接結合している環員原子に隣接する環員原子は、置換基としてフッ素原子等のハロゲン原子を有さないことも好ましい。
酸の作用により脱離する基は、他にも、3-メチル-2-シクロペンテニル基のような置換基(アルキル基等)を有する2-シクロペンテニル基、及び、1,1,4,4-テトラメチルシクロヘキシル基のような置換基(アルキル基等)を有するシクロヘキシル基でもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2023125930000023
は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表し、Rは水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表し、Rは酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。ただし、L、R、及びRのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はヨウ素原子を有する。
で表される、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、アリーレン基等)、及び、これらの複数が連結した連結基が挙げられる。なかでも、Lとしては、-CO-、アリーレン基、又は、-アリーレン基-フッ素原子若しくはヨウ素原子を有するアルキレン基-が好ましく、-CO-、又は、-アリーレン基-フッ素原子若しくはヨウ素原子を有するアルキレン基-がより好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキレン基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、2以上が好ましく、2~10がより好ましく、3~6が更に好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
で表される、フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキル基に含まれる、フッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、1以上が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
で表されるアルキル基は、ハロゲン原子以外の酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
で表される、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基としては、上述した式(Y1)~(Y4)で表され、かつ、フッ素原子又はヨウ素原子を有する脱離基が挙げられる。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(AI)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2023125930000024
式(AI)において、Xaは、水素原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Tは、単結合、又は、2価の連結基を表す。Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)、シクロアルキル基(単環又は多環)、アルケニル基(直鎖状又は分岐鎖状)、又は、アリール(単環又は多環)基を表す。ただし、Rx~Rxの全てがアルキル基(直鎖状、又は分岐鎖状)である場合、Rx~Rxのうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して、単環又は多環(単環又は多環のシクロアルキル基等)を形成してもよい。
Xaにより表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基又は-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基、又は、1価の有機基を表す。R11で表される1価の有機基としては、例えば、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアシル基、及び、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xaとしては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtとしては、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、又は、-(CH-基がより好ましい。
Rx~Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基が挙げられる。
Rx~Rxのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。また、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基も好ましい。なかでも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基等のヘテロ原子を含む基、又は、ビニリデン基で置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基は、シクロアルカン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
式(AI)で表される繰り返し単位としては、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)が好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これに限定されない。なお、式中、Xaは、H、CH、CF、又は、CHOHを表し、Rxa及びRxbは、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
Figure 2023125930000025
樹脂(E)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、不飽和結合を含む酸分解性基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
不飽和結合を含む酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2023125930000026
式(B)において、Xbは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Lは、単結合、又は、置換基を有してもよい2価の連結基を表す。Ry~Ryは、それぞれ独立に、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、単環状若しくは多環状のシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、単環若しくは多環のアリール基を表す。ただし、Ry~Ryのうち少なくとも1つはアルケニル基、アルキニル基、単環若しくは多環のシクロアルケニル基、又は、単環若しくは多環のアリール基を表す。
Ry~Ryの2つが結合して、単環又は多環(単環又は多環のシクロアルキル基、シクロアルケニル基等)を形成してもよい。
Xbにより表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基又は-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基、又は、1価の有機基を表し、例えば、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアシル基、及び、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xbとしては、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
Lの2価の連結基としては、-Rt-基、-CO-基、-COO-Rt-基、-COO-Rt-CO-基、-Rt-CO-基、及び、-O-Rt-基が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基、又は、芳香環基を表し、芳香環基が好ましい。
Lとしては、-Rt-基、-CO-基、-COO-Rt-CO-基、又は、-Rt-CO-基が好ましい。Rtは、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
Ry~Ryのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Ry~Ryのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Ry~Ryのアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基が挙げられる。
Ry~Ryのアルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
Ry~Ryのアルキニル基としては、エチニル基が好ましい。
Ry~Ryのシクロアルケニル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基の一部に二重結合を含む構造が好ましい。
Ry~Ryの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Ry~Ryの2つが結合して形成されるシクロアルキル基、又は、シクロアルケニル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基、-SO-基及び-SO-基等のヘテロ原子を含む基、ビニリデン基、又は、それらの組み合わせで置き換わっていてもよい。また、これらのシクロアルキル基又はシクロアルケニル基は、シクロアルカン環又はシクロアルケン環を構成するエチレン基の1つ以上が、ビニレン基で置き換わっていてもよい。
式(B)で表される繰り返し単位は、例えば、Ryがメチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、又は、アリール基であり、RyとRyとが結合して上述のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成している態様が好ましい。
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
式(B)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級エステル系繰り返し単位(Xbが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Lが-CO-基を表す繰り返し単位)、酸分解性ヒドロキシスチレン3級アルキルエーテル系繰り返し単位(Xbが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Lがフェニル基を表す繰り返し単位)、酸分解性スチレンカルボン酸3級エステル系繰り返し単位(Xbが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Lが-Rt-CO-基(Rtは芳香族基)を表す繰り返し単位)である。
不飽和結合を含む酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、15モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、その上限値としては、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、60モル%以下が更に好ましい。
不飽和結合を含む酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、これに限定されない。なお、式中、Xb及びL1は上記記載の置換基、連結基のいずれかを表し、Arは芳香族基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’、R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基等の置換基を表し、R’は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、単環状若しくは多環状のシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は、単環若しくは多環のアリール基を表し、Qは酸素原子等のヘテロ原子、カルボニル基、-SO-基及び-SO-基等のヘテロ原子を含む基、ビニリデン基、又はそれらの組み合わせを表し、n、m及びlは0以上の整数を表す。
Figure 2023125930000027
Figure 2023125930000028
Figure 2023125930000029
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、15モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましい。また、その上限値としては、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下が更に好ましく、60モル%以下が特に好ましい。
(酸基を有する繰り返し単位)
樹脂(E)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、pKaが13以下の酸基が好ましい。上記酸基の酸解離定数は、13以下が好ましく、3~13がより好ましく、5~10が更に好ましい。
樹脂(E)が、pKaが13以下の酸基を有する場合、樹脂(E)中における酸基の含有量は特に制限されないが、0.2~6.0mmol/gの場合が多い。なかでも、0.8~6.0mmol/gが好ましく、1.2~5.0mmol/gがより好ましく、1.6~4.0mmol/gが更に好ましい。酸基の含有量が上記範囲内であれば、現像が良好に進行し、形成されるパターン形状に優れ、解像性にも優れる。
酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、又はイソプロパノール基が好ましい。
上記ヘキサフルオロイソプロパノール基は、フッ素原子の1つ以上(好ましくは1~2つ)が、フッ素原子以外の基(アルコキシカルボニル基等)で置換されてもよい。酸基としては、このように形成された-C(CF)(OH)-CF-も好ましい。また、フッ素原子の1つ以上がフッ素原子以外の基に置換されて、-C(CF)(OH)-CF-を含む環を形成してもよい。
酸基を有する繰り返し単位は、上述の酸の作用により脱離する基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位、及び後述するラクトン基、スルトン基、又はカーボネート基を有する繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることが好ましい。
酸基を有する繰り返し単位は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい。
酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(b1-1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2023125930000030
一般式(b1-1)中、Aa1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。R21は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し、複数ある場合には同じであっても異なっていてもよい。複数のR21を有する場合には、互いに共同して環を形成していてもよい。R21としては水素原子が好ましい。aは1~3の整数を表す。bは0~(5-a)の整数を表す。
以下、酸基を有する繰り返し単位を以下に例示する。式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは1~3の整数を表す。
Figure 2023125930000031
Figure 2023125930000032
樹脂(E)が酸基を有する繰り返し単位を含む場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。また、その上限値としては、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下が更に好ましい。
樹脂(E)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。
GPC法によりポリスチレン換算値として、樹脂(E)の重量平均分子量(Mw)は、30000以下が好ましく、1000~30000がより好ましく、3000~30000が更に好ましく、5000~15000が特に好ましい。
樹脂(E)の分散度(分子量分布、Mw/Mn)は、1~5が好ましく、1~3がより好ましく、1.2~3.0が更に好ましく、1.2~2.0が特に好ましい。分散度が小さいものほど、解像度、及びレジスト形状がより優れ、更に、レジストパターンの側壁がよりスムーズであり、ラフネス性にもより優れる。
組成物A中の樹脂(E)の含有率は、組成物Aの全固形分に対して、40.0~99.9質量%が好ましく、60.0~90.0質量%がより好ましい。
樹脂(E)は、1種のみ使用してもよいし、複数併用してもよい。
[化合物(I)及び(II)とは異なる酸拡散制御剤Qb]
組成物Aは、化合物(I)及び(II)とは異なる酸拡散制御剤Qbを含んでいてもよい。
酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして機能する。
酸拡散制御剤Qbの種類は特に制限されず、例えば、塩基性化合物(DA)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DB)、及び、活性光線又は放射線の照射により酸拡散制御能が低下又は消失する化合物(DC)が挙げられる。
化合物(DC)としては、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩化合物(DD)、及び、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DE)が挙げられる。
塩基性化合物(DA)の具体例としては、例えば、国際公開第2020/066824号の段落[0132]~[0136]に記載のものが挙げられ、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DE)の具体例としては、国際公開第2020/066824号の段落[0137]~[0155]に記載のもの、及び国際公開第2020/066824号公報の段落[0164]に記載のものが挙げられ、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DB)の具体例としては、国際公開第2020/066824号の段落[0156]~[0163]に記載のものが挙げられる。
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩化合物(DD)の具体例としては、例えば、国際公開第2020/158337号の段落[0305]~[0314]に記載のものが挙げられる。
上記以外にも、例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号の段落[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号の段落[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号の段落[0403]~[0423]、及び米国特許出願公開2016/0274458A1号の段落[0259]~[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤Qbとして好適に使用できる。
酸拡散制御剤Qbが光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩化合物(DD)である場合、酸拡散制御剤QbはアニオンA とカチオンM とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される酸を発生することが好ましい。
カチオンM をHに置き換えてなるHAで表される酸に由来する酸解離定数a4は、前述の化合物(I)の構造部位Z1中のカチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1よりも大きいことが好ましい。
また、酸解離定数a4は、前述の光酸発生剤PがアニオンA とカチオンMとからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される酸を発生する化合物である場合の酸解離定数a3よりも大きいことが好ましい。
組成物Aが酸拡散制御剤Qbを含む場合、酸拡散制御剤Qbの含有率は、組成物Aの全固形分に対して、0.1~20.0質量%が好ましく、1.0~15.0質量%がより好ましい。
組成物Aが酸拡散制御剤Qbを含む場合、酸拡散制御剤Qbは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[疎水性樹脂]
組成物Aは、更に、樹脂(E)とは異なる疎水性樹脂を含んでいてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性物質及び非極性物質の均一な混合に寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂の添加による効果として、水に対するレジスト膜表面の静的及び動的な接触角の制御、並びに、アウトガスの抑制が挙げられる。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の点から、フッ素原子、珪素原子、及び、樹脂の側鎖部分に含まれたCH部分構造のいずれか1種以上を有するのが好ましく、2種以上を有することがより好ましい。上記疎水性樹脂は、炭素数5以上の炭化水素基を有することが好ましい。これらの基は樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂としては、国際公開第2020/004306号の段落[0275]~[0279]に記載される化合物が挙げられる。
組成物Aが疎水性樹脂を含む場合、疎水性樹脂の含有率は、組成物Aの全固形分に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.1~15.0質量%がより好ましい。
[界面活性剤]
組成物Aは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含むと、密着性により優れ、現像欠陥のより少ないパターンを形成することができる。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、国際公開第2018/193954号の段落[0218]及び[0219]に開示された界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
組成物Aが界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有率は、組成物Aの全固形分に対して、0.0001~2.0質量%が好ましく、0.0005~1.0質量%がより好ましく、0.1~1.0質量%が更に好ましい。
[溶剤]
組成物Aは、溶剤を含むことが好ましい。
溶剤は、(M1)プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、並びに、(M2)プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、及びアルキレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。なお、上記溶剤は、成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含んでいてもよい。
成分(M1)及び成分(M2)の詳細は、国際公開第2020/004306号の段落[0218]~[0226]に記載され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
溶剤が成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含む場合、成分(M1)及び(M2)以外の成分の含有量は、溶剤の全量に対して、5~30質量%が好ましい。
組成物A中の溶剤の含有量は、固形分濃度が0.5~30質量%となるように定めることが好ましく、1~20質量%となるように定めることがより好ましい。
[その他の添加剤]
組成物Aは、溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は、現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又は、カルボキシル基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
上記「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解して有機系現像液中での溶解度が減少する、分子量3000以下の化合物である。
<測定用レジスト組成物B(組成物B)>
組成物Bは、組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含むものであり、典型的には、組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を同じ量使用して調製される。
組成物Bに含まれる成分は、組成物Aに含まれる成分と同様である。
本発明では、組成物Bを用いて取得した測定データが、組成物Aを用いて取得した基準データから乖離していて、その乖離が許容範囲内ではない場合には、工程(4)で組成物B中の樹脂の含有率を変更して、許容範囲内となるような組成物Cを調製する。
[レジスト膜の形成方法、及びレジストパターン形成方法]
レジスト組成物(組成物A、組成物B及び組成物C)を用いてレジスト膜(レジスト膜A、レジスト膜B及びレジスト膜C)を形成する方法、及びレジストパターン(レジストパターンA、レジストパターンB及びレジストパターンC)を形成する方法について説明する。
レジスト組成物を用いたレジストパターン(以下、単に「パターン」ともいう。)形成方法の手順は特に制限されないが、以下の工程を有することが好ましい。
工程a:レジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程
工程b:レジスト膜を露光する工程
工程c:露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程
以下、上記それぞれの工程の手順について詳述する。
(工程a:レジスト膜形成工程)
工程aは、レジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程である。なお、レジスト組成物としては、組成物A、組成物B及び組成物Cを用いる。
レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する方法としては、例えば、レジスト組成物を基板上に塗布する方法が挙げられる。
なお、塗布前にレジスト組成物を必要に応じてフィルター濾過することが好ましい。フィルターのポアサイズは、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。フィルターは、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製が好ましい。
レジスト組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上に、スピナー又はコーター等の適当な塗布方法により塗布できる。塗布方法は、スピナーを用いたスピン塗布が好ましい。スピナーを用いたスピン塗布をする際の回転数は、1000~3000rpm(rotations per minute)が好ましい。
レジスト組成物の塗布後、基板を乾燥し、レジスト膜を形成してもよい。なお、必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
乾燥方法としては、例えば、加熱して乾燥する方法が挙げられる。加熱は通常の露光機、及び/又は、現像機に備わっている手段で実施でき、ホットプレート等を用いて実施してもよい。加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。加熱時間は30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
レジスト膜(レジスト膜A、レジスト膜B及びレジスト膜C)の膜厚は特に制限されないが、10~120nmが好ましい。EUV露光とする場合、レジスト膜の膜厚としては、10~65nmがより好ましく、15~50nmが更に好ましい。ArF液浸露光とする場合、レジスト膜の膜厚としては、10~120nmがより好ましく、15~90nmが更に好ましい。
レジスト膜Aとレジスト膜Bとレジスト膜Cの膜厚は同じ厚さにすることが好ましい。
(工程b:露光工程)
工程bは、レジスト膜を露光する工程である。
露光の方法としては、形成したレジスト膜に所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する方法が挙げられる。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、及び電子線が挙げられ、250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1~200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、EUV(13.5nm)、X線、及び電子ビームが特に好ましく、EUVが最も好ましい。
露光後、現像を行う前にベーク(加熱)を行うことが好ましい。
加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は10~1000秒が好ましく、10~180秒がより好ましく、30~120秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光機及び/又は現像機に備わっている手段で実施でき、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
この工程は露光後ベークともいう。
レジスト膜Aの露光条件(加熱を行う場合は加熱条件も含む)と、レジスト膜Bの露光条件(加熱を行う場合は加熱条件も含む)、及びレジスト膜Cの露光条件(加熱を行う場合は加熱条件も含む)とは同じ条件にすることが好ましい。
(工程c:現像工程)
工程cは、現像液を用いて、露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程である。
現像液は、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含有する現像液(「有機系現像液」ともいう。)であってもよい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静置して現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)が挙げられる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間は未露光部の樹脂が十分に溶解する時間であれば特に制限はなく、10~300秒が好ましく、20~120秒がより好ましい。
現像液の温度は0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
アルカリ現像液は、アルカリを含むアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の種類は特に制限されないが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン、又は、環状アミン等を含むアルカリ水溶液が挙げられる。中でも、アルカリ現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩の水溶液であることが好ましい。アルカリ現像液には、アルコール類、界面活性剤等を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常、0.1~20質量%であることが好ましい。アルカリ現像液のpHは、通常、10.0~15.0であることが好ましい。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であることが好ましい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含有しないのが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が更に好ましく、95質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
(他の工程)
上記パターン形成方法は、工程cの後に、リンス液を用いて洗浄する工程を含んでもよい。
アルカリ現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、例えば、純水が挙げられる。なお、純水には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
有機系現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、パターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液は、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
リンス工程の方法は特に限定されず、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)が挙げられる。
また、パターン形成方法は、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含んでいてもよい。本工程により、ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。また、本工程により、レジストパターンがなまされ、パターンの表面荒れが改善される効果もある。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~250℃(好ましくは90~200℃)で、通常10秒間~3分間(好ましくは30秒間~120秒間)行う。
レジスト組成物、及びパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物等)は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量は、1質量ppm(parts per million)以下が好ましく、10質量ppb(parts per billion)以下がより好ましく、100質量ppt以下が更に好ましく、10質量ppt以下が特に好ましく、1質量ppt以下が最も好ましい。下限は特に制限させず、0質量ppt以上が好ましい。ここで、金属不純物としては、例えば、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Al、Li、Cr、Ni、Sn、Ag、As、Au、Ba、Cd、Co、Pb、Ti、V、W、及びZnが挙げられる。
各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルターを用いた濾過の詳細は、国際公開第2020/004306号の段落[0321]に記載される。
各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、例えば、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する方法、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う方法、及び装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う方法が挙げられる。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材とを組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル及びゼオライト等の無機系吸着材、並びに、活性炭等の有機系吸着材を使用できる。上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止する必要がある。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定して確認できる。使用後の洗浄液に含まれる金属成分の含有量は、100質量ppt(parts per trillion)以下が好ましく、10質量ppt以下がより好ましく、1質量ppt以下が更に好ましい。下限は特に制限させず、0質量ppt以上が好ましい。
リンス液等の有機系処理液には、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う、薬液配管及び各種パーツ(フィルター、O-リング、及び、チューブ等)の故障を防止するため、導電性の化合物を添加してもよい。導電性の化合物は特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、好ましい現像特性又はリンス特性を維持する点で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。下限は特に制限させず、0.01質量%以上が好ましい。
薬液配管としては、例えば、SUS(ステンレス鋼)、又は、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、又は、パーフルオロアルコキシ樹脂等)で被膜された各種配管を使用できる。フィルター及びO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、又は、パーフルオロアルコキシ樹脂等)を使用できる。
<レジスト組成物の検定方法>
本発明のレジスト組成物の検定方法は、前述の工程(1)~(4)を含むレジスト組成物の検定方法である。工程(1)~(4)については前述した通りである。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例及び参考例のレジスト組成物に用いた各種成分について以下に示す。
<化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含む光酸発生剤(光酸発生剤X)>
化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含む光酸発生剤として、X-1~X-17を用いた。
化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含む光酸発生剤を光酸発生剤Xともいう。
X-1~X-17の構造式、及び、酸解離定数a1と酸解離定数a2の値を以下に示す。
Figure 2023125930000033
Figure 2023125930000034
<酸分解性樹脂(E)>
酸分解性樹脂(E)として、E-1~E-24を用いた。
表1に、それぞれの樹脂に含まれる各繰り返し単位の含有量(モル%)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示した。
繰り返し単位の含有量は、各樹脂に含まれる全繰り返し単位に対する各繰り返し単位の含有比率(モル比率)である。
表1において、各樹脂の繰り返し単位の含有量の値は、以下に示す各樹脂の構造式の繰り返し単位の記載順に対応している。例えば、E-1の左側の繰り返し単位の含有量は60モル%であり、右側の繰り返し単位の含有量は40モル%である。
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、繰り返し単位の含有量は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
Figure 2023125930000035
Figure 2023125930000036
Figure 2023125930000037
Figure 2023125930000038
<光酸発生剤P>
光酸発生剤Pとして、P-1~P-10を用いた。
Figure 2023125930000039
<酸拡散制御剤Qb>
酸拡散制御剤Qbとして、Q-1~Q-5を用いた。
Figure 2023125930000040
<疎水性樹脂>
疎水性樹脂として、下記表2に示されるF-1~F-6を用いた。
表2に、それぞれの樹脂に含まれる各繰り返し単位の種類及び含有量(モル%)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示す。繰り返し単位の含有量は、各樹脂に含まれる全繰り返し単位に対する各繰り返し単位の割合(モル比率)である。各繰り返し単位の種類は対応するモノマーの構造により示した。
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、繰り返し単位の含有量は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
Figure 2023125930000041
表2に示される疎水性樹脂を構成する各繰り返し単位に相当するモノマーME-1~ME-11の構造を以下に示す。
Figure 2023125930000042
<溶剤>
溶剤として、G-1~G-9を使用した。
G-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
G-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
G-3:プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)
G-4:シクロヘキサノン
G-5:シクロペンタノン
G-6:2-ヘプタノン
G-7:乳酸エチル
G-8:γ-ブチロラクトン
G-9:プロピレンカーボネート
<実施例1~24、参考例1~24>
[工程(1)]
(基準レジスト組成物A(組成物A)の調製)
下記表3に示した各成分を下記表3に示した含有率となるように混合し、混合液を得た。次いで、得られた混合液を、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過することにより、固形分濃度が2.0質量%のレジスト組成物(A-1~A-24)を調製した。レジスト組成物において、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。
表3において、酸分解性樹脂(E)、光酸発生剤X、光酸発生剤P、酸拡散制御剤Qb、及び疎水性樹脂の含有率(質量%)は、レジスト組成物の全固形分に対する質量基準の含有比率を意味する。溶剤の混合比は全溶剤を100とした場合の各溶剤の割合(質量比)を意味する。
各成分を2種以上使用した場合は、それぞれの種類と含有率を「/」で区切って表した。例えば、レジスト組成物A-3で「X-3/X-8」は、光酸発生剤XとしてX-3とX-8の2種を使用したことを表し、「10.90/5.50」はX-3の含有率が10.90質量%であり、X-8の含有率が5.50質量%であることを表す。
得られたレジスト組成物を、基準レジスト組成物A(組成物A)として使用した。
Figure 2023125930000043
(レジスト膜Aの形成、露光、現像処理、及びレジストパターンAの形成)
シリコンウエハ上に下層膜形成用組成物AL412(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚20nmの下層膜を形成した。下層膜の上に、表4に示す組成物Aを塗布し、120℃で60秒間ベークして、膜厚40nmのレジスト膜Aを形成した。
EUV露光装置(Exitech社製、Micro Exposure Tool、NA0.3、Quadrupol、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用いて、得られたレジスト膜Aを有するシリコンウエハに対してパターン照射を行った。なお、レクチルとしては、ラインサイズ=30nmであり、かつ、ライン:スペース=1:1であるマスクを用いた。
露光後のレジスト膜Aを120℃で60秒間ベークした後、アルカリ現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で現像し、線幅30nmで、ライン:スペース=1:1のラインアンドスペースパターン(レジストパターンA)を得た。
(感度(基準データ)の測定)
測長走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S-9380II)により線幅30nm(1:1)のラインアンドスペースのパターン(レジストパターンA)を解像する時の最適露光量を感度(Eopt)(mJ/cm)とした。このようにして、感度の基準データを取得した。
(LWR(基準データ)の測定)
上記感度(Eopt)を示す露光量にて解像した線幅30nm(1:1)のラインアンドスペースのパターン(レジストパターンA)に対して、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S-9380II))を使用してパターン上部から観察した。パターンの線幅を任意のポイントで観測し、その標準偏差(σ)を求め、線幅の測定ばらつきを3σ(nm)で評価した。このようにして、LWR(3σ)の基準データを取得した。
[工程(2)]
(測定用レジスト組成物B(組成物B)の調製)
上記レジスト組成物A-1と同一の成分(ロット違い)を、同じ量使用して、同じ方法で、レジスト組成物B-1を調製した。
また、上記レジスト組成物A-2~A-24のそれぞれと同一の成分(ロット違い)を、同じ量使用して、同じ方法で、レジスト組成物B-2~B-24をそれぞれ調製した。
レジスト組成物B-1~B-24の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
(レジスト膜Bの形成、露光、現像処理、及びレジストパターンBの形成)
組成物Aに代えて、表4に示す組成物Bを用いた以外は、前述の(レジスト膜Aの形成、露光、現像処理、及びレジストパターンAの形成)と同様に、レジスト膜Bの形成、露光、現像処理、及びレジストパターンBの形成を行った。
(感度(測定データ)の測定)
レジストパターンBを解像する時の感度を、前述の感度の基準データと同様にして求め、感度の測定データを取得した。
(LWR(測定データ)の測定)
レジストパターンBについて、前述のLWRの基準データと同様にして、LWRの測定データを取得した。
[工程(3)]
以下のようにして、基準データと測定データとを比較して許容範囲内(合格)であるか否かを判定した。
(感度のデータについて)
測定データから基準データを引いた値が、基準データに対して±0.5%以内である場合を許容範囲内(合格)とした。すなわち、感度の基準データをK1とし、感度の測定データをK1とするとき、-0.5≦100×(K1-K1)/K1≦0.5である場合を許容範囲内(合格)とした。
(LWRのデータについて)
測定データから基準データを引いた値が、基準データに対して±2.0%以内である場合を許容範囲内(合格)とした。すなわち、LWRの基準データをK2とし、LWRの測定データをK2とするとき、-2.0≦100×(K2-K2)/K2≦2.0である場合を許容範囲内(合格)とした。
全ての実施例及び参考例において、工程(3)では、「許容範囲内ではない」と判定した。
[工程(4)]
前述のように、全ての実施例において、工程(3)で、「許容範囲内ではない」と判定したので、全ての実施例で、以下のように工程(4)を行い、レジスト組成物C(組成物C)を調製した。この際、組成物Aの樹脂の含有率をLとし、組成物Cの樹脂の含有率をLとした場合、-5.0≦100×(L-L)/L<0.0、又は0.0<100×(L-L)/L≦5.0を満たすように組成物Cを調製した。
レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜を「レジスト膜C」ともいう。レジスト膜Cに対して露光し、現像処理を行い、形成したレジストパターンを「レジストパターンC」ともいう。レジスト組成物Cを用いて取得したデータを「データC」ともいう。
実施例1、4~7、12~16、19~24では、レジスト膜のEUV吸収効率を求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更し、組成物Cを調製した。詳細を以下に示す。
EUV吸収効率は、下記式(1)で求められるA値により算出した。
式(1):A=([H]×0.04+[C]×1.0+[N]×2.1+[O]×3.6+[F]×5.6+[S]×1.5+[I]×39.5)/([H]×1+[C]×12+[N]×14+[O]×16+[F]×19+[S]×32+[I]×127)
式(1)中、[H]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の水素原子のモル比率を表し、[C]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の炭素原子のモル比率を表し、[N]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の窒素原子のモル比率を表し、[O]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の酸素原子のモル比率を表し、[F]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来のフッ素原子のモル比率を表し、[S]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来の硫黄原子のモル比率を表し、[I]は、レジスト組成物中の全固形分の全原子に対する、全固形分由来のヨウ素原子のモル比率を表す。
レジスト膜AのEUV吸収効率S1と、レジスト膜CのEUV吸収効率S1について、S1とS1との差がS1に対して±0.3%以内になるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。すなわち、-0.3≦100×(S1-S1)/S1≦0.3となるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。
実施例3、17及び18では、レジスト膜のTgを求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。詳細を以下に示す。
レジスト膜のTgは、「樹脂のTg」と「レジスト組成物の固形分中の樹脂の含有率(質量%)」の積として算出した。「樹脂のTg」は下記方法で算出した。
樹脂中に含まれる各繰り返し単位のみからなるホモポリマーのTgを、Bicerano法によりそれぞれ算出した。以後、算出されたTgを、「繰り返し単位のTg」という。次に、樹脂中の全繰り返し単位に対する、各繰り返し単位の質量割合(%)を算出した。次に、Foxの式(Materials Letters 62(2008)3152等に記載)を用いて各質量割合におけるTgを算出して、それらの総和を、樹脂のTg(℃)とした。
Bicerano法はPrediction of polymer properties,Marcel Dekker Inc,New York(1993)等に記載されている。またBicerano法によるTgの算出は、ポリマーの物性概算ソフトウェアMDL Polymer(MDL Information Systems, Inc.)を用いて行った。
レジスト膜Aのガラス転位温度S2と、レジスト膜Cのガラス転位温度S2について、S2とS2との差がS2に対して±0.5%以内になるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。すなわち、-0.5≦100×(S2-S2)/S2≦0.5となるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。
実施例2、8~11では、レジスト膜の現像液に対する溶解速度を求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。詳細を以下に示す。
レジスト膜の現像液に対する溶解速度は、レジスト膜の膜厚の変化量を処理に要した時間で除することで求めた。処理に要した時間は、水晶振動子マイクロバランス法(QCM(Quartz crystal microbalance)法)から得られるパラメータの変化をリアルタイムに測定し、その変化の挙動から求めた。
具体的な測定方法を以下に示す。
QCM電極(水晶振動子の電極)上にレジスト組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークして、膜厚40nmのレジスト膜を形成する。これにより、レジスト膜を有するQCM電極を作製する。次いで、上記レジスト膜付きQCM電極を、アルカリ現像液(2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)に接触させることで、レジスト膜を除去した。この間、水晶振動子の振動数変化をモニタリングし、現像液の接触開始から振動数変化が一定となるまでに要する時間(T)を測定した。処理前のレジスト膜の膜厚(40nm)を測定された時間(T)で除することで(40nm/T秒)、レジスト膜の溶解速度(nm/秒)を算出した。
レジスト膜Aの現像液に対する溶解速度S3と、レジスト膜Cの現像液に対する溶解速度S3とについて、S3とS3との差がS3に対して±2.0%以内になるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。すなわち、-2.0≦100×(S3-S3)/S3≦2.0となるように、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。
組成物Bに相当する組成物B-1における酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、新たに調製した組成物Cに相当するレジスト組成物を、組成物C-1とする。同様に、組成物Bに相当する組成物B-2~B-24における酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、新たに調製した組成物Cに相当するレジスト組成物を、組成物C-2~C-24とする。
組成物C-1~C-24の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
また、参考例では、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率は変更せずに、Q/Pを変更したレジスト組成物D(「組成物D」ともいう。)を調製した。Pはレジスト組成物に含まれる光分解性カチオンのモル数であり、Qはレジスト組成物についての下記式(a)で表される値である。
Q=(化合物(I)の1分子中のZ2の個数)×(化合物(I)のモル数)+(化合物(II)の1分子中のZ3の個数)×(化合物(II)のモル数)+(酸拡散制御剤Qbのモル数) ・・・(a)
レジスト組成物Dを用いて形成したレジスト膜を「レジスト膜D」ともいう。レジスト膜Dに対して露光し、現像処理を行い、形成したレジストパターンを「レジストパターンD」ともいう。レジスト組成物Dを用いて取得したデータを「データD」ともいう。
組成物Bに相当する組成物B-1におけるQ/Pを変更して、新たに調製した組成物Dに相当するレジスト組成物を、組成物D-1とする。同様に、組成物Bに相当する組成物B-2~B-24におけるQ/Pを変更して、新たに調製した組成物Dに相当するレジスト組成物を、組成物D-2~D-24とする。
組成物D-1~D-24の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
組成物D-2~D-24におけるQ/Pの決定方法について以下に記載する。
まず、組成物A-1~A-24のそれぞれで使用した成分(同一ロットの成分)を用いて、Q/Pを±5%、±10%変化させたレジスト組成物4種を調製し、上記と同様の方法で感度を評価した。これにより、Q/Pに対する感度の検量線を作成し、検量線に従って、組成物D-1~D-24の感度が、組成物A-1~A-24の感度と同じになるように、Q/Pを決定した。
各実施例で、使用した組成物B(例えば、実施例1では組成物B-1)をロットが異なる成分(成分の種類及び含有率は同じ)を用いた以外は同様にして、10個ずつ(10サンプルずつ)調製した。調製した組成物Bのそれぞれに対して、酸分解性樹脂(E)の含有率を変更した組成物Cを調製した。すなわち、組成物B-1~B-24をそれぞれ10個ずつ調製し、組成物C-1~C-24もそれぞれ10個ずつ調製した。
各参考例でも同様に、調製した組成物Bのそれぞれに対して、Q/Pを変更した組成物Dを調製した。すなわち、組成物D-1~D-24もそれぞれ10個ずつ調製した。
[評価]
組成物C-1~C-24、及び組成物D-1~D-24について、前述した方法と同様にして、感度のデータとLWRのデータ(データC及びデータD)を取得した。
前述したものと同様に、感度のデータについては、データC及びデータDから基準データを引いた値が、基準データに対して±0.5%以内である場合を許容範囲内(合格)とした。
また、LWRのデータについては、データC及びデータDから基準データを引いた値が、基準データに対して±2.0%以内である場合を許容範囲内(合格)とした。
それぞれ10個の組成物C-1~C-24、及び組成物D-1~D-24について合格か否かを判定し、以下の基準で評価した。
A:合格が9~10個
B:合格が7~8個
C:合格が5~6個
D:合格が3~4個
E:合格が2個以下
結果を下記表4に示す。表4には、各実施例において、酸分解性樹脂(E)の含有率を変更する際に用いた指針を記載した。また、表4には、組成物C-1~C-24、及び組成物D-1~D-24の酸分解性樹脂(E)の含有率、及びQ/Pについて、10個のうちの1例を記載した。
Figure 2023125930000044
<実施例25~29、参考例25~29>
下記表5に示した各成分を下記表5に示した含有率となるように混合し、混合液を得た。次いで、得られた混合液を、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過することにより、固形分濃度が2.0質量%のレジスト組成物(A-25~A-29)を調製した。
得られたレジスト組成物を、基準レジスト組成物A(組成物A)として使用し、アルカリ現像液に代えて、有機系現像液である酢酸n-ブチルを用いた以外は、前述した工程(1)~(4)を実施した。この際、上記レジスト組成物A-25~29と同一の成分(ロット違い)を、同じ量使用して、同じ方法で、レジスト組成物B-25~29をそれぞれ調製した。
レジスト組成物B-25~B-29の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
実施例25、28、29では、レジスト膜のEUV吸収効率を求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更し、組成物Cを調製した。
実施例27では、レジスト膜のTgを求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。
実施例26では、レジスト膜の現像液に対する溶解速度を求め、これを指針として組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、組成物Cを調製した。
組成物Bに相当する組成物B-25~B-29における酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して、新たに調製した組成物Cに相当するレジスト組成物を、組成物C-25~C-29とする。
組成物C-25~C-29の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
更に、組成物Bに相当する組成物B-25~B-29におけるQ/Pを変更して、新たに調製した組成物Dに相当するレジスト組成物を、組成物D-25~D-29とする。
組成物D-25~D-29の固形分濃度は全て2.0質量%であった。
組成物C-25~C-29、及び組成物D-25~D-29について、前述した方法で感度のデータとLWRのデータを取得し、それぞれ実施例25~29、参考例25~29についての評価を行った。
結果を下記表6に示す。
Figure 2023125930000045
Figure 2023125930000046
表4及び表6の結果から、組成物Bの酸分解性樹脂(E)の含有率を変更して調製した組成物C(実施例1~29)は、Q/Pを変更して調製した組成物D(参考例1~29)よりも、組成物Aの性能(感度及びLWR)をより高い精度で再現できることが分かった。

Claims (16)

  1. 光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いてレジスト膜Aを形成し、前記レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程(1)、
    前記基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いてレジスト膜Bを形成し、前記レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程(2)、
    前記基準データと前記測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、
    前記工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、前記測定用レジスト組成物Bとは前記樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)
    を含む、レジスト組成物の製造方法。
  2. 前記光酸発生剤として、下記化合物(I)及び(II)の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のレジスト組成物の製造方法。
    化合物(I):
    1つ以上の下記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z2を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、下記構造部位Z1に由来する下記第1の酸性部位と下記構造部位Z2に由来する下記第2の酸性部位とを含む酸を発生する化合物。
    構造部位Z1:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第1の酸性部位を形成する構造部位
    構造部位Z2:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、かつ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第2の酸性部位を形成する構造部位
    ただし、化合物(I)は、下記条件Iを満たす。
    条件I:前記化合物(I)において前記構造部位Z1中の前記カチオン部位M 及び前記構造部位Z2中の前記カチオン部位M をHに置き換えてなる化合物PIが、前記構造部位Z1中の前記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1と、前記構造部位Z2中の前記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2を有し、かつ、前記酸解離定数a1よりも前記酸解離定数a2の方が大きい。
    化合物(II):
    2つ以上の前記構造部位Z1及び1つ以上の下記構造部位Z3を有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、前記構造部位Z1に由来する前記第1の酸性部位を2つ以上と前記構造部位Z3とを含む酸を発生する化合物。
    構造部位Z3:酸を中和可能な非イオン性の部位
  3. 前記基準レジスト組成物Aが、更に、前記化合物(I)及び(II)とは異なる酸拡散制御剤Qbを含有する、請求項2に記載のレジスト組成物の製造方法。
  4. 前記基準レジスト組成物Aに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、前記基準レジスト組成物Aについての下記式(a)で表されるQをQ、前記レジスト組成物Cに含まれる光分解性カチオンのモル数をP、前記レジスト組成物Cについての下記式(a)で表されるQをQとしたとき、Q/PからQ/Pを引いた値が、Q/Pの値に対して±0.3%以内である、請求項2又は3に記載のレジスト組成物の製造方法。
    Q=(化合物(I)の1分子中のZ2の個数)×(化合物(I)のモル数)+(化合物(II)の1分子中のZ3の個数)×(化合物(II)のモル数)+(酸拡散制御剤Qbのモル数) ・・・(a)
    ただし、酸拡散制御剤Qbは前記化合物(I)及び(II)とは異なる化合物である。
  5. 前記樹脂が、酸分解性樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  6. 前記基準データ及び前記測定データが、感度のデータであり、前記測定データから前記基準データを引いた値が、前記基準データに対して±0.5%以内である場合を前記許容範囲内とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  7. 前記基準データ及び前記測定データが、ラインウィズスラフネスのデータであり、前記測定データから前記基準データを引いた値が、前記基準データに対して±2.0%以内である場合を前記許容範囲内とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  8. 前記工程(4)で、前記レジスト膜AのEUV吸収効率S1と、前記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜CのEUV吸収効率S1との差が所定の範囲内に入るように、前記測定用レジスト組成物Bにおける前記樹脂の含有率を変更して、前記レジスト組成物Cを調製する、請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  9. 前記S1と前記S1との差が前記S1に対して±0.3%以内である場合を前記所定の範囲内とする、請求項8に記載のレジスト組成物の製造方法。
  10. 前記工程(4)で、前記レジスト膜Aのガラス転位温度S2と、前記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜Cのガラス転位温度S2との差が所定の範囲内に入るように、前記測定用レジスト組成物Bにおける前記樹脂の含有率を変更して、前記レジスト組成物Cを調製する、請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  11. 前記S2と前記S2との差が前記S2に対して±0.5%以内である場合を前記所定の範囲内とする、請求項10に記載のレジスト組成物の製造方法。
  12. 前記工程(4)で、前記レジスト膜Aの現像液に対する溶解速度S3と、前記レジスト組成物Cを用いて形成したレジスト膜Cの現像液に対する溶解速度S3との差が所定の範囲内に入るように、前記測定用レジスト組成物Bにおける前記樹脂の含有率を変更して、前記レジスト組成物Cを調製する、請求項1~7のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  13. 前記S3と前記S3との差が前記S3に対して±2.0%以内である場合を前記所定の範囲内とする、請求項12に記載のレジスト組成物の製造方法。
  14. 前記基準レジスト組成物Aの固形分濃度をE、前記レジスト組成物Cの固形分濃度をEとしたとき、前記Eと前記Eとの差が前記Eに対して±2.0%以内である、請求項1~13のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  15. 前記露光に使用する光源がEUVである、請求項1~14のいずれか1項に記載のレジスト組成物の製造方法。
  16. 光酸発生剤、及び樹脂を含有する基準レジスト組成物Aを用いてレジスト膜Aを形成し、前記レジスト膜Aに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンAを形成して、基準データを取得する工程(1)、
    前記基準レジスト組成物Aに含まれる成分と同じ種類の成分を含む測定用レジスト組成物Bを用いてレジスト膜Bを形成し、前記レジスト膜Bに対して露光し、現像処理を行い、レジストパターンBを形成して、測定データを取得する工程(2)、
    前記基準データと前記測定データとを比較して、許容範囲内であるか否かを判定する工程(3)、及び、
    前記工程(3)で許容範囲内ではないと判定した場合に、前記測定用レジスト組成物Bとは前記樹脂の含有率が異なるレジスト組成物Cを調製する工程(4)
    を含む、レジスト組成物の検定方法。

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